(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022019691
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】セグメントを有するブレーキディスクアセンブリ
(51)【国際特許分類】
F16D 65/12 20060101AFI20220120BHJP
B61H 5/00 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
F16D65/12 R
B61H5/00
F16D65/12 B
F16D65/12 U
F16D65/12 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021118005
(22)【出願日】2021-07-16
(31)【優先権主張番号】2007517
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】313011906
【氏名又は名称】アルストム トランスポート テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】モハメド・ハルーニ
(72)【発明者】
【氏名】リオネル・ヴァレット
(72)【発明者】
【氏名】ルディ・マン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ダヴィオン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-ジャック・カカノウキリ
【テーマコード(参考)】
3J058
【Fターム(参考)】
3J058AA48
3J058BA32
3J058BA46
3J058CB12
3J058CB14
3J058CB17
3J058CB23
3J058CB25
3J058CB27
3J058DD02
3J058DD03
3J058FA21
(57)【要約】
【課題】温度変化の場合にずれを回避するブレーキディスクアセンブリを提供する。
【解決手段】本発明は、中心駆動ハブ(12)と、ハブ(12)の周りで軸方向に共に保持される第1の面(14)および第2の面(16)を備える摩耗ディスクと、を備えるブレーキディスクアセンブリ(10)に関する。各面(14,16)は、それぞれの内表面(24,26)を有しかつ少なくとも2つの別個のセグメント(32)で形成され、各セグメント(32)は、2つの径方向縁部(34,36)の間で延在する。一方の面(14,16)のセグメント(32)の径方向縁部(34,36)は、他方の面(14,16)のセグメント(32)の径方向縁部(34,36)に対向して延在しない。面の各セグメント(32)は、前記面(14,16)を保持するように構成された少なくとも1つの締結部材を介して、他方の面のセグメントに固定されるように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心駆動ハブ(12)と、第1の面(14)および第2の面(16)を備える摩耗ディスクと、を備えるブレーキディスクアセンブリ(10)であって、前記第1の面(14)および前記第2の面(16)は、前記中心駆動ハブ(12)の周りで軸方向に共に保持され、各前記面(14,16)は、それぞれの内表面(24,26)を有し、それぞれの前記内表面(24,26)は、他方の前記面(14,16)の前記内表面(24,26)に対面し、各前記面(14,16)は、少なくとも2つの別個のセグメント(32)で形成され、各前記セグメント(32)は、2つの径方向縁部(34,36)の間で延在し、
一方の面(14,16)の前記セグメント(32)の前記径方向縁部(34,36)は、他方の前記面(14,16)の前記セグメント(32)の前記径方向縁部(34,36)に対向して延在せず、各前記面のセグメント(32)は、前記面(14,16)を保持するように構成された少なくとも1つの締結部材を介して、他方の前記面のセグメントに固定されるように構成され、
各前記面(14,16)は、同じ所定の数(n)のセグメント(32)を備え、各前記セグメント(32)は、前記面(14,16)のすべてのセグメント(32)について、等しい角度範囲(α)を有し、対面する面(14,16)のセグメント(32)の間の角度オフセット(θ)は、セグメントの前記所定の数に対する前記角度範囲の比に実質的に等しい、ブレーキディスクアセンブリ(10)。
【請求項2】
各前記締結部材は、各前記締結部材が関連付けられた前記面の各前記セグメント(32)について、前記セグメント(32)の前記内表面(24,26)上に位置決めされた少なくとも1つのフック(40,42)であって、他方の前記面(14,16)のセグメント(32)の対応するフック(40,42)と対となることが可能な、少なくとも1つのフック(40,42)を備える、請求項1に記載のブレーキディスクアセンブリ。
【請求項3】
各前記締結部材は、2つの前記面の間に延在するリング(140)を備え、前記リング(140)は、前記中心駆動ハブ(12)の回転軸に平行に、それぞれの穴(130,132)を介して前記リング(140)が関連付けられる各前記セグメント(32)を貫通し、前記それぞれの穴(130,132)で測定された前記リング(140)の直径と前記それぞれの穴(130,132)の直径との間の比は、90%と99%との間である、請求項1または2に記載のブレーキディスクアセンブリ。
【請求項4】
各前記締結部材は、ネジ(150)とナット(152)とを備え、前記ネジ(150)は、前記リング(140)により画成される通路穴を貫通しかつ前記ナット(152)に関連付けられ、前記ネジ(150)は、前記リング(140)が関連付けられた一方の前記セグメントの穴(130,132)の縁部に対面するヘッド(154)を備え、前記ナット(152)は、前記リング(140)が関連付けられた他方の前記セグメントの前記穴(130,132)の縁部に対面して位置決めされ、前記ナット(152)および前記ネジ(150)は、締められたときに、前記中心駆動ハブ(12)の前記回転軸に平行に前記リング(140)に力を及ぼすのに適しており、前記中心駆動ハブ(12)の前記回転軸に平行に測定された前記ネジ(150)の前記ヘッド(154)と前記ナット(152)との間の距離と、前記リングが関連付けられた前記穴(130,132)の前記縁部の間の距離と、の間の比は、101%と110%との間である、請求項3に記載のブレーキディスクアセンブリ。
【請求項5】
各前記面(14,16)の前記セグメント(32)の各自の各前記径方向縁部(34,36)について、前記径方向縁部と、前記径方向縁部に隣接する同じ面の別のセグメントの径方向縁部と、の間に位置決めされる少なくとも1つの締結部材を備える、請求項3または4に記載のブレーキディスクアセンブリ。
【請求項6】
各前記セグメント(32)は、前記中心駆動ハブに少なくとも1つの締結タブ(64)を備え、各前記締結タブは、内表面と外表面との間に締結貫通穴(70)を画成し、
各前記締結タブ(64)は、内表面(66)と外表面(68)とを有し、1つの締結タブの前記内表面(66)は、対向するセグメントの締結タブの内表面に対面し、
対となる締結タブの前記締結貫通穴は、位置合わせされ、
前記ブレーキディスクアセンブリは、互いに対となる締結貫通穴(70)の各ペアについて、締結装置(72)を備え、前記締結装置は、各自が前記締結貫通穴(70)の1つにそれぞれ挿入されるのに適している2つの反対側の端部(160,162)を備える締結スリーブ(76)を備える、請求項1から5のいずれか1項に記載のブレーキディスクアセンブリ。
【請求項7】
前記端部(160,162)および前記締結貫通穴(70)は、形状が楕円状である、請求項6に記載のブレーキディスクアセンブリ。
【請求項8】
各前記セグメント(32)は、中心締結タブと、前記中心締結タブの両側に配設された2つの遠位締結タブと、を備え、同じセグメント(32)の前記中心締結タブおよび前記遠位締結タブの各前記締結貫通穴(70)は、前記締結貫通穴(70)を貫通する中心軸に対して垂直なそれぞれの第1の長手方向軸(D1,D2,D3)に沿って楕円状の形状を有し、各前記締結貫通穴(70)の前記第1の長手方向軸(D1,D2,D3)は、他の締結貫通穴(70)の前記第1の長手方向軸(D1,D2,D3)に対して、非ゼロ角度を形成する、請求項6または7に記載のブレーキディスクアセンブリ。
【請求項9】
対応する前記第1の長手方向軸(D1,D3)に沿って測定された前記遠位締結タブの前記締結貫通穴(70)の各自の最大長さは、前記締結貫通穴(70)に挿入されるように意図された前記端部(160,162)の最大長さの102%と108%との間であり、前記端部(160,162)は、前記端部(160,162)が関連付けられた前記締結貫通穴(70)の縁部と共に、前記中心締結タブの側に自由空間(164,166)を形成する、請求項8に記載のブレーキディスクアセンブリ。
【請求項10】
各前記締結スリーブ(76)について、各前記端部(160,162)は、前記締結スリーブ(76)の中心軸(Δ)に対して垂直な第2の長手方向軸(E1,E2)に沿って形状が楕円状であり、同じ締結スリーブ(76)の前記端部(160,162)の前記第2の長手方向軸(E1,E2)は、互いに10°と70°との間に含まれる角度を形成する、請求項6から9のいずれか1項に記載のブレーキディスクアセンブリ。
【請求項11】
同じ締結スリーブ(76)の前記端部(160,162)の前記第2の長手方向軸(E1,E2)は、互いに15°と25°との間に含まれる角度を形成する、請求項10に記載のブレーキディスクアセンブリ。
【請求項12】
各前記締結装置(72)は、前記締結スリーブ(76)に挿入可能な関連付けられた締結部材(74)を備え、前記中心駆動ハブ(12)は、少なくとも1つの締結部材タブ(64)に接して延在する少なくとも1つの固定タブ(20)を備え、
前記締結部材(74)は、前記締結スリーブ(76)および前記固定タブ(20)を貫通するように構成される中心本体と、前記中心本体の一端で前記固定タブ(20)に接して延在するヘッドと、を備える、請求項6から11のいずれか1項に記載のブレーキディスクアセンブリ。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載のブレーキディスクアセンブリ(10)を備えるディスクブレーキシステムを備える、鉄道車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中心駆動ハブと、第1の面および第2の面を備える摩耗ディスクと、を備えるブレーキディスクアセンブリに関し、これらの面は、ハブの周りで軸方向に共に保持され、各面は、それぞれの内表面を有し、それぞれの内表面は、他方の面の内表面に対面し、各面は、少なくとも2つの別個のセグメントで形成され、各セグメントは2つの径方向縁部の間に延在する。
【0002】
本発明はさらに、関連付けられた鉄道車両に関する。
【背景技術】
【0003】
特許文献1は、中心駆動ハブと、ハーフリングに分割される2つの摩耗リングと、を備えるディスクブレーキアセンブリを説明する。ハーフリングはネジにより接続される。
【0004】
しかしながら、温度が上昇すると、アセンブリは膨張する。
【0005】
ネジが摩耗リングを保持すると、膨張によりネジの周囲に熱機械的応力が発生する。
【0006】
さらに、ネジで共に保持されるリングの変形は、アセンブリをずらして移動させ、ブレーキシステムの誤動作を導き得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2359321号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の課題は、温度変化の場合にずれを回避するブレーキディスクアセンブリを提供することである。
【0009】
この目的のために、本発明の課題は、前述のタイプのブレーキディスクアセンブリであって、一方の面のセグメントの径方向縁部は、他方の面のセグメントの径方向縁部に対向して延在せず、各面のセグメントは、前記面を共に保持するように構成された少なくとも1つの締結部材を介して、他方の面のセグメントに固定されるように構成される、ブレーキディスクアセンブリである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ブレーキディスクアセンブリはさらに、単独でまたは技術的に可能な任意の組み合わせで得られる、以下の特徴の1つ以上を示し得る。
-各締結部材は、各締結部材が関連付けられた面の各セグメントについて、前記セグメントの内表面上に位置決めされた少なくとも1つのフックであって、他方の面のセグメントの対応するフックと対となることが可能な、少なくとも1つのフックを備える。
-各締結部材は、2つの面の間に延在するリングを備え、リングは、ハブの回転軸に平行に、それぞれの穴を介してリングが関連付けられる各セグメントを貫通し、前記それぞれの穴で測定されたリングの直径とそれぞれの穴の直径との間の比は、90%と99%との間、好ましくは95%と99%との間である。
-各締結部材は、ネジとナットとを備え、ネジは、リングにより画成される通路穴を貫通するのに適しかつナットに関連付けられるのに適し、ネジは、リングが関連付けられた一方のセグメントの穴の縁部に対面するヘッドを備え、ナットは、リングが関連付けられた他方のセグメントの穴の縁部に対面して位置決めされ、ナットおよびネジは、それらが締められたときに、ハブの回転軸に平行にリングに力を及ぼすのに適しており、ハブの回転軸に平行に測定されたネジのヘッドとナットとの間の距離と、リングが関連付けられた穴の縁部の間の距離と、の間の比は、101%と110%との間、好ましくは104%と107%との間である。
-アセンブリは、各面のセグメントの各自の各径方向縁部について、前記径方向縁部と、前記径方向縁部に隣接する同じ面の別のセグメントの径方向縁部と、の間に位置決めされる少なくとも1つの締結部材を備える。
-各セグメントは、少なくとも1つのハブ取付タブを備え、各取付タブは、内表面と外表面との間に貫通取付穴を画成し、各締結タブは、内表面と外表面とを有し、1つの締結タブの内表面は、対向するセグメントの締結タブの内表面に対面し、対となる締結タブの締結穴は、位置合わせされ、アセンブリは、対となる締結穴の各ペアについて、締結装置を備え、締結装置は、各自が締結穴の1つにそれぞれ挿入されるのに適している2つの反対側の端部を備える締結スリーブを備える。
-端部および締結穴は形状が楕円状である。
-各セグメントは、中心締結タブと、中心締結タブの両側に配置された2つの遠位締結タブと、を備え、同じセグメントの中心タブおよび遠位タブの各締結穴は、前記締結穴を貫通する中心軸に対して垂直なそれぞれの第1の長手方向軸に沿って楕円状の形状を有し、各締結穴の第1の長手方向軸は、他の締結穴の第1の長手方向軸に対して、非ゼロ角度を形成する。
-対応する第1の長手方向軸に沿って測定された遠位締結タブの締結穴の各自の最大長さは、前記穴に挿入されるように意図された端部の最大長さの102%と108%との間であり、端部は、端部が関連付けられた締結穴の縁部と共に、中心締結タブの側に自由空間を形成する。
-各スリーブについて、各端部は、前記スリーブの中心軸に直交する第2の長手方向軸に沿って形状が楕円状であり、各端部の長手方向軸は、互いに10°と70°との間、好ましくは15°と25°との間の角度を形成する。
-各締結装置は、前記スリーブに挿入されるように構成される関連付けられた締結部材を備え、ハブは、締結タブに接して延在する少なくとも1つの固定タブを備え、締結部材は、スリーブおよび固定タブを貫通するように構成される中心本体と、本体の一端で固定壁に接して延在するヘッドと、を備える。
-各面は、同じ所定の数のセグメントを備え、各セグメントは、面のすべてのセグメントについて、等しい角度範囲を有し、対面する面のセグメントの間の角度オフセットは、セグメントの数に対するセグメントの1つの角度範囲の比に実質的に等しい。
-各フックは、少なくとも1つの主要部および肩部を備え、肩部は、主要部の上縁部から、面の局所的な接線方向と実質的に平行な方向に延在し、肩部は、主要部により内表面から分離される。
-同じ面のフックは、円上に位置付けられ、フックの肩部は、円上で同じ方向に向けられる。
-締結部材の少なくとも1つは、面の1つの外縁部に近接して延在する。
-各面は、3つのセグメントを備え、各セグメントは、120°に実質的に等しい角度範囲を有し、2つの対面するセグメントの径方向縁部の間の角度オフセットは、40°に実質的に等しい。
-各面の内表面は、換気フィンを有し、面の換気フィンは、一方の面のフィンが他方の面のフィンと重なるように互いに対応する。かつ/又は
-面は、締結部材によりハブに接続され、アセンブリは、前記締結部材と面との間の各締結部材について少なくとも1つのスリーブを備える。
【0011】
本発明はさらに、前に説明されるディスクアセンブリを備えるディスクブレーキシステムを備える鉄道車両に関する。
【0012】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図を参照して、決して限定するものではなく表示として以下に与えられる詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明によるディスクアセンブリの第1の実施形態の概略斜視図であり、1つのセグメントが欠落している。
【
図2】
図1から欠落しているセグメントの概略斜視図である。
【
図4】ハブおよび締結部材を除く
図1のアセンブリの概略斜視図である。
【
図5】
図1のアセンブリのフックの詳細の概略斜視図である。
【
図6】本発明によるディスクアセンブリの第2の実施形態の概略斜視図であり、1つのセグメントが欠落している。
【
図7】
図6のアセンブリの概略斜視図であり、2つのセグメントが欠落している。
【
図8】
図6のアセンブリのセグメントならびに対応するスリーブおよび締結部材の概略上面図である。
【
図9】
図6のアセンブリのスリーブの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施形態によるブレーキディスクアセンブリ10は、
図1~
図5に示される。
【0015】
このようなディスクアセンブリ10は、例えば、鉄道車両に含まれるディスクブレーキシステムに適している。ディスクアセンブリ10を除く構造、およびこのようなブレーキシステムの操作は知られており、ここではさらに詳細に説明されない。
【0016】
アセンブリ10は、中心駆動ハブ12および摩耗ディスクを備える。
【0017】
ディスクは、第1の面14および第2の面16を備える。
【0018】
面14,16は、ハブ12の周りで軸方向に共に保持される。
【0019】
ハブ12は、車軸からホイールに回転を伝達するように車軸18に接続されるように構成される。
【0020】
ハブ12は、例えば、いわゆる横断方向Yに延在する軸の周りに延在する実質的に円筒形のリングを備え、以下では、軸は、回転軸Aと呼称される。
【0021】
横断方向Yは、車軸の主方向である。
【0022】
ハブ12はさらに、リングの外表面から延在する複数の固定タブ20を有する。各固定タブ20は、横断方向Yに対して垂直なそれぞれの径方向に延在する。ここでは、固定タブ20は、横断方向Yに沿うリングの外表面のいわゆる上縁部19に近接して延在する。
【0023】
固定タブ20は、ハブ12の周りに均一な角度分布を有し、すなわち、隣接する固定タブ20の間の角度は一定である。
【0024】
各固定タブ20は、貫通穴22を有し、穴22は、横断方向Yに固定タブ20を貫通する。より具体的には、穴22は、横断方向Yに沿って延在する軸を有する円筒形の穴である。
【0025】
特に、固定タブ20は、以下に説明されるように、ディスクの面14,16をハブに固定するために使用される。
【0026】
面14,16は、例えば、同一である。
【0027】
各面14,16は、外縁部21を有する。
【0028】
各面14,16は、回転軸Aの周りに延在するリングの全体形状を有し、その結果、各面14,16は、また、内縁部23を有し、内縁部23および外縁部21は円であり、内縁部23の直径は外縁部21の直径よりも小さい。
【0029】
各面14,16は、それぞれの内表面24,26およびそれぞれの外表面28,30を有する。
【0030】
面14,16の内表面24,26は、互いに対面する。
【0031】
各面14,16は、少なくとも2つの、より具体的には、ここでは3つの別個のセグメント32で形成される。
【0032】
各面14,16は、同じ決定された数nのセグメントを備え、nは、ここでは3に等しい。
【0033】
各セグメント32は1つの部品で作成されており、例えば、成型される、あるいは鍛造により得られる。
【0034】
セグメント32は、鍛造鋼で、より具体的には、クロム(Cr)と、モリブデン(Mo)と、有利には過熱温度を上昇させるようにバナジウム(V)と、を含む鋼で、より具体的には、28CrMoVa0508鋼で作成される。
【0035】
同じ面14,16のセグメント32は、ここでは同一である。図示される実施形態では、ディスクの2つの面のセグメント32もまた、互いに同一である。
【0036】
各セグメント32は、面の径方向および横断方向Yに沿って延在する径方向平面に沿って切断された、面14,16の一部である。
【0037】
各セグメント32は、2つの径方向縁部34,36の間に延在する。
【0038】
セグメントの角度範囲αは、セグメント32によりその2つの径方向縁部34,36の間で形成される角度として定義される。
【0039】
各セグメント32は、同じ面14,16のすべてのセグメントについて、より具体的には、第1の面14および第2の面16のすべてのセグメントについて等しい角度範囲αを有する。
【0040】
ここでは、各セグメントは、120°に実質的に等しい、より具体的には、115°と120°との間の、角度範囲αを有する。
【0041】
同じ面のセグメント32は接触しておらず、その結果、2つの隣接するセグメントの間にギャップ38が存在する。この空間は、例えば、0mmと5mmとの間の寸法を有する。特に、この空間は、セグメントの間の僅かなクリアランスをもたらし、場合により、例えば、温度の上昇による、この領域のセグメントの膨張を可能にする。
【0042】
面のすべてのセグメント32は、セグメントの間の空間38を除き、連続したリングを形成する。
【0043】
第1の面14のセグメントの径方向縁部34,36は、第2の面16のセグメントの径方向縁部に対向して延在しない、すなわち、一方の面のセグメントは、他方の面のセグメントから角度的にオフセットされる。
【0044】
2つの対向する面のセグメントの径方向縁部の間の角度オフセットθは、前記径方向縁部の間の最小角度として定義される。2つの対向する面のセグメントの間の角度オフセットθを、2つのセグメントの径方向縁部の間の最小角度オフセットとして定義する。
【0045】
この場合、対面するセグメント32の間の角度オフセットθは、αをnで割ったもの、すなわち、α/nに等しく、αはセグメントの角度範囲であり、nは面あたりのセグメントの数である。
【0046】
示される例では、2つの対面するセグメント32の縁部の間の角度オフセットθは、空間38を加えて、あるいは含んで、40°に実質的に等しい。
【0047】
角度オフセットは、2つの面により形成されるアセンブリが機械的連続性を有することを可能にする。実際に、2つの面が、径方向縁部が横断方向Yに沿って位置合わせされるセグメントを有する場合、面の間の空間を含む平面は、ディスクアセンブリの機械的に弱い平面に相当する。
【0048】
面の各セグメント32は、前記面14,16を保持するように構成された少なくとも1つの締結部材を介して、他方の面のセグメントに固定されるように構成される。
【0049】
より具体的には、ここでは、各セグメント32は、面の内表面26上に、セグメント32あたり少なくとも1つのフック40,42を、より具体的には、ここでは2つのフック40,42を備える。
【0050】
各フックは、前記面14,16を共に保持するために、他方の面上の対応するフックと対となるように構成される。
【0051】
この場合、各締結部材は、各締結部材が関連付けられた面の各セグメント32について、前記セグメント32の内表面24,26上に位置決めされた少なくとも1つのフック40,42であって、他方の面14,16のセグメント32の対応するフック40,42と対となることが可能な、少なくとも1つのフック40,42を備える。
【0052】
各フック40,42は、面14,16の1つの外縁部21に近接して、より具体的には、縁部21から7.0mm未満の距離で延在する。
【0053】
所定の面14,16のフック40,42は同じ円上に位置付けられ、ここでは円は面と同軸である。
【0054】
各フック40,42は、少なくとも1つの主要部44,46および肩部48,50を備える。主要部44,46は、内表面24,26から延在する。肩部48,50は、主要部44,46の上縁部から延在し、肩部は、主要部44,46により内表面26から分離される。
【0055】
肩部48,50は、面14,16の局所的な径方向に対して実質的に垂直な方向に延在する。同じ面のフック40,42の肩部48,50は、円上で同じ方向に向けられる。
【0056】
肩部48,50は、ブロックのような形状である。
【0057】
フック40,42は、第1の形状および第2の形状の、2つの異なる形状の一方であり得る。ここでは、
図5に見られるように、第1の形状によるフックは、第2の形状によるフックと対となるように構成される。
【0058】
より具体的には、各セグメント32は、第1の形状および第2の形状のフックが他方の面の第1の形状および第2の形状のフックと対となり得るように、第1の形状および第2の形状のフックが面上で交互になるように第1の形状の第1のフック40と第2の形状の第2のフック42とを有する。
【0059】
第1の形状を有するフック40において、主要部44は、矩形ブロックの形状を有する。したがって、フック40は、主要部44により形成される第1の脚部と、肩部48により形成される第2の脚部と、を有するL字型である。肩部48は内表面に対向して延在する。
【0060】
第2の形状を有するフック42において、主要部46は、ディスクの内表面に接して延在する第1の脚部と、前記内表面に対して垂直に延在する第2の脚部と、を有するL字型ブロックの形態を有する。したがって、フックの全体形状は、異なる寸法を有し得る側部を有するU字型である。肩部50は、主要部46の第1の脚部に対面する。
【0061】
フック40,42の肩部48,50は、対応するフック42,40の肩部50,48と、対応するフック42,40のディスクと、の間に受容される。
【0062】
より具体的には、第2の形状を有するフック42の肩部50は、第1の形状を有する対応するフック40の肩部48と、第1の形状を有するフック40を備える面の内表面と、の間に受容される。第2の形状を有するフック42の肩部50の横断方向Yにおける寸法は、第1の形状を有するフック40の肩部48と、内表面と、の間の距離よりも厳密に大きい。
【0063】
第1の形状のフック40の肩部48は、第2の形状を有する対応するフック42における肩部50と、主要部46の第1の脚部と、の間に受容される。第1の形状を有するフック40の肩部48の横断方向Yにおける寸法は、第2の形状を有するフック42における肩部50と、主要部46の第1の脚部と、の間の距離に実質的に等しく、すなわち、ここでは前記距離とその5%増大された前記距離との間である。例えば、フック40の肩部48とフック42との間には、ここでは0.1mmと0.2mmとの間のクリアランスが存在する。
【0064】
特に、これは、摩耗ディスクを形成するように、面が横断方向Yで共に保持されることを可能にする。
【0065】
特に、フック形状は、2つの面14,16の接続手段の軸Aに対して垂直な平面内のクリアランスをもたらす。
【0066】
特に、図示される例では、フックの肩部と、前記肩部に対応するフックと、の間に、接線方向Tの、すなわち、径方向および横断方向Yに対して垂直なクリアランスが存在する。
【0067】
各面14,16の内表面24,26は、また、換気フィン52を有する。
【0068】
面14,16の換気フィン52は、一方の面14のフィンが他方の面16のフィンと重なるように対応する。
【0069】
より具体的には、各フィン52は、対応するフィンと同一の形状を有する。
【0070】
換気フィンは、各自が横断方向Yに対して垂直な平面内のそれぞれの主方向を定義するように、細長い。
【0071】
各フィン52は、内表面24,26での基部54と、対向する面の内表面24,26に対面する頂部56と、の間で、Y方向に延在する。
【0072】
面のすべてのフィン52は、同じ面のフィン52の頂部56が、実質的に同じ平面内に延在するように、横断方向Yにおいて同じ寸法を有する。
【0073】
2つの隣接する面24および面26上で互いに対面するフィン52は、それぞれの頂部56全体にわたって接触する。
【0074】
基部54および頂部56は、各自が楕円状の形状を有し、ここでは頂部56は、基部の横断方向Yに沿った投影に含まれ、すなわち、頂部56は、基部よりも小さい面積を有する。
【0075】
特に、フィンの表面積は、基部から頂部に向かって徐々に減少する。換言すれば、フィン52は、基部54から頂部56まで減少する断面の大きさを有する。
【0076】
示される例では、横断方向Yに対して垂直な平面内のフィン52の各断面は、中心部58と、中心部58の両側に2つの端部60,62と、を有し、中心部58は、矩形であり、2つの端部60,62は、矩形の辺の1つを直径として有する半円を形成する。半円の直径は、基部54から頂部56まで厳密に減少する。半円の直径を形成しない矩形の辺は、基部54から頂部56まで一定の寸法を有する。
【0077】
フィンの形状は、ディスク面の異なるセクターの間の接触を支持しながら、ディスクの最適な冷却を可能にし、ディスクの機械的強度を確保する。
【0078】
単一のセグメントのフィン52は、ディスクの径方向に沿って列をなして内表面24,26上に分布させられる。1つの列のフィン52は、互いに平行である。
【0079】
横断方向Yに対して垂直な平面で得られた、フィン52の主方向は、局所的な径方向に対して-55°と+55°との間の角度を、より具体的には、+35°または-35°、+45°または-45°、あるいは、+55°または-55°に等しい角度を有する。
【0080】
ここでは、1つの列のフィン52は、それぞれの径方向に対して、隣接する列の各自のフィン52の角度と反対の角度を有する。2つの隣接する列の間には、径方向軸であって、2つの列の一方の翼の主方向が、前記径方向軸に対して2つの列の他方の翼の主方向と対称であるような、径方向軸が存在する。
【0081】
このようなフィンの分布は、分布の対称性と、換気によるエネルギー消費の削減と、を可能にする。
【0082】
各セグメント32は、内縁部23に少なくとも1つの締結タブ64を、より具体的には、ここでは3つの締結タブを備える。
【0083】
具体的には、各セグメント32は、
図2に示されるように、中心締結タブと、中心締結タブの両側に配設された2つの遠位締結タブと、を含む。
【0084】
面を形成するセグメント32は、ハブ12が有する固定タブ20と同じ数の締結タブ64を有する。
【0085】
セグメント32の締結タブ64は、セグメントの内縁部23に沿って均一な角度分布を有する。
【0086】
各締結タブ64は、前記リングにより画成される空間内で、面のリング形状の外側に部分的に延在する。より具体的には、締結タブ64の局所的な径方向における最大寸法の40%から60%は、リング形状の内表面に取付けられ、前記寸法の40%から60%は、リング形状の外側にある。
【0087】
各締結タブ64は、内縁部65でハブ12に接触する。これは、全体の組立ておよび釣合せを容易にするために、ディスクの様々なセクターを中心合わせすることを可能にする。
【0088】
示される例では、各締結タブ64は、横断方向Yに対して垂直な平面に沿って実質的に三角形の形状を有し、三角形の1つの頂点はリング上にあり、前記頂点の反対側の三角形の辺は、ハブ12と接触する内縁部65である。
【0089】
各締結タブ64は、対向するセグメントの締結タブと対となるように構成される。
【0090】
各締結タブ64は、内表面66と外表面68とを有し、1つの締結タブ64の内表面66は、対向するセグメントの締結タブの内表面に対面する。
【0091】
より具体的には、各締結タブ64の内表面66は、対向するセグメントからの、各締結タブ64が対となるタブの内表面と接触する。
【0092】
ここでは、各締結タブ64は、その内表面66がセグメント32のフィン52の頂部56と同じ平面にあるように、横断方向Yに沿った寸法を有する。
【0093】
リングの外側の締結タブ64の一部は、内表面66と外表面68との間に締結貫通穴70を画成する。ここでは、締結穴70は、横断方向Yに沿って延在する。
【0094】
締結穴70は、ハブ12の固定タブ20の穴22よりも厳密に大きい、横断方向Yに対して垂直な寸法を有する。
【0095】
対となる締結タブ64の締結穴70は、位置合わせされる。
【0096】
タブ64は、セグメント32の各締結タブ64がハブ12の固定タブ20と位置合わせされ、かつ逆もまた同様であるような、分布を有する。
【0097】
アセンブリ10はさらに、面14,16をハブ12に接続するための締結装置72を備える。
【0098】
締結装置72は、少なくとも1つの、ここでは複数の締結要素74と、少なくとも1つの、ここでは複数のスリーブ76と、有利には締結座金78と、を備える。
【0099】
締結座金78は、第2の面16の内径に実質的に等しい外径を有するリングの全体形状を有する。
【0100】
締結座金78の径方向寸法は、リングの外側の第2の面16の締結タブ64の最大径方向寸法に等しい。
【0101】
締結座金78は、複数のセグメントを、より具体的には、第2の面16が有するセグメントと同じ数のセグメントを含む。
【0102】
締結座金78の各セグメントは、対応する第2の面16のセグメント32と対となる。より具体的には、締結座金78のセグメントの外径は、第2の面16のセグメント32の内縁部23に接して、セグメントの角度範囲にわたって延在する。
【0103】
したがって、締結座金78は、第2の面16のリングと連続して、前記リングの内側に延在する。
【0104】
締結座金78は、締結タブ64の外表面68に接して延在する。
【0105】
締結座金78の各セグメントは、第2の面16が備える締結タブ64と同じ数の、横断方向Yに沿った貫通穴を画成する。据付座金78の貫通穴は、締結タブ64の締結穴70と横断方向Yに位置合わせされる。
【0106】
締結座金穴78は、ハブ12の固定タブ20の穴22よりも厳密に大きい、横断方向Yに対して垂直な寸法を有する。
【0107】
座金は、締結具を解放するために遠心力を吸収するように使用される。さらに、座金は、ディスクの面を共に密着させることを可能にする。
【0108】
各締結部材74は、例えば、ネジまたはボルトまたはダボまたはピンを備える。これは、プレスなどの締結部材と比較して、組立ての容易さをもたらす。したがって、1つ以上のセグメントが摩耗した場合、締結要素74を単に取外すことにより、当該セグメントを交換することが容易であり、これはまた、ハブが車軸から分離されることを必要としない。
【0109】
各締結部材74は、貫通穴22を介してハブ12の固定タブ20を、締結穴70を介して第1の面14および第2の面16の各自のセグメント32の対応する締結タブ64を、かつ、適用可能であれば、締結座金78の対応する穴を、貫通する。締結部材74は、主に、前記穴22、70の主方向に沿って、すなわち、ここでは横断方向Yに沿って、延在する。
【0110】
締結タブ64および固定タブ20の寸法は、ハブ12の固定タブ20が第1の面14の対応する締結タブ64と接触するような寸法であり、第1の面14は、それぞれの締結タブ64で第2の面16と接触する。
【0111】
締結部材74は、図示される例では、ヘッドと中心本体とを含む。
【0112】
中心本体は、締結タブ64および固定タブ20を貫通するように構成される。
【0113】
中心本体は、穴22,70を貫通する。
【0114】
ヘッドは、本体の一端でハブ12の固定タブ20に接して延在する。
【0115】
締結部材74の直径は、締結部材74と、締結部材74が貫通する穴22,70の縁部と、の間にギャップが存在するような直径である。
【0116】
図示される例では、締結装置72は、各締結部材74のためにスリーブ76を含む。
【0117】
スリーブ76は、それぞれの締結部材74を取囲む。
【0118】
より具体的には、前記スリーブ76は、締結部材74と、前記締結部材74が貫通する締結タブの締結穴70の縁部と、の間の空間に、より具体的には、固定タブ20と締結座金78との間で軸方向に延在する。
【0119】
ここでは、締結部材74の中心本体は、スリーブ76および固定タブ20を貫通するように構成される。
【0120】
ここでは、各スリーブ76は、2つの反対側の端部を備える。各端部は、関連付けられた締結タブ64の締結穴70の1つに挿入されるように構成される。
【0121】
前記締結タブ64の締結穴70の直径は、前記穴に挿入される端部の直径の100%と108%との間である。
【0122】
スリーブ76は、鋼で、より具体的には、クロムおよびモリブデンを含む硬質鋼で、より具体的には、42CrMo4鋼で作成される。
【0123】
代替的には、締結装置72は、締結部材の少なくとも1つの周りに複数のスリーブを備え、スリーブは、締結部材に沿って順番に横断方向Yに配置される。
【0124】
特に、スリーブ76の使用は、セグメントの自由を確保しかつ締結要素74に加えられる応力を低減し、特に、ネジ、ボルト、スタッド、またはダボのタイプの締結部材の使用を可能にする。
【0125】
フックによるディスク面の保持は、軸Aに対して垂直な平面上での変形の一定の自由をもたらす。
【0126】
これより、本発明の第2の実施形態によるブレーキディスクアセンブリ10が、
図6~
図9を参照して説明される。
【0127】
第2の実施形態が第1の実施形態と異なる特徴のみが以下で説明される。
【0128】
以下では、類似または同一の特徴は同じ参照符号で参照される。
【0129】
示される第2の実施形態では、セグメントの内表面は、説明されるように、前の実施形態に対してフックを欠いている。
【0130】
各セグメント32は、締結部材を受容するための穴130,132を画成する。
【0131】
各セグメント32は、各径方向縁部34,36上に、少なくとも1つの切欠き134を、より具体的には、ここでは各径方向縁部34,36上に2つの切欠きを備える。
【0132】
単一の面14、16の隣接するセグメント32の隣接する径方向縁部の切欠き134は、2つの対応するセグメント32の間に少なくとも1つの開口部130を共に画成するように、位置合わせされる。
【0133】
少なくとも1つの穴130は、対応する面14,16を貫通して横断方向Yに沿って延在する。
【0134】
ここでは、穴130は、外表面側に肩部136を画成するようにボアを有する。
【0135】
各セグメント32はさらに、横断方向Yに沿って、対向するセグメントの径方向縁部に対向して配置される少なくとも1つの貫通穴132を画成する。より具体的には、ここでは各セグメント32は、2つの径方向縁部の間の界面に対向する2つの貫通穴132を画成する。
【0136】
各貫通穴132は、横断方向Yに沿って延在する。
【0137】
セグメント32の各貫通穴132は、対応する切欠き134により境界付けられた穴130と、横断方向Yに沿って位置合わせされる。
【0138】
ここでは、穴132は、外表面側に肩部138を画成するようにボアを有する。
【0139】
ディスクアセンブリ10は、各面14,16のセグメント32の各自の各径方向縁部34,36について、前記径方向縁部と、前記径方向縁部に隣接する同じ面の別のセグメントの径方向縁部と、の間に位置決めされる少なくとも1つの締結部材を備える。
【0140】
示される例では、面14,16のセグメント32の各自の各径方向縁部34,36は、2つの締結部材と対となる。各締結部材は、2つの隣接する径方向縁部の間に延在する。
【0141】
各締結部材は、2つの面14,16の間に、より具体的には、横断方向Yに沿って延在するリング140を備える。
【0142】
リング140は、第1の端142と第2の端144との間に横断方向Yに沿って延在する。
【0143】
第1の端142において、リング140は、面14の隣接するセグメント32の2つの径方向縁部34,36の間の界面で、より具体的には、径方向縁部の切欠き134により区切られる穴130の1つで、2つの面の一方14を、ここでは少なくとも部分的に、貫通する。
【0144】
第2の端144において、リング140は、セグメント32で、より具体的には、穴132の1つで、2つの面の他方16を、ここでは少なくとも部分的に、貫通する。
【0145】
リング140でのそれぞれの穴132,130の直径に対する、リング140が貫通する穴132,130の各自で測定されたリング140の直径の比は、90%と99%との間、好ましくは95%と99%との間である。
【0146】
リング140とそれぞれの穴132,130の各自との間のクリアランスは、横断方向Yに対して垂直な平面においていくらかの変形の自由をもたらす。したがって、温度変化の場合に及ぼされる応力および変形は制限される。
【0147】
リング140は、貫通穴を画成する。
【0148】
より具体的には、貫通穴は、横断方向Yに沿った長軸を有する円筒形の形状を有する。
【0149】
各締結部材はさらに、ネジ150とナット152とを備える。
【0150】
ネジ150とナット152とは、対となるように構成される。
【0151】
ネジ150は、リング140により画成される貫通穴を貫通する。
【0152】
ネジ150は、リング140が関連付けられた一方のセグメントの穴130,132の縁部に対面するヘッド154を含む。より具体的には、ここではヘッド154は、対応する肩部136,138に接して延在する。
【0153】
ナット152は、リング140が関連付けられた他方のセグメントの穴130,132の縁部に対向して位置決めされる。より具体的には、ここではナット152は、対応する肩部136,138に接して延在する。
【0154】
ナット152およびネジ150は、締められたときに、横断方向Yでリング140に力を及ぼすのに適している。
【0155】
横断方向Yで測定されたネジのヘッドとナットとの間の距離と、リングが関連付けられた穴の縁部の間の距離と、の間の比は、101%と110%との間、好ましくは104%と107%との間である。
【0156】
特に、これは、各締結部材が横断方向Yにクリアランスを有することを可能にする。
【0157】
さらに、示される第2の実施形態では、スリーブ76は、第1の実施形態で説明されたものと異なる。
【0158】
しかしながら、第2の実施形態の対面するスリーブ76は、第1の実施形態のものに類似のものであり得、第1の実施形態で説明されるアセンブリは、第2の実施形態で説明されるようなスリーブと共に構成され得る。
【0159】
より具体的には、示される第2の実施形態では、スリーブ76の各自の端部160,162および締結穴70は、形状が楕円状である。
【0160】
より具体的には、単一のセグメント32の中心タブおよび遠位タブの各締結穴70は、それぞれの第1の長手方向軸D1,D2,D3に沿って楕円状の形状を有する。第1の長手方向軸D1,D2,D3の各自は、前記締結穴70を貫通する中心軸に対して垂直である。より具体的には、第1の長手方向軸D1,D2,D3の各自は、横断方向Yに対して垂直である。
【0161】
各締結穴70の第1の長手方向軸D1,D2,D3は、好ましくは、少なくとも同じセグメント32内で、他の締結穴70の第1の長手方向軸D1,D2,D3に対して、例えば10°と170°との間の非ゼロ角度を形成する。
【0162】
対応する第1の長手方向軸D1,D3に沿って測定された遠位締結タブの締結穴70の各自の最大長さは、前記穴に挿入されるように意図された端部160,162の最大長さの102%と108%との間である。
【0163】
端部160,162は、端部160,162が延在する締結穴70の縁部と共に、自由空間164,166を形成する。
【0164】
自由空間164,166は、中心締結タブの側から延在する。より具体的には、自由空間164,166は、中心締結タブの最も近くで、対応する第1の長手方向軸D1,D3に沿って締結穴70の端部まで延在する。
【0165】
各スリーブ76について、各端部160,162は、それぞれの第2の長手方向軸E1,E2に沿って細長い。第2の長手方向軸E1,E2は、前記スリーブ76の中心軸Δに対して垂直である。
【0166】
スリーブ76の中心軸Δは、締結部材74の主軸に実質的に対応する。
【0167】
スリーブ76の中心軸Δは、横断方向Yに沿って延在する。
【0168】
端部160,162の最大長さは、それぞれの第2の長手方向軸に沿って測定される。
【0169】
同じスリーブ76の端部160,162の第2の長手方向軸E1,E2は、互いに10°と70°との間、好ましくは15°と25°との間の角度を形成する。
【0170】
方位E1,E2は、例えば、セクターの膨張方向にあるように定義される。
【0171】
ディスクの面は、面の間で例えば40°オフセットされたセグメントを有するので、これらの2つの面の間の膨張方向は、ここでは各スリーブの位置決め位置で、したがって単一のスリーブ76の端部160,162で、同じでない。
【0172】
スリーブの形状は、どのような制限条件が必要とされても、ディスク全体が単一の部品で作成されることを可能にし、したがってより少ない部品点数を有することを可能にする。
【0173】
代替の実施形態では、ディスクアセンブリは、第1の実施形態による締結部材と、第2の実施形態による締結部材と、を備える。
【0174】
フックにより、および/または締結部材を構成する要素の周りの空き空間の存在により、ディスクの面の保持におけるクリアランスの存在は、特に、横断方向に対して垂直な平面上で、変形の一定の自由をもたらす。したがって、温度変化の場合に、面が膨張するとき、及ぼされる応力および撓みが制限される。これは、ディスクの平面度を確保する。位置がずれることは、ディスクの加速された摩耗を導き得る。したがって、説明された実施形態によるディスクアセンブリは、ディスクの摩耗を制限することを助ける。
【符号の説明】
【0175】
10…ブレーキディスクアセンブリ、12…中心駆動ハブ、14…第1の面、16…第2の面、20…固定タブ、24,26…内表面、32…セグメント、34,36…径方向縁部、40,42…フック、64…締結タブ、66…内表面、68…外表面、70…締結貫通穴、72…締結装置、74…締結部材、76…締結スリーブ、130,132…穴、140…リング、150…ネジ、152…ナット、154…ヘッド、160,162…端部、164,166…自由空間、D1,D2,D3…第1の長手方向軸、E1,E2…第2の長手方向軸、n…所定の数、α…角度範囲、Δ…中心軸、θ…角度オフセット
【外国語明細書】