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特開2022-191937半導体装置および半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191937
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/76 20060101AFI20221221BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20221221BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
H01L21/76 M
H01L29/78 301R
H01L29/78 301D
H01L27/088 D
H01L27/088 Z
H01L21/76 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100470
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】能津 直哉
【テーマコード(参考)】
5F032
5F048
5F140
【Fターム(参考)】
5F032AA12
5F032AA35
5F032AA37
5F032AA44
5F032AA45
5F032AA47
5F032AB03
5F032BA02
5F032CA24
5F032CA25
5F032DA02
5F032DA12
5F032DA22
5F032DA53
5F048AA05
5F048AB10
5F048AC06
5F048BA01
5F048BF03
5F048BF18
5F048BG13
5F048BG14
5F048BG15
5F048BG16
5F140AA25
5F140AB06
5F140AC22
5F140BA01
5F140BH30
5F140CB04
5F140CB06
5F140CB10
(57)【要約】
【課題】製造効率の向上と耐圧の向上との両立を図る半導体装置を提供する。
【解決手段】
半導体装置は、一方側の第1主面および他方側の第2主面を有する半導体チップ2と、第1主面に沿って延び、かつ半導体チップ2の内部に形成されたpn接合部と、第1主面からpn接合部を貫通し、半導体チップ2に素子領域を区画するトレンチ13と、トレンチ13の側壁16,17および底壁18を被覆する絶縁膜19と、絶縁膜19を介してトレンチ13に埋め込まれた埋め込み電極15とを含み、トレンチ13の底壁18は、トレンチ13の深さ方向において、絶縁膜19の下端から絶縁膜19の内部上方に向かって突出する突出部20を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側の第1主面および他方側の第2主面を有する半導体チップと、
前記第1主面に沿って延び、かつ前記半導体チップの内部に形成されたpn接合部と、
前記第1主面から前記pn接合部を貫通し、前記半導体チップに素子領域を区画するトレンチと、
前記トレンチの側壁および底壁を被覆する絶縁膜と、
前記絶縁膜を介して前記トレンチに埋め込まれた埋め込み電極とを含み、
前記トレンチの底壁は、前記トレンチの深さ方向において、前記絶縁膜の下端から前記絶縁膜の内部上方に向かって突出する突出部を含む、半導体装置。
【請求項2】
前記絶縁膜は、前記トレンチの底壁を選択的に露出させるコンタクト孔を有し、
前記埋め込み電極は、前記コンタクト孔を介して前記半導体チップに接続されたコンタクト部を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体チップは、前記コンタクト孔に連続する凹部を有し、
前記コンタクト部は、前記コンタクト孔を介して前記凹部内に形成されている、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記コンタクト部は、前記トレンチの底壁に沿う底部と、前記底部から上方に延び、前記絶縁膜と前記トレンチの底壁との境界部を横切る側部とを含む、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記コンタクト部の側部は、断面視において湾曲形状を有している、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記トレンチの深さ方向に交差する方向における前記絶縁膜の厚さは、2μm以上6μm以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記絶縁膜は、相対的に高い緻密性を有する第1膜部と、前記第1膜部よりも緻密性が低い第2膜部とを含み、
前記トレンチの深さ方向に交差する方向において、前記埋め込み電極から前記トレンチの側壁に向かって順に、それぞれが前記トレンチの深さ方向に延びる前記第2膜部、前記第1膜部、前記第2膜部および前記第1膜部が形成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
少なくとも、前記トレンチの側壁および底壁は、前記絶縁膜の前記第1膜部に被覆されている、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記突出部は、前記トレンチの底壁を被覆する前記第1膜部の内部に突出して形成されている、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記トレンチは、前記素子領域を取り囲む環状トレンチを含み、
前記絶縁膜は、平面視において、前記環状トレンチの周方向に沿って前記環状トレンチの側壁に形成された環状部分を有し、
前記突出部は、平面視において、前記絶縁膜の前記環状部分の周方向に沿って、前記環状部分に重なるように形成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
一方側の第1主面および他方側の第2主面を有し、前記第1主面に沿って延びるpn接合部が内部に形成された半導体層を選択的にエッチングすることによって、前記pn接合部を貫通し、前記半導体層に素子領域を区画するトレンチを形成し、かつ、前記半導体層の一部を利用して前記トレンチの底壁に立設され、前記トレンチの側壁に対して空間を挟んで対向する半導体壁部を形成する第1工程と、
熱酸化によって、前記トレンチの側壁および底壁に沿って第1絶縁膜を形成し、かつ、前記半導体壁部を前記熱酸化によって絶縁体に変質させ、前記トレンチの側壁上の前記第1絶縁膜に対して前記空間を挟んで対向する絶縁体壁部を形成する第2工程と、
前記トレンチに絶縁材料を堆積することによって、前記空間を埋め戻す埋め込み絶縁膜と、前記空間の反対側において前記絶縁体壁部の側壁および前記トレンチの底壁に沿う第2絶縁膜とを形成することによって、前記トレンチの側壁上の前記第1絶縁膜、前記埋め込み絶縁膜、前記絶縁体壁部および前記第2絶縁膜を含む側壁絶縁膜と、前記トレンチの底壁上の前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜を含む底壁絶縁膜とを形成する第3工程と、
前記トレンチ内に導電材料を堆積することによって、前記トレンチを埋め戻す埋め込み電極を形成する第4工程とを含む、半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第2工程は、前記トレンチの深さ方向において、前記半導体壁部の下部が部分的に絶縁体に変質しないことによって、前記絶縁体壁部の下端から前記絶縁体壁部の内部上方に向かって突出する突出部を形成する工程を含む、請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記半導体壁部の厚さは、1μm以下である、請求項11または12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
一方側の第1主面および他方側の第2主面を有し、前記第1主面に沿って延びるpn接合部が内部に形成された半導体層を選択的にエッチングすることによって、互いに同心円状に配置され、前記pn接合部を貫通する少なくとも3つの環状トレンチであって、メイントレンチと、前記メイントレンチの内側および外側に配置され、前記メイントレンチよりも狭い幅を有する複数のサブトレンチとを含み、前記半導体層に素子領域を区画するトレンチ群を形成する第1工程と、
熱酸化によって、前記トレンチ群に属する前記各環状トレンチの側壁および底壁に沿って第1絶縁膜を形成し、かつ、隣り合う前記環状トレンチで挟まれた前記半導体層の部分を前記熱酸化によって絶縁体に変質させ、隣り合う前記環状トレンチの間の境界を形成する境界絶縁膜を形成する第2工程と、
前記第2工程後の前記トレンチ群に絶縁材料を堆積することによって、前記サブトレンチを埋め戻す埋め込み絶縁膜と、前記メイントレンチの内面に沿う第2絶縁膜とを形成することによって、前記メイントレンチの内側および外側のそれぞれに、前記第2絶縁膜、前記境界絶縁膜、前記埋め込み絶縁膜および前記第1絶縁膜を含む側壁絶縁膜を形成し、かつ前記メイントレンチの底壁に、前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜を含む底壁絶縁膜を形成する第3工程と、
前記メイントレンチ内の前記底壁絶縁膜を選択的に除去することによって、前記メイントレンチの底壁に前記半導体層の一部を露出させるコンタクト孔を形成する第4工程と、
前記メイントレンチ内に導電材料を堆積することによって、前記メイントレンチを埋め戻し、前記コンタクト孔を介して前記半導体層に接続される埋め込み電極を形成する第5工程とを含む、半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記第2工程は、前記トレンチ群の深さ方向において、隣り合う前記環状トレンチで挟まれた前記半導体層の下部が部分的に絶縁体に変質しないことによって、前記境界絶縁膜の下端から前記境界絶縁膜の内部上方に向かって突出する突出部を形成する工程を含む、請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記第1工程は、前記メイントレンチの内側および外側に、互いに同数の前記サブトレンチを形成する工程を含む、請求項14または15に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記第1工程は、前記メイントレンチの内側および外側のそれぞれに、複数の前記サブトレンチを形成する工程を含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記メイントレンチの幅は、2.5μm以上3μm以下であり、
前記サブトレンチの幅は、1μm以上1.5μm以下である、請求項14~17のいずれか一項に記載半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記トレンチ群の深さ方向に交差する方向における前記境界絶縁膜の厚さは、1μm以下である、請求項14~18のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記第3工程は、TEOSガスを用いたCVD法によって前記絶縁材料を堆積する工程を含む、請求項11~19のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、p型領域、第1のpエピタキシャル領域、n型埋め込み領域、第2のpエピタキシャル領域、および、DTI構造(deep trench isolation structure)を含む半導体装置を開示している。第1のp型エピタキシャル層は、p型領域の上に形成されている。n型埋め込み領域は、第1のpエピタキシャル領域の上に形成されている。第2のpエピタキシャル領域は、n型埋め込み領域の上に形成されている。DTI構造は、平面視において高耐圧横型MOSトランジスタの形成領域を取り囲んでいる。DTI構造は、p型領域に達するように、第2のpエピタキシャル領域、n型埋め込み領域および第1のpエピタキシャル領域を貫通している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-122543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一実施形態に係る半導体装置の目的は、製造効率の向上と耐圧の向上との両立を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態に係る半導体装置は、一方側の第1主面および他方側の第2主面を有する半導体チップと、前記第1主面に沿って延び、かつ前記半導体チップの内部に形成されたpn接合部と、前記第1主面から前記pn接合部を貫通し、前記半導体チップに素子領域を区画するトレンチと、前記トレンチの側壁および底壁を被覆する絶縁膜と、前記絶縁膜を介して前記トレンチに埋め込まれた埋め込み電極とを含み、前記トレンチの底壁は、前記トレンチの深さ方向において、前記絶縁膜の下端から前記絶縁膜の内部上方に向かって突出する突出部を含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一実施形態に係る半導体装置によれば、製造効率の向上と耐圧の向上との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る半導体装置の模式的な平面図である。
図2図2は、図1の二点鎖線IIで囲まれた領域の拡大図である。
図3図3は、図2のIII-III線に沿う断面を示す図である。
図4図4は、図3の二点鎖線IVで囲まれた領域の拡大図であって、素子分離構造の第1形態を示している。
図5図5は、図3の二点鎖線IVで囲まれた領域の拡大図であって、素子分離構造の第2形態を示している。
図6A図6Aは、図4の二点鎖線VIで囲まれた領域の拡大図であって、コンタクト部の第1形態を示している。
図6B図6Bは、図4の二点鎖線VIで囲まれた領域の拡大図であって、コンタクト部の第2形態を示している。
図6C図6Cは、図4の二点鎖線VIで囲まれた領域の拡大図であって、コンタクト部の第3形態を示している。
図7図7は、前記半導体装置の製造工程のフローを示す図である。
図8A図8Aは、前記半導体装置の製造工程の一部を示す模式的な平面図である。
図8B図8Bは、前記半導体装置の製造工程の一部を示す模式的な断面図である。
図9A図9Aは、図8Aの次の工程を示す図である。
図9B図9Bは、図8Bの次の工程を示す図である。
図10A図10Aは、図9Aの次の工程を示す図である。
図10B図10Bは、図9Bの次の工程を示す図である。
図11A図11Aは、図10Aの次の工程を示す図である。
図11B図11Bは、図10Bの次の工程を示す図である。
図12A図12Aは、図11Aの次の工程を示す図である。
図12B図12Bは、図11Bの次の工程を示す図である。
図13A図13Aは、前記半導体装置の製造工程の変形例を示す図である。
図13B図13Bは、図13Aの次の工程を示す図である。
図14図14は、素子分離構造の側壁絶縁膜の厚さと耐圧の大きさとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本開示の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。添付図面中の各構成要素は、必ずしも厳密に示されたものではなく、模式的に示されたものであり、図面間の縮尺等が必ずしも一致しない。
図1は、本開示の一実施形態に係る半導体装置1の模式的な平面図である。図2は、図1の二点鎖線IIで囲まれた領域の拡大図である。図3は、図2のIII-III線に沿う断面を示す図である。
【0009】
半導体装置1は、直方体形状の半導体チップ2を含む。半導体チップ2は、この実施形態では、Si(シリコン)チップからなる。半導体チップ2は、一方側の第1主面3、他方側の第2主面4、ならびに、第1主面3および第2主面4を接続する第1~第4側面5A~5Dを有している。
第1主面3および第2主面4は、それらの法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状に形成されている。法線方向Zは、半導体チップ2の厚さ方向でもある。第1側面5Aおよび第2側面5Bは、第1主面3に沿う第1方向Xに延び、第1方向Xに交差(具体的には直交)する第2方向Yに対向している。第3側面5Cおよび第4側面5Dは、第2方向Yに延び、第1方向Xに対向している。
【0010】
半導体装置1は、半導体チップ2内に形成されたp型の第1層6、p型またはn型の第2層7、およびn型の第3層8を含む。第1層6は、「ベース層」と称してもよい。第2層7は、「デバイス形成層」と称してもよい。第3層8は、「埋め込み層」と称してもよい。第1層6、第2層7および第3層8は、半導体チップ2の構成要素とみなされてもよい。
【0011】
第1層6は、半導体チップ2内において第2主面4側の領域に形成され、第2主面4および第1~第4側面5A~5Dの一部を形成している。第1層6は、第1主面3側のp型不純物濃度が第2主面4側のp型不純物濃度よりも低い濃度勾配を有していてもよい。第1層6は、具体的には、第2主面4側からこの順に積層された高濃度層6aおよび低濃度層6bを含む積層構造を有していてもよい。
【0012】
高濃度層6aは、比較的高いp型不純物濃度を有している。高濃度層6aのp型不純物濃度は、1×1016cm-3以上1×1020cm-3以下であってもよい。高濃度層6aは、100μm以上100μm以下の厚さを有していてもよい。高濃度層6aは、この実施形態では、p型の半導体基板(Si基板)からなる。低濃度層6bは、高濃度層6aよりも低いp型不純物濃度を有し、高濃度層6aの上に積層されている。低濃度層6bのp型不純物濃度は、1×1014cm-3以上1×1017cm-3以下であってもよい。低濃度層6bは、高濃度層6aの厚さ未満の厚さを有している。低濃度層6bの厚さは、0.5μm以上20μm以下であってもよい。低濃度層6bは、この実施形態では、p型のエピタキシャル層(Siエピタキシャル層)からなる。
【0013】
第2層7は、半導体チップ2内において第1主面3側の領域に形成され、第1主面3および第1~第4側面5A~5Dの一部を形成している。第2層7の導電型(n型またはp型)は任意であり、半導体装置1の仕様に応じて選択される。この実施形態では、第2層7がn型の導電型を有している例について説明するが、第2層7の導電型をn型に限定する趣旨ではない。
【0014】
第2層7は、厚さ方向に関して一様なn型不純物濃度を有していてもよいし、第1主面3に向かって上昇するn型不純物濃度勾配を有していてもよい。第2層7のn型不純物濃度は、1×1014cm-3以上1×1017cm-3以下であってもよい。第2層7は、0.5μm以上20μm以下の厚さを有していてもよい。第2層7は、この実施形態では、n型のエピタキシャル層(Siエピタキシャル層)からなる。
【0015】
第3層8は、半導体チップ2内において第1層6および第2層7の間の領域に介在され、半導体チップ2の第1~第4側面5A~5Dの一部を形成している。第3層8は、第1層6との境界部においてpn接合部Jを形成している。つまり、半導体チップ2内には、第1主面3および第2主面4の間の厚さ方向の途中部において、第1主面3に沿う水平方向(厚さ方向の直交方向)に延びるpn接合部J(a pn-junction portion)が形成されている。pn接合部Jは、「pn接続部(a pn-connection portion)」または「pn境界部(a pn-boundary portion)」と称してもよい。
【0016】
第3層8は、第2層7よりも高いn型不純物濃度を有している。第3層8は、具体的には、第1主面3側のn型不純物濃度が第2主面4側のn型不純物濃度よりも高い濃度勾配を有していてもよい。第3層8は、さらに具体的には、第1層6側からこの順に積層された低濃度埋め込み層8aおよび高濃度埋め込み層8bを含む積層構造を有していてもよい。
【0017】
低濃度埋め込み層8aは、比較的低いn型不純物濃度を有し、第1層6の低濃度層6bの上に積層されている。低濃度埋め込み層8aは、低濃度層6bとの間でpn接合部Jを形成している。低濃度埋め込み層8aは、第2層7よりも低いn型不純物濃度を有していてもよいし、第2層7よりも高いn型不純物濃度を有していてもよい。低濃度埋め込み層8aのn型不純物濃度は、1×1014cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。低濃度埋め込み層8aは、0.1μm以上5μm以下の厚さを有していてもよい。低濃度埋め込み層8aは、この実施形態では、n型のエピタキシャル層(Siエピタキシャル層)からなる。
【0018】
高濃度埋め込み層8bは、低濃度埋め込み層8aよりも高いn型不純物濃度を有し、低濃度埋め込み層8aの上に積層されている。高濃度埋め込み層8bは、第2層7よりも高いn型不純物濃度を有していることが好ましい。高濃度埋め込み層8bのn型不純物濃度は、1×1016cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。高濃度埋め込み層8bは、0.1μm以上5μm以下の厚さを有していてもよい。高濃度埋め込み層8bは、この実施形態では、n型のエピタキシャル層(Siエピタキシャル層)からなる。
【0019】
半導体装置1は、第1主面3(第2層7)に設けられた複数の素子領域9を含む。複数の素子領域9は、種々の機能素子がそれぞれ形成された領域である。複数の素子領域9は、平面視において第1~第4側面5A~5Dから間隔を空けて第1主面3の内方部にそれぞれ区画されている。素子領域9の個数、配置および形状は任意であり、特定の個数、配置および形状に限定されない。
【0020】
複数の機能素子は、半導体スイッチング素子、半導体整流素子および受動素子のうちの少なくとも1つをそれぞれ含んでいてもよい。半導体スイッチング素子は、JFET(Junction Field Effect Transistor:接合型トランジスタ)、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor:絶縁ゲート型の電界効果トランジスタ)、BJT(Bipolar Junction Transistor:バイポーラトランジスタ)、および、IGBT(Insulated Gate Bipolar Junction Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0021】
半導体整流素子は、pn接合ダイオード、pin接合ダイオード、ツェナーダイオード、ショットキーバリアダイオードおよびファストリカバリーダイオードのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。受動素子は、抵抗、コンデンサ、インダクタおよびヒューズのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。複数の素子領域9は、この実施形態では、少なくとも1つのトランジスタ領域9Aを含む。以下、トランジスタ領域9A側の構造が具体的に説明される。
【0022】
半導体装置1は、第1主面3においてトランジスタ領域9Aを区画する素子分離構造10を含む。素子分離構造10は、平面視において所定形状のトランジスタ領域9Aを区画している。素子分離構造10は、「トレンチ電極構造」と称してもよい。
図2を参照して、素子分離構造10は、平面視においてトランジスタ領域9Aに沿って延びる帯状に形成されている。素子分離構造10は、この実施形態では、平面視において環状(この実施形態では四角環状)に形成され、所定形状(この実施形態では四角形状)のトランジスタ領域9Aを区画している。素子分離構造10の四隅は、この実施形態では、平面視においてトランジスタ領域9Aから遠ざかる方向に湾曲するラウンド形状を有している。素子分離構造10の平面形状(トランジスタ領域9Aの平面形状)は任意である。素子分離構造10は、平面視において多角環状、円形環状または楕円環状に形成され、平面視において多角形状、円形形状または楕円形状のトランジスタ領域9Aを区画していてもよい。
【0023】
素子分離構造10は、トレンチ幅W1を有している。トレンチ幅W1は、平面視において素子分離構造10が延びる方向に直交する方向の幅である。トレンチ幅W1は、0.5μm以上10μm以下であってもよい。トレンチ幅W1は、2μm以上4μm以下であることが好ましい。
図3を参照して、素子分離構造10は、pn接合部Jを貫通するように第1主面3に形成され、第1主面3にトランジスタ領域9Aを区画している。素子分離構造10は、具体的には、第1層6に至るように第2層7および第3層8を貫通し、第2層7においてトランジスタ領域9Aを区画している。素子分離構造10は、この実施形態では、第1層6の高濃度層6aに至るように第1主面3から第2主面4側に向けて延び、第2層7、第3層8および第1層6の低濃度層6bを貫通している。
【0024】
素子分離構造10は、トランジスタ領域9A側の内周壁、内周壁の反対側(半導体チップ2の周縁側)の外周壁、ならびに、内周壁および外周壁を接続する底壁を含む。素子分離構造10は、底壁において半導体チップ2に電気的に接続され、側壁(内周壁および外周壁)において半導体チップ2から電気的に絶縁されている。つまり、素子分離構造10は、半導体チップ2に電気的に接続された下端部を有している。素子分離構造10は、具体的には、第1層6に電気的に接続され、第2層7および第3層8から電気的に絶縁されている。つまり、素子分離構造10は、第1層6と同電位に固定されている。
【0025】
素子分離構造10は、トレンチ13、トレンチ絶縁膜14およびトレンチ電極15を含む。
図2を参照して、トレンチ13は、平面視において環状に形成されている。トレンチ13の幅は、前述のトレンチ幅W1であってもよい。図3を参照して、トレンチ13は、pn接合部Jを貫通するように、半導体チップ2の第1主面3側に形成されている。トレンチ13は、具体的には、第1層6に至るように第2層7および第3層8を貫通している。トレンチ13は、この実施形態では、第1層6の高濃度層6aに至るように第1主面3から第2主面4側に向けて延び、第2層7、第3層8および第1層6の低濃度層6bを貫通している。
【0026】
トレンチ13は、トランジスタ領域9A側の内周壁16、内周壁16の反対側(半導体チップ2の周縁側)の外周壁17、ならびに、内周壁16および外周壁17を接続する底壁18を含む。内周壁16および外周壁17は、それぞれ、「内側壁」および「外側壁」と称してもよいし、「第1側壁」および「第2側壁」と称してもよい。
トレンチ絶縁膜14は、トレンチ13の底壁18から半導体チップ2を露出させるようにトレンチ13の内周壁16および外周壁17を被覆している。トレンチ絶縁膜14は、具体的には、トレンチ13の底壁18から第1層6を露出させている。トレンチ絶縁膜14は、この実施形態では、トレンチ13の底壁18から第1層6の高濃度層6aを露出させている。トレンチ絶縁膜14は、トレンチ13の内周壁16の全域および外周壁17の全域を被覆していることが好ましい。トレンチ絶縁膜14は、酸化シリコン膜を含んでいてもよい。トレンチ絶縁膜14は、半導体チップ2の酸化物からなる酸化シリコン膜を含むことが好ましい。
【0027】
トレンチ電極15は、トレンチ絶縁膜14を挟んでトレンチ13に埋め込まれ、トレンチ13の底壁18において半導体チップ2に電気的に接続されている。トレンチ電極15は、具体的には、第1層6に電気的に接続され、第2層7および第3層8から電気的に絶縁されている。トレンチ電極15は、導電性ポリシリコンを含むことが好ましい。トレンチ電極15は、第1層6と同じ導電型(この実施形態ではp型)からなる導電性ポリシリコンを含むことが好ましい。トレンチ電極15のp型不純物は、ホウ素であることが好ましい。
【0028】
半導体装置1は、半導体チップ2内においてトレンチ13の底壁18に沿う領域に形成されたp型の不純物領域22を含む。不純物領域22は、トレンチ13の底壁18を被覆するように第1層6に形成されている。不純物領域22は、第1層6よりも高いp型不純物濃度を有している。不純物領域22は、具体的には、第1層6において高濃度層6a内に形成され、高濃度層6aよりも高いp型不純物濃度を有している。
【0029】
この実施形態では、トレンチ電極15が第1層6に対するp型不純物の供給源として形成され、不純物領域22は第1層6のp型不純物およびトレンチ電極15のp型不純物を含む。不純物領域22は、トレンチ13の内周壁16および外周壁17も被覆している。不純物領域22は、第1層6の低濃度層6bから間隔を空けて第1層6の高濃度層6a内に形成されていることが好ましい。
【0030】
図3を参照して、半導体装置1は、トランジスタ領域9Aに形成された機能素子の一例としてのプレーナゲート型のMISFET30を含む。図2では、MISFET30の図示が省略されている。MISFET30は、ドレインソース間に印加されるドレインソース電圧の大きさに応じて、HV(high voltage)-MISFET(たとえば100V以上1000V以下)、MV(middle voltage)-MISFET(たとえば30V以上100V以下)およびLV(low voltage)-MISFET(たとえば1V以上30V以下)のうちのいずれか一つの形態を採り得る。この実施形態では、MISFET30がHV-MISFETからなる例について説明するが、MISFET30の形態をHV-MISFETに限定する趣旨ではない。
【0031】
MISFET30は、トランジスタ領域9Aに形成された少なくとも1つのMISFETセルによって構成されている。MISFETセルは、この実施形態では、断面視において、少なくとも1つ(この実施形態では1つ)のn型の第1ウェル領域31、少なくとも1つ(この実施形態では複数)のp型の第2ウェル領域32、少なくとも1つ(この実施形態では複数)のn型のドレイン領域33、少なくとも1つ(この実施形態では複数)のn型のソース領域34、少なくとも1つ(この実施形態では複数)のp型のチャネル領域35、少なくとも1つ(この実施形態では複数)のp型のコンタクト領域36、複数のシャロートレンチ構造37、および、少なくとも1つ(この実施形態では複数)のプレーナゲート構造38を含む。シャロートレンチ構造37は、「STI(shallow trench isolation)構造」と称してもよい。
【0032】
第1ウェル領域31は、トランジスタ領域9Aにおいて第2層7の表層部に形成されている。第1ウェル領域31は、第2層7よりも高いn型不純物濃度を有している。複数の第2ウェル領域32は、トランジスタ領域9Aにおいて第1ウェル領域31から間隔を空けて第2層7の表層部に形成されている。一方の第2ウェル領域32は第1ウェル領域31から第1方向Xの一方側に間隔を空けて形成され、他方の第2ウェル領域32は第1ウェル領域31から第1方向Xの他方側に間隔を空けて形成されている。
【0033】
ドレイン領域33は、第1ウェル領域31の周縁から内方に間隔を空けて第1ウェル領域31の表層部に形成されている。複数のソース領域34は、対応する第2ウェル領域32の周縁から内方に間隔を空けて対応する第2ウェル領域32の表層部にそれぞれ形成されている。複数のチャネル領域35は、対応する第2ウェル領域32の表層部において第2層7および対応するソース領域34の間にそれぞれ形成される。複数のコンタクト領域36は、対応する第2ウェル領域32の周縁から内方に間隔を空けて対応する第2ウェル領域32の表層部にそれぞれ形成されている。複数のコンタクト領域36は、対応するソース領域34に隣り合っている。
【0034】
複数のシャロートレンチ構造37は、第2層7の厚さ方向に関して第3層8から間隔を空けて第2層7にそれぞれ形成されている。複数のシャロートレンチ構造37は、第1ウェル領域31の底部および第2ウェル領域32の底部から第1主面3側に間隔を空けた深さ位置に形成されていることが好ましい。複数のシャロートレンチ構造37は、ドレイン領域33の周縁に沿って形成され、ドレイン領域33を他の領域から区画している。
【0035】
複数のシャロートレンチ構造37は、複数の第2ウェル領域32の外縁(素子分離構造10側の周縁)に沿って形成され、複数の第2ウェル領域32を他の領域から区画している。複数のシャロートレンチ構造37は、シャロートレンチ39および埋め込み絶縁体40をそれぞれ含む。各シャロートレンチ39は、第1主面3に形成されている。各埋め込み絶縁体40は、シャロートレンチ39に埋め込まれている。
【0036】
複数のプレーナゲート構造38は、対応するチャネル領域35を被覆するように第2層7(第1主面3)の上にそれぞれ形成され、対応するチャネル領域35のオンオフを制御する。複数のプレーナゲート構造38は、この実施形態では、第1ウェル領域31および対応するソース領域34に跨るようにそれぞれ形成されている。複数のプレーナゲート構造38は、ドレイン領域33を区画するシャロートレンチ構造37の一部を被覆していてもよい。
【0037】
複数のプレーナゲート構造38は、第2層7側からこの順に積層されたゲート絶縁膜41およびゲート電極42を含む。ゲート絶縁膜41は、酸化シリコン膜を含んでいてもよい。ゲート絶縁膜41は、半導体チップ2の酸化物からなる酸化シリコン膜を含むことが好ましい。ゲート電極42は、導電性ポリシリコンを含むことが好ましい。ゲート電極42は、第1層6と同じ導電型(つまりp型)からなる導電性ポリシリコンを含むことが好ましい。ゲート電極42のp型不純物は、ホウ素であることが好ましい。むろん、ゲート電極42は、n型の導電型を有していてもよい。
【0038】
図4は、図3の二点鎖線IVで囲まれた領域の拡大図であって、素子分離構造10の第1形態を示している。図5は、図3の二点鎖線IVで囲まれた領域の拡大図であって、素子分離構造10の第2形態を示している。図6A図6Cは、図4の二点鎖線VIで囲まれた領域の拡大図であって、それぞれ、コンタクト部12の第1~第3形態を示している。次に、素子分離構造10の構造について、より詳細に説明する。
【0039】
前述のように、素子分離構造10は、トレンチ13、トレンチ絶縁膜14およびトレンチ電極15を含む。
トレンチ絶縁膜14は、トレンチ13の内周壁16および外周壁17を被覆している。一方、トレンチ絶縁膜14は、トレンチ13の底壁18から半導体チップ2を露出させている。トレンチ絶縁膜14は、トレンチ13の深さ方向において、内周壁16および外周壁17のそれぞれに沿って形成された一対の側壁絶縁膜19と称してもよい。側壁絶縁膜19は、内周壁16および外周壁17にほぼ平行な第1面191および第2面192を有していてもよい。側壁絶縁膜19の第2面192が内周壁16および外周壁17に接する面であり、第1面191がその反対側の面であってもよい。
【0040】
側壁絶縁膜19の厚さT1は、たとえば、2μm以上6μm以下であってもよい。厚さT1は、トレンチ13の深さ方向に交差する方向における厚さと定義してもよい。
また、一対の側壁絶縁膜19は、内周壁16側の第1側壁絶縁膜19Aと、外周壁17側の第2側壁絶縁膜19Bと区別されていてもよい。たとえば、図2を参照して、第1側壁絶縁膜19Aおよび第2側壁絶縁膜19Bは、グレーで塗りつぶされた領域で示されている。第1側壁絶縁膜19Aは、平面視において、環状のトレンチ13の周方向に沿って内周壁16に形成されている。第2側壁絶縁膜19Bは、平面視において、環状のトレンチ13の周方向に沿って外周壁17に形成されている。第1側壁絶縁膜19Aおよび第2側壁絶縁膜19Bは、互いに同心円状に形成されている。第2側壁絶縁膜19Bは、第1側壁絶縁膜19Aを取り囲んでいる。
【0041】
トレンチ13は、図4および図5に示すように、断面視において底壁18に向かって狭まる開口幅を有する先細り形状に形成されていてもよい。トレンチ13は、図示しないが、断面視においてほぼ一定の開口幅を有する垂直形状に形成されていてもよい。トレンチ13の底壁18は、図4および図5に示すように、トレンチ13の深さ方向に膨出する湾曲形状に形成されていてもよい。トレンチ13の底壁18は、図示しないが、第1主面3に平行な平坦面を有していてもよい。
【0042】
トレンチ13の底壁18は、トレンチ13の深さ方向において、側壁絶縁膜19の下端から側壁絶縁膜19の内部上方に向かって突出する突出部20を含んでいてもよい。突出部20は、第1側壁絶縁膜19Aおよび第2側壁絶縁膜19Bのそれぞれの下端部に対して嵌め込まれている。これにより、第1側壁絶縁膜19Aおよび第2側壁絶縁膜19Bの各下端部には、突出部20の形状に対応する凹部21が形成されている。図2を参照して、平面視において突出部20は、環状の第1側壁絶縁膜19Aおよび第2側壁絶縁膜19Bの周方向に沿って、第1側壁絶縁膜19Aおよび第2側壁絶縁膜19Bに重なるように環状に形成されている。突出部20は、平面視において、第1側壁絶縁膜19Aおよび第2側壁絶縁膜19Bの全周にわたって連続しているので、「環状の凸条部」と称してもよい。したがって、突出部20の形状に対応する凹部21は、「環状の凹条部」と称してもよい。
【0043】
図5を参照して、トレンチ絶縁膜14は、相対的に高い緻密性を有する第1膜部141と、第1膜部141よりも緻密性が低い第2膜部142とを含んでいてもよい。第1膜部141と第2膜部142との間には、図5に示すように明確に定義できる膜界面が存在していてもよいし、存在していなくてもよい。膜の緻密性は、たとえば、共通のエッチングガスまたはエッチング液で第1膜部141および第2膜部142をエッチングし、そのときのエッチングレートの差に基づいて比較することができる。たとえば、共通のエッチングガスまたはエッチング液で第1膜部141および第2膜部142をエッチングしたときに、相対的に高い緻密性を有する第1膜部141のエッチングレートが、第2膜部142のエッチングレートよりも遅くてもよい。なお、トレンチ絶縁膜14が酸化シリコンからなる場合、共通のエッチングガスとして、フッ酸(HF)を使用することができる。
【0044】
この実施形態では、トレンチ13の深さ方向に交差する方向において、トレンチ電極15からトレンチ13の内周壁16および外周壁17に向かって順に、第2膜部142、第1膜部141、第2膜部142および第1膜部141が形成されている。各第1膜部141および各第2膜部142は、トレンチ13の深さ方向に延びている。
少なくともトレンチ13の内周壁16および外周壁17、ならびに底壁18は、第1膜部141で被覆されている。したがって、トレンチ13の底壁18の突出部20は、第1膜部141の内部に突出している。トレンチ絶縁膜14では、底壁18を被覆するベース膜部144としての第1膜部141から、トレンチ13の開口端の方向へ向かって(上方へ向かって)第2膜部142、第1膜部141、第2膜部142および第1膜部141が延びていてもよい。一方、トレンチ電極15の側面は、下部が第1膜部141(ベース膜部144)で被覆され、下部を除く部分が第2膜部142で被覆されていてもよい。トレンチ電極15は、トレンチ13の深さ方向において、底壁18を被覆する第1膜部141と第2膜部142との境界部143を横切っていてもよい。
【0045】
図6A図6Bを参照して、一対の側壁絶縁膜19で挟まれた領域であって、トレンチ13の底壁18が露出する領域は、トレンチ絶縁膜14のコンタクト孔11であってもよい。トレンチ電極15は、コンタクト孔11を介して半導体チップ2に接続されたコンタクト部12を含んでいてもよい。この実施形態では、トレンチ13の底壁18は、コンタクト孔11に連続する凹部23を有している。コンタクト孔11の側面111と凹部23の側面231とは互いに面一に連続している。トレンチ電極15のコンタクト部12は、コンタクト孔11を介して凹部23内に形成されている。
【0046】
この実施形態では、トレンチ電極15のコンタクト部12は、トレンチ13の底壁18に沿う底部121と、底部121から上方に延び、トレンチ絶縁膜14とトレンチ13の底壁18との境界部24を横切る側部122とを含んでいる。コンタクト部12の底部121は、断面視において平坦形状を有していてもよい。コンタクト部12の側部122は、断面視において、図6Aに示すような平坦形状を有していてもよいし、図6Bおよび図6Cに示すような湾曲形状を有していてもよい。コンタクト部12の側部122は、図6Bに示すように、トレンチ13に対して外側に膨出するように凸状に湾曲していてもよいし、図6Cに示すように、トレンチ13に対して内側に膨出するように凹状に湾曲していてもよい。
【0047】
図7は、半導体装置1の製造工程のフローを示す図である。図8A,8B~図12A,12Bは、半導体装置1の製造工程の一部を工程順に示す模式図である。図8A,8B~図12A,12Bにおいて、図番に「A」が付された図が平面図であり、図番に「B」が付された図が断面図である。なお、図7および図8A,8B~図12A,12Bでは、不純物領域22の形成工程など、一部の工程を省略して示している。
【0048】
半導体装置1を製造するには、図7図8Aおよび図8Bを参照して、半導体チップ2の元となるp型の半導体ウエハ25(高濃度層6a)が準備され、半導体ウエハ25上にp型のエピタキシャル層(低濃度層6b)が形成される(ステップS1)。次の工程は、埋め込み層(第3層8)の形成である(ステップS2)。たとえば、低濃度層6bの表面部に、n型不純物(たとえば、リン)が注入される。次に、n型不純物を導入しながら、低濃度層6b上にシリコンをエピタキシャル成長させることによって、第1層6上に第2層7が形成される。その後、アニール処理をすることによって、低濃度層6bの表面部に注入されたn型不純物が半導体ウエハ25の厚さ方向両側に拡散する。これにより、第1層6と第2層7との間に第3層8(埋め込み層)が形成される。得られた半導体ウエハ25は、前述の第1主面3および第2主面4を有している。
【0049】
次に、半導体ウエハ25の第1主面3にハードマスク26が形成される(ステップS3)。ハードマスク26は、後述するメイントレンチ27およびサブトレンチ28の形状にそれぞれ対応する第1開口43および第2開口44を有している。次に、ハードマスク26を介して半導体ウエハ25をエッチングすることによって、半導体ウエハ25にディープトレンチ29が形成される(ステップS4)。ディープトレンチ29は、第2層7、第3層8およびpn接合部Jを貫通し、第1層6に至るように形成される。ディープトレンチ29によって、半導体ウエハ25に素子領域9が区画される。
【0050】
ここで、ディープトレンチ29は、互いに同心円状に配置され、かつ互いに物理的に分離された少なくとも3つの環状のディープトレンチ29を含む。具体的には、ディープトレンチ29は、メイントレンチ27と、メイントレンチ27の内側および外側に配置され、メイントレンチ27よりも狭い幅を有する複数のサブトレンチ28とを含むトレンチ群45であってもよい。この実施形態では、メイントレンチ27の内側および外側の両側に同数(図8Aおよび図8Bでは、1つずつ)のサブトレンチ28が形成されている。サブトレンチ28は、メイントレンチ27に対して素子領域9側(内側)に配置され、メイントレンチ27に取り囲まれた内側サブトレンチ28Aと、メイントレンチ27に対して素子領域9の反対側(外側)に配置され、メイントレンチ27を取り囲む外側サブトレンチ28Bとを含んでいてもよい。内側サブトレンチ28Aおよび外側サブトレンチ28Bは、それぞれ、「第1サブトレンチ」および「第2サブトレンチ」と称してもよい。
【0051】
メイントレンチ27の幅W2は、たとえば、2.5μm以上3μm以下であり、サブトレンチ28の幅W3は、たとえば、1μm以上1.5μm以下であってもよい。
トレンチ群45において、複数のディープトレンチ29が互いに物理的に分離された環状であるため、隣り合うディープトレンチ29の間には、半導体ウエハ25の一部を利用して形成された半導体壁部46が形成されている。図8Aを参照して、各半導体壁部46は、平面視において、トレンチ群45の周方向に沿って帯状に形成されており、隣り合うディープトレンチ29の境界を形成する。図8Bを参照して、半導体壁部46は、たとえば、トレンチ群45に属するディープトレンチ29全体を1つの幅広なトレンチ47と定義し、当該トレンチ47の底壁48に立設された半導体壁部46であってもよい。半導体壁部46は、サブトレンチ28からなる空間を挟んで、トレンチ47の側壁49に対向している。半導体壁部46の厚さT2は、たとえば、1μm以下であることが好ましい。これにより、次の熱酸化工程において、半導体壁部46を絶縁体壁部51に容易に変質させることができる。
【0052】
次に、図9Aおよび図9Bを参照して、半導体ウエハ25が熱酸化処理される。これにより、トレンチ47の底壁48および側壁49に第1絶縁膜50が形成される(ステップS5)。第1絶縁膜50は、「熱酸化膜」、「ライナー酸化膜」と称してもよい。図9Aでは、第1絶縁膜50を比較的太い実線で示している。この熱酸化によって、半導体壁部46は、メイントレンチ27に面する側およびサブトレンチ28に面する側の両側から酸化されることによって絶縁体に変質し、絶縁体壁部51として形成される。絶縁体壁部51は、隣り合うディープトレンチ29の境界を形成する境界絶縁膜52と称してもよい。絶縁体壁部51(境界絶縁膜52)は、半導体壁部46が変質して形成されたものであるため、半導体壁部46と同じ厚さT2を有していてもよい。
【0053】
一方、この工程では、トレンチ47の深さ方向において、半導体壁部46の下部が部分的に絶縁体に変質しないことによって、絶縁体壁部51の下端から絶縁体壁部51の内部上方に向かって突出する突出部20が形成される。
次に、図10Aおよび図10Bを参照して、たとえばCVD法によって、半導体ウエハ25上に絶縁材料が堆積される。CVD法に使用されるガスは、たとえば、TEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)ガスであってもよい。絶縁材料は、サブトレンチ28を埋め戻し、かつメイントレンチ27の内面に沿って堆積する。これにより、サブトレンチ28に埋め込まれた埋め込み絶縁膜53が形成され、かつメイントレンチ27の内面に沿う第2絶縁膜54が形成される(ステップS6)。他の言い方では、第2絶縁膜54は、絶縁体壁部51の側壁およびトレンチ47の底壁48に形成される。メイントレンチ27には、第2絶縁膜54で囲まれた空間55が残存する。
【0054】
これにより、トレンチ47には、側壁49からトレンチ47の深さ方向に交差する方向に順に積層された第1絶縁膜50、埋め込み絶縁膜53、絶縁体壁部51および第2絶縁膜54を含む側壁絶縁膜56と、底壁48からトレンチ47の深さ方向に順に積層された第1絶縁膜50および第2絶縁膜54を含む底壁絶縁膜57とが形成される。この状態において、トレンチ47は、前述のトレンチ13に対応し、側壁絶縁膜56は、前述のトレンチ絶縁膜14に対応する。また、トレンチ47の側壁49は、前述の内周壁16および外周壁17に対応し、トレンチ47の底壁48は、前述の底壁18に対応する。
【0055】
次に、図11Aおよび図11Bを参照して、エッチングによって、メイントレンチ27の空間55に露出する底壁絶縁膜57が選択的に除去される。これにより、底壁18から半導体ウエハ25の一部を露出させるコンタクト孔11が形成される(ステップS7)。
次に、図12Aおよび図12Bを参照して、たとえばCVD法によって、半導体ウエハ25上に導電材料が堆積される。導電材料は、この実施形態では、ポリシリコンである。導電材料は、メイントレンチ27の空間55を埋め戻す。これにより、メイントレンチ27内にトレンチ電極15が形成される(ステップS8)。トレンチ電極15は、コンタクト孔11を介して半導体ウエハ25に接続される。その後、半導体ウエハ25の第1主面3上のハードマスク26および第2絶縁膜54が除去される。以上の工程を経て、素子分離構造10が形成される。
【0056】
次の工程は、素子領域9にMISFET30を形成する工程である。たとえば、素子領域9に第1ウェル領域31および第2ウェル領域32が形成され(ステップS9)、シャロートレンチ構造37が形成される(ステップS10)。その後、ドレイン領域33、ソース領域34などの素子構造が形成され(ステップS11)、プレーナゲート構造38が形成される。そして、半導体ウエハ25が各半導体チップ2のサイズに分割される。その後、必要により、半導体チップ2をリードフレームにボンディングし、封止樹脂で封止することによって、半導体装置1が得られる。
【0057】
以上の方法によれば、トレンチ13の側壁絶縁膜56の一部を構成する境界絶縁膜52(絶縁体壁部51)は、隣り合う環状のディープトレンチ29で挟まれた半導体壁部46が変質したものである。そのため、サブトレンチ28の数を増やして半導体壁部46を増やすことによって、トレンチ群45内の側壁絶縁膜56および底壁絶縁膜57のうち、側壁絶縁膜56を選択的に厚くすることができる。従って、側壁絶縁膜56の厚膜化に伴って、底壁絶縁膜57が同じように厚膜化されることを防止することができる。これにより、側壁絶縁膜56に比べて底壁絶縁膜57を薄く維持できるので、図11Aおよび図11Bの工程において底壁絶縁膜57にコンタクト孔11を形成するために要する時間を短縮することができる。よって、半導体装置1の製造効率を向上することができる。また、サブトレンチ28の増加数に応じて側壁絶縁膜56の厚さを制御できるので、所望の耐圧を容易に達成することができる。これにより、製造効率の向上と耐圧の向上との両立を図ることができる。
【0058】
また、トレンチ47の四隅が平面視ラウンド形状であるため、トレンチ47の幅を全周にわたって一定にすることができる。これにより、図10Aおよび図10Bの工程において、埋め込み絶縁膜53を均等に埋め込むことができる。
なお、図8A,8B~図12A,12Bの工程では、メイントレンチ27に対して素子領域9側(内側)およびその反対側(外側)のそれぞれに、1つずつのサブトレンチ28が形成されたが、図13Aに示すように、各側に複数のサブトレンチ28が形成されてもよい。これにより、メイントレンチ27の内側および外側の両側に複数の半導体壁部46が形成される。そのため、図13Bに示すように、各側の複数の半導体壁部46を熱酸化することによって複数の絶縁体壁部51(境界絶縁膜52)を形成することができる。その結果、図8A,8B~図12A,12Bの工程で形成される側壁絶縁膜56よりも厚い側壁絶縁膜56を形成することができる。
【0059】
図14は、素子分離構造10の側壁絶縁膜19の厚さと耐圧の大きさとの関係を示す図である。図14の横軸は、側壁絶縁膜19の厚さを示しており、横軸の右側ほど側壁絶縁膜19が厚いことを示している。図14の縦軸は、ソース-ドレイン間に逆方向電圧を印加したときの基板のブレークダウン電圧(BV Sub)の大きさを示しており、縦軸の上側ほどブレークダウン電圧が高く、耐圧が高いことを示している。図14を検証したところ、側壁絶縁膜19が厚くなればなるほど、耐圧も高くなる。したがって、前述の方法に倣って側壁絶縁膜19を厚く形成することによって、製造効率の低下を抑制しながら、半導体装置1の耐圧を向上することができる。
【0060】
本開示の実施形態について説明したが、本開示は他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、第1導電型がp型、第2導電型がn型である例について説明したが、第1導電型がn型、第2導電型がp型であってもよい。この場合の具体的な構成は、前述の説明および添付図面においてn型領域をp型領域に置き換え、p型領域をn型領域に置き換えることによって得られる。前述の各実施形態では、p型が「第1導電型」と表現され、n型が「第2導電型」と表現された例について説明したが、これらは説明の順序を明確にするために用いられており、p型が「第2導電型」と表現され、n型が「第1導電型」と表現されてもよい。
【0061】
以上、本開示の実施形態は、すべての点において例示であり限定的に解釈されるべきではなく、すべての点において変更が含まれることが意図される。
この明細書および図面の記載から以下に付記する特徴が抽出され得る。
[付記1-1]
一方側の第1主面(3)および他方側の第2主面(4)を有する半導体チップ(2)と、
前記第1主面(3)に沿って延び、かつ前記半導体チップ(2)の内部に形成されたpn接合部(J)と、
前記第1主面(3)から前記pn接合部(J)を貫通し、前記半導体チップ(2)に素子領域(9,9A)を区画するトレンチ(13)と、
前記トレンチ(13)の側壁(16,17)および底壁(18)を被覆する絶縁膜(14)と、
前記絶縁膜(14)を介して前記トレンチ(13)に埋め込まれた埋め込み電極(15)とを含み、
前記トレンチ(13)の底壁(18)は、前記トレンチ(13)の深さ方向において、前記絶縁膜(14)の下端から前記絶縁膜(14)の内部上方に向かって突出する突出部(20)を含む、半導体装置(1)。
[付記1-2]
前記絶縁膜(14)は、前記トレンチ(13)の底壁(18)を選択的に露出させるコンタクト孔(11)を有し、
前記埋め込み電極(15)は、前記コンタクト孔(11)を介して前記半導体チップ(2)に接続されたコンタクト部(12)を含む、付記1-1に記載の半導体装置(1)。
[付記1-3]
前記半導体チップ(2)は、前記コンタクト孔(11)に連続する凹部(21)を有し、
前記コンタクト部(12)は、前記コンタクト孔(11)を介して前記凹部(21)内に形成されている、付記1-2に記載の半導体装置(1)。
[付記1-4]
前記コンタクト部(12)は、前記トレンチ(13)の底壁(18)に沿う底部(121)と、前記底部(121)から上方に延び、前記絶縁膜(14)と前記トレンチ(13)の底壁(18)との境界部(24)を横切る側部(122)とを含む、付記1-3に記載の半導体装置(1)。
[付記1-5]
前記コンタクト部(12)の側部(122)は、断面視において湾曲形状を有している、付記1-4に記載の半導体装置(1)。
[付記1-6]
前記トレンチ(13)の深さ方向に交差する方向における前記絶縁膜(14)の厚さ(T1)は、2μm以上6μm以下である、付記1-1~付記1-5のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0062】
この構成によれば、絶縁膜(14)の厚さが2μm以上6μm以下であるため、耐圧を比較的高くすることができる。
[付記1-7]
前記絶縁膜(14)は、相対的に高い緻密性を有する第1膜部(141)と、前記第1膜部(141)よりも緻密性が低い第2膜部(142)とを含み、
前記トレンチ(13)の深さ方向に交差する方向において、前記埋め込み電極(15)から前記トレンチ(13)の側壁(16,17)に向かって順に、それぞれが前記トレンチ(13)の深さ方向に延びる前記第2膜部(142)、前記第1膜部(141)、前記第2膜部(142)および前記第1膜部(141)が形成されている、付記1-1~付記1-6のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記1-8]
少なくとも、前記トレンチ(13)の側壁(16,17)および底壁(18)は、前記絶縁膜(14)の前記第1膜部(141)に被覆されている、付記1-7に記載の半導体装置(1)。
[付記1-9]
前記突出部(20)は、前記トレンチ(13)の底壁(18)を被覆する前記第1膜部(141)の内部に突出して形成されている、付記1-8に記載の半導体装置(1)。
[付記1-10]
前記トレンチ(13)は、前記素子領域(9,9A)を取り囲む環状トレンチ(13)を含み、
前記絶縁膜(14)は、平面視において、前記環状トレンチ(13)の周方向に沿って前記環状トレンチ(13)の側壁(16,17)に形成された環状部分を有し、
前記突出部(20)は、平面視において、前記絶縁膜(14)の前記環状部分の周方向に沿って、前記環状部分に重なるように形成されている、付記1-1~付記1-9のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
[付記1-11]
一方側の第1主面(3)および他方側の第2主面(4)を有し、前記第1主面(3)に沿って延びるpn接合部(J)が内部に形成された半導体層(25)を選択的にエッチングすることによって、前記pn接合部(J)を貫通し、前記半導体層(25)に素子領域(9,9A)を区画するトレンチ(47)を形成し、かつ、前記半導体層(25)の一部を利用して前記トレンチ(47)の底壁(48)に立設され、前記トレンチ(47)の側壁(49)に対して空間(28)を挟んで対向する半導体壁部(46)を形成する第1工程と、
熱酸化によって、前記トレンチ(47)の側壁(49)および底壁(48)に沿って第1絶縁膜(50)を形成し、かつ、前記半導体壁部(46)を前記熱酸化によって絶縁体に変質させ、前記トレンチ(47)の側壁(49)上の前記第1絶縁膜(50)に対して前記空間(28)を挟んで対向する絶縁体壁部(51)を形成する第2工程と、
前記トレンチ(47)に絶縁材料を堆積することによって、前記空間(28)を埋め戻す埋め込み絶縁膜(53)と、前記空間(28)の反対側において前記絶縁体壁部(51)の側壁および前記トレンチ(47)の底壁(48)に沿う第2絶縁膜(54)とを形成することによって、前記トレンチ(47)の側壁(49)上の前記第1絶縁膜(50)、前記埋め込み絶縁膜(53)、前記絶縁体壁部(51)および前記第2絶縁膜(54)を含む側壁絶縁膜(56)と、前記トレンチ(47)の底壁(48)上の前記第1絶縁膜(50)および前記第2絶縁膜(54)を含む底壁絶縁膜(57)とを形成する第3工程と、
前記トレンチ(47)内に導電材料を堆積することによって、前記トレンチ(47)を埋め戻す埋め込み電極(15)を形成する第4工程とを含む、半導体装置(1)の製造方法。
【0063】
この方法によれば、側壁絶縁膜(56)の一部を構成する絶縁体壁部(51)(半導体壁部(46))が、トレンチ(47)の側壁(49)に沿うようにトレンチ(47)の底壁(48)に立設されたものである。そのため、半導体壁部(46)の数を増やすことによって、トレンチ(47)内の側壁絶縁膜(56)および底壁絶縁膜(57)のうち、側壁絶縁膜(56)を選択的に厚くすることができる。従って、側壁絶縁膜(56)の厚膜化に伴って、底壁絶縁膜(57)が同じように厚膜化されることを防止することができる。これにより、側壁絶縁膜(56)に比べて底壁絶縁膜(57)を薄く維持できるので、底壁絶縁膜(57)のエッチング処理に要する時間を短縮することができる。よって、半導体装置(1)の製造効率を向上することができる。また、半導体壁部(46)の増加数に応じて側壁絶縁膜(56)の厚さを制御できるので、所望の耐圧を容易に達成することができる。これにより、製造効率の向上と耐圧の向上との両立を図ることができる。
[付記1-12]
前記第2工程は、前記トレンチ(47)の深さ方向において、前記半導体壁部(46)の下部が部分的に絶縁体に変質しないことによって、前記絶縁体壁部(51)の下端から前記絶縁体壁部(51)の内部上方に向かって突出する突出部(20)を形成する工程を含む、付記1-11に記載の半導体装置(1)の製造方法。
[付記1-13]
前記半導体壁部(46)の厚さ(T2)は、1μm以下である、付記1-11または付記1-12に記載の半導体装置(1)の製造方法。
【0064】
この方法によれば、熱酸化によって、半導体壁部(46)を絶縁体壁部(51)に容易に変質させることができる。
[付記1-14]
一方側の第1主面(3)および他方側の第2主面(4)を有し、前記第1主面(3)に沿って延びるpn接合部(J)が内部に形成された半導体層(25)を選択的にエッチングすることによって、互いに同心円状に配置され、前記pn接合部(J)を貫通する少なくとも3つの環状トレンチ(29)であって、メイントレンチ(27)と、前記メイントレンチ(27)の内側および外側に配置され、前記メイントレンチ(27)よりも狭い幅を有する複数のサブトレンチ(28)とを含み、前記半導体層(25)に素子領域(9,9A)を区画するトレンチ群(45)を形成する第1工程と、
熱酸化によって、前記トレンチ群(45)に属する前記各環状トレンチ(29)の側壁および底壁(48)に沿って第1絶縁膜(50)を形成し、かつ、隣り合う前記環状トレンチ(29)で挟まれた前記半導体層(25)の部分(46)を前記熱酸化によって絶縁体に変質させ、隣り合う前記環状トレンチ(29)の間の境界を形成する境界絶縁膜(52)を形成する第2工程と、
前記第2工程後の前記トレンチ群(45)に絶縁材料を堆積することによって、前記サブトレンチ(28)を埋め戻す埋め込み絶縁膜(53)と、前記メイントレンチ(27)の内面に沿う第2絶縁膜(54)とを形成することによって、前記メイントレンチ(27)の内側および外側のそれぞれに、前記第2絶縁膜(54)、前記境界絶縁膜(52)、前記埋め込み絶縁膜(53)および前記第1絶縁膜(50)を含む側壁絶縁膜(56)を形成し、かつ前記メイントレンチ(27)の底壁(48)に、前記第1絶縁膜(50)および前記第2絶縁膜(54)を含む底壁絶縁膜(57)を形成する第3工程と、
前記メイントレンチ(27)内の前記底壁絶縁膜(57)を選択的に除去することによって、前記メイントレンチ(27)の底壁(48)に前記半導体層(25)の一部を露出させるコンタクト孔(11)を形成する第4工程と、
前記メイントレンチ(27)内に導電材料を堆積することによって、前記メイントレンチ(27)を埋め戻し、前記コンタクト孔(11)を介して前記半導体層(25)に接続される埋め込み電極(15)を形成する第5工程とを含む、半導体装置(1)の製造方法。
【0065】
この方法によれば、側壁絶縁膜(56)の一部を構成する境界絶縁膜(52)は、隣り合う環状トレンチ(29)で挟まれた半導体層(25)の部分が変質したものである。そのため、サブトレンチ(28)の数を増やすことによって、トレンチ群(45)内の側壁絶縁膜(56)および底壁絶縁膜(57)のうち、側壁絶縁膜(56)を選択的に厚くすることができる。従って、側壁絶縁膜(56)の厚膜化に伴って、底壁絶縁膜(57)が同じように厚膜化されることを防止することができる。これにより、側壁絶縁膜(56)に比べて底壁絶縁膜(57)を薄く維持できるので、第4工程において底壁絶縁膜(57)にコンタクト孔(11)を形成するために要する時間を短縮することができる。よって、半導体装置(1)の製造効率を向上することができる。また、サブトレンチ(28)の増加数に応じて側壁絶縁膜(56)の厚さを制御できるので、所望の耐圧を容易に達成することができる。これにより、製造効率の向上と耐圧の向上との両立を図ることができる。
[付記1-15]
前記第2工程は、前記トレンチ群(45)の深さ方向において、隣り合う前記環状トレンチ(29)で挟まれた前記半導体層(25)の下部が部分的に絶縁体に変質しないことによって、前記境界絶縁膜(52)の下端から前記境界絶縁膜(52)の内部上方に向かって突出する突出部(20)を形成する工程を含む、付記1-14に記載の半導体装置(1)の製造方法。
[付記1-16]
前記第1工程は、前記メイントレンチ(27)の内側および外側に、互いに同数の前記サブトレンチ(28)を形成する工程を含む、付記1-14または付記1-15に記載の半導体装置(1)の製造方法。
【0066】
この方法によれば、メイントレンチ(27)の内側および外側に、互いに均等な厚さを有する側壁絶縁膜(56)を形成することができる。
[付記1-17]
前記第1工程は、前記メイントレンチ(27)の内側および外側のそれぞれに、複数の前記サブトレンチ(28)を形成する工程を含む、付記1-14~付記1-16のいずれか一項に記載の半導体装置(1)の製造方法。
[付記1-18]
前記メイントレンチ(27)の幅(W2)は、2.5μm以上3μm以下であり、
前記サブトレンチ(28)の幅(W3)は、1μm以上1.5μm以下である、付記1-14~付記1-17のいずれか一項に記載半導体装置(1)の製造方法。
[付記1-19]
前記トレンチ群(45)の深さ方向に交差する方向における前記境界絶縁膜(52)の厚さ(T2)は、1μm以下である、付記1-14~付記1-18のいずれか一項に記載の半導体装置(1)の製造方法。
[付記1-20]
前記第3工程は、TEOSガスを用いたCVD法によって前記絶縁材料を堆積する工程を含む、付記1-11~付記1-19のいずれか一項に記載の半導体装置(1)の製造方法。
【符号の説明】
【0067】
1 :半導体装置
2 :半導体チップ
3 :第1主面
4 :第2主面
5A :第1側面
5B :第2側面
5C :第3側面
5D :第4側面
6 :第1層
6a :高濃度層
6b :低濃度層
7 :第2層
8 :第3層
8a :低濃度埋め込み層
8b :高濃度埋め込み層
9 :素子領域
9A :トランジスタ領域
10 :素子分離構造
11 :コンタクト孔
12 :コンタクト部
13 :トレンチ
14 :トレンチ絶縁膜
15 :トレンチ電極
16 :内周壁
17 :外周壁
18 :底壁
19 :側壁絶縁膜
19A :第1側壁絶縁膜
19B :第2側壁絶縁膜
20 :突出部
21 :凹部
22 :不純物領域
23 :凹部
24 :境界部
25 :半導体ウエハ
26 :ハードマスク
27 :メイントレンチ
28 :サブトレンチ
28A :内側サブトレンチ
28B :外側サブトレンチ
29 :ディープトレンチ
30 :MISFET
31 :第1ウェル領域
32 :第2ウェル領域
33 :ドレイン領域
34 :ソース領域
35 :チャネル領域
36 :コンタクト領域
37 :シャロートレンチ構造
38 :プレーナゲート構造
39 :シャロートレンチ
40 :埋め込み絶縁体
41 :ゲート絶縁膜
42 :ゲート電極
43 :第1開口
44 :第2開口
45 :トレンチ群
46 :半導体壁部
47 :トレンチ
48 :底壁
49 :側壁
50 :第1絶縁膜
51 :絶縁体壁部
52 :境界絶縁膜
53 :埋め込み絶縁膜
54 :第2絶縁膜
55 :空間
56 :側壁絶縁膜
57 :底壁絶縁膜
111 :側面
121 :底部
122 :側部
141 :第1膜部
142 :第2膜部
143 :境界部
144 :ベース膜部
191 :第1面
192 :第2面
231 :側面
T1 :厚さ
T2 :厚さ
W1 :トレンチ幅
W2 :幅
W3 :幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14