(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022192027
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】空気浮上式ウェハ搬送アーム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094825
(22)【出願日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】110121814
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】522234840
【氏名又は名称】盛詮科技股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】游 宗哲
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131CA09
5F131CA32
5F131DB02
5F131DB25
5F131DB34
5F131DB42
5F131DC12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】搬送アームから吹き出す空気圧によってウェハを浮上させながら搬送する仕組みで、搬送中の損傷に起因する歩留まりの低下を抑える空気浮上式ウェハ搬送アームを提供する。
【解決手段】空気浮上式ウェハ搬送アームは、連結部11、右アーム12及び左アーム13を有する本体10と、本体10の底面に固設される底蓋と、を備える。連結部11上に複数の空気導入孔114が設けられる。左、右アーム12、13は、連結部11の片側辺上、左右対称の位置に、左右対称形状で突出するように形成され、それぞれ載置面14と流路面を有する。各載置面14上には、左、右アーム12、13の延伸方向に沿って間隔をおいて配列される複数の外側傾斜孔141と複数の内側傾斜孔142が設けられ、各流路面上には連結部11の各空気導入孔114と連通する複数の流路が設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気浮上式ウェハ搬送アームであって、本体と底蓋とを備え、
前記本体は、連結部と、右アームと、左アームとを含み、
該連結部は、上面部と底面部とを有し、該上面部上に複数の空気導入孔が設けられ、
該右アーム及び左アームは、該連結部の片側辺上、左右対称の位置に、左右対称形状で突出するように形成され、該右アーム及び左アームの互いに対向する側面を内側面、当該内側面と反対する側の側面を外側面とし、該右アーム及び左アームはそれぞれ、上下両表面である載置面と流路面を有し、
該各載置面は、該外側面から内側面に向かって高さが徐々に低くなる傾斜面であって、複数の外側傾斜孔と複数の内側傾斜孔を有し、該複数の外側傾斜孔は、該右アーム及び左アームの延伸方向に沿って間隔をおいて配列されると共に、該載置面から流路面にかけて、該外側面から該内側面へ斜めに貫通しており、該複数の内側傾斜孔は、該右アーム及び左アームの延伸方向に沿って間隔をおいて配列されると共に、該載置面から流路面にかけて、該内側面から外側面へ斜めに貫通しており、
該各流路面に、複数の内側流路と複数の外側流路が設けられ、該各内側流路は、該各内側傾斜孔と前記各空気導入孔と連通し、該各外側流路は、該各外側傾斜孔と各空気導入孔と連通し、
前記底蓋は、前記各内側流路及び各外側流路を覆うように、前記連結部の底面部と各流路面に固設されることを特徴とする空気浮上式ウェハ搬送アーム。
【請求項2】
前記右アーム及び左アームの載置面上に、延伸方向に沿って間隔をおいて配列された複数の集気部が凹設され、該各集気部はそれぞれ、前記外側面に隣接するように設置されると共に、前記内側面から該外側面に向かって縮径した漏斗状を呈することを特徴とする請求項1に記載の空気浮上式ウェハ搬送アーム。
【請求項3】
前記各集気部は、前記外側傾斜孔の近くに位置する入口端部と、前記外側面の近くに位置する出口端部とを有し、
前記各載置面上に設けられた複数の集気部の数は五つであり、そのうち中間に位置する該集気部の出口端部の方向は、該外側面と直交し、両側に位置する残りの該各集気部の出口端部の方向は、当該中間に位置する集気部の出口端部の方向に偏向することを特徴とする請求項2に記載の空気浮上式ウェハ搬送アーム。
【請求項4】
前記各流路面に、前記載置面に向かって縮径するテーパ状をなすと共にそれぞれが対応する前記内側傾斜孔と連通する複数の内窪み部と、該載置面に向かって縮径するテーパ状をなすと共にそれぞれが対応する前記外側傾斜孔と連通する複数の外窪み部とがさらに形成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の空気浮上式ウェハ搬送アーム。
【請求項5】
前記連結部の上面部における前記右アーム及び前記左アームの近くに位置する複数の第1位置決め部と、それぞれが該右アーム及び左アームの端部に位置する複数の第2位置決め部とをさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の空気浮上式ウェハ搬送アーム。
【請求項6】
前記連結部は、前記上面部と底面部との間に位置する円弧状凹面の前面部を有し、
前記各第1位置決め部はそれぞれ、前記連結部の前面部と面一の第1当接面を有することを特徴とする請求項5に記載の空気浮上式ウェハ搬送アーム。
【請求項7】
前記各第2位置決め部はそれぞれ、前記内側面に面して前記前面部の形状と対応する円弧状凹面の第2当接面を有することを特徴とする請求項6に記載の空気浮上式ウェハ搬送アーム。
【請求項8】
前記右アーム及び左アームの各外側傾斜孔及び各内側傾斜孔はそれぞれ、二列ずつ左右にずらすように配列されており、整列している該各外側傾斜孔及び各内側傾斜孔の孔径は、前記連結部から離れるにつれて徐々に大きくなることを特徴とする請求項7に記載の空気浮上式ウェハ搬送アーム。
【請求項9】
前記各内側傾斜孔の軸心線及び各外側傾斜孔の軸心線と前記流路面とのなす角度が25~50度の範囲であることを特徴とする請求項8に記載の空気浮上式ウェハ搬送アーム。
【請求項10】
前記各内側傾斜孔及び各外側傾斜孔の孔径が0.1~0.3mmの範囲であることを特徴とする請求項9に記載の空気浮上式ウェハ搬送アーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハ搬送アームに関し、特に、空気浮上式ウェハ搬送アームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハ(以下、ウェハと称する)を保持して搬送する従来技術の真空吸着搬送フォーク(FORK)は、外部の真空吸引装置に接続される複数の流路を有する音叉形の保持具と、各流路と連通するように保持具上に装着される複数の吸着パッドとを備え、外部の真空吸引装置で発生させた真空状態を各流路を通して吸着パッドに供給し、ウェハを保持具上に吸着保持させながら搬送作業を行う。
【0003】
しかしながら、上記従来技術におけるウェハを吸着式で搬送する仕組みでは、ウェハを吸着する瞬間やウェハを吸着保持して移動させる過程中で、わずかな振動によりウェハと保持具との間に摩擦が発生することから、ウェハの表面に損傷が生じてしまう虞があり、ひいてはウェハの歩留りの低下を招いてしまうので、従来技術の真空吸着搬送フォークは全体的に改善する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】台湾実用新案登録第M605823号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、搬送アームから吹き出す空気圧によってウェハを浮上させながら搬送する仕組みで、搬送中の損傷に起因する歩留まりの低下を抑える空気浮上式ウェハ搬送アームを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、空気浮上式ウェハ搬送アームであって、本体と底蓋とを備え、
前記本体は、連結部と、右アームと、左アームとを含み、
該連結部は、上面部と底面部とを有し、該上面部上に複数の空気導入孔が設けられ、
該右アーム及び左アームは、該連結部の片側辺上、左右対称の位置に、左右対称形状で突出するように形成され、該右アーム及び左アームの互いに対向する側面を内側面、当該内側面と反対する側の側面を外側面とし、該右アーム及び左アームはそれぞれ、上下両表面である載置面と流路面を有し、
該各載置面は、該外側面から内側面に向かって高さが徐々に低くなる傾斜面であって、複数の外側傾斜孔と複数の内側傾斜孔を有し、該複数の外側傾斜孔は、該右アーム及び左アームの延伸方向に沿って間隔をおいて配列されると共に、該載置面から流路面にかけて、該外側面から該内側面へ斜めに貫通しており、該複数の内側傾斜孔は、該右アーム及び左アームの延伸方向に沿って間隔をおいて配列されると共に、該載置面から流路面にかけて、該内側面から外側面へ斜めに貫通しており、
該各流路面に、複数の内側流路と複数の外側流路が設けられ、該各内側流路は、該各内側傾斜孔と前記各空気導入孔と連通し、該各外側流路は、該各外側傾斜孔と各空気導入孔と連通し、
前記底蓋は、前記各内側流路及び各外側流路を覆うように、前記連結部の底面部と各流路面に固設されることを特徴とする。
【0007】
前記右アーム及び左アームの載置面上に、延伸方向に沿って間隔をおいて配列された複数の集気部が凹設され、該各集気部はそれぞれ、前記外側面に隣接するように設置されると共に、前記内側面から該外側面に向かって縮径した漏斗状を呈することを特徴とする。
【0008】
前記各集気部は、前記外側傾斜孔の近くに位置する入口端部と、前記外側面の近くに位置する出口端部とを有し、
前記各載置面上に設けられた複数の集気部の数は五つであり、そのうち中間に位置する該集気部の出口端部の方向は、該外側面と直交し、両側に位置する残りの該各集気部の出口端部の方向は、当該中間に位置する集気部の出口端部の方向に偏向することを特徴とする。
【0009】
前記各流路面に、前記載置面に向かって縮径するテーパ状をなすと共にそれぞれが対応する前記内側傾斜孔と連通する複数の内窪み部と、該載置面に向かって縮径するテーパ状をなすと共にそれぞれが対応する前記外側傾斜孔と連通する複数の外窪み部とがさらに形成されることを特徴とする。
【0010】
前記連結部の上面部における前記右アーム及び前記左アームの近くに位置する複数の第1位置決め部と、それぞれが該右アーム及び左アームの端部に位置する複数の第2位置決め部とをさらに含むことを特徴とする。
【0011】
前記連結部は、前記上面部と底面部との間に位置する円弧状凹面の前面部を有し、
前記各第1位置決め部はそれぞれ、前記連結部の前面部と面一の第1当接面を有することを特徴とする。
【0012】
前記各第2位置決め部はそれぞれ、前記内側面に面して前記前面部の形状と対応する円弧状凹面の第2当接面を有することを特徴とする。
【0013】
前記右アーム及び左アームの各外側傾斜孔及び各内側傾斜孔はそれぞれ、二列ずつ左右にずらすように配列されており、整列している該各外側傾斜孔及び各内側傾斜孔の孔径は、前記連結部から離れるにつれて徐々に大きくなることを特徴とする。
【0014】
前記各内側傾斜孔の軸心線及び各外側傾斜孔の軸心線と前記流路面とのなす角度が25~50度の範囲であることを特徴とする。
【0015】
前記各内側傾斜孔及び各外側傾斜孔の孔径が0.1~0.3mmの範囲であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の空気浮上式ウェハ搬送アームは、外側傾斜孔及び内側傾斜孔から吹き出された気体の空気圧を利用して、ウェハを浮上させながら非接触で搬送する仕組みにより、搬送中にウェハ表面の損傷を防止し、また、第1位置決め部及第2位置決め部の設置により、浮上するように搬送されているウェハの周縁がこれらの位置決め部に当接して位置決めされるので、搬送中における横から脱落を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図6】本発明の左アームの他の局部拡大断面図である。
【
図8】本発明における、一部の気流の流れを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面及び本発明の好適な実施例を参照しながら、本発明が予め決められた発明の目的を達成するために講じた技術的手段をさらに詳述する。
【0019】
図1及び
図2に示すように、本発明に係る空気浮上式ウェハ搬送アームは、本体10及び底蓋20を備える。
【0020】
図1、
図2及び
図5に示すように、前記本体10は、連結部11、右アーム12及び左アーム13を含む。前記連結部11は、シート体であって、上面部111、底面部112及び前面部113を有し、該上面部111と底面部112とは上下の表面であり、該前面部113は、該上面部111と底面部112との間に位置すると共に円弧状凹面を呈するものである。前記上面部111上には、複数の空気導入孔114と複数の第1位置決め部115とが設けられており、該各空気導入孔114上に、外部給気管路(図示せず)と接続するための接続ヘッド116を有し、該上面部111上の各第1位置決め部115はそれぞれ、前記右アーム12及び左アーム13に近い位置に形成され、また、該各第1位置決め部115は、前記前面部113と面一状態である第1当接面117を有する。
【0021】
前記右アーム12及び左アーム13は、前記連結部11において、左右対称位置に、左右対称形状で突出形成される。具体的に述べると、前記右アーム12及び左アーム13は、前記連結部11の前面部113に間隔をおいて水平に並ぶように設置される。ここでは、前記右アーム12及び左アーム13の互いに対向している側面を内側面とし、該内側面と反対する側の側面を外側面とする。尚、該右アーム12及び左アーム13は対称的なものであるので、ここでは、該左アーム13を例にして、その詳しい構造について説明する。該前記左アーム13は、上下の表面である載置面14及び流路面15を有し、該載置面14は、前記外側面から内側面に向かって高さが徐々に低くなる傾斜面であって、複数の外側傾斜孔141、複数の内側傾斜孔142、複数の集気部143及び第2位置決め部144を備える。前記各外側傾斜孔141は、前記左アーム13の載置面14から流路面15にかけて、前記外側面から前記内側面に向かって斜めに貫設されていると共に、該左アーム13の延伸方向に沿って間隔をおいて配列されている。尚、本実施例においては、該各外側傾斜孔141が二列に並べられ、且つ左右にずれるように配置され、該左アーム13上に整列された外側傾斜孔141において、前記連結部11に近い位置に配置されている外側傾斜孔141の孔径は、該連結部11から遠ざかるにつれて徐々に大きくなる。また、該外側傾斜孔141は、その孔径が0.1mmから0.3mmの範囲で、且つ該各外側傾斜孔141の軸心線と前記流路面15とのなす角度が25度から50度の範囲であることが好ましいが、これに限定されるものではなく、必要に応じて任意に設計変更することができる。
【0022】
図1、
図4~
図6に示すように、前記各内側傾斜孔142は、前記各外側傾斜孔141の内側に位置し、前記左アーム13の載置面14から流路面15にかけて、前記内側面から前記外側面に向かって斜めに貫設されると共に、該左アーム13の延伸方向に沿って間隔をおいて配列されている。尚、本実施例においては、該各内側傾斜孔142が二列に並べられ、且つ左右にずれるように配置され、該左アーム13上に整列された内側傾斜孔142において、前記連結部11に近い位置に配置されている内側傾斜孔142の孔径は、該連結部11から遠ざかるにつれて徐々に大きくなる。また、該内側傾斜孔142は、その孔径が0.1mmから0.3mmの範囲で、且つ該各内側傾斜孔142の軸心線と前記流路面15とのなす角度が25度から50度の範囲であることが好ましいが、これに限定されるものではなく、必要に応じて任意に設計変更することができる。
【0023】
図1に示すように、前記各集気部143は、前記載置面14上において前記外側面に隣接するように凹設されると共に、入口端部145及び出口端部146を有し、該入口端部145は、前記外側傾斜孔141の近くに位置し、該出口端部146は、該外側面の近くに位置する。更に、前記集気部143は、前記入口端部145から出口端部146にかけてその開口幅が徐々に縮径し、いわゆる漏斗状を呈する。本実施例においては、前記左アーム13が五つの集気部143を備え、それらの集気部143が該左アーム13の延伸方向に沿って間隔をおいて配列されており、そのうち、中央に位置する集気部143の出口端部146の開口方向は、前記外側面と直交し、該中間位置の集気部143の両側にある、残りの各集気部143の出口端部146の開口方向は、当該中間位置の集気部143に偏っているが、これに限定されるものではなく、該集気部143を設置するか否か、またはその設置数量や配置形式などは、必要に応じて任意に設計変更することができる。
【0024】
前記第2位置決め部144は、前記左アーム13の端部に突出形成されると共に、前記内側面に面して前記前面部113の形状と対応する円弧状凹面に形成された第2当接面147を有する。
【0025】
図3及び
図4に示すように、前記流路面15には、複数の内側流路151、複数の外側流路152、複数の内窪み部153及び複数の外窪み部154を備え、該各内側流路151は、前記左アーム13の延伸方向に沿って延在すると共に、前記各内側傾斜孔142及び各空気導入孔114と連通しており、該各外側流路152は、該左アーム13の延伸方向に沿って延伸すると共に、前記各外側傾斜孔141及び各空気導入孔114と連通しており、該各内窪み部153は、前記載置面14に向かって縮径するテーパ状をなすと共に、対応する該内側傾斜孔142と連通しており、該各外窪み部154は、該載置面14に向かって縮径するテーパ状をなすと共に、対応する該外側傾斜孔141と連通している。
【0026】
前記底蓋20は、前記各内側流路151及び各外側流路152を覆うように、前記連結部11の底面部112及び各流路面15に固設されるシート体であり、該各内側流路151及び各外側流路152は底蓋20によって覆われることにより内部空間が形成される。
【0027】
図1、
図4及び
図7に示すように、本発明に係る空気浮上式ウェハ搬送アームを使用する際には、まず、連結部11を介して移動手段(図示せず)に接続し、接続ヘッド116に外部の給気管路(図示せず)を接続してから利用する。本発明のウェハ搬送アームが搬送対象のウェハ30の一方の側面に移動すると、給気管路から空気導入孔114を通って各内側流路151及び各外側流路152に濾過処理された気体を供給し、供給された気体は、各内側流路151及び各外側流路152を通過して、各内側傾斜孔142及び各外側傾斜孔141から吹き出す。
図1、
図7及び
図8に示すように、左アーム13及び右アーム12の気体の吹き出し方は同じであることから、ここでは、右アーム12を例にして、気体の流れる様子について説明する。内側傾斜孔142から吹き出し気体は、ウェハ30に当たって内側下方に流れ、左アーム13から吹き出した気体も同様であり、両気流がぶつかり合う領域とウェハ30との間に真空領域が発生する。外側傾斜孔141から吹き出した気体は、右アーム12とウェハ30との間の狭い空間を通過して圧縮されて、横から勢いよく流出し、そのうち、一部の気体は集気部143に流入する。その後、漏斗状の集気部143を経過した気体は再び加速して、アームとウェハ30との間からより強く流出する。ベルヌーイの原理によれば、流速の速い流体は、流速の遅い流体よりも圧力が低いという現象により、外側傾斜孔141から吹き出されてウェハ30の下方を流れる気体の流速が、ウェハ30上方の気体の流速よりもはるかに速くなることから、ウェハ30の下方の圧力は上方の圧力よりも低くなる。さらに、上述したように、左、右アーム12、13とウェハ30との間に真空領域が形成されることで、ウェハ30は、その上方の圧力が下方の圧力よりも大きくなることから、本発明のウェハ搬送アームに接近する傾向がある。一方、各内側傾斜孔142及び各外側傾斜孔141から吹き出された気体の圧力を調整することにより、ウェハ30下方に吹き付ける気体の推力を、ウェハ30上方の圧力と等しく調整すれば、ウェハ30は吸引力及び吹き付け力の作用により、左アーム13と右アーム12の上方に安定して非接触で保持され、これにより、搬送中にウェハ30表面の損傷を防止することができる。
【0028】
また、
図1及び
図7に示すように、第1位置決め部115及第2位置決め部144の設置により、浮上している最中のウェハ30は、その周縁が第1当接面117及び第2当接面147に当接するように位置決めされているので、搬送中に横から脱落することはない。
【0029】
以上の説明は、本発明の好適な実施形態に過ぎず、本発明に対して何ら限定を行うものではない。本発明について、比較的好適な実施形態をもって上記のとおり開示したが、これは本発明を限定するものではなく、すべての当業者が、本発明の技術構想を逸脱しない範囲において、本発明の技術の本質基づいて上記の実施形態に対して行ういかなる簡単な修正、変更及び修飾も、依然としてすべて本発明の技術構想の範囲内にある。
【符号の説明】
【0030】
10 本体
11 連結部
111 上面部
112 底面部
113 前面部
114 空気導入孔
115 第1位置決め部
116 接続ヘッド
117 第1当接面
12 右アーム
13 左アーム
14 載置面
141 外側傾斜孔
142 内側傾斜孔
143 集気部
144 第2位置決め部
145 入口端部
146 出口端部
147 第2当接面
15 流路面
151 内側流路
152 外側流路
153 内窪み部
154 外窪み部
20 底蓋
30 ウェハ