IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シナプティクス インコーポレイテッドの特許一覧

特開2022-192019補助装置のための容量型通信チャネル
<>
  • 特開-補助装置のための容量型通信チャネル 図1
  • 特開-補助装置のための容量型通信チャネル 図2
  • 特開-補助装置のための容量型通信チャネル 図3
  • 特開-補助装置のための容量型通信チャネル 図4
  • 特開-補助装置のための容量型通信チャネル 図5
  • 特開-補助装置のための容量型通信チャネル 図6
  • 特開-補助装置のための容量型通信チャネル 図7
  • 特開-補助装置のための容量型通信チャネル 図8
  • 特開-補助装置のための容量型通信チャネル 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022192019
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】補助装置のための容量型通信チャネル
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20221221BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
G06F3/041 512
G06F3/041 580
G06F3/044 120
G06F3/041 595
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022090692
(22)【出願日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】63/211,339
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/738,619
(32)【優先日】2022-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502161508
【氏名又は名称】シナプティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンデルメイジェン、トム
(72)【発明者】
【氏名】トバ、サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】ワン、チン‐スン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】補助装置との間で、容量型通信チャネルを備え、補助装置を、低遅延、高更新レート、低電力消費及び低コストにし得る容量型入力装置を提供する。
【解決手段】容量型入力装置200は、取り付け補助装置の補助装置電極208と容量カップリングを形成する検知電極210を備えている。補助装置電極208は、容量カップリングを介して検知電極にデータ信号を送信する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の取り付け補助装置の第1の複数の補助装置電極と第1の容量カップリングを形成するように構成された第1の複数の検知電極であって、前記第1の複数の補助装置電極が、前記第1の容量カップリングを介して前記第1の複数の検知電極にデータ信号を送信するものである第1の複数の検知電極と、
前記第1の容量カップリングを介して受け取った前記データ信号をデコードしてデコード後データを取得するように構成された処理回路部と、
を備える
容量型入力装置。
【請求項2】
前記第1の複数の検知電極が、当該容量型入力装置の前記第1の取り付け補助装置に隣接する側面に垂直である方向に沿って延伸する、
請求項1に記載の容量型入力装置。
【請求項3】
前記第1の複数の検知電極が、当該容量型入力装置の前記第1の取り付け補助装置に隣接する側面に平行である方向に沿って延伸する、
請求項1に記載の容量型入力装置。
【請求項4】
更に、前記第1の複数の検知電極と異なる第2の複数の検知電極を備え、
前記第2の複数の検知電極が、第2の取り付け補助装置の第2の複数の補助装置電極と第2の容量カップリングを形成するように構成された
請求項1に記載の容量型入力装置。
【請求項5】
前記第1の複数の検知電極と第2の容量カップリングを形成するように構成された第2の複数の検知電極と、
前記第1の複数の検知電極と前記第2の複数の検知電極とに結合された検知回路部と、
を更に備え、
前記検知回路部が、
第3の複数の検知電極を検知信号で駆動し、
前記検知信号と前記第2の容量カップリングとに由来する派生信号を前記第1の複数の検知電極から受信するように構成された、
請求項1に記載の容量型入力装置。
【請求項6】
前記検知回路部が、更に、前記第1の容量カップリングを介して前記データ信号を受信するように構成され、
前記データ信号の受信は、前記第3の複数の検知電極の駆動及び前記派生信号の受信と交互である
請求項5に記載の容量型入力装置。
【請求項7】
前記容量型入力装置が、検知領域を規定するタッチスクリーンを備え、
前記処理回路部が、更に、前記派生信号から前記検知領域における入力物体の位置情報を特定するように構成され、
前記入力物体は、前記第1の取り付け補助装置と異なるものである
請求項5に記載の容量型入力装置。
【請求項8】
前記容量型入力装置が、
前記第1の複数の検知電極を含む電極を用いてビーコン信号を送信し、
前記第1の取り付け補助装置についての補助装置受信確認を受信し、
前記補助装置受信確認に基づいて第2の複数の電極を駆動するタイミングを変更するように構成された
請求項1に記載の容量型入力装置。
【請求項9】
前記タイミングを変更することが、前記データ信号を受信するために前記第2の複数の検知電極の駆動を停止することを含む
請求項8に記載の容量型入力装置。
【請求項10】
前記タイミングを変更することが、前記第2の複数の検知電極の駆動及び派生信号の受信を、前記データ信号の受信と交互にすることを含む
請求項8に記載の容量型入力装置。
【請求項11】
ユーザから第1入力を受け取るように構成された第1の入力素子と、
前記第1の入力素子に結合され、前記第1入力を処理して第1データを取得するように構成された第1の処理コンポーネントと、
前記第1の処理コンポーネントに結合され、取り付け容量型入力装置の第1の複数の検知電極と第1の容量カップリングを形成するように構成された第1の複数の補助装置電極を備える第1のポート回路部と、
を備える第1の補助装置を備え、
前記第1のポート回路部が、前記第1データをエンコードする第1データ信号で前記第1の複数の補助装置電極を駆動するように構成された
システム。
【請求項12】
前記第1の補助装置が、ゲーミングコントローラである、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記ユーザからの第2入力を受け取るように構成された第2の入力素子と、
前記第2の入力素子に結合され、前記第2入力を処理して第2データを取得するように構成された第2の処理コンポーネントと、
前記第2の処理コンポーネントに結合され、前記取り付け容量型入力装置の第2の複数の検知電極と第2の容量カップリングを形成するように構成された第2の複数の補助装置電極を備える第2のポート回路部と、
を備える第2の補助装置を更に備え、
前記第2のポート回路部が、前記第2データをエンコードする第2データ信号で前記第2の複数の補助装置電極を駆動するように構成され、
前記第1の複数の検知電極と第2の複数の検知電極とが異なる電極である、
請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の補助装置と第2の補助装置を前記取り付け容量型入力装置の2つの側面に結合するためのハーネスを更に備える
請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の補助装置が支払い装置である、
請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
第1の補助装置を容量型入力装置に取り付けることと、
前記容量型入力装置により、前記第1の補助装置の第1の入力素子から第1入力を受け取ることと、
前記第1入力から第1データ信号を生成することと、
前記第1の補助装置上の第1の複数の補助装置電極と前記容量型入力装置上の第1の複数の検知電極の間の第1の容量カップリングを介して第1データ信号を送信することと、
を含む
方法。
【請求項17】
前記容量型入力装置からビーコン信号を受け取ることと、
前記ビーコン信号に補助装置受信確認で応答することと、
を更に含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
第2の補助装置を前記容量型入力装置に取り付けることと、
前記容量型入力装置により、前記第2の補助装置の第2の入力素子から第2入力を受け取ることと、
前記第2入力から第2データ信号を生成することと、
前記第2の補助装置上の第2の複数の補助装置電極と前記容量型入力装置上の第2の複数の検知電極の間の第2の容量カップリングを介して第2データ信号を送信することと、
を更に含む
請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1データ信号と前記第2データ信号の送信が、同時に行われる
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の補助装置がゲーミングコントローラである
請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年6月16日に出願された米国特許出願第63/211,339号の本出願であり、米国特許出願第63/211,339号への米国特許法第119条(e)の利益を主張する。米国特許出願第63/211,339号は、参照することによりそのまま本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、全体としては、補助装置と入力装置の間の通信チャネルに関する。
【背景技術】
【0003】
近接センサ装置(例えばタッチパッド又はタッチセンサ装置)のような入力装置は、様々な電子システムにおいて広く用いられている。近接センサ装置は、該近接センサ装置が一以上の入力物体の存在、位置及び/又は動きを特定する、しばしば表面によって区画される検知領域を有することがある。近接センサ装置は、電子システムにインタフェースを提供するために用いられることがある。例えば、近接センサ装置は様々なコンピューティングシステムの入力装置(例えば、携帯電話、テレビ、パーソナルコンピュータ、自動車等のタッチスクリーンやタッチパッド)として使用されることがある。
【発明の概要】
【0004】
一般に、一の態様では、一以上の実施形態が、取り付け補助装置の補助装置電極と容量カップリングを形成するように構成された検知電極を備える容量型入力装置に関している。補助装置電極は、該容量カップリングを介してデータ信号を検知電極に送信する。容量型入力装置は、また、該容量カップリングを介して受け取ったデータ信号をデコードしてデコード後データを得るように構成された処理回路部を備えている。
【0005】
一般に、一の態様では、一以上の実施形態が、ユーザからの入力を受け取るように構成された入力素子を含む補助装置と、該入力素子に結合され、該入力を処理してデータを得るように構成された処理コンポーネントと、該処理コンポーネントに結合され、取り付け容量型入力装置の検知電極と第1の容量カップリングを形成するように構成された補助装置電極を備えるポート回路部とを備えるシステムに関している。ポート回路部は、入力素子への入力として受け取られたデータをエンコードしたデータ信号で補助装置電極を駆動するように構成されている。
【0006】
一般に、一の態様では、一以上の実施形態が、補助装置を容量型入力装置に取り付けることと、容量型入力装置によって補助装置の入力素子からの入力を受け取ることと、該入力からデータ信号を生成することと、を含む方法に関している。該方法は、第1の補助装置上の第1の複数の補助装置電極と容量型入力装置上の第1の複数のセンサ電極との間の第1の容量カップリングを介して第1データ信号を送信することを更に含んでいる。
【0007】
本発明の他の観点は、以下の記載と添付の特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
例示的な実施形態を、添付図面と併用して説明する。添付図面においては、類似の標示が類似の要素を指し示している。
【0009】
図1図1は、本開示の実施形態による容量型入力装置を含む例示的なシステムのブロック図である。
【0010】
図2図2は、本開示の実施形態による補助装置用の容量型通信チャネルを有するシステムのブロック図である。
【0011】
図3図3は、本開示の実施形態による補助装置用の容量型通信チャネルを有する第1検知電極を図示する、システムのブロック図である。
【0012】
図4図4は、本開示の実施形態による補助装置用の容量型通信チャネルを有する第2検知電極を図示する、システムのブロック図である。
【0013】
図5図5は、本開示の実施形態による、タッチモード及び補助装置モードにおける動作のための例示的な通信チャネルである。
【0014】
図6図6は、一以上の実施形態による、2つの補助装置を備えるシステムの例である。
【0015】
図7図7は、一以上の実施形態による、ゲーミングコントローラを備える容量型通信チャネルの例である。
【0016】
図8図8は、一以上の実施形態による、容量型通信チャネルを動作させるように修正され得る通信タイミング図の例である。
【0017】
図9図9は、一以上の実施形態による、容量型通信チャネルを動作させるように修正された通信タイミング図の例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の発明の詳細な説明は、本質的に例示的なものに過ぎず、本発明又は本発明の応用や使用を限定する意図はない。更に、先に記載した技術分野、背景技術、簡単な要約又は下記の発明の詳細な説明に提示された明示又は暗示の理論に拘束される意図もない。
【0019】
以下の実施形態の詳細な説明の記載では、開示された技術のより深い理解を提供するために、多くの具体的な詳細が提示されている。しかしながら、これらの具体的な詳細が無くとも開示された技術が実施され得ることは当業者には明らかであろう。他の例では、説明を不必要に複雑化することを避けるために周知の機構は詳細には記載されていない。
【0020】
出願全体に渡り、序数(例えば、第1、第2、第3、等)は要素(即ち、出願の任意の名詞)のための形容詞として使用されることがある。序数の使用は、例えば「前」、「後」、「単一の」という語や他の同様の用語の使用によって明示的に開示されていない限り、要素の特定の順序付けを示唆するものでも生成するものでもなく、任意の要素が単一の要素であると限定するものでもない。むしろ、序数の使用は、要素を互いに区別するためのものである。一例として、第1要素は第2要素とは別のものであり、第1要素は一つより多い要素を包含し、要素の順序付けにおいて第2要素の後に続く(又は先行する)ことがある。
【0021】
本発明の様々な実施形態は、向上された可用性を促進する容量型入力装置及び方法を提供する。特に、一以上の実施形態は、補助装置用の容量型通信チャネルを対象としている。一以上の実施形態において、補助装置の全使用時間の間、補助装置が容量型入力装置に取り付けられ、容量型入力装置の一以上の検知電極に対して静止し、隣接している。
【0022】
補助装置が取り付けられたとき、補助装置と容量型入力装置の間の通信は、移動(例えば、容量型入力装置に対する補助装置の位置の変化)によらない。むしろ、通信は、補助装置の補助装置電極と容量型入力装置の検知電極の間で容量的に送信される信号を変更することで行われる。即ち、補助装置から容量型入力装置への送信のために、補助装置は、送信されているデータに従って補助装置の補助装置トランスミッタ電極上の信号を変更する。容量型入力装置のレシーバ電極は、変更された信号の影響を受けた派生データ信号を受信する。逆に、容量型入力装置から補助装置への送信のために、容量型入力装置は、送信されているデータに従って容量型入力装置のトランスミッタ電極上の信号を変更する。補助装置のレシーバ電極は、変更された信号の影響を受けた派生データ信号を受信する。
【0023】
今、図面を参照すると、図1は、本開示の実施形態による例示的な容量型入力装置(100)のブロック図を図示している。容量型入力装置(100)は、電子システム(簡潔さのために図示されない)に入力を提供するように構成されることがある。「電子システム」という用語は、広く、情報を電子的に処理することができる任意のシステムを指す。電子システムの非限定的な例をいくつか挙げると、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ネットブックコンピュータ、タブレット、ウェブブラウザ、電子図書リーダ、携帯電話のような任意の大きさ及び形状のパーソナルコンピュータである。他の例としては、ドライバにユーザインタフェース能力を提供するように構成された自動車ユーザインタフェースが挙げられる。加えて、電子システムは、容量性入力装置へのホスト又はスレーブであり得る。
【0024】
容量型入力装置(100)は、電子システムの物理的な一部として実装されてよい。代替的には、容量型入力装置(100)は、電子システムから物理的に分離されていてもよい。容量型入力装置(100)は、様々な有線又は無線の内部接続及び通信技術を用いて電子システムの構成要素と結合され(そして通信を行っ)てもよい。
【0025】
図1の例では、容量型入力装置(100)は、検知領域(120)において一以上の入力物体(140)によって提供された入力を検知するように構成された(タッチスクリーンや任意の他のタッチセンサ装置のような)近接センサ装置に対応し得る。例示的な入力物体としては、指及びスタイラスが挙げられる。スタイラスの一例は、アクティブペンである。アクティブペンは、検知領域に渡って移動し、アクティブペンの位置を検出し、追加の情報を決定するために用いられるトランスミッタ信号を送信する。アクティブペンの例は、USIペン(例えば、USIスタイラス)である。一般に、USI(ユニバーサルスタイラスイニシアティブ)は、タブレットや電話のようなタッチ可能なデバイスとペンの間の相互利用可能な通信のための規格を規定している。
【0026】
図1について続けると、検知領域(120)は、容量型入力装置(100)が(例えば一以上の入力物体(140)によって提供された)ユーザ入力を検出可能である、容量型入力装置(100)の上方、周囲、内部及び又は近傍の任意の空間を包含していてもよい。具体的な検知領域の大きさ、形状および位置は、実際の実装に依存して変化し得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、検知領域(120)は、例えば信号対ノイズ比が物体検出に適した閾値を下回るまで容量型入力装置(100)の表面から空間に一以上の方向に延伸する。例えば、この検知領域(120)が特定の方向に延伸する距離は、様々な実施形態において、1ミリメートルより短くオーダーでもよく、ミリメートルのオーダーでもよく、センチメートルのオーダーでもよく、又はそれよりも長くてもよく、用いられる検知技術の種類及び/又は所望の精度と共に変化し得る。いくつかの実施形態では、権利領域(120)は、容量型入力装置(100)の如何なる表面にも物理的に接触していない入力、容量型入力装置(100)の入力表面(例えば、タッチ面)と接触している入力、いくらかの加えられた力又は圧力で容量型入力装置(100)の入力表面と接触した入力、及びこれらの組み合わせを検出する。
【0028】
様々な実施形態において、入力表面は、センサ電極が設けられた容量型入力装置(100)の筐体の表面によって提供されてもよく、センサ電極の上方に設けられたフェースシートや任意のケーシングによって提供されてもよい。いくつかの実施形態では、検知領域(120)は、容量型入力装置(100)の入力表面に投影されたときに長方形の形状を有している。
【0029】
いくつかの実施形態では、容量型入力装置(100)は、ユーザ入力を検出するために容量型検知技術を使用することがある。例えば、検知領域(120)は、一以上の容量検知素子(例えば、センサ電極)を入力とし、電界を生成する。容量型入力装置(100)は、センサ電極の容量の変化に基づいて入力を検知してもよい。より具体的には、電界に接触した(又は、近接した)物体は、センサ電極における電圧及び/又は電流の変化を生じさせ得る。このような電圧及び/又は電流の変化は、ユーザ入力を示す「信号」として検出され得る。センサ電極は、容量検出素子のアレイ、又は、他の規則的な又は不規則的なパターンに配置されて電界を生成し得る。いくつかの実装では、いくつかの検知素子がオーミック的に互いに短絡され、より大きなセンサ電極を形成することがある。いくつかの容量型検知技術は、均一な抵抗層を提供する抵抗シートを使用し得る。
【0030】
トランス容量検知法は、センサ電極間の容量カップリングの変化を検出する。例えば、センサ電極の近傍の入力物体(140)は、センサ電極間の電界を変化させ、したがって、センサ電極の測定される容量カップリングを変化させ得る。いくつかの実施形態では、容量型入力装置(100)は、一以上のトランスミッタセンサ電極(「トランスミッタ電極」又は「トランスミッタ」ともいう)と一以上のレシーバセンサ電極(「レシーバ電極」又は「レシーバ」ともいう)との間の容量カップリングを検出することによってトランス容量検知を実施する。トランスミッタセンサ電極上の信号は、参照電圧(例えば、システム接地)に対して変調されてトランスミッタ信号を送信する一方で、レシーバセンサ電極が、参照電圧に対して実質的に一定の電圧に保持されて派生信号を受け取ることがある。参照電圧は、実質的に一定の電圧であってもよく、システム接地であってもよい。派生信号は、センサ電極に接触し、又は、近接している入力物体と共に、環境からの干渉(例えば、他の電磁信号)による影響を受けることがある。センサ電極は、専用のトランスミッタ又はレシーバであってもよく、送信と受信の両方を行うように構成されてもよい。相互容量検知法を用いて得られた測定値は、相互容量測定値ということがある。
【0031】
更に、センサ電極は、異なる形状および/又は大きさを有していてもよい。センサ電極の同一の形状および大きさは、同一グループにおいてでもよく、同一グループにおいてでなくてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、レシーバ電極は同一の形状及び/又は大きさを有することがあり、他の実施形態では、レシーバ電極は、異なる形状及び/又は大きさであり得る。
【0032】
処理システム(110)は、容量型入力装置(100)のハードウェアを作動させて検知領域(120)において入力を検出するように構成されてもよい。処理システム(110)は、一以上の集積回路(IC)及び/又は他の回路コンポーネント及びファームウェアの一部又は全部を含むことがある。いくつかの実施形態では、処理システム(110)は、少なくとも一の入力物体(140)が検知領域(120)にある時間を特定し、入力物体(140)がスタイラスかを特定し、信号対ノイズ比を特定し、入力物体(140)の位置情報を特定し、ジェスチャーを識別し、 該ジェスチャー、ジェスチャー又は他の情報に基づいて実行すべき動作を決定し、及び/又は他の動作を行うように構成された処理回路部(150)を備えていることがある。いくつかの実施形態では、処理システム(110)は、トランスミッタ信号を送信し、派生信号を受信するために検知素子を駆動するように構成されたセンサ回路部(160)を備えることがある。いくつかの実施形態では、センサ回路部(160)は、センサ電極に結合されたセンサ回路部を備えていてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、容量型入力装置(100)がタッチスクリーンインタフェースを備えており、検知領域(120)が表示スクリーンのアクティブ領域の少なくとも一部に重なっている。例えば、容量型入力装置(100)が、実質的に透明で表示スクリーンに重なるセンサ電極を備えており、関連する電子システムにタッチスクリーンインタフェースを提供することがある。表示スクリーンは、ユーザに視覚的インタフェースを表示することができる任意の種類の動的ディスプレイであってもよい。容量型入力装置(100)と表示スクリーンとは、物理的素子を共有していてもよい。例えば、いくつかの実施形態は、同一の電気的コンポーネントを表示と検知に用いることがある。様々な実施形態において、表示装置の一以上の表示電極が、表示更新と入力検知の両方に適するように構成されていてもよい。他の例としては、表示スクリーンは、部分的に又は全面的に処理システム(110)によって作動されてもよい。
【0034】
図1は、構成要素の配置を図示しているが、本開示の範囲から逸脱することなく他の配置が用いられ得る。例えば、様々な構成要素が単一の構成要素を形成するように組み合わされてもよい。他の例では、単一の構成要素で実行される機能が2以上の構成要素で実行されてもよい。
【0035】
図2、3及び4は、補助装置のための容量型通信チャネルを有する例示的な容量型入力装置を図示している。容量型通信チャネルは、一方の組の電極上の電界を変更し、他方の組の電極における容量の変化を検出することでデータ信号が送信される通信チャネルである。本願では、当該電極の組が、入力装置上の検知電極と補助装置上の補助装置電極を指している。
【0036】
この例では、容量型入力装置(200)が、タッチスクリーン(図示されない)を備える携帯電話やタブレットのような携帯機器である。他の容量型入力装置も、補助装置と容量型通信を行うように同様に構成され得る。
【0037】
この例では、容量型入力装置(200)が、図2において格子として図示されている検知電極(210)を備えている。容量型検知電極は、図1を参照して上述した検知電極である。図2において、該容量型検知電極が格子として図示されているが、任意の配置、任意の大きさ、任意の形状及び任意の種類の容量型検知電極が使用され得る。例えば、検知電極は、行列に配置された検知電極ではなく、格子の各交差位置において個別のセンサー電極を有する検知パターンで配置されてもよい。他の例では、検知電極は、単一の電極層に配置されてもよい。
【0038】
容量型入力装置(200)は、補助装置(202)に容量的に結合されるように構成されている。更に、容量型入力装置は、該容量型入力装置の使用の間、補助装置に対して静止しているように補助装置に物理的に取り付けられてもよい。従って、補助装置に関して言えば、該容量型入力装置は取り付け容量型入力装置であり、該容量型入力装置に関して言えば、該補助装置は、取り付け補助装置である。一以上の実施形態では、取り付けは、エンドユーザが該補助装置を容量型入力装置から分離する場合があるような一時的なものである。更に、取り付けは、接続機構を用いて行われてもよい。該接続機構は、機械的なホルダ(例えば、ハーネス、クリップ、ストラップや他の機械的接続の種類)、磁気的な(例えば、反対極性の磁石等)、又は他の接続機構であってもよい。ホルダは、例えば、補助装置が容量型入力装置に巻き付けられることによるものであってもよく、爪や他の機構であってもよい。例えば、補助装置は、容量型入力装置のスマートカバーであってもよい。このような例では、補助装置は、容量型入力装置を少なくとも部分的に包み込んでもよく、ホルダは、該補助装置が巻き付けられた状態を保持する機構である。更に、接続機構は、容量型入力装置(200)に対して静止するように補助装置(202)を保持するように構成されてもよい。このように、補助装置(202)は、容量型入力装置と共に用いられるとき固定の位置にとどまる。
【0039】
補助装置(202)は、ユーザからの入力を検出するように構成された入力装置である。補助装置(202)は、入力を検出する入力素子(図示されない)を備えていてもよい。入力素子は、入力を受け取るための物理機構である。例示的な入力素子としては、ボタン、ジョイスティック、ホイール、ダイアル、一組の方向ボタン、支払いカードスロット、支払い用の近距離無線通信ポート、タッチスクリーン、容量型又は抵抗型電極、及び他の種類の物理的機構が挙げられる。
【0040】
例示的な補助装置としては、ゲームコントローラ、容量型入力装置の前面にあるダイアル、容量型入力装置の機能を拡張する容量型入力装置用のケース、支払い装置、及び、入力を受け取るための他の種類の補助装置が挙げられる。補助装置は、スマートホンを折り畳み型電話に変換するスマートホン拡張機器であってもよい。他の例としては、補助装置は、ユーザが携帯機器に通信するための追加手法を生じさせるためのボタンを携帯機器に追加する携帯機器用スマートカバーであってもよい。
【0041】
一以上の実施形態において、補助装置(202)は、補助装置通信ポート(204)を備えている。補助装置通信ポート(204)は、容量型通信のための通信ポートである。補助装置(202)には、電磁的通信のための他のポート、例えば、無線ベースの通信や有線ポートが存在していてもよい。補助装置通信ポート(204)は、ポート回路部(206)と補助装置電極(208)とを備えている。ポート回路部(206)は、補助装置(202)の入力素子からのデータを容量型通信のための信号にエンコードするように構成された回路部である。データストリームのデータは、2値データ(例えば、スイッチが開/閉)及びデジタル化した測定値(例えば、力/圧力)を含んでいてもよい。ポート回路部(206)は、更に、補助装置電極(208)上で該信号を送信するように構成されている。
【0042】
受信側では、ポート回路部(206)が、補助装置電極(208)を介して派生信号を受け取り、該派生信号をデコードする機能を備えている。該派生信号は、容量型入力装置(200)のトランスミッタ電極上のトランスミッタ信号に由来する。ポート回路部(206)は、更に、デコード後の信号を補助装置(202)のプロセッサに送信するように構成されてもよい。
【0043】
補助装置電極(208)は、図1を参照して上述した検知電極と同じ機能を有していてもよい。具体的には、補助装置電極は、レシーバ電極とトランスミッタ電極であってもよい。同一の補助装置電極が、レシーバ電極とトランスミッタ電極の両方であってもよい。その代わりに、或る専用の補助装置電極のサブセットが、レシーバ電極であり、他の専用のサブセットがトランスミッタ電極であってもよい。
【0044】
データを容量的に送信可能な信号にエンコードするために、様々な技術が容量型入力装置及び補助装置によって使用され得る。容量型入力装置と補助装置とは、データをエンコードするために事前に規定された技術を有しており、一以上の実施形態では、同一の技術を用いる。該技術は、例えば、二相位相変調(BPSK)、振幅変調、位相変調、及び/又は周波数変調であり得る。
【0045】
座標の定義(212)によって図示されているように、容量型入力装置は、副座標軸と主座標軸とを有している。容量型入力装置の副座標軸に沿った長さは、容量型入力装置の主座標軸に沿った長さよりも短い。更に、該主及び副座標軸は、互いに垂直であり、容量型入力装置の入力表面に平行である。例えば、該主及び副座標軸は、表示スクリーンの側面に沿っている。
【0046】
補助装置(202)と容量型入力装置(200)の間で、異なる容量カップリングが使用されてもよい。図3及び4は、(図2、3及び4の破線で示されている)それぞれに異なる容量カップリングを有する異なる構成を図示している。図3の構成では、補助装置通信ポート(204)が、補助装置(202)に隣接する側面に垂直に整列された検知電極に容量的に結合する補助装置電極(208)を有している。取り付け補助装置は、副座標軸に沿った容量型入力装置の側面に取り付けられており、検知電極と補助装置電極とは、該副座標軸に垂直である。より一般的には、補助装置電極は、補助装置が取り付けられた容量型入力装置の側面に垂直である。
【0047】
図4の構成では、補助装置通信ポート(204)は、補助装置(202)が隣接する側面に平行に配列された少なくとも一の検知電極に容量的に結合する補助装置電極(208)を有している。取り付け補助装置は、容量型入力装置の副座標軸に沿った側面に取り付けられており、検知電極と補助装置電極は、副座標軸に平行である。より一般的には、補助装置電極は、補助装置が取り付けられた容量型入力装置の側面に平行である。
【0048】
図3及び4の各構成の差は、補助装置(202)の補助装置電極と容量型入力装置(200)の検知電極の間の、スループットに対する容量カップリングの量である。図3では、より多くの検知電極が補助装置に隣接しているので、容量型入力装置とポート回路部(206)との間により多くの通信チャネルが存在している。従って、図3の構成では、図4と比較して、より大きいデータのスループットが利用可能である。図4においては、より少数の検知電極しか隣接していないが、一の検知電極のより大きな部分が隣接している。したがって、図4においては図3と比較してより大きな容量カップリングが電極間に存在している。よって、図3の構成は、(例えば、電子システムのユーザインタフェースの応答性を高くするために)より大きなデータ帯域幅を可能にするかもしれないが、図4の構成は、補助装置電極と検知電極の間の間隔を増大可能にし得る。例えば、図3は、電極間を約2~3ミリメートル又はそれを超えて10ミリメートルにすることを可能にするかもしれないが、図4は、一以上の実施形態では、隙間を10~15ミリメートルにすることを可能にし得る。本開示の範囲から離れなければ、他の隙間も可能であり得る。
【0049】
図2~4は、容量型入力装置(200)の短い側面が補助装置(202)に隣接していることを図示しているが、容量型入力装置(200)の長い側面、正面、裏面が補助装置(202)に隣接していてもよい。各構成において、容量型入力装置(200)の少なくとも一の検知電極が、補助装置の少なくとも一の補助装置電極(208)に隣接している。例えば、もし裏面上であれば、検知電極は浮遊電極、ゼロ次元ボタン電極、指紋センサ、又は他の構成であってもよい。
【0050】
一以上の実施形態において、容量型入力装置は、タッチ検出モードと補助装置モードの2つのモードのうちの一方で動作する機能を備えている。タッチ検出モードでは、容量型入力装置は、近接検知(例えば、検知領域における入力物体の検知)を行う。補助装置モードでは、容量型入力装置は、補助装置と容量型通信を行う。これらの2つのモードの差異は下記のとおりである。
【0051】
タッチ検出モードでは、派生信号が検知領域における入力物体の位置を反映している。入力物体の位置を識別するために派生信号が取得される。ノイズを除去するために様々なフィルタリングが派生信号に対して行われる。入力物体の位置は、異なるセンサー電極からの派生信号のピークに基づいて特定されてもよい。
【0052】
補助装置モードでは、補助装置は動かない。従って、派生信号はエンコードされたデータと特定の電極におけるノイズしか有しない。なぜなら、補助装置の移動によって生じる信号がないからである。ノイズの影響を除去するためにフィルタリングを行えば、エンコードされたデータがデコードされてデータが得られる。該データは、その後、派生する動作を行うために電子システムに渡されてもよい。
【0053】
異なるモードの間の他の差異は、トランスミッタ信号が入力装置に知られているかである。容量型入力装置は、プロトコルを通じで補助装置を識別することがある。図5に図示されているように、タッチ検出モード(502)において、トランスミッタ信号は、(明示的に図示されていない)配線(508)を介してミキサー(510)に別途に送られると共に、タッチスクリーン(506)のトランスミッタ電極Tx(504)に送られる。レシーバ電極Rx(512)は、容量カップリング(514)を介して派生信号を受け取り、該派生信号をミキサー(510)に送信する。ミキサー(510)は、送信信号を用いて派生信号を復調し、結果をアナログ-デジタルコンバータ(図5のADC)に送る。
【0054】
補助装置モード(516)では、トランスミッタ電極(504)は信号を受信するために使用されない。むしろ、補助装置モード(516)では、補助装置(518)は、タッチスクリーン(506)のレシーバ電極(512)に近接しているトランスミッタ電極Tx(520)を有している。近接していることで、トランスミッタ電極(520)とレシーバ電極(512)の間に容量カップリング(524)が生じる。レシーバ電極(512)は、ミキサー(510)に結合されており、派生信号をミキサー(510)に渡す。しかしながら、トランスミッタ信号(526)はミキサー(510)には知られていない。従って、ミキサー(510)は、派生信号に同相直交(I/Q)復調を行う。
【0055】
モード切替を行うために様々な技術が使用され得る。いくつかの実施形態では、モード間の切り替えは、補助装置を検出するために容量型入力装置が周期的に信号を送ることによって行われる。補助装置が応答したときに容量型入力装置が補助装置モードに切り替わってもよい。一旦補助装置モードになると、容量型入力装置は、補助装置からデータを受け取り、そしてタッチ入力を検知するために、タッチモードと補助装置モードの間で周期的に切り替わってもよい。切り替えは、ユーザには分からないように、ある既定のマイクロ秒以内であってもよい。
【0056】
他の例としては、容量型入力装置が補助装置モードに切り替わったとき、容量型入力装置は、ある閾値時間の間、補助装置が送信を停止するまで補助装置モードにとどまっていてもよいし、切り替えを行うために容量型通信チャネルのデータを介してコマンドが受信されるまで補助装置モードにとどまっていてもよい。本開示の範囲を離れなければ、モード切替を行うために他の技術が使用され得る。
【0057】
図6及び7は、2つの補助装置のために容量型通信チャネルを用いる例を図示している。図6に図示されているように、検知電極(600)は、2つの補助装置(例えば、X装置(602)及びY装置(604))と通信することがある。X装置(602)との通信が図3の構成を用いる一方で、Y装置(604)との通信が図4の構成を用いている。具体的には、左側の補助装置電極(606)は、8つの補助装置電極が主座標軸の8つの長い検知電極(600)と結合するように設計されることによって最大の帯域幅となるように構成されている。左側の補助装置電極(606)の結合は、信号対ノイズが、低電力のために最適化された右側の補助装置電極(608)と等価であるように、より高い電圧を必要とする。右側の補助装置電極(608)は、カップリングのための表面面積が非常に大きいので、例えば単一の1.5Vの電源で動作可能であろう。更に、右側では、副座標軸の検知電極(600)の一本が補助装置電極(608)のTx部分及びRx部分の両方にカップリングしている。該携帯機器が右側の検知電極(600)で送信しているとき、補助装置電極(608)の両方の部分が駆動される。右側のカップリング領域においては、補助装置(即ち、Y装置(604))が、該補助装置によってレシーバ、トランスミッタの任意の組み合わせとして動的に構成されることがある2つの電極を有している。
【0058】
図6の例が図7に図示されている。図7において、2つの補助装置を備えるシステムが、携帯機器と共に使用するためのゲーミングコントローラ(700)である。白抜き(702)で示されているように、当該携帯機器は、タッチスクリーンを備える携帯電話であってもよい。ゲーミングコントローラを固定して保持するハーネス(704)は、該携帯機器のためのゲーミングコントローラのクレードルである。携帯機器は、ユーザが該ゲーミングコントローラを用いてプレイすることがあるゲームを実行し、表示する。携帯機器とゲーミングコントローラとの間の通信が、図6に図示されているように、容量型通信チャネルによって実現されている。複数チャネルの形式では、携帯機器は、より応答性が高いように見える。ゲームコントローラを用いる場合、ユーザは、一般に、手をゲーミングコントローラの両側に置く。しかしながら、ユーザは、タッチスクリーンを触ることによって切り替えを行うことがある。このようなシナリオでは、容量型携帯機器は、タッチスクリーンモードに切り替わる。容量型通信を用いることで、携帯機器とゲーミングコントローラのポートは、音声入出力デバイスに接続する等の他の用途に用いられ得る。
【0059】
ゲームコンソール(700)については、ゲームコンソールの集約型コントローラが、両側からのユーザ入力を単一のペイロードに束ねてもよい。ペイロードは、単一の容量カップリングリンクで伝送されてもよい。2以上の補助装置が接続している場合、該2以上の装置が、別々の電極とペアを組んでもよい。本開示の範囲を離れなければ、他の技術が用いられてもよい。
【0060】
本発明の他の観点は、容量型入力装置の容量検知フレームのフレーム割り当ての管理である。上で議論しているように、容量型入力装置は、補助装置モード、タッチスクリーンモード、又は組み合わせモードで動作し得る。補助装置モードでは、フレーム割り当ては、サンプリングレートを高くし、補助装置からのデータを低遅延にするために最適化される。補助装置モードの間、容量型入力装置は、検知領域において、近接する入力物体を低頻度で確認するためにスリープモードで動作する。近接する入力物体が検出されたなら、容量型入力装置は、タッチスクリーンモードに切り替わる。タッチスクリーンモードは、指のスキャンを優先する。当該システムは、従来のUSIペンもサポートするであろう。組み合わせモードは、単一フレームにおいて、補助装置モードとタッチスクリーンモードとの間で繰り返して切り替わることをいう。
【0061】
図8は、一以上の実施形態による、容量型通信チャネルを動作させるように変更され得る通信タイミング図(800)の例である。
【0062】
補助装置との通信の開始は、下記のようにして行われ得る。タッチスクリーンモードの間、容量型入力装置は、周期的にビーコン信号(図8においてビーコンN及びビーコンN+1として示されている)を送信する。もし応答がなければ、容量型入力装置は、タッチスクリーンモードに基づく検知の実行を継続する。タッチスクリーンモードに基づく検知とは、検知回路部が、検知電極の少なくとも一部を検知信号で駆動し、検知信号及び検知電極間の容量カップリングに由来する派生信号を受け取ることを意味している。派生信号は、ノイズと検知領域に存在する入力物体に基づき検知信号が変更されたものであり得る。該派生信号から、任意の存在する入力物体の位置情報が特定される。
【0063】
図8及びビーコン信号に戻り、補助装置が存在する場合には、補助装置は、補助装置受信確認によってビーコン信号と容量型入力装置に応答する。補助装置受信確認は、識別情報(例えば、製品コードのような補助装置の種類を一義的に識別する装置コード)を含んでいることがある。容量型入力装置は、その後、該識別情報を用いて該補助装置用の装置情報を収集することがある。装置情報は、補助装置から受け取ったデータをデコードするための情報、入力素子の数及び種類などを含んでいてもよい。この段階において、入力装置は補助装置からデータを受け取ってデコードするように構成される。補助装置は、入力素子を介してユーザからの入力を取得し、該入力を処理してデータを取得し、該データを容量型入力装置に送信するためにデータ信号にエンコードする。容量型入力装置は、時間(802)の間、補助装置データをデータ信号として受信し、該データをデコードしてデコード後データを取得する。時間(802)の末尾に、容量型入力装置がエンコードされたデータの受信を完了するように末尾時間が付加されてもよい。補助装置は、一時的に取り付けられ、任意の時間に取り外され得るので、容量型入力装置は、処理を新たに開始するために、既定の周波数で、周期的にビーコン信号を送信してもよい。この処理は、通信を継続するために、補助装置が取り外されたか否かに関わらずビーコンN+1について繰り返されてもよい。 図示されていないが、通信は、ビーコン信号に情報を加えることにより、又は、図示されないがタイミング図に期間を加えることにより、双方向通信としてもよい。
【0064】
図9は、一以上の実施形態による、容量型通信チャネルを動作させるように変更された通信タイミング図(900)の例である。図9のタイミング図では、時間(902)の間、データパケットが、タッチ検出と交互になる。具体的には、容量型入力装置の送信検知電極の駆動及び派生信号の受信が、補助装置からのデータ信号の受信と交互になっている。従って、図9の設定を用いることでユーザは、補助装置と共にタッチ入力を同時に使用し得る。容量型入力装置は、この例では、単一のフレームの間にモードを切り替える。
【0065】
図8図9のタイミング図のいずれを用いるかは、容量型入力装置と補助装置との間で事前に規定される。補助装置と容量型入力装置との間の通信を発動する一つの方法は、ユニバーサルスタイラスイニチアチブ(USI)規格を補助装置のためにも使用することである。
【0066】
いくつかの実施形態では、携帯機器が容量型入力装置に対して静止しているので、ビーコンが無視され、又は、定期的にのみ用いられてもよい。
【0067】
容量型通信チャネルを用いることで、スマートフォンに取り付けられるゲーミングコンソールのような補助装置を、低遅延、高更新レート、低電力消費及び低コストにし得る。タッチコントローラは、ユーザとのインターアクションをホストプロセッサ及びアプリケーションに転送するために容量型チャネルを介して補助装置とやり取りしてもよい。更に、一以上の実施形態が、容量型通信を含む通信モードのためにタイムスライシングを用いてもよい。例えば、一以上の実施形態が、容量型入力デバイスが物理ポート(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポート)を有しない場合に用いられてもよい。更に、一以上の実施形態が、ブルートゥース接続(ブルートゥースは登録商標)を置き換える及び/又は補完するために用いられてもよい。
【0068】
このように、本稿に示された実施形態及び例示は、様々な実施形態と具体的な応用とを最善に説明し、これにより、当業者が本発明を作製し、使用することができるようにするように提示されている。しかしながら、当業者は上記の説明と例が図示と例示の目的でのみ提示されたことを認識するであろう。提示された説明は、排他的であることを意図せず、発明を開示された形態そのものに限定する意図もない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】