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特開2022-19654がん処置のためのKAT6阻害剤方法および組合せ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022019654
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】がん処置のためのKAT6阻害剤方法および組合せ
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/06 20060101AFI20220120BHJP
   A61K 31/423 20060101ALI20220120BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220120BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20220120BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20220120BHJP
   A61K 31/565 20060101ALI20220120BHJP
   A61K 31/4196 20060101ALI20220120BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
A61K45/06
A61K31/423
A61P35/00
A61K31/506
A61K31/519
A61K31/565
A61K31/4196
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021116806
(22)【出願日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】63/052215
(32)【優先日】2020-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/211044
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(71)【出願人】
【識別番号】520496958
【氏名又は名称】シーティーエックスティー・ピーティーワイ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133927
【弁理士】
【氏名又は名称】四本 能尚
(74)【代理人】
【識別番号】100147186
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 眞紀
(74)【代理人】
【識別番号】100174447
【弁理士】
【氏名又は名称】龍田 美幸
(74)【代理人】
【識別番号】100185960
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 理愛
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー マツレク
(72)【発明者】
【氏名】キム ティモシー アーント
(72)【発明者】
【氏名】レイ チェン
(72)【発明者】
【氏名】マキシミリアン トッド フォレッティ
(72)【発明者】
【氏名】デヴィッド スコット フリューリング
(72)【発明者】
【氏名】ペイペイ クン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイヤン ツォン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ マイケル テデスキ
(72)【発明者】
【氏名】ポール アンソニー スタップル
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA20
4C084AA24
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB26
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC42
4C086BC60
4C086BC68
4C086CB05
4C086CB09
4C086DA09
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA10
4C086GA12
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC75
(57)【要約】      (修正有)
【課題】がんの処置のための改善された療法を提供すること。
【解決手段】がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量のリシンアセチルトランスフェラーゼ6(KAT6)阻害剤と、a)ある量のサイクリン依存的キナーゼ4(CDK4)阻害剤;またはb)ある量の抗エストロゲン剤;またはc)ある量のCDK4阻害剤およびある量の抗エストロゲン剤とを投与することを含み、その量が、合わせると、がんの処置において治療的に有効である、方法。
【選択図】図17-1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量のリシンアセチルトランスフェラーゼ6(KAT6)阻害剤と、
a)ある量のサイクリン依存的キナーゼ4(CDK4)阻害剤;または
b)ある量の抗エストロゲン剤;または
c)ある量のCDK4阻害剤およびある量の抗エストロゲン剤と
を投与することを含み、その量が、合わせると、がんの処置において治療的に有効である、方法。
【請求項2】
内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6阻害剤と、場合により、ある量のCDK4阻害剤とを投与することを含み、その量が、合わせると、内分泌療法に対する臨床的耐性の克服において治療的に有効である、方法。
【請求項3】
内分泌療法が、がんを処置するために使用される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
がんが、乳がんである、請求項1または請求項3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
KAT6阻害剤が、KAT6A阻害剤である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
KAT6阻害剤が、2,6-ジメトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
KAT6阻害剤が、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
CDK4阻害剤が、CDK4選択的阻害剤またはCDK4/6阻害剤である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
CDK4阻害剤が、CDK4選択的阻害剤である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
CDK4選択的阻害剤が、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール、またはその薬学的に許容される塩である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
CDK4阻害剤が、CDK4/6阻害剤である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
CDK4/6阻害剤が、アベマシクリブ、リボシクリブもしくはパルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
CDK4/6阻害剤が、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
抗エストロゲン剤が、フルベストラントまたはレトロゾールである、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
抗エストロゲン剤が、フルベストラントである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
患者がヒトである、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
がんを処置するための方法であって、
a)サイクリン依存的キナーゼ4(CDK4)阻害剤;または
b)抗エストロゲン剤;または
c)CDK4阻害剤および抗エストロゲン剤
の投与をさらに含む方法における使用のためのリシンアセチルトランスフェラーゼ6(KAT6)阻害剤。
【請求項18】
内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、CDK4阻害剤の投与をさらに含んでいてもよい方法における使用のためのリシンアセチルトランスフェラーゼ6(KAT6)阻害剤。
【請求項19】
がんを処置するための、
a)サイクリン依存的キナーゼ4(CDK4)阻害剤;または
b)抗エストロゲン剤;または
c)CDK4阻害剤および抗エストロゲン剤
と組み合わせた使用のための薬剤の製造における、リシンアセチルトランスフェラーゼ6(KAT6)阻害剤の使用。
【請求項20】
好ましくは、がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服するための、CDK4阻害剤と組み合わせてもよい、薬剤の製造におけるリシンアセチルトランスフェラーゼ6(KAT6)阻害剤の使用。
【請求項21】
リシンアセチルトランスフェラーゼ6(KAT6)阻害剤および
a)サイクリン依存的キナーゼ4(CDK4)阻害剤;または
b)抗エストロゲン剤;または
c)CDK4阻害剤および抗エストロゲン剤;
と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項22】
リシンアセチルトランスフェラーゼ6(KAT6)阻害剤と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物、ならびに
a)サイクリン依存的キナーゼ4(CDK4)阻害剤と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物;および/または
b)抗エストロゲン剤と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物
を含むキット。
【請求項23】
KAT6阻害剤が、
(a)KAT6A阻害剤;または
(b)2,6-ジメトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、もしくはその薬学的に許容される塩;または
(c)2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、もしくはその薬学的に許容される塩
である、請求項17もしくは請求項18に記載のリシンアセチルトランスフェラーゼ6(KAT6)阻害剤、または請求項19もしくは請求項20に記載のリシンアセチルトランスフェラーゼ6(KAT6)阻害剤の使用、または請求項21に記載の医薬組成物、または請求項22に記載のキット。
【請求項24】
CDK4阻害剤が、
(a)CDK4選択的阻害剤;または
(b)CDK4/6阻害剤;または
(c)1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール、もしくはその薬学的に許容される塩;または
(d)アベマシクリブ、リボシクリブもしくはパルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩
である、請求項17、請求項18もしくは請求項23に記載のリシンアセチルトランスフェラーゼ6(KAT6)阻害剤、または請求項19、請求項20もしくは請求項23に記載のリシンアセチルトランスフェラーゼ6(KAT6)阻害剤の使用、または請求項21もしくは請求項23に記載の医薬組成物、または請求項22もしくは請求項23に記載のキット。
【請求項25】
抗エストロゲン剤が、フルベストラントまたはレトロゾールである、請求項17、請求項18、請求項23もしくは請求項24に記載のリシンアセチルトランスフェラーゼ6(KAT6)阻害剤、または請求項19、請求項20、請求項23もしくは請求項24に記載のリシンアセチルトランスフェラーゼ6(KAT6)阻害剤の使用、または請求項21、請求項23もしくは請求項24に記載の医薬組成物、または請求項22、請求項23もしくは請求項24に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、がんの処置にとって有用な方法および併用療法に関する。特に、本発明は、CDK4阻害剤および/または抗エストロゲンと組み合わせてKAT6阻害剤を投与することによってがんを処置するための方法に関する。さらに、本発明は、単一の薬剤として、または組み合わせてKAT6阻害剤を投与することによって臨床的耐性を克服する方法に関する。本発明の方法および組合せの薬学的使用も記載される。
【背景技術】
【0002】
ヒストンアセチル化は、クロマチン構成および機能にとって必須の可逆性タンパク質修飾である(Lee,K.K.ら、「Histone acetyltransferase complexes:one size doesn’t fit all」、Nat.Rev.Mol.Cell Biol.2007、8、284~295)。ヒストンのアセチル化は、コファクターとしてアセチル-CoA(AcCoA)を使用するヒストンリシンアセチルトランスフェラーゼ(HATまたはKAT)によって触媒される(Roth,S.Y.ら、「Histone acetyltransferases」、Annu.Rev.Biochem.2001、70、81~120;Furdas,S.D.ら、「Small molecule inhibitors of histone acetyltransferases as epigenetic tools and drug candidates」、Arch.Pharm.2012、345、7~21)。リシンアセチルトランスフェラーゼ6A(KAT6A、MOZまたはMYST3としても知られる)およびリシンアセチルトランスフェラーゼ6B(KAT6B、MORFとしても知られる)は、タンパク質生成物がING5、EAF6、およびBRPF-1、-2、または-3と複合体を形成して、H3K23Acをアセチル化するパラログ遺伝子である(Doyon,Y.ら、「ING tumor suppressor proteins are critical regulators of chromatin acetylation required for genome expression and perpetuation」、Mol.Cell.2006、21(1):51~64;Mullah,M.ら、「Molecular architexture of quartet MOZ/MORF histone acetyltransferase complexes」、Mol.Cell.Biol.2008、28(22):6828~6843)。KAT6AおよびKAT6Bアセチルトランスフェラーゼの機能は、遺伝子転写、細胞老化、組織発生、および正常造血幹細胞の維持を含む、基礎となる細胞プロセスに関与している(Huang,F.ら、「Regulation of KAT6 acetyltransferase and their roles in cell cycle progression,stem cell maintenance,and human disease」、Mol.Cell.Biol.2016、36、1900~1907)。
【0003】
KAT酵素は、がんにおける重要な調節機能を実行し、したがって、突然変異、転座、および増幅によって標的化されることが多い(Hu,Z.ら、「Genomic characterization of genes encoding histone acetylation modulator proteins identifies therapeutic targets for cancer treatment」、Nat Commun.2019 Feb 13;10(1):733)。KAT6Aは、急性骨髄性白血病のサブタイプにおいてCREBBP(CREB結合タンパク質)との染色体転座t(8:16)(p11:p13)の一部として1996年に同定された(Borrow,J.ら、「The translocation t(8;16)(p11;p13) of acute myeloid leukaemia fuses a putative acetyltransferase to the CREB-binding protein」、Nat.Genet.1996、14、33~41)。その後、EP300(アデノウイルスEIA関連タンパク質p300)、NCOA2(核内受容体コアクチベーター2)、およびNCOA3(Huangら)などの他のHATとの融合を生じる、さらなるKAT6AおよびKAT6B転座が、より多くのAML患者において同定された。
【0004】
ヒト癌腫、特に、乳がんでは、KAT6Aは、10~15%の乳がんに見出される8p11-12の反復的に増幅される領域の一部として同定された(Adelaide J.ら、「Chromosome region 8p11-p21:refined mapping and molecular alterations in breast cancer」、Genes Chromosomes Cancer.1998 Jul;22(3):186~99)。KAT6A増幅を有する乳がん細胞株は、KAT6Aを過剰発現し、これは、KAT6Aが、推定乳がん感受性遺伝子であることを示唆する。Turner-Iveyらは、ゲノム規模のshRNAスクリーニング戦略を使用して、KAT6Aの過剰発現を有する8p11が増幅された乳がん細胞株における有意な依存性としてKAT6Aを同定した(Turner-Ivey Bら、「KAT6A,a chromatin modifier from the 8p11-p12 amplicon is a candidate oncogene in luminal breast cancer」、Neoplasia.2014 Aug;16(8):644~55)。Yuらはその後、8p11増幅乳がん細胞において、KAT6Aがエストロゲン受容体プロモーターに局在化すること、およびKAT6AのshRNA媒介性ノックダウンがESR1 mRNAおよびERαのタンパク質レベルを減少させることを示した(Yu,L.ら、「Identification of MYST3 as a novel epigenetic activator of ERα frequently amplified in breast cancer」、Oncogene 2017、36、2910~2918)。さらに、彼らは、8p11増幅乳がん細胞中のKAT6A枯渇の結果生じる増殖欠陥が、ESR1の再発現によって一部レスキューされることを示した。これらの知見は、ER+乳がん細胞の増殖にとって必要とされるERαの遺伝子調節におけるKAT6Aの重要な役割を示している。
【0005】
染色体8p11-12の増幅およびKAT6Aの過剰発現は、卵巣がん、子宮頸がん、肺腺癌、結腸および直腸腺癌、ならびに髄芽腫を含むさらなる腫瘍型に存在する(Zack TIら、「Pan-cancer patterns of somatic copy number alteration」、Nat Genet 2013 45:1134~1140;Northcott PAら、Multiple recurrent genetic events converge on control of histone lysine methylation in medulloblastoma」、Nat Genet 2009 41:465~472)。前立腺がんを含むさらなるKAT6A腫瘍依存性が同定されている(Yu Cら、「High-throughput identification of genotype-specific cancer vulnerabilities in mixtures of barcoded tumor cell lines」、Nat Biotechnol. 2016;Meyers RMら、「Computational correction of copy number effect improves specificity of CRISPR-Cas9 essentiality screens in cancer cells」、Nat Genet.2017;およびTsherniak Aら、「Defining a cancer dependency map、Cell.2017)。全体として、これらのデータは、さらなる腫瘍型においてKAT6Aを標的化するための、より広い治療機会を示している。
【0006】
ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)ドメインによって媒介されるその触媒機能に加えて、KAT6Aタンパク質は、PHDドメイン、酸性ドメイン、およびセリン/メチオニンに富むドメインなどのさらなるドメインを含む。その触媒活性とは無関係の遺伝子発現のKAT6A調節が報告されている(Kitabayashi,I.ら、「Activation of AML1 mediated transcription by MOZ and inhibition by the MOZ-CBP fusion protein」、EMBO J. 2001、20(24):7184~7196)。ER+乳がん細胞の、KAT6Aに対する依存性が、RNA干渉を使用してKAT6Aタンパク質レベルをノックダウンするによって示された(Turner-Ivey B.ら、およびYu,L.ら)。しかしながら、ERα発現およびER+乳がん細胞増殖のためのKAT6A触媒活性の要件は不明である。MYCにより駆動されるリンパ腫細胞を効率的に殺傷する2つの進化したKAT6A/6B阻害剤が、Monash Universityの研究者によって文献中で報告されたが、これはKAT6A/6B酵素活性がそのようながんの増殖にとって必要であることを示唆している(Kitabayashi,I.ら)。しかしながら、これらの2つの報告されたKAT6A/6B阻害剤は、その化学構造中に存在する重要な薬理活性団(アシルスルホニルヒドラジド部分)に起因する、高いヒト肝臓ミクロソームクリアランス、強力なDDI能力、および酸不安定性を有することが見出された。今まで、HR+乳がんおよびAR+前立腺がんを含む固形腫瘍の処置において有効であると文献中で報告されたKAT6A/6B酵素阻害剤はない。また、ヒト臨床試験において現在試験されている公知のKAT6A/6B触媒阻害剤もない。
【0007】
化合物、N’-(4-フルオロ-5-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボニル)ベンゼンスルホノヒドラジド(本明細書では「化合物A」と称される)は、構造式:
【0008】
【化1】
を有する、KAT6Aの阻害剤である。
【0009】
化合物Aおよびその薬学的に許容される塩は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開番号WO2016/198507に開示されている。
【0010】
化合物、N’-(5-クロロ-4-フルオロ-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボニル)ベンゼンスルホノヒドラジド(本明細書では「化合物B」と称される)は、構造式:
【0011】
【化2】
を有する、KAT6Aの阻害剤である。
【0012】
化合物Bおよびその薬学的に許容される塩は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開番号WO2016/198507に開示されている。
【0013】
化合物、2,6-ジメトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド(本明細書では「化合物C」と称される)は、構造式:
【0014】
【化3】
を有する、KAT6ヒストンアセチルトランスフェラーゼ、KAT6AおよびKAT6Bの強力かつ選択的な触媒阻害剤である。
【0015】
化合物Cおよびその薬学的に許容される塩は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第16/902,515号に開示されている。
【0016】
化合物、2-フルオロ-N’-(3-フルオロ-5-(ピリジン-2-イル)ベンゾイル)ベンゼンスルホノヒドラジド(本明細書では「化合物D」と称される)は、構造式:
【0017】
【化4】
を有する、KAT6Aの阻害剤である。
【0018】
化合物Dおよびその薬学的に許容される塩は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開番号WO2016/198507に開示されている。
【0019】
化合物、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド(本明細書では「化合物E」と称される)は、構造式:
【0020】
【化5】
を有する、KAT6ヒストンアセチルトランスフェラーゼ、KAT6AおよびKAT6Bの強力かつ選択的な触媒阻害剤である。
【0021】
化合物Eおよびその薬学的に許容される塩は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第16/902,515号に開示されている。
【0022】
サイクリン依存的キナーゼ(CDK)および関連するセリン/トレオニンタンパク質キナーゼは、真核細胞の分裂および増殖の調節における必須の機能を実行する重要な細胞性酵素である。CDK触媒ユニットは、サイクリンとして知られる調節サブユニットによって活性化される。少なくとも16種の哺乳動物サイクリンが同定されている(Johnson DG、Walker CL、「Cyclins and Cell Cycle Checkpoints」、Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.(1999)39:295~312)。サイクリンB/CDK1、サイクリンA/CDK2、サイクリンE/CDK2、サイクリンD/CDK4、サイクリンD/CDK6、およびおそらく他のヘテロダインは、細胞周期進行の重要な調節因子である。サイクリン/CDKヘテロダインのさらなる機能としては、転写の調節、DNA修復、分化およびアポトーシスが挙げられる(Morgan DO、「Cyclin-dependent kinases:engines,clocks,and microprocessors」、Annu.Rev.Cell.Dev.Biol.(1997)13:261~291)。
【0023】
CDK阻害剤は、がんの処置において有用であることが示されている。サイクリン依存的キナーゼの活性の増大または時間的に異常な活性化は、ヒト腫瘍の発生をもたらすことが示されており、ヒト腫瘍発生は一般に、CDKタンパク質自体またはその調節因子の変化と関連する(Cordon-Cardo C、「Mutations of cell cycle regulators:biological and clinical implications for human neoplasia」、Am.J.Pathol.(1995)147:545~560;Karp JE、「Broder S. Molecular foundations of cancer:new targets for intervention」、Nat.Med.(1995)1:309~320;Hall M、Peters G、「Genetic alterations of cyclins,cyclin-dependent kinases,and Cdk inhibitors in human cancer」、Adv.CancerRes.(1996)68:67~108)。
【0024】
CDK4およびCDK6は、D型サイクリンおよびp16INK4a(CDKN2A)などのINK4内因性CDK阻害剤によって制御される、G1-Sチェックポイントでの細胞周期進行の重要な調節因子である。サイクリンD-CDK4/6-INK4-網膜芽腫(Rb)経路の脱調節は、内分泌療法耐性の発生と関連すると報告されている。さらに、CDK4は、多くの乳がんにおいて単一のオンコジーンドライバーとして同定されており、新たなデータは、サイクリンD3-CDK6阻害が血液毒性と関連し得ることを示唆し、CDK4選択的阻害剤の役割を示唆している。
【0025】
CDK4/6阻害剤であるパルボシクリブ、リボシクリブおよびアベマシクリブに関する臨床試験が、単一の薬剤として、または他の治療剤と組み合わせて、乳がんおよび他のがんについて進行中である。内分泌療法と組み合わせたCDK4/6阻害剤の使用は、ホルモン受容体(HR)陽性、ヒト上皮増殖因子2(HER2)陰性の進行性または転移性乳がんの処置において有意な効能を示し、パルボシクリブ、リボシクリブおよびアベマシクリブを含むCDK4/6阻害剤は、第1または第2選択の設定において内分泌療法と組み合わせて認可されている。パルボシクリブ、リボシクリブおよびアベマシクリブは、ある特定の患者において、第1選択の設定においては、レトロゾールなどのアロマターゼ阻害剤と共に、および第2選択またはそれ以降の療法においては、フルベストラントと共に、ホルモン受容体(HR)陽性、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)陰性の進行性または転移性乳がんの処置のために認可されている(O’Learyら、「Treating cancer with selective CDK4/6 inhbitors」、Nature Reviews(2016)13:417~430)。
【0026】
パルボシクリブ、または6-アセチル-8-シクロペンチル-5-メチル-2-(5-ピペラジン-1-イル-ピリジン-2-イルアミノ)-8H-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-オン(PD-0332991とも称される)は、構造式:
【0027】
【化6】
を有する、CDK4およびCDK6の強力かつ選択的な阻害剤である。
【0028】
パルボシクリブは、WHO Drug Information、Vol.27、No.2、172ページ(2013)に記載されている。パルボシクリブおよびその薬学的に許容される塩は、国際公開番号WO2003/062236ならびに米国特許第6,936,612号、第7,456,168号および第RE47,739号;国際公開番号WO2005/005426ならびに米国特許第7,345,171号および第7,863,278号;国際公開番号WO2008/032157および米国特許第7,781,583号;ならびに国際公開番号WO2014/128588に開示されている。前記参考文献のそれぞれの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
化合物、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(本明細書では「化合物F」と称される)は、構造式:
【0030】
【化7】
を有する、CDK4の強力かつ選択的な阻害剤である。
【0031】
化合物Fおよびその薬学的に許容される塩は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年10月31日に公開された国際公開番号WO2019/207463に開示されている。
【0032】
CDK4/6阻害剤はER陽性の転移性乳がんにおける有意な臨床効能を示したが、他のキナーゼと同様、その効果は、一次耐性または獲得耐性の発生によって時間と共に制限され得る。選択的CDK4/6阻害剤であるパルボシクリブは、乳がんにおいて臨床的に有効であることが証明されている(DeMichele A、Clark AS、Tan KSら、「CDK4/6 inhibitor palbociclib(PD-0332991) in Rb+ advanced breast cancer:phase II activity,safety,and predictive biomarker assessment」、Clin Cancer Res 2015;21(5):995~1001;Finn RS、Martin M、Rugo HSら、「Palbociclib and Letrozole in Advanced Breast Cancer」、New Engl J Med 2016;375(20):1925~36;Cristofanilli M、Turner NC、Bondarenko Iら、「Fulvestrant plus palbociclib versus fulvestrant plus placebo for treatment of hormone-receptor-positive,HER2-negative metastatic breast cancer that progressed on previous endocrine therapy(PALOMA-3):final analysis of the multicentre,double-blind,phase 3 randomised controlled trial」、Lancet Oncol 2016;17(4):425~39)が、しかしながら、初期の臨床利益後、パルボシクリブに対する獲得耐性が生じ得る(Knudsen Erik S.、Witkiewicz Agnieszka K.、「The Strange Case of CDK4/6 Inhibitors:Mechanisms,Resistance,and Combination Strategies」、Trends Cancer 2017;3(1):39~55)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】国際公開番号WO2016/198507
【特許文献2】米国特許出願第16/902,515号
【特許文献3】国際公開番号WO2003/062236
【特許文献4】米国特許第6,936,612号
【特許文献5】米国特許第7,456,168号
【特許文献6】米国特許第RE47,739号
【特許文献7】国際公開番号WO2005/005426
【特許文献8】米国特許第7,345,171号
【特許文献9】米国特許第7,863,278号
【特許文献10】国際公開番号WO2008/032157
【特許文献11】米国特許第7,781,583号
【特許文献12】国際公開番号WO2014/128588
【特許文献13】国際公開番号WO2019/207463
【特許文献14】国際公開番号WO2019/043139A1
【特許文献15】国際公開番号WO2019/243491A1
【特許文献16】国際公開番号WO2020/002587
【特許文献17】国際特許出願番号PCT/IB2020/055667
【非特許文献】
【0034】
【非特許文献1】Lee,K.K.ら、「Histone acetyltransferase complexes:one size doesn’t fit all」、Nat.Rev.Mol.Cell Biol.2007、8、284~295
【非特許文献2】Roth,S.Y.ら、「Histone acetyltransferases」、Annu.Rev.Biochem.2001、70、81~120
【非特許文献3】Furdas,S.D.ら、「Small molecule inhibitors of histone acetyltransferases as epigenetic tools and drug candidates」、Arch.Pharm.2012、345、7~21
【非特許文献4】Doyon,Y.ら、「ING tumor suppressor proteins are critical regulators of chromatin acetylation required for genome expression and perpetuation」、Mol.Cell.2006、21(1):51~64
【非特許文献5】Mullah,M.ら、「Molecular architexture of quartet MOZ/MORF histone acetyltransferase complexes」、Mol.Cell.Biol.2008、28(22):6828~6843
【非特許文献6】Huang,F.ら、「Regulation of KAT6 acetyltransferase and their roles in cell cycle progression,stem cell maintenance,and human disease」、Mol.Cell.Biol.2016、36、1900~1907
【非特許文献7】Hu,Z.ら、「Genomic characterization of genes encoding histone acetylation modulator proteins identifies therapeutic targets for cancer treatment」、Nat Commun.2019 Feb 13;10(1):733
【非特許文献8】Borrow,J.ら、「The translocation t(8;16)(p11;p13) of acute myeloid leukaemia fuses a putative acetyltransferase to the CREB-binding protein」、Nat.Genet.1996、14、33~41
【非特許文献9】Adelaide J.ら、「Chromosome region 8p11-p21:refined mapping and molecular alterations in breast cancer」、Genes Chromosomes Cancer.1998 Jul;22(3):186~99
【非特許文献10】Turner-Ivey Bら、「KAT6A,a chromatin modifier from the 8p11-p12 amplicon is a candidate oncogene in luminal breast cancer」、Neoplasia.2014 Aug;16(8):644~55
【非特許文献11】Yu,L.ら、「Identification of MYST3 as a novel epigenetic activator of ERα frequently amplified in breast cancer」、Oncogene 2017、36、2910~2918
【非特許文献12】Zack TIら、「Pan-cancer patterns of somatic copy number alteration」、Nat Genet 2013 45:1134~1140
【非特許文献13】Northcott PAら、Multiple recurrent genetic events converge on control of histone lysine methylation in medulloblastoma」、Nat Genet 2009 41:465~472
【非特許文献14】Yu Cら、「High-throughput identification of genotype-specific cancer vulnerabilities in mixtures of barcoded tumor cell lines」、Nat Biotechnol. 2016
【非特許文献15】Meyers RMら、「Computational correction of copy number effect improves specificity of CRISPR-Cas9 essentiality screens in cancer cells」、Nat Genet.2017
【非特許文献16】Tsherniak Aら、「Defining a cancer dependency map、Cell.2017
【非特許文献17】Kitabayashi,I.ら、「Activation of AML1 mediated transcription by MOZ and inhibition by the MOZ-CBP fusion protein」、EMBO J. 2001、20(24):7184~7196
【非特許文献18】Johnson DG、Walker CL、「Cyclins and Cell Cycle Checkpoints」、Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.(1999)39:295~312
【非特許文献19】Morgan DO、「Cyclin-dependent kinases:engines,clocks,and microprocessors」、Annu.Rev.Cell.Dev.Biol.(1997)13:261~291
【非特許文献20】Cordon-Cardo C、「Mutations of cell cycle regulators:biological and clinical implications for human neoplasia」、Am.J.Pathol.(1995)147:545~560
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【非特許文献22】Hall M、Peters G、「Genetic alterations of cyclins,cyclin-dependent kinases,and Cdk inhibitors in human cancer」、Adv.CancerRes.(1996)68:67~108
【非特許文献23】O’Learyら、「Treating cancer with selective CDK4/6 inhbitors」、Nature Reviews(2016)13:417~430
【非特許文献24】WHO Drug Information、Vol.27、No.2、172ページ(2013)
【非特許文献25】DeMichele A、Clark AS、Tan KSら、「CDK4/6 inhibitor palbociclib(PD-0332991) in Rb+ advanced breast cancer:phase II activity,safety,and predictive biomarker assessment」、Clin Cancer Res 2015;21(5):995~1001
【非特許文献26】Finn RS、Martin M、Rugo HSら、「Palbociclib and Letrozole in Advanced Breast Cancer」、New Engl J Med 2016;375(20):1925~36
【非特許文献27】Cristofanilli M、Turner NC、Bondarenko Iら、「Fulvestrant plus palbociclib versus fulvestrant plus placebo for treatment of hormone-receptor-positive,HER2-negative metastatic breast cancer that progressed on previous endocrine therapy(PALOMA-3):final analysis of the multicentre,double-blind,phase 3 randomised controlled trial」、Lancet Oncol 2016;17(4):425~39
【非特許文献28】Knudsen Erik S.、Witkiewicz Agnieszka K.、「The Strange Case of CDK4/6 Inhibitors:Mechanisms,Resistance,and Combination Strategies」、Trends Cancer 2017;3(1):39~55
【非特許文献29】Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use by Stahl and Wermuth(Wiley-VCH,2002)
【非特許文献30】Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easter,Pa.、第15版(1975)
【非特許文献31】Jose M Silvaら、「Second-generation shRNA libraries covering the mouse and human genomes」、2005、Nature Genetics 37(11):1281~1288
【非特許文献32】Li W、Koster J、Xu H、Chen CH、Xiao T、Liu JS、Brown M、Liu XS、「Quality control,modeling,and visualization of CRISPR screens with MAGeCK-VISPR」、Genome Biol.2015 Dec 16:16:281
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
したがって、がんの処置のための改善された療法が依然として必要である。本発明の組合せおよび方法は、より高い効能;副作用を低減する能力;薬物間相互作用を低減する能力;または内分泌療法に対する乳がんの耐性などの耐性メカニズムを克服する能力などの1つまたは複数の利点を有すると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0036】
以下に記載される実施形態はそれぞれ、それが組み合わされる実施形態と矛盾しない本明細書に記載の任意の他の実施形態と組み合わせることができる。さらに、本明細書に記載の実施形態はそれぞれ、本明細書に記載の化合物の薬学的に許容される塩をその範囲内に想定する。したがって、語句「またはその薬学的に許容される塩」は、本明細書に記載の全ての化合物の説明において暗黙的である。
【0037】
本発明は、がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6阻害剤と、a)ある量のCDK4阻害剤;b)ある量の抗エストロゲン剤;またはc)ある量のCDK4阻害剤およびある量の抗エストロゲン剤とを投与することを含み、その量が、合わせると、がんの処置において治療的に有効である、方法に関する。
【0038】
本発明は、がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6阻害剤と、ある量のCDK4阻害剤とを投与することを含み、その量が、合わせると、がんの処置において治療的に有効である、方法に関する。
【0039】
本発明は、がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6阻害剤と、ある量の抗エストロゲン剤とを投与することを含み、その量が、合わせると、がんの処置において治療的に有効である、方法に関する。
【0040】
本発明は、がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6阻害剤、ある量のCDK4阻害剤、およびある量の抗エストロゲン剤を投与することを含み、その量が、合わせると、がんの処置において治療的に有効である、方法に関する。
【0041】
本発明の前記方法の実施形態では、KAT6阻害剤は、KAT6A阻害剤である。
【0042】
本発明の方法の実施形態では、KAT6阻害剤は、
N’-(4-フルオロ-5-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボニル)ベンゼンスルホノヒドラジド;
N’-(5-クロロ-4-フルオロ-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボニル)ベンゼンスルホノヒドラジド;
2,6-ジメトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド;
2-フルオロ-N’-(3-フルオロ-5-(ピリジン-2-イル)ベンゾイル)ベンゼンスルホノヒドラジド;および
2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、
またはその薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
【0043】
本発明の方法の実施形態では、KAT6阻害剤は、2,6-ジメトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩である。
【0044】
本発明の方法の好ましい実施形態では、KAT6阻害剤は、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩である。
【0045】
本発明の方法の実施形態では、CDK4阻害剤は、CDK4選択的阻害剤またはCDK4/6阻害剤である。
【0046】
本発明の方法の実施形態では、CDK4阻害剤は、CDK4選択的阻害剤である。
【0047】
本発明の方法の実施形態では、CDK4選択的阻害剤は、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール、またはその薬学的に許容される塩である。
【0048】
本発明の方法の実施形態では、CDK4阻害剤は、CDK4/6阻害剤である。
【0049】
本発明の方法の実施形態では、CDK4/6阻害剤は、アベマシクリブ、リボシクリブおよびパルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩である。
【0050】
本発明の方法の好ましい実施形態では、CDK4/6阻害剤は、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩である。
【0051】
本発明の方法の実施形態では、抗エストロゲン剤は、アロマターゼ阻害剤、選択的エストロゲン受容体分解剤(SERD)または選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)である。
【0052】
本発明の方法の実施形態では、抗エストロゲン剤は、フルベストラントまたはレトロゾールである;抗エストロゲン剤は、フルベストラントである;または抗エストロゲン剤は、レトロゾールである。
【0053】
本発明の方法の実施形態では、ある量のKAT6阻害剤と、ある量のCDK4阻害剤と、ある量の抗エストロゲン剤とが投与される場合、抗エストロゲン剤は、フルベストラントもしくはレトロゾールであるか、または抗エストロゲン剤は、レトロゾールである。
【0054】
本発明の方法のいずれかの実施形態では、患者はヒトである。
【0055】
本発明は、がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、ある量のパルボシクリブとを投与することを含み、その量が、合わせると、がんの処置において治療的に有効である、方法に関する。
【0056】
本発明は、がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、ある量の1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール、またはその薬学的に許容される塩とを投与することを含み、その量が、合わせると、がんの処置において治療的に有効である、方法に関する。
【0057】
本発明は、がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、ある量のフルベストラントとを投与することを含み、その量が、合わせると、がんの処置において治療的に有効である、方法に関する。
【0058】
本発明は、がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、ある量のパルボシクリブまたはその薬学的に許容される塩と、ある量のフルベストラントとを投与することを含み、その量が、合わせると、がんの処置において治療的に有効である、方法に関する。
【0059】
本発明は、がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、、ある量のパルボシクリブまたはその薬学的に許容される塩と、ある量のレトロゾールとを投与することを含み、その量が、合わせると、がんの処置において治療的に有効である、方法に関する。
【0060】
本発明の方法のいずれかの実施形態では、本発明の方法において処置されるがんは、乳がん、肺がん、結腸がん、脳腫瘍、頭頸部がん、前立腺がん、胃がん、膵がん、卵巣がん、メラノーマ、内分泌がん、子宮がん、精巣がん、または膀胱がんである。
【0061】
本発明の方法のいずれかの実施形態では、本発明の方法において処置されるがんは、乳がん、肺がん、前立腺がん、膵がん、または卵巣がんである。
【0062】
本発明の方法のいずれかの実施形態では、本発明の方法において処置されるがんは、乳がん、肺がん、または前立腺がんである。
【0063】
本発明の方法のいずれかの実施形態では、本発明の方法において処置されるがんは、乳がんである。
【0064】
本発明の方法のいずれかの実施形態では、本発明の方法において処置される乳がんは、ホルモン受容体陽性(HR+)乳がんである;ホルモン受容体陽性(HR+)乳がんは、プロゲステロン受容体陽性(PR+)乳がんおよびエストロゲン受容体陽性(ER+)乳がんからなる群から選択される;ならびにホルモン受容体陽性(HR+)乳がんは、プロゲステロン受容体陽性(PR+)乳がんである。
【0065】
本発明の方法のいずれかの実施形態では、本発明の方法において処置される乳がんは、エストロゲン受容体陽性(ER+)乳がんである;エストロゲン受容体陽性(ER+)乳がんは、ヒト上皮増殖因子受容体2陰性(HER2-)である;エストロゲン受容体陽性(ER+)乳がんは、ヒト上皮増殖因子受容体2陽性(HER2+)である。
【0066】
本発明の方法は、がんの処置における使用のための、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩との組合せに関する。
【0067】
本発明の方法は、がんの処置における使用のための、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール、またはその薬学的に許容される塩との組合せに関する。
【0068】
本発明の方法は、がんの処置における使用のための、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、フルベストラントとの組合せに関する。
【0069】
本発明の方法は、がんの処置における使用のための、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩と、フルベストラントとの組合せに関する。
【0070】
本発明の方法は、がんの処置における使用のための、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩と、レトロゾールとの組合せに関する。
【0071】
本発明は、内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、内分泌療法に対する臨床的耐性の克服において治療的に有効である量のKAT6阻害剤を投与することを含む方法に関する。
【0072】
本発明は、内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6阻害剤と、場合により、ある量のCDK4阻害剤とを投与することを含み、その量が、合わせると、内分泌療法に対する臨床的耐性の克服において治療的に有効である、方法に関する。
【0073】
内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法の実施形態では、内分泌療法は、がんを処置するために使用される;がんは、乳がん、肺がん、結腸がん、脳腫瘍、頭頸部がん、前立腺がん、胃がん、膵がん、卵巣がん、メラノーマ、内分泌がん、子宮がん、精巣がん、または膀胱がんである;がんは、乳がん、肺がん、前立腺がん、膵がん、または卵巣がんである;がんは、乳がん、肺がん、または前立腺がんである;がんは、乳がんである;乳がんは、ホルモン受容体陽性(HR+)乳がんである;ホルモン受容体陽性(HR+)乳がんは、プロゲステロン受容体陽性(PR+)乳がんおよびエストロゲン受容体陽性(ER+)乳がんからなる群から選択される;ホルモン受容体陽性(HR+)乳がんは、プロゲステロン受容体陽性(PR+)乳がんである;ホルモン受容体陽性(HR+)乳がんは、エストロゲン受容体陽性(ER+)乳がんである;エストロゲン受容体陽性(ER+)乳がんは、ヒト上皮増殖因子受容体2陰性(HER2-)である;ならびにエストロゲン受容体陽性(ER+)乳がんは、ヒト上皮増殖因子受容体2陰性(HER2-)である。
【0074】
内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法の実施形態では、KAT6阻害剤は、KAT6A阻害剤である。
【0075】
内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法の実施形態では、KAT6阻害剤は、
N’-(4-フルオロ-5-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボニル)ベンゼンスルホノヒドラジド;
N’-(5-クロロ-4-フルオロ-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボニル)ベンゼンスルホノヒドラジド;
2,6-ジメトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド;
2-フルオロ-N’-(3-フルオロ-5-(ピリジン-2-イル)ベンゾイル)ベンゼンスルホノヒドラジド;および
2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、
またはその薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
【0076】
内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法の実施形態では、KAT6阻害剤は、2,6-ジメトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩である。
【0077】
内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法の実施形態では、KAT6阻害剤は、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩である。
【0078】
内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法の実施形態では、CDK4阻害剤は、CDK4選択的阻害剤またはCDK4/6阻害剤である。
【0079】
内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法の実施形態では、CDK4阻害剤は、CDK4選択的阻害剤である。
【0080】
内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法の実施形態では、CDK4選択的阻害剤は、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール、またはその薬学的に許容される塩である。
【0081】
内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法の実施形態では、CDK4阻害剤は、CDK4/6阻害剤である。
【0082】
内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法の実施形態では、CDK4/6阻害剤は、アベマシクリブ、リボシクリブおよびパルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩である。
【0083】
内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法の実施形態では、CDK4/6阻害剤は、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図1A図1Aは、パルボシクリブ処置の除去後のT747D ER+乳がん細胞中で増殖した細胞数を示す。
図1B図1Bは、パルボシクリブ処置の除去後のMCF7 ER+乳がん細胞中で増殖した細胞数を示す。
図2図2は、パルボシクリブ処置中の可逆的増殖停止にとって必要とされる遺伝子を同定するために使用されたプールされたRNAiスクリーンの概略を示す。
図3A図3Aは、ER+乳がん細胞増殖およびパルボシクリブ停止からの回復にとって必要とされるエピジェネティック酵素としてのKAT6Aを検証するために使用されたワークフローを示す。
図3B図3Bは、T47DおよびZR75-1 ER+乳がん細胞中での増殖コロニー形成アッセイおよびパルボシクリブ回復コロニー形成アッセイの結果を示す。
図4A図4Aは、MCF7 ER+乳がん細胞中での増殖コロニー形成アッセイの結果を示す。
図4B図4Bは、MCF7 ER+乳がん細胞中でのパルボシクリブ回復アッセイの結果を示す。
図5A図5Aは、CAMA1 ER+乳がん細胞中での増殖コロニー形成アッセイの結果を示す。
図5B図5Bは、KAT6Aをノックダウンして14日後のCAMA1 ER+乳がん細胞中でのKAT6A_5、KAT6A_6、shCB3およびKAT6A_10_1uに関する培養物あたりの細胞数を示す。
図6図6は、KAT6Aノックダウン後のCAMA1細胞の形態を示す。
図7A図7Aは、KAT6Aノックダウンが、EFM192A ER+乳がん細胞中で100nMのパルボシクリブと組み合わせた場合、増殖に対する中程度の効果および実質的な合成致死効果を有することを示す。
図7B図7Bは、EFM192A ER+乳がん細胞中、mRNAレベルでのshKAT6A_5およびshKAT6A_6によるKAT6Aの効率的ノックダウンを示す。
図7C図7Cは、EFM192A ER+乳がん細胞中、タンパク質レベルでのshKAT6A_5とshKAT6A_6の両方によるKAT6Aの効率的ノックダウンを示す。
図8A図8Aは、化合物AがT47D ER+乳がん細胞の増殖を阻害することを示す。
図8B図8Bは、化合物Aと、パルボシクリブとの組合せが、パルボシクリブ増殖停止からのT47D ER+乳がん細胞の回復を遮断することを示す。
図8C図8Cは、化合物BがT47D ER+乳がん細胞の増殖を阻害することを示す。
図8D図8Dは、化合物Bと、パルボシクリブとの組合せが、パルボシクリブ増殖停止からのT47D ER+乳がん細胞の回復を遮断することを示す。
図9図9は、化合物Aが増殖を阻害し、パルボシクリブ増殖停止からのZR-75-1 ER+乳がん細胞の回復を遮断することを示す。
図10図10は、単一の薬剤としての化合物Aおよびパルボシクリブと組み合わせた化合物Aが、パルボシクリブ増殖停止からのMCF7 ER+乳がん細胞の回復を阻害することを示す。
図11A図11Aは、T47D、ZR75-1およびCAMA1 ER+乳がん細胞におけるKAT6Aノックダウンの結果を示す。
図11B図11Bは、T47D、ZR75-1およびCAMA1 ER+乳がん細胞におけるESR1 mRNAの減少を示す。
図11C図11Cは、T47D、ZR75-1およびCAMA1 ER+乳がん細胞におけるERαタンパク質の減少を示す。
図12A図12Aは、KAT6Aノックダウンが、T47D ER+乳がん細胞においてERαタンパク質の有意な減少をもたらし、異所性プロモーターからのESR1の再発現がERαタンパク質レベルを復旧させたことを示す。
図12B図12Bは、KAT6Aノックダウンが、T47D ER+乳がん細胞においてESR1転写物の有意な減少をもたらし、異所性プロモーターからのESR1の再発現がESR1転写物レベルを復旧させたことを示す。
図12C図12Cは、KAT6Aノックダウンが、T47D ER+乳がん細胞において細胞増殖の有意な減少をもたらし、異所性プロモーターからのESR1の再発現がKAT6A枯渇の存在下で細胞増殖を復旧させたことを示す。
図12D図12Dは、ESR1の再発現が、KAT6A枯渇と組み合わせたパルボシクリブによって細胞周期停止からのT47D細胞の回復を部分的に復旧させたことを示す。
図13A図13Aは、化合物Cと、パルボシクリブとの組合せが、T47D ER+乳がん細胞の細胞増殖を阻害し、その回復を遮断することを示す。
図13B図13Bは、化合物Cと、パルボシクリブとの組合せが、ZR75-1 ER+乳がん細胞の細胞増殖を阻害し、その回復を遮断することを示す。
図13C図13Cは、化合物Dと、パルボシクリブとの組合せが、T47D ER+乳がん細胞の細胞増殖を阻害し、その回復を遮断することを示す。
図13D図13Dは、化合物Dと、パルボシクリブとの組合せが、ZR75-1 ER+乳がん細胞の細胞増殖を阻害し、その回復を遮断することを示す。
図14A図14Aは、化合物Cの処置が、T47D ER+乳がん細胞中でERαとサイクリンD1との両方の用量依存的枯渇をもたらすことを示す。
図14B図14Bは、化合物Dの処置が、T47D ER+乳がん細胞中でERαとサイクリンD1との両方の用量依存的枯渇をもたらすことを示す。
図14C図14Cは、化合物Dが、T47D ER+乳がん細胞中で、qPCRによって測定した場合、ESR1およびCCND1 mRNAの用量依存的枯渇をもたらすことを示す。
図14D図14Dは、化合物Dが、T47D ER+乳がん細胞中で、qPCRによって測定した場合、ESR1およびCCND1 mRNAの用量依存的枯渇をもたらすことを示す。
図15A図15Aは、T47D ER+乳がん細胞中での、単一の薬剤としての、およびパルボシクリブと組み合わせた、フルベストラント、パルボシクリブ、および化合物Cに対するY537S、D538G、およびY537S/D538突然変異の感受性を示す。
図15B図15Bは、T47D ER+乳がん細胞中での、単一の薬剤としての、およびパルボシクリブと組み合わせた、フルベストラント、パルボシクリブ、および化合物Dに対するY537S、D538G、およびY537S/D538突然変異の感受性を示す。
図16A図16Aは、T47D ER+乳がん細胞中での、単一の薬剤としての、および組み合わせた、パルボシクリブおよび化合物AによるESRI mRNAの減少を示す。
図16B図16Bは、T47D ER+乳がん細胞中での、単一の薬剤としての、および化合物Cと組み合わせた、パルボシクリブによるESRI mRNAの減少を示す。
図16C図16Cは、T47DおよびMCF7 ER+乳がん細胞中での、単一の薬剤としての、および化合物Cと組み合わせた、パルボシクリブによるERαレベルの減少を示す。
図16D図16Dは、T47DおよびMCF7 ER+乳がん細胞中での、単一の薬剤としての、および化合物Cと組み合わせた、パルボシクリブによる、qPCRにより測定した、ESR1 mRNAレベルの減少を示す。
図17A図17Aは、ST340 PDXモデルにおける、単一の薬剤としての、ならびに二重および三重の組合せにおける化合物E、パルボシクリブおよびフルベストラントによる腫瘍増殖阻害および増殖遅延を示す。
図17B図17Bは、ST340 PDXモデルにおける、単一の薬剤としての、二重および三重の組合せにおける化合物E、パルボシクリブおよびフルベストラントの忍容性を示す。
図18A図18Aは、ST941 PDXモデルにおける、単一の薬剤としての、ならびに二重および三重の組合せにおける化合物E、パルボシクリブおよびフルベストラントによる腫瘍増殖阻害および増殖遅延を示す。
図18B図18Bは、ST941 PDXモデルにおける、単一の薬剤としての、二重および三重の組合せにおける化合物E、パルボシクリブおよびフルベストラントの忍容性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0085】
本発明は、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明および本明細書に含まれる実施例を参照することによって、より容易に理解することができる。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためのものであり、限定を意図するものではないことが理解されるべきである。さらに、本明細書で具体的に定義されない限り、本明細書で使用される用語は、関連する業界で公知のようなその伝統的な意味を与えられることが理解されるべきである。
【0086】
本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、別途指摘しない限り、複数の指示対象を含む。例えば、「an」excipient(賦形剤)は、1つまたは複数の賦形剤を含む。
【0087】
本明細書で使用される場合、数的に定義されるパラメーター(例えば、KAT6阻害剤またはCDK阻害剤の用量)を修飾するために使用される場合の用語「約」は、そのパラメーターが、そのパラメーターに関する記述される数値の10%下または上で変化してもよいことを意味する。例えば、約5mgの用量は、5%±10%を意味する、すなわち、それは4.5mg~5.5mgの間で変化してもよい。
【0088】
本明細書で使用される場合、限定されるものではないが、「薬剤」、「成分」、「組成物」、「化合物」、「薬物」、「標的薬剤」、「標的治療剤」、および「治療剤」を含む用語は、本発明の化合物、具体的には、KAT6阻害剤およびCDK4阻害剤を指すように互換的に使用することができる。
【0089】
本明細書では以下の省略形を使用することができる:BID(1日2回);Dox(ドキシサイクリン);DMEM(Dulbeccoの改変Eagle培地);DMSO(ジメチルスルホキシド);dNTP(デオキシリボヌクレオチド三リン酸);FBS(ウシ胎仔血清);RPMI(Roswell Park Memorial Institute);PBS(リン酸緩衝溶液);PCR(ポリメラーゼ連鎖反応);PEG300(ポリエチレングリコール300);mpk(mg/kgまたは動物の体重1kgあたりの薬物のmg);PO(経口);Q7D(7日毎、週1回);QD(毎日、1日毎);およびSC(皮下)。
【0090】
本明細書で使用される場合、「KAT6阻害剤」は、KAT6Aの阻害剤、KAT6Bの阻害剤、ならびにKAT6AおよびKAT6Bの阻害剤を含む。KAT6阻害剤は、国際公開番号WO2019/043139A1;国際公開番号WO2019/243491A1;国際公開番号WO2020/002587;および国際特許出願番号PCT/IB2020/055667に開示されている。前記参考文献のそれぞれの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0091】
2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド(化合物E)の調製は、以下に記載される。
【0092】
【化8】
【0093】
スキーム1による1-(メタンスルホニル)-1H-ピラゾール(Int-13)の合成
【0094】
【化9】
【0095】
DCM中の1H-ピラゾール(8a)(33.0g、485mmol)およびTEA(73.6mg、727mmol)の溶液に、0℃でゆっくりとMsCl(73.9g、645mmol)を添加した。混合物を0℃で10min、次いで、室温で1h撹拌した。TLC分析(1:1の酢酸エチル(EtOAc)/石油エーテル)により、出発材料の消費が示された。反応物を、飽和水性NHCl(200mL)で希釈し、混合物を分離した。水性層を、DCM(200mL)で抽出した。合わせた有機層を、塩水(300mL)および飽和水性NaCO(300mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮したところ、淡黄色の油として1-(メタンスルホニル)-1H-ピラゾール(Int-13)(64g、90%収率)が得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.04 (d, J=2.6 Hz, 1H), 7.86 - 7.79 (m,
1H), 6.46 (dd, J=1.6, 2.7 Hz, 1H), 3.33 (s, 3H).
【0096】
スキーム2による4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-アミンの合成
【0097】
【化10】
【0098】
ステップ1:2-フルオロ-6-メトキシ-4-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]ベンゾニトリル(A-1)の合成
MeCN(150mL)中の2-フルオロ-4-(ヒドロキシメチル)-6-メトキシベンゾニトリル(Int-01)(7.0g、38.6mmol)および1-(メタンスルホニル)-1H-ピラゾール(Int-13)(6.2g、42.5mmol)の溶液に、CsCO(18.9g、58mmol)を添加した。混合物を、70℃で2h撹拌した。LCMS分析により、出発材料の消費が示された。反応液を濾過し、濾液を濃縮乾固した。粗残留物を、フラッシュクロマトグラフィー(40gのSiO、1:1のEtOAc/石油エーテル)によって精製したところ、黄色の固体として2-フルオロ-6-メトキシ-4-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]ベンゾニトリル(A-1)(7.0g、78%収率)が得られた。m/z(ESI+)231.8(M+H)
【0099】
ステップ2:4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-アミン(A-2)の合成
DMF(200mL)およびHO(30mL)中の2-フルオロ-6-メトキシ-4-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]ベンゾニトリル(A-1)(7.0g、30.3mmol)およびN-ヒドロキシアセトアミド(6.8g、90.8mmol)の溶液に、KCO(25.1g、182mmol)を添加した。混合物を、60℃で16h撹拌した。TLC分析(EtOAc)により、出発材料の消費が示された。反応混合物を濃縮して、DMFの大部分を除去した後、HO(100mL)で希釈した。得られた沈降物を、濾過によって収集した。濾過ケーキをHO(3x20mL)で洗浄し、減圧下で乾燥したところ、4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-アミン(A-2)(6.0g)が得られた。上記濾液を、EtOAc(2x30mL)で抽出した。合わせた有機層を、NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、EtOAc)によって精製したところ、さらなるバッチの4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-アミン(A-2)(0.5g)が得られた。2バッチの生成物を合わせ、減圧下で乾燥したところ、黄色の固体として4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-アミン(A-2)(6.5g、88%収率)が得られた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.88 (d, J=2.0 Hz, 1H), 7.51 (d, J=1.3 Hz,
1H), 6.70 (s, 1H), 6.63 (s, 1H), 6.31 (t, J=2.0 Hz, 1H), 6.08 - 5.78 (m, 2H),
5.52 - 5.31 (m, 2H), 3.93 - 3.73 (m, 3H). m/z (ESI+) 244.8 (M+H)+.
【0100】
スキーム3(経路A)による2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド(化合物E)の調製
【0101】
【化11】
【0102】
ピリジン(8.0mL)中の4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-アミン(A-2)(2.5g、10mmol)の懸濁液に、2-メトキシベンゼン-1-スルホニルクロリド(3.17g、15.4mmol)を添加した。反応物を120℃で1.5h撹拌した。混合物を室温に冷却し、MeOHで希釈した。得られた懸濁液を濾過し、濾過ケーキをMeOH(30mL)で洗浄した。固体をDCM(50mL)中に溶解し、MeOH(30mL)を添加した。DCMを減圧下で除去し、沈降物を濾過によって収集した。濾過ケーキを凍結乾燥によって乾燥したところ、白色の固体として2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド(化合物E)(2.5g、59%収率)が得られた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.18 (s, 1H), 7.87 (d, J= 2.0 Hz, 1H),
7.80 (dd, J=1.6, 7.9 Hz, 1H), 7.66 - 7.59 (m, 1H), 7.49 (d, J=1.5 Hz, 1H), 7.19
(d, J=8.3 Hz, 1H), 7.09 (t, J=7.7 Hz, 1H), 6.83 (s, 1H), 6.74 (s, 1H), 6.30 (t,
J=2.0 Hz, 1H), 5.44 (s, 2H), 3.82 (s, 3H), 3.78 (s, 3H); m/z (ESI+) 415.0
(M+H)+.
【0103】
スキーム4による2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド(化合物E)の代替的調製
【0104】
【化12】
【0105】
【化13】
【0106】
オーバーヘッドスターラーを備えた100mLのリアクターに、4-メトキシ-6-(1H-ピラゾール-1-イルメチル)-1,2-ベンゾオキサゾール-3-アミン(A-2)(10.00g、40.94mmol)、2-メトキシベンゼンスルホニルクロリド(10.15g、49.13mmol)、およびアセトニトリル(100mL)を充填した。得られた懸濁液を、25℃で55分撹拌した。ピペットにより、ジメチルスルホキシド(0.36mL、4.09mmol)を、一部分で添加した。シリンジにより、3,5-ルチジン(14.8mL、122.82mmol)を15分かけて滴下しながら添加した。得られた明黄色の懸濁液を、25℃で18時間撹拌したところ、LCMSによって判定した場合、98%を超える転換率に達した。反応混合物を、1M HCl水溶液(100mL)で酸性化した後、約80mLまで濃縮した(回転式蒸発装置、40℃、85mbar)。スラリーを、さらに1MのHCl水溶液(40mL)で処置して、容器の壁をゆすいだ後、20℃で2.5時間撹拌した。得られた沈降物を、吸引濾過によって収集した。濾過ケーキを水(2x50mL)で洗浄した後、35℃で48時間、減圧下で乾燥したところ、固体として未精製の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド(化合物E)(15.2g、90%収率、LCMSによる純度98%)が得られた。m/z415.1(M+H)
【0107】
粗生成物を精製するために、ジクロロメタン(210mL)中の未精製の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド(化合物E)(14.00g、33.78mmol)の懸濁液を、透明な溶液が得られるまで(10分間)、40℃の浴中で加熱した。混合物を濾過し、濾液を、きれいな反応容器に戻して、追加のジクロロメタン(70mL)を使用して、移動を定量した。酢酸エチル(140mL)を2分かけて溶液に添加した後、混合物を2.5時間撹拌した。結晶化は観察されなかったので、溶液を減圧下(200mbar)で濃縮して、ジクロロメタンを除去した(容量は約70mL減少した)。さらに酢酸エチル(140mL)を残留物に添加し、混合物を室温で21時間撹拌した。得られた懸濁液を減圧下(40℃、200mbar)で約280mLまで濃縮した後、室温で3時間撹拌した。固体を濾過により収集し、さらなる酢酸エチル(70mL)を使用して反応容器および濾過ケーキをリンスした。濾過ケーキを35℃で23時間、減圧オーブン中で乾燥したところ、固体として2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド(化合物E)(12.0g、85%収率、UPLCによる純度97.9%、0.5%より大きい単一の不純物なし)が得られた。m/z415.1(M+H)
【0108】
さらに精製するために、アセトン(80mL)中の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド(化合物E)(2.0g、4.73mmol)の懸濁液を、撹拌しながら2時間、加熱還流した(浴温度55℃)。混合物を加熱しながら、酢酸エチル(30mL)をゆっくりと添加し、内部温度を45℃より上に保持した。得られたスラリーを、軽度の減圧下(浴温度65℃)で約30mLに濃縮した後、1℃/minの速度で20℃にゆっくりと冷却した(約31分)。得られた沈降物を、吸引濾過によって収集した。濾過ケーキを50℃で22時間、減圧下で乾燥したところ、結晶固体として2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド(化合物E)(1.825g、93%収率、UPLCによる99.5%純度)が得られた。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 8.14 (dd, J=1.7, 7.8 Hz, 1H), 8.04 (s, 1H), 7.59 - 7.51 (m, 2H),
7.44 (d, J=2.2 Hz, 1H), 7.14 - 7.06 (m, 1H), 6.95 (d, J=8.3 Hz, 1H), 6.78 (d,
J=0.6 Hz, 1H), 6.45 (s, 1H), 6.32 (t, J=2.1 Hz, 1H), 5.38 (s, 2H), 3.97 (s,
3H), 3.91 (s, 3H).
【0109】
スキーム5(経路B)による2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド無水遊離塩基(形態1)(化合物E)の調製
【0110】
【化14】
【0111】
【化15】
【0112】
2-メトキシベンゼン-1-スルホニルクロリド(7.6g、37mmol)を、内部温度計を装備した2首丸底フラスコに入れた。4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-アミン(A-2)(8.18g、33.5mmol)を添加し、内容物を穏やかに加熱しながらピリジン(55mL、0.6M)中に溶解した。110℃の油浴温度および101℃の内部温度で加熱を開始した。5hの加熱後、LCMS分析によって決定されるように反応を完了させた。反応物を室温に冷却し、DCM(200mL)、6N HCl(100mL)および氷水(100mL)の間に分配した。生成物をDCM中に抽出し(3回)、合わせたDCM抽出物を1N HClで洗浄し(3回)、微量のピリジンを除去した。DCM抽出物をMgSO上で乾燥し、黒色の油に濃縮した。ヘプタン中の40~100%のEtOAcの勾配で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって油を精製したところ、4.6gの生成物が得られ、これをNMRによって確認した。4.6gの生成物を、固体の多くが溶解されるまで、最初に還流下でCHCN(60mL)に溶解することによって再結晶化させた。この熱い溶液を、溝付きの濾紙を固定した、予め加熱した/熱いガラス漏斗を使用して濾過した。このステップは、無機性またはシリカゲル不純物を除去するものである。濾紙を、合計10mLの総洗浄容量のCHCNで少量ずつ洗浄した。濾液を、撹拌バーを備えた250mLビーカー中に収集した。MTBE(45mL)を熱い濾液に添加し、撹拌を開始した。30秒の撹拌後、白色の沈降物が形成され始めた。Nガスの穏やかな流れを溶液の上にわたって強制しながら、400rpmで撹拌を継続して、蒸発プロセスの速度を上昇させるのを補助した。強制N蒸発を、総量が50mLになるまで3hにわたって継続した。白色の固体を、MTBE(2回)およびヘプタン(2回)で濾過洗浄した。白色の粉末を3インチ直径の結晶皿に入れ、濾紙の小片で覆い、乾燥プロセスを補助するために乾燥オーブンの内外でNのゆっくりとした流れを使用して70℃の減圧オーブン中で48h加熱した。乾燥後、3.9gの結晶生成物が得られ、これをNMRによって確認した。融点=203~204℃。分析。C1918Sの計算値:C、55.06;H、4.38;N、13.52。実測値:C、55.09;H、4.41;N、13.57。
【0113】
2,6-ジメトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド(化合物C)の調製は、以下に記載される。
【0114】
【化16】
【0115】
スキーム6による2,6-ジメトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミドの調製。
スキーム6:
【0116】
【化17】
【0117】
ステップ1:14bからの4-((1H-ピラゾール-1-イル)メチル)-2-フルオロ-6-メトキシベンゾニトリル(A-1)の代替的合成
DMF(520mL)中の1H-ピラゾール(2.0g、29.6mmol)および水素化ナトリウム(NaH)(ミネラルオイル中の60%w/w分散物、1.5g、37.1mmol)の溶液を、0℃で1h撹拌した。次いで、DMF(80mL)中の4-(ブロモメチル)-2-フルオロ-6-メトキシベンゾニトリル(14b)(6.0g、24.7mmol)の溶液を添加し、混合物を室温(RT)で一晩撹拌した。反応物を水でクエンチし、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム(NaSO)上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=6/1)によって精製したところ、黄色の固体として4-((1H-ピラゾール-1-イル)メチル)-2-フルオロ-6-メトキシベンゾニトリル(A-1)(2.4g、42%)が得られた。m/z 232.0[M+H]
【0118】
ステップ2:カリウムtert-ブトキシドを使用する6-((1H-ピラゾール-1-イル)メチル)-4-メトキシベンゾ[d]イソオキサゾール-3-アミン(A-2)の代替的合成
RTの無水DMF(150mL)中のアセトヒドロキサム酸(3.7g、49.5mmol)の溶液に、カリウムtert-ブトキシド(5.6g、49.5mmol)を添加し、混合物をRTで1h撹拌した。次いで、4-((1H-ピラゾール-1-イル)メチル)-2-フルオロ-6-メトキシベンゾニトリル(A-1)(3.8g、16.5mmol)を添加し、撹拌を60℃で4h継続した。水を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を、無水NaSO上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=5/1)によって精製したところ、黄色の固体として6-((1H-ピラゾール-1-イル)メチル)-4-メトキシベンゾ[d]イソオキサゾール-3-アミン(A-2)(2.1g、53%)が得られた。m/z 245.0 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)
δ 7.87 (dd, J=1.6, 0.4 Hz, 1H),
7.50 (dd, J=1.6, 0.4 Hz, 1H), 6.69 (s, 1H), 6.62 (s, 1H), 6.30 (t, J=2.1 Hz,
1H), 5.93 (s, 2H), 5.41 (s, 2H), 3.86 (s, 3H).
【0119】
ステップ3:N-(6-((1H-ピラゾール-1-イル)メチル)-4-メトキシベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)-2,6-ジメトキシベンゼンスルホンアミド(実施例98)の合成
ピリジン(1mL)中の6-((1H-ピラゾール-1-イル)メチル)-4-メトキシベンゾ[d]イソオキサゾール-3-アミン(A-2)(50mg、0.205mmol)および2,6-ジメトキシベンゼンスルホニルクロリド(Int-26)(73mg、0.308mmol)の混合物を、マイクロ波照射下で2h、120℃で加熱した(バッチ1)。
【0120】
ピリジン(5mL)中の6-((1H-ピラゾール-1-イル)メチル)-4-メトキシベンゾ[d]イソオキサゾール-3-アミン(A-2)(500mg、2.1mmol)および2,6-ジメトキシベンゼンスルホニルクロリド(Int-26)(746mg、3.2mmol)の混合物を、マイクロ波照射下で2h、120℃で加熱した(バッチ2)。
【0121】
この反応を、正確に同じ規模でもう1回繰り返した(バッチ3)。
【0122】
ピリジン(4mL)中の6-((1H-ピラゾール-1-イル)メチル)-4-メトキシベンゾ[d]イソオキサゾール-3-アミン(A-2)(350mg、1.4mmol)および2,6-ジメトキシベンゼンスルホニルクロリド(Int-26)(509mg、2.2mmol)の混合物を、マイクロ波照射下で2h、120℃で加熱した(バッチ4)。
【0123】
4つの反応混合物を合わせ、水で希釈し、2M水性HClでpH5~6に調整し、EtOAc(300mLx3)で抽出した。合わせた有機抽出物を、無水NaSO上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=2/1)によって精製したところ、白色の固体としてN-(6-((1H-ピラゾール-1-イル)メチル)-4-メトキシベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)-2,6-ジメトキシベンゼンスルホンアミド(化合物C)(1.07g、43%)が得られた。m/z 445.0 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)
δ 9.58 (s, 1H), 7.87 (d, J=2.0
Hz, 1H), 7.50 - 7.46 (m, 2H), 6.83 (s, 1H), 6.76 (m, 3H), 6.30 (s, 1H), 5.44
(s, 2H), 3.87 (s, 3H), 3.76 (s, 6H).
【0124】
スキーム7による2,6-ジメトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミドの代替的調製。
スキーム7:
【0125】
【化18】
【0126】
ステップ1:1,1,3,3-テトラメチルグアニジンを使用した4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-アミン(A-2)の代替的合成
アセトニトリル(270mL)および脱イオン水(30mL)中の2-フルオロ-6-メトキシ-4-(1H-ピラゾール-1-イルメチル)ベンゾニトリル(A-1)(15.43g、66.7mmol)、N-ヒドロキシアセトアミド(15.0g、200mmol)、および1,1,3,3-TMG(46.1g、400mmol)の懸濁液を、60℃に7時間加熱した。アセトニトリルを減圧下で除去し、残留する高粘度の油を、酢酸エチル(300mL)と脱イオン水(250mL)との間に分配した。水層を酢酸エチル(2x150mL)で抽出した。全ての有機層を合わせ、飽和水性NaClで洗浄した。有機層中でいくらかの固体が形成され始めたため、メタノール(約10mL)を添加し、懸濁液を均一になるまで加熱した。室温に冷却した後、有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた淡黄色の固体を、酢酸エチル(125mL)中に懸濁し、手短に加熱還流した。懸濁液を室温まで冷却し、得られた固体を濾過によって収集し、濾過ケーキをヘプタンでリンスした。濾液およびヘプタン洗浄液を濃縮乾固し、残留固体を酢酸エチル(15mL)中に懸濁し、懸濁液を手短に加熱還流し、2回目の沈降物を以前のように収集した。合わせた沈降物を減圧下で乾燥したところ、淡黄色の粉末として4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-アミン(A-2)(11.86g、48.6mmol)が得られた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.87 (d, J=1.8 Hz, 1H), 7.49 (d, J=1.2 Hz,
1H), 6.69 (s, 1H), 6.62 (s, 1H), 6.30 (t, J=2.1 Hz, 1H), 5.93 (s, 2H), 5.41 (s,
2H), 3.86 (s, 3H). LCMS: [M+H]+ 245.
【0127】
ステップ2:22,6-ジメトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド(化合物C)の合成
ピリジン(20mL)中の4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-アミン(A-2)(9.5g、39mmol)および2,6-ジメトキシベンゼンスルホニルクロリド(Int-26)(12.1g、51.1mmol)の混合物を、内部97℃に1時間加熱した。50℃に冷却した後、溶液を、砕氷(200g)および6N HCl(100mL)を含有するフラスコ中に注ぎ入れた。反応フラスコをジクロロメタンでリンスして、移動を定量した。得られた水性混合物を、ジクロロメタン(4x100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、脱イオン水および飽和水性NaClで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、黄色の気泡に濃縮した。酢酸メチル(50mL)を気泡に添加し、懸濁液を室温で1時間撹拌した。固体を吸引濾過によって収集し、ヘプタンでリンスした。減圧下で乾燥した後、赤茶色の固体として、未精製の2,6-ジメトキシ-N-[4-メトキシ-6-(1H-ピラゾール-1-イルメチル)-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル]ベンゼンスルホンアミド(化合物C)(16.1g、95%)が得られた。粗固体を酢酸メチルで2回以上磨砕したところ、橙色は除去されなかったため、粗生成物を、温めたジクロロメタン中で磨砕し、室温に冷却させ、濾過したところ、クリーム色の白色固体が得られた。ジクロロメタン母液を、クロマトグラフィー(330gシリカカラム、ヘプタン中の60~100%酢酸エチルで溶出)によってさらに精製したところ、白色の固体が得られた。DCM磨砕物と、DCM濾液のクロマトグラフィーとの両方に由来する固体を合わせ、還流酢酸メチル中で撹拌し、2時間かけて室温に冷却した。得られた固体を吸引濾過によって収集し、100℃の減圧オーブン中で一晩乾燥したところ、灰白色の粉末として精製した2,6-ジメトキシ-N-[4-メトキシ-6-(1H-ピラゾール-1-イルメチル)-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル]ベンゼンスルホンアミド(化合物C)(15.3g、89%)が得られた。
【0128】
上記のように調製された、3バッチの化合物C(合計54.3g)を合わせ、酢酸メチル(250mL)中に懸濁し、1時間加熱還流した。加熱浴から取り出した後、撹拌を4時間継続し、混合物を室温に冷却した。得られた沈降物を濾過によって収集し、ヘプタンでリンスした。固体を室温で2時間、減圧下で乾燥した後、130℃の減圧オーブン中で16時間、さらに乾燥したところ、灰白色の固体として、2,6-ジメトキシ-N-[4-メトキシ-6-(1H-ピラゾール-1-イルメチル)-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル]ベンゼンスルホンアミド(化合物C)(53.55g、99%)が得られた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.60 (s, 1H), 7.88 (d, J=1.7 Hz, 1H),
7.45-7.52 (m, 2H), 6.83 (s, 1H), 6.77 (d, J=8.4 Hz, 3H), 6.30 (t, J=2.1 Hz,
1H), 5.44 (s, 2H), 3.87 (s, 3H), 3.76 (s, 6H). LCMS: [M+H]+ 445. 元素分析:C20H20N4O6Sの計算値: C, 54.05; H, 4.54; N, 12.61; S, 7.21. 実測値: C, 53.91; H, 4.58; N, 12.51; S, 7.09.
【0129】
サイクリン依存的キナーゼ(CDK)および関連するセリン/トレオニンキナーゼは、細胞の分裂および増殖の調節における必須の機能を実行する重要な細胞性酵素である。CDK阻害剤は、広範囲のCDKを標的とするパン-CDK阻害剤または特定のCDKを標的とする選択的CDK阻害剤を含む。
【0130】
本明細書で使用される場合、「CDK4阻害剤」は、CDK4選択的阻害剤およびCDK4/6阻害剤を含む。CDK4選択的阻害剤は、国際公開番号WO2019/207463に開示されている。CDK4/6阻害剤の例としては、限定されるものではないが、アベマシクリブ、リボシクリブおよびパルボシクリブが挙げられる。CDK4/6阻害剤のさらなる例としては、レロシクリブ(G1T38としても知られる)およびトリラシクリブ(GTI128としても知られる)が挙げられる。
【0131】
ある実施形態では、本発明のCDK4選択的阻害剤は、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール、またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0132】
ある実施形態では、本発明の好ましいCDK4/6阻害剤は、パルボシクリブを含む。本明細書で別途指摘しない限り、パルボシクリブ(本明細書では「palbo」または「Palbo」とも称される)は、6-アセチル-8-シクロペンチル-5-メチル-2-(5-ピペラジン-1-イル-ピリジン-2-イルアミノ)-8H-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-オン、またはその薬学的に許容される塩を指す。
【0133】
本明細書で使用される用語「抗エストロゲン剤」は、エストラジオールのようなエストロゲンが体内の生物学的効果を媒介することを防止する薬物のクラスを指す。抗エストロゲン剤は、エストロゲン受容体(ER)を遮断すること、および/またはエストロゲン産生を阻害すること、もしくは抑制することによって作用する。一部の実施形態では、抗エストロゲン剤は、アロマターゼ阻害剤、選択的エストロゲン受容体分解剤(SERD)または選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)である。アロマターゼ阻害剤の例としては、限定されるものではないが、アナストロゾールが挙げられる。SERDの例としては、限定されるものではないが、フルベストラントが挙げられる。さらなるSERDとしては、エラセストラント(RAD-1901、Radius Health)、SAR439859(Sanofi)、RG6171(Roche)、AZD9833(AstraZeneca)、AZD9496(AstraZeneca)、リントデストラント(G1 Therapeutics)、ZN-c5(Zentalis)、LSZ102(Novartis)、D-0502(Inventisbio)、LY3484356(Lilly)、およびSHR9549(Jiansu Hengrui Medicine)が挙げられる。SERMの例としては、限定されるものではないが、タモキシフェン、クロミフェンおよびラロキシフェンが挙げられる。さらなるSERMSとしては、トレミフェン、ラソフォキシフェン、バゼドキシフェンおよびアフィモキシフェンが挙げられる。
【0134】
ある実施形態では、アロマターゼ阻害剤としては、レトロゾール、エキセメスタン、およびアナストロゾールが挙げられる。ある実施形態では、SERMとしては、タモキシフェン、クロミフェンおよびラロキシフェンが挙げられる。
【0135】
ある実施形態では、本発明の抗エストロゲン剤としては、フルベストラントおよびレトロゾールが挙げられる。ある実施形態では、本発明の好ましい抗エストロゲン剤としては、フルベストラントが挙げられる。ある実施形態では、本発明の好ましい抗エストロゲン剤としては、レトロゾールが挙げられる。
【0136】
一部の実施形態は、本明細書に記載の化合物の薬学的に許容される塩に関する。本明細書に記載の化合物の薬学的に許容される塩は、その酸付加塩および塩基付加塩を含む。
【0137】
一部の実施形態は、本明細書に記載の化合物の薬学的に許容される酸付加塩にも関する。好適な酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸から形成される。好適な酸付加塩、すなわち、薬理学的に許容される陰イオンを含有する塩の非限定例としては、限定されるものではないが、酢酸塩、酸性クエン酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、シクラミン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2-ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ピログルタミン酸塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩およびキシナホ酸塩が挙げられる。
【0138】
さらなる実施形態は、本明細書に記載の化合物の塩基付加塩に関する。好適な塩基付加塩は、非毒性塩を形成する塩基から形成される。好適な塩基塩の非限定例としては、アルミニウム塩、アルギニン塩、ベンザチン塩、カルシウム塩、コリン塩、ジエチルアミン塩、ジオラミン塩、グリシン塩、リシン塩、マグネシウム塩、メグルミン塩、オラミン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、トロメタミン塩および亜鉛塩が挙げられる。
【0139】
天然で塩基性である本明細書に記載の化合物は、種々の無機酸および有機酸と様々な塩を形成することができる。本明細書に記載のそのような塩基性化合物の薬学的に許容される酸付加塩を調製するために使用することができる酸は、非毒性酸付加塩、例えば、薬学的に許容される陰イオンを含有する塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、過リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩およびパモ酸塩[すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸)]塩を形成するものである。アミノ基などの塩基性部分を含む本明細書に記載の化合物は、上記の酸に加えて、種々のアミノ酸と薬学的に許容される塩を形成することができる。
【0140】
天然で酸性である本明細書に記載の化合物の薬学的に許容される塩基性塩を調製するための試薬として使用することができる化学的塩基は、そのような化合物と非毒性塩基性塩を形成するものである。そのような非毒性塩基性塩としては、限定されるものではないが、アルカリ金属陽イオン(例えば、カリウムおよびナトリウム)およびアルカリ土類金属陽イオン(例えば、カルシウムおよびマグネシウム)などのそのような薬理学的に許容される陽イオン、アンモニウムまたは水溶性アミン付加塩、例えば、N-メチルグルカミン-(メグルミン)、および低級アルカノールアンモニウムならびに薬学的に許容される有機アミンの他の塩基性塩に由来するものが挙げられる。
【0141】
酸および塩基のヘミ塩、例えば、ヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩を形成させることもできる。
【0142】
好適な塩の概説については、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use by Stahl and Wermuth(Wiley-VCH,2002)を参照されたい。本明細書に記載の化合物の薬学的に許容される塩を作製するための方法は、当業者には公知である。
【0143】
1つまたは複数の非対称性炭素原子を含有する本明細書に記載の化合物は、2つ以上の立体異性体として存在してもよい。本明細書に記載の化合物がアルケニルまたはアルケニレン基を含有する場合、幾何cis/trans(またはZ/E)異性体が可能である。構造異性体が低エネルギーバリアによって相互転換可能である場合、互変体異性(「互変異性」)が起こり得る。これは、例えば、イミノ、ケト、もしくはオキシム基を含有する本明細書に記載の化合物中ではプロトン互変異性、または芳香族部分を含有する化合物中ではいわゆる原子価互変異性の形態を採ってもよい。単一の化合物は、1より多い型の異性を示してもよい。
【0144】
本明細書に記載の実施形態の化合物は、本明細書に記載の化合物の全ての立体異性体(例えば、cisおよびtrans異性体)および全ての光学異性体(例えば、RおよびS鏡像異性体)、ならびにそのような異性体のラセミ、ジアステレオ異性および他の混合物を含む。全ての立体異性体が本発明者らの特許請求の範囲内に包含されるが、当業者であれば、特定の立体異性体が好ましいことを認識するであろう。
【0145】
一部の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、エノール形態およびイミン形態、ならびにケト形態およびエナミン形態ならびに幾何異性体およびその混合物を含む、いくつかの互変異性形態で存在してもよい。全てのそのような互変異性形態が、本発明の実施形態の範囲内に含まれる。互変異性体は、溶液中で互変異性セットの混合物として存在する。固体形態では、通常、1つの互変異性体が優位である。1つの互変異性体を記載することができる場合であっても、本発明の実施形態は、本発明の化合物の全ての互変異性体を含む。
【0146】
本発明の実施形態の範囲内に含まれるのは、1より多い型の異性を示す化合物、およびその1つまたは複数の混合物を含む、本明細書に記載の化合物の全ての立体異性体、幾何異性体および互変異性形態である。また、対抗イオンが光学的に活性である、例えば、d-乳酸もしくはl-リシン、またはラセミ体、例えば、dl-酒石酸もしくはdl-アルギニンである酸付加塩または塩基性塩も含まれる。
【0147】
本発明の実施形態はまた、本明細書に記載の化合物のアトロプ異性体も含む。アトロプ異性体とは、回転が制限された異性体に分離することができる化合物を指す。
【0148】
cis/trans異性体を、当業者には周知の従来の技術、例えば、クロマトグラフィーおよび分別結晶法によって分離することができる。
【0149】
個々の鏡像異性体の調製/単離のための従来の技術は、好適な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成または例えば、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用するラセミ体(または塩もしくは誘導体のラセミ体)の分解を含む。
【0150】
あるいは、ラセミ体(またはラセミ前駆体)を、好適な光学的に活性な化合物、例えば、アルコール、または、本明細書に記載の化合物が酸性もしくは塩基性部分を含有する場合、1-フェニルエチルアミンもしくは酒石酸などの塩基もしくは酸と反応させることができる。得られるジアステレオ異性混合物を、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶法によって分離し、ジアステレオ異性体の一方または両方を、当業者には周知の手段によって対応する純粋な鏡像異性体に転換することができる。
【0151】
本明細書で使用される用語「処置すること」は、別途指摘しない限り、そのような用語が適用される障害もしくは状態、またはそのような障害もしくは状態の1つもしくは複数の症状を好転させること、軽減すること、その進行を阻害すること、または防止することを意味する。本明細書で使用される用語「処置」は、別途指摘しない限り、直上で定義される「処置すること」としての処置することの作用を指す。
【0152】
本発明に従って処置される「患者」は、限定されるものではないが、ヒト、サルまたは他の下級霊長類、ウマ、イヌ、ウサギ、モルモット、もしくはマウスなどの任意の温血動物を含む。例えば、患者はヒトである。医学界における当業者であれば、がん、例えば、乳がん、特に、エストロゲン受容体陽性乳がんに罹患している、および処置を必要とする個々の患者を容易に同定することができる。
【0153】
本明細書で使用される用語「組合せ」は、別途指摘しない限り、同じか、または異なる投与経路に従って、および同じか、または異なる投薬スケジュールに従って、間欠的に、同時的に、または連続的に投与される薬剤の固定用量の組合せまたは組合せを意味する。本明細書で使用される場合、「有効」または「治療有効」量とは、単回用量として、または複数用量レジメンに従って、単独で、または他の薬剤と組み合わせて、疾患症状の重症度の低下、疾患症状のない期間の頻度および持続期間の増加、または疾患の苦痛に起因する障害もしくは身体障害の防止をもたらすのに十分な量のものである、薬剤、化合物、または組成物の量を指す。当業者であれば、患者のサイズ、患者の症状の重症度、および選択される投与の特定の組合せ、組成または経路などの因子に基づいてそのような量を決定することができる。患者または対象は、処置を必要とするヒトまたは非ヒト哺乳動物であってもよい。一実施形態では、患者はヒトである。
【0154】
本明細書で使用される用語「局部進行性」は、それががんに関するものである場合、治癒の意図をもって処置することができるか、または処置することができないものである。本明細書で使用される用語「転移性」は、それががんに関するものである場合、治癒の意図をもって処置することができないものである。当業者であれば、患者における局部進行性および転移性のがんを認識および診断することができるであろう。
【0155】
便宜上、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)、エストロゲン受容体陽性(ER+)、ヒト上皮増殖因子受容体2陰性(HER2-)、ホルモン受容体(HR)、ヒト上皮増殖因子受容体2陽性(HER2+)、非小細胞肺がん(NSCLC)およびプロゲステロン受容体(PR)などの、ある特定の周知の省略形を、本明細書で使用することができる。
【0156】
一部の実施形態では、がんは、肺がん、中皮腫、骨肉腫、膵がん、皮膚がん、頭頸部がん、皮膚もしくは眼内メラノーマ、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、肛門領域のがん、胃がん、肝癌、結腸がん、乳がん、子宮がん、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰部癌、ホジキン病、食道がん、小腸がん、内分泌系のがん、甲状腺がん、副甲状腺がん、副腎がん、軟部組織肉腫、尿道がん、陰茎がん、前立腺がん、血液悪性腫瘍、慢性もしくは急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱がん、腎臓がんもしくは尿管がん、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、グリア芽腫、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、頭頸部がん、または前記がんの2つ以上の組合せからなる群から選択される。
【0157】
さらなる実施形態は、患者におけるがんを処置する方法に関する。一部の実施形態は、患者におけるがんの処置であって、患者に、がんを処置するのに有効である、ある量の本明細書に記載の化合物を投与することを含む処置に関する。
【0158】
一実施形態では、がんは、乳がん、肺がん、結腸がん、脳腫瘍、頭頸部がん、前立腺がん、胃がん、膵がん、卵巣がん、メラノーマ、内分泌がん、子宮がん、精巣がん、または膀胱がんである。
【0159】
一実施形態では、がんは、乳がん、肺がん、前立腺がん、膵がん、または卵巣がんである。
【0160】
一実施形態では、がんは、乳がん、肺がん、または前立腺がんである。
【0161】
一実施形態では、がんは、乳がんである。
【0162】
一実施形態では、乳がんは、HR+乳がんである。
【0163】
一実施形態では、HR+乳がんはPR+および/またはER+乳がんである。
【0164】
一実施形態では、乳がんは、PR+乳がんである。
【0165】
一実施形態では、乳がんは、ER+乳がんである。
【0166】
一実施形態では、乳がんは、ER+HER2-乳がんである。
【0167】
一実施形態では、乳がんは、ER+HER2+乳がんである。
【0168】
一実施形態では、乳がんは、局部進行性または転移性ER+乳がんである。
【0169】
一実施形態では、乳がんは、局部進行性または転移性ER+HER2-乳がんである。
【0170】
一実施形態では、乳がんは、局部進行性または転移性ER+HER2+乳がんである。
【0171】
一実施形態では、肺がんは、非小細胞肺がんである。
【0172】
一実施形態では、肺がんは、局部進行性または転移性非小細胞肺がんである。
【0173】
一実施形態では、前立腺がんは、去勢抵抗性前立腺がんである。
【0174】
一実施形態では、前立腺がんは、局部進行性または転移性去勢抵抗性前立腺がんである。
【0175】
さらなる実施形態は、患者における固形腫瘍を処置する方法に関する。一部の実施形態は、患者における固形腫瘍の処置であって、患者に、固形腫瘍を処置するのに有効である、ある量の本明細書に記載の化合物を投与することを含む処置に関する。
【0176】
一実施形態では、固形腫瘍は、乳、肺、結腸、脳、頭頸部、前立腺、胃、膵、卵巣、メラノーマ、内分泌、子宮、精巣、または膀胱である。
【0177】
一実施形態では、固形腫瘍は、乳、肺、前立腺、膵、または卵巣である。
【0178】
一実施形態では、固形腫瘍は、乳、肺、または前立腺である。
【0179】
一実施形態では、固形腫瘍は、乳がんであり、さらなる実施形態では、乳がんは、HR+乳がんであり、さらなる実施形態では、HR+乳がんは、PR+および/またはER+乳がん、ER+乳がんである。
【0180】
一実施形態では、固形腫瘍は、乳がんであり、さらなる実施形態では、乳がんは、ER+HER2-乳がんである。
【0181】
一実施形態では、固形腫瘍は、乳がんであり、さらなる実施形態では、乳がんは、ER+HER2+乳がんである。
【0182】
一実施形態では、固形腫瘍は、乳がんであり、さらなる実施形態では、乳がんは、局部進行性または転移性ER+HER2-乳がんである。
【0183】
一実施形態では、固形腫瘍は、乳がんであり、さらなる実施形態では、乳がんは、局部進行性または転移性ER+HER2+乳がんである。
【0184】
一実施形態では、固形腫瘍は、肺がんであり、さらなる実施形態では、肺がんは、非小細胞肺がんである。
【0185】
一実施形態では、固形腫瘍は、肺がんであり、さらなる実施形態では、肺がんは、局部進行性または転移性非小細胞肺がんである。
【0186】
一実施形態では、固形腫瘍は、前立腺がんであり、さらなる実施形態では、前立腺がんは、去勢抵抗性前立腺がんである。
【0187】
一実施形態では、固形腫瘍は、前立腺がんであり、さらなる実施形態では、前立腺がんは、局部進行性または転移性去勢抵抗性前立腺がんである。
【0188】
さらなる実施形態は、患者における血液腫瘍を処置する方法に関する。一部の実施形態は、患者における血液腫瘍の処置であって、患者に、血液腫瘍を処置するのに有効である、ある量の本明細書に記載の化合物を投与することを含む処置に関する。
【0189】
一実施形態では、血液腫瘍は、白血病、リンパ腫または多発性骨髄腫である。
【0190】
一実施形態では、血液腫瘍は、白血病またはリンパ腫である。
【0191】
用語「相加的」は、2つの化合物、成分または標的薬剤の組合せの結果が、それぞれの化合物、成分または標的薬剤の個別の合計と同じぐらいであることを意味するために使用される。用語「相加的」は、それぞれの化合物、成分または標的薬剤の個別の使用を超える、処置される疾患状態または障害の改善がないことを意味する。
【0192】
用語「相乗作用」または「相乗的」は、2つの化合物、成分または標的薬剤の組合せの結果が、それぞれの薬剤の一緒の合計よりも高いことを意味するために使用される。用語「相乗作用」または「相乗的」は、それぞれの化合物、成分または標的薬剤の個別の使用を超える、処置される疾患状態または障害の改善があることを意味する。処置される疾患状態または障害のこの改善は、「相乗効果」である。「相乗量」は、「相乗的」が本明細書で定義される場合、相乗効果をもたらす2つの化合物、成分または標的薬剤の組合せの量である。
【0193】
1つまたは2つの成分の間の相乗的相互作用の決定、その効果のための最適範囲およびその効果のためのそれぞれの成分の絶対用量範囲を、重量比範囲および用量あたりの様々な重量にわたる成分の、処置を必要とする患者への投与によって明確に測定することができる。しかしながら、in vitroモデルまたはin vivoモデルにおける相乗作用の観察は、ヒトおよび他の種における効果を予測することができ、in vitroモデルまたはin vivoモデルは、本明細書に記載のように、相乗効果を測定するために存在し、そのような試験の結果を使用して、薬物動態/薬力学的方法の適用によってヒトおよび他の種において必要とされる有効用量および血漿濃度比範囲および絶対用量および血漿濃度を予測することもできる。
【0194】
本発明によれば、ある量の第1の化合物または成分を、ある量の第2の化合物または成分、および場合により、ある量の第3の化合物または成分と組み合わせ、それらの量は、合わせると、がん、例えば、乳がんの処置において有効または治療有効である。合わせると有効または治療有効である量は、処置される障害の1つまたは複数の症状をある程度緩和するであろう。がんの処置に関して、有効量または治療有効量とは、(1)腫瘍サイズを減少させる効果、(2)腫瘍転移の出現を阻害する(すなわち、ある程度減速させる、好ましくは停止させる)効果、(3)腫瘍増殖もしくは腫瘍侵襲をある程度阻害する(すなわち、ある程度減速させる、好ましくは停止させる)効果、および/または(4)がんと関連する1つもしくは複数の兆候もしくは症状をある程度緩和する(もしくは、好ましくは、除去する)効果を有する量を指す。用量および投与レジメンの治療または薬理有効性を、これらの特定の腫瘍を有する患者において、疾患進行前の時間の延長として測定することができる、疾患制御および/または全生存を誘導する、増強する、維持する、または延長する能力として特徴付けることもできる。
【0195】
ある実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに有効である、ある量のKAT6阻害剤を、ある量のCDK4阻害剤または抗エストロゲン剤と組み合わせて投与することを含む方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6阻害剤と、ある量のCDK4阻害剤または抗エストロゲン剤とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに治療有効である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置における使用のための、KAT6阻害剤と、CDK4阻害剤または抗エストロゲン剤との組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6阻害剤と、ある量のCDK4阻害剤または抗エストロゲン剤とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置において相乗効果を達成する、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置のための、KAT6阻害剤と、CDK4阻害剤または抗エストロゲン剤との組合せであって、相乗的である組合せに関する。ある実施形態では、本発明の方法および使用におけるCDK4阻害剤の量は、フルベストラントまたはレトロゾールなどの、ある量の抗エストロゲン剤を投与することをさらに含む。ある実施形態では、本発明の方法および使用におけるCDK4阻害剤の量は、ある量のレトロゾールを投与することをさらに含む。ある実施形態では、本発明の方法および使用におけるCDK4阻害剤の量は、ある量のフルベストラントを投与することをさらに含む。
【0196】
前記段落における方法、使用および組合せにおいて言及されたKAT6阻害剤は、KAT6A阻害剤を含む。
【0197】
ある実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに有効である、ある量のKAT6阻害剤を、ある量のCDK4阻害剤と組み合わせて投与することを含む方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6阻害剤と、ある量のCDK4阻害剤とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに治療有効である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置における使用のための、KAT6阻害剤と、CDK4阻害剤との組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6阻害剤と、ある量のCDK4阻害剤とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置において相乗効果を達成する、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置のための、KAT6阻害剤と、CDK4阻害剤との組合せであって、相乗的である組合せに関する。ある実施形態では、本発明の方法および使用におけるCDK4阻害剤の量は、フルベストラントまたはレトロゾールなどの、ある量の抗エストロゲン剤を投与することをさらに含む。ある実施形態では、本発明の方法および使用におけるCDK4阻害剤の量は、ある量のレトロゾールを投与することをさらに含む。ある実施形態では、本発明の方法および使用におけるCDK4阻害剤の量は、ある量のフルベストラントを投与することをさらに含む。
【0198】
前記段落における方法、使用および組合せにおいて言及されたKAT6阻害剤は、KAT6A阻害剤を含む。
【0199】
ある実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに有効である、ある量のKAT6阻害剤を、ある量の抗エストロゲン剤と組み合わせて投与することを含む方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6阻害剤と、ある量の抗エストロゲン剤とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに治療有効である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置における使用のための、KAT6阻害剤と、抗エストロゲン剤との組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6阻害剤と、ある量の抗エストロゲン剤とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置において相乗効果を達成する、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置のための、KAT6阻害剤と、抗エストロゲン剤との組合せであって、相乗的である組合せに関する。
【0200】
前記段落における方法、使用および組合せにおいて言及されたKAT6阻害剤は、KAT6A阻害剤を含む。
【0201】
ある実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに有効である、ある量のKAT6阻害剤を、ある量のCDK4選択的阻害剤と組み合わせて投与することを含む方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6阻害剤と、ある量のCDK4選択的阻害剤とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに治療有効である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置における使用のための、KAT6阻害剤と、CDK4選択的阻害剤との組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6阻害剤と、ある量のCDK4選択的阻害剤とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置において相乗効果を達成する、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置のための、KAT6阻害剤と、CDK4選択的阻害剤との組合せであって、相乗的である組合せに関する。ある実施形態では、本発明の方法および使用におけるCDK4選択的阻害剤の量は、フルベストラントまたはレトロゾールなどの、ある量の抗エストロゲン剤を投与することをさらに含む。ある実施形態では、本発明の方法および使用におけるCDK4選択的阻害剤の量は、ある量のレトロゾールを投与することをさらに含む。ある実施形態では、本発明の方法および使用におけるCDK4選択的阻害剤の量は、ある量のフルベストラントを投与することをさらに含む。
【0202】
前記段落における方法、使用および組合せにおいて言及されたKAT6阻害剤は、KAT6A阻害剤を含む。
【0203】
ある実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに有効である、ある量のKAT6阻害剤を、ある量のCDK4/6阻害剤と組み合わせて投与することを含む方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6阻害剤と、ある量のCDK4/6阻害剤とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに治療有効である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置における使用のための、KAT6阻害剤と、CDK4/6阻害剤との組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6阻害剤と、ある量のCDK4/6阻害剤とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置において相乗効果を達成する、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置のための、KAT6阻害剤と、CDK4/6阻害剤との組合せであって、相乗的である組合せに関する。ある実施形態では、本発明の方法および使用におけるCDK4/6阻害剤の量は、フルベストラントまたはレトロゾールなどの、ある量の抗エストロゲン剤を投与することをさらに含む。ある実施形態では、本発明の方法および使用におけるCDK4/6阻害剤の量は、ある量のレトロゾールを投与することをさらに含む。ある実施形態では、本発明の方法および使用におけるCDK4/6阻害剤の量は、ある量のフルベストラントを投与することをさらに含む。
【0204】
前記段落における方法、使用および組合せにおいて言及されたKAT6阻害剤は、KAT6A阻害剤を含む。
【0205】
ある実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに有効である、ある量のKAT6阻害剤、ある量のCDK4阻害剤、およびある量の抗エストロゲン剤を投与することを含む方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6阻害剤、ある量のCDK4阻害剤、およびある量の抗エストロゲン剤を投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに治療有効である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置における使用のための、KAT6阻害剤、CDK4阻害剤、および抗エストロゲン剤の組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6阻害剤、ある量のCDK4阻害剤、およびある量の抗エストロゲン剤を投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置において相乗効果を達成する、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、ER+乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置のための、KAT6阻害剤、CDK4阻害剤、および抗エストロゲン剤と組合せであって、相乗的である組合せに関する。ある実施形態では、抗エストロゲン剤は、フルベストラントもしくはレトロゾール;フルベストラント;またはレトロゾールである。
【0206】
前記段落における方法、使用および組合せにおいて言及されたKAT6阻害剤は、KAT6A阻害剤を含む。
【0207】
ある実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに有効である、ある量のKAT6阻害剤、ある量のCDK4選択的阻害剤、およびある量の抗エストロゲン剤を投与することを含む方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6阻害剤、ある量のCDK4選択的阻害剤、およびある量の抗エストロゲン剤を投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに治療有効である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置における使用のための、KAT6阻害剤、CDK4選択的阻害剤、および抗エストロゲン剤の組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6阻害剤、ある量のCDK4選択的阻害剤、およびある量の抗エストロゲン剤を投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置において相乗効果を達成する、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、ER+乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置のための、KAT6選択的阻害剤、CDK4阻害剤、および抗エストロゲン剤と組合せであって、相乗的である組合せに関する。ある実施形態では、抗エストロゲン剤は、フルベストラントもしくはレトロゾール;フルベストラント;またはレトロゾールである。
【0208】
前記段落における方法、使用および組合せにおいて言及されたKAT6阻害剤は、KAT6A阻害剤を含む。
【0209】
ある実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに有効である、ある量のKAT6阻害剤、ある量のCDK4/6阻害剤、およびある量の抗エストロゲン剤を投与することを含む方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6阻害剤、ある量のCDK4/6阻害剤、およびある量の抗エストロゲン剤を投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに治療有効である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置における使用のための、KAT6阻害剤、CDK4/6阻害剤、および抗エストロゲン剤の組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6阻害剤、ある量のCDK4/6阻害剤、およびある量の抗エストロゲン剤を投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置において相乗効果を達成する、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、ER+乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置のための、KAT6阻害剤、CDK4/6阻害剤、および抗エストロゲン剤と組合せであって、相乗的である組合せに関する。ある実施形態では、抗エストロゲン剤は、フルベストラントもしくはレトロゾール;フルベストラント;またはレトロゾールである。
【0210】
前記段落における方法、使用および組合せにおいて言及されたKAT6阻害剤は、KAT6A阻害剤を含む。
【0211】
ある実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに有効である、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩を、ある量のCDK4選択的阻害剤と組み合わせて投与することを含む方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、ある量のCDK4選択的阻害剤とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに治療有効である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置における使用のための、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、CDK4選択的阻害剤との組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、ある量のCDK4選択的阻害剤とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置において相乗効果を達成する、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置のための、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、CDK4選択的阻害剤との組合せであって、相乗的である組合せに関する。ある実施形態では、本発明の方法および使用におけるCDK4選択的阻害剤の量は、フルベストラントまたはレトロゾールなどの、ある量の抗エストロゲン剤を投与することをさらに含む。ある実施形態では、本発明の方法および使用におけるCDK4選択的阻害剤の量は、ある量のレトロゾールを投与することをさらに含む。ある実施形態では、本発明の方法および使用におけるCDK4選択的阻害剤の量は、ある量のフルベストラントを投与することをさらに含む。
【0212】
ある実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに有効である、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩を、ある量のCDK4/6阻害剤と組み合わせて投与することを含む方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、ある量のCDK4/6阻害剤とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに治療有効である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置における使用のための、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、CDK4/6阻害剤との組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、ある量のCDK4/6阻害剤とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置において相乗効果を達成する、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置のための、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、CDK4/6阻害剤との組合せであって、相乗的である、組合せに関する。ある実施形態では、本発明の方法および使用におけるCDK4/6阻害剤の量は、フルベストラントまたはレトロゾールなどの、ある量の抗エストロゲン剤を投与することをさらに含む。ある実施形態では、本発明の方法および使用におけるCDK4/6阻害剤の量は、ある量のレトロゾールを投与することをさらに含む。ある実施形態では、本発明の方法および使用におけるCDK4/6阻害剤の量は、ある量のフルベストラントを投与することをさらに含む。
【0213】
ある実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに有効である、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩を、ある量の抗エストロゲン剤と組み合わせて投与することを含む方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、ある量の抗エストロゲン剤とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに治療有効である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置における使用のための、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、抗エストロゲン剤との組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、ある量の抗エストロゲン剤とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置において相乗効果を達成する、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置のための、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、抗エストロゲン剤との組合せであって、相乗的である、組合せに関する。
【0214】
ある実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに有効である、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩を、ある量のパルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与することを含む方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、ある量のパルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに治療有効である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置における使用のための、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩との組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、ある量のパルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置において相乗効果を達成する、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置のための、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩との組合せであって、相乗的である、組合せに関する。ある実施形態では、本発明の方法および使用における、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩の量は、フルベストラントまたはレトロゾールなどの、ある量の抗エストロゲン剤を投与することをさらに含む。ある実施形態では、本発明の方法および使用における、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩の量は、ある量のレトロゾールを投与することをさらに含む。ある実施形態では、本発明の方法および使用における、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩の量は、ある量のフルベストラントを投与することをさらに含む。
【0215】
ある実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに有効である、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩を、ある量の1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール、またはその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与することを含む方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、ある量の1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール、またはその薬学的に許容される塩とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに治療有効である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置における使用のための、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール、またはその薬学的に許容される塩との組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、ある量の1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール、またはその薬学的に許容される塩とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置において相乗効果を達成する、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置のための、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール、またはその薬学的に許容される塩との組合せであって、相乗的である、組合せに関する。ある実施形態では、本発明の方法および使用における、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール、またはその薬学的に許容される塩の量は、フルベストラントまたはレトロゾールなどの、ある量の抗エストロゲン剤を投与することをさらに含む。ある実施形態では、本発明の方法および使用における、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール、またはその薬学的に許容される塩の量は、ある量のレトロゾールを投与することをさらに含む。ある実施形態では、本発明の方法および使用における、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール、またはその薬学的に許容される塩の量は、ある量のフルベストラントを投与することをさらに含む。
【0216】
ある実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに有効である、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩を、ある量のフルベストラントと組み合わせて投与することを含む方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、ある量のフルベストラントとを投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに治療有効である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置における使用のための、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、フルベストラントとの組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、ある量のフルベストラントと、ある量の1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール、またはその薬学的に許容される塩とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置において相乗効果を達成する、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置のための、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、フルベストラントとの組合せであって、相乗的である、組合せに関する。
【0217】
本明細書で使用される場合、ホルモン療法としても知られる用語「内分泌療法」は、ホルモンを添加する、遮断する、または除去する処置に関する。乳がんの処置では、エストロゲンおよびプロゲステロンが乳がん細胞の増殖を助けるのを停止させる薬物と、卵巣がホルモンを作製するのを保持する薬物との2つの型の内分泌療法が存在する。乳がんの処置において使用される内分泌療法薬物としては、限定されるものではないが、アナストロゾール、エキセメスタン、フルベストラント、ゴセレリン、レトロゾール、ロイプロレリン、メゲストロール、タモキシフェン、およびトレミフェンが挙げられる。
【0218】
ある実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに有効である、ある量のKAT6阻害剤を、単一の薬剤として、またはある量のCDK4阻害剤と組み合わせて投与することを含む方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6阻害剤を、単一の薬剤として、またはある量のCDK4阻害剤と組み合わせて投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに有効である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性の克服における使用のための、単一の薬剤としての、またはCDK4阻害剤と組み合わせた、KAT6阻害剤に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6阻害剤を、単一の薬剤として、またはある量のCDK4阻害剤と組み合わせて投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置において相乗効果を達成する、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服するための、CDK4阻害剤と組み合わせたKAT6阻害剤であって、その組合せが相乗的である、CDK4阻害剤と組み合わせたKAT6阻害剤に関する。ある実施形態では、本発明の方法または使用は、標的治療剤の相乗的組合せ、具体的には、KAT6阻害剤およびCDK4阻害剤に関する。
【0219】
ある実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性の克服において有効である、ある量のKAT6阻害剤を、単一の薬剤として、またはある量のCDK4選択的阻害剤と組み合わせて投与することを含む方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6阻害剤を、単一の薬剤として、またはある量のCDK4選択的阻害剤と組み合わせて投与することを含み、それらの量が、合わせると、内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法において有効であり、内分泌療法が、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法における使用のための、単一の薬剤としての、またはCDK4選択的阻害剤と組み合わせた、KAT6阻害剤に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6阻害剤を、ある量のCDK4選択的阻害剤と組み合わせて投与することを含み、それらの量が、合わせると、内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法において相乗効果を達成し、内分泌療法が、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置のために使用される、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置のために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服するための、KAT6阻害剤と、CDK4選択的阻害剤との組合せであって、相乗的である、組合せに関する。ある実施形態では、本発明の方法または使用は、標的治療剤の相乗的組合せ、具体的には、KAT6阻害剤およびCDK4選択的阻害剤に関する。
【0220】
ある実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性の克服において有効である、ある量のKAT6阻害剤を、単一の薬剤として、またはある量のCDK4/6阻害剤と組み合わせて投与することを含む方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6阻害剤を、単一の薬剤として、またはある量のCDK4/6阻害剤と組み合わせて投与することを含み、それらの量が、合わせると、内分泌療法に対する臨床的耐性の克服において有効であり、内分泌療法が、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性の克服における使用のための、KAT6阻害剤と、CDK4/6阻害剤との組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6阻害剤と、ある量のCDK4/6阻害剤とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、内分泌療法に対する臨床的耐性の克服において相乗効果を達成し、内分泌療法が、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置のために使用される、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置のために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服するための、KAT6阻害剤と、CDK4/6阻害剤との組合せであって、相乗的である、組合せに関する。ある実施形態では、本発明の方法または使用は、標的治療剤の相乗的組合せ、具体的には、KAT6阻害剤およびCDK4/6阻害剤に関する。
【0221】
ある実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性の克服において有効である、ある量のKAT6A阻害剤を、単一の薬剤として、またはある量のCDK4阻害剤と組み合わせて投与することを含む方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6A阻害剤を、単一の薬剤として、またはある量のCDK4阻害剤と組み合わせて投与することを含み、それらの量が、合わせると、内分泌療法に対する臨床的耐性の克服において有効であり、内分泌療法が、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性の克服における使用のための、単一の薬剤としての、またはCDK4阻害剤と組み合わせた、KAT6A阻害剤に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6A阻害剤と、ある量のCDK4阻害剤とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、内分泌療法に対する臨床的耐性の克服において相乗効果を達成し、内分泌療法が、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置のために使用される、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置のために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服するための、KAT6A阻害剤と、CDK4阻害剤との組合せであって、相乗的である、組合せに関する。ある実施形態では、本発明の方法または使用は、標的治療剤の相乗的組合せ、具体的には、KAT6A阻害剤およびCDK4阻害剤に関する。
【0222】
ある実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、がん、特に、乳がん、ER+乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性の克服において有効である、ある量のKAT6A阻害剤を、単一の薬剤として、またはある量のCDK4選択的阻害剤と組み合わせて投与することを含む方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6A阻害剤を、単一の薬剤として、またはある量のCDK4選択的阻害剤と組み合わせて投与することを含み、それらの量が、合わせると、内分泌療法に対する臨床的耐性の克服において有効であり、内分泌療法が、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性の克服における使用のための、単一の薬剤としての、またはCDK4選択的阻害剤と組み合わせた、KAT6A阻害剤に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6A阻害剤と、ある量のCDK4選択的阻害剤とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する処置において相乗効果を達成し、内分泌療法が、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置のために使用される、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置のために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する処置のための、KAT6A阻害剤と、CDK4選択的阻害剤との組合せであって、相乗的である、組合せに関する。ある実施形態では、本発明の方法または使用は、標的治療剤の相乗的組合せ、具体的には、KAT6A阻害剤およびCDK4選択的阻害剤に関する。
【0223】
ある実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、がん、特に、乳がん、ER+乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性の克服において有効である、ある量のKAT6A阻害剤を、単一の薬剤として、またはある量のCDK4/6阻害剤と組み合わせて投与することを含む方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6A阻害剤を、単一の薬剤として、またはある量のCDK4/6阻害剤と組み合わせて投与することを含み、それらの量が、合わせると、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するのに有効である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置のために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性の克服における使用のための、単一の薬剤としての、またはCDK4/6阻害剤と組み合わせた、KAT6A阻害剤に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、ある量のKAT6A阻害剤と、ある量のCDK4/6阻害剤とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、内分泌療法に対する臨床的耐性の克服において相乗効果を達成し、内分泌療法が、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置のために使用される、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置のために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服するための、KAT6A阻害剤と、CDK4/6阻害剤との組合せであって、相乗的である、組合せに関する。ある実施形態では、本発明の方法または使用は、標的治療剤の相乗的組合せ、具体的には、KAT6A阻害剤およびCDK4/6阻害剤に関する。
【0224】
ある実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性の克服において有効である、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩を、単一の薬剤として、またはある量のCDK4選択的阻害剤と組み合わせて投与することを含む方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩を、単一の薬剤として、またはある量のCDK4選択的阻害剤と組み合わせて投与することを含み、それらの量が、合わせると、内分泌療法に対する臨床的耐性の克服において有効であり、内分泌療法が、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置のために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性の克服における使用のための、単一の薬剤としての、またはCDK4選択的阻害剤と組み合わせた、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、ある量のCDK4選択的阻害剤とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、内分泌療法に対する臨床的耐性の克服において相乗効果を達成し、内分泌療法が、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服するための、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、CDK4選択的阻害剤との組合せであって、相乗的である組合せに関する。ある実施形態では、本発明の方法または使用は、標的治療剤の相乗的組合せ、具体的には、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩、およびCDK4選択的阻害剤に関する。
【0225】
ある実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性の克服において有効である、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩を、単一の薬剤として、またはある量のCDK4/6阻害剤と組み合わせて投与することを含む方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩を、単一の薬剤として、またはある量のCDK4/6阻害剤と組み合わせて投与することを含み、それらの量が、合わせると、内分泌療法に対する臨床的耐性の克服において有効であり、内分泌療法が、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置のために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性の克服における使用のための、単一の薬剤としての、またはCDK4/6阻害剤と組み合わせた、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、ある量のCDK4/6阻害剤とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、内分泌療法に対する臨床的耐性の克服において相乗効果を達成し、内分泌療法が、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服するための、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、CDK4/6阻害剤との組合せであって、相乗的である組合せに関する。ある実施形態では、本発明の方法または使用は、標的治療剤の相乗的組合せ、具体的には、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩、およびCDK4/6阻害剤に関する。
【0226】
ある実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性の克服において有効である、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩を、単一の薬剤として、またはある量のパルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与することを含む方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩を、単一の薬剤として、またはある量のパルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与することを含み、それらの量が、合わせると、内分泌療法に対する臨床的耐性の克服において有効であり、内分泌療法が、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの処置のために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性の克服における使用のための、単一の薬剤としての、またはパルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩と組み合わせた、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、ある量のパルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、内分泌療法に対する臨床的耐性の克服において相乗効果を達成し、内分泌療法が、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服するための、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩との組合せであって、相乗的である組合せに関する。ある実施形態では、本発明の方法または使用は、標的治療剤の相乗的組合せ、具体的には、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩、およびパルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩に関する。ある実施形態では、本発明の方法および使用における、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩の量は、フルベストラントまたはレトロゾールなどの、ある量の抗エストロゲン剤を投与することをさらに含む。ある実施形態では、本発明の方法および使用における、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩の量は、ある量のレトロゾールを投与することをさらに含む。ある実施形態では、本発明の方法および使用における、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩の量は、ある量のフルベストラントを投与することをさらに含む。
【0227】
ある実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性の克服において有効である、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩を、単一の薬剤として、またはある量の1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール、またはその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与することを含む方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩を、単一の薬剤として、またはある量の1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール、またはその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与することを含み、それらの量が、合わせると、内分泌療法に対する臨床的耐性の克服において有効であり、内分泌療法が、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性の克服における使用のための、単一の薬剤としての、または1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール、またはその薬学的に許容される塩と組み合わせた、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服する方法であって、それを必要とする患者に、ある量の2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、ある量の1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール、またはその薬学的に許容される塩とを投与することを含み、それらの量が、合わせると、内分泌療法に対する臨床的耐性の克服において相乗効果を達成し、内分泌療法が、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、がん、特に、乳がん、HR+乳がん、PR+乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんを処置するために使用される内分泌療法に対する臨床的耐性を克服するための、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩と、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール、またはその薬学的に許容される塩との組合せであって、相乗的である、組合せに関する。ある実施形態では、本発明の方法または使用は、標的治療剤の相乗的組合せ、具体的には、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩、および1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0228】
当業者であれば、年齢、体重、一般的な健康、投与される化合物または複数の化合物、投与経路、処置を必要とする、がん、特に、乳がん、ER+乳がん、ER+HER2-乳がん、ER+HER2+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2-乳がん、局部進行性もしくは転移性ER+HER2+乳がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、または去勢抵抗性前立腺がんの性質および進行、ならびに他の薬剤の存在などの因子を考慮して、患者に投与するための、本発明の方法および組合せにおいて使用される、それぞれの化合物の適切な量、用量または投薬量を、公知の方法に従って決定することができるであろう。
【0229】
ある実施形態では、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩は、約125mgの1日用量で1日1回、約100mgの1日用量で1日1回、約75mgの1日用量で1日1回、または約50mgの1日用量で1日1回投与される。推奨される出発用量である、ある実施形態では、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩は、約125mgの1日用量で1日1回投与される。例えば、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩は、約100mgの用量で1日1回、約75mgの用量で1日1回、または約50mgの用量で1日1回投与される。ある実施形態では、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩は、約100mgの用量で1日1回投与される。ある実施形態では、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩は、約75mgの用量で1日1回投与される。ある実施形態では、パルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩は、約50mgの用量で1日1回投与される。本明細書で提供される投薬量は、遊離塩基形態のパルボシクリブの用量を指すか、または投与されるパルボシクリブ塩形態の遊離塩基等価物として算出される。例えば、100mg、75mg、または50mgなどのパルボシクリブの投薬量または量は、遊離塩基等価物を指す。
【0230】
ある実施形態では、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール、またはその薬学的に許容される塩は、1日あたり約1mg~約1000mgの1日用量で投与される。一部の実施形態では、CDK4阻害剤は、1日あたり約10mg~約500mgの1日用量で投与される。一部の実施形態では、CDK4阻害剤は、1日あたり約25mg~約300mgの投薬量で投与される。一部の実施形態では、CDK4阻害剤は、QD、BID、TIDまたはQIDスケジュールで、約1、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、260、270、275、280、290、300、325、350、375、400、425、450、475または500mgの投薬量で投与される。
【0231】
ある実施形態では、2,6-ジメトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、もしくはその薬学的に許容される塩、または2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、もしくはその薬学的に許容される塩は、約1mg~約1g;約1mg~約250mg;約1mg~約100mg;約1mg~約50mg;約1mg~約25mg;および約1mg~約10mgの範囲にあってもよい範囲の用量で投与される。
【0232】
本発明の方法の実施を、様々な投与または投薬レジメンによって達成することができる。本発明の組合せの化合物を、間欠的に、同時的に、または連続的に投与することができる。ある実施形態では、本発明の組合せの化合物を、同時投薬レジメンで投与することができる。
【0233】
投与または投薬レジメンの反復を、必要に応じて行って、がん細胞の望ましい減少または縮小を達成することができる。本明細書で使用される場合、「連続投薬スケジュール」は、用量の中断がない、例えば、処置のない日がない、投与または投薬レジメンである。処置サイクル間に用量の中断がない28日の処置サイクルの反復は、連続投薬スケジュールの例である。ある実施形態では、本発明の組合せの化合物を、連続投薬スケジュールで投与することができる。ある実施形態では、本発明の組合せの化合物を、連続投薬スケジュールで同時的に投与することができる。
【0234】
ある実施形態では、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩は、28日の完全なサイクルを含むように1日1回投与される。28日のサイクルの反復は、本発明の組合せを用いた処置の間、継続される。
【0235】
パルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩に関する、標準的な投薬スケジュールを含む、標準推奨投薬レジメンは、28日の完全なサイクルを含むように、21日連続で1日1回の投与、次いで、7日の処置休止である。28日のサイクルの反復は、本発明の組合せを用いた処置の間、継続される。
【0236】
パルボシクリブ、またはその薬学的に許容される塩のための、標準臨床投薬レジメンは、28日の完全なサイクルを含むように、21日連続で1日1回、125mgの投与、次いで、7日の処置休止である。28日のサイクルの反復は、本発明の組合せを用いた処置の間、継続される。
【0237】
本発明のさらなる実施形態では、2-メトキシ-N-{4-メトキシ-6-[(1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-1,2-ベンゾオキサゾール-3-イル}ベンゼン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される塩は、パルボシクリブおよびレトロゾールと組み合わせて投与され、パルボシクリブは、125mgで経口により、21日間にわたって1日1回、次いで、7日間の休止で投与され、レトロゾールは、2.5mgで経口により、毎日投与される。
【0238】
本発明の組合せの化合物の投与を、化合物の作用部位への送達を可能にする任意の方法によって行うことができる。これらの方法は、経口経路、十二指腸内経路、非経口注射(静脈内、皮下、筋肉内、血管内または輸注を含む)、局所、および直腸投与を含む。組合せのそれぞれの化合物を、同じか、または異なる投与経路に従って投与してもよい。
【0239】
本発明の方法または組合せの化合物を、投与前に製剤化することができる。製剤は、好ましくは、特定の投与様式に適合されるであろう。これらの化合物を、当業界で公知の薬学的に許容される担体と共に製剤化し、当業界で公知の様々な剤形で投与することができる。本発明の医薬組成物の作製においては、活性成分は、通常、薬学的に許容される担体と混合されるか、または担体によって希釈されるか、または担体の中に封入されるであろう。そのような担体としては、限定されるものではないが、固体希釈剤または充填剤、賦形剤、滅菌水性媒体および種々の非毒性有機溶媒が挙げられる。単位剤形または医薬組成物としては、錠剤、ゼラチンカプセルなどのカプセル、ピル、粉末、顆粒、水性および非水性経口溶液および懸濁液、ロゼンジ剤、トローチ剤、ハードキャンディ、スプレー、クリーム、軟膏、坐剤、ゼリー、ゲル、ペースト、ローション、軟膏剤、注射溶液、エリキシル剤、シロップ、および個々の用量への再分割に適合させた容器中に包装された非経口溶液が挙げられる。
【0240】
非経口製剤としては、薬学的に許容される水性または非水性溶液、分散液、懸濁液、エマルジョン、およびそれらの調製のための滅菌粉末が挙げられる。担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが挙げられる。流動性を、レシチン、界面活性剤などのコーティングの使用によって維持するか、または適切な粒径を維持することができる。例示的な非経口投与形態としては、滅菌水性溶液、例えば、水性プロピレングリコールまたはデキストロース溶液中の本発明の化合物の溶液または懸濁液が挙げられる。そのような剤形を、必要に応じて好適に緩衝化することができる。
【0241】
さらに、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクなどの滑沢剤は、錠剤化の目的にとって有用であることが多い。同様の型の固体組成物を、軟質および硬質充填ゼラチンカプセルにおいて用いることもできる。したがって、好ましい材料としては、ラクトースまたはミルクシュガーおよび高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。水性懸濁液またはエリキシル剤が経口投与にとって望ましい場合、その中の活性化合物を、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、またはその組合せなどの希釈剤と一緒に、様々な甘味剤または香味剤、着色物質または色素、必要に応じて、乳化剤または懸濁剤と混合することができる。
【0242】
特定の量の活性化合物と共に様々な医薬組成物を調製する方法は、当業者には公知であるか、または当業者には明らかであろう。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easter,Pa.、第15版(1975)を参照されたい。
【0243】
本発明はまた、本発明の組合せの治療剤と、治療剤の投与のための使用説明書とを含むキットにも関する。一実施形態では、使用説明書は、例えば、本発明の治療剤の同時的または連続的投与のために、治療剤の投与様式を詳述および特定する。一実施形態では、使用説明書は、例えば、28日のサイクルの間のそれぞれの治療剤の投与日数を特定することによって、治療剤の投与様式を詳述および特定する。
【実施例0244】
(実施例1)
パルボシクリブはER+乳がん細胞を可逆的に停止させた
【0245】
概説:
完全な老化は、細胞が不可逆的な細胞周期停止を受け、分裂できなくなる末期状態である。これは、腫瘍増殖に対する障壁を提供する。組織培養では、老化細胞は、細胞周期を停止し、大きな扁平な形状および高い老化関連ベータ-ガラクトシダーゼ活性(SA-β-gal)を含む、特定の顕著な特徴を獲得する。パルボシクリブで処置されたER+乳がん細胞株は、細胞周期のG1期で停止し、これらの老化特性を獲得する。
【0246】
パルボシクリブ処置は、ER+乳がん細胞中で老化特性を誘導したが、ER+乳がん細胞中でのパルボシクリブによる処置は、完全な老化を誘導しなかった。
【0247】
材料および方法:
T47DおよびMCF7は、ショートタンデムリピート(「STR」試験(ATCC STRプロファイリングサービス)を使用して、ER+乳がん細胞株と確認された。T47D細胞のために使用された増殖培地は、DMEM(Gibcoカタログ番号11995-065)+10%FBS(Gibcoカタログ番号10082-147)であり、MCF7細胞については、RPMI(Gibcoカタログ番号11875-093)+10%FBS(Gibcoカタログ番号10082-147)であった。
【0248】
T47D細胞を、6ウェルの組織培養プレート(Falconカタログ番号353046)中に、10%集密度で播種した。18~24時間、細胞をプレートに付着させた後、500nMのパルボシクリブを、各培養物に添加した。増殖培地およびパルボシクリブを、週2回(3~4日毎)、リフレッシュした。この用量のパルボシクリブは、T47D細胞の完全な細胞周期停止をもたらした。T47D培養物については、細胞を、パルボシクリブ処置の1、14、および24日目に3重培養物からトリプシン処理によって懸濁し、それぞれの懸濁液の細胞密度を、Vi-Cell XR細胞計数装置を使用して測定した。別々の実験において、さらに3つのT47D培養物を、500nMのパルボシクリブで14日間処置した後、パルボシクリブを細胞から洗浄除去し、細胞を10日間回復させた。10日間の回復後、細胞をトリプシン処理によって懸濁し、それぞれの懸濁液の細胞密度を、細胞計数装置によって測定した。500nMのパルボシクリブで処置されたT47D培養物は、最大24日の連続処置にわたって安定に停止したままであり、パルボシクリブの除去後、10日間回復させたT47D培養物は、有意な細胞増殖を示した(図1A)。
【0249】
同様の実験において、MCF7細胞を、10%集密度で6ウェル組織培養プレートに播種し、18~24時間付着させた後、6または14日間、500nMのパルボシクリブで処置した。この用量のパルボシクリブは、MCF7細胞の完全な細胞周期停止をもたらした。6および14日間のパルボシクリブ処置の後、各ウェル中の細胞を、トリプシン処理によって懸濁し、細胞密度を、細胞計数装置によって測定した。同時に、500nMのパルボシクリブで6または14日間処置されたさらなるMCF7培養物について、パルボシクリブを細胞から洗浄除去し、それらを7~8日間回復させた。この回復期間の後、細胞を、トリプシン処理によって懸濁し、それぞれの懸濁液の細胞密度を測定した。T47D細胞と同様、パルボシクリブ処置は、最大14日間の処置にわたってMCF7細胞を安定に停止させた(図1B)。しかしながら、6または14日間処置されたMCF7培養物からパルボシクリブを除去した後、細胞は、容易に細胞周期に再進入し、増殖した。
【0250】
結果:
500nMのパルボシクリブ処置の結果生じるT47D増殖停止は、パルボシクリブ中止時に可逆性であり、したがって、完全な老化を誘導しなかった。同様に、500nMのパルボシクリブ処置の結果生じるMCF7増殖停止は、パルボシクリブ中止時に可逆性であり、したがって、完全な老化を誘導しなかった。
【0251】
500nMのパルボシクリブは、ER+乳がん細胞中で老化特性を誘導したが、増殖停止はパルボシクリブの除去時に可逆性であるため、パルボシクリブ処置は、完全な老化を誘導しなかった。
【0252】
(実施例2)
パルボシクリブによるER+乳がん細胞の可逆的増殖停止にとって必要とされるエピジェネティック酵素としてのKAT6Aの同定
概説:
実施例1の結果に基づいて、プールされたRNAiスクリーンに関するアッセイを開発して、パルボシクリブ増殖停止からのER+乳がん細胞の細胞分裂の回復を可能にするために必要とされる遺伝子を同定した。このアッセイは、特定のタンパク質のノックダウンが、パルボシクリブ誘導性増殖停止から回復する細胞の能力を遮断するかどうかを測定するものであった。
【0253】
プールされたRNAiスクリーンは、パルボシクリブ誘導性増殖停止からの回復およびパルボシクリブによる処置後のER+乳がん細胞の生存にとって必要とされるエピジェネティック酵素としてKAT6Aを同定した。
【0254】
材料および方法:
miR30 shRNA設計(Jose M Silvaら、「Second-generation shRNA libraries covering the mouse and human genomes」、2005、Nature Genetics 37(11):1281~1288)は、スクリーニングおよび下流の遺伝子試験のために使用されるshRNAプラットフォームであった。パルボシクリブ処置の間のER+乳がん細胞の可逆的増殖停止、例えば、生存にとって必要とされる遺伝子を同定するために実施された、プールされたRNAiスクリーンの概略を、図2に示す。
【0255】
T47D細胞を、エピジェネティック酵素を標的とするshRNAライブラリーのスクリーニングから選択された、418種の異なるエピジェネティック酵素を標的とする4106の異なるドキシサイクリン誘導性(「Tet-ON」)shRNAのプールをコードするレンチウイルスに感染させた。異なるshRNAをコードするウイルスによって感染したT47D細胞の感染、選択、および拡大を、ドキシサイクリン非含有増殖培地中で実施し、したがって、異なるshRNAは細胞中で発現されず、エピジェネティック酵素はノックダウンされなかった。
【0256】
スクリーニングを可能にするために十分な細胞が拡大されたら、細胞を、2μg/mLピューロマイシン(shRNAを含む細胞の選択を維持した)および0.2μg/mLドキシサイクリン(Sigmaカタログ番号D9891)を含有する増殖培地中、10~20%の集密度でT150組織培養フラスコに播種した。増殖培地へのドキシサイクリンの添加は、Tet-ON調節性shRNAの発現の誘導をもたらした。shRNA発現の誘導時に、shRNAは、418の異なるエピジェネティック酵素のノックダウンを標的とするように細胞によってプロセシングされた。それぞれのT47D培養物中のshRNAあたり最小で1000個の細胞(4106000個の細胞)を、スクリーニングを通して維持して、T47D培養物中のそれぞれのshRNAの十分な代表を確保した。shRNAの発現を、3日間誘導して、異なるエピジェネティック酵素をノックダウンした後、スクリーニングアッセイのために細胞をT150フラスコに播種した。
【0257】
同時に、T47D培養物を、shRNAの発現が誘導されないドキシサイクリン非含有培地中で維持した。これらの培養物は、shRNAが誘導された培養物に対する比較のための対照培養物であった。増殖培地±0.2μg/mLドキシサイクリン中でのT47D-shRNA細胞の拡大の3日後、細胞を、スクリーニングのために懸濁および播種した。shRNAあたり、最小で1000個の細胞を、4つの異なる増殖条件で3重培養物に播種した。これらの増殖条件は、(1)パルボシクリブなし、ドキシサイクリンなしの増殖培地(増殖スクリーン-shRNA OFF)、(2)パルボシクリブなし+0.2μg/mLドキシサイクリンの増殖培地(増殖スクリーン-shRNA ON)、(3)増殖培地+500nMパルボシクリブ、ドキシサイクリンなし(パルボシクリブ回復スクリーン-shRNA OFF)、および(4)増殖培地+500nMパルボシクリブ+0.2μg/mLドキシサイクリン(パルボシクリブ回復スクリーン-shRNA ON)を含んでいた。これらの4つの増殖条件のそれぞれのための増殖培地を、3~4日毎(週2回)に交換した。増殖スクリーニング培養物が集密に近くなった時、それらを分割して、集密未満の培養物を維持し、shRNAあたり1000個以上の細胞を、増殖培地±0.2μg/mLドキシサイクリン中、新しい培養液に播種した。パルボシクリブ処置された培養物は増殖停止したため、それらはパルボシクリブ処置の持続期間にわたって集密未満を維持したので、これらの培養物を分割する必要はなかった。14日の処置後、3重増殖スクリーニング培養物(+ドキシサイクリン、shRNA ONおよびドキシサイクリンなし、shRNA OFF)のそれぞれに由来する細胞を収集し、下流の分析のために保存した。パルボシクリブとドキシサイクリンとの両方を、パルボシクリブ回復スクリーニング培養物から洗浄除去し、これらの培養物を、パルボシクリブおよびエピジェネティック遺伝子ノックダウンの非存在下で14日間回復させた。スクリーニングのこの回復期にエピジェネティック遺伝子の発現を復旧させて、細胞増殖にとって必須の遺伝子を標的とするshRNAによる細胞の枯渇を最小化することが必要であった。かくして、回復期の間に培養物中で枯渇したshRNAを含む細胞は、パルボシクリブ処置と共に、増殖停止からの回復を遮断する遺伝子をノックダウンするshRNAを含んでいた。パルボシクリブの除去後、これらの培養物は、拡大し始め、それらが集密に近くなった時、細胞を懸濁し、shRNAあたり最小で1000個の細胞を維持する新しいT150組織培養フラスコに分割した。14日間の回復後、3重パルボシクリブ回復スクリーニング培養物(+パルボシクリブshRNA ONおよび+パルボシクリブshRNA OFF条件から回復)のそれぞれに由来する細胞を収集し、下流の分析のために保存した。
【0258】
増殖およびパルボシクリブ回復スクリーニングの4つの異なる増殖条件のぞれぞれのための3重試料から収集された細胞(12の試料)を溶解し、ゲノムDNAを、Qiagen DNeasy Genomic DNAキット(カタログ番号69504)および製造業者のプロトコールを使用して精製した。ネステッドPCR法を適用して、ゲノムDNA試料からshRNAを増幅し、下流のMiSeq分析(Illumina,Inc.)のためのイルミナ指標を追加した。
【0259】
MiSeqが完了した後、生成されたFASTQファイルを処理して、以下のような遺伝子レベルのスコアを得た。それぞれの増殖条件および反復物から測定されたshRNAリードを合計し、shRNA OFF試料中の10リードより少ないshRNAを除外し(n=45/4,106)、遺伝子レベルのガイド存在量変化(富化および枯渇)を、8スレッドおよび10順列ラウンドを使用し、増殖およびパルボシクリブ回復スクリーニングのそれぞれについてshRNA ON(+ドキシサイクリン)試料を、shRNA OFF(ドキシサイクリンなし)試料と比較する、MAGeCK-MLE(Li W、Koster J、Xu H、Chen CH、Xiao T、Liu JS、Brown M、Liu XS、「Quality control,modeling,and visualization of CRISPR screens with MAGeCK-VISPR」、Genome Biol.2015 Dec 16:16:281)によって評価した。遺伝子レベルベータ値(効果サイズ)を、shRNAスクリーニングの回復および増殖アームについてプロットした(データは示さない)。負の遺伝子レベルベータ値は、名前付きの遺伝子のノックダウンを有する細胞(shRNA ON)が、遺伝子がノックダウンされていない細胞(shRNA OFF)と比較して、特定の増殖条件下で培養物から枯渇することを示していた。増殖スクリーニングにおけるKAT6Aの遺伝子レベルベータスコアは、-0.86であり、これは、KAT6Aノックダウンがスクリーニング中の細胞の増殖を阻害し、これらの細胞が増殖スクリーニング培養物中で枯渇していることを示していた。
【0260】
結果:
パルボシクリブ回復スクリーン中のKAT6Aの遺伝子レベルベータスコアは、-1.11であり、これは、KAT6Aノックダウンが、パルボシクリブ増殖停止からの細胞の回復を阻害し、これらの細胞がパルボシクリブ回復スクリーニング培養物中で枯渇していることを示していた。重要なことに、パルボシクリブ回復スクリーンにおけるKAT6Aでは、スクリーニングした全ての遺伝子のうちで最も負の遺伝子レベルベータ値のスコアが得られたが、これは、KAT6Aノックダウンが、スクリーニングした他の任意の遺伝子よりも、パルボシクリブ増殖停止からのT47D細胞の回復の最も強力な阻害を引き起こすことを示していた。
【0261】
増殖およびパルボシクリブ回復RNAiスクリーンにおいて、1)乳がん細胞株の増殖;2)パルボシクリブ停止からの回復;および3)乳がん細胞株の増殖と、パルボシクリブ停止からの回復との両方にとって必要とされるエピジェネティック酵素の数を同定した。KAT6Aは、乳がん細胞増殖と、パルボシクリブ停止からの乳がん細胞の回復との両方にとって必要とされるエピジェネティック酵素として同定された。KAT6Aノックダウンは、ER+乳がん細胞株T47Dに対するパルボシクリブ回復スクリーンにおいて最も強力なヒットであった。これは、T47D細胞の増殖にとってKAT6Aが重要であるだけでなく、パルボシクリブを除去した後にT47D細胞が生存し、細胞分裂を回復するためにも必要であることを示していた。これらの結果は、パルボシクリブ処置中のKAT6Aの枯渇が、乳がん細胞の不可逆的増殖停止をもたらすことを示唆していた。
【0262】
(実施例3)
パルボシクリブによるER+乳がん細胞の可逆的増殖停止にとって必要とされるエピジェネティック酵素としてのKAT6Aの検証
概説:
実施例2の結果に従って、KAT6Aを、ER+乳がん細胞増殖およびパルボシクリブ停止からの回復にとって必要とされるエピジェネティック酵素として検証した。
【0263】
材料および方法:
ER+乳がん細胞株T47D、ZR-75-1、MCF7、およびCAMA1を、KAT6A発現の差に基づいて試験のために選択した。KAT6A遺伝子は、ZR-75-1およびCAMA1細胞中で増幅され、過剰発現される。KAT6Aは、T47D細胞中で過剰発現される。KAT6A遺伝子は、MCF7細胞中では増幅も過剰発現もされない。T47DおよびMCF7のための増殖培地は、実施例1に記載の通りであった。ZR-75-1およびCAMA1のために使用された増殖培地は、MCF7について使用されたものと同じであった。テトラサイクリン非含有FBS(Takaraカタログ番号631106)を、増殖培地中で使用して、Tet-ON shRNAをこれらの細胞株に組み込んだ。以下に記載されるような、ウェスタンブロット分析により、T47D、ZR-75-1、およびMCF7細胞中では、これらのshRNAによって75%以上のKAT6Aタンパク質がノックダウンされたことが確認され、Q-PCRにより、CAMA1中ではこれらのshRNAによって80%を超えるKAT6A mRNAがノックダウンされたことが確認された。
【0264】
ウェスタンブロット分析のための全細胞抽出を、ER+乳がん細胞株、T47D、ZR-75-1、MCF7、およびCAMA1に対して実施した。
【0265】
KAT6Aのウェスタンブロット分析を、全細胞溶解物に対して実施した。Tet-ON KAT6A shRNA CAMA1細胞中でのKAT6A発現を、Q-PCR分析を使用して測定した。
【0266】
細胞増殖およびパルボシクリブ停止からの回復に対する、T47D、ZR-75-1、およびMCF7細胞中でのKAT6Aノックダウンの結果を、図3Aに記載のワークフローを使用して試験した。0.2μg/mLのドキシサイクリンを増殖培地に添加することによって、細胞株においてshRNAの発現を誘導し、これらの細胞株中で異なるshRNAによるKAT6Aのノックダウンを開始した。shRNA誘導の3日後、細胞を、約10%の集密度で6ウェルプレートに播種した。全ての培養物を、増殖培地+0.2μg/mLドキシサイクリン中に播種して、shRNA発現およびKAT6Aノックダウンを維持した。細胞を、このコロニー形成アッセイ(「CFA」)のために6ウェルプレート中に播種した。18~24時間、細胞をウェルに付着させた後、500nMのパルボシクリブを、細胞培養物の半分に添加した。
【0267】
増殖アッセイ:10~14日後、非標的化陰性対照shRNA(shRenilla)を発現する未処置の培養物は集密になり、KAT6A RNAiおよびshRenilla RNAi培養物を染色して、細胞密度を可視化した。培養物を染色するために、増殖培地を吸引し、それぞれの細胞培養物から廃棄し、ウェルに付着した細胞を、2mLのリン酸緩衝溶液(Hyclone、カタログ番号SH30256.01)で1回洗浄した後、それぞれのウェルの細胞を、1%酢酸中に溶解した、スルホローダミンBナトリウム塩(SRB染色剤、Sigma、カタログ番号S1402)の0.4%溶液1mLで染色した。培養物を、室温で10分間、染色剤中でインキュベートした。次いで、染色剤を、それぞれの培養物から吸引し、廃棄した。過剰の染色剤を、それぞれ2mLの1%酢酸で3回、各ウェルから洗浄した。
【0268】
パルボシクリブ回復アッセイ:増殖培地+0.2μg/mLドキシサイクリン+500nMパルボシクリブ中でインキュベートした細胞培養物については、パルボシクリブ処置の14日後、パルボシクリブを含有する増殖培地を、各細胞培養物から洗浄し、ドキシサイクリンおよびパルボシクリブを含有しない増殖培地を添加し戻して、KAT6Aの再発現およびパルボシクリブ細胞周期停止からの回復を可能にした。パルボシクリブ停止からの回復の10~14日後、培養物を、上記のようにSRB染色剤で染色した。
【0269】
結果:
増殖コロニー形成アッセイの結果、KAT6Aは、T47DおよびZR-75-1細胞の増殖にとって必要であるが、MCF7細胞の増殖にとっては必要ではないことが示された(図3Bおよび図4A)。非標的化shRenilla shRNAを発現するように誘導したT47DおよびZR-75-1培養物に比べて、異なるKAT6A shRNAを発現するように誘導したT47DおよびZR-75-1培養物のSRB染色が弱かったことは、増殖アッセイ時間経過にわたって細胞増殖が弱いことを示した。対照的に、MCF7細胞中での最も強力なKAT6A_6 shRNAによる90%を超えるKAT6Aノックダウンは、この細胞株の増殖を有意に阻害しなかった。このことは、shRenilla陰性対照培養物と比較したKAT6A_6 MCF7培養物の同等の染色に反映された。増殖に関するKAT6AへのT47D細胞の依存性は、実施例2で上記されたRNAiスクリーンと一致していた。
【0270】
パルボシクリブ回復コロニー形成アッセイの結果、パルボシクリブ処置中のKAT6A発現が、細胞からのパルボシクリブ中止後の細胞分裂を回復するためにT47D、ZR-75-1、およびMCF7細胞にとって必要であることが示された(図3Bおよび図4B)。これらの細胞株のそれぞれについて回復した培養物のSRB染色は、非標的化対照shRNA+パルボシクリブの組合せと比較して、KAT6Aノックダウン+パルボシクリブの組合せから回復した培養物についてはるかに弱かった。これらの結果は、T47D中でのパルボシクリブ回復スクリーンにおいて観察されたKAT6A shRNAのドロップアウトを検証し、パルボシクリブ増殖停止から回復するためのKAT6Aに対するER+乳がん細胞の広い依存性を示していた。
【0271】
上記結果とは対照的に、パルボシクリブ増殖停止から回復するためのKAT6Aに対するCAMA1細胞の依存性は、測定することができなかった。パルボシクリブに対するCAMA1細胞株の応答のプロファイリングにより、多くのER+乳がん細胞と違って、単一薬剤であるパルボシクリブ処置は、CAMA1細胞の不可逆的増殖停止をもたらすことが示された。
【0272】
非標的化CB3 shRNAと比較した、2つの異なる強力なKAT6A shRNAであるKAT6A_5およびKAT6A_6のいずれかを発現するように誘導されたCAMA1培養物のSRB染色の結果、培養増殖における有意差は示されなかった(図5A)。しかしながら、光学顕微鏡を使用した細胞の厳重な検査により、CAMA1細胞中でのKAT6Aノックダウンが、細胞老化を示す、拡大した、扁平な細胞形態を含む、細胞形態の劇的な変化をもたらすことが示された(図6)。これらの大きな細胞は、組織培養プレート表面を覆ってSRB染色剤を吸収し、KAT6Aがノックダウンされていない陰性対照培養物と比較して、これらの培養物中にはるかに少ない細胞が存在するにもかかわらず、同等の染色を示唆する。これを考慮に入れて、KAT6AがノックダウンされたCAMA1培養物の細胞数を、別のアッセイとして測定して、細胞増殖に対するKAT6Aノックダウンの効果を評価した。実際、KAT6A_5、KAT6A_6、またはKAT6A_10_1u shRNAのいずれかによりKAT6Aをノックダウンして14日間拡大されたCAMA1培養物中の細胞数を測定した場合、非標的化陰性対照shCB3 shRNAを発現する細胞と比較して、一貫して、また、有意に少ないCAMA1細胞が存在していた(図5B)。これらの結果は、T47DおよびZR-75-1に関する結果と一致し、CAMA1細胞が増殖のためにKAT6Aに依存することを示していた。さらに、KAT6AがノックダウンされたCAMA1細胞の視覚的観察により、この細胞株におけるKAT6A枯渇が老化を誘導していることが示唆された。
【0273】
(実施例4)
KAT6AのRNAiノックダウンはER+乳がん細胞株に対するパルボシクリブ組合せ活性を示した
概説:
本実施例は、KAT6A阻害と、パルボシクリブとの組合せが、ER+乳がん細胞株に対して広く有効であることを示す。
【0274】
材料および方法:
低から高までの範囲のKAT6A発現レベルを示す管腔ER+乳がん細胞モデルのパネル(表1)を、実施例1に記載された増殖アッセイおよびパルボシクリブ回復アッセイにおいて評価した。
【0275】
【表1】
【0276】
ステップ1:個々の非標的化対照shRNAまたはKAT6Aに対するshRNAを発現する安定細胞株の生成
EFM19およびEFM192A細胞を、Leibniz Institute DSMZ-German Collection of Microorganisms and Cell Culturesから取得した。MDAMB175 VII細胞を、American Type Culture Collection(ATCC)から取得した。
【0277】
T47D、ZR75-1、CAMA1およびMCF7に由来する安定細胞株の生成および特性評価は、実施例3に記載した。
【0278】
個々の細胞株を、配列が実施例3に記載されている、ピューロマイシン耐性遺伝子およびTet-OFF非標的化対照shRNA(shRenillaもしくはshCB3)またはKAT6A shRNA(shRNA5およびshRNA6)を有するレンチウイルスに感染させることによって、EFM19、EFM192AおよびMDAMB175 VIIに由来する安定細胞株を生成した。Tet-OFF shRNAシステムに関して、培養培地中のドキシサイクリンの添加は、shRNA発現を止めるが、培養培地中のドキシサイクリンの除去は、shRNA発現を誘導する。細胞を、低MOI下でレンチウイルスに感染させた後、Tet-OFF shRNAの単一コピー組込みを有する感染細胞についてピューロマイシン選択した。全プロセスを、0.2μg/mLのドキシサイクリンの存在下で行って、細胞株生成プロセス中のshRNA発現を止めた。
【0279】
1日目に、個々の細胞株の細胞を、10%テトラサイクリン非含有ウシ胎仔血清(Takara、カタログ番号631367)およびペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco#15140122)を添加したDMEMまたはRPMI組織培養培地中、6ウェル組織培養プレートに播種した。2日目の午後に、培養培地を除去し、700μLの無血清DMEM(Gibcoカタログ番号11995-065)+0.2μg/mLのドキシサイクリンを、各ウェルに添加し戻した後、個々のshRNAを有する2~20μLのレンチウイルスを添加した。簡単に混合した後、細胞を、37℃、5%COで一晩、インキュベートするために戻した。3日目の午前に、ウェルあたり2mLの新鮮な組織培養培地+10%FBS(テトラサイクリン非含有)+Pen/Strep+0.2μg/mLのドキシサイクリンを添加し、37℃、5%COで48時間、インキュベートするためにプレートに戻した。4日目に、培地を各ウェルから除去し、新鮮な培地+10%FBS(テトラサイクリン非含有)+P/S+0.2μg/mLドキシサイクリン+2μg/mLピューロマイシン(InvivoGen、カタログ番号ant-pr-1)を添加した。その後の日に、培養培地を2~3日毎にリフレッシュして、ピューロマイシン選択を保持し、細胞拡大を可能にした。
【0280】
ステップ2:コロニー形成アッセイ
コロニー形成アッセイを、2つのアーム:実施例3に記載されたような、増殖アームおよびパルボシクリブ回復アームにおいて実施した。shRNAを有する細胞株を、ドキシサイクリンの非存在下および存在下で、6ウェル培養皿に低密度(2~5x10細胞/ウェル)で播種し、一晩付着させた。次の日、プレートを、shRNAの誘導あり(+ドキシサイクリン)またはなし(-ドキシサイクリン)で、ビヒクルまたはパルボシクリブ(100~500nM)含有培地でリフレッシュした。ビヒクル処置された細胞を、3または4日毎にリフレッシュし、非標的化対照細胞が集密になるまでモニタリングした。パルボシクリブ回復アームについては、パルボシクリブ処置された細胞を、3~4日毎の培地リフレッシュを用いて14日間処置した。処置の終わりに、細胞を、0.2μg/mLドキシサイクリンを添加した完全培地で3回洗浄して、shRNA発現を同時に止め、細胞を、パルボシクリブ誘導性細胞周期停止から回復させた。非標的化対照細胞が集密になった時、各ウェル中の細胞を、実施例3に記載されたように固定し、可視化のためにスルホローダミンB(SRB)で染色した。染色を定量するために、染色された細胞を、2mLの10mM Tris-HCl、pH7.5に溶解し、振とう器上で10min振とうした。次いで、試料を10mM Tris-HCl、pH7.5で希釈し、100μLの容量で96ウェルマイクロタイタープレートに移し、565nmでSpetraMax上で読み取った。
【0281】
結果:
KAT6A枯渇は、表1にまとめられたように、複数のER+乳がん細胞モデルの増殖に影響した。さらに、KAT6Aノックダウンの、パルボシクリブとの協調的阻害は、コロニー形成アッセイのパルボシクリブ回復アームによって示されたように、試験した全ての細胞株にわたって一致していた。
【0282】
MCF7細胞の増殖は、KAT6Aノックダウンによって最小限に影響された(図4A)。しかしながら、パルボシクリブと組み合わせた場合、KAT6A枯渇は、パルボシクリブ誘導性細胞周期停止からの細胞回復を有意に遮断した(図4B)。
【0283】
これらの結果は、KAT6A阻害がパルボシクリブと相乗的に作用して、停止したがん細胞が、細胞周期に再進入するのを遮断することを示している。
【0284】
EFM192Aは、中レベルのKAT6A発現を示すER+HER2+乳がん細胞株である。KAT6Aノックダウンは、100nMのパルボシクリブと組み合わせた場合、増殖に対する中程度の効果およびパルボシクリブ誘導性停止からの細胞回復の遮断に対する実質的な合成致死効果を示した(図7A)。shKAT6A_5とshKAT6A_6との両方によるKAT6Aの効率的なノックダウンを、mRNA(図7B)およびタンパク質レベル(図7C)で検証した。
【0285】
増殖およびパルボシクリブ回復に対する阻害効果は、これらの細胞モデルにおけるKAT6A発現レベルとは無関係であり、KAT6A-highと-lowモデルとの両方におけるER+管腔乳がんに対する広いパルボシクリブ/KAT6A阻害剤併用活性を証明した。
【0286】
(実施例5)
低分子KAT6阻害剤は、ER+乳がん細胞増殖およびパルボシクリブ停止からの回復を阻害した
低分子KAT6阻害剤を、KAT6Aの触媒機能に対する、ER+乳がん細胞の増殖およびパルボシクリブ停止からの回復の依存性を決定するために評価した。
【0287】
材料および方法:
低分子KAT6阻害剤、化合物Aおよび化合物Bを、ER+乳がん細胞株、T47D、ZR-75-1、およびMCF7に対して評価した。これらの細胞株のために使用された増殖培地は、上記の実施例1および3に記載されたものと同じであった。
【0288】
T47D、ZR-75-1、またはMCF7細胞を、10%の播種集密度で6ウェル組織培養プレートに播種した(ウェルあたり100,000~150,000個の細胞)。18~24時間、細胞をウェルに付着させた後、増殖培地を吸引し、廃棄し、0~20μMの化合物Aまたは化合物Bを含有する新しい増殖培地を、20μMから下向きの濃度の2倍増分で細胞に添加した(増殖アッセイ)。同時に、同じ滴定のKAT6阻害剤を用いた播種した培養物を、細胞に添加した。また、500nMのパルボシクリブを、それぞれの濃度のKAT6阻害剤について添加した(パルボシクリブ回復アッセイ)。培養物を、12~14日間インキュベートし、これらの阻害剤/阻害剤の組合せで処置した。阻害剤を含有する増殖培地を、3~4日毎(週2回)に、細胞培養物上で置き換えた。
【0289】
KAT6阻害剤で処置されたT47D培養物(増殖アッセイ)については、12日後、ビヒクル(DMSO)で処置された培養物は90%を超える集密度になり、細胞培養物を、実施例3に記載のようにSRB染色した。染色された6ウェルプレートを、Epson Perfection V600 Photo ScannerおよびEpson Scanバージョン3.9.2.0ソフトウェアを使用してスキャンした。それぞれの6ウェル培養物中でのSRB染色を定量化するために、培養物を、ウェルあたり2mLの10mM Tris pH7.5で脱染色し、放出された染色剤の565nm(O.D.565)での吸光度を、SpectraMax PlusプレートリーダーおよびSoftMaxPro 5.4.3ソフトウェアを使用して測定した。化合物Aと化合物Bとの両方によるT47D細胞増殖の阻害は、10μMのKAT6阻害剤について観察された50%の増殖阻害と同等であった(図8Aおよび8C)。
【0290】
500nMパルボシクリブで停止し、増加する濃度のKAT6阻害剤で処置したT47D培養物について(パルボシクリブ回復アッセイ)、併用処置の14日後、阻害剤を含有する増殖培地を、培養物から吸引し、廃棄した。それぞれの培養物を、阻害剤を含有しない2mLの増殖培地で3回洗浄した。次いで、培養物を、阻害剤を含有しない増殖培地中で回復させた。培養物を14日間回復させた後、単一薬剤である500nMパルボシクリブ停止から回復したものは90%を超える集密度であり、全てのパルボシクリブ回復培養物を、上記のようにSRB染色し、スキャンし、脱染色/測定した。パルボシクリブと、化合物Aまたは化合物Bのいずれかとの組合せは、T47D細胞の回復を阻害し、それぞれ、5μMおよび2.5μMのKAT6阻害剤を使用して、50%阻害を示した(図8Bおよび8D)。T47D細胞増殖およびパルボシクリブ停止からの回復に対する、化合物Aおよび化合物BのKAT6阻害剤の活性は同等であった。
【0291】
ZR-75-1およびMCF7実験については、化合物Aのみを試験した。単一の薬剤で処置したZR-75-1培養物については、ビヒクル処置された培養物は、処置の12日後には90%を超える集密度になった。これらの培養物を、上記のようにSRB染色し、スキャンし、脱染色/測定した。0.3μMの化合物Aについて、50%の増殖阻害が観察された(図9)。T47D細胞と同じく、増加する濃度の化合物Aと組み合わせた500nMのパルボシクリブで停止させたZR-75-1培養物について、組合せ阻害剤処置の14日後、両阻害剤を、細胞培養物から吸引した後、それぞれの細胞培養物を、阻害剤を含有しない、それぞれ2mLの増殖培地で3回洗浄し、細胞培養物を、阻害剤を含有しない増殖培地中、阻害剤処置から回復させた。回復の22日後、単一薬剤である500nMのパルボシクリブで処置されたZR-75-1培養物は、90%を超える集密度になり、これらのパルボシクリブ回復アッセイ培養物を、上記のようにSRB染色し、スキャンし、脱染色/測定した。化合物Aと、パルボシクリブ処置との組合せは、ZR-75-1細胞の回復を阻害し、2.5μMの化合物Aについて50%の阻害が観察された(図9)。
【0292】
MCF7細胞を、化合物Aを用いて試験した。単一の薬剤で処置したMCF7培養物については、ビヒクル処置された培養物は、処置の10日後には90%を超える集密度になった。これらの培養物を、上記のようにSRB染色し、スキャンし、脱染色/測定した。T47DおよびZR-75-1細胞株とは対照的に、MCF7増殖の50%阻害は、最大20μMの化合物Aを用いたこのアッセイにおいて達成されなかった(図10)。T47D細胞と同じく、増加する濃度の化合物Aと組み合わせた500nMのパルボシクリブで停止させたMCF7培養物について、組合せ阻害剤処置の14日後、両阻害剤を、細胞培養物から吸引した後、それぞれの細胞培養物を、阻害剤を含有しない、それぞれ2mLの増殖培地で3回洗浄し、細胞培養物を、阻害剤を含有しない増殖培地中、阻害剤処置から回復させた。回復の10日後、単一薬剤である500nMのパルボシクリブで処置されたMCF7培養物は、90%を超える集密度になり、これらのパルボシクリブ回復アッセイ培養物を、上記のようにSRB染色し、スキャンし、脱染色/測定した。化合物Aは、パルボシクリブ処置と協働して、MCF7細胞の回復を阻害し、5μMの化合物Aについて50%の阻害が観察された(図10)。
【0293】
結果:
低分子KAT6阻害剤である化合物Aによる、T47D、ZR-75-1、およびMCF7 ER+乳がん細胞株の処置は、具体的には、KAT6A阻害を、パルボシクリブとの組み合わせることにより、パルボシクリブ除去およびKAT6A発現の復旧後に細胞周期への再進入および細胞分裂の回復を強く遅延させる、これらの細胞株におけるKAT6Aノックダウンからの結果と一致する結果を示した。化合物Aは、T47DおよびZR-75-1細胞の増殖を阻害したが、MCF7細胞の増殖は阻害しなかった。500nMのパルボシクリブと組み合わせた化合物Aは、阻害剤による処置を終わらせた後、3つ全ての乳がん細胞株の細胞増殖の回復を阻害した/遅延させた。
【0294】
KAT6A触媒機能は、KAT6A遺伝子増幅/過剰発現を有するER+乳がん細胞株の増殖を駆動するその活性にとって、また、KAT6A遺伝子増幅/発現レベルとは関係なく、ER+乳がん細胞株においてパルボシクリブによって誘導される増殖停止からの細胞の回復を可能にするその活性にとっても重要である。
【0295】
KAT6阻害剤である化合物Aおよび化合物Bは、細胞増殖に対する直接活性ならびにパルボシクリブ誘導性増殖停止からのその回復に対するパルボシクリブとの組合せ活性の両方に関して、乳がん細胞株T47D、ZR-75-1およびMCF7に対するKAT6Aノックダウンの効果を模倣した。
【0296】
これらの結果は、KAT6阻害剤が、パルボシクリブと相乗作用して、ER+乳がん細胞の増殖を阻害し、内分泌療法に対する臨床的に関連する耐性を克服することを示している。
【0297】
(実施例6)
KAT6阻害剤である化合物Aによる処置は、エストロゲン受容体アルファ発現およびエストロゲン受容体レギュロンを下方調節した
概説:
T47D細胞中での、単一の薬剤としての、およびパルボシクリブと組み合わせた、低分子KAT6阻害剤である化合物Aによる処置の結果生じる転写の変化を、乳がん細胞の応答を決定するために評価し、KAT6Aノックダウンと比較した。
【0298】
材料および方法:
実施例3に記載されたような、shRNAが導入されていない親T47D細胞、またはTet-ON調節されたKAT6A shRNA(KAT6A_5もしくはKAT6A_6)もしくは非標的化shRNA(shRenilla)が安定に組み込まれたT47D細胞を評価した。
【0299】
Tet-ON KAT6A_5、KAT6A_6、またはshRenilla shRNAのいずれかを有するT47D細胞株を、0.2μg/mLのドキシサイクリンで処置して、T47D細胞中でのそれぞれのshRNAの発現を誘導し、KAT6Aのノックダウン(KAT6A_5およびKAT6A_6細胞のみ)を開始した。細胞を、ドキシサイクリンで4日間処置し、細胞中でのKAT6Aタンパク質枯渇のための十分な時間を提供した。ドキシサイクリン処置の3日目に、KAT6A_5、KAT6A_6、およびshRenilla T47D細胞を懸濁し、10%の集密度で6ウェル組織培養プレートに播種した。また、親T47D細胞(shRNAなし)も、10%集密度で6ウェル組織培養プレートに播種した。shRNA誘導後、4日目に、T47D KAT6A_5、KAT6A_6、およびshRenilla培養物の半分を、0.5μMのパルボシクリブで処置し、培養物の半分を未処置のまま保持した。全ての培養物を、0.2μg/mLドキシサイクリンを含有する増殖培地中で保持して、実験を通じて細胞中のKAT6Aノックダウンを維持した。親T47D細胞を、以下のような4つの群に分割した:(1)ビヒクル処置(DMSO)、(2)ビヒクル+0.5μMのパルボシクリブ、(3)10μMの化合物Aで処置、および(4)10μMの化合物A+0.5μMのパルボシクリブ。続いて、親T47DおよびT47D-shRNA細胞株を、6日間処置し、上記の異なる増殖条件を表す、阻害剤を含有する増殖培地を、処置の3日目に1回、置き換えた。処置の6日目に、細胞をGeneChip分析のために収集した(表2)。
【0300】
【表2】
【0301】
製造業者のプロトコールに従ってQiagen RNeasyキット(Qiagenカタログ番号74136)を使用して、上記の各試料からRNAを精製した。cDNA合成を、Ovation Pico WTA System(NuGEN)およびRibo-SPIA技術を使用して実施した。Ovation Pico WTAの生成物を断片化し、Encore Biotin Module(NuGEN)を使用してビオチン標識した。各試料について、5μgのビオチン標識されたcDNAを、製造業者によって推奨される緩衝剤および条件を使用して、ヒトゲノムU133+2.0オリゴヌクレオチドアレイ(Affymetrix)にハイブリダイズさせた。次いで、GeneChipを洗浄し、GeneChip Fluidics Station 450を使用してストレプトアビジンR-フィコエリトリン(Molecular Probes)で染色し、Affymetrix GeneChip Scanner 3000を用いてスキャンした。遺伝子発現データを、Microarray Suite 5.0(MAS5)アルゴリズムによって処理した。
【0302】
示差遺伝子発現分析により、(1)2つの独立したKAT6A shRNAのいずれかによるKAT6Aノックダウンを有するT47D細胞(KAT6A_5対KAT6A_6;p値=5.4x10-197)、(2)KAT6A_5 shRNA対化合物A処置によるKAT6Aノックダウンを有するT47D細胞(p値=3.7x10-176)、および(3)KAT6A_6 shRNA対化合物A処置によるKAT6Aノックダウンを有するT47D細胞(p値=1.98x10-122)に関する遺伝子発現変化の非常に有意な重複が示された。
【0303】
結果:
低分子KAT6阻害剤で処置されたT47D細胞の遺伝子発現の変化は、KAT6Aノックダウンを有するT47D細胞の遺伝子発現の変化と類似していた。KAT6Aノックダウンを有する、または化合物Aにより処置されたT47D細胞に関する示差的に発現される遺伝子の遺伝子セット富化分析により、エストラジオール応答遺伝子ならびに幹細胞遺伝子シグナチャーに関する有意な富化が示された。さらに、KAT6Aノックダウンと、化合物A処置とは両方とも、ESR1(エストロゲン受容体アルファ(ERα)をコードする)発現およびCCND1などの、下流のERαにより調節される遺伝子の有意な下方調節をもたらした。これらの結果は、ER+乳がん細胞株、T47Dにおける遺伝子発現に対するKAT6Aノックダウン/触媒的阻害の一貫した効果を示し、エストロゲン受容体遺伝子発現ならびに幹細胞遺伝子発現の調節におけるKAT6Aの重要な機能を証明した。
【0304】
(実施例7)
KAT6阻害剤である化合物Cによる処置は、エストロゲン受容体アルファ発現およびエストロゲン受容体レギュロンを下方調節した
概説:
T47D細胞中での、KAT6阻害剤である化合物Cを用いて実施した遺伝子発現プロファイリング試験、次いで、RNA-Seqにより、KAT6阻害剤が、ER+乳がん細胞中でのESR1転写の下方調節におけるその機能を維持することが示された。
【0305】
材料および方法:
T47D細胞を、1個の10cmのペトリ皿に100万個の細胞で播種し、10%FBS(Takara、#631106)および1xPen/Strepを含有するRPMI-1640培地中で一晩付着させた。次の日、細胞を、ビヒクル対照(DMSO)または20nM濃度の化合物Cで処置した。培地および化合物を、合計6日間の処置にわたって3日後にリフレッシュした。6日間の処置の終わりに、トリプシン処理によって細胞を回収し、Buffer RLT(Qiagen、カタログ番号79216)+β-メルカプトエタノール中で溶解した。RNA溶解物を、RNAシーケンシング(「RNA-Seq」)(WuXi NextCODE(登録商標))に提出した。
【0306】
RNA-Seqデータ分析:ペアエンドリードのためにTrimmomatic(v0.36)を使用する、WuXi NextCODE(登録商標)によって提供されたIllumina生リードからアダプター配列を切り取り、低品質のリードをフィルター除去した。前処理ステップ後に残存するリードを、STAR(v2.6.0c)を使用して参照ゲノムhg38にマッピングした。デフォルトパラメーターと共にRSEM(v1.3.0)の「rsem-calculate-expression」を使用して、予想計数および100万あたりの転写物(TPM)として遺伝子レベル発現を定量した。ロバストに発現される遺伝子(10以上の試料にわたる最大発現)の示差発現分析を、DESeq2(v1.18.1)パッケージを使用して実施した。遺伝子セット富化分析(GSEA、v3.0)を、GseaPrerankedオプションを使用して行った。遺伝子を、signedlog10pvalに基づいて順位付けた。Molecular Signatures Database(MSigDB)からの遺伝子セットコレクション(c2.all.v6.1)を、この分析において使用した。
【0307】
結果:
遺伝子セット富化分析により、エストラジオールにより誘導される遺伝子は、化合物Cで処置された細胞中で下方調節される(NES(正規化富化スコア)は-9.92であり、FDR(偽発見率)<0.0001である)が、エストラジオールにより抑制される遺伝子は、化合物Cで処置された細胞中で上方調節される(NESは6.27であり、FDR<0.0001である)ことが示された。化合物Cについて生成された、これらの結果は、実施例6に記載された化合物Aに関する転写プロファイリングデータの遺伝子セット富化分析と一致していたが、これは、エストロゲン受容体依存的応答遺伝子の調節におけるKAT6Aの重要な役割およびER+乳がん細胞中でのこのプロセスの調節におけるKAT6A触媒機能の役割をさらに支持している。
【0308】
(実施例8)
KAT6Aノックダウンは、ER+乳がん細胞株中のエストロゲン受容体アルファの枯渇をもたらす
実施例6および7において、ESR1遺伝子およびエストロゲン受容体レギュロン発現は、T47D細胞中での遺伝子発現分析によって示されたように、T47D細胞中でKAT6A阻害によって下方調節された。本実施例では、KAT6A枯渇は、他のER+乳がん細胞株中のESR1の下方調節をもたらした。
【0309】
材料および方法:
全て高レベルでKAT6A遺伝子を発現し、実施例3に記載のように調製された、T47D、ZR75-1およびCAMA1細胞株を、試験のために選択した。特に、T47DおよびZR75-1は、Tet-OFF非標的化shRenilla、shKAT6A_5またはshKAT6A_6に感染し(ドキシサイクリンの非存在によって誘導される発現)、CAMA1は、同じセットのshRNAのTet-ONバージョンに感染した(ドキシサイクリンの存在によって誘導される発現)。
【0310】
ドキシサイクリンを含む、および含まない、RPMI+10%FBS(テトラサイクリン非含有)+Pen/Strep中、T-25培養フラスコ中に200k/ウェルの密度で細胞を播種した。培養培地を、3日毎にリフレッシュした。9日間培養した後、タンパク質およびRNAのために細胞をトリプシン処理によって回収した。全RNAを、RNeasy Plusミニキット(Qiagen、カタログ番号74134)を使用して単離した。cDNAを、iScript cDNA Synthesis Kit(BIO-RAD、カタログ番号1708890)を用いる逆転写によって合成した。以下のプローブ形態ThermoFisher Scientific:KAT6A(Hs00198899_m1)、ESR1(Hs01046816_m1)およびGAPDH(Hs99999905_m1)と共にCFX Realtime system C1000サイクラー上でQuantifast Probe PCR+ROXバイアルキット(Qiagen、カタログ番号204354)を使用して、定量的PCRを実行した。サイクリング条件は、95℃x3min、(95℃x3sec、60℃x30sec)x40サイクルである。
【0311】
タンパク質溶解物を、HALT(Thermo Fisher Scientific)を添加したRIPA溶解緩衝剤中に収集した。40マイクログラムのタンパク質抽出物を、試料緩衝剤中で70℃に加熱し、Tris-Bisタンパク質ゲル(NuPAGE Noves 10%Gels、ThermoFisher)によって分離し、ニトロセルロース膜(iBlot2、Life Technologies)上に転移させた。膜をブロックし、以下の抗体:抗ERα(#8644、Cell Signaling)、抗βアクチン(#4970、Cell Signaling)と共に4℃で一晩インキュベートした。続いて、膜を西洋わさびペルオキシダーゼコンジュゲート抗ウサギ二次抗体(7074P2、Cell Signaling)でブロットし、製造業者の使用説明書に従って、増強化学発光システム(Thermo Scientific)によってバンドを可視化した。
【0312】
結果:
T47D、ZR75-1およびCAMA1細胞中で、ESR1 mRNA(図11B)およびERαタンパク質(図11C)の減少は、KAT6Aノックダウンと相関し(図11A)、これは、KAT6Aが、KAT6Aを高く発現するER+乳がん細胞株中でESR1転写を調節したことを示している。
【0313】
(実施例9)
ESR1の再発現は、KAT6Aノックダウンによる増殖阻害からT47D細胞をレスキューし、パルボシクリブ誘導性細胞周期停止からの細胞回復を部分的に復旧させた
本実施例は、ESR1の再発現が、KAT6Aノックダウンによって引き起こされる増殖表現型をレスキューしたことを実証する。
【0314】
ステップ1:ESR1レスキュー細胞株の生成
ESR1オープンリーディングフレームを、ブラスチシジン選択マーカーを有するpLenti7.3/V5-TOPO(Invitrogen)に基づくベクター中、CMVプロモーターの下流にクローニングした。次いで、この構築物およびplenti7ベクターを、レンチウイルス粒子中にパッケージングした。Tet-OFF shRenillaまたはshKAT6A_6を有するT47D細胞に、pLenti7ベクターのレンチウイルスまたはESR1発現構築物のいずれかを、低MOI下で形質導入し、20μg/mLのブラスチシジン(InvivoGen、カタログ番号ant-bl-05)を用いた選択、次いで、細胞拡大によって、安定細胞株を生成した。
【0315】
ステップ2:KAT6A枯渇の存在下でのCMVプロモーターからのESR1の再発現の確認
ESR1発現がCMVプロモーターからのESR1発現によって復旧されたことを確認するために、ステップ1で生成された以下の細胞株中でのKAT6Aノックダウンを、ドキシサイクリンの非存在によって誘導した:
1.T47D/Tet-OFF shRenilla/plenti7
2.T47D/Tet-OFF shRenilla/pLenti7-CMV-ESR1
3.T47D/Tet-OFF shKAT6A_6/plenti7
4.T47D/Tet-OFF shKAT6A_6/pLenti7-CMV-ESR1。
【0316】
ドキシサイクリンを含む、および含まない、RPMI+10%FBS(テトラサイクリン非含有)+Pen/Strep+20μg/mLブラスチシジン中、12ウェルの培養プレート中に25000個/ウェルの密度で細胞を播種した。培養培地を、3日毎にリフレッシュした。7日間培養した後、タンパク質およびRNA試料のために細胞をトリプシン処理によって回収した。タンパク質溶解物を調製し、全RNAを各試料から単離した。SDS-PAGE、ウェスタンブロッティングおよびqPCRを、実施例8に記載のように実施した。
【0317】
ステップ3:増殖およびパルボシクリブ回復アッセイにおけるレスキュー
コロニー形成アッセイを実施して、実施例4に記載のように、直接増殖およびパルボシクリブ誘導性細胞周期停止からの回復を評価した。
【0318】
結果:
KAT6Aノックダウンは、ESR1転写物(図12B)およびERαタンパク質(図12A)ならびに細胞増殖(図12C)の有意な減少をもたらした。しかしながら、ESR1の異所性発現は、KAT6A枯渇の存在下で細胞増殖を部分的に復旧させるのに十分なものであった。さらに、ESR1の再発現はまた、KAT6A枯渇と組み合わせた300nMのパルボシクリブによる細胞周期停止からのT47D細胞の回復を部分的に復旧させた(図12D)。これらのデータは、ERαが、単独で、およびパルボシクリブと組み合わせて、T47D細胞のKAT6A媒介性増殖阻害において必須の役割を果たすことを示していた。
【0319】
(実施例10)
パルボシクリブと組み合わせたKAT6低分子阻害剤は、ER+乳がん細胞株の増殖および回復に影響した
低分子KAT6阻害剤を使用する用量滴定処置は、KAT6Aの触媒機能が、ER+乳がん細胞のパルボシクリブ停止からの増殖および回復にとって必要であり、KAT6AのRNAiノックダウンに関して得られた結果を模倣することを示した。
【0320】
材料および方法:
用量滴定処置を、実施例4に記載の増殖およびパルボシクリブ回復コロニー形成アッセイに従って、T47DおよびZR-75-1細胞(ATCC)中で、化合物Cおよび化合物Dを用いて実施した。
【0321】
細胞を、低密度で6ウェル培養皿に播種し、37℃、5%COで一晩付着させた。次の日、増殖セットと同時に、パルボシクリブを300nMの最終濃度で、パルボシクリブ回復のためのセットとして役立つ別のセットのプレートに添加した。増殖プレートと、パルボシクリブ回復プレートとの両方に、DMSOまたはKAT6阻害剤を、増加する用量で各ウェルに添加した。培地およびKAT6阻害剤を、週2回リフレッシュした。DMSO処置されたウェルが集密に達するまで、約2週間の薬物処置にわたって細胞を培養した。処置の終わりに、細胞を、リン酸緩衝溶液で1回洗浄し、固定し、可視化のためにSRBで染色した後、定量した。KAT6阻害剤で同時処置されたパルボシクリブ回復アッセイのために、細胞を、パルボシクリブとKAT6阻害剤との両方で2週間処置した。処置の終わりに、細胞を、完全培地で3回洗浄して、パルボシクリブおよびKAT6阻害剤を除去し、DMSO処置された細胞が少なくとも80%の集密度に達するまで回復させた。ウェルを固定し、可視化のためにSRBで染色した後、定量した。染色を定量するために、染色された細胞を、2mLの10mM Tris-HCl、pH7.5に溶解し、振とう器上で10min振とうした。次いで、試料を10mM Tris-HCl、pH7.5で希釈し、100μLの容量で96ウェルマイクロタイタープレートに移し、565nmでSpetraMax上で読み取った。
【0322】
化合物Cは、単一の薬剤として処置した場合、T47D細胞増殖にとって細胞増殖抑制的であり、約40%の最大増殖低下を達成した(図13A)。しかしながら、化合物Cと、300nMパルボシクリブとの同時処置は、パルボシクリブ誘導性細胞周期停止からの細胞回復の遮断におけるその能力を実質的に増強した。対照的に、化合物Cは、ZR75-1細胞の増殖に対する強力な用量依存的細胞傷害効果を示し、約3.9nMで50%増殖阻害を達成した。ZR75-1細胞を、300nMのパルボシクリブの存在下、増加する濃度の化合物Cで処置した場合、抗増殖効果は有意に増強された(図13B)。同様のT47D細胞に対する細胞増殖抑制効果およびZR75-1に対する細胞傷害効果が、パルボシクリブの非存在下または存在下の化合物Dに関して観察されたが、化合物Cと比較して効力は低かった(図13Cおよび13D)。
【0323】
結果:
パルボシクリブと組み合わせたKAT6低分子阻害剤による処置は、KAT6低分子阻害剤のみを用いた処置と比較して、これらのER+乳がん細胞の増殖阻害における有意に改善された効力を示した。これは、細胞増殖におけるKAT6Aの触媒機能に対する強力な依存性を示している。より重要なことに、これらのKAT6阻害剤は、細胞周期停止からの細胞回復の遮断において、パルボシクリブとの相乗的協働を示した。
【0324】
(実施例11)
KAT6阻害剤処置は、ER+乳がん細胞中のエストロゲン受容体アルファの枯渇をもたらす
低分子KAT6阻害剤を使用する用量滴定処置は、KAT6阻害剤が、ER+乳がん細胞中のERα発現を下方調節することを示し、KAT6AのRNAiノックダウンに関して得られた結果を模倣していた。
【0325】
材料および方法:
用量滴定処置を、T47D細胞(ATCC)中で化合物Cおよび化合物Dを用いて実施した。
【0326】
細胞を、6ウェル培養皿に、ウェルあたり10,000個の細胞で播種し、37℃、5%COで一晩付着させた。次の日、ビヒクル対照としてのDMSOに加えて、化合物Cまたは化合物Dを、増加する濃度でウェルに添加した。細胞を、培地と共に14日間培養し、KAT6阻害剤を週2回(3~4日毎)リフレッシュした。薬物処置の終わりに、100万個の細胞を、タンパク質溶解物のためにトリプシン処理によって収集した。細胞を、還元剤(ThermoFisherカタログ番号NP0009)と共に、4xLDS緩衝剤(ThermoFisherカタログ番号NP0007)から希釈された100μLの1xLDS緩衝剤に溶解した。続いて、溶解物を超音波処理し、NuPAGE 4~12%Bis-Trisゲル(ThermoFisher、カタログ番号NP0321BOX)上にロードした後、電気泳動を行った。次いで、ゲルをニトロセルロース膜(iBlot2、ThermoFisher)上に転移させた。膜をブロックし、以下の抗体:抗ERα(D8H8)ウサギmAb(#8644、Cell Signaling)および抗βアクチン(8H10D10)マウスmAb(Cell Signaling、#3700S)と共に4℃で一晩インキュベートした。次の日、1xTBST(0.1%Tween20を含む)緩衝剤(10倍の10xTris緩衝食塩水(TBS)(BIO-RAD、#1706435)および100倍の10%Tween20(BIO-RAD、#1610781)を希釈することによって調製される)中で徹底的に洗浄した後、ERαのための西洋わさびペルオキシダーゼコンジュゲート抗ウサギ二次抗体(Cell Signaling #7074P2)およびβアクチンのためのHRP結合抗マウスIgG二次抗体(Cell Signaling、#7076)を用いて、膜をブロットした。製造業者の使用説明書に従って増強化学発光(ECL)システム(ThermoScientific)によってバンドを可視化した。続いて、抗βアクチン抗体で探査した膜の一部を、1xTBST+0.1%Tween20で3回洗浄して、ECLを完全に洗浄除去した。次いで、この膜を、振とう器上、室温で2時間、抗サイクリンD1ウサギmAb(Cell Signaling、#2922S)で探査した後、洗浄し、HRP結合抗ウサギ二次抗体(Cell Signaling、#7074P2)で探査した。ECLを実施して、フィルム上のバンドを可視化した。
【0327】
結果:
化合物C(図14A)または化合物D(図14B)による処置は、ERαとサイクリンD1との両方の用量依存的枯渇をもたらし、化合物Cは、化合物Dよりも強力であった。両タンパク質、ESR1およびCCND1(サイクリンD1をコードする)の減少と一致して、qPCRにより測定されたmRNAもまた、化合物Dを用いた処置によって用量依存的減少を示した(図14Cおよび14D)。このデータは、KAT6Aの触媒機能がERα発現の調節にとって必要であることを示し、KAT6Aノックダウンに関して得られた結果を模倣していた。
【0328】
(実施例12)
KAT6阻害剤は、ER+乳がん細胞に対してパルボシクリブと相乗作用した
パルボシクリブと組み合わせたKAT6低分子阻害剤のin vitroでの抗増殖効果を評価した。
【0329】
材料および方法:
以下の細胞株を、ATCC(Manassas、VA)から取得し、元の購入の6カ月以内に作製された凍結保存物から増殖させた:T47D、ZR75-1、MCF7、およびCAMA1。細胞を、供給業者の指針に従って維持した。
【0330】
細胞を、T47D、CAMA1またはMCF7についてはウェルあたり1000個の細胞およびZR75-1についてはウェルあたり2000個の細胞で96ウェルプレート中に播種し、10%FBSおよび1xPen/Strepを含有するRPMI-1640培地中で一晩、付着させた。次の日、プレートを、ある濃度範囲にわたってマトリックス中、化合物C、化合物Eまたはフルベストラント+パルボシクリブで処置した。個々のKAT6阻害剤を、プレートにわたって横方向に、DMSO処置された対照を含む2個のウェルに加えて、希釈系列において合計8用量について、T47D、CAMA1およびMCF7については1000nMから、ならびにZR75-1については250nMから4倍希釈した。フルベストラントを、プレートにわたって横方向に、DMSO対照に加えて、合計8つの点について、T47DおよびCAMA1については100nMから、ならびにZR75-1については300nMから、ならびにMCF7については1.235nMから、3倍希釈した。パルボシクリブを、プレートにわたって縦方向に、DMSO対照に加えて、合計5つの点について、T47D、CAMA1およびZR75-1については500nMから、ならびにMCF7については167nMから、3倍希釈した。培地および化合物を、合計10日間にわたって3日毎にリフレッシュした。
【0331】
処置の終わりに、CyQUANT Direct(ThermoFisher、カタログ番号C35011)を使用して、製造業者のプロトコールに従って核を染色し、Celigo Sイメージングサイトメーター(Nexcelom BioScience)によって、直接細胞計数を行った。化合物で処置されたウェルに由来する細胞計数を、DMSO/DMSO対照ウェル中の細胞計数に対して正規化することによって、増殖阻害のパーセントを算出した。Chalice Bioinformatics Software(Horizon Discovery)を使用して、相乗作用の分析のためのLoewe相加スコア(Loewe、1926)を算出した。相乗作用スコアは、Chaliceソフトウェア(Lehar、2009)中のLoewe相加モデルに従って算出されたExcess Inhibition 2Dマトリックスに由来するものであった。1より大きい値は、組合せの相乗作用を示したが、1より小さい値は、拮抗効果を示した。
【0332】
結果:
化合物Cまたは化合物Eと、パルボシクリブとの併用処置は、T47D、ZR-75-1、CAMA1およびMCF7細胞中で細胞増殖の相乗的阻害を示した(表3)。Loeweの相加(ADD)モデルを使用した組合せデータの分析は、組合せに関して達成された増殖阻害のレベルが相乗的であることを示していた。化合物Cまたは化合物Eと、パルボシクリブとの相乗作用は、T47D、CAMA1またはMCF7細胞中でパルボシクリブ+フルベストラントの組合せに関して観察されたものと同等であり、また、ZR75-1細胞中でも、フルベストラントはパルボシクリブと相乗的ではなかった(表3)。
【0333】
【表3】
【0334】
(実施例13)
KAT6阻害剤は、ER+乳がん細胞に対してフルベストラントと相乗作用した
フルベストラントと組み合わせたKAT6低分子阻害剤のin vitroでの抗増殖効果を評価した。
【0335】
材料および方法:
フルベストラントをパルボシクリブの代わりに使用した以外は、実験設計は、実施例12に提供されたものであった。プレートにわたって横方向に、DMSO処置された対照を含む2個のウェルに加えて、希釈系列において合計8つの用量について、化合物Eを、1000nMから4倍希釈した。フルベストラントを、プレートにわたって縦方向に、DMSO対照に加えて、合計5つの点について、T47D、CAMA1およびZR75-1については100nMから、ならびにMCF7については1.563nMから、4倍希釈した。培地および化合物を、13日間にわたって3日毎にリフレッシュした。
【0336】
処置の終わりに、CyQUANT Direct(ThermoFisher、カタログ番号C35011)を使用して、製造業者のプロトコールに従って核を染色し、Celigo Sイメージングサイトメーター(Nexcelom BioScience)によって、直接細胞計数を行った。化合物で処置されたウェルに由来する細胞計数を、DMSO/DMSO対照ウェル中の細胞計数に対して正規化することによって、増殖阻害のパーセントを算出した。Chalice Bioinformatics Software(Horizon Discovery)を使用して、相乗作用の分析のためのLoewe相加スコア(Loewe、1926)を算出した。相乗作用スコアは、Chaliceソフトウェア(Lehar、2009)中のLoewe相加モデルに従って算出されたExcess Inhibition 2Dマトリックスに由来するものであった。1より大きい値は、組合せの相乗作用を示したが、1より小さい値は、拮抗効果を示した。
【0337】
結果:
化合物Eとフルベストラントとの併用処置は、4つ全ての細胞株、T47D、ZR-75-1、CAMA1およびMCF7の増殖の阻害において相乗効果を示した(表3)。
【0338】
(実施例14)
KAT6阻害剤は、ER+乳がん細胞に対して選択的CDK4阻害剤と相乗作用した
選択的CDK4阻害剤である化合物Fと組み合わせたKAT6低分子阻害剤のin vitroでの抗増殖効果を評価した。
【0339】
材料および方法:
実施例12の手順に従って、細胞を、T47D、CAMA1またはMCF7についてはウェルあたり1000個の細胞およびZR75-1についてはウェルあたり2000個の細胞で96ウェルプレート中に播種し、10%FBSおよび1xPen/Strepを含有するRPMI-1640培地中で一晩、付着させた。次の日、プレートを、ある濃度範囲にわたってマトリックス中、フルベストラント、化合物Cまたは化合物E+化合物Fで処置した。個々のKAT6阻害剤を、プレートにわたって横方向に、DMSO処置された対照を含む2個のウェルに加えて、希釈系列において合計8用量について、T47D、CAMA1およびMCF7については1000nMから、ならびにZR75-1については250nMから4倍希釈した。フルベストラントを、プレートにわたって横方向に、DMSO対照に加えて、合計8つの点について、ZR75-1については300nMから、T47DおよびCAMA1については100nMから、ならびに、MCF7については1.235nMから、3倍希釈した。化合物Fを、プレートにわたって縦方向に、DMSO対照に加えて、合計5つの点について、T47D、CAMA1およびZR75-1については500nMから、ならびにMCF7については167nMから、3倍希釈した。
【0340】
培地および化合物を、10日間にわたって3日毎にリフレッシュした。処置の終わりに、CyQUANT Direct(ThermoFisher、カタログ番号C35011)を使用して、製造業者のプロトコールに従って核を染色し、Celigo Sイメージングサイトメーター(Nexcelom BioScience)によって、直接細胞計数を行った。化合物で処置されたウェルに由来する細胞計数を、DMSO/DMSO対照ウェル中の細胞計数に対して正規化することによって、増殖阻害のパーセントを算出した。Chalice Bioinformatics Software(Horizon Discovery)を使用して、相乗作用の分析のためのLoewe相加スコア(Loewe、1926)を算出した。相乗作用スコア(表4)は、Chaliceソフトウェア(Lehar、2009)中のLoewe相加モデルに従って算出されたExcess Inhibition 2Dマトリックスに由来するものであった。1より大きい値は、組合せの相乗作用を示したが、1より小さい値は、拮抗効果を示した。
【0341】
結果:
化合物Cまたは化合物Eと、選択的CDK4阻害剤である化合物Fとの併用処置は、T47D、ZR-75-1、CAMA1およびMCF7細胞の細胞増殖を相乗的に阻害した(表4)。
【0342】
【表4】
【0343】
(実施例15)
KAT6阻害剤とパルボシクリブとの組合せは、ER+乳がん細胞中でESR1突然変異から生じる耐性メカニズムを克服した
ESR1転写およびER依存的遺伝子の直接阻害を精査して、単一の薬剤としての、またはパルボシクリブと組み合わせたKAT6阻害剤が、内分泌療法に対する主な耐性メカニズムであるエストロゲン受容体アルファ(ERα)中の突然変異を克服するかどうかを決定した。
【0344】
材料および方法:
CRISPR/CAS9による遺伝子編集を使用して、臨床的に関連するESR1突然変異Y537SおよびD538Gを個別に、および一緒に、T47D細胞(ATCC)中のその天然プロモーターの下で内因性ESR1遺伝子中に導入した。
【0345】
ステップ3:in vitroでの薬物処置におけるT47D ESR1突然変異体クローンの特性評価
それぞれの突然変異体クローンを、フルベストラントおよびKAT6阻害剤に対するその応答によって評価した(表5)。Y537S、D538G、またはY537S/D538Gを有するクローンは、親細胞株と比較して、細胞増殖IC50において、それぞれ3~17倍、3~11倍および22~100倍高い、フルベストラントに対する耐性を示した(図15Aおよび15B)。対照的に、Y537S、D538G、またはY537S/D538G突然変異を有するクローンは、親細胞株と比較した場合、パルボシクリブに対する同等の感受性を示し(図15Aおよび15B)、KAT6阻害剤である化合物C(図15A)または化合物D(図15B)に対する増強された感受性を示した。さらに、これらの突然変異体クローンは、化合物Cと組み合わせたパルボシクリブ(図15A)および化合物Dと組み合わせたパルボシクリブ(図15B)に対する感受性を保持していた。
【0346】
【表5】
【0347】
結果:
上で精査したESR1突然変異を有するT47D細胞は、フルベストラントに対する低い感受性を示したが、T47D親細胞と同様、in vitroで単一の薬剤としての、およびパルボシクリブと組み合わせた、KAT6阻害剤に対する感受性を依然として保持していた。これらの結果は、単一の薬剤としての、およびパルボシクリブと組み合わせたKAT6阻害剤が、ESR1突然変異によって生じる耐性のメカニズムを克服したことを示す。
【0348】
(実施例16)
KAT6阻害剤は、臨床的に関連するESR1突然変異を有するER+乳がん細胞に対するパルボシクリブと相乗作用した
パルボシクリブ併用試験を実施して、臨床的に関連するESR1突然変異のノックインが、ER+乳がん細胞中でKAT6阻害剤とパルボシクリブとの相乗作用を変更するかどうかを決定した。
【0349】
材料および方法:
ESR1突然変異体クローン(Y537S、D538Gおよび二重Y537S_D538G)を用いたパルボシクリブ併用試験を実施して、実施例12に記載のように、パルボシクリブとKAT6阻害剤との相乗作用を評価した。
【0350】
96ウェルプレート中に、ウェルあたり1000個の細胞で細胞を播種し、10%FBSおよび1xPen/Strepを含有するRPMI-1640培地中で一晩付着させた。次の日、プレートを、ある濃度範囲にわたってマトリックス中、フルベストラント、化合物Cまたは化合物E+パルボシクリブで処置した。プレートにわたって横方向に、DMSO処置された対照を含む2個のウェルに加えて、希釈系列において合計8つの用量について、それぞれのKAT6阻害剤を、1000nMから4倍希釈した。プレートにわたって横方向に、DMSO対照に加えて、合計8つの点について、フルベストラントを100nMから3倍希釈した。プレートにわたって縦方向に、DMSO対照に加えて、合計5つの点について、パルボシクリブを500nMから3倍希釈した。培地および化合物を、合計10日間にわたって3日毎にリフレッシュした。
【0351】
処置の終わりに、CyQUANT Direct(ThermoFisher、カタログ番号C35011)を使用して、製造業者のプロトコールに従って核を染色し、Celigo Sイメージングサイトメーター(Nexcelom BioScience)によって、直接細胞計数を行った。化合物で処置されたウェルに由来する細胞計数を、DMSO/DMSO対照ウェル中の細胞計数に対して正規化することによって、増殖阻害のパーセントを算出した。Chalice Bioinformatics Software(Horizon Discovery)を使用して、相乗作用の分析のためのLoewe相加スコア(Loewe、1926)を算出した。相乗作用スコアは、Chaliceソフトウェア(Lehar、2009)中のLoewe相加モデルに従って算出されたExcess Inhibition 2Dマトリックスに由来するものであった。1より大きい値は、組合せの相乗作用を示したが、1より小さい値は、拮抗効果を示した。
【0352】
結果:
突然変異体クローンのフルベストラントに対する感受性の低下のため、親野生型と比較した場合、フルベストラントとパルボシクリブとの相乗作用の低下があった。しかしながら、ESR1突然変異は、相乗作用スコアによって示されるように、パルボシクリブとKAT6阻害剤との相乗作用に影響しなかった(表6)。
【0353】
これらのデータは、パルボシクリブと組み合わせたKAT6阻害剤が、乳がんの処置のための内分泌療法に対する臨床的に関連する耐性を克服するためのメカニズムを提供することを示していた。
【0354】
【表6】
【0355】
(実施例17)
ER+乳がん細胞中でパルボシクリブによって下方調節されるESR1発現
KAT6阻害剤とパルボシクリブとの相乗作用の基礎となる分子メカニズムである、ESR1遺伝子発現をさらに精査した。
【0356】
材料および方法:
実施例6および7に記載されたように、遺伝子発現プロファイリング試験を、マイクロアレイ(図16A)およびRNA-Seq(図16B)によってT47D細胞中で実施した。
【0357】
T47D(ATCC)およびMCF7細胞を、単一の薬剤としての、および化合物Cと組み合わせたパルボシクリブで別々に処置した。細胞を、6ウェル培養プレート中に播種し、37℃、5%COで一晩付着させた。次の日、パルボシクリブを、DMSOまたは20nMの化合物Cと共に、500nMで培養培地に添加した。培地を3日毎にリフレッシュした。処置の3、6および8日目に、細胞を、タンパク質およびRNA溶解物のために回収した。
【0358】
タンパク質試料を、SDS-PAGE電気泳動およびウェスタンブロッティングにかけて、ホスホ-Rb(Ser780)(Cell Signalingカタログ番号9307S)、Rb(Cell Signalingカタログ番号9309S)、ERα(Cell Signalingカタログ番号2922S)、およびβ-アクチン(Cell Signalingカタログ番号3700)について探査した。
【0359】
結果:
パルボシクリブは、3つ全ての時点で、両細胞株においてRbタンパク質のリン酸化を効率的に抑制した(図16C)。さらに、マイクロアレイまたはRNA-Seqによる遺伝子プロファイリング試験と一致して、パルボシクリブ処置は、3日目から8日目までERαタンパク質レベルの徐々の低下をもたらし、その減少は、両細胞株において処置の8日後に約50%に達した。
【0360】
パルボシクリブと化合物Cとの併用処置は、ERαレベルの有意な減少をもたらした(図16C)。ERαタンパク質の低下は、qPCRによって測定された場合、ESR1 mRNAレベルの低下と一致していた(図16D)。
【0361】
結果は、単一の薬剤としてのパルボシクリブによる、および単一の薬剤としてのKAT6阻害剤によるESR1 mRNAの減少を示し、KAT6阻害剤がより大きな減少を示した。KAT6阻害剤と組み合わせたパルボシクリブは、ESR1転写物の顕著な減少を示し(図16A)、その相乗的抗腫瘍併用活性と相関していた。
【0362】
(実施例18)
KAT6阻害剤は、ER+乳がん患者由来異種移植(PDX)モデルにおいてパルボシクリブおよびフルベストラントとのin vivoでの併用利益を示した
in vivo試験を2つの臨床的に関連する、ER+乳がんの患者由来異種移植(PDX)モデルにおいて実施して、KAT6阻害剤が、パルボシクリブおよびフルベストラントと組み合わせて使用した場合にさらなる抗腫瘍効能利益を提供するかどうかを決定した。
【0363】
材料および方法:
パルボシクリブ、フルベストラントおよびKAT6阻害剤である化合物E(KAT6i)との併用試験を、2つのER+乳がんPDXモデル:ST340およびST941において実施した。ST340は、ESR1に関して野生型であった。ST941は、診療所における内分泌療法に対する耐性と関連する、ESR1のリガンド結合ドメイン(LBD)中の活性化突然変異Y537Sを有していた。両試験を、XenoSTART(San Antonio、Texas)によって行い、そこでは、6~12週齢のメスの無胸腺ヌードマウス(JAX、ストック番号007850)に、約70mgの腫瘍断片を皮下的に埋め込んだ。動物に、試験期間を通じて、飲料水を介して自由裁量で外因性エストラジオールを補給した。腫瘍測定値および動物の体重を、週2回捕捉し、平均腫瘍体積(TV、式:幅x長さx0.5)が150~300mmに達した時、動物を階層化し、試験に登録した。
【0364】
それぞれの試験は、1群あたりn=10匹の動物の8つの処置群を含んでいた。群は以下の通りである:1)ビヒクル(5%DMSO/40%PEG300/55%1xPBS)、2)化合物E、3)パルボシクリブ、4)フルベストラント、5)パルボシクリブ+フルベストラント、6)化合物E+フルベストラント、7)化合物E+パルボシクリブ、および8)化合物E+パルボシクリブ+フルベストラント。用量レベル、経路、およびレジメンに関する群の詳細は、表7に列挙される。化合物および製剤の詳細は、表8に列挙される。各群の平均腫瘍体積が約1500mmに達するまで、動物は試験に留まり、処置を継続した。その点で、最終用量を投与し、動物を犠牲にし、最終試料を収集した。血液微量試料を、投薬の14日目および再度、投薬の最終日に、0、3および7時間(n=3/時点)で薬物動態(PK)分析のために各群から収集した。
【0365】
それぞれ、ST340およびST941について21日目および17日目に、腫瘍増殖阻害(TGI)をビヒクル群との関連で算出した。TGIデルタ=1-(処置-処置)/(参照-参照)。共分散分析(ANCOVA)を使用して、群間のTGIパーセントを比較した場合の統計的有意性を決定した。体重の変化を、試験開始時(処置の0日目)の出発体重との関連で算出した。
【0366】
【表7】
【0367】
【表8】
【0368】
結果:
TGI分析は、フルベストラントのみが、ビヒクルと比較して約20%の増殖阻害をもたらし、ST340またはST941中では有意でないことを示したが(表9、表12)、これは、このモデルがER拮抗作用に対して大まかに非感受性であったことを示している。HER2阻害剤で以前に処置されたことがある患者を起源とするST340、およびST941は、ESR1活性化突然変異を含有していたため、フルベストラントに対する応答の欠如は、これらのモデルの以前の分子特性と合致していた。両モデルとも、パルボシクリブによるCDK4/6阻害に対して中程度にのみ応答性であり、ビヒクルと比較して、約40%のTGIをもたらした。化合物Eを用いた単剤処置の効果も中程度であり、ST941(35%、表12)よりもST340(55%、表9)においてわずかにより良好な効能が見られた。
【0369】
3つの薬剤はそれぞれ、単一の薬剤として使用した場合、低い効能から中程度の効能しか示さなかったが、併用群においては、より高い腫瘍増殖阻害および増殖遅延が観察された(図17A図18A)。二重コンボ群のうち、化合物E+パルボシクリブは、最も強力な抗腫瘍効果を有し、それぞれ、ST340およびST941において75%および67%nTGIをもたらした(表9、表12)。両試験はまた、化合物E(KAT6i)+フルベストラントが、最も効果が低い組合せであり、フルベストラントがいずれかのモデルにおいて多くのさらなる効能を駆動しないことを示した(図17A図18A)。しかしながら、フルベストラントを、化合物E+パルボシクリブ+フルベストラントの3重の組合せの一部として投与した場合、効能はさらに増強され、これは、ST340における78%の阻害およびST941における72%の阻害の最も強力な抗腫瘍効能を示していた。3重コンボは優れていたが、それは、化合物E+パルボシクリブまたはパルボシクリブ+フルベストラントと比較した場合、統計的有意性に達しなかった(表10、表13)。
【0370】
両試験における健康および体重モニタリングは、平均体重減少は、いずれの処置群においても10%を超えないことを示していた(図17B図18B、表11、表14)。化合物E、パルボシクリブ、およびフルベストラントの全ての組合せが良好に忍容され、薬物関連死は観察されなかった。全体として、これらの結果は、KAT6阻害剤、化合物Eとの併用処置が、ERまたはCDK4/6阻害に対して相対的に耐性であるモデルにおいて、ビヒクルと比較して、および単剤標準治療と比較して、忍容され、ならびに有効であることを示していた。
【0371】
【表9】
【0372】
【表10】
【0373】
【表11】
【0374】
【表12】
【0375】
【表13】
【0376】
【表14】
図1-1】
図1-2】
図2
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図3-2】
図4
図5
図6
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図7-2】
図8-1】
図8-2】
図9
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図11-2】
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図16-3】
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図17-2】
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図18-2】
【外国語明細書】