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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022019397
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】ポイントサイネージビジネスシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20220120BHJP
【FI】
G06Q30/02 382
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020123207
(22)【出願日】2020-07-17
(71)【出願人】
【識別番号】520006735
【氏名又は名称】株式会社三鷹ホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【弁理士】
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】羽澤 学
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB08
5L049BB53
(57)【要約】      (修正有)
【課題】広告を行いたい広告主と、広告の実行をアレンジ、管理する広告代理店と、実際に広告を行う広告実行者を結ぶポイントサイネージビジネスシステムを提供する。
【解決手段】方法は、広告主サーバの所望する広告がポイントサイネージ装置にて行われ、ポイントサイネージ装置が有する情報取得部により、広告を視聴する視聴者の正面視もしくは瞳正視線を含む擬制凝視視聴者数を反映した広告ポイント情報と、ポイントサイネージ装置が取得した広告視聴者が反応した音声情報及び/もしくは映像情報及び/もしくは文字情報を含む広告視聴者反応情報と、のうちの少なくともいずれか一方が獲得され、広告主サーバ、広告代理店サーバ、ポイントサイネージ装置のうちの少なくともいずれか2つが、広告ポイント情報と広告視聴者反応情報とのうちの少なくともいずれか一方を用いて得られる広告浸透ポイント情報のやり取りを行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告依頼を希望する単数あるいは複数の広告主に係る広告主サーバと、広告を依頼される広告代理店に係る広告代理店サーバと、単数あるいは複数の広告実行者に係るポイントサイネージ装置とがネットワークを介して結ばれた広告ビジネスシステムであって、
前記広告主サーバの所望する広告が前記ポイントサイネージ装置にて行われ、
前記ポイントサイネージ装置が有する情報取得部により、前記広告を視聴する擬制凝視視聴者数を反映した広告ポイント情報と、前記ポイントサイネージ装置が取得した広告視聴者が反応した音声情報及び/もしくは映像情報及び/もしくは文字情報を含む広告視聴者反応情報と、のうちの少なくともいずれか一方が獲得され、
前記広告主サーバ、前記広告代理店サーバ、前記ポイントサイネージ装置のうちの少なくともいずれか2つが、前記広告ポイント情報と前記広告視聴者反応情報とのうちの少なくともいずれか一方を用いて得られる広告浸透ポイント情報のやり取りを行うことを特徴とするポイントサイネージビジネスシステム。
【請求項2】
前記広告主サーバは前記広告代理店サーバに広告を依頼するための依頼情報を送信する手段を備え、
前記広告代理店サーバは、
前記依頼された広告を実行させるべく、前記ポイントサイネージ装置に対して前記広告に関する広告コンテンツを送信する手段と、
前記ポイントサイネージ装置によって広告が実行されたときの、前記広告の実行行為から得られる前記広告ポイント情報及び/もしくは前記広告視聴者反応情報を受信もしくは取得する手段と、
前記広告ポイント情報及び/もしくは前記広告視聴者反応情報に基づいて前記広告実行者への報酬を決定する報酬決定手段と、
前記ポイント情報及び/もしくは前記広告視聴者反応情報を含めた広告効果に対する対価を決定する対価決定手段と
を備え、
前記ポイントサイネージ装置は該ポイントサイネージ装置によって広告が実行されたときの、前記広告の実行行為から得られる前記ポイント情報及び/もしくは前記広告視聴者反応情報を送信もしくは格納する手段を備えることを特徴とする請求項1記載のポイントサイネージビジネスシステム。
【請求項3】
前記ポイントサイネージ装置は、広告表示機能、周囲環境記録機能、対話型広告機能、広告効果指標化機能、を備え、
前記広告代理店サーバは、前記広告表示機能、前記周囲環境記録機能、前記対話型広告機能、前記広告効果指標化機能のうちの少なくともいずれか1つを用いて前記広告主の要求する広告結果による予測を導き出す手段をさらに有することを特徴とする請求項1もしくは2記載のポイントサイネージビジネスシステム。
【請求項4】
前記広告結果による予測を導き出す手法として人工知能(AI)手法を用いることを特徴とする請求項3記載のポイントサイネージビジネスシステム。
【請求項5】
前記広告主が指定するチェックポイントにおいて広告が実行されることにより前記広告浸透ポイント情報が加点されることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項記載のポイントサイネージビジネスシステム。
【請求項6】
複数の広告実行者の前記ポイントサイネージ装置を連接することにより、集団広告、集中広告、波状広告、間断広告、広域広告のうちの少なくともいずれか一つが行われることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1項記載のポイントサイネージビジネスシステム。
【請求項7】
複数の広告実行者の前記ポイントサイネージ装置は識別子を付与され、
前記ポイントサイネージ装置は前記付与された識別子ごとに定義された広告を実行することを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか1項記載のポイントサイネージビジネスシステム。
【請求項8】
前記広告主は、民間企業、政府、地方自治体を含む公共機関のうちのいずれかであり、
前記広告主からの依頼に基づく前記広告には、商品情報、政府/自治体通達事項、お知らせ、のうちのいずれかが含まれることを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか1項記載のポイントサイネージビジネスシステム。
【請求項9】
公共機関及び/もしくは地方自治体と交信する交信手段をさらに備え、
事故及び/もしくは事件発生時を含む緊急時に前記交信手段を用いて前記公共機関及び/もしくは前記地方自治体から入手した緊急通達表示が前記ポイントサイネージ装置に表示されることを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか1項記載のポイントサイネージビジネスシステム。
【請求項10】
前記ポイントサイネージ装置は、仮想アイドルを登場させて視聴者に案内し、もしくは視聴者との間で会話を進行させる仮想アイドル部をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至9のうちいずれか1項記載のポイントサイネージビジネスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はたとえばポイントサイネージビジネスシステムに係り、特に、たとえば電子広告看板(デジタルサイネージ)の広告効果を評価する機能を有するポイントサイネージ装置を用いたポイントサイネージビジネスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルサイネージと称する電子広告看板が広く用いられている。液晶等の大型表示器の進歩により、ビルの屋外壁面や鉄道駅構内の壁面あるいは公共施設の大型柱にも装着され、通行者に効果的と思われる広告が行われている。さらには、デジタルサイネージは、広告ばかりでなく、公共施設内でのお知らせやキャンペーンにまでも広く用いられている。しかし、肝心の広告やお知らせが、実際にどのくらい通行者の注意を引き、結果的にどの程度広告効果が上がっているかは不明である。
【0003】
また、屋外における広告媒体として、バスやトラック、乗用車等の移動体を用い、車体の外部等に広告を表示しながら移動することが広く行われている。この場合に、広告媒体が移動することを活かして、走行地域や位置等に応じた広告を表示することも行われている。固定式のデジタルサイネージと同様、通行者の注意をどのくらい引くことができ、宣伝効果がどのくらい上がっているかを推測することは難しい。
【0004】
例えば、特許文献1には、自家用車を広告媒体とする自動車用電子広告体およびサーバシステムが記載されている。ここでは、自動車用電子広告体は、車外に向けて情報を表示する車載表示器を備え、自車の位置に応じた広告を表示するとともに、表示履歴を記録することが記載されている。また、サーバシステムは、地域に応じた広告を記録し、自動車用電子広告体の位置情報を受信してその位置情報に応じた広告を配信するとともに、表示履歴の情報を取得することが記載されている。
【0005】
特許文献1による自家用車用広告では、自動車が比較的早く移動するため、広告を目撃した通行者がどのくらい広告内容を理解して広告効果が上がることが期待できるのかは不明である。広告をはっきり視認することができるのは、赤信号による一時停車時、あるいは駐車場に駐車している時か車庫に停車している時であり、車両が移動時には、肝心の、広告を訴求すべき対象者である人間への広告効果はあまり期待できない。
【0006】
特許文献2 には、移動可能なデジタルサイネージ装置が設置された場所情報を適宜入手し、その場所に応じて表示させるコンテンツを設定するコンテンツ設定装置が記載されている。ここでは、デジタルサイネージ装置から時間毎に現在位置情報を受信し、受信した現在位置情報が関連付けられた地域にあると判定された場合に、表示すべきコンテンツをデジタルサイネージ装置に送信することが記載されている。
【0007】
特許文献1及び特許文献2においても、デジタルサイネージ装置の現在地に適合した広告を行うという思想は開示されているが、肝心の広告を見て欲しい対象(人間)に適合させた広告を行うという思想についての記述はなされていない。さらに、適合させた広告の効果を何らかの手段で推定するという技術思想も記述されていない。
【0008】
特許文献3においては、広告媒体となる自動車等の移動体の所有者と、移動体を用いた広告を行いたい広告主とをマッチングさせ、移動体によるデジタルサイネージを実現する移動体広告システムを提供する技術思想が開示されている。しかし、広告媒体となる自動車等の移動体の所有者が、どの程度効果的な広告を行ったかという証左を広告主に示す手段については記述されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002-211314号公報
【特許文献2】特開2016-143297号公報
【特許文献3】特開2018-092385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決することを企図したものであって、ポイントサイネージ装置を用いて、広告を行いたい広告主と、広告の実行をアレンジ、管理する広告代理店と、実際に広告を行う広告実行者を結ぶポイントサイネージビジネスを展開することの基盤となるポイントサイネージビジネスシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような課題を解決するために、まず、本発明者は、広告依頼を希望する複数の広告主と、広告を依頼される広告代理店と、複数の広告実行者を結ぶ広告ビジネスシステムであって、前記3者を結ぶ情報としてポイントサイネージ装置による広告効果指標(ポイント)を用いることを特徴とするポイントサイネージビジネスシステム、を独自に創造するに至った。
【0012】
すなわち、本発明の第1の態様に係るポイントサイネージビジネスシステムは、広告依頼を希望する単数あるいは複数の広告主に係る広告主サーバと、広告を依頼される広告代理店に係る広告代理店サーバと、単数あるいは複数の広告実行者に係るポイントサイネージ装置とがネットワークを介して結ばれた広告ビジネスシステムであって、前記広告主サーバの所望する広告が前記ポイントサイネージ装置にて行われ、前記ポイントサイネージ装置が有する情報取得部により、前記広告を視聴する視聴者の正面視もしくは瞳正視線を含む擬制凝視視聴者数を反映した広告ポイント情報と、前記ポイントサイネージ装置が取得した広告視聴者が反応した音声情報及び/もしくは映像情報及び/もしくは文字情報を含む広告視聴者反応情報と、のうちの少なくともいずれか一方が獲得され、前記広告主サーバ、前記広告代理店サーバ、前記ポイントサイネージ装置のうちの少なくともいずれか2つが、前記広告ポイント情報と前記広告視聴者反応情報とのうちの少なくともいずれか一方を用いて得られる広告浸透ポイント情報のやり取りを行うことを特徴とする。
【0013】
ここで、広告を視聴する視聴者の擬制凝視視聴者数を反映した広告ポイント情報とは、ポイントサイネージ装置を視聴する者のうち、一定時間/空間内でしっかりと視聴した/凝視したと客観的に評価できる者の数を数値化した情報をいい、ポイントサイネージ装置の情報表示部が視認できる特定視野角及び/もしくは特定距離内に一定時間内に所在した人間(一定物理的範囲内所在者)の数を数値化したもの、ポイントサイネージ装置の情報表示部に正対する向きに一定時間内に存在したと評価される人間(正面視をしていたものと擬制できる者)の数を数値化したもの、ポイントサイネージ装置の認証部が検出した人物の瞳の位置が一定時間内に目の中央にあると検出できる者(瞳正視線者)の数を数値化したもの、を含む概念である。
【0014】
また、広告視聴者が反応した音声情報及び/もしくは映像情報及び/もしくは文字情報を含む広告視聴者反応情報とは、ポイントサイネージ装置にて為された広告を視聴した視聴者が何らかの反応をしたのを取得したものを情報化したものであり、たとえば、「素敵な靴ですね!」あるいは「どこで売っているのですか?」等の直接的な広告効果反応音声情報、(「この商品は好きですか?」等の問いかけに対する)首を横に振る反応動作や「いくつ買いたいと思いますか?」等の問いかけに対する)「2つ」を示す指の動作等の反応動作を撮像して得られる広告効果反応映像情報、ポイントサイネージ装置の画面上で入力された選択肢に係る選択した旨の情報や上述した広告効果反応音声情報を文字化した情報をテキスト化した広告効果反応文字情報、のいずれをも含む概念である。
【0015】
さらに、情報取得部とは、上述した広告視聴者反応情報を取得する機能を実現するハードウェア及び/もしくはソフトウェア構成をいい、たとえば、上記広告効果反応音声情報を取得するためのマイク及び音声処理部、上記広告効果反応映像情報を取得するための撮像装置及び映像処理部、上記広告効果反応文字情報を取得するためのタッチパネル、音声情報認識後文字変換部、を含む概念である。
【0016】
さらにまた、広告浸透ポイント情報とは、上述した広告ポイント情報と広告視聴者反応情報とのうちの少なくともいずれか一方を基にして客観視できる点数(ポイント)情報としたものをいう。たとえば、広告ポイント情報と広告視聴者反応情報とをそれぞれ数値化したうえで、双方に重み係数をかけた上で加算した数値とするものであってもよい。
【0017】
また、「広告主サーバの所望する広告がポイントサイネージ装置にて行われ」るとは、広告主サーバから広告依頼情報が送信された広告代理店サーバからの指示/指定に沿って、特定のポイントサイネージ装置にて当該広告主サーバの所望する広告内容が上映されることをいう。
【0018】
広告効果を評価する手段を有するデジタルサイネージ装置、すなわち、広告効果をいくつかの指標によってポイントとして表すことのできる新しいポイントサイネージ装置を背負い式の可搬型とし広告実行する携行者が町中をゆっくり歩行することにより通行者の関心を引き、広告内容の理解を深め、広告宣伝効果を一層高めることが可能となる。
【0019】
上記は主に広告を視聴者に提示したい企業側からの視点であるが、本態様は、企業側からの視点にとどまらない意義を有する。すなわち、本態様に係る可搬型のポイントサイネージ装置を使用し、広告対象となる通行者により近づいて広告を行い、通行者の広告に対する反応を広告効果として指標化し、該指標によって広告を行いたい広告主と、広告の実行をアレンジする広告代理店と、実際に広告を行う広告実行者の3者を結ぶ新しいビジネス創出をすることが可能となる。具体的には、ポイントサイネージ装置による広告効果を推定し、指標化する機能によって、広告主の広告費用対効果の把握が可能となり、広告代理店にとっては広告方法や広告コンテンツの評価が可能となり、広告実行者にとっては、より効果的な広告実行位置や広告実行時間帯を把握することが可能となるようなポイントサイネージビジネスが提供されることとなる。
【0020】
本発明の第2の態様として、上記第1の態様に係るポイントサイネージビジネスシステムにおいて、前記広告主サーバは前記広告代理店サーバに広告を依頼するための依頼情報を送信する手段を備え、前記広告代理店サーバは、前記依頼された広告を実行させるべく、前記ポイントサイネージ装置に対して前記広告に関する広告コンテンツを送信する手段と、前記ポイントサイネージ装置によって広告が実行されたときの、前記広告の実行行為から得られる前記広告ポイント情報及び/もしくは前記広告視聴者反応情報を受信もしくは取得する手段と、前記広告ポイント情報及び/もしくは前記広告視聴者反応情報に基づいて前記広告実行者への報酬を決定する報酬決定手段と、前記ポイント情報及び/もしくは前記広告視聴者反応情報を含めた広告効果に対する対価を決定する対価決定手段とを備え、前記ポイントサイネージ装置は該ポイントサイネージ装置によって広告が実行されたときの、前記広告の実行行為から得られる前記ポイント情報及び/もしくは前記広告視聴者反応情報を送信もしくは格納する手段を備える、ようにしてもよい。
【0021】
広告ポイント情報及び/もしくは広告視聴者反応情報を受信もしくは取得する手段とは、上述したようにポイントサイネージ装置が取得した広告ポイント情報及び/もしくは広告視聴者反応情報が、たとえばポイントサイネージ装置から広告代理店サーバに送信されたものを広告代理店サーバが受信部にて受信する態様であっても、或いは、ポイントサイネージ装置が取得した広告ポイント情報及び/もしくは広告視聴者反応情報がネットワークにアップされ、ネットワークから広告代理店サーバが広告ポイント情報及び/もしくは広告視聴者反応情報を取得する態様であっても、もしくは、ポイントサイネージ装置が取得した広告ポイント情報及び/もしくは広告視聴者反応情報が情報格納媒体を介して広告代理店サーバによって取得される態様であっても、いずれでもよく、また、これらに限定されるものでもない。
【0022】
前記広告ポイント情報及び/もしくは前記広告視聴者反応情報に基づいて前記広告実行者への報酬を決定する報酬決定手段とは、上述した、数値化された広告ポイント情報及び/もしくは広告視聴者反応情報を基準として当該広告を実行した者(すなわち、たとえばポイントサイネージ装置を携行して一定の視聴者に対して広告を実行した者)が得るべき報酬額を算出する機能を果たすものをいい、たとえば、広告ポイント数値及び広告視聴者反応数値にそれぞれの重み係数を乗算したものを加算し、これに一定の単価を乗算して得られる数値を報酬額とするようなアルゴリズムをコンピュータで実行させることによって実現するもの(報酬演算部)を含むが、これに限定されるものではない。また、この場合、報酬演算部等は、広告代理店サーバによって実現されてもよいが、広告主サーバやポイントサイネージ装置によって実現される態様であってもよい。このような報酬決定手段を採用することにより、広告実行者の得るべき報酬額は客観的に定まることから透明性が確保でき、合理的な対価を保証することができる。
【0023】
前記ポイント情報及び/もしくは前記広告視聴者反応情報を含めた広告効果に対する対価を決定する対価決定手段とは、上述した、数値化された広告ポイント情報及び/もしくは広告視聴者反応情報を基準として当該広告を依頼した者(すなわち、広告主)に対して、上記広告代理店側が請求するべき対価額を算出する機能を果たすものをいい、たとえば、広告ポイント数値及び広告視聴者反応数値にそれぞれの重み係数を乗算したものを加算し、これに一定の単価を乗算して得られる数値を対価額とするようなアルゴリズムをコンピュータで実行させることによって実現するもの(対価演算部)を含むが、これに限定されるものではない。また、この場合、対価演算部等は、広告代理店サーバによって実現されてもよいが、広告主サーバによって実現される態様であってもよい。このような対価決定手段を採用することにより、広告主としての広告・宣伝の効果が客観的に評価することができることとなるから、広告・宣伝費の支出額についての客観的予算配分を行うことができる。
【0024】
前記ポイント情報及び/もしくは前記広告視聴者反応情報を送信もしくは格納する手段とは、上述したようにポイントサイネージ装置が取得した広告ポイント情報及び/もしくは広告視聴者反応情報を、たとえば広告代理店サーバの受信部に対して送信する態様であっても、或いは、ポイントサイネージ装置が取得した広告ポイント情報及び/もしくは広告視聴者反応情報がネットワークを介して送信もしくはアップする態様であっても、もしくは、ポイントサイネージ装置が取得した広告ポイント情報及び/もしくは広告視聴者反応情報が情報格納媒体に格納する態様であっても、いずれでもよく、また、これらに限定されるものでもない。
【0025】
本発明の第2の態様においては、前記広告主は前記広告代理店に広告を依頼し、広告代理店は依頼された広告を前記ポイントサイネージ装置を用い、前記広告実行者によって広告を実行し、該広告実行行為から得られるポイントにより広告代理店から対価を得、広告代理店は広告実行者から得られたポイント集計及び広告実施関連情報を広告主に報告し、広告依頼対価を広告主から得る。広告主は前記ポイントにより広告の効果を確認するとともに、広告実施関連情報から得られた、例えば広告製品の需要予測、新製品の予測、広告改善予測等の無形の大きな成果を得る。かくのごとく広告主、広告代理店、広告実行者の3者がそれぞれ利益を享受できるポイントサイネージビジネスシステムが提供されることになる。
【0026】
本発明の第3の態様として、上記第1もしくは第2の態様に係るポイントサイネージビジネスシステムにおいて、前記ポイントサイネージ装置は、広告表示機能、周囲環境記録機能、対話型広告機能、広告効果指標化機能、を備え、前記広告代理店サーバは、前記広告表示機能、前記周囲環境記録機能、前記対話型広告機能、前記広告効果指標化機能のうちの少なくともいずれか1つを用いて前記広告主の要求する広告結果による予測を導き出す手段をさらに有するようにしてもよい。本発明の第5の態様によれば、複数の広告実行者のポイントサイネージ装置を連接することにより、集団広告、集中広告、波状広告、間断広告、広域広告を行うポイントサイネージビジネスシステムが実現されることになる。また、ポイントサイネージ装置の対話型広告機能を用いたポイントサイネージビジネスシステムが実現されることになる。
【0027】
ここで、広告表示機能とは、たとえば広告主である企業の特定する商品に関する商品情報を含めた広告をたとえば映像及び/もしくは音声によって視聴者に対して出力する機能をいい、たとえば、表示部及び/もしくはスピーカー部(音声出力部)と、これらに出力されるコンテンツを提供するコンテンツ提供部とによって実現され得るが、これらに限定されるものではない。
【0028】
周囲環境記録機能とは、たとえばポイントサイネージ装置が有する撮影部が取得する映像情報のうち、周囲の人物のほかに周囲に存在する構造物等の一般の環境に係る映像情報が含まれる周囲環境情報を記録する機能をいい、たとえば、撮像部及び/もしくはマイク部(音声入力部)と、これらが取得した映像情報及び/もしくは音声情報を記録することのできる記憶部とによって実現され得るが、これらに限定されるものではない。
【0029】
対話型広告機能とは、たとえば後述の(たとえば第10の態様の)仮想アイドルを登場させて視聴者との間で会話を進行させる態様において、かかる対話を通じて広告内容を告知したり、広告に係る商品に誘ったりする機能を実現するものをいい、たとえば、仮想アイドルが登場して映像及び/もしくは音声を出力することができる表示部及び/もしくはスピーカー部(音声出力部)と、これらに出力されるコンテンツを提供するコンテンツ提供部と、かかる仮想アイドルに対して視聴者が応答する様子を映像情報及び/もしくは音声情報として撮像及び/もしくは抽出することができる撮像部及び/もしくはマイク部(音声入力部)と、これらが取得した映像情報及び/もしくは音声情報を記録することのできる記憶部と、によって実現され得るが、これらに限定されるものではない。
【0030】
広告効果指標化機能とは、広告主が依頼し広告代理店がポイントサイネージ装置上で実行させた広告の効果を客観的な指標として(たとえば数値として)表すことができる機能を実現するものをいい、たとえば、ポイントサイネージ装置によって取得された視聴者の特定の数に基づく指標を得、かかる指標に対して一定の演算を行って数値を得る機能を実現するアルゴリズムを実行するソフトウェアによって実現され得るが、これらに限定されるものではない。
【0031】
広告主の要求する広告結果による予測を導き出す手段とは、広告主が特定する商品に関連する需要予測もしくは新製品予測を含む、広告が実行されることによって予測される商品関連予測情報を導き出す機能を実現するものをいい、たとえば、複数のポイントサイネージ装置から集められた映像情報、音声情報等の各種取得情報(データ)をビッグデータとしてAI処理がし、このAI処理に基いて商品関連予測情報を導き出すアルゴリズムを実行するソフトウェアによって実現され得るが、これらに限定されるものではない。
【0032】
集団広告とは、たとえば複数の広告実行者を管理サーバあるいは実行者同士が連携して、一定の地域及び/もしくは期間に亘って、特定の集団に対して、一斉に広告を発するものをいう。集中広告とは、たとえば複数の広告実行者を管理サーバあるいは実行者同士が連携して、一定の(広範な)地域及び/もしくは期間に亘って、一斉に集中的に広告を発するものをいう。波状広告とは、たとえば複数の広告実行者を管理サーバあるいは実行者同士が連接するようにして、一定の地域及び/もしくは期間に亘って、特定の集団に対して、波状的に広告を発するものをいう。間断広告とは、たとえば複数の広告実行者を管理サーバあるいは実行者同士が連携して、一定の地域及び/もしくは期間に亘って、間欠的に広告を発するものをいう。広域広告とは、たとえば複数の広告実行者を管理サーバあるいは実行者同士が連接するようにして、広域的な範囲において、一定期間に亘って、広告を発するものをいう。
【0033】
本発明の第4の態様として、上記第3の態様に係るポイントサイネージビジネスシステムにおいて、前記広告結果による予測を導き出す手法として人工知能(AI)手法を用いるようにしてもよい。
【0034】
人工知能(AI)手法を用いる態様としては、たとえば、複数のポイントサイネージ装置から集められた映像情報、音声情報等の各種取得情報(データ)をビッグデータとして前処理し、これに対してAI処理を行い、必要な予測を導き出すものが含まれる。
【0035】
本発明の第5の態様として、上記第1~第3の態様のうちのいずれかの態様に係るポイントサイネージビジネスシステムにおいて、前記広告主が指定するチェックポイントにおいて広告が実行されることにより前記広告浸透ポイント情報が加点されるようにしてもよい。上記第5の態様は、広告主が指定するチェックポイントにおいて広告を行うことによるポイント加点を行うポイントサイネージビジネスシステムに係るものである。
【0036】
広告主が指定するチェックポイントにおいて広告が実行されるとは、特定の地点をチェックポイントとして(たとえば広告主が)定義することができ、かかるチェックポイントにおいて広告が行われた場合には、広告実行者が得るポイント(広告効果指標)が加点される機能を持たせる態様で広告が実行されることをいう。このとき、チェックポイントとは、広告主が指定する特定の位置情報を持つ地点を指標するが、広告主が広告実行を希望する地点をチェックポイントとしてもよい。これにより、たとえば、ゲーム的要素を取り入れた広告の実行という新しい感覚のもと、広告実行者は広告主の希望する地点を探しながら楽しく広告実行を行うことができる。これにより、広告・宣伝の訴求効果はさらに倍増・深化することが期待される。
【0037】
広告浸透ポイント情報が加点されるとは、たとえば広告主サイドで、特定地点において特定時間に、ある商品の需要層が集合するというような事前情報を得ていたような場合には、かかる特定地点で広告を実行すれば、他の地点で実行するよりも広告浸透効果は高いことが期待できることから、上記広告主が指定するチェックポイントにおいて広告が実行されると広告浸透ポイントとして、広告実行者が得るポイントが加算されるような機能を実行することをいう。上記に加え、チエックポイントとして場所や特定店舗を加え、バッグを所有する広告実行者が当該場所や店舗に行くと、高付加価値(例えば高額商品)の広告コンテンツがダウンロードできる様に設定することができる。これにより、広告主、実行者の両方にメリットが生じ、このようなチエックポイントを各地方に設定することにより、地方創成にも貢献できることが期待される。
【0038】
本発明の第6の態様として、上記第1~第5の態様のうちのいずれかの態様に係るポイントサイネージビジネスシステムにおいて、複数の広告実行者の前記ポイントサイネージ装置を連接することにより、集団広告、集中広告、波状広告、間断広告、広域広告のうちの少なくともいずれか一つが行われるようにしてもよい。本発明の第6の態様は、複数の広告実行者のポイントサイネージ装置を連接することにより実現され得るが、これにより本願の態様によるポイントサイネージビジネスシステムは多様な展開が可能となる。
【0039】
本発明の第7の態様として、上記第1~第6の態様のうちのいずれかの態様に係るポイントサイネージビジネスシステムにおいて、複数の広告実行者の前記ポイントサイネージ装置は識別子を付与され、前記ポイントサイネージ装置は前記付与された識別子ごとに定義された広告を実行するようにしてもよい。
【0040】
ポイントサイネージ装置ごとに個別に識別子が付されることにより、各別にコンテンツを変えるとか、担当地域を割り当てるとか、企業別に割り振るとか、細かい対応が可能となる。このとき、ポイントサイネージ装置に付属するGPS機能を併せ利用することにより、一定の地域にある時点で存在するポイントサイネージ装置に特定時間に一斉に特定コンテンツをプッシュすることで、一斉広告などの特殊な効果を奏することができることになる。
【0041】
本発明の第8の態様として、上記第1~第7の態様のうちのいずれかの態様に係るポイントサイネージビジネスシステムにおいて、前記広告主は、民間企業、政府、地方自治体を含む公共機関のうちのいずれかであり、前記広告主からの依頼に基づく前記広告には、商品情報、政府/自治体通達事項、お知らせ、のうちのいずれかが含まれるようにしてもよい。本発明の第8の態様によれば、広告主として、民間ばかりでなく、政府、地方自治体等の公共機関を含み、広告としては通達事項、お知らせ等の社会貢献活動を含むポイントサイネージビジネスシステムが実現される。
【0042】
本発明の第9の態様として、上記第1~第7の態様のうちのいずれかの態様に係るポイントサイネージビジネスシステムにおいて、公共機関及び/もしくは地方自治体と交信する交信手段をさらに備え、事故及び/もしくは事件発生時を含む緊急時に前記交信手段を用いて前記公共機関及び/もしくは前記地方自治体から入手した緊急通達表示が前記ポイントサイネージ装置に表示されるようにしてもよい。
【0043】
交信手段とは、非常時通信を含む双方向通信を実現する機能、もしくは、公共機関・地方自治体側からの一方向通信を受信する機能、をいう。かかる機能をたとえば広告代理店サーバが備えることで、非常時/緊急時に、広告代理店サーバから、特定地点に所在するポイントサイネージ装置に一斉通信を行うことができ、このコンテンツとして非常時対応情報等を含めれば、災害時の対策としてのインフラを提供することができる。
【0044】
本発明の第10の態様として、上記第1~第9の態様のうちのいずれかの態様に係るポイントサイネージビジネスシステムにおいて、前記ポイントサイネージ装置は仮想アイドルを登場させて視聴者に案内し、もしくは視聴者との間で会話を進行させる仮想アイドル部をさらに備えるようにしてもよい。この場合、さらに、仮想アイドルが情報データ収集を行い、そのビッグデータから人工知能(AI)手法を用いて情報予測を行うような態様であってもよい。
【0045】
仮想アイドル部とは、本発明の発明者による技術思想に対する特許である特許第6117954号公報に開示されるように、たとえば県別コレクションと称する各県別に特徴づけられた仮想アイドルによる各県のアピール(宣伝、広告)を行うものを含み、こうした仮想アイドルによって広告についての感想要望、苦情等の広告反響情報を収集する機能を持つものをいい、これは、たとえば仮想アイドルを画面に表示する制御部、制御部の制御にしたがい仮想アイドルを表示する表示部、仮想アイドルの音声を発音する発声部、仮想アイドルの行動に対する視聴者の挙動を撮像する撮像部、同視聴者の反応音声を取得する音声取得部、撮像部及び/もしくは音声取得部の取得した映像情報及び/もしくは音声情報を記憶する記録部、撮像部及び/もしくは音声取得部の取得した映像情報及び/もしくは音声情報を分析及び/もしくは加工して反応情報を得る情報加工部、を含んで構成される、ハードウェア及びソフトウェアの結合によって実現される。
【発明の効果】
【0046】
従来のデジタルサイネージ装置を用いたビジネスとしては、広告主がデジタルサイネージ装置を所有、設置して広告を行うか、デジタルサイネージ装置を所有する広告代理店に広告を依頼するビジネス手法がとられていた。本ポイントサイネージビジネスにおいては、広告主と広告代理店と広告実行者を結んだ新しいビジネス形態を構築することが可能となる。
【0047】
すなわち、ポイントサイネージ装置を用いることにより、従来行われていなかった広告効果がポイントにより評価できるため、広告主、広告代理店、広告実行者へのビジネス利益配分が適正に行われるという効果を生ずる。
【0048】
また、可搬型のポイントサイネージ装置を用いることにより、広告実行者が広告対象者である通行者のごく身近で広告を行うことができるため、広告効果が上がると共に通行者とコミニュケーションをとることが可能となる。このコミニュケーションによる広告の感想や要望は、広告主にとっては大変貴重な情報であり、本ポイントサイネージビジネスの大きな効果である。
【0049】
さらに、可搬型ポイントサイネージ装置を広告代理店からレンタルあるいは購入した個人が、広告効果が大きいと予想される地域や時間帯を選択して可搬、広告を行い、広告結果のポイントにより広告代理店より報酬を受けるという新しいビジネスを創生するという効果を生み出すことができる。
【0050】
もちろん、広告代理店は複数の広告実行者からの広告効果ポイントをまとめて広告主に報告して広告実行報酬を得る。広告主は前記広告効果ポイントにより次の広告内容をより効果的にすることができ、広告対象者の嗜好や流行をいち早くとらえることができ、商品企画、売上推定、最適な広告手段の予測が確実になるという効果を生ずる。すなわち、本ポイントサイネージビジネスにおいては、広告主、広告代理店、広告実行者の3者がそれぞれリンクすることにより、ともに効果、利益を享受できるという効果を生ずる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明の一実施形態に係るポイントサイネージビジネスシステムの概略図である。
図1A】本発明の一実施形態に係るポイントサイネージビジネスシステムに用いるポイントサイネージ装置の一実施例の概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係るポイントサイネージビジネスシステムに用いるポイントサイネージ装置の一実施例のブロックダイヤグラムである。
図3】本発明の一実施形態に係るポイントサイネージビジネスシステムに用いるポイントサイネージ装置の一実施例の情報処理フローチャート図である。
図4-1】本発明の一実施形態に係るポイントサイネージビジネスシステムに用いるポイントサイネージ装置におけるポイント説明図である。
図4-2】本発明の一実施形態に係るポイントサイネージビジネスシステムに用いるポイントサイネージ装置におけるポイント説明図である。
図4-3】本発明の一実施形態に係るポイントサイネージビジネスシステムに用いるポイントサイネージ装置におけるポイント説明図である。
図5】本発明の一実施形態に係るポイントサイネージビジネスシステムに用いるポイントサイネージ装置による会話状況例である。
図6】本発明の一実施形態に係るポイントサイネージビジネスシステムに用いるポイントサイネージ装置によるサイネージ指標化構成図である。
図7】本発明の一実施形態に係るポイントサイネージビジネスシステムに用いるポイントサイネージ装置による別の指標化構成図である。
図8】本発明の一実施形態に係るポイントサイネージビジネスシステムに用いるポイントサイネージ装置によるさらに別の指標化構成図である。
図9】本発明の一実施形態に係るポイントサイネージビジネスシステムにおいて、複数の広告実行者が取得した各種情報をAI処理する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下では本発明の実施形態に係る目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の実施形態に係る該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を主略する箇所については公知技術によるものとする。
【0053】
図1は、本発明の一実施形態に係るポイントサイネージビジネスシステムの概念説明図である。自社製品の広告宣伝を行いたい企業のような複数の広告主Sa社(図1では「仮称ABCシューズ株式会社」)~Sn社が広告代理店S2に広告を依頼する。広告代理店S2は、後述するポイントサイネージ装置4を所有及び/もしくは管理しており(管理の場合には、別途所有会社からたとえば都度リースされる形式であってもよい)、依頼された製品のデジタルサイネージ情報S5(広告コンテンツ:図示せず)をポイントサイネージ装置4に送信する。この広告コンテンツは、広告代理店S2あるいは広告主S1が作成したものであっても、もしくは第3者(たとえば広告コンテンツ製造専門業者に依頼して作成してもらうケース/一般から募集したケースでもよい)から提供されてもよい。
【0054】
ビジネス形態としては上述の通りであるが、これを情報処理システム的に捉えるならば、複数の広告主に係るサーバS1a~S1nから広告代理店に係るサーバS-2に対して、広告依頼に係る情報(依頼書或いは依頼メールもしくは定型フォーマットへの入力情報であってもよい)が送信される。広告代理店に係るサーバS-2もしくは広告代理店S2に関連する情報処理装置から、ポイントサイネージ装置4に対して、デジタルサイネージ情報S5が送信される。
【0055】
所望のデジタルサイネージコンテンツを搭載したポイントサイネージ装置4は、例えば背負い式の可搬型とし、広告宣伝を行う広告実行者S6(以下、「実行者」と略称する。)が、たとえば通行者の多い繁華街を歩行し広告宣伝を行う。複数の実行者S6(S6a~S6n)が携行するポイントサイネージ装置4(4a~4n)は、特許文献3のごとく広告宣伝効果を指標化する機能と、ポイントサイネージ装置4周辺の環境データ(音声記録、映像記録を含む)を収集して記録・伝送する機能を有する。こうした、広告宣伝効果が指標化された情報であるポイントデータと、ポイントサイネージ装置の所在する場所(位置)に依存し得る環境データと、を広告代理店S2に係るサーバS-2に伝送することによりポイントに見合った広告宣伝報酬を得ることができる。ある広告宣伝実行行為に対して、客観的な評価が後述する本願独自の技術思想に基づいて得られるので、かかる評価が反映された客観的な報酬額を算出することができることになる。これを広告宣伝報酬として、先の広告宣伝実行者に支払い処理をすることができる。実行者側からすれば、自身のなした広告宣伝行為が客観的評価尺度に適合した合理的な報酬額を獲得できるということになる。
【0056】
上述した点を詳述する。すなわち、広告代理店S2は、広告宣伝実行者S6からのポイントデータと環境データとを広告主S1に報告することにより広告実行報酬を得ることができる。広告主S1としては、広告宣伝に係る出費として、これまでの実際的効果性の不明或いはあったとしても主観的評価でしかない、いわば出費としての合理性が不明な出費を余儀なくされていた状況から、効果を客観的に予測することが可能な評価尺度に基づいた広告宣伝の出費とすることができる。この点のみならず、広告主S1は、後述する如くポイントデータ、環境データから製品の需要予測、新製品予測、広告の改善点、新しい広告方式の予測等会社運営にとって重要な情報利益を得ることができる。
【0057】
補足するならば、これまでの広告・宣伝とは、いわゆるマスマーケティングであろうと、いわゆるマイクロマーケティングであろうと、一般的な視聴者であろうと、もしくは特定層として選別された視聴者であろうと、視聴者に対して広告を発することが主で、その広告へのリアクションをとるのは、せいぜい、視聴者アンケート等によるものであった。ましてや、視聴者からのリアクションを広告宣伝の効果としてポイント化することができなかった/或いはそもそもそのような発想がなかった、ために、いきおい、広告宣伝にかけたコストのコストパフォーマンスを測定することができない、もしくはできたとしても主観的な度合いを超えることができない、という現状があったところ、本願の態様によれば、単に視聴者に一方通行で流すのではなく、その場で、視聴者の瞳等の客観的データからのリアクション情報を獲得し、これを基に広告リアクション情報を起こすので、客観的な広告効果ポイント値を得ることができることになる。
【0058】
以上のように、本発明のポイントサイネージビジネスシステムは、広告主S1、広告代理店S2、実行者S6の3者がポイントを基準として、それぞれが適正な利益を得ることが可能となる新しいビジネスの仕組みをシステム的に担保することができるビジネスシステムが提供される。
【0059】
図1Aは、本発明の一実施形態に係るポイントサイネージビジネスシステムの基準となるポイントサイネージ装置を、背負子式可搬型のバッグ1にまとめた場合の外観図である。同図に示されるように、背負子(ベルト)7が付いたポイントサイネージ装置組み込みバッグ(以下、単に「バッグ」ともいう。)1を構成するポイントサイネージ装置10の内部には、後述する情報制御部101、メモリー部102、認証部103、表示器駆動部、表示器駆動・前置処理部104、インターフェース部105、無線送受信部106、GPS装置部107、電源部109等の電子ユニットが収容される。バッグ1(ポイントサイネージ装置)背面には平面状の情報表示部2、情報表示部2を視認できる側を撮影することができるデジタルカメラのような撮影部3、スピーカー4、マイク6が、側面には有線インターフェース部5が、それぞれ設置されている。なお、撮影部3と略逆方向を指向する第2の撮影部8がオプションで設置され、バッグ本体1の前後を撮影可能としても良い。この第2の撮影部8を装備した場合には、撮影部3は、たとえば情報表示部2に係る平面の主に略垂直方向を指向するものとすることができる。さらにこの場合、第2の撮影部8は、たとえば背負子上部に設置してもよい。以上のように、バッグ本体1、情報表示部2、撮影部3、スピーカー4、有線インターフェース部5、マイク6、が統合されてポイントサイネージ装置10が、そしてポイントサイネージ装置10に背負子(ベルト)7が組み込まれてポイントサイネージ装置組み込みバッグ1が構成されている。
【0060】
情報表示部2は可撓特性を有するカラー表示器を有して構成されることが望ましい。デジタルカメラのような撮影部3は、情報表示部2が表示する映像面を認証部103にて認識できる範囲を超える視野角を有している。スピーカー4は情報表示部2に表示される広告に伴う歌や音楽、あるいは広告説明に係る音声が表示器駆動・前置処理部104にて適宜処理されたものを発音する。なお、図1Aにおいては、広告主の例として架空の「ABCシューズ」社の広告を表示している場合が例示されている。
【0061】
(有線)インターフェース部5は、たとえばUSBコネクター等の有線接続にて広告映像情報を後述するメモリー部102に送り込んだり、情報制御部101の制御情報の送受信をしたりする場合のインターフェース機能を実行することができる。また、(有線)インターフェース部5を介して、リモートコントローラー108にて情報制御部101を制御することも可能である。
【0062】
図2は、ポイントサイネージ装置1の一実施形態に係る機能構成を主に表すブロックダイヤグラムである。情報制御部101はメモリー部102に収容されているサイネージ(広告)情報を選択して引き出し、インターフェース部105と表示器駆動・前置処理部104とを介して情報表示部2に広告情報を表示させるように制御することができる。上記のメモリー部102からの広告情報の引き出しは、時刻情報あるいはGPS装置107からの位置情報あるいは撮影部3からの映像情報を認証部103にて解析した結果によっても選択されて引き出される。引き出された映像情報は、インターフェース部105、表示器駆動・前置処理部104を介して情報表示部2に表示されるとともにスピーカー4から音声発生される。また、本ポイントサイネージ装置組み込みバッグ1はマイク6を内蔵しており、後述するように、広告を見た通行人の言葉をマイク6を介して直に音声記録として収録することも可能である。これに加えて/もしくはこれと代替させて、上記映像情報を映像記録として収録することを可能としても良い。以上のマイク制御あるいは特別広告情報を表示する場合のためにリモートコントロールユニット(「リモートコントローラ」ともいう。)108をインターフェース部105に接続することができる。
【0063】
情報表示部2に示される広告情報は、メモリー部102に蓄えられているほかに、Wi-Fi(登録商標)あるいはブルートゥース(登録商標)等により無線送受信部106を介して受信、表示することも可能である。さらに応用としては、ポイントサイネージ装置10の現在地をGPS装置107で計測し、無線送受信部106から外部に送信し、現在地に適合した広告情報を受信して広告表示することも可能である。
【0064】
なお、デジタルカメラのような撮影部3の視野中心線は、図4-1に示すように情報表示部2の中心垂線に平行であり、撮影部3の視野角は、情報表示部2の映像が認識できる角度範囲θに略相当している。
【0065】
次に、このように構成されるポイントサイネージ装置1ないしはポイントサイネージバッグ10の動作について説明する。図3は、ポイントサイネージ装置10もしくはポイントサイネージバッグ1に係る動作を説明するための情報フローチャートの概略図である。図3におけるスタート時点は、ポイントサイネージ装置10に電源109から電源が加えられ、任意のスタート映像が情報表示部2に表示され、撮影部3からの映像情報が情報制御部101に入力された時点である(ステップS101)。
【0066】
前述したように、撮影部3からの映像情報には周囲の人物のほかに周囲に存在する構造物等の映像情報が含まれるが、まず、認証部103は、その中から広告の対象となる人物(人間)のみ識別をして抽出する(ステップS102)。現在、デジタルカメラの性能は飛躍的に向上したため、こうした映像情報処理はほぼ確立されており、複合映像中から人物を識別、抽出する詳細処理方法については従来技術を採用することができる。したがって、その詳細な説明については記載を省略する。人物抽出と同時に、認証部103は情報表示部2からその人物までの距離を観測もしくは計測し、特定の距離R内の人物映像情報のみを選択抽出する(ステップS103)。
【0067】
次に、情報制御部101は、抽出された特定距離内の人物映像情報の概略性別判定、概略年代推定を行う(ステップS104)。かかるプロセスの次からはサイネージ(広告)選択のステップに入る。まず、特定対象向けの広告とするかが選択される(ステップS105)。かかる選択はシステム的に行われるが、一部人為的に選択されるようにしてもよい。かかる選択がシステム的に行われる場合、すなわち、情報制御部101の自動選択あるいはインターフェース部105よりのコントロール信号により特定対象向け(例えば若い女性向き)であることが選択された場合は、情報制御部101は例えば上記人物情報の結果からたとえば若い女性向きの広告を選択表示する(ステップS106)。
【0068】
一方、特定対象向けが選択されていない場合(ステップS105で「N」)は、ポイントサイネージ装置10が位置している場所に適合する広告にするか否かが選択される(ステップS107)。場所選択がなされた場合(ステップS107で「Y」)は、GPS装置107により現在位置が判明しているので、情報制御部101は当該場所に適合する広告を選択して表示する(ステップS108)。例えば、現在地が秋葉原であれば、情報制御部101は、たとえば若い男性向きの広告を選択して情報表示部2に表示する(ステップS108)。特定対象向けも現在地向けも選択されていない場合(ステップS107で「N」)は、情報制御部101は既定の広告を表示する(ステップS109、S110)。
【0069】
以上のような手順により、いずれかの広告が情報表示部2に表示され(ステップS110)、次のステップとして後述する広告効果の推定を行い(ステップS111)、推定結果のリストを作成し、及び/もしくは、記録する(ステップS112)が、必要に応じて無線送受信部106により外部にリストを送信することも可能である。
【0070】
上記広告効果推定にはいろいろな方法があるが、図4-1~図4-3には、本発明の一実施形態に係る3つの代表的な効果推定方法を示す。図4-1は、ポイントサイネージ装置組み込みバッグ1の情報表示部2が視認できる視野θ及び距離R内に人物が存在する場合を示した概念的斜視図である。認証部103は、視野θ及び距離R内に存在する人物(一定物理的範囲内所在者)を識別し、情報制御部101はこれを受けてそれぞれの人物が広告を視認したと仮定して、ある単位時間内の人数(図4-1の場合は3名)を広告効果の指標(ポイント)として記録する。併せて、ポイントサイネージバッグ10が稼動した日時、場所、サイネージ種別(どのような広告表示を行ったか)に関する情報を記録することができるようにすることが望ましい。
【0071】
図4-2は、本発明の一実施形態に係るポイントサイネージバッグ10が、図4-1における場合の態様に加えて、さらに人物の向きを検出する場合を示した概念的斜視図である。ポイントサイネージバッグ10の情報制御部101は、情報表示部2に正対する向きの人物(正面視擬制者)は広告を見ている可能性が高いとして、単位時間内の正対人数を広告効果のポイントとして記録する。この場合は図4-1と同様に、正対人数、日時、場所、サイネージ種別、さらには正対した人物の男女別、推定年代、を記録することが望ましい。図4-2の例では斜線表示した2名の人物が広告を見ていた可能性があるとしてポイントに加えることとなる。
【0072】
図4-3は、ポイントサイネージバッグ10が、図4-1及び/もしくは図4-2における場合の態様に加えて、人物の眼の瞳を検出する場合を示した概念的斜視図である。ポイントサイネージバッグ10の情報制御部101は、認証部103が検出した人物の瞳の位置が目の中央にあれば、高い確率で広告画面を認めている者(瞳正視線者)のはずであると考えられることから、この瞳9に係る位置が留まっている時間を広告効果のポイントとする。また、瞳9検出で最も良いと思われるのは、瞳9中に映った広告映像の検出である。例えば、広告映像としてアイドルが赤い服を着て踊っている広告とすれば、瞳9中の映像がはっきりしなくとも、瞳9中に赤い色が映っていたり、アイドルの動きに伴い瞳9中の映像が移動すれば確実に広告を見ていることが判明する。こうした点に鑑みた場合には、この瞳9中の映像残存時間は、情報制御部101が算定する最も確実な広告効果ポイントとなり得る。この場合の記録としては、瞳9中の映像停留時間、日時、場所、サイネージ種別に係る各情報を記録することが望ましい。
【0073】
上記では、図4-3について人物の位置や瞳中の映像によって、人物の視線が広告映像に指向している態様を例にとって本願発明の一実施形態に係る技術思想について説明したが、近年人の視線検出方法は非常に進歩し、各種手法によって視線検出が行われている。本願に係る技術思想に用いるものとしては図4-3の方法に限られることはなく、上述した最新の方法によって視線検出を行い、ポイントサイネージ装置に応用し、視線滞留時間をポイントとするものであってもよく、これらは全て本発明の技術思想に含まれるものである。
【0074】
なお、上記3例の広告効果指標(ポイント)によって広告効果を高める一方、ポイントサイネージ装置を図1のごとく可搬型にまとめることにより、市中に持ち歩いて広告宣伝をすることが可能になり、上記の広告指標を効率的に集めることができる。さらには、広告を見た通行人から「素敵な靴ですね!」、あるいは「どこで売っているのですか?」等の直接的な広告効果反応を、マイク6によって音声会話記録を収集することも、及び/もしくは、映像情報を映像記録として収録することも、可能であり、この音声記録及び/もしくは映像記録も広告効果の重要な指標とすることができる。
【0075】
上記の機能をさらに発展させ、ポイントサイネージ装置のスピーカーから通行者に問いかけを行い、通行者からの返答を録音することも可能である。すなわち、ポイントサイネージ装置が広告表示を行った後、仮想のキャラクター(宣伝員)を表示し、そのキャラクターが例えば「今、広告したスニーカーは何色が好きですか?」あるいは「購入したいですか?」等、広告主が知りたい情報を問いかけ、通行者からの返答を録音することができる。当該録音された返答音声情報及び/もしくはかかる返答音声情報をたとえば文字化した文字情報は、宣伝効果を直接的に表す情報となる。上記キャラクターとして上述したような県別コレクションのアイドルあるいは仮想アイドルを用いればより効果的である。
【0076】
今までのデジタルサイネージ装置においては、効果的と思われる地点や時間帯に広告を行うというパッシブ型の広告であったが、ポイントサイネーシ装置を可搬型とすることによれば、かかる可搬型ポイントサイネーシ装置を携行した広告実行者(以下、「携行者」ともいう。)が通行者の多い繁華街等で歩きながら広告を行うことにより、今までに無いポジティブ型の広告を行うことができる。なお、本装置の広告情報の切り替え、音量調整等は無線あるいはインターフェース部を介して優先コントロールすることは通常的技術、従来技術によって実現することが可能である。
【0077】
さらに、通行者の性別概略年代推定機能により、図5に示す如く、「そこの赤いドレスのお嬢さん、こんにちは」とか「今このスニーカーを購入すると20%オフになりますよ。」、あるいは「どんな色のスニーカーがお好きですか?」等を通行者に宣伝したり問いかけを行ったりし、それらに対する返答により、今後のより適合した販売宣伝にも拡張利用することができる。従来のサイネージによる広告は、サイネージ装置の前を通行する通行者に広告を行うだけの一方向的(一方通行的)な広告媒体であった。しかし、上記問いかけ機能により、ポイントサイネージ装置は、広告を見た通行者が発した広告に対する感想ばかりか要望や苦情についての情報を収集することができるという、全く新しい双方向的広告媒体の出現であると言える。
【0078】
本発明の一実施形態に係るポイントサイネージ装置を用いれば、広告を表示する一方、その広告の効果をいくつかの手法によって推定することができ、これらの効果をポイントとして指標化することが可能となる。屋外における広告媒体として、バスやトラック、乗用車等の移動体を用い、車体の外部等に広告を表示しながら移動することが広く行われている。また、近年広く普及してきたデジタルサイネージの技術を用い、広告媒体が移動することを活かして、走行地域や位置等に応じた広告を表示することも行われている。
【0079】
さらに、特定のチエックポイント(地点、特定店舗)において広告を行ったり、高付加価値コンテンツをダウンロードすることによりポイント(広告効果指標)が加点される機能を持たせることができる。該機能により、ポケモン・ゴー(登録商標)で知られるようなゲーム感覚を持たせることができ、広告実行者は広告主の希望する地点を探しながら楽しく広告実行を行うことができる。これにより、広告・宣伝の訴求効果はさらに倍増・深化する。
【0080】
以上、説明してきたように、本発明の一実施形態に係るポイントサイネージ装置を用いれば、大変効率よく広告宣伝等を行うことが可能となり、さらにその広告効果をいくつかの指標で表すことが可能となる。本発明のポイントサイネージビジネスシステムに係る技術思想は、上述した実施形態に限られることなく、さまざまな拡大、縮小、代替、追加、部分的削除、展開等が可能であり、これらはすべて本願に係る技術思想に包含される。たとえば、広告効果推定機能を実現する一態様として、上記では、撮影部3からの映像情報を認証部103にて解析し、これを基に、ポイントサイネージ装置10に備えられた情報制御部101にて広告効果ポイントを算定する場合、すなわち撮影部3、認証部103からの情報を基にして、情報制御部101が一つの機能体としての広告効果指標化部(図示しない)を構成する態様を一例として詳述したが、広告効果ポイント算定機能を実現するための部分である広告効果指標化部を、各端末(ポイントサイネージ装置)に担わせるのに換えて或いは追加して、管理サーバ装置に担わせるような態様にしてもよい。或いは、上記に換えて、撮影部3からの映像情報を認証部103にて認証し、その解析機能は広告効果指標化部が担うような態様としてもよい。これらはすべて本願の技術思想に包摂される。
【0081】
図6は、本発明の一実施形態に係るポイントサイネージビジネスシステムを成り立たせるための基盤であるポイントサイネージ効果指標化システムの別の全体構成を概念的に表した構成図である。同図に示されるように、上記形態のポイントサイネージ装置10(ただし、ポイントサイネージ装置10が有している情報制御部101は広告効果ポイント算定機能を実現するための部分である広告効果指標化部を有していても有していなくてもよい)が複数稼働される中で、各ポイントサイネージ装置10が、広告効果指標化部が備えられる管理サーバ装置200と無線通信を介して接続されている。この態様における作用・動作を次に説明する。各ポイントサイネージ装置10において、撮影部3からの映像情報及びマイク6からの音声情報を含む各ポイントサイネージ装置10が各種取得した情報が、無線送受信部106を介して、リアルタイムでもしくは一定時間間隔ごとに、管理サーバ装置200に送信される。これを受信する管理サーバ装置200において、上述した広告効果推定機能が実行される。この場合には、管理サーバ装置にて上記推定を含む情報処理を集中して行うことができ、また、ポイントサイネージ装置10及びポイントサイネージ装置組込バッグ1の機能装備を軽減することができる。リアルタイムで行う場合には後述の効果を得ることができる。
【0082】
図7は、また別の実施形態に係るポイントサイネージ効果指標化システムの全体構成を概念的に表した構成図である。同図に示されるように、上記形態のポイントサイネージ装置10(ただし、ポイントサイネージ装置10が有している情報制御部101は広告効果ポイント算定機能を有していても有していなくてもよい)が複数稼働される中で、各ポイントサイネージ装置10が、広告効果指標化部が備えられる管理サーバ装置200とネットワークNWを介して接続されている。この態様における作用・動作を次に説明する。各ポイントサイネージ装置10において、撮影部3からの映像情報及びマイク6からの音声情報を含む各ポイントサイネージ装置10が各種取得した情報が、ネットワークNWを介して管理サーバ装置200に送信される。これを受信する管理サーバ装置200において、上述した広告効果推定機能が実行される。この場合には、管理サーバ装置にて上記推定を含む情報処理をリアルタイムで集中して行うことができるから、即時的マーケティング機能を実現すること、すなわち、いかなる層がいかなる商品に対してどの程度の関心を持つかを即時的に把握し、これをもとに広告宣伝内容を換えたり、ターゲットを変更したりすることでよりマーケティング的効果を発現させるような新たな機能、を実現することができる。こうした新たな機能の実現には後述するAI(人工知能)機能を活用しても、すなわち広告効果指標化部がAI部(図示しない)を装備してもよい。また、ポイントサイネージ装置10及びポイントサイネージ装置組込バッグ1の機能装備を軽減することができる。
【0083】
図8は、ポイントサイネージ効果指標化システムの全体構成を概念的に表した構成図である。同図に示されるように、上記形態のポイントサイネージ装置10(ただし、ポイントサイネージ装置10が有している情報制御部101は広告効果ポイント算定機能を有していても有していなくてもよい)が複数稼働される中で、各ポイントサイネージ装置10と、広告効果指標化部が備えられる管理サーバ装置200とは特に接続されていてもいなくてもよい。各ポイントサイネージ装置10のメモリー部102には、撮影部3からの映像情報及びマイク6からの音声情報を含む各ポイントサイネージ装置10が各種取得した情報が格納される。このメモリー部102に格納された情報は可搬式記録媒体Mにて吸い上げることが可能である。この態様における作用・動作を次に説明する。各ポイントサイネージ装置10において、撮影部3からの映像情報及びマイク6からの音声情報を含む各ポイントサイネージ装置10が各種取得した情報が、可搬式記録媒体Mを介して管理サーバ装置200に集積される。こうして各ポイントサイネージ装置10からの情報が集積されると管理サーバ装置200において、上述した広告効果推定機能が一括して、すなわちバッチ処理的に、実行される。この大量のデータ処理を行う場合には、たとえばAI(人工知能)機能を活用してさらなるマーケティング的展開を技術的に図る場合により好適である。すなわち、前述のようにネットワークを介して、あるいは可搬式記録媒体によって管理サーバ装置200に集められた各種取得情報から、広告実行評価としてのポイント(指標化指数)抽出、広告主が最も所望する広告改善点、需要予測、新製品予測等の広告予測結果を次のように、導き出す。以下にそのための手法について説明する。
【0084】
複数のポイントサイネージ装置から集められた映像情報、音声情報等の各種取得情報(データ)は莫大であり、これらのビッグデータの処理には前述のようにAI処理が適している。図9は前記のAI処理を模式的に表した図である。広告を実行している広告実行者のポイントサイネージ装置によって収集された各種データを処理する処理過程は、比較的容易なものからビッグデータを取り扱うAI手法を用いた複雑な過程があるものまであり、ポイントサイネージ装置と管理サーバとでのデータ処理分担が重要である。一般的には、ポイントサイネージ装置での処理負担を少なくして、広告実行数を増やし、多数の装置から送出されるビッグデータの処理は管理サーバで行うことが望ましい。
【0085】
撮影部3による映像情報として人物検出、視線検出については前に説明したが、さらに人物の表情や人物近傍の物体検出により、広告実行時の環境状況把握が容易になると推測される。音声処理においては、ノイズ除去や環境音との分離をして音声記録を行うほかに、方言抽出、アクセント抽出、音韻、音域、抑揚抽出により広告対象者の感情推測が可能となり、より効果的な広告方法の予測が期待できる。このような各種予測は、広告主にとって大変貴重な情報であり、これこそが広告宣伝を行う意義であり、無形の利益であると考えられる。
【0086】
上記に加え、言語抽出により広告対象者の出自国が判明し、広告の説明言語を適正なものに変えることもできる。また、キーワード(KWD)抽出、論理抽出、意味抽出により、広告対象者の趣向、広告理解度が判り、広告改善に役立つことが予想される。異常音検出については、映像情報と相まって事件事故通報や警報表示につながる社会貢献としての役割を担える可能性がある。
【0087】
また、本発明の一実施形態に係るポイントサイネージビジネスシステムは、従来の固定サイネージ装置を用いたような待ち受け型ビジネスシステムではなく、多数の可搬型ポイントサイネージ装置を用いて積極的に移動広告を行い、同時に広告効果を指標化することで客観的な広告宣伝効果を可視化する(たとえば数値化する)ことをシステム的に担保したことにより広告主の要望に応えることができる、という意味において、アクティブ型ビジネスシステムであるといい得る。さらに、同指標化により客観的に測定可能な広告効果が顕在化し、広告主と広告代理店と広告実行者の3者に相応の利益をもたらす全く新しいビジネスシステムが構築できる。
【0088】
さらに、本発明の態様に係るポイントサイネージビジネスシステムを利用することによる新しい事業展開としては、可搬型ポイントサイネージ装置を広告実行希望者にレンタル形式で貸し出すことにより、時間余裕のある労働希望者に新しいビジネス職域を提供することができる。すなわち、レンタル形式のため購入費用は要せず、広告を実行する(すなわち本形態に係るポイントサイネージ装置組み込みバッグを携帯して/背負って一定の時間特定の場所を歩行することで潜在的な購入者/消費者等に該ポイントサイネージ装置組み込みバッグに係るサイネージ広告の内容を周知/認識させる)ための時間も原則自由である(もしくは、実行者が自らの都合の良い時を決定できる)ことから、今後増加が予想される海外からの労働希望者やアルバイト希望の学生、いわゆる短期的単発労働を求めるギグワーカーにとって格好の新職場を提供することとなる。ここで、「実行者が自らの都合の良い時を決定できる」としたのは、それがどの程度効果を上げる可能性があるかは本願の上記形態で説明したように、一定の客観性を伴った指標が提供されることから、企業側はあくまで結果に応じた支払いをすればよく、プロセスについてこれまでのように介入する必要がなくなるためである。また、プロセスに介入して、たとえば特定の時間/場所で広告を行うように指定することもできる。いずれにしても、プロセスに介入しようと介入しなかろうと、企業としては、客観的に評価できる指標が提供されることにより、結果に応じた合理的な広告料支払いをすることができることがシステム的に担保できる。また、複数の広告実行者を管理サーバあるいは実行者同士が連接することにより、特定地域に対する時間差波状広告実行や広域地域同時広告実行のごとき、通称ウルフパックと称する今までにない新しい広告宣伝活動を創出することが期待される。
【0089】
上記とは逆に、ポイントサイネージ装置に識別子(ID)を付加し、関連した個別の広告、たとえばパソコンと、プリンタと、プロジェクタの広告を同一地域に同時に広告する等の今までにない広告方法を行うことが可能となる。
【0090】
本発明の一実施形態に係るポイントサイネージビジネスシステムは、一般的な広告ばかりでなく、災害時の緊急通報や、ポイントサイネージ装置の位置検出機能を生かし、装置が存在する地域の緊急避難場所の表示や緊急避難経路の表示等、災害時の救助活動の有効な装置として利用することも可能である。
【0091】
本発明の態様についての別の形での利用として、第1の撮影部と第2の撮影部とにより広告実行者の前後の環境映像情報が得られるため、緊急災害時には災害場所に実行者が移動して災害状況発信報告することにも利用できる。同様に、事故や火災時の状況報告、犯罪の状況報告等、定点観察等に用いることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0092】
上述したように、本発明の態様に係るポイントサイネージビジネスシステムは、従来の固定サイネージ装置を用いたような待ち受け型ビジネスシステムではなく、多数の可搬型ポイントサイネージ装置を用いて積極的に移動広告を行い、同時に広告効果を指標化することで客観的な広告宣伝効果を可視化する(たとえば数値化する)ことをシステム的に担保したことにより広告主の要望に応えることができる、という意味において、アクティブ型ビジネスシステムであるといい得る。さらに、同指標化により客観的に測定可能な広告効果が顕在化し、広告主と広告代理店と広告実行者の3者に相応の利益をもたらす全く新しいビジネスシステムが構築できる。
【0093】
したがって、本発明は、一般商業、広告業を含む各種産業において、深遠な利用可能性を有している。
【符号の説明】
【0094】
S1…広告主、S2…広告代理店、S5…広告コンテンツ、S6…広告実行者(実行者)、1…ポイントサイネージ装置組込バッグ(ポイントサイネージバッグ)、2…情報表示部、3…撮影部、4…スピーカー、5…有線インターフェース部、6…マイク、7…背負子(ベルト)、8…第2撮影部、9…瞳、10…ポイントサイネージ装置、101…情報制御部、102…メモリー部、103…認証部、104…前置処理部、105…インターフェース部、106…無線送受信部、107…GPS装置、108…リモートコントローラー、109…電源、200…管理サーバ装置、NW…ネットワーク、M…可搬式記録媒体
図1
図1A
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図5
図6
図7
図8
図9