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特開2022-192039カバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成用組成物、その製造方法およびその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022192039
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】カバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成用組成物、その製造方法およびその用途
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/10 20060101AFI20221221BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20221221BHJP
   G02B 1/10 20150101ALI20221221BHJP
【FI】
C08G73/10
B32B27/34
G02B1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097183
(22)【出願日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】10-2021-0077760
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 110-728 Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】519214271
【氏名又は名称】エスケー アイイー テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK IE TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 03188 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ユン チョル ミン
(72)【発明者】
【氏名】パク ヒェ ジン
【テーマコード(参考)】
2K009
4F100
4J043
【Fターム(参考)】
2K009AA15
2K009BB02
2K009BB11
4F100AK49
4F100AK49A
4F100AR00B
4F100BA02
4F100BA07
4F100EH46
4F100EH46B
4F100GB41
4F100JG03
4F100JG03B
4F100JK10
4F100JK10B
4F100JK12
4F100JK12B
4F100JK17
4F100JL06
4F100JN06
4F100JN06B
4F100JN18
4F100JN18B
4J043PA04
4J043QB31
4J043RA35
4J043SA06
4J043SA47
4J043SA54
4J043SA81
4J043SB02
4J043TA22
4J043TA47
4J043TA71
4J043TB02
4J043UA131
4J043UA132
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4J043UA232
4J043UB062
4J043UB301
4J043VA021
4J043VA022
4J043XA16
4J043YA06
4J043ZA11
4J043ZA51
4J043ZB11
4J043ZB21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高度化したカバーウィンドウの要求性能を満たすことができるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成用組成物、その製造方法およびその用途を提供する。
【解決手段】二無水物から誘導された構造単位、およびジアミンから誘導された構造単位を含むポリアミン酸またはポリイミドと、アミド系溶媒および炭化水素系溶媒の混合溶媒とを含み、前記炭化水素系溶媒は、前記混合溶媒の全重量に対して、10~40重量%含まれるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二無水物から誘導された構造単位、およびジアミンから誘導された構造単位を含むポリアミン酸またはポリイミドと、
アミド系溶媒および炭化水素系溶媒の混合溶媒とを含み、前記炭化水素系溶媒は、前記混合溶媒の全重量に対して、10~40重量%含まれるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物であって、
前記二無水物から誘導された構造単位は、下記化学式1で表される化合物および下記化学式2で表される化合物から誘導された構造単位を含み、前記ジアミンから誘導された構造単位は、下記化学式3で表される化合物および下記化学式4で表される化合物から誘導された構造単位を含む、カバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物。
[化学式1]
【化1】
[化学式2]
【化2】
[化学式3]
【化3】
[化学式4]
【化4】
【請求項2】
前記アミド系溶媒は、
ジメチルプロピオンアミドを含む、請求項1に記載のカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物。
【請求項3】
前記炭化水素系溶媒は、
環状炭化水素系溶媒である、請求項1に記載のカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物。
【請求項4】
前記環状炭化水素系溶媒は、
トルエン、ベンゼン、シクロヘキサンまたはこれらの組み合わせを含む、請求項3に記載のカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物。
【請求項5】
前記カバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物の全重量に対して、固形分を10~40の重量%含む、請求項1に記載のカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物。
【請求項6】
前記化学式1で表される化合物から誘導された構造単位は、
前記二無水物から誘導された構造単位100モル%に対して、70モル%~95モル%含まれる、請求項1に記載のカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物。
【請求項7】
前記化学式3で表される化合物から誘導された構造単位は、
前記ジアミンから誘導された構造単位100モル%に対して、70モル%~95モル%含まれる、請求項1に記載のカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物。
【請求項8】
i)アミド系溶媒下で、下記化学式1で表される化合物および下記化学式2で表される化合物と下記化学式3で表される化合物および下記化学式4で表される化合物を反応させてポリアミン酸溶液を製造するステップと、
ii)前記ポリアミン酸溶液に炭化水素系溶媒を追加投入してポリアミン酸の結晶性を調節するステップと、
iii)前記ii)ステップで取得されたカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物を基板上に塗布し、硬化させるステップとを含み、
前記ii)ステップの炭化水素系溶媒は、前記アミド系溶媒および炭化水素系溶媒の全重量に対して、10~40重量%になるように投入される、カバーウィンドウ用ポリイミドフィルムの製造方法。
[化学式1]
【化5】
[化学式2]
【化6】
[化学式3]
【化7】
[化学式4]
【化8】
【請求項9】
前記iii)ステップの硬化させるステップは、
80~300℃で加熱して行われる、請求項8に記載のカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムの製造方法。
【請求項10】
前記iii)ステップの塗布の後、
常温で放置するステップをさらに含む、請求項8に記載のカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムの製造方法。
【請求項11】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物で製造されたカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム。
【請求項12】
厚さが30~150μmであり、ASTM E313による黄色度(YI)が3.5以下である、請求項11に記載のカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム。
【請求項13】
厚さが40~80μmであり、ASTM E313による黄色度(YI)が1.0~2.7である、請求項11に記載のカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム。
【請求項14】
基板の一面に形成された請求項11から請求項13のいずれか一項に記載のポリイミドフィルムを含む多層構造体。
【請求項15】
前記ポリイミドフィルム上に形成されたコーティング層をさらに含む、請求項14に記載の多層構造体。
【請求項16】
前記コーティング層は、
ハードコーティング層、帯電防止層、指紋防止層、防汚層、スクラッチ防止層、低屈折層、反射防止層、衝撃吸収層、またはこれらの組み合わせである、請求項15に記載の多層構造体。
【請求項17】
請求項11に記載のポリイミドフィルムを含むディスプレイ装置用カバーウィンドウ。
【請求項18】
請求項17に記載のディスプレイ装置用カバーウィンドウを含むフレキシブルディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物、その製造方法およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドフィルム(PI)は、不溶、不融の超高耐熱性を有し、優れた耐熱酸化性、耐熱特性、耐放射線性、低温特性、耐薬品性を有する。これにより、ポリイミドフィルムは、自動車素材、航空素材、宇宙船素材などの耐熱先端素材および絶縁コーティング剤、絶縁膜、半導体、TFT-LCDの電極保護膜などの電子材料など、広範な技術分野において使用されており、最近、ポータブル電子機器および通信機器のカバーウィンドウとして使用される高価の強化ガラスを代替するための素材としても注目されている。
【0003】
ポータブル電子機器および通信機器のカバーウィンドウは、プリント配線基板、半導体集積回路のリードフレームなどの電子部品を保護するためのものであり、所定の水準以上の絶縁性を有する必要がある。また、ポータブル電子機器および通信機の薄膜化、スリム化およびフレキシブル化に伴い、高硬度、高剛性などの機械的物性とともに柔軟性が求められる。また、一般的に、様々な物性を与えるために、基板上にコーティング層が積層されて、カバーウィンドウにおいて光の乱反射が引き起こされ、光学汚れが発生し、視認性が低下し得るため、表示品質が高く、ムラ(Mura)現象が発生しないなどの光学的物性も求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許公報第10-2019-0038268号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一具現例は、高度化したカバーウィンドウの要求性能を満たすことができるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物およびその製造方法を提供する。
【0006】
詳細には、一具現例は、改善した黄色度を実現することができ、広い視野角での反射防止の効果があってムラ現象を著しく減少させることができるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムを提供するためのカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物およびその製造方法を提供する。
【0007】
他の具現例は、無色透明な光学的物性が低下しないとともに、光学汚れがなく、視認性などに優れた光学的物性を有し、耐熱性および機械的物性に優れ、ディスプレイ装置の光学用途に使用するためのカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムを提供する。
【0008】
さらに他の具現例は、前記ポリイミドフィルムを含む多層構造体を提供する。
【0009】
さらに他の具現例は、前記ポリイミドフィルムを含むディスプレイ装置用カバーウィンドウを提供する。
【0010】
さらに他の具現例は、前記ポリイミドフィルムまたは前記カバーウィンドウを含むフレキシブルディスプレイ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物は、二無水物から誘導された構造単位、およびジアミンから誘導された構造単位を含むポリアミン酸またはポリイミドと、アミド系溶媒および炭化水素系溶媒の混合溶媒とを含み、前記炭化水素系溶媒は、前記混合溶媒の全重量に対して、10~40重量%含まれるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物であることができる。具体的な一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物であって、前記二無水物から誘導された構造単位は、下記化学式1で表される化合物および下記化学式2で表される化合物から誘導された構造単位を含み、前記ジアミンから誘導された構造単位は、下記化学式3で表される化合物および下記化学式4で表される化合物から誘導された構造単位を含むことができる。
[化学式1]
【化1】
[化学式2]
【化2】
[化学式3]
【化3】
[化学式4]
【化4】
【0012】
前記アミド系溶媒は、ジメチルプロピオンアミドを含むものであることができる。
【0013】
前記炭化水素系溶媒は、環状炭化水素系溶媒であることができる。
【0014】
前記環状炭化水素系溶媒は、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサンまたはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0015】
一具現例による前記カバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物は、前記カバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物の全重量に対して、固形分を10~40の重量%含むものであることができる。
【0016】
前記カバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物であって、前記化学式1で表される化合物から誘導された構造単位は、前記二無水物から誘導された構造単位100モル%に対して、70モル%~95モル%含まれることができる。
【0017】
前記カバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物であって、前記化学式3で表される化合物から誘導された構造単位は、前記ジアミンから誘導された構造単位100モル%に対して、70モル%~95モル%含まれることができる。
【0018】
また、他の具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムの製造方法は、i)アミド系溶媒下で、下記化学式1で表される化合物および下記化学式2で表される化合物と下記化学式3で表される化合物および下記化学式4で表される化合物を反応させてポリアミン酸溶液を製造するステップと、
ii)前記ポリアミン酸溶液に炭化水素系溶媒を追加投入してポリアミン酸の結晶性を調節するステップと、
iii)前記ii)ステップで取得されたカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物を基板上に塗布し、硬化させるステップとを含み、
前記ii)ステップの炭化水素系溶媒は、前記アミド系溶媒および炭化水素系溶媒の全重量に対して、10~40重量%になるように追加投入されるものであることができる。
[化学式1]
【化5】
[化学式2]
【化6】
[化学式3]
【化7】
[化学式4]
【化8】
【0019】
前記iii)ステップの硬化させるステップは、80~300℃で加熱して行われるものであることができる。
【0020】
前記iii)ステップの塗布の後、常温で放置するステップをさらに含むものであることができる。
【0021】
また、さらに他の具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムは、前記カバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物で製造されたものであることができる。
【0022】
前記ポリイミドフィルムは、厚さが30~150μmであり、ASTM E313による黄色度(YI)が3.5以下であることができる。
【0023】
前記ポリイミドフィルムは、厚さが40~80μmであり、ASTM E313による黄色度(YI)が1.0~2.7であることができる。
【0024】
また、さらに他の具現例による多層構造体は、基板の一面に形成された前記ポリイミドフィルムを含むことができる。
【0025】
前記多層構造体は、前記ポリイミドフィルム上に形成されたコーティング層をさらに含むことができる。
【0026】
前記コーティング層は、ハードコーティング層、帯電防止層、指紋防止層、防汚層、スクラッチ防止層、低屈折層、反射防止層、衝撃吸収層、またはこれらの組み合わせであることができる。
【0027】
また、さらに他の具現例によるディスプレイ装置用カバーウィンドウは、前記ポリイミドフィルムを含むことができる。
【0028】
また、さらに他の具現例によるフレキシブルディスプレイ装置は、前記ディスプレイ装置用カバーウィンドウを含むことができる。
【発明の効果】
【0029】
一具現例によると、ポリアミン酸と混合溶媒の相互作用(interaction)を阻害させて、硬化時に分子間の充填密度を著しく減少させることができる。これにより、無色透明な性能が低下せず、且つ優れた光学的物性および優れた機械的物性を同時に実現することができるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムを提供することができる。また、柔軟で曲げ特性に優れ、フレキシブルディスプレイのカバーウィンドウに適用することができる。
【0030】
一具現例によると、ポリイミドフィルムの欠点である分子間相互作用を効率的に制御することで、優れた接着性を有するとともに、モジュラスと破断伸び率などの優れた機械的物性は言うまでもなく、光学的物性を発現することができ、ディスプレイパネルのカバーウィンドウとして使用する時に、視認性の問題になる黄色度の低下は言うまでもなく、ムラ(mura)現象、特に、位相差によるレインボームラ(rainbow mura)を効果的に抑制し、これを含むディスプレイパネルの信頼度を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、一具現例について、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。ただし、本発明は、様々な相違する形態に実現されることができ、ここで説明する具現例に限定されない。また、特許請求の範囲により限定される保護範囲を制限するものでもない。
【0032】
また、本明細書で使用される技術用語および科学用語において他の定義がなければ、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が通常理解している意味を有し、下記の説明で本発明の要旨を不明瞭にし得る公知の機能および構成に関する説明は省略する。
【0033】
本明細書の全般にわたり、ある部分がある構成要素を「含む」ということは、特別に逆の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味し得る。
【0034】
以下、本明細書において特別な定義がない限り、層、膜、薄膜、領域、板などの部分が他の部分「の上に」または「上に」あるとした時に、これは、他の部分の「真上に」ある場合だけでなく、その中間にさらに他の部分がある場合も含むことができる。
【0035】
以下、本明細書で特別な定義がない限り、「これらの組み合わせ」とは、構成物の混合または共重合を意味し得る。
【0036】
以下、本明細書で特別な定義がない限り、「Aおよび/またはB」とは、AとBを同時に含む様態を意味し得、AとBから選択された様態を意味し得る。
【0037】
以下、本明細書で特別な定義がない限り、「重合体」は、相対的に高分子量の分子を意味し、その構造は、低分子量の分子から誘導された単位の多重繰り返しを含むことができる。一様態において、重合体は、交互(alternating)共重合体、ブロック(block)共重合体、ランダム(random)共重合体、枝分かれ(branched)共重合体、架橋(crosslinked)共重合体、またはこれらをすべて含む共重合体(例えば、1種より多い単量体を含む共重合体)であり得る。他の様態において、重合体は、単独重合体(homopolymer)(例えば、1種の単量体を含む共重合体)であることができる。
【0038】
以下、本明細書で特別な定義がない限り、「ポリアミン酸」は、アミン酸(amic acid)部分(moiety)を有する構造単位を含む重合体を意味し、「ポリイミド」は、イミド部分を有する構造単位を含む重合体を意味し得る。
【0039】
以下、本明細書で特別な定義がない限り、ポリイミドフィルムは、ポリイミドを含むフィルムであることができ、具体的には、二無水物化合物とジアミン化合物またはジイソシアネート化合物を溶液重合してポリアミン酸を製造した後、高温で閉環脱水させてイミド化して製造される高耐熱性フィルムであることができる。
【0040】
以下、本明細書で特別な定義がない限り、「ムラ現象」は、特定の角度で引き起こされ得る光による歪み現象をすべて包括する意味に解釈されることができる。例えば、ポリイミドフィルムを含むディスプレイ装置において、画面が黒く見えるブラックアウト現象、ホットスポット現象または虹光の汚れを有するレインボー現象など光による歪みを有することができる。
【0041】
従来、ポリイミドフィルムに機能性を付与しながら光学的物性と機械的物性を増加させるために、様々な構造の単量体を組み合わせるか変更する試みは多かった。しかし、機械的な物性と光学的な物性は互いにトレードオフ(trade-off)関係にあり、このような試みは、機械的物性が良好になっても、機能性が低下するか光学的物性が劣化する極めて一般的な結果を得るしかなかった。そのため、優れた機械的物性、機能性、および光学的物性を同時に付与することができる新たな試みが必要である。
【0042】
一具現例によるポリイミドフィルム形成のための組成物(以下、ポリイミドフィルム形成組成物ともいう)は、ポリアミン酸(以下、ポリイミド前駆体ともいう)および/またはポリイミドの重合溶媒として使用することができず、ポリイミドと親和性がない無極性溶媒を適用することで、光学的物性、機能性および機械的物性が同時に改善したポリイミドフィルムを提供することができる。具体的には、一具現例によるポリイミドフィルム形成組成物は、既存の光学用接着フィルムと同等な水準以上の接着性を有するとともに改善した黄色度を有し、光による歪み現象が著しく低減したポリイミドフィルムを提供することができる。これにより、一具現例によるポリイミド形成組成物により製造されたポリイミドフィルムは、フォールダブルまたはフレキシブルディスプレイ装置に適用可能な新たな基板素材またはカバーウィンドウ素材に適用されることができ、前記ポリイミドフィルムは優れた視認性を有することで、ユーザの目の疲れを最小化することができる。
【0043】
一具現例によるポリイミドフィルム形成組成物は、ポリアミン酸および/またはポリイミド;極性溶媒;無極性溶媒;を含むことができる。前記極性溶媒は、親水性溶媒であることができ、例えば、ポリアミン酸および/またはポリイミドとの親和性があることができ、例えば、アミド系溶媒であることができる。また、前記無極性溶媒は、ポリアミン酸および/またはポリイミドとの親和性がほとんどないことができ、例えば、炭化水素系溶媒であることができる。
【0044】
特定の理論に拘束されるものではないが、アミド系溶媒と炭化水素系溶媒の混合溶媒を使用することで、重合体と重合体との分子間相互作用(intermolecular interaction)および/または重合体と溶媒との相互作用を効果的に阻害させることができ、硬化時に分子間の充填密度が著しく低下し、目的とする優れた光学的物性と機械的物性を同時に向上することができる。
【0045】
これにより、一具現例によるポリイミドフィルム形成組成物は、単純にポリアミン酸の重合ステップでの混合溶液とは相違する分子間挙動および相互作用を示すことができる。例えば、ポリアミン酸を重合するステップで、前記炭化水素系溶媒を含む場合、重合を妨害する要因として作用し、高分子量のポリアミン酸を取得することができないことがある。一方、一具現例によるポリイミドフィルム形成組成物では、十分な高分子量のポリアミン酸および/またはポリイミドを取得した後、ポリアミン酸および/またはポリイミドと炭化水素系溶媒が混合されることで、重合体間の分子間相互作用および/または重合体と溶媒との強い相互作用を弱くする触媒の役割を果たすことができ、以降、硬化時に、目的とする光学的物性を取得することができる。
【0046】
一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物は、二無水物から誘導された構造単位、およびジアミンから誘導された構造単位を含むポリアミン酸および/またはポリイミドと、アミド系溶媒および炭化水素系溶媒の混合溶媒とを含むことができ、前記炭化水素系溶媒は、前記混合溶媒の全重量に対して、10~40重量%含まれることができる。前記二無水物から誘導された構造単位は、下記化学式1で表される化合物および下記化学式2で表される化合物から誘導された構造単位を含むことができ、前記ジアミンから誘導された構造単位は、下記化学式3で表される化合物および下記化学式4で表される化合物から誘導された構造単位を含むことができる。これにより、充填密度を阻害し、無定形(amorphous)化して、光学的物性が向上したカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムを提供することができる。
【0047】
[化学式1]
【化9】
【0048】
[化学式2]
【化10】
[化学式3]
【化11】
【0049】
[化学式4]
【化12】
【0050】
上述のように、一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物は、アミド系溶媒および炭化水素系溶媒の混合溶媒を使用することによって、具体的には、十分な高分子量のポリアミン酸および/またはポリイミドを取得した後、炭化水素系溶媒のさらに溶液内のポリアミン酸および/またはポリイミドの結晶性を調節することで、優れた光学的物性と機械的物性を同時に向上させることができる。ここで、前記アミド系溶媒と炭化水素系溶媒を順に使用することで、ポリイミド前駆体であるポリアミン酸および/またはポリイミド系溶媒の相互作用をより適切な範囲で調節することができる。ここで、前記調節は、阻害を意味し得る。
【0051】
前記アミド系溶媒は、アミド部分を含む化合物を意味する。前記アミド系溶媒は、芳香族や脂肪族であることができるが、例えば、脂肪族であることができる。また、例えば、前記アミド系溶媒は、環状化合物や直鎖状化合物であることができ、具体的には、2~15の炭素数を有することができ、例えば、3~10の炭素数を有することができる。
【0052】
前記アミド系溶媒は、N,N-ジアルキルアミド部分を含むことができ、前記ジアルキル基は、それぞれ独立して存在するか、互いに融合して環を形成するか、前記ジアルキル基のうち少なくとも一つのアルキル基が分子内の他の置換基と融合して環を形成することができ、例えば、前記ジアルキル基のうち少なくとも一つのアルキル基がアミド部分のカルボニル炭素に連結されたアルキル基と融合して環を形成することができる。ここで、前記環は、4~7員環であることができ、例えば、5~7員環であることができ、例えば、5員または6員環であることができる。前記アルキル基は、例えば、C1~C10アルキル基、例えば、C1~C8アルキル基、例えば、メチルまたはエチルなどであることができる。
【0053】
具体的には、前記アミド系溶媒は、ポリアミン酸重合に一般的に使用されるものであれば制限されないが、例えば、ジメチルプロピオンアミド、ジエチルプロピオンアミド、ジメチルアセチルアミド、ジエチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、メチルピロリドン、エチルピロリドン、オクチルピロリドンまたはこれらの組み合わせを含むことができ、具体的には、ジメチルプロピオンアミドを含むものであることができる。
【0054】
前記炭化水素系溶媒は、上述のように、無極性溶媒であることができる。
【0055】
前記炭化水素溶媒は、炭素と水素からなる化合物であることができる。例えば、前記炭化水素系溶媒は、芳香族であるか脂肪族であることができ、例えば、環状化合物であるか直鎖状化合物であることができるが、具体的には、環状化合物であることができる。ここで、前記炭化水素溶媒が環状化合物である場合、単環または多環を含むことができ、前記多環は、縮合環か非縮合環であることができるが、具体的には、単環であることができる。
【0056】
前記炭化水素系溶媒は、3~15の炭素数を有することができ、例えば、6~15の炭素数を有することができ、例えば、6~12の炭素数を有することができる。
【0057】
前記炭化水素系溶媒は、置換または非置換のC3~C15のシクロアルカン、置換または非置換のC6~C15芳香族化合物、またはこれらの組み合わせであることができる。ここで、前記シクロアルカンは、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、またはこれらの組み合わせであることができ、前記芳香族化合物は、ベンゼン、ナフタレン、またはこれらの組み合わせであることができる。
【0058】
前記炭化水素系溶媒は、少なくとも一つのC1~C5のアルキル基で置換されるか非置換のシクロアルカン、少なくとも一つのC1~C5アルキル基で置換されるか非置換の芳香族化合物、またはこれらの組み合わせであることができ、ここで、前記シクロアルカンおよび芳香族化合物は、それぞれ、上述のとおりである。
【0059】
前記C1~C5アルキル基は、例えば、C1~C3アルキル基、例えば、C1またはC2アルキル基であることができ、より具体的には、メチル基であることができるが、これに限定されるものではない。
【0060】
また、前記炭化水素系溶媒は、必要に応じて、酸素をさらに含むことができる。例えば、前記炭化水素系溶媒が酸素を含む場合、ケトン基やヒドロキシ基を含むことができ、例えば、シクロペンタノン、クレゾール、またはこれらの組み合わせであることができる。
【0061】
具体的には、前記炭化水素系溶媒は、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、シクロペンタノン、クレゾール、またはこれらの組み合わせであることができるが、これに限定されるものではない。
【0062】
さらに具体的には、一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物は、ジメチルプロピオンアミドを含むアミド系溶媒と、トルエン、ベンゼンおよびシクロヘキサンなどから選択される炭化水素系溶媒とを含む混合溶媒を含むことができる。
【0063】
一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物は、前記で例示されているジアミンと二無水物から誘導された構造単位を含むポリアミン酸および/またはポリイミドを含む。
【0064】
一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物の固形分含量は、ポリイミドフィルム形成組成物の全重量に対して10~40重量%、または10~35重量%、または10~20重量%の範囲を満たすものであることができる。ここで、前記固形分は、前記ポリアミン酸および/またはポリイミドであることができる。
【0065】
一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物は、前記炭化水素系溶媒を10~40重量%含むことができる。ここで、前記重量%は、溶媒の全重量を基準とし、基準になる前記溶媒の全重量は、前記アミド系溶媒と炭化水素系溶媒の全重量の和を意味する。
【0066】
また、上述の混合溶媒の条件を満たす場合、より改善した黄色度およびヘイズを実現することができ、その効果と同時に、ガラスなどの基板との接着力をより著しく向上させることができる。すなわち、前記混合溶媒は、前記アミド系溶媒および炭化水素系溶媒を90:10~60:40の重量比で含むものであることができる。
【0067】
前記ポリアミン酸および/またはポリイミドは10,000~80,000g/mol、または10,000~70,000g/mol、または10,000~60,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有するものであることができる。
【0068】
一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物は、BPDA(3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボキシリックジアンハイドライド)、BTDA(3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボキシリックジアンハイドライド)、ODPA(4,4’-オキシジフタリックアンハイドライド)、BPADA(4,4’-(4,4’-イソプロピルビフェノキシ)ビフタリックアンハイドライド)、DSDA(3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボキシリックジアンハイドライド)、TMHQ(p-フェニレンビストリメリティックモノエステルアンハイドライド)、ESDA(2,2’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート-3,3’,4,4’-テトラカルボキシリックジアンハイドライド)、NTDA(ナフタレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド)およびTMEG(エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)などから選択される一つまたは二つ以上の二無水物から誘導された構造単位をさらに含むこともできる。
【0069】
また、一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物は、PDA(p-フェニレンジアミン)、m-PDA(m-フェニレンジアミン)、4,4’-ODA(4,4’-オキシジアニリン)、3,4’-ODA(3,4’-オキシジアニリン)、BAPP(2,2-ビス(4-[4-アミノフェノキシ]-フェニル)プロパン)、TPE-Q(1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン)、TPE-R(1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン)、BAPB(4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル)、BAPS(2,2-ビス(4-[4-アミノフェノキシ]フェニル)スルホン)、m-BAPS(2,2-ビス(4-[3-アミノフェノキシ]フェニル)スルホン)、HAB(3,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノビフェニル)、TB(3,3’-ジメチルベンジジン)、m-TB(2,2’-ジメチルベンジジン)、6FAPB(1,4-ビス(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン)、6FODA(2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル)、APB(1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン)、1,4-ND(1,4-ナフタレンジアミン)、1,5-ND(1,5-ナフタレンジアミン)、DABA(4,4’-ジアミノベンズアニリド)、6-アミノ-2-(4-アミノフェニル)ベンゾオキサゾールおよび5-アミノ-2-(4-アミノフェニル)ベンゾオキサゾールなどから選択される一つまたは二つ以上のジアミンから誘導された構造単位をさらに含むこともできる。
【0070】
また、前記芳香族ジアミンは、フッ素系芳香族ジアミンの組み合わせをさらに含むことができる。ここで、前記フッ素系芳香族ジアミンの具体的な様態としては、TFMB(2,2’-ビストリフルオロメチルベンジジン)に6FAPB(1,4-ビス(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン)、6FODA(2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル)またはその組み合わせをさらに含むものであることができる。これにより、全光線透過率がより高く、ヘイズがより低いフィルムを提供することができる。
【0071】
一具現例によるポリイミドフィルム形成組成物は、前記で言及したジアミンと二無水物から誘導された構造単位をさらに含むポリアミン酸および/またはポリイミドを提供することができる。
【0072】
通常、薄膜を安定的にコーティングするためには、10重量%以上(組成物の全重量に対して)の高い固形分含量が求められるが、ポリイミドの場合、固形分の濃度が高くなるほど粘度も高くなる傾向がある。しかし、薄膜をコーティング工程により製造時に、粘度が高くて高分子の流れが良好でないと、気泡の除去が難しく、コーティング時にムラが発生する。
【0073】
一方、一具現例によるポリイミドフィルム形成組成物は、アミド系溶媒および炭化水素系溶媒の混合溶媒を使用することで、高含量の固形分を含んでも、組成物の粘度を著しく下げることができる。これにより、コーティング工程時に発生する不良を効果的に防止することができ、より向上した光学的物性を実現することができる。それだけでなく、上述のようにアミド系溶媒を単独で使用する場合、高い粘度であることから固形分の濃度を高め難くて工程効率性が減少したが、一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物は、低い粘度を有することでコーティング工程時に発生する不良がないとともに、高い固形分含量を有することで、商業的にも有利であることができる。
【0074】
さらに、前記カバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物を硬化して30~150μmの厚さで形成された硬化膜、すなわち、カバーウィンドウ用ポリイミドフィルムは、リジッドな構造からなるポリイミド重合体を含むポリイミドフィルムに比べて黄色度は言うまでもなく、光の歪み現象がより改善することができる。例えば、一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムで、前記二無水物から誘導された構造単位は、リジッドな構造単位を含まないこともあり、例えば、2個の無水物基が一つの環に融合した二無水物から由来した構造単位を含まないこともある。前記環は、単環または縮合環であることができ、芳香族環、脂肪族環、またはこれらの組み合わせであることができる。具体的には、前記二無水物から誘導された構造単位は、ピロメリット酸二無水物(PMDA)から誘導された構造単位、シクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物(CBDA)から誘導された構造単位、またはこれらの組み合わせを含まないこともある。
【0075】
これにより、一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムは、30μm以上の厚さでも透明であるとともに低い厚さ方向位相差を実現することができ、視認性をより向上させることができ、前記カバーウィンドウ用ポリイミドフィルムを含むカバーウィンドウを使用する場合、目の疲れをより低減することができる。また、30μm以上の厚さを有しても、上述のように優れた光学的特性を有することができるため、モジュラスなどの機械的強度をより向上させることができ、動的曲げ(dynamic bending)特性がより向上して繰り返して折り曲げたり展開する動作を繰り返すフレキシブルディスプレイ装置のカバーウィンドウとして適用するのにさらに適することができる。
【0076】
一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物において、前記化学式1で表される化合物から誘導された構造単位は、前記二無水物から誘導された構造単位100モル%に対して70~95モル%含まれることができる。ここで、前記二無水物から誘導された構造単位は、具体的には、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物から誘導された構造単位のすべてのモル%であることができる。上述のように、前記化学式1で表される化合物から誘導された構造単位を含むことで、前記カバーウィンドウ用ポリイミドフィルムの厚さが30μm以上の場合にも、より透明であるとともに低い厚さ方向位相差を付与するだけでなく、より優れたモジュラス、破断伸び率などの機械的物性を有することができる。これにより、強化ガラスと同等であるか優れた光学的物性および機械的物性の実現が可能である。
【0077】
前記化学式1で表される化合物から誘導された構造単位が上述の範囲で含まれることで、機械的物性と光学的物性が同時にさらに優れることができる。例えば、前記化学式1で表される化合物から誘導された構造単位は、前記二無水物から誘導された構造単位100モル%に対して70~90モル%、または70~85モル%含まれるものであることができる。
【0078】
また、一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物において、前記化学式3で表される化合物から誘導された構造単位は、前記ジアミンから誘導された構造単位100モル%に対して70~95モル%含まれることができる。ここで、前記ジアミンから誘導された構造単位は、具体的には、前記化学式3で表される化合物および前記化学式4で表される化合物から誘導された構造単位のすべてのモル%であることができる。上述のように、前記化学式3で表される化合物から誘導された構造単位を含むことで、前記カバーウィンドウ用ポリイミドフィルムの厚さが30μm以上である場合にも、より安定的な正波長分散性により視認性がさらに向上することができ、さらに優れたモジュラス、破断伸び率などの機械的物性を有することができる。これにより、強化ガラスと同等であるか優れた光学的物性および機械的物性の実現が可能である。
【0079】
例えば、前記化学式3で表される化合物から誘導された構造単位は、前記ジアミンから誘導された構造単位100モル%に対して、70~90モル%、より具体的には75~90モル%含むものであることができる。前記化学式3で表される化合物から誘導された構造単位が上述の範囲で含まれることで、光学的物性がより優れることができる。
【0080】
以下、一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムの用途について説明する。
【0081】
一具現例による第1様態は、本発明のカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムを含む多層構造体であることができる。ここで、前記多層構造体は、一具現例のカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムと互いに異なる組成の単量体を含むポリイミドフィルムを2層以上のコーティング層として含むものであることができる。
【0082】
また、一具現例による第2様態は、一具現例のカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムおよび前記フィルム上に形成されたコーティング層を含むディスプレイ装置用カバーウィンドウであることができる。
【0083】
また、一具現例による第3様態は、一具現例のカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムを含むフレキシブルディスプレイ装置であることができる。
【0084】
一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムは、厚さが30~150μmであり、550nmの波長での厚さ方向位相差(Rth)の絶対値が500nm以下であり、ASTM E313による黄色度(YI)が3.5以下であることができる。前記厚さ方向位相差値は、フィルムを加熱する前の常温(normal temperature)で測定したものであることができ、前記常温は、人為的に温度調節をしない状態の温度であることができる。例えば、前記常温は、20℃~40℃、または20℃~30℃、または23~26℃であることができる。
【0085】
一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムは、厚さが30~150μmである時に、550nmの波長での厚さ方向位相差(Rth)の絶対値が350nm以下、または50~300nmであることができる。一例として、前記カバーウィンドウ用ポリイミドフィルムは、厚さが40~80μmである時に、550nmの波長での厚さ方向位相差(Rth)の絶対値が50~250nm、または80~240nm、または90~220nmであることができる。
【0086】
また、一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムは厚さが30~150μmである時に、黄色度が3.5以下、または3.0以下、または2.7以下、または1~2.7であることができる。一例として、前記カバーウィンドウ用ポリイミドフィルムは厚さが40~80μmである時に、前記黄色度が1.0~2.7、または1.5~2.5であることができる。
【0087】
具体的には、一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムは、厚さが30~150μmである時の550nmの波長での厚さ方向位相差(Rth)および黄色度を同時に満たすものであることができる。なお、前記カバーウィンドウ用ポリイミドフィルムは、厚さが40~80μmである時の550nmの波長での厚さ方向位相差(Rth)および黄色度を同時に満たすものであることができる。
【0088】
また、一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムは、厚さが30~150μmである時に、(a)ASTM E111によるモジュラスが4GPa以上であり、(b)破断伸び率が15%以上を満たすものであることができ、より具体的には、上述の550nmの波長での厚さ方向位相差(Rth)および黄色度と同時にこのような機械的特性を満たすものであることができる。
【0089】
一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムは、具体的には、ASTM E111によるモジュラスが4GPa以上、または4.1GPa以上、または4.1~6GPaであることができる。また、前記カバーウィンドウ用ポリイミドフィルムは、破断伸び率が15%以上、または16%以上、または18%以上、または20%以上、または25~40%であることができ、具体的には、上述のモジュラスと破断伸び率を同時に満たすものであることができる。これにより、カバーウィンドウへの適用に十分な機械的な物性および耐久性を提供することができる。
【0090】
一具現例による前記第1様態、第2様態または第3様態は、光による歪み現象を著しく低減するとともに、モジュラス、破断伸び率などの機械的物性を満たすことができるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムを含むことで、必要に応じて、機能性を有するコーティング層をさらに含むこともできる。
【0091】
前記コーティング層は、一具現例のカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムまたは基板の少なくとも一つの他面に形成されるものであり、その非限定的な一例としては、ハードコーティング層、帯電防止層、指紋防止層、防汚層、スクラッチ防止層、低屈折層、反射防止層および衝撃吸収層などが挙げられ、少なくとも一つまたは二つ以上のコーティング層を備えることができる。この際、前記コーティング層の厚さは、1~500μm、または2~450μm、または2~200μmであることができる。
【0092】
このような優れた光学的物性と機械的物性を備えることで、前記カバーウィンドウ用ポリイミドフィルムはディスプレイ装置のカバーウィンドウをはじめ、様々な角度でも充分に低い位相差を示すことで、広い視野角を確保することができる様々な産業分野へとその応用の幅が拡大することが期待される。
【0093】
一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムは、黄色度、上述の範囲の厚さ方向位相差、モジュラス、および破断伸び率をすべて満たすことにより、光によるイメージ歪みを防止し、より向上した視認性を付与することができる。また、フィルムの中央部および辺部に全体的にさらに均一な機械的物性(モジュラスなど)と光学的物性(黄色度、厚さ方向位相差など)を示すことができ、フィルムロス(loss)をより減少させることができる。また、前記カバーウィンドウポリイミドフィルムは、柔軟で、曲げ(bending)特性に優れることから、所定の変形が繰り返して生じても、フィルムが変形および/または損傷が発生せず、最初の形にさらに容易に戻ることができる。
【0094】
一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムを含むカバーウィンドウは、より優れた視認性を有することができ、折り畳み跡および微細クラックの発生を防止して、フレキシブルディスプレイ装置のより優れた耐久性および長期寿命性を付与することができる。
【0095】
一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムは、前記で例示されているジアミンと二無水物から誘導された構造単位を含むポリイミド樹脂で製造されることができ、具体的には、前記ポリイミド樹脂は、10,000~80,000g/mol、または10,000~70,000g/mol、または10,000~60,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有するものであることができるが、これに限定されるものではない。
【0096】
上述のように、一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムは、優れた光学的物性と機械的物性を有することで、ディスプレイ装置のカバーウィンドウをはじめ、様々な角度でも充分に低い位相差を示すことができ、これにより、広い視野角の確保が求められる様々な産業分野において応用されることができる。
【0097】
一例として、ディスプレイ装置は、優れた光学的物性を求める分野であれば特に制限されず、これに適するディスプレイパネルを選択して提供することができる。具体的には、前記カバーウィンドウ用ポリイミドフィルムは、フレキシブルディスプレイ装置に適用することができる。その非限定的な一例としては、液晶表示装置、電界発光表示装置、プラズマ表示装置、電界放出表示装置など、各種の画像表示装置などが挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0098】
また、上述の一具現例によるカバーウィンドウポリイミドフィルムを含むディスプレイ装置は、高透明性で表示される表示品質に優れるだけでなく、光による歪み現象が著しく低減されることによって、特に、虹色の汚れが発生するレインボー現象が著しく改善し、優れた視認性によりユーザの目の疲れを最小化することができる。特に、ディスプレイ装置の画面サイズが大きくなるにつれて、側面から画面を見る場合が多くなるが、一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムをディスプレイ装置に適用する場合、側面から見ても視認性に優れ、大型ディスプレイ装置に有用に適用されることができる。
【0099】
以下、一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムの製造方法について説明する。
【0100】
一具現例では、30~150μmの厚さで形成された硬化膜が、550nmの波長での厚さ方向位相差(Rth)の絶対値が500nm以下であり、ASTM E313による黄色度(YI)が3.5以下である物性を同時に満たすことができるフィルムが製造されると、その製造方法が制限されず、後述する方法は、一例として具体的に例示するだけであって、前記物性を満たすフィルムが製造されれば、後述する方法に制限されない。
【0101】
具体的には、一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムの製造方法は、上述のカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物をガラスなどの基板上に塗布した後、熱硬化するか、乾燥および熱硬化して製造されたものであることができる。より具体的には、i)アミド系溶媒下で、二無水物およびジアミンを反応させてポリアミン酸および/またはポリイミド溶液を製造するステップと、ii)前記ポリアミン酸および/またはポリイミド溶液に炭化水素系溶媒を追加投入してポリアミン酸および/またはポリイミドの結晶性を調節するステップと、iii)前記ii)ステップで取得されたカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物を基板上に塗布し、硬化させるステップとを含み、前記ii)ステップの炭化水素系溶媒は、前記アミド系溶媒および炭化水素系溶媒の全重量に対して、10~40重量%になるように追加投入されるものであることができる。ここで、前記二無水物およびジアミンは、それぞれ上述のとおりであり、例えば、前記二無水物は、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物を含むことができ、前記ジアミンは、前記化学式3で表される化合物および前記化学式4で表される化合物を含むことができる。
【0102】
具体的には、一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムの製造方法において、前記ポリアミン酸および/またはポリイミド溶液は、前記二無水物100モル%に対して、前記化学式1で表される化合物を70~95モル%含むことができる。また、前記化学式2で表される化合物は、前記二無水物100モル%に対して5~30モル%含むことができる。また、前記化学式1で表される化合物は、70~90モル%、または70~85モル%含まれるものであることができる。
【0103】
具体的には、一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムの製造方法において、前記ポリアミン酸および/またはポリイミド溶液は、前記ジアミン100モル%に対して、前記化学式3で表される化合物を70~95モル%含むことができる。また、前記化学式4で表される化合物は、前記ジアミン100モル%に対して5~30モル%含むことができる。また、前記化学式3で表される化合物は、70~90モル%、より具体的には75~90モル%含むものであることができる。
【0104】
また、前記二無水物と前記ジアミンは、1:0.9~1:1.1のモル比で含まれることができ、ここで、前記二無水物は、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物を含むことができ、例えば、前記二無水物のモル数は、前記化学式2で表される化合物と前記化学式2で表される化合物のモル数の和であることができる。
【0105】
また、このようなモル%を満たす前記ポリアミン酸および/またはポリイミド溶液は、全重量に対して10~40重量%の固形分含量を有するものであることができる。ここで、固形分は、前記ポリアミン酸および/またはポリイミドであることができ、残量は、有機溶媒であることができる。
【0106】
一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムの製造方法において、前記ポリアミン酸および/またはポリイミド溶液の固形分含量は、40重量%以下、または35重量%以下、または10~20重量%の範囲であることができる。より具体的には、一実現形態によると前記ポリアミン酸および/またはポリイミド溶液の固形分含量が10~20重量%の場合でも、低い粘度を有して工程上利点を提供することができる。一般的に、厚さ方向位相差(Rth)の絶対値とモジュラスのような機械的物性は、互いにトレードオフ(trade-off)関係にあり、これらの物性を同時に改善することが困難であった。しかし、一実現形態によると、30μm以上の厚さでもこれらの物性を同時に改善することができる。
【0107】
前記ii)ステップでのポリアミン酸の結晶性を調節するステップは、前記ポリアミン酸溶液に前記炭化水素系溶媒を追加投入することによって行われることができ、炭化水素系溶媒および前記炭化水素系溶媒と異なる溶媒を追加投入することによって行われることもできる。ここで、前記他の溶媒は、アミド系溶媒であることができ、前記アミド系溶媒は、前記i)ステップで投入されたアミド系溶媒と同一であるか異なることができる。炭化水素系溶媒を投入することで、前記ポリアミン酸および/またはポリイミド間の分子間相互作用(intermolecular interaction)および/または重合体と溶媒との相互作用を効果的に阻害することができ、硬化時に分子間の充填密度を著しく低下させることができる。これにより、一実現形態によると、黄色度と550nmの波長での厚さ方向位相差(Rth)を著しく改善し、これと同時に、強化ガラスと類似水準に達する機械的物性を実現する30μm以上の厚さを満たすカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムを提供することができる。特に、30μm以上の厚さを満たすにもかかわらず、視野角によるムラ現象が著しく低減したカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムを提供することができる。
【0108】
前記硬化ステップは、熱硬化により行われることができる。ここで、前記熱硬化の他に化学硬化法、赤外線硬化法、バッチ式硬化法、連続式硬化法など公知の様々な方法を代わりに使用するか異種の硬化方式を代わりに使用することもできる。
【0109】
前記熱硬化は、80~300℃、または100~280℃、または150~250℃で行われることができる。
【0110】
前記熱硬化は、80~100℃で1分~2時間、または100超~200℃で1分~2時間、または200超~300℃で1分~2時間行われることができ、これらから選択される二つ以上の温度条件下で段階的な熱硬化が行われることもできる。また、熱硬化は、別の真空オーブンまたは不活性気体で充填されたオーブンなどで行われることができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0111】
また、前記熱硬化の前に、必要に応じて、乾燥ステップをさらに行うこともできる。前記乾燥ステップは、30~70℃、または35~65℃、または40~55℃で行われることができるが、これに制限されるものではない。
【0112】
また、一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムの製造方法において、前記ポリイミドフィルムを形成するための前記塗布は、通常、該当分野において使用されるものであれば、制限されず使用されることができる。その非限定的な一例としては、ナイフコーティング(Knife coating)、ディップコーティング(dip coating)、ロールコーティング(roll coating)、スロットダイコーティング(slot die coating)、リップダイコーティング(lip die coating)、スライドコーティング(slide coating)およびカーテンコーティング(curtain coating)などが挙げられ、これに対して同種または異種を1回以上順に適用することができることは言うまでもない。
【0113】
前記基板は、通常、該当分野において使用されるものであれば制限なく使用されることができ、その非限定的な一例としては、ガラス;ステンレス;またはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、三酢酸セルロース、二酢酸セルロース、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、セロファン、ポリ塩化ビニリデン共重合体、ポリアミド、ポリイミド、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、およびポリトリフルオロエチレンなどのプラスチックフィルム;などを使用することができる。
【0114】
一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムの製造方法において、必要に応じて、前記カバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物を基板上に塗布した後、常温で放置する放置ステップをさらに含むことができる。前記放置ステップにより、フィルムの表面の光学的物性をより安定的に維持することができる。特定の理論に拘束されるものではないが、従来のカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物は、硬化前にこのような放置ステップが行われると、溶媒が空気中の水分を吸収し、内部に水分が拡散し、ポリアミン酸および/またはポリイミドと衝突して、フィルムの表面から白濁が発生し、凝集現象が発生して、コーティング不均一性が発生することができる。一方、一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物は、空気中に長期間放置されても白濁現象および凝集現象がなく、向上した光学的物性を有するフィルムを確保することができるという利点を実現することができる。
【0115】
前記放置ステップは、常温および/または高湿条件で行われるものであることができる。ここで、前記常温は、40℃以下であることができ、例えば、30℃以下であることができ、例えば、25℃以下であることができ、さらに具体的には15~25℃であることができ、例えば、20~25℃であることができる。また、前記高湿とは、例えば、50%以上、例えば、60%以上、例えば、70%以上、例えば、80%以上の相対湿度であることができる。
【0116】
前記放置するステップは、1分~3時間、例えば、10分~2時間、例えば、20分~1時間行われるものであることができる。
【0117】
一具現例によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムの製造方法において、前記ポリアミン酸溶液に、難燃剤、接着力向上剤、無機粒子、酸化防止剤、紫外線防止剤および可塑剤などから選択される一つまたは二つ以上の添加剤を混合してカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムを製造することもできる。
【0118】
以下、一具現例の具体的な説明のために一実施例をあげて説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【0119】
下記実験において、物性は、以下のように測定した。
【0120】
<黄色度(YI)>
ASTM E313規格に準じてSpectrophotometer(Nippon Denshoku社製、COH-5500)を用いて測定した。
【0121】
[実施例1]
カバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物の(TFMB(0.9)/DDS(0.1)/BPAF(0.7)/6FDA(0.3))の製造
窒素気流が流れる撹拌機内にジメチルプロピオンアミド(N,N-dimethylpropionamide、DMPA)284.5gを満たした後、反応器の温度を25℃に維持した状態で2,2’-ビストリフルオロメチルベンジジン(2,2’-bis(trifluoromethyl)-4,4’-biphenyl diamine、TFMB)26.9gと4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(4,4’-Diaminodiphenyl Sulfone、DDS)2.32gを溶解させた。これに、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレンジアンハイドライド(9,9-Bis(3,4-dicarboxyphenyl)fluorene Dianhydride、BPAF)30gと2,2’-ビス-(3,4-ジカルボキシルフェニル)ヘキサフルオロプロパンジアンハイドライド(2,2-Bis-(3,4-Dicarboxyphenyl)hexafluoropropane dianhydride、6FDA)12.45gを25℃で添加して6時間撹拌させて溶解および反応させた。次に、25℃でトルエン(Toluene)121.9gを投入し、18時間撹拌した。次に、固形分含量が14重量%になり、組成物内のトルエンの含有量がDMPAとトルエンの全重量に対して30重量%(すなわち、DMPA:トルエン=70重量%:30重量%)になるようにDMPAおよび/またはトルエンを添加して、カバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物1を製造した。
【0122】
カバーウィンドウ用ポリイミドフィルムの製造
ガラス基板(1.0T)の一面に、前記で取得したカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物1を#20メイヤーバー(meyer bar)で塗布し、窒素気流下で80℃で30分間、350℃で15分間加熱して硬化した後、ガラス基板で剥離し、厚さ50μmの実施例1のカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムを取得した。
【0123】
[実施例2]
カバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物の(TFMB(0.85)/DDS(0.15)/BPAF(0.7)/6FDA(0.3))の製造
窒素気流が流れる撹拌機内にジメチルプロピオンアミド(N,N-dimethylpropionamide、DMPA)283.2gを満たした後、反応器の温度を25℃に維持した状態で2,2’-ビストリフルオロメチルベンジジン(2,2’-bis(trifluoromethyl)-4,4’-biphenyl diamine、TFMB)25.4gと4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(4,4’-Diaminodiphenyl Sulfone、DDS)3.47gを溶解させた。これに、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレンジアンハイドライド(9,9-Bis(3,4-dicarboxyphenyl)fluorene Dianhydride、BPAF)30gと2,2’-ビス-(3,4-ジカルボキシルフェニル)ヘキサフルオロプロパンジアンハイドライド(2,2-Bis-(3,4-Dicarboxyphenyl)hexafluoropropane dianhydride、6FDA)12.45gを25℃で添加して6時間撹拌させて溶解および反応させた。次に、25℃でトルエン(Toluene)121.4gを投入し、18時間撹拌した。次に、固形分含量が14重量%になり、組成物内のトルエンの含有量がDMPAとトルエンの全重量に対して30重量%(すなわち、DMPA:トルエン=70重量%:30重量%)になるようにDMPAおよび/またはトルエンを添加して、カバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物2を製造した。
【0124】
カバーウィンドウ用ポリイミドフィルムの製造
取得したカバーウィンドウ用ポリイミド形成組成物2を用いて、前記実施例1と同じ方法で厚さ50μmの実施例2のカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムを取得した。
【0125】
[実施例3および実施例4]
前記実施例1と同じ方法で製造するが、DMPAとトルエンの全重量に対してトルエンの含有量(T含有量)を下記表1に図示したように調節し、それぞれのカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物3および4を製造した。
【0126】
カバーウィンドウ用ポリイミドフィルムの製造
取得したそれぞれのカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物を用いて、前記実施例1と同じ方法で厚さ50μmの実施例3および4のカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムを取得した。
【0127】
[比較例1および比較例2]
前記実施例1と同じ方法で製造するが、DMPAとトルエンの全重量に対してトルエンの含有量(T含有量)を下記表1に図示したように調節し、それぞれのカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物AおよびBを製造した。
【0128】
ガラス基板(1.0T)の一面に、取得したカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物AおよびBを#20メイヤーバー(meyer bar)で塗布して、窒素気流下で80℃で15分間、次に、350℃で15分間加熱して硬化し、ガラス基板で剥離して厚さが50μmである比較例1および2のカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムを取得した。
【0129】
[比較例3]
カバーウィンドウ用ポリイミドフィルムの製造((TFMB(1)/PMDA(0.3)/BPAF(0.7))
窒素気流が流れる撹拌機内にジメチルプロピオンアミド(N,N-dimethylpropionamide、DMPA)484gを満たした後、反応器の温度を25℃に維持した状態で2,2’-ビストリフルオロメチルベンジジン(2,2’-bis(trifluoromethyl)-4,4’-biphenyl diamine、TFMB)29.9gを溶解させた。これに、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレンジアンハイドライド(9,9-Bis(3,4-dicarboxyphenyl)fluorene Dianhydride、BPAF)30gとピロメリット酸ジアンハイドライド(pyromellitic dianhydride、PMDA)6.1gを25℃で添加し、24時間撹拌させて溶解および反応させた。次に、固形分含量が12重量%になるようにDMPA溶媒を追加投入して、カバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物Cを製造した。
【0130】
ガラス基板(1.0T)の一面に、取得したカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物Cを#20メイヤーバー(meyer bar)で塗布して、窒素気流下で80℃で15分間、次に、350℃で15分間加熱して硬化し、ガラス基板で剥離して厚さが50μmである比較例3のカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムを取得した。
【0131】
[比較例4]
カバーウィンドウ用ポリイミドフィルムの製造((TFMB(1)/PMDA(0.7)/BPAF(0.3))
TFMB、PMDAおよびBPAFのモル比を下記表1のように変更した以外は、比較例3と同じ方法で、カバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物Dを製造し、厚さが50μmであるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムを取得した。
【0132】
【表1】
【0133】
評価:黄色度
実施例1~実施例4および比較例1~比較例4のカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムの黄色度(YI)を測定し、下記表2に示した。
【0134】
【表2】
【0135】
前記表2を参照すると、実施例1~4によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物1~4は、カバーウィンドウ用として使用するのに十分な50μm以上の厚さを有するカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムを容易に形成することができる。一方、比較例1によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物Aは、初期重合固形分が高く、溶液粘度が制御することができない程度に高くなるか、沈殿が発生し、重合体の重合およびポリイミドフィルムの製造が不可能であった。
【0136】
また、実施例1~4によるカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成組成物1~4で製造されたカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムは、比較例2~4のカバーウィンドウ用ポリイミドフィルム形成用組成物B~Dで製造されたカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムに比べて低い黄色度を有することを確認することができる。
【0137】
特に、比較例3および比較例4のカバーウィンドウ用ポリイミドフィルムは、それぞれ53、80の非常に高い黄色度を有する視認性が不良な有色フィルムであるため、カバーウィンドウとして適用するのにさらに不適であることを確認することができる。
【0138】
以上のように、一具現例が限定された実施例によって説明しているが、これは、本発明のより全般的な理解を容易にするために提供されたものであって、本発明は、前記の実施例に限定されるものではなく、本発明が属する分野において通常の知識を有する者であれば、このような記載から様々な修正および変形が可能である。
【0139】
したがって、本発明の思想は、上述の実施例に限定して定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、本特許請求の範囲と均等または等価的な変形があるすべてのものなどは、本発明の思想の範疇に属するといえる。