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特開2022-19688歯科ロボットおよび口腔ナビゲーション方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022019688
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】歯科ロボットおよび口腔ナビゲーション方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 1/00 20060101AFI20220120BHJP
   A61C 1/02 20060101ALI20220120BHJP
   A61C 19/00 20060101ALI20220120BHJP
   A61B 34/20 20160101ALI20220120BHJP
   A61B 34/30 20160101ALI20220120BHJP
【FI】
A61C1/00 Z
A61C1/02 Z
A61C19/00 D
A61B34/20
A61B34/30
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118002
(22)【出願日】2021-07-16
(31)【優先権主張番号】202010693115.9
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521278173
【氏名又は名称】雅客智慧(北京)科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】王 利峰
(72)【発明者】
【氏名】沈 晨
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ ▲貝▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 洪澎
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052AA06
4C052FF01
4C052GG11
4C052LL09
(57)【要約】
【課題】歯科ロボットおよび口腔ナビゲーション方法を提供する。
【解決手段】歯科ロボットは、直列位置決めアームを備え、前記直列位置決めアームは、ベースと、複数の位置決めアームと、ジャケットと、を有し、前記ジャケットは手術器具をクランプするために用いられ、前記ベースと、前記複数の位置決めアームと、前記ジャケットと、は回転関節によって順次直列されており、各回転関節のいずれにも関節角度測定装置が取り付けられている。本発明の実施例が提供する歯科ロボットおよび口腔ナビゲーション方法は、直列位置決めアームの軽量化によって、歯科ロボットシステムの体積および重量を減少し、歯科ロボットの手術操作における実用性を向上させた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列位置決めアームを備え、
前記直列位置決めアームは、ベースと、複数の位置決めアームと、ジャケットと、を有し、前記ジャケットは、手術器具をクランプするために用いられ、
前記ベースと、前記複数の位置決めアームと、前記ジャケットと、は、回転関節によって順次直列されており、
各回転関節のいずれにも関節角度測定装置が取り付けられていることを特徴とする歯科ロボット。
【請求項2】
前記関節角度計測装置はアブソリュートエンコーダであることを特徴とする請求項1に記載の歯科ロボット。
【請求項3】
前記位置決めアームは中空構造であることを特徴とする請求項1に記載の歯科ロボット。
【請求項4】
前記各回転関節のいずれにもサーボトルクモータが取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の歯科ロボット。
【請求項5】
歯科治療椅子をさらに備え、
前記歯科治療椅子の頭部枕の両側の頭部クランプ装置はラックアンドピニオンロック構造であり、
前記直列位置決めアームは前記ベースを介して前記歯科治療椅子の装置基台に固定して取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の歯科ロボット。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の歯科ロボットによる口腔ナビゲーション方法であって、
前記直列位置決めアームにおける各関節角度測定装置によって測定された関節角度に基づいて、前記直列位置決めアームの先端の前記ジャケットによってクランプされた手術器具の歯科ロボット座標系での座標位置を特定することと、
前記手術器具の歯科ロボット座標系での座標位置を三次元画像座標系での座標位置に変換することと、
前記手術器具の前記三次元画像座標系での座標位置および前記三次元画像座標系でのプリセット手術経路に基づき、口腔ナビゲーションを行うことと、を含むことを特徴とする口腔ナビゲーション方法。
【請求項7】
前記手術器具の歯科ロボット座標系での座標位置を三次元画像座標系での座標位置に変換することは、
空間マッピング関係に基づき、前記手術器具の歯科ロボット座標系での座標位置を三次元画像座標系での座標位置に変換することと、
前記空間マッピング関係は三次元画像におけるプリセット特徴点の前記歯科ロボット座標系での座標位置に基づいて決定されることと、を含むことを特徴とする請求項6に記載の口腔ナビゲーション方法。
【請求項8】
前記手術器具の前記三次元画像座標系での座標位置および前記三次元画像座標系でのプリセット手術経路に基づき、口腔ナビゲーションを行った後には、
三次元画像における前記手術器具のプリセット作業領域および前記三次元画像座標系での前記手術器具の座標位置に基づき、前記直列位置決めアームの接触剛性を特定することと、
前記直列位置決めアームの接触剛性に基づき、前記直列位置決めアームにおける各回転関節におけるサーボトルクモータの出力トルクを調整することと、をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の口腔ナビゲーション方法。
【請求項9】
前記手術器具の前記三次元画像座標系での座標位置および前記三次元画像座標系でのプリセット手術経路に基づき、口腔ナビゲーションを行った前には、
手術すべき領域および前記手術器具にそれぞれ設けられた視覚マークの位置に基づき、前記手術すべき領域と前記手術器具との相対位置を特定することと、
前記相対位置を三次元座標系に変換して、三次元相対位置を得ることと、
前記手術器具の前記三次元画像座標系での座標位置および前記三次元相対位置に基づき、前記三次元画像座標系での手術すべき領域の座標位置を調整することと、をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の口腔ナビゲーション方法。
【請求項10】
前記手術すべき領域の視覚マークは口腔ガイドプレートを介して実装られ、前記口腔ガイドプレートは前記手術すべき領域の歯列の三次元曲面に基づいて決定されるものであることを特徴とする請求項9に記載の口腔ナビゲーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具の技術分野に関し、具体的には、歯科ロボットおよび口腔ナビゲーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔顎面外科手術におけるナビゲーション技術およびロボット技術の応用に伴い、口腔手術のデジタル化の程度は大幅に向上した。ロボット支援に基づく口腔ナビゲーションシステムは歯科医師に強力な支援を提供することができることで、手術精度を向上させ、手術操作の難易度を低下させ、手術の安全性を確保する。
【0003】
従来技術では、歯科手術ロボットシステムは、一般的に、汎用型の産業ロボットアームを採用し、システム全体の体積および重量が大きく、コストが高く、実用性が低い。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施例は、従来の歯科手術ロボットシステムの体積および重量が大きく、実用性が低いという問題を解決するための歯科ロボットおよび口腔ナビゲーション方法を提供する。
【0005】
第1形態では、本発明の実施例は、
直列位置決めアームを備え、
前記直列位置決めアームは、ベースと、複数の位置決めアームと、ジャケットと、を有し、前記ジャケットは、手術器具をクランプするために用いられ、
前記ベースと、前記複数の位置決めアームと、前記ジャケットと、は、回転関節によって順次直列されており、
各回転関節のいずれにも関節角度測定装置が取り付けられている歯科ロボットを提供する。
【0006】
オプションとして、前記関節角度計測装置はアブソリュートエンコーダである。
【0007】
オプションとして、前記位置決めアームは中空構造である。
【0008】
オプションとして、前記各回転関節のいずれにもサーボトルクモータが取り付けられている。
【0009】
オプションとして、歯科治療椅子をさらに備え、
前記歯科治療椅子の頭部枕の両側の頭部クランプ装置はラックアンドピニオンロック構造であり、
前記直列位置決めアームは前記ベースを介して前記歯科治療椅子の装置基台に固定して取り付けられる。
【0010】
第2形態では、本発明の実施例は、第1形態における歯科ロボットによる口腔ナビゲーション方法であって、
直列位置決めアームにおける各関節角度測定装置によって測定された関節角度に基づいて、前記直列位置決めアームの先端のジャケットによってクランプされた手術器具の歯科ロボット座標系での座標位置を特定することと、
前記手術器具の歯科ロボット座標系での座標位置を三次元画像座標系での座標位置に変換することと、
前記手術器具の前記三次元画像座標系での座標位置および前記三次元画像座標系でのプリセット手術経路に基づき、口腔ナビゲーションを行うことと、を含む口腔ナビゲーション方法を提供する。
【0011】
オプションとして、前記手術器具の歯科ロボット座標系での座標位置を三次元画像座標系での座標位置に変換することは、
空間マッピング関係に基づき、前記手術器具の歯科ロボット座標系での座標位置を三次元画像座標系での座標位置に変換することと、
前記空間マッピング関係は三次元画像におけるプリセット特徴点の前記歯科ロボット座標系での座標位置に基づいて決定されることと、を含む。
【0012】
オプションとして、前記手術器具の前記三次元画像座標系での座標位置および前記三次元画像座標系でのプリセット手術経路に基づき、口腔ナビゲーションを行った後には、
三次元画像における前記手術器具のプリセット作業領域および前記三次元画像座標系での前記手術器具の座標位置に基づき、前記直列位置決めアームの接触剛性を特定することと、
前記直列位置決めアームの接触剛性に基づき、前記直列位置決めアームにおける各回転関節におけるサーボトルクモータの出力トルクを調整することと、をさらに含む。
【0013】
オプションとして、前記手術器具の前記三次元画像座標系での座標位置および前記三次元画像座標系でのプリセット手術経路に基づき、口腔ナビゲーションを行った前には、
手術すべき領域と前記手術器具にそれぞれ設けられた視覚マークの位置に基づき、前記手術すべき領域と前記手術器具の相対位置を特定することと、
前記相対位置を三次元座標系に変換して、三次元相対位置を得ることと、
前記手術器具の前記三次元画像座標系での座標位置および前記三次元相対位置に基づき、前記三次元画像座標系での手術すべき領域の座標位置を調整することと、をさらに含む。
【0014】
オプションとして、前記手術すべき領域の視覚マークは口腔ガイドプレートを介して実装られ、前記口腔ガイドプレートは前記手術すべき領域の歯列の三次元曲面に基づいて決定されるものである。
【0015】
本発明の実施例が提供する歯科ロボットおよび口腔ナビゲーション方法は、直列位置決めアームを備え、直列位置決めアームにおいて、ベースと、複数の位置決めアームと、ジャケットと、は回転関節によって順次直列され、各回転関節のいずれにも関節角度測定装置が取り付けられている。直列位置決めアームの軽量化によって、歯科ロボットシステムの体積および重量を減少し、歯科ロボットの手術操作における実用性を向上させた。
【0016】
本願の実施例または従来技術における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例または従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明する。勿論、以下で説明する図面は、本願のいくつかの実施例であり、当業者にとって、創造的な労働を要しない前提で、更に、これらの図面に基づいてその他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例が提供する歯科ロボットの構造模式図である。
図2】本発明の実施例が提供する頭部クランプ装置の構造模式図である。
図3】本発明の実施例が提供する歯科ロボットシステムの構造模式図である。
図4】本発明の実施例が提供する口腔ナビゲーション方法のフローチャートである、
図5】本発明の実施例が提供する患者追跡装置の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本願の実施例の目的、技術案および利点をより明確にするために、以下では本願の実施例の図面を参照しながら、本願の実施例の技術案について明確かつ完全に説明する。明らかなように、説明する実施例は本願の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本願の実施例に基づき、当業者が創造的な労働をしない前提で得られた全ての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0019】
図1は本発明の実施例が提供する歯科ロボットの構造模式図であり、図1に示すように、当該歯科ロボットは、直列位置決めアームを備える。直列位置決めアームは、ベース100と、第1の位置決めアーム110と、第2の位置決めアーム120と、ジャケット130と、を有する。ジャケット130は、手術器具をクランプするために用いられる。ベース100、第1の位置決めアーム110、第2の位置決めアーム120およびジャケット130は、第1の回転関節101、第2の回転関節102および第3の回転関節103によって順次直列されている。各回転関節のいずれにも関節角度測定装置が取り付けられている。
【0020】
説明すべきものとして、本発明の実施例は、位置決めアームの数が2である場合について説明し、当該実施例が本発明の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。本発明の実施例は位置決めアームの数について具体的に限定しない。
【0021】
具体的には、ベース100、第1の位置決めアーム110、第2の位置決めアーム120およびジャケット130は、回転関節によって直列される。ジャケット130は手術器具をクランプするためのものである。この直列位置決めアームは、少なくとも6つの自由度を持ち、作業空間内で手術器具に対して位置決めおよび姿勢調整を行うために使用することができる。この歯科ロボットの直列位置決めアームをドラッグして使用したり、障害物を回避したりする時により柔軟にするために、直列位置決めアームの数を柔軟に調整することができ、直列位置決めアームに冗長自由度を持たせることができる。
【0022】
従来の口腔手術ロボットシステムは、汎用型産業ロボットアームを採用し、ロボットアームの間にモータ制御を採用することにより、手術ロボットの体積および重量が膨大になる。手術ロボットを使用する場合、歯科医師が産業ロボットアームの使用方法や操作方法を習得する必要があり、歯科医師の習得コストが増加してしまう。また、工業的に標準化された生産方式とは異なり、口腔手術は、医師が各患者の具体的な状況に応じて異なる手術計画を作成する必要があり、さらに、手術操作過程において、医師が各患者のリアルタイムフィードバックに応じて手術計画を調整する必要がある。そのため、従来の口腔手術ロボットシステムは、手術操作における実用性が低く、使用効率が低い。
【0023】
本発明の実施例が提供する歯科ロボットは、直列位置決めアームの各回転関節に関節角度測定装置を取り付け、関節角度測定によって手術器具の正確な位置決めを実現し、モータ制御に代わり、モータ制御に関連する電子装置の歯科ロボットでの応用を減少し、歯科ロボットの軽量化を実現し、かつドラッグの操作方式を採用するため、歯科医師が柔軟に操作するに便利であり、歯科医師の使用習慣により合致し、歯科医師にいかなる学習コストをもたらすことはない。
【0024】
本発明の実施例が提供する歯科ロボットは、直列位置決めアームを備え、直列位置決めアームにおけるベースと、複数の位置決めアームと、ジャケットと、が回転関節によって順次直列され、各回転関節のいずれにも関節角度測定装置が取り付けられている。直列位置決めアームの軽量化によって、歯科ロボットシステムの体積および重量を減少し、歯科ロボットの手術操作における実用性を向上させた。
【0025】
上述の実施形態に基づいて、関節角度測定装置はアブソリュートエンコーダである。
【0026】
具体的には、関節角度測定装置はアブソリュートエンコーダであり、例えば、光電式のアブソリュートエンコーダを用いて関節角度を測定することができる。インクリメンタルエンコーダは、相対ゼロ位置に基づいて実際の測定値を特定する必要があるのに対して、アブソリュートエンコーダの構造特性によって各測定値の唯一性が決定され、ゼロ位置を参照する必要がない。
【0027】
本発明の実施例はアブソリュートエンコーダを採用し、使用過程中にゼロ位置を標定することを回避することにより、直列位置決めアームの使用方法を簡略化する。
【0028】
上記のいずれかの実施例によれば、位置決めアームは中空構造である。
【0029】
具体的には、位置決めアーム本体は内部中空の構造を採用することができ、本体の重量を低減させ、操作の柔軟性を向上させる。また、内部中空の構造は、歯科ロボットシステム内部の電気接続線を収容することができ、歯科ロボットの体積を減少する。
【0030】
上記のいずれかの実施例によれば、位置決めアームの製作材料は、エンジニアリングプラスチック、アルミニウム合金および炭素繊維のうちの少なくとも一つである。
【0031】
具体的には、位置決めアームは、エンジニアリングプラスチック、アルミニウム合金や炭素繊維などの高強度の軽量化材料で製作でき、本体の重量を低減できる。
【0032】
上記のいずれかの実施例によれば、各回転関節のいずれにもサーボトルクモータが取り付けられる。
【0033】
具体的には、各回転関節のいずれにも小型のサーボトルクモータが取り付けられている。ロボット動力学モデルに基づいて各回転関節の重力モーメントを算出することができ、サーボトルクモータによって提供されるトルクにより重力モーメントを相殺することで、直列位置決めアームをドラッグすることがより柔軟で便利になる。
【0034】
上記のいずれかの実施例によれば、歯科治療椅子をさらに備え、
歯科治療椅子の頭部枕の両側の頭部クランプ装置はラックアンドピニオンロック構造であり、直列位置決めアームはベースを介して歯科治療椅子の装置基台に固定して取り付けられる。
【0035】
具体的には、歯科ロボットは、歯科治療椅子をさらに備える。患者の頭部をより良好に固定するために、歯科治療椅子の頭部枕の両側の頭部保持装置はラックアンドピニオンロック構造である。図2は本発明の実施例が提供する頭部クランプ装置の構造模式図であり、図2に示すように、当該頭部クランプ装置は、歯車201、第1のラック211、第2のラック212、第1の頭受け221および第2の頭受け222を有する。ノブにより歯車201を回転させることで、第1のラック211および第2のラック212を駆動して対向運動させることができ、第1の頭受け221と第2の頭受け222との間の距離の大きさを調整することで、患者の頭部を固定する作用を実現できる。
【0036】
直列位置決めアームは、ベースを介して歯科治療椅子の装置基台に固定して取り付けられ、患者の口腔内の手術すべき領域にドラッグされるに便利である。
【0037】
上記のいずれかの実施例によれば、視覚ナビゲータをさらに備え、
視覚ナビゲータは、支持アームを介して歯科治療椅子の装置基台に固定的に取り付けられる。
【0038】
具体的には、視覚ナビゲータは、手術すべき領域および手術器具上の視覚マーカをリアルタイムに追跡し、その空間位置をリアルタイムに検出し、歯科手術操作を完成するようにガイドすることができる。
【0039】
上記のいずれかの実施例によれば、図3は本発明の実施例が提供する歯科ロボットシステムの構造模式図であり、図3に示すように、歯科ロボットシステムは、直列位置決めアーム301と、歯科治療椅子302と、視覚ナビゲータ303と、手術器具304と、を備える。
【0040】
具体的には、使用時に、歯科治療椅子に患者を横臥させ、歯科医師が直列位置決めアーム301をドラッグして、直列位置決めアーム301の末端のジャケットでクランプされた手術用具304を用いて口腔手術を行う。患者の頭部が動いている間に、歯科医師がまた視覚ナビゲータ303で手術すべき領域と手術器具上の視覚マーカを追跡し、口腔手術を完了することができる。
【0041】
上記のいずれかの実施例によれば、図4は本発明の実施例が提供する口腔ナビゲーション方法のフローチャートであり、図4に示すように、当該方法は下記のステップ410~430を含む。
ステップ410:直列位置決めアームにおける各関節角度測定装置によって測定された関節角度に基づいて、直列位置決めアーム先端のジャケットによってクランプされた手術器具の歯科ロボット座標系での座標位置を特定する。
具体的には、歯科ロボットの構造パラメータに基づいて歯科ロボット座標系を確立し、座標系の原点として直列位置決めアームのベースを選択することができ、本発明の実施例は歯科ロボット座標系の原点の選択について具体的に限定しない。
【0042】
直列位置決めアームにおける各関節角度測定装置によって測定された関節角度に基づいて、ロボット運動学におけるD-H(Denavit Hartenberg)方法を採用して直列位置決めアーム先端のジャケットの位置をリアルタイムに算出することができる。従って、直列位置決めアームをドラッグして、その作業空間内で手術操作を行う時、ジャケットの位置を正確に特定することができる。
【0043】
具体的には、手術器具は、例えば歯科インプラント用ハンドピース、修復用ハンドピースなどの歯科医用器具であってもよい。ジャケットは様々な手術器具をクランプして口腔手術を行うことが可能である。手術器具は位置および姿勢が標定された後に直列位置決めアームのジャケットに取り付けられ、直列位置決めアームのジャケットに対する手術器具の標定パラメータに基づき、手術器具の歯科ロボット座標系での座標位置を特定することができる。
【0044】
ステップ420:手術器具の歯科ロボット座標系での座標位置を三次元画像座標系での座標位置に変換する。
具体的には、3次元画像はCBCT(Cone Beam Computed Tomography、X線断層撮影法)技術を利用して得られた患者の口腔の三次元画像であってもよく、コーンビームCTとも呼ばれる。患者の口腔の三次元画像から三次元画像座標系を確立することができる。
【0045】
歯科ロボット座標系と三次元画像座標系との間の空間マッピング関係に基づいて、歯科ロボット座標系における手術器具の座標位置を三次元画像座標系における座標位置に変換することができる。空間マッピング関係は事前に標定されたものであってもよい。
【0046】
ステップ430:手術器具の三次元画像座標系での座標位置および三次元画像座標系でのプリセット手術経路に基づき、口腔ナビゲーションを行う。
【0047】
具体的には、プリセット手術経路は、三次元画像座標系において、手術操作に対して事前計画を行って、手術器具の三次元画像座標系での運動経路を特定したものである。
【0048】
口腔手術を行う時、直列位置決めアームをドラッグし、手術器具の三次元画像座標系での座標位置と三次元画像座標系でのプリセット手術経路とをマッチングして、手術器具のリアルタイムな位置誤差を得て、それにより、歯科医師が口腔手術操作を完成するようにガイドする。
【0049】
本発明の実施例が提供する口腔ナビゲーション方法は、手術器具の歯科ロボット座標系での座標位置を三次元画像座標系での座標位置に変換し、三次元画像座標系でのプリセット手術経路とマッチングすることにより、口腔手術過程中に手術器具の運動経路を位置決めすることを実現し、歯科医師が手術操作を行うようにガイドし、手術操作の難易度を低下させ、手術の安全性を確保した。また、当該口腔ナビゲーション方法は、光学ナビゲーション装置の使用による視覚遮蔽などの問題が存在しない。
【0050】
上記のいずれかの実施例によれば、ステップ420は、
空間マッピング関係に基づき、歯科ロボット座標系での手術器具の座標位置を三次元画像座標系での座標位置に変換することと、
空間マッピング関係は、三次元画像におけるプリセット特徴点の歯科ロボット座標系での座標位置に基づいて決定されることと、を含む。
【0051】
具体的には、空間マッピング関係は、歯科ロボット座標系と三次元画像座標系とにおける座標点の位置変換関係であり、三次元画像におけるプリセット特徴点の歯科ロボット座標系での座標位置によって特定することができる。
【0052】
プリセット特徴点は、事前に設定された位置決め点であり、その3次元画像における座標位置がマーカによって特定されている。プリセット特徴点の数は少なくとも3つである。直列位置決めアームをドラッグして、手術器具の先端部位または取り付けられた標定プローブで患者の歯上の三次元画像におけるプリセット特徴点の位置に一対一に対応する部位をタッチして、各プリセット特徴点の歯科ロボット座標系での座標位置を取得する。プリセット特徴点に基づいて歯科ロボット座標系と三次元画像座標系とでの座標位置にマッピング・レジストレーションを行い、空間マッピング関係を得る。
【0053】
マッピング・レジストレーションのアルゴリズムは、ICPアルゴリズム(反復最近接点アルゴリズム)を用いて行うことができ、本発明の実施例はレジストレーションアルゴリズムの選択について具体的に限定しない。
【0054】
上記のいずれかの実施例によれば、ステップ430の後には、
三次元画像における手術器具のプリセット作業領域および三次元画像座標系での手術器具の座標位置に基づき、直列位置決めアームの接触剛性を特定することと、
直列位置決めアームの接触剛性に基づき、直列位置決めアームにおける各回転関節におけるサーボトルクモータの出力トルクを調整することと、をさらに含む。
【0055】
具体的には、口腔手術については、三次元画像において手術作業領域、すなわち、プリセット作業領域を事前に計画しておいてもよい。例えば、歯磨修復手術の場合、三次元画像において研削領域と非研削領域を事前に計画しておいてもよい。
【0056】
手術器具をドラッグして手術を行う時、手術器具の三次元画像座標系での座標位置に基づき、手術器具とプリセット作業領域との位置関係を判断して、直列位置決めアームの接触剛性を決定する。接触剛性は、直列位置決めアームをドラッグする際の直列位置決めアームの感度である。例えば、手術器具が研削領域に位置する時、接触剛性はゼロであり、自由にドラッグすることができ、手術器具が非研削領域に接近している時、接触剛性は、ゼロではなく、非研削領域に接近する距離が減少するにつれて増加し、ドラッグするために一定の力を加える必要がある。
【0057】
歯科医師が直列位置決めアームをドラッグする時に力覚上のフィードバックを得るように、直列位置決めアームの接触剛性に基づいて、直列位置決めアームにおける各回転関節におけるサーボトルクモータの出力トルクを調整する。これにより、手術精度および操作安全性を向上させ、健康の組織への損傷を回避する。
【0058】
サーボトルクモータの出力トルクを調整するには、事前に設定された接触剛性、減衰などのパラメータに基づいてドラッグ時における各サーボトルクモータが出力すべきトルクを算出することができる。これにより、直列位置決めアームに感度を動的に変化させ、歯科医師に異なる力覚フィードバックを与える。
【0059】
本発明の実施例が提供する口腔ナビゲーション方法は、三次元画像における手術器具のプリセット作業領域および三次元画像座標系での手術器具の座標位置に基づき、各回転関節におけるサーボトルクモータの出力トルクを調整し、歯科医師に異なる力覚フィードバックを与え、口腔手術操作の安全性を提供した。
【0060】
上記のいずれかの実施例によれば、ステップ430の前には、
手術すべき領域および手術器具にそれぞれ設けられた視覚マークの位置に基づき、手術すべき領域と手術器具との相対位置を特定することと、
相対位置を三次元座標系に変換して、三次元相対位置を得ることと、
手術器具の三次元画像座標系での座標位置および三次元相対位置に基づき、三次元画像座標系での手術すべき領域の座標位置を調整することと、をさらに含む。
【0061】
具体的には、例えば、歯栽培手術といった精度が手術効果に大きく影響する操作では、クランプ装置により患者の頭部や顎骨を固定しても、微小な位置ずれが発生する可能性があり、また、長時間にわたるクランプ固定によって患者への不快感をもたらす可能性もある。患者の口腔内の手術すべき領域および手術器具にそれぞれ視覚マーカを設置することにより、視覚ナビゲータにより視野範囲内の視覚マーカを追跡し、手術すべき領域および手術器具上の視覚マーカの位置をリアルタイムに検出することができる。
【0062】
手術すべき領域および手術器具にそれぞれ設置された視覚マークの位置に基づき、手術すべき領域と手術器具との相対位置を特定し、相対位置を三次元座標系に変換して、三次元相対位置を得る。
【0063】
手術器具の三次元画像座標系での座標位置および三次元相対位置に基づいて、三次元画像座標系での手術すべき領域の座標位置を調整することで、調整された手術すべき領域が患者の頭部および顎骨による位置変動に適応することが可能になり、歯科医師が口腔手術操作を完成するように引き続きガイドする。
【0064】
本発明の実施例が提供する口腔ナビゲーション方法は、視覚ナビゲータによりそれぞれ手術すべき領域および手術器具に設けられた視覚マークを追跡し、三次元画像座標系での手術すべき領域の座標位置をリアルタイムに調整することで、口腔手術操作の精度を向上させる。
【0065】
上記のいずれかの実施例によれば、手術すべき領域の視覚マークは口腔ガイドプレートによって実装され、口腔ガイドプレートは手術すべき領域の歯列の三次元曲面に基づいて決定されるものである。
【0066】
具体的には、患者の頭部が動いている場合でも正確に手術を行うために、患者の顎骨に患者追跡装置を取り付けることができる。
【0067】
図5は本発明の実施例が提供する患者追跡装置の構造模式図であり、図5に示すように、当該患者追跡装置は、口腔ガイドプレート501と、接続ロッド502と、手術すべき領域の視覚マーク503と、を備える。視覚マーカ503は、接続ロッド502を介して口腔ガイドプレート501に接続されている。患者追跡装置は、3Dプリントなどの手段で迅速に作製できる。
【0068】
口腔ガイドプレート501は、患者の口腔内の手術すべき領域の歯列の三次元曲面に基づいて決定されるものであり、患者の歯列に取り付け、かつ厳密に合わせることができる。口腔手術中において、患者の歯列にこの装置が装着されると、視覚ナビゲーション装置によって患者の顎骨の位置をリアルタイムに検出することができる。
【0069】
以上説明した装置の実施例は単なる例示であり、ここで前記分離部品として説明したユニットは、物理的に分離されていてもよく、物理的に分離されていなくてもよい。ユニットとして表示する部品は、物理的なユニットであってもよく、物理的なユニットでなくてもよく、すなわち一箇所に位置していてもよく、或いは複数のネットワークユニットに分布されていてもよい。実際の必要に応じて一部または全部のモジュールを選択して本実施例の方案の目的を達成することができる。当業者は創造的な労働を要することなく、理解して実施することができる。
【0070】
以上の実施形態の説明により、当業者であれば明らかなように、各実施形態はソフトウェアおよび必要な汎用ハードウェアプラットフォームの方式で実現でき、もちろん、ハードウェアでも実現できる。このような理解に基づき、上記の技術案は、本質的に、或いは従来技術に寄与する部分がソフトウェア製品の形式で体現することができ、該コンピュータソフトウェア製品は、例えば、ROM/RAM、磁気ディスク、光ディスク等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶され得、1つのコンピュータ装置(パーソナルコンピュータ、サーバ、またはネットワーク装置等であってもよい)に各実施例または実施例の一部に記載される方法を実行させるための複数の命令を含む。
【0071】
最後に説明すべきことは、以上の実施例は本願の技術案を説明するためだけであり、それを限定するものではない。前述の実施例を参照して本願を詳細に説明したが、当業者であれば、依然として前述の各実施例に記載される技術案を変更し、或いはそのうちの一部の技術特徴を等価に置き換えることができ、これらの変更または置き換えは、対応する技術案の本質が本願の各実施例の技術案の精神および範囲から逸脱させるものではないことを理解すべきである。
【符号の説明】
【0072】
100…ベース
110…第1の位置決めアーム
120…第2の位置決めアーム
101…第1の回転関節
102…第2の回転関節
103…第3の回転関節
130…ジャケット
201…歯車
211…第1のラック
212…第2のラック
221…第1の頭受け
222…第2の頭受け
301…直列位置決めアーム
302…歯科治療椅子
303…視覚ナビゲータ
304…手術器具
501…口腔ガイドプレート
502…接続ロッド
503…視覚マーク
図1
図2
図3
図4
図5