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特開2022-191962内容物隠蔽用ブリスター容器フィルム
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  • 特開-内容物隠蔽用ブリスター容器フィルム 図1
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  • 特開-内容物隠蔽用ブリスター容器フィルム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191962
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】内容物隠蔽用ブリスター容器フィルム
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20221221BHJP
   A61J 1/03 20060101ALI20221221BHJP
   B65D 75/36 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
B65D65/40 D
A61J1/03 370
B65D75/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100508
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000162113
【氏名又は名称】共同印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100122404
【弁理士】
【氏名又は名称】勝又 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 海里
【テーマコード(参考)】
3E067
3E086
4C047
【Fターム(参考)】
3E067AA17
3E067AB82
3E067AC01
3E067BA34A
3E067BB14A
3E067BC07A
3E067CA12
3E067EA06
3E067EA32
3E067EB01
3E067EB27
3E067EC08
3E067EE02
3E067FA01
3E067FB02
3E067FC01
3E067GD10
3E086AB01
3E086AC07
3E086AC11
3E086AD07
3E086BA04
3E086BA13
3E086BA15
3E086BA33
3E086BB01
3E086BB22
3E086BB52
3E086BB62
3E086CA28
4C047AA25
4C047BB14
4C047BB15
4C047BB16
4C047BB17
4C047BB18
4C047BB22
4C047CC15
4C047CC16
(57)【要約】
【課題】製剤(経口医薬品)をブリスター容器ごと誤飲する事故を防止するために、収納する製剤が視認できず、かつ、蓋材に印刷された文字情報は視認可能なブリスター容器を製造し得る、ブリスター容器フィルムを提供すること。
【解決手段】ポケット部を備えたブリスター容器を製造するための、ブリスター容器フィルムであって、前記ブリスター容器フィルムは白化層を含み、前記ブリスター容器フィルムに前記ポケット部を形成したときに、前記ポケット部の前記白化層が白化して、前記ポケットに収容される内容物を少なくとも部分的に隠蔽し、かつ、前記ポケット部以外の部分が白化しない、内容物隠蔽用ブリスター容器フィルム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポケット部を備えたブリスター容器を製造するための、ブリスター容器フィルムであって、
前記ブリスター容器フィルムは白化層を含み、
前記ブリスター容器フィルムに前記ポケット部を形成したときに、
前記ポケット部の前記白化層が白化して、前記ポケットに収容される内容物を少なくとも部分的に隠蔽し、かつ、
前記ポケット部以外の部分が白化しない、
内容物隠蔽用ブリスター容器フィルム。
【請求項2】
透明又は半透明である、請求項1に記載のブリスター容器フィルム。
【請求項3】
前記白化層が、ハードセグメントを含む連続相と、ソフトセグメントを含む分散相とから構成される、海島型ミクロ相分離構造を有する樹脂を含む、請求項1又は2に記載のブリスター容器フィルム。
【請求項4】
前記ハードセグメントは、結晶性ポリオレフィンを含み、かつ
前記ソフトセグメントは、非晶性ポリオレフィンを含む、
請求項3に記載のブリスター容器フィルム。
【請求項5】
前記海島型ミクロ相分離構造を有する樹脂が、ブロックコポリマータイプのポリプロピレンである、請求項3又は4に記載のブリスター容器フィルム。
【請求項6】
前記白化層中の、前記海島型ミクロ相分離構造を有する樹脂の含有量が、前記白化層の全質量を基準として、80質量%以上である、請求項3~5のいずれか一項に記載のブリスター容器フィルム。
【請求項7】
前記白化層の厚みが20μm以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載のブリスター容器フィルム。
【請求項8】
基材層を更に有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のブリスター容器フィルム。
【請求項9】
前記基材層が、PVC(ポリ塩化ビニル)、CPP(無延伸ポリプロピレン)、COC(ノルボルネン-エチレン共重合体)、PVC/PVDC(ポリ塩化ビニル/ポリ塩化ビニリデン複合シート)、又はPVC/PCTFE(ポリ塩化ビニル/ポリクロロトリフルオロエチレン複合シート)から成る層である、請求項8に記載のブリスター容器フィルム。
【請求項10】
シーラント層を更に有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のブリスター容器フィルム。
【請求項11】
吸湿層、吸臭層、及び酸素吸収層から選択される機能層を更に有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のブリスター容器フィルム。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のブリスター容器フィルムから形成された、ブリスター容器、
前記ブリスター容器の前記ポケット部に収納されている内容物、及び
前記ブリスター容器に接着されている蓋材
を有する、内容物入りブリスター容器。
【請求項13】
前記内容物が経口医薬品である、請求項12に記載の内容物入りブリスター容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物隠蔽用ブリスター容器フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤、カプセル剤等の経口投与される医薬品の製剤(経口医薬品)は、ブリスター容器中に包装された状態で、患者に提供される場合が多い。ブリスター容器は、樹脂シートから成るブリスター容器フィルムに、片面に凹没し、反対面に突出するポケット部を形成し、該ポケット部の凹没部に内容物(製剤)を収納したうえで、蓋材を接合することにより、製造される。
【0003】
このようなブリスター容器の一態様として、ポケット部を、その突出側から押し潰すことにより、蓋材を突き破って内容物を取り出すことができる、PTP(プレス・スルー・パッケージ)が知られている。
【0004】
ブリスター容器の多くは、ブリスター容器フィルムが透明であり、未開封の状態でも、内容物本体、及び蓋材に印刷された文字情報等を視認することができ、これにより、製剤の使用者に製剤の情報を通知できる。
【0005】
しかしながら、実際の臨床では、高齢者、乳幼児等の患者において、処方された製剤をブリスター容器ごと飲み込む事例が報告されている。これは、ブリスター容器を、製剤1錠分ずつに切り離して服用する際等に起こりがちな事故である。
【0006】
ブリスター容器は、X線を透過するため、これを誤飲した際には、X線検査による発見が困難である。
【0007】
上記のような事情のもと、ブリスター容器の誤飲事故を防止するための技術が提案されている。
【0008】
例えば、特許文献1には、ポケット部からブリスター容器の端までの余白部分のサイズを大きくして、飲み込み難くする技術が記載されている。
【0009】
また、特許文献2には、ブリスター容器を紙製のカードケースで二重包装する技術が提案されており、これにより、誤飲が防止されると説明されている。
【0010】
更に、非特許文献1では、製剤がアルミブリスター容器に収納されている場合には、開封前に製剤が視認できないので、子供の興味を削ぎ、それによって誤飲防止効果が生じているとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】登録実用新案第3210345号公報
【特許文献2】特開2015-009855号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】“第27回医薬品・医療機器等対策部会 議事録”、[online]、平成27年5月12日、厚生労働省、[令和3年5月12日検索]、インターネット〈URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000088865.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ブリスター容器の余白サイズを大きくすると、使用樹脂量が増えるため、環境負荷が増大する懸念がある。
【0014】
ブリスター容器を紙製のカードケースで二重包装することは、異なる素材の使用を要するため、ブリスター容器の製造のコスト及び工程負荷が増大する他、容器の重量及び嵩が増えるため、輸送、保存、及び廃棄の負荷が増大する。
【0015】
更に、アルミブリスター容器は、アルミニウム箔によって、蓋材に印刷された文字情報等も隠蔽されるため、製剤使用者への製剤情報の通知性が損なわれる。
【0016】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、製剤(経口医薬品)をブリスター容器ごと誤飲する事故を防止するために、収納する製剤を隠蔽でき、かつ、蓋材に印刷された文字情報は視認可能なブリスター容器を製造し得る、内容物隠蔽用ブリスター容器フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、以下のとおりである。
【0018】
《態様1》
ポケット部を備えたブリスター容器を製造するための、ブリスター容器フィルムであって、
前記ブリスター容器フィルムは白化層を含み、
前記ブリスター容器フィルムに前記ポケット部を形成したときに、
前記ポケット部の前記白化層が白化して、前記ポケットに収容される内容物を少なくとも部分的に隠蔽し、かつ、
前記ポケット部以外の部分が白化しない、
内容物隠蔽用ブリスター容器フィルム。
《態様2》
透明又は半透明である、態様1に記載のブリスター容器フィルム。
《態様3》
前記白化層が、ハードセグメントを含む連続相と、ソフトセグメントを含む分散相とから構成される、海島型ミクロ相分離構造を有する樹脂を含む、態様1又は2に記載のブリスター容器フィルム。
《態様4》
前記ハードセグメントは、結晶性ポリオレフィンを含み、かつ
前記ソフトセグメントは、非晶性ポリオレフィンを含む、
態様3に記載のブリスター容器フィルム。
《態様5》
前記海島型ミクロ相分離構造を有する樹脂が、ブロックコポリマータイプのポリプロピレンである、態様3又は4に記載のブリスター容器フィルム。
《態様6》
前記白化層中の、前記海島型ミクロ相分離構造を有する樹脂の含有量が、前記白化層の全質量を基準として、80質量%以上である、態様3~5のいずれか一項に記載のブリスター容器フィルム。
《態様7》
前記白化層の厚みが20μm以上である、態様1~6のいずれか一項に記載のブリスター容器フィルム。
《態様8》
基材層を更に有する、態様1~7のいずれか一項に記載のブリスター容器フィルム。
《態様9》
前記基材層が、PVC(ポリ塩化ビニル)、CPP(無延伸ポリプロピレン)、COC(ノルボルネン-エチレン共重合体)、PVC/PVDC(ポリ塩化ビニル/ポリ塩化ビニリデン複合シート)、又はPVC/PCTFE(ポリ塩化ビニル/ポリクロロトリフルオロエチレン複合シート)から成る層である、態様8に記載のブリスター容器フィルム。
《態様10》
シーラント層を更に有する、態様1~9のいずれか一項に記載のブリスター容器フィルム。
《態様11》
吸湿層、吸臭層、及び酸素吸収層から選択される機能層を更に有する、態様1~10のいずれか一項に記載のブリスター容器フィルム。
《態様12》
態様1~11のいずれか一項に記載のブリスター容器フィルムから形成された、ブリスター容器、
前記ブリスター容器の前記ポケット部に収納されている内容物、及び
前記ブリスター容器に接着されている蓋材
を有する、内容物入りブリスター容器。
《態様13》
前記内容物が経口医薬品である、態様12に記載の内容物入りブリスター容器。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、製剤(経口医薬品)をブリスター容器ごと誤飲する事故を防止するために、収納する製剤が視認できず、かつ、蓋材に印刷された文字情報は視認可能なブリスター容器を製造し得る、内容物隠蔽用ブリスター容器フィルムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、実施例1-1で得られたブリスター容器フィルムのポケット部にペレットを収納した外観を示す写真である。
図2図2は、実施例1-4で得られたブリスター容器フィルムのポケット部にペレットを収納した外観を示す写真である。
図3図3は、比較例1-1で得られたブリスター容器フィルムのポケット部にペレットを収納した外観を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
《ブリスター容器フィルム》
本発明のブリスター容器フィルムは、
ポケット部を備えたブリスター容器を製造するための、ブリスター容器フィルムであって、
ブリスター容器フィルムは白化層を含み、
前記ブリスター容器フィルムにポケット部を形成したときに、
ポケット部の前記白化層が白化して、ポケットに収容される内容物を少なくとも部分的に隠蔽し、かつ、
ポケット部以外の部分が白化しない、
内容物隠蔽用ブリスター容器フィルムである。
【0022】
本発明のブリスター容器フィルムは、白化層の他に、基材層、シーラント層、機能層等を、更に含んでいてもよい。
【0023】
〈白化層〉
本発明のブリスター容器フィルムにおける白化層は、ブリスター容器フィルムにポケット部を形成したときに、形成されたポケット部は白化するが、ポケット部以外の部分は白化しないとの、白化特性を有する層である。ブリスター容器フィルムへのポケット部の形成は、一般に「ポケット成形」と呼ばれる方法によって行われてよい。この「ポケット成形」は、「絞り成形」、「圧空成形」、「圧空プラグアシスト成形」等を含む概念である。
【0024】
ブリスター容器フィルムのポケット部が白化することにより、該ポケット部に収納される内容物の少なくとも一部、好ましくは全部は、視覚的に遮断される。このことにより、ブリスター容器を未開封のときには、ブリスター容器フィルムを通して内容物を視認することが困難又は不可能となる。これによって、内容物である製剤をブリスター容器ごと誤飲する事例、患者以外の者が製剤に興味を惹かれて服用する事例等の抑制が期待できる。
【0025】
ポケット部の白化層を白化させてポケットに収容される内容物を少なくとも部分的に隠蔽するためには、白化後のブリスター容器フィルムは、JIS K7362-1:1999(全光線)及びJIS K7136:2000(ヘーズ)に準拠して測定したヘーズ値が、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、又は約100%であってよい。
【0026】
一方、ブリスター容器フィルムのポケット部以外の部分が白化しないことにより、ブリスター容器フィルムを通して蓋材に印刷された文字情報等を視認することができ、使用者は、内容物である製剤の情報を得ることができる。
【0027】
ポケット部以外の部分の視認性を確保するため、ブリスター容器フィルムは、透明又は半透明であってよい。ブリスター容器フィルムが、「透明又は半透明である」とは、JIS K7361(全光線)及びJIS K7136(ヘーズ)に準拠して測定したヘーズ値が、95%未満、94%以下、93%以下、92%以下、91%以下、90%以下、89%以下、又は88%以下であることをいう。
【0028】
本発明のブリスター容器フィルムにおける白化層は、樹脂を含む層であってよく、樹脂から成る層であってよい。
【0029】
ブリスター容器フィルムにポケット部を形成したときに、白化層のポケット部が白化する白化特性は、樹脂が塑性変形されたときに白化する現象によると考えられる。理論に拘束されるものではないが、樹脂の塑性変形に伴う白化は、樹脂中のクレーズ(craze)構造の形成に起因すると考えられる。
【0030】
樹脂は、例えば折り曲げられて塑性変形する際に、クレーズ構造を形成することがある。クレーズ構造は、塑性変形の際に樹脂の分子鎖が主応力方向に引き伸ばされて配向した配向鎖と、分子鎖の配向に伴って発生した微小なボイドとから成る構造体である。クレーズ構造が形成された部分は、光を散乱するから白く見える。
【0031】
層状の樹脂に対してポケット成形を行ったときにも、ポケット形成のための変形方向を主応力方向として分子鎖が引き伸ばされることにより、配向鎖と微小なボイドとから成るクレーズ構造を形成し得る。
【0032】
このような機構により、ブリスター容器フィルムにポケット部を形成したとき、ポケット部のブリスター容器フィルムに含まれる白化層が、クレーズ構造を形成して、白化すると推察される。
【0033】
白化層は、上記のような白化特性を有する限り、その構造は任意である。しかしながら白化層は、例えば、熱可塑性樹脂を含んでいてよく、特に、ハードセグメントを含む連続相と、ソフトセグメントを含む分散相とから構成される、海島型ミクロ相分離構造を有する樹脂(以下、「海島型白化樹脂」ともいう。)を含んでいてよい。
【0034】
白化層は、上記のような海島型白化樹脂のみから成っていてもよく、これ以外の任意成分を含んでいてもよい。任意成分は、例えば、海島型白化樹脂以外の樹脂、フィラー等であってよい。
【0035】
白化層は、上記以外に、樹脂に汎用されている添加剤、例えば、着色剤、酸化防止剤、透明化剤、可塑剤、帯電防止剤等を更に含有していてもよい。
【0036】
また、白化層は、片面又は両面に、補強層を有していてもよい。
【0037】
(海島型白化樹脂)
本発明のブリスター容器フィルムの白化層に含まれる海島型白化樹脂は、ハードセグメントを含む連続相と、ソフトセグメントを含む分散相とから構成される、海島型ミクロ相分離構造を有する樹脂である。
【0038】
上記のハードセグメントは、結晶性ポリオレフィンを含んでいてよい。結晶性ポリオレフィンは、例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン等であってよい。
【0039】
ソフトセグメントは、例えば、非晶性ポリオレフィンを含んでいてよい。非晶性ポリオレフィンは、例えば、低密度ポリエチレン、鎖状低密度ポリエチレン、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、水添ブタジエンゴム、水添イソプレンゴム等であってよい。
【0040】
海島型白化樹脂は、ハードセグメントとソフトセグメントとが共有結合によって結合している共重合体であってよく、又は、ハードセグメントとソフトセグメントとが別個の高重合体分子として存在しているブレンド物であってよい。また、ハードセグメントを含む連続相と、ソフトセグメントを含む分散相との間の界面張力を制御して分散相の粒径を調節するための相溶化剤を、更に含有していてよい。相溶化剤とは、例えば、ハードセグメントを構成する樹脂と同種の重合体鎖を有するブロックと、ソフトセグメントを構成する樹脂と同種の重合体鎖を有するブロックとから構成される、ブロック共重合体、グラフト共重合体等であってよい。
【0041】
海島型白化樹脂は、具体的には例えば、ブロックコポリマータイプのポリプロピレン(ブロックPP)であってよい。
【0042】
ブロックPPは、ハードセグメントとしてポリプロピレンを含む連続相中に、ソフトセグメントとしてポリエチレンを含む分散相を有し、これら連続相と分散相との界面に、相溶化剤としてのエチレン-プロピレンゴムを有する構造であってよい。
【0043】
ブロックPPは、成膜及び成形し易く、耐熱性が高い利点がある他、汎用PTPシート(基材)として用いられる無延伸ポリプロピレン(CPP)との親和性が高い。また、ブロックPPとCPP基材とを組み合わせて用いると、リサイクル性を考慮したモノマテリアルとして使用できる。
【0044】
以上の理由から、ブロックPPは、本発明における海島型白化樹脂として、特に好適であると考えられる。
【0045】
本発明のブリスター容器フィルムの白化層における、海島型白化樹脂の含有割合は、白化層の全質量に対して、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、82質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、98質量%以上、若しくは99質量%以上であってよく、又は100質量%であってもよい。白化層が、このような割合で海島型白化樹脂を含むと、白化層の白化特性が好適に発現される。
【0046】
(海島型白化樹脂以外の樹脂)
本発明のブリスター容器フィルムの白化層は、海島型白化樹脂とともに、これ以外の樹脂を含んでいてよい。
【0047】
海島型白化樹脂以外の樹脂は、熱可塑性樹脂であってよく、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、メタロセン触媒によるポリエチレン、プロピレンホモポリマー、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-エチレンランダム共重合体、メタロセン触媒によるポリプロピレン、塩素化ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、飽和ポリエステル、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン-メチルアクリレート共重合体(EMAC)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー、カルボン酸変性ポリエチレン、カルボン酸変性ポリプロピレン、カルボン酸変性EVA、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、熱可塑性エラストマー等を挙げることができ、これらから選択される1種、又は2種以上の組み合わせであってよい。
【0048】
本発明のブリスター容器フィルムの白化層における、海島型白化樹脂以外の樹脂の含有割合は、白化層の全質量に対して、20質量%以下、18質量%以下、15質量%以下、13質量%以下、10質量%以下、8質量%以下、5質量%以下、2質量%以下、若しくは1質量%以下であってよく、又は0質量%であってもよい。
【0049】
(フィラー)
本発明のブリスター容器フィルムの白化層は、フィラーを含んでいてもよい。
【0050】
フィラーは、ポケット以外の部分におけるブリスター容器フィルムの透明性又は半透明性を損なわないものであってよい。フィラーとして、具体的に例えば、モレキュラーシーブ(親水性ゼオライト)3A、4A、5A、13X等の他、シリカ、ポーラスシリカ、ゼオライト、酸化カルシウム、酸化セリウム等を挙げることができ、これらから選択される1種、又は2種以上の組み合わせであってよい。
【0051】
本発明のブリスター容器フィルムの白化層における、フィラーの含有割合は、白化層の全質量に対して、10質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、1質量%以下、0.5質量%以下、0.1質量%以下、0.05質量%以下、若しくは0.01質量%以下であってよく、又は0質量%であってもよい。
【0052】
(白化層の任意的機能)
白化層は、上記のとおり、ブリスター容器フィルムにポケット部を形成したときに、押し出されて形成されたポケット部は白化するが、ポケット部以外の部分は白化しないとの、白化特性を有する層である。
【0053】
しかしながら、白化層に含まれる海島型白化樹脂は、好ましくは熱可塑性を示し、室温では、ハードセグメントが適度な硬度を付与する。そのため、白化層は、上記の白化特性を示す機能とともに、ブリスター容器フィルムにポケット成形性を付与する基材層としての機能を有し得る。基材層については後述する。
【0054】
また、白化層に含まれる海島型白化樹脂は、好ましくは熱可塑性を示す。そのため、白化層は、上記の白化特性を示す機能とともに、ブリスター容器フィルムを蓋材に熱融着させるためのシーラント層としての機能を有し得る。シーラント層については後述する。
【0055】
(白化層の層構成)
白化層は、上記のような樹脂を含む1層から構成される単層構成であってもよく、各層が上記のような樹脂を含む2層以上から構成される多層構成であってもよい。白化層が多層構成であるとき、後述の白化層の厚みは、多層の合計の厚みとして理解されるべきである。
(白化層の厚み)
【0056】
本発明のブリスター容器フィルムの白化層の厚みは、10μm以上であってよい。白化層の厚みが10μm以上であると、白化特性が好適に発現される。白化層の厚みは、20μm以上、30μm以上、40μm以上、50μm以上、60μm以上、又は70μm以上であってもよく、300μm以下、280μm以下、260μm以下、240μm以下、220μm以下、又は200μm以下であってよい。
【0057】
本発明のブリスター容器フィルムが、白化層の他にシーラント層を有するとき、ブリスター容器フィルムが更に基材層を有するか否かによって、2つに分けて考えることが便利である。
【0058】
本発明のブリスター容器フィルムが、後述のシーラント層及び基材層を有するときは、白化層に、基材層の機能を発揮させる必要がない。この場合、白化層の厚みは、20μm以上、30μm以上、40μm以上、50μm以上、60μm以上、又は70μm以上であってよく、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、又は40μm以下であってよい。
【0059】
一方、本発明のブリスター容器フィルムが、シーラント層を有するが、基材層を有さないときには、白化層に、基材層の機能を発揮させる必要がある。この場合、白化層の厚みは、100μm以上、120μm以上、140μm以上、160μm以上、又は180μm以上であってよく、300μm以下、280μm以下、260μm以下、240μm以下、220μm以下、又は200μm以下であってよい。
【0060】
次に、本発明のブリスター容器フィルムが、シーラント層を有さないとき、ブリスター容器フィルムが更に基材層を有するか否か、及び白化層にシーラント層の機能を発揮させる必要があるか否か、によって、以下の3つに分けて考えることが便利である。
(1)ブリスター容器フィルムが、シーラント層を有さず、基材層を有し、かつ、白化層にシーラント層の機能を発揮させる必要がないとき
(2)ブリスター容器フィルムが、シーラント層を有さず、基材層を有し、かつ、白化層にシーラント層の機能を発揮させる必要があるとき
(3)ブリスター容器フィルムが、基材層を有さないとき
【0061】
なお、本発明のブリスター容器フィルムが、シーラント層を有さず、かつ、白化層にシーラント層の機能を発揮させないとき、ブリスター容器製造の際の蓋材との接着は、蓋材がシーラント層を有している場合にはヒートシールによることができ、又は接着剤の使用によることが考えられる。
【0062】
(1)ブリスター容器フィルムが、シーラント層を有さず、基材層を有し、かつ、白化層にシーラント層の機能を発揮させる必要がないとき
この場合、白化層の厚みは、20μm以上、30μm以上、40μm以上、50μm以上、60μm以上、又は70μm以上であってよく、であってよく、170μm以下、150μm以下、130μm以下、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、又は60μm以下であってよい。
【0063】
(2)ブリスター容器フィルムが、シーラント層を有さず、基材層を有し、かつ、白化層にシーラント層の機能を発揮させる必要があるとき
この場合、白化層の厚みは、120μm以上、140μm以上、160μm以上、180μm以上、200μm以上、又は220μm以上であってよく、300μm以下、280μm以下、260μm以下、240μm以下、220μm以下、又は200μm以下であってよい。
【0064】
(3)ブリスター容器フィルムが、基材層を有さないとき
この場合、白化層にシーラント層の機能を発揮させる必要の有無にかかわらず、白化層に少なくとも基材層としての機能を発揮させる必要がある。このときの白化層の厚みは、120μm以上、140μm以上、160μm以上、180μm以上、200μm以上、又は220μm以上であってよく、300μm以下、280μm以下、260μm以下、240μm以下、220μm以下、又は200μm以下であってよい。
【0065】
また、白化層は、後述するとおり、片面又は両面に、補強層を有していてよい。白化層が補強層を有する場合、上記の白化層の厚みは、補強層の厚みを含まない値である。
【0066】
(補強層)
白化層は、片面又は両面に、補強層を有していてもよい。
【0067】
補強層は、ブリスター容器フィルム及びこれを適用する容器の製造、保管等の際に、ブリスター容器フィルムが擦過され、又は折り曲げられた場合に、白化層に線状の白化痕が形成することを抑制する機能を有する。したがって補強層は、白化層とは異なり、白化を生じない材料から構成される層であってよい。
【0068】
上記の機能を発現できる限り、補強層を構成する材料は任意である。しかしながら、加工及びハンドリングの容易性を確保するために、熱可塑性樹脂を使用することができ、特に、柔軟性を有する熱可塑性樹脂の使用が好適である。上述のとおり、補強層は白化を生じなくてもよいから、補強層を構成する熱可塑性樹脂は、擦過、折り曲げ、ポケット形成等によって、白化を生じない熱可塑性樹脂であってよい。
【0069】
したがって、補強層を構成する熱可塑性樹脂としては、ハードセグメントを含む連続相とソフトセグメントを含む分散相とから構成される海島型ミクロ相分離構造を有する熱可塑性樹脂は、採用しないことが好ましい。
【0070】
補強層の材料として使用される熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル系樹脂、オレフィン-アクリルモノマー共重合体、その他の有機重合体等であってよい。ポリエチレンは、例えば、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等であってよい。ポリプロピレンは、例えば、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン等であってよい。ポリエステルは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等であってよい。アクリル系樹脂は、例えば、ポリメチルメタクリレート等であってよい。オレフィン-アクリルモノマー共重合体は、例えば、エチレン-メチルアクリレート共重合体(EMAC)、エチレン-メチルメタクリレート共重合体(EMMA)等であってよい。その他の有機重合体は、例えば、ポリ塩化ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エラストマー等であってよい。
【0071】
一方で、補強層の材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等を用いると、ブリスター容器フィルムの耐熱性(耐熱形状維持性)が高くなる他、成膜性及び成形性が向上するため、好ましい。
【0072】
補強層の厚みは、適度の加工性を付与するため、例えば、1μm以上、3μm以上、5μm以上、7μm以上、又は10μm以上であってよく、例えば、30μm以下、25μm以下、20μm以下、又は15μm以下であってよい。
【0073】
〈基材層〉
本発明のブリスター容器フィルムは、基材層を有していてもよい。基材層は、ブリスター容器フィルムに、ブリスター容器としたときの保形性を付与する機能、容器外部からの衝撃に対する防御層としての機能等とともに、ブリスター容器フィルムにポケット成形性を付与する機能を有する。
【0074】
基材層は、ブリスター容器フィルムにポケット成形性を付与するために、熱可塑性樹脂のフィルムから成る、又はこれを含む層であってよい。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ-4-メチルペンテン(PMP)、ノルボルネン-エチレン共重合体(COC)、スチレン-アクリロニトリル共重合体(SAN)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、非晶性ポリエチレンテレフタレート(A-PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(G-PET)等であってよい。
【0075】
基材層を構成する熱可塑性樹脂のフィルムは、無延伸のものでも、延伸されたものであってもよい。しかしながら、熱可塑性樹脂のフィルムとしては、成形性が良く、蓋材とのシール性にも優れるとの理由から、無延伸のフィルムを用いてよい。好ましくは無延伸のポリプロピレンフィルム(CPP)、無延伸のA-PET、無延伸のG-PETであり、特に、無延伸のCPPを用いてよい。
【0076】
基材層は、バリア層を有していてもよい。バリア層は、酸素、水蒸気等の透過を抑制する機能、或いは内容物の薬効成分、香気等の散逸を抑制する機能を有し、これらにより、ブリスター容器の内容物の劣化が抑制される。
【0077】
バリア層は、基材層の片面又は両面に存在していてよく、特に、基材層の片面に存在していてよい。
【0078】
バリア層は、例えば、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ノルボルネン-エチレン共重合体(COC)、無延伸のポリプロピレン(CPP)等の層であってよい。なお、本発明のブリスター容器フィルムでは、ポケット部以外の部分を通して、蓋材に印刷された文字情報等を視認できることが望まれる。そのため、本発明のブリスター容器フィルムのバリア層として、不透明の材料(例えばアルミニウム箔等)を用いることは、好ましくない。
【0079】
上記の材料から構成されるバリア層は、基材層の本体に、コーティングされていてもよく、又は貼り合されていてもよい。
【0080】
基材層は、特に、ポリ塩化ビニル(PVC)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、ノルボルネン-エチレン共重合体(COC)、ポリ塩化ビニル/ポリ塩化ビニリデン複合シート(PVC/PVDC)、ポリ塩化ビニル/ポリクロロトリフルオロエチレン複合シート(PVC/PCTFE)から成る層であってよい。
【0081】
バリア層の厚みは、バリア層のバリア機能を確保するため、例えば、5μm以上、10μm以上、15μm以上、20μm以上、25μm以上、30μm以上、35μm以上、又は40μm以上であってよく、ブリスター容器フィルムが過度に厚くならないように、例えば、100μm以下、80μm以下、60μm以下、50μm以下、又は40μm以下であってよい。
【0082】
保形性、防御性、ポケット形成性等を確保する観点から、基材層の厚みは、例えば、150μm以上、160μm以上、180μm以上、200μm以上、220μm以上、又は240μm以上であってよい。一方で、プッシュスルー性の確保、コスト削減等の観点から、ブリスター容器フィルムが過度に厚くならないように、基材層の厚みは、例えば、400μm以下、350μm以下、300μm以下、280μm以下、260μm以下、又は240μm以下であってよい。
【0083】
基材層がバリア層を有するとき、上記の基材層の厚みは、バリア層の厚みを含む厚みである。
【0084】
〈シーラント層〉
本発明のブリスター容器フィルムは、シーラント層を有していてもよい。シーラント層は、ブリスター容器フィルムにシーラント性を付与し、ブリスター容器フィルムと蓋材との接着を可能化する機能を有する。
【0085】
シーラント層は、加熱によるシールを可能とするために、熱可塑性樹脂であってよい。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP、特にCPP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン-アクリル酸メチル(EMA)共重合体)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等から選択される1種以上であってよい。
【0086】
シーラント層の厚みは、確実なシール性を確保する観点から、例えば、20μm以上、30μm以上、40μm以上、50μm以上、60μm以上、又は70μm以上であってよく、ブリスター容器フィルムが過度に厚くならないように、例えば、170μm以下、150μm以下、130μm以下、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、又は60μm以下であってよい。
【0087】
〈機能層〉
本発明のブリスター容器フィルムは、機能層を有していてよい。この機能層は、例えば、吸湿層、吸臭層、酸素吸収層等であってよい。
【0088】
機能層は、例えば、機能性粒子及びマトリクス樹脂を含む組成物から構成される層であってよい。機能性粒子は、例えば、親水性ゼオライト(吸湿性)、疎水性ゼオライト(吸臭性)、酸化カルシウム(吸湿性)、酸化セリウム(酸素吸収)等であってよい。マトリクス樹脂は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン-アクリル酸メチル(EMA)共重合体)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等から選択される1種以上であってよい。
【0089】
〈層構成〉
本発明のブリスター容器フィルムは、白化層を含む。本発明のブリスター容器フィルムは、白化層とともに、基材層、シーラント層、及び機能層から選択される1又は2以上の層を、更に有していてよい。
【0090】
本発明のブリスター容器フィルムは、白化層のみから構成されていてよい。この場合、白化層は、白化層としての機能とともに、基材層及びシーラント層の機能を併有してよい。
【0091】
本発明のブリスター容器フィルムは、白化層及び基材層から構成されていてよい。この場合、白化層は、白化層としての機能とともに、シーラント層の機能を併有してよい。白化層及び基材層から構成されているブリスター容器フィルムは、白化層が内容物に接するように使用される。
【0092】
本発明のブリスター容器フィルムは、白化層及びシーラント層から構成されていてよい。この場合、白化層は、白化層としての機能とともに、基材層の機能を併有してよい。白化層及びシーラント層から構成されているブリスター容器フィルムは、シーラント層が内容物に接するように使用されてよい。
【0093】
本発明のブリスター容器フィルムは、白化層、基材層、及びシーラント層から構成されていてよい。この場合、白化層は、白化層としての機能のみを有していればよい。しかしながら、白化層が、これ以外の機能を有することは禁止されない。
【0094】
白化層、基材層、及びシーラント層から構成されているブリスター容器フィルムは、基材層、白化層、及びシーラント層の順、又は白化層、基材層、及びシーラント層の順に積層されているフィルムであってよく、基材層、白化層、及びシーラント層の順、又は白化層、基材層の順に積層されているフィルムであることが好ましい。
【0095】
白化層、基材層、及びシーラント層から構成されているブリスター容器フィルムは、シーラント層が内容物に接するように使用されてよい。
【0096】
本発明のブリスター容器フィルムが、基材層及びシーラント層を有するとき、基材層とシーラント層とは、互いに同じ材料から構成されていてもよく、相違する材料から構成されていてもよい。
【0097】
本発明のブリスター容器フィルムが機能層を有する場合、機能層は、任意の位置に配置されてよい。
【0098】
しかしながら、ブリスター容器フィルムがシーラント層を有する場合には、シーラント層が最外層となり、このシーラント層が内容物に接するようにブリスター容器フィルムを使用することが可能となる位置に、機能層を配置してよい。ブリスター容器フィルムが基材層及びシーラント層を有する場合には、シーラント層が最外層となることの他、基材層も最外層となるような位置に、機能層を配置してよい。
【0099】
一方、ブリスター容器フィルムがシーラント層を有さない場合には、白化層が最外層となり、この白化層が内容物に接するように、ブリスター容器フィルムを使用することが可能となる位置に、機能層を配置してよい。
【0100】
《ブリスター容器フィルムの製造方法》
(1)ブリスター容器フィルムが白化層のみを有する場合
ブリスター容器フィルムが白化層のみを有する場合、該白化層は、所望の樹脂を材料として、これをシート状に成膜して製造されてよく、この白化層を本発明のブリスター容器フィルムとして使用してよい。樹脂をシート状に成膜する際には、例えば、Tダイ法、カレンダー法、キャスティング法、プレス成型法、射出成型法等の適宜の方法を採用してよい。
【0101】
(2)ブリスター容器フィルムが白化層及び他の層を有する場合
ブリスター容器フィルムが白化層及び他の層を有する場合、白化層の材料樹脂、及び他の層の材料樹脂を用いて、共押出インフレーション法、共押出Tダイ法等により、多層のブリスター容器フィルムを製造してよい。
【0102】
或いは、白化層の材料樹脂、及び他の層の材料樹脂をそれぞれ用いて、別個に製造されたシート状の白化層及びシート状の他の層を、適宜の方法によって積層することにより、多層のブリスター容器フィルムを製造してよい。
【0103】
多層の積層方法は、例えば、加熱融着、ラミネート等の方法によってよい。加熱融着は、例えば、熱ロール、熱プレス等の適宜の加熱機器を用いて行ってよい。ラミネートは、例えば、ドライラミネート法、押出ラミネート法、ホットメルト法等によってよい。ラミネートによって多層のブリスター容器フィルムを製造すると、本発明のブリスター容器フィルムがラミネート用接着剤の層を有することになる。本発明のブリスター容器フィルムがラミネート用接着剤の層を有することは禁止されない。
【0104】
(3)ブリスター容器フィルムが多層構成の白化層を有する場合
上述したとおり、本発明のブリスター容器フィルムの白化層は、2層以上の多層構成であってもよい。このような多層構成の白化層を有するブリスター容器フィルムは、例えば、上記(2)の方法に準じた方法により、製造してよい。
【0105】
《ブリスター容器》
本発明によると、更に、本発明のブリスター容器フィルムから形成された、ブリスター容器が提供される。
【0106】
本発明のブリスター容器は、
本発明のブリスター容器フィルムから形成された、ブリスター容器、及び
ブリスター容器に接着されている蓋材
を有する。
【0107】
本発明のブリスター容器は、特に、
本発明のブリスター容器フィルムから形成された、ブリスター容器、
ブリスター容器の前記ポケット部に収納されている内容物、及び
ブリスター容器に接着されている蓋材
を有する、内容物入りブリスター容器
であってよい。
【0108】
本発明のブリスター容器において、ブリスター容器フィルムには、ポケット部が形成されている。
【0109】
ブリスター容器フィルムにポケット部を形成する際は、一般に「ポケット成形」と呼ばれる方法によって行われてよい。「ポケット成形」によって、ブリスター容器フィルムにポケット部を形成すると、ポケット部が白化して、錠剤隠蔽性が発現する。一方、ポケット部以外の部分は白化せずに、蓋材等に印刷された文字情報等の視認性は維持される。
【0110】
蓋材は、ブリスター容器の蓋材として公知のものの中から適宜に選択して使用してよい。蓋材として、例えば、金属箔の単層から成る蓋材、金属箔及びシーラント層の積層体から成る蓋材等であってよい。蓋材における金属箔は、例えば、アルミニウム容器であってよい。
【0111】
蓋材の、ブリスター容器フィルム側の面には、内容物に関する文字情報、意匠等が印刷されていてよい。
【0112】
そして、ブリスター容器フィルムにポケット部に内容物を収納した後、蓋材を接着することにより、ブリスター容器が得られる。ブリスター容器フィルムと蓋材との接着は、例えば、ヒートシールによって行われてよく、或いは接着剤によって行われてよい。
【0113】
ポケット部に収納される内容物は、ポケット部を、その突出側から押し潰すことにより、蓋材を突き破って取り出すことができる、固体であってよい。
【0114】
内容物は、医薬品、食品、化粧品、衛生用品、医療機器、医療器具、電子部品等から選択されてよい。しかしながら、本発明のブリスター容器は、白化したポケット部により、内容物の少なくとも部分的に隠蔽され、これによって誤飲事故が抑制されるとの効果を有するため、本発明のブリスター容器に収納される内容物は、経口医薬品であってよい。
【実施例0115】
以下の実施例及び比較例で用いた材料は、次のとおりである。
《白化層》
ブロックPP:プロックポリマータイプのポリプロピレン、日本ポリプロ(株)製、品名「ノバテックPP BC6DRF」
【0116】
《基材層》
PVC:ポリ塩化ビニルシート、三菱ケミカル(株)製、品名「ビニホイル C-0416」
CPP:無延伸ポリプロピレンフィルム、三菱ケミカル(株)製、品名「スーパーホイル Eシリーズ」
COC:ノルボルネン-エチレン共重合体、ポリプラスチックス(株)製、品名「TOPAS 807F-600」
PVC/PVDC:ポリ塩化ビニル/ポリ塩化ビニリデン複合シート、三菱ケミカル(株)製、品名「ビニホイル Fシリーズ」
PVC/PCTFE:ポリ塩化ビニル/ポリクロロトリフルオロエチレン複合シート、住友ベークライト(株)製、品名「スミライト FCL-1133」
【0117】
《補強層》
ホモPP:ホモポリプロピレン、サンアロマー(株)製、品名「サンアロマーPC412A」
LLDPE:直鎖低密度ポリエチレン、(株)プライムポリマー製、品名「エボリューSP2520」
【0118】
《吸湿層原料》
親水性ゼオライト:ユニオン昭和(株)製、モレキュラーシーブ3A
EMAA:エチレン-メタクリル酸共重合体、三井・ダウポリケミカル(株)製、品名「ニュクレルAN42115C」
【0119】
I.白化層単層から成るブリスター容器フィルム
《実施例1-1》
(1)ブリスター容器フィルムの作製
Tダイキャスト成膜機を用いて、ブロックPPを厚み200μmのシート状に成膜したものを、白化層単層から成るブリスター容器フィルムとして用いた。
【0120】
(2)ポケットの形成
ブリスター成型機を用い、ポケット成形によって、上記で得られたブリスター容器フィルムに、直径15mm、深さ3mmのポケットを形成して、評価用試料を作製した。
【0121】
(3)評価
ポケット形成直後の試料、及びポケット形成後、温度23℃、相対湿度50%RHの環境下に7日間暴露した後の試料について、それぞれ、ポケット部の錠剤隠蔽性、及びポケット部以外の部分の印刷文字可視性を評価した。具体的には、以下のとおりの評価を行った。
【0122】
(錠剤隠蔽性)
ポケット部の錠剤隠蔽性は、ブリスター容器フィルムのポケット部に、錠剤代替物として、長径4mm、短径3mm、高さ2.5mmの楕円柱状の白色のペレットを入れ、ポケット突出部を上方向にして台上に載置した。この状態で、ポケット内のペレットが目視で見えるか否かを調べ、以下の基準で評価した。評価結果を表1に示す。また、ペレットを収納したポケット部を上から撮影した写真を、図1に示す。
【0123】
A:シートの白化によって、ペレットが目視で全く見えなかった場合
B:シートの白化によって、ペレットが目視でほとんど見えなかった場合
C:シートは白化するが、ペレットが目視で見えた場合
D:シートが白化しなかった場合
【0124】
〈印刷文字可視性〉
ポケット部以外の部分の印刷文字可視性は、以下のようにして評価した。A4サイズの白色PPC用紙に、標準設定にて11ポイント及び4ポイントの黒文字を印刷した。ブリスター容器フィルムを、黒文字印刷後の用紙上に、ポケット部以外の部分が印刷文字の上にくるように載置した。そして、この状態で印刷文字が読めるか否かを調べ、以下の基準で評価した。
【0125】
A:11ポイント及び4ポイントの印刷文字が目視ではっきりと見えた場合
B:11ポイント印刷文字は目視で判別できたが、4ポイントの印刷文字は目視で判別できなかった場合
C:11ポイント及び4ポイントの印刷文字が、目視で判別できなかった場合
【0126】
《実施例1-2》
ブロックPPシートの厚みを180μmとした他は、実施例1-1と同様にして、白化層単層のブリスター容器フィルムを作製した。得られたブリスター容器フィルムについて、実施例1と同様にして、ポケットを形成して、錠剤隠蔽性及び印刷文字可視性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0127】
《実施例1-3》
ブロックPP及びLLDPEを、90:10の質量比でドライブレンドし、Tダイキャスト成膜機を用いて、厚み180μmのシート状に成膜したものを、白化層単層のブリスター容器フィルムとして用いた。得られたブリスター容器フィルムについて、実施例1と同様にして、ポケットを形成して、錠剤隠蔽性及び印刷文字可視性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0128】
《実施例1-4、並びに比較例1-1及び1-2》
ブロックPPとLLDPEとのブレンド比(質量比)を、表1のとおりに変更した他は、実施例1-3と同様にして、白化層単層のブリスター容器フィルムを作製して評価した。評価結果を表1に示す。また、実施例1-4及び比較例1-1で得られたブリスター容器フィルムについて、ペレットを収納したポケット部を上から撮影した写真を、図2及び図3に、それぞれ示す。
【0129】
《比較例1-3》
厚み200μmのPVCシートを、ブリスター容器フィルムとして用いた。このブリスター容器フィルムについて、実施例1-1と同様にして、ポケットを形成して、錠剤隠蔽性及び印刷文字可視性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0130】
《比較例1-4~1-7》
ブリスター容器フィルムとして、表1に記載のシート又は複合シートを、ブリスター容器フィルムとしてそれぞれ用いた他は、実施例1-1と同様にして評価した。評価結果を表1に示す。
【0131】
ブリスター容器フィルムとして複合シートを用いた比較例1-4及び1-5では、PVCを外側(ポケットの凸側)とし、PVDC又はPCTFEを内側(ポケットの凹側)として、ポケット形成した。
【0132】
【表1】
【0133】
ブリスター容器フィルムとして従来技術の材料を用いた、比較例1-3~1-7では、ポケット部以外の部分を通して、用紙上の11ポイント及び4ポイント双方の印刷文字が目視ではっきりと見え、印刷文字可視性は「A」であったものの、ポケット部は白化しておらず、ポケット内のペレットが目視ではっきりと見ることができ、錠剤隠蔽性は「D」であった。
【0134】
また、ブリスター容器フィルム中にブロックPPを含む白化層を有するが、白化層中のブロックPP含量が80質量%に満たない比較例1-1及び1-2では、ポケット部以外の部分を通して、用紙上の11ポイント及び4ポイント双方の印刷文字が目視ではっきりと見え、印刷文字可視性は「A」であった。また、ポケット部は少し白化していたが、ポケット内のペレットを目視で見ることができ、錠剤隠蔽性は「C」であった。
【0135】
これらに対して、ブリスター容器フィルム中に、ブロックPPが80質量%以上の白化層を含む、実施例1-1~1-4については、印刷文字可視性が「A」であるとともに、ポケット部が白化して、ペレットが全く、又はほとんど見えなくなっており、錠剤隠蔽性は「A」又は「B」であった。
【0136】
II.ヘーズ値の評価
上述の実施例1-1で得られたブリスター容器フィルムについて測定した、ポケット形成前後のヘーズ値を表2に示す。また、実施例1-4及び比較例1-1で得られたブリスター容器フィルムについて測定した、ポケット形成後のヘーズ値、並びに、比較例1-3及び比較例1-6で得られたブリスター容器フィルムについて測定した、ポケット形成前のヘーズ値を、表2にあわせて示す。
【0137】
以上のヘーズ値は、JIS K7362-1:1999(全光線)及びJIS K7136:2000(ヘーズ)に準拠して測定した。
【0138】
【表2】
【0139】
III.基材層及び白化層を有するブリスター容器フィルム
《実施例2-1》
(1)ブリスター容器フィルムの作製
Tダイキャスト成膜機を用いて、ブロックPPを厚み70μmのシート状に成膜した。得られたシート状のブロックPPと、基材層としての厚み200μmのPVCシートとを、接着剤層を介して、ドライラミネートにより貼り合わせたものを、基材層及び白化層を有するブリスター容器フィルムとして用いた。
【0140】
(2)ポケットの形成及び評価
得られたブリスター容器フィルムについて、実施例1-1と同様にして、ポケットを形成して、錠剤隠蔽性及び印刷文字可視性を評価した。評価結果を表3に示す。
【0141】
《実施例2-2~2-11》
基材層の種類及び厚み、並びにブロックPPシートの厚みを、それぞれ、表3に記載のように変更した他は、実施例2-1と同様にして、基材層及び白化層を有するブリスター容器フィルムを作製して評価した。評価結果を表3に示す。
【0142】
基材層として複合シートを用いた実施例2-4~2-7では、PVCを最外層とし、PVDC又はPCTFEを白化層側とした。
【0143】
《実施例2-12》
(1)ブリスター容器フィルムの作製
本実施例では、基材層と、両面に補強層(ホモPP層)を有する白化層とを有するブリスター容器フィルムについての試験を行った。インフレ―ション成膜機を用いる三層共押出しにより、ホモPP(厚み10μm)/ブロックPP(20μm)/ホモPP(厚み10μm)の三層構成のフィルムを成膜し、これを白化層として用いた。
【0144】
基材層としての厚み200μmのPVCシートと、上記の三層構成の白化層とを、接着剤層を介して、ドライラミネートにより貼り合わせたものを、ブリスター容器フィルムとして用いた。
【0145】
(2)ポケットの形成及び評価
得られたブリスター容器フィルムについて、実施例1-1と同様の手法により、基材層を外側(ポケットの凸側)とし、白化層を内側(ポケットの凹側)として、ポケットを形成して、錠剤隠蔽性及び印刷文字可視性を評価した。評価結果を表3に示す。
【0146】
《比較例2-1》
三層構成の白化層における、ブロックPPシートの厚みを10μmとした他は、実施例2-12と同様にして、基材層及び白化層を有するブリスター容器フィルムを作製して評価した。評価結果を表3に示す。
【0147】
《比較例2-2》
(1)ブリスター容器フィルムの作製
Tダイキャスト成膜機を用いて、ホモPPを厚み60μmのシート状に成膜した。得られたシート状のブロックPPと、基材層としての厚み200μmのPVCシートとを、接着剤層を介して、ドライラミネートにより貼り合わせたものを、ブリスター容器フィルムとして用いた。
【0148】
(2)ポケットの形成及び評価
得られたブリスター容器フィルムについて、実施例1-1と同様にして、ポケットを形成して、錠剤隠蔽性及び印刷文字可視性を評価した。評価結果を表3に示す。
【0149】
【表3】
【0150】
基材層及び白化層を有するブリスター容器フィルムにおいて、白化層が、厚み20μm以上のブロックPPシートを含む実施例2-1~2-12では、シート上の印刷文字を、ポケット部以外の部分を通して目視ではっきりと見ることができ、印刷文字可視性が「A」であるとともに、ポケット部が白化して、ペレットが全く、又はほとんど見えなくなり、錠剤隠蔽性は「A」又は「B」であった。
であった。
【0151】
これに対して、白化層が、厚み20μmに満たないブロックPPシートを含む、比較例2-1では、ポケット部は少し白化していたが、ポケット内のペレットを目視で見ることができ、錠剤隠蔽性は「C」であった。
【0152】
また、白化層のブロックPPに代えて、ホモPPを用いた比較例2-2では、ホモPPシートの厚みを60μmと厚くした場合であっても、ポケット部は白化せず、ポケット内のペレットが目視ではっきりと見え、錠剤隠蔽性は「D」であった。
【0153】
IV.基材層、白化層、及びゼオライト含有吸湿層を有するブリスター容器フィルム
《実施例3-1》
本実施例では、ゼオライト含有吸湿層を有するブリスター容器フィルムにおいて、白化層による、吸湿層の吸湿透明化の隠蔽性を調べた。具体的には、基材層と、白化層と、両面に補強層(LLDPE層)を有するゼオライト含有吸湿層とを有するブリスター容器フィルムについての試験を行った。
【0154】
(1)ブリスター容器フィルムの作製
ゼオライト含有吸湿層の組成は、親水性ゼオライト53質量%及びEMAA47質量%とした。親水性ゼオライト及びEMAAのドライブレンド物(質量比53:47)、及びLLDPEを用いて、インプレ―ション成膜機を用いる三層共押出しにより、LLDPE(厚み10μm)/ゼオライト含有吸湿層(60μm)/LLDPE(厚み10μm)の三層構成の吸湿層を作製した。
【0155】
また、Tダイキャスト成膜機を用いて、ブロックPPを厚み40μmのシート状に成膜したものを、白化層として用いた。
【0156】
基材層としては、厚み150μmのPVC及び厚み30μmのPVDCから成る、PVC/PVDC複合シートを用いた。
【0157】
基材等としてのPVC/PVDC複合シートと、上記で得られた白化層と、上記で得られた三層構成の吸湿層とを、この順に、接着剤層を介してドライラミネートにより貼り合わせたものを、ブリスター容器フィルムとして用いた。ここで、PVC/PVDC複合シートは、PVCを最外層とし、PVDCを白化層側として用いた。
【0158】
(2)ポケットの形成及び評価
得られたブリスター容器フィルムについて、実施例1-1と同様の手法により、基材層を外側(ポケットの凸側)とし、白化層を内側(ポケットの凹側)として、ポケットを形成して、錠剤隠蔽性を評価した。評価結果を表4に示す。
【0159】
《実施例3-2》
白化層及びゼオライト含有吸湿層の構成を、それぞれ、表4に記載のように変更した他は、実施例3-1と同様にして、ブリスター容器フィルムを作製し、評価した。評価結果を表4に示す。
【0160】
《比較例3-1》
白化層を用いなかった他は、実施例3-1と同様にして、ブリスター容器フィルムを作製し、評価した。評価結果を表4に示す。
【0161】
【表4】
【0162】
ゼオライト含有吸湿層を有し、白化層を有さない比較例3-1では、ポケット形成直後には、ポケット内のペレットを目視で見ることができず、錠剤隠蔽性は「A」であった。しかしながら、ポケット形成後、温度23℃、相対湿度50%RHの環境下に7日間暴露した後には、ポケット内のペレットを目視で見ることができ、錠剤隠蔽性は「D」となった。これは、吸湿層中のゼオライトが吸湿によって透明化したことによると考えられる。
【0163】
しかしながら、ゼオライト含有吸湿層とともに、白化層を有する、実施例3-1及び3-2では、ポケット形成直後、及び温度23℃、相対湿度50%RHの環境下に7日間暴露した後の双方において、ポケット内のペレットを目視で全く見ることができず、錠剤隠蔽性は「A」であった。これらの実施例においても、温度23℃、相対湿度50%RHの環境下に7日間暴露した後には、ゼオライト含有吸湿層は透明化していると考えられる。しかしながら、白化層によって、吸湿層の透明化は隠蔽され、錠剤隠蔽性の評価は「A」が維持された。
図1
図2
図3