(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022019665
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】液晶媒体
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20220120BHJP
C09K 19/30 20060101ALI20220120BHJP
C09K 19/54 20060101ALI20220120BHJP
G02F 1/139 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
G02F1/13 505
C09K19/30
C09K19/54 B
G02F1/13 500
G02F1/139
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021117126
(22)【出願日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】20186240
(32)【優先日】2020-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】593033142
【氏名又は名称】メルク・パテント・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent GmbH
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250, 64293 Darmstadt
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フーヨン リー
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンジン ユン
【テーマコード(参考)】
2H088
4H027
【Fターム(参考)】
2H088EA34
2H088GA13
2H088GA17
2H088HA01
2H088HA15
2H088HA18
2H088JA06
2H088JA10
2H088KA06
2H088KA20
2H088KA27
4H027BB03
4H027BB04
4H027BD02
4H027BD07
4H027BD11
4H027BE04
4H027BE05
4H027CA05
4H027CM01
4H027CM05
4H027CT01
4H027CT02
4H027CT05
4H027CU01
4H027CW01
4H027CW02
4H027CX01
4H027DP05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】光の通過を調節するための汎用的で適応性のあるデバイス、特に切り替え可能な窓、およびそのようなデバイスの製造および動作に有用な液晶媒体の提供。
【解決手段】第1の透明基板と第2の透明基板との間に介在する切り替え可能な層を含む切り替え可能な光学セルを提供するステップであって、切り替え可能な層が、負の誘電異方性、115℃以上の透明点および0.10以下の光学異方性Δnを有する液晶媒体を含むステップと、切り替え可能な光学セルを第3の基板に積層するステップとを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓要素を製造するための方法であって、
- 第1の透明基板と第2の透明基板との間に介在する切り替え可能な層を含む切り替え可能な光学セルを提供するステップであって、前記切り替え可能な層が、負の誘電異方性、115℃以上の透明点および0.10以下の光学異方性Δnを有する液晶媒体を含む、ステップと、
- 前記切り替え可能な光学セルを第3の基板に積層するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記積層中に、110℃以上の温度への加熱を実施する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の方法を実施することによって得られる、またはそれによって得ることが可能な、窓要素。
【請求項4】
- 第1の透明基板、
- 切り替え可能な層、および
- 第2の透明基板、
をこの順序で含む層構造を有する切り替え可能な光学セルを含む、窓要素であって、ここで、
前記切り替え可能な層が、負の誘電異方性、115℃以上の透明点および0.10以下の光学異方性Δnを有する液晶媒体を含む、
窓要素。
【請求項5】
前記切り替え可能な光学セルが、第3の基板に積層されている、窓要素。
【請求項6】
前記第1の透明基板および前記第2の透明基板がプラスチック製であり、前記第3の基板がガラス製であり、好ましくは前記第3の基板が湾曲している、請求項3または5記載の窓要素。
【請求項7】
前記切り替え可能な光学セルが、1つ以上の偏光子層および任意選択的に1つ以上の光学遅延層をさらに含む、請求項3から6までのいずれか1項記載の窓要素。
【請求項8】
前記切り替え可能な光学セルが、電気的に切り替え可能であり、電界の存在下で、前記切り替え可能な層が、ねじれ構成または超ねじれ構成を有する、請求項3から7までのいずれか1項記載の窓要素。
【請求項9】
負の誘電異方性、115℃以上の透明点および0.10以下の光学異方性Δnを有し、
式IIA:
【化1】
の1つ以上の化合物を含む、液晶媒体であって、ここで、
R
2Aが、Hを表すか、15個までのC原子を有するアルキルまたはアルケニル基(これは、非置換であるか、CNもしくはCF
3によって一置換されているか、または少なくともハロゲンによって一置換されており、ここで、さらに、これらの基の1つ以上のCH
2基が、O原子が互いに直接結合しないように、-O-、-S-、
【化2】
、-C≡C-、-CF
2O-、-OCF
2-、-OC-O-または-O-CO-によって置き換えられていてもよい)を表し、
L
1およびL
2が、それぞれ互いに独立して、F、Cl、CF
3またはCHF
2を表し、
Yが、H、F、Cl、CF
3、CHF
2またはCH
3を表し、
Z
2が、単結合、-CH
2CH
2-、-CH=CH-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CH
2O-、-OCH
2-、-COO-、-OCO-、-C
2F
4-、-CF=CF-または-CH=CHCH
2O-を表し、
pが、0、1または2を表し、
vが、1~7を表す、
液晶媒体。
【請求項10】
式IIA-1およびIIA-2:
【化3】
の化合物の群から選択される1つ以上の化合物を含み、ここで、
アルキルおよびアルキル
*が、それぞれ互いに独立して、1~7個のC原子を有する直鎖アルキル基を表す、
請求項9記載の媒体。
【請求項11】
式V:
【化4】
の1つ以上の化合物を含み、ここで、
R
51およびR
52が、それぞれ独立して、請求項9記載のR
2Aについて示されている意味のうちの1つを有し、
【化5】
が、同一にまたは異なって、
【化6】
を表し、
Z
51、Z
52が、それぞれ互いに独立して、-CH
2-CH
2-、-CH
2-O-、-CH=CH-、-C≡C-、-COO-または単結合を表し、
nが、1または2である、
請求項9または10記載の媒体。
【請求項12】
式V-1:
【化7】
の1つ以上の化合物を含み、ここで、
R
1およびR
2が、それぞれ互いに独立して、請求項9記載のR
2Aについて示されている意味のうちの1つを有する、
請求項9から11までのいずれか1項記載の媒体。
【請求項13】
前記媒体がキラルドーパントを含む、請求項9から12までのいずれか1項記載の媒体。
【請求項14】
前記媒体が、二色性染料を含有しておらず、ならびに/または式:
【化8】
および
【化9】
の化合物を含有しておらず、ここで、
nおよびmが、それぞれ互いに独立して、1~7を表す、
請求項9から13までのいずれか1項記載の媒体。
【請求項15】
建物または車両の窓における、請求項3から8までのいずれか1項記載の窓要素の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本明細書で指定されるような負の誘電異方性および高い透明点を有する液晶媒体、ならびに窓要素、特に積層された窓要素の切り替え可能な光学セルにおける該媒体の使用に関する。
【0002】
光の透過を制御または変調するためのデバイスは、ディスプレイ用途で一般的に使用されているが、例えば、いわゆるスマートウィンドウ用途でも使用され得る。R. Baetens等は、“Properties, requirements and possibilities of smart windows for dynamic daylight and solar energy control in buildings:A state-of-the-art review”, Solar Energy Materials & Solar Cells, 94 (2010) 87~105頁で、さまざまな動的スマートウィンドウについて論じている。そこに記載されているように、スマートウィンドウには、エレクトロクロミズムに基づくデバイス、液晶デバイス、および電気泳動デバイスまたは浮遊粒子デバイスのような、光の透過率を変調するためのいくつかの技術が利用され得る。
【0003】
光シャッターおよび光強度変調器、特に液晶ベースの光変調器は、建築、自動車、鉄道、航空および船舶の用途の切り替え可能な窓に使用することができる。
【0004】
そのようなデバイスでは、光の透過を可逆的に変化させることができ、入射光の強度を、減衰、減光または着色することができる。したがって、これらのデバイスは、明るい状態と暗い状態との間、すなわち、比較的高い光透過率の状態と比較的低い光透過率の状態との間で動作および切り替えすることができる。
【0005】
液晶ベースのデバイスにおける異なる光学的状態間での切り替えも熱的に制御され得るが、多くの場合、電圧の印加によって切り替えを制御する電気的な切り替えを使用してデバイスが異なる光学的状態を取ることが有利かつ適切に好ましい。そのような液晶ベースのデバイスは、原理的には、電界の印加による2つの導電性電極間の液晶(LC)分子の配向変化を利用し、それによって、透過率を変化させる。
【0006】
原理的には、そのような可逆的な透過率の変化をもたらすために、いくつかのモードまたは構成が利用され得る。ねじれネマチック(TN)、超ねじれネマチック(STN)および垂直配向(VA)液晶セルの場合、一般的には、偏光子が、光の透過を制御するために使用される。二色性染料分子がドープされた液晶ホストに基づくゲストホスト液晶セルを使用することも可能である。これらのゲストホスト系は、偏光子なしで使用されて、光の透過率を変化させることができる。しかしながら、いくつかの実施形態および用途では、ゲストホスト液晶セルはまた、少なくとも1つの偏光子と組み合わせて使用される。
【0007】
国際公開第2015/090506号および国際公開第2017/118464号には、光の通過を調節するためのデバイスにおける、負の誘電異方性を有する二色性染料ドープ液晶媒体の使用が記載されている。
【0008】
国際公開第2017/118465号には、二色性染料ドープ液晶媒体を含み、かつ切り替え状態のうちの1つにおいてねじれ構成を有する切り替え可能な層を含む、部屋への光の侵入を調節するためのデバイスが記載されている。
【0009】
光の通過を調節するための汎用的で適応性のあるデバイス、特に切り替え可能な窓、およびそのようなデバイスの製造および動作に有用な液晶媒体が、当技術分野において依然として必要とされている。
【0010】
したがって、本発明の課題は、例えば安定性および信頼性の点で、切り替え可能なデバイスの製造および動作中に有利な性能を有し、かつ切り替え可能なデバイスの電気光学特性の点でさらなる利益をもたらし得る、液晶媒体を提供することである。
【0011】
本発明のさらなる課題は、異なる設定で設置可能であり、かつ所望の電気光学性能をもたらしながら厳しい作業条件下でも使用可能であるという点で汎用性かつ適応性のある、切り替え可能なデバイス、特に切り替え可能な窓要素、殊に積層された窓要素を提供することである。そのようなデバイスを製造するための効率的かつ単純な方法を提供することが別の課題である。本発明のさらなる課題は、以下の詳細な説明から当業者には直ちに明らかである。
【0012】
これらの課題は、独立請求項に定義されている主題によって解決され、好ましい実施形態は、それぞれの従属請求項に記載されており、以下でさらに説明される。
【0013】
本発明には、特に、主な態様、好ましい実施形態および特定の特徴を含む以下の項目が記載されており、これらは、それぞれ単独および組み合わせで、上記の課題の解決に寄与し、最終的にさらなる利点をもたらす。
【0014】
本発明の第1の態様は、
- 第1の透明基板、
- 切り替え可能な層、および
- 第2の透明基板、
をこの順序で含む層構造を有する切り替え可能な光学セルを含む、窓要素であって、ここで、
切り替え可能な層が、負の誘電異方性、115℃以上の透明点および0.10以下の光学異方性Δnを有する液晶媒体を含む、
窓要素を提供する。
【0015】
切り替え可能な光学セルは、光を変調するために使用され、好ましくは、かつ有利には、間隔を空けた、電極を備える2つの壁、特に2つの透明基板で形成されたセルとして構成されており、このセルは、光変調材料を含有している。
【0016】
代替的な実施形態では、両方の基板に電極を装着する代わりに、一方の基板に2つの電極構造を装着してもよく、他方の基板には電極は装着されない。
【0017】
本発明では、安全で信頼できる性能をもたらしながら異なる設定および異なる環境条件下で使用することができる切り替え可能なデバイス、特に切り替え可能な窓要素を提供することが所望であり得ると認識された。
【0018】
指定された液晶媒体を切り替え可能な層に提供することによって、特に、明るい状態および暗い状態、これらの状態の間の達成可能なコントラスト、ならびに視野角依存性に関して、高温でも、好ましい光学的および電気光学的性能を得ることができる。高温でもそのように安定している機能的挙動は、例えば、窓要素が日射に直接的に長時間曝される場合に有益であり得る。
【0019】
本発明によると、切り替え可能な光学セルが、第3の基板に積層されていることが好ましい。
【0020】
ここでは、本明細書で指定されるような切り替え可能な光学セルを積層構造に組み込むことが有益であり得ると認識されていた。特に、そのような複合構造は、例えば、薄い基板とより厚い基板とを、および/またはプラスチック製の基板とガラス基板とを組み合わせることによって、切り替え可能なデバイスの汎用性および適用性を有利に高めることができる。このようにして、例えば、重量、強度ならびに利用できる外形および幾何学的形状に関する利益を達成することができる。
【0021】
驚くべきことに、ここで提供される材料、特に液晶媒体は、高温および高圧のような典型的な積層条件に有利に適応できることが見出された。
【0022】
したがって、本発明のさらなる態様では、第1の透明基板と第2の透明基板との間の切り替え可能な層中に配置された本明細書で指定される液晶媒体を含有する切り替え可能な光学セルを提供するステップと、切り替え可能な光学セルを第3の基板に積層するステップとを含む、窓要素を製造する方法が提供される。
【0023】
別の態様は、本発明による方法を実施することによって得られる、またはそれによって得ることが可能な窓要素に関する。
【0024】
本発明のさらなる態様は、負の誘電異方性、115℃以上の透明点および0.10以下の光学異方性Δnを有し、かつ式IIA:
【化1】
の1つ以上の化合物を含む、液晶媒体であって、
R
2Aが、Hを表すか、15個までのC原子を有するアルキルまたはアルケニル基(これは、非置換であるか、CNもしくはCF
3によって一置換されているか、または少なくともハロゲンによって一置換されており、ここで、さらに、これらの基の1つ以上のCH
2基が、O原子が互いに直接結合しないように、-O-、-S-、
【化2】
、-C≡C-、-CF
2O-、-OCF
2-、-OC-O-または-O-CO-によって置き換えられていてもよい)を表し、
L
1およびL
2が、それぞれ互いに独立して、F、Cl、CF
3またはCHF
2、好ましくはFを表し、
Yが、H、F、Cl、CF
3、CHF
2またはCH
3、好ましくはHまたはCH
3、特に好ましくはHを表し、
Z
2が、単結合、-CH
2CH
2-、-CH=CH-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CH
2O-、-OCH
2-、-COO-、-OCO-、-C
2F
4-、-CF=CF-または-CH=CHCH
2O-、好ましくは単結合を表し、
pが、0、1または2を表し、
(O)C
vH
2v+1が、OC
vH
2v+1またはC
vH
2v+1を表し、
vが、1~7を表す、
液晶媒体を提供する。
【0025】
本明細書で指定される化合物を含有するここで提供される液晶媒体は、負の誘電異方性を、具体的に設定および制限される光学異方性Δnと一緒に定義される適切に高い透明点と有利に組み合わせる。
【0026】
驚くべきことに、ここで提供される液晶媒体は、高温および低温でも機能性、信頼性および安定性を呈しながら、例えば、達成可能なコントラストおよび視角依存性の観点で、有利な電気光学性能を得ることに有利に寄与し得ると見出された。デバイスの長期動作におけるこれらの利益に加えて、この媒体は、デバイスの製造プロセスを有利にさらに単純化することができ、特に、積層プロセスに適した性能を有する。
【0027】
したがって、本発明によって提供される液晶媒体の好ましい化学的および物理的特性は、デバイスの性能および特性、ならびにデバイスの製造プロセスにおいてかなりの利益をもたらし得る。
【0028】
好ましくは、本明細書に記載されている液晶媒体は、スイッチング層中に配置されて使用される。したがって、スイッチング層は、媒体を含み、好ましくはこれからなる。スイッチング層は、電気的に切り替え可能かつ光学的に明るい状態および暗い状態で動作可能なスイッチング素子をもたらすように、2つの基板の間に配置される。好ましくは、電極は、各基板の内面上またはその上方に導電層として配置される。
【0029】
本発明の別の態様は、建物または車両の窓における、例えば、サンルーフもしくはサイドウィンドウまたは同様に自動車用ミラーにおける、本発明による窓要素の使用に関する。
【0030】
本発明によると、自動車用途、例えば、車および商用車のための、ならびに、電車、飛行機、船舶およびボートのような他の輸送用途のための、ならびに、例えば、外面の窓のみならず部屋の内部における、例えば、部屋間の仕切り壁における、および部屋またはスペースの個々の区画を分離するための要素における建築用途のための、切り替え可能な窓に使用することができる有利な切り替え要素が提供される。
【0031】
これらのデバイスは、電圧を印加することによって状態を都合よく切り替えることができる。さらに、切り替えは、特に数秒のオーダーで、さらには1秒以下でさえあり、高速であり得る。
【0032】
本発明によるスイッチング要素、特に窓要素は、光の通過、特に太陽光の通過のみならず、ランプおよび照明器具のような人工光源からの光の通過を調節または変調するのに有用である。
【0033】
それによって本発明を限定することなく、以下では、本発明を、態様、実施形態および特定の特徴を詳細に説明することによって説明し、特定の実施形態をより詳細に説明する。
【0034】
本明細書では、ハロゲンは、F、Cl、BrまたはI、好ましくはFまたはCl、より好ましくはFを表す。
【0035】
本明細書では、アルキル基および/またはアルコキシ基は、直鎖または分岐アルキルを意味すると解釈される。これは、好ましくは直鎖であり、2個、3個、4個、5個、6個または7個のC原子を有し、したがって、好ましくは、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシまたはヘプチルオキシ、さらに、メチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、メトキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシまたはテトラデシルオキシを表す。
【0036】
本明細書では、オキサアルキルは、好ましくは、直鎖の2-オキサプロピル(=メトキシメチル)、2-(=エトキシメチル)または3-オキサブチル(=2-メトキシエチル)、2-、3-または4-オキサペンチル、2-、3-、4-または5-オキサヘキシル、2-、3-、4-、5-または6-オキサヘプチル、2-、3-、4-、5-、6-または7-オキサオクチル、2-、3-、4-、5-、6-、7-または8-オキサノニル、2-、3-、4-、5-、6-、7-、8-または9-オキサデシルを表す。
【0037】
本明細書では、アルケニル、すなわち、1つのCH2基が-CH=CH-によって置き換えられたアルキル基は、直鎖または分枝であり得る。これは、好ましくは直鎖であり、2~10個のC原子を有する。したがって、これは、特に、ビニル、プロパ-1-または-2-エニル、ブタ-1-、-2-または-3-エニル、ペンタ-1-、-2-、-3-または-4-エニル、ヘキサ-1-、-2-、-3-、-4-または-5-エニル、ヘプタ-1-、-2-、-3-、-4-、-5-または-6-エニル、オクタ-1-、-2-、-3-、-4-、-5-、-6-または-7-エニル、ノナ-1-、-2-、-3-、-4-、-5-、-6-、-7-または-8-エニル、デカ-1-、-2-、-3-、-4-、-5-、-6-、-7-、-8-または-9-エニルを表す。
【0038】
本明細書では、ハロゲンによって少なくとも一置換されたアルキルまたはアルケニル基は、好ましくは直鎖であり、ハロゲンは、好ましくはFまたはClである。多置換の場合、ハロゲンは、好ましくはFである。得られる基はまた、過フッ素化基も含む。一置換の場合、フッ素または塩素置換基は、任意の所望の位置にあり得るが、好ましくはω位置にある。
【0039】
本明細書では、1個、2個もしくは3個のC原子を有する一フッ素化もしくは多フッ素化アルキルもしくはアルコキシ基、または2個もしくは3個のC原子を有する一フッ素化もしくは多フッ素化アルケニル基は、特に好ましくは、F、Cl、CF3、CHF2、OCF3、OCHF2、OCFHCF3、OCFHCHF2、OCFHCHF2、OCF2CH3、OCF2CHF2、OCF2CHF2、OCF2CF2CHF2、OCF2CF2CHF2、OCFHCF2CF3、OCFHCF2CHF2、OCF2CF2CF3、OCF2CF2CClF2、OCClFCF2CF3、OCH=CF2またはCH=CF2、非常に特に好ましくは、FまたはOCF3、さらに、CF3、OCF=CF2、OCHF2またはOCH=CF2である。
【0040】
本明細書では、1,4-シクロヘキシレン環および1,4-フェニレン環は、以下のように示される:
【化3】
【0041】
シクロヘキシレン環は、トランス-1,4-シクロヘキシレン環である。
【0042】
負の誘電異方性を有する液晶媒体、特に、いわゆる液晶ホストは、例えば垂直配向(VA)モードのディスプレイで広く使用されている(Handbook of Liquid Crystals (編者J. W. Goodby, C. Tschierske, P. Raynes, H. Gleeson, T. KatoおよびP. J. Collings). doi:10.1002/9783527671403.hlc126のSong, J. (2014). Vertical alignment Liquid Crystal mode.)。適切な媒体は、例えば、米国特許出願公開第20030071244号明細書または米国特許出願公開第20100134751号明細書のような文献に十分に記載されている。
【0043】
本発明によると、本明細書に記載されている切り替え可能な光学セルを第3の基板に積層する方法が提供される。さらなる実施形態では、切り替え可能な光学セルを第3の基板および第4の基板に積層することも可能である。
【0044】
この積層プロセスでは、複数の層を含む複合材料が組み立てられる。ガラスのような同一の材料を組み合わせることも可能であるが、異なる材料、例えば、プラスチックフィルムおよびガラスシートを使用することも可能である。積層された製品は、例えば、改善された強度、安定性または外観の点で好ましい特性を呈する。
【0045】
特に、切り替え可能な光学セルは、典型的には、切り替え可能な光学デバイスの保護および機械的剛性のために、基板、好ましくは担体ガラスシートに積層される。この積層プロセスでは、基板、好ましくはガラスシートは、熱可塑性中間層によって、切り替え可能な光学セルの基板に結合される。積層プロセスでは、中間層は、切り替え可能な光学セルの第1または第2の基板と、第3の基板、好ましくは担体ガラスシートとの間に配置される。熱および/または高圧の適用を通常伴うその後の処理で、第3の基板、中間層および切り替え可能な光学セルが結合される。
【0046】
本方法の一実施形態では、110℃以上の温度への加熱を積層中に実施する。
【0047】
典型的なプロセス条件は12barまでの圧力を含み得て、120℃~140℃前後の温度さえ使用され得る。高温および高圧が適用される時間は、異なり得るが、通常は約20分であり得る。
【0048】
好ましくは、積層は、熱可塑性またはエラストマー中間層の使用を含む。適切な積層中間層または積層シートは、例えば、イオノプラスト、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)または熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む。適切なイオノプラストは、SentryGlasの商標名で入手可能である。好ましい実施形態では、積層シート、特にPVB層は、さらにUV保護をもたらす。
【0049】
積層化は、例えば、薄い基板とより厚い基板とを、および/またはプラスチック製の基板とガラス基板とを組み合わせることによって、例えば、重量、強度ならびに利用できる外形および幾何学的形状の点で、製品に利益をもたらすことができる。
【0050】
好ましい実施形態では、切り替え可能な光学セルが第3の基板に積層され、特に第1の透明基板および第2の透明基板がプラスチック製であり、かつ第3の基板がガラス製である、窓要素が製造および提供される。第3の基板が湾曲していることが特に好ましく、窓要素全体が、少なくとも一方向に、より好ましくは二方向に湾曲していることが殊に好ましい。
【0051】
本発明によると、この方法および窓要素では、負の誘電異方性、115℃以上の透明点および0.10以下の光学異方性Δnを呈する液晶媒体が提供および使用される。
【0052】
本発明による液晶媒体は、負の誘電異方性Δεを有し、すなわち、電場に垂直である。
【0053】
上記および下記で、Δεは誘電異方性を表し、ここで、Δε=ε||-ε⊥である。誘電異方性Δεは、好ましくは、20℃および1kHzで決定される。液晶媒体は、好ましくは、-0.5~-20の範囲、好ましくは-1.0~-10の範囲の誘電異方性Δεを有する。
【0054】
液晶媒体は、-1.0~-5.0の範囲、さらにより好ましくは-1.5~-4.5の範囲の誘電異方性Δεを呈することが特に好ましい。このようにして提供される液晶媒体は、効果的で、安定で、かつ信頼できる変調媒体として殊に有用であり得る。
【0055】
本発明による液晶媒体は、0.10以下の光学的異方性Δnを有する。
【0056】
上記および以下で、Δnは光学異方性を表し、ここで、Δn=ne-noであり、好ましくは、光学異方性Δnは、20℃および589.3nmの波長で決定される。液晶媒体は、好ましくは0.095以下、より好ましくは0.090以下、さらにより好ましくは0.065~0.095の範囲、特に0.070~0.090の範囲の光学異方性Δnを有する。
【0057】
比較的小さな光学異方性であっても、例えば、視角依存性の観点でさらなる利益をもたらし得る効果的な変調媒体を得ることができると見出された。
【0058】
本発明による液晶媒体は、115℃以上の透明点を有する。
【0059】
透明点は、ネマチック液晶状態から等方性状態への相転移が起こる温度を示す。透明点、特に、ネマチック相と等方相との間の相転移温度は、一般的に知られている方法によって、例えば、Mettlerオーブンまたは偏光顕微鏡下のホットステージを使用することによって測定および決定され、本明細書では、好ましくはMettlerオーブンを使用して決定される。
【0060】
好ましくは、液晶媒体は、116.5℃超、より好ましくは118.0℃超、特に好ましくは120.0℃超、非常に特に好ましくは121.5℃超、最も好ましくは123.0℃超の透明点、好ましくは、ネマチック液晶状態から等方性状態への相転移を有する。一実施形態では、好ましくは、本発明で使用される液晶媒体は、115℃~170℃、特に120℃~140℃の温度範囲の透明点を有する。
【0061】
ここで提供される媒体の高い透明点は、例えば、安定性、信頼性および電気光学特性の観点で、切り替え可能なデバイスの製造および動作中に有利な性能に寄与し得る。
【0062】
ここで提供および使用される液晶媒体は、好ましくは、例えば-40℃の温度でも良好な低温安定性を有する。これは、窓要素がより厳しい寒冷環境条件下でも確実に使用可能であることを意味しており、この窓要素は、例えば自動車用途において有用であり得る。
【0063】
本発明による窓要素では、液晶媒体を含む切り替え可能な層は、好ましくは1μm~100μm、より好ましくは2μm~50μm、さらにより好ましくは3μm~25μm、特に4μm~10μmの範囲の厚さを有する。
【0064】
窓要素の基板は、ガラスまたはポリマー、特に、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、COP(環状オレフィンポリマー)またはTAC(トリアセチルセルロース)を含み得て、好ましくはこれからなり得る。
【0065】
第1および/または第2および/または第3の基板は、好ましくは、光学的に等方性であり、かつ透明である。
【0066】
一実施形態では、ガラス基板のみが使用される。代替的な実施形態では、プラスチック基板のみが使用される。代替的かつ好ましい実施形態では、第1の透明基板および第2の透明基板はプラスチック製であり、第3の基板はガラス製である。
【0067】
好ましくは、第3の基板の厚さは、0.7mm~25mmの範囲、より好ましくは2mm~10mmの範囲にあり、2mm~6mmの範囲がさらにより好ましい。
【0068】
適切なガラスの例としては、例えば、アルカリ土類ホウアルミノケイ酸塩ガラス、化学的強化ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラスおよびソーダ石灰ガラスが挙げられる。
【0069】
一実施形態では、切り替え可能な光学デバイスはまた、1つ以上の偏光子も含み得る。特に、一実施形態では、少なくとも1つの偏光層および任意選択的に少なくとも1つの遅延層が光学デバイス内に形成される。この場合の偏光子は、好ましくは直線偏光子である。任意選択的に、吸収偏光子および反射偏光子の両方を利用してもよい。薄い光学フィルムの形態にある偏光子の使用が好ましい。したがって、好ましくは、切り替え可能な光学セルが1つ以上の偏光子層および任意選択的に1つ以上の光学遅延層をさらに含む窓要素が提供される。特に好ましくは、2つの偏光子を有する液晶セルが、光の透過を制御するために使用される。
【0070】
光学的状態間での電気的な切り替えは、基板、例えばガラス基板またはプラスチック基板に電極を設けることによって達成することができる。好ましくは、導電層は、基板上に設けられており、導電層は、透明な導電性材料、例えば、透明な導電性酸化物、好ましくは、酸化インジウムスズ(ITO)、SnO2:Fもしくはドープされた酸化亜鉛、特にITO、または導電性ポリマー、例えば、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)もしくはポリ(4,4-ジオクチルシクロペンタジチオフェン)、または薄い透明な金属および/もしくは金属酸化物層、例えば銀を含むか、またはこれらから形成される。透明な導電性材料は、透明な導電性酸化物、より好ましくは酸化インジウムスズであることが好ましい。透明電極は、好ましくは、コーティングプロセスによって基板に塗布される。例えば、ITOは、典型的には5nm~250nmの範囲の層厚または5Ω/□~500Ω/□の範囲のシート抵抗を得るようにスパッタリングされ得る。駆動信号発生器およびケーブルを含み得る電源装置を使用して、電極に電圧を供給することができる。
【0071】
好ましくは、本発明で製造および使用される切り替え可能な光学デバイスは、特に電気的な切り替えと組み合わせた、垂直配向(VA)としても知られているホメオトロピック配向を使用する液晶セルに基づく。したがって、好ましくは、第1の配向層および第2の配向層は、切り替え可能な層が第1の配向層と第2の配向層との間に挟まれ、かつそれらと直接接触するように、切り替え可能な光学セル内に設けられる。好ましくは、第1の配向層および第2の配向層は、ポリイミドベースの層である。したがって、好ましい実施形態では、配向層は、ポリイミドを含み、より好ましくはポリイミドからなる。
【0072】
好ましい実施形態では、切り替え可能な光学セルを含む窓要素は、
- 第1の基板、
- 第1の電極層、
- 第1の配向層、
- 切り替え可能な層、
- 第2の配向層、
- 第2の電極層、および
- 第2の基板
をこの順序で含む層構造を有し、ここで、
切り替え可能な層は、本明細書に記載されている液晶媒体を含むホメオトロピック配向液晶層であり、好ましくは、切り替え可能な光学セルは、第3の基板に積層されている。
【0073】
一実施形態では、切り替え可能な光学デバイスは、垂直配向(VA)セルとして構成されている。
【0074】
さらなる実施形態では、窓要素内の切り替え可能な光学セルは、電気的に切り替え可能であり、電界の存在下で、切り替え可能な層は、ねじれ構成または超ねじれ構成を有する。さらに、この実施形態では、セルは、好ましくは、電力供給されていない状態で、ホメオトロピック配向液晶層を有する。この構成によって、達成可能なコントラストの点で利益をもたらすことができ、明るい状態で適切に高い透過率を生じさせることができる。ねじれまたは超ねじれ構成の場合、セルおよびセルの配向をそれに応じて設定することができ、好ましくは、液晶媒体はキラルドーパントを含む。
【0075】
窓要素は、ちょうど1つの切り替え可能な光学セルを含むことが好ましい。しかしながら、さらなる実施形態では、窓要素が2つの切り替え可能な光学セルを含むことも可能であり、より好ましくは、両方の切り替え可能な光学セルが、本明細書に記載のように構成されている。
【0076】
ここで提供および使用される液晶媒体は、二色性染料を含有していないことが好ましい。
【0077】
しかしながら、代替的な実施形態では、液晶媒体は、1つ以上の二色性染料、好ましくは2つ以上の二色性染料、より好ましくは3つ以上の二色性染料を含むことが可能である。
【0078】
二色性染料は当業者に知られており、文献に、例えば、Liquid Crystals:Applications and Uses, Volumes 1-3, Birenda Bahadur編, World Scientific, 1992. Chapter 11:Dichroic Liquid Crystal DisplaysおよびCowling, Stephen J., Liquid Crystal Dyes, :Handbook of Liquid Crystals, Wiley-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA (2014)に十分に記載されている。
【0079】
好ましい染料は、アゾ染料、ペリレン染料、アントラキノン染料、ベンゾチアゾール染料、チアジアゾロキノキサリン染料およびベンゾチアジアゾール染料であり、アゾ染料が特に好ましい。
【0080】
典型的には、液晶媒体中に任意選択的に含有されている二色性染料の総濃度は、0重量%~10重量%、より好ましくは0.1重量%~5重量%、さらにより好ましくは0.3重量%~3重量%、最も好ましくは0.5重量%~2重量%の範囲にある。
【0081】
一実施形態では、媒体または切り替え可能な層中に任意選択的に含有されている二色性染料の吸収スペクトルは、好ましくは、目に対して黒色の印象が生じるように互いに補完する。好ましくは、2つ以上、より好ましくは3つ以上の二色性染料が、好ましくは可視スペクトルの大部分をカバーするために液晶媒体中で使用される。目に対して黒色または灰色に見える染料の混合物を調製することができる正確な手法は、当技術分野で知られており、例えば、M. Richter, Einfuehrung in die Farbmetrik [Introduction to Colorimetry], 2nd Edition, 1981, ISBN 3 11-008209-8, Walter de Gruyter & Coに記載されている。
【0082】
別の実施形態では、異なる色、例えば、赤色、緑色または青色の設定が実施される。
【0083】
染料の混合物の色の位置の設定は、測色の分野に記載されている。この目的のために、個別の染料のスペクトルを、ランベルト・ベールの法則を考慮して計算して、全体的なスペクトルを得て、測色の規則に従って、関連する照明のもと、例えば昼光の場合は照明D65のもと、対応する色の位置および輝度値に変換する。白色点の位置は、それぞれの光源、例えばD65によって固定されており、表、例えば上記の参照に示されている。さまざまな染料の割合を変えることによって、異なる色の位置を設定することができる。
【0084】
本発明によって提供および使用される液晶媒体は、好ましくは、式IIA-1~IIA-53:
【化4-1】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【化4-8】
の化合物から選択される1つ以上の化合物であって、ここで、
パラメータaが、1または2を表し、アルキルおよびアルキル
*が、それぞれ互いに独立して、1~7個のC原子を有する直鎖アルキル基を表し、アルケニルが、2~7個のC原子を有する直鎖アルケニル基を表し、(O)が、酸素原子または単結合を表す、
化合物を含む。アルケニルは、好ましくは、CH
2=CH-、CH
2=CHCH
2CH
2-、CH
3-CH=CH-、CH
3-CH
2-CH=CH-、CH
3-(CH
2)
2-CH=CH-、CH
3-(CH
2)
3-CH=CH-またはCH
3-CH=CH-(CH
2)
2-を表す。
【0092】
液晶媒体は、式IIA-1およびIIA-2の化合物の群から選択される1つ以上の化合物を含むことが特に好ましく、好ましくは、アルキルおよびアルキル*は、それぞれ互いに独立して、1~7個のC原子を有する直鎖アルキルラジカルを表す。
【0093】
媒体は、好ましくは、式IIA-1およびIIA-2の化合物の群から選択される1つ以上の化合物を、少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、さらにより好ましくは少なくとも25重量%、特に少なくとも30重量%の総量で含む。
【0094】
媒体は、好ましくは、式IIA-4の1つ以上の化合物を、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%の総量で含む。
【0095】
一実施形態では、液晶媒体は、化合物II-a-1:
【化5】
を含む。
【0096】
液晶媒体は、好ましくは、式V:
【化6】
の1つ以上の化合物であって、ここで、
R
51およびR
52が、それぞれ互いに独立して、R
2Aについて示されている意味のうちの1つを有し、好ましくは、1~7個のC原子を有するアルキル、好ましくはn-アルキル、特に好ましくは1~5個のC原子を有するn-アルキル、1~7個のC原子を有するアルコキシ、好ましくはn-アルコキシ、特に好ましくは2~5個のC原子を有するn-アルコキシ、2~7個のC原子を有する、好ましくは2~4個のC原子を有するアルコキシアルキル、アルケニルまたはアルケニルオキシ、好ましくはアルケニルオキシを表し、
【化7】
が、同一にまたは異なって、
【化8】
好ましくは
【化9】
を表し、
Z
51、Z
52が、それぞれ互いに独立して、-CH
2-CH
2-、-CH
2-O-、-CH=CH-、-C≡C-、-COO-または単結合、好ましくは、-CH
2-CH
2-、-CH
2-O-または単結合、特に好ましくは単結合を表し、
nが、1または2である、
化合物を含む。
【0097】
式Vの化合物は、好ましくは、式V1~V18:
【化10-1】
【0098】
【化10-2】
の化合物であって、ここで、
R
1およびR
2が、上記のR
2Aについて示されている意味を有する、
化合物から選択される。R
1およびR
2は、好ましくは、それぞれ互いに独立して、直鎖アルキルまたはアルケニルを表す。
【0099】
液晶媒体は、式V-1:
【化11】
の1つ以上の化合物であって、ここで、
R
1およびR
2が、それぞれ互いに独立して、R
2Aについて示されている意味を有する、
化合物を含むことが特に好ましい。
【0100】
媒体は、好ましくは、式V-1の1つ以上の化合物を、8重量%以上、より好ましくは10重量%以上、さらにより好ましくは12重量%以上、特に15重量%以上の総量で含む。
【0101】
媒体は、好ましくは、式V-2の1つ以上の化合物を、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは5重量%~7重量%の範囲の総量で含む。
【0102】
媒体は、好ましくは、式V-10の1つ以上の化合物を、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは8重量%~15重量%の範囲の総量で含む。
【0103】
媒体は、好ましくは、式V-18の1つ以上の化合物を、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは7重量%~13重量%の範囲の総量で含む。
【0104】
好ましい実施形態では、液晶媒体は、式:
【化12】
および
【化13】
の化合物であって、ここで、
nおよびmが、それぞれ互いに独立して、1~7を表す、
化合物を含有していない。
【0105】
液晶媒体は、軸方向のシアノ置換基を有するシクロヘキシレン基を含む化合物を含有していないことが特に好ましい。
【0106】
好ましい実施形態では、液晶媒体は、式IIB、IICおよびIID:
【化14】
の化合物の群から選択される1つ以上の化合物であって、ここで、
R
2B、R
2CおよびR
2Dが、それぞれ互いに独立して、Hを表すか、15個までのC原子を有するアルキルまたはアルケニル基(これは、非置換であるか、CNもしくはCF
3によって一置換されているか、または少なくともハロゲンによって一置換されており、ここで、さらに、これらの基の1つ以上のCH
2基が、O原子が互いに直接結合しないように、-O-、-S-、
【化15】
、-C≡C-、-CF
2O-、-OCF
2-、-OC-O-または-O-CO-によって置き換えられていてもよい)を表し、
L
3およびL
4が、それぞれ互いに独立して、F、Cl、CF
3またはCHF
2、好ましくはFを表し、
Yが、H、F、Cl、CF
3、CHF
2またはCH
3、好ましくはHまたはCH
3、特に好ましくはHを表し、
Z
2、Z
2BおよびZ
2Dが、それぞれ互いに独立して、単結合、-CH
2CH
2-、-CH=CH-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CH
2O-、-OCH
2-、-COO-、-OCO-、-C
2F
4-、-CF=CF-または-CH=CHCH
2O-を表し、
(O)が、Oまたは単結合であり、
qが、0または1を表し、
vが、1~7を表す、
化合物を含む。
【0107】
式IIA、IIBおよびIIDの化合物において、Z2は、同一または異なる意味を有し得る。式IIBの化合物において、Z2およびZ2Bは、同一または異なる意味を有し得る。式IIDの化合物において、Z2およびZ2Dは、同一または異なる意味を有し得る。
【0108】
式IIA、IIB、IICおよびIIDの化合物において、R2A、R2B、R2CおよびR2Dは、それぞれ好ましくは、1~6個のC原子を有するアルキル、特に、CH3、C2H5、n-C3H7、n-C4H9、n-C5H11を表す。
【0109】
式IIA、IIBおよびIIDの化合物において、L1、L2、L3およびL4は、好ましくは、L1=L2=FおよびL3=L4=F、さらに、L1=FおよびL2=Cl、L1=ClおよびL2=F、L3=FおよびL4=Cl、L3=ClおよびL4=Fを表す。式IIAおよびIIBのZ2およびZ2Bは、好ましくは、それぞれ互いに独立して、単結合、さらに代替的には-C2H4-基を表す。
【0110】
式IIBにおいて、Z2=-C2H4-もしくは-CH2O-の場合、Z2Bは、好ましくは単結合であり、またはZ2B=-C2H4-もしくは-CH2O-の場合、Z2は、好ましくは単結合である。
【0111】
式IIDにおいて、Z2Dは、好ましくは単結合である。
【0112】
式IIA、IIBおよびIIDの化合物において、(O)CvH2v+1は、好ましくはOCvH2v+1を表す。式IICの化合物において、(O)CvH2v+1は、好ましくはCvH2v+1を表す。
【0113】
式IICの化合物において、L3およびL4は、好ましくはそれぞれFを表す。
【0114】
式IIB、IICおよびIIDの好ましい化合物を以下に示す:
【化16-1】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
ここで、パラメータaは、1または2を表し、アルキルおよびアルキル*は、それぞれ互いに独立して、1~6個のC原子を有する直鎖アルキル基を表し、アルケニルは、2~6個のC原子を有する直鎖アルケニル基を表し、(O)は、酸素原子または単結合を表す。アルケニルは、好ましくは、CH2=CH-、CH2=CHCH2CH2-、CH3-CH=CH-、CH3-CH2-CH=CH-、CH3-(CH2)2-CH=CH-、CH3-(CH2)3-CH=CH-またはCH3-CH=CH-(CH2)2-を表す。
【0121】
好ましい実施形態では、液晶媒体は、1つ以上の添加剤、好ましくは安定剤および/またはキラルドーパントをさらに含む。
【0122】
本発明の特に好ましい実施形態では、液晶媒体は、好ましくは式ST-1~ST-18:
【化17-1】
【0123】
【0124】
【0125】
【化17-4】
の化合物からなる群から選択される1つ以上の安定剤であって、ここで、
R
STが、Hを表すか、1~15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基(ここで、さらに、これらの基の1つ以上のCH
2基が、O原子が互いに直接結合しないように、それぞれ互いに独立して、-C≡C-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CH=CH-、
【化18】
-O-、-CO-O-または-O-CO-によって置き換えられていてもよく、ここで、さらに、1個以上のH原子が、それぞれハロゲンによって置き換えられていてもよい)を表し、
【化19】
が、
【化20-1】
【0126】
【化20-2】
を表し、
Z
STが、それぞれ互いに独立して、-CO-O-、-O-CO-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CH
2O-、-OCH
2-、-CH
2-、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
4、-CH=CH-CH
2O-、-C
2F
4-、-CH
2CF
2-、-CF
2CH
2-、-CF=CF-、-CH=CF-、-CF=CH-、-CH=CH-、-C≡C-または単結合を表し、
L
1およびL
2が、それぞれ互いに独立して、F、Cl、CF
3またはCHF
2を表し、
pが、1または2を表し、
qが、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10を表す、
安定剤を含む。
【0127】
式ST-1~ST-18の化合物のうち、以下の式の化合物が特に好ましい:
【化21】
【0128】
ここで、n=1、2、3、4、5、6または7、好ましくはn=1または7
【化22】
【0129】
ここで、n=1、2、3、4、5、6または7、好ましくはn=3
【化23】
【0130】
ここで、n=1、2、3、4、5、6または7、好ましくはn=3
【化24-1】
【0131】
【0132】
【0133】
式ST-3aおよびST-3bの化合物において、nは、好ましくは3を表す。式ST-2aの化合物において、nは、好ましくは7を表す。
【0134】
本発明による非常に特に好ましい液晶混合物は、式ST-2a-1、ST-3a-1、ST-3b-1、ST-8-1、ST-9-1およびST-12:
【化25-1】
【0135】
【化25-2】
の化合物の群からの1つ以上の安定剤を含む。
【0136】
1つ以上の安定剤、好ましくは式ST-1~ST-18の化合物から選択される1つ以上の化合物は、好ましくはそれぞれ、混合物を基準として0.005重量%~0.5重量%の量で、本発明による液晶媒体中に存在する。
【0137】
本発明による混合物が、式ST-1~ST-18の化合物の群からの2つ以上の化合物を含む場合、これらの化合物の総濃度は、混合物を基準として、好ましくは0.01重量%~2.5重量%の範囲、より好ましくは0.05重量%~1.0重量%の範囲にある。
【0138】
しかしながら、式ST-1~ST18の化合物の総割合は、本発明による混合物を基準として、好ましくは3重量%を上回ってはならない。
【0139】
好ましい実施形態では、本発明によって提供および使用される液晶媒体は、1つ以上のキラルドーパントを含む。
【0140】
好ましくは、これらのキラルドーパントは、1μm-1~150μm-1の範囲、好ましくは10μm-1~100μm-1の範囲のらせんねじれ力(HTP)の絶対値を有する。媒体が2つ以上のキラルドーパントを含む場合、これらは、それらのHTP値と反対の符号を有し得る。この条件は、それぞれの化合物のキラリティーをある程度補償することを可能にし、したがって、デバイスにおいて得られる媒体のさまざまな温度依存特性を補償するために使用され得るので、いくつかの特定の実施形態にとって好ましい。しかしながら、一般に、本発明による媒体中に任意選択的に存在するほとんど、好ましくはすべてのキラル化合物が、それらのHTP値と同じ符号を有することが好ましい。
【0141】
好ましくは、本発明による媒体中に存在するキラルドーパントは、メソゲン化合物であり、最も好ましくは、これらは、それ自体が中間相を呈する。
【0142】
個々の化合物のHTPの温度依存性は、高くても、または低くてもよい。媒体のピッチの温度依存性は、HTPの温度依存性が異なる化合物を対応する比率で混合することによって補償することができる。
【0143】
光学活性成分については、当技術分野で知られている多種多様なキラルドーパント、例えば、ノナン酸コレステリル、R-およびS-811、R-およびS-1011、R-およびS-2011、R-およびS-3011、R-およびS-4011、R-およびS-5011、B(OC)2C*H-C-3またはCB15(すべてMerck KGaA、ダルムシュタット)などが使用され得る。
【0144】
特に適切なドーパントは、1つ以上のキラル基および1つ以上のメソゲン基またはキラル基とメソゲン基を形成する1つ以上の芳香族もしくは脂環式基を含む化合物である。
【0145】
適切なキラル基は、例えば、キラル分岐炭化水素基、キラルエタンジオール、ビナフトールまたはジオキソラン、さらに、糖誘導体、糖アルコール、糖酸、乳酸、キラル置換グリコール、ステロイド誘導体、テルペン誘導体、アミノ酸または数個、好ましくは1~5個のアミノ酸の配列からなる群から選択される一価または多価のキラル基である。
【0146】
好ましいキラル基は、糖誘導体、例えば、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、アラビノースおよびデキストロース;糖アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、イジトール、ガラクチトールまたはそれらの無水誘導体、特にジアンヒドロヘキシトール、例えば、ジアンヒドロソルビド(1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-ソルビド、イソソルビド)、ジアンヒドロマンニトール(イソソルビトール)またはジアンヒドロイジトール(イソイジトール);糖酸、例えば、グルコン酸、グロン酸およびケトグロン酸;キラル置換グリコール基、例えば、モノ-もしくはオリゴエチレンまたはプロピレングリコール(ここで、1つ以上のCH2基は、アルキルまたはアルコキシによって置換されている);アミノ酸、例えば、アラニン、バリン、フェニルグリシンもしくはフェニルアラニン、またはこれらのアミノ酸の1~5個の配列;ステロイド誘導体、例えば、コレステリルまたはコリン酸基;テルペン誘導体、例えば、メンチル、ネオメンチル、カンフェイル、ピネイル、テルピネイル、イソロンジホリル、フェンチル、カレイル、ミルテニル、ノピル、ゲラニル、リナロイル、ネリル、シトロネリルまたはジヒドロシトロネリルである。
【0147】
適切なキラル基およびメソゲンキラル化合物は、例えば、独国特許出願公開第3425503号明細書、独国特許出願公開第3534777号明細書、独国特許出願公開第3534778号明細書、独国特許出願公開第3534779号明細書および独国特許出願公開第3534780号明細書、独国特許出願公開第4342280号明細書、欧州特許出願公開第01038941号明細書、ならびに独国特許出願公開第19541820号明細書に記載されている。また、以下の表Bに列挙されている化合物も例である。
【0148】
以下の式A-I~A-IIIおよびA-Ch:
【化26】
の化合物からなる群から選択されるキラルドーパントであって、ここで、
R
a11、R
a12およびR
b12が、互いに独立して、1~15個のC原子を有するアルキル(ここで、さらに、1つ以上の隣接していないCH
2基が、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように、それぞれ互いに独立して、-C(R
z)=C(R
z)-、-C≡C-、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-または-O-CO-O-によって置き換えられていてもよく、ここで、さらに、1個以上のH原子が、それぞれ、F、Cl、Br、IまたはCNによって置き換えられていてもよい)、好ましくはアルキル、より好ましくはn-アルキルを表すが、ただし、R
a12は、R
b12とは異なるものとし、
R
a21およびR
a22が、互いに独立して、1~15個のC原子を有するアルキル(ここで、さらに、1つ以上の隣接していないCH
2基が、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように、それぞれ互いに独立して、-C(R
z)=C(R
z)-、-C≡C-、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-または-O-CO-O-によって置き換えられていてもよく、ここで、さらに、1個以上のH原子が、それぞれ、F、Cl、Br、IまたはCNによって置き換えられていてもよい)を表し、好ましくは両方が、アルキル、より好ましくはn-アルキルであり、
R
a31、R
a32およびR
b32が、互いに独立して、1~15個のC原子を有する直鎖または分岐アルキル(ここで、さらに、1つ以上の隣接していないCH
2基が、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように、それぞれ互いに独立して、-C(R
z)=C(R
z)-、-C≡C-、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-または-O-CO-O-によって置き換えられていてもよく、ここで、さらに、1個以上のH原子が、それぞれ、F、Cl、Br、IまたはCNによって置き換えられていてもよい)、好ましくはアルキル、より好ましくはn-アルキルを表すが、ただし、R
a32は、R
b32とは異なるものとし、
R
zが、H、CH
3、F、ClまたはCN、好ましくはHまたはFを表し、
R
8が、上記で与えられたR
a11の意味のうちの1つ、好ましくは、1~15個のC原子を有するアルキル、より好ましくはn-アルキルであり、
Z
8が、-C(O)O-、CH
2O、CF
2Oまたは単結合、好ましくは-C(O)O-を表し、
A
11が、以下のA
12と同様に定義されるか、あるいは代替的に、
【化27】
を表し、
A
12が、
【化28】
好ましくは、
【化29】
を表し、
ここで、
rが、0、1、2、3または4であり、
LおよびL
11が、それぞれの場合で、互いに独立して、12個までのC原子を有するアルキル、アルケニルもしくはアルコキシ(ここで、1個以上のH原子は、任意選択的にハロゲンによって置き換えられている)、ハロゲン、SF
5またはCN、好ましくは、Me(メチル)、Et(エチル)、ClまたはF、特に好ましくはFを表し、
A
21が、
【化30】
を表し、
A
22が、A
12について与えられている意味を有し、
A
31が、A
11について与えられている意味を有するか、あるいは代替的に、
【化31】
を表し、
A
32が、A
12について与えられている意味を有し、
n2が、それぞれの場合で、同一にまたは異なって、0、1または2であり、
n3が、1、2または3である、
キラルドーパントが特に好ましい。
【0149】
【0150】
【0151】
【化32-3】
の化合物からなる群から選択されるキラルドーパントであって、ここで、
mが、それぞれの場合で、同一にまたは異なって、1~9の整数であり、
nが、それぞれの場合で、同一にまたは異なって、2~9の整数である、
キラルドーパントが特に好ましい。
【0152】
式Aの特に好ましい化合物は、式A-IIIの化合物である。
【0153】
さらなる好ましいドーパントは、以下の式A-IV:
【化33】
のイソソルビド、イソマンニトールまたはイソイジトールの誘導体であって、ここで、
基
【化34】
が、
【化35-1】
【0154】
【化35-2】
好ましくはジアンヒドロソルビトールである、
誘導体である。
【0155】
さらなる好ましいドーパントは、キラルエタンジオール、例えば、ジフェニルエタンジオール(ヒドロベンゾイン)、特に、以下の式A-V:
【化36】
(示されていない(R,S)、(S,R)、(R,R)および(S,S)エナンチオマーを含む)
のメソゲン性ヒドロベンゾイン誘導体であり、
ここで、
【化37】
は、それぞれ互いに独立して、Lによって一置換、二置換もしくは三置換されていてもよい1,4-フェニレンであるか、または1,4-シクロヘキシレンであり、
Lは、H、F、Cl、CN、または任意選択的に、1~7個の炭素原子を有するハロゲン化されたアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニルもしくはアルコキシカルボニルオキシであり、
cは、0または1であり、
Xは、CH
2または-C(O)-であり、
Z
0は、-COO-、-OCO-、-CH
2CH
2-または単結合であり、
R
0は、1~12個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニルまたはアルキルカルボニルオキシである。
【0156】
本発明によって好ましく使用されるキラル化合物は、以下に示される式からなる群から選択される。
【0157】
【0158】
【0159】
式A-Vの化合物は、英国特許出願公開第2,328,207号明細書に記載されている。
【0160】
非常に特に好ましいキラルドーパントは、国際公開第02/94805号に記載されているキラルビナフチル誘導体、国際公開第02/34739号に記載されているキラルビナフトールアセタール誘導体、国際公開第02/06265号に記載されているキラルTADDOL誘導体、ならびに国際公開第02/06196号および国際公開第02/06195号に記載されている、少なくとも1つのフッ素化架橋基および末端または中央キラル基を有するキラルドーパントである。
【0161】
式A-VI:
【化39】
のキラル化合物であって、ここで、
X
1、X
2、Y
1およびY
2が、それぞれ互いに独立して、F、Cl、Br、I、CN、SCN、SF
5、1~25個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル(これは、非置換であるか、またはF、Cl、Br、IもしくはCNによって一置換もしくは多置換されており、ここで、さらに、1つ以上の隣接していないCH
2基が、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように、それぞれ互いに独立して、-O-、-S-、-NH-、NR
0-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-S-CO-、-CO-S-、-CH=CH-または-C≡C-によって置き換えられていてもよい)、重合性基、または20個までの炭素原子を有するシクロアルキルもしくはアリール(これらは、ハロゲン、好ましくはFによって、または重合性基によって、任意選択的に一置換もしくは多置換されていてもよい)であり、
R
0が、Hであるか、または1~12個のC原子を有するアルキルであり、
x
1およびx
2が、それぞれ互いに独立して、0、1または2であり、
y
1およびy
2が、それぞれ互いに独立して、0、1、2、3または4であり、
B
1およびB
2が、それぞれ互いに独立して、芳香族または部分的もしくは完全に飽和した脂肪族6員環であり、ここで、1つ以上のCH基が、それぞれ、Nによって置き換えられていてもよく、1つ以上の隣接していないCH
2基が、それぞれ、OまたはSによって置き換えられていてもよく、
W
1およびW
2が、それぞれ互いに独立して、-Z
1-A
1-(Z
2-A
2)
m-Rであり、これら2つのうちの1つが、代替的に、R
1またはA
3であるが、両方が同時にHとなることはなく、または
【化40】
が、
【化41】
であり、
U
1およびU
2が、それぞれ互いに独立して、CH
2、O、S、COまたはCSであり、
V
1およびV
2が、それぞれ互いに独立して、(CH
2)
nであり、ここで、1~4つの隣接していないCH
2基が、それぞれ、OまたはSによって置き換えられていてもよく、V
1およびV
2のうちの一方、および
【化42】
が
【化43】
である場合には両方が、単結合であり、
nが、0、1、2または3であり、
Z
1およびZ
2が、それぞれ互いに独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NR
0-、-NR
0-CO-、-O-CH
2-、-CH
2-O-、-S-CH
2-、-CH
2-S-、-CF
2-O-、-O-CF
2-、-CF
2-S-、-S-CF
2-、-CH
2-CH
2-、-CF
2-CH
2-、-CH
2-CF
2-、-CF
2-CF
2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CH-、-CF=CH-、-CH=CF-、-CF=CF-、-C≡C-、これらの基の2つの組み合わせ(ここで、2個のOおよび/またはSおよび/またはN原子は、互いに直接結合していない)、好ましくは、-CH=CH-COO-もしくは-COO-CH=CH-または単結合であり、
A
1、A
2およびA
3が、それぞれ互いに独立して、1,4-フェニレン(ここで、1つまたは2つの隣接していないCH基は、それぞれ、Nによって置き換えられていてもよい)、1,4-シクロヘキシレン(ここで、1つまたは2つの隣接していないCH
2基は、それぞれ、OまたはSによって置き換えられていてもよい)、1,3-ジオキソラン-4,5-ジイル、1,4-シクロヘキセニレン、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン、ピペリジン-1,4-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイルまたは1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル(ここで、これらの基は、それぞれ、非置換であるか、またはLによって一置換もしくは多置換されている)であり、さらに、A
1が、単結合であってもよく、
Lが、ハロゲン原子、好ましくは、F、CN、NO
2、1~7個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニルまたはアルコキシカルボニルオキシであり、ここで、1個以上のH原子が、それぞれ、FまたはClによって置き換えられていてもよく、
mが、いずれの場合にも、独立して、0、1、2または3であり、
RおよびR
1が、それぞれ互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、CN、SCN、SF
5、それぞれ1もしくは3~25個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝アルキル(これは、F、Cl、Br、IまたはCNによって任意選択的に一置換または多置換されていてもよく、ここで、1つ以上の隣接していないCH
2基は、それぞれ、-O-、-S-、-NH-、-NR
0-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-S-CO-、-CO-S-、-CH=CH-または-C≡C-によって置き換えられていてもよく、ここで、2個のOおよび/またはS原子は、互いに直接結合していない)または重合性基である、
キラル化合物が特に好ましい。
【0162】
式A-VI-1:
【化44】
のキラルビナフチル誘導体であって、ここで、
環B、R
0およびZ
0が、式A-IVおよびA-Vについて定義されている通りであり、bが0、1または2である、
キラルビナフチル誘導体、
特に、以下の式A-VI-1a~A-VI-1c:
【化45】
から選択されるキラルビナフチル誘導体であって、ここで、
環B、R
0およびZ
0が、式A-VI-1について定義されている通りであり、
R
0が、式A-IVについて定義されている通りであるか、またはHであるか、もしくは1~4個の炭素原子を有するアルキルであり、
bが、0、1または2であり、
Z
0が、特に-OCO-または単結合である、
キラルビナフチル誘導体が特に好ましい。
【0163】
さらに、式A-VI-2:
【化46】
のキラルビナフチル誘導体、
特に、以下の式A-VI-2a~A-VI-2f:
【化47-1】
【0164】
【化47-2】
から選択されるキラルビナフチル誘導体であって、ここで、
R
0が、式A-VIについて定義されている通りであり、Xが、H、F、Cl、CNまたはR
0、好ましくはFである、
キラルビナフチル誘導体が特に好ましい。
【0165】
液晶媒体中に任意選択的に含まれる1つ以上のキラルドーパントの濃度は、好ましくは0.001重量%~20重量%、より好ましくは0.05重量%~5重量%、さらにより好ましくは0.1重量%~2重量%、特に0.5重量%~1.5重量%の範囲にある。これらの好ましい濃度範囲は、特に、キラルドーパントS-4011またはR-4011およびS-5011またはR-5011(すべてMerck KGaA製)ならびに同一または類似のHTPを有するキラルドーパントに適用される。
【0166】
好ましくは、液晶媒体は、式IV:
【化48】
の1つ以上の化合物であって、ここで、
R
41が、1~7個のC原子を有する非置換アルキル基または2~7個のC原子を有する非置換アルケニル基、好ましくはn-アルキル基、特に好ましくは2個、3個、4個または5個のC原子を有するn-アルキル基を表し、
R
42が、1~7個のC原子を有する非置換アルキル基または1~6個のC原子を有する非置換アルコキシ基(両方とも、好ましくは2~5個のC原子を有する)、2~7個のC原子、好ましくは2個、3個または4個のC原子を有する非置換アルケニル基、より好ましくはビニル基または1-プロペニル基、特にビニル基を表す、
化合物をさらに含む。
【0167】
式IVの化合物は、好ましくは、式IV-1~IV-4:
【化49】
の化合物であって、ここで、
アルキルおよびアルキル’が、互いに独立して、1~7個のC原子を有する、好ましくは2~5個のC原子を有するアルキルを表し、
アルケニルが、2~5個のC原子を有する、好ましくは2~4個のC原子を有する、特に好ましくは2個のC原子を有するアルケニル基を表し、
アルケニル’が、2~5個のC原子を有する、好ましくは2~4個のC原子を有する、特に好ましくは2~3個のC原子を有するアルケニル基を表し、
アルコキシが、1~5個のC原子を有する、好ましくは2~4個のC原子を有するアルコキシを表す、
化合物の群から選択される。
【0168】
媒体は、好ましくは、式IV-1および/またはIV-2および/またはIV-3のうちの1つ以上の化合物を含む。
【0169】
媒体は、好ましくは、式IV-1およびIV-2の化合物の群から選択される1つ以上の化合物を、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは10重量%~25重量%の範囲、さらにより好ましくは15重量%~20重量%の範囲の総量で含む。
【0170】
好ましくは、媒体は、式IV-1-1~IV-1-5:
【化50】
の化合物から選択される1つ以上の化合物を含む。
【0171】
本発明による媒体は、式IV-2-1、IV-2-2およびIV-2-3:
【化51】
の化合物から選択される1つ以上の化合物を含むことが特に好ましい。
【0172】
非常に好ましくは、本発明による媒体は、式IV-3の化合物、特に、式IV-3-1~IV3-5:
【化52】
の化合物から選択される化合物を含む。
【0173】
媒体は、好ましくは、式IV-3の1つ以上の化合物、特に、式IV-3-3の化合物を、好ましくは少なくとも5重量%の量で、より好ましくは少なくとも9重量%の量で、さらにより好ましくは少なくとも11重量%の量で含む。
【0174】
非常に好ましくは、本発明による媒体は、式IV-4の化合物、特に、式IV-4-1およびIV-4-2:
【化53】
【0175】
【0176】
一実施形態では、液晶媒体は、好ましくは、式IVa:
【化55】
の1つ以上の化合物であって、ここで、
R
41およびR
42が、それぞれ互いに独立して、12個までのC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルコキシアルキルまたはアルコキシ基を表し、
【化56】
が、
【化57】
を表し、
Z
4が、単結合、-CH
2CH
2-、-CH=CH-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CH
2O-、-OCH
2-、-COO-、-OCO-、-C
2F
4-、-C
4H
8-または-CF=CF-を表す、
化合物を含む。
【0177】
式IVaの好ましい化合物を以下に示す:
【化58】
【0178】
【化59】
ここで、
アルキルおよびアルキル
*は、それぞれ互いに独立して、1~6個のC原子を有する直鎖アルキル基を表す。
【0179】
本発明による媒体は、好ましくは、式IVa-1および/または式IVa-2の少なくとも1つの化合物を含む。
【0180】
混合物中の式IVaの化合物の割合は、全体として、好ましくは少なくとも5重量%である。
【0181】
媒体は、好ましくは、式IVa-2の1つ以上の化合物を、好ましくは5重量%以上、より好ましくは8重量%以上、さらにより好ましくは10重量%以上、特に15重量%以上の総量で含む。
【0182】
好ましくは、液晶媒体は、式Y-1~Y-6:
【化60-1】
【0183】
【化60-2】
の1つ以上の化合物であって、ここで、
R
14~R
19が、それぞれ互いに独立して、1~6個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を表し、zおよびmが、それぞれ互いに独立して、1~6を表す、
化合物を含む。
【0184】
本発明による媒体は、特に好ましくは、式Y-1~Y-6の1つ以上の化合物を5重量%以上の量で含む。
【0185】
媒体中の式IIAの化合物の割合は、全体として、好ましくは少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも25重量%、さらにより好ましくは少なくとも30重量%、特に少なくとも35重量%である。
【0186】
本発明によって提供および使用される液晶媒体は、特に好ましくは、
- 式IIA-1およびIIA-2の化合物の群から選択される1つ以上の化合物を、少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、さらにより好ましくは少なくとも25重量%、特に少なくとも30重量%の総量で含み、
および/または
- 式IIA-4の1つ以上の化合物を、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%の総量で含み、
および/または
- 式IV-1およびIV-2の化合物の群から選択される1つ以上の化合物を、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは10重量%~25重量%の範囲、さらにより好ましくは15重量%~20重量%の範囲の総量で含み、
および/または
- 式IV-3の1つ以上の化合物、特に、式IV-3-3の化合物を、好ましくは少なくとも5重量%の量で、より好ましくは少なくとも9重量%の量で、さらにより好ましくは少なくとも11重量%の量で含み、
および/または
- 式IVa-2の1つ以上の化合物を、好ましくは5重量%以上、より好ましくは8重量%以上、さらにより好ましくは10重量%以上、特に15重量%以上の総量で含み、
および/または
- 式V-1の1つ以上の化合物を、好ましくは8重量%以上、より好ましくは10重量%以上、さらにより好ましくは12重量%以上、特に15重量%以上の総量で含み、
および/または
- 式V-2の1つ以上の化合物を、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは5重量%~7重量%の範囲の総量で含み、
および/または
- 式V-10の1つ以上の化合物を、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは8重量%~15重量%の範囲の総量で含み、
および/または
- 式V-18の1つ以上の化合物を、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは7重量%~13重量%の範囲の総量で含む。
【0187】
媒体は、好ましくは、式IIAの少なくとも3つの化合物、より好ましくは、式IIAの少なくとも4つの化合物、特に、式IIAの少なくとも5つの化合物を含む。
【0188】
非メソゲンまたはメソゲンのいずれか(後者は反応性メソゲン(RM)と呼ばれる)である重合性化合物を、本発明による混合物に、好ましくは0.1重量%~20重量%の濃度でさらに添加することができる。
【0189】
本発明による混合物は、例えば、安定剤、酸化防止剤、UV吸収剤、ナノ粒子、マイクロ粒子などのような従来の添加剤をさらに含み得る。
【0190】
本発明による液晶媒体またはネマチックホストは、好ましくは、非常に広いネマチック相範囲を呈する。特に、スイッチングデバイスで使用される液晶媒体は、好ましくは、スイッチングデバイスの動作温度でネマチック相を有する。これは、特に好ましくは、スイッチングデバイスの動作温度より上および下の+/-20℃の範囲、非常に特に好ましくは+/-30℃の範囲でネマチック液晶である。好ましくは、液晶媒体は、好ましい値の容量閾値、比較的高い値の電圧保持比、同時に、-20℃、-30℃および-40℃での非常に良好な低温安定性、ならびに低い回転粘度および短い応答時間を有し、さらに、好ましくは、回転粘度γ1の点で改善を呈する。
【0191】
特に、本発明による液晶媒体は、好ましくは、液晶セルにおける電圧保持率の値が高い。
【0192】
すべての物理的特性および物理化学的または電気光学的パラメータは、特に“Merck Liquid Crystals, Physical Properties of Liquid Crystals”, Status Nov. 1997, MerckKGaA,ドイツに従って、一般に知られている方法によって決定され、特に明記しない限り、20℃の温度について記載される。
【0193】
本明細書では、特に明記しない限り、すべての濃度は重量パーセントで記載され、すなわち、パーセントでのデータは、重量パーセントを表し、それぞれの完全な混合物に関連し、示されるすべての温度値は℃である。
【0194】
光の透過および散乱とは、好ましくは、380nm~780nmのスペクトル範囲における電磁放射線の透過および散乱を指す。
【0195】
本発明では、「閾値電圧」という用語は、特に明記しない限り、フレデリクス閾値としても知られている容量閾値(V0)に関する。
【0196】
本明細書および実施例では、液晶化合物の構造は、頭字語によって示される。特に定めのない限り、化学式への変換は、表1~3に従って実施される。すべての基CnH2n+1、CmH2m+1およびCm’H2m’+1またはCnH2nおよびCmH2mが、直鎖アルキル基またはアルキレン基であり、いずれの場合にも、n、m、m’またはz個のC原子をそれぞれ有する。n、m、m’およびzは、それぞれ互いに独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12、好ましくは1、2、3、4、5または6を表す。表1には、それぞれの化合物の環要素がコード化されており、表2には、架橋員が列挙されており、表3には、化合物の左側または右側の鎖の記号の意味が示されている。
【0197】
【0198】
【0199】
【0200】
【0201】
【0202】
式IIAの化合物のなかでも、および/またはそれに加えて、本発明による混合物は、好ましくは、以下に示す表Aの化合物のうちの1つ以上を含む。
【0203】
表A
以下の略語を使用する:
n、m、m’、zは、それぞれ互いに独立して、1、2、3、4、5、6、7、8または9、好ましくは1、2、3、4、5または6を表す。
【0204】
(O)CmH2m+1は、OCmH2m+1またはCmH2m+1を意味する。
【0205】
【0206】
【0207】
【0208】
【0209】
【0210】
【0211】
【0212】
【0213】
【0214】
【0215】
【0216】
【0217】
【0218】
【0219】
【0220】
【0221】
本発明によって使用することができる液晶混合物は、それ自体が従来の手法で調製される。一般に、より少ない量で使用される所望の量の成分は、有利には高温で、主構成要素を為す成分に溶解される。有機溶媒、例えば、アセトン、クロロホルムまたはメタノール中に成分の溶液を混合し、十分に混合した後に、例えば蒸留によって溶媒を再び除去することも可能である。
【0222】
混合物はまた、例えば、UV吸収剤、抗酸化剤、ナノ粒子およびフリーラジカル捕捉剤のような、当業者に知られておりかつ文献に記載されているさらなる添加剤も含み得る。例えば、安定剤またはキラルドーパントが添加され得る。本発明による混合物に適した安定剤は、特に、表Cに記載されているものである。
【0223】
表B
表Bは、本発明による混合物に任意選択的に添加され得る可能なキラルドーパントを示す。混合物は、好ましくは、0~10重量%、特に0.01~5重量%、特に好ましくは0.1~3重量%のキラルドーパントを含む。混合物がキラルドーパントを1つだけ含む場合、これは、好ましくは0.01~4重量%、より好ましくは0.1~1.0重量%の量で用いられる。
【0224】
【0225】
【0226】
表C
本発明による混合物に0~10重量%、好ましくは0.01~3重量%の量で添加され得る安定剤を以下に示す。
【0227】
【0228】
【0229】
【0230】
【0231】
【0232】
【0233】
本発明による媒体は、特に好ましくは、液晶媒体を基準として、Tinuvin(登録商標)770(ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート)を、好ましくは0.001~5重量%の量で含む。
【0234】
本発明による液晶媒体に任意選択的に添加され得る好ましい二色性染料の例を表Dに列挙する。
【0235】
【0236】
【0237】
【0238】
【0239】
【0240】
【0241】
【0242】
以下の実施例は、本発明の単なる例示であり、決して本発明の範囲を限定するものとして見なされるべきではない。本開示を考慮すれば、当業者には、実施例およびその変形形態または他の均等物が明らかになるであろう。
【0243】
ただし、以下に示す物理的特性および組成によって、どのような特性が達成可能であり、どのような範囲でこれらが変更可能であるかが示される。したがって、殊に、好ましく達成可能なさまざまな特性の組み合わせは、十分に定義されている。
【0244】
実施例
特に定めのない限り、部またはパーセントのデータは、全体としての混合物を基準とする重量部または重量パーセントを表す。
【0245】
記号および略語は、以下の意味を有する:
V0 閾値電圧、20℃での容量[V]
Δn 20℃および589nmで測定される光学異方性
Δε 20℃および1kHzでの誘電異方性
cl.p. 透明点[℃]
K1 弾性定数、20℃での「スプレイ」変形[pN]
K3 弾性定数、20℃での「曲げ」変形[pN]
γ1 磁場中で回転法によって決定される、20℃で測定される回転粘度[mPa・s]
LTS 試験セルにおいて測定される低温安定性(ネマチック相)。
【0246】
本発明の場合、「閾値電圧」という用語は、特に明記しない限り、容量閾値(V0)に関する。実施例においては、一般に通常であるように、光学的閾値を、例えば10%の相対コントラスト(V10)について示す場合もある。
【0247】
混合物の例
液晶媒体M1~M10を以下のように調製する:
【表8】
【0248】
【0249】
【0250】
【0251】
【0252】
【0253】
【0254】
【0255】
【0256】
【0257】
混合物M11およびM12
99.90%の混合物M1または混合物M4と、以下でST-Aと表記される式:
【化61】
の0.10%の化合物とをそれぞれ混合することによって、混合物M11およびM12をそれぞれ調製する。
【0258】
混合物M13
99.80%の混合物M9と、上記の混合物M11およびM12について示されている0.10%の化合物ST-Aならびに式
【化62】
の0.10%の化合物とを混合することによって、混合物M13を調製する。
【0259】
混合物M14
99.80%の混合物M3と、ドイツのダルムシュタットのMerck KGaAから入手可能な、上記の表Bに示される0.20%のキラルドーパントR-5011とを混合することによって、混合物M14を調製する。
【0260】
混合物M15
99.504%の混合物M2と、0.030%の化合物ST-AおよびドイツのダルムシュタットのMerck KGaAから入手可能な、上記の表Bに示される0.466%のキラルドーパントS-811とを混合することによって、混合物M15を調製する。
【0261】
混合物M16
99.035%の混合物M2と、0.030%の化合物ST-Aおよび0.935%のキラルドーパントS-811とを混合することによって、混合物M16を調製する。
【0262】
混合物M17
99.915%の混合物M4と、0.030%の化合物ST-Aおよび0.055%のキラルドーパントR-5011とを混合することによって、混合物M17を調製する。
【0263】
混合物M18
99.915%の混合物M5と、0.030%の化合物ST-Aおよび0.055%のキラルドーパントR-5011とを混合することによって、混合物M18を調製する。
【0264】
混合物M19
98.86%の混合物M10と、0.03%の化合物ST-Aおよび1.11%のキラルドーパントS-811とを混合することによって、混合物M19を調製する。
【0265】
混合物M20
99.658%の混合物M2と、0.030%の化合物ST-Aおよび0.312%のキラルドーパントS-811とを混合することによって、混合物M20を調製する。
【0266】
混合物M21
99.532%の混合物M4と、0.030%の化合物ST-Aおよび0.438%のキラルドーパントS-811とを混合することによって、混合物M21を調製する。
【0267】
使用例
使用例1
ホメオトロピック配向を有するITOコーティングされた2つのPET透明基板の間に挟まれた混合物M1を含む電気光学セルを、117.5℃の温度でPVB中間層を使用してガラス基板に積層する。積層された製品は、適切な電気光学特性を有する。
【0268】
使用例2
ホメオトロピック配向を有するITOコーティングされた2つのガラス透明基板の間に挟まれた混合物M15を含む電気光学セルを、117.5℃の温度でEVA中間層を使用してガラス基板に積層する。積層された製品は、適切な電気光学特性を有する。
【外国語明細書】