(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022019709
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】ゴルフ解析アシスタント装置、ゴルフ解析アシスタント方法及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
A63B 71/06 20060101AFI20220120BHJP
【FI】
A63B71/06 U
A63B71/06 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021139334
(22)【出願日】2021-08-27
(62)【分割の表示】P 2020121519の分割
【原出願日】2020-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】515161571
【氏名又は名称】田中 康太
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】特許業務法人安田岡本特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 康太
(57)【要約】
【課題】 本発明は、プレーヤーの個々の要望する「目標スコア」に応じて、最適な解を導出して提示する支援装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明のゴルフ解析アシスタント装置は、ゴルフ場の属性を格納したゴルフ場データ格納部3、プレーヤーの属性を格納したプレーヤーデータ格納部4、ゴルフコースにおけるプレーヤーが定めた目標スコアを取得する目標スコア取得部5、制御部6、及び、表示部2を有する本体1を備え、前記制御部6は、前記目標スコアを達成できるように、前記ゴルフ場データ格納部3と前記プレーヤーデータ格納部4の属性データに基づき、ティーショットからカップインまでのプレーヤーの最適解ルートを求めて、該最適解ルートを前記表示部2に表示するように構成されたものである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフ場の属性を格納したゴルフ場データ格納部、プレーヤーの属性を格納したプレーヤーデータ格納部、ゴルフコースにおける前記プレーヤーが定めた目標スコアを取得する目標スコア取得部、制御部、及び、表示部を有する本体を備え、
前記制御部は、前記目標スコアを達成できるように、前記ゴルフ場データ格納部と前記プレーヤーデータ格納部の属性データに基づき、ティーショットからカップインまでの前記プレーヤーの最適解ルートを求めて、該最適解ルートを前記表示部に表示するように構成されたゴルフ解析アシスタント装置。
【請求項2】
前記ゴルフ場データ格納部は、ゴルフコースの平面と立体のレイアウト情報と、グリーンやバンカーのコース上の対象物の位置情報が格納されており、
前記プレーヤーデータ格納部は、前記プレーヤーが使用する各ゴルフクラブにおける飛距離とヘッドスピードと、前記プレーヤーが過去にプレーしたゴルフ場でのプレー内容に関するデータが格納されている請求項1記載のゴルフ解析アシスタント装置。
【請求項3】
前記本体は、ゴルフコースにおける風向き、風速の気象データを取得する気象データ取得部を有し、
前記制御部は、前記最適解ルートを求めるのに、前記気象データ取得部で取得した気象データを用いるように構成されている請求項1又は2記載のゴルフ解析アシスタント装置。
【請求項4】
前記最適解ルートは、各ホールにおけるショットとパットの限界打数を求めて設定されるものであり、
前記限界打数は、前記目標スコアと前記ゴルフ場データ格納部のデータと前記プレーヤーデータ格納部のデータとから得られる、前記各ホールにおける前記プレーヤーの前記ショットと前記パットの打数の上限値である請求項1~3の何れか一つに記載のゴルフ解析アシスタント装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記最適解ルートを補正する補正部を有し、
前記補正部は、2打目以降のショット位置から、それ以降の最適解ルートを求めるものである請求項1~4の何れか一つに記載のゴルフ解析アシスタント装置。
【請求項6】
前記本体は、打数登録部とGPS受信部とを有し、
前記制御部は、前記打数登録部の操作により前記GPS受信部から現在位置を取得し、前記補正部により、前記目標スコアを達成するための前記最適解ルートの補正を行い、前記表示部に前記現在位置からの前記補正を行った最適解補正ルートを表示するように構成された請求項5記載のゴルフ解析アシスタント装置。
【請求項7】
前記ゴルフ場データ格納部は、複数のゴルフ場のデータを格納しており、
前記制御部は、前記複数のゴルフ場の中から前記目標スコアを達成できるゴルフ場を選択することができるよう構成されている請求項1~6の何れか一つに記載のゴルフ解析アシスタント装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記ゴルフ場の選択に際し、コース別技術情報を提供できるように構成されている請求項7記載のゴルフ解析アシスタント装置。
【請求項9】
ゴルフコースにおけるプレーヤーが定めた目標スコアを取得するステップと、
前記プレーヤーの属性を取得するステップと、
気象データを取得するステップと、
ゴルフ場の属性を取得するステップと、
前記目標スコアを達成できるように、前記プレーヤーの属性と前記ゴルフ場の属性と前記気象データとから、ティーショットからカップインまでの前記プレーヤーの最適解ルートを求めるステップと、
前記最適解ルートを表示するステップとを備えたゴルフ解析アシスタント方法。
【請求項10】
請求項1~8の何れか一つに記載のゴルフ解析アシスタント装置の、又は、請求項9記載のゴルフ解析アシスタント方法の機能をコンピュータに実現させるためのゴルフ解析アシスタントプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ解析アシスタント装置、ゴルフ解析アシスタント方法及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
GPS受信機を利用し、ゴルフ場で、現在位置からグリーンやバンカー等までの距離やコースレイアウトを表示したり、ゴルフプレー中におけるボールを打った位置を正確かつ簡便に記録できるようにしたりするゴルフ支援装置は公知である。
例えば、特開2001-346930号公報(特許文献1)に記載のナビゲータ装置は、プレーヤーの自己の打球の技量に応じた飛距離の打撃方向確認スイッチキーを選択操作することにより、個々のプレーヤーの技量に応じた最適な打撃方向を知ることができるものであった。
【0003】
特許第5848489号公報(特許文献2)に記載のゴルフナビは、ゴルフプレー中に、ピンホールまでの残り距離を出し、クラブの選択を瞬時にしてくれるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-346930号公報
【特許文献2】特許第5848489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ゴルフプレーヤーは、「今日は100を切る!」という目標を立てプレーを行い、その目標が達成されたら、喜びひとしおと感じるのである。
しかし特許文献1や2に記載の従来のゴルフ支援装置は、自己の技量に応じたそのコースにおける攻略法を示すことができても、「今日は100を切る!」という自己の設定した「目標スコア99」を達成するための攻略法を示すものではなかった。
【0006】
そこで、本発明は、ユーザー(プレーヤー)の個々の要望する「目標スコア」に応じて、最適な解を導出して提示する支援装置を提供することを目的とする。
また、導出した最適な解を補正して提示する支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的達成のため、本発明は、次の手段を講じた。
すなわち、本発明のゴルフ解析アシスタント装置は、ゴルフ場の属性を格納したゴルフ場データ格納部、プレーヤーの属性を格納したプレーヤーデータ格納部、ゴルフコースにおける前記プレーヤーが定めた目標スコアを取得する目標スコア取得部、制御部、及び、表示部を有する本体を備え、前記制御部は、前記目標スコアを達成できるように、前記ゴルフ場データ格納部と前記プレーヤーデータ格納部の属性データに基づき、ティーショットからカップインまでの前記プレーヤーの最適解ルートを求めて、該最適解ルートを前記表示部に表示するように構成されている。
【0008】
前記ゴルフ場データ格納部は、ゴルフコースの平面と立体のレイアウト情報と、グリーンやバンカーのコース上の対象物の位置情報が格納されており、前記プレーヤーデータ格納部は、前記プレーヤーが使用する各ゴルフクラブにおける飛距離とヘッドスピードと、
前記プレーヤーが過去にプレーしたゴルフ場でのプレー内容に関するデータが格納されているのが好ましい。
【0009】
前記本体は、ゴルフコースにおける風向き、風速の気象データを取得する気象データ取得部を有し、 前記制御部は、前記最適解ルートを求めるのに、前記気象データ取得部で取得した気象データを用いるように構成されているのが好ましい。
前記最適解ルートは、各ホールにおけるショットとパットの限界打数を求めて設定されるものであり、前記限界打数は、前記目標スコアと前記ゴルフ場データ格納部のデータと前記プレーヤーデータ格納部のデータとから得られる、前記各ホールにおける前記プレーヤーの前記ショットと前記パットの打数の上限値であるのが好ましい。
【0010】
前記制御部は、前記最適解ルートを補正する補正部を有し、前記補正部は、2打目以降のショット位置から、それ以降の最適解ルートを求めるものであるのが好ましい。
前記本体は、打数登録部とGPS受信部とを有し、前記制御部は、前記打数登録部の操作により前記GPS受信部から現在位置を取得し、前記補正部により、前記目標スコアを達成するための前記最適解ルートの補正を行い、前記表示部に前記現在位置からの前記補正を行った最適解補正ルートを表示するように構成されるのが好ましい。
【0011】
前記ゴルフ場データ格納部は、複数のゴルフ場のデータを格納しており、前記制御部は、前記複数のゴルフ場の中から前記目標スコアを達成できるゴルフ場を選択することができるよう構成されているのが好ましい。
前記制御部は、前記ゴルフ場の選択に際し、コース別技術情報を提供できるように構成されているのが好ましい。
【0012】
本発明のゴルフ解析アシスタント方法は、ゴルフコースにおけるプレーヤーが定めた目標スコアを取得するステップと、前記プレーヤーの属性を取得するステップと、気象データを取得するステップと、ゴルフ場の属性を取得するステップと、前記目標スコアを達成できるように、前記プレーヤーの属性と前記ゴルフ場の属性と前記気象データとから、ティーショットからカップインまでの前記プレーヤーの最適解ルートを求めるステップと、前記最適解ルートを表示するステップとを備えている。
【0013】
本発明のゴルフ解析アシスタントプログラムは、前記ゴルフ解析アシスタント装置の、又は、前記ゴルフ解析アシスタント方法の機能をコンピュータに実現させるためのものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、目標スコア取得部を設けて、その目標スコアを達成できる最適解ルートを提示するようにしたので、プレーヤーは自己が設定した目標スコアを達成しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態に係るゴルフ解析アシスタント装置の平面図。
【
図3】
図1の装置の表示部に表示されるメニュー画面。
【
図8】任意地点までの距離表示機能を示す表示画面。
【
図9】最適解ルートの導出のためのフローチャート。
【
図10】最適解補正ルートの導出のためのフローチャート。
【
図11】目標スコアを達成するために適したゴルフコースの導出のためのフローチャート。
【
図12】ゴルフコースにおける目標スコアを達成するための技術情報の導出のフローチャート。
【
図13】本発明の他の実施の形態を示す本体の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1及び
図2に示すものは、ゴルフ解析アシスタント装置の構成図である。この装置は、ハードウエアとソフトウエアとで構成されている。
図1に示すように、ゴルフ解析アシスタント装置は、本体1を有する。この本体1には、表示部2が設けられている。この本体1には、
図2に示すように、ゴルフ場の属性を格納したゴルフ場データ格納部3、プレーヤーの属性を格納したプレーヤーデータ格納部4、ゴルフコースにおけるプレーヤーが定めた目標スコアを取得する目標スコア取得部5、及び、制御部6を有する。
【0017】
制御部6は、目標スコアを達成できるように、ゴルフ場データ格納部3とプレーヤーデータ格納部4の属性データに基づき、ティーショットからカップインまでのプレーヤーの最適解ルートを求めて、最適ルートを表示部2に表示するように構成されている。
ゴルフ場データ格納部3は、ゴルフコースの平面と立体のレイアウト情報と、グリーンやバンカーのコース上の対象物の位置情報が格納されている。
【0018】
プレーヤーデータ格納部4は、プレーヤーが使用する各ゴルフクラブにおける飛距離とヘッドスピードと、プレーヤーが過去にプレーしたゴルフ場でのプレー内容に関するデータが格納されている。
本体1は、ゴルフコースにおける風向き、風速の気象データを取得する気象データ取得部7(
図2参照)を有し、制御部6は、前記最適解ルートを求めるのに、気象データ取得部7で取得した気象データを用いるように構成されている。
【0019】
前記最適解ルートは、各ホールにおけるショットとパットの限界打数を求めて設定されるものである。前記限界打数は、目標スコアとゴルフ場データ格納部3のデータとプレーヤーデータ格納部4のデータとから得られる、各ホールにおけるプレーヤーのショットとパットの打数の上限値とされている。
制御部6は、前記最適解ルートを補正する補正部(図示省略)を有し、補正部は、2打目以降のショット位置から、それ以降の最適解ルートを求める。
【0020】
本体1は、打数登録部8とGPS受信部9とを有し、制御部6は、打数登録部8の操作によりGPS受信部9から現在位置を取得し、前記補正部(図示省略)により、目標スコアを達成するための前記最適解ルートの補正を行い、表示部2に現在位置からの前記補正を行った最適解補正ルートを表示するように構成されている。
ゴルフ場データ格納部3は、複数のゴルフ場のデータを格納しており、制御部6は、複数のゴルフ場の中から目標スコアを達成できるゴルフ場を選択することができるよう構成されている。
【0021】
制御部6は、前記ゴルフ場の選択に際し、コース別技術情報を提供できるように構成されている。
以下、さらに詳細に説明する。
図1において、本体1は、偏平な略矩形状のケースに形成されており、以下、この「本体1」を「ケース1」ともいう。
【0022】
ケース1の上面に、表示部2を備えている。この表示部2は、半透過型液晶のタッチパネルを構成する。バックライト内蔵とし、ボタン操作や画面をタッチした際に画面のバックライトを点灯させることで、視認性が向上する。
ただし、常時点灯させると、バッテリーの残量の消費も早くなるため、設定された時間だけ点灯後、消灯する。この時間は、ユーザー(プレーヤー)の設定により変更できる。また、全く点灯しないモード(OFF)を採ることもできる。
【0023】
図2に示す部材は、マイコン等の電子機器から構成される。
目標スコア取得部5は、ゴルフコースにおけるプレーヤーが定めた目標スコアを取得するものである。
「目標スコア」とは、ゴルフプレーを始める際にプレーヤーが定めるラウンドの打数のことであり、例えば、「パー72」のコースにおいて、「パー99」で回りたいとしたときの「99」が「目標スコア」である。
【0024】
制御部6は、目標スコアを達成できるように、ゴルフ場データ格納部3とプレーヤーデータ格納部4とのデータに基づき、ティーショットからカップインまでのプレーヤーの最適解ルートを求めて表示部2に表示するものである。
制御部6は、CPU,ROM,RAM、フラッシュメモリ、各種の周辺回路、インタフェース等を備えるマイコンを備える。制御部6は、電源ONに伴い電源供給がなされ動作を開始する。制御部6は、ROMに記録されたブートローダーによって、フラッシュメモリに記録されたOSとアプリケーションプログラムをRAM上に展開し、RAM上のOS及びアプリケーションプログラムを実行することで、後述する各種の処理を実行し、各種の機能を実現する。
【0025】
最適解ルートは、各ホールにおけるショットとパットの限界打数を求めて設定されるものである。
限界打数は、前記目標スコアと前記ゴルフ場データ格納部3のデータと前記プレーヤーデータ格納部4のデータとから、各ホールにおいてプレーヤーがなすべきショットとパットの打数の上限値である。
【0026】
ゴルフ場データ格納部3は、ゴルフコースの平面と立体のレイアウト情報と、グリーンやバンカーのコース上の対象物の位置情報と、ゴルフ場が定めた標準パー情報とを格納している。
ゴルフ場データ格納部3は、内部メモリや、着脱可能な外部記録媒体(マイクロSDメモリーカード等)等の記録メディアにより構成される。このゴルフ場データ格納部3に格納される情報は、実際のゴルフコースについてのデータ(各ホールのコースレイアウト,ゴルフ場のグリーンやバンカー等コース上の対象物の位置)等がある。
【0027】
ゴルフ場データ格納部3は、コースレイアウト等のデータを予め格納していたり、通信によりデータのアップデートが可能である。
プレーヤーデータ格納部4は、プレーヤーが使用する各ゴルフクラブにおける飛距離と、ヘッドスピード(スイングスピード)と、プレーヤーが過去にプレーしたゴルフ場でのプレー内容に関するデータ等を格納している。プレー内容は、スコア、フェアウェイキープ率、パット数、気象条件等である。
【0028】
プレーヤーデータ格納部4は、ユーザーのゴルフに関する情報を予め格納しているが、新たなデータの追加も可能である。
気象データ取得部7は、気象庁等が発表している気象データを適時取得するものである。最適解ルートを導出する際に、気象データ取得部7が取得した気象データを利用すると
、より詳細な最適解ルートを導出しうる。
【0029】
図1に示すように、ケース1の上面には、充電ランプ10を配置している。充電ランプ10は充電中に点灯し、充電が完了すれば消灯する。
ケース1の側面には、打数登録部8が設けられている。この打数登録部8は、打数登録機能を有する打数登録ボタン8として構成されている。ケース1の上面には電源ボタン11を配置している。電源ボタン11は、電源のON/OFFはもちろんのことタッチパネル操作のロック/解除の切り替えボタン、プレー中に表示される画面からメニュー画面に戻るボタンとしても利用する。
【0030】
具体的には、電源OFFの状態で電源ボタン11を長押し(例えば2秒以上)されたことを制御部6が認識すると電源が入り、制御部6が表示部2に所定のメインメニュー画面(
図3参照)を表示する。
また、電源ONの状態で電源ボタン11が長押しされたことを制御部6が認識すると、制御部6は所定の終了画面を表示部2に描画後、電源を切る。
【0031】
また、電源ONの状態で電源ボタン11が短く押された場合、それを検知した制御部6は、表示部2のタッチパネルのロック/解除を交互に切り替える。
つまり、現在がロック状態であれば解除し、タッチパネルによる操作を有効にし、現在が解除状態であればロック状態に切り替えてタッチパネルによる操作を無効にする。現在の状態は、表示部2の所定位置に描画するアイコンで報知する。
【0032】
打数登録ボタン8は、打数の登録に使用するボタンであり、このボタン8の操作に伴う具体的な制御部6の処理機能については後述する。
また、打数登録ボタン8の代わりに、表示部2に打数登録アイコンを表示させるようにしてもよい。 打数登録アイコンはプレー中に表示されるコースレイアウトの側に描画し
(「打数登録アイコン」は、例えば
図6の右下部に表示されている。)、打数登録アイコンをユーザーがタッチすることで打数を登録できるようにしてもよく、
図1に示した機器の様に打数登録ボタン8を備えていなくても、表示部2のタッチパネル操作により打数が登録できるようにすることもよい。
【0033】
打数登録ボタン8、または、打数登録アイコンは、本発明の「打数登録部8」を構成するものである。
GPS衛星からの電波を受信するGPS受信部9は、ケース1の前側内部に実装される。GPS受信部9は、GPS信号を受信し現在位置(経度・緯度)を求める。
また、ケース1の側面には、開閉可能な端子カバー12が装着され、その端子カバー12を開くと、USB Type-C端子13が露出する。このUSB Type-C端子13にACアダプターを接続することで充電することができ、USBケーブルを接続してパソコンと接続してデータの送受が行える。端子については他の規格としてもよい。
【0034】
図2に示すように、ケース1内に設けられる記憶装置14は、演算結果を記録しておくもので、着脱できない内部記憶装置でも良いし、SDメモリカード等の着脱可能な記録メディアを装着するためのスロット部(読み書きする機能を含む)でも良い。この記憶装置14を構成する記録媒体・装置は、実際の装置において、ゴルフ場データ格納部3と共用してもよい。
【0035】
電池15は、充電池のように充電可能な二次電池とし、USB Type-C端子13から充電できるようにしている。制御部6は、地磁気センサー17の出力に基づき、本装置が向いている方位や角度を求める。
その他、気象データを適時に取得するための気象データ取得部7と、無線通信部16と
、マイクロ波センサー18等を備えている。
【0036】
制御部6は、GPS受信部9からの現在位置情報に基づきゴルフ場データ格納部3にアクセスし、ゴルフ場に関する情報を取得し出力装置に出力する制御を行う。表示部2は、係る出力装置を構成する。記憶装置14は、制御部6の実行結果等を記憶する。
図3は、本件機器のメインメニュー画面の表示の例である。
画面上部には時刻19を表示し、右上には電池残量20を表示する。
【0037】
メインメニューとして表示部2に描画されるアイコンは、「最適解モード」、「プレーモード」、「最適コース検索」、「コース別技術情報」及び「設定」である。
「最適解モード」は、ユーザーの目標スコアからゴルフコースにおける最適解ルートを導出するためのアイコンである。
「プレーモード」は、目標スコアを達成するための最適解ルートを参考にしてプレーし都度その最適解ルートを補正してプレー状況に応じた最適解ルートを提示するアイコンである。
【0038】
「最適コース検索」は、目標スコアを達成しやすいゴルフ場情報を提示するアイコンである。
「コース別技術情報」は、目標スコアを達成するためにユーザーが選択したゴルフ場で必要となる技術情報を提示するアイコンである。
「設定」は、各種設定等を行うためのアイコンである。
【0039】
それぞれのアイコンに応じた制御部6の機能については、後述する。
以下、具体的な表示画面に基づき、制御部6の機能について説明する。
図4は、ゴルフ場データ格納部3の表示画面である。
制御部6は、GPS受信部9からの位置情報(経度・緯度)に基づき、ゴルフ場データ格納部3にアクセスし、現在プレー中のゴルフコースの情報を読み出し、表示部2に描画する。この表示部2に描画される表示画面の一例としては、
図4等に示すように中央が平面図、下部が高低差図(断面図)になる。図示するように、表示画面全体に、グリーンが上に来るように現在プレー中のホールのレイアウトを描画する。高低差図は、ホールレイアウトを水平方向にとり、グリーンが右に来るようにティーイングエリア(X印)からグリーンまでを図示するように描画する。
【0040】
画面右下には、残り距離表示領域R1を設定している。すなわち、ゴルフ場データ格納部3には、グリーンの情報として、グリーンエッジの位置や、グリーン中央の位置が登録されている。そこで、グリーン中央にはアイコンGを重ねて描画し、制御部6は、現在位置とグリーン中央との間の距離を求め、グリーン中央までの残り距離を表示する(
図4では、X→G“320”)。Xはティーイングエリア、Gはグリーン、Eはグリーエッジ位置である。
【0041】
また、表示部2の表示画面の上方領域には、バッテリー残量を示すアイコンBと、現在プレー中のホール番号を示すアイコンNを表示している。右下R1領域には距離表示の単位を示すアイコンD(yd(ヤード)/m(メートル))を表示している。表示変更の設定は、ユーザーによって行う。さらに、その情報領域の上中央には、時刻表示をし、プレーが開始してから現在までの時間経過も併せて表示してもよく、この設定はユーザーによって行う。
【0042】
画面左下には、各ホールにおけるショットとパットの限界打数とプレーヤーの打数を入力する表示領域L1を設定している。すなわち、最適解ルートは各ホールにおけるショットとパットの限界打数を求めて設定されるもので、この限界打数をショットとパット別に
表示し、プレーヤーのそのホールにおけるショットとパット数を同時に表示する。そのホールにおける限界打数だけを表示してもよいし、プレーヤーが打数登録ボタン8を押すとプレーヤースコア欄に数字が増えるように表示してもよいし、そのホールを終了した時に数字が表示されるようにしてもよいし、ホールのプレー前に表示される最適解ルートの各ショットの距離を併せて表示してもよいし、GPS受信部9からのデータに基づきグリーンオンした場所からカップの位置までの距離を併せて表示してもよく、この設定はユーザーによって行う。
【0043】
図5は、最適解ルートの表示画面である。
制御部6は、プレーヤーデータ格納部4と気象データ取得部7と目標スコア取得部5にアクセスし、描画されたホールレイアウト上にプレーヤーの目標スコアを達成するための最適解ルート(ベストグリーンオンルート)を描画する。
表示されたベストグリーンオンルートの軌跡の側には、それぞれの距離を併せて表示してもよく、さらに記録されているプレーヤーデータをもとに表示された距離に適したクラブの表示も併せて行ってもよく、これらの設定はユーザーによって行う。
【0044】
最適解は、ユーザーの目標スコアとその他条件(ゴルフ場属性・プレーヤー属性・気象条件など)に応じて、プレーするゴルフ場の各ホールにおいてユーザーが目標を達成するためになすべき動作(ショットとパット)の上限値を導出したものである。最適解ルートとは、その上限値に応じて導出されたティーイングエリアからグリーン上のホール(カップ・ピン)までのルートのことをいう。ベストグリーンオンルートとは、最適解ルートのショット(ティーイングエリアからグリーンオンまで)に関するルートのことをいう。
【0045】
また、制御部6は、ホール中のプレーヤーのいる場所(GPS受信部9から取得した現在位置)に対応する位置にプレーヤーアイコンXを重ねて描画する。これにより、グリーンに向けた方向並びにグリーン周りに存在する池やバンカーなどの位置と大きさ・形状を知ることができる。
また、図示された水平図には、ゴルフ場データ格納部3に登録されているコース情報より、制御部6は、現在位置とグリーンとの水平距離を求め、ティーイングエリアからグリーンまでの高低差、現在位置からコース内におけるバンカーなどのポイントとなる地点までの高低差、現在位置とグリーンまでの高低差も表示する。図示される水平図と平面図は表示の仕方をプレーヤーの設定により変更することができる。
【0046】
また、制御部6は、グリーン上のピン位置(カップ位置)に対応する箇所に旗アイコンPを描画する。このとき、現在位置とカップ位置までの距離を求め、カップまでの残り距離を残り距離表示領域R1と併せて表示したり、現在位置とグリーンセンターや現在位置とカップ位置まで直線で結んだ線上にあるグリーンエッジまでの距離を求め表示したり、現在位置からバンカーなどポイントとなる箇所までの距離をコースレイアウト上に表示してもよい(
図5では、X→P325、X→E308、バンカー等ポイントとなる地点に177など)。これらの表示は、ユーザーの設定により変更できる。
【0047】
本実施の形態によれば、プレーヤーは、前記画面を見てそのホールを攻略することにより、目標スコアを達成することができる。
しかし、最適解ルートのとおりのプレーをすることは困難である。そこで、本発明では、各ショットの後に、最適解ルートを補正することにより、目標スコアを達成するようにしている。
【0048】
図6に示すものは、最適解補正ルートの表示画面である。
この実施の形態では、本体1は、打数登録部8である打数登録ボタン8とGPS受信部9とを有し、制御部6は、打数登録ボタン8の操作によりGPS受信部9から現在位置を
取得し、目標スコアを達成するために最適解ルートの補正を行い、表示部2に現在位置Xからの補正を行った最適解補正ルートを表示するようにしたものである。
【0049】
また、表示部2は、コースの平面レイアウト、断面レイアウト、最適解ルート、残り距離表示領域R1、限界打数表示領域L1、現在位置Xから次の目標に向かう方向指示線Tを描画するものである。
すなわち、打数登録部8のスイッチ操作等に基づき、打数を登録するとともに、その地点におけるそのホールの最適解ルート(ベストグリーンオンルート)を補正することができる。
【0050】
具体的には、制御部6は、打数登録ボタン8が短く(例えば1秒)押されたことを認識すると、その時の現在位置XをGPS受信部9から取得するとともに、ゴルフ場データ格納部3とプレーヤーデータ格納部4と気象データ取得部7と目標スコア取得部5にアクセスし、その地点からのプレーヤーの目標スコアを達成するための最適解ルートを補正しホールレイアウト上に描画する。
【0051】
このとき、元から描画されていた最適解ルートを消去して上書きするが、元から描画されていた最適解ルートとプレーヤーの軌跡を半透明や点線等により描画するようにしてもよい。
これらの表示は、ユーザーの設定により変更できる。特殊なティーイングエリアからや特殊な状況などでプレーしなければならない場合には、制御部6は打数登録ボタン8を短くその回数だけ押されたことを認識すると、打数を上書きし、ボタン8が押された地点から最適解ルートを補正して、表示部2に描画する。意図せず打数登録ボタン8が押された時は、例えば打数登録ボタン8を長押し(例えば3秒)すると、打数修正アイコンを表示部2に描画し、修正したり、取り消したりする処理を制御部6が行えるようにしてもよい。
【0052】
各ホールにおいてティーイングエリアから初めてショットをする前に、GPS受信部9から得る位置情報に基づきティーイングエリアにプレーヤーが移動したことを制御部6が認識した場合に、プレーヤーが打数登録ボタン8を短く押すことなく、打数登録ボタン8を押したものとして打数を登録するとともに、制御部6は、ゴルフ場データ格納部3とプレーヤーデータ格納部4と気象データ取得部7と目標スコア取得部5にアクセスし、プレーヤーの目標スコアを達成するための最適解ルートを導出しその最適解ルートをホールレイアウト上に描画してもよい。
【0053】
取得した気象データに基づき、風向、風速、気温、湿度を画面右上の表示領域W1に表示してもよく、この設定はユーザーによって変更できる。
打数登録ボタン8を短く押されたことを制御部6が認識した場合で、GPS受信部9から現在位置を取得した地点がグリーン上であった場合、取得した現在位置がグリーン上から次のホールに移動するまでの間に打数登録ボタン8を短く押された情報を制御部6が取得したものは、パッティングを行った打数として処理され、表示部2のL1領域のプレーヤー打数のパット数枠に加算して表示されうる。表示部2のL1領域におけるプレーヤー打数の入力は、ホールアウトした後など、いつでもユーザーの設定により入力および修正することができる。
【0054】
L1領域に入力されたプレーヤー打数は、いつでも集計したり限界打数や目標スコア等と対比して表示部2に表示することができ、例えばゴルフ場に備え付けられているスコアカードのように描画表示してもよい(図示省略)。表示部2のL1領域に表示される限界打数は、プレーヤー打数の入力状況に応じて、プレー中に補正したり、ショットとパットの限界打数の間でユーザーの設定により振り分けることができるようにしてもよく、具体
的な制御部6の処理機能については後述する。
【0055】
さらに制御部6は、地磁気センサー17の出力に基づき、本装置が向いている方向を検出し、その方向を矢印からなる方向指示線Tとしてホールレイアウトに重ねて描画する。この方向指示線Tの起点は、現在位置(プレーヤーアイコンX)である。これにより、ユーザーは、本装置を持った状態でその向きを変えると、それに追従して表示画面上での方向指示線Tが旋回するので、目標物とプレーヤーの位置関係が確認できる。地形条件や気象条件により視界が悪い等の場合においても、目標物との位置関係を知ることができる。方向指示線TのON/OFF表示は、ユーザーの設定により行うことができる。
【0056】
打数登録ボタン8を短く押したことを制御部6が認識した際、GPS受信部9から取得した現在位置は、記憶装置14に記録する。この記録は、ユーザーの設定により上書きや消去したり、USB Type-C端子13にUSBケーブルを接続してパソコンと接続してデータを送受できる。
また、制御部6は、プレーヤーが移動する軌跡をコースレイアウト上に表示できるが、打数登録ボタン8を短く押したことを制御部6が認識し、元から描画されていた最適解ルートを補正した際の地点を制御部6は記憶装置14から出力して、その地点とティーイングエリアやそのホールにおいて前に打数登録ボタン8を短く押した地点との距離や軌跡を表示することもできる。
【0057】
この距離表示は、プレーの軌跡を表示部2のコースレイアウト上に描画する際に、軌跡の横に表示するとよい(
図6では、171)。
以上のごとく、ショットごとに、最適解ルートを補正することにより、目標スコアを達成することができる。
以下は、制御部6の他の機能の説明である。
【0058】
図7は、制御部6の複数点間距離表示機能を示す表示画面である。
複数点間距離表示機能は、確認したい地点を指定(タッチとスライド)することで、指定した地点間の距離を求め、求めた距離を表示する機能である。これにより、コース上の任意の区間距離を確認することができる。
これは、例えば制御部6は、前記現在位置Xから目標地点までの距離表示機能で示されたコースレイアウト上で表示された直線部をユーザーがタッチしたことを認識すると、その直線上に○印(○の中に1を表示)を表示させ、もしくは表示した「丸1印」をユーザーが指定する地点までスライドさせたことを認識すると、現在位置と指定した地点(「丸1印」)と目標地点までの直線もしくは折れ線を表示させ、それぞれの地点間において直線の傍に距離表示領域R5として地点間の距離を表示する。
【0059】
さらに直線上をタッチしたことを制御部6が認識すると、追加の○印(例えば○の中に2字を表示)を表示させ、同様の表示処理を行う。この○印および距離表示は、○印の表示と同時に表示部2に描画されるクリアアイコンB3をタッチすれば、元の表示に戻す処理を行う。
図7中の○の傍にある矢印は元ある直線上に出現する○印を図中の「丸1印」や「丸2印」の位置にスライドさせる動作のイメージとして便宜上記している。すなわち、実際の表示画面ではユーザーが画面をタッチした際に○印が表示され、ユーザーが○印を目的地まで画面上をスライドさせ終わったら「丸1印」が出現するものである。
【0060】
この状態で、制御部6は、表示された小アイコンB1/大アイコンB2が押されたことを認識すると、コースレイアウトを縮小/拡大して描画する。
これにより、コース上の任意の地点間の距離を知ることができ、最適解ルートおよび補正された最適解ルート以外に、ユーザー独自のコースの攻略方法を探るのに有益な情報が
得られる。
【0061】
図8は、制御部6の任意地点(目標地点)までの距離表示機能を示す表示画面である。
例えば
図4などに示すように、ゴルフナビゲーションのコースを表示中に、コース上の任意の場所をタッチする。すると、
図8に示すように、制御部6は、そのタッチした箇所に目標位置を示すマークT(○にT字を重ねたもの)を描画する。そして、制御部6は、現在位置Xアイコンからタッチした地点までの距離を求め、コースレイアウト上に直線で示した傍の表示領域R3にその距離を表示する(図では“145”)。また制御部6は、これと同時にそのタッチした地点からグリーン中央G・エッジ位置E・ピン位置P等までの残り距離を算出し、コースレイアウト上に直線で示した傍の表示領域R4に表示する。
【0062】
さらに制御部6は、
図8に示すように表示画面に、小アイコンB1,大アイコンB2,戻るアイコンB4を描画し、制御部6は、小アイコンB1/大アイコンB2が押されたことを認識すると、コースレイアウトを縮小/拡大して描画する。
また、この機能と、バンカーなどのコース上の現在位置からポイントまでの距離表示を併せることで、ボールを飛ばすことで、スコアを悪くしてしまうエリアまでの現在位置からの距離を知ることができ、ユーザーがショットをする際に使用するクラブの種類選択に対して、有益な情報とすることができる。
【0063】
これら情報や機能、形態は、例えば、特開2018-11992号公報で開示されたものと同様なものとすることができる。
図9は、本発明のゴルフ解析アシスタント方法の実施の形態を示すフローチャートである。
ゴルフ解析アシスタント方法は、ゴルフコースにおけるプレーヤーが定めた目標スコアを取得するステップS1と、プレーヤーの属性を取得するステップS2と、気象データを取得するステップS3と、ゴルフ場の属性を取得するステップS4と、前記目標スコアを達成できるように、前記プレーヤーの属性とゴルフ場の属性と気象データとから、ティーショットからカップインまでのプレーヤーの最適解ルートを求めるステップS5と、前記最適解ルートを表示するステップS6とを備えている。
【0064】
なお、ステップS1からステップS4は、この順序で行われるものに限定されない。
目標スコア取得ステップS1は、ユーザー(プレーヤー)が、表示部2に描画されるメインメニュー画面の最適解モードアイコンもしくはプレーモードアイコン(
図3)を選択し、続いて目標スコアを入力するものである。
プレーヤーの属性を取得するステップS2は、プレーヤーデータ入力ステップS2-1、詳細データ読み込みステップS2-2、及び、計測ステップS2-3を有する。
【0065】
ユーザーの属性情報は、詳細に記録されているほど、最適解ルートがプレーヤーの望む目標スコアを達成するためにより最適に提示されることになるので、詳細データ読み込みステップS2-2を備えることができる。
この詳細データ読み込みステップS2-2は、過去のラウンドにおけるショットやパットの志向性などを、プレー中にプレーヤーデータ格納部4に保存しておいて、必要な時に制御部6によって取り込み、プレーヤーの属性をアップデートするものである。また、新たにプレーヤー自身がプレーヤーデータを入力しプレーヤーデータ格納部4に記録してもよい。
【0066】
計測ステップS2-3は、スイングスピードや打ち出された球の情報を計測して入力するステップである。
このステップS2-3は、全くプレーをしたことがないユーザーや自分の飛距離がわからない場合は、スイングスピードや打ち出されたボールの情報を計測し、プレーヤーの属
性として入力するものである。マイクロ波センサー18により計測したスイングスピード(クラブのヘッドスピード)やドップラー効果による計測モデルを有する外部機器によって得られる打ち出されたボールの情報を無線通信部16を介してプレーヤーデータとして使用することができる。または、クラブ種における平均飛距離を入力することができる。
【0067】
気象データを取得するステップS3は、気象データを読み込むものである。このステップS3は、気象データ取得部7が、気象庁等が発表している気象データを適時取得するものである。
ゴルフ場の属性を取得するステップS4は、ゴルフ場データ格納部3から、プレーするゴルフコースを選択し、コースレイアウト等のデータが読み込まれる。
【0068】
最適解ルートを求めるステップS5は、最適解ルートの導出であり、目標スコアを入力し、ゴルフコースを選択した後、プレーヤーの属性が入力された時もしくは記録されている時に、制御部6によって導出される。
具体的には、制御部6が、プレーヤーデータ格納部4とゴルフ場データ格納部3と目標スコア取得部5と気象データ取得部7にアクセスし、それぞれのゴルフコースにおけるホールごとのベターグリーンオンルートを設定するステップS5-1を有する。
【0069】
例えば、コースレイアウトとそのホールにおけるティーイングエリアからグリーン中央までの距離とプレーヤーのクラブ種の飛距離と風雨が打球の飛距離に与える影響を算出するモデルにより、制御部6はコースレイアウトとホールの距離とプレーヤーの属性と気象データに応じたそのホールにおけるベターグリーンオンルートを導出する。
導出されたベターグリーンオンルートは、プレーヤーデータ格納部4に過去のプレーにおけるショット、パットの志向性などのユーザーのゴルフプレーに関する詳細属性データがある場合は、制御部6はプレーヤーデータ格納部4にアクセスし、導出されたベターグリーンオンルートをユーザーの詳細属性に応じて補正するステップS5-2を備えるのがよい。
【0070】
さらに、前記導出されたベターグリーンオンルートをもとに制御部6は目標スコアに応じて目標を達成するための各ホールにおけるショットとパットの限界打数を導出するステップS5-3を備える。
最適解ルートを表示するステップS6は、表示部2に
図5に示すような画面を表示されるものである。すなわち、導出された限界打数に応じた最適解ルートを表示部2に表示する。コースレイアウト上にティーイングエリアからグリーンオンまでのショットについてベストグリーンオンルートとして視覚化してユーザーに提示する。導出された各ホールにおける限界打数は、表示部2に表示されるコースレイアウトと同時に表示(領域L1)してもよいし、前記表示領域にショットの距離やパットの距離を併せて表示してもよいし(
図5等)、プレーヤーデータ格納部4にユーザーの詳細属性がある場合にはパットの志向性などにより各ホール間、ショットとパット間で振り分けなおしてもよい。振り分ける際は、プレーヤーデータ格納部4のデータに基づいて自動で振り分けるか、ユーザー自らが振り分けるか、この設定はユーザーが行う。
【0071】
さらに、プレー中は、前記の導出手法をもとに、制御部6は気象データ取得部7にさらにアクセスし、プレーヤーの詳細属性、過去のプレーにおけるショット、パットの志向性、プレー時における風雨等の球の飛距離に影響を及ぼす気象条件をもとにして、各ホールにおける限界打数を改めて制御部6において算出して振り分けて、各ホールにおける最適解ルートを表示部2に描画されるコースレイアウト上に軌跡として視覚化してユーザーに提示する(
図5等)。
【0072】
図10は、制御部6の最適解補正ルートの導出のためのフローチャートである。
最適解補正フローは、プレー開始ステップS10と、打数登録部操作ステップS11と、現在位置更新ステップS12と、最適解再計算ステップS13と、最適解ルート補正ステップS14を有する。
プレー開始ステップS10において、ユーザーは、表示部2に描画されるメインメニュー画面のプレーモードを選択し、目標スコアを入力し、プレーするゴルフ場を選択するか、もしくは、GPS受信部9が取得した位置情報をもとに制御部6がプレーするゴルフ場を特定すると、制御部6はユーザーがプレーすることを認識し、プレーを終了するまでユーザーのプレーに応じて最適解ルートを補正して提示するフローを開始する。
【0073】
このとき、最適解モードを選択し目標スコアを入力しており、入力したゴルフ場と制御部6がGPS受信部9を通じてユーザーが同じゴルフ場にいると判断した場合は、プレーモードをユーザーが選択することなく、制御部6はプレーモードに自動的に切り替える様にしてもよい。
打数登録部操作ステップS11は、プレー中に打数登録ボタン8を短く押すと、現在位置更新ステップS12として制御部6はGPS受信部9にアクセスし、最適解再計算ステップS13としてその位置から目標スコアを達成するための最適解を求め、最適解ルート補正ステップS14としてその位置からの新たな最適解ルートを導出して、
図6に示す画面を表示部2に表示させるものである。
【0074】
以下は図示省略するが、ユーザーがプレー中に行ったショット位置をGPS受信部9から取得した位置情報として記憶装置14に記憶しておき、制御部6はそれらの位置情報からユーザーのプレー中における飛距離を算出し、算出した飛距離がプレーヤーデータ格納部4に記録されているデータとずれが生じていると制御部6が認識した場合、制御部6はプレー中に記憶装置14に記録されたユーザーの飛距離に応じて、プレー前に導出した最適解ルートを補正してユーザーの現時点のコンディションに合わせた最適解ルートを再導出してもよい。
【0075】
さらに、プレー中に目標スコアを修正する場合、電源ボタン11を短く2回押すと制御部6は表示部2にメニュー画面を描画し、表示されたメニューから目標スコアのラウンド中修正アイコンを選択し、修正する目標スコアをユーザーが入力したことを制御部6が認識すると、制御部6は修正した目標スコアに応じた最適解ルートを、目標スコアを入力して最適解を導出するフローと同じ手法にて改めて導出する。この目標スコアの修正はプレー中のどの時点においても行えるようにしておくとよい。
【0076】
また、あるホールで導出され設定された限界打数を超えた打数を記録した場合、残りのホールにおいて設定されている限界打数を残りのホール間において任意に振り分けることもできるし、ユーザーが記録した打数に関わらずプレー前に導出した最適解ルートと限界打数を提示することも良い。この設定はプレーヤーが行う。また、ユーザーが有する飛距離では物理的に残りのホールの限界打数内でプレーを終えられる可能性がなくなった場合、目標スコアを修正するか、プレー前に設定した最適解ルートを描画するかを選択できるようにしても良い。
【0077】
ユーザーは目標スコアを目指してプレーするが、プレーを楽しむことが好ましい。ユーザーのプレースコアを記録するだけでなく、ユーザーの目標スコアを達成するために導出された最適解に対して、ユーザーが挑みホールごとの勝ち負けを記録する方式とすることもよい。
プレー中にユーザーが打数登録ボタン8を短く押したことを制御部6が認識して補正された最適解ルートは、ユーザーがグリーン上に到達したとGPS受信部9を通じて制御部6が認識した場合は、そのホールにおけるベストグリーンオンルートの補正を終了するとよい。
【0078】
ゴルフ場データ格納部3にグリーンの地形情報が含まれている場合であって、グリーン上で打数登録ボタン8が短く押される等、制御部6がGPS受信部9のデータよりグリーン上にユーザーがいることを認識した場合、そのホールにおけるベストグリーンオンルートの補正を終了するとともに、各ホールにおける限界打数をもとにグリーン上におけるユーザーのベストホールアウトルート(グリーン上における最適解ルート)を導出し表示部2に表示してもよい。
【0079】
ユーザーがグリーン上で打数登録ボタン8を短く押したことを制御部6が認識する毎に、制御部6はグリーン上のベストホールアウトルートの補正を行い表示部2に表示するとよい。
図11は、制御部6の他の機能を示すもので、目標スコアを達成するために適したゴルフコースの導出のためのフローチャートである。
【0080】
このフローは、目標スコア入力(S20)、プレーヤーデータ読込(S21)、気象データ読込(S22)、ゴルフコースデータ読込(S23)、ゴルフコース別に各ホールにおける目標スコア達成用最適解ルートの導出(S24)、ゴルフコース別のプレーヤーデータ近似割合の導出(S25)、近似割合に応じたゴルフコースの整列(S26)、及び、目標スコアが達成しやすいゴルフコースをリスト化して順列で表示(S27)の各ステップを有する。
【0081】
この実施の形態では、ゴルフ場データ格納部3は、複数のゴルフ場のデータを格納しており、制御部6は、複数のゴルフ場の中から目標スコアを達成できるゴルフ場を選択することができるものである。
すなわち、表示部2のメインメニュー画面に描画される最適コース検索アイコンを選択し、ユーザーが達成したい目標スコアを入力する(S20)。
【0082】
目標スコアが入力されたことを制御部6が認識すると、制御部6はゴルフ場データ格納部3とプレーヤーデータ格納部4と気象データ取得部7にアクセスし(S21~S24)、各ゴルフコースにおけるユーザーの目標スコアに応じた最適解ルートを導出する(S24)。
導出された各ゴルフコースにおける最適解ルートをもとに、制御部6は統計的分布に基づく確率モデルを使って(S25)プレーヤーの属性に適する順にゴルフ場データ格納部内のゴルフコースを整理し(S26)、表示部2に表示する(S27)。
【0083】
リスト化された目標スコアを達成できうるゴルフコースは、ユーザーの現在位置を中心に距離別(例えば、半径50km圏内など)に表示できるようにしてもよい。
リスト化された目標スコアを達成できうるゴルフコースの中から、ユーザーが選択したコースを記憶装置14に記録し、ユーザーがそのゴルフコースでプレーする時には、GPS受信部9の取得した位置情報がそのゴルフコースの所在と一致したことを制御部6が認識した場合は、そのゴルフコースにおいてプレーをする時に、新たに目標スコアなどを入力したり、メインメニュー画面においてプレーモードを選択せずとも、自動的にプレーモードが開始されるようにしてもよい。
【0084】
図12は、制御部6の他の機能を示すもので、ゴルフコースにおける目標スコアを達成するための技術情報を導出するためのフローチャートである。
このフローは、目標スコア入力(S30)、プレーヤーデータ入力(S31)、ゴルフコースデータ読み込み(S32)、各ゴルフコースにおける目標スコア達成のためにプレーヤーが必要となる飛距離の算出(S33)、及び、必要となる飛距離順にゴルフコースを表示する(S34)各ステップを有する。プレーヤーデータ入力(31)において、過
去のデータが記憶部14に存在している場合、記憶装置14から詳細データを読み込み、プレーヤーデータに取り込む(S31-1)。
【0085】
すなわち、ユーザーは、ゴルフコース格納部3に記憶されているゴルフコースにおいて、目標スコアを達成したい場合に、メインメニューのコース別技術情報アイコンを選択し、目標スコアを入力し(S30)、目標スコアを達成したいゴルフコースを選択すると、その入力を制御部6が認識し、プレーヤーデータ格納部4の情報とゴルフコースの属性から目標スコアを達成するために必要となるユーザーの物理的飛距離の下限値等を導出し(S33)、表示部2に表示する(S34)。
【0086】
プレーヤーデータ格納部4の情報をもとに、例えばプレーヤーが得意とする100~150ヤードのショットを8回要するなどのショットに関するデータを併せて提示してもよい。
目標スコアを達成するために必要なユーザーの物理的飛距離の下限値は、ゴルフコースにおけるティーイングエリア別に表示してもよい。目標スコアがユーザーの属性では物理的に達成できない場合には、選択したゴルフコースやティーイングエリアが表示されている背景の色を変化させて表示させてもよい。背景の色を変化させて表示するとともに、目標スコアを達成するために必要となる物理的飛距離と、ユーザーが登録したまたはプレーヤーデータ格納部4に記憶されている属性とのギャップを併せて表示してもよい。また、ユーザーが複数のゴルフコースを選択した場合、目標スコアを達成するために必要となる飛距離情報と記録されているプレーヤーデータを比較し、目標スコアが達成しやすいゴルフコース順に表示してもよいし、例えばゴルフコース毎に適合率58パーセント等と比較結果を数値化して表示してもよい。
【0087】
本実施形態のゴルフ解析アシスタント装置は、ユーザーの求める目標スコアを達成するための最適な指標を、ユーザーの定めた目標スコアを達成しやすいゴルフコースをリスト化したり、プレーを望むゴルフ場におけるユーザーの定めた目標スコアを達成するために必要となる物理的限界飛距離を表示したり、ユーザーの求める目標スコアを達成するための最適解ルートを実際のゴルフコースのコースレイアウト上に表示したり、現在位置を測位しユーザーの移動とともに、現在位置やグリーンまでの残り距離等をリアルタイムに通知したり、するゴルフ解析アシスタント装置である。実際のゴルフコースをコースレイアウト上に表示したり、現在位置を測位しプレーヤーの移動とともに、現在位置やグリーンまでの残り距離等をリアルタイムに通知したりする装置は、広義にはゴルフナビゲーション装置などとも称されるが、本発明におけるゴルフ解析アシスタント装置は、広義なゴルフナビゲーション装置の機能を含むゴルフアシスタント装置と称することもできる。
【0088】
なお、本発明は、ゴルフ解析アシスタント装置、又は、ゴルフ解析アシスタント方法の機能をコンピュータに実現させるためのゴルフ解析アシスタントプログラムを含むものである。
このプログラムは、スマートフォンやPC(パーソナルコンピューター)のアプリケーションとして用いられる。このアプリケーションを搭載(インストール)したスマートフォンやパソコン等は、本発明のゴルフ解析アシスタント装置を構成する。
【0089】
今回開示した実施例の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。例えば、本体は、
図13に示すような腕時計型であっても良い。また、多くのユーザーが利用できるように、ゴルフカートに備え付けるのが好ましい。さらに、本体は携帯可能であり、ユーザーの個人所有物ともされうるが、ゴルフ場からプレーヤーに貸し出し可能なものとされてもよい。
【0090】
従来のゴルフナビゲーションシステムは、プレーヤーの目標スコアによらずゴルフコー
スにおける複数の攻略法を提示するものであったが、本件発明はプレーヤーの目標スコアを達成するために攻略の最適解を導出して提示し、プレー中にはその最適解を状況に応じて補正し新たな最適解を導出して提示するシステムである。
本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0091】
1 本体(ケース)
2 表示部
3 ゴルフ場データ格納部
4 プレーヤーデータ格納部
5 目標スコア取得部
6 制御部
7 気象データ取得部
8 打数登録部(打数登録ボタン)
9 GPS受信部
10 充電ランプ
11 電源ボタン
12 端子カバー
13 USB Type-C端子
14 記憶装置
15 電池
16 無線通信部
17 地磁気センサー
18 マイクロ波センサー
19 時刻
20 電池残量
B バッテリー残量アイコン
B1 小アイコン
B2 大アイコン
B3 クリアアイコン
B4 戻るアイコン
D 距離表示アイコン
E グリーンエッジ
G グリーン中央
L1 限界打数表示領域
R1 残り距離表示領域
N ホールアイコン
R3~R5 距離表示領域
P ピン位置
T 方向指示線
W1 気象表示領域
X ティーイングエリア(現在位置)
S1 目標スコアを取得するステップ
S2 プレーヤーの属性を取得するステップ
S2-1 プレーヤーデータ入力ステップ
S2-2 詳細データ読み込みステップ
S2-3 計測ステップ
S3 気象データを取得するステップ
S4 ゴルフ場の属性を取得するステップ
S5 最適解ルートを求めるステップ
S5-1 ベターグリーンオンルートを設定するステップ
S5-2 補正するステップ
S5-3 限界打数を導出するステップ
S6 表示するステップ
S10 プレー開始ステップ
S11 打数登録部操作ステップ
S12 現在位置更新ステップ
S13 最適解再計算ステップ
S14 最適解ルート補正ステップ
S20 目標スコア入力ステップ
S21 プレーヤーデータ読込ステップ
S22 気象データ読込ステップ
S23 ゴルフコースデータ読込ステップ
S24 目標スコア達成用最適解ルートの導出ステップ
S25 プレーヤーデータ近似割合の導出ステップ
S26 近似割合に応じたゴルフコースの整列ステップ
S27 目標スコアが達成しやすいゴルフコースをリスト化して順列で表示ステップ
S30 目標スコア入力ステップ
S31 プレーヤーデータ入力ステップ
S31-1 詳細データ読み込みステップ
S32 ゴルフコースデータ読み込みステップ
S33 飛距離の算出ステップ
S34 飛距離順にゴルフコースを表示するステップ