IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社佐原の特許一覧

<>
  • 特開-マスクの補助具 図1
  • 特開-マスクの補助具 図2
  • 特開-マスクの補助具 図3
  • 特開-マスクの補助具 図4
  • 特開-マスクの補助具 図5
  • 特開-マスクの補助具 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022019481
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】マスクの補助具
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220120BHJP
   A62B 18/08 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020136031
(22)【出願日】2020-07-17
(71)【出願人】
【識別番号】504254770
【氏名又は名称】株式会社佐原
(72)【発明者】
【氏名】菅原 和嘉
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA08
2E185CC32
(57)【要約】
【課題】不織布の使い捨てマスクでは、マスク着用者の呼吸によりマスクの口元の膨らんだ部分が吸い込み時に引き込まれ、着用者の口元や鼻先に不織布の繊維が接触することで不快感及び息苦しさを感じていた。
【解決手段】本発明のマスク補助具は、両端部に1対の舌片21と押さえ板23で構成された差し込みクリップ2が一本の棒状ブリッジ3で繋がれており、マスク端部の厚み方向にクリップ部2を差し込むことでマスク補助具1はマスク5に保持される。棒状ブリッジ3の中央部を逆V字形状に折り曲げて残留変形させることでマスク5の内側に前記折り曲げ部分が接触し、吸い込み時でもマスクの膨らみが保たれる。マスク5とマスク補助具1により、鼻及び口周りとの間に空間4が保たれるので皮膚に接触せず、不快感及び息苦しさを解消することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
舌片と押さえ板で構成された両端1対の差し込みクリップを有し、前記1対の差し込みクリップは、略長方形のマスクの縦方向両端部の厚み方向に、前記舌片と前記押さえ板の間に差し込むことで前記舌片の弾性力で係止し、逆V字形状に折り曲げることで残留変形にて形状を保持する一本の棒状ブリッジで繋がれていることを特徴とするマスク補助具。
【請求項2】
前記差し込みクリップの前記舌片又は前記押さえ板の表面に、小さな突部を有していることを特徴とする請求項1に記載のマスク補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布の使い捨てマスクの口元の膨らみを保つために用いられるマスク補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
不織布の使い捨てマスクは、マスク着用者の呼吸により、マスクの口元の膨らんだ部分が吸い込み時に引き込まれ、着用者の口元や鼻先に不織布の繊維が接触することで、不快や息苦しさが感じられている。これを解消するために鼻の部分と口元の2か所にポリプロピレンなどからなる薄板をマスクの不織布の中に入れ込まれたマスクが知られている。(特許文献1~3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-93528号公報
【特許文献2】特許第5373994号公報
【特許文献3】実開昭61-60954 公開実用新案広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
不織布の使い捨てマスクは、使用した後に捨てるという性質上、安価でなければならないことから前述の口元に薄板を入れ込まれたものは少なく、鼻の部分にのみ入れ込まれたものが多く普及している。
特許文献1に記載のマスク保型具では、長円状の薄板を湾曲させてマスク本体に熱融着で取り付けられており、マスクの廃棄と共に使い捨てる。マスク保型具を捨てずに数回使用するためには、着用者が容易に取り付け、取り外しが出来なければならず、取り付け、取り外しが困難であるという課題があった。
【0005】
特許文献2に記載のマスク補助具では、着用者が取り付け、取り外しが容易にできるものの補助具本体が着用者の鼻の下、あご、口の両脇、すなわち口の周辺に接触している。着用者は接触部に違和感を持つことと、長時間着用することで汗ばみ、皮膚にかぶれなどの炎症を起こす要因となることが課題であった。
【0006】
特許文献3に記載のマスク取付具は、左右両端に係止片を有しているので着用者が取り付け、取り外しが容易にできるものの、折りたたみ自在で前方に突出させた形状の本体は、通気穴を設けているため本体が大きくなり、着用者の口周りに接触しやすくなっていたことや、着用者が個々の着用者の顔の形状に前記本体の突出具合を調節できないので、マスクの顔への密着性が損なわれ、かつ着け心地が良くなかった。また形状が複雑なので製造コストが高かった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題をまとめると、着用者がマスク補助具を取り付け、取り外しを容易にできないこと、前記マスク補助具が装着時に着用者の口周りに接触すること、マスク補助具の膨らみを着用者が調整できないのでマスクの密着性が劣ること、製造コストが安価でないことが課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明のマスク補助具は次の技術的手段を有する。
略長方形のマスク本体の両側に装着紐を配したマスクで、更に前記マスク本体に膨らみを持たせて着用者の口の前に空間を形成するようにしたマスクに取り付けられて前記空間を確保するためのマスク補助具において、舌片と押さえ板で構成された両端1対の差し込みクリップを有し、前記1対の差し込みクリップは、略長方形のマスクの縦方向両端部の厚みに、前記舌片と前記押さえ板の間に差し込むことで前記舌片の弾性力で係止し、逆V字形状に折り曲げることで残留変形にて形状を保持する一本の棒状ブリッジで繋がれていることを特徴とする。マスク補助具は、前記マスク本体のマスクの縦方向の辺(短辺)端部の厚み方向に、両端それぞれに前記差し込みクリップを差し込むことで前記マスク本体に取り付け保持される。
【0009】
前記一本の棒状ブリッジはポリプロピレン又はアルミニウムなどの材質からなり、着用者の弱い力で中央部を逆V字形状に折り曲げることで残留変形が生じ、前記マスク本体の内側に前記逆V字形状の棒状ブリッジの頂点部分が接触するので口周りに前記マスクの膨らみを保持することができる。 前記残留変形は着用者が前記逆V字形状に折り曲げ度合いを調節することで前記逆V字形状の角度が調整できることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のマスク補助具は、略長方形の前記マスクにおいて、前記マスクの縦方向の辺(短辺)端部の厚み方向に、それぞれ舌片と押さえ板で構成された両端1対の差し込みクリップを有し、前記1対の差し込みクリップは一本の棒状ブリッジで繋がれて一体となっている。着用者がマスク縦方向の両端部にそれぞれ前記舌片と前記押さえ板の間に差し込むことで前記舌片の弾性力で係止し、マスク補助具は前記マスクに容易に取り付けることが出来る。
前記マスクに前記1対の差し込みクリップを取り付けた状態で、前記1本の棒状ブリッジを着用者の弱い力で中央部を逆V字形状に折り曲げることで残留変形が生じ、前記マスクの内側に前記逆V字形状の棒状ブリッジの頂点部分が接触するので口周りに前記マスクの膨らみを保持することができる。よって息苦しさが緩和される。前記マスクとマスク補助具は前記膨らみにより口周りの皮膚に接触しないので、違和感及び接触による皮膚のかぶれなどの心配はない。また、口紅などがマスクに付着することもないので汚れにくくなり、口周りの化粧の乱れを防ぐことができる。
【0011】
前記マスクを廃棄する時には、前記マスク縦方向の両端部に差し込まれた前記差し込みクリップの舌片と押さえ板の間からマスク本体の不織布を引き抜くことで、前記マスク補助具を前記マスクから容易に取り外すことができるので、次の新しいマスクに容易に取り付けることで複数回の使用が可能となる。
【0012】
前記一本の棒状ブリッジはポリプロピレン又はアルミニウムなどの材質で作られており、着用者の弱い力で中央部を逆V字形状に折り曲げることで残留変形が生じ、前記マスクの内側に前記逆V字形状の棒状ブリッジの頂点部分が接触するので口周りとマスクに空間ができ、前記マスクの膨らみを保持することができる。 前記残留変形は着用者が前記逆V字形状に折り曲げ度合いを調節することで前記逆V字形状の角度が調整できるので、着用者の顔の形状に適合する角度に自らが調節することによりマスクの密着性が保たれ、かつ着け心地を良くすることができる。
【0013】
本発明のマスクの補助具は、略平面状の舌片と押さえ板からなる1対の差し込みクリップと、一本の棒状ブリッジで構成されており、単純な形状のため材料の体積が小さく材料費用が低くなる。更に前記マスク補助具を一体射出成形製品とするために金型を製作した場合でも、単純な形状のため金型費を低く抑えることができるので設備投資を含めた製造コストを低くすることができる。
【0014】
好ましくは、マスク補助具の両端の差し込みクリップには、前記舌片又は前記押さえ板の表面に、小さな突部を設け、前記突部を有していることにより、前記マスク本体の不織布とクリップ面に摩擦抵抗が生じることでクリップ保持力が増し、前記マスクの着用時に前記マスク補助具は外れにくくなる。
【0015】
前記マスク補助具がマスクに取り付する迄は、略平面状の1対の差し込みクリップと一本の棒状ブリッジが略直線で繋がれていることにより、前記マスク補助具を密に並べることができ、かつ重ねることができるので少ないスペースでの保管や輸送が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明第1実施形態のマスク補助具の平面を図示した平面図。
図2】本発明第1実施形態の図1 A-A’の断面図。
図3】本発明第1実施形態のマスク補助具をマスク端部にクリップを差し込み保持した状態を外側から見た外観の正面図。
図4】本発明第1実施形態のマスク補助具を装着したマスクを顔に着用した状態で、着用者の目から下を断面にした図3のC-C’面図。
図5】本発明第2実施形態のマスク補助具の平面を図示した平面図。
図6】本発明第2実施形態の図5 B-B’の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1及び図2は本発明第1実施形態を示す。第1実施形態ではマスク補助具1は、両端部に差し込み式のクリップ部2が設けられており、前記差し込みクリップ部2は弾性を持つ材質であり、平面形に舌片21と押さえ板23がほぼ同じ面の高さで作られており、不織布からなるマスク5の厚み方向に前記舌片21と前記押さえ板23の間に差し込むことで前記舌片21の片持ち梁による弾性力で係止し、マスク5に保持される。
前記1対の差し込みクリップ部2は、前記両端部の差し込みクリップ部2をマスク5に保持した状態で、逆V字形状30に折り曲げても破断しないかつ残留変形にて形状を保持する1本の棒状ブリッジ3で繋がれて一体となっている。
【0018】
図3は第1実施形態におけるマスク補助具2をマスク5に差し込み保持した状態の外観を示したものである。棒状ブリッジ3はマスク5の内側に、すなわち着用者の皮膚側に来るようにマスクの縦辺の両端にクリップ部2を差し込み係止した状態で、前記棒状ブリッジ3を着用者が好みに合わせてほぼ中央から逆V字形状30に折り曲げて残留変形させることで前記マスク5の内側に前記逆V字形状30の頂点部分が接触するので口周りに空間が生じ、マスクの膨らみが保持される。
【0019】
図4は本発明第1実施形態の図3のC-C’断面図であり、マスク補助具1を装着したマスク5を顔に着用した状態で着用者の目から下の断面を簡素化して示したものである。前記棒状ブリッジ3は着用者の好みに合わせて自らが、ほぼ中央から逆V字に折り曲げて残留変形させてマスク5を着用することにより口元にマスクの膨らみが保たれるため呼吸の吸い込み時に不織布が吸い込まれることがないので着用者の口元や鼻先に不織布の繊維が接触することがなく、マスク補助具2も接触しないので不快感は無く、息苦しさも緩和される。
【0020】
図5及び図6は本発明の第2実施形態を示す。第2実施形態ではマスク補助具1は第1実施形態と同じく、両端に差し込みクリップ部2と薄板の棒状ブリッジ3で構成されている。舌片21は上方向に立体で突き出ており略横L形状となっている。第2実施形態の押さえ板23はリング形ではなく釣鐘状の平面であり、棒状ブリッジ3と同じ面の高さとなっている。
本発明の第2実施形態はクリップ部2の舌片21が立体横L形状となっているため、マスク5の不織布が厚い場合でも、舌片21と押さえ板23のクリアランス24を設計調整することで差し込み保持することができる。よって布製や高機能フィルター付きの厚い厚みのマスクでもクリップが可能であり、マスク補助具1がマスク5に差し込み取付けすることができる。
前記棒状ブリッジ3は着用者が好みに合わせてほぼ中央から逆V字形状30に折り曲げ残留変形させてマスク5を着用すると、口元のマスクの膨らみが保たれるため呼吸の吸い込み時に不織布が吸い込まれることがなく、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【実施例0021】
以下、添付図面に従って実施例を説明する。図1は本発明の第1実施形態の平面図である。マスク補助具1は、両端に差し込みクリップ部2と薄板の棒状ブリッジ3で構成されている。前記棒状ブリッジ3は直線である。
クリップ部2は、舌片21とリング状の押さえ板23で構成され、舌片21の表面ほぼ中央に小さな突部22が設けられている。
図2図1のA-A’断面であり、クリップ部2と棒状ブリッジ3はほぼ同じ厚さで構成されている。
【0022】
図3は本発明第1実施形態のマスク5の端部に、クリップ部2を差し込み保持した状態を外側から見た外観の正面図である。マスク補助具1は不織布の使い捨てマスク5の縦方向のマスク5の両端部51Aと51Bに、マスク補助具1のクリップ部2が厚み方向に差し込まれて保持している。
クリップ部2の舌片21はマスク端部51Aと51Bのマスク5の外側に出ている。一方リング状の押さえ板23はマスク端部51Aと51Bのマスク5の内側にあり、マスク5の不織布の厚み分がクリップ2の舌片21を片持ち梁による弾性変形をさせてその弾性力で舌片21と押さえ板23との間でマスク5の不織布を挟み込むので装着保持している。
【0023】
舌片21の先端表面の突部22は、マスク端部51Aと51Bに接触する方向に突起しているので、マスク5の外側面の不織布に突部22が引っかかることでクリップの係止力が強まり着用時に外れにくくなっている。
【0024】
図4は、本発明第1実施形態のマスク補助具1を装着したマスク5を、顔に着用した状態で目から下を断面にした平面図である。
マスク補助具1の棒状ブリッジ3を顔から外側に逆V字に折り曲げることで残留変形となり、外側に向かう逆V字形状30で維持される。前記逆V字形状30はマスク5の内側の面と前記逆V字形状30の頂点とが接することで、マスク5と鼻及び口周りに空間4ができ、マスク5の口元に膨らみを保つことが出来る。このことでマスク5を着用し呼吸をした際に、着用者の口元や鼻先に不織布の繊維が接触することがなく、マスク補助具も接触しないので不快感及び息苦しさが感じられることはない。
【0025】
図5は本発明の第2実施形態のマスク補助具の平面を図示した平面図であり、図6は本発明の第2実施形態の B-B’の断面図である。
本発明の第2実施形態について、図5図6を参照しながら説明をする。第2実施形態において、第1実施形態に対応する構成部は図において同番号を付して説明する。
マスク補助具1は第1実施形態と同じく、両端に差し込みクリップ部2と一本の薄板の棒状ブリッジ3で構成されている。舌片21は上方向に立体に突き出ており略横L形状となっている。第2実施形態の押さえ板23はリング形ではなく釣鐘状の平面であり、前記棒状ブリッジ3と同じ面の高さとなっている。突部22は押さえ板23の舌片21の先端部分に対応する表面位置に2か所設けられている。
【0026】
本発明の第2実施形態ではクリップ部2の舌片21が立体横L形状となっているため、マスク5の不織布が厚い場合でも、舌片21と押さえ板23のクリアランス24を設計調整することで差し込み保持することができる。よって布製や高機能フィルター付きの厚い厚みのマスクの場合でもマスク補助具1がマスク5に差し込み取付けすることができるので第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0027】
本発明は上記実施形態に制約されず種々の態様が可能である。
差し込みクリップ2の舌片は楕円渦巻形状であってもよい。
棒状ブリッジ3は断面が四角ではなく円形、楕円形でも良い。
棒状ブリッジ3の表面に逆V字形状に曲げる位置の目印として、溝やマークを付けてもよい。また棒状ブリッジ3を逆V字形状だけでなく、アーチ形状または多角形状に残留変形させてもよい。
【0028】
マスク補助具1は、射出成型などにより両端クリップ部2と棒状ブリッジ3が一体成型されていることが好ましいが、両端クリップ部2と棒状ブリッジ3がそれぞれの部品として、接着又は勘合によって組み込みをしてもよい。
【0029】
マスク補助具1は、アルミニウムやチタンなどの金属製であってもよいし、一本の金属線を折り曲げてクリップ部2と棒状ブリッジ3を構成してもよい。
クリップ部2はプラスチック成型品で棒状ブリッジ3は金属製であってもよい。
【0030】
クリップ部2は一方を第1実施形態の形状とし、他方を第2実施形態の形状としてもよい。
【0031】
本発明は、一般生活用品として一般生活者が利用するものであり、生活雑貨を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0032】
1 マスク補助具
2 差し込みクリップ部
21 舌片
22 突部
23 押さえ板
24 クリアランス
3 棒状ブリッジ
30 逆V字形状
31 リング平面
32A 右付け根付近
32B 左付け根付近
4 空間
5 マスク
51A 右マスク端部
51B 左マスク端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6