(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022019403
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】アルコール検出器、情報処理装置、プログラム及びアルコール検査システム
(51)【国際特許分類】
G01N 33/497 20060101AFI20220120BHJP
G01N 33/98 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
G01N33/497 A
G01N33/98
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020123216
(22)【出願日】2020-07-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】509215765
【氏名又は名称】株式会社パイ・アール
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(74)【復代理人】
【識別番号】100140327
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 千秋
(72)【発明者】
【氏名】安田 功
(72)【発明者】
【氏名】久世 浩史
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045AA40
2G045CB22
2G045DA74
2G045FA19
2G045HA06
2G045HA09
2G045HA14
2G045JA01
2G045JA04
2G045JA07
(57)【要約】
【課題】アルコール検出器を偽装してアルコール検査が行われることを防止し得る技術を提供する。
【解決手段】アルコール検出器2は、検出部、表示部22a、通信部、及び制御部を備える。検出部は、被検者4によって吹き込まれる呼気中のアルコール濃度を検出する。通信部は、所定の外部装置3との間で通信を行う。制御部は、検出部にアルコール濃度を検出させ、アルコール濃度の検出結果を通信部を介して所定の外部装置3へ送信する。さらに、制御部は、アルコール濃度の検出前に自機を示す識別情報を生成し、通信部を介して所定の外部装置3に識別情報を送信し、検出結果を送信するまでの間に識別情報を示す画像220bを表示部22aに表示させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者によって吹き込まれる呼気中のアルコール濃度を検出する検出部と、
表示部と、
所定の外部装置との間で通信を行う通信部と、
前記検出部に前記アルコール濃度を検出させ、前記アルコール濃度の検出結果を前記通信部を介して前記所定の外部装置へ送信する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記アルコール濃度の検出前に自機を示す識別情報を生成し、前記通信部を介して前記所定の外部装置に前記識別情報を送信し、前記検出結果を送信するまでの間に前記識別情報を示す画像を前記表示部に表示させる、アルコール検出器。
【請求項2】
前記制御部は、前記アルコール濃度の検出ごとに前記識別情報を異ならせる、請求項1に記載のアルコール検出器。
【請求項3】
前記制御部は、前記検出結果を示す画像を前記表示部に表示する、請求項1又は2に記載のアルコール検出器。
【請求項4】
前記制御部は、前記検出結果の送信前に、検出終了を示す情報を前記所定の外部装置に送信する、請求項1から3のいずれか一項に記載のアルコール検出器。
【請求項5】
被検者の呼気中のアルコール濃度を検出するアルコール検出器との間で通信を行う通信部と、
撮像部と、
制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記アルコール検出器の識別情報を前記通信部を介して取得する処理と、
前記識別情報の取得後、前記撮像部に撮像を開始させる処理と、
前記アルコール濃度の検出結果を前記通信部を介して取得する処理と、
前記撮像部で撮像された撮像画像と、前記識別情報とに基づいて、前記検出結果が正当であるか否か判定する処理とを行い、
前記検出結果が正当であるか否か判定する処理において、前記撮像画像に前記識別情報と一致する画像が含まれていない場合、前記検出結果が正当でないと判定する、情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記識別情報を取得後、前記アルコール検出器から検出終了を示す情報を取得した後、前記撮像部に撮像を開始させる、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記識別情報を取得後、前記アルコール検出器における前記アルコール濃度の検出に要する時間を含む所定時間が経過した後、前記撮像部に撮像を開始させる、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記検出結果が正当であるか否か判定する処理において、前記撮像画像に、前記予め定められた被検者の画像と一致する画像が含まれていない場合、前記検出結果が正当でないと判定する、請求項5から7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記撮像画像は、動画像である、請求項5から8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記撮像画像は、静止画像である請求項5から8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
入力信号に基づき、音声、画像、振動の少なくとも1つを用いて報知する報知部をさらに備え、
前記制御部は、前記検出結果が正当でないと判定した場合、エラーを示す前記入力信号を前記報知部に入力する、請求項5から10のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
被検者の呼気中のアルコール濃度を検出するアルコール検出器との間で通信を行う通信部と、撮像部とを有する情報処理装置に処理を実行させるプログラムであって、
前記処理は、
前記アルコール検出器の識別情報を前記通信部を介して取得するステップと、
前記識別情報の取得後、前記撮像部に撮像を開始させるステップと、
前記アルコール濃度の検出結果を前記通信部を介して取得するステップと、
前記撮像部で撮像された撮像画像と、前記識別情報とに基づいて、前記検出結果が正当であるか否か判定するステップと
を含み、
前記検出結果が正当であるか否か判定するステップは、前記撮像画像に前記識別情報と一致する画像が含まれていない場合、前記検出結果が正当でないと判定する、プログラム。
【請求項13】
互いに通信接続されたアルコール検出器と情報処理装置とを備え、
前記アルコール検出器は、
被検者によって吹き込まれる呼気中のアルコール濃度を検出する検出部と、
表示部と、
前記検出部に前記アルコール濃度を検出させ、前記アルコール濃度の検出結果を前記情報処理装置へ送信する第1制御部と
を備え、
前記第1制御部は、前記アルコール濃度の検出前に自機を示す識別情報を生成して前記情報処理装置に前記識別情報を送信し、前記検出結果を送信するまでの間に前記識別情報を示す画像を前記表示部に表示させ、
前記情報処理装置は、
撮像部と、第2制御部とを備え、
前記第2制御部は、
前記アルコール検出器から前記識別情報を取得する処理と、
前記識別情報の取得後、前記撮像部に撮像を開始させる処理と、
前記アルコール検出器から前記検出結果を取得する処理と、
前記撮像部で撮像された撮像画像と、前記識別情報とに基づいて、前記検出結果が正当であるか否か判定する処理とを行い、
前記検出結果が正当であるか否か判定する処理において、前記撮像画像に前記識別情報と一致する画像が含まれていない場合、前記検出結果が正当でないと判定する、アルコール検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコール検出器、情報処理装置、プログラム及びアルコール検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、アルコール検知器を用いたアルコール検査におけるなりすましを防止する技術が開示されている。具体的には、下記特許文献1に記載の呼気成分測定システムは、呼気成分測定装置と、呼気成分測定装置と通信接続された情報処理端末とを含む。呼気成分測定システムは、被検者が呼気成分測定装置のマウスピースを口に入れたときに被検者の顔を含む画像を情報処理端末の撮像装置で撮像する。そして、撮像後、呼気成分測定装置は、所定時間(例えば5秒)内に、マウスピースに息を吹き込むことを被検者に促す。この呼気成分測定システムでは、撮像後の所定時間内に息を吹き込まなければ撮像からやり直すため、撮像後に被検者が入れ替わりにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アルコール検査を行っている被検者の顔を撮影し、撮影した画像を基に被検者の正当性を判断することで、被検者のなりすましをある程度防止することができる。しかしながら、アルコール濃度を検出するアルコール検出器を、被検者が、他人の物と入れ替えて撮影し、被検者のアルコール検出器に他人が息を吹き込むような成りすましが行われることも考えられる。このように、アルコール検出器を偽装して撮影された画像には正当な被検者が映っているため、検出結果が正当であるか否かを確実に判定することが難しい。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、アルコール検出器を偽装してアルコール検査が行われることを防止し得る技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るアルコール検出器は、検出部、表示部、通信部、及び制御部を備える。検出部は、被検者によって吹き込まれる呼気中のアルコール濃度を検出する。通信部は、所定の外部装置との間で通信を行う。制御部は、検出部にアルコール濃度を検出させ、アルコール濃度の検出結果を通信部を介して所定の外部装置へ送信する。さらに、制御部は、アルコール濃度の検出前に自機を示す識別情報を生成し、通信部を介して所定の外部装置に識別情報を送信し、検出結果を送信するまでの間に識別情報を示す画像を表示部に表示させる。上記アルコール検出器によれば、アルコール検出器を偽装してアルコール検査が行われることを防止することができる。
【0007】
本発明に係る情報処理装置は、通信部、撮像部、及び制御部を備える。通信部は、被検者の呼気中のアルコール濃度を検出するアルコール検出器との間で通信を行う。制御部は、アルコール検出器の識別情報を通信部を介して取得する処理と、識別情報の取得後、撮像部に撮像を開始させる処理と、アルコール濃度の検出結果を通信部を介して取得する処理と、撮像部で撮像された撮像画像と、識別情報とに基づいて、検出結果が正当であるか否か判定する処理とを行う。制御部は、検出結果が正当であるか否か判定する処理において、撮像画像に識別情報と一致する画像が含まれていない場合、検出結果が正当でないと判定する。上記情報処理装置によれば、アルコール検出器を偽装してアルコール検査が行われることを防止することができる。
【0008】
本発明に係るプログラムは、被検者の呼気中のアルコール濃度を検出するアルコール検出器との間で通信を行う通信部と、撮像部とを有するコンピュータに処理を実行させるプログラムである。当該処理は、アルコール検出器の識別情報を通信部を介して取得するステップと、識別情報の取得後、撮像部に撮像を開始させるステップと、アルコール濃度の検出結果を通信部を介して取得するステップと、撮像部で撮像された撮像画像と、識別情報とに基づいて、検出結果が正当であるか否か判定するステップとを含む。検出結果が正当であるか否か判定するステップは、撮像画像に識別情報と一致する画像が含まれていない場合、検出結果が正当でないと判定する。上記プログラムによれば、アルコール検出器を偽装してアルコール検査が行われることを防止することができる。
【0009】
本発明に係るアルコール検査システムは、互いに通信接続されたアルコール検出器と情報処理装置とを備える。アルコール検出器は、検出部、表示部、及び制御部を備える。検出部は、被検者によって吹き込まれる呼気中のアルコール濃度を検出する。制御部は、検出部にアルコール濃度を検出させ、アルコール濃度の検出結果を情報処理装置へ送信する。さらに、制御部は、アルコール濃度の検出前に自機を示す識別情報を生成し、通信部を介して所定の外部装置に識別情報を送信し、検出結果を送信するまでの間に識別情報を示す画像を表示部に表示させる。情報処理装置は、撮像部と、制御部とを備える。制御部は、アルコール検出器から識別情報を取得する処理と、記識別情報の取得後、撮像部に撮像を開始させる処理と、アルコール検出器からアルコール濃度の検出結果を取得する処理と、撮像部で撮像された撮像画像と、識別情報とに基づいて、検出結果が正当であるか否か判定する処理とを行う。制御部は、検出結果が正当であるか否か判定する処理において、撮像画像に識別情報と一致する画像が含まれていない場合、検出結果が正当でないと判定する。上記アルコール検査システムによれば、アルコール検出器を偽装してアルコール検査が行われることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態におけるアルコール検査システムの概略構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すアルコール検出器の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図4A】
図4Aは、第1実施形態におけるアルコール検出器の動作を示すフロー図である。
【
図4B】
図4Bは、第1実施形態における情報処理装置の動作を示すフロー図である。
【
図5】
図5は、アルコール検査を行っている被検者の様子を示す模式図である。
【
図6A】
図6Aは、第2実施形態におけるアルコール検出器の動作を示すフロー図である。
【
図6B】
図6Bは、第2実施形態における携帯通信端末の動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0012】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態におけるアルコール検査システム1の概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、アルコール検査システム1は、アルコール検出器2と情報処理装置3(外部装置)とを含む。情報処理装置3は、スマートフォン、タブレット端末等の携帯通信端末であってもよいし、パーソナルコンピュータであってもよい。本実施形態では、情報処理装置3として携帯通信端末を例に説明する。
【0013】
アルコール検出器2と情報処理装置3との間は通信ケーブルLを介して通信接続されている。アルコール検査システム1は、アルコール検査を行う被検者自身が情報処理装置3及びアルコール検出器2を操作することによってアルコール検査を行う。以下、アルコール検出器2及び情報処理装置3の構成について具体的に説明する。
【0014】
(アルコール検出器2)
図2は、
図1に示すアルコール検出器2の概略構成を示すブロック図である。
図1及び
図2を参照してアルコール検出器2の構成を説明する。
【0015】
図2に示すように、アルコール検出器2は、呼気流入部21、報知部22、操作受付部23、記憶部24、通信部25、検出部26、及び制御部(第1制御部)27を備える。
【0016】
呼気流入部21は、管状部材で構成される。
図1に示すように、呼気流入部21の一部はアルコール検出器2の外部に突出し、呼気流入部21の他の部分はアルコール検出器2内において検出部26と接続されている。呼気流入部21において、アルコール検出器2の外部に突出した部分の端部は、被検者の口にくわえられ、被検者の呼気が吹き込まれる吹込み口である。被検者から吹き込まれた呼気は、呼気流入部21の内部を通り、検出部26に導かれる。
【0017】
報知部22は、表示部22a及び音声出力部22bを含む。表示部22aは、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等で構成され、制御部27の制御の下、画像を表示する。音声出力部22bは、スピーカを含み、制御部27の制御の下、ビープ音等の音声を出力する。
【0018】
操作受付部23は、アルコール検出器2の電源ボタン(図示略)や、検査開始ボタン23a(
図1参照)等の操作ボタンを含む。操作受付部23は、操作ボタンの押下操作を示す操作信号を制御部27に出力する。
【0019】
記憶部24は、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)やフラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成される。記憶部24は、アルコール検出器2におけるアルコール検出処理に必要な各種データを記憶する。
【0020】
通信部25は、通信ケーブルL(
図1参照)を接続する端子(図示略)を含む。通信部25は、通信ケーブルLを介して情報処理装置3との間で通信を行う。
【0021】
検出部26は、圧力センサや、アルコール濃度を検出するアルコールセンサを含む(いずれも図示略)。本実施形態では、アルコールセンサは、例えば半導体式アルコールセンサが用いられるが、アルコール濃度を検出する方式は、半導体方式に限定されず、燃料電池方式、非拡散赤外線吸収方式、及び化学反応方式等であってもよい。
【0022】
また、検出部26は、アルコールセンサを加熱するヒータを含む加熱機構(図示略)を備える。検出部26は、呼気が吹き込まれる前に、アルコールセンサを加熱機構によって加熱し、アルコールセンサの表面の残気ガス等を除去することで、アルコールセンサをクリーニングする。
【0023】
検出部26は、制御部27の制御の下、一定以上の圧力で呼気流入部21に吹き込まれた呼気中のアルコール濃度を検出する。
【0024】
制御部27は、マイクロコントローラ(MCU)と、MCUとバス接続されたメモリ(ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory))とを含む(いずれも図示略)。MCUは、バスを介して報知部22、操作受付部23、記憶部24、通信部、及び検出部26と接続されている。
【0025】
制御部27は、MCUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、MCUと接続された各部を制御してアルコール検出処理を行う。具体的には、制御部27は、MCUによる制御プログラムの実行により、生成部271、検出制御部272、及び報知制御部273として機能する。
【0026】
生成部271は、自機を識別する識別情報の一例としてパスワードを生成する。生成部271は、所定のアルゴリズムに基づいて、アルファベット、数字、及び記号等の少なくとも1つを用いてランダムにパスワードを生成し、メモリに記憶する。また、生成部271は、生成したパスワードを示すパスワード情報を通信部25を介して情報処理装置3へ送信する。
【0027】
検出制御部272は、検査開始ボタン23aが押下された後、検出部26にクリーニング処理とアルコール検出処理とを順次行わせる。検出制御部272は、検出部26の検出結果をメモリに記憶し、検出結果を示す情報を通信部25を介して情報処理装置3へ送信する。
【0028】
報知制御部273は、通信部25を介した情報処理装置3からの検査開始指示に応じて、検査開始ボタン23aの押下を促す画像又は音声を報知部22により報知させる。また、報知制御部273は、メモリに記憶された検出結果を示す画像(以下、検出結果画像)と、パスワードを示す画像(以下、パスワード画像)とを表示部22aに表示させる。パスワード画像は、パスワードを文字で表した画像であってもよいが、パスワードを二次元バーコードやQRコード(登録商標)で表した画像であってもよい。また、報知制御部273は、クリーニング処理の終了後、クリーニング終了を示す画像又は音声を報知部22により報知させる。
【0029】
(情報処理装置3)
図3は、
図1に示す情報処理装置3の概略構成を示すブロック図である。以下、
図1及び
図3を参照して情報処理装置3の構成について説明する。
【0030】
図3に示すように、情報処理装置3は、タッチディスプレイ31、撮像部32、記憶部33、通信部34、及び制御部(第2制御部)35を備える。
【0031】
タッチディスプレイ31は、タッチセンサが設けられたディスプレイで構成される。ディスプレイは、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等で構成される。タッチセンサは、例えば静電容量式のタッチセンサであり、表示領域においてユーザの指等が接触した位置の静電容量の変化を検出する。タッチディスプレイ31は、制御部35の制御の下、各種画像を表示する。
【0032】
撮像部32は、フロントカメラ32aとバックカメラ32bとを含む。フロントカメラ32a及びバックカメラ32bは、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子と複数のレンズが収納されたレンズユニットとを含む。フロントカメラ32aは、情報処理装置3においてタッチディスプレイ31が設けられた面方向の被写体を撮像する。バックカメラ32bは、情報処理装置3においてタッチディスプレイ31と反対側の面方向の被写体を撮像する。撮像部32は、動画撮影を行う動画モード及び静止画撮影を行う静止画モードを含む撮像モードを有する。撮像部32は、制御部35の制御の下、指定された撮像モードでフロントカメラ32a又はバックカメラ32bにより撮像を行う。
【0033】
記憶部33は、eMMC(embedded Multi Media Card)やUFS(Universal Flash Storage)等の不揮発性メモリで構成される。記憶部33は、制御部35の制御の下、アルコール検査に必要な画像データや、アルコール検出器2からの検出結果等を含む各種データを記憶する。
【0034】
通信部34は、通信ケーブルLを接続する端子(図示略)を含む。通信部34は、通信ケーブルL(
図1参照)を介してアルコール検出器2との間で通信を行う。
【0035】
制御部35は、CPU(Control Processing Unit)と、CPUとバス接続されたメモリ(ROM及びRAM)とを含む。CPUは、バスを介して、タッチディスプレイ31、撮像部32、記憶部33、通信部34と接続されている。制御部35は、CPUが、ROMに記憶されたアルコール検査プログラムを実行することにより、CPUと接続された各部を制御してアルコール検査処理を実行する。具体的には、制御部35は、CPUによるアルコール検査プログラムの実行により、検出制御部351、撮像制御部352、判定部353、表示制御部354として機能する。
【0036】
検出制御部351は、被検者によるアルコール検査プログラムの起動操作により、アルコール検査の開始指示を通信部34を介してアルコール検出器2に送信する。また、検出制御部351は、アルコール検出器2から通信部34を介してパスワード情報を受信してメモリに記憶する。また、検出制御部351は、パスワード情報を受信後、クリーニング処理時間に相当する所定時間が経過したとき、撮像制御部352に撮像開始を通知する。また、検出制御部351は、アルコール検出器2から通信部34を介して検出結果を取得してメモリに記憶し、撮像制御部352に撮像終了を通知する。
【0037】
撮像制御部352は、検出制御部351からの撮像開始及び撮像終了の通知により、撮像部32を起動及び終了させる。本実施形態において、撮像制御部352は、フロントカメラ32aを動画モードで起動させる。撮像制御部352は、フロントカメラ32aで撮像された動画データをメモリに記憶する。
【0038】
判定部353は、メモリに記憶されたパスワード情報と動画データとを照合し、アルコール検査に用いられたアルコール検出器2の正当性を判定する。具体的には、判定部353は、動画データにパスワード情報が示すパスワードと一致する画像が含まれていない場合、アルコール検出器2が正当ではないと判定する。判定部353は、さらに、動画データにパスワードと一致する画像が含まれている場合、動画データと予め定められた被検者の顔画像とを照合し、被検者の正当性を判定する。具体的には、判定部353は、動画データに被検者の顔画像と一致する画像が含まれていない場合、被検者が正当ではないと判定する。判定部353は、アルコール検出器2と被検者の少なくとも一方が正当ではないと判定した場合、取得した検出結果が正当ではないと判定し、検出結果を無効とする。
【0039】
表示制御部354は、被検者によるアルコール検査プログラムの起動操作に応じて、アルコール検査の開始を示すアルコール検査画面をタッチディスプレイ31に表示させる。表示制御部354は、撮像部32における撮像時の画像をタッチディスプレイ31に表示させる。また、表示制御部354は、判定部353の判定結果をタッチディスプレイ31に表示させる。
【0040】
なお、
図3では図示を省略するが、情報処理装置3は、
図3に示す構成に加え、通話機能に必要なマイクロフォンやスピーカ等を備える。
【0041】
<動作>
以下、アルコール検査システム1におけるアルコール検査処理の動作を説明する。
図4Aは、アルコール検出器2の動作を示すフロー図である。また、
図4Bは、情報処理装置3の動作を示すフロー図である。なお、
図4Bに示すフローは、情報処理装置3において、被検者により、アルコール検査プログラムの起動操作がなされた状態で開始する。以下、
図1~
図4Bを用いてアルコール検査処理について説明する。
【0042】
図4BのステップS301において、情報処理装置3は、アルコール検査プログラムの起動操作に応じて、アルコール検出器2へ検査開始信号を送信するとともに、アルコール検査画面をタッチディスプレイ31に表示する。具体的には、情報処理装置3は、検出制御部351により、検査開始指示を示す信号を通信部34を介してアルコール検出器2へ送信する。そして、情報処理装置3は、表示制御部354により、アルコール検査画面をタッチディスプレイ31に表示させて、アルコール検査の開始を被検者に通知する。
【0043】
ステップS301の後、情報処理装置3は、アルコール検出器2からパスワード情報を受信するまで(ステップS302:No)、待機する。
【0044】
図4AのステップS201において、アルコール検出器2は、情報処理装置3から通信部25を介して検査開始指示を示す信号を受信すると(ステップS201:Yes)、アルコール検査の開始を報知する。具体的には、アルコール検出器2は、報知制御部273により、検査開始ボタン23a(
図1参照)の押下を促す画像を表示部22aに表示させたり、検査開始ボタン23aの押下を促す音声を音声出力部22bから出力させたりする。
【0045】
被検者が検査開始ボタン23aを押下するまで(ステップS203:No)、アルコール検出器2は待機する。被検者が検査開始ボタン23aを押下すると(ステップS203:Yes)、アルコール検出器2は、パスワードを生成し、生成したパスワードを示すパスワード情報を情報処理装置3に送信する(ステップS204)。具体的には、アルコール検出器2は、生成部204により、検査開始ボタン23aの押下操作を示す操作信号を操作受付部23から取得し、所定のアルゴリズムに基づきパスワードを生成してメモリに記憶する。そして、生成部204により、生成したパスワードを示すパスワード情報を通信部25を介して情報処理装置3へ送信する。
【0046】
続いて、アルコール検出器2は、クリーニング処理を行う(ステップS205)。すなわち、アルコール検出器2は、検出制御部272により、検出部26における加熱機構(図示略)を加熱させてアルコールセンサをクリーニングする。
【0047】
そして、アルコール検出器2は、クリーニング処理後、クリーニング処理終了を示す画像を表示部22aに表示させ、アルコール検出処理を開始する(ステップS206)。
【0048】
図4BのステップS302において、情報処理装置3は、アルコール検出器2から通信部34を介してパスワード情報を取得すると(ステップS302:Yes)、取得したパスワード情報をメモリに記憶し、クリーニング処理に要する所定時間が経過するまで(ステップS303:No)、待機する。そして、情報処理装置3は、所定時間が経過すると(ステップS303:Yes)、撮像部32で撮像を開始する(ステップS304)。つまり、アルコール検出器2によるアルコール検出処理の開始時から情報処理装置3において撮像が開始される。
【0049】
具体的には、情報処理装置3は、撮像制御部352により、動画モードでフロントカメラ32aに撮像を開始させる。フロントカメラ32aで撮像された画像は表示制御部354によりタッチディスプレイ31に表示される。このとき、被検者は、情報処理装置3のタッチディスプレイ31に表示される画像を確認しながら、自分とアルコール検出器2とがフロントカメラ32aに映るように、アルコール検出器2と情報処理装置3とを両手で把持し、アルコール検出器2の呼気流入部21に呼気を吹き込む。
【0050】
図4AのステップS207において、アルコール検出器2は、呼気流入部21から一定以上の圧力で吹き込まれる呼気中のアルコール濃度が検出部26で検出されるまで(ステップS207:No)、検出部26での検出処理を継続する。そして、検出部26で検出処理が終了すると(ステップS207:Yes)、アルコール検出器2は、検出結果画像とパスワード画像とを表示部22aに表示する(ステップS208)。すなわち、アルコール検出器2は、報知制御部273により、検出部26で検出された検出結果を示す検出結果画像と、メモリに記憶されたパスワードを示すパスワード画像とを表示部22aに表示させる。パスワード画像は、例えば、所定のエンコーダを用いて生成されたQRコード(登録商標)である。
【0051】
図5は、アルコール検査を行っている被検者の様子を示す模式図である。より具体的には、
図5は、被検者4がアルコール検出器2に呼気を吹き込みながら情報処理装置3で撮影し、アルコール検出器2の表示部22aに、検出結果画像220aとパスワード画像220bとが表示された状態を示している。このように、本実施形態では、検出結果画像220aとパスワード画像220bとが表示部22aに表示されるまで、被検者4がアルコール検査を行っている様子が撮影される。
【0052】
図4AのステップS208の後、アルコール検出器2は、検出制御部272により、検出結果を示す情報を通信部25を介して送信する(ステップS209)。
【0053】
図4BのステップS305において、情報処理装置3は、アルコール検出器2から通信部34を介して検出結果を取得すると(ステップS305:Yes)、撮像制御部352により撮像部32の撮像を終了させ、撮像によって得られた撮像データを記憶部33に記憶する(ステップS307)。そして、情報処理装置3は、判定部353により、記憶部33に記憶された撮像データと、メモリに記憶されたパスワード情報、すなわちパスワードとを照合する(ステップS308)。
【0054】
判定部353は、撮像データにパスワードと一致する画像が含まれているか否か判定する(ステップS309)。具体的には、例えば、パスワード画像220bがQRコード(登録商標)で表され、撮像データにパスワード画像220bが含まれている場合、判定部353は、撮像データに含まれるQRコード(登録商標)を所定の解析アルゴリズムに従ってデコードする。判定部353は、デコード結果とパスワードとが一致するか否か判定する。
【0055】
情報処理装置3は、判定部353により、デコード結果とパスワードとが一致せず、撮像データにパスワードと一致する画像が含まれていないと判定された場合(ステップS309:No)、表示制御部354により、エラーメッセージをタッチディスプレイ31に表示させる(ステップS310)。すなわち、パスワードと一致する画像が撮像データに含まれていない場合、撮像データに映るアルコール検出器2が正当でないと判定され、取得した検出結果は記憶部33に記憶されない。エラーメッセージは、例えば、アルコール検査が正常に終了していないこと等を示す。
【0056】
また、ステップS309において、判定部353により、デコード結果とパスワードとが一致し、撮像データにパスワードと一致する画像が含まれていると判定された場合(ステップS309:Yes)、撮像データに予め定められた被検者の顔画像と一致する画像が含まれるか否か判定する(ステップS311)。情報処理装置3は、判定部353により、撮像データに被検者の顔画像と一致する画像が含まれると判定された場合(ステップS311:Yes)、判定部353により、メモリ内の検出結果を記憶部33に記憶する。そして、情報処理装置3は、表示制御部354によりアルコール検査画面を終了して、アルコール検査の終了を被検者に報知する(ステップS312)。
【0057】
情報処理装置3は、ステップS311において、判定部353により、撮像データに被検者の顔画像と一致する画像が含まれていないと判定された場合(ステップS311:No)、情報処理装置3は、ステップS310の処理を行う。
【0058】
なお、ステップS305において、情報処理装置3は、アルコール検出器2から通信部34を介して所定時間内に検出結果を取得するまで(ステップS305:No、ステップS306:No)、待機する。また、情報処理装置3は、アルコール検出器2から通信部34を介して所定時間内に検出結果を取得できなければ、所定時間の経過後、ステップS310の処理を行う。なお、この所定時間は、例えば十数秒程度である。
【0059】
以上が、本実施形態におけるアルコール検査システム1におけるアルコール検査処理の動作である。例えば、真の被検者が、他人のアルコール検出器でアルコール検査を行っている仕草を情報処理装置3で撮影すると同時に、真の被検者に成りすました他人が、真の被検者のアルコール検出器2に呼気を吹き込み、アルコール検査を偽装する場合がある。このような場合、情報処理装置3において撮影により得られた撮像データに、真の被検者のアルコール検出器2で生成されたパスワードと一致する画像は含まれない。そのため、被検者のアルコール検出器2から情報処理装置3に送信された検出結果は、情報処理装置3によって正当ではないと判定され、エラーメッセージが情報処理装置3のタッチディスプレイ31に表示される。つまり、情報処理装置3において、アルコール検出器2の偽装が判明され、検出結果が無効とされる。よって、アルコール検査システム1によれば、アルコール検出器2を偽装したアルコール検査が行われにくく、被検者の顔認証だけで検出結果の正当性が判定される場合と比べ、より確実に検出結果の正当性を判定することができる。
【0060】
また、本実施形態におけるアルコール検出器2は、アルコール検査ごとに異なるパスワードを生成する。そのため、アルコール検査ごとに同じパスワードが用いられる場合と比べ、アルコール検出器2の偽装をより確実に防止することができる。
【0061】
<第2実施形態>
第1実施形態では、アルコール検出器2からの識別情報を情報処理装置3が取得後に撮像を開始したが、撮像を開始するタイミングはこれに限定されない。以下、本実施形態の撮像開始タイミングについて具体的に説明する。
【0062】
図6Aは、本実施形態のアルコール検出器2の動作を示すフロー図である。また、
図6Bは、本実施形態の情報処理装置3の動作を示すフロー図である。
図6A及び
図6Bにおいて、第1実施形態と同じ処理については第1実施形態と同じステップ番号が付されている。以下、主として第1実施形態と異なる処理について説明する。
【0063】
図6Aにおいて、アルコール検出器2は、ステップS201~S207の処理を行う。ステップS207において、アルコール検出器2は、検出部26で検出処理が終了すると(ステップS207:Yes)、検出制御部272により、検出処理が終了したことを示す検出終了情報を通信部25を介して送信する(ステップS210)。
【0064】
そして、アルコール検出器2は、検出結果とパスワード画像とを表示部22aに表示し(ステップS208)、続いて、検出制御部272により、検出結果を示す情報を通信部25を介して送信する(ステップS209)。
【0065】
図6Bにおいて、情報処理装置3は、ステップS301の後、ステップS302において、アルコール検出器2からパスワード情報を取得すると(ステップS302:Yes)、通信部34を介してアルコール検出器2から検出終了情報を取得するまで待機する(ステップS313:No)。
【0066】
情報処理装置3は、通信部34を介してアルコール検出器2から検出終了情報を取得すると(ステップS313:Yes)、撮像制御部352により、撮像部32に撮像を開始させる(ステップS304)。このとき、撮像制御部352は、フロントカメラ32aに動画モードで撮影を開始させてもよいし、静止画モードで撮影を行ってもよい。
【0067】
その後、情報処理装置3は、アルコール検出器2から通信部34を介して検出結果を取得すると(ステップS305:Yes)、撮像制御部352により撮像部32の撮像を終了させ、撮像によって得られた撮像データを記憶部33に記憶する(ステップS307)。そして、情報処理装置3は、第1実施形態と同様、ステップS308以降の処理を行い、検出結果の正当性を判定する。
【0068】
このように、本実施形態では、情報処理装置3において、アルコール検出器2から検出処理の終了を示す検出終了情報を取得後、すなわち、アルコール検出器2におけるアルコール検出処理が終了した後に撮像を開始する。アルコール検出器2は、検出終了情報を送信した後、検出結果とパスワード画像とを表示部22aに表示させる。被検者は、少なくとも表示部22aに検出結果が表示されるまでアルコール検出器2に呼気を吹き込む。そのため、情報処理装置3が検出終了情報を取得後、被検者とともに、表示部22aに表示された検出結果及びパスワード画像が情報処理装置3において撮影される。よって、アルコール検出器2における検出処理の終了後に撮像を開始した場合においても、情報処理装置3においてアルコール検出器2からの検出結果の正当性を適切に判定することができる。
【0069】
以上、図面(
図1~
図6B)を参照しながらアルコール検査システム、アルコール検出器、情報処理装置、及びプログラムの実施形態を説明した。但し、アルコール検査システム、アルコール検出器、情報処理装置、及びプログラムは、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。以下、上述した実施形態の変形例を説明する。
【0070】
[変形例]
(1)アルコール検出器2と情報処理装置3との間は通信ケーブルL(
図1参照)を介して有線接続されているが、アルコール検出器2と情報処理装置3との間はブルートゥース(登録商標)や無線LAN等を用いて無線接続されてもよい。
【0071】
(2)第1実施形態では、
図4BのステップS304において、情報処理装置3が動画モードで撮像を開始するが、静止画モードで撮像を行ってもよい。つまり、アルコール検出器2における表示部22aに検出結果が表示されているタイミングで、情報処理装置3により静止画モードで撮像してもよい。より具体的には、例えば、情報処理装置3において、ステップS305で肯定的な判断を行った後、少なくとも1回、撮像部32により静止画モードで撮像を行ってもよい。
【0072】
(3)第1実施形態では、アルコール検出器2におけるアルコール検出処理の終了時(
図4AのステップS207:Yes)に、検出結果画像及びパスワード画像を表示部22aに表示させたが(
図5参照)、パスワード画像を表示するタイミングはこれに限定されない。アルコール検出器2から情報処理装置3にパスワード情報を送信後、検出結果が送信されるまでの間に、パスワード画像が表示部22aに表示されていればよい。具体的には、例えば、アルコール検出器2において、クリーニング処理後、アルコール検出処理の開始時からパスワード画像を表示部22aに表示させてもよい。つまり、情報処理装置3における撮像開始からパスワード画像がアルコール検出器2の表示部22aに表示されてもよい。この場合、
図4Bに示すように、情報処理装置3は、クリーニング処理時間に相当する所定時間が経過した後(ステップS303:Yes)、撮像を開始する(ステップS304)。そのため、正当なアルコール検出器2を用いてアルコール検査が行われていれば、情報処理装置3により、アルコール検出処理の開始時からパスワード画像が表示されたアルコール検出器2と被検者とが撮像される。
【0073】
(4)
図4AのステップS208において、アルコール検出器2の表示部22aに検出結果画像とパスワード画像とを表示させたが、少なくともパスワード画像が表示部22aに表示されていればよい。
【0074】
(5)第1及び第2実施形態において、アルコール検査の開始時に被検者の顔を情報処理装置3で撮影し、撮影によって得られた撮像データと予め定められた被検者の顔画像とに基づいて被検者を認証してもよい。つまり、情報処理装置3は、アルコール検出器2からパスワード情報を取得する前、すなわち
図4B及び
図6BのステップS302より前に、被検者の顔を撮影することをタッチディスプレイ31に表示し、撮像部32で静止画又は動画モードで撮像する。情報処理装置3は、撮像データに、予め定められた被検者の顔画像と一致する画像が含まれていなければ被検者が正当でないと判定し、エラーメッセージをタッチディスプレイ31に表示してもよい。このように、アルコール検査の開始時に被検者の顔を撮像し、被検者の正当性を判定することで、被検者の成りすましを抑制する効果が期待できる。
【0075】
(6)第1及び第2実施形態において、情報処理装置3は、タクシーやバス等の運行事業者が管理するサーバとインターネット等の通信網を介して接続されていてもよい。この場合、情報処理装置3は、
図4B及び
図6BのステップS312において記憶部33に記憶された検出結果を示す情報を被検者の識別情報とともにサーバへ送信するように構成する。このように構成することで、運行事業者は、運行事業者に所属するドライバーのアルコール検査の結果をドライバーごとに管理することができる。
【0076】
(7)情報処理装置3は、タッチディスプレイ31及びスピーカ(図示略)に加え、報知部の一例としてバイブレータ(図示略)を備えてもよい。情報処理装置3は、
図4B及び
図6BのステップS310において、エラーメッセージをタッチディスプレイ31に表示させてもよいし、スピーカによりエラーを示す報知音を出力させてもよい。又は、情報処理装置3は、エラーを示す振動数(周波数)でバイブレータを振動させてもよい。つまり、情報処理装置3は、画像、音声、及び振動のうち少なくとも1つを用いてエラーを報知すればよい。
【0077】
(8)情報処理装置3に記憶されたアルコール検査プログラムは、リムーバブルメディアに記録され、情報処理装置3において、リムーバブルメディアから読み出されてもよい。また、外部サーバ等にアルコール検査プログラムが記憶され、インターネット等の通信網を介して、情報処理装置3にアルコール検査プログラムがダウンロードされてもよい。
【0078】
(9)第1及び第2実施形態に係るアルコール検査システム1は、アルコール検出器2と情報処理装置3とによって構成されたが、アルコール検査システム1は、アルコール検出器2に有線又は無線を介してカメラを接続した構成であってもよい。この場合、アルコール検出器2は、情報処理装置3における検出制御部351、撮像制御部352、判定部353、及び表示制御部354と同様の機能を備えるように構成する。つまり、アルコール検出器2は、被検者による検査開始ボタン23aの操作に応じてパスワードを生成し、その後、カメラにより撮像を開始させ、クリーニング処理及びアルコール検出処理を行う。アルコール検出処理の終了後、アルコール検出器2は、検出結果及びパスワード画像を表示部22aに表示した後に撮像を終了させる。そして、アルコール検出器2は、検出結果及びパスワード画像と、カメラで撮像された撮像データとに基づき、検出結果の正当性を判定する。
【0079】
(10)第2実施形態において、情報処理装置3は、アルコール検出器2からパスワード情報を取得後、クリーニング処理とアルコール検出処理に要する時間が経過したときに撮像部32に撮像を開始させてもよい。要は、情報処理装置3は、アルコール検出器2からパスワード情報を取得後において、アルコール検出処理に要する時間を含む所定時間が経過したときに、撮像を開始させてもよい。
【0080】
(11)第2実施形態において、アルコール検出器2は検出終了情報とともに検出結果を情報処理装置3へ送信してもよいし、アルコール検出器2は検出結果のみを情報処理装置3へ送信してもよい。この場合、アルコール検出器2において、検出結果を送信後、検出結果及びパスワード画像を一定時間のあいだ表示部22aに表示させる。そして、情報処理装置3は、検出結果を取得した後、一定時間の間、撮像部32により撮像を行わせてもよい。要は、アルコール検出器2におけるアルコール検出処理後、パスワード画像が表示部22aに表示されている間に、情報処理装置3において撮像が行われればよい。
【0081】
(12)第1及び第2実施形態において、アルコール検出器2は、ステップS202において、アルコール検査の開始を報知するとともに、検査開始を示す情報(以下、検査開始通知)を通信部25を介して情報処理装置3へ送信してもよい。情報処理装置3は、ステップS301の後、通信部34を介してアルコール検出器2から検査開始通知を取得した後、ステップS302以下の処理を行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、タクシー、バス、列車及び航空機等の運行事業者における飲酒検査に利用可能である。
【符号の説明】
【0083】
1…アルコール検査システム、2…アルコール検出器、3…情報処理装置(携帯通信端末)、21…呼気流入部、26…検出部、22…報知部、22a…表示部、22b…音声出力部、23a…検査開始ボタン、24,33…記憶部、25,34…通信部、27,35…制御部、31…タッチディスプレイ、32…撮像部、32a…フロントカメラ
【手続補正書】
【提出日】2021-01-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者によって吹き込まれる呼気中のアルコール濃度を検出する検出部と、
表示部と、
前記呼気を吹き込む前記被検者の撮影を行う所定の外部装置との間で通信を行う通信部と、
前記検出部に前記アルコール濃度を検出させ、前記アルコール濃度の検出結果を前記通信部を介して前記所定の外部装置へ送信する制御部と
を備え、
前記制御部は、自機を示す識別情報を生成し、前記通信部を介して前記所定の外部装置に前記識別情報を送信し、前記アルコール濃度の検出開始から前記検出結果を送信するまでの間であって前記被検者の撮影中に前記識別情報を示す画像を前記表示部に表示させる、アルコール検出器。
【請求項2】
前記制御部は、前記アルコール濃度の検出ごとに前記識別情報を異ならせる、請求項1に記載のアルコール検出器。
【請求項3】
前記制御部は、前記検出結果を示す画像を前記表示部に表示する、請求項1又は2に記載のアルコール検出器。
【請求項4】
前記制御部は、前記検出結果の送信前に、検出終了を示す情報を前記所定の外部装置に送信する、請求項1から3のいずれか一項に記載のアルコール検出器。
【請求項5】
被検者の呼気中のアルコール濃度を検出するアルコール検出器との間で通信を行う通信部と、
撮像部と、
制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記アルコール検出器の識別情報を前記通信部を介して取得する処理と、
前記識別情報の取得に基づいて、前記撮像部に撮像を開始させる処理と、
前記撮像部の撮像開始後、前記アルコール濃度の検出結果を前記通信部を介して取得する処理と、
前記撮像部で撮像された撮像画像と、取得した前記識別情報とに基づいて、取得した前記検出結果が正当であるか否か判定する処理とを行い、
前記検出結果が正当であるか否かを判定する処理において、前記撮像画像に前記識別情報と一致する画像が含まれていない場合、前記検出結果が正当でないと判定する、情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記識別情報を取得後、前記アルコール検出器から検出終了を示す情報を取得した後、前記撮像部に撮像を開始させる、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記識別情報を取得後、前記アルコール検出器における前記アルコール濃度の検出に要する時間を含む所定時間が経過した後、前記撮像部に撮像を開始させる、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記検出結果が正当であるか否か判定する処理において、前記撮像画像に、前記予め定められた被検者の画像と一致する画像が含まれていない場合、前記検出結果が正当でないと判定する、請求項5から7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記撮像画像は、動画像である、請求項5から8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記撮像画像は、静止画像である請求項5から8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
入力信号に基づき、音声、画像、振動の少なくとも1つを用いて報知する報知部をさらに備え、
前記制御部は、前記検出結果が正当でないと判定した場合、エラーを示す前記入力信号を前記報知部に入力する、請求項5から10のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
被検者の呼気中のアルコール濃度を検出するアルコール検出器との間で通信を行う通信部と、撮像部とを有する情報処理装置に処理を実行させるプログラムであって、
前記処理は、
前記アルコール検出器の識別情報を前記通信部を介して取得するステップと、
前記識別情報の取得に基づいて、前記撮像部に撮像を開始させるステップと、
前記撮像部の撮像開始後、前記アルコール濃度の検出結果を前記通信部を介して取得するステップと、
前記撮像部で撮像された撮像画像と、取得した前記識別情報とに基づいて、取得した前記検出結果が正当であるか否か判定するステップと
を含み、
前記検出結果が正当であるか否か判定するステップは、前記撮像画像に前記識別情報と一致する画像が含まれていない場合、前記検出結果が正当でないと判定する、プログラム。
【請求項13】
互いに通信接続されたアルコール検出器と情報処理装置とを備え、
前記アルコール検出器は、
被検者によって吹き込まれる呼気中のアルコール濃度を検出する検出部と、
表示部と、
前記検出部に前記アルコール濃度を検出させ、前記アルコール濃度の検出結果を前記情報処理装置へ送信する第1制御部と
を備え、
前記第1制御部は、自機を示す識別情報を生成して前記情報処理装置に前記識別情報を送信し、前記アルコール濃度の検出開始から前記検出結果を送信するまでの間であって、前記情報処理装置における前記被検者の撮影中に前記識別情報を示す画像を前記表示部に表示させ、
前記情報処理装置は、
撮像部と、第2制御部とを備え、
前記第2制御部は、
前記アルコール検出器の識別情報を前記通信部を介して取得する処理と、
前記識別情報の取得に基づいて、前記撮像部に撮像を開始させる処理と、
前記撮像部の撮像開始後、前記アルコール濃度の検出結果を前記通信部を介して取得する処理と、
前記撮像部で撮像された撮像画像と、取得した前記識別情報とに基づいて、取得した前記検出結果が正当であるか否か判定する処理とを行い、
前記検出結果が正当であるか否か判定する処理において、前記撮像画像に前記識別情報と一致する画像が含まれていない場合、前記検出結果が正当でないと判定する、アルコール検査システム。