IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社立売堀製作所の特許一覧

<>
  • 特開-継手部材、消火栓設備及び接続管 図1
  • 特開-継手部材、消火栓設備及び接続管 図2
  • 特開-継手部材、消火栓設備及び接続管 図3
  • 特開-継手部材、消火栓設備及び接続管 図4
  • 特開-継手部材、消火栓設備及び接続管 図5
  • 特開-継手部材、消火栓設備及び接続管 図6
  • 特開-継手部材、消火栓設備及び接続管 図7
  • 特開-継手部材、消火栓設備及び接続管 図8
  • 特開-継手部材、消火栓設備及び接続管 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191977
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】継手部材、消火栓設備及び接続管
(51)【国際特許分類】
   F16L 27/12 20060101AFI20221221BHJP
   A62C 35/20 20060101ALI20221221BHJP
   A62C 35/68 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
F16L27/12 K
A62C35/20
A62C35/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100540
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000155838
【氏名又は名称】株式会社立売堀製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100103975
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】土屋 孝司
(72)【発明者】
【氏名】平塚 隆
(72)【発明者】
【氏名】北川 悟志
(72)【発明者】
【氏名】平野 詳児
【テーマコード(参考)】
2E189
3H104
【Fターム(参考)】
2E189EA01
3H104JA04
3H104JA08
3H104JA16
3H104JB04
3H104JC09
3H104JD09
3H104KA02
3H104KC03
3H104KC09
3H104LF06
3H104LG03
(57)【要約】
【課題】 本発明は、管体に介装されて用いられ、管体の先端部を所望位置に位置するように調整することができ且つ管体を退避させることができる継手部材を提供する。
【解決手段】 本発明の継手部材Aは、両端に開口部を有する第1流路が形成された第1部材1と、上記第1部材1の第1流路11の一端開口部12に配設され且つ両端に開口部を有する第2流路23が形成された第2部材2とを有し、上記第1流路11と上記第2流路23とは連通していると共に、上記第2部材2は、上記第1流路11の一端開口部の軸芯を中心に回動自在に且つ上記第1部材1の一端開口部12の軸芯方向に変位可能にして任意の位置にて固定可能に配設されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に開口部を有する第1流路が形成された第1部材と、
上記第1部材の第1流路の一端開口部に配設され且つ両端に開口部を有する第2流路が形成された第2部材とを有し、
上記第1流路と上記第2流路とは連通していると共に、
上記第2部材は、上記第1流路の一端開口部の軸芯を中心に回動自在に且つ上記第1部材の一端開口部の軸芯方向に変位可能にして任意の位置にて固定可能に配設されていることを特徴とする継手部材。
【請求項2】
第1部材の第1流路における一端開口部の軸芯の延長線上において、上記第1部材の第1流路の壁部の一部を可動壁部とし、この可動壁部と上記第2部材とを接続し、上記可動壁部を上記第1部材の第1流路の一端開口部に対して接離する方向に変位させることによって、上記第2部材を連動させて上記第1流路の一端開口部において変位するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の継手部材。
【請求項3】
第1部材の第1流路の壁部に可動壁部を配設するための配設用開口部を形成し、この配設用開口部内に可動壁部が配設されていると共に、上記配設用開口部の開口端部に外方に向かって円筒状支持部を設けている一方、
上記可動壁部の外面に回転軸部を形成し、この回転軸部にキャップ体を回転自在に被嵌一体化させており、
上記円筒状支持部の外周面に形成された螺子部に上記キャップ体に形成した螺子部を進退自在に螺合させ、上記キャップ体を上記円筒状支持部に対して螺進又は螺退させることによって、上記可動壁部を介して第2部材を変位させるように構成していることを特徴とする請求項2に記載の継手部材。
【請求項4】
第1継手部材及び第2継手部材として請求項1~3に記載の継手部材を有し、上記第1継手部材における第1部材に対する第2部材の相対変位方向と、上記第2継手部材における第1部材に対する第2部材の相対変位方向とが交差した状態にて、上記第1継手部材及び上記第2継手部材の第1流路の他端開口部同士が連結、連通されていることを特徴とする継手部材。
【請求項5】
建築物の内壁の格納箱設置空間部内に設置され且つ内部に消火用ホースを収納していると共に、壁板に消火栓弁が挿通可能な消火栓弁挿通孔が形成されている消火栓格納箱と、
上記消火栓格納箱の外方に配管された給水管と、
上記消火栓格納箱内に配設された消火栓弁と上記給水管とを接続している接続管とを備えた消火栓設備であって、
上記接続管は、継手部材が介装されており、
上記継手部材は、
両端に開口部を有する第1流路が形成された第1部材と、
上記第1部材の第1流路の一端開口部に配設され且つ両端に開口部を有する第2流路が形成された第2部材とを有し、
上記第1流路と上記第2流路とは連通していると共に、
上記第2部材は、上記第1流路の一端開口部の軸芯を中心に回動自在に且つ上記第1部材の一端開口部の軸芯方向に変位可能にして任意の位置にて固定可能に配設されていることを特徴とする消火栓設備。
【請求項6】
建築物の内壁の格納箱設置空間部に設置され且つ内部に消火用ホースを収納していると共に、壁板に消火栓弁が挿通可能な消火栓弁挿通孔が形成されている消火栓格納箱と、上記消火栓格納箱の外方に配管された給水管とを接続する接続管であって、
上記接続管は、継手部材が介装されており、
上記継手部材は、
両端に開口部を有する第1流路が形成された第1部材と、
上記第1部材の第1流路の一端開口部に配設され且つ両端に開口部を有する第2流路が形成された第2部材とを有し、
上記第1流路と上記第2流路とは連通していると共に、
上記第2部材は、上記第1流路の一端開口部の軸芯を中心に回動自在に且つ上記第1部材の一端開口部の軸芯方向に変位可能にして任意の位置にて固定可能に配設されていることを特徴とする接続管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継手部材に関する。更に、本発明は、オフィスビル、マンション及びデパートなどの建築物の内壁に設置され、火災発生時に消火栓弁を開弁することによって給水管から消火用水を消火用ホースを通じて放水するように構成した消火栓設備及び接続管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1や特許文献2に記載されているように、火災発生に備えて消火活動に使用される消火用ホースやノズル、消火栓弁などを格納してなる消火栓格納箱が知られている。このような消火栓格納箱は、建築物における通路壁等の内壁に設けている格納箱設置空間部内に設置され、内壁の後方側に垂直状に配管された給水管から分岐している接続管の先端部を上記消火栓格納箱の背板に設けている接続管挿通孔を通じて消火栓格納箱内に挿入してその先端部に上記消火栓弁の流入口を接続させる一方、消火栓弁の流出口に上記消火用ホースの基端部を接続することによって消火栓設備を構成している。
【0003】
又、消火栓格納箱の後方には給水管が配設されており、この給水管から分岐して水平方向に剛直な接続管が配設されており、この接続管の先端部を消火栓格納箱内に引き込み、接続管の先端部に消火栓弁を取り付けている。
【0004】
上記のように構成した消火設備によれば、消火栓格納箱を建築物の内壁に設置するにあたって、予め、内壁に消火栓格納箱と同形の方形状空間部を設けておき、この空間部内に消火栓格納箱を埋め込み状に収納、固定することによって行われているが、この際、上記消火栓格納箱を設置させるための方形状空間部の位置と、給水管から分岐して水平方向に配設された接続管とが相対的に多少のずれを生じていることがある。
【0005】
そのため、消火栓格納箱を設置する格納箱設置空間部を予め、大きめに形成しておき、格納箱設置空間部内において消火栓格納箱を位置調整することによって、消火栓格納箱の接続管挿入孔と接続管(給水管)との位置ずれを調整することが行われているが、格納箱設置空間部内における消火栓格納箱の位置調整は、労力と時間を要するといった問題点を有する。
【0006】
特許文献3には、可撓管と、前記可撓管の一端に設けられた消火栓弁と、前記消火栓弁の近傍に固定されたフランジ状の取付板と、前記可撓管の他端に設けられた継手部と、前記消火栓弁が挿通可能で且つ前記取付板より小さい開口面積を有する消火栓弁挿通用孔が裏箱に形成された消火栓格納箱と、を備え、前記消火栓弁挿通用孔に前記消火栓弁が挿通されて前記取付板が前記裏箱に固定され、前記継手部が建物壁の内側に配管された給水管に設けられた分岐継手に接続されている消火設備が提案されており、この消火設備においては、可撓管が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平3-78566号公報
【特許文献2】特開2005-270494号公報
【特許文献3】特開2019-10255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献3の消火設備は、可撓管の漏水の有無を確認するための水圧試験を行なった後、消火栓格納箱を格納箱設置空間部内に配設するまでの間、可撓管は、内壁内の狭い空間部において、基端部を給水管に接続した状態で上方又は側方から垂れ下がった状態となっており、作業者又は作業者が使用する作業道具が、内部に水が充満して既に内部から応力が加わっている状態の可撓管に衝突し、可撓管が破損する虞れがあるという問題点を有する。
【0009】
そこで、可撓管を途中から屈曲させて邪魔にならないように退避させることも考えられるが、可撓管の先端に取り付けられた消火栓弁を閉止した後、可撓管内に水を充満させて所定の圧力を加えて水圧試験を行っており、可撓管内に水が充満しているため、可撓管の可撓性が低下しており、可撓管の屈曲自体が難しく、可撓管を邪魔にならないように退避させることが難しいという問題点を有する。
【0010】
又、可撓管内に水が充満し、可撓性が低下した状態で、可撓管を無理に屈曲させると、可撓管が損傷して漏水の原因となる虞れがあるという問題点も有する。
【0011】
本発明は、管体に介装されて用いられ、管体の先端部を所望位置に位置するように調整することができ且つ管体を退避させることができる継手部材を提供する。又、本発明は、消火栓格納箱の消火栓弁挿入孔と接続管との位置ずれを容易に修正することができる消火栓設備及び接続管を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の継手部材は、
両端に開口部を有する第1流路が形成された第1部材と、
上記第1部材の第1流路の一端開口部に配設され且つ両端に開口部を有する第2流路が形成された第2部材とを有し、
上記第1流路と上記第2流路とは連通していると共に、
上記第2部材は、上記第1流路の一端開口部の軸芯を中心に回動自在に且つ上記第1部材の一端開口部の軸芯方向に変位可能にして任意の位置にて固定可能に配設されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の消火栓設備は、
建築物の内壁の格納箱設置空間部内に設置され且つ内部に消火用ホースを収納していると共に、壁板に消火栓弁が挿通可能な消火栓弁挿通孔が形成されている消火栓格納箱と、
上記消火栓格納箱の外方に配管された給水管と、
上記消火栓格納箱内に配設された消火栓弁と上記給水管とを接続している接続管とを備えた消火栓設備であって、
上記接続管は、継手部材が介装されており、
上記継手部材は、
両端に開口部を有する第1流路が形成された第1部材と、
上記第1部材の第1流路の一端開口部に配設され且つ両端に開口部を有する第2流路が形成された第2部材とを有し、
上記第1流路と上記第2流路とは連通していると共に、
上記第2部材は、上記第1流路の一端開口部の軸芯を中心に回動自在に且つ上記第1部材の一端開口部の軸芯方向に変位可能にして任意の位置にて固定可能に配設されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の接続管は、
建築物の内壁の格納箱設置空間部に設置され且つ内部に消火用ホースを収納していると共に、壁板に消火栓弁が挿通可能な消火栓弁挿通孔が形成されている消火栓格納箱と、上記消火栓格納箱の外方に配管された給水管とを接続する接続管であって、
上記接続管は、継手部材が介装されており、
上記継手部材は、
両端に開口部を有する第1流路が形成された第1部材と、
上記第1部材の第1流路の一端開口部に配設され且つ両端に開口部を有する第2流路が形成された第2部材とを有し、
上記第1流路と上記第2流路とは連通していると共に、
上記第2部材は、上記第1流路の一端開口部の軸芯を中心に回動自在に且つ上記第1部材の一端開口部の軸芯方向に変位可能にして任意の位置にて固定可能に配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の継手部材は、上述の如き構成を有していることから、継手部材の第2部材に接続させた管体の先端部の位置を変位させて、管体の先端部又は管体の先端部に取り付けた消火栓弁などの取付物の位置調整を容易に行うことができる。
【0016】
そして、第2部材に接続させた管体を第1部材本体の一端開口部の軸芯を中心にして回動させることができ、第2部材の一端側において接続させた管体の先端部及び管体の先端部に取り付けた消火栓弁などの取付物を所望方向に指向させた状態に配設させることができる。
【0017】
上記継手部材において、第1部材の第1流路における一端開口部の軸芯の延長線上において、上記第1部材の第1流路の壁部の一部を可動壁部とし、この可動壁部と上記第2部材とを接続し、上記可動壁部を上記第1部材の第1流路の一端開口部に対して接離する方向に変位させることによって、上記第2部材を連動させて上記第1流路の一端開口部において変位するように構成されている場合には、可動壁部を操作することによって、この可動壁部の操作に連動して、第2部材を第1流路の一端開口部に対して相対変位させ、第2部材に接続させた管体の先端部の位置を変位させて、管体の先端部又は管体の先端部に取り付けた消火栓弁などの取付物の位置調整を容易に行うことができる。
【0018】
上記継手部材において、第1部材の第1流路の壁部に可動壁部を配設するための配設用開口部を形成し、この配設用開口部内に可動壁部が配設されていると共に、上記配設用開口部の開口端部に外方に向かって円筒状支持部を設けている一方、上記可動壁部の外面に回転軸部を形成し、この回転軸部にキャップ体を回転自在に被嵌一体化させており、上記円筒状支持部の外周面に形成された螺子部に上記キャップ体に形成した螺子部を進退自在に螺合させ、上記キャップ体を上記円筒状支持部に対して螺進又は螺退させることによって、上記可動壁部を介して第2部材を変位させるように構成している場合には、キャップ体の操作によって第2部材を第1部材の一端開口部に対して容易に相対変位させて、第2部材の一端側において接続させた管体の先端部及び管体の先端部に取り付けた消火栓弁などの取付物を所望位置に配設させることができる。
【0019】
本発明の継手部材は、第1継手部材及び第2継手部材として上記継手部材を有し、上記第1継手部材における第1部材に対する第2部材の相対変位方向と、上記第2継手部材における第1部材に対する第2部材の相対変位方向とが交差した状態にて、上記第1継手部材及び上記第2継手部材の第1流路の他端開口部同士が連結、連通されているので、第1継手部材及び第2継手部材の何れか一方の第2部材の一端側において接続させた管体の先端部及び管体の先端部に取り付けた消火栓弁などの取付物の位置を2方向にて調節することができると共に、管体の先端部及び取付物の取付方向を調整することができ、管体の先端部及び取付物を所望方向に指向した状態にて所望位置に容易に配設することができる。
【0020】
本発明の消火栓設備及び接続管によれば、継手部材の第2部材の一端側に接続させた管体の先端部及び管体の先端部に取り付けた消火栓弁などの取付物の位置及び取付方向を容易に調整することができるので、消火栓格納箱の消火栓弁挿通孔と接続管の先端部との位置ずれを容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の継手部材を示した断面図である。
図2】本発明の継手部材を示した他の状態を示した断面図である。
図3】本発明の継手部材を示した斜視図である。
図4】本発明の継手部材を示した分解斜視図である。
図5】本発明の継手部材の他の一例を示した断面図である。
図6】本発明の継手部材の使用要領を示した正面図である。
図7】本発明の継手部材の使用要領を示した側面図である。
図8】本発明の継手部材の使用要領を示した正面図である。
図9】本発明の継手部材の使用要領を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の具体的な実施例を図面について説明する。図1~4に示した通り、継手部材Aは、第1流路11が形成された第1部材1と、この第1部材1の第1流路11の一端開口部12に配設された第2部材2とを有する。
【0023】
継手部材Aの第1部材1は、両端が開口する第1流路11を有している。第1部材1の第1流路11は、消火用水などの液体が流通可能に構成されている。第1流路11は、その一部において屈曲部を有しており、一端開口部12と他端開口部16とは交差する方向(異方向)に開口している。図1に示した継手部材では、第1流路11は、その一端開口部12の開口方向と他端開口部16の開口方向とが直交している。第1流路11の他端開口部16の内周面又は外周面には、他の管体を接続するための螺子部などの接続部16aが形成されている。なお、以下の説明においては、流体が消火用水である場合を例に挙げて説明するが、消火用水に限定されない。
【0024】
第1部材1の第1流路11の一端開口部12は、断面真円形状に形成されており、この一端開口部12内には、この一端開口部12の軸芯方向に変位可能に且つ上記軸芯を中心にして回動可能に第2部材2が配設されている。即ち、第2部材2における第1部材1の第1流路11の一端開口部12内に配設される部分(挿入部分)は円筒状に形成され、第1流路11の一端開口部12内において、一端開口部12の軸芯を中心にして回動可能に配設されている。
【0025】
第2部材2の挿入部分は円筒状に形成され、第2部材2の挿入部分の軸芯と、第1部材1の第1流路11における一端開口部12の軸芯とは合致しており、第1部材は、第2部材2の挿入部分の軸芯を中心にして回動自在に構成されている。
【0026】
第2部材2には、その両端面間に亘って貫通する第2流路23が形成されており、この第2流路23は、その他端開口部において第1部材1の第1流路11に連結、連通している。第2部材2の一端開口部には、他の管体を水密的に接続するための螺子部などの接続部24が形成されており、第2部材2に接続された管体は、第2部材2の第2流路23を通じて第1部材1の第1流路11に連結、連通する。なお、第2部材2の一端部外周面に、他の管体を接続するための接続部が形成されていてもよい。
【0027】
第2部材2の挿入部分の外周面21は、第1部材1の第1流路11の一端開口部12の内周面12aに全面的に摺接しており、更に、第1流路11の一端開口部12の内周面12aとこれに対向する第2部材2の挿入部分の外周面21との間には、これらの対向面間に形成された隙間から流体が漏出しないように、Oリングなどのパッキン22が介在されている。図1では、第2部材2の外周面21にパッキン22を一体的に配設した場合を示したが、第1流路11の一端開口部12の内周面12aにパッキン22を一体的に配設してもよい。
【0028】
第1部材1の一端開口部12の軸芯(第1部材1の一端開口部12に対して第2部材2が相対変位する方向)の延長線上、即ち、第1部材1の一端開口部12をその軸芯方向に投影した部分において、第1部材1の第1流路11の壁部は可動壁部13に形成されている。
【0029】
第1部材1の第1流路11における一端開口部12の軸芯方向の延長線上における第1流路の壁部には、断面真円形状の配設用開口部14が内外方向に貫通した状態に形成されており、配設用開口部14の開口端部には、外方に向かって円筒状支持部15が突設されている。配設用開口部14の内周面14aと円筒状支持部15の内周面15aとは面一に形成されており、配設用開口部14の内周面14a及び円筒状支持部15の内周面15aとによって滑らかな円周面(断面真円形状)が形成されている。
【0030】
そして、第1部材1の配設用開口部14及び円筒状支持部15内には、可動壁部13が内外方向(第1部材1の一端開口部12に対する第2部材2の変位方向と同一方向)に変位可能に配設されている。可動壁部13の外周面13dは、配設用開口部14の内周面14a及び円筒状支持部15の内周面15aに摺接しており、可動壁部13の外周面13aと配設用開口部14の内周面14a及び円筒状支持部15の内周面15aとの対向面間には、この対向面間に形成された隙間から流体が漏出しないように、Oリングなどのパッキン13cが介在されている。
【0031】
可動壁部13は、配設用開口部14及び円筒状支持部15内において、第1部材1の一端開口部12に対する第2部材2の変位方向に変位可能に且つ配設用開口部14(円筒状支持部15)の軸芯を中心にして回動自在に配設されている。
【0032】
可動壁部13を第1部材1の第1流路11における一端開口部12に最も近接した状態において、可動壁部13は、その内側端面が第1部材1の第1流路11の内周面と略面一となるように、配設用開口部14(円筒状支持部15)内に配設されており、第1部材1の第1流路11内における流体の流通性を阻害しないように構成されている。
【0033】
そして、第2部材2と可動壁部13とは複数本の柱部6、6・・・によって接続一体化されている。具体的には、第2部材2の内側端面とこれに対向する可動壁部13の内側端面との間に、複数本の柱部6、6・・・が第2部材2の内側端面の周方向に所定間隔を存して配設一体化されており、第2部材2の内側端面の周方向に互いに隣接する柱部6、6間には開口部6aが形成されており、第1部材の第1流路11の一端開口部12と他端開口部16とは、柱部6、6間に形成された開口部6a、6a・・・を通じて連通した状態に構成されている。
【0034】
又、可動壁部13の変位方向における外面には支持用凸部13aが形成されており、この支持用凸部13aの外端面には回転軸部13bが突設されている。可動壁部13の回転軸部13bを第1部材1の円筒状支持部15の外側開口端から外方に突出させている。
【0035】
一方、可動壁部13の回転軸部13bにはキャップ体3が装着されている。キャップ体3は、円筒状支持部15の外径よりも僅かに大きな外径を有する円形状の天板部31と、この天板部31の外周縁部の全周から第2部材2側に向かって突設された一定高さを有する周壁部32とを有している。キャップ体3の天板部31の中央部には両面間に亘って貫通し且つ可動壁部13の回転軸部13bよりも僅かに大きな径を有する取付孔31aが形成されており、この取付孔31aを可動壁部13の回転軸部13bに回動自在に被嵌させている。そして、回転軸部13bの先端部にナット体4を螺合させ、ナット体4とこれに対向する支持用凸部13aとの対向面間にキャップ体3の取付孔31aの開口端縁部を保持し、キャップ体3が回転軸部13bから抜けないように構成されている。なお、ナット体4とこれに対向する支持用凸部13aとの対向面間には、弾性体からなるワッシャ5が介在されている。キャップ体3の天板部31には、キャップ体3と可動壁部13との間の空気を抜くための空気孔31bが内外面間に貫通した状態に形成されている。
【0036】
キャップ体3の周壁部32の内周面には螺子部32aが形成されている一方、第1部材1の円筒状支持部15の外周面には、キャップ体3の周壁部32の螺子部32aに螺合可能な螺子部15bが形成されており、キャップ体3の周壁部32の螺子部32aが、第1部材1の円筒状支持部15の螺子部15bに螺進又は螺退可能に螺合している。この螺合状態において、ナット体4とこれに対向する支持用凸部13aとの対向面間の隙間には、弾性体からなるワッシャ5が介在されており、キャップ体3は妄動することなく安定的に配設されている。
【0037】
更に、キャップ体3の周壁部32には、その内外周面間に亘って貫通する固定孔32bが貫設されており、この固定孔32bに固定ピン32cが進退自在に螺合されており、固定ピン32cを螺進させて固定ピン32cの先端を円筒状支持部15の外周面に圧接させることによって、キャップ体3を円筒状支持部15に所定位置にて固定可能に構成されている。
【0038】
上述のように構成された継手部材Aにおいて、第1部材1の第1流路11の一端開口部12、配設用開口部14及び円筒状支持部15の軸芯は合致しており、これらの軸芯を中心にして、第2部材2、可動壁部13、回転軸部13b及びキャップ体3が一体的に回動自在に配設されている。従って、第1部材1は、第2部材2及び可動壁部13を中心にして回動自在に構成されている。
【0039】
そして、キャップ体3を可動壁部13の回転軸部13bを中心にして回動させて螺退させ、第1部材1の円筒状支持部15に対して、第1部材1の第1流路11の一端開口部12から離間する方向に相対変位させると、キャップ体3の取付孔31aの開口端縁部がナット体4をキャップ体3の変位方向に変位させ、このナット体4の変位に連動して、ナット体4が螺合している可動壁部13、柱部6及び第2部材2をキャップ体3の変位方向と同一方向(第1部材1の第1流路11の一端開口部12から離間する方向)に一体的に変位させ、第2部材2の第1流路11の一端開口部12からの突出長さを短くすることができる。
【0040】
一方、キャップ体3を可動壁部13の回転軸部13bを中心にして回動させて螺進させ、第1部材1の円筒状支持部15に対して、第1部材1の第1流路11の一端開口部12に近接する方向に相対変位させると、キャップ体3の取付孔31aの開口端縁部が支持用凸部13aをキャップ体3の変位方向に変位させ、この支持用凸部13aの変位に連動して、支持用凸部13aが突設されている可動壁部13、柱部6及び第2部材2をキャップ体3の変位方向と同一方向(第1部材1の第1流路11の一端開口部12に近接する方向)に一体的に変位させ、第2部材2の第1流路11の一端開口部12からの突出長さを長くすることができる。
【0041】
上述のように、キャップ体3を回動させて螺進又は螺退させ、第1部材1の円筒状支持部15に対して相対変位させることによって、このキャップ体3に可動壁部13及び柱部6を介して接続させている第2部材2を連動して第1部材1の第1流路11の一端開口部12に対して相対変位させることができ、第1部材1の第1流路11の一端開口部12からの第2部材2の突出長さの調節を行なうことができるように構成されている。
【0042】
又、第2部材2と可動壁部13とは複数個の柱部6によって一体化されて1個の可動部材Cに形成されていると共に、第2部材2は第1部材1の一端開口部12内に回動自在に配設、支持され且つ可動壁部13は配設用開口部14及び円筒状支持部15内に回動自在に配設、支持されており、可動部材の両端部を形成している第2部材2及び可動壁部13はそれぞれ、第1部材1の一端開口部12及び配設用開口部14及び円筒状支持部15に安定的に支持されており、可動部材Cは、第1部材1の一端開口部12、配設用開口部14及び円筒状支持部15の軸芯(同一の軸芯)を中心にして回動自在に且つこれらの軸芯方向に変位可能に第1部材1に妄動することなく配設されている。従って、キャップ体3の回動操作という簡単な操作でもって、第1部材1の一端開口部12に対する第2部材2の突出長さを容易に調整することができる。
【0043】
そして、第1部材1の一端開口部12に対する第2部材2の突出長さの固定は、固定ピン32cを螺進させて固定ピン32cの先端を円筒状支持部15の外周面に圧接させることによって容易に行うことができる。
【0044】
一方、第1部材1の一端開口部12に対する第2部材2の突出長さを固定した状態であっても、可動部材Cは、第1部材1の一端開口部12、配設用開口部14及び円筒状支持部15に対して回動自在に配設されており、換言すれば、第1部材1は、第2部材2及び可動壁部13を中心にして回動自在とされている。
【0045】
上述した継手部材Aは、第1部材1の第1流路の一端開口部12及び他端開口部16のそれぞれに管体を必要に応じて汎用の接続具を介して接続させて用いられる。
【0046】
又、上述した継手部材Aを2個用意し、2個の継手部材A、Aの第1部材1、1における第1流路11、11の他端開口部16、16同士を水密的に互いに連結、連通させて用いてもよい。なお、継手部材Aのそれぞれの構造は上述した継手部材Aの構造と同一であるので説明を省略する。
【0047】
具体的には、図5に示したように、継手部材A、Aの第1部材1、1における第1流路11、11の他端開口部16、16をこれらの端面16b、16b同士を対向させた状態に重ね合わせてボルトなどの汎用の締結具7、7を用いて、第1流路11、11の他端開口部16、16同士を水密的に互いに連結、連通させて継手部材A’が構成されている。なお、以下において、便宜上、図5の継手部材A’において、右側の継手部材Aを第1継手部材A1と、左側の継手部材Aを第2継手部材A2とする。
【0048】
そして、第1継手部材A1及び第2継手部材A2の第1部材1、1における第1流路11、11の一端開口部12、12の開口方向(第1部材1、1の第1流路11、11の一端開口部12、12に対する第2部材2、2の変位方向)が互いに90°ずれた状態に第1継手部材A1及び第2継手部材A2が接続一体化されている。なお、第1継手部材A1及び第2継手部材A2の第1部材1、1における第1流路11、11の一端開口部12、12の開口方向のずれ角度は、90°である必要はなく、第1継手部材A1及び第2継手部材A2の第1部材1、1における第1流路11、11の一端開口部12、12は、これらの開口方向が互いに交差しておればよい。
【0049】
図5の継手部材A’では、第1継手部材A1の第1部材1の一端開口部12は、図5において下方に向かって開口していると共に、他方の第2継手部材A2の第1部材1の一端開口部12は、図5において紙面に対して直交し且つ手前方向に向かって開口している。
【0050】
このように、第1継手部材A1及び第2継手部材A2において、第1部材1、1の第1流路11、11の一端開口部12、12の開口方向を交差(相違)させることによって、第1流路11の一端開口部12からの第2部材2の突出長さの調整を2方向において行うことができ、継手部材A’に接続させた管体の配設位置の調整を2次元的に行って管体を所望位置に容易に配設することができる。
【0051】
次に、上記継手部材Aが介在された接続管を用いて給水管と消火栓格納箱Bとが接続されてなる消火栓設備の施工要領について説明する。
【0052】
図6に示したように、消火栓設備は、建築物の内壁Wに設置された消火栓格納箱Bと、この消火栓格納箱B内に収納された消火用ホース(図示せず)と、消火用ホースの先端に接続しているノズル(図示せず)と、消火栓格納箱B内に配設されている消火栓弁8と、消火栓格納箱Bの外方(例えば、後方、上方など)に配設されている給水管(図示せず)と、給水管及び消火栓弁8を接続している接続管9とを含む。消火栓弁8の流出口に必要に応じて接続部を介して消火用ホースの基端が接続されている。
【0053】
建築物の内壁Wには消火栓格納箱Bを収納できる矩形状の格納箱設置空間部W1が形成されていて、この格納箱設置空間部W1に前方側から消火栓格納箱Bを収納、設置するように構成されている。更に、上記格納箱設置空間部W1を設けている内壁Wの空間部の上方又は後方に給水管が配管されている。
【0054】
給水管には、接続管9の基端部が連結、連通している一方、接続管9の先端部には消火栓弁8が配設一体化されており、給水管から供給された消火用水は、接続管9を通じて消火栓弁8に供給される。そして、消火栓弁8は、消火栓格納箱Bの後側壁板B1に形成された消火栓弁挿通孔B11を通じて消火栓格納箱B内に収納、配設される。
【0055】
接続管9には、図6及び図7に示したように、継手部材A、A’が介在されている。図6及び図7では、2個の継手部材を接続管9に介在させている場合を示したが、1個又は3個以上であってもよい。
【0056】
図6及び図7に示した接続管9では、給水管側において図5の継手部材A’が介在されていると共に、消火栓弁8側において図1の継手部材Aが介在されている。詳細には、接続管9は、給水管側に配設された第1接続管91と、消火栓弁8側に配設された第2接続管92とを有しており、第1接続管91と第2接続管92とが継手部材A’を介して連結、連通していると共に、第2接続管92と消火栓弁8とが継手部材Aを介して連結、連通している。
【0057】
詳細には、継手部材A’は、その第2継手部材A2において、第1部材1の第1流路11における一端開口部12に対する第2部材2の変位方向が水平方向(図6において左右方向)になると共に、第1継手部材A1において、第1部材1の第1流路11における一端開口部12に対する第2部材2の変位方向が上下方向となるように配設されている。
【0058】
継手部材Aは、その第1部材1の第1流路11における一端開口部12に対する第2部材2の変位方向が水平方向(図6において前後方向、図7において左右方向)となるように配設されている。
【0059】
そして、第1接続管91の消火栓弁8側の開口端部は、継手部材A’の第2継手部材A2における第2部材2の接続部24に接続されて、第2継手部材A2の第1部材1の第1流路11に連結、連通されている。
【0060】
一方、第2接続管92における給水管側の開口端部は、継手部材A’の第1継手部材A1における第2部材2の接続部24に接続され、第1継手部材A1の第1部材1の第1流路11に連結、連通している。
【0061】
従って、第1接続管91及び第2接続管92は、継手部材A’の第1継手部材A1及び第2継手部材A2の第1流路11、11及び第2部材2、2の第2流路23、23を介して連結、連通した状態に接続されている。
【0062】
更に、第2接続管92の消火栓弁8側の開口端部は、継手部材Aの第1部材1における他端開口部16の接続部16aに接続されていると共に、継手部材Aの第2部材2の接続部24には消火栓弁8が接続されており、第2接続管92及び消火栓弁8は、継手部材Aの第1部材1の第1流路11及び第2部材2の第2流路23を介して連結、連通した状態に接続されている。なお、消火栓弁8は、第1部材1の一端開口部12に対する第2部材の変位方向が略水平方向に指向した状態に配設された第2部材2の接続部24に接続されている。
【0063】
上述のように、給水管と消火栓弁8とは、継手部材A'、Aが介在された接続管9によって連結、連通した状態となっており、給水管から供給された消火用水は、接続管9及びこれに介在された継手部材A'、Aを通じて消火栓弁8に供給可能とされている(分岐管接続工程)。
【0064】
しかる後、接続管9の先端部に配設した消火栓弁8を閉止した状態とした上で、給水管を通じて接続管9内に水を充満させて水圧試験を行ない、接続管9における漏水の有無を確認する(水圧試験工程)。
【0065】
次に、建築物の内壁Wに形成された格納箱設置空間部W1内に消火栓格納箱Bを配設するが、建築物の他の施工工程との関係で上記水圧試験工程の終了後に消火栓格納箱Bが格納箱設置空間部W1内に設置されるまでに時間を要することがある。
【0066】
このような場合、接続管9が格納箱設置空間部W1内に向かって配設されていると、他の施工工程の邪魔になり、又は接続管9に作業者又は作業者が用いる作業道具が衝突して接続管9が破損する虞れがある。
【0067】
そこで、接続管9に介在させた継手部材A’の第2継手部材A2の第1部材1を第2部材2及び可動壁部13を中心にして回動させることによって、第2接続管92及びこの第2接続管92の先端部に取り付けた消火栓弁8を上方に向かって退避させて、接続管9及び消火栓弁8の破損を未然に防止することができる。継手部材A、A’において、第1部材1の一端開口部12からの第2部材2の突出長さを固定した状態においても、第1部材1は、第2部材2及び可動壁部13を中心にして回動させることが可能であるので、上記操作を容易に行うことができる。なお、図7において、上方に退避させた第2接続管92及びこの第2接続管92の先端部に取り付けた消火栓弁8を点線で示した。
【0068】
接続管9に水が充満した状態であるが、継手部材A、A’は、接続管9内に充満させた水圧にもかかわらず、継手部材A、A’における第1部材1と第2部材2及び可動壁部13との相対変位を円滑に行なうことができ、接続管9を格納箱設置空間部W1から容易に退避させることができる。
【0069】
更に、建築物の内壁内の狭い空間部に作業空間部を容易に確保することができ、施工作業を円滑に行なうことができる。
【0070】
そして、格納箱設置空間部W1内に消火栓格納箱Bが配設された後、継手部材A’の第2継手部材A2の第1部材1を第2部材2及び可動壁部13を中心にして回動させることによって、第1接続管91の位置を変化させることなく、上方に退避させている第2接続管92及びこの第2接続管92の先端部に取り付けた消火栓弁8を下方に復帰させ、消火栓弁8を消火栓格納箱Bの消火栓弁挿通孔B11に挿通させて消火栓格納箱B内に配設する(消火栓弁配設工程)(図7参照)。
【0071】
一方、格納箱設置空間部W1内に配設した消火栓格納箱Bの位置が、当初予定していた配設位置よりも水平方向、上下方向及び/又は前後方向にずれ、その結果、消火栓格納箱Bの壁板に形成された消火栓弁挿通孔B11の位置が、予定配設位置L0から変更配設位置L1にずれることがある。
【0072】
このような場合には、接続管9に介在させた継手部材A、A’のうちの任意の継手部材において、キャップ体3を円筒状支持部15に対して螺進又は螺退させることによって、第1部材1の第1流路11の一端開口部12からの第2部材2の突出長さを調節して固定し、消火栓弁挿通孔B11の予定配設位置L0から変更配設位置L1への位置ずれを吸収することができる。
【0073】
詳細には、図6における上下方向の位置調節は、継手部材A’の第1継手部材A1において、キャップ体3の固定ピン32cを固定孔32b内にて螺退させて固定ピン21cの先端部を円筒状支持部15から離間させ、キャップ体3が円筒状支持部15に対して螺進又は螺退可能とする。しかる後、キャップ体3を円筒状支持部15に対して螺進又は螺退させることにより、第1部材1の第1流路11の一端開口部12からの第2部材2の突出長さを調節し、しかる後、キャップ体3の固定ピン32cを固定孔32b内にて螺進させて円筒状支持部15の外周面に圧接させることによって、キャップ体3を円筒状支持部15に対して不動状態に固定することによって、第1部材1の第1流路11の一端開口部12からの第2部材2の突出長さを固定することによって行なうことができる。
【0074】
図6における左右方向の位置調節は、上述と同様の要領で、継手部材A’の第2継手部材A2において、キャップ体3を円筒状支持部15に対して螺進又は螺退させることにより、第1部材1の第1流路11の一端開口部12からの第2部材2の突出長さを調節、固定することによって行なうことができる。
【0075】
図7における左右方向の位置調節は、上述と同様の要領で、継手部材Aにおいて、キャップ体3を円筒状支持部15に対して螺進又は螺退させることにより、第1部材1の第1流路11の一端開口部12からの第2部材2の突出長さを調節、固定することによって行なうことができる。
【0076】
このように、接続管9に介在させた継手部材A、A’のうちの任意の継手部材における第1部材1の第1流路11の一端開口部12からの第2部材2の突出長さを調節することによって、接続管9の先端部に取り付けた消火栓弁8の上下左右方向及び前後方向の位置を正確に且つ容易に調節することができる。
【0077】
このように、消火栓弁挿通孔B11の予定配設位置L0から変更配設位置L1への位置ずれを吸収した上で、消火栓弁挿通孔B11内に消火栓弁8を正しい位置に配設することができる。
【0078】
そして、消火栓弁8の流出口に必要に応じて接続部を介して消火用ホースの基端を水密的に連通状態にて接続させて消火栓設備を施工することができる。
【0079】
上記接続管9に介在させる継手部材の個数及び種類(継手部材A又はA’)は、図6及び図7に示したものに限定されず、適宜、消火栓設備の施工場所に応じて適宜、変更されればよい。
【0080】
例えば、図8及び図9に示したように、継手部材A’の第2継手部材A2において、第1部材1の第1流路11における一端開口部12に対する第2部材2の変位方向が、図9において左右方向となるように配設されてもよい。その他の構成については同様であるので同一符号を付して説明を省略する。
【0081】
図8及び図9に示した接続管9によれば、消火栓格納箱Bに対する前後方向の位置調整を上側の継手部材A’の第2継手部材A2と、下側の継手部材Aとによって行なうことができ、消火栓格納箱Bに対する前後方向の位置調整の許容範囲を広げることができる。
【0082】
更に、消火栓格納箱Bの消火栓弁挿通孔B11の位置ずれに対しては、継手部材A’の第2継手部材A2において、第1部材1を第2部材2及び可動壁部13を中心にして回動させると共に、継手部材Aにおいても、第1部材1を第2部材2及び可動壁部13を中心にして回動させることによって、消火栓弁8を正しい姿勢とした上で左右方向の配設位置のずれを調整することができる。なお、図9において、左側に消火栓弁挿通孔B11の予定配設位置L0を、右側に変更配設位置L1を記載した。
【符号の説明】
【0083】
1 第1部材
2 第2部材
3 キャップ体
4 ナット体
5 ワッシャ
6 柱部
8 消火栓弁
9 接続管
91 第1接続管
92 第2接続管
11 第1流路
12 一端開口部
13 可動壁部
13a 支持用凸部
13b 回転軸部
14 配設用開口部
15 円筒状支持部
16 他端開口部
23 第2流路
31 天板部
31a 取付孔
32 周壁部
32a 螺子部
32b 固定孔
32c 固定ピン
A、A’継手部材
A1 第1継手部材
A2 第2継手部材
B 消火栓格納箱
B11 消火栓弁挿通孔
0 予定配設位置
1 変更配設位置
W 内壁
W1 格納箱設置空間部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9