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特開2022-191957車載ハンズフリー装置、車載ハンズフリーシステム、およびデータ転送方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191957
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】車載ハンズフリー装置、車載ハンズフリーシステム、およびデータ転送方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20221221BHJP
   H04M 1/274 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
H04M1/00 U
H04M1/274
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100499
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 昭人
(72)【発明者】
【氏名】片田 智章
【テーマコード(参考)】
5K127
【Fターム(参考)】
5K127AA36
5K127BA03
5K127BA10
5K127BB16
5K127BB33
5K127CA08
5K127CB21
5K127DA15
5K127GA02
5K127GA14
5K127GB12
5K127GC01
5K127GC13
5K127GC14
5K127KA02
(57)【要約】
【課題】利便性の向上を図る。
【解決手段】本開示に係る車載ハンズフリー装置の制御部は、携帯電話機2が無線接続エリアに存在する場合、転送プロトコルを用いたデータ転送に関する制御を行う。データ受信部は、転送プロトコルを用いた通信によって、携帯電話機2から、第1着信履歴データ、第1発信履歴データ、電話帳データ、第2着信履歴データ、第2発信履歴データ、および登録データを受信する。記憶部は、受信した第1着信履歴データ、第1発信履歴データ、第2着信履歴データ、電話帳データ、第2着信履歴データ、第2発信履歴データ、および登録データを記憶する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話機のオペレーティングシステム専用の電話アプリケーションを利用した音声の第1通信により着信した着信元を表す第1着信履歴データ、前記第1通信により発信した発信先を表す第1発信履歴データ、および前記第1通信により着信した前記着信元および前記第1通信により発信した前記発信先である通話先と登録名とが対応付けて登録された電話帳データと、
コミュニケーションアプリケーションを利用した音声の第2通信により着信した着信元を表す第2着信履歴データ、前記第2通信により発信した発信先を表す第2発信履歴データ、および前記第2通信により着信した前記着信元および発信した前記発信先である通話先と登録名とが対応付けて登録された登録データと、
を記憶した前記携帯電話機と無線接続されることで、ハンズフリー通話を可能とさせる車載ハンズフリー装置であって、
前記携帯電話機が無線接続エリアに存在する場合、前記携帯電話機に記憶された前記第1着信履歴データ、前記第1発信履歴データ、前記電話帳データ、前記第2着信履歴データ、前記第2発信履歴データ、および前記登録データの転送を実現するための転送プロトコルを用いたデータ転送に関する制御を行う制御部と、
前記転送プロトコルを用いた通信によって、前記携帯電話機から、前記第1着信履歴データ、前記第1発信履歴データ、前記電話帳データ、前記第2着信履歴データ、前記第2発信履歴データ、および前記登録データを受信するデータ受信部と、
受信した前記第1着信履歴データ、前記第1発信履歴データ、前記第2着信履歴データ、前記電話帳データ、前記第2着信履歴データ、前記第2発信履歴データ、および前記登録データを記憶する記憶部と、
を備える車載ハンズフリー装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第2着信履歴データによって表される前記着信元、および前記第2発信履歴データによって表される前記発信先、の少なくとも一方に対するユーザの操作による発信操作の可能な発信操作画面を表示部に表示する、
請求項1に記載の車載ハンズフリー装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記発信操作画面を介して選択された、前記第2着信履歴データに含まれる前記着信元または前記第2発信履歴データに含まれる前記発信先へ、前記携帯電話機を介して前記第2通信により発信する、
請求項2に記載の車載ハンズフリー装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記発信操作画面を介して選択された前記第2着信履歴データに含まれる前記着信元または前記第2発信履歴データに含まれる前記発信先への第2通信による発信から該発信の終了までの期間、前記携帯電話機に表示される表示画面を前記表示部に表示する、
請求項3に記載の車載ハンズフリー装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1着信履歴データおよび前記第1発信履歴データを前記電話帳データより先に転送させ、前記第2着信履歴データおよび前記第2発信履歴データを前記登録データより先に転送させる、
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の車載ハンズフリー装置。
【請求項6】
携帯電話機のオペレーティングシステム専用の電話アプリケーションを利用した音声の第1通信により着信した着信元を表す第1着信履歴データ、前記第1通信により発信した発信先を表す第1発信履歴データ、および前記第1通信により着信した前記着信元および前記第1通信により発信した前記発信先である通話先と登録名とが対応付けて登録された電話帳データと、
コミュニケーションアプリケーションを利用した音声の第2通信により着信した着信元を表す第2着信履歴データ、前記第2通信により発信した発信先を表す第2発信履歴データ、および前記第2通信により着信した前記着信元および発信した前記発信先である通話先と登録名とが対応付けて登録された登録データと、
を記憶した前記携帯電話機と無線接続されることで、ハンズフリー通話を可能とさせる車載ハンズフリーシステムであって、
前記携帯電話機が無線接続エリアに存在する場合、前記携帯電話機に記憶された前記第1着信履歴データ、前記第1発信履歴データ、前記電話帳データ、前記第2着信履歴データ、前記第2発信履歴データ、および前記登録データの転送を実現するための転送プロトコルを用いたデータ転送に関する制御を行う制御部と、
前記転送プロトコルを用いた通信によって、前記携帯電話機から、前記第1着信履歴データ、前記第1発信履歴データ、前記電話帳データ、前記第2着信履歴データ、前記第2発信履歴データ、および前記登録データを受信するデータ受信部と、
受信した前記第1着信履歴データ、前記第1発信履歴データ、前記第2着信履歴データ、前記電話帳データ、前記第2着信履歴データ、前記第2発信履歴データ、および前記登録データを記憶する記憶部と、
を備える車載ハンズフリーシステム。
【請求項7】
携帯電話機のオペレーティングシステム専用の電話アプリケーションを利用した音声の第1通信により着信した着信元を表す第1着信履歴データ、前記第1通信により発信した発信先を表す第1発信履歴データ、および前記第1通信により着信した前記着信元および前記第1通信により発信した前記発信先である通話先と登録名とが対応付けて登録された電話帳データと、
コミュニケーションアプリケーションを利用した音声の第2通信により着信した着信元を表す第2着信履歴データ、前記第2通信により発信した発信先を表す第2発信履歴データ、および前記第2通信により着信した前記着信元および発信した前記発信先である通話先と登録名とが対応付けて登録された登録データと、
を記憶した前記携帯電話機と無線接続されることで、ハンズフリー通話を可能とさせる車載ハンズフリー装置で実行されるデータ転送方法あって、
前記携帯電話機が無線接続エリアに存在する場合、前記携帯電話機に記憶された前記第1着信履歴データ、前記第1発信履歴データ、前記電話帳データ、前記第2着信履歴データ、前記第2発信履歴データ、および前記登録データの転送を実現するための転送プロトコルを用いたデータ転送に関する制御を行うステップと、
前記転送プロトコルを用いた通信によって、前記携帯電話機から、前記第1着信履歴データ、前記第1発信履歴データ、前記電話帳データ、前記第2着信履歴データ、前記第2発信履歴データ、および前記登録データを受信するステップと、
受信した前記第1着信履歴データ、前記第1発信履歴データ、前記第2着信履歴データ、前記電話帳データ、前記第2着信履歴データ、前記第2発信履歴データ、および前記登録データを記憶するステップと、
を含むデータ転送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載ハンズフリー装置、車載ハンズフリーシステム、およびデータ転送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機が車載ハンズフリー装置の近距離通信圏内に進入すると、携帯電話機と車載ハンズフリー装置とが通信回線を確立し、携帯電話機から車載ハンズフリー装置へ電話帳データや発着信履歴データ等を自動転送する技術がある。この技術によれば、ユーザは、車載ハンズフリー装置を操作することにより、携帯電話機の電話帳データから所望の電話番号を選択して発信することができる(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。また、この他に、車載装置と携帯装置とが接続されたシステムに関する技術が提案されている(例えば、特許文献3および特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-116958号公報
【特許文献2】特開2002-193046号公報
【特許文献3】国際公開第2014/050459号
【特許文献4】特開2006-109292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、携帯電話機を利用した音声通信の手段として、電話回線を介した音声通信に加えて、インターネット回線等を介した音声通信が利用されている。インターネット回線等を利用した音声通信としては、例えば、ソーシャルネットワークサービス等を利用した無料通話アプリケーションが一般的である。また、音声通信に用いる複数種類のアプリケーションを携帯電話機にインストールすることで、これらの複数のアプリケーションの各々を用いた音声通信も利用可能である。しかしながら、従来技術では、携帯電話機のこれらの複数のアプリケーションの各々を利用した音声通信の車載ハンズフリー装置との連携については考慮されていなかった。すなわち、従来技術では、車載ハンズフリー装置に関して利便性のさらなる向上が望まれていた。
【0005】
本開示の目的は、利便性を向上させた車載ハンズフリー装置、車載ハンズフリーシステム、およびデータ転送方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る車載ハンズフリー装置は、携帯電話機のオペレーティングシステム専用の電話アプリケーションを利用した音声の第1通信により着信した着信元を表す第1着信履歴データ、前記第1通信により発信した発信先を表す第1発信履歴データ、および前記第1通信により着信した前記着信元および前記第1通信により発信した前記発信先である通話先と登録名とが対応付けて登録された電話帳データと、コミュニケーションアプリケーションを利用した音声の第2通信により着信した着信元を表す第2着信履歴データ、前記第2通信により発信した発信先を表す第2発信履歴データ、および前記第2通信により着信した前記着信元および発信した前記発信先である通話先と登録名とが対応付けて登録された登録データと、を記憶した前記携帯電話機と無線接続されることで、ハンズフリー通話を可能とさせる車載ハンズフリー装置である。本開示に係る車載ハンズフリー装置は、携帯電話機が無線接続エリアに存在する場合、前記携帯電話機に記憶された前記第1着信履歴データ、前記第1発信履歴データ、前記電話帳データ、前記第2着信履歴データ、前記第2発信履歴データ、および前記登録データの転送を実現するための転送プロトコルを用いたデータ転送に関する制御を行う制御部と、前記転送プロトコルを用いた通信によって、前記携帯電話機から、前記第1着信履歴データ、前記第1発信履歴データ、前記電話帳データ、前記第2着信履歴データ、前記第2発信履歴データ、および前記登録データを受信するデータ受信部と、受信した前記第1着信履歴データ、前記第1発信履歴データ、前記第2着信履歴データ、前記電話帳データ、前記第2着信履歴データ、前記第2発信履歴データ、および前記登録データを記憶する記憶部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、利便性を向上させた車載ハンズフリー装置、車載ハンズフリーシステム、およびデータ転送方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、車載ハンズフリーシステムの模式図である。
図2図2は、車載ハンズフリーシステムのハードウェア構成を示す図である。
図3図3は、車載ハンズフリー装置が備える機能を示す図である。
図4図4は、制御部の詳細な機能を示す図である。
図5図5は、車載ハンズフリー装置におけるデータ転送処理の流れを示すフローチャートである。
図6A図6Aは、第1発信履歴データと電話帳データの対応関係を示す図である。
図6B図6Bは、第1発信履歴データと電話帳データの対応関係を示す図である。
図6C図6Cは、第1発信履歴データと電話帳データの対応関係を示す図である。
図7A図7Aは、第1着信履歴データと電話帳データの対応関係を示す図である。
図7B図7Bは、第1着信履歴データと電話帳データの対応関係を示す図である。
図7C図7Cは、第1着信履歴データと電話帳データの対応関係を示す図である。
図8A図8Aは、第1不在着信履歴データと電話帳データの対応関係を示す図である。
図8B図8Bは、第1不在着信履歴データと電話帳データの対応関係を示す図である。
図8C図8Cは、第1不在着信履歴データと電話帳データの対応関係を示す図である。
図9図9は、第1発信履歴データ、第1着信履歴データ、第1不在着信履歴データ、および第1全履歴データを示す図である。
図10A図10Aは、第2発信履歴データと登録データの対応関係を示す図である。
図10B図10Bは、第2発信履歴データと登録データの対応関係を示す図である。
図10C図10Cは、第2発信履歴データと登録データの対応関係を示す図である。
図11A図11Aは、第2着信履歴データと登録データの対応関係を示す図である。
図11B図11Bは、第2着信履歴データと登録データの対応関係を示す図である。
図11C図11Cは、第2着信履歴データと登録データの対応関係を示す図である。
図12A図12Aは、第2不在着信履歴データと登録データの対応関係を示す図である。
図12B図12Bは、第2不在着信履歴データと登録データの対応関係を示す図である。
図12C図12Cは、第2不在着信履歴データと登録データの対応関係を示す図である。
図13図13は、第2全履歴データを示す図である。
図14図14は、発信処理および着信処理の流れの一例を示す図である。
図15図15は、発信処理および着信処理の流れの一例を示す図である。
図16図16は、発信処理および着信処理の流れの一例を示す図である。
図17A図17Aは、第1発信履歴データを示す図である。
図17B図17Bは、第1発信履歴データを示す図である。
図18A図18Aは、第1着信履歴データを示す図である。
図18B図18Bは、第1着信履歴データを示す図である。
図19A図19Aは、第1発信履歴から発信操作を行う場合の表示画面の遷移を示す図である。
図19B図19Bは、第1発信履歴から発信操作を行う場合の表示画面の遷移を示す図である。
図19C図19Cは、第1発信履歴から発信操作を行う場合の表示画面の遷移を示す図である。
図20A図20Aは、第1着信履歴から発信操作を行う場合の表示画面の遷移を示す図である。
図20B図20Bは、第1着信履歴から発信操作を行う場合の表示画面の遷移を示す図である。
図20C図20Cは、第1着信履歴から発信操作を行う場合の表示画面の遷移を示す図である。
図21A図21Aは、電話帳から発信操作を行う場合の表示画面の遷移を示す図である。
図21B図21Bは、電話帳から発信操作を行う場合の表示画面の遷移を示す図である。
図22A図22Aは、第2履歴から発信操作を行う場合の表示画面の推移を示す図である。
図22B図22Bは、第2履歴から発信操作を行う場合の表示画面の推移を示す図である。
図22C図22Cは、第2履歴から発信操作を行う場合の表示画面の推移を示す図である。
図22D図22Dは、第2履歴から発信操作を行う場合の表示画面の推移を示す図である。
図22E図22Eは、第2履歴から発信操作を行う場合の表示画面の推移を示す図である。
図23A図23Aは、登録データから発信操作を行う場合の表示画面の推移を示す図である。
図23B図23Bは、登録データから発信操作を行う場合の表示画面の推移を示す図である。
図23C図23Cは、登録データから発信操作を行う場合の表示画面の推移を示す図である。
図23D図23Dは、登録データから発信操作を行う場合の表示画面の推移を示す図である。
図23E図23Eは、登録データから発信操作を行う場合の表示画面の推移を示す図である。
図24A図24Aは、第2履歴から発信操作を行う場合の表示画面の推移を示す図である。
図24B図24Bは、第2履歴から発信操作を行う場合の表示画面の推移を示す図である。
図24C図24Cは、第2履歴から発信操作を行う場合の表示画面の推移を示す図である。
図25A図25Aは、登録データから発信操作を行う場合の表示画面の推移を示す図である。
図25B図25Bは、登録データから発信操作を行う場合の表示画面の推移を示す図である。
図25C図25Cは、登録データから発信操作を行う場合の表示画面の推移を示す図である。
図26図26は、表示画面を示す模式図である。
図27図27は、HFP接続処理の流れの詳細を示すフローチャートである。
図28A図28Aは、第1着信履歴からユーザが発信操作を行う場合の表示画面の遷移を示す図である。
図28B図28Bは、第1着信履歴からユーザが発信操作を行う場合の表示画面の遷移を示す図である。
図28C図28Cは、第1着信履歴からユーザが発信操作を行う場合の表示画面の遷移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る車載ハンズフリー装置、車載ハンズフリーシステムおよびデータ転送方法の実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る車載ハンズフリーシステム10の一例を示す模式図である。車載ハンズフリーシステム10は、車載ハンズフリー装置1と、携帯電話機2と、を備える。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の車載ハンズフリー装置1は、車両3に搭載可能である。車載ハンズフリー装置1は、携帯電話機2との間で通信接続する。携帯電話機2は、基地局40と無線通信することで、基地局40を介して電話回線およびネットワーク回線などの通信回線に接続される。ネットワーク回線は、インターネット回線と称される場合がある。
【0012】
携帯電話機2は、例えばスマートフォンであり、Bluetooth(登録商標)方式による通信機能を有する。携帯電話機2は、Bluetooth方式による通信機能を有するものであれば、スマートフォン以外の種類の携帯電話機でもよい。
【0013】
車載ハンズフリー装置1は、携帯電話機2を介して電話回線およびネットワーク回線などの通信回線に接続する。これにより、例えば、車両3の運転者は携帯電話機2を操作しなくとも車載ハンズフリー装置1を操作することによって、音声通話である電話の発着信を行うことができる。車載ハンズフリー装置1は、例えば、車両3に搭載された車載ハンズフリー装置の一機能として実現されてもよい。
【0014】
図2は、本実施形態に係る車載ハンズフリーシステム10のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0015】
まず、携帯電話機2について説明する。
【0016】
携帯電話機2は、表示部4、操作部5、記憶メモリ6、通信部7、および制御装置8を備えて構成されている。表示部4、操作部5、記憶メモリ6、および通信部7と制御装置8とは、バスなどを介して通信可能に接続されている。
【0017】
表示部4は、表示画面などの各種の画像を表示するディスプレイである。操作部5は、ユーザによる操作入力を受付ける。なお、表示部4および操作部5を一体的に構成したタッチパネルとしてもよい。
【0018】
記憶メモリ6は、各種のデータを記憶する。記憶メモリ6は、不揮発性のメモリから構成され、各種データを記憶する。記憶メモリ6は、例えばROM(Read Only Memory)である。また、記憶メモリ6は、HDD(Hard Disk Drive)、またはフラッシュメモリ等の書き込み可能な記憶媒体であってもよい。
【0019】
通信部7は、Bluetooth方式に対応している。通信部7は、Bluetooth無線通信圏内に存在している車載ハンズフリー装置1との間で無線の通信回線を確立し、Bluetoothの通信規格に準拠した通信を行う。本実施形態の通信部7は、ハンズフリー音声通話を行うためのHFP(Hands Free Profile)およびデータの転送を行うためのPBAP(Phone Book Access Profile)に対応している。これらプロファイルは、機能毎に定義された通信プロトコルを意味している。また、通信部7は、基地局40を介して電話回線およびネットワーク回線に接続し、音声などの通信を実現する。
【0020】
携帯電話機2は、車載ハンズフリー装置1との間でHFPを接続していない状態、すなわち単独の状態で、基地局40を介して電話回線またはネットワーク回線を介した電話の発信処理および着信処理を単独で行うことが可能に構成されている。
【0021】
本実施形態では、携帯電話機2には、電話、すなわち音声通話に用いる複数のアプリケーションがインストールされている。
【0022】
詳細には、本実施形態の携帯電話機2には、電話アプリケーション8Aおよびコミュニケーションアプリケーション8Bがインストールされている。
【0023】
電話アプリケーション8Aとは、携帯電話機2のOS(オペレーティングシステム)専用の音声通話に用いるアプリケーションプログラムである。電話アプリケーション8Aは、基地局40を介して電話回線およびネットワーク回線の少なくとも一方に接続することで、第1通信により音声通話を実現する。
【0024】
第1通信とは、電話アプリケーション8Aを利用した音声の通信を意味する。第1通信は、音声通信に関する1つの方式であり得る。音声の通信を、音声通信と称して説明する場合がある。音声通信には、アナログ音声またはデジタル音声の音声通信、デジタル音声のデータ通信が含まれる。デジタル音声のデータ通信には、音声データをIP(Internet Protocol)データパケットに変換して伝達することで音声通話を可能にするVoIP(Voice over Internet Protocol)サービス等が用いられる。
【0025】
本実施形態では、第1通信が、電話アプリケーション8Aによる電話回線を介した音声通信である形態を一例として説明する。
【0026】
電話アプリケーション8Aは、携帯電話機2の出荷前または出荷時に携帯電話機2にインストールされていてもよいし、携帯電話機2の出荷後に携帯電話機2にインストールされる形態であってもよい。
【0027】
コミュニケーションアプリケーション8Bとは、携帯電話機2にインストールされる音声通話に用いるアプリケーションプログラムである。コミュニケーションアプリケーション8Bは、携帯電話機2のOS専用ではないアプリケーションプログラムである。コミュニケーションアプリケーション8Bは、基地局40を介して電話回線およびネットワーク回線の少なくとも一方に接続することで、第2通信により音声通話を実現する。
【0028】
第2通信とは、コミュニケーションアプリケーション8Bを利用した音声通信を意味する。音声通信の定義は、上記と同様である。ここで、第2通信は、音声の通信に関する1つの方式であって、かつ、上記第1通信とは異なる方式であり得る。
【0029】
本実施形態では、第2通信が、コミュニケーションアプリケーション8Bによるネットワーク回線を介した音声通信である形態を一例として説明する。ネットワーク回線を介した音声通信および音声通話は、インターネット電話と称される場合がある。
【0030】
コミュニケーションアプリケーション8Bは、例えば、携帯電話機2の出荷後にインストールされる。コミュニケーションアプリケーション8Bは、例えば、ソーシャルネットワークサービス等のアプリケーションである。コミュニケーションアプリケーション8Bには、例えば、LINE株式会社が運用・開発している「LINE」と称されるアプリケーションなどがある。
【0031】
本実施形態では、携帯電話機2には、音声通話に用いる複数のアプリケーションとして、電話アプリケーション8Aおよびコミュニケーションアプリケーション8Bがインストールされている形態を一例として説明する。なお、携帯電話機2には、音声通話に用いるアプリケーションが3つ以上インストールされていてもよい。
【0032】
携帯電話機2の制御装置8は、電話アプリケーション8Aを利用した第1通信による発信処理および着信処理と、コミュニケーションアプリケーション8Bを利用した第2通信による発信処理および着信処理が可能である。
【0033】
電話アプリケーション8Aを利用した第1通信による発信処理および着信処理について説明する。
【0034】
例えば、ユーザは、携帯電話機2の電話アプリケーション8Aを起動した状態で操作部5のテンキー(「0」~「9」の数字キー)を操作して発信先の電話番号を入力し、続いて発信キーを操作する。携帯電話機2の制御装置8は、当該電話番号を発信先として第1通信により発信する発信処理を行う。この発信処理により、ユーザは、発信先との間で第1通信による音声通話を行うことが可能となる。
【0035】
また、携帯電話機2は、第1通信による着信信号を受信すると、基地局40から第1通信による着信元の電話番号を着信電話番号として受信する。電話アプリケーション8Aを介してユーザが受話キーを操作すると、携帯電話機2の制御装置8は、着信元に応答する着信処理を行う。この着信処理により、ユーザは、着信元との間で第1通信による音声通話を行うことが可能となる。
【0036】
また、携帯電話機2は、日時(日付時刻)を計時する時計部を有している。携帯電話機2の制御装置8は、第1通信による発信処理でテンキーから入力された発信電話番号と時計部が計時している日時に基づく発信日時との対応を1件分のデータとした複数件分の第1発信履歴データを記憶保持する。また、携帯電話機2の制御装置8は、第1通信による着信処理で基地局40から受信した着信電話番号と時計部が計時している日時に基づく着信日時との対応を1件分のデータとした複数件分の第1着信履歴データを記憶メモリ6に記憶保持する。
【0037】
また、携帯電話機2の制御装置8は、着信に対して応答しなかったときに基地局40から受信した着信電話番号と時計部が計時している日時に基づく着信日時との対応を1件分のデータとした複数件分の第1不在着信履歴データを記憶メモリ6に記憶保持する。
【0038】
さらに携帯電話機2の制御装置8は、電話番号と登録名との対応を1件分のデータとした複数件分の電話帳データを記憶メモリ6に保持する。電話帳データとは、第1通信による音声通話先と登録名とを対応付けたデータである。本実施形態では、電話帳データには、第1通信による音声通話先として、電話番号が登録されている形態を一例として説明する。
【0039】
ユーザは、電話帳データを読出して1つの電話番号を選択して発信することにより、電話番号を構成する数字に対応する全ての数字キーを入力しなくとも簡単な操作で間違いなく第1通信による発信を行うことができる。
【0040】
携帯電話機2の制御装置8は、基地局40から受信した着信電話番号が電話帳データに登録された電話番号であり、この電話番号に登録名が電話帳データに登録されている場合には、着信電話番号と、着信日時と、登録名と、を対応付けて第1着信履歴データとして登録する。また、携帯電話機2の制御装置8は、第1不在着信履歴データについても同様に、不在着信電話番号と、着信日時と、登録名と、を対応付けて登録する。また、携帯電話機2の制御装置8は、第1発信履歴データについても同様に、発信日時と、発信電話番号と、登録名と、を対応付けて登録する。
【0041】
次に、コミュニケーションアプリケーション8Bを利用した第2通信による発信処理および着信処理について説明する。
【0042】
例えば、ユーザは、携帯電話機2のコミュニケーションアプリケーション8Bを起動した状態で、登録データを読出して1つの登録名を選択する。携帯電話機2は、選択された登録名の音声通話先を発信先として第2通信により発信する発信処理を行う。この発信処理により、ユーザは、発信先との間で第2通信による音声通話を行うことが可能となる。
【0043】
登録データとは、コミュニケーションアプリケーション8Bで利用する登録名と、該登録名に対してコミュニケーションアプリケーション8Bで利用する音声通話先と、アイコンと、を対応付けたデータである。すなわち、登録データは、電話帳データに相当するものである。
【0044】
コミュニケーションアプリケーション8Bで利用する音声通話先は、音声通話先のユーザを第2通信により特定可能な情報であればよい。本実施形態では、コミュニケーションアプリケーション8Bで利用する音声通話先が、アカウント情報である形態を一例として説明する。すなわち、登録データに登録される音声通話先が、アカウント情報である形態を一例として説明する。なお、コミュニケーションアプリケーション8Bで利用する音声通話先は、第2通信により音声通話先のユーザを特定可能な情報であればよく、アカウント情報に限定されない。
【0045】
アイコンは、対応する登録名および音声通話先によって識別される音声通話先のユーザを表す画像である。アイコンは、例えば、携帯電話機2のユーザによる操作などに応じて登録データに登録される。なお、登録データは、アイコンを含まない形態であってもよい。また、登録データに含まれるアイコンは、ニックネームなどの文字情報であってもよい。また、登録データに含まれるアイコンは、ユーザを表す画像およびニックネームなどの文字情報の双方であってもよい。
【0046】
また、携帯電話機2は、第2通信による着信信号を受信すると、基地局40から第2通信による着信元を受信する。コミュニケーションアプリケーション8Bを介してユーザが受話キー等を操作すると、携帯電話機2の制御装置8は、着信元に応答する着信処理を行う。この着信処理により、ユーザは、着信元との間で第2通信による音声通話を行うことが可能となる。
【0047】
また、携帯電話機2の制御装置8は、第2通信による発信処理で入力された登録名と時計部が計時している日時に基づく発信日時と発信先の対応を1件分のデータとした複数件分の第2発信履歴データを記憶メモリ6に記憶保持する。また、携帯電話機2の制御装置8は、第2通信による着信処理で基地局40から受信した着信元と時計部が計時している日時に基づく着信日時との対応を1件分のデータとした複数件分の第2着信履歴データを記憶メモリ6に記憶保持する。本実施形態では、第2着信履歴データおよび第2発信履歴データには、第2通信による着信元および発信先として、アカウント情報を記憶する形態を一例として説明する。
【0048】
また、携帯電話機2の制御装置8は、着信に対して応答しなかったときに基地局40から受信した着信元と時計部が計時している日時に基づく着信日時との対応を1件分のデータとした複数件分の第2不在着信履歴データを記憶メモリ6に記憶保持する。本実施形態では、第2不在着信履歴データには、第2通信による着信元として、アカウント情報を記憶する形態を一例として説明する。
【0049】
携帯電話機2の制御装置8は、基地局40から受信した着信元と同じ音声通話先(アカウント情報等)が登録データに登録されており、この着信元に対応する登録名が登録データに登録されている場合には、着信元と、着信日時と、登録名と、を対応付けて第2着信履歴データとして登録する。また、携帯電話機2の制御装置8は、第2不在着信履歴データについても同様に、着信元と、着信日時と、登録名と、を対応付けて登録する。また、携帯電話機2の制御装置8は、第2発信履歴データについても同様に、発信日時と、発信先と、登録名と、を対応付けて登録する。
【0050】
また、携帯電話機2は、着信に対して応答しなかった場合に、発信者が残した音声メッセージを記憶メモリ6に記憶する。音声メッセージは、例えば伝言メモとも呼ばれ、携帯電話機2のユーザが再生して内容を聴くことができる。
【0051】
なお、携帯電話機2は、これらの第1発信履歴データ、第1着信履歴データ、および第1不在着信履歴データをそれぞれ例えば最新の20件分を記憶可能である。携帯電話機2の制御装置8は、第1通信による発信処理や着信処理や不在着信を行う毎に最古のデータを自動的に消去し、第1発信履歴データ、第1着信履歴データ、および第1不在着信履歴データの各々を更新する。
【0052】
同様に、携帯電話機2は、これらの第2発信履歴データ、第2着信履歴データ、および第2不在着信履歴データをそれぞれ例えば最新の20件分を記憶可能である。携帯電話機2の制御装置8は、第2通信による発信処理や着信処理や不在着信を行う毎に最古のデータを自動的に消去し、第2発信履歴データ、第2着信履歴データ、および第2不在着信履歴データの各々を更新する。
【0053】
以下の説明では、第1発信履歴データ、第1着信履歴データ、および第1不在着信履歴データを総称して説明する場合、単に、第1履歴データと称して説明する場合がある。第1履歴データは、第1発信履歴データおよび第1着信履歴データを少なくとも含む構成であればよい。
【0054】
また、以下の説明では、第2発信履歴データ、第2着信履歴データ、および第2不在着信履歴データを総称して説明する場合、単に、第2履歴データと称して説明する場合がある。第2履歴データは、第2発信履歴データおよび第2着信履歴データを少なくとも含む構成であればよい。
【0055】
上述したように、本実施形態の携帯電話機2は、ハンズフリー音声通話を行うためのHFP、およびデータの転送を行うためのPBAPに対応している。これらのプロファイルは、機能毎に定義された通信プロトコルを意味する。
【0056】
携帯電話機2の制御装置8は、車載ハンズフリー装置1との間で通信回線を確立した直後にPBAPを接続し、その時点で記憶している第1履歴データ、電話帳データ、第2履歴データ、および登録データを車載ハンズフリー装置1へ自動転送する。これにより、携帯電話機2は、車載ハンズフリー装置1がBluetooth通信圏内に存在している場合には、単独で過去に発信処理や着信処理を行うことで記憶した例えば最大で20件分の第1履歴データや第2履歴データを車載ハンズフリー装置1に自動転送することができる。
【0057】
なお、携帯電話機2は、図示した機能の他に、音声を入力するマイクロホン、音声を出力するスピーカ、カメラ、などを備える。
【0058】
次に、車載ハンズフリー装置1について説明する。
【0059】
車載ハンズフリー装置1は、例えば、ハンズフリー機能付きの車載ハンズフリー装置である。車載ハンズフリー装置1は、制御装置12、Bluetooth通信部13、操作部14、表示部15、作業メモリ16、記憶メモリ17、マイクロホン18およびスピーカ19を備えて構成されている。
【0060】
制御装置12は、車載ハンズフリー装置1の通信動作やデータ管理動作などの動作全般を制御する。制御装置12は、例えば、CPU等のプロセッサである。
【0061】
Bluetooth通信部13は、Bluetooth方式に対応しており、Bluetooth無線通信圏内に存在している携帯電話機2との間で通信回線を確立し、Bluetoothの通信規格に準拠した通信を行う。なお、本実施形態では、携帯電話機2が、Bluetooth通信機能を有し、かつ車載ハンズフリー装置1のBluetooth無線通信圏内に存在していることを前提とする。
【0062】
Bluetooth通信部13は、ハンズフリー音声通話を行うためのHFP、およびデータの転送を行うためのPBAPに対応している。
【0063】
操作部14は、ユーザによる操作入力を受付ける。例えば、操作部14は、表示部15に形成されるタッチキー等から構成される。表示部15は、表示画面等の各種の画像を表示するディスプレイである。操作部14および表示部15は、一体的に構成されたタッチパネルであってもよい。
【0064】
作業メモリ16は、各種のデータを記憶するメモリである。作業メモリ16は、例えば、揮発性のメモリから構成される。作業メモリ16は、携帯電話機2から自動転送された第1履歴データ、電話帳データ、第2履歴データ、および登録データを記憶する。作業メモリ16は、例えばRAM(Random Access Memory)等である。
【0065】
記憶メモリ17は、不揮発性のメモリから構成され、各種データを記憶する。記憶メモリ17は、例えばROM(Read Only Memory)である。また、記憶メモリ17は、HDD(Hard Disk Drive)、またはフラッシュメモリ等の書き込み可能な記憶媒体であってもよい。
【0066】
マイクロホン18は、音声入力を受付ける。マイクロホン18は、携帯電話機2を用いたハンズフリー音声通話を行うときに、ユーザが発した音声の入力を受付ける。スピーカ19は、音声を出力する。スピーカ19は、携帯電話機2を用いたハンズフリー音声通話を行うときに、音声通話先の受話音声を出力する。Bluetooth通信部13と携帯電話機2との間でBluetooth通信回線が確立され、HFPでの無線通信を接続した場面を想定する。この場合、制御装置12は、マイクロホン18から入力された音声をBluetooth通信部13から携帯電話機2に送信させる。携帯電話機2は、受信した音声を第1通信または第2通信により電話回線またはネットワーク回線に送信する。携帯電話機2が電話回線またはネットワーク回線を介して音声を受信すると、制御装置12はBluetooth通信部13を介して携帯電話機2で受信した音声をスピーカ19から出力させる。
【0067】
なお、上記した車載ハンズフリー装置1は、図示した機能ブロックの他に、自車両の現在位置を検出する現在位置検出部としてのGPS(Global Positioning System)装置、現在位置から目的地までの経路を探索する経路探索部、地図データが記録さている記録媒体から地図データを読取る地図データ読取部、VICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System)センターから配信されたVICS情報を受信するVICS情報受信部、ユーザが発した音声を音声認識する音声認識部などのナビゲーション動作に必要な機能ブロックを更に備えて構成されていてもよい。この場合、車載ハンズフリー装置1は、GPS衛星からGPS装置が受信したGPS無線信号からGPS日時情報を抽出して日時を取得し、その取得した日時を発信日時や着信日時として利用してもよい。
【0068】
車載ハンズフリー装置1は、ACC(アクセサリー)スイッチのオンオフに連動して起動・停止するように構成されている。ACCスイッチは、車両機器への電源供給をオンオフするスイッチである。車載ハンズフリー装置1は、例えばユーザ操作によりACCスイッチがオンからオフに切替わると、電源供給が停止され、装置電源がオンからオフに移行する。この場合、記憶メモリ17に記憶されている各種データは消去されず記憶保持されるが、作業メモリ16に記憶されている第1履歴データ、第2履歴データ、電話帳データ、および登録データは消去されるように構成されている。
【0069】
次に、本実施形態の車載ハンズフリー装置1の機能の詳細について説明する。
【0070】
図3は、本実施形態に係る車載ハンズフリー装置1が備える機能の一例を示す図である。なお、車載ハンズフリー装置1が有する機能は図3の例に限られるものではなく、さらに他の機能を有していてもよい。本実施形態の車載ハンズフリー装置1は、受付部101、制御部102、データ受信部103、および記憶部104を備える。
【0071】
受付部101、制御部102、およびデータ受信部103の各々の機能は、制御装置12が記憶メモリ17からプログラムを読み出して実行することにより実現される。ただし、これに限らず、例えば受付部101、制御部102、データ受信部103の機能のうちの一部または全部が専用のハードウェア回路で実現されてもよい。記憶部104は、例えば記憶メモリ17により実現される。
【0072】
受付部101は、ユーザから各種の操作を受け付ける。例えば、受付部101は、ユーザによる操作部14の操作に応じた入力を受け付ける。より具体的には、受付部101は、表示部15に表示された各種の画像に対する指示操作を受け付ける。
【0073】
制御部102は、ハンズフリー機能に関する各種の制御を行う。この例では、制御部102は、携帯電話機2とハンズフリー音声通話可能に接続する機能、携帯電話機2が無線接続エリアに存在する場合にデータ転送に関する制御を行う機能などを有する。データ転送に関する制御は、携帯電話機2に記憶された第1履歴データ、第2履歴データ、電話帳データ、および登録データの転送を実現するための転送プロトコルを用いたデータ転送に関する制御である。
【0074】
図4は、制御部102の詳細な機能の一例を示す図である。制御部102は、ハンズフリー通話接続制御部111、データ転送制御部112、および表示制御部114を有する。なお、制御部102が有する機能はこれに限られず、ハンズフリー機能を実現するための他の機能をさらに有していてもよい。
【0075】
ハンズフリー通話接続制御部111は、HFPに準じて携帯電話機2とハンズフリー音声通話可能に接続する。より詳細には、ハンズフリー通話接続制御部111は、Bluetooth通信部13を制御することにより、携帯電話機2とハンズフリー音声通話可能に接続する。ハンズフリー通話接続制御部111は、携帯電話機2によるハンズフリー音声通話を実現するためのハンズフリー音声通話プロトコルにより、携帯電話機2と接続する。
【0076】
データ転送制御部112は、上記転送プロトコルを用いたデータ転送を制御する。表示制御部114は、各種の画面を表示部15に表示する制御を行う。これらの具体的な内容は後述する。
【0077】
なお、本実施形態では、車載ハンズフリー装置1が有する各種の機能は、1台の装置で実現される形態を一例として説明する。しかし、車載ハンズフリー装置1が有する各種の機能を、複数の装置に分散した形態であってもよい。すなわち車載ハンズフリー装置1が有する各種の機能は、複数の装置から構成されるシステムにより実現されてもよい。
【0078】
次に、上記した構成の作用について説明する。
【0079】
本実施形態では、携帯電話機2は、複数件分の第1履歴データおよび第2履歴データを既に保持しており、この状態で、携帯電話機2が車載ハンズフリー装置1のBluetooth通信圏内に進入した場面を想定して説明する。
【0080】
なお、車載ハンズフリー装置1には、Bluetooth通信の相手となる携帯電話機2が予め登録されているものとして説明する。
【0081】
例えば、ユーザは、初期通信設定時に、携帯電話機2毎に4桁などのパスワードを車載ハンズフリー装置1に入力する。車載ハンズフリー装置1と携帯電話機2は、互いの接続に使用するリンクキーを生成し、該リンクキーを保持する。そして、車載ハンズフリー装置1は、初期接続時にリンクキーの認証を行うことで、通信接続すべき携帯電話機2を選択する。つまり、車載ハンズフリー装置1と未登録の携帯電話機との間では、HFPでの通信接続およびPBAPでの通信接続が行われることは無い。基本的に、車両3の所有者の携帯電話機2が事前登録され、該携帯電話機2と車載ハンズフリー装置1との間でBluetooth通信が行われることとなる。なお、車載ハンズフリー装置1の通信対象の携帯電話機2の事前登録について、上述の手法は一例であり、これに限定されるものではない。
【0082】
本実施形態では、車載ハンズフリー装置1には、通信接続対象となる複数の携帯電話機2が登録されているものとする。また、複数の携帯電話機2に対して例えばユーザが操作部14を操作して優先順位を予め設定しており、作業メモリ16または記憶メモリ17は当該優先順位を記憶している。例えば、ドライバーによっては、複数の携帯電話機2を所有している場合があるため、車載ハンズフリー装置1には、このように複数の携帯電話機2の登録を可能とする。
【0083】
本実施形態の前提として、車載ハンズフリー装置1のBluetooth通信部13は、HFPでの無線通信およびPBAPでの無線通信の両プロトコルに対応し、且つ、これらを二つのプロファイルを同時接続することができる。複数のプロファイルを同時接続することは、マルチプロファイル接続と称される場合がある。
【0084】
しかし、本実施形態の車載ハンズフリー装置1では、あえて、この同時接続処理を行わないようにしている。この理由としては、主として以下の3つが挙げられる。
【0085】
(1)通信相手である携帯電話機2が、車載ハンズフリー装置1と同様に、HFPでの無線通信とPBAPでの無線通信には対応しているものの、同時接続には対応していない可能性があること。
【0086】
(2)通信相手である携帯電話機2が、HFPでの無線通信とPBAPでの無線通信には対応し、かつ同時接続にも対応しているかもしれないが、同時接続を維持するためには、車載ハンズフリー装置1のBluetooth通信部13のソフトウェア処理が複雑になり、通信接続の安定性に不安があること。
【0087】
(3)携帯電話機2は、世界で多数のメーカーが製造しており、車載ハンズフリー装置1としては、HFPでの無線通信およびPBAPでの無線通信に対応した全ての携帯電話機と接続することが求められること。
【0088】
以上の理由のため、本例での車載ハンズフリー装置1は、HFPでの無線通信およびPBAPでの無線通信のためのより確実な処理手順として、HFPでの無線通信とPBAPでの無線通信との同時接続をできる限り無くすため、HFPでの無線通信とPBAPでの無線通信とは時間的に分割したシリアル接続を行う。
【0089】
まず、車載ハンズフリー装置1において、制御装置12が携帯電話機2から第1履歴データ、電話帳データ、第2履歴データ、および登録データを受信する手順を説明する。
【0090】
図5は、車載ハンズフリー装置1におけるデータ転送処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0091】
ハンズフリー通話接続制御部111は、優先順位が上位の携帯電話機2をHFPでの無線通信での通信接続対象として選択する(S1)。本実施形態では、最初にPBAPでの通信接続を行わずに、先ずはHFPでの初期通信を自動的に試み、接続を開始する。
【0092】
次に、ハンズフリー通話接続制御部111は、S1で選択した携帯電話機2に対してHFPでの初期通信を自動的に接続する処理を実行する(S2)。また、ハンズフリー通話接続制御部111は、HFPでの無線通信接続に成功したか否かを判定する(S3)。
【0093】
ハンズフリー通話接続制御部111は、HFPでの無線通信接続に成功したと判定した場合(S3:Yes)、接続したHFPでの無線通信を自動的に切断する(S4)。
【0094】
次に、データ転送制御部112は、HFPでの無線通信接続に成功した携帯電話機2に対してPBAPでの無線通信を自動的に接続する(S5)。
【0095】
次に、データ転送制御部112は、携帯電話機2に対して、第1履歴データの転送処理を開始するように、第1履歴データ転送要求を送信する(S6)。
【0096】
第1履歴データ転送要求を受けた携帯電話機2は、PBAPに準じたBluetooth通信によって、第1履歴データを車載ハンズフリー装置1に転送する。車載ハンズフリー装置1のデータ受信部103は、第1履歴データを受信する。記憶部104は、携帯電話機2から転送された第1履歴データを作業メモリ16または記憶メモリ17に保存する。
【0097】
第1履歴データの転送処理が完了すると、データ転送制御部112は、携帯電話機2に対して、電話帳データの転送処理を開始するように電話帳データ転送要求を送信する(S7)。
【0098】
電話帳データ転送要求を受けた携帯電話機2は、PBAPに準じたBluetooth通信によって、電話帳データを車載ハンズフリー装置1に転送する。データ受信部103は、電話帳データを受信する。制御部102の記憶部104は、携帯電話機2から転送された電話帳データを作業メモリ16または記憶メモリ17に保存する。
【0099】
次に、データ転送制御部112は、携帯電話機2に対して、第2履歴データの転送処理を開始するように第2履歴データ転送要求を送信する(S8)。
【0100】
第2履歴データ転送要求を受けた携帯電話機2は、PBAPに準じたBluetooth通信によって、第2履歴データを車載ハンズフリー装置1に転送する。データ受信部103は、第2履歴データを受信する。記憶部104は、携帯電話機2から転送された第2履歴データを作業メモリ16または記憶メモリ17に保存する。
【0101】
第2履歴データの転送処理が完了すると、データ転送制御部112は、携帯電話機2に対して、登録データの転送処理を開始するように登録データ転送要求を送信する(S9)。
【0102】
登録データ転送要求を受けた携帯電話機2は、PBAPに準じたBluetooth通信によって、登録データを車載ハンズフリー装置1に転送する。データ受信部103は、登録データを受信する。記憶部104は、携帯電話機2から転送された登録データを作業メモリ16または記憶メモリ17に保存する。
【0103】
第1履歴データ、電話帳データ、第2履歴データ、および登録データの転送が完了すると、制御部102(データ転送制御部112)は、携帯電話機2との間のPBAPによる無線通信を切断する(S10)。
【0104】
次に、データ転送制御部112は、再び、携帯電話機2に対してHFPでの無線通信を自動的に接続する(S11)。
【0105】
そして、ハンズフリー通話接続制御部111は、携帯電話機2とのHFPによる通信回線が確立されると、車載ハンズフリー(HF)待受処理に移行する。車載ハンズフリー待受処理の実行中、車載ハンズフリー装置1は、携帯電話機2を介した電話の発信処理または受信処理が可能な状態となる。車載ハンズフリー装置1の電源が切断される、または携帯電話機2とのHFPによる無線の通信接続が解除されるまで、車載ハンズフリー待受処理は継続する。携帯電話機2とのHFPによる無線の通信接続が解除される場合とは、ユーザによって車載ハンズフリー装置1または携帯電話機2に対して接続解除の操作が行われた場合、または、携帯電話機2が車載ハンズフリー装置1のBluetooth通信圏内から退出した場合などである。
【0106】
一方、ハンズフリー通話接続制御部111は、HFPでの無線通信接続に成功しなかった、すなわち失敗したと判定すると(S3:No)、優先順位が次位の携帯電話機2が存在するか否かを判定する(S12)。
【0107】
ハンズフリー通話接続制御部111は、優先順位が次位の携帯電話機2が存在する旨を判定した場合(S12:Yes)、優先順位が次位の携帯電話機2を無線通信の接続対象として選択し(S13)、上記したS2に戻り、上記した処理を繰返して行う。
【0108】
また、ハンズフリー通話接続制御部111は、優先順位が次位の携帯電話機2が存在しない旨を判定した場合(S12:No)、このフローチャートの処理を終了する。
【0109】
このように本実施形態では、HFP→PBAP→HFPの順に無線通信をシリアルに自動的に切り替える。これにより、多数のメーカーのHFPでの無線通信とPBAPでの無線通信とに対応した携帯電話機2に対して、通信処理を確実に安定して行うことが可能となる。また、このような手法により、車載ハンズフリー装置1でのソフトウェア処理の複雑化を低減することができる。
【0110】
また、本実施形態の車載ハンズフリー装置1は、電話帳データより先に第1履歴データを携帯電話機2から車載ハンズフリー装置1へ転送し、登録データより先に第2履歴データを携帯電話機2から車載ハンズフリー装置1へ転送する。
【0111】
このため、転送時間の長い電話帳データや登録データより先に、転送時間の短い第1履歴データや第2履歴データを車載ハンズフリー装置1へ優先して転送することが出来る。このため、携帯電話機2を車両3持ち込んだ場合に、ハンズフリー音声通話を行うまでの時間を短縮できる。さらに、データ更新の頻度が低く且つ転送時間が長い電話帳データや登録データを受信するか否かを、必要に応じて選択することができ、利便性を高めることができる。
【0112】
なお、データ転送制御部112は、第1履歴データおよび第2履歴データを携帯電話機2から車載ハンズフリー装置1へ転送させた後に、電話帳データおよび登録データを携帯電話機2から車載ハンズフリー装置1へ転送させてもよい。
【0113】
次に、図5などで上記した第1履歴データおよび電話帳データの転送処理について、さらに具体的に説明する。
【0114】
図6A図6Cは、第1発信履歴データと電話帳データの対応関係の一例を示す図である。図6Aは、携帯電話機2に保存された第1発信履歴データの一例である。図6Bは、携帯電話機2に保存された電話帳データの一例である。図6Cは、車載ハンズフリー装置1において保存または表示される第1発信履歴データの一例である。
【0115】
図7A図7Cは、第1着信履歴データと電話帳データの対応関係の一例を示す図である。図7Aは、携帯電話機2に保存された第1着信履歴データの一例である。図7Bは、携帯電話機2に保存された電話帳データの一例である。図7Cは、車載ハンズフリー装置1において保存または表示される第1着信履歴データの一例である。
【0116】
図8A図8Cは、第1不在着信履歴データと電話帳データの対応関係の一例を示す図である。図8Aは、携帯電話機2に保存された第1不在着信履歴データの一例である。図8Bは、携帯電話機2に保存された電話帳データの一例である。図8Cは、車載ハンズフリー装置1において保存または表示される第1不在着信履歴データの一例である。
【0117】
データ受信部103は、携帯電話機2から、図6Aに示す登録名、発信電話番号および発信日時からなる第1発信履歴データを受信する。記憶部104は、第1発信履歴データを作業メモリ16または記憶メモリ17に記憶する。
【0118】
また、データ受信部103は、携帯電話機2から図7Aに示す登録名、着信電話番号および着信日時からなる第1着信履歴データを受信する。記憶部104は、第1着信履歴データを作業メモリ16または記憶メモリ17に記憶する。
【0119】
また、データ受信部103は、携帯電話機2から図8Aに示す登録名、不在着信電話番号および着信日時からなる第1不在着信履歴データを受信する。記憶部104は、第1不在着信履歴データを作業メモリ16または記憶メモリ17に記憶する。
【0120】
携帯電話機2から受信した第1着信履歴データ、第1発信履歴データ、および第1不在着信履歴データに登録名が含まれない場合がある。この場合、記憶部104は、第1着信履歴データ、第1発信履歴データ、および第1不在着信履歴データに含まれる電話番号と、電話帳データにおいて該電話番号に対応付けられた登録名とを対応付けることにより、第1着信履歴データ、第1発信履歴データ、および第1不在着信履歴データに登録名を追加する。そして、記憶部104は、これらの第1履歴データを、作業メモリ16または記憶メモリ17に記憶してもよい。
【0121】
表示制御部114は、第1発信履歴データ、第1着信履歴データ、または第1不在着信履歴データの表示要求を受付けると、作業メモリ16または記憶メモリ17に記憶されているこれらの第1履歴データを表示部15に表示する。つまり、表示制御部114は、作業メモリ16または記憶メモリ17に記憶されている電話帳データから登録名を読出すことなく、携帯電話機2から転送された登録名を表示部15に表示することができる。
【0122】
なお、第1履歴データは登録名を含まない状態で作業メモリ16または記憶メモリ17に保存されてもよい。この場合、表示制御部114は、第1履歴データに含まれる電話番号と、電話帳データにおいて該電話番号に対応付けられた登録名とを対応付けて表示部15に表示する。
【0123】
図5で説明したHFP接続処理をハンズフリー通話接続制御部111が完了すると、ユーザが車載ハンズフリー装置1側の操作部14を操作することにより、第1通信および第2通信の各々による電話の発信処理および着信処理を行うことが可能となる。
【0124】
また、データ転送制御部112が、図5で説明した初期接続処理によって携帯電話機2から第1履歴データを受信した後、車載ハンズフリー装置1または携帯電話機2において、第1通信による新たな発信処理、着信処理または不在着信処理が実行される場合がある。その後、ユーザが操作部14を操作して第1履歴データの表示要求をした場合を想定する。この場合、表示制御部114は、第1通信による新たな発信処理、着信処理または不在着信処理を行った発信電話番号、着信電話番号および不在着信電話番号に対応する登録名が電話帳データに存在する場合には、図6C図7C図8Cに示すように、該登録名を表示部15に表示する。
【0125】
より詳細には、ハンズフリー通話接続制御部111が第1通信による新たな発信処理として、「加藤 一郎」の電話番号へ発信処理したとする。この場合、表示制御部114は、電話帳データに「加藤 一郎」の登録名が電話帳データに登録されている場合は、図6Cに示すように電話帳データから「加藤 一郎」の登録名を読出して表示部15に表示する。また、第1通信による新たな着信処理として、「吉本 一郎」の電話番号からの着信があった場合を想定する。この場合、表示制御部114は、この着信電話番号が電話帳データに登録されている場合、図7Cに示すように、電話帳データから「吉本 一郎」の登録名を読出して表示部15に表示する。また、表示制御部114は、「渡邊 三郎」の電話番号から第1通信による新たな不在着信があった場合、図8Cに示すように、電話帳データから「渡邊 三郎」の登録名を読出して表示部15に表示する。
【0126】
また、第1発信履歴データ、第1着信履歴データ、および第1不在着信履歴データを纏めて最新の時刻順にしたがって表示する第1全履歴データの表示要求があった場合を想定する。この場合、表示制御部114は、第1着信履歴データおよび第1不在着信履歴データについては着信電話番号或いは不在着信電話番号が重複しているか否かに拘らず、着信日時或いは不在着信日時が新しい方の第1着信履歴データおよび第1不在着信履歴データを全ての中から所定数選択して表示部15に表示する。また、表示制御部114は、第1発信履歴データについては発信電話番号が重複している第1発信履歴データのうち最新の第1発信履歴データのみを選択して表示部15に表示する。
【0127】
図9は、本実施形態に係る第1発信履歴データ、第1着信履歴データ、第1不在着信履歴データ、および第1全履歴データの一例を示す図である。図9に示す例では「阿部 太郎」の発信電話番号が重複している。この場合、表示制御部114は、「阿部 太郎」の発信履歴のうち、発信日時が最新の発信履歴(発信日時が08月10日12:15の発信履歴データ)のみを表示部15に表示し、発信日時が最新ではない発信履歴は表示しない。
【0128】
次に、図5などで上記した第2履歴データおよび登録データの転送処理について、さらに具体的に説明する。
【0129】
図10A図10Cは、第2発信履歴データと登録データの対応関係の一例を示す図である。図10Aは、携帯電話機2に保存された第2発信履歴データの一例である。図10Bは、携帯電話機2に保存された登録データの一例である。図10Cは、車載ハンズフリー装置1において保存または表示される第2発信履歴データの一例である。
【0130】
図11A図11Cは、第2着信履歴データと登録データの対応関係の一例を示す図である。図11Aは、携帯電話機2に保存された第2着信履歴データの一例である。図11Bは、携帯電話機2に保存された登録データの一例である。図11Cは、車載ハンズフリー装置1において保存または表示される第2着信履歴データの一例である。
【0131】
図12A図12Cは、第2不在着信履歴データと登録データの対応関係の一例を示す図である。図12Aは、携帯電話機2に保存された第2不在着信履歴データの一例である。図12Bは、携帯電話機2に保存された登録データの一例である。図12Cは、車載ハンズフリー装置1において保存または表示される第2不在着信履歴データの一例である。なお、図10A図12Cおよび後述する図13中、「XXXXXXX」などの7桁の英数字で表記した部分は、第2通信による着信元および発信先である通話先として用いるアカウント情報に相当する。なお、図10A図12Cおよび図13に示すアカウント情報の表記は一例であり、7桁の英数字に限定されない。
【0132】
データ受信部103は、携帯電話機2から、図10Aに示す登録名、発信先、および発信日時からなる第2発信履歴データを受信する。記憶部104は、第2発信履歴データを作業メモリ16または記憶メモリ17に記憶する。
【0133】
また、データ受信部103は、携帯電話機2から図11Aに示す登録名、着信元、および着信日時からなる第2着信履歴データを受信する。記憶部104は、第2着信履歴データを作業メモリ16または記憶メモリ17に記憶する。
【0134】
また、データ受信部103は、携帯電話機2から図12Aに示す登録名、不在の着信元、および着信日時からなる第2不在着信履歴データを受信する。記憶部104は、第2不在着信履歴データを作業メモリ16または記憶メモリ17に記憶する。
【0135】
受信した第2着信履歴データ、第2発信履歴データ、および第2不在着信履歴データに登録名が含まれない場合がある。この場合、記憶部104は、第2着信履歴データ、第2発信履歴データ、および第2不在着信履歴データに含まれる着信元または発信先と、登録データにおいて音声通話先に対応付けられた登録名とを対応付けることにより、第2着信履歴データ、第2発信履歴データ、および第2不在着信履歴データに登録名を追加する。そして、記憶部104は。これらの第2履歴データを、作業メモリ16または記憶メモリ17に記憶してもよい。
【0136】
そして、表示制御部114は、第2発信履歴データ、第2着信履歴データおよび第2不在着信履歴データの表示要求を受付けると、作業メモリ16または記憶メモリ17に記憶されているこれらの第2履歴データを表示部15に表示する。つまり、表示制御部114は、作業メモリ16または記憶メモリ17に記憶されている登録データから登録名を読出すことなく、携帯電話機2から転送された登録名を表示部15に表示することができる。
【0137】
なお、第2履歴データは登録名を含まない状態で作業メモリ16または記憶メモリ17に保存されてもよい。この場合、表示制御部114は、第2履歴データに含まれる着信元または発信先に対応付けられた登録名を表示部15に表示する。
【0138】
図5で説明したHFP接続処理をハンズフリー通話接続制御部111が完了すると、ユーザが車載ハンズフリー装置1側の操作部14を操作することにより、第1通信または第2通信による電話の発信処理および着信処理を行うことが可能となる。
【0139】
また、データ転送制御部112が、図5で説明した携帯電話機2との初期接続処理によって携帯電話機2から第2履歴データを受信した後、車載ハンズフリー装置1または携帯電話機2において、第2通信による新たな発信処理、着信処理、または不在着信処理が実行される場合がある。その後、ユーザが操作部14を操作して第2履歴データの表示要求をした場合を想定する。この場合、表示制御部114は、第2通信による新たな発信処理、着信処理、または不在着信処理を行った発信先および着信元である音声通話先に対応する登録名が登録データに存在する場合には、図10C図11C図11Cに示すように、該登録名を表示部15に表示する。
【0140】
また、第2発信履歴データ、第2着信履歴データ、および第2不在着信履歴データを纏めて最新の時刻順にしたがって表示する第2全履歴データの表示要求を受付けた場合を想定する。この場合、表示制御部114は、第2着信履歴データおよび第2不在着信履歴データについては着信元が重複しているか否かに拘らず着信日時或いは不在着信日時が新しい方の第2着信履歴データおよび第2不在着信履歴データを全ての中から所定数選択して表示する。また、表示制御部114は、第2発信履歴データについては発信先が重複している第2発信履歴データのうち最新の第2発信履歴データのみを選択して表示する。
【0141】
図13は、本実施形態に係る第2全履歴データの一例を示す図である。このように、表示制御部114は、第2全履歴データを表示部15へ表示してもよい。
【0142】
なお、車載ハンズフリー装置1のデータ受信部103は、第1履歴データとして第1全履歴データを携帯電話機2から受信し、第2履歴データとして第2全履歴データを携帯電話機2から受信してもよい。
【0143】
次に、車載ハンズフリー装置1における、第1通信および第2通信の各々による発信処理および着信処理の手順を説明する。なお、ここでは、第1発信履歴データ、第2発信履歴データ、第1着信履歴データ、および第2着信履歴データを用いた形態を説明するが、第1不在着信履歴データおよび第2不在着信履歴データについても同様である。
【0144】
図14図16は、本実施形態の車載ハンズフリー装置1で実行される第1通信および第2通信による発信処理および着信処理の流れの一例を示す図である。なお、図14図16で制御装置12によって実行される処理は、例えば、図3で説明した制御部102等によって実現される処理である。
【0145】
図14図16の中で説明する図17Aおよび図17Bは、第1発信履歴データの一例を示す図である。図18Aおよび図18Bは、第1着信履歴データの一例を示す図である。図19A図19Cは、第1発信履歴データの第1発信履歴からユーザが発信操作を行う場合の表示画面の遷移の一例を示す図である。図20A図20Cは、第1着信履歴データの第1着信履歴からユーザが発信操作を行う場合の表示画面の遷移の一例を示す図である。図21A図21Bは、電話帳データの電話帳からユーザが発信操作を行う場合の表示画面の遷移の一例を示す図である。
【0146】
図14図16の中で説明する図22A図22Eは、第2履歴データの第2履歴から発信操作を行う場合の、車載ハンズフリー装置1および携帯電話機2の表示画面の推移の一例を示す図である。図23A図23Eは、登録データから発信操作を行う場合の、車載ハンズフリー装置1および携帯電話機2の表示画面の推移の一例を示す図である。
【0147】
図24A図24Cは、第2履歴データの第2履歴から発信操作を行う場合の、車載ハンズフリー装置1および携帯電話機2の表示画面の推移の他の一例を示す図である。図25A図25Cは、登録データから発信操作を行う場合の、車載ハンズフリー装置1および携帯電話機2の表示画面の推移の他の一例を示す図である。
【0148】
図14に戻り説明を続ける。
【0149】
まず、車載ハンズフリー装置1の制御部102は、携帯電話機2が車載ハンズフリー装置1のBluetooth通信圏内に存在しており、Bluetooth通信部13が携帯電話機2との間で通信回線を確立したか否かを判定する(S121)。制御部102は、肯定判断するまで否定判断を繰り返し(S121:No)、肯定判断すると(S121:Yes)S122へ進む。
【0150】
S122では、制御部102は、第1履歴データ、第2履歴データ、電話帳データ、および登録データが携帯電話機2からBluetooth通信部13に自動転送されるまで待機する(S122)。
【0151】
制御部102は、第1履歴データ、第2履歴データ、電話帳データ、および登録データが携帯電話機2から自動転送されると(S122:Yes)、これらのデータを作業メモリ16または記憶メモリ17に記憶する(S123)。
【0152】
携帯電話機2から自動転送された第1履歴データや第2履歴データの件数がそれぞれ例えば20件であるとする。また、作業メモリ16に記憶可能な第1履歴データや第2履歴データの件数がそれぞれ例えば5件であるとする。つまり、作業メモリ16に記憶可能な第1履歴データや第2履歴データの件数が、携帯電話機2から自動転送された第1履歴データや第2履歴データの件数よりも少ない場合がある。
【0153】
この場合、制御部102は、例えば、携帯電話機2から自動転送された第1発信履歴データのうち発信日時が古い第1発信履歴データを破棄し、発信日時が新しい5件分の第1発信履歴データを優先して作業メモリ16に記憶する。また、制御部102は、第1着信履歴データ、第2発信履歴データ、および第2着信履歴データについても同様に、最新の5件分の履歴データを優先して作業メモリ16に記憶する。
【0154】
例えば、制御部102は、携帯電話機2から第1発信履歴データが自動転送された直後では、作業メモリ16の第1発信履歴データとして、図17Aに示す第1発信履歴データを保持する。また、この状態からユーザが第1発信履歴データを表示する操作を行うと、制御部102は、図19Bに示す表示画面を表示部15に表示する。また、制御部102は、携帯電話機2から第1着信履歴データが自動転送された直後では、作業メモリ16の着信履歴データとして、図18Aに示す第1着信履歴データを保持する。また、この状態からユーザが第1着信履歴データを表示する操作を行うと、図20Bに示す表示画面を表示部15に表示する。
【0155】
このようにして、携帯電話機2と車載ハンズフリー装置1とがBluetooth通信回線を確立すると、携帯電話機2がBluetooth通信回線を確立する前に記憶しておいた第1履歴データや第2履歴データが車載ハンズフリー装置1の作業メモリ16に自動転送される。このため、携帯電話機2と車載ハンズフリー装置1とが1つの電話システムを構成することになり、この電話システムによりハンズフリー音声通話を行うことが可能となる。そして、電話システムが構成されると、ユーザは、テンキー入力による発信操作、第1履歴データ、第2履歴データ、電話帳データ、および登録データの何れかを用いた、第1通信または第2通信による発信操作を行なうことが可能となり、また、着信を待機することが可能となる。
【0156】
ここで、本実施形態では、図5を用いて説明したように、Bluetooth通信の手順として、PBAPでの無線通信接続をした後、PBAPでの無線通信を切断し、HFPでの無線通信接続を行う、というシリアルなプロファイル切り替えを行っている。このため、HFPでの無線通信接続後、携帯電話機2に対して新たな着信があった場合、または操作部14にて新たな発信処理が行われた場合、携帯電話機2に該着信および該発信を含む第1履歴データおよび第2履歴データが保持される。このため、車載ハンズフリー装置1の制御部102は、これらの最新の第1履歴データおよび第2履歴データを携帯電話機2から再度取得するために、HFPでの無線通信中にPBAPでの無線通信である同時接続を行うことも可能である。
【0157】
しかしながら、同時接続をできる限り避ける場合には、シリアル接続においてHFPでの無線通信接続を切断してPBAPでの無線通信接続を行うと、その間、1つの電話システムを構成している携帯電話機2と車載ハンズフリー装置1とが分離された状態となる。このため、この場合、ハンズフリー音声通話が行えなくなる状態が発生する。そこで、本実施形態では、図5のS2でHFP接続処理を行った場合、それ以降もHFPでの無線通信接続のみで、最新の第1履歴データおよび第2履歴データを車載ハンズフリー装置1で自己取得し、自己管理するようにしている。
【0158】
図14のフローチャートに戻り説明を続ける。
【0159】
制御部102は、ユーザのテンキー入力による発信操作を受付けたか否かを判定する(S124)。例えば、制御部102は、図19Aに示す表示画面を表示部15に表示する。ユーザは、操作部14を操作することで表示画面のテンキー入力を行い、発信ボタンを操作する。これにより、制御部102は、ユーザのテンキー入力による発信操作を受付ける。
【0160】
制御部102は、ユーザがテンキー入力による発信操作を行った旨を判定すると(S124:Yes)、入力された電話番号を発信電話番号として第1通信により発信する発信処理を行う(S129)。
【0161】
詳細には、例えば、制御部102は、携帯電話機2の電話アプリケーション8Aの起動指示と、入力された電話番号の発信電話番号を示す信号を、携帯電話機2へ送信する。携帯電話機2は、受け付けた起動指示に応じて電話アプリケーション8Aを起動する。そして、携帯電話機2は、電話アプリケーション8Aを用いた第1通信により、車載ハンズフリー装置1から受付けた発信電話番号へ第1通信により発信する発信処理を実行する。
【0162】
制御部102は、テンキー入力に応じた第1通信による発信処理を終了すると、図17Bに示すように、その時点で作業メモリ16に記憶されている第1発信履歴データのうち発信日時が最古の第1発信履歴データを削除する(S130)。そして、制御部102は、テンキー入力による発信を表す自装置の最新の第1発信履歴データを作業メモリ16に追加記憶する(S131)。
【0163】
ユーザがテンキーを操作して例えば電話番号「09000000100」を入力し、当該電話番号「09000000100」を発信電話番号として発信する操作を行った場面を想定する。この場合、制御部102は、図17Bに示すように、電話番号「09000000100」を表す第1発信履歴データを作業メモリ16に追加記憶する。この場合、制御部102は、電話番号「09000000100」に対応する発信日時として車載ハンズフリー装置1のGPS装置が取得した日時をタイムスタンプとして記憶する。つまり、図17Bでは、最新の電話番号「09000000100」の発信日時は車載ハンズフリー装置1のGPS装置が取得した日時であり、残りの4件の電話番号の発信日時は携帯電話機2の時計部が取得した日時である。なお、制御部102は、この状態からユーザが第1発信履歴データを表示する操作を行うと、図19Cに示す表示画面を表示部15に表示する。
【0164】
図14に戻り説明を続ける。S124で否定判断すると(S124:No)S125へ進む。S125では、制御部102は、ユーザから第1発信履歴データの第1発信履歴による発信操作を受付けたか否かを判定する(S125)。
【0165】
例えば、制御部102は、図19Aに示す表示画面を表示部15に表示する。ユーザによる操作部14の操作指示によって「履歴」ボタン4aが押下され、更に、図19Bに示す「第1発信履歴」ボタン4bが操作された場合を想定する。この場合、制御部102は、第1発信履歴による発信操作を受付けたと判断し(S125:Yes)、S132へ進む。
【0166】
S132では、制御部102は、作業メモリ16に記憶されている第1発信履歴データを参照し(S132)、作業メモリ16に記憶されている電話帳データを参照する(S133)。そして、制御部102は、図19Bおよび図19Cに示すように、第1発信履歴データの第1発信履歴による発信操作画面を表示部15に表示する(S134)。この場合、制御部102は、第1発信履歴データの発信電話番号が電話帳データに登録されていれば、その電話番号に対応する登録名を表示部15に表示する。一方、第1発信履歴データの発信電話番号が電話帳データに登録されていなければ、制御部102は、その電話番号を表示部15に表示する。
【0167】
次いで、制御部102は、ユーザが選択した電話番号を発信電話番号とし、第1通信により発信する発信処理を行う(S135)。
【0168】
詳細には、例えば、制御部102は、携帯電話機2の電話アプリケーション8Aの起動指示と、選択された電話番号の発信電話番号を示す信号を、携帯電話機2へ送信する。携帯電話機2は、受け付けた起動指示に応じて電話アプリケーション8Aを起動する。そして、携帯電話機2は、電話アプリケーション8Aを用いた第1通信により、車載ハンズフリー装置1から受付けた発信電話番号へ第1通信により発信する発信処理を実行する。
【0169】
すなわち、第1発信履歴の発信操作画面を介して発信電話番号が発信対象として選択されると、制御部102は、選択された発信対象を音声通話先とし、携帯電話機2を介して第1通信により発信する発信処理を実行する。
【0170】
そして、音声通話先で着信が承諾されると、制御部102は、携帯電話機2の電話アプリケーション8Aを介して、音声通話先との間で第1通信による音声通話を実現する。
【0171】
そして、上記S130に戻る。すなわち、制御部102は、第1発信履歴による発信処理および音声通話を終了すると、S130~S131と同様の処理を行う。すなわち、制御部102は、その時点で作業メモリ16に記憶されている第1発信履歴データのうち発信日時が最古の第1発信履歴データを消去し、最新の第1発信履歴データを作業メモリ16に追加記憶する。そして制御部102は、発信電話番号に対応する発信日時として車載ハンズフリー装置1のGPS装置が取得した日時をタイムスタンプとして記憶する。
【0172】
一方、S125で否定判断すると(S125:No)、図15のS126へ進む。
【0173】
S126では、制御部102は、ユーザから第1着信履歴データの第1着信履歴による発信操作を受付けたか否かを判定する(S126)。
【0174】
例えば、制御部102は、図20Aに示す表示画面を表示部15に表示する。ユーザによる操作部14の操作指示によって「履歴」ボタン4aが押下され、更に、図20Bに示す「第1着信履歴」ボタン4cが操作された場合を想定する。この場合、制御部102は、第1着信履歴による発信操作を受付けたと判断し(S126:Yes)、S136へ進む。
【0175】
S136では、制御部102は作業メモリ16に記憶されている第1着信履歴データを参照し(S136)、作業メモリ16に記憶されている電話帳データを参照する(S137)。そして、制御部102は、図20Bおよび図20Cに示すように、第2着信履歴データの第2着信履歴による発信操作画面を表示部15に表示する(S138)。この場合、制御部102は、第2着信履歴データの発信電話番号が電話帳データに登録されていれば、その電話番号に対応する登録名を表示部15に表示する。一方、制御部102は、第2着信履歴データの発信電話番号が電話帳データに登録されていなければ、その電話番号を表示部15に表示する。
【0176】
次いで、制御部102は、ユーザが選択した電話番号を発信電話番号とし、第1通信により発信する発信処理を行う(S139)。
【0177】
詳細には、例えば、制御部102は、携帯電話機2の電話アプリケーション8Aの起動指示と、選択された電話番号の発信電話番号を示す信号を、携帯電話機2へ送信する。携帯電話機2は、受け付けた起動指示に応じて電話アプリケーション8Aを起動する。そして、携帯電話機2は、電話アプリケーション8Aを用いた第1通信により、車載ハンズフリー装置1から受付けた発信電話番号へ第1通信により発信する発信処理を実行する。
【0178】
すなわち、第1着信履歴の発信操作画面を介して発信電話番号が発信対象として選択されると、制御部102は、選択された発信対象を音声通話先とし、携帯電話機2を介して第1通信により発信する発信処理を実行する。
【0179】
そして、音声通話先で着信が承諾されると、制御部102は、携帯電話機2の電話アプリケーション8Aを介して、音声通話先との間で第1通信による音声通話を実現する。
【0180】
そして、上記S130に戻る。すなわち、制御部102は、第1着信履歴による発信処理および音声通話を終了すると、S130~S131と同様の処理を行う。すなわち、制御部102は、その時点で作業メモリ16に記憶されている第2発信履歴データのうち発信日時が最古の第1発信履歴データを消去し、最新の第1発信履歴データを作業メモリ16に追加記憶する。そして、制御部102は、発信電話番号に対応する発信日時として車載ハンズフリー装置1のGPS装置が取得した日時をタイムスタンプとして記憶する。
【0181】
S126で否定判断すると(S126:No)、S127へ進む。S127では、制御部102は、ユーザから電話帳データによる発信操作を受付けたか否かを判定する(S127)。
【0182】
例えば、制御部102は、図21Aに示す表示画面を表示部15に表示する。ユーザによる操作部14の操作指示によって「連絡先」4dボタンが押下され、更に、電話帳ボタンが操作された場合を想定する。この場合、制御部102は、電話帳による発信操作を受付けたと判断し(S127:Yes)、S140へ進む。
【0183】
S140では、制御部102は、電話帳データを参照する(S140)。そして、制御部102は、図21Bに示す電話帳による発信操作画面を表示部15に表示する(S141)。制御部102は、ユーザが選択した電話番号を発信電話番号とし、第1通信により発信する発信処理を行う(S142)。
【0184】
詳細には、例えば、制御部102は、携帯電話機2の電話アプリケーション8Aの起動指示と、選択された電話番号の発信電話番号を示す信号を、携帯電話機2へ送信する。携帯電話機2は、受け付けた起動指示に応じて電話アプリケーション8Aを起動する。そして、携帯電話機2は、電話アプリケーション8Aを用いた第1通信により、車載ハンズフリー装置1から受付けた発信電話番号へ第1通信により発信する発信処理を実行する。
【0185】
すなわち、電話帳データの発信操作画面を介して発信電話番号が発信対象として選択されると、制御部102は、選択された発信対象を音声通話先とし、携帯電話機2を介して第1通信により発信する発信処理を実行する。
【0186】
そして、音声通話先で着信が承諾されると、制御部102は、携帯電話機2の電話アプリケーション8Aを介して、音声通話先との間で第1通信による音声通話を実現する。
【0187】
そして、上記S130に戻る。すなわち、制御部102は、電話帳による発信処理および音声通話を終了すると、S130~S131と同様の処理を行う。すなわち、制御部102は、その時点で作業メモリ16に記憶されている第1発信履歴データのうち発信日時が最古の第1発信履歴データを消去し、最新の第1発信履歴データを作業メモリ16に追加記憶する。そして制御部102は、発信電話番号に対応する発信日時として車載ハンズフリー装置1のGPS装置が取得した日時をタイムスタンプとして記憶する。
【0188】
S127で否定判断すると(S127:No)、S128へ進む。S128では、制御部102は、携帯電話機2からBluetooth通信部13を介して、第1通信または第2通信により着信したか否かを判定する(S128)。
【0189】
S128で肯定判断すると(S128:Yes)、制御部102は、第1通信または第2通信による着信を知らせるための報知等の着信処理を行う(S143)。
【0190】
例えば、制御部102が第1通信による着信を受付け、ユーザが該着信を承諾した場合を想定する。この場合、制御部102は、携帯電話機2の電話アプリケーション8Aを介して着信した着信元との間で、第1通信による音声通話を実現する着信処理を実行する。また、例えば、制御部102が、第2通信による着信を受付け、ユーザが該着信を承諾した場合を想定する。この場合、制御部102は、携帯電話機2のコミュニケーションアプリケーション8Bを介して着信した着信元との間で、第2通信による音声通話を実現する着信処理を実行する。
【0191】
そして、制御部102は、着信処理が終了すると、その時点で作業メモリ16に記憶されている着信履歴データのうち着信日時が最古の着信履歴データを消去する(S144)。そして、最新の着信履歴データを作業メモリ16に追加記憶する(S145)。
【0192】
すなわち、制御部102は、第1通信による着信を受付けた場合、作業メモリ16に記憶されている第1着信履歴データの内の最古の第1着信履歴データを消去する。そして、最新の第1着信履歴データを作業メモリ16に追加記憶する。同様に、制御部102は、第2通信による着信を受付けた場合、作業メモリ16に記憶されている第2着信履歴データの内の最古の第2着信履歴データを消去する。そして、最新の第2着信履歴データを作業メモリ16に追加記憶する。そして、上記S124に戻る。
【0193】
S128で否定判断すると(S128:No)、図16に示すS160へ進む。
【0194】
制御部102は、ユーザから第2履歴データの第2履歴による発信操作を受付けたか否かを判定する(S160)。
【0195】
例えば、制御部102は、図21Aに示す表示画面を表示部15に表示する。ユーザによる操作部14の操作指示によって「履歴」ボタン4aが押下され、更に、図22Aに示す「第2履歴」ボタンが操作された場合を想定する。この場合、制御部102は、第2履歴データの第2履歴による発信操作を受付けたと判断し(S160:Yes)、S161へ進む。
【0196】
S161では、制御部102は、作業メモリ16に記憶されている第2履歴データを参照し(S161)、作業メモリ16に記憶されている登録データを参照する(S162)。
【0197】
そして、制御部102は、図22Aに示すように、第2履歴データの第2履歴による発信操作画面を表示部15に表示する(S163)。すなわち、制御部102は、第2着信履歴データによって表される着信元、および、第2発信履歴データによって表される発信先、の少なくとも一方に対するユーザの操作による発信操作の可能な、発信操作画面を表示部15に表示する。
【0198】
ユーザは、表示部15に表示された該発信操作画面を介して、表示された第2履歴データの内の発信対象の第2履歴データを選択し、「発信」ボタンを操作する。制御部102は、ユーザの操作指示による発信対象の選択を受付け(S164)、更に「発信」ボタンの選択を受付ける(S165)。
【0199】
制御部102は、携帯電話機2のコミュニケーションアプリケーション8Bを起動し、選択された第2履歴データの着信元または発信先へ、第2通信により発信する発信処理を行う(S166)。
【0200】
例えば、制御部102は、コミュニケーションアプリケーション8Bの起動指示および着信元または発信先を表す音声通話先(アカウント情報)を示す信号を、携帯電話機2へ送信する。携帯電話機2は、受け付けた起動指示に応じてコミュニケーションアプリケーション8Bを起動する。そして、携帯電話機2は、コミュニケーションアプリケーション8Bを用いた第2通信により、車載ハンズフリー装置1から受付けた音声通話先へ第2通信により発信する発信処理を実行する。
【0201】
すなわち、第2履歴データの発信操作画面を介して、第2着信履歴データに含まれる着信元または第2発信履歴データに含まれる発信先が発信対象として選択されると、制御部102は、選択された発信対象を音声通話先とし、携帯電話機2を介して第2通信により発信する発信処理を実行する。
【0202】
図22Bは、S166の処理により携帯電話機2がコミュニケーションアプリケーション8Bを用いた第2通信による発信処理を行うときに、携帯電話機2に表示される表示画面の一例である。携帯電話機2による第2通信を用いた発信処理中、携帯電話機2には、例えば、図22Bに示す携帯電話機2のコミュニケーションアプリケーション8B用の発信中表示画面が表示される。
【0203】
一方、第2通信による発信処理中、制御部102は、車載ハンズフリー装置1用の発信中表示画面を表示部15に表示する(S167)。例えば、制御部102は、図22Cに示す車載ハンズフリー装置1用の発信中表示画面を表示部15に表示する。
【0204】
制御部102の発信処理によって、発信先の携帯電話機2による着信承諾がなされた場合を想定して説明を続ける。すると、車載ハンズフリー装置1は、携帯電話機2のコミュニケーションアプリケーション8Bを用いた第2通信による音声通話を開始する(S168)。
【0205】
第2通信による音声通話中、携帯電話機2の表示部4には、携帯電話機2のコミュニケーションアプリケーション8B用の通話中表示画面が表示される。例えば、図22Dに示す通話中表示画面が携帯電話機2の表示部4に表示される。
【0206】
一方、制御部102は、第2通信による音声通話中、車載ハンズフリー装置1用の通話中表示画面を表示部15に表示する(S169)。例えば、制御部102は、第2通信による音声通話中、図22Eに示す車載ハンズフリー装置1用の通話中表示画面を表示部15に表示する。
【0207】
制御部102は、第2通信による音声通話が終了すると(S170)、S130~S131と同様の処理を行う。すなわち、制御部102は、その時点で作業メモリ16に記憶されている第2発信履歴データのうち発信日時が最古の第2発信履歴データを消去し、最新の第2発信履歴データを作業メモリ16に追加記憶する。そして制御部102は、発信日時として車載ハンズフリー装置1のGPS装置が取得した日時をタイムスタンプとして記憶する。
【0208】
S160で否定判断すると(S160:No)、S171へ進む。S171では、制御部102は、ユーザから登録データによる発信操作を受付けたか否かを判定する(S171)。
【0209】
例えば、制御部102は、図21Aに示す表示画面を表示部15に表示する。ユーザによる操作部14の操作指示によって「連絡先」4dボタンが押下され、更に、登録データボタンが操作された場合を想定する。この場合、制御部102は、登録データによる発信操作を受付けたと判断し(S171:Yes)、S172へ進む。なお、S171で否定判断すると(S171:No)、上記S124へ戻る。
【0210】
S172では、制御部102は、登録データを参照する(S172)。そして、制御部102は、登録データによる発信操作画面を表示部15に表示する(S173)。図23Aは、登録データによる発信操作画面の一例を示す図である。制御部102は、例えば、図23Aに示す発信操作画面を表示部15に表示する。
【0211】
ユーザは、表示部15に表示された該発信操作画面を介して、表示された登録データの内の発信対象の登録データを選択し、「発信」ボタンを操作する。制御部102は、ユーザの操作指示による発信対象の選択を受付け(S174)、更に「発信」ボタンの選択を受付ける(S175)。図23Aには、登録名「伊藤 〇〇」が発信対象として選択された状態を一例として示した。
【0212】
制御部102は、携帯電話機2のコミュニケーションアプリケーション8Bを起動し、選択された登録データの音声通話先へ、第2通信により発信する発信処理を行う(S176)。
【0213】
例えば、制御部102は、コミュニケーションアプリケーション8Bの起動指示および選択された音声通話先(アカウント情報)を示す信号を、携帯電話機2へ送信する。携帯電話機2は、受け付けた起動指示に応じてコミュニケーションアプリケーション8Bを起動する。そして、携帯電話機2は、コミュニケーションアプリケーション8Bを用いた第2通信により、車載ハンズフリー装置1から受付けた音声通話先へ第2通信により発信する発信処理を実行する。
【0214】
すなわち、登録データの発信操作画面を介して、登録データに含まれる音声通話先が発信対象として選択されると、制御部102は、選択された発信対象を音声通話先とし、携帯電話機2を介して第2通信により発信する発信処理を実行する。
【0215】
図23Bは、S176の処理により携帯電話機2がコミュニケーションアプリケーション8Bを用いた第2通信による発信処理を行うときに、携帯電話機2に表示される表示画面の一例である。携帯電話機2による第2通信を用いた発信処理中、携帯電話機2には、例えば、図23Bに示す携帯電話機2用の発信中表示画面が表示される。
【0216】
一方、第2通信による発信処理中、制御部102は、車載ハンズフリー装置1用の発信中表示画面を表示部15に表示する(S177)。例えば、制御部102は、図23Cに示す車載ハンズフリー装置1用の発信中表示画面を表示部15に表示する。
【0217】
制御部102の発信処理によって、発信先の携帯電話機2による着信承諾がなされた場合を想定して説明を続ける。すると、車載ハンズフリー装置1は、携帯電話機2のコミュニケーションアプリケーション8Bを用いた第2通信による音声通話を開始する(S178)。
【0218】
第2通信による音声通話中、携帯電話機2の表示部4には、携帯電話機2のコミュニケーションアプリケーション8B用の通話中表示画面が表示される。例えば、図23Dに示す通話中表示画面が携帯電話機2の表示部4に表示される。
【0219】
一方、制御部102は、第2通信による音声通話中、車載ハンズフリー装置1用の通話中表示画面を表示部15に表示する(S179)。例えば、制御部102は、第2通信による音声通話中、図23Eに示す車載ハンズフリー装置1用の通話中表示画面を表示部15に表示する。
【0220】
制御部102は、第2通信による音声通話が終了すると(S180)、S130~S131と同様の処理を行う。すなわち、制御部102は、その時点で作業メモリ16に記憶されている第2発信履歴データのうち発信日時が最古の第2発信履歴データを消去し、最新の第2発信履歴データを作業メモリ16に追加記憶する。そして制御部102は、発信日時として車載ハンズフリー装置1のGPS装置が取得した日時をタイムスタンプとして記憶する。
【0221】
図14図16を用いて説明したように、本実施形態の車載ハンズフリー装置1の制御部102は、第1履歴データまたは電話帳データを用いた発信操作の可能な発信操作画面を介した発信操作がなされると、電話アプリケーション8Aを用いた第1通信による発信処理を行う。また、本実施形態の車載ハンズフリー装置1の制御部102は、第2履歴データまたは登録データを用いた発信操作の可能な発信操作画面を介した発信操作がなされると、コミュニケーションアプリケーション8Bを用いた第2通信による発信処理を行う。
【0222】
このため、本実施形態の車載ハンズフリー装置1は、音声通信に用いる複数種類のアプリケーションを介したハンズフリー通話を実現することができる。
【0223】
なお、制御部102は、第2履歴データを用いた発信操作の可能な発信操作画面に替えて、第2履歴データに含まれる第2着信履歴データおよび第2発信履歴データの各々ごとに、発信操作の可能な発信操作画面を用いてもよい。
【0224】
なお、制御部102は、発信操作画面を介して選択された第2着信履歴データに含まれる着信元または第2発信履歴データに含まれる発信先である通話先への発信から該発信の終了までの期間、携帯電話機2に表示される表示画面を車載ハンズフリー装置1の表示部15に表示してもよい。
【0225】
具体的には、制御部102は、上記S167の第2通信による発信処理中、車載ハンズフリー装置1用の発信中表示画面に替えて、携帯電話機2のコミュニケーションアプリケーション8B用の発信中表示画面を表示してもよい。例えば、制御部102は、図22Cに示す車載ハンズフリー装置1用の発信中表示画面に替えて、図24Aに示す携帯電話機2のコミュニケーションアプリケーション8B用の発信中表示画面を表示部15に表示してもよい。この場合、制御部102は、携帯電話機2に表示されている発信中表示画面(図22B参照)を画像データとして取り込む画面キャプチャ処理により、携帯電話機2のコミュニケーションアプリケーション8B用の発信中表示画面を表示部15に表示すればよい。
【0226】
同様に、制御部102は、上記S169の車載ハンズフリー装置1用の通話中表示画面に替えて、携帯電話機2のコミュニケーションアプリケーション8B用の通話中表示画面を表示してもよい。例えば、制御部102は、図22Eに示す車載ハンズフリー装置1の通話中表示画面に替えて、携帯電話機2の表示部4に表示されているコミュニケーションアプリケーション8B用の通話中表示画面(図22D図24B参照)を画像データとして取り込む画面キャプチャ処理を実行する。この画面キャプチャ処理により、制御部102は、例えば、図24Cに示す携帯電話機2のコミュニケーションアプリケーション8B用の通話中表示画面を、車載ハンズフリー装置1の表示部15に表示してもよい。
【0227】
同様に、制御部102は、上記S177の第2通信による発信処理中、車載ハンズフリー装置1用の発信中表示画面に替えて、携帯電話機2のコミュニケーションアプリケーション8B用の発信中表示画面を表示してもよい。例えば、制御部102は、図23Cに示す車載ハンズフリー装置1用の発信中表示画面に替えて、携帯電話機2のコミュニケーションアプリケーション8B用の発信中表示画面(図23B参照)を表示部15に表示してもよい。この場合、制御部102は、携帯電話機2に表示されている発信中表示画面(図23B参照)を画像データとして取り込む画面キャプチャ処理により、図25Aに示す携帯電話機2のコミュニケーションアプリケーション8B用の発信中表示画面を、車載ハンズフリー装置1の表示部15に表示すればよい。
【0228】
同様に、制御部102は、上記S179の車載ハンズフリー装置1用の通話中表示画面に替えて、携帯電話機2のコミュニケーションアプリケーション8B用の通話中表示画面を表示してもよい。例えば、制御部102は、図23Eに示す車載ハンズフリー装置1の通話中表示画面に替えて、携帯電話機2の表示部4に表示されているコミュニケーションアプリケーション8B用の通話中表示画面(図23Dおよび図25B参照)を画像データとして取り込む画面キャプチャ処理を実行する。この画面キャプチャ処理により、制御部102は、例えば、図25Cに示す携帯電話機2のコミュニケーションアプリケーション8B用の通話中表示画面を、車載ハンズフリー装置1の表示部15に表示してもよい。
【0229】
なお、図16に示すフローチャートでは、第2履歴データの第2履歴による発信操作画面を表示部15に表示する形態を説明した。しかし、制御部102は、第2着信履歴データの第2着信履歴および第2発信履歴データの第2発信履歴について、別々の発信操作画面を表示部15に表示してもよい。
【0230】
また、図14図16に示すフローチャートでは、第1履歴データと第2履歴データを別々の表示画面に表示する形態を一例として示した。しかし、制御部102は、第1履歴データおよび第2履歴データを1つの表示画面として表示部15に表示してもよい。
【0231】
図26は、制御部102が表示部15に表示する表示画面の一例を示す模式図である。図26に示すように、制御部102は、第1履歴データおよび第2履歴データによって表される着信元および発信先に対する発信操作の可能な発信操作画面を、表示部15に表示してもよい。この場合、制御部102は、該発信操作画面を介して選択された発信対象が、第1履歴データまたは電話帳データに登録されている発信対象である場合には、第1通信による発信処理を行えばよい。また、制御部102は、該発信操作画面を介して選択された発信対象が、第2履歴データまたは登録データに登録されている発信対象である場合には、第2通信による発信処理を行えばよい。
【0232】
次に、上述の図5のフローチャートにおけるS2のHFP接続処理について詳述する。図27は、本実施形態に係るHFP接続処理の流れの詳細を示すフローチャートである。
【0233】
ハンズフリー通話接続制御部111は、Bluetooth通信圏内に存在する携帯電話機2との間で通信回線を確立した旨を判定すると、HFPによる無線通信接続を実行し(S151)、携帯電話機2が音声通話中にあるか否かを判定する(S152)。なお、携帯電話機2が音声通話中であるか待受中であるかは、HFPでの無線通信で通知され、車載ハンズフリー装置1が受信し、この受信した通信状態によって判断する。なお、S151は、図5のS2の処理に対応する。
【0234】
ハンズフリー通話接続制御部111は、携帯電話機2が音声通話中ではない、つまり着信を待ち受ける待受中となったことを判定すると(S152:No)、接続しているHFPでの無線通信を切断する(S154)。そして、データ転送制御部112は、PBAPでの無線通信を接続する(S155)。つまり、ハンズフリー通話接続制御部111)は、携帯電話機2が音声通話中でなければ、接続したHFPでの無線通信を速やかに自動的に切断してPBAPでの無線通信を自動接続する。これらの処理により、制御部102は、携帯電話機2から送信された第1履歴データ、第2履歴データ、電話帳データ、および登録データを、Bluetooth通信部13により受信させることになる。
【0235】
また、ハンズフリー通話接続制御部111は、携帯電話機2が音声通話中にある旨を判定すると(S152:Yes)、その音声通話を車載ハンズフリー装置1によるハンズフリー音声通話の実行可能性有りとし、HFPでの無線通信を維持する。なお、この音声通話を実行するかどうかは、基本的には携帯電話機2に依存する。携帯電話機2が音声通話中にHFPでの無線通信接続をすると、自動的にBluetooth通信部13に受話音声を送信する場合もあれば、携帯電話機2での操作によってBluetooth通信部13に受話音声を送信する場合もある。
【0236】
ハンズフリー通話接続制御部111は、携帯電話機2が音声通話を終了したか否かを判定する(S153)。携帯電話機2が音声通話を終了した旨を判定すると(S153:Yes)、接続しているHFPでの無線通信を切断し(S154:No)、データ転送制御部112がPBAPでの無線通信を接続する(S155)。つまり、ハンズフリー通話接続制御部111は、携帯電話機2が音声通話中であれば、接続したHFPでの無線通信を当該音声通話が終了した後に切断してPBAPでの無線通信を接続する。これらの処理により、制御部102は、ユーザがハンズフリー音声通話を終了した後に携帯電話機2から送信された発信履歴データ、着信履歴データおよび電話帳データをBluetooth通信部13により受信させることになる。なお、S152、S153は、図5のS3とS4との間の処理に対応する。
【0237】
このように携帯電話機2が車載ハンズフリー装置1に接続される場合、車載ハンズフリー装置1は、該携帯電話機2が音声通話中かどうか判断する。音声通話中である場合、PBAPでの無線通信接続に切り替えるとハンズフリー音声通話に移行できない。このため、車載ハンズフリー装置1はHFPでの無線通信を維持し、音声通話中はPBAPでの無線通信接続を行わない。そして、車載ハンズフリー装置1は、音声通話が終了したと判断されると、HFPでの無線通信を切断し、PBAPでの無線通信接続を行う。この結果、携帯電話機2が単独で音声通話している場合、スムーズにハンズフリー音声通話に切り替えることが可能となる。
【0238】
また、制御部102は、携帯電話機2から第1着信履歴データまたは第2着信履歴データとして応答した着信履歴と応答しなかった着信である不在着信履歴とを区別して受信して記憶するようにしてもよい。
【0239】
図28A図28Cは、第1着信履歴からユーザが発信操作を行う場合の表示画面の遷移の他の一例を示す図である。ユーザが「履歴」ボタン4aを押下し、続いて「着信履歴」ボタン4cを押下したことにより、第1着信履歴による発信操作を行った場面を想定する。この場合、制御部102は、作業メモリ16に記憶されている第1着信履歴データを参照し、作業メモリ16に記憶されている電話帳データを参照し、図28Bおよび図28Cに示すように、第1着信履歴による発信操作画面を表示部15に表示する。また、制御部102は、応答した着信である旨を表すアイコン図形(受話器と矢印との組合わせからなる図形)および不在着信である旨を表すアイコン図形(受話器と×印との組合わせからなる図形)のうちいずれかをデータ毎に表示する。
【0240】
制御部102は、第2着信履歴についても同様の処理を行ってよい。
【0241】
なお、本実施形態では、携帯電話機2から転送された第1履歴データ、第2履歴データ、電話帳データ、および登録データが作業メモリ16や記憶メモリ17に記憶される場合について説明した。しかし、携帯電話機2から転送された第1履歴データ、第2履歴データ、電話帳データ、および登録データは、記憶メモリ17に記憶される構成であってもよい。この場合、車載ハンズフリー装置1の電源がオフとされた場合であっても、記憶メモリ17に記憶された第1履歴データ、第2履歴データ、電話帳データ、および登録データは保持されることになる。
【0242】
以上説明したように、本実施形態の車載ハンズフリー装置1は、携帯電話機2と無線接続されることで、ハンズフリー通話を可能とさせる。携帯電話機2は、第1着信履歴データ、第1発信履歴データ、電話帳データ、第2着信履歴データ、第2発信履歴データ、および登録データを記憶する。第1着信履歴データは、携帯電話機2のOS専用の電話アプリケーション8Aを利用した音声の第1通信により着信した着信元を表す。第1発信履歴データは、第1通信により発信した発信先を表す。電話帳データは、第1通信により着信した着信元および第1通信により発信した発信先である通話先と登録名とが対応付けて登録されている。第2着信履歴データは、コミュニケーションアプリケーション8Bを利用した音声の第2通信により着信した着信元を表す。第2発信履歴データは、第2通信により発信した発信先を表す。登録データは、第2通信により着信した着信元および発信した発信先である通話先と登録名とが対応付けて登録されている。
【0243】
車載ハンズフリー装置1は、制御部102と、データ受信部103と、記憶部104と、を備える。制御部102は、携帯電話機2が無線接続エリアに存在する場合、携帯電話機2に記憶された、第1着信履歴データ、第1発信履歴データ、電話帳データ、第2着信履歴データ、第2発信履歴データ、および登録データ、の転送を実現するための転送プロトコルを用いたデータ転送に関する制御を行う。データ受信部103は、転送プロトコルを用いた通信によって、携帯電話機2から、第1着信履歴データ、第1発信履歴データ、電話帳データ、第2着信履歴データ、第2発信履歴データ、および登録データを受信する。記憶部104は、受信した第1着信履歴データ、第1発信履歴データ、第2着信履歴データ、電話帳データ、第2着信履歴データ、第2発信履歴データ、および登録データを記憶する。
【0244】
ここで、従来技術では、携帯電話機2にインストールされている音声通信に用いる複数のアプリケーションの各々を利用した車載ハンズフリー装置1との連携については考慮されていなかった。すなわち、従来技術では、車載ハンズフリー装置に関して利便性のさらなる向上が望まれていた。
【0245】
一方、本実施形態の車載ハンズフリー装置1は、携帯電話機2に記憶されている電話アプリケーション8A用の第1着信履歴データ、第1発信履歴データ、および電話帳データと、コミュニケーションアプリケーション8B用の第2着信履歴データ、第2発信履歴データ、および登録データとを、転送プロトコルを用いた通信によって車載ハンズフリー装置1へ転送し記憶する。
【0246】
このため、本実施形態の車載ハンズフリー装置1は、これらの第1着信履歴データ、第1発信履歴データ、電話帳データと、第2着信履歴データ、第2発信履歴データ、および登録データを用いることで、電話アプリケーション8Aおよびコミュニケーションアプリケーション8Bの各々を用いた発信処理や着信処理を行うことができる。言い換えると、車載ハンズフリー装置1は、電話アプリケーション8Aによる第1通信およびコミュニケーションアプリケーション8Bによる第2通信の各々を用いた、ハンズフリー通話を実現することができる。
【0247】
従って、本実施形態の車載ハンズフリー装置1は、利便性の向上を図ることができる。
【0248】
また、図14図16を用いて説明したように、本実施形態の車載ハンズフリー装置1の制御部102は、第1履歴データまたは電話帳データを用いた発信操作の可能な発信操作画面を介した発信操作がなされると、電話アプリケーション8Aを用いた第1通信による発信処理を行う。また、本実施形態の車載ハンズフリー装置1の制御部102は、第2履歴データまたは登録データを用いた発信操作の可能な発信操作画面を介した発信操作がなされると、コミュニケーションアプリケーション8Bを用いた第2通信による発信処理を行う。
【0249】
このため、本実施形態の車載ハンズフリー装置1は、音声通信に用いる複数種類のアプリケーションを介した、音声通話を実現することができる。このため、本実施形態の車載ハンズフリー装置1は利便性の更なる向上を図ることができる。
【0250】
本実施形態の車載ハンズフリー装置1で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。上述の各実施形態の車載ハンズフリー装置1で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0251】
さらに、本実施形態の車載ハンズフリー装置1で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上述の各実施形態の車載ハンズフリー装置1で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0252】
(その他の実施形態)
本開示は、上記した各実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形または拡張することができる。
【0253】
車載ハンズフリー装置1は、ハンズフリー機能を主として実現する車載ハンズフリー専用装置から構成されていてもよいし、CDやラジオを再生する車両用オーディオ装置にハンズフリー機能を搭載した装置であってもよい。また、車載ハンズフリー装置1がポータブル性を有する可搬タイプの構成であってもよい。
【0254】
携帯電話機2と車載ハンズフリー装置1とがBluetooth通信を行う構成に限らず、他の近距離無線通信を行う構成であってもよく、また、有線通信を行う構成であってもよい。
【0255】
また、車載ハンズフリー装置1は、携帯電話機2から受信した第1履歴データ、第2履歴データ、電話帳データ、および登録データを記憶メモリ17に記憶し、これらのデータを受信する毎に、記憶されているデータを更新する構成であってもよい。また、車載ハンズフリー装置1は、携帯電話機2から受信した第1履歴データ、第2履歴データ、電話帳データ、および登録データを作業メモリ16と記憶メモリ17との双方に記憶し、記憶メモリ17をバックアップメモリとして使用する構成であってもよい。
【0256】
作業メモリ16に記憶可能な第1履歴データおよび第2履歴データの件数は1件であってもよい。この場合、車載ハンズフリー装置1が発信処理または着信処理を行うと、PBAPでの無線通信接続で受信した第1履歴データおよび第2履歴データが必ず消去されることとなる。
【0257】
また、車載ハンズフリー装置1において、複数の第1発信履歴データ、複数の第2発信履歴データ、複数の第1着信履歴データ、および複数の第2着信履歴データ、をそれぞれ同時に表示するようにしたが、1件ずつ表示するようにしてもよい。この場合、例えば、先ず、最初に、最新のデータを表示し、操作部14の操作により、次に最新のデータを順に表示するようにしてもよい。
【0258】
また、携帯電話機2と車載ハンズフリー装置1とがBluetooth通信回線を確立した場合、第1履歴データ、第2履歴データ、電話帳データ、および登録データを自動転送する構成に限らず、ユーザが車載ハンズフリー装置1や携帯電話機2を操作することを条件として、これらのデータを携帯電話機2から車載ハンズフリー装置1へ転送する構成であってもよい。
【0259】
また、携帯電話機2から受信した第1履歴データ、第2履歴データ、電話帳データ、および登録データを携帯電話機2毎に区別して作業メモリ16に記憶する場合、携帯電話機2と作業メモリ16に記憶しているデータとをリンクキーを生成する方法により対応付ける構成に限らず、両者を他の方法により対応付ける構成であってもよい。
【符号の説明】
【0260】
1 車載ハンズフリー装置
2 携帯電話機
12 制御装置
101 受付部
102 制御部
103 データ受信部
104 記憶部
112 データ転送制御部
114 表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図19C
図20A
図20B
図20C
図21A
図21B
図22A
図22B
図22C
図22D
図22E
図23A
図23B
図23C
図23D
図23E
図24A
図24B
図24C
図25A
図25B
図25C
図26
図27
図28A
図28B
図28C