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特開2022-19462遠隔葬儀システム、コンピュータプログラム及び仕出し料理の調理・配達方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022019462
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】遠隔葬儀システム、コンピュータプログラム及び仕出し料理の調理・配達方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20220120BHJP
   H04N 7/15 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
G06Q50/10
H04N7/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020123322
(22)【出願日】2020-07-17
(71)【出願人】
【識別番号】515344196
【氏名又は名称】有限会社海山
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】横山 和幸
【テーマコード(参考)】
5C164
5L049
【Fターム(参考)】
5C164FA10
5C164UB86S
5C164VA07P
5C164VA13P
5L049CC14
(57)【要約】
【課題】 葬儀式場側の映像と遠隔参列者側の映像との相互配信処理を、葬儀会場にて式進行を司るオペレータにより簡単に制御することができ、かつ、葬儀会場ごとにハイスペックな映像配信サーバを設置する必要のない遠隔葬儀システムを提供する。
【解決手段】 葬儀ホスト端末は、葬儀進行に合わせてオペレータが手動入力する情報に基づき、式場用端末及び遠隔参列端末における動画再生出力形態を特定する動画制御指令情報を生成し、公共通信網に送出する。ストリーム配信管理サーバは、葬儀ホスト端末からの動画制御指令情報に基づき、動画再生出力形態を式進行に合わせて制御する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
公共通信網を介して動画ストリームデータを送受信する送受信部と、葬儀式場側に設置されたカメラの撮影情報に基づき、前記葬儀式場における葬儀進行模様を撮影した動画ストリームデータである葬儀式ストリームデータを生成する葬儀式ストリームデータ生成部と、前記葬儀式場内の実参列者から視認可能な位置に設置され、受信した動画ストリームデータに基づき動画の再生出力を行なう式場用モニタを備えた式場用端末と、
前記公共通信網を介して動画ストリームデータを送受信する送受信部と、遠隔参列者側に設置されたカメラからの撮影入力に基づき、前記遠隔参列者の参列姿を撮影した動画ストリームデータである参列ストリームデータを生成する参列ストリームデータ生成部と、受信した動画ストリームデータに基づき動画再生出力を行なう遠隔参列側モニタを備えた複数の遠隔参列端末と、
前記葬儀式ストリームデータの配信先として前記遠隔参列端末を指定し、前記参列ストリームデータの配信先として前記式場用端末を指定するとともに、葬儀進行に合わせてオペレータが手動入力する情報に基づき、前記式場用端末及び前記遠隔参列端末における動画再生出力の制御内容を指令するための動画制御指令情報を生成する動画制御指令情報生成部と、生成された前記動画制御指令情報を前記公共通信網に送出する動画制御指令情報送信部とを備えた葬儀ホスト端末と、
前記式場用端末及び前記遠隔参列端末に対し前記公共通信網を介して双方向通信可能に接続されたクラウド型ビデオ会議サーバとして構成され、前記公共通信網を介して前記式場用端末から前記葬儀式ストリームデータを受信取得する葬儀式ストリームデータ取得部と、前記公共通信網を介して複数の前記遠隔参列端末からそれぞれ前記参列ストリームデータを取得する参列ストリームデータ取得部と、取得した前記葬儀式ストリームデータ及び前記参列ストリームデータを前記葬儀ホスト端末、前記式場用端末及び複数の前記遠隔参列端末へ前記公共通信網を介して送信するストリームデータ送信部と、前記動画制御指令情報を前記葬儀ホスト端末から前記公共通信網を介して取得する動画制御指令情報取得部と、取得した前記動画制御指令情報に基づいて前記式場用端末及び前記遠隔参列端末における動画再生出力形態を規定しつつ、前記ストリームデータ送信部による前記式場用端末及び前記遠隔参列端末への前記葬儀式ストリームデータ及び前記参列ストリームデータの配信制御を行なう配信制御部と、を有するストリーム配信管理サーバと、
が設けられていることを特徴とする遠隔葬儀システム。
【請求項2】
前記葬儀ホスト端末には、複数の前記遠隔参列端末のうち特定の一部のものを参列中端末として順次切り替えつつ設定する参列中端末設定部が設けられるとともに、前記動画制御指令情報生成部は、前記参列中端末として設定された遠隔参列端末からの参列ストリームデータの再生動画が、他の遠隔参列端末からの参列ストリームデータの再生動画よりも強調された強調動画の動画再生出力形態が得られるように前記動画制御指令情報を作成するものである請求項1記載の遠隔葬儀システム。
【請求項3】
前記動画制御指令情報生成部は、前記強調動画の前記式場用モニタ上での表示サイズが、前記他の遠隔参列端末からの前記参列ストリームデータの再生動画の表示サイズよりも大きくなるように前記動画制御指令情報を作成するものである請求項2に記載の遠隔葬儀システム。
【請求項4】
前記ストリーム配信管理サーバは、前記公共通信網に接続されている端末のうち、前記葬儀式ストリームデータの配信を許可する前記遠隔参列端末を、当該端末のノードアドレスと対応付けて遠隔参列端末登録リストとして記憶する参列登録部と、前記参列登録部に登録された端末にのみ、前記葬儀式ストリームデータの配信を前記配信制御部に許可する葬儀式ストリームデータ配信許可部とが設けられ、
前記葬儀ホスト端末には、ホスト側モニタと、前記参列登録部から前記公共通信網を介して前記遠隔参列端末登録リストを取得する遠隔参列端末登録リスト取得部と、取得した前記遠隔参列端末登録リストを前記ホスト側モニタに表示する遠隔参列端末登録リスト表示制御部とが設けられるとともに、前記参列中端末設定部は前記遠隔参列端末登録リストを参照しつつ、オペレータが前記参列中端末を切り替え設定入力するための参列中端末手動切替入力部を備える請求項2又は請求項3に記載の遠隔葬儀システム。
【請求項5】
前記ストリーム配信管理サーバは、前記公共通信網に接続されている端末のうち、前記葬儀式ストリームデータの配信を許可する前記遠隔参列端末を、当該端末のノードアドレスと対応付け遠隔参列端末登録リストとして記憶する参列登録部と、前記参列登録部に登録された端末にのみ、前記葬儀式ストリームデータの配信を前記配信制御部に許可する葬儀式ストリームデータ配信許可部とが設けられ、
前記参列登録部は、前記遠隔参列端末にて入力されるとともに該遠隔参列端末の登録許可に必要となる、予め定められた内容の登録台帳情報が前記遠隔参列端末のノードアドレスと対応付けて記憶されてなり、
前記公共通信網上の端末装置には、前記公共通信網上にて前記ストリーム配信管理サーバが提供する登録受付サイトにアクセスすることにより、前記登録台帳情報の入力及び入力された情報の前記ストリーム配信管理サーバへの送信を行なう登録台帳情報入力送信部が設けられ、
前記ストリーム配信管理サーバは、前記端末装置から受信した前記登録台帳情報を該端末装置のノードアドレスと対応付けて前記参列登録部に登録する参列登録制御部を有する請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の遠隔葬儀システム。
【請求項6】
葬儀連絡対象者の特定情報と前記葬儀連絡対象者の電子メールアドレスとを対応付けて葬儀連絡対象者リストとして記憶する葬儀連絡対象者リスト記憶部と、前記登録受付サイトへのアクセスURLリンクが文面に組み込まれた電子メールファイルを作成する電子メールデータ作成部と、前記葬儀連絡対象者リスト記憶部から前記葬儀連絡対象者の電子メールアドレスを読み出すとともに、読み出した前記電子メールアドレスを宛先として前記電子メールファイルを葬儀連絡メールとして前記公共通信網を介し送信する葬儀連絡メール送信部と、を有した葬儀連絡サーバが設けられ、
前記葬儀連絡メールを受信した前記端末装置は、該葬儀連絡メールに組み込まれた前記アクセスURLリンクを用いて前記登録受付サイトにアクセス可能とされている請求項5記載の遠隔葬儀システム。
【請求項7】
前記葬儀連絡対象者リスト記憶部は、檀家の構成員情報と、檀家固有の葬儀連絡対象者の特定情報とを互いに対応付けた檀家別葬儀連絡対象者リストを、檀家特定情報と対応付けて記憶するものであり、
前記葬儀連絡メール送信部は、逝去者が構成員に含まれる檀家に対応付けられた前記檀家別葬儀連絡対象者リストを前記葬儀連絡対象者リスト記憶部から読み出し、当該檀家別葬儀連絡対象者リストに含まれる電子メールアドレスに前記葬儀連絡メールを同報送信するものである請求項6記載の遠隔葬儀システム。
【請求項8】
前記ストリーム配信管理サーバの前記参列登録部に登録されている前記登録台帳情報には、登録されている前記遠隔参列端末からの遠隔参列者の名前及び住所が含まれており、
前記ストリーム配信管理サーバから前記遠隔参列者の名前及び住所を配送先情報として取得する配送先情報取得部と、前記公共通信網上に設けられた謝礼品受注端末に対し、前記配送先情報を含む謝礼品発注情報を送信する謝礼品発注情報送信部とを備えた謝礼品発注端末が設けられている請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の遠隔葬儀システム。
【請求項9】
前記葬儀ホスト端末が前記謝礼品発注端末に兼用されている請求項8記載の遠隔葬儀システム。
【請求項10】
前記ストリーム配信管理サーバの前記参列登録部に登録されている前記登録台帳情報には、登録されている前記遠隔参列端末からの遠隔参列者によるお供え物件の有無に関する情報が含まれており、
前記配送先情報取得部は、前記登録台帳情報から前記お供え物件がありとなっている遠隔参列者を特別謝礼品の配送対象者として抽出する特別謝礼品配送対象者抽出部を備え、前記謝礼品発注情報送信部は、前記特別謝礼品の配送対象者についてのみ特別謝礼品発注情報を前記謝礼品受注端末に送信するものである請求項8又は請求項9に記載の遠隔葬儀システム。
【請求項11】
前記ストリーム配信管理サーバの前記参列登録部に登録されている前記登録台帳情報には、登録されている前記遠隔参列端末からの遠隔参列者の人数が含まれており、
謝礼品が仕出し料理であり、前記謝礼品発注情報は前記遠隔参列者の人数に応じて定められる前記仕出し料理の発注数を含むものである請求項8ないし請求項10のいずれか1項に記載の遠隔葬儀システム。
【請求項12】
前記謝礼品発注情報は、葬儀式の開催日と同一日付に設定された前記仕出し料理の配送指定日時の情報を含む請求項11記載の遠隔葬儀システム。
【請求項13】
前記葬儀ホスト端末には、前記葬儀式の開催日時を含む葬儀スケジュール情報を入力する葬儀スケジュール情報入力部と、入力された前記葬儀スケジュール情報を前記ストリーム配信管理サーバに送信する葬儀スケジュール情報送信部とが設けられ、
前記ストリーム配信管理サーバには、前記葬儀ホスト端末から受信した前記葬儀スケジュール情報を前記葬儀ホスト端末の特定情報と対応付けて登録する葬儀スケジュール情報登録部が設けられ、
前記謝礼品発注端末には、前記ストリーム配信管理サーバから前記葬儀スケジュール情報を直接的または間接的に取得する葬儀スケジュール情報取得部と、取得した前記葬儀スケジュール情報に基づいて前記仕出し料理の配送指定日時の情報を自動生成する配送指定日時情報生成部とが設けられている請求項12記載の遠隔葬儀システム。
【請求項14】
前記謝礼品受注端末をなす料理受注端末は、前記仕出し料理を調理して顧客に配送可能な複数の料理店舗の店名、所在地及び各料理店舗に置かれた店舗端末のノード特定情報を互いに対応付けて記憶した店舗リスト記憶部と、前記謝礼品発注情報に含まれる前記遠隔参列者の住所に対し最寄りとなる料理店舗を前記店舗リスト記憶部にて検索する最寄り料理店舗検索部と、検索された料理店舗の店舗端末に対し、前記仕出し料理の発注個数、配送指定日時、住所及び配送先宛名をなす前記遠隔参列者の名前を含む配達指示情報を送信する配達指示情報送信部とを備える請求項13記載の遠隔葬儀システム。
【請求項15】
前記公共通信網を介して接続された複数のコンピュータを、請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の遠隔葬儀システムを構成する各構成部として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項16】
請求項14に記載の遠隔葬儀システムに使用される仕出し料理の調理・配達方法であって、
前記仕出し料理を前記料理店舗に設置の冷凍庫に冷凍状態にてストックする工程と、
前記配達指示情報を受けた前記料理店舗において、冷凍状態の前記仕出し料理を発注個数分だけ前記冷凍庫から取り出し、スチームコンベクション装置にセットする工程と、
前記スチームコンベクション装置にて前記仕出し料理を蒸気解凍調理する工程と、
解凍調理後の前記仕出し料理を前記配達指示情報に含まれる住所へ運搬・配達する工程と、
を備えたことを特徴とする仕出し料理の調理・配達方法。
【請求項17】
前記仕出し料理は、1人前が弁当形態に個包装された状態で前記冷凍庫に冷凍されている請求項16記載の仕出し料理の調理・配達方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、インターネット等の公共通信網を介して参列可能な遠隔葬儀システムと、それに用いるコンピュータプログラム及び前記遠隔葬儀システムを利用した仕出し料理の調理・配達方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット等の通信ネットワークの普及に伴い、葬儀が行われる場所から遠く離れて住まいする人や、時間の都合等で通夜や葬儀に参加できない人についても、通信ネットワーク上にて仮想的に葬儀に参加できるようにするシステムが多数提案されている。特に、コロナウィルス感染症の流行に代表されるごとく、広域にて病気感染のリスクがあり、密な集会を回避しなければならない状況が不可避的に発生しているような状況下では、葬儀を営みたくても対外的な参列自体が憚られることにもなる。さらに、体力的な問題により遠方からの長時間の参列が難しくなる高齢者の数も、ますます多くなる傾向にある。よって、今後、こうした遠隔葬儀参列に対する需要が大いに高まることが予測される。
【0003】
特許文献2~6には、葬儀会場に置かれたカメラにより葬儀会場内の様子、例えば故人を祀った祭壇や遺影、読経する僧侶や親族、焼香する実参列者などを撮影し、その映像を、葬儀会場に設置されたホストから通信ネットワークを介して遠隔端末に送り、該端末のモニタに表示される映像に向け、遠隔参列者をお参りさせるシステムが開示されている。しかし、これらの葬儀システムの構成では、遠隔参列者側の映像が葬儀会場側に配信されるようになっておらず、会場に実参列している親族等に遠隔参列者の弔意が伝わりにくい問題がある。
【0004】
そこで、特許文献1には、葬儀式視聴覚情報の取得手段(カメラ及びマイク)を備えたWWWサーバを葬儀式のメイン会場に設置するとともに、遠隔地にあるサブ会場あるいは個人宅に設置されたクライアント端末とインターネットで接続し、WWWサーバからの葬儀式視聴覚情報をクライアント端末に配信するようにした葬儀方法(システム)が開示されている。このシステムにおいては、クライアント端末にも視聴覚情報の取得手段が設けられ、サブ会場あるいは個人宅の参列者の視聴覚情報もまたインターネット上で共有され、メイン会場のモニタにも映し出されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-117987号公報
【特許文献2】特開2001-229297号公報
【特許文献3】特開2001-331593号公報
【特許文献4】特開2002-132983号公報
【特許文献5】特開2005-108173号公報
【特許文献6】特許3300338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の構成では、映像をインターネット上に配信するためのWWWサーバが葬儀のメイン会場に置かれ、メイン会場の映像と、クライアント端末で撮影された遠隔参列者の映像とは、WWWサーバが決定するスケジュールに従い配信されることとなる。しかし、特許文献1には、サブ会場や個人の遠隔参列者とメイン会場の参列者との一体感をよりリアルに創出するための映像配信制御形態が考慮されていない問題がある。例えば、一般的な葬儀式にあっては、各参列者の参列タイミングは、メイン会場側の司会者等による式進行に従い誘導的に決定される。しかし、特許文献1には、「第1式場がメイン式場となり、インターネット上には、第2式場及び第3式場の画像と音声を挟みながら、主に第1式場の画像と音声が公開されるようになっている」と開示されているのみであり、式進行に合わせたきめ細かい映像配信制御がなされているとはいいがたい。
【0007】
また、特許文献1には、遠隔参列者の映像については、「第2式場及び第3式場ともに配信機器が設置され、配信機器によって取り込まれた視聴覚情報は、それぞれパソコンに組み込まれた転送用プログラムにより、インターネットを通じてWWWサーバに転送されて電子的に書き込まれて公開されるようになっている」とも記載されている。これは遠隔参列者側らの映像転送制御は、遠隔参列者側に配備された端末(パソコン)のプログラム制御により行われることを意味する。しかし、遠隔参列者側のパソコン操作で映像をメイン会場のサーバに転送する、といった方式は遠隔参列者への負担が大きく、司会者の案内に従って受動的に参列を行なう一般的な葬儀には馴染まないと言える。
【0008】
また、映像配信用のWWWサーバは複数系統の映像のストリーミング制御を行なう必要があるので、ハイスペックのコンピュータハードウェアを用意しなければならない。特許文献1においては、遠隔参列者側の端末に映像配信する高価なWWWサーバが葬儀会場ごとに必要な点も問題である。
【0009】
本発明の課題は、葬儀式場側の映像と遠隔参列者側の映像との相互配信処理を、葬儀会場にて式進行を司るオペレータにより簡単に制御することができ、かつ、葬儀会場ごとにハイスペックな映像配信サーバを設置する必要のない遠隔葬儀システムと、それに用いるコンピュータプログラム及び前記遠隔葬儀システムを利用した仕出し料理の調理・配達方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の遠隔葬儀システムは、以下の要件を備えたことを特徴とする。
・式場用端末:公共通信網を介して動画ストリームデータを送受信する送受信部と、葬儀式場側に設置されたカメラの撮影情報に基づき、葬儀式場における葬儀進行模様を撮影した動画ストリームデータである葬儀式ストリームデータを生成する葬儀式ストリームデータ生成部と、葬儀式場内の実参列者から視認可能な位置に設置され、受信した動画ストリームデータに基づき動画の再生出力を行なう式場用モニタを備える。
・複数の遠隔参列端末:公共通信網を介して動画ストリームデータを送受信する送受信部と、遠隔参列者側に設置されたカメラからの撮影入力に基づき、遠隔参列者の参列姿を撮影した動画ストリームデータである参列ストリームデータを生成する参列ストリームデータ生成部と、受信した動画ストリームデータに基づき動画再生出力を行なう遠隔参列側モニタをそれぞれ備える。
・葬儀ホスト端末:葬儀式ストリームデータの配信先として遠隔参列端末を指定し、参列ストリームデータの配信先として式場用端末を指定するとともに、葬儀進行に合わせてオペレータが手動入力する情報に基づき、式場用端末及び遠隔参列端末における動画再生出力形態を特定する動画制御指令情報を生成する動画制御指令情報生成部と、生成された動画制御指令情報を公共通信網に送出する動画制御指令情報送信部とを備える。
・ストリーム配信管理サーバ:式場用端末及び遠隔参列端末に対し公共通信網を介して双方向通信可能に接続されたクラウド型ビデオ会議サーバとして構成され、公共通信網を介して式場用端末から葬儀式ストリームデータを受信取得する葬儀式ストリームデータ取得部と、公共通信網を介して複数の遠隔参列端末からそれぞれ参列ストリームデータを取得する参列ストリームデータ取得部と、取得した葬儀式ストリームデータ及び参列ストリームデータを葬儀ホスト端末、式場用端末及び複数の遠隔参列端末へ公共通信網を介して送信するストリームデータ送信部と、動画制御指令情報を葬儀ホスト端末から公共通信網を介して取得する動画制御指令情報取得部と、取得した動画制御指令情報に基づいて式場用端末及び遠隔参列端末における動画再生出力形態を規定しつつ、ストリームデータ送信部による式場用端末及び遠隔参列端末への葬儀式ストリームデータ及び参列ストリームデータの配信制御を行なう配信制御部とを備える。
【0011】
また、本発明のコンピュータプログラムは、公共通信網を介して接続された複数のコンピュータを、上記本発明の遠隔葬儀システムを構成する各構成部として機能させることを特徴とする。なお、本発明において「葬儀式」とは、逝去者を偲ぶ参列行事全般を意味する概念とし、例えば仏式であれば、通夜式及び告別式の他、法事や有志で営まれるお別れ会なども広義に含むものである。
【0012】
上記本発明によると、葬儀映像のストリーミング配信管理を行なうサーバ(ストリーム配信管理サーバ)として、公共通信網上に構築されたクラウド型ビデオ会議サーバを利用する。遠隔参列者側の映像は、遠隔参列端末にてカメラにより撮影取得される。そして、本発明においては、葬儀式場の映像は、特許文献1のような式場に設置されるWWWサーバではなく、別途設けられる式場用端末にてカメラにより撮影取得される。取得された各映像は、公共通信網を介してストリーム配信管理サーバに一旦集約される。
【0013】
この配信制御行なうために、本発明においては、式場用端末及び遠隔参列端末とは別に葬儀ホスト端末を設ける。葬儀ホスト端末は、葬儀進行に合わせてオペレータが手動入力する情報に基づき、式場用端末及び遠隔参列端末における動画再生出力形態を特定する動画制御指令情報を生成し、公共通信網に送出する。遠隔参列による葬儀式を成立させるために、葬儀式ストリームデータは遠隔参列端末に、参列ストリームデータは式場用端末に、それぞれ配信する必要がある。よって、この動画制御指令情報は、葬儀式ストリームデータの配信先として遠隔参列端末を指定し、参列ストリームデータの配信先として式場用端末を指定する内容を含む。
【0014】
そして、ストリーム配信管理サーバは、葬儀進行に合わせてオペレータが手動入力する情報に基づき葬儀ホスト端末にて生成される動画制御指令情報に基づき、動画再生出力形態を式進行に合わせて細かく制御することができ、遠隔参列者と葬儀式場の実参列者との一体感をよりリアルに創出することができる。また、ストリーム配信管理サーバはクラウド型ビデオ会議サーバとして構成されるから、葬儀会場ごとに高価な映像配信サーバを設置する必要がなくなる。
【0015】
さらに、特許文献1では式場用モニタがWWWサーバに接続されており、遠隔参列者の映像再生制御もWWWサーバが担うことになるが、この方式ではWWWサーバ側の映像配信制御上の事情により、式場用モニタへの映像表示形態には様々な制約が生じる可能性がある。例えば映像配信制御用の管理画面をWWWサーバ側で表示させようとしたとき、葬儀式進行中にこの管理画面が式場用モニタに表示されるなどの不手際を招来するリスクもあり得る。しかし、本発明では、式場用モニタへの映像表示は、ストリーム配信管理サーバとは別に設けられた式場用端末が担い、その映像表示形態も葬儀ホスト端末からの動画制御指令情報に従い、式進行中にふさわしい形態にカスタマイズすることも容易であり、上記のような不具合を生ずることがない。
【0016】
以下、本発明に付加可能な種々の構成について説明する。
式場用端末(式場用モニタ)及び遠隔参列端末(遠隔参列側モニタ)には、映像配信元となるこれら端末からのすべての映像を、モニタ画面分割により同時に表示するようにしてもよいが、遠隔参列者の数が増えた場合、式場用モニタに表示される遠隔参列端末の表示映像数も増えるので、現在どの遠隔参列者が参列中であるかを式場用モニタ上で把握することが難しくなることがある。この場合、次のように構成しておくとよい。
【0017】
まず、葬儀ホスト端末には、複数の遠隔参列端末のうち特定の一部のものを参列中端末として順次切り替えつつ設定する参列中端末設定部を設けることができる。参列中端末をオペレータが順次切り替えることで、遠隔参列者であっても、葬儀会場において実参列者とともに故人に対し順次お参りする感覚をより共有しやすくなる。また、式場用モニタには、参列中端末からの遠隔参列者の映像が、オペレータの操作に従い順次切り替えて表示されるので、葬儀式会場の親族等は、式場用モニタの映像を通じて、遠方の知己が故人に順番にお参りしてくれている喜びを享受できる。
【0018】
また、動画制御指令情報生成部は、参列中端末として設定された遠隔参列端末からの参列ストリームデータの再生動画が、残余の遠隔参列端末からの参列ストリームデータの再生動画よりも強調された強調動画の動画再生出力形態が得られるように動画制御指令情報を作成するように構成できる。これにより、参列中端末からの動画映像が式場用モニタ上にて強調表示され、現在どの遠隔参列者が参列中であるかを、葬儀式場側の実参列者は容易に把握できる。
【0019】
具体的には、動画制御指令情報生成部は、式場用モニタ上での強調動画の表示サイズが、他の遠隔参列端末からの参列ストリームデータの再生動画の表示サイズよりも大きくなるように動画制御指令情報を作成するよう構成できる。参列中端末からの遠隔参列者の動画映像が大きく表示されることで、葬儀式場側の実参列者は、遠隔参列者の哀悼の動作や表情等もより把握しやすくなる。なお、動画制御指令情報は、式場用端末(式場用モニタ)において強調動画以外の映像の表示が禁止されるように内容が定められていてもよい(この場合、表示される動画が1つとなることもありえ、これも広義に「強調動画」の概念に属するものと考えることができる)。
【0020】
ストリーム配信管理サーバは、公共通信網に接続されている端末のうち、葬儀式ストリームデータの配信を許可するものを遠隔参列端末として、当該端末のノードアドレスと対応付けて遠隔参列端末登録リストとして記憶する参列登録部と、参列登録部に登録された端末にのみ、葬儀式ストリームデータの配信を配信制御部に許可する葬儀式ストリームデータ配信許可部とを設けることができる。これにより、葬儀の映像が非登録の端末に誤って配信されてしまう不具合を防止することができる。
【0021】
この場合、葬儀ホスト端末には、ホスト側モニタと、参列登録部から公共通信網を介して遠隔参列端末登録リストを取得する遠隔参列端末登録リスト取得部と、取得した遠隔参列端末登録リストをホスト側モニタに表示する遠隔参列端末登録リスト表示制御部とが設けられるとともに、参列中端末設定部は遠隔参列端末登録リストを参照しつつ、オペレータが参列中端末を切り替え設定入力するための参列中端末手動切替入力部を備えるものとして構成できる。この構成により、葬儀ホスト端末のオペレータは、事前に登録された遠隔参列者の遠隔参列端末登録リスト(遠隔参列端末登録リスト)をホスト側モニタ上で確認でき、その遠隔参列端末登録リストを参照しながら参列中端末の切り替え操作を順に実行することができる。これにより、オペレータは、遠隔参列端末登録リスト上の遠隔参列者を、通常の葬儀と全く同様の感覚で順次参列に案内することができる。
【0022】
上記の参列登録部には、遠隔参列端末にて入力されるとともに該遠隔参列端末の登録許可に必要となる、予め定められた内容の登録台帳情報を遠隔参列端末のノードアドレスと対応付けて記憶しておくことができる。この場合、公共通信網上の端末装置には、公共通信網上にてストリーム配信管理サーバが提供する登録受付サイトにアクセスすることにより、登録台帳情報の入力及び入力された情報のストリーム配信管理サーバへの送信を行なう登録台帳情報入力送信部を設けておく。そして、ストリーム配信管理サーバは、端末装置から受信した登録台帳情報を該端末装置のノードアドレスと対応付けて参列登録部に登録する参列登録制御部を有するものとして構成できる。この構成は、一般葬儀式における実参列者の受付を遠隔参列者に置き換えてコンピュータシステム化したものに相当する。これを利用することで、ストリーム配信管理サーバにおける遠隔参列者の登録に際して必要な登録台帳情報を、ストリーム配信管理サーバ側にて、公共通信網上の端末装置(登録後は遠隔参列端末として機能しうる)を経由して通信により効率的に収集することが可能となる。なお、登録台帳情報は、例えば、葬儀式前後におい喪主が遠隔参列者に対して行なう儀礼対応に必要な個人情報(氏名、住所、電話番号、メールアドレスなど)を含む情報である。
【0023】
また、本発明の遠隔葬儀システムにおいては、葬儀連絡対象者の特定情報と葬儀連絡対象者の電子メールアドレスとを対応付けて葬儀連絡対象者リストとして記憶する葬儀連絡対象者リスト記憶部と、登録受付サイトへのアクセスURLリンクが文面に組み込まれた電子メールファイルを作成する電子メールデータ作成部と、葬儀連絡対象者リスト記憶部から葬儀連絡対象者の電子メールアドレスを読み出すとともに、読み出した電子メールアドレスを宛先として電子メールファイルを葬儀連絡メールとして公共通信網を介し送信する葬儀連絡メール送信部と、を有した葬儀連絡サーバを設けることができる。葬儀連絡メールを受信した端末装置は、該葬儀連絡メールに組み込まれたアクセスURLリンクを用いて登録受付サイトにアクセス可能に構成される。なお、葬儀連絡サーバと葬儀ホスト端末とはコンピュータハードウェアが共用化されたものであってもよい。
【0024】
逝去者が生じたとき、遺族等は葬儀参列の可能性がある人々に速やかに訃報を伝達する必要がある。上記のような葬儀連絡サーバを設け、事前に葬儀連絡対象者リストを記憶しておくことにより、登録受付サイトへのアクセスURLリンクが組み込まれた電子メールファイルに葬儀連絡対象者リストに網羅されている各電子メールアドレスを付与し、葬儀連絡対象者に葬儀連絡メールとして公共通信網を介し送信することができる。これにより、葬儀準備等で立て込んでいるさなかにあって、電話等を通じ多数の関係者へ連絡する作業から親族等を解放することができ、連絡漏れのリスクも減らすことができる。他方、電子メールにより連絡を受け取った葬儀連絡対象者は、メール受信した端末装置にて電子メールを開き、これに組み込まれたURLリンクから前述の登録サイトに簡単にアクセスすることができる。これにより、葬儀連絡対象者を登録台帳情報の入力を含む遠隔参列の情報登録作業にスムーズに誘導することができる。
【0025】
各家で誰かが亡くなった場合は、その日を入れて短ければ当日、遅くとも翌々日には通夜式が営まれ、さらに、早ければ通夜式の翌日、遅くとも翌々日には告別式が営まれることから、親族や近親者にとってのスケジュール進行は文字通り待ったなしとなる。この場合、故人が生前世話になった関係者には、訃報と葬儀の連絡を速やかに、かつもれなく行わなければならないが、その連絡先等の情報については通常は親族等の手元にしかなく、親類縁者や親しい友人などのごく私的なネットワークを通じての電話連絡等に頼らざるを得ない。よって、連絡漏れが当然生じやすくなるし、遠方の関係者には気遣いや遠慮などもあって連絡を控えてしまう、といったことも多々ありえる。
【0026】
ここで、本発明の遠隔葬儀システムの運用は、例えば葬儀会場を提供する寺院やセレモニーホールが主体となってなされることが想定され、上記の葬儀ホスト端末や葬儀連絡サーバもこれらの寺院やセレモニーホールに設置されるシーンが多くなると思われる。日本では、家の宗教が仏教であれば、その家の家族は各宗派の檀家の寺院に所属し、逝去者が発生すると寺院に連絡をして僧侶の派遣や葬儀手配を依頼する。よって、葬儀依頼者と檀家寺院との結びつきは密接であり、高い信頼関係が構築されていることが多い。
【0027】
そこで、上記の葬儀連絡対象者リスト記憶部は、檀家の構成員情報と、檀家固有の葬儀連絡対象者の特定情報とを互いに対応付けた檀家別葬儀連絡対象者リストを、檀家特定情報と対応付けて記憶するものとして構成できる。葬儀連絡メール送信部は、逝去者が構成員に含まれる檀家に対応付けられた檀家別葬儀連絡対象者リストを葬儀連絡対象者リスト記憶部から読み出し、当該檀家別葬儀連絡対象者リストに含まれる電子メールアドレスに葬儀連絡メールを同報送信するものとして構成できる。これにより、訃報を託された寺院やセレモニーホールでは、檀家から事前に託されて葬儀連絡サーバの葬儀連絡対象者リスト記憶部に記憶されている葬儀連絡対象者リストを読み出し、これに含まれる電子メールアドレスに葬儀連絡メールを速やかに同報送信することができる。
【0028】
次に、ストリーム配信管理サーバの参列登録部に登録されている登録台帳情報には、通常、登録されている遠隔参列端末からの遠隔参列者の名前及び住所が含まれることとなる。この場合、本発明の遠隔葬儀システムには、ストリーム配信管理サーバから遠隔参列者の名前及び住所を配送先情報として取得する配送先情報取得部と、公共通信網上に設けられた謝礼品受注端末に対し、配送先情報を含む謝礼品発注情報を送信する謝礼品発注情報送信部とを備えた謝礼品発注端末とを設けておくとよい。この構成によると、遠隔参列者の登録時に登録台帳情報を取得し、これに含まれている名前及び住所の情報を利用することで、会葬御礼や香典返しなどの謝礼品を、遠隔参列者についても滞りなく届けることが可能となる。この場合、葬儀ホスト端末が謝礼品発注端末に兼用されていれば、こうした謝礼品発注作業のさらなる効率化を図ることができる。なお、謝礼品発注端末の配送先情報取得部は、遠隔参列者の名前及び住所を含む配送先情報をストリーム配信管理サーバから直接取得してもよいし、これらの情報を一旦、ストリーム配信管理サーバから葬儀ホスト端末あるいは別途設けられた他の端末装置に転送し、その転送先の端末装置から取得するようにしてもよい。
【0029】
遠隔参列者にも、実参列者と同様に、お供え(香典を概念として含む)を申し出る人と、そうでない人とが含まれる。喪主側としてはお供えの提供のあった人には、会葬御礼等とは別に、特別な謝礼品(香典返し等:以下、「特別謝礼品」という)を送付したい場合がある。一般的な葬儀では、会葬時に受け付けたお供え物件の情報を葬儀の後で親族等が確認し、満中陰等の一連の葬儀関連行事が集結して落ち着いた後で発送等の作業に入るのが通常であるが、参列者が多い場合はその作業が結構負担になることも多い。そこで、本発明の遠隔葬儀システムにおいては、(遠隔参列端末にて入力され)ストリーム配信管理サーバの参列登録部に登録されている登録台帳情報に、登録されている遠隔参列端末からの遠隔参列者によるお供え物件の有無に関する情報が含まれるように構成できる。配送先情報取得部は、登録台帳情報からお供え物件がありとなっている遠隔参列者を特別謝礼品の送対象者として抽出する謝礼品配送対象者抽出部を備え、謝礼品発注情報送信部は、特別謝礼品の配送対象者についてのみ特別謝礼品発注情報を謝礼品受注端末に送信するように構成できる。このように構成しておくと、特別謝礼品発注の要・不要にかかる情報を遠隔参列者の登録時に取得することができる。すなわち、特別謝礼品の発注にかかる作業の要部を自動的にかつ手際よく終わらせることができるので、ひいてはお供えの申し出のあった遠隔参列者に特別謝礼品を速やかに届けることができる。
【0030】
次に、日本の仏式葬儀においては、告別式が終了したあと、遺族を中心に親しい会葬者を交えて食事がふるまわれることがある。例えば、告別式(あるいは法要)の後に出される食事は「精進落とし」と称され、故人への供養と参列者へのお礼やお清めの意味が込められていると言われる。かつては、親族が亡くなった場合に仏教の思想によって精進料理により肉や魚を断ち、四十九日の忌明けに通常の料理に戻す意味合いを込めて出される食事を「精進落とし」と称したが、現在では主に、火葬場から戻った際に、親族やお世話になった方へ酒食をふるまう宴席を「精進落とし」と呼ぶのが一般的になっている。
【0031】
本発明の遠隔葬儀システムにおいては、遠隔参列者に対する謝礼品として、上記の「精進落とし」等に相当する仕出し料理を提供するための機能を組み込むことが可能である。上記のごとく、一般的な葬儀式にあって「精進落とし」がふるまわれるのは、少なくとも告別式が終わった後の、当日の限られた時間帯である。よって、これに代わる仕出し料理を遠隔参列者にふるまう場合も、その配送時刻は「精進落とし」がふるまわれる時刻になるべく近いことが、仏式葬儀の風習の上でも違和感がなく、葬儀参列者への遺族側からの感謝の意も伝わりやすいと言える。
【0032】
ここで、遠隔参列者のための仕出し料理の料理店への発注は、訃報が通知されてからできるだけ速やかになされなければならないし、発注を受けてから実際に遠隔参列者のもとへ料理が配送されるまでの時間も極めて限られている。また、遠隔参列者への料理配送数に過不足が生じることは、礼儀が重んじられる葬儀の一環として絶対に避けたい事情が存在する。本発明の遠隔葬儀システムにおいては、遠隔参列者から登録時に取得する登録台帳情報を利用することで、この問題を効果的に解決することができる。
【0033】
具体的には、ストリーム配信管理サーバの参列登録部に登録されている登録台帳情報に、登録されている遠隔参列端末からの遠隔参列者の人数が含まれるようにしておく。そして、謝礼品が仕出し料理である場合、謝礼品発注情報は遠隔参列者の人数に応じて定められる仕出し料理の発注数を含むものとして定める。仕出し料理の配送先は、登録台帳情報に含まれる住所と氏名により特定できるので、ここに遠隔参列者の人数が加わることで、仕出し料理の発注数を過不足なく定めることが可能となる。そして、これらを含む登録台帳情報は、葬儀式が始まる前に実行される遠隔参列者の登録処理においてもれなく取得できるから、謝礼品受注端末に対する仕出し料理(謝礼品)の発注情報送信も、葬儀式が始まる前に行なうことが容易となる。特に、登録受付サイトへのアクセスURLリンクが組み込まれた前述の葬儀連絡メールを利用する場合は、早ければ通夜式の前に登録台帳情報を取得できるから、仕出し料理(謝礼品)の発注情報送信も、時間的に十分余裕をもって実行できる。
【0034】
また、謝礼品発注情報は、葬儀式の開催日と同一日付に設定された仕出し料理の配送指定日時の情報を含むように定めておくと、遠隔参列者は、葬儀式の当日に仕出し料理の配送を受けることになり、これが「精進落とし」に相当するものであることを直ちに意識することができる。その結果、遺族側から遠隔参列者への感謝の意も一層伝わりやすくなる。
【0035】
この場合、葬儀ホスト端末には、葬儀式の開催日時を含む葬儀スケジュール情報を入力する葬儀スケジュール情報入力部と、入力された葬儀スケジュール情報をストリーム配信管理サーバに送信する葬儀スケジュール情報送信部とを設けることができる。また、ストリーム配信管理サーバには、葬儀ホスト端末から受信した葬儀スケジュール情報を葬儀ホスト端末の特定情報と対応付けて登録する葬儀スケジュール情報登録部を設けることができる。さらに、謝礼品発注端末には、ストリーム配信管理サーバから葬儀スケジュール情報を直接的または間接的に取得する葬儀スケジュール情報取得部と、取得した葬儀スケジュール情報に基づいて仕出し料理の配送指定日時の情報を自動生成する配送指定日時情報生成部とを設けることができる。葬儀ホスト端末からストリーム配信管理サーバを経て葬儀スケジュール情報が謝礼品発注端末で取得されるように構成し、謝礼品発注端末側にて仕出し料理の配送指定日時の情報を自動生成するように構成することで、遠隔参列者への仕出し料理の配送時刻をより容易に、かつ適正に管理することができる。
【0036】
遠隔参列者への仕出し料理の配送については、上記のごとく発注から配送完了までの時間的制約が非常に大きい問題がある。そして、その配送先となる遠隔参列者の住所は、当然、葬儀式の所在地から離れているばかりでなく、その地域も大きく散在していることが多い。これに対応するには、謝礼品受注端末をなす料理受注端末を、次のような要件を具備するように構成することが有効である。
・店舗リスト記憶部:仕出し料理を調理して顧客に配送可能な複数の料理店舗の店名、所在地及び各料理店舗に置かれた店舗端末のノード特定情報を互いに対応付けて記憶する。
・最寄り料理店舗検索部:謝礼品発注情報に含まれる遠隔参列者の住所に対し最寄りとなる料理店舗を店舗リスト記憶部にて検索する。
・配達指示情報送信部:検索された料理店舗の店舗端末に対し、仕出し料理の発注個数、配送指定日時、住所及び配送先宛名をなす遠隔参列者の名前を含む配達指示情報を送信する。
【0037】
上記の構成によると、料理受注端末が謝礼品発注情報を受信すると、これに含まれる遠隔参列者の住所に最寄りの料理店舗を店舗リスト上で検索し、検索された料理店舗の店舗端末に配達指示情報が送信される。よって、遠隔参列者の所在地が分散している場合でも、最寄りの店舗に速やかに仕出し料理の発注が送信され、調理・配送がなされるので、葬儀特有の時間的制約が大きい状況下にあっても料理を各遠隔参列者に余裕をもって、かつタイムリーに配送することができる
【0038】
また、本発明の仕出し料理の調理・配達方法は、上記構成の本発明の遠隔葬儀システムに使用されるものであって、仕出し料理を料理店舗に設置の冷凍庫に冷凍状態にてストックする工程と、配達指示情報を受けた料理店舗において、冷凍状態の仕出し料理を発注個数分だけ冷凍庫から取り出し、スチームコンベクション装置にセットする工程と、スチームコンベクション装置にて仕出し料理を蒸気解凍調理する工程と、解凍調理後の仕出し料理を配達指示情報に含まれる住所へ運搬・配達する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0039】
「精進上げ」に代表される葬儀用の仕出し料理は、参列者への感謝や労いの意味を込めたもてなし用の料理であり、懐石料理など品数も多く、調理法にも手の込んだものが用いられることが多い。しかし、発注を受けてから配送までの、上記「葬儀特有の時間的制約」に鑑みるとき、一品ずつ一から調理する方式では対応不能なことも多い。また、葬儀スケジュールから逆算して得られる、同一店舗において調理に割ける総時間が、配送する仕出し料理の発注個数とは無関係にほぼ固定されていることも、それ以上に大きな問題の一つであるといえる。特に、同じ店舗の近隣に、料理配送の対象となる遠隔参列者が広域にわたって多数散在している場合、全ての仕出し料理を適正刻限までに調理完了し、滞りなく配送することは、旧来の方式では絶望的に近いと言える。
【0040】
上記本発明の調理・配達方法によれば、仕出し料理を料理店舗ごとに冷凍ストックしておき、発注個数分だけ冷凍庫から取り出し、スチームコンベクション装置で解凍して配達に供する。この方式であれば、手の込んだ料理であっても、工場等で大量に一括調理し冷凍保管することができる。そして、スチームコンベクション装置の使用により、複数人数分の料理も一回のバッチで、例えば10~20分程度で高品質に解凍処理できるので、葬儀特有の時間的制約の問題を容易にクリアでき、料理発注数が増えた場合においても容易に対応可能である。また、工場等で同一内容の冷凍仕出し料理を用意し、各店舗に配置しておくようにすれば、店舗が異なる場合にあっても、内容や品質の揃った仕出し料理を各遠隔参列者に一様に配送することができる。これにより、遠隔参列者は揃って同じ仕出し料理を食することができ、遠隔参列者を交えた葬儀の締めくくりの時間を一層有意義に共有することができる。なお、仕出し料理は、例えば、1人前が弁当形態に個包装された状態で冷凍庫に冷凍しておくようにすると、解凍処理がより簡略化でき、複数人数分の処理を一度に回答する場合も効率的となる。また、料理容器がかさばらないので、配送作業も容易である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の遠隔葬儀システムの全体構成を示すブロック図。
図2】遠隔参列端末及び式場用端末の詳細を示すブロック図。
図3】式場用モニタの設置状態を示す図。
図4】葬儀連絡サーバの詳細を示すブロック図。
図5】ストリーム配信管理サーバの詳細を示すブロック図。
図6】葬儀ホスト端末の詳細を示すブロック図。
図7】料理受注端末の詳細を示すブロック図。
図8】店舗端末の詳細を示すブロック図。
図9】葬儀スケジュール登録処理の流れを示すシーケンス図。
図10】葬儀ホスト端末における葬儀スケジュール設定画面の一例を示す図。
図11】葬儀ホスト端末における参列登録の第一の設定画面を示す図。
図12】葬儀ホスト端末における参列登録の第二の設定画面を示す図。
図13】葬儀ホスト端末における参列登録の第三の設定画面を示す図。
図14】葬儀ホスト端末における参列登録の第四の設定画面を示す図。
図15】葬儀連絡メール作成及び送信処理の流れを示すシーケンス図。
図16】檀家リストデータ記憶部の内容を概念的に示す図。
図17】葬儀連絡対象者リスト記憶部の内容を概念的に示す図。
図18】葬儀連絡メールの内容の一例を示す図。
図19】葬儀スケジュール情報登録部の内容を概念的に示す図。
図20】参列登録処理の流れを示すシーケンス図。
図21】遠隔参列者登録リストの内容の一例を示す図。
図22】遠隔参列端末における参列登録画面の一例を示す図。
図23】葬儀ホスト端末における遠隔参列端末登録リストの表示画面の一例を示す図。
図24】動画配信処理の流れを示す第一のシーケンス図。
図25】葬儀開始案内メールの内容の一例を示す図。
図26】葬儀ホスト端末の映像表示画面の第一例を示す図。
図27】式場用端末の映像表示画面の第一例を示す図。
図28】遠隔参列端末の映像表示画面の第一例を示す図。
図29】遠隔参列端末の映像表示画面の第二例を示す図。
図30】動画配信処理の流れを示す第二のシーケンス図。
図31】動画配信処理の流れを示す第三のシーケンス図。
図32】葬儀ホスト端末の映像表示画面の第二例を示す図。
図33】式場用端末及び各遠隔参列端末の映像表示画面の第二例を示す図。
図34】動画配信処理の流れを示す第四のシーケンス図。
図35】仕出し料理発注処理の流れを示すシーケンス図。
図36】配達指示情報の一例を概念的に示す図。
図37】店舗リストの一例を概念的に示す図。
図38】仕出し料理の発注情報の一例を示す概念図。
図39】仕出し料理の調理工程の一例を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態を添付の図面に基づき説明する(なお、説明の便宜上使用する人名は全て架空のものであり、実在の人物とは一切関係がない)。
図1は本発明の遠隔葬儀システムの一実施形態を示す全体ブロック図である。遠隔葬儀システム1は、葬儀式場に配置される式場用端末2’、各地の遠隔参列者の所在場所(例えば参列者の自宅など)に配置される遠隔参列端末2、葬儀式場に配置される葬儀ホスト端末3、クラウド型ビデオ会議サーバとして構成されたストリーム配信管理サーバ5、葬儀連絡サーバ4、料理受注端末6、各地の仕出し料理店舗に配置される店舗端末7及び無線基地局20等が、公共通信網をなすインターネット8により接続されたものである。式場用端末2’には式場用モニタ210’が接続されている。また、遠隔参列端末2には参列側モニタ210が、葬儀ホスト端末3にはホスト側モニタ310がそれぞれ接続されている。さらに、遠隔参列者の一部が所持するスマートフォンやタブレット端末などの無線通信携帯端末15が、無線基地局20及びインターネット8を介して遠隔葬儀システム1にアクセス可能となっている。
【0043】
図2は、遠隔参列端末2の詳細を示すブロック図である。なお、式場用端末2’も遠隔参列端末2とほぼ同一の電気的構成を有しているので、遠隔参列端末2の説明を先に行い、式場用端末2’についてはその相違点についてのみ説明する。遠隔参列端末2は処理主体としてのマイコン200を有する。マイコン200はCPU201、RAM202、ROM203及び入出力部204がバス206により接続されたものである。また、バス206には大容量記憶部としてのHDD(ハードディスクドライブ)205が接続される。HDD205には、CPU201がRAM202をワークエリア202aとして実行するソフトウェアとして、インターネットブラウザソフト205a、ビデオ会議アプリケーション205b及びメーラーソフト205c等がインストールされている。また、入出力部204には、モニタ210(210’)、キーボード、マウスあるいはタッチパネル等で構成された入力部211、遠隔参列者を撮影するカメラ212及びその音声を取得するマイク213、スピーカ214が接続されている。また、入出力部204には遠隔参列端末2をインターネット8に接続するためのルータ207が接続されている。
【0044】
ここで、ルータ207は、インターネット(公共通信網)8を介して動画ストリームデータを送受信する送受信部の役割をなす。ビデオ会議アプリケーション205bは、遠隔参列者側に設置されたカメラからの撮影入力に基づき、遠隔参列者の参列姿を撮影した動画ストリームデータである参列ストリームデータを生成する参列ストリームデータ生成部の機能を実現する。
【0045】
なお、式場用端末2’においては、ビデオ会議アプリケーション205bは、葬儀式場側に設置されたカメラ212の撮影情報に基づき、葬儀式場における葬儀進行模様を撮影した動画ストリームデータである葬儀式ストリームデータを生成する葬儀式ストリームデータ生成部の機能を実現する。図3に示すように、式場用モニタ210’は葬儀式場内の実参列者WPから視認可能な位置に設置され、受信した動画ストリームデータに基づき動画の再生出力を行なう。本実施形態では、実参列者WPの前方に設置された祭壇SHの側方に式場用モニタ210’が設置されており、特に実参列者WPのうち、祭壇SHの近くに着座する前列の親族から、式場用モニタ210’に映し出される遠隔参列者RPの映像を視認しやすくなっている。また、カメラ212は、例えば図28に示すように、葬儀式場に設置された祭壇SH、遺影DP及び読経する僧侶MKを撮影するように設置アングルが定められている。
【0046】
図6は、葬儀ホスト端末3の詳細を示すブロック図である。葬儀ホスト端末3は処理主体としてのマイコン300を有する。マイコン300はCPU301、RAM302、ROM303及び入出力部304がバス306により接続されたものである。また、バス306には大容量記憶部としてのHDD(ハードディスクドライブ)305が接続される。HDD305には、CPU301がRAM302をワークエリア302aとして実行するソフトウェアとして、インターネットブラウザソフト305a、ビデオ会議アプリケーション305b、メーラーソフト305c及び料理発注プログラム305d等がインストールされている。また、HDD305には、葬儀連絡対象者リスト記憶部305eが形成されている。さらに、入出力部304には、ホスト側モニタ310、キーボード、マウスあるいはタッチパネル等で構成された入力部311、カメラ312及びマイク313、スピーカ314が接続されている。また、入出力部304には葬儀ホスト端末3をインターネット8に接続するためのルータ307が接続されている。
【0047】
葬儀ホスト端末3は、例えば、遠隔葬儀の司会者等であるオペレータによって操作されるものであり、カメラ312及びマイク313はオペレータの映像及び音声を取得するためのものである。なお、カメラ312及びマイク313を葬儀式場の映像及び音声を取得するものとしてこれらを式場内に設置することで、葬儀ホスト端末3を式場用端末に兼用させる態様も、本発明の概念に属する。
【0048】
葬儀ホスト端末3においてビデオ会議アプリケーション305bは、葬儀式ストリームデータの配信先として遠隔参列端末2を指定し、参列ストリームデータの配信先として式場用端末2’を指定するとともに、葬儀進行に合わせてオペレータが入力部311を用いて手動入力する情報に基づき、式場用端末2’及び遠隔参列端末2における動画再生出力の制御内容を指令するための動画制御指令情報を生成する動画制御指令情報生成部の機能を実現するものである。オペレータが入力部311から行なう情報入力は、例えばホスト側モニタ310に表示される入力インターフェース画面を参照して行なうものであり、入力インターフェースとしてGUI(Graphical User Interface)が採用される場合は、画面上に表示されるダイアログボックスへのテキスト入力、マウスによるチェックボックスの選択、あるいはソフトボタンのクリックなどの複数種の基本入力動作の1種以上の組み合わせにて実行される。
【0049】
また、料理発注プログラム305dは、ルータ307と連携し、ストリーム配信管理サーバ5の参列登録部505bに登録されている情報のうち、遠隔参列者の名前及び住所を配送先情報として取得する配送先情報取得部と、インターネット(公共通信網)8上に設けられた謝礼品受注端末6に対し、上記配送先情報を含む謝礼品発注情報を送信する謝礼品発注情報送信部の機能を実現する。すなわち、葬儀ホスト端末3は、謝礼品発注端末に兼用されている。なお、当該謝礼品発注端末は、葬儀ホスト端末3とは独立した端末装置として別途設けてもよい。
【0050】
図4は、葬儀連絡サーバ4の詳細を示すブロック図である。葬儀連絡サーバ4は処理主体としてのマイコン400を有する。マイコン400はCPU401、RAM402、ROM403及び入出力部404がバス406により接続されたものである。また、バス406には大容量記憶部としてのHDD(ハードディスクドライブ)405が接続される。HDD405には、CPU401がRAM402をワークエリアとして実行するソフトウェアとして、檀家管理プログラム405a及びメーラーソフト405c等がインストールされている。また、HDD405には、檀家リストデータ記憶部405d及び葬儀連絡対象者リスト記憶部405eが形成されている。さらに、入出力部404には、モニタ410、キーボード、マウスあるいはタッチパネル等で構成された入力部411が接続されている。また、入出力部404には葬儀連絡サーバ4をインターネット8に接続するためのルータ407が接続されている。
【0051】
葬儀連絡サーバ4において葬儀連絡対象者リスト記憶部405eは、葬儀連絡対象者の特定情報と葬儀連絡対象者の電子メールアドレスとを対応付けた葬儀連絡対象者リスト(葬儀連絡対象者リスト)を記憶する葬儀連絡対象者リスト記憶部として機能するものである。また、メーラーソフト405cはルータ407と連携し、登録受付サイトへのアクセスURLリンクが文面に組み込まれた電子メールファイルを作成する電子メールデータ作成部、及び葬儀連絡対象者リスト記憶部405eから葬儀連絡対象者の電子メールアドレスを読み出すとともに、読み出した電子メールアドレスを宛先として電子メールファイルを葬儀連絡メールとしてインターネット(公共通信網)8を介し送信する葬儀連絡メール送信部の各機能を実現するためのものである。なお、葬儀連絡サーバ4の機能の一部又はすべてを葬儀ホスト端末3に統合することも可能である。
【0052】
図5は、ストリーム配信管理サーバ5の詳細を示すブロック図である。ストリーム配信管理サーバ5は処理主体としてのマイコン500を有する。マイコン500はCPU501、RAM502、ROM503及び入出力部504がバス506により接続されたものである。また、バス506には大容量記憶部としてのHDD(ハードディスクドライブ)505が接続される。HDD505には、CPU501がRAM502をワークエリアとして実行するソフトウェアとして、ビデオ会議サーバ制御プログラム505aがインストールされている。また、HDD505には、参列登録部505b及び葬儀スケジュール情報登録部505cが形成されている。さらに、入出力部504には、モニタ511、キーボード、マウスあるいはタッチパネル等で構成された入力部512が接続されている。また、入出力部504にはストリーム配信管理サーバ5をインターネット8に接続するためのルータ507が接続されている。
【0053】
ストリーム配信管理サーバ5においてビデオ会議サーバ制御プログラム505aは、ルータ507と連携し、以下の各機能を実現する。
・葬儀式ストリームデータ取得部:インターネット(公共通信網)8を介して式場用端末2’から葬儀式ストリームデータを受信取得する。
・参列ストリームデータ取得部:インターネット(公共通信網)8を介して複数の遠隔参列端末2からそれぞれ参列ストリームデータを取得する。
・ストリームデータ送信部:取得した葬儀式ストリームデータ及び参列ストリームデータを葬儀ホスト端末3、式場用端末2’及び複数の遠隔参列端末2へ公共通信網8を介して送信する。
・動画制御指令情報取得部:前述の動画制御指令情報を葬儀ホスト端末3から公共通信網8を介して取得する。
・配信制御部:取得した動画制御指令情報に基づいて式場用端末2’及び遠隔参列端末2における動画再生出力形態を規定しつつ、ストリームデータ送信部による式場用端末2’及び遠隔参列端末2への葬儀式ストリームデータ及び参列ストリームデータの配信制御を行なう。
【0054】
なお、図2に示すように、遠隔参列端末2及び式場用端末2’のRAM202において、ワークエリア202aには、式場用端末2’及び各遠隔参列端末2においてカメラ212により撮影される動画映像を、葬儀ホスト端末3からの動画制御指令情報が規定する画面フォーマットに従い、画面分割により合成表示するために、それら式場用端末2’及び各遠隔参列端末2からの映像ストリームデータ(及び音声ストリームデータ)を個別にバッファリングするためのストリーミングキューメモリ((1)(2)・・・)202cが形成されている。また、動画制御指令情報が規定する映像表示設定パラメータ及び音声設定パラメータを記憶するための映像設定パラメータメモリ202d及び音声設定パラメータメモリ202eが形成されている。
【0055】
さらに、図6に示すように、葬儀ホスト端末3のRAM302において、ワークエリア302aには、同様のストリーミングキューメモリ((1)(2)・・・)302cと、映像設定パラメータメモリ302d及び音声設定パラメータメモリ302e、さらに参列遠隔参列端末登録リストを記憶するための参列遠隔参列端末登録リストメモリ302hが形成されている。
【0056】
ここで、ストリーム配信管理サーバ5は、インターネット8上にてすでに商用ベースにて運用開始済みのクラウド型ビデオ会議システムの映像サーバ(以下、既存商用サーバという)を、これに随伴するビデオ会議サーバ制御プログラム505a(図5)及びビデオ会議アプリケーション205b,305b(図2図6)とともに流用して使用することが可能である。ビデオ会議アプリケーション205b,305bは、クラウド型ビデオ会議サーバが提供するクラウドソフトウェアとして構成することができる。遠隔参列端末2、式場用端末2’及び葬儀ホスト端末3は、インターネット8に接続されている任意の一般ユーザ端末(PC、スマートフォン、タブレット端末など)として構成され、上記既存商用サーバにログイン(サインアップ)することにより、遠隔葬儀システム1の上記各端末として使用することが可能となる。このような既存商用サーバを有するクラウド型ビデオ会議システムとしては、例えばZoom(米国Zoom Video Communications. Inc.による登録商標)を利用することが可能である。
【0057】
図7は、料理受注端末6の詳細を示すブロック図である。料理受注端末6は処理主体としてのマイコン600を有する。マイコン600はCPU601、RAM602、ROM603及び入出力部604がバス606により接続されたものである。また、バス606には大容量記憶部としてのHDD(ハードディスクドライブ)605が接続される。HDD605には、CPU601がRAM602をワークエリアとして実行するソフトウェアとして、受注管理プログラム605a、調理・配送指示プログラム605b等がインストールされている。また、HDD605には、店舗リスト記憶部605cが形成されている。さらに、入出力部604には、モニタ611、キーボード、マウスあるいはタッチパネル等で構成された入力部612が接続されている。入出力部604には料理受注端末6をインターネット8に接続するためのルータ607が接続されている。
【0058】
さらに、図8は、店舗端末7の詳細を示すブロック図である。店舗端末7は処理主体としてのマイコン700を有する。マイコン700はCPU701、RAM702、ROM703及び入出力部704がバス706により接続されたものである。また、バス706には大容量記憶部としてのHDD(ハードディスクドライブ)705が接続される。HDD705には、CPU701がRAM702をワークエリアとして実行するソフトウェアとして、配送管理プログラム705a等がインストールされている。さらに、入出力部704には、モニタ710、キーボード、マウスあるいはタッチパネル等で構成された入力部711が接続されている。入出力部704には店舗端末7をインターネット8に接続するためのルータ707が接続されている。
【0059】
図7の料理受注端末6は謝礼品受注端末の概念を構成するものであり、受注管理プログラム605aは、ルータ607と連携することにより、料理発注端末に兼用された葬儀ホスト端末3から謝礼品発注情報を受信し、遠隔参列端末2毎にこれを管理するとともに、謝礼品発注情報に含まれる遠隔参列者の住所に対し最寄りとなる料理店舗を店舗リスト記憶部605cにて検索する最寄り料理店舗検索部の役割を果たす。また、調理・配送指示プログラム605bは、ルータ607と連携することにより、インターネット(公共通信網)8上に設けられた店舗端末7に対し、配送先情報を含む仕出し料理発注情報(謝礼品発注情報)を送信する謝礼品発注情報送信部の機能を実現する。ここでいう仕出し料理は、遠隔参列者に対する謝礼品の一つであって、葬儀式終了後の当日に参列者にふるまわれる「精進落とし」に相当するものである。
【0060】
以下、遠隔葬儀システム1の動作について説明する。
図9は、葬儀スケジュール登録処理の流れを示すシーケンス図である。この処理は、図1において、葬儀ホスト端末3とストリーム配信管理サーバ5との間のインターネット8を経由した通信処理によりなされる。まず、図9のS3001にて葬儀ホスト端末3ではビデオ会議アプリケーション305bを起動し、S3002にてサインアップ(ログイン)要求と、サインアップ登録に必要なメールアドレスを送信する。ストリーム配信管理サーバ5ではこれを受信し、S5001にてサインアップを受け付け、確認メールを葬儀ホスト端末3に送信する。葬儀ホスト端末3では、S3003にて受信した確認メールに組み込まれているサインアップページへのアクセスリンクをマウス等によりアクティベートすることによりサインアップ要求を送信する。
【0061】
ストリーム配信管理サーバ5ではこれを受け、S5002にてサインアップページを葬儀ホスト端末3に送信する。葬儀ホスト端末3ではこれを受信してサインアップページをホスト側モニタ310に表示し、S3004にてオペレータがサインアップに必要なデータ入力(アカウント名及びパスワード(PW)等)を行なうとともに、S3005にてこれを送信する。ストリーム配信管理サーバ5ではこれを受け、図示しない認証処理を経てS5003に進み、葬儀ホスト端末3に対するID(例えばクラウドID:以下、クラウドIDで代表させる)を発行するとともに、受信したアカウント名及びパスワードと対応付けてHDD505内の図示しないユーザ登録部に登録する。以降、葬儀ホスト端末3からは、発行されたアカウント名及びパスワードを入力・送信するサインアップシーケンスにより、ストリーム配信管理サーバ5にアクセスすることが可能となる。
【0062】
続いて、葬儀式のスケジュール情報の登録処理に移る。葬儀ホスト端末3からは、S3006にてスケジュール設定画面へのアクセス要求を送信する。ストリーム配信管理サーバ5ではこれを受け、S5004にてスケジュール設定画面を葬儀ホスト端末3に送信する。葬儀ホスト端末3ではこれを受信してスケジュール設定画面をホスト側モニタ310に表示し、S3007にてオペレータが葬儀スケジュール情報をデータ入力する。図10はスケジュール設定画面3100を示している。本来はビデオ会議(ミーティング)のスケジュール設定画面であるが、本発明では、会議とは全く異なる葬儀式のスケジューリングに用いるのである。スケジュール情報はユーザごとに登録可能であり、マイミーティングボタン3100A及びスケジュール情報入力ボタン3100Bを順次クリックすることにより当該ユーザ固有のスケジュール設定画面3100に遷移する。
【0063】
スケジュール設定画面3100では、葬儀式名入力ウィンドウ3100C、開催日時入力ウィンドウ3100D及び所要時間入力ウィンドウ3100Eが表示され、入力部311をなすキーボードからの文字入力及びマウス操作によるプルダウンメニューからの選択入力により、葬儀式名(「故縦山えんたつ儀告別式」)、開催日時及び葬儀式の所要時間(これは、葬儀式映像配信のためのストリーム配信管理サーバ5の使用時間に相当する)がそれぞれ入力される。
【0064】
また、スケジュール設定画面3100には、葬儀式への遠隔参列希望者に対し、遠隔参列端末2の登録処理を必須事項として設定するためのチェックボックス(選択部)3100Fが設けられている。本実施形態では、このチェックボックスをアクティベート(ON)することで、遠隔参列希望者に対し自身の遠隔参列端末2の事前登録入力シーケンスが要求される設定となる(図9:S3007)。
【0065】
この事前登録入力シーケンスでは、遠隔参列端末2に対し固有のクラウドIDがストリーム配信管理サーバ5において発行され、後述する如く、少なくとも遠隔参列端末2側で入力されるアカウント名及びパスワード(PW)と、遠隔参列端末2のノードアドレス(IPアドレス)と対応付けて、図5の参列登録部505bに登録される。以降、遠隔参列端末2は、アカウント名及びパスワード(PW)を入力することで、ストリーム配信管理サーバ5に対し繰り返しサインアップできる。
【0066】
一方、時間的な制約により事前登録ができなかった遠隔参列端末2に対しては、後述のごとく、図25の葬儀開始案内メール(招待メール)3051に組み込まれたリンク(参列ボタン)3051Aをアクティベート(クリックあるいはタッチ)し、メールアドレスとパスワードを入力することにより、スケジュール登録された葬儀式に限りストリーム配信管理サーバ5へのサインアップ(すなわち、遠隔参列)が可能となっている。
【0067】
すなわち、ストリーム配信管理サーバ5においては、インターネット(公共通信網)8に接続されている端末のうち、葬儀式ストリームデータの配信を許可するものを遠隔参列端末2として、当該端末のノードアドレスと対応付け遠隔参列端末登録リストとして記憶する参列登録部と、参列登録部に登録された端末にのみ、葬儀式ストリームデータの配信を配信制御部に許可する葬儀式ストリームデータ配信許可部の機能が実現している。
【0068】
次に、登録処理を必須事項として設定した場合、本実施形態では、図11に示すホスト側登録画面3101から、遠隔参列端末2に登録台帳情報として追加入力させるべき情報の設定を行なうようにしている。具体的には、編集ボタン3101Aをクリックすることにより図12の追加入力項目設定画面3012に遷移させ、予め用意されたデフォルト候補から追加したい項目を選択部(チェックボックス)3102Aにより選択入力し、確定入力部(ボタン)3102Bの操作により選択を確定させる。ここで、デフォルト候補以外の項目を設定したい場合は、カスタム追加項目(「質問とコメント」)の選択部(チェックボックス)3102Cを選択入力する。すると、図13のカスタム追加項目設定画面3103に遷移するようになっており、項目設定入力部3103Aにて、入力部311をなすキーボードからの文字入力やチェックボックス等による選択入力により、追加項目内容が入力される。新たなカスタム追加項目がある場合は、追加設定部(ボタン:「create」)3103Bを操作することで、図14に示すように、新たな追加入力項目設定画面3104に遷移し、同様の追加項目内容の入力を行なう。これら入力された追加項目内容は、最終的に確定入力部(ボタン)3103C(「すべてを保存」)の操作により、ストリーム配信管理サーバ5内にて内容が確定される。
【0069】
本実施形態では、このカスタム追加項目として、遠隔参列端末2における参列者の人数と、お供え物件(香典及びお供え物)の有無について入力を設定するようにしている。これらカスタム追加項目については、必須入力を指定する選択部(チェックボックス)3103Dがアクティベートされており、遠隔参列端末2側での入力が完了しなければ参列登録が完了できないようになっている。いずれも、追って説明する特別謝礼品としての仕出し料理を、お供え物件の申し出のあった遠隔参列に対してのみ提供すること、及び遠隔参列端末2を用いて遠隔参列してもらった人数分の仕出し料理を提供する上で必須の情報として用いられる。
【0070】
図9に戻り、S3007にて葬儀ホスト端末3にて上記スケジュール情報入力が完了したら、S3008にてこれが送信され、S5005にてストリーム配信管理サーバ5ではこれを受信して葬儀スケジュール情報登録部505cにこれを登録する。図19は葬儀スケジュール情報登録部505cの記憶内容の一例を示すものであり、寺院番号、故人名、忌日、享年、喪主名、世帯番号、檀家番号、(クラウド)ID、住所、会場名、通夜式日時及び告別式日時の各情報が互いに対応付けた形で記憶されている。
【0071】
図15は、葬儀連絡メール作成及び送信処理の流れを示すシーケンス図である。この処理は、葬儀連絡サーバ4、葬儀ホスト端末3及び遠隔参列端末2の間での、インターネット8を経由した通信処理によりなされる。以下の処理では、葬儀連絡サーバ4において檀家管理プログラム405a及びメーラーソフト405cの実行により、
・葬儀連絡対象者リスト記憶部:葬儀連絡対象者の特定情報と葬儀連絡対象者の電子メールアドレスとを対応付けて葬儀連絡対象者リストとして記憶する;
・電子メールデータ作成部:登録受付サイトへのアクセスURLリンクが文面に組み込まれた電子メールファイルを作成する;
・葬儀通知メール送信部:葬儀連絡対象者リスト記憶部から葬儀連絡対象者の電子メールアドレスを読み出すとともに、読み出した電子メールアドレスを宛先として電子メールファイルを葬儀通知メールとして公共通信網8を介し送信する;
の各機能が実現される。また、葬儀通知メールを受信した遠隔参列端末2(端末装置)は、葬儀通知メールに組み込まれたアクセスURLリンクを用いて登録受付サイトにアクセス可能とされる。
【0072】
まず、葬儀ホスト端末3は、図15のS3101にて葬儀連絡サーバ4に対し葬儀連絡対象者リストへのアクセスを要求する。葬儀連絡サーバ4は、例えば葬儀会場を提供する寺院やセレモニーホールに設置されるものあり、図16は、葬儀連絡サーバ4の檀家リストデータ記憶部405dの内容の一例を示す。檀家リストデータには、世帯特定情報(番号)、檀家特定情報(番号)、(クラウド)ID、パスワード(PW)、檀家家族の姓及び名とその読み仮名、住所、電話番号、メールアドレス及び生年月日が互いに対応付けた形で記憶されている。
【0073】
上記の檀家リストデータは、葬儀連絡サーバ4が例えば寺院に置かれる場合、個々の檀家から提出される檀家登録書類の記入項目等に基づき、寺院事務所等で作成されるものである。また、寺院と守秘義務を含めた契約関係にあるセレモニーホール等に葬儀連絡サーバ4が置かれる場合は、(例えば寺院から預かった)檀家リストデータを寺院特定情報(番号)と対応付けて統合した形で記憶しておくこともできる。
【0074】
また、図17は葬儀連絡対象者リスト記憶部405eの内容を概念的に示すものである。葬儀連絡対象者リストは、逝去者が発生した場合の葬儀連絡先の情報を各檀家についてまとめたものであり、檀家の世帯別に、その世帯の交友関係者等を葬儀連絡対象者として、檀家リストデータと同様の項目のデータ及びリスト特定情報(番号)を互いに対応付けて記憶している。なお、ある世帯の葬儀連絡対象者に、その世帯と同じ寺院の檀家として登録されている対象者の世帯が含まれている場合がある。図17の葬儀連絡対象者リストの場合、リスト番号501の葬儀連絡対象者リストにおいて、世帯番号003及び004の各世帯がこれに該当し、同じ寺院番号8001において、それぞれ異なる檀家番号1002及び1003が付与されている。図17には表れていないが、檀家番号1002及び1003の各世帯についても別のリスト番号にて葬儀連絡対象者リストが記憶されている(この場合、リスト番号501の葬儀連絡対象者リストとの間で葬儀連絡対象者のデータが重複して記憶されている)。また、檀家番号が付与されていない葬儀連絡対象者は、葬儀連絡対象者リスト記憶部405e(図4)内にてどの寺院の檀家にも属さない世帯の連絡対象者であることを意味する。
【0075】
葬儀連絡対象者リストのデータは、各檀家から電子メールや記憶媒体(メモリスティックなど)を用いて提出される、交友関係者の住所録リストデータ(例えば、年賀状印刷等に用いる宛名書きソフトウェアで作成した住所録ファイルを、CSV変換したものなど)を用い、これに適宜必要なデータ項目を追加することで容易に作成可能である。特に、檀家登録先の寺院は、各檀家との信頼関係も厚いので住所録リストデータを入手しやすい背景がある。他方、寺院と守秘義務を含めた契約関係にあるセレモニーホール等では、寺院から預かった各檀家の葬儀連絡対象者リストを図17のように統合して、葬儀連絡対象者リスト記憶部405e(図4)に記憶しておくことができる。
【0076】
ある檀家の世帯から訃報が寺院やセレモニーホールに届くと、葬儀ホスト端末3から葬儀連絡サーバ4に対し、逝去者が属する世帯を檀家リストデータ記憶部405d(図4)にて検索させる。図15のS4101において、葬儀連絡サーバ4は葬儀連絡対象者リスト記憶部405eにアクセスし、その世帯に対応する葬儀連絡対象者リストのデータを読み出して、葬儀ホスト端末3に送信する。
【0077】
葬儀ホスト端末3では、S3102にてメーラーソフト305cを用いて葬儀連絡メールの文面を作成し、さらに、ストリーム配信管理サーバ5内の登録受付サイトへのアクセスURLリンクを、メール文面に貼り付ける形で組み込む。図18は、葬儀連絡メール3050の作成例を示すものである。葬儀連絡メール3050の文面作成は、オペレータの手動入力により作成してもよいが、図19の葬儀スケジュール情報に含まれる項目内容を空欄にしたメールひな形を用意しておき、葬儀スケジュール情報から読み出した各項目の内容をひな形の空欄部分に組み入れてメール文面を自動生成するようにしてもよい。
【0078】
図18の葬儀連絡メール3050の文面には、葬儀会場へ実参列するために必要な情報3050Aが盛り込まれているほか、遠隔参列に関する案内文3050Bが記載され、さらに、ストリーム配信管理サーバ5内の登録受付サイトへのアクセスURLリンク(参列登録ボタン3050C及びQRコード(登録商標)3050D)も併せて組み込まれている。例えば、カメラを有した無線通信携帯端末15の場合、このQRコード(登録商標)3050Dをカメラにより読み取ることで、登録受付サイトへアクセスすることができる。
【0079】
図15に戻り、葬儀ホスト端末3にて葬儀連絡メールの文面作成が終了したら、S3103にて葬儀連絡対象者リストから各連絡対象者のメールアドレスを読み込み、S3104にて作成済みの葬儀連絡メールファイルにメールアドレスを付与し、S3105にて連絡対象者の端末(遠隔参列端末2)に葬儀連絡メールを同報送信する。遠隔参列端末2ではこのメールを受信し、S2101にて葬儀連絡メールの開封処理がなされる。
【0080】
図20は、参列登録処理の流れを示すシーケンス図である。この処理は、遠隔参列端末2、ストリーム配信管理サーバ5及び葬儀ホスト端末3の間での、インターネット8を経由した通信処理によりなされる。以下の処理では、ストリーム配信管理サーバ5において、図5のビデオ会議サーバ制御プログラム505aの実行により、
・参列登録部:インターネット(公共通信網)8に接続されている端末のうち、葬儀式ストリームデータの配信を許可するものを遠隔参列端末2として、当該端末のノードアドレスと対応付け遠隔参列端末登録リストとして記憶する;
・葬儀式ストリームデータ配信許可部:参列登録部505bに登録された端末にのみ、葬儀式ストリームデータの配信を配信制御部に許可する;
の各機能が実現される。参列登録部には、遠隔参列端末2にて入力されるとともに該遠隔参列端末2の登録許可に必要となる、予め定められた内容の登録台帳情報が遠隔参列端末2のノードアドレスと対応付けて記憶される。そして、インターネット(公共通信網)8上の遠隔参列端末2においては、公共通信網8上にてストリーム配信管理サーバ5が提供する登録受付サイトにアクセスすることにより、登録台帳情報の入力及び入力された情報のストリーム配信管理サーバ5への送信を行なう登録台帳情報入力送信部(ルータ207)の機能が実現する。また、ストリーム配信管理サーバ5においては、端末装置から受信した登録台帳情報を該端末装置のノードアドレスと対応付けて参列登録部に登録する参列登録制御部の機能が実現される。
【0081】
すなわち、遠隔参列端末2にて図18の葬儀連絡メールが開封され、S2201にて登録受付サイトへのアクセスURLリンク3050Cがアクティベートされると、ストリーム配信管理サーバ5に登録ページへのアクセス要求が送信される。ストリーム配信管理サーバ5はこれを受け、S5201で登録ページのデータを遠隔参列端末2に送信する。すると、S2202にて遠隔参列端末2の参列側モニタ210には、図22に示すような登録ページ画面2101が表示される。
【0082】
登録ページ画面2101には、図12図14にて葬儀ホスト端末3にて設定された各入力項目の入力ウィンドウ2101A~2101Fが表示されるので、遠隔参列端末2にて遠隔参列者は、S2203にて登録台帳情報として、氏名(2101A)、メールアドレス(2101B)、住所(2101C),電話番号(2101D)、参列人数(2101E)及びお供え物件の有無(2101F)の各項目を入力し、登録確定操作部(「登録ボタン」)2101Gを操作する。
【0083】
これにより、図20のS2204では、上記入力された登録台帳情報が送信される。ストリーム配信管理サーバ5ではS5202にて、受信した登録台帳情報を参列登録部505bにおいて、送信元の遠隔参列端末2のIPアドレス(ノードアドレス)と対応付け、登録・記憶する。図21は、参列登録部505bに記憶された遠隔参列者登録リストの内容の一例を示すものであり、遠隔参列者の登録者名、IPアドレス、メールアドレス、登録日、住所、電話番号、お供え/香典の有無及び参列人数が互いに対応付けられ登録されている。
【0084】
なお、式場用端末2’についても、遠隔参列端末2と同様の登録設定を行なっておけば、ストリーム配信管理サーバ5からの映像配信制御を遠隔参列端末2と同様に実施することができる。
【0085】
ストリーム配信管理サーバ5において遠隔参列者の登録処理が完了すると、葬儀ホスト端末3においては、参列登録部505bの内容を随時確認することができるようになる。すなわち、図20のS3201において、葬儀ホスト端末3は遠隔参列端末登録リストへのアクセスを要求する。ストリーム配信管理サーバ5はこれを受け、S5203にて遠隔参列端末登録リストを葬儀ホスト端末に送信する。葬儀ホスト端末3はS3202で遠隔参列端末登録リストをホスト側モニタ310に表示する。また、遠隔参列端末登録リストデータをCSV変換することにより、図示しないプリンタ等から印刷出力することもできる(S3203)。
【0086】
葬儀ホスト端末3において遠隔参列端末登録リストを表示するには、例えば図11のホスト側登録画面3101において表示ボタン310Bをクリックする。すると、図23に示すように、遠隔参列端末登録リスト画面3105が表示され、遠隔参列端末登録リストを閲覧することが可能となる。
【0087】
図24は、映像配信開始処理の流れを示すものである。葬儀ホスト端末3においてはS3401にて、メーラーソフト305cを用いて、葬儀開始案内メールの文面を作成し、これに参列用リンク(図25:参列ボタン3051A)をメール文面に貼り付ける形で組み込む。葬儀開始案内メールの文面作成が終了したら、S3402にて葬儀連絡対象者リストから各連絡対象者のメールアドレスを読み込み、葬儀連絡対象者リスト上の各連絡対象者のメールアドレスを付与する(S3403)。そして、葬儀スケジュール情報に規定された葬儀式の開始時刻が近づいたら、連絡対象者の端末(遠隔参列端末2)に葬儀開始案内メールを同報送信する(S3404)。
【0088】
各遠隔参列端末2ではこのメールを受信し、S2401にて葬儀開始案内メールの開封処理がなされる。そして、S2402では、図25にて葬儀開始案内メール(招待メール)3051に組み込まれたリンクをアクティベート(クリックあるいはタッチ)することによりストリーム配信管理サーバ5に対する映像(及び音声)のストリームデータの配信要求がなされる。また、葬儀ホスト端末3からもS3405にて映像(及び音声)のストリームデータの配信要求がなされる。
【0089】
葬儀ホスト端末3においては、以下、オペレータによる入力操作により表示設定情報(動画制御指令情報)を作成し、ストリーム配信管理サーバ5にこれを随時送信する(S3407)。ストリーム配信管理サーバ5では受信した表示設定情報(動画制御指令情報)の内容に従い、映像表示画面及び音声の出力形態を制御しつつ映像ストリームデータ(及び音声ストリームデータ)の配信制御を行い(S5401)、葬儀ホスト端末3及び遠隔参列端末2(さらには、式場用端末2’)に映像を表示させる(S3408、S2403)。
【0090】
図26は、葬儀ホスト端末3(ホスト側モニタ310)の映像表示画面の一例を示すものである。映像表示画面3121では、式場用端末2’からの映像ストリームデータの再生ウィンドウ3121Eと、各遠隔参列端末2からの映像ストリームデータの再生ウィンドウ3121F(複数)が画面分割により形成されている。図26では、全ての再生ウィンドウ3121E,3121Fが互いに重ならず、かつ同一寸法となるように表示され、再生ウィンドウの数が増えるほどその表示寸法も小さくなるように設定されている。
【0091】
また、これら再生ウィンドウ3121E,3121Fの形成エリアに隣接して、遠隔参列端末登録リスト3121A(式場用端末2’及び葬儀ホスト端末3を含む)と、各端末の音声制御操作部3121B及び映像制御操作部3121Cが形成されている。音声制御操作部3121B及び映像制御操作部3121Cは、例えばソフトボタン操作部であり、1回操作するごとに、対応する端末からの音声ストリームデータあるいは映像ストリームデータの配信停止/配信再開が切り替わる。いずれも、各アイコンの表示状態は、切り替えられているモードに応じて変更される(本実施形態では、配信停止が選択されている場合、アイコンに斜線が重ね表示されるようになっている)。また、映像表示画面3121上には、全ての遠隔参列端末2及び式場用端末2’からの音声ストリームデータを一括して配信停止(つまり、消音)するための一括音声停止操作部3121Dが設けられている。
【0092】
図27は、式場用端末2’(式場用モニタ210’)の映像表示画面の一例を示すものである。映像表示画面2111’にも、式場用端末2’及び各遠隔参列端末2からの映像ストリームデータの再生ウィンドウ2111A’,2111B’が画面分割により形成されている。また、映像表示画面2111’には、再生ウィンドウ2111A’,2111B’の表示モードを切り替える表示モード切替操作部2111C’が形成されている。表示モード切替操作部2111C’をマウス等により操作することにより、再生ウィンドウ2111A’,2111B’は、図26と同様に、すべての再生ウィンドウが互いに重ならず、かつ同一寸法となるように表示する一覧表示モードと、図27に示すように、特定の遠隔参列端末2からの動画を表示する再生ウィンドウ2111B’を、他の遠隔参列端末2からの動画を表示する再生ウィンドウ2111A’よりも大きくなるように拡大表示する強調表示モードとの間で切り替えることができる。
【0093】
本実施形態では、強調表示モードにおいて拡大表示する再生ウィンドウ2111B’の上方に、他の再生ウィンドウ2111A’をサムネイル的に左右に並べて表示する形態が採用されている。この場合、再生ウィンドウ2111B’に表示される動画が強調動画を形成することとなる。
【0094】
他方、図26の葬儀ホスト端末3(ホスト側モニタ310)の映像表示画面3121において、各再生ウィンドウ3121E,3121Fには拡大表示制御操作部3121Gが付加されている。対応する端末の拡大表示制御操作部3121Gがマウス等により操作されると、該操作に対応する内容の動画制御指令情報がストリーム配信管理サーバ5に送信され、全ての遠隔参列端末2及び式場用端末2’において、拡大表示制御操作部3121Gが操作された再生ウィンドウ3121Fの映像が強調表示モードに強制的に切り替わるよう表示制御が行われる。
【0095】
一旦強調表示モードとなった遠隔参列端末2ないし式場用端末2’においては、表示モード切替操作部2111C’の操作により、強調表示モードから一覧表示モードに戻したり、式場用端末2’による葬儀式場の動画映像、あるいは他の遠隔参列端末2の参列者映像の強調表示モードに切り替えたりすることが可能とされている。例えば、図28は、遠隔参列端末2の1つにおいて参列側モニタ210の画面2111に、葬儀式場の動画映像を強調動画として再生ウィンドウ2111Bに表示させた例を示す。さらに、図29は、他の遠隔参列端末2の参列者映像を強調動画として再生ウィンドウ2111Bに表示させた例を示す。
【0096】
式場用モニタ210’は、図3に示すように、実参列者WPに近接して配置されているものの、遠隔参列端末2の数が増えた場合は、一覧表示モードで同時表示される再生ウィンドウの数も増え、表示サイズが縮小されるので、遠隔参列者の姿を実参列者WPが確認しにくくなる難点がある。よって、式場用端末2’については、葬儀式が開始された後、葬儀ホスト端末3での操作により強調表示モードに切り替わった後は、式場用端末2’において表示モード切替操作部2111C’の操作を行わないようにすることで強調表示モードを継続でき、ひいては参列中の遠隔参列者の姿がより確認しやすくなる。
【0097】
なお、式場用モニタ210’(あるいは遠隔参列端末2)にて一覧表示モードにより複数の再生ウィンドウを表示することも可能であるが、この場合は葬儀ホスト端末3にて選択中の再生ウィンドウの枠線の表示色を、他の再生ウィンドウの枠線の表示色と異ならせることにより強調することも可能である。この場合、枠線の表示色により強調された再生ウィンドウの動画が強調動画に相当する。
【0098】
図30は、この場合の動画配信処理の流れを示すシーケンス図である。式場用端末2’及び各遠隔参列端末((1),(2),・・・)からの動画及び音声のストリームデータはストリーム配信管理サーバ5を宛先としてパケット送信される(S501,S2501,S2502)。以下、式場用端末2’からの葬儀式ストリームデータを再生して得られる動画映像を「葬儀式映像」、遠隔参列端末2からの参列ストリームデータを再生して得られる動画映像を「参列者映像」と称する。
【0099】
葬儀式の開始が近づくと葬儀ホスト端末3では、S3501にて式場用端末2’以外の端末からの音声を消音する設定を行なう。この設定は図26の一括音声停止操作部3121Dの操作によりなされる。設定内容に対応する動画制御指令情報がストリーム配信管理サーバ5に送信される。これを受けたストリーム配信管理サーバ5では、S5501にて各端末からの音声ストリームデータの各端末への配信を停止する。
【0100】
そして、葬儀式の開始に際して葬儀ホスト端末3では、S3502にて葬儀式映像(図32:映像表示画面3121E)を選択し、拡大表示制御操作部3121Gを操作することで強調表示モード設定を行なう。この設定内容に対応する動画制御指令情報を受けたストリーム配信管理サーバ5では、S5502にて全ての端末(遠隔参列端末2及び式場用端末2’)に対し、動画の表示フォーマットを、葬儀式映像が強調動画となり、他の映像が縮小動画となるように設定を行なう。S5503では、設定されたフォーマットで動画(及び音声)ストリームデータの配信を各端末に向けて行なう。動画ストリームデータは例えばHTMLファイル形式で配信され、各動画ウィンドウの大きさや画面上の表示位置の制御情報はHTMLファイル内にタグにより組み込まれる。各端末では動画ストリームデータを受信し再生することにより、設定されたフォーマットで画面上に動画が再生される(S502,S2503,S2504)。この状態においては、全ての遠隔参列端末2及び式場用端末2’において、図28に示すように葬儀式場の映像が強調表示され、読経などの会場音声が流れる状態となる。
【0101】
式進行に従い、会場では実参列者による焼香が進む。葬儀ホスト端末3では、式進行状況をオペレータがホスト側モニタ310により確認し、例えば実参列者の焼香が全員終了した時点で、遠隔参列者のお参りを案内する。この案内は、葬儀ホスト端末3のマイク313を用いてオペレータ(あるいは司会者)により音声入力され、遠隔参列端末2のスピーカ214から出力する。参列者映像の切替え操作を順次行う。
【0102】
具体的な処理シーケンスの一例を図31に示している。葬儀ホスト端末3では、S3601で遠隔参列端末(1)を選択し、拡大表示制御操作部3121Gを操作することで強調表示モード設定を行なう(一括配信停止されていた音声ストリームデータについては、対応する遠隔参列端末2からのものについて配信再開の設定を行なう)。この設定内容に対応する動画制御指令情報を受けたストリーム配信管理サーバ5では、S5601にて全ての端末に対し、動画の表示フォーマットを、遠隔参列端末(1)の参列者映像が強調動画となり、他の映像が縮小動画となるように設定を行なう。S5602では、設定されたフォーマットで動画(及び音声)ストリームデータの配信を各端末に向けて行なう。各端末では動画ストリームデータを受信し再生することにより、設定されたフォーマットで画面上に動画が再生される(S602,S2601~S2603)。この状態においては、式場用端末2’(及び全ての遠隔参列端末2)において、図27に示すように遠隔参列端末(1)の参列者映像が強調表示される。
【0103】
遠隔参列端末(1)でのお参りが終了すると、S3602では遠隔参列端末(2)を選択し、拡大表示制御操作部3121Gを操作することで、強調表示モード設定を行なう端末を遠隔参列端末(2)に切り替える。この設定内容に対応する動画制御指令情報を受けたストリーム配信管理サーバ5では、S5603にて全ての端末に対し、動画の表示フォーマットを、遠隔参列端末(2)の参列者映像が強調動画となり、他の映像が縮小動画となるように設定を行なう。S5604では、設定されたフォーマットで動画(及び音声)ストリームデータの配信を各端末に向けて行なう。各端末では動画ストリームデータを受信し再生することにより、設定されたフォーマットで画面上に動画が再生される(S603,S2604~S2606)。以下、各遠隔参列端末について、同じ処理の繰り返しとなる。
【0104】
例えば、オペレータは「それでは、これより遠方から通信によりご参列の皆様へ順にお参りの案内をさせていただきます。」の案内音声を流したあと、図26に示すホスト側モニタ310の画面上にて遠隔参列端末登録リスト3121Aを参照し、最初に案内をかける遠隔参列端末2(図では、「正司玲児」)の代表者に「正司玲児様」等と声かけする。そして、音声制御操作部3121Bを操作して消音状態を解除するとともに、対応する再生ウィンドウ3121Fの拡大表示制御操作部3121Gを選択して操作する。すると、式場用端末2’(式場用モニタ210’)及び各遠隔参列端末2(参列側モニタ210)には、図27に示すように、選択された遠隔参列端末2の参列者映像が強調動画として拡大表示されるので、遠隔参列者はカメラ212に向けてお参りをする。なお、葬儀式ということを考慮して、全てのモニタにおいて動画をモノクロにより表示するようにしてもよい。
【0105】
お参りが終了したら、図32に示すように、次に案内をかける遠隔参列端末2(図では、「船場太郎」)の代表者に「船場太郎様」等と声かけしたあと、音声制御操作部3121Bの操作により前の遠隔参列端末を消音状態に戻すとともに、次の遠隔参列端末の消音状態を解除する。また、動画ウィンドウ3121Fは、次の遠隔参列端末に対応する拡大表示制御操作部3121Gを選択して操作する。すると、式場用端末2’(式場用モニタ210’)及び各遠隔参列端末2(参列側モニタ210)には、図33に示すように、強調動画として拡大表示される参列者映像が次の遠隔参列端末2のものに切り替わる。該遠隔参列端末2の参列者はカメラ212に向けて同様にお参りをする。このように、葬儀ホスト端末3のオペレータ操作により、強調動画として拡大表示される参列者映像を随時切り替えることで、遠隔参列端末登録リスト上の遠隔参列者を、通常の葬儀と全く同様の感覚で順次参列に案内することができる。
【0106】
なお、上記の処理では、選択された遠隔参列端末2の参列側モニタ210にも、その遠隔参列端末2の参列者映像が強調動画表示される。遠隔参列端末2の参列者は、例えば、表示モード切替操作部2111C’の操作により、図28に示すように葬儀式映像に強調動画を切り替え、お参りをするようにしてもよい。他方、遠隔参列者は、自身の遠隔参列端末2において、お参りのタイミング以外の時間帯も撮影や音声入力が継続していることが気になる場合がある。そこで、遠隔参列端末2からの操作により、お参り以外の時間帯にて音声入力と動画撮影を停止させることが可能である。
【0107】
図34は、その場合の処理シーケンスの一例を示すものである。遠隔参列端末(1)では、S2701にて葬儀式映像(図29:再生ウィンドウ3121E)を選択し、表示モード切替操作部2111C’を操作することで強調表示モード設定を行なう。この設定内容に対応する動画制御指令情報を受けたストリーム配信管理サーバ5では、S5701にて情報送信元である遠隔参列端末(1)に対してのみ、動画の表示フォーマットを、葬儀式映像が強調動画となり、他の映像が縮小動画となるように設定を行ない(図28と同様の表示状態)、S5702にて動画ストリームデータを配信する。遠隔参列端末(1)では動画ストリームデータを受信し再生することにより、設定されたフォーマットで画面上に動画が再生される(S2702)。このように、遠隔参列端末2からも動画制御指令情報をストリーム配信管理サーバ5に送信が可能であり、動画の表示形態を変更することが可能であるが、制御の対象が動画制御指令情報の送信元となる遠隔参列端末2に限定され、他の端末に影響が及ばない点が、葬儀ホスト端末3の場合との相違点である。
【0108】
また、遠隔参列端末2からの操作により、音声入力と動画撮影を停止させる場合は、S2703において、自端末の映像及び音声の配信停止設定を行なう。例えば、図29において、映像の配信停止設定は映像停止操作部2111Fの操作により、音声の配信停止設定は消音操作部2111Eの操作によりそれぞれ実施される。該設定内容に対応する動画制御指令情報を受けたストリーム配信管理サーバ5では、S5703にて遠隔参列端末(1)からの動画・音声ストリームデータの配信停止処理を行なう。
【0109】
なお、葬儀ホスト端末3から送られてくる動画制御指令情報はストリームデータの宛先となるノード(端末)のIPアドレスを含むものであり、該動画制御指令情報を受け取ったストリーム配信管理サーバ5においては、配信対象となるストリームデータのヘッダに、このIPアドレスを組み込むことで配信制御を行なう。どの端末にストリームデータの配信を行なうかは、葬儀ホスト端末3、遠隔参列端末2あるいは式場用端末2’において、映像あるいは音声についてすでに説明済みの表示制御操作を実施することより、ストリーム配信先となる端末のIPアドレスを含む動画制御指令情報が生成され、これがストリーム配信管理サーバ5に通知されることで制御される。
【0110】
上記実施形態では、(例えば縮小表示等の形で)遠隔参列端末2において葬儀式ストリームデータとともに参列ストリームデータの再生・表示を行ない、式場用端末2’では参列ストリームデータとともに葬儀式ストリームデータの再生・表示を行なうようにしているが、遠隔参列端末2にて式場用端末2’で撮影取得される葬儀式ストリームデータの再生・表示のみを行ない、式場用端末2’にて遠隔参列端末2で撮影取得される参列ストリームデータの再生・表示のみを行なうようにしてもよい。一方、Zoom等の既存のビデオ会議システムを使用する場合、葬儀ホスト端末3、遠隔参列端末2あるいは式場用端末2’での表示制御操作により、遠隔参列端末2にて葬儀式ストリームデータの再生・表示を一時的に禁止すること、あるいは式場用端末2’にて遠隔参列端末2で撮影取得される参列ストリームデータの再生・表示を一時的に禁止することも可能である。
【0111】
仏式の葬儀式では、告別式が終了すると、出棺・火葬・収骨と続き、収骨立ち合い者を中心に親族ないし故人ととくに親しかった参列者を交え、「精進上げ」と称する会食がふるまわれる。本実施形態の遠隔葬儀システム1には、特に、香典やお供え物の申し出があった遠隔参列者に対する謝礼品として、この「精進上げ」に相当する弁当形態の仕出し料理を自動発注する機能が付加されている。
【0112】
図35は、仕出し料理発注処理の流れを示す。この処理は、葬儀ホスト端末3、料理受注端末6及び各地の仕出し料理店に置かれた複数の店舗端末7の間での、インターネット8を経由した通信処理によりなされる。この処理においては、まずS3801にて葬儀ホスト端末3が葬儀スケジュール情報を取得する。葬儀スケジュール情報は、ストリーム配信管理サーバ5から通信取得してもよいし、葬儀ホスト端末3にて葬儀スケジュール情報を作成した際にそのデータを葬儀ホスト端末3内に記憶保持したものを用いてもよい。S3802では、仕出し料理の配送指定時間を、葬儀スケジュール情報を参照して算出する。
【0113】
通常の規模の告別式であれば、開始から1時間程度で出棺となり、火葬・収骨を経て葬儀式場へ親族が戻るはそのさらに1~2時間後となる。よって、実参列者により精進上げの席が囲まれるのは告別式の開始時刻から早くて2時間後、遅くとも3時間後前後となる。ただし、上記のように、火葬・収骨が昼食時間にかかる場合は、精進上げの時刻を夕食時間付近に繰り下げることも行われる。
【0114】
ただし、これは実参列者の精進上げについての事情であり、遠隔参列者の場合は告別式が終了すれば、その日の葬儀関連行事は終わったと実感する人も多い。概して葬儀は急に催されるものであり、特に葬儀式が平日の場合、関係者のほとんどが万障繰り合わせて参列している関係上、その翌日以降の遠隔参列者の在宅スケジュールを予測することはほぼ不可能である。そして、仕出し料理の消費期限は多くの場合が調理当日一杯であることを考慮すると、精進上げに代わる仕出し料理を遠隔参列者のもとへ配送する時刻は、告別式当日に設定することが事実上必須であるとも考えられる。さらに考察すれば、
・葬儀式の開始から終了までの間は、遠隔参列者は参列登録された住所にて確実に在宅していると考えられる;
・葬儀式の開始前に仕出し料理が届くことは、参列者によっては不謹慎とみなす場合もあり得る:
といったことから、仕出し料理の配送指定時刻を、葬儀式の開始から1.5時間以降3時間以前の時間帯にピンポイントに設定することが望ましい。
【0115】
例えば図19に示す葬儀スケジュール情報には、告別式の開始時刻の情報が含まれている。上記実施形態における故人(「縦山えんたつ」)の場合は、2020年2月22日10:00となっている。この場合、仕出し料理の配送指定時刻は、11:30~13:00(例えば、12:00)と算出される。
【0116】
図35に戻り、葬儀ホスト端末3においてS3803では、図21に示す遠隔参列者登録リストを読み出し、S3804にて仕出し料理を配送する条件適合者(以下、配送適合者という)を検索・抽出する。本実施形態では、お供え又は香典の申し出のあった参列者を対象に仕出し料理を配送するので、図21の遠隔参列者登録リストにて「お供え/香典」のデータが「1」(あり)になっている参列登録者のレコードが抽出される。ただし、お供え/香典の有無に関係なく、遠隔参列者の全員に仕出し料理を配送するようにしてもよく、この場合は、S3804の検索・抽出処理は不要となる。他方、例えば香典の申し出のあった遠隔参列者用に、仕出し料理以外の特別謝礼品を、いわゆる香典返しとして発注するようにシステムを構成してもよい。
【0117】
続いて、S3805では、抽出された配送適合者の氏名、住所、電話番号、数量に、上記算出された配送指定時間を付加し、図36に示すような発注リストデータ605dを作成する。発注リストデータ605dは、図21の遠隔参列者登録リストから、「お供え/香典」のデータが「0」(なし)になっている参列登録者のレコードが除かれ、また、端末IPアドレスなど、配送に不要な情報が削除される一方、配送指定時間など配送に必要な情報を追加した内容となっている。
【0118】
ここで、発注リストデータ605dにおける「発注個数」の数値は、例えば葬儀連絡サーバ4の葬儀連絡対象者リスト(図16)に含まれる、遠隔参列端末2に対応する檀家世帯の人数で代用することも可能である。しかし、本実施形態のように、参列登録時に遠隔参列端末2から入力された値を使用することで、次のような利点を生ずる。
・葬儀連絡メールを受け、遠隔参列者により間もなくして入力される登録台帳情報を利用するので、遠隔参列の予定が変更されてしまう確率が低い。
・同じ檀家世帯であっても、その構成員のすべてが遠隔参列するとは限らず、一部の高齢者等やスケジュールのつかない人だけが遠隔参列となり、他の構成員が葬儀式場に実参列する、といったケースがあり得る。参列登録時の入力情報であれば、そうした檀家世帯ごとの参列事情を反映した正確な参列人数を把握できる。
なお、参列登録時の入力情報を、インターネット8を介して葬儀連絡サーバ4にフィードバックし、葬儀連絡対象者リストの内容を最新の内容に更新することも可能である。
【0119】
次に、図35のS3806では、作成された発注リストデータ605dが料理受注端末6に送信される。料理受注端末6はこれを受信し、発注リストデータ605d上の各レコードの配送先住所を読み取り、図37の店舗リストにて各配送先に最寄りの仕出し料理の店舗を検索する(S6801)。これらの店舗は、例えば同一内容の仕出し料理を調理・提供可能なチェーン店を構成するものである。本実施形態においては、図39に示すように、配送対象となる仕出し料理30は、工場で調理された食材が弁当形態に容器詰めされたものであり、各店舗の冷凍庫31に所定数量ストックされている。
【0120】
図35に戻り、料理受注端末6においてS6802では、検索された店舗別に発注リストデータ605dを分解し、図38に示すような店舗別の発注データ6051を作成すする。発注データ6051は、例えば注文者、注文者住所、注文者電話番号、注文者メールアドレス(以上、例えば喪主による情報となる)、配送先氏名、配送希望時間、配送先住所、配送先電話番号、数量(以上、発注データ6051から分解されたデータである)、商品名(料理受注端末6で挿入される)の情報を含む。該発注データ605が各店舗端末7に送信される(S6803,S6804)。
【0121】
店舗端末7では発注データ6051を受信し、図39に示すように、直ちに指示数量分の仕出し料理30を冷凍庫から取り出し、店舗に設置されたスチームコンベクション装置32にセットして解凍・加熱調理を行なう。スチームコンベクション装置32の効用は絶大であり、セットから10~20分で解凍・加熱が完了し、店舗エリア内の最寄りの配送先まで例えば40分以内で配送を行なうようにすれば、例えば、受注から配送完了まで60分以内に配送サービスを完了できる。
【0122】
この方式を採用することにより、葬儀ホスト端末3では料理受注端末6にて発注リストデータ605dの作成に必要な、遠隔参列者登録リストの確定及び料理受注端末6への送信を、葬儀式開始にかなり近い時刻まで留保することができる。その結果、葬儀式開始直前に滑り込みで登録完了した遠隔参列者等ももれなく吸い上げることが可能となり、参列人数変更などへの対応も容易となる。例えば、葬儀式開始の1時間前まで、あるいは最悪、葬儀式の開始とほぼ同時に遠隔参列者登録リストを料理受注端末6へ送信したとしても、料理受注端末6において発注データ6051を自動生成し、各店舗端末7にこれが送信されるまでの時間は、コンピュータ処理により長くても数分であるから、前記のように計算された配送指定時刻に十分間に合わせることができる。
【0123】
なお、配送される仕出し弁当の種類については、上記のように画一的に定めておいてよいし、例えば参列登録時において遠隔参列者が、複数種類のメニューから希望するものを選択できるようにしてもよい。
【0124】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、あくまで例示であって、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、仕出し料理の発注機能については省略することも可能であるし、仕出し料理に代えて会葬御礼品(例えば、ハンカチ、ハンドタオル、味付け海苔パックなどのようなもの)を謝礼品として定め、全ての遠隔参列者に対し一律に配送されるように発注を行なうシステムとしてもよい。
【符号の説明】
【0125】
1 遠隔葬儀システム
2 遠隔参列端末
2’ 式場用端末
3 葬儀ホスト端末
4 葬儀連絡サーバ
5 ストリーム配信管理サーバ
6 料理受注端末
7 店舗端末
8 インターネット(公共通信網)
15 無線通信携帯端末
20 無線基地局
30 料理
31 冷凍庫
32 スチームコンベクション装置
200 マイコン
202a ワークエリア
202c ストリーミングキューメモリ
202d 映像設定パラメータメモリ
202e 音声設定パラメータメモリ
204 入出力部
205a インターネットブラウザソフト
205b ビデオ会議アプリケーション
205c メーラーソフト
206 バス
207 ルータ
210 参列側モニタ
210’ 式場用モニタ
211 入力部
212 カメラ
213 マイク
214 スピーカ
300 マイコン
302a ワークエリア
302c ストリーミングキューメモリ
302d 映像設定パラメータメモリ
302e 音声設定パラメータメモリ
302h 参列遠隔参列端末登録リストメモリ
304 入出力部
305a インターネットブラウザソフト
305b ビデオ会議アプリケーション
305c メーラーソフト
305d 料理発注プログラム
305e 葬儀連絡対象者リスト記憶部
306 バス
307 ルータ
310 ホスト側モニタ
310B 表示ボタン
311 入力部
312 カメラ
313 マイク
314 スピーカ
400 マイコン
404 入出力部
405a 檀家管理プログラム
405c メーラーソフト
405d 檀家リストデータ記憶部
405e 葬儀連絡対象者リスト記憶部
406 バス
407 ルータ
410 モニタ
411 入力部
500 マイコン
504 入出力部
505a ビデオ会議サーバ制御プログラム
505b 参列登録部
505c 葬儀スケジュール情報登録部
506 バス
507 ルータ
511 モニタ
512 入力部
600 マイコン
604 入出力部
605a 注文管理プログラム
605b 調理・配送指示プログラム
605c 店舗リスト記憶部
605d 発注リストデータ
606 バス
607 ルータ
611 モニタ
612 入力部
700 マイコン
704 入出力部
705a 受注管理プログラム
706 バス
707 ルータ
710 モニタ
711 入力部
2101 登録ページ画面
3050 葬儀連絡メール
3050C アクセスURLリンク
3051 葬儀開始案内メール(招待メール)
3051A 参列ボタン
3051C 参列登録ボタン
3100 スケジュール設定画面
3101 ホスト側登録画面
3103 カスタム追加項目設定画面
3104 追加入力項目設定画面
3105 遠隔参列端末登録リスト画面
3121 映像表示画面

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39