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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022019571
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】光電センサの製造
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20220120BHJP
【FI】
G01S7/481 Z
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021100703
(22)【出願日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】10 2020 118 941.9
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】591005615
【氏名又は名称】ジック アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス エブレ
(72)【発明者】
【氏名】ダヴォリン ヤクシッチ
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AD01
5J084BA36
5J084BB14
5J084BB37
5J084DA01
5J084EA31
5J084EA33
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光電センサの製造方法を提示する。
【解決手段】本方法では、発光光学系16を有する発光器12と受光光学系26を有する受光器30とが互いに相対的に配置され、受光光学系26が受光側絞り28を備え、これについては最初は未加工の絞り鋳造品だけが配置され、受光側絞り28は少なくとも発光器12及びその発光光学系16と受光光学系26とが既に取り付けられた状態になってから未加工の絞り鋳造品から作製される。そして、発光器12が点灯され、その発光ビーム18の形状情報が特定され、該形状情報を用いて受光側絞り28が作製される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電センサ(10)の製造方法であって、発光光学系(16)を有する発光器(12)と受光光学系(26)を有する受光器(30)とが互いに相対的に配置され、前記受光光学系(26)が受光側絞り(28)を備え、これについては最初は未加工の絞り鋳造品(36)だけが配置され、前記受光側絞り(28)は少なくとも前記発光器(12)及びその発光光学系(16)と前記受光光学系(26)とが既に取り付けられた状態になってから前記未加工の絞り鋳造品(36)から作製されるという方法において、
前記発光器(12)が点灯され、その発光ビーム(18)の形状情報が特定され、該形状情報を用いて前記受光側絞り(28)が作製されること、及び/又は、前記発光光学系(16)が発光側絞り(14)を備え、該絞りが少なくとも前記発光光学系(16)が既に取り付けられた状態で作製されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記発光ビーム(18)が、前記発光器(12)の方に向けられたカメラ(38)を用いて、特に投影面(40)をその間に挟んで、測定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記受光側絞り(28)が、加工レーザ(44)を用いて前記受光光学系(26)を通して作製されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記加工レーザ(44)が、前記形状情報に基づいて、特に前記発光ビーム(18)により生じた発光スポット(42)に基づいて配置されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記発光側絞り(14)が、加工レーザ(44)を用いて前記発光光学系(16)を通して作製されることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記発光側絞り(14)が前記受光側絞り(28)と共に1つのステップで作製されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
加工レーザ(46)の使用のために前記発光器(12)及び/又は前記受光器(30)が保護されることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記発光器(12)と前記受光器(30)が、特にビームスプリッタ(20)を用いて、同軸に配置されていることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記受光側絞り(28)が、特に光線形状の適合化により及び/又は加工レーザ(44)の移動により、適合化された絞り形状、特に細長い又は滴状の形状で作製されることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記発光ビーム(18)が前記発光器(12)から複数の距離で測定されることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記受光側絞り(28)が前記センサ(10)の製造ラインにおいて製造されることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
発光器(12)と、発光光学系(16)と、受光器(30)と、受光側絞り(28)を有する受光光学系(26)と、前記発光器(12)、発光光学系(16)、受光器(30)及び受光光学系(26)を互いに相対的な配置に固定する担持体とを備える光電センサ(10)において、
請求項1~11のいずれかに記載の方法で製造されたものであることを特徴とする光電センサ(10)。
【請求項13】
光検知器、光格子又はレーザスキャナとして構成されていることを特徴とする請求項12に記載の光電センサ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプレアンブルに記載の光電センサの製造方法及びそれに対応する光電センサに関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの光電センサは、発光ユニットが光スポットを形成し、該光スポットの反射光が受光ユニットにおいて検出されるという原理に基づいている。その場合、発光ユニットの有効光の他に外部光も必然的に受光される。他方で外部光の量は信号雑音比(SN比)を決定的に左右する。故に、できれば光スポットの領域からの光だけを検出すべきである。なぜなら、そもそも他の領域は外部光でしか受光信号に寄与しないからである。
【0003】
実際にはそれは、受光路において受光ビームを収束させ、その断面が最小になる位置に絞りを配置することにより達成される。しかし、このような絞りは作製、調整及び固定にコストがかかる。部品には公差があり、調整品質にも限界があるから、実際には、できるだけ高いSN比を得るために最適な開口よりもやや大きめに絞り開口を選ぶことが多い。絞りが小さすぎたり受光ビームからずれていたりするために受信光の一部が通過できないことによる信号損失は、それに不釣り合いなほどの品質低下を伴う。しかし、受光ビーム以外に絞り開口を通過する外部光があると、それもまたSN比を低下させる。
【0004】
代わりに、例えば特許文献1に記載されているように、行列状受光器を設け、発光スポットに合わせてその一部領域を作動状態にすることを覚え込ませるという方法がある。しかしそれには行列状受光器の他に高価な制御装置が必要である。その上、調整の可能性が行列状受光器の画素サイズと画素ラスタにより制限されている。
【0005】
特許文献2は、遮蔽要素を光線偏向要素と共にホルダ内に保持して加工光線で加工することで機能領域の特性を変化させるという光学系の製造方法を開示している。しかし、このやり方は受光路に限定されている。
【0006】
特許文献3では、既に受光光学系が取り付けられている場合に、特にその受光光学系を通じて光路が案内される材料加工レーザを用いて、光電センサの個別の絞りが製造される。まだ公開されていない独国特許出願番号102020109596.1ではそのために、吸収層を有する多層基板が絞り作製の出発点として特別に用いられる。特許文献2に既に記載のように、その都度、発光側の光路も設けられている可能性があるが、それは個別の絞りを作製する際に直接的には考慮されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】EP 3 279 685 B1
【特許文献2】DE 10 2018 128 669 A1
【特許文献3】EP 3 432 023 B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
故に本発明の課題は、光電センサの頑強性を更に改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1に記載の光電センサの製造方法及び請求項13に記載の光電センサにより解決される。発光光学系を有する発光器と受光光学系を有する受光器との配置が形成される。発光器は光電センサの駆動中に断面が制限された発光ビームを該センサの監視領域内に生成し、該発光ビームが物体に当たると発光スポットが生じる。他方、受光器は監視領域から光を受けて受光信号を生成する。本来なら、戻って来る発射光が受光されるべきであるが、それには外部光が重畳されているし、発射光が物体に当たらなければそもそも外部光しか捕らえられない。受光光学系と発光光学系は分離した構成でも一緒になった構成でもよい。
【0010】
まず、少なくとも発光器及びその発光光学系と受光光学系との相対的な位置とそれらの向きが確定される。そのためにそれらが例えばケーシングの一部や光学系モジュール等の担持体上に取り付けられる。この担持体は1つの部品でも複数の部品から成るものでもよい。高精度の位置決めと調整を排除するものではないが、いずれにせよ必須ではない。
【0011】
受光光学系には受光側絞りが設けられている。ただし、最初は、受光側絞りの機能を持たない又はとにかく受光側絞りとして適切に機能しない未加工の絞り鋳造品が受光器の前に配置されるに過ぎない。本来の受光側絞りは、少なくとも発光器、発光光学系及び受光器が記述通りの既に取り付けられた状態になってから作製される。従って、まず絞りを完成させた後、それを正しく調整された状態で組み込むという普通の組み立て方とは逆になる。受光側絞りを後から作製することは基本的には冒頭に挙げた特許文献3又は特許文献2のやり方に該当する。受光器は受光側絞りの作製前に配置及び固定してもよいし、作製後でもよい。
【0012】
本発明の出発点となる基本思想は、受光側絞りを実際の発光スポットに正確に合わせて作製するということにある。そのために、発光器が点灯され、発光ビームの少なくとも1つの形状情報、特にそれにより生じる発光スポットの形状情報が測定される。そしてこの形状情報が受光側絞りの作製の際に用いられる。従って絞りの作製は、発光ビームの発光スポット又は他の形状情報の能動的な検出に基づいている。発光スポットと受光側絞りの間の調整を行うための別の方法として発光光学系は発光側絞りを備えている。これは、少なくとも発光光学系が既に取り付けられた状態で作製される。この実施形態では、発光ビームを所望の通りに形成して限定するために、発光光学系にも発光側絞りが用いられる。ここでも受光側と同様に難しい課題があり、この発光側絞りも予め作製して後で調整して組み込むことが可能ではある。しかしその代わりに、受光側絞りと同様に、発光光学系を既に取り付けた状態で、該光学系に対して固定された未加工の絞り鋳造品から絞りが作製される。その後で発光ビームを光電センサに対して、例えば既に挙げた担持体やケーシング等に対して調整する。発光側絞りの作製は発光ビームの測定の代わりとなる又はそれを補うことができる。
【0013】
本発明には、受光側絞りが、実際に取り付けられた受光光学系にも、また実際に用いられる光路にも、最適に合わされるという利点がある。本発明によれば、発光ビームに対して調整された小さい視界を簡単且つ個別に作り出すことができる。受光側絞りの個別作製は、調整作業の代わりとなるか、少なくともそれを補って、粗い調整さえ行えば十分であって後は個別の作製による微調整で済むようにするものとなる。これにより、発光路又は受光路において光学的に作用する構成部品の公差が最小化される。部品の公差に対処できるため、工具や部品のコストが低減される。個別の作製により、それぞれ位置、形状及びサイズを調整した「単位数量1の製造」が可能になる。この利点は、長い射程を持ち、シングルフォトンアバランシェダイオード(SPAD)等の高感度の受光素子を有する光電センサの場合に顕著に現れる。
【0014】
本発明によれば、理想的には受光ビームの外側の外部光が一切集光されず、いずれにせよその外部光の大部分が遮断される一方、それにより有効光が失われることはないような、可能な限り小さい絞り開口が得られる。これにより、調整不要の製造方法において最適なSN比が得られ、以て高い測定性能が得られる。同じように、この最小の絞りから意図的に逸脱することも可能である。小さい開口を持つ個別の受光側絞りは更に回折の発生や発光器のゴースト光スポットを抑制する。そうしなければ、強く反射する物体が横から入ってきた場合にスイッチングが早くなりすぎる恐れがある。また、迂回反射も防止されるため、光沢のある表面に非常に近いところで光電センサを用いることができる。
【0015】
センサの受光ユニットにおいては受光光学系の焦点面内に絞りが配置される。この絞り位置において受光ビームの断面が最小になる。実施形態によっては公差のために正確には焦点面に当たらないが、それもやはり焦点面への配置と呼ぶ。この絞りにより少なくとも、外部光のうち近視野又は中程度の距離において受光光学系に達する部分が低減される。絞り開口は焦点面内において受光ビームが絞りを通過する箇所にあるから、有効光のうち絞りにおいて失われる部分が可能な限り低減される。
【0016】
発光ビームは発光器の方に向けられたカメラを用いて測定されることが好ましい。これによれば、発光スポットはカメラの画像センサ上に形成されるから、簡単な画像解析により測定できる。カメラと発光器の間に投影面、特に焦点ガラスを設ければ、カメラは、眩しい光を受けたりオーバーステアリングしたりすることなく、発光器まで規定の距離を置いて規定の平面上で発光スポットを撮影する。より多くの又はより良好な形状情報を得るために投影面をZ方向に動かすことも考えられる。カメラさえあれば多数のセンサを次々に製造できるため、高価なカメラや画像解析のためのコストでさえ単に副次的なものになる。
【0017】
受光側絞りは加工レーザを用いて受光光学系を通して作製されることが好ましい。「を通して(durch)」という前置詞はここでは空間的なものであり、因果関係等の意味に理解すべきではない。従ってレーザ光は、後に光電センサの受信光を受光器へ向かわせるのと同じ個別の受光開口から未加工の絞り鋳造品へと案内される。材料加工には様々な形態が考えられ、未加工の絞り鋳造品に開口を形成することは一例に過ぎない。更に、一又は複数の層を有する基板を局所的に切除することも考えられる。特に好適な加工レーザはアブレーションレーザである。
【0018】
加工レーザは、形状情報に基づいて、特に発光ビームにより生じた発光スポットに基づいて配置されることが好ましい。このようにすれば、加工レーザの光路が光電センサの駆動中に反射される発射光の光路とちょうど一致する。これにより絞りが最も良く発射光に適合する。最も良い適合から意図的に逸脱すること、即ち、例えば発光スポットを受光側絞りで完全には捕らえなかったり、発光スポットよりも広い範囲を捕らえたりすることが考えられる。これについては後で例を挙げる。ただしそれは公差や誤適合とは何の関係もない。
【0019】
発光側絞りは加工レーザを用いて発光光学系を通して作製されることが好ましい。これは加工レーザを用いた受光側絞りの作製と似たやり方で行われるため、未加工の絞り鋳造品を相応の形に整えることができる。特に好ましい実施形態では、発光側絞りと受光側絞りが同じ加工レーザにより、特に同じステップにおいて作製される。
【0020】
加工レーザの使用のために発光器及び/又は受光器が保護されることが好ましい。そのために、例えばセラミック材料又はレーザ光に耐性を持つ他の材料から成る適宜の保護要素が発光器又は受光器の前に配置され、加工の後で取り外される。加工レーザが光学素子、特にプラスチックレンズさえも損傷させないことは、本発明者らにより実験的に証明された。
【0021】
発光器と受光器は、特にビームスプリッタを用いて、同軸に配置されていることが好ましい。この構造は自動コリメーション配置とも呼ばれる。あるいは発光器と受光器が並んで配置された二軸配置も考えられる。同軸及び二軸配置はいずれも発光路及び受光路の実質的な光軸に関するものである。
【0022】
受光側絞りは適合化された絞り形状で作製されることが好ましい。多くの実施形態では、発光スポット全体を過不足なく捕らえるような最小の絞り開口が最適である。発光ビームの断面が円形ではない場合、絞り形状はそれを模して、例えば細長い光線断面に対して長方形の絞りとすることができる。その場合も絞り開口はやはりできるだけ小さいままにする。しかし、発光スポットと完全に一致した絞り開口から全く意図的に逸脱することも考えられる。例として、特別に小さい物体を捕らえたり、逆に一定の公差を許容したりするための、より小さい又はより大きい絞り開口がある。別の例は、二軸系の場合に測定の効果として又は不可避のアーチファクトとして現れる三角測量効果による受光スポットの移動の余地を与える細長い絞り又は滴状の絞りである。このように変化させた絞りの形状はそれに応じた光線形成及び/又は加工レーザの移動により得ることができる。より大きな絞り形状は横方向の移動により生じる。三角測量効果は光電センサから加工レーザまでの距離を様々に変えることにより模擬することができる。これにより、絞り開口をより大きくしたり、例えば近接領域と遠隔領域に対して絞り開口を多重に配置したりすることができる。
【0023】
発光ビームは発光器から複数の距離で測定されることが好ましい。これは、例えば先に言及したカメラで長い露光時間で撮影を行い、その間に投影面を発光器とカメラの間でずらすことにより、連続的に行うことさえ考えられる。
【0024】
受光側絞りはセンサの製造ラインにおいて製造されることが好ましい。これにより個別の絞りの作製が通常の製造のなかに統合されたステップとなる。
【0025】
発光器が少なくとも1つのアバランシェフォトダイオード素子を備え、該素子が、降伏電圧を超えるバイアス電圧が印加されることによりガイガーモードで駆動されていることが好ましい。このようなSPAD型受光器は非常に感度が高い。また信号帯域が制限されない。光セル内で内部的に増幅を行うためその熱雑音はほとんど無視できる。従って、このような受光器は絞りを有する光学設計に非常に適している。検出面が非常に大きいため受光ビームが横方向にずれる余地ができ、個別の絞りはそのずれを補正せずに単にそれに合わせるだけである。好ましくは多数のアバランシェフォトダイオードが設けられる。これにより検出面がより大きくなり、しかも統計的な評価が可能になる。
【0026】
本発明に係る光電センサは、発光器、発光光学系、受光器、及び絞りを有する受光光学系を備える。これらの要素は担持体を用いて互いにそれぞれの位置及び向きに保持される。これは、特に受光側絞りの正確な調整及び設計に際し、本発明に係る方法でセンサを製造することにより達成される。
【0027】
前記光電センサは、光伝播時間を測定するための光伝播時間測定ユニットが受光器に接続される距離測定型センサであることが好ましい。これについては公知のあらゆる光伝播時間法、即ちパルス伝播時間法、位相法又はパルス平均法が考慮される。
【0028】
光電センサは光検知器、光格子又はレーザスキャナであることが好ましい。光検知器は軸に沿って物体を検出する。光格子においては、少なくとも機能上、多数のそのような光検知器が上下に配置されている。光格子は距離測定型とすることができる(飛行時間(TOF)型光格子、又は検知型光格子)。レーザスキャナという有利な発展形態では距離が一方向に測定されるだけでなく、回転ミラー等の可動の偏向ユニットが加えられる、あるいは受光ユニットが可動の測定ヘッドに取り付けられる。このように一緒に動く光検知器の場合にも多重配置が考えられ、そうすると光センサは多平面センサとなる。
【0029】
以下、本発明について、更なる特徴及び利点をも考慮しつつ、模範的な実施形態に基づき、添付の図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】光電センサのブロック図。
図2】光電センサの別の実施形態のブロック図。
図3】光電センサの発光ビームの測定の説明図。
図4図3に示した測定で得られた形状情報を用いて加工レーザにより光電センサのための受光側絞りを作製する方法の説明図。
図5図4に示したように作製された絞りを持つ光電センサにおける光路の図。
図6】任意選択で発光側絞りを事前に作製する方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は模範的に光検知器として構成された光電センサ10のブロック図である。センサ10は、例えばLEDやレーザダイオード等である発光器12を発光路上に備えている。これは端面放射型発光器又はVCSELとしてアレイ状にも構成されている。これにより発光側絞り14及び発光光学系16を用いて発光ビーム18が生成され、分割ミラー20を通過した後、監視領域22へと送出される。
【0032】
監視領域22内の物体の表面で反射された光が、不可避の外部光成分が重畳された受信光24として分割ミラー20を介して受光路へと反射され、そこで受光光学系26と受光側絞り28を介して受光器30へと導かれる。受光器30は、PINダイオード、APD(アバランシェフォトダイオード)又はSPAD(シングルフォトンアバランシェダイオード)のように感光素子を1つしか持たないものとすることができる。多数の個別受光素子を行列状又はライン状に設け、それらをまとめて又は位置分解して読み出すこともまた同様に可能である。
【0033】
制御及び評価ユニット32が発光器12及び受光器30と接続されている。このユニットは発光器12の時間挙動及び他の特性を制御すると共に、受光器30の受光信号に基づいて監視領域22内の物体を検出する。また、距離測定型の光検知器としてのセンサ10の実施形態では、光パルスを送出してその受光までの光伝播時間を測定することにより、検出された物体の距離も測定される。出力34を通じて評価ユニット32は、処理された又は生のセンサ測定データ、例えばスイッチ信号や測定された距離を出力したり、逆に制御及びパラメータ設定の指示を受け取ったりする。
【0034】
センサ10がその任務を果たすことができるように、光路に関わりのある様々な要素の設計、配置及び向きを互いに合わせる必要がある。図1では、調整された位置に構成要素を強固に保持するケーシング35が単に枠として示されている。実際の実施形態ではそのために個々の又は複数の要素に対する極めて多様な構成の担持体要素が考えられる。ただし、各要素が互いに対してだけでなくケーシング35に対しても固定されていれば非常に有利である。なぜならそれはセンサ10の他のどのような調整にとっても外的な基準点になるからである。本発明はセンサ10の具体的な構造の構成に関するものではなく、何より受光側絞り28の作製と調整に関し、任意選択で発光側絞り14の作製と調整にも関するものである。これについては後で図3~6を参照してより詳しく説明する。
【0035】
図2はセンサ10の別の実施形態のブロック図である。図1と違ってこちらには発光側絞り14がない。それでも、発光器12にはある程度の放射角の限定があることが好ましい。ここでは、最適に調整された発光側絞り14は必須ではないということを図で説明したに過ぎない。加えて、発光光学系16と受光光学系26が共通の発光/受光光学系に統合されている。既に図1で示したように、図に描いたレンズは光線形成用光学系に関するそれ自身公知の光学素子の任意の組み合わせを代表している。
【0036】
図2に示したセンサ10で自動コリメーションシステムを様々に組み立てることができることを図で説明する。それにより他の変形が排除されることは決してなく、例えば、図1のように発光側絞り14と受光側絞り28を持つ一方、図2のように共通の発光/受光光学系16、26を持つセンサ10が考えられる。自動コリメーションシステムの同軸構造の代わりに、発光器12と受光器30又は発光光学系16と受光光学系26が並んで配置された二軸構造又はいわゆる2重眼原理も考えられる。本発明により、図示した光検知器の他、例えば光格子及びレーザスキャナ等も含めて数多くの光電センサを製造することができる。
【0037】
図3~5は特定のセンサ10に対して最適化された個別の受光側絞り28を作製する方法を図で説明している。まず図3のように未加工の絞り鋳造品36だけを後の受光側絞り28の位置に、好ましくは受光光学系26の焦点面に配置する。未加工の絞り鋳造品36は受光側絞り28の機能をまだ備えておらず、特にこの時点ではまだ光を通さない。発光器12と発光/受光光学系16、26は既に取り付けられており、従ってその相対的な位置と配置は固定されている。改めて述べると、これは必ずしもケーシングの一部に直接固定することを意味していない。なぜなら、例えば一又は複数の部品から成る光学系担持体を用いることもできるからである。受光器30は図のごとく同様に既に取り付けられていてもよいし、後で追加してもよい。後者の場合、当然ながら受光側絞り28の作製中に受光器を保護する必要はない。
【0038】
図3に示したステップでは発光ビーム18を測定する。その目的は絞りと受光器30の視野とを発光ビーム18に最適に合わせることである。まずは発光ビーム18の位置を測定し、好ましくはその断面も測定する。それには発光器12に向けられたカメラ38が適している。発光ビーム18をカメラ38へ直接導くのではなく、焦点ガラス等の投影面40をカメラ38と発光器12の間に配置することが有利である。その面上に発光ビーム18が発光スポット42を形成する。カメラ38により撮影された発光スポット42の画像を解析することにより発光ビーム18の位置及び他の形状特性を特定することができる。
【0039】
図4に示したステップでは、加工レーザ44のレーザ光46がちょうど前述のように測定された発光スポット42の方向から出て受光光学系26及び分割ミラー20を経て未加工の絞り鋳造品36に入射するように該レーザを配置して調整する。レーザ光46は未加工の絞り鋳造品36から受光側絞り28を作り出す。上述のような加工レーザ44の配置と向き調整により、絞り開口が正確に発光スポット42と合うことが保証される。しかしそれは、絞り開口の大きさが、受光器30の視野に発光スポット42全体が過不足なく正確に捕らえられるような大きさになることを必ずしも意味しない。意図的な逸脱も依然として可能である。絞り開口の大きさは、レーザ光46を意図した形状にしたり、加工レーザ44の位置及び/又は角度をわずかに相対的に動かしたりすることにより調節できる。
【0040】
レーザ光46のうち分割ミラー20を透過する部分から発光器12を保護するために、発光路には更に第1の保護要素48が予め配置されている。同様に、第2の保護要素50が未加工の絞り鋳造品36と受光器30の間に配置されている。後者は発光器30を後から取り付ける場合にはなくてもよい。保護要素48、50は例えばセラミック材料又はレーザ光46により損傷しない他の材料とすることができる。
【0041】
加工レーザは例えばfsレーザやpsレーザであり、レーザアブレーション等の方法で絞り開口を作り出す。未加工の絞り鋳造品36は例えば金属、金属酸化物、ナノ構造体等を備えるものとすることができる。「絞り開口」という概念は、レーザ光46により物理的な、貫通した開口を形成することを意味するのではなく、単に光学的な作用に関するものである。例えば、透明層と不透明層を有する多層基板において、加工レーザ44により絞り開口の内側で一又は複数の不透明層を除去することが考えられる。
【0042】
図5は受光側絞り28を作製して保護要素48、50を取り去った後のセンサ10内の光路を示している。受光側絞り28は受光光学系26との組み合わせで視野を画定し、この視野から受信光24が捕らえられる。前述の製造ステップにより、この視野が、発光ビーム18により監視領域22内の物体52上に形成される発光スポット42に合っていることが保証される。図4に示した作製の際には更に、意図的に視野を発光スポット42より小さくしたり、同じ大きさにしたり、大きくしたりすることができる。図5ではまだ若干の公差を許容したやや大きい視野が描かれている。例えば非常に小さい物体52を検出するには発光スポット42よりも意図的に小さくした視野が有利である。
【0043】
図6は発光側絞り14を作製するために任意選択で事前に実施されるステップを示している。そのために、図4を参照して説明したステップと同様にまず発光側絞り14の代わりに未加工の絞り鋳造品だけが取り付けられ、加工レーザ44を用いて本来の絞りが作製される。その前に発光器12を発光光学系16に対して調整する別のステップがあれば有利である。ケーシング35に対する位置決めが正確であれば、ケーシング35に対する加工レーザ44の調整で方向を決めることができる。
【0044】
発光側絞り14の面積は発光器12の活性面より狭い。これにより発光器12、発光側絞り14、発光光学系16及びケーシング35の間の公差がなくなる。発光ビーム18はケーシング35に対して正確に調整される。これは例えば現場におけるセンサ10の交換の際に有利である。なぜなら、光スポットの位置という特性が維持されているだからである。
【0045】
図6では、発光器12と受光器30が保護要素48、50で保護されているという条件の下で、発光側絞り14だけが作製される。その後、発光ビーム18の測定と受光側絞り28の作製という前述の更なるステップが続く。
【0046】
あるいは、図6の状況において既に未加工の絞り鋳造品36を取り付け、両方の絞り14、28をレーザ光46の同じ光束で同時に作製することも考えられる。そのためには、受発光モジュール又は既にほぼ組み立てられたセンサ10等、少なくとも光学系と未加工の絞り鋳造品を固定的に配置したものを加工レーザ44のレーザ光46の軸に揃える。光学系と未加工の絞り鋳造品はこの時点でもはやケーシング35に対して動かせない。加工レーザ44を揃えるために、例えばケーシング35の後壁を収容部等を通じて調整することにより、レーザ光46が光学系16、26に垂直に当たり、それからビームスプリッタ20を経て未加工の絞り鋳造品の2つの絞り面に当たるようにすることが考えられる。これにより、発光ビーム18も、受信光24が捕らえられる受光視野も、共にケーシング35に対して調整される。
【0047】
ここまで説明したセンサ10とその製造方法は様々に変形することができる。既に言及したように、同軸系に代えて二軸系又は瞳孔分割系にすることも可能であり、その場合は発光光学系16と受光光学系26が同じ軸上にはない。そうなると、発光スポット42が物体52の距離に応じて横に「動く」という、三角測量効果が現れる。この三角測量効果は、三角測量センサ又は背景隠蔽型光検知器の場合のように測定に利用できるため望ましいこともあれば、二軸型構造の不可避のアーチファクトに過ぎないこともある。受光側絞り28の形状は、絞り面内での三角測量の動きを補うために例えば細長い形状や滴状の形状にすることにより、三角測量効果に適合させることができる。複数の絞りを例えば近接領域と遠隔領域のために設けることも考えられる。一般に非円形の絞り開口が考えられ、特に円形から逸脱した発光ビーム18の断面に合わせる場合にそれが考えられる。その都度必要とされる絞り形状は図3で説明したやり方で測定可能であり、しかも投影面40をずらすこと等により様々な距離で測定できる。
【0048】
光格子のようにセンサ10が複数の受光チャネルを有し、従って受光光学系26も複数ある場合、1つの発光スポット又は異なる複数の発光スポットに対応する受光側絞り28を作製することにより、当該発光スポットに対して視野を調節することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】