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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022019796
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】隠蔽シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A45D 44/22 20060101AFI20220120BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220120BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
A45D44/22 Z
B32B27/00 M
B32B27/32 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188099
(22)【出願日】2021-11-18
(62)【分割の表示】P 2017109024の分割
【原出願日】2017-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】507089403
【氏名又は名称】株式会社グランブルー
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100120846
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 雅也
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(72)【発明者】
【氏名】竹村 仁
(57)【要約】
【課題】肌に貼り付けている間に、あざや傷等の隠蔽性が損なわれることを抑制すること
ができる隠蔽シートを提供する。
【解決手段】隠蔽シート10は、無色の第一の樹脂層2と、インク層3と、第二の樹脂層
4と、粘着剤層5と、セパレータ6と、がこの順で積層されており、前記第一の樹脂層2
及び前記第二の樹脂層3が弾性を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、無色の第一の樹脂層と、インク層と、第二の樹脂層と、粘着剤層と、セパレータと、がこの順で積層されており、
前記第一の樹脂層及び前記第二の樹脂層が弾性を有することを特徴とする隠蔽シート。
【請求項2】
前記第一の樹脂層を挟んで前記インク層とは反対側に、保護層がさらに積層され、
前記保護層がポリプロピレンを含んで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の隠蔽シート。
【請求項3】
前記インク層が、第一のインク層と、第二のインク層と、を有して構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の隠蔽シート。
【請求項4】
前記第一の樹脂層が、マット状であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の隠蔽シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隠蔽シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、肌のあざや傷等を隠すために、あざや傷の上に貼るための隠蔽シールが種々提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の隠蔽シールは、カバー材、基材フィルム、粘着剤層、剥離ライナーがこの順に積層されたものであり、基材フィルム及び/又は粘着剤層が着色されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-23923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、隠蔽シール表面(肌に接着する面とは反対側の面)が着色されている場合、肌に隠蔽シールを貼り付けている間に外部からの衝撃等を受けて、隠蔽シールの表面が損傷することにより、あざや傷等の隠蔽性が損なわれる可能性があるという問題があった。
【0005】
従って、本発明は、上記のような問題点に着目し、肌に貼り付けている間に、あざや傷等の隠蔽性が損なわれることを抑制することができる隠蔽シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の隠蔽シートは、少なくとも、無色の第一の樹脂層と、インク層と、第二の樹脂層と、粘着剤層と、セパレータと、がこの順で積層されており、前記第一の樹脂層及び前記第二の樹脂層が弾性を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の隠蔽シートにおいては、前記第一の樹脂層を挟んで前記インク層とは反対側に、保護層がさらに積層され、前記保護層がポリプロピレンを含んで構成されていることが好ましい。
【0008】
本発明の隠蔽シートにおいては、前記インク層が、第一のインク層と、第二のインク層と、を有して構成されていてもよい。
【0009】
本発明の隠蔽シートにおいては、前記第二の樹脂層が、マット状であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の隠蔽シートによれば、無色の第一の樹脂層と、インク層と、第二の樹脂層と、粘着剤層と、セパレータと、がこの順で積層されている。これにより、肌に貼り付けたときに無色の第一の樹脂層が表面(肌に接着される面とは反対側の面)となり、肌に貼り付けている間に外部から衝撃等を受けても、インク層の損傷を抑制することができる。よって、インク層の色が損なわれ難く、あざや傷等の隠蔽性が損なわれることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態にかかる隠蔽シートを模式的に示す平面図である。
図2】本発明の実施形態にかかる隠蔽シートの断面を模式的に示す図である。
図3】本発明の変形例にかかる隠蔽シートを模式的に示す平面図である。
図4】本発明の変形例にかかる隠蔽シートの断面を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の隠蔽シートについて、説明する。本発明の隠蔽シートは、肌のあざ、傷等を隠すために、あざ、傷等がある肌の部分に貼り付けて使用するものである。
【0013】
本発明の隠蔽シートは、少なくとも、無色の第一の樹脂層と、インク層と、第二の樹脂層と、粘着剤層と、セパレータと、がこの順で積層されているものであり、第一の樹脂層及び第二の樹脂層が弾性を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の隠蔽シートは、第一の樹脂層を挟んでインク層とは反対側に、保護層がさらに積層されていてもよい。
【0015】
本発明において、「弾性」とは、外力が加えられることにより変形し、加えられた外力が無くなることにより元の形に戻ろうとする性質を指す。本発明の隠蔽シートにおいて、第一の樹脂層及び第二の樹脂層が弾性を有することにより、肌に隠蔽シートを貼り付けたときに、肌の動きに追随させることができる。
【0016】
次に、本発明の一実施形態にかかる隠蔽シート10について、図1図2を参照して説明する。隠蔽シート10は、図1図2に示すように、保護層1と、無色の第一の樹脂層2と、インク層3と、第二の樹脂層4と、粘着剤層5と、セパレータ6と、がこの順で積層されたものである。また、第一の樹脂層2及び第二の樹脂層4は、それぞれ弾性を有している。また、隠蔽シート10を肌に貼り付けて使用するときには、セパレータ6を剥がして粘着剤層5側を肌に向けて貼り付けたのち、保護層1のみを取り除く。すなわち、隠蔽シート10を使用するとき、肌には、第一の樹脂層2と、インク層3と、第二の樹脂層4と、粘着剤層5とからなるシート本体20が貼り付けられる。
【0017】
また、本実施形態の隠蔽シート10の形状は、図1に示すように、外形が矩形状であり、シート本体20は矩形の角が丸く形成された形状に形成されている。シート本体20の角を丸く形成することにより、シート本体20を肌に貼り付けている間に、剥がれにくくすることができる。
【0018】
保護層1は、図2に示すように、第一の樹脂層2を挟んでインク層3とは反対側に積層されており、隠蔽シート10を使用する前の流通段階等において、シート本体20が損傷しないように第一の樹脂層2の表面を保護するために設けられるものである。また、保護層1は、図1に示すように、シート本体20が平面視で保護層1の内方に収まるように、シート本体20よりも大きく構成されている。
【0019】
また、保護層1は、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂材料を用いることができ、特に、ポリプロピレンを含んで構成されていることが好ましい。また、ポリプロピレンのみから構成されていてもよい。
【0020】
また、従来の隠蔽シートにおいては、保護層に相当する層に剥離剤を塗布したり、肌に貼り付けられる隠蔽シート本体との間に剥離剤を用いた層を積層したりして、隠蔽シート本体の保護層からの剥離性を高めることがあった。本実施形態の隠蔽シート10の保護層1は、ポリプロピレンを含んで構成されていることから、剥離剤等を用いなくてもシート本体20の保護層1からの剥離性を高くすることができる。
【0021】
また、保護層1は、シート本体20を視認可能な程度に透明性を有することが好ましい。これにより、シート本体20を貼り付ける際に、シート本体20を所望の位置に合わせやすくすることができ、貼り付け作業性を向上させることができる。
【0022】
また、保護層1の厚さは50μm~200μm程度とすることができ、100μm~180μmとすることがより好ましく、100μm~150μmとすることがさらに好ましい。保護層1の厚さを適切な範囲にすることにより、肌へのなじみを良好にして、貼り付けやすくすることができる。
【0023】
第一の樹脂層2は、図2に示すように、保護層1とインク層3との間に積層されている弾性を有する層であり、シート本体20を肌に貼り付けたときの表層(肌に接着する面とは反対側の層)となる層である。また、第一の樹脂層2は、無色であり、また、インク層3の色が視認できる程度の透明性を有している。
【0024】
第一の樹脂層2の材料としては、例えば、ポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂等の弾性を有する樹脂材料を用いることができる。また、品質の安定化のために、消泡剤、レベリング剤、その他各種の添加剤を加えてもよい。また、第一の樹脂層2の厚さは1μm~25μmとすることができ、3μm~20μmとすることがより好ましく、5μm~10μmとすることがさらに好ましい。第一の樹脂層2の厚さを適切な範囲にすることにより、肌へのなじみがよく、また、耐久性を高くすることができる。また、適度に伸縮することにより、使用後に肌から剥がしやすくすることができる。
【0025】
また、本実施形態の隠蔽シート10において、第一の樹脂層2はマット状である。第一の樹脂層2がマット状であることにより、シート本体20を肌に貼り付けたときに、光が第一の樹脂層2の表面に反射すること(いわゆる、テカリ)を抑制して、シート本体20を貼り付けた部分の周囲の肌との、見た目のなじみを良好にすることができる。
【0026】
インク層3は、図2に示すように、第一の樹脂層2と第二の樹脂層4との間に積層されている。インク層3の材料としては、例えば、酸化チタン等の各種顔料や、合成樹脂等の樹脂を含んだ材料を用いることができ、シート本体20を貼り付ける肌の部分の周囲の色相、明度、彩度に合わせて適宜調整することができる。また、インク層3の厚さは1μm~15μm程度とすることができ、3μm~10μmとすることがより好ましく、4μm~8μmとすることがさらに好ましい。インク層3の厚さを適切な範囲にすることにより、肌へのなじみを阻害することなく、あざや傷の遮蔽性を維持することができる。
【0027】
また、インク層3は、図1に示すように、外方ほど色が薄く、内方ほど色が濃く視認されるようにグラデーションを有していることが好ましい。これにより、シート本体20を肌に貼り付けたときに、シート本体20を貼り付けた部分の周囲の肌との、見た目のなじみを良好にすることができる。前述のグラデーションは、例えば、外方ではドット状のインクを小さく、かつ/または、ドット同士の間隔が広くなるように配置し、内方ではドット状のインクを大きく、かつ/または、ドット同士の間隔が狭くなるように配置することにより、形成することができる。また、インク層3の全体にインクを配置してもよく、前述のグラデーションは、例えば、外方と内方のインクの色相、明度、または、彩度を変えることにより形成することができる。
【0028】
第二の樹脂層4は、図2に示すように、インク層3と粘着剤層5との間に積層されており、弾性を有する層である。また、第二の樹脂層4は、無色でもよいし、有色でもよい。また、第二の樹脂層4の材料としては、第一の樹脂層2と同じ材料を用いることができ、第二の樹脂層4を有色にする場合、さらに顔料等を混合することができる。また、第二の樹脂層4の厚さは、1μm~25μm程度とすることができ、3μm~20μmとすることがより好ましく、5μm~10μmとすることがさらに好ましい。第二の樹脂層4の厚さを適切な範囲にすることにより、肌へのなじみがよく、また、耐久性を高くすることができる。また、適度に伸縮することにより、使用後に肌から剥がしやすくすることができる。
【0029】
粘着剤層5は、図2に示すように、第二の樹脂層4とセパレータ6との間に積層されており、シート本体20を肌に貼り付けるときに肌への粘着を担う層である。また、粘着剤層5は、無色でもよいし、有色でもよい。粘着剤層5の材料としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系等の各種粘着剤を用いることができ、粘着剤層5を有色にする場合、さらに顔料等を混合することができる。この顔料としては、例えば、インク層3に用いるものと同様の顔料を用いることができる。また、粘着剤層5の厚さは0.5μm~15μm程度とすることができ、1μm~10μmとすることがより好ましく、2.5μm~6.5μmとすることがさらに好ましい。粘着剤層5の厚さを適切な範囲にすることにより、肌への刺激を最低限に抑えつつ、肌に貼り付ける際に貼りやすく、剥がす際に容易に剥がすことができる程度の耐久性を確保することができる。
【0030】
セパレータ6は、図2に示すように、粘着剤層5を挟んで第二の樹脂層4とは反対側に積層されており、隠蔽シート10を使用する前に、粘着剤層5が所望の場所以外に貼りつくことを防ぐものである。また、セパレータ6は、平面視で、保護層1と同じ大きさ、形状に形成されている。セパレータ6としては、セパレータ(剥離紙、剥離フィルム)として一般的に用いられるものを適用することができ、紙や樹脂材料のシートに、シリコーン等の剥離剤を塗布したものを用いることができる。
【0031】
また、セパレータ6の厚さは30μm~150μm程度とすることができ、50μm~120μmとすることがより好ましく、70μm~100μmとすることがさらに好ましい。
【0032】
また、第一の樹脂層2と第二の樹脂層4によりインク層3を挟むことにより、シート本体20にある程度の厚みをもたせることができ、厚みが小さい場合よりもシート本体20を保護層1から剥がしやすくすることができる。また、シート本体20の耐久性を高めることができる。
【0033】
また、隠蔽シート10は、例えば、保護層1又はセパレータ6を基材として、基材に他の各層の材料をスクリーン印刷やオフセット印刷等の方法で印刷することにより製造することができる。印刷により隠蔽シート10を製造する場合、各層の材料は、印刷に用いることができる材料を選択することが好ましく、印刷適性を高めるために、例えば、主成分となる樹脂材料、顔料等に溶剤が含まれている材料を用いてもよい。溶剤を含む材料を用いる場合、溶剤の含有量は、例えば、内割りで10質量%~25質量%程度とすることができる。
【0034】
また、シート本体20の各層の材料として、シート本体の伸縮性や保護層1からの剥離性を高めるために、上述した材料以外の添加剤等を適宜添加して用いてもよい。
【0035】
次に、隠蔽シート10の製造方法の一例について説明する。本実施形態の隠蔽シート10の製造方法は以下に限定されるものではなく、材料、工程を適宜変更して行うことができる。
【0036】
まず、ポリプロピレンからなる保護層1を基材して、第一の樹脂層2、インク層3、第二の樹脂層4、粘着剤層5の材料をスクリーン印刷して積層したのち、セパレータ6をさらに積層して隠蔽シート10とする。
【0037】
本実施形態においては、保護層1にはマット加工が施されており、保護層1の表面には凹凸が形成されている。次に、溶剤とポリウレタン系樹脂を含む混合物を材料として、第一の樹脂層2を印刷して積層する。次に、顔料、合成樹脂、溶剤を含む混合物を材料としてインク層3を第一の樹脂層2上に印刷して積層し、乾燥させる。インク層3は、ドット状に印刷し、外方ほどドットが小さく、かつ、ドット同士の間隔が広くなるように配置され、内方ほどドットが大きく、かつ、ドット同士の間隔が狭くなるように配置される。インク層3を乾燥させた後、さらに、第一の樹脂層2に用いた混合物とおなじものを材料として第二の樹脂層4をインク層3上に印刷して積層し、乾燥させる。次に、アクリル系粘着剤と溶剤を含む混合物を材料として粘着剤層5を第二の樹脂層4上に印刷して積層し、乾燥させる。最後に、剥離剤としてシリコーンが塗布されたシート状のセパレータ6を粘着剤層5上に積層して隠蔽シート10が得られる。
【0038】
本実施形態の第一の樹脂層2は、前述したように、マット状に形成されている。本実施形態においては、凹凸を有する保護層1を用いて、保護層1の凹凸を型とした凹凸を有する第一の樹脂層2を形成することにより、第一の樹脂層2をマット状とする。また、保護層1にマット加工を施して凹凸を形成するためには、保護層1に粒子状の物質を含んだ樹脂等を塗布する方法、サンドブラスト、エンボスロールを用いた方法等により行うことができる。また、本実施形態のように凹凸を有する保護層1を用いる方法以外に、平滑な保護層を用いて、第一の樹脂層を印刷した後に、エンボスロール等を用いて第一の樹脂層に凹凸を形成してもよい。
【0039】
また、第一の樹脂層2をマット状に構成する方法として、凹凸を形成する方法以外に、第一の樹脂層2内で光が乱反射するように第一の樹脂層2の主成分となる樹脂以外の物質を混合して第一の樹脂層2を形成してもよい。
【0040】
本実施形態の隠蔽シート10によれば、無色の第一の樹脂層2と、インク層3と、第二の樹脂層4と、粘着剤層5と、セパレータ6と、がこの順で積層されている。これにより、シート本体20を肌に貼り付けたときに第一の樹脂層2が表面(肌に接着される面とは反対側の面)となり、シート本体20を肌に貼り付けている間に外部から衝撃等を受けても、インク層3の損傷を抑制することができる。よって、インク層3の色が損なわれ難く、あざや傷等の隠蔽性が損なわれることを抑制することができる。また、シート本体20を肌に貼り付けている間に、色相、明度、または、彩度が変化して、シート本体20を貼り付けた部分の周囲の肌との、見た目のなじみが損なわれることを抑制することができる。
【0041】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0042】
前述した実施形態においては、インク層が一層のインク層3により構成されていたが、インク層の数は複数でもよい。以下に、インク層が二層のインク層により構成されている隠蔽シート10Aを例として、図3図4を参照して説明する。なお、前述した実施形態と同様の構成については同じ符号を使用して、説明を省略する。
【0043】
隠蔽シート10Aは、図3図4に示すように、保護層1と、無色の第一の樹脂層2と、インク層3Aと、第二の樹脂層4と、粘着剤層5と、セパレータ6と、がこの順で積層されたものであり、シート本体20Aは、無色の第一の樹脂層2と、インク層3Aと、第二の樹脂層4と、粘着剤層5と、により構成されている。
【0044】
インク層3Aは、第一のインク層31と、第二のインク層32により構成されている。第一のインク層31は、前述した実施形態のインク層3と同じ構成である。また、第二のインク層32は、平面視で第一のインク層31よりも小さく形成され、第一のインク層31の内方に配置されている。
【0045】
第二のインク層32は、第一のインク層31よりも濃い色に視認されるように構成されている。すなわち、第一のインク層31がドット状のインクを用いて構成されている場合、第一のインク層31のドット状のインクが最も大きく、かつ/または、ドット同士の間隔が最も狭くなるように配置された部分よりも、ドット状のインクをさらに大きく、かつ/または、ドット同士の間隔がさらに狭くなるように配置されているか、第二のインク層32の一面にインクが配置されている。また、第一のインク層31の全面にインクが配置する場合には、第二のインク層32の色相、明度、または、彩度を第一のインク層31に用いるインクと変えることにより、第一のインク層31よりも濃い色に視認されるように構成してもよい。
【0046】
隠蔽シート10Aによれば、インク層を一層とする場合よりも隠蔽性が高くなるように隠蔽シート10Aを設計することができ、シート本体20Aを肌に貼り付けたときに、高い隠蔽性が要求されるあざや傷をより目立たなくさせることができる。
【0047】
また、前述した実施形態においては、保護層1が設けられていたが、隠蔽シートには保護層を設けなくてもよい。保護層を有しない隠蔽シートを製造する場合には、剥離シートを基材として粘着剤層、第二の樹脂層、インク層、第一の樹脂層の順に積層すればよい。
【0048】
また、前述した実施形態においては、第一の樹脂層2がマット状に形成されていたが、本発明の隠蔽シートにおける第一の樹脂層はマット状でなくてもよい。
【0049】
また、前述した実施形態においては、第一の樹脂層2と第二の樹脂層4とが弾性を有するように隠蔽シートが構成されていたが、シート本体20の他の各層も弾性を有するように構成してもよい。
【0050】
また、前述した実施形態においては、隠蔽シート10の外形が矩形状であり、シート本体20は矩形の角が丸く形成された形状に形成されていたが、形状はこれに限定されるものではなく、隠蔽した傷やあざの大きさや形状を想定して、例えば、矩形以外の丸や楕円形など、適宜設定することができる。
【0051】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
【0052】
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【実施例0053】
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は、以下の実施例により限定されるものではない。
【0054】
[隠蔽シートの作製]
(実施例1)
以下の成分を含む材料を用いて、隠蔽シートを製造した。隠蔽シートの大きさは、保護層及びセパレータを115mm×95mmとし、シート本体(第一の樹脂層、インク層、第二の樹脂層、粘着剤層)を105mm×85mmとした。また、厚さは以下の通りとした。
【0055】
保護層 ポリプロピレン、厚さ100μm
第一の樹脂層 ポリウレタン樹脂、エチルベンゼン、キシレン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、エステル系溶剤、厚さ10μm
インク層 顔料、合成樹脂、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、芳香族混合炭化水素、トリメチルベンゼン、キシレン、厚さ8μm
第二の樹脂層 ポリウレタン樹脂、エチルベンゼン、キシレン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、エステル系溶剤、厚さ10μm
粘着剤層 アクリル酸エステル系共重合物、酢酸エチル、厚さ10μm
セパレータ セルロース、ポリビニルアルコール、澱粉、硫酸アルミニウム、サイズ剤、シリコーン、厚さ100μm
【0056】
隠蔽シートの製造は、保護層を基材として、第一の樹脂層、インク層、第二の樹脂層、粘着剤層、セパレータの順にスクリーン印刷により積層して行った。なお、各層を積層する際には、十分に乾燥させて溶剤を揮発させたのちに次の層を印刷した。これにより、隠蔽シートを得た。
【0057】
(比較例1)
比較例1として、第一の樹脂層を設けないこと以外は、実施例1と同様の方法で隠蔽シートを作製した。
【0058】
[評価及び結果]
実施例1及び比較例1の隠蔽シートを7日間、肌に貼り付けて、貼り付けから7日間経過後に隠蔽シートの損傷の程度、及び、隠蔽性を評価した。評価は、モニターによる官能評価により行った。評価基準は、隠蔽シートの損傷程度、隠蔽性について、以下の通り各三段階とした。また、評価結果を表1に示した。
<隠蔽シートの損傷程度>
「○」:貼り付けたときと比較して、シート表面がほとんど損傷していない。
「△」:貼り付けたときと比較して、シート表面が少し損傷している。
「×」:貼り付けたときと比較して、シート表面がかなり損傷している。
<隠蔽性>
「○」:貼り付けたときと比較して、隠蔽性がほとんど変化していない。
「△」:貼り付けたときと比較して、隠蔽性が少し低下している。
「×」:貼り付けたときと比較して、隠蔽性がかなり低下している。
【0059】
【表1】
【0060】
[考察]
以上の評価結果より、本発明の隠蔽シートの例示的態様である実施例1においては、第一の樹脂層が表面(肌に接着される面とは反対側の面)となり、肌に貼り付けている間に外部から衝撃等を受けても、インク層の損傷を抑制することができることが示された。また、このことにより、インク層の色が損なわれ難く、あざや傷等の隠蔽性が損なわれることを抑制することができることが示された。
【符号の説明】
【0061】
10、10A 隠蔽シート
20、20A シート本体
1 保護層
2 第1の樹脂層
3、3A インク層
31 第一のインク層
32 第二のインク層
4 第二の樹脂層
5 粘着剤層
6 セパレータ
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-12-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、無色の第一の樹脂層と、インク層と、第二の樹脂層と、粘着剤層と、セパレータと、がこの順で積層されており、前記第一の樹脂層及び前記第二の樹脂層が弾性を有する隠蔽シートの製造方法であって、
保護層を基材として、前記第一の樹脂層、前記インク層、前記第二の樹脂層、前記粘着剤層、前記セパレータの順にスクリーン印刷により積層することを特徴とする隠蔽シートの製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隠蔽シートの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、肌のあざや傷等を隠すために、あざや傷の上に貼るための隠蔽シールが種々提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の隠蔽シールは、カバー材、基材フィルム、粘着剤層、剥離ライナーがこの順に積層されたものであり、基材フィルム及び/又は粘着剤層が着色されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-23923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、隠蔽シール表面(肌に接着する面とは反対側の面)が着色されている場合、肌に隠蔽シールを貼り付けている間に外部からの衝撃等を受けて、隠蔽シールの表面が損傷することにより、あざや傷等の隠蔽性が損なわれる可能性があるという問題があった。
【0005】
従って、本発明は、上記のような問題点に着目し、肌に貼り付けている間に、あざや傷等の隠蔽性が損なわれることを抑制することができる隠蔽シートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の隠蔽シートの製造方法は、少なくとも、無色の第一の樹脂層と、インク層と、第二の樹脂層と、粘着剤層と、セパレータと、がこの順で積層されており、前記第一の樹脂層及び前記第二の樹脂層が弾性を有する隠蔽シートの製造方法であって、
保護層を基材として、前記第一の樹脂層、前記インク層、前記第二の樹脂層、前記粘着剤層、前記セパレータの順にスクリーン印刷により積層することを特徴とする。
【0007】
本発明の隠蔽シートの製造方法においては、前記第一の樹脂層を挟んで前記インク層とは反対側に、保護層がさらに積層され、前記保護層がポリプロピレンを含んで構成されていることが好ましい。
【0008】
本発明の隠蔽シートの製造方法においては、前記インク層が、第一のインク層と、第二のインク層と、を有して構成されていてもよい。
【0009】
本発明の隠蔽シートの製造方法においては、前記第二の樹脂層が、マット状であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の隠蔽シートの製造方法によれば、無色の第一の樹脂層と、インク層と、第二の樹脂層と、粘着剤層と、セパレータと、がこの順で積層される。これにより、肌に貼り付けたときに無色の第一の樹脂層が表面(肌に接着される面とは反対側の面)となり、肌に貼り付けている間に外部から衝撃等を受けても、インク層の損傷を抑制することができる。よって、インク層の色が損なわれ難く、あざや傷等の隠蔽性が損なわれることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態にかかる隠蔽シートを模式的に示す平面図である。
図2】本発明の実施形態にかかる隠蔽シートの断面を模式的に示す図である。
図3】本発明の変形例にかかる隠蔽シートを模式的に示す平面図である。
図4】本発明の変形例にかかる隠蔽シートの断面を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の製造方法による隠蔽シート(以下、「本発明の隠蔽シート」と称する場合がある。)について、説明する。本発明の隠蔽シートは、肌のあざ、傷等を隠すために、あざ、傷等がある肌の部分に貼り付けて使用するものである。
【0013】
本発明の隠蔽シートは、少なくとも、無色の第一の樹脂層と、インク層と、第二の樹脂層と、粘着剤層と、セパレータと、がこの順で積層されているものであり、第一の樹脂層及び第二の樹脂層が弾性を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の隠蔽シートは、第一の樹脂層を挟んでインク層とは反対側に、保護層がさらに積層されていてもよい。
【0015】
本発明において、「弾性」とは、外力が加えられることにより変形し、加えられた外力が無くなることにより元の形に戻ろうとする性質を指す。本発明の隠蔽シートにおいて、第一の樹脂層及び第二の樹脂層が弾性を有することにより、肌に隠蔽シートを貼り付けたときに、肌の動きに追随させることができる。
【0016】
次に、本発明の一実施形態にかかる隠蔽シート10について、図1図2を参照して説明する。隠蔽シート10は、図1図2に示すように、保護層1と、無色の第一の樹脂層2と、インク層3と、第二の樹脂層4と、粘着剤層5と、セパレータ6と、がこの順で積層されたものである。また、第一の樹脂層2及び第二の樹脂層4は、それぞれ弾性を有している。また、隠蔽シート10を肌に貼り付けて使用するときには、セパレータ6を剥がして粘着剤層5側を肌に向けて貼り付けたのち、保護層1のみを取り除く。すなわち、隠蔽シート10を使用するとき、肌には、第一の樹脂層2と、インク層3と、第二の樹脂層4と、粘着剤層5とからなるシート本体20が貼り付けられる。
【0017】
また、本実施形態の隠蔽シート10の形状は、図1に示すように、外形が矩形状であり、シート本体20は矩形の角が丸く形成された形状に形成されている。シート本体20の角を丸く形成することにより、シート本体20を肌に貼り付けている間に、剥がれにくくすることができる。
【0018】
保護層1は、図2に示すように、第一の樹脂層2を挟んでインク層3とは反対側に積層されており、隠蔽シート10を使用する前の流通段階等において、シート本体20が損傷しないように第一の樹脂層2の表面を保護するために設けられるものである。また、保護層1は、図1に示すように、シート本体20が平面視で保護層1の内方に収まるように、シート本体20よりも大きく構成されている。
【0019】
また、保護層1は、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂材料を用いることができ、特に、ポリプロピレンを含んで構成されていることが好ましい。また、ポリプロピレンのみから構成されていてもよい。
【0020】
また、従来の隠蔽シートにおいては、保護層に相当する層に剥離剤を塗布したり、肌に貼り付けられる隠蔽シート本体との間に剥離剤を用いた層を積層したりして、隠蔽シート本体の保護層からの剥離性を高めることがあった。本実施形態の隠蔽シート10の保護層1は、ポリプロピレンを含んで構成されていることから、剥離剤等を用いなくてもシート本体20の保護層1からの剥離性を高くすることができる。
【0021】
また、保護層1は、シート本体20を視認可能な程度に透明性を有することが好ましい。これにより、シート本体20を貼り付ける際に、シート本体20を所望の位置に合わせやすくすることができ、貼り付け作業性を向上させることができる。
【0022】
また、保護層1の厚さは50μm~200μm程度とすることができ、100μm~180μmとすることがより好ましく、100μm~150μmとすることがさらに好ましい。保護層1の厚さを適切な範囲にすることにより、肌へのなじみを良好にして、貼り付けやすくすることができる。
【0023】
第一の樹脂層2は、図2に示すように、保護層1とインク層3との間に積層されている弾性を有する層であり、シート本体20を肌に貼り付けたときの表層(肌に接着する面とは反対側の層)となる層である。また、第一の樹脂層2は、無色であり、また、インク層3の色が視認できる程度の透明性を有している。
【0024】
第一の樹脂層2の材料としては、例えば、ポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂等の弾性を有する樹脂材料を用いることができる。また、品質の安定化のために、消泡剤、レベリング剤、その他各種の添加剤を加えてもよい。また、第一の樹脂層2の厚さは1μm~25μmとすることができ、3μm~20μmとすることがより好ましく、5μm~10μmとすることがさらに好ましい。第一の樹脂層2の厚さを適切な範囲にすることにより、肌へのなじみがよく、また、耐久性を高くすることができる。また、適度に伸縮することにより、使用後に肌から剥がしやすくすることができる。
【0025】
また、本実施形態の隠蔽シート10において、第一の樹脂層2はマット状である。第一の樹脂層2がマット状であることにより、シート本体20を肌に貼り付けたときに、光が第一の樹脂層2の表面に反射すること(いわゆる、テカリ)を抑制して、シート本体20を貼り付けた部分の周囲の肌との、見た目のなじみを良好にすることができる。
【0026】
インク層3は、図2に示すように、第一の樹脂層2と第二の樹脂層4との間に積層されている。インク層3の材料としては、例えば、酸化チタン等の各種顔料や、合成樹脂等の樹脂を含んだ材料を用いることができ、シート本体20を貼り付ける肌の部分の周囲の色相、明度、彩度に合わせて適宜調整することができる。また、インク層3の厚さは1μm~15μm程度とすることができ、3μm~10μmとすることがより好ましく、4μm~8μmとすることがさらに好ましい。インク層3の厚さを適切な範囲にすることにより、肌へのなじみを阻害することなく、あざや傷の遮蔽性を維持することができる。
【0027】
また、インク層3は、図1に示すように、外方ほど色が薄く、内方ほど色が濃く視認されるようにグラデーションを有していることが好ましい。これにより、シート本体20を肌に貼り付けたときに、シート本体20を貼り付けた部分の周囲の肌との、見た目のなじみを良好にすることができる。前述のグラデーションは、例えば、外方ではドット状のインクを小さく、かつ/または、ドット同士の間隔が広くなるように配置し、内方ではドット状のインクを大きく、かつ/または、ドット同士の間隔が狭くなるように配置することにより、形成することができる。また、インク層3の全体にインクを配置してもよく、前述のグラデーションは、例えば、外方と内方のインクの色相、明度、または、彩度を変えることにより形成することができる。
【0028】
第二の樹脂層4は、図2に示すように、インク層3と粘着剤層5との間に積層されており、弾性を有する層である。また、第二の樹脂層4は、無色でもよいし、有色でもよい。また、第二の樹脂層4の材料としては、第一の樹脂層2と同じ材料を用いることができ、第二の樹脂層4を有色にする場合、さらに顔料等を混合することができる。また、第二の樹脂層4の厚さは、1μm~25μm程度とすることができ、3μm~20μmとすることがより好ましく、5μm~10μmとすることがさらに好ましい。第二の樹脂層4の厚さを適切な範囲にすることにより、肌へのなじみがよく、また、耐久性を高くすることができる。また、適度に伸縮することにより、使用後に肌から剥がしやすくすることができる。
【0029】
粘着剤層5は、図2に示すように、第二の樹脂層4とセパレータ6との間に積層されており、シート本体20を肌に貼り付けるときに肌への粘着を担う層である。また、粘着剤層5は、無色でもよいし、有色でもよい。粘着剤層5の材料としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系等の各種粘着剤を用いることができ、粘着剤層5を有色にする場合、さらに顔料等を混合することができる。この顔料としては、例えば、インク層3に用いるものと同様の顔料を用いることができる。また、粘着剤層5の厚さは0.5μm~15μm程度とすることができ、1μm~10μmとすることがより好ましく、2.5μm~6.5μmとすることがさらに好ましい。粘着剤層5の厚さを適切な範囲にすることにより、肌への刺激を最低限に抑えつつ、肌に貼り付ける際に貼りやすく、剥がす際に容易に剥がすことができる程度の耐久性を確保することができる。
【0030】
セパレータ6は、図2に示すように、粘着剤層5を挟んで第二の樹脂層4とは反対側に積層されており、隠蔽シート10を使用する前に、粘着剤層5が所望の場所以外に貼りつくことを防ぐものである。また、セパレータ6は、平面視で、保護層1と同じ大きさ、形状に形成されている。セパレータ6としては、セパレータ(剥離紙、剥離フィルム)として一般的に用いられるものを適用することができ、紙や樹脂材料のシートに、シリコーン等の剥離剤を塗布したものを用いることができる。
【0031】
また、セパレータ6の厚さは30μm~150μm程度とすることができ、50μm~120μmとすることがより好ましく、70μm~100μmとすることがさらに好ましい。
【0032】
また、第一の樹脂層2と第二の樹脂層4によりインク層3を挟むことにより、シート本体20にある程度の厚みをもたせることができ、厚みが小さい場合よりもシート本体20を保護層1から剥がしやすくすることができる。また、シート本体20の耐久性を高めることができる。
【0033】
また、隠蔽シート10は、例えば、保護層1又はセパレータ6を基材として、基材に他の各層の材料をスクリーン印刷やオフセット印刷等の方法で印刷することにより製造することができる。印刷により隠蔽シート10を製造する場合、各層の材料は、印刷に用いることができる材料を選択することが好ましく、印刷適性を高めるために、例えば、主成分となる樹脂材料、顔料等に溶剤が含まれている材料を用いてもよい。溶剤を含む材料を用いる場合、溶剤の含有量は、例えば、内割りで10質量%~25質量%程度とすることができる。
【0034】
また、シート本体20の各層の材料として、シート本体の伸縮性や保護層1からの剥離性を高めるために、上述した材料以外の添加剤等を適宜添加して用いてもよい。
【0035】
次に、隠蔽シート10の製造方法の一例について説明する。本実施形態の隠蔽シート10の製造方法は以下に限定されるものではなく、材料、工程を適宜変更して行うことができる。
【0036】
まず、ポリプロピレンからなる保護層1を基材して、第一の樹脂層2、インク層3、第二の樹脂層4、粘着剤層5の材料をスクリーン印刷して積層したのち、セパレータ6をさらに積層して隠蔽シート10とする。
【0037】
本実施形態においては、保護層1にはマット加工が施されており、保護層1の表面には凹凸が形成されている。次に、溶剤とポリウレタン系樹脂を含む混合物を材料として、第一の樹脂層2を印刷して積層する。次に、顔料、合成樹脂、溶剤を含む混合物を材料としてインク層3を第一の樹脂層2上に印刷して積層し、乾燥させる。インク層3は、ドット状に印刷し、外方ほどドットが小さく、かつ、ドット同士の間隔が広くなるように配置され、内方ほどドットが大きく、かつ、ドット同士の間隔が狭くなるように配置される。インク層3を乾燥させた後、さらに、第一の樹脂層2に用いた混合物とおなじものを材料として第二の樹脂層4をインク層3上に印刷して積層し、乾燥させる。次に、アクリル系粘着剤と溶剤を含む混合物を材料として粘着剤層5を第二の樹脂層4上に印刷して積層し、乾燥させる。最後に、剥離剤としてシリコーンが塗布されたシート状のセパレータ6を粘着剤層5上に積層して隠蔽シート10が得られる。
【0038】
本実施形態の第一の樹脂層2は、前述したように、マット状に形成されている。本実施形態においては、凹凸を有する保護層1を用いて、保護層1の凹凸を型とした凹凸を有する第一の樹脂層2を形成することにより、第一の樹脂層2をマット状とする。また、保護層1にマット加工を施して凹凸を形成するためには、保護層1に粒子状の物質を含んだ樹脂等を塗布する方法、サンドブラスト、エンボスロールを用いた方法等により行うことができる。また、本実施形態のように凹凸を有する保護層1を用いる方法以外に、平滑な保護層を用いて、第一の樹脂層を印刷した後に、エンボスロール等を用いて第一の樹脂層に凹凸を形成してもよい。
【0039】
また、第一の樹脂層2をマット状に構成する方法として、凹凸を形成する方法以外に、第一の樹脂層2内で光が乱反射するように第一の樹脂層2の主成分となる樹脂以外の物質を混合して第一の樹脂層2を形成してもよい。
【0040】
本実施形態の隠蔽シート10によれば、無色の第一の樹脂層2と、インク層3と、第二の樹脂層4と、粘着剤層5と、セパレータ6と、がこの順で積層されている。これにより、シート本体20を肌に貼り付けたときに第一の樹脂層2が表面(肌に接着される面とは反対側の面)となり、シート本体20を肌に貼り付けている間に外部から衝撃等を受けても、インク層3の損傷を抑制することができる。よって、インク層3の色が損なわれ難く、あざや傷等の隠蔽性が損なわれることを抑制することができる。また、シート本体20を肌に貼り付けている間に、色相、明度、または、彩度が変化して、シート本体20を貼り付けた部分の周囲の肌との、見た目のなじみが損なわれることを抑制することができる。
【0041】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0042】
前述した実施形態においては、インク層が一層のインク層3により構成されていたが、インク層の数は複数でもよい。以下に、インク層が二層のインク層により構成されている隠蔽シート10Aを例として、図3図4を参照して説明する。なお、前述した実施形態と同様の構成については同じ符号を使用して、説明を省略する。
【0043】
隠蔽シート10Aは、図3図4に示すように、保護層1と、無色の第一の樹脂層2と、インク層3Aと、第二の樹脂層4と、粘着剤層5と、セパレータ6と、がこの順で積層されたものであり、シート本体20Aは、無色の第一の樹脂層2と、インク層3Aと、第二の樹脂層4と、粘着剤層5と、により構成されている。
【0044】
インク層3Aは、第一のインク層31と、第二のインク層32により構成されている。第一のインク層31は、前述した実施形態のインク層3と同じ構成である。また、第二のインク層32は、平面視で第一のインク層31よりも小さく形成され、第一のインク層31の内方に配置されている。
【0045】
第二のインク層32は、第一のインク層31よりも濃い色に視認されるように構成されている。すなわち、第一のインク層31がドット状のインクを用いて構成されている場合、第一のインク層31のドット状のインクが最も大きく、かつ/または、ドット同士の間隔が最も狭くなるように配置された部分よりも、ドット状のインクをさらに大きく、かつ/または、ドット同士の間隔がさらに狭くなるように配置されているか、第二のインク層32の一面にインクが配置されている。また、第一のインク層31の全面にインクが配置する場合には、第二のインク層32の色相、明度、または、彩度を第一のインク層31に用いるインクと変えることにより、第一のインク層31よりも濃い色に視認されるように構成してもよい。
【0046】
隠蔽シート10Aによれば、インク層を一層とする場合よりも隠蔽性が高くなるように隠蔽シート10Aを設計することができ、シート本体20Aを肌に貼り付けたときに、高い隠蔽性が要求されるあざや傷をより目立たなくさせることができる。
【0047】
また、前述した実施形態においては、保護層1が設けられていたが、隠蔽シートには保護層を設けなくてもよい。保護層を有しない隠蔽シートを製造する場合には、剥離シートを基材として粘着剤層、第二の樹脂層、インク層、第一の樹脂層の順に積層すればよい。
【0048】
また、前述した実施形態においては、第一の樹脂層2がマット状に形成されていたが、本発明の隠蔽シートにおける第一の樹脂層はマット状でなくてもよい。
【0049】
また、前述した実施形態においては、第一の樹脂層2と第二の樹脂層4とが弾性を有するように隠蔽シートが構成されていたが、シート本体20の他の各層も弾性を有するように構成してもよい。
【0050】
また、前述した実施形態においては、隠蔽シート10の外形が矩形状であり、シート本体20は矩形の角が丸く形成された形状に形成されていたが、形状はこれに限定されるものではなく、隠蔽した傷やあざの大きさや形状を想定して、例えば、矩形以外の丸や楕円形など、適宜設定することができる。
【0051】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
【0052】
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【実施例0053】
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は、以下の実施例により限定されるものではない。
【0054】
[隠蔽シートの作製]
(実施例1)
以下の成分を含む材料を用いて、隠蔽シートを製造した。隠蔽シートの大きさは、保護層及びセパレータを115mm×95mmとし、シート本体(第一の樹脂層、インク層、第二の樹脂層、粘着剤層)を105mm×85mmとした。また、厚さは以下の通りとした。
【0055】
保護層 ポリプロピレン、厚さ100μm
第一の樹脂層 ポリウレタン樹脂、エチルベンゼン、キシレン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、エステル系溶剤、厚さ10μm
インク層 顔料、合成樹脂、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、芳香族混合炭化水素、トリメチルベンゼン、キシレン、厚さ8μm
第二の樹脂層 ポリウレタン樹脂、エチルベンゼン、キシレン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、エステル系溶剤、厚さ10μm
粘着剤層 アクリル酸エステル系共重合物、酢酸エチル、厚さ10μm
セパレータ セルロース、ポリビニルアルコール、澱粉、硫酸アルミニウム、サイズ剤、シリコーン、厚さ100μm
【0056】
隠蔽シートの製造は、保護層を基材として、第一の樹脂層、インク層、第二の樹脂層、粘着剤層、セパレータの順にスクリーン印刷により積層して行った。なお、各層を積層する際には、十分に乾燥させて溶剤を揮発させたのちに次の層を印刷した。これにより、隠蔽シートを得た。
【0057】
(比較例1)
比較例1として、第一の樹脂層を設けないこと以外は、実施例1と同様の方法で隠蔽シートを作製した。
【0058】
[評価及び結果]
実施例1及び比較例1の隠蔽シートを7日間、肌に貼り付けて、貼り付けから7日間経過後に隠蔽シートの損傷の程度、及び、隠蔽性を評価した。評価は、モニターによる官能評価により行った。評価基準は、隠蔽シートの損傷程度、隠蔽性について、以下の通り各三段階とした。また、評価結果を表1に示した。
<隠蔽シートの損傷程度>
「○」:貼り付けたときと比較して、シート表面がほとんど損傷していない。
「△」:貼り付けたときと比較して、シート表面が少し損傷している。
「×」:貼り付けたときと比較して、シート表面がかなり損傷している。
<隠蔽性>
「○」:貼り付けたときと比較して、隠蔽性がほとんど変化していない。
「△」:貼り付けたときと比較して、隠蔽性が少し低下している。
「×」:貼り付けたときと比較して、隠蔽性がかなり低下している。
【0059】
【表1】
【0060】
[考察]
以上の評価結果より、本発明の隠蔽シートの例示的態様である実施例1においては、第一の樹脂層が表面(肌に接着される面とは反対側の面)となり、肌に貼り付けている間に外部から衝撃等を受けても、インク層の損傷を抑制することができることが示された。また、このことにより、インク層の色が損なわれ難く、あざや傷等の隠蔽性が損なわれることを抑制することができることが示された。
【符号の説明】
【0061】
10、10A 隠蔽シート
20、20A シート本体
1 保護層
2 第1の樹脂層
3、3A インク層
31 第一のインク層
32 第二のインク層
4 第二の樹脂層
5 粘着剤層
6 セパレータ