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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022019321
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】採尿器
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/453 20060101AFI20220120BHJP
   A61F 5/455 20060101ALI20220120BHJP
   A61G 9/00 20060101ALI20220120BHJP
   A47K 11/06 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
A61F5/453
A61F5/455
A61G9/00 T
A61G9/00 W
A47K11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020123096
(22)【出願日】2020-07-17
(71)【出願人】
【識別番号】520267026
【氏名又は名称】株式会社エスエス商会
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 裕司
【テーマコード(参考)】
2D036
4C098
4C341
【Fターム(参考)】
2D036HA53
2D036HA63
2D036HA65
2D036HA70
4C098AA09
4C098CC32
4C098CC39
4C098CD01
4C098CE09
4C098CE11
4C341JJ01
4C341JK02
4C341JK05
4C341JK06
4C341JK08
4C341JK12
(57)【要約】
【課題】快適で使い易い採尿器を提供する。
【解決手段】採尿器10は、受尿部20と、尿をためるための貯留タンク40と、一端が受尿部20と連通して接続されていると共に他端が貯留タンク40と連通して接続されたホース30とを備える。受尿部20の第1の開口部21Aと重なるように、貫通穴23Aが形成されたフランジ部材23が受尿部20に取付けられている。貫通穴23Aは第1の開口部21Aと連通している。受尿部20は、スライドさせて貫通穴23Aの面積を変更できるスライド部材25を有する。採尿器10は引掛部60を備える。引掛部60は、受尿部20を保持できる環状部材61と、ベッドの柵に引掛可能なフック62とを有する。採尿器10を使用しないときは、柵に引掛けられた環状部材61に受尿部20を保持させ、使用するときは環状部材61から受尿部20を取出す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部と外部を連通した第1の開口部が形成された本体と、内部に形成された空間を介して同第1の開口部と連通すると共に同空間と外部とを連通した第2の開口部が形成されており、同本体から延出していると共に先端に同第2の開口部が形成された足部とを有し、同第1の開口部より小さい貫通穴が形成されたフランジ部材が同第1の開口部に設けられており、同第1の開口部と同第2の開口部とを結ぶ線に対して略直交する方向における前記本体の断面積が、同第2の開口部へ向けて徐々に小さくなった受尿部と、
長手方向に延びており、一端が前記受尿部の前記第2の開口部と連通可能に接続自在な導管部と、
内部に尿を貯留可能な貯留空間が形成されており、同貯留空間と連通可能に前記導管部の前記一端とは反対側の他端が接続可能な貯留部とを備える
採尿器。
【請求項2】
内部と外部を連通した第1の開口部が形成された本体と、内部に形成された空間を介して同第1の開口部と連通すると共に同空間と外部とを連通した第2の開口部が形成されており、同本体から延出していると共に先端に同第2の開口部が形成された足部とを有し、同第1の開口部は同第1の開口部と同第2の開口部とを結ぶ線に対して略直交する方向に拡がる前記本体の平面部分に形成されていると共に同平面部分の面積より同第1の開口部の面積は小さく、同第1の開口部と同第2の開口部とを結ぶ線に対して略直交する方向における前記本体の断面積が、同第2の開口部へ向けて徐々に小さくなった受尿部と、
長手方向に延びており、一端が前記受尿部の前記第2の開口部と連通可能に接続自在な導管部と、
内部に尿を貯留可能な貯留空間が形成されており、同貯留空間と連通可能に前記導管部の前記一端とは反対側の他端が接続可能な貯留部とを備える
採尿器。
【請求項3】
前記貯留部を出し入れするための開口部が形成された、同貯留部を収容可能な箱部を備え、
前記導管部と前記箱部とが伸縮可能な伸縮部材で連結可能である
請求項1または請求項2に記載の採尿器。
【請求項4】
前記箱部の横幅の長さが前記貯留部の高さより短く、同箱部の高さが同貯留部の高さより高い
請求項3に記載の採尿器。
【請求項5】
前記フランジ部材の前記貫通穴の縁部は弾性部材で形成された
請求項1、請求項3または請求項4に記載の採尿部。
【請求項6】
前記第1の開口部の縁部は弾性部材で形成された
請求項2、請求項3または請求項4に記載の採尿器。
【請求項7】
前記受尿部は、前記本体の外側表面に設けられた把持可能な把持部を有し、
前記導管部は屈曲可能である
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5または請求項6に記載の採尿器。
【請求項8】
前記受尿部の一部を挿通可能な貫通穴が形成されており、同貫通穴の大きさが前記第1の開口部と前記第2の開口部とを結ぶ線に対して略直交する方向における同受尿部の前記本体の一部の長さより小さい環状部材と、同環状部材から延出していると共にベッドの柵に引掛可能な引掛部材とを有する引掛部を備える
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6または請求項7に記載の採尿器。
【請求項9】
前記受尿部に取付可能であり、ベッドの柵に引掛可能な引掛部を備える
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6または請求項7に記載の採尿器。
【請求項10】
前記受尿部は、前記フランジ部材の前記貫通穴の面積を変更可能な面積変更部を有する
請求項1、請求項3、請求項4、請求項5、請求項7、請求項8または請求項9に記載の採尿器。
【請求項11】
前記受尿部は、前記第1の開口部の面積を変更可能な面積変更部を有する
請求項2、請求項3、請求項4、請求項6、請求項7、請求項8または請求項9に記載の採尿器。
【請求項12】
内部と外部を連通した第1の開口部と、内部に形成された空間を介して同第1の開口部と連通すると共に同空間と外部とを連通した第2の開口部とが形成されており、同第1の開口部より小さい貫通穴が形成されたフランジ部材が同第1の開口部に設けられた受尿部と、
長手方向に延びており、一端が前記受尿部の前記第2の開口部と連通可能に接続自在な導管部と、
内部に尿を貯留可能な貯留空間が形成されており、同貯留空間と連通可能に前記導管部の前記一端とは反対側の他端が接続可能な貯留部とを備える
採尿器。
【請求項13】
内部と外部を連通した第1の開口部と、内部に形成された空間を介して同第1の開口部と連通すると共に同空間と外部とを連通した第2の開口部とが形成されており、同第1の開口部は同第1の開口部と同第2の開口部とを結ぶ線に対して略直交する方向に拡がる平面に形成されていると共に同平面の面積より同第1の開口部の面積は小さい受尿部と、
長手方向に延びており、一端が前記受尿部の前記第2の開口部と連通可能に接続自在な導管部と、
内部に尿を貯留可能な貯留空間が形成されており、同貯留空間と連通可能に前記導管部の前記一端とは反対側の他端が接続可能な貯留部とを備える
採尿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は採尿器に関する。詳しくは、例えば寝たきりの人が使用するための採尿器に係るものである。
【背景技術】
【0002】
排泄は非常にプライベートな行為であるため、人は他人に排泄を手伝ってもらうことに強い抵抗感を持つ。
従って、横になって起き上がることが困難なため、トイレまで行くことができない人が、寝ながらにして自力で排尿するため、尿瓶が使用されている。
【0003】
また、尿瓶は、起き上がることが困難な人ばかりではなく、起き上がってトイレに行くことができる人にとってもメリットがある。
すなわち、例えば寒冷地において、夜中に寒くてトイレに行き辛い場合に尿瓶があることで、寒い思いをしないで済む。
そして、排尿を支援するための様々な器具が提案されてきた。
【0004】
例えば特許文献1には、図5に示す採尿器が記載されている。
すなわち、特許文献1に記載の採尿器200は、尿を蓄える容器201と、陰茎を固定する機能及び尿漏れを防止する機能を有する柔軟な材質の陰茎固定器具202を備える。
また、陰茎固定器具202は、容器201の先端に設けられた陰茎固定部203に圧入されて容器201に装着された状態となる。
また、陰茎固定器具202は、容器201から分離することも可能であり、陰茎を囲繞する形状を有する。
【0005】
陰茎を囲繞して陰茎に陰茎固定器具202を装着した後、容器201の先端の陰茎固定部203に圧入することで陰茎を固定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3136159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の採尿器においては、陰茎固定器具によって陰茎を囲繞するので、囲繞した状態が長時間続くと陰茎の血行が悪くなってしまう問題があった。
また、尿を蓄える容器が使用者の横、すなわち使用者の寝床に置かれるので、容器内の尿の量が増えるにつれて臭いも強くなり、使用者などが不快に感じるという問題もあった。
さらには、使用者の横に容器があるので、容器が邪魔な場合には容器を動かす必要があるが、容器内の尿の量が増えるにつれて容器全体の重量も増えるので、容器を動かし難くなるという問題もあった。
【0008】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、快適で使い易い採尿器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の採尿器は、内部と外部を連通した第1の開口部が形成された本体と、内部に形成された空間を介して同第1の開口部と連通すると共に同空間と外部とを連通した第2の開口部が形成されており、同本体から延出していると共に先端に同第2の開口部が形成された足部とを有し、同第1の開口部より小さい貫通穴が形成されたフランジ部材が同第1の開口部に設けられており、同第1の開口部と同第2の開口部とを結ぶ線に対して略直交する方向における前記本体の断面積が、同第2の開口部へ向けて徐々に小さくなった受尿部と、長手方向に延びており、一端が前記受尿部の前記第2の開口部と連通可能に接続自在な導管部と、内部に尿を貯留可能な貯留空間が形成されており、同貯留空間と連通可能に前記導管部の前記一端とは反対側の他端が接続可能な貯留部とを備える。
【0010】
また、上記の目的を達成するために、本発明の採尿器は、内部と外部を連通した第1の開口部が形成された本体と、内部に形成された空間を介して同第1の開口部と連通すると共に同空間と外部とを連通した第2の開口部が形成されており、同本体から延出していると共に先端に同第2の開口部が形成された足部とを有し、同第1の開口部は同第1の開口部と同第2の開口部とを結ぶ線に対して略直交する方向に拡がる前記本体の平面部分に形成されていると共に同平面部分の面積より同第1の開口部の面積は小さく、同第1の開口部と同第2の開口部とを結ぶ線に対して略直交する方向における前記本体の断面積が、同第2の開口部へ向けて徐々に小さくなった受尿部と、長手方向に延びており、一端が前記受尿部の前記第2の開口部と連通可能に接続自在な導管部と、内部に尿を貯留可能な貯留空間が形成されており、同貯留空間と連通可能に前記導管部の前記一端とは反対側の他端が接続可能な貯留部とを備える。
【0011】
ここで、内部と外部を連通した第1の開口部が形成された本体と、内部に形成された空間を介して第1の開口部と連通すると共に空間と外部とを連通した第2の開口部が形成されており、本体から延出していると共に先端に第2の開口部が形成された足部とを有し、第1の開口部より小さい貫通穴が形成されたフランジ部材が第1の開口部に設けられており、第1の開口部と第2の開口部とを結ぶ線に対して略直交する方向における本体の断面積が、第2の開口部へ向けて徐々に小さくなった受尿部によって、使用者が排出した尿が貫通穴から漏れ難いと共に、第2の開口部へ向かって流れ易い。
【0012】
あるいは、内部と外部を連通した第1の開口部が形成された本体と、内部に形成された空間を介して第1の開口部と連通すると共に空間と外部とを連通した第2の開口部が形成されており、本体から延出していると共に先端に第2の開口部が形成された足部とを有し、第1の開口部は第1の開口部と第2の開口部とを結ぶ線に対して略直交する方向に拡がる本体の平面部分に形成されていると共に平面部分の面積より第1の開口部の面積は小さく、第1の開口部と第2の開口部とを結ぶ線に対して略直交する方向における本体の断面積が、第2の開口部へ向けて徐々に小さくなった受尿部によって、使用者が排出した尿が第1の開口部から漏れ難いと共に、第2の開口部へ向かって流れ易い。
【0013】
また、長手方向に延びており、一端が受尿部の第2の開口部と連通可能に接続自在な導管部と、内部に尿を貯留可能な貯留空間が形成されており、貯留空間と連通可能に導管部の一端とは反対側の他端が接続可能な貯留部とによって、受尿部で受けた尿を、導管部を通して貯留部へとためることができ、使用者は排尿時に貯留部を持つ必要がないので、貯留部に尿がたまっても使用者に負担は掛からず、使用時に、たまった尿が流出してしまうおそれもない。
【0014】
また、本発明の採尿器は、貯留部を出し入れするための開口部が形成された、貯留部を収容可能な箱部を備え、導管部と箱部とが伸縮可能な伸縮部材で連結可能である構成とすることができる。
【0015】
この場合、伸縮部材によって導管部の動きがある程度制限されるので、導管部と貯留部との接続が解除され難くなり、また、導管部と貯留部との接続が解除されてしまっても、箱部によって、尿による汚れを箱部内に制限できる。
【0016】
また、箱部を備える本発明の採尿器において、箱部の横幅の長さが貯留部の高さより短く、箱部の高さが貯留部の高さより高い構成とすることができる。
【0017】
この場合、貯留部が傾いても箱部の壁に当たるので箱部内において倒れ難くなり、また、導管部と貯留部との接続が解除されても導管部の他端が箱部の外側へ出難い。
【0018】
また、フランジ部材が設けられた本発明の採尿器において、フランジ部材の貫通穴の縁部は弾性部材で形成された構成とすることができる。
また、フランジ部材が設けられていない本発明の採尿器において、第1の開口部の縁部は弾性部材で形成された構成とすることができる。
【0019】
この場合、使用者の性器が貫通穴の縁部あるいは第1の開口部の縁部に当たっても、使用者は痛みを感じ難い。
【0020】
また、本発明の採尿器において、受尿部は、本体の外側表面に設けられた把持可能な把持部を有し、導管部は屈曲可能である構成とすることができる。
【0021】
この場合、使用者は、受尿部を安定して持つことができ、また、受尿部の第1の開口部を様々な方向へ向けることができる。
【0022】
また、本発明の採尿器は、受尿部の一部を挿通可能な貫通穴が形成されており、貫通穴の大きさが第1の開口部と第2の開口部とを結ぶ線に対して略直交する方向における受尿部の本体の一部の長さより小さい環状部材と、環状部材から延出していると共にベッドの柵に引掛可能な引掛部材とを有する引掛部を備える構成とすることができる。
【0023】
この場合、受尿部の本体の一部が、ベッドの柵に引掛けられた引掛部の環状部材に引掛かり、受尿部の一部すなわち環状部材に引掛かる受尿部の本体の一部以外の部分は、環状部材に引掛からずに貫通穴を通るので、引掛部をベッドの柵に引掛けたまま使用者は受尿部のみを動かして用を足すことができ、用を足し終えた後は、定位置すなわち環状部材の位置に受尿部を戻すことができる。
【0024】
また、本発明の採尿器は、受尿部に取付可能であり、ベッドの柵に引掛可能な引掛部を備える構成とすることができる。
【0025】
この場合、使用者は本発明の採尿器を使用後、受尿部をベッドの柵に引掛けておき、使用時には迅速に用を足すことができる。
【0026】
また、フランジ部材が設けられた本発明の採尿器において、受尿部は、フランジ部材の貫通穴の面積を変更可能な面積変更部を有する構成とすることができる。
また、フランジ部材が設けられていない本発明の採尿器において、受尿部は、第1の開口部の面積を変更可能な面積変更部を有する構成とすることができる。
【0027】
この場合、使用者の性器が女性器であるときには、貫通穴の面積あるいは第1の開口部の面積を大きくし、男性器であるときには、貫通穴の面積あるいは第1の開口部の面積を小さくして、2種類の性器に対応することができる。
【0028】
また、前記の目的を達成するために、本発明の採尿器は、内部と外部を連通した第1の開口部と、内部に形成された空間を介して同第1の開口部と連通すると共に同空間と外部とを連通した第2の開口部とが形成されており、同第1の開口部より小さい貫通穴が形成されたフランジ部材が同第1の開口部に設けられた受尿部と、長手方向に延びており、一端が前記受尿部の前記第2の開口部と連通可能に接続自在な導管部と、内部に尿を貯留可能な貯留空間が形成されており、同貯留空間と連通可能に前記導管部の前記一端とは反対側の他端が接続可能な貯留部とを備える。
【0029】
また、前記の目的を達成するために、本発明の採尿器は、内部と外部を連通した第1の開口部と、内部に形成された空間を介して同第1の開口部と連通すると共に同空間と外部とを連通した第2の開口部とが形成されており、同第1の開口部は同第1の開口部と同第2の開口部とを結ぶ線に対して略直交する方向に拡がる平面に形成されていると共に同平面の面積より同第1の開口部の面積は小さい受尿部と、長手方向に延びており、一端が前記受尿部の前記第2の開口部と連通可能に接続自在な導管部と、内部に尿を貯留可能な貯留空間が形成されており、同貯留空間と連通可能に前記導管部の前記一端とは反対側の他端が接続可能な貯留部とを備える。
【0030】
ここで、内部と外部を連通した第1の開口部と、内部に形成された空間を介して第1の開口部と連通すると共に空間と外部とを連通した第2の開口部とが形成されており、第1の開口部より小さい貫通穴が形成されたフランジ部材が第1の開口部に設けられた受尿部によって、使用者が排出した尿が貫通穴から漏れ難いと共に、第2の開口部へ向かって流れることができる。
【0031】
あるいは、内部と外部を連通した第1の開口部と、内部に形成された空間を介して第1の開口部と連通すると共に空間と外部とを連通した第2の開口部とが形成されており、第1の開口部は第1の開口部と第2の開口部とを結ぶ線に対して略直交する方向に拡がる平面に形成されていると共に平面の面積より第1の開口部の面積は小さい受尿部によって、使用者が排出した尿が第1の開口部から漏れ難いと共に、第2の開口部へ向かって流れることができる。
【0032】
また、長手方向に延びており、一端が受尿部の第2の開口部と連通可能に接続自在な導管部と、内部に尿を貯留可能な貯留空間が形成されており、貯留空間と連通可能に導管部の一端とは反対側の他端が接続可能な貯留部とによって、受尿部で受けた尿を、導管部を通して貯留部へとためることができ、使用者は排尿時に貯留部を持つ必要がないので、貯留部に尿がたまっても使用者に負担は掛からず、使用時に、たまった尿が流出してしまうおそれもない。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る採尿器は、快適で使い易い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明を適用した採尿器の一例を示す概略図である。
図2】本発明を適用した採尿器が備える受尿部の一例を示す概略正面図である。
図3】本発明を適用した採尿器が使用されているときの様子の一例を示す概略図である。
図4】本発明を適用した採尿器が使用されていないときの様子の一例を示す概略図である。
図5】従来の採尿器を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明を適用した採尿器の一例を示す概略断面図である。
また、図2は、本発明を適用した採尿器が備える受尿部の一例を示す概略正面図である。
【0036】
図1に示す本発明の採尿器10は、受尿部20を備える。
ここで受尿部20は、本体21と、足部22とを有する。
【0037】
また、本体21には、本体21の内部と外部を連通した第1の開口部21Aが形成されている。
また、本体21の内部には空間21Bが形成されている。
【0038】
また、足部22は、本体21の第1の開口部21Aが形成された側とは反対側から延出している。また、足部22の先端には第2の開口部22Aが形成されている。
ここで、足部22の内部にも空間が形成されており、本体21の内部の空間と、足部22の内部の空間とは互いに連通している。
【0039】
そして、第2の開口部22Aは、本体21の内部に形成された空間21Bと、足部22の内部に形成された空間とを介して第1の開口部21Aと連通している。
また、第2の開口部22Aは、このような内部の空間と外部とを連通している。
【0040】
また、足部22は蛇腹構造となっており、自由に曲がることができる。
【0041】
また、本体21の一部の内側面は傾斜している。
すなわち、本体21の傾斜している部分においては、第1の開口部21Aと第2の開口部22Aとを結ぶ線に対して略直交する方向における本体21の断面積が、第2の開口部22Aへ向けて徐々に小さくなっている。
【0042】
また、本体21の内部の、足部22と連接する箇所には、図1に示すように弁部材21Cが取付けられている。
ここで、弁部材21Cは、例えば薄いゴム製であり、本体21から足部22へと尿が流れるたびに揺動する。
このような弁部材21Cが取付けられていることによって、ためられた尿の臭気が受尿部20の本体21の内部に入り込み難くなる。
【0043】
また、受尿部20は、把持部24を有する。
ここで、把持部24は、本体21の外側表面に設けられており、使用者が把持可能に構成されている。
【0044】
また、貫通穴23Aが形成されたフランジ部材23が、本体21の第1の開口部21Aに設けられている。すなわち、フランジ部材23は、第1の開口部21Aと重なるように本体21に取付けられている。
【0045】
ここで、フランジ部材23の貫通穴23Aは本体21の第1の開口部21Aと連通している。
また、図2に示すように、貫通穴23Aの外形は、把持部24が取付けられた側を上側として見たときに、三辺がそれぞれやや湾曲した逆三角形状であるが、この形状に限定されないことは勿論である。
【0046】
また、貫通穴23Aは第1の開口部21Aより小さい穴であり、第1の開口部21Aと重なるフランジ部材23のうち、貫通穴23Aが形成された箇所以外の箇所が壁となって、尿の逆流による漏れ出しを防止できる。
【0047】
また、フランジ部材23の貫通穴23Aの縁部はゴム部材23Bで形成されている。
ここで、ゴム部材23Bは弾性部材の一例である。
【0048】
また、受尿部20は、スライド部材25を有する。ここで、スライド部材25は、把持部24が取付けられた側を上側として見たときに、フランジ部材23の外側表面に、上下方向へスライド可能に取付けられている。
【0049】
すなわち、把持部24が取付けられた側を上側として見たときに、上下方向へ延びた一対のスライド用ガイド部材26が、貫通穴23Aを挟んだ状態でフランジ部材23に設けられており、スライド部材25はスライド用ガイド部材26に、スライド方向27へ、スライド可能に取付けられている。
【0050】
また、スライド部材25は、貫通穴23Aを挟んで設けられた一対のスライド用ガイド部材26に取付けられているので、貫通穴23Aの少なくとも一部を覆うことができる。
従って、スライド部材25をスライド方向27へ、スライドさせることにより、貫通穴23Aの面積すなわち貫通穴23Aの露出した面積を変えることができる。
【0051】
また、図2に示すように、スライド用ガイド部材26に取付けられたスライド部材25の部分同士を結ぶ線が延びる方向と同じ方向へ延びた2つの縁部のうち、貫通穴23A上に位置することになる縁部の外形は湾曲している。
【0052】
また、スライド部材25の湾曲した縁部はゴム部材で形成することもできる。
ここで、スライド部材25は面積変更部の一例である。
【0053】
また、スライド部材25の大きさを適宜変更できることは勿論であり、例えば貫通穴23Aを全て覆うことができる大きさにすることもできる。
この場合、スライド部材25は蓋としての機能も発揮することができる。
【0054】
また、本発明の採尿器10は、ホース30を備える。
ここで、ホース30は通常のホースと同じ構成のものである。すなわち、ホース30は、長手方向に延びており、両端に形成された開口部を介して内部の空間と外部とが連通している構成である。
【0055】
また、ホース30の一端は、受尿部20の足部22の先端に形成された第2の開口部22Aと連通可能に接続自在である。
すなわち、図示した例では、ホース30の一端が受尿部20の足部22と接続されており、足部22に形成された第2の開口部22Aがホース30の内部の空間と連通している。
また、ホース30は、適宜、足部22から外したり、再び足部22に接続したりすることができる。
【0056】
また、ホース30は透明である。ホース30が透明であることによって、ホース30内の尿石や汚れを視認することができ、掃除が必要か否かを判断し易い。
また、ホース30は屈曲することができる。
【0057】
また、ホース30の外径は例えば2cmであり、内径は例えば1.6cmである。このような寸法であれば、大量に排尿しても溢れ出難く、曲がり易さも維持できる。
また、ホース30は、導管部の一例である。
【0058】
また、本発明の採尿器10は、貯留タンク40を備える。
ここで、貯留タンク40は、内部に尿45を貯留可能な貯留空間41が形成されており、貯留空間41と外部とを連通した第1の穴42が形成されている。
また、受尿部20の足部22に接続されたホース30の一端とは反対側の他端が、第1の穴42に挿通されて貯留空間41内に配置されている。
【0059】
すなわち、ホース30の他端は貯留タンク40と接続されていると共に、貯留空間41と連通している。
【0060】
従って、受尿部20のフランジ部材23に形成された貫通穴23Aと貯留タンク40の貯留空間41とは連通しており、その結果、貫通穴23Aに入れられた性器から排出された尿は、受尿部20とホース30を通って貯留タンク40の貯留空間41へと流れつくことができる。
【0061】
また、貯留タンク40の外側表面には、貯留タンク40内にたまった尿45の量が判るように目盛り43が設けられている。
また、貯留タンク40には、図示していないが第1の穴42と同じく、貯留空間41と外部とを連通した第2の穴が形成されており、第2の穴が蓋44によって開閉自在に閉じられている。
また、貯留タンク40は貯留部の一例である。
【0062】
また、本発明の採尿器10は、ケース50を備える。
ここで、ケース50には、貯留タンク40を出し入れするための開口部50Bが形成されており、貯留タンク40を収容可能である。
【0063】
また、ケース50の開口部50Bの縁部からは、図示していないケース用蓋と係合するための張出部50Aが四方へ突出している。
【0064】
また、ホース30とケース50とが、長手方向に延びた伸縮可能なバネ部材51で連結されている。ここで、バネ部材51は伸縮部材の一例である。
すなわち、ホース30の表面には連結金具52が取付けられており、バネ部材51の一端が連結金具52に取付けられており、バネ部材51の他端が張出部50Aに取付けられている。
なお、バネ部材などの伸縮部材をホースに取付けることができるのであれば、必ずしも連結金具を使用しなくてもよい。
【0065】
また、ケース50の横幅の長さは貯留タンク40の高さより短い。
また、ケース50の高さは貯留タンク40の高さより高い。
また、ケース50は箱部の一例である。
【0066】
また、本発明の採尿器10は、引掛部60を備える。
ここで、引掛部60は、環状部材61と、フック62とを有する。
【0067】
環状部材61には、受尿部20の一部を挿通可能な貫通穴61Aが形成されている。
また、貫通穴61Aの大きさは、受尿部20の第1の開口部21Aと第2の開口部22Aとを結ぶ線に対して略直交する方向における受尿部20の本体21の一部の長さより小さい。
【0068】
また、フック62は、環状部材61から延出しており、ベッドの柵に引掛可能に構成されている。
【0069】
本体とフランジ部材が別体であり、第1の開口部と貫通穴という2つの穴が存在する形態を説明したが、必ずしもこのような形態でなくてもよく、本体とフランジ部材が一体となっており第1の開口部と貫通穴という2つの穴ではなく1つの穴、すなわち第1の開口部が存在する形態とすることもできる。
【0070】
このように本体とフランジ部材が一体となり、第1の開口部と貫通穴という2つの穴ではなく1つの穴という他の形態の場合、第1の開口部は、第1の開口部と第2の開口部とを結ぶ線に対して略直交する方向に拡がる本体の平面部分に形成されていると共に、この平面部分の面積より第1の開口部の面積は小さいという構成とすることができる。
【0071】
また、このような他の形態の場合、フランジ部材の貫通穴の縁部と同様に、第1の開口部の縁部は、ゴム部材すなわち弾性部材で形成された構成とすることができる。
【0072】
また、このような他の形態の場合も、同様に受尿部はスライド部材を有することができ、スライド部材は第1の開口部の面積すなわち第1の開口部の露出した面積を変える構成とすることができる。
【0073】
また、受尿部は、必ずしも本体と足部という構成でなくてもよく、また、第1の開口部と第2の開口部とを結ぶ線に対して略直交する方向における本体の断面積は、必ずしも第2の開口部へ向けて徐々に小さくなっていなくてもよい。
【0074】
しかし、受尿部がこのような構成であれば、使用者が排出した尿が第2の開口部へ向かって流れ易いので好ましい。
【0075】
また、本発明の採尿器は、必ずしもケースすなわち箱部を備えていなくてもよく、また、必ずしもホースすなわち導管部と箱部とが、バネ部材すなわち伸縮部材で連結されていなくてもよい。
【0076】
しかし、導管部と箱部とが伸縮部材で連結されていれば、導管部の動きがある程度制限されるので、導管部と貯留部との接続が解除され難くなり、また、導管部と貯留部との接続が解除されてしまっても、貯留部を収容した箱部によって尿による汚れを箱部内に制限できて好ましい。
【0077】
また、必ずしも箱部の横幅の長さが貯留タンクすなわち貯留部の高さより短くなくてもよく、また、必ずしも箱部の高さが貯留部の高さより高くなくてもよい。
【0078】
しかし、箱部の横幅の長さが貯留部の高さより短ければ、貯留部が箱部内において倒れ難くなり、また、箱部の高さが貯留部の高さより高ければ、導管部と貯留部との接続が解除されても導管部の端部すなわち他端が箱部の外側へ出難いので好ましい。
【0079】
また、必ずしもフランジ部材の貫通穴の縁部はゴム部材すなわち弾性部材で形成されていなくてもよく、例えば柔軟な樹脂部材で形成されていてもよく、また、本体とフランジ部材が一体となった形態においては、必ずしも第1の開口部の縁部は弾性部材で形成されていなくてもよく、例えば柔軟な樹脂部材で形成されていてもよい。
【0080】
しかし、フランジ部材の貫通穴の縁部あるいは第1の開口部の縁部が弾性部材で形成されていれば、使用者の性器が貫通穴の縁部あるいは第1の開口部の縁部に当たっても、使用者は痛みを感じ難いので好ましい。
また、フランジ部材の貫通穴の縁部あるいは第1の開口部の縁部が柔軟な樹脂部材で形成されていても、使用者の性器が貫通穴の縁部あるいは第1の開口部の縁部に当たったときに、使用者は痛みを感じ難いので好ましい。
【0081】
また、受尿部は必ずしも把持部を有していなくてもよく、また、導管部は必ずしも屈曲可能でなくてもよい。
しかし、受尿部が把持部を有しており、導管部が屈曲可能であれば、使用者は、受尿部を安定して持つことができ、また、受尿部の第1の開口部を様々な方向へ向けることできるので好ましい。
【0082】
また、本発明の採尿器は、必ずしも引掛部を備えていなくてもよい。
しかし、本発明の採尿器が引掛部を備えていれば、使用者は本発明の採尿器を使用後、受尿部をベッドの柵に引掛けておき、使用時には迅速に用を足すことができるので好ましい。
【0083】
また、引掛部は、受尿部に取付けることができてベッドに引掛けることができれば、必ずしも環状部材とフックすなわち引掛部材とを有していなくてもよい。
しかし、引掛部が環状部材と引掛部材とを有していれば、引掛部をベッドの柵に引掛けたまま使用者は受尿部のみを動かして用を足すことができ、用を足し終えた後は、定位置すなわち環状部材の位置に受尿部を戻すことができるので好ましい。
【0084】
また、受尿部は、必ずしもスライド部材すなわち面積変更部を有していなくてもよい。
しかし、受尿部が面積変更部を有していれば、使用者の性器が女性器であるときには、貫通穴の面積あるいは第1の開口部の面積を大きくし、男性器であるときには、貫通穴の面積あるいは第1の開口部の面積を小さくして、2種類の性器に対応することができるので好ましい。
【0085】
次に、本発明の採尿器の使用態様と非使用態様を説明する。
図3は、本発明を適用した採尿器が使用されているときの様子の一例を示す概略図である。
また、図4は、本発明を適用した採尿器が使用されていないときの様子の一例を示す概略図である。
【0086】
本発明の採尿器10を、ベッド70の横に配置する。
すなわち、本発明の採尿器10が備えるケース50をベッド70の横の床に配置し、ケース50内に貯留タンク40を入れる。
【0087】
蓋を外して貯留タンク40の第1の穴42を開放し、ホース30の他端を第1の穴42に挿通して貯留タンク40の内部に入れる。
また、ケース50の張出部50Aに端部が取付けられたバネ部材51の、もう一方の端部をホース30の表面の連結金具52に取付ける。
【0088】
また、引掛部60のフック62をベッド70の柵71に引掛ける。
このとき、図4に示すように、引掛部60の環状部材61が柵71の内側すなわちベッド70の上方に配置されるようにする。引掛部60の環状部材61をこのように配置することによって、使用者は寝ていても受尿部20の把持部24を持ち易くなる。
【0089】
次に、使用者あるいは介護者は、引掛部60の環状部材61に保持された受尿部20を持って、受尿部20を使用者の股間へ近づける。そして、受尿部20のフランジ部材23に形成された貫通穴23Aに使用者の性器を入れるようにする。
その後、使用者が用を足す。
【0090】
受尿部20の本体21の内部に形成された空間に放出された尿は、足部22を通って足部22の先端の第2の開口部22Aからホース30内へ流れ込み、さらにホース30を通って貯留タンク40内へ流れ込む。
貯留タンク40内へ流れ込んだ尿は、貯留タンク40内にためられる。
【0091】
そして、用を足し終えた使用者、あるいは用を足し終えたことを確認した介護者は、図4に示すように、柵71に引掛けられた環状部材61に受尿部20を保持させておく。
【0092】
以上のように、本発明の採尿器は受尿部を備えているので、使用者が排出した尿が貫通穴あるいは第1の開口部から漏れ難いと共に、第2の開口部へ向かって流れることができる。
また、本発明の採尿器は、導管部と貯留部とを備えているので、受尿部で受けた尿を、導管部を通して貯留部へとためることができ、使用者は排尿時に貯留部を持つ必要がないので、貯留部に尿がたまっても使用者に負担は掛からず、使用時に、たまった尿が流出してしまうおそれもない。
【0093】
従って、本発明の採尿器は、快適で使い易い。
【符号の説明】
【0094】
10 採尿器
20 受尿部
21 本体
21A 第1の開口部
21B 空間
21C 弁部材
22 足部
22A 第2の開口部
23 フランジ部材
23A 貫通穴
23B ゴム部材
24 把持部
25 スライド部材
26 スライド用ガイド部材
27 スライド方向
30 ホース
40 貯留タンク
41 貯留空間
42 第1の穴
43 目盛り
44 蓋
45 尿
50 ケース
50A 張出部
50B 開口部
51 バネ部材
52 連結金具
60 引掛部
61 環状部材
61A 貫通穴
62 フック
70 ベッド
71 柵
図1
図2
図3
図4
図5