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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022192013
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】ドロス削減システム及びその方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 12/50 20210101AFI20221221BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20221221BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20221221BHJP
   B22F 10/22 20210101ALI20221221BHJP
【FI】
B22F12/50
B33Y10/00
B33Y30/00
B22F10/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083230
(22)【出願日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】17/348,908
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】シーミット・プラハラジ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・エム.・ルフェーヴル
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・ケイ.・ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】チュウ-ホン・リウ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・エー.・ヴァンクーウェンバーグ
(72)【発明者】
【氏名】リン・シー.・フーバー
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018AA14
4K018BA08
4K018BA20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プリンタのためのドロス削減システム、およびプリンタ内のドロスを削減する方法を提供する。
【解決手段】ドロス削減システムは、プリントヘッドエジェクタ104と、内部空洞132を有する、プリントヘッドエジェクタと連通するポンプと、内部空洞に結合された第1の入口120と、プリントヘッドエジェクタの外部の印刷材料の供給部116と、エジェクタ内の印刷材料を加熱するように構成された加熱要素112と、プリントヘッドエジェクタの外部の吸収性材料の供給部とを含む。金属噴射プリンタ内のドロスを削減する方法は、プリンタの動作を一時停止することと、ノズルポンプリザーバ内の溶融プール内に吸収性材料を前進させることであって、溶融プールは金属印刷材料を含み得る、前進させることと、金属印刷材料からドロスを吸収することと、ドロスを含む吸収性材料を除去することと、金属噴射プリンタの動作を再開することと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタのためのドロス削減システムであって、
プリントヘッドエジェクタと、
内部空洞を有する、前記プリントヘッドエジェクタと連通するポンプと、
前記内部空洞に結合された第1の入口と、
前記プリントヘッドエジェクタの外部の印刷材料の供給部と、
前記エジェクタ内の前記印刷材料を加熱するように構成された加熱要素であって、前記加熱により、前記印刷材料が前記エジェクタ内で固体状態から液体状態へと変化させられる、加熱要素と、
前記プリントヘッドエジェクタの外部の吸収性材料の供給部と、を含む、ドロス削減システム。
【請求項2】
前記吸収性材料が、連続フィラメントを更に含む、請求項1に記載のドロス削減システム。
【請求項3】
前記吸収性材料が、1000℃を超える温度で熱的に安定である、請求項1に記載のドロス削減システム。
【請求項4】
前記吸収性材料が、前記印刷材料と接触して不活性である、請求項1に記載のドロス削減システム。
【請求項5】
前記吸収性材料が、アルカリアースシリケートウールを含む、請求項1に記載のドロス削減システム。
【請求項6】
前記吸収性材料が、アルミノシリケートウールを含む、請求項1に記載のドロス削減システム。
【請求項7】
前記吸収性材料が、多結晶ウールを含む、請求項1に記載のドロス削減システム。
【請求項8】
前記吸収性材料が、前記第1の入口を介して前記内部空洞内に導入される、請求項1に記載のドロス削減システム。
【請求項9】
前記内部空洞に結合された第2の入口を更に備える、請求項1に記載のドロス削減システム。
【請求項10】
前記吸収性材料が、前記第2の入口を介して前記内部空洞内に導入される、請求項9に記載のドロス削減システム。
【請求項11】
前記吸収性材料の供給部が、スプールを更に含む、請求項1に記載のドロス削減システム。
【請求項12】
金属噴射プリンタ内のドロスを削減する方法であって、
(a)前記金属噴射プリンタの動作を一時停止することと、
(b)吸収性材料をノズルポンプリザーバ内の溶融プール内に前進させることであって、前記溶融プールが、金属印刷材料を含む、前進させることと、
(c)前記金属印刷材料からドロスを吸収することと、
(d)前記ポンプリザーバから前記ドロスを含む前記吸収性材料を除去することと、
(e)前記金属噴射プリンタの前記動作を再開することと、を含む、金属噴射プリンタ内のドロスを削減する方法。
【請求項13】
前記吸収性材料が、連続フィラメントを更に含む、請求項12に記載の金属噴射プリンタ内のドロスを削減する方法。
【請求項14】
前記吸収性材料が、鉱物ウールを更に含む、請求項12に記載の金属噴射プリンタ内のドロスを削減する方法。
【請求項15】
前記ドロスが、ケイ酸塩又は酸化物を含む、請求項12に記載の金属噴射プリンタ内のドロスを削減する方法。
【請求項16】
前記ポンプリザーバから前記吸収性材料を前記除去するステップの後に、前記ドロスを含む前記吸収性材料を廃棄することを更に含む、請求項12に記載の金属噴射プリンタ内のドロスを削減する方法。
【請求項17】
前記吸収性材料を前記ポンプリザーバ内に前記前進させるステップの前に、前記吸収性材料を導入する前に、印刷材料のワイヤフィードを除去することを更に含む、請求項12に記載の金属噴射プリンタ内のドロスを削減する方法。
【請求項18】
前記ポンプリザーバから前記吸収性材料を前記除去するステップの後に、前記吸収性材料から前記ドロスを抽出することを更に含む、請求項12に記載の金属噴射プリンタ内のドロスを削減する方法。
【請求項19】
前記ポンプリザーバから前記吸収性材料を前記除去するステップの後に、前記吸収性材料を再使用することを更に含む、請求項18に記載の金属噴射プリンタ内のドロスを削減する方法。
【請求項20】
ステップ(a)~(e)を繰り返すことを更に含む、請求項12に記載の金属噴射プリンタ内のドロスを削減する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示は、概して、ドロップオンデマンド(drop-on-demand、DOD)印刷に関し、より具体的には、DODプリンタ内で使用するためのドロス削減システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドロップオンデマンド(DOD)又は三次元(three-dimensional、3D)プリンタは、通常、層上に材料層を連続的に堆積させることによって、コンピュータ支援設計(computer-aided design、CAD)モデルから3D物体を構築(例えば、印刷)する。ドロップドロップオンデマンド(DOD)、特に金属又は金属合金を印刷するものは、発射パルスが印加されたときに、液体アルミニウム合金の小さな液滴を排出する。この技術を使用して、互いに結合して連続部品を形成する一連の液滴を排出することによって、3D部品をアルミニウム又は別の合金から作製することができる。例えば、第1の層が基材上に堆積され得、次いで、第2の層が第1の層上に堆積され得る。3Dプリンタの1つの特定のタイプは、層上に液体金属層を噴射して3D金属物体を形成するのに好適な磁気流体力学(magnetohydrodynamic、MHD)プリンタである。磁気流体力学とは、導電性流体の磁気的特性及び挙動の研究を指す。
【0003】
MHD印刷では、液体金属が、3Dプリンタのノズルを通して基材上に、又は以前に堆積された金属の層上に噴射される。そのようなプリンタに使用されるプリントヘッドは、単一ノズルヘッドであり、定期的な交換を必要とし得るヘッド内のいくつかの内部構成要素を含む。場合によっては、ノズル交換の典型的な期間は、8時間間隔であり得る。液体金属印刷プロセス中、アルミニウム及び合金、特にマグネシウム含有合金は、ポンプの内部における溶融プロセス中に酸化物及びケイ酸塩を形成する可能性がある。これらの酸化物及びケイ酸塩は、一般に、ドロスと称される。ドロスの蓄積は、ポンプスループットの関数であり、印刷プロセス中に連続的に蓄積される。アルミニウム及びマグネシウムの酸化物及びケイ酸塩の組み合わせから構成されることに加えて、ドロスはまた、気泡も含み得る。結果として、ドロスの密度は、液体金属印刷材料の密度よりも低くなり得、溶融プールの上部に蓄積し、最終的に印刷中に問題を引き起こす。加えて、ドロス蓄積は、ポンプの溶融金属レベルを測定する内部レベル感知の能力に影響を与える。これにより、印刷中にポンプが誤って空になり、それによって、部品が台なしになる場合がある。ドロスプラグもまた、ポンプ内で成長し得、ポンプダイナミクスに問題を引き起こし、その結果、印刷中のサテライト液滴の形成などの、不十分な噴射の質及び追加の印刷欠陥をもたらす。ドロスは潜在的にバラバラになり、この酸化物の塊がノズルに落ち、ノズルの詰まりをもたらす可能性がある。ドロス蓄積から生じる前述の障害のすべてが壊滅的であり、プリンタのシャットダウンにつながり、ドロスプラグのクリアリング又は除去、プリントノズルの交換、及び起動手順の再開が必要となる。
【0004】
したがって、金属ジェット印刷ドロップオンデマンド又は3Dプリンタにおけるドロスの低減のための方法及び装置が、ドロス蓄積に関連付けられた欠陥又は不利な点から中断することなく、より長い印刷時間及びより高いスループットを提供するために必要である。
【発明の概要】
【0005】
以下は、本教示の1つ以上の実施形態のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、簡略化された概要を提示する。この概要は、広範な概略ではなく、本教示の主要又は重要な要素を特定することも、本開示の範囲を明示することも意図していない。むしろ、その主な目的は、単に、後に提示される詳細な説明の前置きとして、1つ以上の概念を簡略化された形式で提示するだけである。
【0006】
プリンタのためのドロス削減システムが開示される。ドロス削減システムは、プリントヘッドエジェクタを含む。ドロス削減システムはまた、内部空洞を有する、プリントヘッドエジェクタと連通するポンプを含む。ドロス削減システムはまた、内部空洞に結合された第1の入口を含む。ドロス削減システムはまた、プリントヘッドエジェクタの外部の印刷材料の供給部を含む。ドロス削減システムはまた、エジェクタ内の印刷材料を加熱するように構成された加熱要素であって、加熱により、印刷材料がエジェクタ内で固体状態から液体状態へと変化させられる、加熱要素を含む。ドロス削減システムはまた、プリントヘッドエジェクタの外部の吸収性材料の供給部を含む。
【0007】
ドロス削減システムの代替的実装形態は、吸収性材料が、連続フィラメントを更に含み得る場所を含み得る。吸収性材料は、1000℃を超える温度で熱的に安定であり得る。吸収性材料は、印刷材料と接触して不活性であり得る。吸収性材料は、アルカリアースシリケートウールであり得る。吸収性材料は、アルミノシリケートウールを含み得る。吸収性材料は、多結晶ウールを含み得る。吸収性材料は、第1の入口を介して内部空洞内に導入され得る。ドロス削減システムは、内部空洞に結合された第2の入口を含み得る。吸収性材料は、第2の入口を介して内部空洞内に導入され得る。吸収性材料の供給部は、スプールを更に含み得る。
【0008】
金属噴射プリンタ内のドロスを削減する方法も開示されている。ドロスを削減する方法はまた、金属噴射プリンタの動作を一時停止することと、吸収性材料をノズルポンプリザーバ内の溶融プール内に前進させることと、を含み、溶融プールは、金属印刷材料を含み得る。金属噴射プリンタ内のドロスを削減する方法はまた、金属印刷材料からドロスを吸収することと、ポンプリザーバからドロスを含む吸収性材料を除去することと、金属噴射プリンタの動作を再開することと、を含み得る。
【0009】
金属噴射プリンタ内のドロスを削減する方法はまた、連続フィラメントを含む吸収性材料を含み得る。吸収性材料は、鉱物ウールを更に含み得る。ドロスは、ケイ酸塩又は酸化物を含み得る。金属噴射プリンタ内のドロスを削減する方法は、ポンプリザーバから吸収性材料を除去するステップの後に、ドロスを含む吸収性材料を廃棄することを含み得る。金属噴射プリンタ内のドロスを削減する方法は、吸収性材料をポンプリザーバ内に前進させるステップの前に、吸収性材料を導入する前に、印刷材料のワイヤフィードを除去することを含み得る。金属噴射プリンタ内のドロスを削減する方法は、吸収性材料をポンプリザーバから除去するステップの後に、吸収性材料からドロスを抽出することを含み得る。金属噴射プリンタ内のドロスを削減する方法は、吸収性材料をポンプリザーバから除去するステップの後に、吸収性材料を再使用することを含み得る。金属噴射プリンタ内のドロスを削減する方法は、方法の前述のステップを繰り返すことを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書の一部に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本教示の実施形態を示し、本明細書とともに本開示の原理を説明する役割を果たす。図は以下のとおりである。
【0011】
図1】一実施形態による、3Dプリンタ(例えば、MHDプリンタ及び/又はマルチジェットプリンタ)の単一液体エジェクタジェットの概略断面図を図示する。
【0012】
図2】一実施形態による、ドロスで汚染された液体エジェクタジェットの側断面図である。
【0013】
図3A】一実施形態による、ドロス削減システムの動作ステップを示す、ドロス削減システムを有する単一液体エジェクタジェットの一連の側断面図である。
図3B】一実施形態による、ドロス削減システムの動作ステップを示す、ドロス削減システムを有する単一液体エジェクタジェットの一連の側断面図である。
図3C】一実施形態による、ドロス削減システムの動作ステップを示す、ドロス削減システムを有する単一液体エジェクタジェットの一連の側断面図である。
図3D】一実施形態による、ドロス削減システムの動作ステップを示す、ドロス削減システムを有する単一液体エジェクタジェットの一連の側断面図である。
図3E】一実施形態による、ドロス削減システムの動作ステップを示す、ドロス削減システムを有する単一液体エジェクタジェットの一連の側断面図である。
図3F】一実施形態による、ドロス削減システムの動作ステップを示す、ドロス削減システムを有する単一液体エジェクタジェットの一連の側断面図である。
【0014】
図4】一実施形態による、金属噴射プリンタ内のドロスを削減する方法を示すフロー図である。
【0015】
図のいくつかの詳細は簡略化されており、厳密な構造精度、詳細、及び縮尺は維持されるものではなく、本教示の理解を容易にするように描かれていることに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで、本教示の例示の実施形態を詳細に参照し、この実施例を添付図面に示す。可能な限り、同じ参照番号が、同じ、類似、又は同様の部分を指すように図面全体にわたって使用される。
【0017】
ドロップオンデマンド(DOD)又は三次元(3D)では、発射パルスが印加されたときに、液体アルミニウム又は他の金属若しくは金属合金の小滴が排出される。この印刷技術を使用して、互いに結合して連続部品を形成する一連の液滴を排出することによって、3D部品をアルミニウム又は別の合金から作製することができる。典型的な印刷動作中、生の印刷材料ワイヤフィードは、アルミニウムワイヤの連続ロールを使用して、エジェクタ内のポンプに補充することができる。ワイヤ印刷材料は、標準溶接ワイヤフィード機器又は粉末供給システムなどの他の導入手段を使用してポンプに供給され得る。印刷が起こり、新しい材料がポンプに供給されると、ドロスとして知られる汚染物質がエジェクタの上部ポンプの上部に蓄積し得る。このドロスの蓄積は、ポンプ及びエジェクタを通る印刷材料の総スループットの関数である。ドロス汚染がポンプ及び/又はエジェクタ内に蓄積すると、最終的に、劣化した噴射性能、ノズル又は機械の汚染、レベルセンサ故障、追加のプリンタの保守、シャットダウン、若しくは汚染関連の壊滅的な障害などの欠陥をもたらす。同様のエジェクタ及びプリンタシステムにおけるドロス蓄積に対抗するためのシステムが存在するが、それらはかなり複雑であり、複数のオペレータを伴う手動操作を必要とする。
【0018】
本明細書に開示されるのは、鉱物ウールなどの高温安定吸収性材料の使用を含むシステム及び方法であり、これは、3D印刷システム内のエジェクタ又はポンプ内の溶融プールの上部からドロスを定期的に吸収し、結果として除去するために使用される。本開示の目的のために、吸収性材料は、主に、溶融鉱物又は他の岩石材料を繊維又は連続繊維フィラメントに紡糸又は引き込むことから作製された任意の繊維質材料を指し得る。高温吸収性材料又はより具体的には鉱物ウールの例示的な例は、最大1000℃まで安定であり得、印刷材料に応じて、典型的にはおよそ800℃以上である溶融金属噴射に必要な上部ポンプの温度に耐え、かつ適応することができる。
【0019】
ドロスの吸収及び除去は、部品の構築中にエジェクタの内部又はエジェクタシステムの外部にドロス削減システムを組み込むことによって、その場で又はエジェクタ内で定期的に行われ得る。特定の実施形態では、プリンタは、ドロス除去動作又は手順を行うために断続的に一時停止され得る。ドロス除去動作が完了すると、ポンプが再補充され得、印刷動作、したがって部品構築が再開される。特定の実施形態では、吸収性材料は、専用入口を介してエジェクタポンプに下降又は導入され得る。他の実施形態では、吸収性材料は、アルミニウムワイヤ又は他の印刷材料を供給するために現在使用されているように、同じ入口を介してエジェクタポンプに降下又は導入され得る。
【0020】
エジェクタポンプに導入されると、吸収性材料は、蓄積されたドロスと同様の様態で印刷材料の溶融プールの上部に浮遊し、それによって、印刷材料の溶融プールからのドロスを吸収し得る。ドロスが吸収性材料によって吸収されると、ドロス汚染を含む吸収性材料は、それが以前に導入されたのと同じ入口を介してエジェクタポンプから引き込まれ得る。ドロス浸漬吸収性材料又は鉱物ウールは、廃棄され、収縮を介して圧縮されるか、又は収集されたドロスを抽出及び除去するためにプレスされ得る。エジェクタポンプから除去後の吸収性材料からのドロスの抽出及び除去は、吸収性材料の再利用を可能にし得る。ドロス汚染物質が除去されると、印刷材料がエジェクタポンプに再導入され得、プリンタの動作が再開され得る。
【0021】
図1は、一実施形態による、3Dプリンタ(例えば、MHDプリンタ及び/又はマルチジェットプリンタ)の単一液体エジェクタジェットの概略断面図を図示する。図1は、あるタイプのドロップオンデマンド(DOD)又は三次元(3D)プリンタ100の一部分を示す。3Dプリンタ又は液体エジェクタジェットシステム100は、下部ブロックとも呼ばれる、外部エジェクタハウジング102内にエジェクタ(本体又はポンプチャンバ、若しくは「ワンピース」ポンプとも呼ばれる)104、を含み得る。エジェクタ104は、内容積部132(内部空洞とも呼ばれる)を画定し得る。印刷材料126は、エジェクタ104の内部容積132内に導入され得る。印刷材料126は、金属、ポリマーなどであってもよく、又はこれらを含んでもよい。例えば、印刷材料126は、アルミニウム又はアルミニウム合金であり得るか、又はそれを含み得、印刷材料供給部116又は印刷材料ワイヤフィード118のスプール、この場合はアルミニウムワイヤを介して導入され得る。液体エジェクタジェットシステム100は、エジェクタ104のポンプキャップ又は上部カバー部分108内に第1の入口120を更に含み、それによって、印刷材料ワイヤフィード118がエジェクタ104の内部容積132に導入される。エジェクタ104は、ノズル110、上部ポンプ122エリア、及び下部ポンプ124エリアを更に画定する。1つ以上の加熱要素112が、ポンプ室104の周りに分配されて、高温度源を提供し、プリンタ動作中に印刷材料126を溶融状態に維持する。加熱要素112は、印刷材料ワイヤフィード118を加熱又は溶融させるように構成されており、それによって、エジェクタ104の内容積部132内で印刷材料ワイヤフィード118を固体状態から液体状態(例えば、印刷材料126)に変える。三次元3Dプリンタ100及びエジェクタ104は、ノズル110の近くに位置する空気又はアルゴンシールド114、及びノズル及び/又はエジェクタ104の温度調節を更に可能にするための水冷却源130を更に含み得る。液体エジェクタジェットシステム100は、エジェクタ104内部の印刷材料126の表面に向かって検出器ビーム136を方向付け、反射検出器ビーム136をレベルセンサ134の内部で読み取ることによって、エジェクタ104の内部容積132内の溶融印刷材料126のレベルを検出するように構成されたレベルセンサ134システムを更に含む。
【0022】
3Dプリンタ100はまた、本明細書に示されていない電源、及び少なくとも部分的にエジェクタ104の周囲に巻き付けられているポンプヒータに封入された1つ以上の金属コイル106を含み得る。電源は、コイル106に結合され、コイル106に電流を提供するように構成され得る。コイル106によって引き起こされた増加する磁場が、エジェクタ104内に起電力を生じさせ得、引いては印刷材料126内に誘導電流を生じさせ得る。印刷材料126内の磁場及び誘導電流は、ローレンツ力として知られる、半径方向内向きの力を印刷材料126に作製し得る。ローレンツ力は、エジェクタ104のノズル110の入口に圧力を作製する。この圧力は、印刷材料126を1つ以上の液滴128の形態でノズル110を通して噴射させる。
【0023】
3Dプリンタ100はまた、ノズル110に近接して(例えば、下方に)位置付けられた、本明細書に示されていない基材を含み得る。排出された液滴128は、基材上に着地し、固化して3D物体を生成し得る。3Dプリンタ100はまた、液滴128がノズル110を通して噴射されている間、又は液滴128がノズル110を通して噴射されているときの間の一時停止中に基材を移動させて、3D物体が所望の形状及び大きさを有することを引き起こすように構成された基材制御モータを含み得る。基材制御モータは、基材を一次元(例えば、X軸に沿って)、二次元(例えば、X軸及びY軸に沿って)、又は三次元(例えば、X軸、Y軸、及びZ軸に沿って)で移動するように構成され得る。別の実施形態では、エジェクタ104及び/又はノズル110はまた、若しくはその代わりに、一次元、二次元、又は三次元で移動するように構成され得る。換言すれば、基材は、静止ノズル110の下で移動されてもよく、又はノズル110は、静止基材の上方で移動されてもよい。更に別の実施形態では、4つ又は5つの軸位置制御部が存在するように、ノズル110と基材との間に、1つ又は2つの追加の軸の周囲の相対回転が存在してもよい。特定の実施形態では、ノズル110及び基材の両方が移動してもよい。例えば、基材は、ノズル110がY方向において上方及び/又は下方に移動しながらX方向及びY方向に移動してもよい。
【0024】
3Dプリンタ100はまた、ガス源138であってもよいか、又はこれを含んでもよい1つ以上のガス制御デバイスを含み得る。ガス源138は、ガスを導入するように構成されてもよい。ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、及び/又はキセノンなどの不活性ガスであってもよいか、又はこれらを含んでもよい。別の実施形態では、ガスは、窒素であってもよいか、又は窒素を含んでもよい。ガスは、約10%未満の酸素、約5%未満の酸素、又は約1%未満の酸素を含んでもよい。少なくとも1つの実施形態では、ガスは、ガス源138から三次元3Dプリンタ100に導入される1つ以上のガスの流れ又は流量を調整するように構成されたガス調整器140を含むガスライン142を介して導入され得る。例えば、ガスは、ノズル110及び/又は加熱要素112の上方の場所に導入され得る。これは、ガス(例えば、アルゴン)が、ノズル110、液滴128、3D物体、及び/又は基材の周囲にシュラウド/シースを形成して、空気シールド114の形態で酸化物(例えば、酸化アルミニウム)の形成を低減/防止することを可能にし得る。ガスの温度を制御することはまた、又はその代わりに、酸化物形成が起こる速度を制御する(例えば、最小化する)ことに役立ち得る。
【0025】
液体エジェクタジェットシステム100はまた、内容積部(大気とも呼ばれる)を画定するエンクロージャ102を含み得る。1つの実施形態では、エンクロージャ102は、密封されていてもよい。別の実施形態では、エンクロージャ102は、密封されていなくてもよい。1つの実施形態では、エジェクタ104、加熱要素112、電源、コイル、基材、追加のシステム要素、又はそれらの組み合わせは、少なくとも部分的にエンクロージャ102内に位置付けられ得る。別の実施形態では、エジェクタ104、加熱要素112、電源、コイル、基材、追加のシステム要素、又はそれらの組み合わせは、少なくとも部分的にエンクロージャ102の外側に位置付けられ得る。
【0026】
図2は、一実施形態による、ドロスで汚染された液体エジェクタジェットの側断面図である。エジェクタ200が示され、これは、エジェクタの空洞又は外壁202、上部ポンプエリア204、下部ポンプエリア206、及び出口ノズル208を更に画定する。エジェクタ200の内部空洞202内には、溶融印刷材料212及び印刷材料212内及びその上部に蓄積されたドロス210の概略図が更に示されている。特定の実施形態において、及びどの印刷材料が印刷システムで使用されるかに依存して、ドロス210は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、及びケイ酸塩の組み合わせである。ドロス210はまた、気泡を含み得る。特定の実施形態では、ドロス210は、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、シリコン(Si)、鉄(Fe)の酸化物及びケイ酸塩、又はおそらくナトリウム(Na)、カリウム(K)、硫黄(S)、塩素(Cl)、炭素(C)、若しくはそれらの組み合わせを含有する他の汚染物質などの追加の材料又は汚染物質を含み得る。ドロス210は、典型的には、エジェクタ200内の上部ポンプエリア204の近くに存在する溶融プールの上部に向かって蓄積され、印刷中に問題を引き起こす可能性がある。ドロス210の蓄積は、エジェクタ200内部の溶融金属レベルを測定する前述のレベルセンサの能力に影響を与える可能性がある。レベルセンサシステムの誤った信号は、印刷中にポンプを空にする可能性があり、これは、印刷されている部品を台なしにする結果をもたらし得る。1つ以上のドロス210「プラグ」はまた、ポンプ内で成長する傾向を有し得、これは次に、ポンプダイナミクスで問題を引き起こし得る。ポンプダイナミクスにおける中断又は問題は、不十分な噴射の質及び印刷中のサテライト液滴の形成を更にもたらし得る。サテライト液滴は、主な液滴の噴射中に意図せずに形成され得る主要な液滴の体積の断片のみを伴う液滴を指し得る。例えば、ノズルでの物理的閉塞は、サテライト液滴の形成をもたらす1つの潜在的な原因である。特定の実施形態又は例において、ドロス210はまた、潜在的に破断する可能性があり、この断片化されたドロス又は酸化物の部分は、ノズル208に落下し得、その結果、詰まったノズル208をもたらす。ドロス210の蓄積から生じるいかなる障害も、壊滅的である傾向を有し、これにより、プリンタのシャットダウン、ドロス210プラグをクリア又は除去する必要、プリントノズルの交換、再起動の開始、又はそれらの組み合わせを必要とすることにつながる可能性がある。
【0027】
図3A図3Fは、一実施形態による、ドロス削減システムの動作ステップを示す、ドロス削減システムを備えた単一液体エジェクタジェットの一連の側断面図である。図3Aは、一実施形態による、図1に示すものと同様の、ドロス削減システムを有するプリントヘッドエジェクタ又は単一液体エジェクタジェットの側断面図である。エジェクタ314の外部に示される印刷材料のワイヤフィード304を備えた印刷材料供給部302を有する、ドロス削減システム300を備えた液体エジェクタジェットが示されている。特定の実施形態は、エジェクタ314を含むハウジングの内部に位置する印刷材料供給部302を有し得る。更に、代替の実施形態は、粉末供給システム又は当業者に知られている他の印刷材料導入手段などの印刷材料を導入する他の手段を含み得る。本明細書に記載の実施形態による液体エジェクタを使用して排出することができる例示的な印刷材料はまた、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、黄銅、ネーバル黄銅、及び青銅の合金を含む。銀及びその合金、銅及びその合金、金属合金、ろう付け合金、又はそれらの組み合わせもまた、本明細書の実施形態による液体エジェクタを使用して印刷され得る。
【0028】
ドロス削減システム300を有する液体エジェクタジェットは、吸収性材料の連続フィラメント308を包含するスプールである吸収性材料供給部306を更に含む。特定の実施形態は、エジェクタ314のハウジングの内部に位置する吸収性材料供給部306を有し得る。更に、代替の実施形態は、当業者に知られている手動吸収性材料導入手段などの吸収性材料を導入する他の手段を含み得る。本明細書に記載されるようなそのような高温用途に好適な吸収性材料は、約850℃~約1600℃の温度で熱的に安定である材料を含み、印刷材料と接触して化学的及び物理的に不活性であり、若しくは低密度又は高表面積を有する材料から製造される。好適な吸収性材料としては、異なるタイプの鉱物から製造され得る、鉱物ウォールとして一般的に知られている繊維質材料が挙げられる。ドロス削減システムにおいて吸収性材料として使用され得る例示的な鉱物ウールには、アルカリ土類シリケートウール(AESウール)、アルミノシリケートウール(alumino silicate wool、ASW)、多結晶ウール(polycrystalline wool、PCW)、カオウール、又はそれらの組み合わせが含まれる。AESウールは、他の材料の中でも、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、及び二酸化ケイ素を溶融することによって生成されるアモルファスガラス繊維から作製される。耐火性セラミック繊維(refractory ceramic fiber、RCF)とも称され得るアルミノシリケートウールは、酸化アルミニウム及び二酸化ケイ素を溶融することによって生成される非晶質繊維から作製される。多結晶ウールは、ゾルゲル水性紡糸方法で酸化アルミニウム繊維から作製され、続いて高温で結晶化される。カオウールは、鉱物カオリンから作製される。場合によっては、吸収性材料は、連続的又はセグメント化された繊維が、溶融岩石又は鉱物を高速紡糸ヘッドで紡糸することによって製造される、紡糸プロセスによって作製され、微細で絡み合った繊維をもたらす。いくつかの鉱物ウォールはまた、それらの組成物中にバインダ材料、ポリマー、油、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0029】
図3Aのドロス削減システム300を有するエジェクタジェットはまた、液体エジェクタジェットハウジング320の上部カバーに第1の入口310及び第2の入口312を含む。第1の入口310及び第2の入口312は、それぞれ、印刷材料304及び吸収性材料308の両方に対してエジェクタ空洞314へのアクセスを可能にする。ドロス削減システム300を有するエジェクタジェットは、液体エジェクタジェット300の上部部分318、上部ポンプエリア324、下部ポンプエリア326、及びノズル328と連通しており、更にそれらを確定している。ドロス削減システム300を有するエジェクタジェット内に、ある量の溶融印刷材料316が示されている。図3Bは、エジェクタジェット300のエジェクタ空洞314の内部にドロス330の蓄積を有するドロス削減システム300を有するエジェクタジェットの断面概略図を示す。ドロスの吸収及び除去は、ドロス削減システム300を有するエジェクタジェットを含む印刷システムの部品又は他の動作の構築中にその場で定期的に行われ得る。十分なドロス330の蓄積の時点で、又は所定のサービス間隔中に、プリンタは、ドロス330の除去動作に適応するために断続的に一時停止される。
【0030】
図3Cは、吸収性材料308が、吸収性材料供給部306から第2の入口312を介してエジェクタジェット300内に下降していることを示す。吸収性材料供給部306は、示されるような専用の入口312、又は特定の実施形態では、印刷材料供給部302からアルミニウムワイヤ印刷材料304を供給するために現在使用されているのと同じ第1の入口310によって、のいずれかを使用して、ポンプ内に下降され得る。第1の入口310が、吸収性材料308を導入及び前進させるために使用されている場合、印刷材料304は、吸収性材料308を第1の入口310に導入する前に除去される。吸収性材料308が、図3Dに示されるように上部ポンプエリア324内に下降すると、吸収性材料308は、蓄積されたドロス330と同様に溶融印刷材料316の溶融プールの上部に浮遊し、それによって、ドロス330を吸収する。
【0031】
図3Eは、ドロス330を示すドロス削減のステップを示し、ここで、ドロスを含む吸収性材料332として吸収性材料308内に吸収され、吸収性材料308又はドロスを含む吸収性材料332が吸収性材料供給部306に向かって、第2の入口312を介してエジェクタジェット300のエジェクタ空洞314から引き戻される。特定の実施形態では、印刷材料供給部302からアルミニウムワイヤ印刷材料304を供給するために使用される第1の入口310は、吸収性材料308の前進及び後退のために使用され得る。ドロスを含むドロス浸漬吸収性材料332は、切片化するか、廃棄するか、又は代替的に狭窄手段を介して圧縮されて、収集されたドロス330を抽出し、除去して、再利用を可能にすることができる。特定の実施形態では、吸収性材料308は、ドロスを除去し、吸収性材料308を室温でオフライン又は外部手順で再利用するために、強酸などの化学処理を用いて収集されたドロスを除去することによって再利用され得る。これらの実施形態では、エジェクタ又は印刷システムへの汚染のリスクを冒すのではなく、これらの動作をポンプから分離することが有益であり得る。
【0032】
この段階で、印刷材料304は、エジェクタジェット300のエジェクタ空洞314内にフィードバックされ得、印刷動作又は部品の構築を再開することができる。ドロス削減システム及び吸収性材料供給部306を介した吸収性材料308を含むエジェクタジェットを再利用、又は再展開する準備ができているこの段階が、図3Fに表されている。したがって、ドロス除去は、部品の印刷ジョブ中に発生する可能性があり、ドロスがシステムから除去されると、印刷ジョブを継続することができる。本明細書に示されるような液体金属エジェクタのためのドロス削減システムの代替の実施形態は、蓄積されたドロスを除去するために吸収性材料をエジェクタジェットに導入する代替手段も同じく採用され得ることを含み得るに留意されたい。これには、オペレータによってなど、エジェクタジェットへの吸収性材料の手動導入及びエジェクタジェットからの吸収性材料の手動除去が含まれ得る。蓄積されたドロスを除去するためにエジェクタジェットに吸収性材料を導入及び除去することはまた、リール、プランジャ、複数のスプール、ボビン、シャトル、糸繰機械、及び当業者に知られている他のデバイスなどの代替の供給源を介して達成され得る。
【0033】
そのようなインプロセスドロス削減システムの利点としては、より高い印刷スループット、ドロス蓄積に関連するクリーニング又は壊滅的な障害に対するダウンタイムの短縮、拡張された印刷実行時間、より大きな部品の構築、及び印刷システムの生産性の向上が挙げられる。追加のシステムの利点としては、噴射性能の改善、エジェクタジェット内の溶融プールのレベルの測定及び制御の改善、改善された噴射の質のためのより高いポンプ温度で動作する印刷システムの可能化、及び構成要素の寿命、特にエジェクタの上部ポンプの寿命の改善が挙げられる。
【0034】
図4は、一実施形態による、金属噴射プリンタ内のドロスを削減する方法を示すフロー図である。金属噴射プリンタ内のドロスを削減する方法400が示されており、これは、金属噴射プリンタの動作を一時停止するステップ402を含む。金属噴射プリンタ又はMHDドロップオンデマンドプリンタが印刷している間、又はプリンタが通常の印刷動作に関して進行中である間、プリンタは一時停止され得る。特定の実施形態では、この一時停止は、事前に決定された動作間隔で、又は中断された若しくは異常な読み取り、観察された印刷欠陥、非効率的な噴射動作、又は金属噴射印刷システム内の他の非定型読み取りを検出するレベルセンサなどの外部要因によって開始される、のいずれかで、手動で又は自動的に実行され得る。次に、ドロス削減の方法400は、吸収性材料をノズルポンプリザーバ内の溶融プール内に前進させることを含み、溶融プールは金属印刷材料を含む404。特定の実施形態では、吸収性材料が、同じ入口に、又は印刷材料が導入される液体エジェクタへの入口に前進され得る。したがって、ドロス削減の方法400はまた、吸収性材料をポンプリザーバ内に前進させるステップの前に、吸収性材料を導入する前に、印刷材料のワイヤフィードを除去することを含み得る。この方法での使用に好適な吸収性材料の例示的な例は、本明細書で前述されている。ドロス削減の方法400の特定の実施形態は、連続フィラメントから作製された吸収性材料を利用し得る。他の実施形態は、鉱物ウールなどの吸収性材料を更に含み得る。ドロス削減の方法400の特定の実施形態は、印刷材料に含まれる金属又は金属合金のケイ酸塩若しくは酸化物で作製されたドロス材料を含み得る。
【0035】
ドロス削減の方法400は、金属印刷材料からドロスを吸収することを更に含む406。前述のように、液体印刷材料が溶融プール内に存在するとき、ドロス蓄積が起こり得る。このドロス汚染は、典型的には、溶融プールの表面上に存在し、したがって、吸収性材料は、溶融プールの溶融表面と接触するだけでよく、その結果、液体金属エジェクタ内のポンプの内部空洞内に保持された溶融プール内の残りの液体又は溶融金属からドロス材料を吸収する。特定の実施形態では、吸収性材料は、有害なポンプ及びエジェクタ動作を防止するのに十分な量のドロスを吸収するために、所定の時間長の間溶融プールの表面に又はその下に存在するように残され得る。ドロス削減の方法400は、ポンプリザーバからドロスを含む吸収性材料を除去する後続のステップ408を含む。図3A図3Fに関して前に示したように、吸収性材料の供給は、エジェクタ内のポンプの内部空洞から除去又は引っ込められ、それによって、吸収性材料内に吸収されているドロスを除去する。特定の実施形態では、ドロスを含む吸収性材料を除去した後、ドロス及び吸収性材料をエジェクタポンプリザーバから除去した後のドロスを含む吸収性材料は廃棄される。他の実施形態では、ドロス及び吸収性材料をエジェクタから除去した後のドロスを含む吸収性材料は、ドロスを含む吸収性材料を切片化する、絞る、吸引する、又は他の方法で吸収性材料からドロスをクリーニングすることによって、吸収性材料からドロスを抽出する。更に他の実施形態は、吸収性材料をポンプリザーバから除去するステップの後に、吸収性材料を再使用するステップを含み得る。最後に、ドロス削減の方法400は、金属噴射プリンタの動作を再開すること410を更に含み得る。特定の実施形態によれば、金属噴射プリンタ内でドロスを削減する方法400は、前述の方法のステップのうちのいずれか又はすべてを繰り返すこと、又は任意の特定の間隔で繰り返すことを更に含み得る。
【0036】
本教示は、1つ以上の実装態様に対して示されているが、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、示された実施例に対して変更及び/又は修正が行われ得る。例えば、プロセスが一連の行為又は事象として説明されているが、本教示は、そのような行為又は事象の順序によって限定されないことが理解され得る。一部の行為は、異なる順序で、及び/又は本明細書に記載されているものとは別の他の行為若しくは事象と同時に発生する可能性がある。また、すべてのプロセス段階が、本教示の1つ以上の態様又は実施形態に従う方法論を実装するために必要とされ得るわけではない。構造的物体及び/若しくは処理段階が追加され得るか、又は既存の構造的物体及び/若しくは処理段階が除去若しくは修正され得ることが理解され得る。更に、本明細書に示される行為のうちの1つ以上は、1つ以上の別個の行為及び/又は段階で実行され得る。更に、「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」という用語、又はそれらの変形が発明を実施するための形態及び特許請求の範囲のいずれかで使用される限りにおいて、そのような用語は、「含む(comprising)」という用語と同様の方法で包括的であることが意図されている。「少なくとも1つの」という用語は、列挙された項目のうちの1つ以上が選択され得ることを意味するように使用される。更に、本明細書における考察及び特許請求の範囲において、2つの材料に対して使用される「上」という用語、他方「上」の一方は、材料間の少なくとも一部の接触を意味し、一方、「の上」は、材料が、場合によっては、接触が可能であるが必要とされないように、1つ以上の追加の介在材料に近接していることを意味する。「上(on)」又は「の上(over)」のいずれも、本明細書で使用される場合にいかなる指向性も暗示しない。「共形」という用語は、下にある材料の角度が共形材料によって保持されるコーティング材料を記述する。「約」という用語は、変更が、示された実施形態に対してプロセス又は構造の不適合とならない限り、列挙される値が少し変更され得ることを示す。「結合する」、「結合される」、「接続する」、「接続」、「接続される」、「と接続して」、及び「接続している」という用語は、「と直接接続する」又は「1つ以上の中間要素又は部材を介して接続する」ことを指す。最後に、「例示の」又は「例示的な」という用語は、説明が理想的であることを意味するのではなく一例として使用されることを示す。本教示の他の実施形態は、本明細書及び本明細書での本開示の慣行を考慮して当業者に明らかであり得る。本明細書及び実施例は、例示としてのみみなされることが意図され、本教示の真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4