(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022019234
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】バリア性ラベルおよび包装材
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20220120BHJP
B65D 23/00 20060101ALI20220120BHJP
G09F 3/00 20060101ALI20220120BHJP
G09F 3/04 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B65D23/00 H
G09F3/00 A
G09F3/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020122956
(22)【出願日】2020-07-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 健太郎
【テーマコード(参考)】
3E062
4F100
【Fターム(参考)】
3E062AA09
3E062AB01
3E062AC02
3E062DA07
3E062JA04
3E062JA08
3E062JB04
3E062JB24
3E062JC02
3E062JD01
4F100AA20B
4F100AK07A
4F100AK07D
4F100AT00A
4F100AT00D
4F100BA05
4F100BA10A
4F100BA10E
4F100CB00C
4F100CB05E
4F100EH66B
4F100GB15
4F100GB90
4F100JB09E
4F100JD02
4F100JL11
4F100JL12E
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アルカリ成分を含む内容物を充填するためにプラスチック容器を用いた場合に、そのアルカリ成分の容器の中から外への透過を抑えるとともに、そのアルカリ成分の透過によるラベルの層間剥離を抑えることができる、バリア性ラベル、およびこのバリア性ラベルが付された包装材を提供する。
【解決手段】バリア性ラベル10は、第1の基材1と、第1の基材上に設けられた蒸着膜2と、蒸着膜上に設けられた接着剤層3と、接着剤層上に設けられた第2の基材4と、第2の基材上に設けられた粘着剤層、水系接着剤層、またはヒートシール層を順次積層してなり、第1の基材と第2の基材はそれぞれ、ポリプロピレンから成る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基材と、前記第1の基材上に設けられた蒸着膜と、前記蒸着膜上に設けられた接着剤層と、前記接着剤層上に設けられた第2の基材と、前記第2の基材上に設けられた粘着剤層、水系接着剤層、またはヒートシール層を順次積層してなり、
前記第1の基材と第2の基材はそれぞれ、ポリプロピレンから成る、
ことを特徴とする、バリア性ラベル。
【請求項2】
前記蒸着膜は、少なくとも酸化ケイ素を含むことを特徴とする、請求項1に記載のバリア性ラベル。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかのバリア性ラベルが付された、アルカリ成分を含む内容物を充填するための包装材。
【請求項4】
前記包装材は、pH8以上のアルカリ成分を含む内容物を充填するための包装材であることを特徴とする、請求項3に記載の包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バリア性積層体を含むバリア性ラベル、およびこのバリア性ラベルが付された包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
アルカリ成分を含む内容物が充填された容器として、そのアルカリ成分の容器の中から外への透過を抑えるため、バリア性に優れるガラス瓶を用いることが多い。一方で、ガラス瓶は重く、割れやすいため、扱いにくいことから、プラスチック容器への置き換えの検討がされている。しかし、プラスチック容器は、ガラス瓶と比べてバリア性能が劣るため、アルカリ成分がプラスチック容器の中から外へ透過する、という問題がある。そこで、そのプラスチック容器に透明蒸着フィルムなどのバリア性積層体を含むバリア性ラベルを貼り付ける方法がある。
例えば、特許文献1には、粘着剤層、ガスバリア性の積層フィルム、帯電防止層からなり、ガスバリア性の積層フィルムは、プラスチック材料からなる基材フィルムの片面に、透明ガスバリア層、ガスバリア性塗布膜、半透明金属薄膜層を積層し、さらに、ガスバリア性塗布膜と半透明金属薄膜層の間には、強密着処理層を設けた構成を基本構成とするバリア性ラベルが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のバリア性ラベルをプラスチック容器に貼り付けた場合、その容器内外の水蒸気や酸素に対するバリア性が高いなどの効果を奏する。しかし、内容物がアルカリ成分を含む場合のバリア性は特に考慮されておらず、そのアルカリ成分がプラスチック容器の中から外へ透過してしまうとともに、そのアルカリ成分の透過によりバリア性ラベルの層間剥離が発生してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、アルカリ成分を含む内容物を充填するためにプラスチック容器を用いた場合に、そのアルカリ成分の容器の中から外への透過を抑えるとともに、そのアルカリ成分の透過によるラベルの層間剥離を抑えることができる、バリア性ラベル、およびこのバリア性ラベルが付された包装材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、
第1の基材と、前記第1の基材上に設けられた蒸着膜と、前記蒸着膜上に設けられた接着剤層と、前記接着剤層上に設けられた第2の基材と、前記第2の基材上に設けられた粘着剤層、水系接着剤層、またはヒートシール層を順次積層してなり、
前記第1の基材と第2の基材はそれぞれ、ポリプロピレンから成る、
ことを特徴とする、バリア性ラベルである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、
前記蒸着膜は、少なくとも酸化ケイ素を含むことを特徴とする、請求項1に記載のバリア性ラベルである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、
請求項1または2のいずれかのバリア性ラベルが付された、アルカリ成分を含む内容物を充填するための包装材である。
【0009】
請求項4に記載の発明は、
前記包装材は、pH8以上のアルカリ成分を含む内容物を充填するための包装材であることを特徴とする、請求項3に記載の包装材である。
【発明の効果】
【0010】
本発明のバリア性ラベルは、第1の基材と、第1の基材上に設けられた蒸着膜と、蒸着膜上に設けられた接着剤層と、接着剤層上に設けられた第2の基材と、第2の基材上に設けられた粘着剤層、水系接着剤層、またはヒートシール層を順次積層してなり、第1の基材と第2の基材はそれぞれ、ポリプロピレンから成る。
バリア性ラベルとして蒸着膜を用いるだけでなく、基材がポリプロピレンから成ることで、アルカリ成分の透過を抑えることが可能となる。よって、アルカリ成分を含む内容物を充填したプラスチック容器に、このバリア性ラベルを付した場合、そのアルカリ成分の容器の中から外への透過を抑えるとともに、そのアルカリ成分の透過によるラベルの層間剥離を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係るバリア性ラベルの第1実施例を示す側断面図である。
【
図2】(a)
図1のバリア性ラベルを付した包装材の第1実施例を示す正面図である。(b)
図1のバリア性ラベルを付した包装材の第1実施例を示す背面図である。
【
図3】本発明に係るバリア性ラベルの第2実施例を示す側断面図である。
【
図4】本発明に係るバリア性ラベルの第3実施例を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、必要に応じて図面を参照して、本発明に係るバリア性ラベル、およびこのバリア性ラベルが付された包装材の実施形態の例について説明する。
【0013】
<バリア性ラベルの第1実施例>
図1は、本発明に係るバリア性ラベルの第1実施例を示す側断面図である。
本実施例のバリア性ラベル10は、第1の基材1と、前記第1の基材1上に設けられた蒸着膜2と、前記蒸着膜2上に設けられた接着剤層3と、前記接着剤層3上に設けられた第2の基材4と、前記第2の基材4上に設けられた粘着剤層5を順次積層してなる。また、前記第1の基材1と第2の基材4はそれぞれ、ポリプロピレンから成る。
【0014】
図2は、
図1のバリア性ラベル10を付した包装材の第1実施例を示す正面図と背面図である。当実施例の包装材20は、アルカリ成分を含む内容物を充填するためのプラスチック容器であり、例えばボトル型のプラスチック容器である。
図2に示されるように、バリア性ラベル10は、例えばプラスチック容器の外側の側面に巻き付けるようにして、粘着剤層5を介して貼り付けられる。
図2では、バリア性ラベル10の両端部が重なり合っていない。
【0015】
バリア性ラベル10として、後述する蒸着膜2を用いるだけでなく、基材がポリプロピレンから成ることで、アルカリ成分の透過を抑えることが可能となる。
【0016】
よって、
図2に示されるように、アルカリ成分を含む内容物を充填したプラスチック容器の外側の側面にバリア性ラベル10を貼り付けた場合、そのアルカリ成分の容器の中から外への透過を抑えるとともに、そのアルカリ成分の透過によるバリア性ラベル10の層
間剥離を抑えることができる。
【0017】
(第1の基材、第2の基材)
第1の基材1および第2の基材4はそれぞれ、ポリプロピレンから成る。第2の基材4は、剛性を保持するために積層される。
【0018】
第1の基材1および第2の基材4はそれぞれ、後述する透明性のある蒸着膜2の透明性を活かすため透明であることが好ましく、本実施例における第1の基材1および第2の基材4はそれぞれ透明である。
【0019】
第1の基材1および第2の基材4のそれぞれの膜厚は、5~100μmであることが好ましい。
【0020】
後述する蒸着膜2との密着性を良くするために、第1の基材1に、コロナ処理、低温プラズマ処理、薬品処理、溶剤処理などの前処理を行ってもよい。
【0021】
また、第1の基材1または第2の基材4には、公知の各種の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、及び滑剤などを使用することも可能である。
【0022】
さらに、第1の基材1の表面または裏面に印刷層(図示せず)を積層しても良い。ここで第1の基材1の表面とは、蒸着膜2と反対側の面であり、第1の基材1の裏面とは、蒸着膜2側の面である。
【0023】
印刷層を積層する場合、その印刷層を形成する印刷インキは、例えば以下のヒビクルと助剤から形成される。ヒビクルは、例えば、インキに色彩を与える顔料や染料からなる色材と、該色材を微細な粒子に分散・保持しつつ、被印刷体に固着させる樹脂と、該樹脂を安定して溶解し、色材の分散性、インキの流動性を保持し、かつ印刷の版からインキの適正量を転移できる溶剤とから構成される。助剤は、例えば、色材の分散性、発色性向上や沈殿防止、流動性の改良を目的に界面活性剤などからなる。特に色材は、耐熱性、耐候性の良い顔料が好ましい。
【0024】
印刷方式はグラビア印刷方式、フレキソ印刷方式、シルクスクリーン印刷方式等を用いることができるが、美麗な印刷を施すのには、グラビア印刷方式が好ましい。
【0025】
印刷層を積層する際、第1の基材1とインキとの密着性を向上させるため必要ならば、第1の基材1の印刷面側にオゾン処理、コロナ処理などの前処理を施すことが好ましく、さらに、アンカーコート剤などをコーティングしても良い。
【0026】
前記アンカーコート剤としては、例えばイソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系などのアンカーコート剤や、或いはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他などのラミネート用接着剤などを使用することができる。
【0027】
アンカーコート剤をコーティングする方法は、公知のグラビアロールコーティング方式、バーコーティング方式、滴下方式、リバースロールコーティング方式などを使用することができる。
【0028】
(蒸着膜)
第1の基材1と接着剤層3との間に蒸着膜2を設けることで水蒸気や酸素に対するバリア性を有する。蒸着膜2は、透明性の良い材料を蒸着して得られる、いわゆる透明蒸着膜
である。この蒸着膜2は、第1の基材1に蒸着される。
【0029】
このような蒸着膜2を得るために使用される材料として、無機酸化物を使用することが好ましい。
【0030】
無機酸化物としては、基本的には金属の酸化物を使用することが可能であり、例えばアルミニウム、ケイ素、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、ホウ素、チタン、鉛、ジルコニウム、イットリウムなどの酸化物またはそれらの混合物が挙げられるが、バリア性のために、酸化ケイ素を使用することがより好ましい。
【0031】
蒸着膜2を形成する方法は、真空蒸着法、スパッタリング法などの物理的方法(PVD法)や化学的方法(CVD法)などが挙げられる。生産性などを考慮すると、真空蒸着法が好ましい。
【0032】
この真空蒸着法は、加熱方法により、1)間接抵抗法、2)直接抵抗加熱法(ワイヤフィード法)、3)高周波誘導加熱法、4)電子ビーム法(electoron beam、略してEB法)の4つの方法があるが、蒸発物質が酸化ケイ素や酸化アルミニウム等の絶縁性金属酸化物を使用する場合は、エネルギー変換効率の良い電子ビーム法が最適である。
【0033】
巻き取り式電子ビーム真空蒸着法は、蒸発物質に直接、電子ビームを照射し、蒸発物質表面上をスキャンすることで、蒸発物質表面を加熱する方法で、電子ビームがあたった部分でエネルギーを変換し、蒸発物質を蒸発させる方法である。
【0034】
酸化ケイ素を物理的方法(PVD法)により蒸着させる場合は、例えば、真空中で酸化ケイ素を加熱溶融または昇華させ、基材上に酸化ケイ素の膜を積層させる。
【0035】
また例えば、プラズマ助成式CVD法を用いて酸化ケイ素を蒸着させるためには、モノマーガスとして、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の中から選択することができ、特に1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンが好ましい。ただし、これらに限定されるものではなくアミノシラン、シラザン等も用いることができる。
【0036】
いずれも液体である上記有機ケイ素化合物を気化させ、酸素もしくは酸化力を有するガス(例えばN2O、CO2等)と混合したガス、又は上記混合ガスに不活性ガスであるヘリウム及び/又はアルゴンを混合したガス、もしくはこれに窒素、弗化炭素等を適宜加え、プラスチック容器が設置されているプラズマCVD蒸着機に導入して、酸化ケイ素を蒸着させる。
【0037】
蒸着膜2の厚さは、用いられる無機酸化物の種類・構成により最適条件が異なるが、一般的には5~300nmの範囲内が好ましい。
【0038】
(接着剤層)
接着剤層3は、蒸着膜2が積層された第1の基材1に第2の基材4を貼り合わせるために積層される。
【0039】
接着剤層3には、ポリウレタン系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリアクリル系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他などのラミネート用接着剤などを使用することができる。
【0040】
(粘着剤層)
第2の基材4上に粘着剤層5を積層することで、
図2に示されるようにプラスチック容器などに貼り付けて固定させることが可能となる。第2の基材4への粘着剤層5の積層範囲は、被着体となるプラスチック容器の形状や大きさなどに応じて、全体にベタ状に塗布してもよく、ストライプ状に塗布してもよい。また、第2の基材4の端部のみに塗布してもよい。
【0041】
粘着剤層5には、例えば感圧粘着剤を使用することができる。EVA系粘着剤では、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、EVA・アクリル酸グラフト樹脂、酢酸ビニル系粘着剤では、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル系粘着剤としては、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂およびその共重合体などが挙げられる。使用条件により粘着剤を適宜選択すればよい。
【0042】
なお、粘着剤層5上に離型材を積層することでいわゆるタックラベルとして使用することもできる。
【0043】
このタックラベルとしてのバリア性ラベル10を
図2に示されるようなプラスチック製ボトル型容器の外側の側面に貼り付ける方法としては、例えば、粘着剤層5から離型材を剥離してプラスチック製ボトル型容器に貼り付け、スポンジなどでタックラベルを押圧、圧着する方法などが用いられる。
【0044】
タックラベルとしてのバリア性ラベル10をプラスチック容器に貼り付けるにあたっては、容器への内容物充填前に貼り付けても良い。また、容器への内容物充填時にプリンター付きのオートラベラーを使用することにより、さらに容易に貼り付け作業を行うことができる。
【0045】
(第1実施例のバリア性ラベル10の製造方法)
第1の基材1上に例えば酸化ケイ素を蒸着することで蒸着膜2を形成し、その蒸着膜2の上に接着剤を塗布することで接着剤層3を形成し、その接着剤を乾燥させた後、第2の基材4を貼り合わせ、さらに第2の基材4の上に粘着剤を塗布して粘着剤層5を形成する。なお、接着剤層3は第2の基材4に接着剤を塗布することで形成してもよい。
【0046】
<バリア性ラベルの第2実施例>
図3は、本発明に係るバリア性ラベルの第2実施例を示す側断面図である。
第2実施例のバリア性ラベル11は、第1実施例と異なり、第2の基材層4上に粘着剤層5ではなく水系接着剤層6を積層している。それ以外の層は第1実施例と同じである。水系接着剤層6を積層することで、いわゆるグルーラベルとして使用することができる。
【0047】
第1の基材1の表面または裏面に印刷層(図示せず)を積層しても良い。ここで第1の基材1の表面とは、蒸着膜2と反対側の面であり、第1の基材1の裏面とは、蒸着膜2側の面のことである。
【0048】
印刷層を積層する際、第1の基材1とインキとの密着性を向上させるため必要ならば、第1の基材1の印刷面側にオゾン処理、コロナ処理などの前処理を施すことが好ましく、さらに、アンカーコート剤などをコーティングしても良い。
の面である。
【0049】
第2の基材4上に水系接着剤層6を積層することで、
図2に示されるようにプラスチック容器などに貼り付けて固定させることが可能となる。
【0050】
第2の基材4への水系接着剤層6の積層範囲は、被着体となるプラスチック容器の形状や大きさなどに応じて、全体にベタ状に塗布してもよく、ストライプ状に塗布してもよい。また、第2の基材層4の端部のみに塗布してもよい。グルーラベルとしてのバリア性ラベル11は、例えば被着体であるプラスチック容器の表面の任意の位置に水系接着剤を介して貼り付けられるが、バリア性ラベル11の両端部が重なり合うようにプラスチック容器に巻き付けてもよい。
【0051】
グルーラベルとしてのバリア性ラベル11をプラスチック容器に貼り付ける方法としては、例えば第2の基材層4に水系接着剤を塗布しながら容器に接着させる方法が挙げられ、ラベリングマシンを使った高速自動貼りが可能である。グルーラベルとしてのバリア性ラベル11の利点としては、生産時に水系接着剤を使用しないため加工し易く、水系接着剤の劣化がない点などが挙げられる。
【0052】
(水系接着剤層)
水系接着剤層6に使用する水系接着剤としては、特に限定されず、デンプン、膠、カゼイン、セルロース、アルギン酸ナトリウム、グアーガム、ラテックス、ポリマレイン酸系重合物、ポリビニルアルコール等を含む水溶液又はエマルジョンが例示できる。
【0053】
<バリア性ラベルの第3実施例>
図4は、本発明に係るバリア性ラベルの第3実施例を示す側断面図である。
第3実施例のバリア性ラベル12は、第1実施例と異なり、第2の基材層4上に粘着剤層5ではなくヒートシール層7を積層している。それ以外の層は第1実施例と同じである。ヒートシール層7を積層することで、いわゆるインモールドラベルとして使用することができる。
【0054】
第1の基材1の表面または裏面に印刷層(図示せず)を積層しても良い。ここで第1の基材1の表面とは、蒸着膜2と反対側の面であり、第1の基材1の裏面とは、蒸着膜2側の面のことである。
【0055】
印刷層を積層する際、第1の基材1とインキとの密着性を向上させるため必要ならば、第1の基材1の印刷面側にオゾン処理、コロナ処理などの前処理を施すことが好ましく、さらに、アンカーコート剤などをコーティングしても良い。
【0056】
インモールドラベルとしてのバリア性ラベル12は、プラスチック容器成型時に容器にラベルを溶着させることで形成される。
【0057】
インモールドラベルとしてのバリア性ラベル12をプラスチック容器に溶着させる方法としては、例えば、金型のキャビティー内表面にインモールドラベルとしてのバリア性ラベル12をシーラント層7がプラスチック容器の外側の側面に位置するように固定した後、金型内に溶融樹脂を注入してラベルと一体に成形したインモールドラベル付き容器を設ける。インモールドラベル付き容器では印刷済みの基材をラベル加工するため、表現上の制約もなく、ラベルと容器とを一体化して成形するため、金型形状の再現性が良いことから容器に高級感を付与することが出来る。
【0058】
インモールドラベル付き容器の成形方法には、例えばブロー成形やインジェクション成型の方法が挙げられる。
【0059】
インモールドラベルとしてのバリア性ラベル12を形成する場合の利点として、ラベリング工程が不用なので省力化がはかれる点、ラベルが容器表面に完全に密着するため剥がれにくく、耐水性・耐油性・耐薬品性・耐摩擦性がある点などが挙げられる。
【0060】
(ヒートシール層)
ヒートシール層7としては、例えば溶媒系もしくは水系ディスパージョン型ウレタン樹脂からなるコーティング層を使用することができる。その理由は、樹脂溶液タイプヒートシールニスやホットメルトと比べコート剤加熱塗工の必要がなく、容易に加工可能であり、また、樹脂溶液タイプヒートシールニスと比べ樹脂の分子量が大きく、低塗布量で接着力を発揮できるからである。さらに低塗布量で接着可能なため、コート剤の乾燥熱量を低減可能にし、基材への熱影響によるカール発生を抑制できる。
【0061】
また、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンなど広い樹脂構成の容器に接着可能であり、異樹脂基材への密着性も良い。さらに樹脂凝集力も高いため、容器と第2の基材4との間で強力な接着力を発揮できる。更に接着性樹脂として汎用性のあるEVAに比べ樹脂タック力が低くブロッキング耐性も良好である。また、塩酢ビやポリアミド系のインキ樹脂と比べ溶媒吸着性も低く、残留溶媒によるブロッキングを回避できる。
【0062】
<バリア性ラベルが付される包装材の第1実施例>
上記各実施例のバリア性ラベルが付される、アルカリ成分を含む内容物を充填するための包装材20として、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンなどを用いたプラスチック容器が挙げられる。第1実施例の包装材20は、例えば、バリア性ラベルに用いた第1の基材1および第2の基材4と同じポリプロピレンから成る。上記各実施例のバリア性ラベルが付される包装材の形状は特に限定されず、例えば
図2に示される第1実施例の包装材20のようなボトル型などが挙げられる。
【0063】
また、バリア性ラベルをプラスチック容器に付す位置については特に限定されず、例えば
図2に示される第1実施例の包装材20のように、プラスチック容器の外側の側面に巻き付ける他、中央部、端縁部など任意で、デザイン、使い易さ等を総合して判断すれば良い。また、
図2に示されるように、バリア性ラベルは、例えばプラスチック容器の外側の側面に、バリア性ラベルの両端部が重なり合っていない状態で巻き付けられてもよいし、バリア性ラベルの両端部が重なり合った状態で巻き付けられてもよい。
【0064】
なお、上記各実施例のバリア性ラベルが付される包装材として、例えばpH8以上のアルカリ成分を含む内容物を充填するための包装材が用いられる。pH8以上のアルカリ成分を含む内容物を充填するための包装材に上記各実施例のバリア性ラベルが付されることで、本発明の効果がより発揮される。
【0065】
<アルカリ性内容物の透過量の評価試験>
本願発明者は、下記の実施例1および比較例1を用いて、アルカリ性内容物の容器の中から外への透過量を確認する試験を実施した。なお、実施例1は、バリア性ラベルと、そのバリア性ラベルが貼り付けられた、アルカリ性内容物が充填されたプラスチック容器が用いられ、比較例1は、アルカリ性内容物が充填されたプラスチック容器のみが用いられた。
【0066】
(実施例1)
実施例1のバリア性ラベルは、上記第1実施形態のバリア性ラベル10と同じもので、第1の基材1と、第1の基材1上に設けられた蒸着膜2と、蒸着膜2上に設けられた接着剤層3と、接着剤層3上に設けられた第2の基材4と、第2の基材4上に設けられた粘着
剤層5とを順次積層してなる。第1の基材1、第2の基材4はともにポリプロピレンから成る。なお、第1の基材と第2の基材、および蒸着膜2は、すべて透明である。
上記バリア性ラベルが付されたプラスチック容器の形態は
図2と同じボトル型で、容量は120mlであり、充填された内容物はpH12の第2類医薬品である虫刺され薬である。
【0067】
(比較例1)
比較例1のプラスチック容器は上記実施例1で用いたプラスチック容器と同じであり、充填されたアルカリ性内容物も実施例1と同じく、pH12の第2類医薬品である虫刺され薬である。
【0068】
(試験方法)
プラスチック容器に、内容物であるpH12の第2類医薬品である虫刺され薬を100g充填した。実施例1については、
図2に示されるものと同様に、プラスチック容器の外側の側面にバリア性ラベルの両端部を重なり合わせないで巻き付けるように貼り付け、比較例1については、バリア性ラベルを貼り付けなかった。そして、実施例1と比較例1のそれぞれを40℃-湿度フリー環境に60日間保管し、アルカリ性内容物の減少量から、アルカリ性内容物の容器の中から外への1日当たりの透過量を算出した。
【0069】
(試験結果・考察)
上記試験方法による試験結果を表1に示す。
【0070】
アルカリ性内容物の容器の中から外への1日当たりの透過量は、実施例1は0.0232gであり、比較例1は0.0067gであった。
【0071】
上記試験結果より、アルカリ性の内容物が充填されたプラスチック容器の外側に、透明蒸着膜を用いたバリア性ラベルを貼り付けた場合は、バリア性ラベルを貼り付けない場合と比較して、アルカリ性の内容物の成分の容器の中から外への透過を抑えることができることが分かる。
【0072】
【0073】
<バリア性ラベルの層間剥離状況の評価試験>
本願発明者は、下記の実施例2および比較例2を用いて、バリア性ラベルの層間剥離の状況を確認する試験を実施した。なお、実施例2と比較例2はともに、バリア性ラベルと、そのバリア性ラベルが貼り付けられた、アルカリ性内容物が充填されたプラスチック容器が用いられた。
【0074】
(実施例2)
実施例2のバリア性ラベルは、上記第1実施形態のバリア性ラベルと同じもので、第1の基材1と、第1の基材1上に設けられた蒸着膜2と、蒸着膜2上に設けられた接着剤層3と、接着剤層3上に設けられた第2の基材4と、第2の基材4上に設けられた粘着剤層5とを順次積層してなる。第1の基材1、第2の基材4はともにポリプロピレンから成る。なお、第1の基材と第2の基材、および蒸着膜2は、すべて透明である。
上記バリア性ラベルが付されたプラスチック容器の形態は
図2と同じボトル型であり、充填されたアルカリ性内容物はpH12の第2類医薬品である虫刺され薬である。
【0075】
(比較例2)
比較例2のバリア性ラベルは、第1の基材と、第1の基材1上に設けられた蒸着膜2と、蒸着膜2上に設けられた接着剤層3と、接着剤層3上に設けられた第2の基材と、第2の基材4上に設けられた粘着剤層5とを順次積層してなる。第1の基材、第2の基材はともにポリエチレンテレフタレートから成り、それ以外の層である蒸着膜2、接着剤層3、粘着剤層5は、上記第1実施形態のバリア性ラベルを構成する蒸着膜2、接着剤層3、粘着剤層5と同じである。なお、第1の基材と第2の基材、および蒸着膜2は、すべて透明である。
上記バリア性ラベルが付されたプラスチック容器は上記実施例2と同じプラスチック容器であり、充填されたアルカリ性内容物も実施例1と同じく、pH12の第2類医薬品である虫刺され薬である。
【0076】
(試験方法)
実施例2および比較例2ともに、プラスチック容器に、内容物であるpH12の第2類医薬品である虫刺され薬を100g充填した。また、実施例2および比較例2ともに、
図2に示されるものと同様に、プラスチック容器の外側の側面にバリア性ラベルの両端部を重なり合わせないで巻き付けるように貼り付け、40℃-湿度フリー環境に保管し、最大1年間保管し、バリア性ラベルの層間剥離状況を確認した。
【0077】
(試験結果・考察)
上記試験方法による試験結果を表2に示す。
【0078】
実施例2は、1年間保管してもバリア性ラベルに層間剥離は発生せず、各層間のラミネート強度は、1.0N/15mm以上(JIS Z1707に準拠して測定)であった。
一方、比較例2は、保管して21日目に、バリア性ラベルに層間剥離が発生した。
【0079】
上記試験結果より、バリア性ラベルを構成する第1の基材および第2の基材がポリプロピレンから成ることで、アルカリ性の内容物の成分の透過によるラベルの層間剥離を長期間抑えることができることが分かる。
【0080】
【0081】
以上の通り、本発明のバリア性ラベルは、第1の基材と、第1の基材上に設けられた蒸着膜と、蒸着膜上に設けられた接着剤層と、接着剤層上に設けられた第2の基材と、第2の基材上に設けられた粘着剤層、水系接着剤層、またはヒートシール層を順次積層してなり、第1の基材と第2の基材はそれぞれ、ポリプロピレンから成る。
バリア性ラベルとして蒸着膜を用いるだけでなく、基材がポリプロピレンから成ることで、アルカリ成分の透過を抑えることが可能となる。よって、アルカリ成分を含む内容物を充填したプラスチック容器に、このバリア性ラベルを付した場合、そのアルカリ成分の容器の中から外への透過を抑えるとともに、そのアルカリ成分の透過によるラベルの層間剥離を抑えることができる。
【符号の説明】
【0082】
1・・・第1の基材
2・・・蒸着膜
3・・・接着層
4・・・第2の基材
5・・・粘着剤層
6・・・水系接着剤層
7・・・ヒートシール層
10、11、12、・・・バリア性ラベル
20・・・包装材