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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191951
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】カードリーダ
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/08 20060101AFI20221221BHJP
   G06K 7/00 20060101ALI20221221BHJP
   G11B 5/02 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
G06K7/08 040
G06K7/00 091
G11B5/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100490
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】内山 龍
(72)【発明者】
【氏名】藤本 将也
【テーマコード(参考)】
5D091
【Fターム(参考)】
5D091AA12
5D091HH01
5D091HH02
5D091HH04
5D091JJ21
(57)【要約】
【課題】磁気データ詐取部材の取り付けによる磁気データの詐取を抑制すること。
【解決手段】カードリーダ1は、露出部11bと、凸部14と、破壊検知用配線33dと、制御基板13と、を備える。露出部11bは、カードリーダ1が挿入される挿入口10を有する露出部11bを備える。凸部14は、露出部11bの前面に設けられ、露出部11bの前方に突出している。破壊検知用配線33dは、凸部14の内部に設けられている。制御基板13は、破壊検知用配線33dの断線および短絡の少なくともいずれかを検知する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードが挿入される挿入口を有するカード挿入部と、
前記カード挿入部の前面に設けられ前記カード挿入部の前方に突出した凸部と、
前記凸部の内部に設けられた破壊検知用配線と、
前記破壊検知用配線の断線および短絡の少なくともいずれかを検知する検知部と、
を備えるカードリーダ。
【請求項2】
請求項1に記載のカードリーダであって、
前記凸部は、前記カード挿入部の前面において前記挿入口と隣接して設けられる、
カードリーダ。
【請求項3】
請求項2に記載のカードリーダであって、
前記挿入口のうち、前記挿入口に挿入される前記カードの磁気ストライプが通過する部分と隣接して設けられる、
カードリーダ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のカードリーダであって、
フレキシブルプリント回路基板を備え、
前記破壊検知用配線は、前記フレキシブルプリント回路基板のうち前記凸部の内部に配置された部分に形成されている、
カードリーダ。
【請求項5】
請求項4に記載のカードリーダであって、
前記検知部は、前記凸部の内部とは異なる部分に設けられ、前記フレキシブルプリント回路基板に形成された配線を介して前記破壊検知用配線と接続されている、
カードリーダ。
【請求項6】
請求項4または5に記載のカードリーダであって、
前記フレキシブルプリント回路基板は、前記挿入口から挿入されたカードの磁気情報を読み出す磁気ヘッドと、前記磁気情報に基づく処理を行う処理部と、を接続する信号配線を有する、
カードリーダ。
【請求項7】
請求項6に記載のカードリーダであって、
前記フレキシブルプリント回路基板は、前記磁気ヘッドの側方に配置され、前記フレキシブルプリント回路基板における前記破壊検知用配線が形成される部分と、前記フレキシブルプリント回路基板における前記信号配線が形成される部分と、を接続する接続部を有する、
カードリーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ATM(Automated Teller Machine)等の取引端末装置に設けられ、磁気カードの磁気ストライプに記憶された磁気データの読み取り等を行うるカードリーダが知られている。特許文献1,2には、カードから読み取られたデータの信号やカードに記録されるデータの信号を伝えるためのデータ信号回路が形成されるフレキシブルプリント基板を備えるカードリーダにおいて、データ信号回路からのデータの不正取得を防止することが可能なカードリーダが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-170422号公報
【特許文献2】特開2018-169833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
磁気カードを挿入可能な既存のカードリーダには、カード挿入口の前面(ユーザ側の面)が平坦になっており、磁気データ詐取部材(オーバーレイスキマ)を容易に取り付け可能なものが存在する。このようなカードリーダのカード挿入口の前面に磁気データ詐取部材を取り付け、他者がカードリーダに挿入した磁気カードの磁気データを詐取する犯罪が考えられる。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、磁気データ詐取部材の取り付けによる磁気データの詐取を抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカードリーダは、カードが挿入される挿入口を有するカード挿入部と、前記カード挿入部の前面に設けられ前記カード挿入部の前方に突出した凸部と、前記凸部の内部に設けられた破壊検知用配線と、前記破壊検知用配線の断線および短絡の少なくともいずれかを検知する検知部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、磁気データ詐取部材の取り付けによる磁気データの詐取を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の斜視図である。
図2図1に示すカードリーダ1から前面カバー11を取り外した状態の分解斜視図である。
図3】カードリーダ1による読み取り対象の一例であるカード2を示す図である。
図4】フレキシブルプリント基板19の第1回路層32の展開図である。
図5】フレキシブルプリント基板19の第2回路層34の展開図である。
図6】フレキシブルプリント基板19の多層構成を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
(カードリーダの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の斜視図である。図2は、図1に示すカードリーダ1から前面カバー11を取り外した状態の分解斜視図である。図3は、カードリーダ1による読み取り対象の一例であるカード2を示す図である。
【0011】
本形態のカードリーダ1は、カード2に記録されたデータの読み取りやカード2へのデータの記録を行う装置である。具体的には、カードリーダ1は、カードリーダ1へのカード2の挿入とカードリーダ1からのカード2の抜き取りとを手動で行ってデータの読み取りや記録を行ういわゆるディップ式のカードリーダである。このカードリーダ1は、たとえば、無人またはセルフサービス方式のガソリンスタンドの給油装置やATM等の上位装置に搭載されて使用される。
【0012】
カード2は、たとえば、厚さが0.7~0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。カード2の一方の面には、磁気データが記録される磁気ストライプ2aが形成されている。また、カード2には、ICチップが内蔵されており、カード2の他方の面には、ICチップの外部接続端子(不図示)が形成されていてもよい。なお、カード2は、厚さが0.18~0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードや、所定の厚さの紙カード等であってもよい。
【0013】
カードリーダ1は、カードリーダ本体3と、カードリーダ本体3を覆うケース体4とを備えている。カードリーダ本体3は、カード2が移動するカード移動路5が形成される本体フレーム6と、カード2に記録された磁気データの読み取りおよびカード2への磁気データの記録の少なくともいずれか一方を行う磁気ヘッド7と、カード2に内蔵されるICチップとデータの通信を行うための複数のIC接点バネを有するIC接点ブロック(不図示)とを備えている。
【0014】
ケース体4は、カード2の挿入口10が形成される前面カバー11と、ケース本体12とから構成されている。また、カードリーダ1は、図2に示すように、制御用のプリント基板である制御基板13を備えている。制御基板13は、後述の破壊検知用配線33dの断線および短絡の少なくともいずれかを検知する検知部の一例である。
【0015】
本形態では、手動で操作されるカード2は、図1等に示すX方向に移動する。すなわち、X方向は、カード移動路5を移動するカード2の移動方向である。また、カード2は、X1方向に挿入され、X2方向に抜き取られる。また、X方向に直交する図1等のZ方向は、カード移動路5を移動するカード2の厚さ方向であり、X方向とZ方向とに直交する図1等のY方向は、カード移動路5を移動するカード2の幅方向(短手幅方向)である。
【0016】
以下の説明では、X方向を前後方向、Y方向を左右方向、Z方向を上下方向とする。また、カードリーダ1へのカード2の挿入方向側であるX1方向側を「後ろ」側とし、カードリーダ1からのカード2の抜き取り方向側であるX2方向側を「前」側とする。また、左右方向の一方側であるY1方向側を「右」側、左右方向の他方側であるY2方向側を「左」側、上下方向の一方側であるZ1方向側を「上」側、上下方向の他方側であるZ2方向側を「下」側とする。また、カードリーダ1の各部のX2方向側の面を前面とする。また、カードリーダ1の各部Y方向側を側方とする。
【0017】
前面カバー11は、本体フレーム6の前面側に配置されており、本体フレーム6の前面側部分を覆っている。また、前面カバー11は、カードリーダ1の前面を構成している。前面カバー11の前面側には、上位装置へのカードリーダ1の取付面11aが形成されている。取付面11aは、前後方向に直交する平面となっている。また、前面カバー11の前面側には、上位装置の前面パネルに形成される開口の中に配置される露出部11bが形成されている。露出部11bは、取付面11aから前側へ突出するように形成されており、上位装置にカードリーダ1が取り付けられたときに、上位装置の前面パネルの一部を構成している。露出部11bは、カード2が挿入される挿入口10を有するカード挿入部の一例である。
【0018】
また、前面カバー11には、露出部11bの前面から後ろ側に向かって窪む指挿入部11cが形成されている。指挿入部11cは、ユーザの指が挿入可能となる大きさに形成されており、ユーザがカードリーダ1へカード2を挿入する際、および、ユーザがカードリーダ1からカード2を抜き取る際には、この指挿入部11cにユーザの指が挿入される。挿入口10は、露出部11bの前面、指挿入部11cの左右の両側面および後面に形成されている。
【0019】
露出部11bの前面のうち、挿入口10と隣接する部分には、凸部14が設けられている。これにより、露出部11bの前面における挿入口10を囲む部分のうち一部分のみが、凸部14により突出した形状となり、露出部11bの前面における挿入口10の周辺に磁気データ詐取部材を取り付けることが困難となる。特に、露出部11bの前面に、挿入口10と連通する開口部を有する板状の磁気データ詐取部材を取り付けることが困難となる。これにより、磁気データ詐取部材の取り付けによる磁気データの詐取を抑制することができる。
【0020】
また、凸部14は、挿入口10のうち、挿入口10に挿入されるカードリーダ1の磁気ストライプ2aが通過する部分と隣接する位置、すなわち磁気ヘッド7の前方に設けられている。これにより、カード2の磁気データを詐取するために磁気ストライプ2aが通過する部分の周囲に磁気ヘッド等を配置する必要のある磁気データ詐取部材の取り付けをより困難にすることができる。
【0021】
凸部14は、Y方向からみて、露出部11bの前面の他の部分と平行な底辺を有する略三角形状である。また、凸部14の上面14aは、挿入口10(カード移動路5)の底面と滑らかに繋がっており、上面14aを滑らせるようにカード2をX1方向に差し込むことで、カード2を容易に挿入口10に挿入することができるようになっている。
【0022】
また、凸部14の内部には、フレキシブルプリント基板19の矩形部19nが設けられており、矩形部19nには破壊検知用配線33dが形成されている。矩形部19nおよび破壊検知用配線33dについては図5において後述する。凸部14が破壊されると、凸部14の内部の破壊検知用配線33dが断線したり短絡したりして、凸部14の破壊を検知できるようになっている。これにより、凸部14を破壊して磁気データ詐取部材の取り付けても、機能停止等の処理により、磁気データの詐取を抑制することができる。
【0023】
ケース本体12は、前端が開口する略直方体の箱状に形成されている。前面カバー11とケース本体12とは、前面カバー11の後端とケース本体12の前端とが当接した状態で互いに固定されている。ケース体4は、カードリーダ本体3の上下の両面、左右の両面および前後の両面を覆っている。
【0024】
制御基板13は、略長方形の平板状に形成されたリジッド基板である。制御基板13は、本体フレーム6における、挿入されたカード2の後端側部分が収容されるカード収容部の上面に固定されている。磁気ヘッド7は、フレキシブルプリント基板19を介して制御基板13に電気的に接続されている。図2に示すように、制御基板13には、フレキシブルプリント基板19が接続されるコネクタ22が実装されている。
【0025】
制御基板13は、磁気ヘッド7によってカード2の磁気ストライプから読み取った磁気データの信号(データ信号)や磁気ヘッド7によってカード2の磁気ストライプに記録するデータ信号を伝えるためのデータ信号回路が形成されるデータ信号回路層を備える。
【0026】
本形態では、データを不正に取得するために犯罪者によって何らかの不正行為が行われて、フレキシブルプリント基板19に形成される後述の破壊検知用配線33a,33bの断線や短絡が検知されたり、凸部14の内部の破壊検知用配線33dの断線や短絡が検知されたりすると、磁気データの詐取を抑制する処理が行われる。この処理は、たとえば、制御基板13に記憶されているデータを消去したり、制御基板13を使用不可な状態(機能停止の状態)にしたり、上位装置に異常を通知したりする等の所定の処理である。
【0027】
(フレキシブルプリント基板の構成)
図4は、フレキシブルプリント基板19の第1回路層32の展開図である。図5は、フレキシブルプリント基板19の第2回路層34の展開図である。図6は、フレキシブルプリント基板19の多層構成を説明するための断面図である。
【0028】
図6に示すように、フレキシブルプリント基板19は、第1回路層32(図4参照)と、第2回路層34(図5参照)と、第1回路層32および第2回路層34を保護する絶縁層35とを備えている。また、図6に示すように、絶縁層35と第1回路層32と絶縁層35と第2回路層34と絶縁層35とが、フレキシブルプリント基板19の一方の面から他方の面に向かってこの順番で積層されている。すなわち、第2回路層34は、絶縁層35を介して第1回路層32と重なっている。
【0029】
複数の折れ曲がり部20は、フレキシブルプリント基板19に形成された折り曲げ可能な各部位であり、図1図2に示したカードリーダ1において、フレキシブルプリント基板19は折れ曲がり部20で折れ曲がった状態で格納されている(図2参照)。
【0030】
フレキシブルプリント基板19は、3つの端部を有するY字形状となっている。フレキシブルプリント基板19の第1の端部は、制御基板13のコネクタ22に接続されている。フレキシブルプリント基板19の第2の端部は、磁気ヘッド7に接続されている。フレキシブルプリント基板19の第3の端部は、凸部14の内部に延びている。フレキシブルプリント基板19は、折れ曲がり部20のそれぞれにおいて所定形状に折り曲げられた状態で本体フレーム6に沿って引き回されている。
【0031】
フレキシブルプリント基板19は、コネクタ22に接続される被接続部19aと、磁気ヘッド7に接続される被接続部19bと、被接続部19bを覆う覆部19cと、被接続部19bと覆部19cとを繋ぐ接続部19dと、被接続部19aと覆部19cとを繋ぐ接続部19eと、凸部14の内部に設けられる矩形部19nと接続部19eとを繋ぐ接続部19mと、接続部19mに接続される接地部19iとから構成されている。
【0032】
被接続部19aは、略長方形状に形成されている。被接続部19bおよび覆部19cは、略正方形状に形成されている。接続部19dは、直線状に形成されている。接続部19eは、直線状に形成される第1直線接続部19fおよび第2直線接続部19gと、第1直線接続部19fと第2直線接続部19gとの間に配置される略楕円形状の楕円接続部19hとから構成されている。第1直線接続部19fの一端は、被接続部19aに繋がり、第1直線接続部19fの他端は、楕円接続部19hに繋がっている。第2直線接続部19gの一端は、覆部19cに繋がり、第2直線接続部19gの他端は、楕円接続部19hに繋がっている。
【0033】
第1直線接続部19fおよび第2直線接続部19gは、フレキシブルプリント基板19が展開された状態で、第1直線接続部19fと第2直線接続部19gとが同一直線上に配置されるように形成されている。接続部19dは、フレキシブルプリント基板19が展開された状態で、第2直線接続部19gと接続部19dとが直交するように形成されている。楕円接続部19hには、2個の貫通穴19j,19kが形成されている。
【0034】
被接続部19bは、磁気ヘッド7の下端部に半田付けされて接続されている。覆部19cは、被接続部19bを下側から覆っている。接続部19dは、被接続部19bが覆部19cに覆われるように折り返されている。なお、被接続部19b、接続部19dおよび覆部19cは、樹脂製の封止部材(図示省略)によって覆われている。接続部19eは、磁気ヘッド7から後ろ側に向かって引き回されている。
【0035】
第1回路層32(図4参照)には、データ信号を伝えるための(具体的には、カード2から読み取られたデータの信号およびカード2に記録されるデータの信号の少なくともいずれか一方を伝えるための)データ信号回路31aと、自身が断線したことおよび短絡したことを検知するための破壊検知用配線33aと、が形成される。第2回路層34(図5参照)には、データ信号を伝えるためのデータ信号回路31bと、自身が断線したことおよび短絡したことを検知するための破壊検知用配線33bと、が形成される。
【0036】
第1回路層32のデータ信号回路31aは、第1回路層32から第2回路層34に導通する接続部31cを介して、第2回路層34のデータ信号回路31bと接続されている。第1回路層32の破壊検知用配線33aは、第1回路層32から第2回路層34に導通する接続部33cを介して、第2回路層34の破壊検知用配線33bと接続されている。
【0037】
また、第1回路層32には、自身が断線したことおよび短絡したことを検知するための破壊検知用配線33fが形成される。第2回路層34には、自身が断線したことおよび短絡したことを検知するための破壊検知用配線33d,33hが形成される。第1回路層32の破壊検知用配線33fの一端は、第1回路層32から第2回路層34に導通する接続部33eを介して、第2回路層34の破壊検知用配線33dと接続されている。第1回路層32の破壊検知用配線33fの他端は、第1回路層32から第2回路層34に導通する接続部33gを介して、第2回路層34の破壊検知用配線33hと接続されている。また、第1回路層32には、接地部19iと接続された接地回路38が形成されている。
【0038】
図4図5に示すように、第1回路層32の外形および第2回路層34の外形は、フレキシブルプリント基板19の外形とほぼ等しくなっている。また、絶縁層35の外形も、フレキシブルプリント基板19の外形とほぼ等しくなっている。
【0039】
データ信号回路31a,31bは、磁気データの信号を伝える。データ信号回路31a,31bは、複数のパターン配線によって構成されている。本形態では、磁気ヘッド7が3チャンネル型の磁気ヘッドとなっており、データ信号回路31a,31bは、6本のパターン配線によって構成されている。データ信号回路31a,31bの一端(データ信号回路31a側の端部)は磁気ヘッド7に接続され、データ信号回路31a,31bの他端(データ信号回路31b側の端部)は制御基板13に接続されている。
【0040】
破壊検知用配線33a,33bには、矩形波状のデジタル信号である破壊検知信号が流れている。破壊検知用配線33a,33bは、フレキシブルプリント基板19に形成された1本の配線によって構成されている。図4図5の例では、第1回路層32の破壊検知用配線33aは、第1直線接続部19fの部分において密に張り巡らされている。第2回路層34の破壊検知用配線33bは、覆部19c、第2直線接続部19g、および楕円接続部19hの部分において密に張り巡らされている。
【0041】
破壊検知用配線33a,33bを形成する配線の一端は、制御基板13に形成される破壊検知回路に接続され、破壊検知用配線33a,33bを形成する配線の他端は接地されている。また、破壊検知用配線33a,33bを形成する配線の一端は、制御基板13の破壊検知回路を介して、制御基板13に実装されたバッテリーに接続されている。破壊検知用配線33a,33bは、被接続部19aから、第1直線接続部19f、楕円接続部19h、第2直線接続部19g、覆部19cをこの順に引き回された後、覆部19cにおいて折り返されて、被接続部19aまで引き回されている。
【0042】
制御基板13に形成される破壊検知回路は、破壊検知用配線33a,33bの電位の変動に基づいて、破壊検知用配線33a,33bの断線および短絡の少なくともいずれかを検知すると、磁気データの詐取を抑制する上記の処理を行う。これにより、フレキシブルプリント基板19の接続部19e等の加工等が行われた場合に磁気データの詐取を抑制する上記の処理を行うことができる。
【0043】
破壊検知用配線33d,33f,33hには、矩形波状のデジタル信号である破壊検知信号が流れている。破壊検知用配線33d,33f,33hは、フレキシブルプリント基板19上に形成された1本の配線によって構成されている。図4図5の例では、破壊検知用配線33dは、第2回路層34における矩形部19nにおいて密に張り巡らされている。矩形部19nは、2つの折れ曲がり部20を有し、凸部14の内部において折れ曲がった状態で立体的に設けられるため(図2参照)、破壊検知用配線33dも凸部14の内部において立体的に配置されることになる。
【0044】
破壊検知用配線33d,33f,33hを形成する配線の一端は、制御基板13に形成される破壊検知回路に接続され、破壊検知用配線33d,33f,33hを形成する配線の他端は接地されている。また、破壊検知用配線33d,33f,33hを形成する配線の一端は、制御基板13の破壊検知回路を介して、制御基板13に実装されたバッテリーに接続されている。破壊検知用配線33d,33f,33hは、被接続部19aから、第1直線接続部19f、楕円接続部19h、接続部19m、矩形部19nをこの順に引き回された後、矩形部19nにおいて折り返されて、被接続部19aまで引き回されている。
【0045】
制御基板13に形成される破壊検知回路は、破壊検知用配線33d,33f,33hの電位の変動に基づいて、破壊検知用配線33d,33f,33hの断線および短絡の少なくともいずれかを検知すると、磁気データの詐取を抑制する上記の処理を行う。これにより、たとえば露出部11bの前面に磁気データ詐取部材を取り付けるために凸部14を破壊すると、凸部14の内部の破壊検知用配線33dの断線や短絡が発生し、磁気データの詐取を抑制することができる。
【0046】
(本形態の主な効果)
本形態のカードリーダ1では、カード2が挿入される挿入口10を有する露出部11b(カード挿入部)の前面に、露出部11bの前方に突出した凸部14を設けることで、露出部11bの前面に対する磁気データ詐取部材の取り付けを困難にし、磁気データの詐取を抑制することができる。さらに、カードリーダ1では、凸部14の内部に破壊検知用配線33dを設け、破壊検知用配線33dの断線および短絡の少なくともいずれかを検知することで、磁気データ詐取部材の取り付けのために凸部14を破壊しても、機能停止等の処理によって磁気データの詐取を抑制することができる。
【0047】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0048】
たとえば、破壊検知用配線33d,33f,33hが、第1回路層32および第2回路層34を経由するように配置される構成について説明したが、破壊検知用配線33d,33f,33hが第1回路層32または第2回路層34を経由するように配置される構成としてもよい。
【0049】
また、フレキシブルプリント基板19に破壊検知用配線33a,33bおよび破壊検知用配線33d,33f,33hを設ける構成について説明したが、フレキシブルプリント基板19に破壊検知用配線33d,33f,33hを設け破壊検知用配線33a,33bは設けない構成としてもよい。
【0050】
また、破壊検知用配線33a,33b,33d,33f,33hのうちフレキシブルプリント基板19において密に張り巡らせる配線パターンは、図4図5に示した配線パターンに限らず、任意に設計することができる。
【0051】
フレキシブルプリント基板19を多層構造とする構成について説明したが、フレキシブルプリント基板19を単層構造としてもよい。また、データ信号回路31a,31bが設けられるフレキシブルプリント基板19に破壊検知用配線33d,33f,33hを設ける構成について説明したが、フレキシブルプリント基板19とは別のフレキシブルプリント基板に破壊検知用配線33d,33f,33hを設ける構成としてもよい。
【0052】
また、露出部11bにおける凸部14を設ける位置は、図1等に示した位置に限らず、露出部11bの前面に取り付けるタイプの磁気データ詐取部材の露出部11bの前面への取り付けを阻害する位置であればよい。
【0053】
以上説明してきたように、本明細書には以下の事項が開示されている。
【0054】
(1)
カードが挿入される挿入口を有するカード挿入部と、
前記カード挿入部の前面に設けられ前記カード挿入部の前方に突出した凸部と、
前記凸部の内部に設けられた破壊検知用配線と、
前記破壊検知用配線の断線および短絡の少なくともいずれかを検知する検知部と、
を備えるカードリーダ。
【0055】
(1)のように構成すると、カードが挿入される挿入口を有するカード挿入部の前面に、カード挿入部の前方に突出した凸部を設けることで、カード挿入部の前面に対する磁気データ詐取部材の取り付けを困難にし、磁気データの詐取を抑制することができる。さらに、凸部の内部に破壊検知用配線を設け、破壊検知用配線の断線および短絡の少なくともいずれかを検知することで、磁気データ詐取部材の取り付けのために凸部を破壊しても、機能停止等の処理によって磁気データの詐取を抑制することができる。
【0056】
(2)
(1)に記載のカードリーダであって、
前記凸部は、前記カード挿入部の前面において前記挿入口と隣接して設けられる、
カードリーダ。
【0057】
(2)のように構成すると、カード挿入部の前面に対する磁気データ詐取部材の取り付けをより確実に困難にすることができる。
【0058】
(3)
(2)に記載のカードリーダであって、
前記挿入口のうち、前記挿入口に挿入される前記カードの磁気ストライプが通過する部分と隣接して設けられる、
カードリーダ。
【0059】
(3)のように構成すると、カードの磁気データを詐取するためにカードの磁気ストライプが通過する部分の周囲に磁気ヘッド等を配置する必要のある磁気データ詐取部材の取り付けをより困難にすることができる。
【0060】
(4)
(1)から(3)のいずれか1つに記載のカードリーダであって、
フレキシブルプリント回路基板を備え、
前記破壊検知用配線は、前記フレキシブルプリント回路基板のうち前記凸部の内部に配置された部分に形成されている、
カードリーダ。
【0061】
(4)のように構成すると、凸部の内部に柔軟に破壊検知用配線を配置することができるため、凸部における様々な形態の破壊を検知することができる。
【0062】
(5)
(4)に記載のカードリーダであって、
前記検知部は、前記凸部の内部とは異なる部分に設けられ、前記フレキシブルプリント回路基板に形成された配線を介して前記破壊検知用配線と接続されている、
カードリーダ。
【0063】
(5)のように構成すると、検知部を凸部の内部とは異なる部分に設けることで、凸部の破壊によって検知部が動作しなくなることを抑制することができる。
【0064】
(6)
(4)または(5)に記載のカードリーダであって、
前記フレキシブルプリント回路基板は、前記挿入口から挿入されたカードの磁気情報を読み出す磁気ヘッドと、前記磁気情報に基づく処理を行う処理部と、を接続する信号配線を有する、
カードリーダ。
【0065】
(6)のように構成すると、磁気ヘッドに接続されるフレキシブルプリント回路基板を利用して、凸部の破壊の検知も行うことができる。
【0066】
(7)
(6)に記載のカードリーダであって、
前記フレキシブルプリント回路基板は、前記磁気ヘッドの側方に配置され、前記フレキシブルプリント回路基板における前記破壊検知用配線が形成される部分と、前記フレキシブルプリント回路基板における前記信号配線が形成される部分と、を接続する接続部を有する、
カードリーダ。
【0067】
(7)のように構成すると、フレキシブルプリント回路基板における破壊検知用配線が形成される部分と、フレキシブルプリント回路基板における信号配線が形成される部分と、を接続する接続部を、磁気ヘッドの側方に配置することで、磁気ヘッドと、破壊検知用配線を内部に有する凸部と、を前後方向に省スペースで配置することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 カードリーダ
2 カード
2a 磁気ストライプ
3 カードリーダ本体
4 ケース体
5 カード移動路
6 本体フレーム
7 磁気ヘッド
10 挿入口
11 前面カバー
11a 取付面
11b 露出部
11c 指挿入部
12 ケース本体
13 制御基板
14 凸部
14a 上面
19 フレキシブルプリント基板
19a,19b 被接続部
19c 覆部
19d,19e,19m,31c,33c,33e,33g 接続部
19f 第1直線接続部
19g 第2直線接続部
19h 楕円接続部
19i 接地部
19j,19k 貫通穴
19n 矩形部
20 折れ曲がり部
22 コネクタ
31a,31b データ信号回路
32 第1回路層
33a,33b,33d,33f,33h 破壊検知用配線
34 第2回路層
35 絶縁層
38 接地回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6