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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191944
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】自動分析装置およびピアサ針
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
G01N35/10 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100481
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】横倉 泰郎
(72)【発明者】
【氏名】村田 達也
(72)【発明者】
【氏名】山崎 健司
(72)【発明者】
【氏名】村松 友美
(72)【発明者】
【氏名】地福 佳広
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲史
(72)【発明者】
【氏名】田代 重幸
(72)【発明者】
【氏名】竹内 雄三
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CB08
2G058CB15
2G058CD04
2G058EA02
2G058EA04
2G058EA08
2G058ED03
2G058FB06
2G058FB07
2G058FB12
2G058FB13
2G058GA03
(57)【要約】
【課題】洗浄水を供給する洗浄ユニットを設けずにピアサ針の内部を洗浄すること。
【解決手段】一実施形態に係る自動分析装置は、上面がキャップにより封止される試料容器のキャップを穿孔するピアサ針を備える自動分析装置であって、ピアサ針は、先端でキャップを穿孔するピアサノズルと、ピアサノズルの内部を洗浄するための洗浄媒体を供給する洗浄媒体供給部であって、ピアサノズルの内部に、ピアサノズルの軸方向に対して斜め上方から前記洗浄媒体を供給する洗浄媒体供給部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面がキャップにより封止される試料容器の前記キャップを穿孔するピアサ針を備える自動分析装置であって、
前記ピアサ針は、
先端で前記キャップを穿孔するピアサノズルと、
前記ピアサノズルの内部を洗浄するための洗浄媒体を供給する洗浄媒体供給部であって、前記ピアサノズルの内部に、前記ピアサノズルの軸方向に対して斜め上方から前記洗浄媒体を供給する洗浄媒体供給部と、
を備える、自動分析装置。
【請求項2】
前記洗浄媒体は、洗浄水であり、
前記洗浄媒体供給部は、前記ピアサノズルの内部に前記洗浄水を供給する、
請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記洗浄媒体は洗浄水および洗浄空気であり、
前記洗浄媒体供給部は、前記ピアサノズルの内部に前記洗浄水および前記洗浄空気を供給する、
請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記洗浄媒体供給部は、前記洗浄水が流れる洗浄水用流路部と、前記洗浄空気が流れる洗浄空気用流路部とを備える、
請求項3に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記洗浄空気用流路部は、前記洗浄水用流路部よりも上方に配置されている、請求項4に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記洗浄媒体供給部は、前記洗浄水および前記洗浄空気が流れる共通流路部を備えており、
前記共通流路部に、前記洗浄水を供給するか、前記洗浄空気を供給するか、前記洗浄水および前記洗浄空気の双方を供給するかを切り替える、切替弁をさらに備える、請求項3に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記ピアサ針は、前記キャップを穿孔した場合、前記試料容器の内部と前記試料容器の外部の大気とを連通させる大気開放用流路部をさらに備える、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記大気開放用流路部は、前記ピアサノズルの側壁の外部もしくは内部に前記軸方向に沿って大気開放用パイプが設けられることにより、または、前記ピアサノズルの側壁に前記軸方向に沿って大気開放用溝部が設けられることにより構成される、
請求項7に記載の自動分析装置。
【請求項9】
前記ピアサノズルの内部を前記軸方向に移動し、前記試料容器の内部に収容されている試料を吸引するプローブをさらに備え、
前記プローブの外壁は、前記洗浄媒体供給部により供給された前記洗浄媒体により洗浄される、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の自動分析装置。
【請求項10】
前記ピアサノズルの内部を前記軸方向に移動し、前記試料容器の内部に収容されている試料を吸引するプローブをさらに備え、
前記プローブにより前記試料を吸引した後に、前記プローブの側壁の外部に付着した前記試料を、前記洗浄媒体供給部により供給された前記洗浄空気により払拭する、
請求項3乃至6のいずれか一項に記載の自動分析装置。
【請求項11】
前記ピアサノズルを洗浄するピアサノズル洗浄機構をさらに備え、
前記ピアサノズル洗浄機構は、
上面に開口部を有し、前記開口部から内部に挿入された前記ピアサノズルを収容する洗浄槽と、
前記ピアサノズルの側壁の外部を洗浄する洗浄媒体を吐出する外部浄媒体吐出部と、
を備える、請求項3乃至6のいずれか一項に記載の自動分析装置。
【請求項12】
前記洗浄槽に前記ピアサノズルが挿入された状態で、前記洗浄媒体供給部から前記洗浄水および前記洗浄空気とが前記ピアサノズルの内部に供給されて、前記ピアサノズルの側壁の内部が洗浄される、請求項11に記載の自動分析装置。
【請求項13】
前記洗浄媒体供給部は、前記ピアサノズルに直接装着される、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の自動分析装置。
【請求項14】
前記洗浄媒体供給部は、アダプタを介して、前記ピアサノズルに装着される、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の自動分析装置。
【請求項15】
自動分析装置に用いられるピアサ針であって、
上面がキャップにより封止される試料容器の前記キャップを穿孔するピアサノズルと、
前記ピアサノズルの内部を洗浄するための洗浄媒体を供給する洗浄媒体供給部であって、前記ピアサノズルの内部に、前記ピアサノズルの軸方向に対して斜め上方から前記洗浄媒体を供給する、洗浄媒体供給部と、
を備える、ピアサ針。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、自動分析装置およびピアサ針に関する。
【背景技術】
【0002】
血液検体の分析を行う自動分析装置の中には、血液の凝固特性に基づいて対象成分の分析を行う血液凝固分析装置がある。血液検体は、キャップで上面を封止する試料容器にて保管される。このような自動分析装置では、血液検体を吸引するプローブを試料容器に挿入するのに先立ち、ピアサ針を用いてキャップを穿孔して、キャップの屑によるプローブの目詰まりを回避している。
【0003】
しかし、ピアサ針を用いてキャップを穿孔すると、キャップに付着した血液がピアサ針の先端に付着したり、先端が血液に触れたりして、ピアサ針にも血液が付着する可能性がある。このため、血液が付着したピアサ針を洗浄する必要があり、この洗浄には、例えば、洗浄ユニットが用いられる。洗浄の際には、洗浄ユニットは、ピアサ針の上部に配置されて、ピアサ針の上方から洗浄水及び洗浄空気をピアサ針の内部に吹き付ける。
【0004】
しかし、この洗浄方法では、ピアサ針と洗浄ユニットとを密着させて洗浄する必要がある。密着が不十分であると、吹き付けた洗浄水が周囲に飛散したり、吹き付けた洗浄空気により洗浄水が逆流したりする可能性がある。また、洗浄の際には、この洗浄ユニットは、ピアサ針と同様に上下に移動する必要があり、その駆動機構を設置するためのスペースを必要とし、製造コストの増大も招いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5954114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、洗浄水を供給する洗浄ユニットを設けずとも、ピアサ針の内部の洗浄を可能にすることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置付けることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る自動分析装置は、上面がキャップにより封止される試料容器のキャップを穿孔するピアサ針を備える自動分析装置であって、ピアサ針は、先端でキャップを穿孔するピアサノズルと、ピアサノズルの内部を洗浄するための洗浄媒体を供給する洗浄媒体供給部であって、ピアサノズルの内部に、ピアサノズルの軸方向に対して斜め上方から前記洗浄媒体を供給する洗浄媒体供給部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る自動分析装置の機能構成を示すブロック図。
図2図1に示す自動分析装置における分析機構の構成の一例を示す図。
図3図2に示す分析機構が備える測光ユニットを上面から見た構成図。
図4図2に示す分析機構が備える測光ユニットを側面から見た構成図。
図5図2に示す分析機構が備える測光ユニットの別の例を上面から見た構成図。
図6】第1実施形態に係るサンプル分注プローブおよびピアサ針の移動に関する軌道を示した模式図。
図7】第1実施形態に係る自動分析装置のピアサ針アームに設けられたピアサ針の構成図。
図8】第1実施形態に係る自動分析装置におけるピアサ針のピアサノズルの断面図。
図9】第1実施形態に係る自動分析装置で実行される試料吸引制御処理の内容を説明するフローチャートを示す図。
図10】第1実施形態の試料吸引制御処理における、サンプル分注プローブによる試料の吸引を説明する、ピアサ針とサンプル分注プローブと試料容器の側面図。
図11】第1実施形態の試料吸引制御処理における、サンプル分注プローブやピアサ針に付着した試料の洗浄空気による払拭を説明する、ピアサ針とサンプル分注プローブと試料容器の側面図。
図12】第1実施形態の試料吸引制御処理における、ピアサノズルによる大気開放を説明する試料容器のキャップ部分の拡大側面図。
図13図13(a)は、ピアサノズルの外部に設けられた大気開放用パイプを備えるピアサノズルの断面図であり、図13(b)は、その大気開放用パイプによる試料容器の大気開放を説明するピアサ針の側面図。
図14図14(a)は、大気開放用溝部を備えるピアサノズルの断面図であり、図14(b)は、その大気開放用溝部による試料容器の大気開放を説明するピアサ針の側面図。
図15図15(a)は、ピアサノズルの内部に設けられた大気開放用パイプを備えるピアサノズルの断面図であり、図15(b)は、その大気開放用パイプによる試料容器の大気開放を説明するピアサ針の側面図。
図16】第1実施形態に係る自動分析装置で実行されるピアサ針洗浄制御処理の内容を説明するフローチャートを示す図。
図17】第1実施形態のピアサ針洗浄制御処理において、ピアサノズルがピアサ針洗浄ポッドに挿入された状態を示す図。
図18】第1実施形態のピアサ針洗浄制御処理において、ピアサノズルの内部および外部が洗浄されている状態を示す図。
図19】第1実施形態のピアサ針洗浄制御処理において、ピアサノズル内にサンプル分注プローブが挿入されて、ピアサノズルとともにサンプル分注プローブが洗浄されている状態を示す図。
図20】第2実施形態に係るピアサ針の構成と、このピアサ針のピアサノズルに洗浄媒体を供給する供給機構の構成とを説明する図。
図21】第3実施形態に係るピアサ針の構成と、サンプル分注プローブとピアサ針と試料容器の配置を説明する模式的な側面図。
図22】第3実施形態に係るピアサ針の洗浄をする際の内部乾燥ヘッドとピアサ針とピアサ針洗浄ポッドの配置を説明する側面図。
図23】第3実施形態の変形例に係るピアサ針の構成と、サンプル分注プローブとピアサ針と試料容器の配置を説明する模式的な側面図。
図24】第3実施形態の変形例に係るピアサ針をする際の内部乾燥ヘッドとピアサ針とピアサ針洗浄ポッドの配置を説明する側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係る自動分析装置を説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行うこととする。
【0010】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る自動分析装置1の機能構成の例を示すブロック図である。本実施形態においては、この自動分析装置1は、例えば、血液凝固分析装置である。以下においては、被検体から採取した試料が血液であり、自動分析装置1が血液凝固分析装置である場合を一例として本実施形態を説明するが、他の種類の試料や他の種類の自動分析装置に対しても本実施形態は適用可能である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る自動分析装置1は、分析機構2と、解析回路3と、駆動機構4と、入力インターフェース5と、出力インターフェース6と、通信インターフェース7と、記憶回路8と、制御回路9とを備えて構成されている。
【0012】
分析機構2は、被検者の検体である血液検体と、各検査項目で用いられる試薬である凝固試薬とを混合した混合液を生成する。また、分析機構2は、検査項目によっては、所定の倍率で希釈した標準液と、この検査項目で用いられる試薬とを混合する。分析機構2は、血液検体と試薬との混合液や標準液と試薬との混合液の光学的な物性値を連続的に測定する。この測定により、例えば、透過光強度、吸光度、散乱光強度等で表される標準データ、及び被検データが生成される。
【0013】
解析回路3は、分析機構2により生成される標準データ、及び被検データを解析することで、血液検体の凝固に関する検量データ、及び分析データを生成するプロセッサである。解析回路3は、例えば、記憶回路8から解析プログラムを読み出し、読み出した解析プログラムに従って標準データ、及び被検データを解析する。なお、解析回路3は、記憶回路8で記憶されているデータの少なくとも一部を記憶する記憶領域を備えてもよい。
【0014】
駆動機構4は、制御回路9の制御に従い、分析機構2を駆動させる。駆動機構4は、例えば、ギア、ステッピングモータ、ベルトコンベア、及びリードスクリュー等により実現される。
【0015】
入力インターフェース5は、例えば、操作者から、又は病院内ネットワークNWを介して測定を依頼された血液検体に係る各検査項目の分析パラメータ等の設定を受け付ける。入力インターフェース5は、例えば、マウス、キーボード、及び、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパッド等により実現される。入力インターフェース5は、制御回路9に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路9へ出力する。なお、本明細書において入力インターフェース5はマウス、及びキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、自動分析装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路9へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース5の例に含まれる。
【0016】
出力インターフェース6は、制御回路9に接続され、制御回路9から供給される信号を出力する。出力インターフェース6は、例えば、表示回路、印刷回路、及び音声デバイス等により実現される。表示回路には、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、及びプラズマディスプレイ等が含まれる。なお、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換し、ビデオ信号を外部へ出力する処理回路も表示回路に含まれる。印刷回路は、例えば、プリンタ等を含む。なお、印刷対象を表すデータを外部へ出力する出力回路も印刷回路に含まれる。音声デバイスは、例えば、スピーカ等を含む。なお、音声信号を外部へ出力する出力回路も音声デバイスに含まれる。
【0017】
通信インターフェース7は、例えば、病院内ネットワークNWと接続する。通信インターフェース7は、病院内ネットワークNWを介してHIS(Hospital Information System)とデータ通信を行う。なお、通信インターフェース7は、病院内ネットワークNWと接続する検査部門システム(Laboratory Information System:LIS)を介してHISとデータ通信を行っても構わない。
【0018】
記憶回路8は、磁気的、若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等の、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を含む。なお、記憶回路8は、必ずしも単一の記憶装置により実現される必要は無い。例えば、記憶回路8は、複数の記憶装置により実現されてもよい。
【0019】
記憶回路8は、解析回路3で実行される解析プログラム、及び制御回路9に備わる機能を実現するための制御プログラムを記憶している。記憶回路8は、解析回路3により生成される検量データを検査項目毎に記憶する。記憶回路8は、解析回路3により生成される分析データを血液検体毎に記憶する。記憶回路8は、操作者から入力された検査オーダ、又は通信インターフェース7が病院内ネットワークNWを介して受信した検査オーダを記憶する。
【0020】
制御回路9は、自動分析装置1の中枢として機能するプロセッサである。制御回路9は、記憶回路8に記憶されているプログラムを実行することで、実行したプログラムに対応する機能を実現する。なお、制御回路9は、記憶回路8で記憶されているデータの少なくとも一部を記憶する記憶領域を備えてもよい。
【0021】
図2は、図1に示される分析機構2の構成の一部における一例を示す模式図である。この図2に示すように、本実施形態に係る分析機構2は、反応ディスク201と、恒温部202と、ラックサンプラ203と、試薬庫204とを備えて構成されている。
【0022】
反応ディスク201は、複数の反応容器(キュベット)2011を、環状に配列させて保持する。反応ディスク201は、反応容器2011を所定の経路に沿って搬送する。具体的には、検体の分析動作中、反応ディスク201は、駆動機構4により、既定の時間間隔で回動と停止とが交互に繰り返される。反応容器2011は、例えば、ポリプロピレン(PP)又はアクリ
ルにより形成されている。この反応ディスク201が、本実施形態における保持部を構成している。
【0023】
恒温部202は、所定の温度に設定された熱媒体を貯留し、貯留する熱媒体に反応容器2011を浸漬させることで、反応容器2011に収容される混合液を昇温する。
【0024】
ラックサンプラ203は、複数の試料容器を保持可能な試料ラック2031を、移動可能に支持しており、これら複数の試料容器には、測定を依頼された検体である血液検体が収容されている。図2に示す例では、5本の試料容器を並列して保持可能な試料ラック2031が示されている。
【0025】
ラックサンプラ203には、試料ラック2031を搬送する搬送領域2032が設けられている。すなわち、この搬送領域2032を使用して、試料ラック2031が投入される投入位置から、測定が完了した試料ラック2031を回収する回収位置まで、試料ラック2031が搬送される。搬送領域2032では、長手方向に整列された複数の試料ラック2031が、駆動機構4により、方向D1へ移動される。
【0026】
また、ラックサンプラ203には、試料ラック2031で保持される試料容器を所定のサンプル吸引位置へ移動させるため、試料ラック2031を搬送領域2032から引き込む引き込み領域2033が設けられている。サンプル吸引位置は、例えば、サンプル分注プローブ207の回動軌道と、ラックサンプラ203で支持されて試料ラック2031で保持される試料容器の開口部の移動軌道とが交差する位置に設けられる。引き込み領域2033では、搬送されてきた試料ラック2031が、駆動機構4により、方向D2へ移動される。
【0027】
また、ラックサンプラ203には、試料が吸引された試料容器を保持する試料ラック2031を搬送領域へ戻すための戻し領域2034が設けられている。戻し領域2034では、試料ラック2031が、駆動機構4により、方向D3へ移動される。
【0028】
試薬庫204は、標準液、及び血液検体に対して実施される各検査項目で用いられる試薬等を収容する複数の試薬容器100を保冷しながら保持する。試薬庫204内には、回転テーブルが回転自在に設けられている。回転テーブルは、複数の試薬容器100を円環状に載置して保持する。なお、本実施形態において、図2では図示していないが、試薬庫204は、着脱自在な試薬カバーにより覆われている。
【0029】
さらに、図2に示される本実施形態に係る分析機構2は、サンプル分注アーム206と、サンプル分注プローブ207と、試薬分注アーム208と、試薬分注プローブ209と、ピアサ針アーム300と、ピアサ針310とを備える。
【0030】
サンプル分注アーム206は、反応ディスク201とラックサンプラ203との間に設けられている。サンプル分注アーム206は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。サンプル分注アーム206は、一端にサンプル分注プローブ207を保持する。
【0031】
サンプル分注プローブ207は、サンプル分注アーム206の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、ラックサンプラ203上の試料ラック2031で保持される試料容器から試料を吸引するためのサンプル吸引位置が設けられている。また、サンプル分注プローブ207の回動軌道上には、サンプル分注プローブ207が吸引した試料を反応容器2011へ分注するためのサンプル分注位置が設けられている。サンプル分注位置は、例えば、サンプル分注プローブ207の回動軌道と、反応ディスク201に保持されている反応容器2011の移動軌道との交点に相当する。
【0032】
サンプル分注プローブ207は、駆動機構4によって駆動され、サンプル吸引位置、又はサンプル分注位置において上下方向に移動する。また、サンプル分注プローブ207は、後述の試料吸引制御機能93の制御に従い、サンプル吸引位置の直下に位置する試料容器から試料を吸引する。また、サンプル分注プローブ207は、試料吸引制御機能93の制御に従い、吸引した試料を、サンプル分注位置の直下に位置する反応容器2011へ分注する。これらサンプル分注アーム206とサンプル分注プローブ207とにより、本実施形態における試料分注機構の一例が構成される。
【0033】
試薬分注アーム208は、反応ディスク201と試薬庫204との間に設けられている。試薬分注アーム208は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。試薬分注アーム208は、一端に試薬分注プローブ209を保持する。
【0034】
試薬分注プローブ209は、試薬分注アーム208の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、試薬吸引位置が設けられている。試薬吸引位置は、例えば、試薬分注プローブ209の回動軌道と、試薬庫204の回転テーブルに円環状に載置される試薬容器100の開口部の移動軌道とが交差する位置に設けられる。また、試薬分注プローブ209の回動軌道上には、試薬分注プローブ209が吸引した試薬を反応容器2011へ分注するための試薬分注位置が設定されている。試薬分注位置は、例えば、試薬分注プローブ209の回動軌道と、反応ディスク201に保持されている反応容器2011の移動軌道との交点に相当する。
【0035】
試薬分注プローブ209は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の試薬吸引位置、又は試薬分注位置において上下方向に移動する。また、試薬分注プローブ209は、制御回路9の制御に従い、試薬吸引位置で停止している試薬容器から試薬を吸引する。また、試薬分注プローブ209は、制御回路9の制御に従い、吸引した試薬を、試薬分注位置の直下に位置する反応容器2011へ分注する。これら試薬分注アーム208と試薬分注プローブ209とにより、本実施形態における試薬分注機構の一例が構成される。
【0036】
ピアサ針アーム300は、サンプル分注アーム206と同様に、反応ディスク201とラックサンプラ203との間に設けられている。ピアサ針アーム300は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。ピアサ針アーム300は、一端にピアサ針310を保持する。
【0037】
ピアサ針310は、ピアサ針アーム300の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。ピアサ針310は、サンプル分注プローブ207の試料の吸引のため、試料容器の上面を封止するキャップを穿孔する。穿孔可能なように、本実施形態においては、このキャップは、例えばゴム栓により構成されている。このため、ピアサ針アーム300の回動軌道上には、サンプル分注アーム206と共通のサンプル吸引位置が位置する。ピアサ針310は、駆動機構4によって駆動され、サンプル吸引位置において上下方向に移動することによりキャップを穿孔する。したがって、これらピアサ針アーム300とピアサ針310とにより、本実施形態における試料分注補助機構の一例が構成される。
【0038】
さらに、本実施形態に係る分析機構2においては、その内部に、反応ディスク201に保持可能な反応容器2011と同数の測光ユニットが設けられている。この測光ユニットが、本実施形態における測光部を構成する。図3及び図4は、この測光ユニット211の構成例を示す模式図である。図3は、測光ユニット211を、反応ディスク201の上方から臨んだ際の各構成要素の位置関係の例を表す模式図である。図4は、測光ユニット211を、反応ディスク201の断面方向から臨んだ際の各構成要素の位置関係の例を表す模式図である。
【0039】
測光ユニット211は、反応容器2011内に分注された試料と試薬との混合液の光学的な物性値を連続的に測定する。本実施形態に係る分析機構2においては、測光ユニット211は、複数設けられている。例えば、測光ユニット211は、反応ディスク201で保持可能な反応容器と同数だけ設けられている。すなわち、反応ディスク201で保持される1つの反応容器に対して、1つの測光ユニット211が設けられている。それぞれの測光ユニット211の構成は同様であるため、図3及び図4においては、1つの測光ユニット211を代表して図示している。
【0040】
図3及び図4に示す測光ユニット211は、例えば、光源2111と、光検出器2112、2113とを有する。例えば、測光ユニット211は、反応ディスク201で環状に保持される反応容器2011の環状中心側に光源2111を有する。光源2111は、反応容器2011が配列されている環の外側へ向けて光を照射するように設けられている。
【0041】
光源2111は、2種類の波長の光を発生する、光照射部の一例である。光源2111は、例えば、波長が長い第1の光と、波長が短い第2の光とを発生する。例えば、第1の光の波長は、620~750nmの赤色の波長域に含まれ、第2の光の波長は、380~495nmの紫から青色の波長域に含まれる。なお、第1及び第2の光の波長は、620~750nmの赤色の波長域にそれぞれ含まれていても構わない。光源2111は、例えば、複数の波長の光を発生可能な多波長LED、所定の波長の光をそれぞれ発生する2つのLED、及び広い波長域の光からフィルタによって所望の波長の光を透過させる光源ユニット等により実現される。
【0042】
光源2111は、制御回路9の制御に従い、第1及び第2の光を発生する。具体的には、例えば、光源2111は、所定の周期で第1及び第2の光を交互に発生する。このとき、光源2111は、例えば、第1及び第2の光を、凝固の最小測定単位である、例えば0.1秒の半分である0.05秒周期で交互に光を発生する。光源2111から照射された光は、反応容器2011へ入射される。
【0043】
なお、光源2111は、制御回路9により指定される一方の波長の光を発生するようにしてもよい。また、光源2111は、第1及び第2の光を同時に発生するようにしてもよい。ただし、このとき、不要な波長の光を除外するためのフィルタを光検出器2112、2113に設ける必要がある。
【0044】
光検出器2112は、反応容器2011を挟んで光源2111と対向する位置に配設される。光源2111から出射された光は、反応容器2011の第1側壁から入射され、第1側壁と対向する第2側壁から出射される。光検出器2112は、反応容器2011から出射された光を検出する。光検出器2112は、例えば、透過光受光部の一例である。
【0045】
具体的には、例えば、光検出器2112は、反応容器2011内の標準液と試薬との混合液を透過した光を検出する。光検出器2112は、検出した光を所定の時間間隔、例えば、0.1秒間隔でサンプリングし、透過光強度、又は吸光度等で表される標準データを生成する。所定の時間間隔は、例えば、第1の光の発生頻度と同期する。なお、光検出器2112は、例えば、第1の光の波長と対応した波長の光のみを検出するようにしてもよい。また、光検出器2112は、反応容器2011内の血液検体と試薬との混合液を透過した光を検出する。光検出器2112は、検出した光を所定の時間間隔でサンプリングし、透過光強度、又は吸光度等により表される被検データを生成する。光検出器2112は、生成した標準データ、及び被検データを解析回路3へ出力する。
【0046】
光検出器2113は、光源2111の光の照射軸と、光検出器2113の受光軸とが反応容器2011内において略90度で交わるように配設される。光源2111から出射された光は、反応容器2011の第1側壁から入射され、混合液内の粒子により散乱された後、第1側壁と90度隔てて隣接する第3側壁から出射される。光検出器2113は、反応容器2011から出射された光を検出する。光検出器2113は、例えば、散乱光受光部の一例である。
【0047】
具体的には、例えば、光検出器2113は、反応容器2011内の標準液と試薬との混合液で散乱された光を検出する。光検出器2113は、検出した光を所定の時間間隔、例えば、0.1秒間隔でサンプリングし、散乱光強度等で表される標準データを生成する。所定の時間間隔は、例えば、第2の光の発生頻度と同期する。なお、光検出器2113は、例えば、第2の光の波長と対応した波長の光のみを検出するようにしてもよい。また、光検出器2113は、反応容器2011内の血液検体と試薬との混合液で散乱された光を検出する。光検出器2113は、検出した光を所定の時間間隔でサンプリングし、散乱光強度等により表される被検データを生成する。光検出器2113は、生成した標準データ、及び被検データを解析回路3へ出力する。
【0048】
なお、光検出器2112、2113は、検出した光の強度を検出信号として解析回路3へ出力しても構わない。このとき、解析回路3が、所定の時間間隔、例えば、0.1秒間隔で検出信号をサンプリングし、標準データ、及び被検データを生成する。
【0049】
図5は、本実施形態に係る測光ユニット211の別の構成例を表す模式図である。図5は、図3と同様に、測光ユニット211を、反応ディスク201の上方から臨んだ際の各構成要素の位置関係の例を表している。図5に示される測光ユニット211は、光源2111として、2つのLED51、52を有している。図5に示される例では、LED52の光の照射軸が、LED51の光の照射軸に対して所定の角度だけ傾けられている。
【0050】
光検出器2112は、図3及び図4の例と同様に、反応容器2011を挟んでLED51と対向する位置に配設されている。一方、光検出器2113は、LED52の光の照射軸と、光検出器2113の受光軸とが反応容器2011内において略90度で交わるように配設されている。
【0051】
再び図1に示すように、解析回路3は、記憶回路8に記憶されている解析プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。例えば、解析回路3は、解析プログラムを実行することで、解析機能31、及び複合解析機能32を有する。すなわち、解析回路3は、本実施形態において、測光ユニット211で測定した結果に基づいて、検体に含まれる成分の分析結果を求める分析処理部を構成する。なお、本実施形態では、単一のプロセッサによって解析機能31、及び複合解析機能32が実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて解析回路を構成し、各プロセッサが解析プログラムを実行することにより解析機能31、及び複合解析機能32を実現しても構わない。
【0052】
解析機能31は、分析機構2により生成される標準データ、及び被検データを解析する機能であり、解析部の一例である。具体的には、例えば、解析機能31において解析回路3は、標準データに基づいて凝固時間を算出し、算出した凝固時間から検量データを生成する。解析回路3は、生成した検量データを制御回路9へ出力する。
【0053】
また、解析機能31において解析回路3は、例えば、被検データを解析することで、混合液中の凝固の過程を測定する。具体的には、解析回路3は、例えば、反応が強い試薬が添加された混合液の解析については、透過光を検出して得られる被検データを解析する。解析回路3は、被検データに基づいて血液凝固反応についての受光強度変化を取得する。なお、以下では、受光強度変化を反応曲線として説明を進める。解析回路3は、反応曲線における変曲点、及び飽和到達点等を凝固終了点として検出する。このときの変曲点、及び飽和到達点等の検出は、数学的なアルゴリズム、例えば、反応曲線の1次微分、2次微分、又は他の演算法を用いて実施される。解析回路3は、検出した凝固終了点に基づき、凝固点と、凝固点に到達する時間である凝固時間を算出する。なお、解析回路3は、反応が強い試薬を添加した後、凝固が進まない異常検体に対しては、散乱光を検出して得られる被検データを解析しても構わない。
【0054】
また、解析回路3は、例えば、反応が弱くて遅い試薬を添加した混合液の解析については、散乱光を検出して得られる被検データを解析する。なお、本実施形態において、反応が弱くて遅い試薬について、反応が弱い試薬と記載する箇所もあるが、これらは同意のものとして扱うものとする。解析回路3は、被検データに基づいて反応曲線を取得し、取得した反応曲線から、血液検体の凝固に関する情報、例えば、凝固終了点、凝固点、及び凝固時間を算出する。
【0055】
また、解析回路3は、検査項目によっては、算出した凝固時間と、この被検データに対応する検査項目の検量データとに基づき、濃度値等を算出する。解析回路3は、凝固終了点、凝固点、凝固時間、及び濃度値等を含む分析データを制御回路9へ出力する。
【0056】
複合解析機能32は、分析機構2により生成される2種類の被検データを複合して解析する機能であり、複合解析部の一例である。具体的には、複合解析機能32において解析回路3は、透過光を検出して得られる被検データと、散乱光を検出して得られる被検データとを取得する。解析回路3は、透過光についての被検データに基づく反応曲線、及び、散乱光についての被検データに基づく反応曲線から、血液検体の凝固に関する情報、例えば、凝固終了点、凝固点、及び凝固時間等を算出する。
【0057】
複合解析機能32は、例えば、制御回路9からの制御、及び解析機能31での解析結果に従って実施される。例えば、解析回路3は、制御回路9からの指示に応じ、複合解析機能32を実施する。また、解析回路3は、例えば、解析機能31において、反応が弱い試薬を添加した後、想定よりも反応が遅い等の場合、複合解析機能32を実施する。
【0058】
解析回路3は、凝固終了点、凝固点、及び凝固時間等を含む分析データを制御回路9へ出力する。
【0059】
図1に示される制御回路9は、記憶回路8に記憶されている制御プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。例えば、制御回路9は、制御プログラムを実行することで、システム制御機能91と、測光制御機能92と、試料吸引制御機能93と、ピアサ針洗浄制御機能94とを有する。なお、本実施形態では、単一のプロセッサによってシステム制御機能91と、測光制御機能92と、試料吸引制御機能93と、ピアサ針洗浄制御機能94とが実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて制御回路を構成し、各プロセッサが制御プログラムを実行することにより、これらの各種機能を実現しても構わない。
【0060】
システム制御機能91は、入力インターフェース5から入力される入力情報に基づき、自動分析装置1における各部を統括して制御する機能である。例えば、システム制御機能91において制御回路9は、検査項目に応じた解析を実施するように解析回路3を制御する。
【0061】
測光制御機能92は、測定に用いられる光の波長を制御する機能であり、測光制御部の一例である。具体的には、測光制御機能92において制御回路9は、例えば、記憶回路8に記憶されている検査オーダを参照し、次に測定される検査項目で用いられる試薬情報を取得する。制御回路9は、例えば、取得した試薬情報に含まれる検査項目名、試薬名、反応に関する情報、及び再検に関する情報等に基づき、次に使用される試薬の反応が弱いか否かを判断する。
【0062】
試料吸引制御機能93は、上述の試料分注機構および試料分注補助機構を制御し、試料容器から所定量の試料を吸引するための機能である。具体的には、試料吸引制御機能93は、サンプル吸引位置にて、ピアサ針310を下方に移動させて試料容器のキャップを穿孔するとともに、ピアサ針310の内部を通してサンプル分注プローブ207を試料に達するまで降下させて試料を吸引する。試料の吸引後は、サンプル分注プローブ207を上昇させて試料容器からサンプル分注プローブ207を引き抜いたのち、ピアサ針310を上昇させて試料容器からピアサ針310を引き抜く。
【0063】
ピアサ針洗浄制御機能94は、ピアサ針310の洗浄を制御する機能である。具体的には、ピアサ針310をピアサ針洗浄位置へ移動させ、洗浄媒体をピアサ針310に供給することによりピアサ針310を洗浄する。本実施形態においては、ピアサ針洗浄制御機能94は、ピアサ針310の内部および外部を洗浄する。
【0064】
以上が、本実施形態に係る自動分析装置1の全体構成の説明である。次に、図6を参照して、サンプル分注アーム206およびピアサ針アーム300の駆動制御について説明する。
【0065】
図6は、分析機構2を上方から見た平面図である。紙面の面内方向が水平方向であり、紙面に垂直な方向が上下方向である。この図6は、上述の試料分注機構および試料分注補助機構の動作を模式的に示している。すなわち、試料分注機構としてのサンプル分注アーム206およびサンプル分注プローブ207と、試料分注補助機構としてのピアサ針アーム300およびピアサ針310とを模式的に示している。
【0066】
サンプル分注プローブ207は、試料の吸引および吐出を行う先端が下方に位置するように、サンプル分注アーム206の先端部に装着されている。サンプル分注アーム206は、水平面内を、サンプル分注プローブ駆動軸210を中心に回動駆動される。そして、サンプル分注アーム206が回動駆動することにより、サンプル分注プローブ207が水平面内において円弧状の回動軌道に沿って回動する。具体的には、サンプル分注プローブ207は、水平面内において円弧状の軌道を描くように移動し、その移動可能な範囲が軌道T1で示される。
【0067】
また、サンプル分注アーム206は、サンプル分注プローブ駆動軸210が上下方向に移動することにより、上下方向に移動する。そして、サンプル分注アーム206が上下方向に移動することにより、サンプル分注プローブ207が上下方向に移動する。本実施形態においては、例えば、サンプル吸引位置である位置P1や、サンプル分注プローブ洗浄ポッド215が設けられた位置にて、サンプル分注プローブ207は上下方向に移動する。
【0068】
図6が示すように、ピアサ針アーム300は、サンプル分注アーム206とは別の位置にサンプル分注アーム206よりも低い高さで設置されている。ピアサ針アーム300の先端部には、ピアサ針310が先端を下方に向けた状態で保持されている。サンプル分注アーム206と同様に、ピアサ針アーム300は、ピアサ針駆動軸320を中心に水平面内で回動駆動する。この回動駆動により、ピアサ針310を水平面内において円弧状の軌道に沿って移動させる。具体的には、ピアサ針310は、水平面内において円弧上の軌道を描くように移動し、その移動可能な範囲が軌道T2で示される。
【0069】
また、ピアサ針アーム300は、ピアサ針駆動軸320が上下方向に移動することにより、上下方向に移動する。そして、ピアサ針アーム300が上下方向に移動することにより、ピアサ針310が上下方向に移動する。本実施形態においては、例えば、サンプル吸引位置である位置P1や、ピアサ針洗浄位置にて、ピアサ針310は上下方向に移動する。
【0070】
サンプル吸引位置は、軌道T1および軌道T2の共通位置に設けられる。具体的には、サンプル分注プローブ207の軌道T1上であり、且つ、ピアサ針310の軌道T2上である位置P1に、サンプル吸引位置が設定される。この位置P1において、ピアサ針310による試料容器のキャップの穿孔と、サンプル分注プローブ207による試料の吸引が行われる。
【0071】
なお、本実施形態に係る自動分析装置1においては、軌道T1上にサンプル分注プローブ洗浄ポッド215が設けられており、軌道T2上のピアサ針洗浄位置にピアサ針洗浄ポッド330が設けられている。サンプル分注プローブ洗浄ポッド215では、サンプル分注プローブ207に付着した試料等を、洗浄することが可能であり、ピアサ針洗浄ポッド330では、ピアサ針310に付着した試料等を、洗浄することが可能である。
【0072】
次に、図7および図8を参照して、ピアサ針310について説明する。本実施形態に係るピアサ針310は、ピアサノズル311と、洗浄媒体供給部312とから構成される。
【0073】
ピアサノズル311は、その先端で試料容器のキャップを穿孔する。すなわち、駆動機構4により、ピアサノズル311は、試料容器の上方位置から降下して、試料容器の上面を封止する、ゴム栓等のキャップを上方から貫通して、キャップを穿孔する。このため、ピアサノズル311の先端はキャップを穿孔できるような尖端形状となっている。また、ピアサノズル311本体の形状は筒状である。具体的には、ピアサノズル311の内部には、プローブ連通孔PHが設けられている。サンプル分注プローブ207は、ピアサノズル311のプローブ連通孔PHの内部を移動する。すなわち、サンプル分注プローブ207は、プローブ連通孔PHを上下に移動して、試料容器の内部に収容された試料まで到達して、その試料を吸引する。したがって、プローブ連通孔PHの内径は、サンプル分注プローブ207の外径よりも大きくなるように設計される。
【0074】
また、ピアサノズル311は、大気開放用流路部ARを備えている。この大気開放用流路部ARは、ピアサノズル311がキャップを穿孔したときに、試料容器の内部を大気に開放する。すなわち、大気開放用流路部ARは、試料容器の内部と試料容器の外部とを連通させる。一般に、キャップで封止されている試料容器の内部は陰圧された真空状態である。このため、試料容器の内部の大気開放行わないと、洗浄媒体供給部312へ試料が逆流するおそれがある。このため、試料の逆流を抑制するため、試料容器の内部を大気と連通することが求められる。したがって、本実施形態では、ピアサノズル311に大気開放用流路部ARを設け、キャップを穿孔する際に試料容器の内部を大気に開放する。なお、図7に示すピアサ針310においては、大気開放用流路部ARは、ピアサノズル311の側壁を一部切り欠くことにより形成されているが、この大気開放用流路部ARの形成手法は、これに限られるものではない。例えば、図8に示すように、ピアサノズル311の内部を二重構造とし、外側の筒状のノズル311aと内側の筒状のノズル311bとの間に、大気開放用流路部ARが形成されるようにしてもよい。
【0075】
図7に示すように、洗浄媒体供給部312は、ピアサノズル311の内部を洗浄するための洗浄媒体を供給する。本実施形態では、洗浄媒体として洗浄水および洗浄空気を用いる。このため、洗浄媒体供給部312から、洗浄水および洗浄空気が、ピアサノズル311の内部に供給される。本実施形態においては、洗浄媒体供給部312は、洗浄空気用流路部312aと洗浄水用流路部312bとを備えている。すなわち、洗浄空気は洗浄空気用流路部312aを流れてピアサノズル311の内部に供給され、また、洗浄水は洗浄水用流路部312bを流れてピアサノズル311の内部に供給される。
【0076】
洗浄媒体供給部312は、ピアサノズル311の上部に、ピアサノズル311の斜め上方に向けて延びるように設けられ、ピアサノズル311の内部に洗浄媒体を供給する。本実施形態においては、特に、洗浄媒体供給部312は、ピアサノズル311の先端から一定の距離だけ下方の位置に、ピアサノズル311の軸方向へ斜めに交差するように設けられている。ピアサノズル311への洗浄媒体供給部312の取り付けは、例えば、溶接などの任意の方法によって行われる。すなわち、本実施形態においては、ピアサノズル311に洗浄媒体供給部312が直接装着されている。
【0077】
洗浄媒体供給部312が斜め上方に向けて設けられることにより、ピアサノズル311の内部に、ピアサノズル311の軸方向に対して斜め上方から洗浄媒体が供給される。このため、例えば、洗浄媒体が洗浄水の場合には、洗浄水用流路部312bから供給された洗浄水が、ピアサ針310の側壁の内部に当ることにより生じる水流の抵抗を、低減することができる。また、洗浄媒体が洗浄空気の場合には、洗浄空気用流路部312aから供給された洗浄空気がピアサ針310の側壁の内部に当たることにより生じる圧力損失を緩和することができる。
【0078】
このように、本実施形態においては、洗浄媒体供給部312がピアサノズル311に直接装着されて、ピアサノズル311と一体に設けられる。このため、洗浄時にピアサ針310と密着する洗浄ユニットやこの洗浄ユニットを上下に移動させるための機構を設けることなく、ピアサノズル311の内部を洗浄することができる。これにより、自動分析装置1の構成のレイアウトに関する制約が軽減される。また、ピアサ針310と洗浄ユニットとの間の厳密な位置合わせを行うことなく、ピアサノズル311の内部を洗浄することができる。
【0079】
なお、本実施形態に係る自動分析装置1においては、図7に示すように、洗浄空気用流路部312aは、洗浄水用流路部312bよりも上方に配置されている。このように配置することで、洗浄水の上方から洗浄空気がピアサノズル311の内部に供給されることになる。このようにすることにより、洗浄水用流路部312bから洗浄水を供給しつつ、洗浄空気用流路部312aから少量の洗浄空気を供給することができるようになり、洗浄水がピアサノズル311の上方へ逆流するのを抑制することができる。また、洗浄水の飛沫等がピアサ針310の上部から飛散するのを抑制することができる。
【0080】
次に、図9図15を参照して、本実施形態に係る自動分析装置1による試料吸引制御処理について説明する。図9は、試料容器の内部に収容された試料を吸引する、試料吸引制御処理の一連の流れを説明するフローチャートである。この試料吸引制御処理は、制御回路9の試料吸引制御機能93により実行される処理である。
【0081】
試料吸引制御処理が開始されると、制御回路9の試料吸引制御機能93は、ピアサ針310をサンプル吸引位置へ移動させる(ステップS10)。すなわち、図6における位置P1へ、駆動機構4によりピアサ針アーム300を回動駆動させ、ピアサ針310を移動させる。次に、試料吸引制御機能93は、同様に、サンプル分注プローブ207をサンプル吸引位置へ移動させる(ステップS12)。すなわち、駆動機構4によりサンプル分注アーム206を回動駆動させ、サンプル分注プローブ207を位置P1に移動させる。これにより、位置P1において、サンプル分注プローブ207およびピアサ針310が上下に並ぶ。
【0082】
サンプル吸引位置である位置P1には、吸引する試料が収容された試料容器が配置される。試料容器が配置されるタイミングは、ステップS10やステップS12におけるピアサ針310やサンプル分注プローブ207の移動に先立ち、試料容器が位置P1に配置されるようにしてもよいし、これらピアサ針310やサンプル分注プローブ207の移動と同時並行で試料容器が位置P1に配置されるようにしてもよいし、これらピアサ針310やサンプル分注プローブ207の移動後に、試料容器が位置P1に配置されるようにしてもよい。
【0083】
次に、制御回路9の試料吸引制御機能93は、位置P1にてピアサ針310を降下させる(ステップS14)。これにより、ピアサ針310のピアサノズル311が、試料容器を封止するキャップを穿孔して大気開放が行われる。
【0084】
次に、制御回路9の試料吸引制御機能93は、ピアサ針310の内部を通すように、サンプル分注プローブ207を降下させる(ステップS16)。具体的には、ピアサノズル311と同様に、位置P1にてサンプル分注プローブ207を降下させる。
【0085】
図10は、ステップS16でサンプル分注プローブ207を降下させた状態の試料容器SHとピアサ針310とサンプル分注プローブ207との配置を模式的に示す側面図である。この図10に示すように、ピアサ針310の内部には、プローブ連通孔PHが形成されている。このプローブ連通孔PHを貫通するように、サンプル分注プローブ207は上方から下方に向けて移動し、試料容器SHに収容された試料SPにまで降下する。
【0086】
サンプル分注プローブ207が降下する際には、試料容器SHのキャップCPは、ピアサ針310で既に穿孔されている。キャップCPを穿孔しているピアサ針310の内部に形成されたプローブ連通孔PHを、サンプル分注プローブ207が通ることにより、キャップCPの屑がサンプル分注プローブ207に入って目詰まりを起こすのを回避している。
【0087】
次に、制御回路9の試料吸引制御機能93は、サンプル分注プローブ207の先端から試料SPを吸引させる(ステップS18)。吸引する試料SPの量は、検査項目などによって予め試料吸引制御機能93などによって決定されている。
【0088】
試料SPを吸引後、制御回路9の試料吸引制御機能93は、サンプル分注プローブ207を上昇させ、且つ、ピアサ針310の内部に洗浄空気を供給する(ステップS20)。すなわち、ピアサ針310の内部のプローブ連通孔PHを貫通しているサンプル分注プローブ207を、プローブ連通孔PHを通したまま上昇させる。その際に、洗浄空気を洗浄空気用流路部312aから、ピアサノズル311の内部へ供給する。
【0089】
図11は、ステップS20でサンプル分注プローブ207を上昇させている状態の試料容器SHとピアサ針310とサンプル分注プローブ207との配置を模式的に示す側面図である。この図11に示すように、ピアサ針310の内部のプローブ連通孔PHを貫通しているサンプル分注プローブ207を、プローブ連通孔PHを通してそのまま引き抜くように、サンプル分注プローブ207を上昇させる。このため、サンプル分注プローブ207は、試料容器SHのキャップCPに触れること無く、試料容器SHから引き抜くことができる。
【0090】
また、洗浄空気は、図11の流路F1が示すように、洗浄空気用流路部312aからピアサノズル311の内部に供給されたのち、ピアサノズル311の下方へ流れ込む。このようにすることで、サンプル分注プローブ207に付着した試料やピアサノズル311に付着した試料を、洗浄媒体供給部312から供給された洗浄空気が払拭する。すなわち、洗浄空気が、サンプル分注プローブ207の側壁の外部に付着した試料を払拭し、ピアサノズル311の側壁の内部に付着した試料を払拭する。
【0091】
図9に示すように、サンプル分注プローブ207を上昇させた後、制御回路9の試料吸引制御機能93は、ピアサ針310を上昇させる(ステップS22)。すなわち、試料容器SHのキャップCPを穿孔しているピアサ針310を上昇させて、キャップCPから引き抜く。このステップS22により、本実施形態に係る試料吸引制御処理は終了する。
【0092】
ここで、図12図15を参照して、ピアサノズル311による試料容器SH内部の大気開放について詳述する。図12は、試料容器SH内部の大気開放が、大気開放用流路部ARで行われることを説明する模式図であり、ピアサノズル311がキャップCPを穿孔している状態を示している。この大気開放用流路部ARは、試料容器SHの内部をおよび外部を連通させる。キャップCPの穿孔により、ピアサノズル311の大気開放用流路部ARを介して流路F2が連通することで、試料容器SHの内部および外部が連通する。そして、試料容器SHの内部が大気開放される。
【0093】
図12の例では、大気開放用流路部ARは、ピアサノズル311の内部の円周に沿って全体的に設けられているが、この大気開放用流路部ARは、ピアサノズル311の外部に設けられてもよい。図13(a)及び図13(b)は、ピアサノズル311の外部に大気開放用流路部ARを設けたピアサノズル311の一例を説明する図である。具体的には、図13(a)は、ピアサノズル311の水平方向の模式的な断面図であり、図13(b)は上下方向の模式的な側面図である。
【0094】
これら図13(a)及び図13(b)に示すように、この例においては、ピアサノズル311の側壁の外部に、ピアサノズル311の軸方向に沿って大気開放用パイプ313が設けられている。この大気開放用パイプ313が、大気開放用流路部ARを構成する。
【0095】
例えば、大気開放用パイプ313は、溶接などによってピアサノズル311の側壁の外部に取り付けることができる。図13(b)が示すように、この大気開放用パイプ313の内部に流路F2が形成され、試料容器SHの内部が外部と連通して大気開放される。また、大気開放用パイプ313の上下方向の長さは、キャップCPの厚さよりも長い。すなわち、試料容器SHの内部と外部は、キャップCPにより隔てられる。このため、キャップCPを貫通させるために必要な長さが、大気開放用パイプ313の最小限の長さとして必要となる。
【0096】
一方、図14(a)及び図14(b)に示すように、ピアサノズル311の側壁に軸方向に沿って大気開放用の溝を設けることで、大気開放用流路部ARを形成することもできる。図13(a)及び図13(b)と同様に、図14(a)は、ピアサノズル311の水平方向の模式的な断面図であり、図14(b)は上下方向の模式的な側面図である。
【0097】
これら図14(a)及び図14(b)に示すように、この例においては、ピアサノズル311の側壁に、ピアサノズル311の軸方向に沿って部分的に窪みを形成し、この窪みが大気開放用溝部Wとなる。ピアサノズル311の軸方向に沿って形成された、この大気開放用溝部Wが、大気開放用流路部ARを構成する。
【0098】
図14(b)が示すように、この大気開放用パイプ313により、流路F2が形成され、試料容器SHの内部が外部と連通して大気開放される。また、大気開放用パイプ313と同様に、大気開放用溝部Wの上下方向の長さは、キャップCPの厚さよりも長い。すなわち、キャップCPを連通させるために必要な長さが、大気開放用溝部Wの最小限の長さとして必要となる。
【0099】
一方、図15(a)及び図15(b)に示すように、ピアサノズル311の側壁の内部に軸方向に沿って大気開放用パイプ314を設け、この大気開放用パイプ314により大気開放用流路部ARを形成するようにしてもよい。図13(a)及び図13(b)と同様に、図15(a)は、ピアサノズル311の水平方向の模式的な断面図であり、図15(b)は上下方向の模式的な側面図である。
【0100】
これら図15(a)及び図15(b)に示すように、この例においては、ピアサノズル311の側壁の内部に、ピアサノズル311の軸方向に沿って大気開放用パイプ314が設けられている。この大気開放用パイプ314が、大気開放用流路部ARを構成する。
【0101】
例えば、大気開放用パイプ314は、溶接などによってピアサノズル311の側壁に取り付けることができる。図15(b)が示すように、この大気開放用パイプ314の内部に流路F2が形成され、試料容器SHの内部が外部と連通して大気開放される。また、大気開放用パイプ314の上端は、ピアサノズル311の上端と同等の高さである。すなわち、大気開放用パイプ314は、ピアサノズル311の上端から試料容器SHの内部を大気に開放する。
【0102】
以上、図12図15を参照して、ピアサノズル311による試料容器SH内部の大気開放について説明したが、本実施形態のピアサ針310には、上述のいずれの大気開放用流路部ARを設けることができる。また、いずれの大気開放用流路部ARによっても、試料容器SHの内部と外部とを連通して、大気開放を実現することができる。
【0103】
上述の本実施形態における試料吸引制御処理によれば、試料容器SHの内部に収容された試料を吸引することができる。具体的には、ピアサ針310がキャップCPを穿孔する際に、大気開放用流路部ARが試料容器SHの内部の大気開放を行う。これにより、試料容器SHの内部と外部の大気が連通し、洗浄媒体供給部312に試料が逆流することを抑制する。また、サンプル分注プローブ207を上昇させる際には、洗浄媒体供給部312の洗浄空気用流路部312aから、洗浄空気をピアサノズル311の内部に供給する。この洗浄空気により、サンプル分注プローブ207やピアサ針310に付着している試料を払拭することができる。
【0104】
次に、図16図19を参照して、本実施形態に係る自動分析装置1によるピアサ針洗浄制御処理について説明する。図16は、ピアサ針310を洗浄する、ピアサ針洗浄制御処理の一連の流れを説明するフローチャートである。このピアサ針洗浄制御処理は、制御回路9のピアサ針洗浄制御機能94により実行される処理である。
【0105】
ピアサ針洗浄制御処理が開始されると、制御回路9のピアサ針洗浄制御機能94は、ピアサ針310をピアサ針洗浄位置へ移動させる(ステップS30)。すなわち、図6におけるピアサ針洗浄ポッド330の位置へ、駆動機構4によりピアサ針アーム300を回動駆動させ、ピアサ針310を移動させる。
【0106】
次に、制御回路9のピアサ針洗浄制御機能94は、ピアサ針洗浄ポッド330の位置で、ピアサ針310を降下させる(ステップS32)。本実施形態に係る自動分析装置1は、ピアサノズル洗浄機構としてピアサ針洗浄ポッド330を備えている。具体的には、図6に示すように、ピアサ針310の軌道T2上にピアサ針洗浄ポッド330を備えている。
【0107】
図17は、本実施形態に係る自動分析装置1が備えるピアサ針洗浄ポッド330の構成を説明する模式的な側面図である。この図17に示すように、ピアサ針洗浄ポッド330は、上面に開口部AP1を有する上蓋331と、この上蓋331により封止された洗浄槽332と、この洗浄槽332に設けられた外部洗浄媒体吐出部333とを備える。
【0108】
上蓋331は、その中央部分に、開口部AP1が形成されている。この開口部AP1の内径は、ピアサノズル311の外径よりも、十分に大きい。このため、ステップS30におけるピアサ針310の移動が多少なりともずれた場合でも、ピアサノズル311は上蓋331と接触すること無く、降下可能である。
【0109】
洗浄槽332は、開口部AP1から内部に挿入されたピアサノズル311を収容する。洗浄槽332の内周側には、外部洗浄媒体吐出部333が設けられている。図17においては、3つの外部洗浄媒体吐出部333が洗浄槽332に設けられているが、外部洗浄媒体吐出部333の配置される数は、これに限られるものではない。
【0110】
外部洗浄媒体吐出部333は、ピアサノズル311の側壁の外部を洗浄する洗浄媒体を吐出する。したがって、このステップS32においては、図17が示すように、ピアサ針310のピアサノズル311を、外部洗浄媒体吐出部333から吐出される洗浄媒体がピアサノズル311にあたるように、開口部AP1からピアサ針洗浄ポッド330の内部に到達するまで降下させる。
【0111】
次に、図16に示すように、制御回路9のピアサ針洗浄制御機能94は、ピアサノズル311の内部に、洗浄媒体供給部312から洗浄水および洗浄空気を供給する(ステップS34)。これにより、供給された洗浄水が、ピアサノズル311の側壁の内部を洗浄し、供給された洗浄空気が洗浄水の跳ね返りを抑制する。
【0112】
図18は、このときのピアサ針洗浄ポッド330とピアサノズル311の状態を説明する模式的な側面図であり、上述した図117に対応する図である。この図18が示すように、ピアサノズル311が洗浄槽332に挿入された状態で、洗浄媒体供給部312から洗浄媒体をピアサノズル311の内部に供給する。すなわち、本実施形態においては、洗浄空気用流路部312aから洗浄空気を供給し、洗浄水用流路部312bから洗浄水を供給する。
【0113】
これにより、流路F3が示すように、ピアサノズル311の内部へ洗浄水が供給され、ピアサノズル311の内部が洗浄される。上述のように、洗浄媒体供給部312の洗浄水用流路部312bはピアサノズル311の上部にて、その軸方向に斜め下方に向けて取り付けられている。このため、洗浄水がピアサノズル311の内部の側面に当った場合における流水の抵抗が低減されるとともに、洗浄水がピアサノズル311の内部の側面に当たることにより発生する飛沫を抑制する。この洗浄水により、ピアサノズル311の内部の上方から下方にかけて洗浄することができる。
【0114】
また、洗浄水の上方位置から洗浄空気を供給する。これにより、流路F4が示すように、洗浄空気が洗浄水を上方から抑える。言い換えると、洗浄水がピアサノズル311の上方に流れ込むことや、洗浄水の飛沫が上方に飛散することを抑制する。加えて、洗浄空気用流路部312aも斜め上方に取り付けられているため、洗浄空気の圧力損失も緩和される。
【0115】
本実施形態においては、ステップS34で洗浄空気用流路部312aから供給する洗浄空気の量は、上述した試料吸引制御処理におけるステップS20で洗浄空気用流路部312aから供給する洗浄空気の量よりも、少ない。これは、洗浄水の跳ね返りにより生じた飛沫の飛散を防止できれば、この洗浄空気を供給する目的は達成することができるからである。
【0116】
また、このステップS34においては、洗浄空気は、ピアサノズル311の内部に供給しないようにすることも可能である。すなわち、洗浄水の飛沫の上方への飛散が無視できる程度或いは許容できる程度である場合、洗浄空気の供給は不要となる。この場合、ステップS34においては、洗浄媒体供給部312の洗浄水用流路部312bから、洗浄水がピアサノズル311の内部に供給される。
【0117】
次に、図16に示すように、制御回路9のピアサ針洗浄制御機能94は、ピアサノズル311に、外部洗浄媒体吐出部333から外部洗浄水および外部洗浄空気を供給する(ステップS36)。これにより、ピアサノズル311の外壁が洗浄される。具体的には、例えば、図18の流路F5が示すように、外部洗浄媒体吐出部333から、洗浄媒体として外部洗浄水および外部洗浄空気を供給して、ピアサノズル311の外壁を洗浄する。なお、本実施形態においては、ステップS34におけるピアサノズル311の内部の洗浄と、ステップS36におけるピアサノズル311の外部の洗浄は、いずれが先に行われてもよい。さらには、ステップS34におけるピアサノズル311の内部の洗浄と、ステップS36におけるピアサノズル311の外部の洗浄は、同時並行で行われてもよい。
【0118】
なお、上記のステップS34またはステップS36において、サンプル分注プローブ207の外壁を洗浄してもよい。具体的には、図19に示すように、サンプル分注プローブ207が、ピアサノズル311のプローブ連通孔PHに位置している状態で、ピアサノズル311の内部および外部を洗浄してもよい。言い換えると、サンプル分注プローブ207が存在している状態で、洗浄媒体供給部312から洗浄媒体を供給する。これにより、サンプル分注プローブ207の外壁は、洗浄媒体により洗浄される。このような構成とすることで、サンプル分注プローブ207およびピアサノズル311を同時に洗浄することができる。この場合、サンプル分注プローブ207がピアサ針洗浄ポッド330の位置に移動できるように設計する必要がある。例えば、図6に示すサンプル分注アーム206が伸縮して、サンプル分注プローブ207がピアサ針洗浄ポッド330の位置に移動可能に構成する必要がある。
【0119】
次に、図16に示すように、ステップS34およびステップS36におけるピアサノズル311の洗浄が終了した後、制御回路9のピアサ針洗浄制御機能94は、ピアサ針310を上昇させる(ステップS38)。すなわち、ステップS32と逆方向に、ピアサ針310を上昇させる。このステップS38により、ピアサ針洗浄制御処理は終了する。
【0120】
以上のように、本実施形態に係る自動分析装置1によれば、ピアサノズル311の内部に、ピアサノズル311の軸方向に対して斜め上方から洗浄媒体を供給するように、洗浄媒体供給部312が設けられている。この洗浄媒体供給部312から洗浄媒体をピアサノズル311の内部に供給することで、洗浄機構を別途設けることなく、ピアサノズル311の内部を洗浄することができる。これにより、自動分析装置1の構成のレイアウトに関する制約が軽減される。また、ピアサ針310の洗浄の際における厳密な位置合わせを行うことなく、ピアサノズル311の内部を洗浄することができる。
【0121】
さらに、洗浄媒体供給部312がピアサノズル311の軸方向に対して斜めに設けられることにより、洗浄媒体がピアサノズル311の内壁に当った際における抵抗を低減することができ、洗浄媒体の圧力損失を緩和することができる。また、洗浄媒体が洗浄水および洗浄空気である場合には、洗浄空気を洗浄水の上方から供給することとした。これにより、洗浄空気が洗浄水を上方から抑え、洗浄水がピアサノズル311の上方に逆流することや洗浄水の飛沫がピアサノズル311の上方に飛散することを抑制できる。
【0122】
また、本実施形態に係る自動分析装置1においては、ピアサノズル311でキャップCPを穿孔する際に、大気開放用流路部ARで試料容器SHの内部と外部を連通させることとした。これにより、試料容器SH内部の大気開放を行うことができる。このため、試料容器SHが陰圧されていた場合においても、洗浄媒体供給部312へ試料が逆流することを抑制できる。
【0123】
また、本実施形態に係る自動分析装置1においては、試料容器SHから試料を吸引したサンプル分注プローブ207を上昇させる際に、洗浄空気用流路部312aから洗浄空気を供給することとした。これにより、サンプル分注プローブ207やピアサノズル311に付着した試料を洗浄空気で払拭することができる。
【0124】
〔第2実施形態〕
上述の第1実施形態は、ピアサノズル311に洗浄空気用流路部312aおよび洗浄水用流路部312bが設けられ、それぞれに洗浄空気と洗浄水が供給された。第2実施形態では、供給する洗浄媒体の切替弁としての電磁弁40を洗浄媒体供給部312に設けて、洗浄空気または洗浄水を切り替えて、ピアサノズル311の内部に供給する。以下、第1実施形態と異なる部分を中心に第2実施形態を説明する。
【0125】
図20は、本実施形態におけるピアサ針310の構成を説明する図であり、第1実施形態の図7に対応する図である。また、この図20の右側部分は、ピアサ針310の領域IIを拡大して模式的に示している。
【0126】
この図20が示すように、本実施形態に係るピアサ針310は、第1実施形態と同様に、ピアサノズル311と、ピアサノズルの軸方向に対して斜め上方から洗浄媒体をピアサノズル311の内部に供給する洗浄媒体供給部312とを備えている。さらに、本実施形態に係るピアサ針310は、切替弁として電磁弁40を備えている。この電磁弁40は、切替弁の一例であり、他の種類の弁を切替弁として用いることもできる。
【0127】
まず、この図20を参照して、本実施形態における、電磁弁40を用いた洗浄媒体の切り替え動作を説明する。
【0128】
本実施形態に係る自動分析装置1においては、洗浄媒体供給部312は、洗浄水および洗浄空気が流れる共通流路部C0を備えて構成されている。さらに、本実施形態に係る自動分析装置1は、この共通流路部C0に接続された電磁弁40と、洗浄水を供給する洗浄水供給用ポンプ50と、洗浄空気を供給する洗浄空気供給用コンプレッサ60とを備えて構成されている。電磁弁40と洗浄水供給用ポンプ50とは、流路部C1で接続され、電磁弁40と洗浄空気供給用コンプレッサ60とは流路部C2で接続されている。なお、本実施形態に係る自動分析装置1のその他の構成については、第1実施形態と同様であるため、説明は省略する。
【0129】
洗浄水は、洗浄水供給用ポンプ50から、流路部C1、電磁弁40および共通流路部C0を通じて、洗浄媒体供給部312へ供給される。一方、洗浄空気は、洗浄空気供給用コンプレッサ60から、流路部C2、電磁弁40および共通流路部C0を通じて、洗浄媒体供給部312へ供給される。したがって、共通流路部C0には、洗浄水および洗浄空気が流れる。電磁弁40は、この共通流路部C0に洗浄水を供給するか、洗浄空気を供給するか、洗浄水および洗浄空気の双方供給するかを切り替える切替弁として機能する。なお、電磁弁40による切り替えは、例えば、制御回路9のシステム制御機能91によって行われる。
【0130】
例えば、図9の試料吸引制御処理におけるステップS20では、電磁弁40は、洗浄空気を供給するように切り替わり、洗浄空気供給用コンプレッサ60から洗浄媒体供給部312に洗浄空気が供給される。これにより、ピアサノズル311の内部に洗浄空気が供給される。
【0131】
一方、例えば、図16のピアサ針洗浄制御処理におけるステップS34においては、電磁弁40は、洗浄水と洗浄空気との双方を供給するように切り替わり、洗浄水供給用ポンプ50洗浄媒体供給部312に洗浄水が供給され、また、洗浄空気供給用コンプレッサ60から洗浄媒体供給部312に洗浄空気が供給される。または、電磁弁40は、洗浄水を供給するように切り替わり、洗浄水供給用ポンプ50洗浄媒体供給部312に洗浄水が供給される。
【0132】
上記のようにして、共通流路部C0を通じて洗浄媒体供給部312へ供給された洗浄水および洗浄空気は、流路F6で示すようにピアサノズル311の内部へ供給される。これにより、ピアサノズル311の内部が洗浄される。なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、試料吸引制御機能93により試料吸引制御処理が実行され、ピアサ針洗浄制御機能94によりピアサ針洗浄制御処理が実行される。これらの処理についても、第1実施形態と同様であるため、その全体的な説明は省略する。
【0133】
以上のように、本実施形態に係る自動分析装置1によれば、切替弁としての電磁弁40により、洗浄媒体供給部312へ、洗浄水を供給するのか、洗浄空気を供給するのか、洗浄水および洗浄空気の双方を供給するのかを、切替えることができる。このため、ピアサノズル311の洗浄媒体供給部312に、1つの共通流路部C0を設けることで、第1実施形態と同様のピアサ針310を実現することができる。
【0134】
〔第3実施形態〕
上述の第1および第2実施形態においては、洗浄媒体供給部312がピアサノズル311へ直接装着されていた。一方で、第3実施形態においては、洗浄媒体供給部312がアダプタを介してピアサノズル311へ装着される。以下、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0135】
図21は、本実施形態に係るピアサ針310を説明する図である。本実施形態に係るピアサ針310においては、アダプタ315を介して、洗浄媒体供給部312がピアサノズル311に装着される。換言すれば、洗浄媒体供給部312は、アダプタ315に設けられている。そして、アダプタ315は、ピアサノズル311の上方に装着される。
【0136】
具体的には、アダプタ315の上方に向けてガイド部3151が設けられ、アダプタ315の側面に洗浄媒体供給部312が結合される。なお、この洗浄媒体供給部312は、第1実施形態と同様に、ピアサノズル311の軸方向に対して斜めに設けられている。このため、洗浄媒体供給部312は、ピアサノズル311の内部に、ピアサノズル311の軸方向に対して斜め上方から洗浄媒体の一例である洗浄水を供給する。
【0137】
ガイド部3151には、上方の内径が広く下方の内径が狭い、上下方向にテーパー状の挿入口3152が設けられている。すなわち、挿入口3152は、上方のサンプル分注プローブ207挿入側が広くなっており、下方のピアサノズル311側が狭くなっている。このため、アダプタ315は、サンプル分注プローブ207のピアサノズル311への挿入のためのガイドリングとして機能し、サンプル分注プローブ207とピアサ針310との間の位置合わせ精度に対する要求を緩和する。
【0138】
洗浄媒体供給部312は、ガイド部3151の挿入口3152の内径が広くなっている下部の位置に斜めに設けられている。換言すれば、アダプタ315の下部に斜めに設けられている。洗浄媒体供給部312に、例えば、チューブ3121などを装着して、洗浄媒体として洗浄水を供給する。これにより、ピアサノズル311の内部が上方から下方にかけて洗浄される。
【0139】
また、本実施形態においては、図21が示すように、ピアサノズル311の上方に、絶縁スペーサ311cが設けられている。すなわち、絶縁スペーサ311cを介して、アダプタ315がピアサノズル311へ装着されてもよい。
【0140】
以上のようにして、本実施形態に係るピアサ針310が構成される。本実施形態においても、洗浄媒体供給部312がピアサノズル311の軸方向の斜め上方から洗浄媒体を供給するので、ピアサノズル311の内部に洗浄水が当たった際における流水抵抗を低減することができる。また、洗浄媒体供給部312が設けられたアダプタ315は、サンプル分注プローブ207の挿入の際なガイドリングとしても機能する。このため、サンプル分注プローブ207とピアサ針310との間の位置合わせ精度の要求を、緩やかにすることができる。
【0141】
なお、ピアサ針310およびサンプル分注プローブ207の制御については、第1実施形態と同様である。すなわち、ピアサノズル311は上下方向のY1方向に移動することで、試料容器SHのキャップCPを穿孔する。そして、サンプル分注プローブ207は上下方向のY1方向に移動し、アダプタ315およびピアサノズル311の内部を通過して試料を吸引する。
【0142】
次に、図22を参照して、本実施形態におけるピアサ針310の洗浄について説明する。本実施形態においても、ピアサ針310の洗浄は、ピアサ針洗浄ポッド330を用いて行われる。すなわち、ピアサノズル311を、ピアサ針洗浄ポッド330の上蓋331の開口部AP1から、洗浄槽332の内部に挿入し、ピアサノズル311の内部および外部を洗浄する。
【0143】
ピアサノズル311の洗浄においては、第1実施形態と同様に、洗浄水と洗浄空気を供給する。但し、本実施形態では、アダプタ315の上方から、洗浄空気を供給する。具体的には、アダプタ315の上方に内部乾燥ヘッド70を一時的に接続する。そして、内部乾燥ヘッド70から洗浄空気をピアサノズル311の内部に供給する。
【0144】
この内部乾燥ヘッド70は、ピアサノズル311の軸方向に沿って移動する。すなわち、内部乾燥ヘッド70は、上下方向であるY2方向に移動する。これにより、内部乾燥ヘッド70はアダプタ315への接続が可能となる。したがって、洗浄空気は、ピアサノズル311の軸方向に沿って、ピアサノズル311の下方に向けて供給される。このため、洗浄空気の圧力損失がより低減される。なお、洗浄水は、アダプタ315の側面に斜めに設けられた洗浄媒体供給部312の洗浄水用流路部312bから供給される。
【0145】
また、第1実施形態と同様に、ピアサ針アーム300およびピアサ針310は、駆動機構4により駆動される。この図22の例においては、駆動機構4の駆動により、ピアサ針駆動軸320がY3方向に回転する。また、駆動機構4の駆動により、ピアサ針駆動軸320が上下方向であるY2方向に上下移動する。
【0146】
本実施形態においては、例えば、上述した図16のピアサ針洗浄制御処理におけるステップS34で、洗浄空気が内部乾燥ヘッド70を介してピアサノズル311の内部に供給され、洗浄水が洗浄媒体供給部312を介してピアサノズル311の内部に供給される。
【0147】
なお、サンプル分注プローブ洗浄ポッド215は、ピアサ針洗浄ポッド330と同様の構成である。すなわち、開口部AP2を有する上蓋2151と、サンプル分注プローブ207を内部に収容する洗浄槽2152とから、サンプル分注プローブ洗浄ポッド215が構成される。
【0148】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、試料吸引制御機能93により試料吸引制御処理が実行され、ピアサ針洗浄制御機能94によりピアサ針洗浄制御処理が実行される。これらの処理については、第1実施形態と同様であるため、その全体的説明は省略する。
【0149】
以上のように、本実施形態に係る自動分析装置1によれば、ピアサ針310の洗浄媒体供給部312は、アダプタ315を介してピアサノズル311に装着される。このため、上述した第1実施形態と同様に、洗浄媒体供給部312を介して、ピアサノズル311の軸方向に対して斜め上方から、洗浄水をピアサノズル311の内部に供給することができる。
【0150】
一方で、洗浄媒体としての洗浄空気は、内部乾燥ヘッド70を介して、ピアサノズル311の上方から軸方向に沿って供給される。このため、洗浄空気を供給する際に生ずる札力損失を最小限に抑えることができる。
【0151】
なお、本実施形態において、ピアサノズル311の洗浄時に、内部乾燥ヘッド70を一時的にピアサ針310に接続して、洗浄空気を供給することとしたのは、万が一、内部乾燥ヘッド70とピアサ針310との密着が不十分で、洗浄空気がその隙間から漏れ出たとしても、それは空気であることから、洗浄水が漏れ出た場合と比べて、影響が限定的であるからである。
【0152】
なお、本実施形態においても、第1実施形態や第2実施形態と同様に、洗浄水と洗浄空気の双方を供給する洗浄媒体供給部312を、アダプタ315を介して、ピアサノズル311に結合するようにしてもよい。この場合、上述した内部乾燥ヘッド70およびその駆動機構は、不要となる。
【0153】
〔第3実施形態の変形例〕
上述の第3実施形態では、洗浄媒体供給部312が、アダプタ315の側面に斜めに設けられていた。一方で第3実施形態の変形例では、洗浄媒体供給部312が、アダプタ315の側面に垂直に設けられる。以下、上述の第3実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0154】
図23は、本変形例に係るピアサ針310を説明する図であり、第3実施形態の図21に対応する図である。図24は、本変形例におけるピアサ針310の洗浄について説明する図であり、第3実施形態の図22に対応する図である。これら図23及び図24から分かるように、本変形例においても、第3実施形態と同様に、本実施形態に係るピアサ針310は、ピアサノズル311と、洗浄媒体供給部312と、アダプタ315とを備えて構成されている。
【0155】
本変形例においても、洗浄媒体供給部312は、アダプタ315に設けられている。そして、アダプタ315は、ピアサノズル311の上部に装着される。このため、洗浄媒体供給部312は、アダプタ315を介してピアサノズル311に装着される。したがって、アダプタ315の上部にガイド部3151が設けられ、アダプタ315の側面に洗浄媒体供給部312が設けられている。
【0156】
図23および図24に示すように、洗浄媒体供給部312は、アダプタ315の下部に垂直に設けられている。そして、洗浄媒体供給部312の洗浄水用流路部312bに、例えば、チューブ3121などを装着して洗浄水が供給される。これにより、ピアサノズル311の内部に洗浄水が供給され、ピアサノズル311の内部が上方から下方にかけて洗浄される。また、絶縁スペーサ311cを介して、アダプタ315がピアサノズル311へ装着されている。
【0157】
以上のようにして、本変形例に係るピアサ針310が構成される。このように、洗浄媒体供給部312からピアサノズル311の内部に、ピアサノズル311の軸方向に対して垂直に洗浄媒体が供給される点を除けば、本変形例は、上述した第3実施形態と同様の構成である。このため、第3実施形態と同様に、試料吸引制御機能93により試料吸引制御処理が実行され、ピアサ針洗浄制御機能94によりピアサ針洗浄制御処理が実行される。
【0158】
上記説明では、制御回路9における「プロセッサ」が各処理機能に対応するプログラムを記憶回路から読み出して実行する例を説明したが、実施形態はこれに限定されない。「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU (Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することで各処理機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、プログラムが記憶回路に保存される代わりに、当該処理機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その処理機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその処理機能を実現するようにしてもよい。
【0159】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0160】
1…自動分析装置、2…分析機構、3…解析回路、4…駆動機構、5…入力インターフェース、6…出力インターフェース、7…通信インターフェース、8…記憶回路、9…制御回路、40…電磁弁、50…洗浄水供給用ポンプ、60…洗浄空気供給用コンプレッサ、70…内部乾燥ヘッド、91…システム制御機能、92…測光制御機能、93…試料吸引制御機能、94…ピアサ針洗浄制御機能、100…試薬容器、201…反応ディスク、202…恒温部、203…ラックサンプラ、204…試薬庫、206…サンプル分注アーム、207…サンプル分注プローブ、208…試薬分注アーム、209…試薬分注プローブ、210…サンプル分注プローブ駆動軸、211…測光ユニット、215…サンプル分注プローブ洗浄ポッド、300…ピアサ針アーム、310…ピアサ針、311…ピアサノズル、312…洗浄媒体供給部、312a…洗浄空気用流路部、312b…洗浄水用流路部、313…大気開放用パイプ、314…大気開放用パイプ、315…アダプタ、320…ピアサ針駆動軸、330…ピアサ針洗浄ポッド、331…上蓋、332…洗浄槽、333…外部洗浄媒体吐出部、2011…反応容器、2031…試料ラック、2032…搬送領域、2033…領域、2034…領域、2111…光源、2112…光検出器、2113…光検出器、2151…上蓋、2152…洗浄槽、3121…チューブ、AR…大気開放用流路部、CP…キャップ、SH…試料容器
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