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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191999
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】ゲーム装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/825 20140101AFI20221221BHJP
   A63F 13/2145 20140101ALI20221221BHJP
   A63F 13/424 20140101ALI20221221BHJP
   A63F 13/428 20140101ALI20221221BHJP
   A63F 13/47 20140101ALI20221221BHJP
   A63F 13/53 20140101ALI20221221BHJP
   A63F 13/58 20140101ALI20221221BHJP
【FI】
A63F13/825
A63F13/2145
A63F13/424
A63F13/428
A63F13/47
A63F13/53
A63F13/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198655
(22)【出願日】2021-12-07
(62)【分割の表示】P 2021100427の分割
【原出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 江利果
(72)【発明者】
【氏名】岡本 有莉
(57)【要約】
【課題】直感的な操作入力でのゲーム要素の育成を可能ならしめる育成ゲームを実行する。
【解決手段】ゲーム装置は、ゲーム要素を成長させる育成ゲームに係る処理を実行するゲーム装置であって、育成ゲームにおいて、ゲーム要素には、該ゲーム要素の成長状態を異ならせる分岐を含む複数の育成段階が定義されており、ゲーム装置は、育成ゲームに係る処理を実行する実行手段と、ゲーム要素を表示する表示手段と、ゲーム要素の育成に係る操作入力を受け付ける入力手段と、ゲーム要素の育成段階を管理する管理手段と、育成ゲームにおいて第1の育成段階から第2の育成段階への変更条件が満たされた場合に、ゲーム要素の第2の育成段階に係る分岐先の成長状態のうちから、当該変更条件が満たされるまでになされた育成に係る操作入力に応じた1つの成長状態を決定する決定手段と、を備え、育成に係る操作入力が、育成に係る選択項目の選択を伴わない第1の操作入力を含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム要素を成長させる育成ゲームに係る処理を実行するゲーム装置であって、
前記育成ゲームにおいて、前記ゲーム要素には、該ゲーム要素の成長状態を異ならせる分岐を含む複数の育成段階が定義されており、
前記ゲーム装置は、
前記育成ゲームに係る処理を実行する実行手段と、
前記ゲーム要素を表示する表示手段と、
前記ゲーム要素の育成に係る操作入力を受け付ける入力手段と、
前記ゲーム要素の育成段階と前記育成に係る操作入力に応じて変化する所定のパラメータとを管理する管理手段と、
前記育成ゲームにおいて第1の育成段階から第2の育成段階への変更条件が満たされた場合に、前記ゲーム要素の前記第2の育成段階に係る分岐先の成長状態のうちから、当該変更条件が満たされるまでになされた前記育成に係る操作入力に応じて変化した前記所定のパラメータに基づいて、1つの成長状態を決定する決定手段と、
を備え、
前記育成に係る操作入力が、育成に係る選択項目の選択を伴わない第1の操作入力を含み、
前記決定手段は、前記第2の育成段階が所定の段階以降の育成段階である場合に、さらに前記所定のパラメータとは異なるパラメータに基づいて、前記1つの成長状態を決定するゲーム装置。
【請求項2】
前記育成に係る操作入力は、育成に係る選択項目の選択を伴う第2の操作入力をさらに含む請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記第2の操作入力に起因する前記所定のパラメータの変化は、前記ゲーム要素の成長状態がいずれであるかによって異なる一方で、
前記第1の操作入力に起因する前記所定のパラメータの変化は、前記ゲーム要素の成長状態に依らず一定である請求項2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記育成ゲームの過程において、
前記第1の操作入力は、受け付け可能な回数の設定がない一方で、
前記第2の操作入力は、受け付け可能な回数の設定がある
請求項2または3に記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記育成ゲームについて、所定のモードへの移行を受け付ける移行手段をさらに備え、
前記入力手段は、前記所定のモードに移行中の期間において、前記第1の操作入力を受け付け可能に制御する請求項1乃至4のいずれか1項に記載のゲーム装置。
【請求項6】
前記表示手段は、前記所定のモードへの移行時に、前記所定のパラメータに応じて異なる演出を表示する請求項5に記載のゲーム装置。
【請求項7】
前記第1の操作入力は、複数種類設けられており、
前記入力手段は、前記ゲーム要素の育成段階が進むにつれて、受け付け可能な前記第1の操作入力の種類を増加させる請求項5または6に記載のゲーム装置。
【請求項8】
前記第1の操作入力は、音声入力を含み、
前記入力手段は、前記所定のモードへの移行時に前記第1の操作入力として音声入力を受け付けたことを条件として、別の種類の前記第1の操作入力をさらに受け付け可能に制御する請求項7に記載のゲーム装置。
【請求項9】
前記第1の操作入力は、前記表示手段に対するタッチ入力を含み、
前記表示手段は、前記所定のモードへの移行時に前記第1の操作入力として音声入力が受け付けられたことを条件として、前記ゲーム要素の表示をタッチ入力に対応する表示に異ならせる請求項8に記載のゲーム装置。
【請求項10】
前記第1の操作入力は、前記ゲーム装置を携帯してなされた運動入力を含み、
前記表示手段は、運動入力の履歴に応じた態様で前記ゲーム要素を表示する請求項7乃至9のいずれか1項に記載のゲーム装置。
【請求項11】
前記入力手段は、前記育成ゲームの進行が所定のタイミングに至った場合において、前記第1の操作入力を受け付け可能に制御する請求項5乃至10のいずれか1項に記載のゲーム装置。
【請求項12】
前記所定のタイミングは、前記ゲーム装置について設定された時計の時刻として定められる請求項11に記載のゲーム装置。
【請求項13】
前記管理手段は、同一の前記第1の操作入力について、前記所定のモードに移行中の期間と前記所定のタイミングとで、前記所定のパラメータの変化を異ならせる請求項11または12に記載のゲーム装置。
【請求項14】
前記入力手段は、前記所定のパラメータが閾値を下回る状態が所定期間継続したことを条件として、前記第1の操作入力を受け付け不可能に制御する請求項1乃至13のいずれか1項に記載のゲーム装置。
【請求項15】
前記表示手段は、育成段階のそれぞれにおいて、前記所定のパラメータが最高状態にある場合に特定演出を表示する請求項1乃至14のいずれか1項に記載のゲーム装置。
【請求項16】
前記特定演出は、前記育成ゲームにおける所定アイテムの付与を含み、
前記育成ゲームは、育成可能な前記ゲーム要素が複数種類設けられており、
付与される前記所定アイテムは、育成中の前記ゲーム要素の種類に応じて異なる請求項15に記載のゲーム装置。
【請求項17】
コンピュータを、請求項1乃至16のいずれか1項に記載のゲーム装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム装置及びプログラムに関し、特にキャラクタの育成を行う電子ゲームを実行するゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの操作入力に応じてキャラクタを成長させる育成要素を含むゲーム(育成ゲーム)を実行するゲーム装置がある。特許文献1には、ランダムで発生したイベントに対してなされた操作入力に応じてキャラクタに対する愛情度のパラメータが更新され、当該愛情度に基づいてキャラクタの状態が変化する育成ゲームを実行するゲーム装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-006054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のゲーム装置は、物理的な操作ボタン(操作部材)がユーザインタフェースとして備えられており、愛情度を上昇させるためには、イベントごとに固有に定められた適切な操作入力を行う必要があった。
【0005】
従来、特許文献1に記載のような限定的な数の操作部材を備えるゲーム装置では、興趣性が限定的になることを回避すべく、各イベントについて表示された複数の選択項目(選択肢)のうちから適切な項目を選択・決定させる方式で、操作入力の多様性を担保している。例えば、特許文献1のように3つの操作部材が設けられている場合、このうち2つの操作部材が選択する項目の変更用に割り当てられ、残りの1つの操作部材が選択された項目の決定用に割り当てられている。従って、各イベントについて定められる適切な操作入力は、該イベントについて表示される複数の選択項目のうちから適切な選択項目を選択し、当該選択項目について決定入力を行うことを要件とするものであった。
【0006】
しかしながら、このような選択方式の操作入力は直感的ではなく、ユーザのキャラクタに対する愛着が深まりにくい可能性があった。
【0007】
本発明は、直感的な操作入力でのキャラクタの育成を可能ならしめる育成ゲームを実行するゲーム装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のゲーム装置は、ゲーム要素を成長させる育成ゲームに係る処理を実行するゲーム装置であって、育成ゲームにおいて、ゲーム要素には、該ゲーム要素の成長状態を異ならせる分岐を含む複数の育成段階が定義されており、ゲーム装置は、育成ゲームに係る処理を実行する実行手段と、ゲーム要素を表示する表示手段と、ゲーム要素の育成に係る操作入力を受け付ける入力手段と、ゲーム要素の育成段階を管理する管理手段と、育成ゲームにおいて第1の育成段階から第2の育成段階への変更条件が満たされた場合に、ゲーム要素の第2の育成段階に係る分岐先の成長状態のうちから、当該変更条件が満たされるまでになされた育成に係る操作入力に応じた1つの成長状態を決定する決定手段と、を備え、育成に係る操作入力が、育成に係る選択項目の選択を伴わない第1の操作入力を含む。
また本発明のゲーム装置は、ゲーム要素を成長させる育成ゲームに係る処理を実行するゲーム装置であって、育成ゲームにおいて、ゲーム要素には、該ゲーム要素の成長状態を異ならせる分岐を含む複数の育成段階が定義されており、ゲーム装置は、育成ゲームに係る処理を実行する実行手段と、ゲーム要素を表示する表示手段と、ゲーム要素の育成に係る操作入力を受け付ける入力手段と、ゲーム要素の育成段階と育成に係る操作入力に応じて変化する所定のパラメータとを管理する管理手段と、育成ゲームにおいて第1の育成段階から第2の育成段階への変更条件が満たされた場合に、ゲーム要素の第2の育成段階に係る分岐先の成長状態のうちから、当該変更条件が満たされるまでになされた育成に係る操作入力に応じて変化した所定のパラメータに基づいて、1つの成長状態を決定する決定手段と、を備え、育成に係る操作入力が、育成に係る選択項目の選択を伴わない第1の操作入力を含み、決定手段は、第2の育成段階が所定の段階以降の育成段階である場合に、さらに所定のパラメータとは異なるパラメータに基づいて、1つの成長状態を決定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、直感的な操作入力でのゲーム要素の育成を可能ならしめる育成ゲームを実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るゲーム装置100の外観構成を例示した図
図2】本発明の実施形態に係るゲーム装置100の機能構成を例示したブロック図
図3】本発明の実施形態に係る育成ゲームに係るゲーム画面の表示例を示した図
図4】本発明の実施形態に係るゲーム装置100におけるタッチ入力の受け付け態様を説明するための図
図5】本発明の実施形態に係る育成ゲームに係り受け付け可能に設けられた非選択操作入力を例示した図
図6】本発明の実施形態に係るゲーム装置100で実行される懐き度変更処理を例示したフローチャート
図7】本発明の実施形態に係るゲーム装置100で用いられるキャラクタ情報のデータ構成例を示した図
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態]
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
以下に説明する一実施形態は、ゲーム装置の一例としての、実行する育成ゲームについて、育成に係る選択項目の選択を伴う操作入力と、育成に係る選択項目の選択の選択を伴わない操作入力とを受け付け可能に構成されたゲーム装置に、本発明を適用した例を説明する。しかし、本発明は、少なくとも後者の操作入力を受け付けることが可能な任意の機器に適用可能である。
【0013】
《ゲーム装置の構成》
図1は、本実施形態に係るゲーム装置100の外観構成を例示した図である。図示されるように、ゲーム装置100は、後述の育成ゲームに係るゲーム画面を表示する表示部110と、ユーザからの操作入力を受け付ける物理的な操作部材134とを備える。本実施形態では表示部110は、タッチ入力を受け付け可能に構成されており、当該タッチ入力の検出用のタッチパネルセンサ131を具備するものとする。
【0014】
〈ゲーム装置の機能構成〉
以下、本実施形態のゲーム装置100の機能構成について、図2のブロック図を参照して詳細を説明する。
【0015】
制御部101は、例えばCPUであり、ゲーム装置100が有する各ブロックの動作を制御する。具体的には制御部101は、例えば記録媒体102に記録されている各ブロックの動作プログラムを読み出し、メモリ103に展開して実行することにより各ブロックの動作を制御する。
【0016】
記録媒体102は、例えば不揮発性メモリやHDD等の恒久的にデータを保持可能な記録装置である。記録媒体102は、ゲーム装置100が有する各ブロックの動作プログラムに加え、各ブロックの動作において必要となるパラメータや、本実施形態の育成ゲームに使用される各種の描画要素(キャラクタやアイテムの画像、GUI、背景画像)、または行動決定プログラム等の情報を記録する。記録媒体102は、ゲーム装置100に内蔵の記録装置に限られるものではなく、例えばゲーム装置100に着脱可能に装着される外部の記録装置を含むものであってもよい。メモリ103は、例えば揮発性メモリ等の一時的なデータ記憶に使用される記憶装置である。メモリ103は、各ブロックの動作プログラムの展開領域としてだけでなく、各ブロックの動作において出力されたデータ等を一時的に記憶する格納領域としても用いられる。
【0017】
要素DB104は、ゲーム装置100においてプレイ体験が提供される育成ゲームにおいて、各種のゲーム要素の情報を管理する。本実施形態の育成ゲームは、キャラクタの育成を行うゲームコンテンツであり、要素DB104には育成可能なキャラクタの各々についての情報(キャラクタ情報)が含まれる。詳細は後述するが、育成ゲームでは、育成対象のキャラクタ(対象キャラクタ)の形態(成長状態)が順次異なることでキャラクタの成長表現がなされるため、キャラクタ情報は成長状態のそれぞれについて構成され、要素DB104にて管理されているものとする。即ち、育成ゲームは1体の対象キャラクタの育成に係るプレイ体験を提供するが、そのプレイ体験中、成長状態ごとに異なるキャラクタ情報を参照してゲームが実行される。
【0018】
1つの成長状態について管理されるキャラクタ情報は、例えば図7に示されるように、該成長状態を一意に特定する成長状態ID701に関連付けて、該成長状態に係るキャラクタの性別や名称(分類)等を示す基本情報702、該成長状態に係るキャラクタの外観の形成に用いられる各種パーツセット(キャラクタ画像及びパーツ画像)を特定するパーツ情報703、及び該成長状態に係るキャラクタの行動・思考傾向・趣向を規定する性格情報704を含むものであってよい。
【0019】
また、要素DB104はキャラクタ情報の他、育成ゲームにおいて使用可能なアイテムについて、その効果等を含むアイテム情報を管理するものであってよい。
【0020】
管理部105は、対象キャラクタの成長状態の変化を管理する。上述したように、本実施形態の育成ゲームは対象キャラクタの成長状態を異ならせながら進行するが、当該成長状態の遷移は固定ではない。育成体験の多様な興趣要素を提供すべく、成長の過程で遷移する成長状態は、育成ゲームの進行状況に応じて変化する。詳細は後述するが、1回の対象キャラクタの育成には複数回の育成段階が設けられており、その育成段階の切り替わりにおいて、管理部105は対象キャラクタがいずれの成長状態となるかを決定する。当該成長状態の決定については、育成ゲームの進行状況が各成長状態について予め定められた成長可能な条件を満たすか否かの判断に基づいて行われる。
【0021】
提示制御部106は、ゲーム装置100におけるユーザへの各種情報提示の制御を司る。本実施形態のゲーム装置100では、ユーザへの各種情報提示の手段として、画像(ゲーム画面、メニュー画面等)表示を行う表示部110、音声出力を行う音声出力部120を有するものとして説明するが、情報提示の手段はこれらに限られるものではなく、振動、照明、情報送信等、代替あるいは追加が可能であることは言うまでもない。
【0022】
提示制御部106は、例えば描画チップ等の描画装置を含み、表示部110に表示させるゲーム画面を生成する際には所定の描画処理を行う。具体的には提示制御部105は、ゲーム装置100がスリープ状態となっていない期間、ゲームの進行状況に応じたゲーム画面を生成し、表示部110の表示を所定の頻度で更新させることで育成ゲームに係る各種の情報提示を行う。本実施形態のゲーム装置100においてプレイ体験が提供される育成ゲームでは、対象キャラクタの様子をユーザに把握可能にせしめるべく、基本的には対象キャラクタが配置されたゲーム画面が提示される。このため提示制御部106は、表示の時点での対象キャラクタの成長状態に基づき、該成長状態のキャラクタ情報のパーツ情報703により特定される描画要素を記録媒体102から読み出してメモリ103に展開し、これを用いて対象キャラクタの描画を行う。またゲーム画面には、ゲームの進行状況に応じて、適宜適切な背景やアイテムが配置されるよう、あるいはGUIが表示されるよう、提示制御部106は描画制御を行うものとする。
【0023】
本実施形態では、ゲーム装置100がユーザの携行しやすい玩具体である態様を想定するため、表示部110は、ゲーム装置100に内蔵され、一体型となって構成される、LCD等の表示装置であるものとして説明するが、本発明の実施はこれに限られるものではない。即ち、表示部110は、ゲーム装置100の外部に着脱可能に接続された表示装置であってもよいことは言うまでもない。
【0024】
また提示制御部106は、例えばサウンドチップ等の音声信号の出力を行う回路を含み、音声出力部120から出力させる音声を生成する際には所定の処理を行う。具体的には提示制御部106は、例えばゲームの進行状況に応じて、予め記録媒体102に記録された音声データのうちから出力を行う音声データを確定し、これを電気的な音声信号に変換(D/A変換)して音声出力部120に出力することで、育成ゲームに係る音声提示を行う。音声出力部120は、所定のスピーカ等であってよく、入力された音声信号に基づく音波を出力する。本実施形態では、音声出力部120も表示部110と同様に、ゲーム装置100に内蔵されているものとして説明するが、ゲーム装置100の外部に着脱可能に接続されるものであってもよい。
【0025】
操作入力部107は、操作ボタン等のゲーム装置100が有するユーザインタフェースである。操作入力部107は、ユーザにより操作入力がなされたことを検出すると、操作内容に対応する制御信号を制御部101に伝送する。本実施形態のゲーム装置100では、ユーザインタフェースとして、ゲーム装置100の外観に設けられユーザによる押下操作が可能に構成された物理的な操作部材134に加え、表示部110上になされたタッチ入力を検出するタッチパネルセンサ131、ユーザにより発生された音声入力を検出する音声入力部132(例えばマイク等)、及びゲーム装置100を携帯してなされたユーザの運動を検出する運動センサ133(例えば加速度センサ、ジャイロセンサ等)を備える。本実施形態では運動センサ133は、例えばゲーム装置100を携帯してなされたユーザの歩行運動(歩数)を、操作入力として検出する。
【0026】
通信部108は、ゲーム装置100が有する通信インタフェースである。本実施形態では詳細を省略するが、ゲーム装置100は、他のゲーム装置100やその他の情報通信端末等の外部装置と通信部108を介して接続し、情報の送受信が可能に構成される。
【0027】
《ゲーム概要》
このような構成をもつ本実施形態のゲーム装置100でプレイ体験が提供される育成ゲームについて、以下概要を説明する。
【0028】
上述したように育成ゲームは、本発明に係るゲーム要素としての対象キャラクタの育成を行うゲームコンテンツであって、基本的なゲーム画面として対象キャラクタの表示を含む画面を提示する。育成ゲームにおいて、対象キャラクタは育成段階を進めるごとに異なる成長状態に変容しながら成長し、ユーザはその様をゲーム画面を介して観察することができる。
【0029】
ここで、「育成段階」とは、育成ゲームにおける対象キャラクタの成長過程(期間)を複数の段階に分離(たまご期(誕生前)、ベビー期(乳児期)、キッズ期(幼少期)、ヤング期(青年期)、フレンド期(成年期)等)したそれぞれを指す概念であり、育成経過時間等の条件を満たしたことをもって進行する。また「成長状態」とは、育成ゲームにおけるキャラクタの種形態を定義する概念であり、対象キャラクタは各育成段階においていずれかの成長状態をとる。各育成段階には、1以上の種類の成長状態が定義されており、上述したように管理部105が、育成ゲームの進行状況に応じて対象キャラクタの成長状態を管理する。例えば1つの態様の育成ゲームでは、対象キャラクタの誕生前では1種類の卵の形態をとるが、誕生後(孵化後)の乳児期には対象キャラクタの性別に応じた2種類の形態、幼少期には各性別について2種類(合計4種類)、青年期には各性別について3種類(合計6種類)、成年期には各性別について5種類(合計10種類)の形態が成長状態として設けられるものであってもよい。即ち、1つの育成段階から次の育成段階への変更には、対象キャラクタの成長状態を異ならせる分岐が設けられている。また、このように育成段階が後期になるにつれて成長可能な成長状態の種類を増加させるよう構成することで、ゲームの多様性や興趣性を増大させることができる。
【0030】
ここで、本実施形態の育成ゲームでは、育成段階の変更条件が満たされた場合にいずれの成長状態とするかの決定は、育成に係りなされた操作入力に応じて変化するパラメータに応じてなされる。このため、管理部105は、育成ゲームの進行中、対象キャラクタの育成に係りなされた操作入力に応じて変化する所定のパラメータを管理し、育成段階の変更が生じるタイミングにおいて適宜参照する。より詳しくは、第1の育成段階から第2の育成段階への変更条件が満たされた場合に、管理部105は、当該変更条件が満たされるまでになされた操作入力を反映した状態の該当のパラメータを参照し、第1の育成段階の対象キャラクタの成長状態から分岐可能な第2の育成段階の成長状態のうちから、当該パラメータに応じた1つの成長状態を決定する。本実施形態では所定のパラメータは、対象キャラクタの(ユーザに対する)「懐き度」と、ユーザが対象キャラクタについて行った「育成行動の履歴(お世話履歴)」とを含むものとし、以下これらのパラメータについて、変更を生じさせる操作入力、及び操作入力の判定に基づくパラメータの更新方法について詳細を説明する。
【0031】
〈懐き度〉
懐き度は、ユーザが対象キャラクタの育成に係る行動(育成行動)をどの程度行ったかを示す指標であり、本実施形態の育成ゲームでは、対象キャラクタがユーザをどの程度信頼しているか、あるいは、対象キャラクタがユーザからの愛情をどの程度感じているかを示す数値として管理される。懐き度は、育成行動に係る操作入力の判定結果が良好である場合に正の数値が加算され、良好ではない場合に0または負の数値が加算され、対象キャラクタの育成を行っている期間、管理部105により管理される。
【0032】
本実施形態の育成ゲームでは、懐き度の変化を生じさせる操作入力として、次の2種類の操作入力を受け付ける。
【0033】
(選択操作入力)
1つ目の操作入力は、本発明に係る第2の操作入力としての、育成行動に係る選択項目の選択を伴う操作入力(以下、選択操作入力として言及)である。より詳しくは、選択操作入力は、1以上の選択項目が提示された上で、ユーザがそのうちのいずれかを選択状態とする操作と、当該選択状態とした選択項目を最終確定する操作とことにより実現される。当該選択操作入力は、表示部110や音声出力部120を介して提示される対象キャラクタの状態(対象キャラクタの健康状態、対象キャラクタが配置される環境(部屋)の状態、対象キャラクタの育成状態を含む)をユーザが確認し、実行可能な行動(選択項目)のうちから、当該状態について好適と推測される育成行動を選択して実行する際に用いられる。
【0034】
例えば、選択操作入力は、対象キャラクタに対する
・アイテムの供与(所有しているアイテムのうちから、与えるアイテムの選択)
・とらせるべき行動の指示(可能な行動のうちから、とらせる行動の選択)
・状態変更のための処置の実行(可能な処置のうちから、実行する処置の選択)
を含むものであってよい。具体的には、選択操作入力は、例えば対象キャラクタが空腹状態にある場合に、ごはんやおやつ等のメニューを選択して供与するために用いられる。また選択操作入力は、例えば対象キャラクタが汚れた、あるいは部屋が汚れた状態にある場合に、入浴や掃除等の行動をとらせるために用いられる。また選択操作入力は、例えば対象キャラクタが病気状態にある場合に、治療処置を実行するために用いられる。このとき、選択操作入力が好適な育成行動を選択するものであったか否かに応じて、懐き度の増減がなされる。例えば、供与したアイテムが適切なものであったか否か、供与したアイテムが対象キャラクタの趣向に合致したものであったか否か、入浴により対象キャラクタが好適な状態となったか否か、治療処置により対象キャラクタの健康状態が良好になったか否かに応じて、懐き度の増減がなされる(良好な結果である場合に懐き度が増加、良好ではない結果である場合に懐き度が減少)。
【0035】
また選択操作入力は、ユーザが自発的に対象キャラクタの状態を確認して育成行動を選択する際に限られるものではなく、例えば育成ゲームの実行中にランダムに発生する、対象キャラクタからの呼び出しイベント(お世話イベント)に対して育成行動を選択する際にも同様に採用される。
【0036】
このように、選択操作入力はいずれも、育成行動選択に係るGUI(選択項目)に対してなされる操作入力であり、対象キャラクタに対して間接的に働きかける操作入力との位置づけになる。従って、選択操作入力は、選択項目の種類を充実させることで育成ゲームの多様性に貢献する一方で、対象キャラクタの育成という観点では、ユーザと対象キャラクタとの間の隔たりを感じさせ得る。
【0037】
選択操作入力は、例えば操作部材134のような物理的な形状を有して設けられたボタン等の操作部材を介して入力されるものに限られるものではなく、タッチパネルセンサ131を介して検出されたタッチ入力に応じて、あるいは、タッチ入力をさらに含めて、例えば階層的に設けられた選択項目の選択及び確定(スワイプ操作で表示される選択項目の切り替え(ページ送り)、タップ操作の所定時間以上の継続(長押し操作)をもって確定等)が入力可能に構成されるものであってもよい。本実施形態の育成ゲームでは、操作部材134への操作入力が検出された場合に選択項目の表示が開始され、スワイプ操作に応じて表示される選択項目を変更し、表示されている選択項目に対する長押し操作に応じて当該選択項目に対応する育成行動の実行もしくは当該選択項目に属する下位の選択項目の表示を行うよう、選択操作入力の入力制御がなされているものとする。
【0038】
(非選択操作入力)
これに対し、2つ目の操作入力は、本発明に係る第1の操作入力としての、育成行動に係る選択項目の選択を伴わない操作入力(以下、非選択操作入力として言及)である。より詳しくは、非選択操作入力は、育成行動について上述した選択操作入力のような選択項目の表示→選択→確定の操作を介さずに、対象キャラクタの反応が直接的に提示される種類の操作入力となる。当該非選択操作入力は、対象キャラクタに対して呼びかける、触れ合うといった、リアルタイム性が求められる育成行動を実行する際に用いられる。換言すれば、当該非選択操作入力は、ユーザが対象キャラクタへの愛着を深めやすい、インタラクティブ性のある育成ゲームのプレイ体験を提供するために用いられる。
【0039】
ここで、非選択操作入力は、対象キャラクタに対して直接的に働きかけるとの特性から、検出された操作入力を動的に処理し、対象キャラクタの反応を提示する必要がある。即ち、最終確定の操作入力がなされたことを条件として選択された選択項目に応じた処理を実行して対象キャラクタの反応を提示する選択操作入力に比べて、非選択操作入力はその処理に係る演算量や消費電力が増大し得る。このため、本実施形態のゲーム装置100では、当該非選択操作入力を、ゲーム装置100が通常のモードからコミュニケーションモードに移行している期間に限定して受け付けるよう構成されているものとする。
【0040】
本実施形態ではコミュニケーションモードへの移行は、ゲーム画面中の対象キャラクタの領域に対するタッチ入力がなされたことを契機に開始されるものとして説明する。例えば、コミュニケーションモードに移行していない状態では、図3(a)のように、対象キャラクタが部屋にいる様を傍観しているゲーム画面が提示されているが、コミュニケーションモードに移行した状態では、基本的には図3(b)または(c)のように、対象キャラクタがユーザからの操作入力(対象キャラクタの領域に対するタッチ入力及び後述の1段階目に係る音声入力)に応じて、ユーザ方向に近づいてきて対面状態にあるゲーム画面が提示される。
【0041】
図示されるように、コミュニケーションモードにある場合には対象キャラクタの機微をユーザが悟ることができるよう、また下記一部のコミュニケーション方法におけるタッチ入力の入力容易性を担保するよう、対象キャラクタの顔面が通常モードにある場合よりも大きく表示される状態に遷移する。このとき、対象キャラクタがユーザからの愛情をどの程度感じているかを表現すべく、対象キャラクタの表情は懐き度に応じて制御される。例えば、対象キャラクタの表情は、コミュニケーションモードへの移行中、懐き度と所定の閾値との比較を行って決定されるものであってよい。即ち、所定の閾値を上回る懐き度である(懐いている)場合には、対象キャラクタは図3(b)のような穏やかな表情を示すよう制御され、所定の閾値を下回る懐き度である(懐いていない)場合には、対象キャラクタは図3(c)のような冷めた表情を示すよう制御される。
【0042】
本実施形態のコミュニケーションモードは、対象キャラクタとの自然なコミュニケーションを演出すべく、次の2段階で非選択操作入力を受け付ける。
【0043】
対象キャラクタの領域に対するタッチ入力がなされると、1段階目の非選択操作入力の受け付けが開始される。1段階目で受け付けられる非選択操作入力は、音声入力部132を介した音声入力であり、予め定められた期間(例えば10秒間)に限って検出がなされる。当該期間中に何らかの音声入力がなされた場合には、対象キャラクタに対するユーザからの呼びかけがあったものとして、コミュニケーションモードは2段階目に移行して、更なる非選択操作入力の受け付けを行うことが確定する。このとき、ゲーム画面の表示は、音声入力がなされたことを条件として、図3(a)のような傍観状態から図3(b)または(c)のような対面状態となるよう、懐き度に応じた表情提示を伴いながら、対象キャラクタが近づいてくる演出を提示するように順次遷移する。一方、当該期間中に音声入力がなされなかった場合には、対象キャラクタに対するユーザからの呼びかけはなかったものとして、コミュニケーションモードは終了し、通常のモードに移行する。
【0044】
2段階目への移行が確定すると、対象キャラクタとのコミュニケーション方法の決定がなされた後、2段階目に移行して該当種類の非選択操作入力を受け付ける状態となる。本実施形態の育成ゲームでは、2段階目に係るコミュニケーション方法として、対象キャラクタと触れ合う「なでなでモード」、対象キャラクタからの話を聞く「はなしをきくモード」が含まれ、それぞれタッチ入力、運動入力に基づいたコミュニケーションが行われる。コミュニケーション方法の決定は、これらのうちから1つを選択する抽選処理が実行されることにより行われるものであってもよいし、2段階目への移行が確定後に最初になされた非選択操作入力の種類に応じて行われるものであってもよい。あるいは、ユーザにいずれのコミュニケーション方法でコミュニケーションを行うかを選択させることにより行われるものであってもよい。
【0045】
なお、このような2段階目の非選択操作入力の受け付けに係るコミュニケーション方法の限定は、単純にゲーム装置100における演算量や消費電力の低減を前提とするための実装態様であり、本発明の実施を限定するものではないことは容易に理解されよう。つまり、制御部101が十分な演算能力を有する、ゲーム装置100が大容量のバッテリーを具備する、といった態様では、2段階目で受け付ける非選択操作入力の種類を限定せずともよい。
【0046】
「なでなでモード」では、対面状態で表示された対象キャラクタに対して、ユーザがどのようなタッチ入力を行ったかに応じて、懐き度の増減がなされる。上述したように、コミュニケーションモード移行中に表示されるゲーム画面では、対象キャラクタが拡大表示され、ユーザが対象キャラクタと触れ合うための多様なタッチ入力が入力しやすくなっている。本実施形態では図4に示されるように対面状態にある対象キャラクタの表示を含むゲーム画面を4つの領域(A~D)に分類し、これらの領域についてのタッチ入力の遷移に応じて、ユーザが対象キャラクタに対して行った触れ合い行為(育成行動)を特定し、対象キャラクタの挙動制御及び懐き度の変更が行われる。
【0047】
「なでなでモード」において受け付け可能な非選択操作入力(一連のタッチ入力)は、例えば図5の表に示されるような種類が定められているものであってよい。図示されるように、各非選択操作入力は、各操作内容と直感的に対応する一連のタッチ入力(タッチ入力が検出された領域の遷移)で規定されており、該当の非選択操作入力がなされた場合には、対応する演出表示(対象キャラクタの表示態様の変化)と懐き度の増減が行われる。ここで、本実施形態の育成ゲームでは、対象キャラクタが成長するにつれてユーザに対する反応が多様になることを表現すべく、非選択操作入力の各々について受け付け可能となる育成段階が定められている。
【0048】
また一部の非選択操作入力については、受け付け可能なタイミングを限定するよう構成されるものであってもよい。本実施形態の育成ゲームでは、1つの生命体である対象キャラクタを育成していることをユーザに認識させるべく、対象キャラクタの就寝前及び起床前の時期について、就寝または起床のサポートが非選択操作入力により可能に構成されている。対象キャラクタの就寝前及び起床前は、時刻を指定して定められており、ゲーム装置100に設定された時計が該当の時刻になったことに応じて、該当の非選択操作入力が受け付け可能に制御されるものであってよい。
【0049】
例えば、就寝時が20時半に設定されている場合、内蔵時計が20時になったことを条件として、就寝前演出を伴う就寝イベントが開始し、強制的に「なでなでモード」と同様の、非選択操作入力を受け付け可能な状態に移行するよう制御されるものであってよい。就寝前演出は、例えば対象キャラクタが寝付きにくい状況にあることの通知を開始し、適切な非選択操作入力(図5の就寝前に係る領域ABを行き来するタッチ入力)がなされたことに応じて、ウトウトし始め、順次入眠していく様子を提示するものであってよい。このとき、生命体らしさを表現すべく、入眠までに必要な、非選択操作入力の入力回数はランダムに決定されるものであってよい。懐き度の変更は、就寝イベントの開始から終了(対象キャラクタの入眠)まで適切な非選択操作入力が継続してなされたことを条件として行われればよい。このように、就寝前や起床前等の特定の時刻指定イベントについては、1回の該当の非選択操作入力では懐き度の変更に至らないが、複数回の該当の非選択操作入力がなされることで懐き度の変更に至るよう制御することで、対象キャラクタの生命体らしさを表現するものであってよい。
【0050】
なお、特に本実施形態のようにタッチ入力に係る非選択操作入力を4分割した領域に対するタッチ入力の遷移で受け付けるような態様では、対象キャラクタに対して受け付け可能となる非選択操作入力の種類が限られる。このため、図5に示されるように「なでなでモード」と時刻指定イベントとで同一種類の非選択操作入力を適切な入力として定めるものであってよい。即ち、同一の非選択操作入力であっても、「なでなでモード」と時刻指定イベントとで懐き度の変更態様を異ならせるよう制御されるものであってよい。
【0051】
一方「はなしをきくモード」では、ユーザがゲーム装置100を携帯してなされた運動入力の履歴に応じたテキスト(会話)が対象キャラクタからのメッセージとして提示され、懐き度が増加する。より詳しくは、ユーザがゲーム装置100を携帯して行った歩行の情報(歩数)がメモリ103に蓄積され、例えば「はなしをきくモード」に移行時に歩数がメッセージ提示に係る条件を満たす場合に、メッセージの提示及び懐き度を上昇させる処理がなされる。ここで、メッセージ提示に係る条件を満たすか否かは、累計歩数ではなく、その日に検出された歩数等、特定の期間の歩数履歴に基づいて判断されるものであってよい。またメッセージ提示に係る条件を満たさない場合には、懐き度を変更せず、「はなしをきくモード」を終了する(コミュニケーションモードを終了して通常モードに移行する)よう表示制御がなされればよい。
【0052】
なお、本実施形態では発明の理解を容易にならしめるべく、「はなしをきくモード」について非選択操作入力(運動入力)に係るメッセージのみが提示されるものとして説明するが、本発明の実施はこれに限られるものではない。即ち、ユーザの対象キャラクタに対する愛着を増進させるとの観点では、「はなしをきくモード」において、例えば対象キャラクタからユーザの趣向に関する質問メッセージが提示される、質問に対する回答に関連したメッセージが提示される、あるいは、これまでになされた育成行動や懐き度に応じたメッセージが提示される等、非選択操作入力に基づかないメッセージの提示がなされるものであってもよい。
【0053】
また、本実施形態ではユーザと対象キャラクタとのコミュニケーションに重きを置いて、「はなしをきくモード」に移行した場合に運動入力の履歴に基づいた懐き度の変更がなされるものとして説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。即ち、ユーザに対して懐き度上昇を明示的に示す(フィードバックを行う)ために、「はなしをきくモード」に移行するまで運動入力に基づく懐き度変更は行わないものとする必要はなく、運動入力の履歴が特定の条件を満たした場合に、フィードバックを行うことなく懐き度を変更する態様としてもよい。
【0054】
また、本実施形態では対象キャラクタとの自然なコミュニケーションを演出する目的で、コミュニケーションモードにおいて、1段階目で音声入力に係る非選択操作入力を受け付け、2段階目でタッチ入力または運動入力に係る非選択操作入力、即ち、1段階目と異なる種類の非選択操作入力を受け付けるものとして説明するが、本発明の実施はこれに限られるものではない。つまり、コミュニケーションモードの複数の段階で受け付ける非選択操作入力の種類は当該態様に限定されるものではないし、後段で受け付ける非選択操作入力が前段で受け付けられた非選択操作入力と異なる種類である必要はない。またこのように複数の段階の非選択操作入力を受け付けて懐き度を変更するのではなく、コミュニケーションモードに移行後になされた非選択操作入力(1段階)に応じて直接的に懐き度を変更する態様であってもよい。
【0055】
このように、本実施形態の育成ゲームでは、対象キャラクタのユーザに対する懐き度が、育成に係る選択項目の選択を伴う選択操作入力と選択項目の選択を伴わない非選択操作入力の2種類の操作入力に応じて増減する。ここで、これらの操作入力は、ユーザの対象キャラクタへの愛着が深まりやすくすべく、選択項目の選択を伴うか否かに限らず、以下の点で育成ゲーム上の取り扱いに差が設けられるものであってよい。
【0056】
1つの観点では、選択操作入力については、対象キャラクタの状態に対する好適な育成行動を含んだ選択項目が提示さる一方で、非選択操作入力については、懐き度を増加させる入力をユーザが把握することが難しくなり得るため、各種類の非選択操作入力に起因して生じる懐き度の変化は、対象キャラクタの成長状態に依らず一定であるものとしてもよい。またこの場合、興趣性を増加させるべく、選択操作入力に起因して生じる懐き度の変化は、対象キャラクタの成長状態がいずれであるかに応じて、その趣向(対象キャラクタの好み)に応じて異ならせる(例えば、成長状態AとBとで、アクセサリCを供与したときの懐き度の変化が異なる等)よう制御してもよい。
【0057】
また別の観点では、コミュニケーションモードのような操作入力に対する対象キャラクタの反応が直接的である方が、ユーザが対象キャラクタへの愛着を抱きやすいため、非選択操作入力による懐き度の変更機会、即ち、コミュニケーションモードへの移行機会は育成ゲームの過程において回数に制限なく設けられるようにし、選択操作入力による懐き度の変更機会については、所有しているアイテムの数、購入可能なアイテムの数、お世話イベントの発生頻度等により、回数に制限を設けるよう構成してもよい。つまり、本実施形態の育成ゲームは、育成に係る選択操作入力には受け付け可能な回数の設定があるが、育成に係る非選択操作入力には受け付け可能な回数の設定がなく構成される。これにより、懐き度を増加させるべく、ユーザが積極的に非選択操作入力に係る育成行動を行うよう導くことができる。また、非選択操作入力により懐き度の上昇機会が確保しやすくなるため、対象キャラクタを所望の懐き度に育成しやすくなる。
【0058】
ところで、懐き度はユーザの対象キャラクタに対する愛着度やお世話をしているかの指標を示す側面を有するものであるため、例えば懐き度が低い状態が継続している状況では、ユーザにそれを知らしめ、育成ゲームの興趣性を体感しやすいゲームプレイに促すことが好ましい。例えば、ごはん等の最低限の操作はするが、コミュニケーションモードの利用やその他のお世話を行わないゲームプレイでも問題なく進行可能とすると、ユーザの対象キャラクタに対する愛着は生まれにくく、育成ゲームの興趣性も提供できない可能性がある。このため、本実施形態の育成ゲームでは、懐き度が閾値(-20等)を下回る状態が所定時間(72時間等)継続した場合には、対象キャラクタが自らゲーム装置100からいなくなる(家出する:育成不能になり、対象キャラクタに係る育成ゲームが終了する)準備をする演出(家出準備)の提示を開始する。このとき、家出準備から実際に家出した状態とするまでには1時間程度の猶予をもたせ、ユーザが、当該演出に対して家出を引き留める操作入力を行うことで家出準備を中止させることが可能に構成される。即ち、家出準備の演出の提示により、ユーザの注意をひき、かつ、育成ゲームの進行に対する危機感を抱かせた上で、当該状態を解除する機会を提供することで、ユーザの対象キャラクタに対する向き合い方を異ならせ、育成ゲームの興趣性を体感しやすいゲームプレイに誘導することができる。
【0059】
なお、家出準備の演出の際にコミュニケーションモード等の非選択操作入力を入力可能とすることは、対象キャラクタの行動との整合性が担保されない可能性があるため、家出準備演出の発生条件が満たされた場合には、引き留めるための選択操作入力以外は受け付け不可能に制御されるものとする。即ち、非選択操作入力は受け付け不可能に制御される。ここで、育成に係る非選択操作入力は、育成ゲームの過程において受け付け可能な回数に制限が設けられないものとして上述したが、対象キャラクタが家出準備や家出の状態にある場合には当該条件には該当しないことは言うまでもない。換言すれば、本実施形態の育成ゲームは、対象キャラクタが家出準備及び家出の状態ではない通常の状態にある場合には、育成に係る非選択操作入力を回数に制限なく受け付け可能である。
【0060】
このようにして決定された懐き度を用いて、本実施形態の育成ゲームでは、各育成段階の変更条件が満たされた場合に、変更後の育成段階に係る対象キャラクタの成長状態の決定がなされる。より詳しくは、変更後の育成段階について分岐可能に設けられている複数種類の成長状態のそれぞれには、当該成長状態に成長させるために必要な懐き度の範囲が定められており、管理部105は、変更条件が満たされた時点での懐き度がいずれの範囲に含まれるかに応じて、変更後の成長状態を決定する。また対象キャラクタの育成に係る興趣性を増大させるべく、例えば最終の育成段階である成年期等の所定の段階以降の育成段階については、管理部105は、懐き度に限らず、お世話イベントの成功回数や供与したアイテムの種類等の育成行動の履歴にさらに基づいて、変更後の成長状態を決定するものとしてもよい。
【0061】
また特に対象キャラクタに対して愛着をもってゲームプレイを行っているユーザに対して、さらなる興趣要素を提示すべく、育成ゲームは、懐き度が最高状態に至った場合にのみ提示される特定演出を含むものであってもよい。当該特定演出の提示判断は、各育成段階においてなされるものであってもよく、懐き度が最高状態の状態を継続しながら複数の育成段階を経た場合には、各育成段階について特定演出の提示がなされるものであってよい。特定演出は、例えばバッジやアイコン等の育成ゲームにおける所定アイテムを付与するものであってもよく、収集要素とすることで、繰り返しのゲームプレイの際の達成目標とさせることができ、ユーザをより興趣性の高いゲームプレイに誘引することができる。ここで、本実施形態の育成ゲームは、例えば結婚や出産等で入手した卵を使用して順次新たなキャラクタを育成可能に構成されており、順次対象キャラクタにすることが可能なキャラクタは複数種類設けられているものとする(育成対象のキャラクタを異ならせながら、繰り返しのゲームプレイが可能に構成されている)。従って、所定アイテムの付与については、育成したキャラクタの種類それぞれについて異なるものが提供されるよう設けられるものであってよい。
【0062】
《懐き度変更処理》
このような構成をもつ本実施形態のゲーム装置100において懐き度の変更に係り実行される懐き度変更処理について、図6のフローチャートを用いて具体的な処理を説明する。該フローチャートに対応する処理は、制御部101が、例えば記録媒体102に記憶されている対応する処理プログラムを読み出し、メモリ103に展開して実行することにより実現することができる。なお、本懐き度変更処理は、例えば懐き度の変更に関与するものとして定められた処理(育成行動に係る選択項目の表示処理、コミュニケーションモードへの移行処理、及び時刻指定イベントの発生処理)が実行された際に開始されるものとして説明する。
【0063】
S601で、制御部101は、本懐き度変更処理がいずれの処理に起因して実行されたかを判断する。制御部101は、育成行動に係る選択項目の表示処理に基づいて開始されたと判断した場合は処理をS602に移し、コミュニケーションモードへの移行処理に基づいて開始されたと判断した場合は処理をS604に移し、時刻指定イベントの発生処理に基づいて開始されたと判断した場合は処理をS612に移す。
【0064】
S602で、制御部101は、1つの選択項目に対する選択操作入力がなされたか否かを判断する。制御部101は、1つの選択項目に対する選択操作入力がなされたと判断した場合は処理をS603に移し、されていないと判断した場合は本ステップの処理を繰り返す。なお、選択項目の選択がなされないまま所定のタイムアウト時間が経過した場合には、制御部101は本懐き度変更処理を完了する。このとき、開始の原因である育成行動に係る選択項目の表示処理が、例えばお世話イベントに起因する等、ユーザの操作入力(選択項目の選択)を要するイベントについて実行されたものである場合には、お世話失敗に係る懐き度の減少が行われるものであってもよい。
【0065】
S603は、管理部105は制御部101の制御の下、S602において選択された選択項目に応じて、対象キャラクタの懐き度を変更し、本懐き度変更処理を完了する。懐き度の変更は、例えば選択操作入力により好適な選択項目が選択された場合に、懐き度を所定値上昇させるものであってよい。あるいは、例えば選択操作入力により好適ではない選択項目が選択された場合に、懐き度を所定値減少させるものであってもよい。上述したように、選択された選択項目が好適であるか否かは、対象キャラクタの状況だけでなく、該対象キャラクタの趣向等、対応する性格情報704を加味して総合的に行われるものであってよい。
【0066】
一方、S601においてコミュニケーションモードへの移行処理に基づいて開始されたと判断した場合、制御部101はS604で、非選択操作入力の受け付けが1段階目であるか否かを判断する。制御部101は、非選択操作入力の受け付けが1段階目であると判断した場合は処理をS605に移し、2段階目以降であると判断した場合は処理をS606に移す。
【0067】
S605で、制御部101は、音声入力に係る非選択操作入力がなされたか否かを判断する。制御部101は、音声入力に係る非選択操作入力がなされたと判断した場合は1段階目の非選択操作入力の受け付けを終了して処理をS604に戻し、なされていないと判断した場合は本ステップの処理を繰り返す。なお、非選択操作入力がなされないまま所定のタイムアウト時間が経過した場合には、管理部105は懐き度を減少させて本懐き度変更処理を完了するものとする。
【0068】
S606で、制御部101は、2段階目に係るコミュニケーション方法が「なでなでモード」であるか否かを判断する。制御部101は、2段階目に係るコミュニケーション方法が「なでなでモード」であると判断した場合は処理をS607に移し、「はなしをきくモード」であると判断した場合は処理をS610に移す。
【0069】
S607で、制御部101は、「なでなでモード」について予め定められた種類の非選択操作入力がなされたか否かを判断する。制御部101は、予め定められた種類の非選択操作入力がなされたと判断した場合は処理をS608に移し、なされていないと判断した場合は処理をS609に移す。
【0070】
S608で、管理部105は制御部101の制御の下、S607においてなされた非選択操作入力の種類に応じて、対象キャラクタの懐き度を変更する。懐き度の変更は、各種類について定められた懐き度の変更態様に基づいて行われる。
【0071】
S609で、制御部101は、コミュニケーションモードが終了したか否かを判断する。コミュニケーションモードの終了は、例えば操作部材134への操作入力がなされたことに応じて行われるものであってよい。制御部101は、コミュニケーションモードが終了したと判断した場合は本懐き度変更処理を完了し、終了していないと判断した場合は処理をS607に戻す。
【0072】
一方、S606において2段階目に係るコミュニケーション方法が「はなしをきくモード」であると判断した場合、制御部101はS610で、運動入力の履歴のうちの計数対象の歩数がメッセージ提示に係る条件を満たすか否かを判断する。制御部101は、歩数がメッセージ提示に係る条件を満たすと判断した場合は処理をS611に移し、満たさないと判断した場合は本懐き度変更処理を完了する。
【0073】
S611で、管理部105は制御部101の制御の下、計数対象の歩数に応じて対象キャラクタの懐き度を変更し、本懐き度変更処理を完了する。懐き度の変更は、例えば選択操作入力により好適な選択項目が選択された場合に、懐き度を所定値上昇させるものであってよい。また本懐き度変更処理では詳細な処理の説明を省略するが、このとき、計数対数の歩数に応じたメッセージを提示するよう、対象キャラクタの表示制御がなされる。
【0074】
一方、S601において時刻指定イベントの発生処理に基づいて開始されたと判断した場合、制御部101はS612で、所定の期間に当該イベントについて好適と定められた種類の非選択操作入力がなされたか否かを判断する。制御部101は、所定の期間に時刻指定イベントについて好適と定められた種類の非選択操作入力がなされたと判断した場合は処理をS613に移し、なされていないと判断した場合は本懐き度変更処理を完了する。
【0075】
S613で、制御部101は、S612においてなされた非選択操作入力に基づいて時刻指定イベントの終了条件(例えば入眠、起床)が満たされるか否かを判断する。本ステップの判断は、例えば実行された抽選処理の結果に基づいて行われるものであってよい。制御部101は、時刻指定イベントの終了条件が満たされると判断した場合は処理をS614に移し、満たされないと判断した場合は処理をS612に戻す。
【0076】
S614で、管理部105は制御部101の制御の下、時刻指定イベントの達成に基づいて対象キャラクタの懐き度を変更し、本懐き度変更処理を完了する。懐き度の変更は、所定値上昇させるものであってよい。
【0077】
以上説明したように、本実施形態のゲーム装置によれば、直感的な操作入力でのキャラクタの育成を可能ならしめる育成ゲームを実行することができる。
【0078】
なお、本実施形態では、懐き度変更処理が、選択操作入力または非選択操作入力が要求されるような処理に起因して開始されるものとして説明したが、懐き度の変更態様はこれに限られるものではないことは言うまでもない。即ち、育成ゲームの時間経過に応じて変更が生じる要素(環境や空腹)等に応じて、ユーザの操作入力を要件としないタイミングで懐き度の変更がなされるものであってもよい。つまり、図6に係る懐き度変更処理における懐き度の変更は、育成に係る操作入力を要件とするものに限定した態様であり、これ以外の変更態様を含むものであってよい。
【0079】
また本実施形態では「懐き度」というパラメータを導入し、育成段階の変更条件が満たされた場合の変更先の成長状態を当該懐き度に基づいて決定する態様について説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。即ち、本発明の実施は、第1の育成段階から第2の育成段階への変更条件が満たされた場合に、対象キャラクタの第2の育成段階に係る分岐先の成長状態のうちから、当該変更条件が満たされるまでになされた育成に係る操作入力に応じた1つの成長状態を決定するものであればよく、操作入力の履歴に基づいて変更される特定のパラメータを管理せずとも可能である。
【0080】
[その他の実施形態]
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形・変更が可能である。また本発明に係るゲーム装置は、1以上のコンピュータを該ゲーム装置として機能させるプログラムによっても実現可能である。該プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されることにより、あるいは電気通信回線を通じて、提供/配布することができる。
【符号の説明】
【0081】
100:ゲーム装置、101:制御部、102:記録媒体、103:メモリ、104:要素DB、105:管理部、106:提示制御部、107:操作入力部、108:通信部、110:表示部、120:音声出力部、131:タッチパネルセンサ、132:音声入力部、133:運動センサ、134:操作部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7