(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022019270
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】ヘアカット方法
(51)【国際特許分類】
A45D 44/00 20060101AFI20220120BHJP
【FI】
A45D44/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020123018
(22)【出願日】2020-07-17
(71)【出願人】
【識別番号】505238500
【氏名又は名称】株式会社ビーファースト
(71)【出願人】
【識別番号】516266662
【氏名又は名称】株式会社フォルツ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】森元 康仁
(72)【発明者】
【氏名】高見 広
(57)【要約】
【課題】頭髪のセットが困難になるのを抑制しながら、毛量を低減する。
【解決手段】被施術者の頭皮1に定められたスポットライン3上に並ぶ複数の点状に広がる領域を、スポット領域とすると共に、スポット領域の周辺の領域を、周辺領域とする。また、スポットライン3上に並ぶ2つのスポット領域の間隔を、スポット間隔とし、スポット領域における一端から他端までの距離の代表値を、スポット幅とする。また、スポット間隔は、スポット幅の2倍以上3倍以下である。そして、それぞれのスポット領域における頭髪の長さが1cm以下になると共に、周辺領域における頭髪の長さが3cm以上となるよう、これらの領域の頭髪がカットされる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施術者の頭髪をカットするヘアカット方法であって、
前記被施術者の頭皮に定められたスポットライン上に並ぶ複数の点状に広がる領域を、スポット領域とすると共に、前記スポット領域の周辺の領域を、周辺領域とし、
前記スポットライン上に並ぶ2つの前記スポット領域の間隔を、スポット間隔とし、
前記スポット領域における一端から他端までの距離の代表値を、スポット幅とし、
前記スポット間隔は、前記スポット幅の2倍以上3倍以下であり、
それぞれの前記スポット領域における頭髪の長さが1cm以下になると共に、前記周辺領域における頭髪の長さが3cm以上となるよう、これらの領域の頭髪をカットする
ヘアカット方法。
【請求項2】
請求項1に記載のヘアカット方法において、
前記スポット幅は、5mm以上である
ヘアカット方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のヘアカット方法において、
前記スポット領域の前記周辺領域における頭髪の長さに対する、該スポット領域の前記スポット幅の割合は、1/60以上1/30以下である
ヘアカット方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載のヘアカット方法において、
前記スポットラインは、前記被施術者の頭皮における上側から下側に延びる
ヘアカット方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載のヘアカット方法において、
前記スポットラインは、前記被施術者の側頭部及び/又は後頭部に定められる
ヘアカット方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、頭髪をカットする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、頭皮における上下に延びる細長い領域から毛束を取り出し、上側に向かうに従い頭髪が短くなるように、上下方向に対し傾斜したラインに沿って該毛束をカットするヘアカット方法が知られている。該ヘアカット方法によれば、頭髪の量を好適に低減できる。また、該ヘアカット方法以外にも、頭髪の毛量を低減させるため、すき鋏が用いられる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
すき鋏のくし刃には、細い溝部が狭い間隔で多数形成されているため、すき鋏により頭髪をカットすると、頭髪の長さが短くなった小さな短髪領域が多数形成される。これらの短髪領域は、狭い間隔を開けて並んでおり、短髪領域の間に、すき鋏により頭髪がカットされなかった長髪領域が形成される。
【0005】
つまり、すき鋏によるカットが施された領域では、狭小な長髪領域が多数形成されると共に、長髪領域の周辺に狭小な短髪領域が多数形成される。これにより、長髪領域の頭髪の周囲に多数の隙間が生じ、長髪領域の頭髪はこれらの隙間に向かって湾曲し得る。その結果、長髪領域の頭髪が様々な方向に湾曲し、これらの頭髪は発散するように広がる。このため、すき鋏によるカットが施された頭髪は、その向きを整え難くなり、セットが困難となる。
【0006】
本開示の一側面においては、頭髪のセットが困難になるのを抑制しながら、毛量を低減するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る開示は、被施術者の頭髪をカットするヘアカット方法である。ここで、被施術者の頭皮に定められたスポットライン上に並ぶ複数の点状に広がる領域を、スポット領域とすると共に、スポット領域の周辺の領域を、周辺領域とする。また、スポットライン上に並ぶ2つのスポット領域の間隔を、スポット間隔とし、スポット領域における一端から他端までの距離の代表値を、スポット幅とする。また、スポット間隔は、スポット幅の2倍以上3倍以下である。そして、それぞれのスポット領域における頭髪の長さが1cm以下になると共に、周辺領域における頭髪の長さが3cm以上となるよう、これらの領域の頭髪をカットする。
【0008】
上記構成によれば、スポットラインに沿って並ぶ複数のスポット領域は、スポット領域の周辺領域に比べ髪の毛が短くなっている。また、各スポット領域は、スポットライン上に、スポット幅の2倍以上3倍以下のスポット間隔を空けて配置される。つまり、各スポット領域は、スポットラインに沿って局所的に形成され、スポット領域により、スポットラインの周辺から生える頭髪の中に空間が形成される。該空間は該頭髪の逃げ場となり、該頭髪が該空間に向かって流れるように促すことができる。つまり、スポットラインの周辺では、頭髪が様々な方向に向かうのではなく、頭髪がスポット領域に向かうように促され、これにより、頭髪が発散するように広がるのを抑制できる。したがって、頭髪のセットが困難になるのを抑制しながら、毛量を低減できる。
【0009】
なお、スポット幅は、5mm以上であっても良い。
上記構成によれば、スポットライン上に十分な大きさのスポット領域を設けることが可能となる。このため、スポットラインの周辺の頭髪が、より一層スポット領域に向かって流れるように促され、該頭髪が発散するように広がるのを好適に抑制できる。したがって、頭髪のセットが困難になるのを抑制しながら、毛量を低減できる。
【0010】
また、スポット領域の周辺領域における頭髪の長さに対する、該スポット領域のスポット幅の割合は、1/60以上1/30以下であっても良い。
上記構成によれば、周辺領域の頭髪が、より一層スポット領域に向かって流れるように促され、該頭髪が発散するように広がるのを好適に抑制できる。したがって、頭髪のセットが困難になるのを抑制しながら、毛量を低減できる。
【0011】
また、スポットラインは、被施術者の頭皮における上側から下側に延びても良い。
上記構成によれば、スポットラインの周辺の頭髪は、スポットラインに沿って下方に流れる。このため、該頭髪が、より一層、スポットライン上に設けられたスポット領域に向かうように促され、該頭髪が発散するように広がるのを好適に抑制できる。したがって、頭髪のセットが困難になるのを抑制しながら、毛量を低減できる。
【0012】
また、スポットラインは、被施術者の側頭部及び/又は後頭部に定められても良い。
上記構成によれば、被施術者の側頭部及び/又は後頭部において、頭髪のセットが困難になるのを抑制しながら、毛量を低減できる。このため、被施術者の頭髪の見栄えを好適に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】側面視した被施術者の頭部におけるスポットラインの説明図である。
【
図2】後面視した被施術者の頭部におけるスポットラインの説明図である。
【
図3】スポット領域の配置態様を示す説明図である。
【
図4】スポットラインに沿って延びる領域における頭髪の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本開示を実施するための形態を説明する。
[1.概要]
本実施形態のヘアカット方法では、ヘアカットが施される者(以後、被施術者)の頭皮1における施術領域2に(
図1、2参照)、複数のスポット領域30(
図3、4参照)が定められる。なお、頭皮1とは、被施術者の頭部において頭髪が生えている領域を意味する。そして、各スポット領域30の頭髪の長さが1cm以下であり、且つ、該スポット領域30の周辺領域における頭髪の長さが3cm以上となるように、被施術者の頭髪がカットされる。以下では、本実施形態のヘアカット方法について詳しく説明する。
【0015】
[2.施術領域]
施術領域2は、被施術者の左右の側頭部及び後頭部に位置し、ハチライン10等に基づいて定められる。ハチライン10とは、被施術者の頭皮1と額の右端との境界から、左右のハチを通過して、頭皮1と額の左端との境界に至るラインであり、上下方向に略直交する向きに延びる。なお、ハチとは、側頭部及び後頭部と頂部との間の境界、又は、該境界付近に位置し、側方に張り出している部分である。
【0016】
ここで、ハチライン10の上側に位置し、ハチライン10と略平行に延びるラインを、上ライン11とする。一例として、上ライン11は、ハチライン10よりも3cm程度上側に位置していても良い。また、被施術者の左右の側頭部において、もみあげ、もみあげと耳の間、又は、耳の前側部分を通過し、略上下方向に延びるラインを、前ライン12とする。
【0017】
そして、施術領域2は、被施術者の左右の側頭部における前ライン12の後方、且つ、上ライン11の下方に位置する。被施術者の側頭部の少なくとも一部と、被施術者の後頭部の少なくとも一部とは、施術領域2に含まれる。
【0018】
ここで、頭皮1の境界のうち、左右の耳に沿って延びる部分を、耳周縁ライン15とする。また、耳周縁ライン15のうち、最も上側又はその付近に位置する点を、頂点とする。また、右の頂点から、右の側頭部、後頭部、及び左の側頭部を通過して左の頂点に延びるラインを、耳ライン13とする。耳ライン13は、上下方向に略直交する向きに延びる。
【0019】
そして、施術領域2のうち、耳ライン13と、左右の耳周縁ライン15と、左右の前ライン12と、上ライン11とに囲まれる領域を、上部領域20とする。
また、施術領域2のうち、耳ライン13における後頭部に位置する部分から頭皮1の下端まで延びる領域を、後部領域21とする。後部領域21は、左右の耳周縁ライン15から所定の距離を隔てた位置に設けられる。
【0020】
また、施術領域2のうち、耳ライン13における左右の側頭部に位置する部分から頭皮1の下端まで延びる領域を、側部領域22とする。側部領域22は、耳周縁ライン15に接しており、耳周縁ライン15と後部領域21との間に位置する。
【0021】
また、左右の側部領域22の各々と後部領域21とを隔てるラインを、後部ライン14とする。後部ライン14は、正面視すると略上下方向に略直線状に延びる。
また、後部領域21と左右の側部領域22とを被施術者の後側から正面視すると、これらの領域は、被施術者の左右の中心線に対し略線対称に広がる。なお、左右の中心線とは、被施術者の左右の中心を通過し、上下方向に延びる線を意味する。
【0022】
[3.スポットライン]
上部領域20と、後部領域21と、左右の側部領域22とには、それぞれ、上側から下側に延びる複数のスポットライン3が定められる(
図1、2参照)。換言すれば、被施術者の後頭部及び側頭部に、複数のスポットライン3が定められる。そして、上述したスポット領域30は、スポットライン3上に定められる。
【0023】
具体的には、上部領域20には、正面視した際に略上下方向に略直線状に延びるように、複数のスポットライン3が設けられる。これらのスポットライン3は、ハチライン10に沿って並ぶ。また、これらのスポットライン3の上端は、上ライン11上に位置していても良いし、上ライン11の付近に位置していても良い。また、これらのスポットライン3の下端は、耳ライン13上に位置していても良いし、耳ライン13の付近に位置していても良い。
【0024】
また、後部領域21には、正面視した際に略上下方向に略直線状に延びるように、複数のスポットライン3が設けられる。これらのスポットライン3の上端は、耳ライン13上に位置していても良いし、耳ライン13の付近に位置していても良い。また、これらのスポットライン3の下端は、頭皮1の下端に位置していても良いし、下端の付近に位置していても良い。
【0025】
なお、上部領域20及び後部領域21における各スポットライン3は、正面視した際に上下方向に対し傾斜する向きに延びていても良い。
一方、左右の側部領域22には、それぞれ、正面視した際に、後部領域21又は上部領域20から耳周縁ライン15に向かって略直線状に延びるように、複数のスポットライン3が設けられる。これらのスポットライン3は、耳周縁ライン15に接近するに従い下方に向かう。具体的には、これらのスポットライン3は、正面視した際、上下方向に対し、一例として30°~45°傾斜する。なお、これらのスポットライン3の傾斜は、30°~45°に限らず、適宜定められ得る。
【0026】
また、左右の側部領域22のスポットライン3における上側の端部は、後部ライン14又は耳ライン13上に位置していても良いし、これらのラインの付近に位置していても良い。また、これらのスポットライン3における下側の端部は、耳周縁ライン15上に位置していても良いし、耳周縁ライン15の付近に位置していても良い。
【0027】
なお、上述した各スポットライン3は、正面視した際に略直線状に延びるが、これに限らず、1又は複数の箇所で湾曲又は屈曲していても良い。
また、上部領域20と、後部領域21と、左の側部領域22と、右の側部領域22とのうちの一部に、複数のスポットライン3が定められても良い。
【0028】
[3.スポット領域]
各スポットライン3上には、点状の領域である複数のスポット領域30が定められる(
図3、4参照)。なお、スポット領域30は、例えば、略円形の領域であっても良いし、略多角形(一例として、略四角形)の領域であっても良い。
【0029】
ここで、スポット領域30の一端から他端までの距離の代表値を、スポット幅31と記載する。なお、例えば、スポット領域30が略円形の領域である場合には、その直径をスポット幅31としても良い。また、例えば、スポット領域30が略多角形の領域である場合には、各辺の長さの平均値をスポット幅31としても良い。また、例えば、スポット領域30の一端から他端までの平均的な距離を、スポット幅31としても良い。
【0030】
なお、
図3では、一例として、略円形の領域をスポット領域30とすると共に、その直径をスポット幅31としている。また、本実施形態では、スポット幅31は、一例として、5mm以上となっている。なお、より好ましくは、スポット幅31は、5mm以上10mm以下であっても良い。
【0031】
また、上部領域20と、後部領域21と、左右の側部領域22との各々において、スポットライン3の間隔(以後、ライン間隔33)は、一例として、スポット幅31の2倍以上3倍以下となっている。
【0032】
また、スポットライン3上に並ぶスポット領域30の間隔を、スポット間隔32とする。スポット間隔32は、一例として、スポット幅31の2倍以上3倍以下となっている。また、スポット間隔32は、一例として、1.5cm以上2.0cm以下であっても良い。
【0033】
ここで、上部領域20と、後部領域21と、左右の側部領域22との各々において、複数のスポットライン3が並ぶ向きを整列方向とする。本実施形態では、一例として、各領域において、隣り合う2つのスポットライン3の各スポット領域30は、整列方向に並ばないように配置される。無論、これに限らず、該2つのスポットライン3の各スポット領域30は、整列方向に並んでいても良い。
【0034】
また、各スポットライン3において、隣接する2つのスポット間隔32が異なる長さとなるように、各スポット領域30が配置されるのが好適である。なお、隣接する2つのスポット間隔32とは、スポットライン3上に連続的に並ぶ3つのスポット領域30により形成される2つのスポット間隔32を意味する。無論、隣接する2つのスポット間隔32の長さが略一致するように、各スポット領域30が配置されても良い。
【0035】
[4.頭髪の長さについて]
本実施形態のヘアカット方法では、各スポット領域30における頭髪の長さが1cm以下となり、且つ、各スポット領域30の周辺領域における頭髪の長さが3cm以上となるように、頭髪がカットされる(
図4参照)。なお、周辺領域とは、スポット領域30の周辺に位置し、スポット領域30を囲む領域である。周辺領域は、施術領域2内に位置していても良いし、施術領域2外に位置していても良い。
【0036】
より好ましくは、スポット領域30の頭髪の長さは6mm以下であり、さらに好ましくは、該長さは3mm以下となる。
また、より好ましくは、周辺領域の頭髪の長さは10cm以上であり、さらに好ましくは、該長さは15cm以上となる。
【0037】
さらに、スポット領域30の周辺領域における頭髪の長さに対する、該スポット領域30のスポット幅31の割合は、一例として、1/60以上1/30以下である。無論、該割合はこれに限らず、適宜定められ得る。
【0038】
[5.他の実施形態]
以上、本開示を実施するための形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0039】
(1)上記実施形態では、施術領域2は、上部領域20と、後部領域21と、左右の側部領域22とに分割される。しかしながら、施術領域2の分割態様は、これに限定されない。また、上記実施形態では、被施術者の左右の側頭部と後頭部とに施術領域2が定められる。しかし、例えば、後頭部のみに施術領域が定められても良いし、左右の側頭部、又は、左或いは右の側頭部にのみ施術領域が定められても良い。また、例えば、施術領域を被施術者の頭頂部に定め、頭頂部にスポット領域が設けられるようにしても良い。このような構成を有する場合であっても、同様の効果が得られる。
【0040】
(2)上記実施形態では、被施術者の頭皮1には複数のスポットライン3が定められる。しかしながら、被施術者の頭皮1に1つのスポットライン3を定めても良い。このような構成を有する場合であっても、同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0041】
1…頭皮、2…施術領域、3…スポットライン、30…スポット領域、31…スポット幅、32…スポット間隔、33…ライン間隔。