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  • 特開-加水融合燃料の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022019473
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】加水融合燃料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C10L 1/32 20060101AFI20220120BHJP
【FI】
C10L1/32 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020136021
(22)【出願日】2020-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】320004157
【氏名又は名称】アトラスコア合同会社
(72)【発明者】
【氏名】志田 弘
【テーマコード(参考)】
4H013
【Fターム(参考)】
4H013DC00
4H013DC07
(57)【要約】
【課題】 基の燃料と同等以上の性能の加水燃料の製造に於いて、世界各地の水に対応するために原料水の硬度、成分の許容範囲を拡大しても工業あるいは商業ベースに乗る大量で連続生産の可能な仕組みを提供する。
【解決手段】 原料水に対する許容範囲の広い融合添加剤の利点と、原料水の許容範囲は狭いが加水率の大きな目に見えないウルトラファインバブルの泡を利用して空気中の二酸化炭素の大量取込みで、炭化水素の生成を促進できる方法の利点を組合せすることにより、原料水の改質に費用のかからない方法により加水燃料の工業あるいは商業ベースに乗る大量で連続生産の可能な製造方法である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料基油50容量%と原料水25容量%~40容量%と融合添加剤10容量%~25容量%を混合して加水燃料を製造する加水融合燃料の製造方法に於いて、
硬度が120mg/m以下の軟水を前記原料水として、該原料水を水改質槽内で高速回転する撹拌翼によって撹拌することにより剪断して細分化する処理と、該原料水に超音波を印加する処理と、細分化され超音波が印加された前記原料水を水のイオン化を促進する触媒材料に接触させることによりイオン化を促進する処理とを行うことにより前記原料水が細分化され、イオン化が進んだ状態に改質する水改質工程と、
前記燃料基油に超音波を印加する処理と前記燃料基油を油改質槽内で高速回転する撹拌翼によって撹拌する処理とを行うことにより分子の細分化とイオン化された状態に改質する燃料基油改質工程と、
前記水改質工程により細分化とイオン化が進んだ状態に改質された原料水と前記燃料基油改質工程により細分化とイオン化された燃料基油とを、界面活性力のある融合添加剤と共に精製撹拌槽内に投入して、原料水と燃料基油と融合添加剤とを高速回転する撹拌翼により撹拌して混合することにより燃料基油と原料水と融合添加剤との混合流体を生成するとともに、該精製撹拌槽内の混合流体にウルトラファインバブル発生装置を通して空気又は二酸化炭素ガスのウルトラファインバルブを注入することにより、原料水と燃料基油と融合添加剤の混合流体を、水の水素イオンとイオン化された二酸化炭素の炭素イオンとの反応により生成された炭化水素を多く含む状態に精製する混合流体精製工程と、
前記混合流体精製工程を経て精製された混合流体を加熱・加圧槽内で加熱及び加圧することにより融合させて加水融合燃料を生成する加熱・融合工程と、
前記加熱・融合工程により得られた生成物を沈殿槽に送って静置することにより加水融合燃料としては不要な物質を沈殿させる静置沈殿工程とを行って、
前記沈殿槽内の生成物から沈殿物を除いた部分を加水融合燃料として取り出すこと、
を特徴とする加水融合燃料の製造方法。
【請求項2】
前記原料水は硬度120mg/m以下の軟水で、電気伝導度50ms/m以下、Na+K+イオン1meq/l以下、Ca2+イオン4meq/l以下、Mg2+イオン4meq/l以下、Cl-イオン1meq/l以下、HCO3-イオン2meq/l以下、SO4,2-NO3,-イオン1meq/l以下、
を基準とする請求項1に記載の加水融合燃料の製造方法。
【請求項3】
前記融合添加剤は、カタラーゼ0~4容量%と、オレイン酸55~65容量%、プロピレングリコール10~15容量%、メチルアルコール15~25容量%、アンモニア水5.5~8.8容量%(25%溶液として)を含むことを特徴とする請求項1ないし2に記載の加水融合燃料の製造方法。
【請求項4】
前記水のイオン化を促進する触媒材料は、トルマリン、黒曜石、真珠岩、松脂岩、及び花崗岩を含む鉱物群の中から選択された少なくとも一つの鉱物及び(又は)アルミニウム、マグネシウム、マンガン、ナトリウム、亜鉛、銅、鉄、ニッケル、チタン、カルシウム及びケイ素を含む金属群から選択された少なくとも一つの金属及び(又は)SiO2、Al2O3を主成分とする鉱石を含むセラミックからなり、該触媒材料に超音波による照射をして励起させイオン化を促進させる請求項1ないし3に記載の加水融合燃料の製造方法。
【請求項5】
前記燃料基油改質工程に於いて、前記油改質槽内の燃料基油を超音波による前記触媒材料を励起させ、該燃料基油のイオン化を促進することを特徴とする請求項1ないし4に記載の加水融合燃料の製造方法。
【請求項6】
前記水改質工程、前記燃料基油改質工程及び前記混合流体精製工程で高速回転させる撹拌翼は、中央に大貫通孔を有し、その周囲に多数の小貫通孔を有する混合エレメントを多数枚積層した積層体の構造を有して、中央の大貫通孔を通して積層体内に流入させた流体を該積層体の回転に伴って生じる遠心力により複数の混合エレメントに分流させて該流体が積層体内の入り組んだ流路を通過する間に混合エレメントから流体に剪断力を繰り返し作用させることにより該流体の混合と細分化とを行う回転翼であって、100rpm以上800rpm以下の回転速度で回転させられることを特徴とする請求項1ないし5の何れか一つに記載の加水融合燃料の製造方法。
【請求項7】
前記混合流体精製工程では、前記精製撹拌槽内で回転する撹拌翼により撹拌され、混合された燃料基油と原料水と融合添加剤との混合流体を、超音波によるナノレベルの細分化とイオン化を図る機能を有する混合器に通すことにより更に細分化とイオン化するナノレベル細分化処理とイオン化促進処理を行うことを特徴とする請求項1ないし6の何れか一つに記載の加水融合燃料の製造方法。
【請求項8】
前記混合流体精製工程を経て精製された混合流体を加熱・加圧槽内で加熱及び加圧する際の加熱温度は25℃ないし90℃の範囲に設定され、加熱・加圧槽内の圧力は2気圧ないし15気圧の範囲に設定されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一つに記載の加水融合燃料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料油に対し水と融合添加剤を加えた混合燃料で、基の燃料油と比べ透明度・燃費性能もほぼ同等な加水融合燃料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から燃料費削減や公害物質排出削減のために、燃料油に水を混ぜた所謂エマルジョン燃料が作られているが、加水率は15%から20%位で、燃費削減や公害物質排出削減にもあまり寄与せず、逆にエマルジョンの中に含む水による燃焼温度が下がり、且、外部からの空気調整のための設備の改良に費用がかかることが欠点となり、あまり普及していないのが現状である。
【0003】
特許文献1は、当発明者が出願したもので自動車などに使われている軽油は水が検出されるとエンジンが壊れてしまうので、自動車に使う場合には加水燃料であっても水の検出は許されないことや、日本では行政の許可が無い限り加水燃料を自動車に使うことが出来ないことから、特許文献1の当発明者が出願したこの方法を中国や東南アジアの地域で試験したところ試験場所によって透明にならなかったり、直ぐに分離したりすることが発生した事からこの原因を追究し、日本以外でも問題なく利用できるようにしなければならないことが判明した。
【0004】
特許文献2には、炭素数16以上の脂肪酸からなる界面活性剤とグリコール系アルコールとメタノール等のアルコール類と25%アンモニア水からなる加水燃料用添加剤であり、該加水燃料用添加剤と燃料油と水を一定割合で混合すると透明で安定化した加水燃料が生成されると開示されているが、加水燃料用添加剤の配合割合が20重量部を超えると、水を可溶化し燃料油に包含されても、燃料油の配合割合が相対的に減るため十分な燃焼効率と燃焼カロリーが得られない傾向があると述べられており、且つ実施例の水の配合割合が20容積%と少ないことはコスト面や環境面に大きく寄与するとは言えない。
【0005】
特許文献3は、炭素数16以上の脂肪酸(オレイン酸)とプロピレングリコールとシクロヘキシルアミンとメタノールと25%アンモニア水を定量混合した可溶化組成物と、燃料油とpH11以上、酸化還元電位-600mV以下の水を定量混合することにより安定した加水化燃料を作ることを開示しているが、pHや酸化還元電位を規定していながら、実施例の水の配合割合が20容積%と少ないことは特許文献2と同じようにコスト面や環境面に大きく寄与するとは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開第2019-189870号
【特許文献2】特開第2015-172197号
【特許文献3】特開第2016-74858号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の試験機をインドネシアのボゴール市の水を使って燃料油の50容量%に対して水の50容量%とカタラーゼ1容量%を指定の方法で混ぜたところ白濁して透明にならず、時間が経つと2層に分離する事が判明した。
日本の水は軟水が多いためにミネラル分も極端な開きは無いことが知られているが、インドネシアのボゴール市の水に問題があると推定し、化学的分析を行った。
【0008】
又特許文献2での加水バイオ燃料用添加剤の製造方法により作成した該加水バイオ燃料用添加剤2.0kgと燃料油として軽油6.0kgを10分攪拌した液に普通の水道水2.0kgを入れ10分攪拌して、その状態を観察したところ少し曇って見えるても問題は無かったが、同じ方法で軽油6.0kgに水道水を2.5kg及び3.0kgを各々10分攪拌したところ、どちらも白く濁り12時間後には2層に分離してしまった。
この事から水の配合比率20%をもう少し増やすことが出来ないとコスト面や環境面に寄与することが難しい事が判明した。
【0009】
特許文献3は特許文献2と同様の可溶化添加剤を提案をしており、混ぜる水についてpH11以上、酸化還元電位ー600mV以下と開示しているが、水の配合比率は実施例では軽油60%、水20%、可溶化組成物20%と報告されている事から、水の配合比率20%をもう少し増やすことが出来ないとコスト面や環境面に寄与することが難しい。
特許文献1、特許文献2及び特許文献3に共通する問題として混ぜる水の性状が重要な要素と考えられる。
【発明が解決するための手段】
【0010】
加水燃料の実用化を図るためには、透明度及び燃焼性能が共に基の燃料油と同等である加水燃料を、工業、商業ベースに載せるために必要な量産性及び連続生産性を持たせて製造する方法を開発することが必要であり、そのためにはイオン化された二酸化炭素の炭素イオンと原料水の水素イオンとを急速に結合させて多くの可燃性炭化水素を短時間で生成することを可能にする仕組みと、生成品の白濁を防ぐための仕組みとを工夫することが必須であるが、特許文献1は当発明者が出願したものであるが、日本での水道水や井戸水等の使用では何ら問題なく生成出来ながら海外の水、例えばインドネシアのボゴール市の水を使った試験では、白濁して直ぐに分離してしまったので、その原因を追究するために各地の水の性状を分析し、その結果を図1図2及び図3に示すように海外でもコストのあまりかからない水の性状を規定する範囲が必要であることを見出した。
【0011】
日本での軽油の加水燃料は自動車での利用には国の規制があるので、海外での利用が求められているために、燃料油と融合添加剤の混合による水の20容量%までの融合可能量に制限されない水の硬度、電気伝導率、主要残存成分の許容値を最大限緩和した数値を試験の結果を導くことで、水の量を40容量%まで混入できたことから、海外に於ける水の改質費用を飛躍的に押さえられることが判明した。
【0012】
本発明は、燃料油に対し水と融合添加剤を加えた混合燃料で、基の燃料油と比べ透明度・燃費性能もほぼ同等な加水融合燃料の製造方法に関するもので,本発明に於いては硬度が120mg/L以下の軟水で主要残存成分を図1,3に示す基準値の原料水として、該原料水を水改質槽内で高速回転する撹拌翼により撹拌することにより剪断して細分化する処理と、該原料水に超音波を印加する処理と、細分化され超音波が印加された前記原料水を水のイオン化を促進する触媒材料に接触させることによりイオン化を促進する処理とを行うことにより前記原料水を細分化されイオン化が進んだ状態に改質する水改質工程と、燃料基油に超音波を印加する処理と前記燃料基油を油改質槽内で高速回転する撹拌翼によって撹拌する処理とを行うことにより前記燃料基油の分子を細分化された状態に改質する燃料基油改質工程と、前記水改質工程によりイオン化が進んだ状態に改質された原料水と前記燃料基油改質工程により細分化された燃料基油とを、酸素を析出させる働きをする添加剤カタラーゼと共に精製撹拌槽内に投入して、該精製撹拌槽内に投入した原料水と燃料基油と添加剤とを高速回転する撹拌翼により撹拌して混合することにより燃料基油と原料水と融合添加剤との混合流体を生成するとともに、該精製撹拌槽内の混合流体内にウルトラファインバブル発生装置を通して空気又は二酸化炭素ガスのウルトラファインバルブを注入することにより、該混合流体内に二酸化炭素を取込んで、原料水と燃料基油との混合流体を、水の水素イオンとイオン化された二酸化炭素の炭素イオンとの反応により生成あるいは包含された炭化水素を多く含む状態に生成する混合流体精製工程と、前記混合流体精製工程を経て生成された混合流体を加熱・加圧槽内で加熱及び加圧することにより融合させて、加水燃料を生成する加熱・融合工程と、前記加熱・融合工程により得られた生成物を沈殿槽に送って静置することにより加水融合燃料としては不要な物質を沈殿させる静置沈殿工程と、前記沈殿槽内の生成物から沈殿物を除いた部分を加水融合燃料として取り出す工程とを行うことを特徴とする。
【0013】
本発明の方法では、燃料基油改質工程により基油の分子を細分化して(分子集合体を分離させて)反応し易い状態にしてから、融合添加剤と混合流体精製工程で攪拌しながら水改質工程により原料水をイオン化が進んだ状態にして、該混合流体精製工程で攪拌しながら該混合流体内にウルトラファインバブルの形で空気中の二酸化炭素又は二酸化炭素ガスボンベ内の二酸化炭素を効率よく取込んで、イオン化された水の水素イオンとイオン化された二酸化炭素の炭素イオンとを反応あるいは結合させることにより可燃性を有する炭化水素を短時間で多く生成あるいは包含させた後に、可燃性を有する炭化水素を多く含んだ混合流体を加熱融合するので、白濁したり、短時間で燃料油と水とに分離したりすることがなく、しかも燃焼性能が高い加水燃料を短時間で効率よく製造することができる。
【0014】
上記水のイオン化を促進する触媒材料は、トルマリン、黒曜石、真珠岩、松脂岩、及び花崗岩を含む鉱物群の中から選択された少なくとも一つの鉱物及び(又は)アルミニウム、マグネシウム、マンガン、ナトリウム、亜鉛、銅、鉄、ニッケル、チタン、カルシウム及びケイ素を含む金属群から選択された少なくとも一つの金属及び(又は)SiO2、AlO3を主成分とする鉱石を含むセラミックからなっている加水融合燃料の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明の方法によれば、燃料基油改質工程により基油の分子を細分化して(分子集合体を分離させて)反応し易い状態にしてから、融合添加剤と混合流体精製工程で攪拌しながら水改質工程により原料水をイオン化が進んだ状態にして、該混合流体精製工程で攪拌しながら該混合流体内にウルトラファインバブルの形で空気中の二酸化炭素又は二酸化炭素ガスボンベ内の二酸化炭素を効率よく取込んで、イオン化された水の水素イオンとイオン化された二酸化炭素の炭素イオンとを反応させることにより可燃性を有する炭化水素を短時間で多く生成あるいは包含させた後に、可燃性を有する炭化水素を多く含んだ混合流体を加熱融合するので、白濁したり、短時間で燃料油と水とに分離したりすることがなく、しかも燃焼性能が高い加水燃料を短時間で効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に於る試験用原料水の主要残存成分のヘキサダイアグラム図である。
図2】本発明に依る原水収集地と原料水の性状表である。
図3】本発明に依る原料水の最大許容成分基準の表である。
図4】本発明に依る加水融合燃料の製造方法の工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に依る加水融合燃料の製造方法について説明するが、本実施例で示される加水燃料の全体的な構成、数値は下記に述べる実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で同一の作用効果を発揮できる形状、組合せ、容量、回転数及び寸法の範囲内で変更することができるものとする。
【0018】
油改質工程に於ける油改質槽の油温は25℃から40℃とし、必要に応じて加熱装置を利用し、超音波の照射は10KHzから60KHzと200KHz以上を交互に照射することで、基油の微細化と均一化を行う。尚油イオン化のために水のイオン化層と同じタイプの鉱物や金属を混合した層管を設けて、超音波の照射を行うことで基油のイオン化された微細な油粒子を発生させることも基油の種類によっては有効になる。
【0019】
原水が硬度120mg/L以下、電気伝導度50ms/m以下、Na+K+イオン1meq/l以下、Ca2+イオン4meq/l以下、Mg2+イオン4meq/l以下、Cl-イオン1meq/l以下、HCO3-イオン2meq/l以下、SO4,2-NO3,-イオン1meq/l以下の場合は軟水器を使い基準の水になるように調整する方法と、水の中に含まれるNa、Ca、Mg等の陽イオンや塩素、炭酸といった陰イオンをイオン交換樹脂の働きで除去して純水を造り、該純水を原水に適量混ぜることで規定の水に調整する方法のどちらかの水を次工程の水改質工程に送られる。
【0020】
水改質工程に於ける水改質槽の水の温度は25℃から60℃で設定し、必要に応じて加熱装置を利用し、酸化還元電位ORPは100mVから-300mVが最適であり、超音波の照射は10KHzから60KHzと200KHz以上を交互に照射することで、水の中の酸素が放出され含有水素比率が向上し、網状の筒からなる水微細イオン化層内の鉱物として前記水のイオン化を促進する触媒材料は、トルマリン、黒曜石、真珠岩、松脂岩、及び花崗岩を含む鉱物群の中から選択された少なくとも一つの鉱物及び(又は)アルミニウム、マグネシウム、マンガン、ナトリウム、亜鉛、銅、鉄、ニッケル、チタン、カルシウム及びケイ素を含む金属群から選択された少なくとも一つの金属及び(又は)SiO2、Al2O3を主成分とする鉱石を含むセラミックからなる物質を組合せて使用することができる。
【0021】
精製攪拌工程に於ける二酸化炭素発生工程のウルトラファインバブル発生装置によりコンプレッサー又は炭酸ガスボンベで精製攪拌槽の下部の方から圧入・循環させることで該精製攪拌工程での水素原子と炭素原子の結合が設備の大小にかかわらず高効率で行われることが可能となる重要な要素である。尚該精製攪拌槽の下部にUFBの発生可能なウルトラファインバブル発生装置を複数設置することで、更なる高効率の水素原子と炭素原子の結合を実現でき、大形の槽にも対応できる。
該ナノバブル発生装置の具体的な仕組みはウルトラファインバブルを発生させる方法としてIDEC株式会社のGALF理論を利用して、ポンプで水を圧送し、その管路を狭めて流速をあげることにより、ポンプ圧送圧の大部分を動圧に変換し静圧を下げ、空気の負圧吸引を行い、圧送されてきた水と吸引された空気は、気液混相状態となった後、再び管路を広げることで流速を落とし、動圧から静圧へ圧力の変換を行い加圧溶解を行い、一気に大気圧下に吐出されることで水は過飽和状態になるため、大量かつ微細な析出気泡が発生する装置を使用することができる。
更に他のウルトラファインバブルを発生させる方法として株式会社ナノクスのナノクイックラモンドナノミキサーのハニカム構造により連続した高せん断力によりウルトラファインバブル(ナノバブル)を発生させて、そのバブルに空気や二酸化炭素を含ませる事ができる。
【0022】
加熱・加圧工程では前工程からの生成品はまだ半透明状態(透明度60%位)のため、加熱・加圧槽の中で加熱温度は25℃から90℃、加圧力は2気圧から15気圧に設定して稼働させることで透明度80%以上にして次工程に送る。尚透明度とは基油を基準にして同じレベルなら100%と規定する。
【0023】
静置沈殿工程では静置沈殿槽に送られてきた製品を規定の時間で静置沈殿させ、下部の円錐部分に未反応の沈殿物が溜まり、円筒部分には完成した生成品が溜まる。透明度測定により透明度100%近似の判定で完成した生成品として取り出される。尚沈澱部の未反応沈殿物はフィルターを通して精製攪拌槽に戻されて再利用できる。
【0024】
生成された燃料の分析に於いて水分が殆ど検出されないのは、水分子が分解されて生じた水素イオン(H+)、水酸化イオン(OH-)あるいはヒドロキシルイオン(H3O2-)がイオン性界面活性剤として働き、イオンが燃料油を構成する炭化水素の分子と結合する、あるいは炭化水素の分子間に存在する狭い空隙に入り込むなどして、油と水の分離防止のための特別な界面活性剤などの添加剤を用いることなく、長時間分離しない安定した加水燃料が生成される。
【実施例0025】
基油を200rpmの微細攪拌回転翼と超音波発生器により微細化された処理基油50リットルと、40リットルの軟水(硬度120mg/L以下)を超音波発生器で励起させた水微細イオン化層を通し、200rpmの微細化攪拌回転翼で微細均質化させた処理水40リットルの合計90リットル以上の容量に見合う精製攪拌槽の中で200rpmの回転で攪拌しながら、融合添加剤10リットルを投入して該精製攪拌槽の中で攪拌しながら、ファインナノバブル発生装置を使い空気を取込み、目に見えない程のファインナノバブルを10分間循環させる。
この時の融合添加剤はカタラーゼ4容量%、オレイン酸60容量%、プロピレングリコール12.5容量%、メチルアルコール20容量%、アンモニア水7容量%(25%溶液として)であり、混合攪拌させた試料を作成し、その試料を加熱40℃、加圧5気圧で10分間処置した透明感のある生成品を製造し、その後8時間後の生成品を観察したところ白濁や分離もしていない。
【実施例0026】
基油を200rpmの微細攪拌回転翼と超音波発生器により微細化された処理基油50リットルと、融合添加剤25容量%を精製攪拌槽に投入して該精製攪拌槽の中で攪拌しながら、 軟水(硬度120mg/L以下)で許容基準内の水を超音波発生器で励起させた微細イオン化層を通し、200rpmの微細化攪拌回転翼で微細均質化させた処理水25リットルの合計100リットル以上の容量に見合う精製攪拌槽の中で200rpmの回転で5分攪拌した後、ウルトラファインバブル発生装置を使い空気を取込み、目に見えない程のウルトラファインバブルを10分間循環させる。
この時の融合添加剤はカタラーゼ0%、オレイン酸60容量%、プロピレングリコール12.5容量%、メチルアルコール20容量%、アンモニア水7容量%(25%溶液として)であり、混合攪拌させた試料を作成し、その試料を加熱40℃、加圧5気圧で10分間処置した透明感のある生成品を製造し、その後8時間後の生成品を観察したところ白濁や分離もしていない。
【0027】
実施例1及び実施例2以外にも考察試験を行ったところ、燃料基油50容量%と原料水25容量%~40容量%と融合添加剤10容量%~25容量%を混合して加水燃料を製造する加水融合燃料の製造方法に於いて、原料水25容量%以上と融合添加剤25容量%以下で融合する形態に変移点があることが推測できる。
原料水25容量%までは融合添加剤の作用が優先されるが、原料水が25容量%以上になると融合添加剤が相対的に減ってくる関係で、水のイオン化と細分化によるイオン化された水の水素イオンとイオン化された二酸化炭素の炭素イオンと反応し、可燃性を有する炭化水素を短時間で多く生成あるいは包含させることができる。
【0028】
又実施例1及び実施例2は大量生産や連続生産の例ではないが、攪拌精製時間と加熱、加圧時間が各々10分と極めて短い時間での生成品の結果や、空気又は二酸化炭素を光の波長より小さい目に見えない200nm以下のバブルのウルトラファインバブル(UFB)を発生させるUFB発生装置で循環させることの組合わせで、水素原子と炭素原子の結合による炭化水素の反応速度や反応量を飛躍的に向上させる事ができるため、実験室より短時間の反応が必要な工業的、商業的生産にも十分に成り立つ事が可能であり、
日本国内の軟水やきれいな水ばかりでない中国や東南アジアの硬度の高い水を利用しても極端な水の改質のための費用の負担を軽減できる範囲を見出したことは世界的な二酸化炭素の削減や再生可能エネルギーに寄与できる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明に於いて製造された加水融合燃料は40容量%近い水を変質させて、基油と同じ性質を持たせることができることは、再生可能エネルギー燃料として認められている植物由来のバイオディーゼル油を基油として生成された加水燃料をディーゼル発電機や自動車のディーゼルエンジンに使用することで、燃料費削減や公害物質排出削減に寄与することができ、更に今盛んに研究されている藻から取れる植物油も、この技術を取り入れることで経済的に成り立つ時期が早まることが期待できる。
図1
図2
図3
図4