(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022019534
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】姿勢の維持改善を目的とする上半身用インナーウエア
(51)【国際特許分類】
A41D 13/05 20060101AFI20220120BHJP
A41D 31/04 20190101ALI20220120BHJP
【FI】
A41D13/05 131
A41D13/05 112
A41D31/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2021066312
(22)【出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】521151278
【氏名又は名称】安田 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100178102
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 晃
(72)【発明者】
【氏名】安田 邦彦
【テーマコード(参考)】
3B011
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB01
3B011AB11
3B011AB18
3B011AC17
(57)【要約】
【課題】広背筋だけでなく、僧帽筋に対しても作用し、リラックスした状態での効果的な姿勢の維持改善が図られるともに、肩こりの予防効果を有する上半身用インナーウエアを提供する。
【解決手段】共振効果、放射線効果又はマイナスイオン効果を有する鉱石を含有する伸縮性繊維を素材とし、高い伸縮性を有する伸縮性繊維から成る高伸度領域1と、高伸度領域1より低い伸縮性を有する伸縮性繊維から成る低伸度領域2,3を有する。
ウエア背面の該中央部にX字形の低伸度領域2と、X字形の領域2の中央部の上方から首筋方向に向けて伸びる略長方形の低伸度領域3を有し、X字形の領域2及び略長方形の領域3以外の領域は高伸度領域1である。
首周り下にヒノキ材の香りを放つ芳香領域4を有し、リラックスした状態での効果的な姿勢の維持改善と、肩こりの予防効果を可能とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共振効果、放射線効果又は/及びマイナスイオン効果を有する鉱石を含有する伸縮性繊維を素材とする上半身用インナーウエアであって前記インナーウエアは、
高い伸縮性を有する前記伸縮性繊維から成る高伸度領域と、
前記高伸度領域より低い伸縮性を有する前記伸縮性繊維から成る低伸度領域と、
を有することを特徴とするインナーウエア。
【請求項2】
ウエア背面の略中央部にX字形の前記低伸度領域と、
前記X字形の領域の中央部の上方から首筋方向に向けて伸びる略長方形の前記低伸度領域と、
を有し、前記X字形の領域と前記略長方形の領域以外の領域は前記高伸度領域であることを特徴とする請求項1に記載のインナーウエア。
【請求項3】
首周り下にヒノキ材の香りを放つ芳香領域を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のインナーウエア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、姿勢の維持改善を目的とする上半身用インナーウエアに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ゴルフ等のスポーツ時に上半身の運動を支援するインナーウエアが市販されている。該インナーウエアは、ウエア全体としては伸縮性を有する一方、背面にX字形の低伸度領域(通称「エックスクロス」)を有することを特徴とする。
【0003】
上記背面のエックスクロスは、背中の筋肉に対して中心に向かって引っ張るテンションをかけ、強制的に背筋を伸ばす。その結果、背中の筋肉が正しい位置に動き、胸の筋肉(胸郭含む)が広がる効果がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-263362号公報
【特許文献2】特開2016-135938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、市販の背面にエックスクロスを有するインナーウエアは、背中の筋肉を中心に引っ張り、胸を広げる効果を有する。
【0006】
特許文献1には、背中中央付近で交差したX字形をなす低伸縮性領域を有する運動支援インナーシャツの発明が開示されている。また、特許文献2には、背中に「大」の字形の低伸度伸縮性生地の部分を有するスポーツ用インナーウエアが提案されている。両発明とも、背面に配設された低伸度繊維の領域により背中の筋肉を中央に引っ張り、胸を張った姿勢を維持することを目的とする。
【0007】
市販のエックスクロス付きのインナーウエアも、両特許文献に記載の発明も、広背筋に対してテンションをかけ、胸を広げた姿勢を維持することには一定の効果を有するが、広背筋の上に位置する僧帽筋に対しての働きかけがないため、姿勢改善維持の観点から効果が限定的である。また、僧帽筋をサポートしていないということは、肩こりの予防に効果がない。さらに、筋肉に対してテンションをかけることは、交感神経優位の作用であって、これら緊張状態の改善がない状態での作用は、大きな効果を得にくい。緊張状態を改善するには、交感神経優位の作用と同時に副交感神経優位の作用が必要となる。
【0008】
上記の事情に鑑み、本発明においては、広背筋だけでなく、僧帽筋に対しても作用し、リラックスした状態での効果的な姿勢の維持改善と肩こりの予防効果を有する上半身用インナーウエアを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために、請求項1に係るインナーウエアは、共振効果、放射線効果又はマイナスイオン効果を有する鉱石を含有する伸縮性繊維を素材とする上半身用インナーウエアであって前記インナーウエアは、高い伸縮性を有する前記伸縮性繊維から成る高伸度領域と、前記高伸度領域より低い伸縮性を有する前記伸縮性繊維から成る低伸度領域とを有することを特徴とする。
【0010】
請求項2に係るインナーウエアは、ウエア背面の該中央部にX字形の前記低伸度領域と、前記X字形の領域の中央部の上方から首筋方向に向けて伸びる略長方形の低伸度領域とを有し、前記X字形の領域及び前記略長方形の領域以外の領域は前記高伸度領域であることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係るインナーウエアは、首周り下にヒノキ材の香りを放つ芳香領域を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るインナーウエアの繊維に含まれるテラヘルツ、ラジウム、ゲルマニウムの各鉱石は次のような効果を有する。
テラヘルツ鉱石は、1秒間に1兆回振動する周波数のテラヘルツ波を放ち、血管と血液を共鳴させる。この結果、血行が促進され、細胞が活性化する。
ラジウム鉱石は、低線量放射線を伴うラドンガスを放出する。これにより細胞が刺激され、毛細血管が拡張して新陳代謝が向上し、免疫力や自然治癒力を高める。
ゲルマニウム鉱石は、マイナス電子の放出により毛細血管にゲルマニウムイオンを生じさせ、同イオンの電子特性により、血行を促進し、細胞を活性化させる。この結果、筋肉のコリ、痛み、疲労を緩和させる。
【0013】
本発明に係るインナーウエアの背面に配設されたX字形の低伸縮領域により、広背筋が背面中心に引っ張られる。この結果、背筋がのび、胸を張った姿勢を維持することが可能となる。また、前記X字形の領域の中央部の上方から首筋方向に向けて伸びる略長方形の低伸度領域により、僧帽筋が背面中心に引っ張られることで、さらに背筋が伸びる。さらに、中部及び下部の僧帽筋が下に引っ張られることで上部僧帽筋にストレッチ効果が生じ、肩こりを軽減させる。
【0014】
本発明に係るインナーウエアの首周り下に配設された芳香領域から放出されるヒノキ材の香りが副交感神経優位で身体の緊張を和らげる。この結果、リラックスした状態で、上述の広背筋及び僧帽筋に対するテンションを受容することが可能となり、血流の良い状態で効果的なパフォーマンスアップが図られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態1のインナーウエアの背面の概略図である。
【
図2】実施形態2のインナーウエアの背面の概略図である。
【
図3】広背筋と僧帽筋の位置を示す背面体内図である。
【
図4】本発明に係るインナーウエア着用の効果を説明するための絵である。
【
図5】ヒノキの香りが身体に及ぼす影響についての実証実験のグラフである。<
図1>森林内歩行時・森林外歩行時の血液変化の比較。<
図2>森林内歩行時・森林外歩行時において副腎皮質から分泌されるストレスホルモンの血中コルチゾールと副腎皮質から分泌される血中ノルアドレナリンの測定結果。
【
図6】ヒノキ・トドマツの香りがマウスの運動量に及ぼす影響についての実証実験のグラフである。
【
図7】その他の実施例のインナーウエアの背面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係るインナーウエアは、前述したように、血行促進等の効果を有する鉱石を含有する伸縮性繊維を素材とする。この繊維は、超微粒子化した鉱石を高熱で溶解させた液体を製品に浸透させて作成する。
【0017】
また、本インナーウエアは全体として高伸縮性の繊維を基調とする中に低伸縮性の領域が配設されていることが特徴であるが、伸縮性を高める繊維素材して、ナイロンとともに一定量のポリウレタンを使用している。一方で、低伸縮性の領域は編みの密度を減らすことで、伸縮度を低くしている。
【0018】
次に、本発明の2つの実施形態について、図を用いて説明する。
(実施形態1)
実施形態1は、請求項2に記載のインナーウエアである。
図1に示すように、本形態のインナーウエアは、ウエア背面の中央部にX字形の低伸度領域2と、前記X字形の領域の中央部の上方から首筋方向に向けて伸びる略長方形の低伸度領域3を有する。各低伸度領域の帯幅は50~100mmである。
【0019】
一方、
図3は、ヒトの身体の背面体内図であって、広背筋6と僧帽筋5の場所を示す。
図1と
図3を重ねると、X字形の低伸度領域2は広背筋6に、また、略長方形の低伸度領域3は僧帽筋5に被着する。つまり、上半身が前かがみになるとき、高伸度領域1が被着下の筋肉の動伸を制限しない一方で、X字形の低伸度領域2は広背筋6をX字の中央交差点方向に引っ張り、略長方形の低伸度領域3は僧帽筋5を下方向に引っ張っている。すなわち、2つの低伸度領域が広背筋6と僧帽筋6の両方をサポートすることで、胸が開いて背筋が伸びた姿勢を相乗的・効果的に維持する。
【0020】
また、肩こりは上部僧帽筋の緊縮が原因であるとされるが、低伸度領域3の作用により、中部及び下部の僧帽筋5が下に引っ張られることで、上部僧帽筋に対するストレッチ効果が生じ、肩こりを軽減させる。
【0021】
(実施形態2)
実施形態2は、請求項3に記載のインナーウエアである。
図2に示すように、本形態のインナーウエアは、実施形態1のインナーウエアと同じ構成であるが、これに加えて、背面首周り下にヒノキ材の香りを放つ芳香領域4を有する。芳香領域4は、タグとして生地の上に付設してもいいし、あらかじめヒノキの臭香を当該領域の繊維に侵着させておいてもいい。また、芳香領域4は、本実施形態のように背面に配設するほか、臭覚に影響を及ぼすことができる範囲内で、ウエアの前面や肩部に複数設けることも可能である。
【0022】
前述の低伸度領域2,3が交感神経優位の作用であるのに対し、本形態の芳香領域4は、副交感神経優位の作用であって、使用者の身体を、よりリラックスさせたうえでの姿勢維持効果やウエアを着用して行う作業の効率化を実現したものである。ヒノキ等の香りを吸引する森林浴は血圧の低下を促し、ストレスホルモンの血中コルチゾールや血中ノルアドレナリンの分泌を減少させる(
図5)。また、適度のヒノキ臭は運動量の増加をもたらすことがマウスの実験で明らかにされている(
図6)。
【0023】
まとめると、本発明の上半身用インナーウエアの着用により、交感神経優位及び副交感神経優位の両方の作用がなされ、これまでに見られない効果的な姿勢の維持改善と肩こりの予防・解消が実現する(
図4)。
【0024】
以上、本発明の有する特徴及び優れた点を上記実施形態1及び2に記載したが、本発明は、本発明の原理の範囲内で、本願の特許請求の範囲で使用されている言葉を広く一般的な意味にまで広げて実施することが可能である。例えば、
図7のように、略長方形の低伸度領域3をX字形の低伸度領域2のクロス部分と接続する形状で実施することもできるほか、各低伸度領域の大きさや形状、素材や製法の違い、さらに、長袖、半袖、ノースリーブなどウエア自体の形状等についても様々の実施形態が可能であり、それらについて本実施形態と異なる形態又は方法による実施は、本発明の技術的範囲に含まれるものと解する。
【符号の説明】
【0025】
1 高伸度領域
2 X字形の低伸度領域
3 略長方形の低伸度領域
4 芳香領域
5 僧帽筋
6 広背筋
7 脊柱起立筋