(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022019751
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】アドバイス決定システム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20220120BHJP
G16H 50/30 20180101ALI20220120BHJP
【FI】
G16H20/00
G16H50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179899
(22)【出願日】2021-11-04
(62)【分割の表示】P 2020121555の分割
【原出願日】2020-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】503335700
【氏名又は名称】株式会社リンクアンドコミュニケーション
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 敏成
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 由樹
(72)【発明者】
【氏名】山口 力丸
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】 ユーザにとって信頼性の高いアドバイスを提示することのできるアドバイス
決定システムを提供する。
【解決手段】 アドバイス決定システム1は、ユーザに提示する複数のアドバイス候補
の各々について、健康診断データのデータ項目ごとに当該ユーザに対して提示する優先度
のスコアを求め、一のアドバイス候補について、すべてのデータ項目の優先度のスコアを
合計した合計スコアを計算し、合計スコアに基づいて、当該アドバイス候補の優先順位を
決定し、複数のアドバイス候補の各々について、ライフログデータに基づいて、ユーザに
提示すべきか否かを判定する。そして、複数のアドバイス候補のうち、優先順位が高くか
つユーザに提示すべきと判定されたアドバイス候補を、ユーザに提示するアドバイスとし
て決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの健康診断データを取得する健康診断データ取得部と、
前記ユーザのライフログデータを取得するライフログデータ取得部と、
前記ユーザに提示する複数のアドバイス候補の各々について、前記健康診断データのデ
ータ項目ごとに当該ユーザに対して提示する優先度のスコアを求め、一のアドバイス候補
について、すべてのデータ項目の優先度のスコアを合計した合計スコアを計算し、前記合
計スコアに基づいて、当該アドバイス候補の優先順位を決定する優先順位決定部と、
前記複数のアドバイス候補の各々について、前記ライフログデータに基づいて、前記ユ
ーザに提示すべきか否かを判定する提示可否判定部と、
前記複数のアドバイス候補のうち、前記優先順位決定部で決定された優先順位が高くか
つ前記提示可否判定部でユーザに提示すべきと判定されたアドバイス候補を、前記ユーザ
に提示するアドバイスとして決定するアドバイス決定部と、
を備えることを特徴とするアドバイス決定システム。
【請求項2】
前記ユーザの生活行動に関するアンケート回答データを取得するアンケート回答データ
取得部を備え、
前記優先順位決定部は、前記複数のアドバイス候補の各々について、前記アンケート回
答データのデータ項目ごとに前記優先度のスコアを求め、一のアドバイス候補について、
すべてのデータ項目の優先度のスコアを合計した合計スコアを計算し、前記合計スコアに
基づいて、当該アドバイス候補の優先順位を決定する、請求項1に記載のアドバイス決定
システム。
【請求項3】
前記ユーザの勤怠データを取得する勤怠データ取得部を備え、
前記優先順位決定部は、前記複数のアドバイス候補の各々について、前記勤怠データの
データ項目ごとに前記優先度のスコアを求め、一のアドバイス候補について、すべてのデ
ータ項目の優先度のスコアを合計した合計スコアを計算し、前記合計スコアに基づいて、
当該アドバイス候補の優先順位を決定する、請求項1または請求項2に記載のアドバイス
決定システム。
【請求項4】
前記ユーザのメンタルデータを取得するメンタルデータ取得部を備え、
前記優先順位決定部は、前記複数のアドバイス候補の各々について、前記メンタルデー
タのデータ項目ごとに前記優先度のスコアを求め、一のアドバイス候補について、すべて
のデータ項目の優先度のスコアを合計した合計スコアを計算し、前記合計スコアに基づい
て、当該アドバイス候補の優先順位を決定する、請求項1~請求項3のいずれかに記載の
アドバイス決定システム。
【請求項5】
前記アドバイス候補が、前記ユーザの生活行動において回避すべき注意行動に関するも
のである場合、
前記提示可否判定部は、
前記ライフログデータに基づいて、前記ユーザの生活行動において当該アドバイス候補
で提示される注意行動が回避されていないと判断される場合に、当該アドバイス候補を前
記ユーザに提示すべきと判定する、請求項1~請求項4のいずれかに記載のアドバイス決
定システム。
【請求項6】
前記アドバイス候補が、前記ユーザの生活行動において実行すべき推奨行動に関するも
のである場合、
前記提示可否判定部は、
前記ライフログデータに基づいて、前記ユーザの生活行動において当該アドバイス候補
で提示される推奨行動が実行されていると判断される場合に、当該アドバイス候補を前記
ユーザに提示すべきと判定する、請求項1~請求項4のいずれかに記載のアドバイス決定
システム。
【請求項7】
前記優先順位決定部は、
前記一のアドバイス候補が、前記健康診断データに基づいて前記ユーザに対して提示す
べきでないと判断される場合には、当該アドバイス候補の優先順位を最下位にする、ある
いは、当該アドバイス候補の優先順位をつけない禁忌処理を行う、請求項1~請求項6の
いずれか一項に記載のアドバイス決定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに提示するアドバイスを自動的に決定するアドバイス決定システムに
関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの日常生活行動に関する情報に基づいて、ユーザに提示する推奨情報を選
択するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のシステムにおいては、ユーザに提示する情報を選択するときに、
そのユーザの健康診断データがまったく考慮されていない。ところで、ユーザの健康診断
データに基づいてユーザに提示するアドバイスを選択しようとすると、健康診断データは
データ項目が非常に多いため、ユーザに提示するアドバイスの内容が互いに矛盾すること
もあり得る。
【0005】
例えば、健康診断データのデータ項目「BMI」に基づいて「タンパク質をとりましょ
う」というアドバイスが選択される一方、健康診断データのデータ項目「クレアチン」に
基づいて「タンパク質のとりすぎはやめましょう」というアドバイスが選択される場合が
あり得る。そのような場合、ユーザは、どちらのアドバイスに従えばいいのか判断するこ
とができず、アドバイスを信頼しなくなる(アドバイスの信頼性が低下する)という問題
がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、ユーザにとって信頼性の高いアドバイ
スを提示することのできるアドバイス決定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のアドバイス決定システムは、ユーザの健康診断データを取得する健康診断デー
タ取得部と、前記ユーザのライフログデータを取得するライフログデータ取得部と、前記
ユーザに提示する複数のアドバイス候補の各々について、前記健康診断データのデータ項
目ごとに当該ユーザに対して提示する優先度のスコアを求め、一のアドバイス候補につい
て、すべてのデータ項目の優先度のスコアを合計した合計スコアを計算し、前記合計スコ
アに基づいて、当該アドバイス候補の優先順位を決定する優先順位決定部と、前記複数の
アドバイス候補の各々について、前記ライフログデータに基づいて、前記ユーザに提示す
べきか否かを判定する提示可否判定部と、前記複数のアドバイス候補のうち、前記優先順
位決定部で決定された優先順位が高くかつ前記提示可否判定部でユーザに提示すべきと判
定されたアドバイス候補を、前記ユーザに提示するアドバイスとして決定するアドバイス
決定部と、を備えている。
【0008】
この構成によれば、複数のアドバイス候補(例えば、「糖質を控えましょう」「食塩を
減らしましょう」など)の各々について、健康診断データのデータ項目(例えば、BMI
、腹囲、血糖値、など)ごとにユーザに提示する優先度のスコアが求められる。そして、
一のアドバイス候補について、すべてのデータ項目の優先度のスコアを合計した合計スコ
アが計算され、合計スコアに基づいて、そのアドバイス候補の優先順位(例えば、優先度
1は「糖質の摂りすぎには気を付けましょう」、優先度2は「野菜を食べましょう」、優
先度3は「食塩を減らしましょう」と「たんぱく質をとりましょう」)が決定される。ま
た、複数のアドバイス候補の各々について、ユーザのライフログデータ(例えば、「ご飯
や糖質が多い」「野菜はしっかり摂れている」など)に基づいて、ユーザに提示すべきか
否か(例えば、優先度1の「糖質の摂りすぎには気を付けましょう」はユーザーに提示す
る必要がある、優先度2の「野菜を食べましょう」はユーザーに提示する必要がない、な
ど)が判定される。そして、複数のアドバイス候補のうち、優先順位が高くかつユーザに
提示すべきと判定されたアドバイス候補が、ユーザに提示するアドバイスとして決定され
る。これにより、ユーザの健康診断データとライフログデータを考慮して、そのユーザに
とって必要なアドバイスが提示される。このようにして、ユーザにとって信頼性の高いア
ドバイスが提示される。
【0009】
本発明のアドバイス決定システムでは、前記ユーザの生活行動に関するアンケート回答
データを取得するアンケート回答データ取得部を備え、前記優先順位決定部は、前記複数
のアドバイス候補の各々について、前記アンケート回答データのデータ項目ごとに前記優
先度のスコアを求め、一のアドバイス候補について、すべてのデータ項目の優先度のスコ
アを合計した合計スコアを計算し、前記合計スコアに基づいて、当該アドバイス候補の優
先順位を決定してもよい。
【0010】
この構成によれば、複数のアドバイス候補(例えば、「適切なカロリーを守りましょう
」「(運動強度の高い)スポーツをしましょう」など)の各々について、ユーザのアンケ
ート回答データ(例えば、「運動をすると膝や腰がかなり痛む」など)に基づいて、ユー
ザに提示すべきか否か(例えば、「適切なカロリーを守りましょう」はユーザーに提示す
る必要がある、「(運動強度の高い)スポーツをしましょう」はユーザーに提示する必要
がない、など)が判定される。これにより、ユーザのアンケート回答データを考慮して、
そのユーザにとって必要なアドバイスが提示される。
【0011】
本発明のアドバイス決定システムでは、前記ユーザの勤怠データを取得する勤怠データ
取得部を備え、前記優先順位決定部は、前記複数のアドバイス候補の各々について、前記
勤怠データのデータ項目ごとに前記優先度のスコアを求め、一のアドバイス候補について
、すべてのデータ項目の優先度のスコアを合計した合計スコアを計算し、前記合計スコア
に基づいて、当該アドバイス候補の優先順位を決定してもよい。
【0012】
この構成によれば、複数のアドバイス候補(例えば、「早く就寝しましょう」「歩数を
増やしましょう」など)の各々について、ユーザの勤怠データ(例えば、「残業時間」「
有給残日数」「就業開始時刻」「就業終了時刻」「深夜残業時間」など)に基づいて、ユ
ーザに提示すべきか否か(例えば、「早く就寝しましょう」はユーザーに提示する必要が
ある、「歩数を増やしましょう」はユーザーに提示する必要がない、など)が判定される
。これにより、ユーザの勤怠データを考慮して、そのユーザにとって必要なアドバイスが
提示される。
【0013】
本発明のアドバイス決定システムでは、前記ユーザのメンタルデータを取得するメンタ
ルデータ取得部を備え、前記優先順位決定部は、前記複数のアドバイス候補の各々につい
て、前記メンタルデータのデータ項目ごとに前記優先度のスコアを求め、一のアドバイス
候補について、すべてのデータ項目の優先度のスコアを合計した合計スコアを計算し、前
記合計スコアに基づいて、当該アドバイス候補の優先順位を決定してもよい。
【0014】
この構成によれば、複数のアドバイス候補(例えば、「休息をとりましょう」「カロリ
ー制限をしましょう」など)の各々について、ユーザのメンタルデータ(例えば、「スト
レス判定(高/中/低)」「気持ちが沈みやすいか(はい/いいえ)」「仕事量が多いと
感じているか(そう思う/少しそう思う/そうは思わない)」「職場環境に良い雰囲気を
感じているか(はい/いいえ)」など)に基づいて、ユーザに提示すべきか否か(例えば
、「休息をとりましょう」はユーザーに提示する必要がある、「カロリー制限をしましょ
う」はユーザーに提示する必要がない、など)が判定される。これにより、ユーザのメン
タルデータを考慮して、そのユーザにとって必要なアドバイスが提示される。
【0015】
また、本発明のアドバイス決定システムでは、前記アドバイス候補が、前記ユーザの生
活行動において回避すべき注意行動に関するものである場合、前記提示可否判定部は、前
記ライフログデータに基づいて、前記ユーザの生活行動において当該アドバイス候補で提
示される注意行動が回避されていないと判断される場合に、当該アドバイス候補を前記ユ
ーザに提示すべきと判定してもよい。
【0016】
この構成によれば、アドバイス候補がユーザの生活行動において回避すべき注意行動に
関するもの(例えば、「糖質の摂り過ぎには注意しましょう」など)である場合、ユーザ
のライフログデータから、その注意行動が回避されていないと判断されると、そのアドバ
イス候補が、ユーザに提示するアドバイスとして決定される。これにより、そのユーザに
とって注意が必要なアドバイスが提示される。
【0017】
また、本発明のアドバイス決定システムでは、前記アドバイス候補が、前記ユーザの生
活行動において実行すべき推奨行動に関するものである場合、前記提示可否判定部は、前
記ライフログデータに基づいて、前記ユーザの生活行動において当該アドバイス候補で提
示される推奨行動が実行されていると判断される場合に、当該アドバイス候補を前記ユー
ザに提示すべきと判定してもよい。
【0018】
この構成によれば、アドバイス候補がユーザの生活行動において実行すべき推奨行動に
関するもの(例えば、「野菜をしっかり食べるのは良いことですね。ぜひ続けましょう」
など)である場合、ユーザのライフログデータから、その推奨行動が実行されていると判
断されると、そのアドバイス候補が、ユーザに提示するアドバイスとして決定される。こ
れにより、そのユーザにとって有益なアドバイスが提示される。
【0019】
また、本発明のアドバイス決定システムでは、前記優先順位決定部は、前記一のアドバ
イス候補が、前記健康診断データに基づいて前記ユーザに対して提示すべきでないと判断
される場合には、当該アドバイス候補の優先順位を最下位にする、あるいは、当該アドバ
イス候補の優先順位をつけない禁忌処理を行ってもよい。
【0020】
この構成によれば、あるアドバイス候補が、健康診断データに基づいてそのユーザに対
して提示すべきでないと判断される場合、そのアドバイス候補については禁忌処理(優先
順位を最下位にする、あるいは、優先順位をつけない処理)が行われ、そのアドバイス候
補はユーザに提示されない。これにより、ユーザにとって提示すべきでないアドバイス(
例えば、腎臓疾患のあるユーザに対して「野菜をたべましょう」など)が提示されるのを
避けることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ユーザにとって信頼性の高いアドバイスを提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施の形態におけるアドバイス決定システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施の形態における優先順位の決定の例を示す図である。
【
図3】本実施の形態におけるライフログデータの例を示す図である。
【
図4】本実施の形態におけるアドバイス決定システムの動作説明のためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態のアドバイス決定システムについて、図面を用いて説明する
。本実施の形態では、健康アドバイスシステム等に用いられるアドバイス決定システムの
場合を例示する。
【0024】
本発明の実施の形態のアドバイス決定システムの構成を、図面を参照して説明する。図
1は、本実施の形態のアドバイス決定システムの構成を示すブロックである。
図1に示す
ように、アドバイス決定システム1は、ネットワーク2を介して、ユーザ端末3、健康診
断データサーバ4、勤怠データサーバ5、メンタルデータサーバ6と接続されている。
【0025】
ユーザ端末3は、ユーザが操作する端末装置であり、例えばスマートフォンなどで構成
されている。ユーザ端末3は、ユーザのライフログデータを記録する機能を備えている。
また、ユーザ端末3は、ユーザの生活行動に関するアンケート回答データを記録する機能
を備えている。
【0026】
健康診断サーバは、健康診断事業者などによって運営されるサーバ装置であり、ユーザ
の健康診断データが記録されている。勤怠サーバは、勤怠管理事業者などによって運営さ
れるサーバ装置であり、ユーザの勤怠データが記録されている。メンタルデータサーバ6
は、メンタルヘルスケア事業者などによって運営されるサーバ装置であり、ユーザのメン
タルデータが記録されている。
【0027】
図1に示すように、アドバイス決定システム1は、健康診断データ取得部10、ライフ
ログデータ取得部11、アンケート回答取得部12、勤怠データ取得部13、メンタルデ
ータ取得部14、優先順位決定部15、提示可否判定部16、アドバイス決定部17、ア
ドバイス送信部18、記憶部19を備えている。
【0028】
健康診断データ取得部10は、健康診断データサーバ4からユーザの健康診断データを
取得する機能を備えている。健康診断データには、例えば「BMI」「腹囲」「血糖値」
などが含まれる(
図2参照)。なお、ユーザ端末3が健康診断データを記録する機能を備
えている場合には、健康診断データ取得部10は、ユーザ端末3からユーザの健康診断デ
ータを取得してもよい。
【0029】
ライフログデータ取得部11は、ユーザ端末3からユーザのライフログデータを取得す
る機能を備えている。ライフログデータには、例えば「食事」「歩数」「睡眠」「運動」
「カラダ」などのログデータが含まれる(
図3参照)。
【0030】
アンケート回答データ取得部は、ユーザ端末3からユーザの生活行動に関するアンケー
ト回答データを取得する機能を備えている。アンケート回答データには、例えば「運動す
ると膝や腰がかなり痛む」などが含まれる。
【0031】
勤怠データ取得部13は、勤怠データサーバ5からユーザの勤怠データを取得する機能
を備えている。勤怠データには、例えば「残業時間」などが含まれる。なお、ユーザ端末
3が勤怠データを記録する機能を備えている場合には、勤怠データ取得部13は、ユーザ
端末3からユーザの勤怠データを取得してもよい。
【0032】
メンタルデータ取得部14は、メンタルデータサーバ6からユーザのメンタルデータを
取得する機能を備えている。メンタルデータには、例えば「ストレス判定(高/中/低)
」などが含まれる。なお、ユーザ端末3がメンタルデータを記録する機能を備えている場
合には、メンタルデータ取得部14は、ユーザ端末3からユーザのメンタルデータを取得
してもよい。
【0033】
記憶部19には、ユーザに提示する複数のアドバイス候補が記録されている。アドバイ
ス候補は、ユーザに対して様々なタスクを提案するものであり、例えば「糖質を控えまし
ょう」「食塩を減らしましょう」「適切なカロリーを守りましょう」「(運動強度の高い
)スポーツをしましょう」「早く就寝しましょう」「歩数を増やしましょう」「休息をと
りましょう」「カロリー制限をしましょう」「野菜を食べましょう」「たんぱく質をとり
ましょう」などが含まれる。
【0034】
この場合、アドバイス候補には、例えば「糖質の摂り過ぎには注意しましょう」など、
ユーザの生活行動において回避すべき注意行動に関するものが含まれる。さらに、アドバ
イス候補には、例えば「野菜をしっかり食べることは良いことですね。ぜひ続けましょう
」など、ユーザの生活行動において実行すべき推奨行動に関するものが含まれる。
【0035】
また、記憶部19には、ユーザー端末3から取得したライフログデータ、アンケート回
答データ等も記録されている。
【0036】
優先順位決定部15は、記憶部19に記録されている複数のアドバイス候補の各々につ
いて、健康診断データのデータ項目ごとにそのユーザに対して提示する優先度のスコアを
求める。例えば、
図2の例では、「タスクA」というアドバイス候補について、健康診断
データの「BMI」の優先度スコアが「0」、「腹囲」の優先度スコアが「+10」、「
血糖値」の優先度スコアが「0」と求められている。
【0037】
ここで、健康診断データの優先度のスコアは、所定の基準に基づいて求めることができ
る。例えば、「BMI」の優先度のスコアは、「BMI」の値が23未満であれば優先度
のスコアは「0」であり、「BMI」の値が23以上25未満であれば優先度のスコアは
「+5」であり、「BMI」の値が25以上であれば優先度のスコアは「+10」である
、などの基準に基づいて求めることができる。「腹囲」「血糖値」についても同様に、所
定の基準に基づいて求めることができる。
【0038】
また、優先順位決定部15は、記憶部19に記録されている複数のアドバイス候補の各
々について、アンケート回答データのデータ項目ごとに優先度のスコアを求める。例えば
、
図2の例では、「タスクA」というアドバイス候補について、アンケート回答データの
「アンケートA」の優先度スコアが「+3」、「アンケ―ドB」の優先度スコアが「0」
と求められている。
【0039】
ここで、アンケート回答データの優先度のスコアは、所定の基準に基づいて求めること
ができる。例えば、アンケート回答データの優先度スコアは、アンケートの内容とタスク
の内容との間に関連がある場合には「+3」であり、関連がない場合には「0」である、
などの基準に基づいて求めることができる。
【0040】
さらに、優先順位決定部15は、記憶部19に記録されている複数のアドバイス候補の
各々について、勤怠データのデータ項目ごとに優先度のスコアを求める。例えば、
図2の
例では、「タスクC」というアドバイス候補について、勤怠データの「残業時間」の優先
度スコアが「+3」と求められている。
【0041】
ここで、勤怠データの優先度のスコアは、所定の基準に基づいて求めることができる。
例えば、「残業時間」の優先度のスコアは、「残業時間」の値が週5時間未満であれば優
先度のスコアは「0」であり、週5時間以上であれば優先度のスコアは「+3」である、
などの基準に基づいて求めることができる。
【0042】
また、優先順位決定部15は、記憶部19に記録されている複数のアドバイス候補の各
々について、メンタルデータのデータ項目ごとに優先度のスコアを求める。例えば、
図2
の例では、「タスクD」というアドバイス候補について、メンタルデータの「ストレス判
定」の優先度スコアが「+5」と求められている。
【0043】
ここで、メンタルデータの優先度のスコアは、所定の基準に基づいて求めることができ
る。例えば、「ストレス判定」の優先度のスコアは、「ストレス判定」の結果が「低」で
あれば優先度のスコアは「0」であり、「中」であれば優先度のスコアは「+3」であり
、「高」であれば優先度のスコアは「+5」である、などの基準に基づいて求めることが
できる。
【0044】
さらに、優先順位決定部15は、あるアドバイス候補が、健康診断データに基づいてユ
ーザに対して提示すべきでないと判断される場合には、そのアドバイス候補の優先順位を
最下位にする、あるいは、当該アドバイス候補の優先順位をつけない禁忌処理を行う。例
えば、腎臓疾患のあるユーザに対して「野菜をたべましょう」というアドバイスは提示す
べきではない。
【0045】
ここで、禁忌処理は、様々な手法で行うことができる。例えば、
図2の例では、優先度
のスコアの合計値に「係数」をかけることで、そのアドバイス候補の優先順位を最下位に
している。具体的には、禁忌処理の対象となるアドバイス候補の「係数」を「0」とする
ことで、そのアドバイス候補の優先順位を最下位としている。禁忌処理の例は、これに限
定されるものではなく、例えば「係数」を負の値としてもよい。また、そのアドバイス候
補の優先順位をつけない。
【0046】
そして、優先順位決定部15は、一のアドバイス候補について、すべてのデータ項目の
優先度のスコアを合計した合計スコアを計算し、合計スコアに基づいて、そのアドバイス
候補の優先順位を決定する。
【0047】
例えば、
図2の例では、タスクAの合計スコアが「+13」であり、タスクBの合計ス
コアが「+18」であり、タスクCの合計スコアが「+11」であり、タスクDの合計ス
コアが「0」である。この場合、タスクAの優先順位が「2」、タスクBの優先順位が「
1」、タスクCの優先順位が「3」、タスクDの優先順位が「-(順位なし)」と決定さ
れる。
【0048】
提示可否判定部16は、記憶部19に記録されている複数のアドバイス候補の各々につ
いて、ライフログデータに基づいて、ユーザに提示すべきか否かを判定する機能を備えて
いる。
【0049】
例えば、アドバイス候補が、ユーザの生活行動において回避すべき注意行動に関するも
の(例えば「糖質の摂り過ぎには注意しましょう」など)である場合に、提示可否判定部
16は、ライフログデータ(一日に摂取した糖質:350g以上)に基づいて、ユーザの
生活行動においてそのアドバイス候補で提示される注意行動が回避されていない(糖質が
多い)と判断されると、そのアドバイス候補をユーザに提示すべきと判定する。
【0050】
また、アドバイス候補が、ユーザの生活行動において実行すべき推奨行動に関するもの
(例えば、「野菜をしっかり食べるのは良いことですね。ぜひ続けましょう」など)であ
る場合に、提示可否判定部16は、ライフログデータ(一日の野菜摂取量:350g以上
)に基づいて、ユーザの生活行動において当該アドバイス候補で提示される推奨行動が実
行されている(野菜はしっかり摂れている)と判断されると、そのアドバイス候補をユー
ザに提示すべきと判定する。
【0051】
アドバイス決定部17は、記憶部19に記録されている複数のアドバイス候補のうち、
優先順位決定部15で決定された優先順位が高くかつ提示可否判定部16でユーザに提示
すべきと判定されたアドバイス候補を、ユーザに提示するアドバイスとして決定する。し
たがって、たとえ優先順位決定部15で決定された優先順位が高いアドバイス候補であっ
ても、提示可否判定部16でユーザに提示すべきでないと判定されたアドバイス候補は、
ユーザに提示されることがない。
【0052】
アドバイス送信部18は、アドバイス決定部17でユーザに提示するアドバイスとして
決定されたアドバイスを、ユーザ端末3に送信する機能を備えている。
【0053】
以上のように構成されたアドバイス決定システム1について、
図4のフロー図を参照し
てその動作を説明する。
【0054】
図4に示すように、本実施の形態のアドバイス決定システム1は、まず、健康診断デー
タサーバ4からユーザの健康診断データを取得し(S1)、ユーザ端末3からユーザのラ
イフログデータを取得する(S2)。なお、予めユーザ端末3から取得したライフログデ
ータは、記憶部19から取得することができる。また、アドバイス決定システム1は、ユ
ーザ端末3からユーザの生活行動に関するアンケート回答データを取得し(S3)、勤怠
データサーバ5からユーザの勤怠データを取得する(S4)。さらに、アドバイス決定シ
ステム1は、メンタルデータサーバ6からユーザのメンタルデータを取得する(S5)。
【0055】
つぎに、アドバイス決定システム1は、
図2に示すように、複数のアドバイス候補の各
々について、ユーザに対して提示する優先度のスコアを求め、一のアドバイス候補につい
て、すべてのデータ項目の優先度のスコアを合計した合計スコアを計算し、合計スコアに
基づいて、そのアドバイス候補の優先順位を決定する(S6)。また、複数のアドバイス
候補の各々について、ライフログデータに基づいて、ユーザに提示すべきか否かを判定す
る(S7)。
【0056】
そして、アドバイス決定システム1は、複数のアドバイス候補のうち、優先順位決定部
15で決定された優先順位が高くかつ提示可否判定部16でユーザに提示すべきと判定さ
れたアドバイス候補を、ユーザに提示するアドバイスとして決定し(S8)、ユーザ端末
3に送信する(S9)。
【0057】
このような本実施の形態のアドバイス決定システム1によれば、複数のアドバイス候補
(例えば、「糖質を控えましょう」「食塩を減らしましょう」など)の各々について、健
康診断データのデータ項目(例えば、BMI,腹囲、血糖値など)ごとにユーザに提示す
る優先度のスコアが求められる。そして、一のアドバイス候補について、すべてのデータ
項目の優先度のスコアを合計した合計スコアが計算され、合計スコアに基づいて、そのア
ドバイス候補の優先順位(例えば、優先度1は「糖質の摂りすぎには気を付けましょう」
、優先度2は「野菜を食べましょう」、優先度3は「食塩を減らしましょう」と「たんぱ
く質をとりましょう」)が決定される。
【0058】
また、複数のアドバイス候補の各々について、ユーザのライフログデータ(例えば、「
糖質が多い(一日に摂取した糖質:350g以上)」「野菜はしっかり摂れている(一日
の野菜摂取量:350g以上)」など)に基づいて、ユーザに提示すべきか否か(例えば
、優先度1の「糖質の摂りすぎには気を付けましょう」はユーザーに提示する必要がある
、優先度2の「野菜を食べましょう」はユーザーに提示する必要がない、など)が判定さ
れる。
【0059】
そして、複数のアドバイス候補のうち、優先順位が高くかつユーザに提示すべきと判定
されたアドバイス候補が、ユーザに提示するアドバイスとして決定される。これにより、
ユーザの健康診断データとライフログデータを考慮して、そのユーザにとって必要なアド
バイスが提示される。このようにして、ユーザにとって信頼性の高いアドバイスが提示さ
れる。
【0060】
また、本実施の形態では、複数のアドバイス候補(例えば、「適切なカロリーを守りま
しょう」「(運動強度の高い)スポーツをしましょう」など)の各々について、ユーザの
アンケート回答データ(例えば、「運動をすると膝や腰がかなり痛む」など)に基づいて
、ユーザに提示すべきか否か(例えば、「適切なカロリーを守りましょう」はユーザーに
提示する必要がある、「(運動強度の高い)スポーツをしましょう」はユーザーに提示す
る必要がない、など)が判定される。これにより、ユーザのアンケート回答データを考慮
して、そのユーザにとって必要なアドバイスが提示される。
【0061】
また、本実施の形態では、複数のアドバイス候補(例えば、「早く就寝しましょう」「
歩数を増やしましょう」など)の各々について、ユーザの勤怠データ(例えば、「残業時
間」など)に基づいて、ユーザに提示すべきか否か(例えば、「早く就寝しましょう」は
ユーザーに提示する必要がある、「歩数を増やしましょう」はユーザーに提示する必要が
ない、など)が判定される。これにより、ユーザの勤怠データを考慮して、そのユーザに
とって必要なアドバイスが提示される。
【0062】
また、本実施の形態では、複数のアドバイス候補(例えば、「休息をとりましょう」「
カロリー制限をしましょう」など)の各々について、ユーザのメンタルデータ(例えば、
「ストレス判定」など)に基づいて、ユーザに提示すべきか否か(例えば、「休息をとり
ましょう」はユーザーに提示する必要がある、「カロリー制限をしましょう」はユーザー
に提示する必要がない、など)が判定される。これにより、ユーザのメンタルデータを考
慮して、そのユーザにとって必要なアドバイスが提示される。
【0063】
また、本実施の形態では、アドバイス候補がユーザの生活行動において回避すべき注意
行動に関するもの(例えば、「糖質の摂り過ぎには注意しましょう」など)である場合、
ユーザのライフログデータ(一日に摂取した糖質:350g以上)から、その注意行動が
回避されていない(糖質が多い)と判断されると、そのアドバイス候補が、ユーザに提示
するアドバイスとして決定される。これにより、そのユーザにとって注意が必要なアドバ
イスが提示される。
【0064】
また、本実施の形態では、アドバイス候補がユーザの生活行動において実行すべき推奨
行動に関するもの(例えば、「野菜をしっかり食べるのは良いことですね。ぜひ続けまし
ょう」など)である場合、ユーザのライフログデータ(一日の野菜摂取量:350g以上
)から、その推奨行動が実行されている(野菜はしっかり摂れている)と判断されると、
そのアドバイス候補が、ユーザに提示するアドバイスとして決定される。これにより、そ
のユーザにとって有益なアドバイスが提示される。
【0065】
また、本実施の形態では、あるアドバイス候補が、健康診断データに基づいてそのユー
ザに対して提示すべきでないと判断される場合、そのアドバイス候補については禁忌処理
(優先順位を最下位にする、あるいは、優先順位をつけない処理)が行われ、そのアドバ
イス候補はユーザに提示されない。これにより、ユーザにとって提示すべきでないアドバ
イス(例えば、腎臓疾患のあるユーザに対して「野菜をたべましょう」など)が提示され
るのを避けることができる。
【0066】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定され
るものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが
可能である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上のように、本発明にかかるアドバイス決定システムは、ユーザにとって信頼性の高
いアドバイスを提示することができるという効果を有し、健康アドバイスシステム等に適
用され、有用である。
【符号の説明】
【0068】
1 アドバイス決定システム
2 ネットワーク
3 ユーザ端末
4 健康診断データサーバ
5 勤怠データサーバ
6 メンタルデータサーバ
10 健康診断データ取得部
11 ライフログデータ取得部
12 アンケート回答取得部
13 勤怠データ取得部
14 メンタルデータ取得部
15 優先順位決定部
16 提示可否判定部
17 アドバイス決定部
18 アドバイス送信部
19 記憶部