(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022019900
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】遠隔監視支援装置
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20220120BHJP
【FI】
B66B5/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195683
(22)【出願日】2021-12-01
(62)【分割の表示】P 2020000556の分割
【原出願日】2014-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】502250178
【氏名又は名称】ジャパンエレベーターサービスホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】関根 忍
(72)【発明者】
【氏名】柴田 徹
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 和隆
(57)【要約】
【課題】エレベーターの遠隔地において管理サーバコンピュータを介してエレベーターの状態に関する情報を取得し、効率的なエレベーターの遠隔監視をおこなうこと。
【解決手段】エレベーターの動作状態が通常動作状態であるか否かに応じて出力される信号を取得し(S401)、取得した信号に基づいてエレベーターの動作状態が通常動作状態であるか否かを判断し(S402)、通常動作状態ではない場合は通知情報を生成し(S404)、生成した通知情報を管理サーバコンピュータへ送信する(S405)遠隔監視支援装置を構成した。このように、エレベーターの動作状態が通常動作状態ではない場合に通知情報を管理サーバコンピュータに送信することにより、エレベーターの遠隔監視をおこなうことができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの遠隔監視をおこなう遠隔監視支援装置であって、
前記エレベーターの動作状態が通常動作状態であるか否かに応じて出力される信号を取得し、
取得された信号の出力状態に基づいて、前記動作状態が通常動作状態であるか否かを判断し、
前記動作状態が通常動作状態ではないと判断した場合に、前記エレベーターの状態に関する情報を含む通知情報を生成し、
生成された通知情報を、前記エレベーターが設置されている場所から離れた遠隔地に設置された管理サーバコンピュータへ送信する、
ことを特徴とする遠隔監視支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベーターの遠隔監視をおこなう遠隔監視支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数階建ての建物などに設置されたエレベーターに対して、定期的に、あるいは当該エレベーターにおいて障害が発生した場合などに、作業員が保守のための診断をともなう点検作業(診断保守作業)をおこなうことにより、当該エレベーターの動作の適正を確保するようにしていた。
【0003】
また、従来、エレベーターの運行動作を制御する制御基板(制御装置)に通信機能を設け、当該制御基板とエレベーターの遠隔地に設置された管理サーバコンピュータとの間で通信をおこなうことによって、エレベーターの遠隔地において当該エレベーターの状態を監視するエレベーターの遠隔監視システムがあった。これにより、エレベーターが設置されている現地に作業員を派遣することなく、当該エレベーターの状態を当該エレベーターの遠隔地において監視することができる。
【0004】
関連する技術として、具体的には、従来、通常モードから保守モードへ切り替えることにより建物から監視センターへの発報を防止し、保守モードへ切り替わっている間、作業者が実施する保守作業のデータを保守作業データ記憶部に記憶し、通常モードへ切り替わったときに保守作業データ記憶部に記憶した保守作業データを取り込み、取り込まれた保守作業データに基づいて保守作業が適正であるか否かを判断するようにした技術があった(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の技術は、たとえば、旧型のエレベーターなどであって、設置時においては遠隔監視を想定していなかったエレベーターの場合、当該エレベーターの制御基板が通信機能を備えていないため、エレベーターの設置後に遠隔監視をおこなうことが難しいという問題があった。
【0007】
このため、上述した従来の技術は、エレベーターが設置されている現場において定期におこなう診断保守作業ごとに作業員が現地におもむかなくてはならず、煩わしいという問題があった。上述した従来の技術は、当該エレベーターにおいて異常が発生した場合、当該エレベーターが設置されている建物の管理人などが作業員に連絡をとらなくてはならず、また、連絡を受けるごとに作業員が現地におもむかなくてはならず、煩わしいという問題があった。
【0008】
また、上述した従来の技術は、遠隔監視に対応していないエレベーターにおいて障害が発生した場合、当該障害の発見が遅れたり、当該障害を解消するための対応が遅れたりするという問題があった。
【0009】
また、上述した従来の技術を用いて既設のエレベーターの遠隔監視をおこなう場合、当該既設のエレベーターの制御装置を、通信機能が追加された別の制御基板に交換しなくてはならない。すなわち、上述した従来の技術を用いて既設のエレベーターの遠隔監視をおこなう場合、制御基板ごと交換しなくてはならないため、作業が大掛かりになり、煩わしいという問題があった。また、この場合、制御基板の交換作業の間、エレベーターを利用することができず、特に高層階建ての建物の利用者の活動に支障をきたす場合があるという問題があった。
【0010】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、エレベーター自体の通信機能の有無にかかわらずエレベーターの遠隔監視をおこなうことができる遠隔監視支援装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、エレベーター自体の通信機能の有無にかかわらずエレベーターの遠隔監視をおこなうことにより、エレベーターに対する信頼性の向上を図ることができる遠隔監視支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる遠隔監視支援装置は、エレベーターの動作を制御する制御基板および管理サーバコンピュータとの間でそれぞれ通信をおこなう遠隔監視支援装置であって、前記制御基板に設けられて当該制御基板と当該制御基板の外部との間で信号を入出力する接点であって前記エレベーターの動作状態が通常動作状態であるか否かに応じて信号の出力状態が変化する接点または当該接点に接続された配線から当該信号を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した信号の出力状態に基づいて、前記動作状態が通常動作状態であるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段が前記動作状態が通常動作状態ではないと判断した場合に、前記エレベーターの状態に関する情報を含む通知情報を生成する生成手段と、前記生成手段が生成した通知情報を、前記管理サーバコンピュータへ送信する送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる遠隔監視支援装置は、上記の発明において、前記取得手段が、前記エレベーターが備える各部に対して出力される当該各部を制御する制御用の信号に応じて動作状態が切り替わるリレーとの接続位置を接点として、当該接点または当該接点に接続された配線から前記信号を取得し、前記判断手段が、前記取得手段が、前記エレベーターの動作状態が通常動作状態ではない状態で前記リレーが出力する信号を取得した場合に当該動作状態が通常動作状態ではないと判断することを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる遠隔監視支援装置は、上記の発明において、前記取得手段が、前記エレベーターが備える各部に対して所定の電圧の電源が供給されているか否かに応じて動作状態が切り替わるリレーとの接続位置を接点として、当該接点または当該接点に接続された配線から前記信号を取得し、前記判断手段が、前記取得手段が、所定の電圧の電源が供給されていない状態で前記リレーが出力する信号を取得した場合に前記動作状態が通常動作状態ではないと判断することを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる遠隔監視支援装置は、上記の発明において、前記取得手段が、前記エレベーターが備える各部に対して所定の電圧の電源を供給する電源供給回路との接続位置を接点として、当該接点または当該接点に接続された配線から前記信号を取得し、前記判断手段が、前記取得手段が、所定の電圧の電源が供給されていないことにより出力状態がゼロを取得した場合に前記動作状態が通常動作状態ではないと判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明にかかる遠隔監視支援装置によれば、エレベーターの遠隔地において管理サーバコンピュータを介してエレベーターの状態に関する情報を取得することができるので、エレベーター自体の通信機能の有無にかかわらずエレベーターの遠隔監視をおこなうことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視システムのシステム構成を示す説明図である。
【
図2】
図2は、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視システムを構成する遠隔監視支援装置のハードウエア構成を示す説明図である。
【
図3】
図3は、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視システムを構成する遠隔監視支援装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視支援装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、この発明にかかる実施の形態2の遠隔監視支援装置の処理手順を示すフローチャート(その1)である。
【
図6】
図6は、この発明にかかる実施の形態2の遠隔監視支援装置の処理手順を示すフローチャート(その2)である。
【
図7】
図7は、この発明にかかる実施の形態3の遠隔監視システムのシステム構成を示す説明図である。
【
図8】
図8は、この発明にかかる実施の形態3の遠隔監視システムを構成する遠隔監視支援装置のハードウエア構成を示す説明図である。
【
図9】
図9は、この発明にかかる実施の形態3の遠隔監視システムを構成する遠隔監視支援装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、この発明にかかる実施の形態3の遠隔監視支援装置の処理手順を示すフローチャート(その1)である。
【
図11】
図11は、この発明にかかる実施の形態3の遠隔監視支援装置の処理手順を示すフローチャート(その2)である。
【
図12】
図12は、この発明にかかる実施の形態4の遠隔監視システムのシステム構成を示す説明図である。
【
図13】
図13は、この発明にかかる実施の形態4の遠隔監視システムを構成する遠隔監視支援装置のハードウエア構成を示す説明図である。
【
図14】
図14は、この発明にかかる実施の形態4の遠隔監視システムを構成する遠隔監視支援装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図15】
図15は、この発明にかかる実施の形態4の遠隔監視支援装置の処理手順を示すフローチャート(その1)である。
【
図16】
図16は、この発明にかかる実施の形態4の遠隔監視支援装置の処理手順を示すフローチャート(その2)である。
【
図17】
図17は、この発明にかかる実施の形態5の遠隔監視システムのシステム構成を示す説明図である。
【
図18】
図18は、この発明にかかる実施の形態5の遠隔監視システムを構成する遠隔監視支援装置のハードウエア構成を示す説明図である。
【
図19】
図19は、この発明にかかる実施の形態5の遠隔監視システムを構成する遠隔監視支援装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図20】
図20は、この発明にかかる実施の形態5の遠隔監視支援装置の処理手順を示すフローチャート(その1)である。
【
図21】
図21は、この発明にかかる実施の形態5の遠隔監視支援装置の処理手順を示すフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる遠隔監視支援装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0019】
<実施の形態1>
(遠隔監視システムのシステム構成)
まず、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視支援装置を備える、エレベーターの遠隔監視システムのシステム構成について説明する。
図1は、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視システムのシステム構成を示す説明図である。
【0020】
図1において、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視システム100は、たとえば、制御基板(制御装置)110と、遠隔監視支援装置120と、管理サーバコンピュータ130と、電話機140と、によって構成することができる。遠隔監視システム100は、エレベーター101の動作を、当該エレベーター101の遠隔地に設置された管理サーバコンピュータ130を用いて監視する。管理サーバコンピュータ130は、遠隔監視支援装置120を介して、エレベーター101の動作を監視する。
【0021】
管理サーバコンピュータ130は、監視対象となるエレベーター101が設置されている場所とは異なる、当該エレベーター101が設置されている場所から離れた遠隔地に設置されている。具体的には、管理サーバコンピュータ130は、たとえば、エレベーター101の保守管理を担う保守管理会社150などに設置することができる。
【0022】
電話機140は、たとえば、管理サーバコンピュータ130が設置された保守管理会社150に設置される。管理サーバコンピュータ130および電話機140を保守管理会社150に設置することにより、エレベーター101のカゴ102の中にいる者と保守管理会社150のオペレーターとが直接通話することができる。
【0023】
エレベーター101は、複数階建てのビル内などに設置され、人や物品を搭載するカゴ(乗りかご)102を備えている。カゴ102は、1台のエレベーター101に1つずつ設けられている。カゴ102は、建物における各階床を、鉛直方向に沿って貫通する昇降路(図示を省略する)内に設けられている。エレベーター101は、たとえば、ロープ式(トラクション式)のエレベーターによって実現することができる。
【0024】
この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視システム100により監視可能なエレベーター101は、ロープ式のエレベーターに限るものではない。この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視システム100においては、ロープ式のエレベーター101に代えて、あるいは、ロープ式のエレベーター101に加えて、たとえば、油圧式のエレベーター101を監視対象としてもよい。
【0025】
カゴ102には、行先階ボタンや扉開閉ボタンなどを含む操作ボタン、カゴ102が位置する階床などを表示する表示器などを備えた操作盤102aが設けられている。操作ボタンは、カゴ102の外部の管理人やオペレーターなどとの通話時に操作される非常通話ボタンを含んでいてもよい。カゴ102に設けられた操作盤102aは、操作盤102a用の制御基板を備えており、当該操作盤102a用の制御基板を介して制御基板110に接続されている。また、カゴ102には、インターフォンの端末装置102bが設けられている。インターフォンの端末装置102bは、呼出ボタンとマイクとスピーカーとを備えている(いずれも図示を省略する)。インターフォンの端末装置102bは、遠隔監視支援装置120に接続されている。
【0026】
昇降路には、カゴ102の昇降動作にかかわる駆動機構104が設けられている。駆動機構104は、たとえば、昇降路における上部に設けることができる。駆動機構104は、巻上機、滑車、ロープ104a、カウンタウエイト104bなどによって構成されている。駆動機構104は、さらに、電磁ブレーキや調速機などを備えている(いずれも図示を省略する)。駆動機構104は、公知の技術を用いて容易に実現可能であるため説明を省略する。駆動機構104は、昇降路における上部に設けられるものに限らない。駆動機構104は、たとえば、油圧式のエレベーター101の場合は、昇降路における底部(ピット)に設けられていてもよい。
【0027】
カゴ102はロープ104aの一端に連結され、カウンタウエイト104bはロープ104aの他端に連結されている。ロープ式のエレベーター101においては、両端にカゴ102およびカウンタウエイト104bが連結されたロープ104aをつるべ式に滑車および巻上機にかけた状態で当該巻上機を駆動し、ロープ104aと滑車との間の摩擦力(トラクション)を利用してカゴ102を昇降させる。昇降路には、カゴ102の昇降位置をガイドするガイドレール(図示を省略する)が設けられている。
【0028】
昇降路における各階床に対応した位置(乗り場)105およびカゴ102には、それぞれ扉105a、102cが設けられている。カゴ102には、当該カゴ102に設けられた扉102cおよび乗り場105に設けられた扉105aを開閉させるモーター(図示を省略する)が設けられている。扉105a、102cを開閉させるモーターは、制御基板110に接続されている。
【0029】
乗り場105に設けられた扉105aは、インターロックなどと称される装置で施錠されている。エレベーター101が停止階に到着した状態でモーターを駆動すると、カゴ102に設けられた扉102cの駆動機構部分とインターロックとがかみ合ってインターロックによる施錠が解放され、カゴ102に設けられた扉102cおよび乗り場105に設けられた扉105aが連動して開閉する。
【0030】
エレベーター101は、扉102c、105aの開閉を検出する扉開閉センサ(図示を省略する)を備えている。扉開閉センサは、扉102c、105aが開状態にあるか閉状態にあるかに応じて出力が変化する。扉開閉センサは、たとえば、マイクロスイッチや光電センサなどによって実現することができる。扉開閉センサは配線を介して制御基板110に接続されており、扉開閉センサから出力された信号は当該配線を介して制御基板110に入力される。
【0031】
各乗り場105には、乗り場呼びボタン(図示を省略する)やカゴ102が位置する階床などを表示する表示器などを備えた操作盤105bが、それぞれ設置されている。各乗り場105に設けられた操作盤105bは、それぞれ、操作盤105b用の制御基板を備え、当該操作盤105b用の制御基板を介して制御基板110に接続されている。
【0032】
遠隔監視支援装置120は、たとえば、エレベーター101の制御基板110を収容する筐体や、昇降路の壁などに取り付けることができる。遠隔監視支援装置120は、主制御基板121と音声通信基板122とを備えている。主制御基板121は、制御基板110に接続されている。また、主制御基板121は、インターネットなどのネットワーク160を介して、管理サーバコンピュータ130に接続されている。主制御基板121と管理サーバコンピュータ130とを電話回線などの公衆音声網170ではなくインターネットを介して接続することにより、緊急時に電話回線がパンクすることによってエレベーター101の状況把握が遅延することを防止し、迅速な対応をとることができる。
【0033】
音声通信基板122は、インターフォンの端末装置102bおよび公衆音声網170に接続されている。音声通信基板122は、具体的には、たとえば、PHS(Personal Handy-phone System)基板によって実現することができる。公衆音声網170は、固定電話網(公衆交換電話網)および携帯電話網を含む。公衆音声網170は、電話線を収容する加入者線交換機、加入者線交換機を束ねる中継交換機、ほかの事業者の電話網と接続する関門交換機など、図示を省略する複数の交換機によって構成されている。公衆音声網170については、公知の技術であるため説明を省略する。
【0034】
上記の主制御基板121は、音声通信基板122が備えるPHS基板を用いて通信をおこなってもよい。この場合、遠隔監視支援装置120は、PHS基板を、音声通信に用いるとともにデータ通信にも用いる。エレベーター101の設置場所は固定であるため、PHSを利用した通信をおこなうことにより、通信の品質を確保するとともに通信にかかるコストを抑えることができる。
【0035】
管理サーバコンピュータ130は、たとえば、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置によって実現することができる。管理サーバコンピュータ130には、操作用の端末装置131が接続されていてもよい。管理サーバコンピュータ130と操作用の端末装置131とは、同じ場所に設置されていてもよく、異なる場所に設置されていてもよい。操作用の端末装置131は、1台であってもよく、複数台であってもよい。操作用の端末装置131は、たとえば、キーボードやマウスなどの入力デバイスや、ディスプレイなどを備えたパーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置によって実現することができる。また、操作用の端末装置131には、エレベーター101の状態を記載した報告書などを出力するためのプリンタ(図示を省略する)が接続されていてもよい。
【0036】
保守管理会社150には、管理サーバコンピュータ130および電話機140に加えて、PBX(Private Branch eXchange、
図2における符号205を参照)を設置することができる。電話機140は、PBXを介して公衆音声網170に接続されている。遠隔監視システム100においてはPBXを設けず、電話機140を公衆音声網170に直接接続してもよい。
【0037】
(遠隔監視システム100のハードウエア構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視システム100を構成する遠隔監視支援装置120のハードウエア構成について説明する。
図2は、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視システム100を構成する遠隔監視支援装置120のハードウエア構成を示す説明図である。
【0038】
図2において、制御基板110は、エレベーター101を構成する各部を駆動制御することにより、エレベーター101の運行動作を制御する。制御基板110は、エレベーター101が備える各部に対して制御用の信号を出力するとともに、当該各部から出力された信号に基づいて、エレベーター101の運行動作を制御する。
【0039】
上述した操作盤102a用の制御基板は、エレベーター101の利用者などによる操作ボタンに対する入力操作を受け付けるごとに、当該入力操作に応じた呼び信号を生成し、生成した呼び信号を制御基板110に出力する。制御基板110は、たとえば、操作盤102a用の制御基板から出力された呼び信号に基づいて、駆動機構104を駆動制御する制御用の信号を出力することによってエレベーター101の運行動作を制御する。
【0040】
具体的には、制御基板110は、たとえば、操作盤102a用の制御基板から出力された呼び信号に基づいて、カゴ102を昇降させるモーターに対する制御用の信号を生成し、生成した制御用の信号をカゴ102を昇降させるモーターに対して出力する。これにより、カゴ102を昇降させるモーターは、カゴ102を上昇あるいは下降させる方向に回転駆動する。カゴ102を昇降させるモーターは、たとえば、インバーターを用いて制御されており、カゴ102を停止させる階床において回転を停止するように制御基板110によって駆動制御される。
【0041】
制御基板110は、カゴ102を昇降させるモーターに制御用の信号を出力するごとに、当該制御用の信号にしたがって動作した各モーターの回転数を取得する。各モーターの回転数は、たとえば、エンコーダなどを用いて取得することができる。これにより、制御基板110は、カゴ102を昇降させるモーターに対して出力した制御用の信号にしたがって、当該モーターが正常に動作したか否かを判断することができる。
【0042】
また、具体的には、制御基板110は、たとえば、操作盤102a用の制御基板から出力された呼び信号に基づいて、カゴ102を所定の階床において停止させるようにブレーキを動作させる制御用の信号を生成し、生成した制御用の信号をブレーキに対して出力する。ブレーキは、制御基板110から出力された制御用の信号にしたがって、カゴ102の昇降動作を停止させ、当該カゴ102を所定の階床において停止させるように動作する。これにより、カゴ102を所定の階床において停止させることができる。
【0043】
制御基板110は、ブレーキに対して制御用の信号を出力するごとに、ブレーキの動作に応じて出力が変化するブレーキセンサからの出力信号を取得する。ブレーキセンサは、たとえば、マイクロスイッチや光電センサなどによって実現することができる。これにより、制御基板110は、ブレーキに対して出力した制御用の信号にしたがって、当該ブレーキが正常に動作したか否かを判断することができる。
【0044】
また、具体的には、制御基板110は、たとえば、操作盤102a用の制御基板から出力された呼び信号に基づいて、ブレーキによってカゴ102を停止させた階床において扉102c、105aを開閉させる制御用の信号を生成し、生成した制御用の信号をカゴ102の扉102cや乗り場105の扉105aを開閉させるモーターに対して出力する。これにより、カゴ102が停止した階床において、扉102c、105aを開閉させることができる。上記のように、扉105aを開閉させるモーターは、インターロックなどと称される装置で施錠されているため、扉105aが完全に閉まっていない場合は動作しな
い。
【0045】
制御基板110は、扉102c、105aを開閉させるモーターに制御用の信号を出力するごとに、扉開閉センサからの出力信号を取得する。これにより、制御基板110は、該当する扉102c、105aを開閉させるモーターに対して出力した制御用の信号にしたがって、当該扉102c、105aが正常に動作したか否かを判断することができる。
【0046】
また、制御基板110は、たとえば、操作盤102a用の制御基板に対して、カゴ102が位置する階床を示す階床信号を含む制御用の信号を出力する。カゴ102が位置する階床は、たとえば、昇降路中において階床ごとに設けられたセンサ(図示を省略する)からの出力信号に基づいて特定することができる。操作盤102a用の制御基板は、階床信号を含む制御用の信号を受け付けると、受け付けた制御用の信号に基づいて表示器を制御して、カゴ102が位置する階床や移動方向(上昇中か下降中か)などを表示する。
【0047】
制御基板110は、操作盤102a用の制御基板や操作盤105b用の制御基板に対して、たとえば、カゴ102の位置が切り替わるごとに階床信号を含む制御用の信号を出力する。あるいは、制御基板110は、操作盤102a用の制御基板や操作盤105b用の制御基板に対して、たとえば、カゴ102の位置にかかわらず、定期的に階床信号を含む制御用の信号を出力するものであってもよい。
【0048】
操作盤105b用の制御基板は、操作盤102a用の制御基板と同様に、エレベーター101の利用者などによる乗り場呼びボタンに対する入力操作を受け付けるごとに、当該入力操作に応じた呼び信号を生成し、生成した呼び信号を制御基板110に出力する。操作盤105b用の制御基板から呼び信号が出力された場合、制御基板110は、操作盤102a用の制御基板から信号が出力された場合と同様に、操作盤105b用の制御基板から出力された信号に基づいて各種の制御用の信号を生成し、生成した制御用の信号を該当する各部に出力することによってエレベーター101の運行動作を制御する。
【0049】
制御基板110は、操作盤102aや操作盤105bから出力された信号に応じてカゴ102を昇降動作させるごとに、当該カゴ102を昇降動作させるために各部を起動したことを示す起動信号を出力する。制御基板110は、たとえば、1階から2階に移動した場合、起動信号を1回出力する。また、制御基板110は、たとえば、1階から途中で停止することなく5階に移動した場合、起動信号を1回出力する。また、制御基板110は、たとえば、1階から、途中の3階で停止した(扉の開閉をおこなった)後に、5階に移動する場合、起動信号を2回出力する。
【0050】
制御基板110は、カゴ102を昇降動作させるごとに、カゴ102の走行距離や走行時間を算出してもよい。カゴ102の走行距離は、たとえば、起動回数に基づいて算出することができる。また、カゴ102の走行時間は、たとえば、上記の階床信号に基づいて算出することができる。具体的には、たとえば、カゴ102が1階にいる状態で4階の乗り場105の操作盤105bから呼びの操作を受け付けた場合、カゴ102は1階から4階までの3階床分を移動する。
【0051】
制御基板110は、図示を省略するメモリを備え、起動信号が出力されるごとに、当該起動信号が出力された回数すなわち起動回数をメモリに記憶する。制御基板110は、起動回数に代えて、あるいは起動回数に加えて、カゴ102の昇降動作や扉105a、102cの開閉動作に際して駆動した各部の運行動作の履歴をメモリに記憶してもよい。具体的には、制御基板110は、たとえば、起動回数、カゴ102の走行距離、カゴ102の走行時間、カゴ102の昇降動作や扉105a、102cの開閉動作に際して動作した各種リレーの動作回数などに関する情報を運行動作の履歴としてメモリに記憶してもよい。
【0052】
また、制御基板110は、扉開閉センサの出力値に基づいて、扉102c、105aが開状態にあるか閉状態にあるかを判断する。制御基板110は、自身が出力した扉102c、105aを開閉させる制御用の信号と扉開閉センサの出力値とに基づいて、扉102c、105aを開閉させる制御用の信号を出力したことに応じて、当該扉102c、105aが実際に開閉したかどうかを判断することができる。
【0053】
また、制御基板110は、エレベーター101の運転モードが変化した場合に、当該運転モードが切り替わったことを示す信号を出力する。制御基板110は、具体的には、たとえば、エレベーター101の運転モードが、通常の運転モードから通常の運転モード以外の運転モードに切り替わった場合に、当該運転モードの切り替わりがあったことを外部に通知する信号、あるいは、切り替わった後の運転モード(通常の運転モード以外の運転モードであること)を通知する信号を出力する。また、制御基板110は、具体的には、たとえば、エレベーター101の運転モードが、通常の運転モード以外の運転モードから通常の運転モードに切り替わった場合に、当該運転モードの切り替わりがあったことを外部に通知する信号、あるいは、切り替わった後の運転モード(通常の運転モードであること)を通知する信号(発報用の信号)を出力する。
【0054】
また、制御基板110は、エレベーター101において障害を検知した場合に、当該障害の発生を通知する信号(発報用の信号)を出力(発報)する。具体的には、制御基板110は、たとえば、扉105a、102cを開閉動作させる制御用の信号を出力したにもかかわらず、扉開閉センサの出力値に基づいて該当する扉105a、102cが動作しないことを検出した場合に、エレベーター101における該当する扉105a、102cにかかる障害が発生したことを通知する信号(発報用の信号)を出力(発報)する。
【0055】
制御基板110は、たとえば、制御基板110と外部装置とを接続する配線を介して、発報用の信号を、制御基板110の外部に出力(発報)することができる。より具体的には、制御基板110は、たとえば、制御基板110と外部装置とを接続する配線が、制御基板110に接続される接点を介して、発報用の信号を、制御基板110の外部に出力(発報)することができる。
【0056】
制御基板110は、たとえば、制御基板110に設けられた端子を介して、発報用の信号を、制御基板110の外部に出力(発報)してもよい。具体的には、制御基板110は、たとえば、エレベーター101の外部装置との間で通信をおこなう通信用の端子を介して、発報用の信号を、制御基板110の外部に出力(発報)することができる。あるいは、具体的には、制御基板110は、たとえば、制御基板110に設けられて、当該制御基板110に診断用の端末装置を接続可能な端子(以下「保守点検用の端子」という)を介して、発報用の信号を、制御基板110の外部に出力(発報)してもよい。
【0057】
インターフォンの端末装置102bは、呼出ボタンが操作された場合に、当該操作があったことを示す呼出信号を、遠隔監視支援装置120に出力する。遠隔監視支援装置120は、インターフォンの端末装置102bから出力された呼出信号が音声通信基板122に入力された場合、公衆音声網170やPBX205を介して電話機140に呼出信号を送出する。これにより、インターフォンの端末装置102bと電話機140との間において音声通信(通話)をおこなうことができる。
【0058】
インターフォンの端末装置102bは、遠隔監視支援装置120(音声通信基板122)と保守管理会社150に設置された電話機140との接続が確立された状態で、マイクに入力された音声信号を、遠隔監視支援装置120に出力する。また、インターフォンの端末装置102bは、遠隔監視支援装置120(音声通信基板122)と電話機140との接続が確立された状態で、遠隔監視支援装置120から出力された音声信号を、スピーカーを介して出力する。
【0059】
遠隔監視支援装置120は、制御基板110からエレベーター101が備える各部に対して出力された信号(制御用の信号)を取得し、取得した制御用の信号に基づいて通知情報を生成し、生成した通知情報を管理サーバコンピュータ130へ送信する。通知情報は、エレベーター101の状態に関する情報や、当該通知情報の送信元となるエレベーター101の識別情報などを含む。
【0060】
エレベーター101の状態に関する情報は、たとえば、カゴ102の昇降方向やカゴ102の移動先となる階床、移動先となる階床においてカゴ102が停止したか否か、扉105a、102cを開閉させるモーターの動作の有無、などを示す。また、エレベーター101の状態に関する情報は、たとえば、カゴ102が現在位置する階床、各種の安全装置の作動の有無などを示す。
【0061】
エレベーター101の識別情報は、たとえば、当該エレベーター101の製造番号であってもよいし、当該エレベーター101の設置場所(住所など)に基づいて設定される番号であってもよいし、当該エレベーター101の保守点検をおこなう作業者などが任意に設定した番号であってもよい。エレベーター101の識別情報は、所定桁数の数字やアルファベットなどの文字を組み合わせて構成することができる。
【0062】
遠隔監視支援装置120が備える主制御基板121は、たとえば、中継基板201と、監視制御基板202と、メモリ203と、通信I/F(インターフェイス)204と、によって構成することができる。遠隔監視支援装置120は、制御基板110から出力された制御用の信号を、主制御基板121における中継基板201を介して取得する。
【0063】
遠隔監視支援装置120は、たとえば、制御基板110に設けられたリレーと中継基板201とを接続し、制御基板110から出力された制御用の信号に応じて出力(出力状態)が変化するリレーからの出力を、主制御基板121において取得する。この場合、遠隔監視支援装置120は、制御基板110から出力された制御用の信号を、リレーから、中継基板201を介して、主制御基板121において取得することができる。
【0064】
リレーは、制御基板110による制御対象となる各部に対応して設けられ、エレベーター101が備える各部の状態に応じて出力状態が変化する(たとえばON/OFFする)。リレーは、たとえば、電磁石により接点を物理的に動かして開閉する電磁リレーを用いることができる。電磁リレーの接点は、たとえば、メーク(電流を流したときに接点が閉じる)接点であってもよく、ブレーク(電流を流したときに接点が開く)接点であってもよい。また、電磁リレーの接点は、たとえば、トランスファ(電流を流すことで複数の接点を切り替える)接点であってもよく、ラチェット(電流を流すたびに接点の開閉を切り替える)接点であってもよい。また、リレーは、たとえば、ソリッドステートリレーやプログラムリレーを用いてもよい。
【0065】
遠隔監視支援装置120は、たとえば、リレーに接続された配線に接続され、当該配線からの出力を、主制御基板121において取得してもよい。この場合も、遠隔監視支援装置120は、制御基板110から出力された制御用の信号を、リレー(リレーに接続された配線)から、中継基板201を介して、主制御基板121において取得することができる。
【0066】
具体的には、遠隔監視支援装置120は、たとえば、制御基板110に対してリレーを支持する足(制御基板110とリレーとを接続する配線)に、制御基板110と中継基板201との接点を設け、当該接点を介して制御基板110に接続することができる。接点は、制御基板110からリレーに入力する信号用の足(制御基板110とリレーとを接続する配線)に設けることができる。この接点は、リレーから制御基板110に出力される信号用の足(制御基板110とリレーとを接続する配線)に設けてもよい。
【0067】
また、遠隔監視支援装置120は、たとえば、エレベーター101が備える各部に対応して制御基板110に設けられたICチップの足(制御基板110とICチップとを接続する配線)に、制御基板110と中継基板201との接点を設け、当該接点を介して制御基板110に接続することができる。この場合、接点は、制御基板110からICチップに入力する信号用の足(制御基板110とICチップとを接続する配線)に設けてもよく、ICチップから制御基板110に出力される信号用の足(制御基板110とICチップとを接続する配線)に設けてもよい。
【0068】
制御基板110においては、エレベーター101が備える各部の動作状態を作業者などが目視によって確認できるように、エレベーター101が備える各部の動作に連動して点灯したり消灯したりするLEDが設けられている場合がある。この場合、遠隔監視支援装置120は、たとえば、LEDの点灯/消灯に応じて出力が変化する光電センサ(図示を省略する)を備え、当該光電センサと中継基板201とを接続し、中継基板201を介して当該光電センサの出力値を主制御基板121において取得することにより、制御基板110から出力された制御用の信号を取得するようにしてもよい。
【0069】
また、遠隔監視支援装置120における中継基板201は、たとえば、制御基板110と制御用の信号の出力先となる各部とを接続する配線が制御基板110に接続される接点(ターミナル)に接続することができる。これにより、遠隔監視支援装置120は、制御基板110における配線との接点(ターミナル)から、中継基板201を介して、制御用の信号を取得することができる。この場合の接点(ターミナル)は、制御基板110上に設けられているものに限らず、制御基板110と制御用の信号の出力先となる各部とを接続する配線の途中において、遠隔監視支援装置120における中継基板201と接続されるものであってもよい。
【0070】
あるいは、遠隔監視支援装置120における中継基板201は、制御基板110と、当該制御基板110からの制御用の信号の出力先となる各部とを接続する配線を分岐させる配線(分岐線)に接続することができる。これにより、遠隔監視支援装置120は、分岐線から、中継基板201を介して、制御用の信号を取得することができる。エレベーター101が備える各部と制御基板110とを接続する配線と分岐線との分岐位置には、制御基板110から出力された制御用の信号を2方向へ分岐する分岐コネクタを設けてもよい。これにより、遠隔監視支援装置120を、分岐コネクタを介して、制御基板110に容
易に接続することができる。
【0071】
中継基板201は、入力を受け付けた信号を解析し、解析結果を監視制御基板202に出力する。監視制御基板202は、中継基板201から出力された解析結果に基づいて通知情報を生成し、生成した通知情報を、通信I/F204を介して管理サーバコンピュータ130へ送信する。また、監視制御基板202は、中継基板201から出力された解析結果を、メモリ203に記憶する。監視制御基板202は、中継基板201が入力を受け付けた信号を、直接メモリ203に記憶してもよい。
【0072】
メモリ203は、電源の供給が絶たれた場合にも記憶した情報を保持する不揮発性の記憶媒体によって実現することができる。具体的には、メモリ203は、たとえば、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)などによって実現することができる。
【0073】
制御基板110から出力される各種の信号は、エレベーター101の機種などに応じて異なる。中継基板201は、解析に際して、制御基板110から出力される各種の信号を、監視制御基板202が処理可能なフォーマットに変換する。遠隔監視支援装置120は、中継基板201において入力を受け付けた信号を解析して監視制御基板202が処理可能なフォーマットに変換することにより、エレベーター101の機種の違いにかかわらず、当該エレベーター101の遠隔監視をおこなうことができる。
【0074】
また、遠隔監視支援装置120は、主制御基板121において監視制御基板202によって制御される中継基板201を介して、制御基板110に対して各種の運行指令信号を出力する。遠隔監視支援装置120は、制御基板110を介してエレベーター101が備える各部を駆動制御する際に運行指令信号を出力する。運行指令信号は、たとえば、操作盤102aや操作盤105bにおいて、所定の階床への移動を指示する入力操作を受け付けた場合に当該操作盤102aや操作盤105bから出力される信号と同様の信号(呼び信号など)によって実現することができる。具体的には、運行指令信号は、たとえば、エレベーター101のカゴ102を所定の階床に移動させたり、移動させたカゴ102を該当する階床において停止させたり、停止させた階床においてカゴ102の扉102cおよび乗り場105の扉105aを開閉させたりする信号を含む。
【0075】
制御基板110は、主制御基板121から出力された運行指令信号を受信すると、受信した運行指令信号に基づいて上述した各種の制御用の信号を生成し、生成した各種の制御用の信号をエレベーター101が備える各部に対して出力する。主制御基板121は、中継基板201を介して監視制御基板202から出力した各種の運行指令信号を、たとえば、エレベーター101が備える保守点検用の端子(図示を省略する)を介して当該制御基板110に入力する。
【0076】
保守点検用の端子は、制御基板110に設けられている。あるいは、保守点検用の端子は、制御基板110の入力端子に電気的に接続され、制御基板110とは別体であってもよい。保守点検用の端子は、たとえば、作業員がエレベーター101が設置されている現地においておこなう保守点検作業に際して、当該保守点検作業に用いる端末装置(保守診断用端末)を接続するために設けられている。保守点検用の端子は、遠隔監視を目的として設置されたエレベーター101に限らず、また、既設新設あるいは新旧にかかわらず、幅広い種類のエレベーター101が一般的に備えている。
【0077】
保守点検用の端子を介して中継基板201と制御基板110とを接続する場合、遠隔監視支援装置120は、保守点検用の端子に対して切断可能に接続される接続端子(図示を省略する)を備えていてもよい。このような遠隔監視支援装置120においては、たとえば、接続端子を保守点検用の端子に挿入して嵌合させることによって、接続端子と保守点検用の端子とを接続することができる。
【0078】
また、遠隔監視支援装置120は、通信I/F204を介して、管理サーバコンピュータ130から送信された各種の指示信号を受信する。管理サーバコンピュータ130は、たとえば、保守管理会社150においてオペレーターによる管理サーバコンピュータ130への入力操作を受け付けた場合に、遠隔監視支援装置120に対して指示信号を出力する。
【0079】
具体的には、管理サーバコンピュータ130は、管理サーバコンピュータ130において受け付けた入力操作に応じて、たとえば、エレベーター101において実行した診断動作の結果に関する通知情報の送信を指示する指示信号(通知情報の送信指示)を送信する。この場合、管理サーバコンピュータ130は、通知情報の送信指示に加えて、エレベーター101に対して診断動作の実行指示を送信する。
【0080】
診断動作は、制御基板110からエレベーター101が備える各部に対して、当該各部を所定の順序で動作させる信号を出力させ、出力させた信号にしたがって当該各部が正常に動作したか否かを示す信号を制御基板110から出力させることによって実現される。管理サーバコンピュータ130は、定期的、すなわち、診断指示を出力してから所定時間が経過した場合(1ヶ月ごとなどの所定期間ごと)に、つぎの診断指示を出力してもよい。
【0081】
また、具体的には、管理サーバコンピュータ130は、たとえば、管理サーバコンピュータ130において受け付けた入力操作に応じて、あるいは定期的に、制御基板110において記憶した運行動作の履歴に関する通知情報の送信を指示する指示信号(通知情報の送信指示)を送信してもよい。運行動作の履歴に関する通知情報は、たとえば、起動回数、カゴ102の走行距離、カゴ102の走行時間、カゴ102の昇降動作や扉105a、102cの開閉動作に際して動作した各種リレーの動作回数などに関する情報によって実現することができる。
【0082】
遠隔監視支援装置120は、管理サーバコンピュータ130から送信された各種の指示信号を受信した場合に、受信した指示信号に基づいて上記の運行指令信号を生成し、生成した運行指令信号を制御基板110に対して出力する。また、遠隔監視支援装置120は、管理サーバコンピュータ130から送信された各種の指示信号に基づく運行指令信号を制御基板110に対して出力した結果、当該制御基板110から出力された信号(制御用の信号など)を取得した場合に、当該信号に基づいて応答情報を生成し、生成した応答情報を管理サーバコンピュータ130に出力する。
【0083】
管理サーバコンピュータ130は、遠隔監視支援装置120に対して送信した各種の指示信号に応じて当該遠隔監視支援装置120から送信された応答情報に基づいて、報告書情報を生成する。管理サーバコンピュータ130は、たとえば、診断指示および通知情報の送信指示を送信した結果、遠隔監視支援装置120から受信した通知情報に基づいて、報告書情報を生成する。この場合、管理サーバコンピュータ130は、たとえば、エレベーター101の走行距離や起動回数に関する情報を含む報告書情報を生成する。
【0084】
また、管理サーバコンピュータ130は、生成した報告書情報に基づいて、報告書(図示を省略する)を発行する機能を備えている。報告書は、たとえば、エレベーター101に診断動作をおこなわせるごと、すなわち、遠隔監視支援装置120に対して送信した診断動作の実行を指示する指示信号(診断指示)に応じた応答情報を受信するごとに発行することができる。具体的には、管理サーバコンピュータ130は、たとえば、生成した報告書情報に基づいて、当該報告書情報を紙などの記録媒体に印刷するための印刷情報を生成し、生成した印刷情報を、管理サーバコンピュータ130に接続された操作用の端末装置131に出力する。操作用の端末装置131は、印刷情報を受け付けた場合、当該操作用の端末装置131に接続されたプリンタを駆動制御することによって報告書を発行させることができる。
【0085】
(遠隔監視システム100の機能的構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視システム100の機能的構成について説明する。
図3は、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視システム100を構成する遠隔監視支援装置120の機能的構成を示すブロック図である。
【0086】
(遠隔監視支援装置120の機能的構成)
図3において、この発明にかかる実施の形態1のエレベーター101の遠隔監視支援装置120の各機能は、受信部301と、記憶部302と、生成部303と、出力部304と、取得部305と、判断部306と、送信部307と、によって実現される。この発明にかかる実施の形態1のエレベーター101の遠隔監視支援装置120が備える受信部301、記憶部302、生成部303、出力部304、取得部305、判断部306、送信部307の各機能は、遠隔監視支援装置120が備える各部によって実現することができる。
【0087】
受信部301は、管理サーバコンピュータ130から送信された各種の指示信号を受信する。受信部301は、たとえば、管理サーバコンピュータ130から送信された通知情報の送信指示を受信する。記憶部302は、受信部301が診断指示を受信した場合、当該診断指示を受信した日時に関する情報を記憶する。これにより、管理サーバコンピュータ130との間で通信をおこなうことなく、定期的にエレベーター101の動作を監視することができる。
【0088】
生成部303は、受信部301が送信指示を受信した場合に、エレベーター101に上記の診断動作を実行させる運行指令信号を生成する。生成部303は、中継基板201により制御基板110が解析可能な形式に変換した運行指令信号を生成する。生成部303は、受信部301が送信指示を受信した場合に、エレベーター101が備える各部を、所定の順序で動作させる信号を出力させる指示を含む運行指令信号を生成する。
【0089】
具体的には、生成部303は、たとえば、エレベーター101のカゴ102を昇降させるモーター、昇降中のカゴ102を停止させるブレーキ、乗り場105およびカゴ102の扉105a、102cを開閉するモーターなどを制御基板110によって駆動制御させる運行指令信号を生成する。
【0090】
出力部304は、受信部301が送信指示を受信した場合に、制御基板110に対して、エレベーター101に上記の診断動作を実行させる運行指令信号を出力する。この実施の形態1において、出力部304は、制御基板110に対して、生成部303が生成した運行指令信号を出力する。
【0091】
出力部304は、たとえば、作業員が現地においておこなう点検作業に際して可搬性の端末装置(保守診断用端末、図示を省略する)を接続する端子を介して、運行指令信号を出力する。出力部304が出力する運行指令信号は、中継基板201により制御基板110が解析可能な形式に変換されているため、保守診断用端末から診断動作をおこなわせる信号を直接入力した場合と同様に、制御基板110に診断動作をおこなわせることができる。
【0092】
出力部304は、たとえば、エレベーター101が備える各部と制御基板110とを接続する配線を介して、制御基板110に対する運行指令信号を出力するものであってもよい。この場合、具体的には、出力部304は、たとえば、エレベーター101が備える各部が制御基板110に対して信号を出力する配線を介して、制御基板110に対する運行指令信号を出力することができる。
【0093】
出力部304は、受信部301が送信指示を受信した場合に限らず、制御基板110に対する運行指令信号を出力してから所定時間が経過した場合に、つぎの診断動作を実行させる運行指令信号を出力してもよい。具体的には、出力部304は、たとえば、記憶部302が記憶する日時に関する情報に基づいて、診断動作の実行指示を出力してから1ヶ月が経過した場合に、つぎの診断動作を実行させる運行指令信号を出力してもよい。
【0094】
これにより、管理サーバコンピュータ130との間で通信をおこなうことなく、制御基板110に対して、診断動作を実行させる運行指令信号を定期的に出力することができる。そして、これによって通信にかかる負担を軽減しつつ、定期的にエレベーター101に対して診断動作をおこなわせることができる。
【0095】
取得部305は、制御基板110から当該制御基板110の外部へ出力された信号を取得する。取得部305は、制御基板110に設けられて当該制御基板110と当該制御基板110の外部との間で信号を入出力する接点であって、エレベーター101の動作状態が通常動作状態であるか否かに応じて信号の出力状態が変化する接点または当該接点に接続された配線から当該信号を取得する。接点は、複数の接点が配列されたターミナルによって実現してもよく、対応するコネクタの挿抜を許容するコネクタによって実現してもよい。
【0096】
具体的には、取得部305は、たとえば、エレベーター101が備える各部に対して出力される当該各部を制御する制御用の信号に応じて動作状態が切り替わるリレーとの接続位置を接点として、当該接点または当該接点に接続された配線から信号を取得する。あるいは、具体的には、取得部305は、たとえば、エレベーター101が備える各部から制御基板110に入力される信号に応じて動作状態が切り替わるリレーとの接続位置を接点として、当該接点または当該接点に接続された配線から信号を取得してもよい。リレーは、エレベーター101の動作状態が切り替わることにより出力が変化する。リレーは、制御用の信号に応じて動作状態が切り替わる、エレベーター101が備える各部の状態に応じて出力が変化する。
【0097】
より具体的には、このようなリレーは、たとえば、エレベーター101が備える各部から出力される信号に基づいて、エレベーター101が安全に動作できる状態であるか否かを判断する安全回路に設けられたリレーによって実現することができる。安全回路に設けられたリレーは、エレベーター101が安全に動作できる状態(通常動作状態)と、安全に動作できない状態(通常動作状態ではない状態)と、で出力が変化する。
【0098】
安全回路は、たとえば、エレベーター101の保守点検をおこなう作業員が、当該保守点検作業に際してエレベーター101の動作を停止させるために操作する停止スイッチ、カゴ102が通常の走行範囲を超えて移動した場合にカゴ102を停止させるために作動するリミットスイッチ、調速機が調速するカゴ102の昇降する速度が規定速度を超えた場合に作動するスイッチなどの各種のスイッチを備えている。安全回路のリレーは、互いに直列に接続された各種のスイッチと直列に接続されており、いずれかのスイッチが一つでも作動した場合に出力が変化する。
【0099】
エレベーター101の動作状態が通常動作状態ではない状態は、安全回路が作動した場合に限らない。制御基板110によって制御されるエレベーター101は、制御基板110の一部が故障などにより稼働していない場合は、安全回路を構成する各種のスイッチが作動していなくても動作することができない。制御基板110の一部が故障などにより稼働していない場合は、制御基板110は、エレベーター101が備える各部に対して制御基板110が停止していること示す信号を出力する。
【0100】
操作盤105bが備える表示器は、制御基板110が停止していること示す信号を受け付けた場合、たとえば、当該信号に基づいて、「休止」、「故障」、「係員を呼んでください」などのメッセージを表示する。操作盤105bが備える表示器は、制御基板110が停止していること示す信号を受け付けた場合、表示を停止する(画面に何も表示しない)ようにしてもよい。
【0101】
また、このようなリレーは、たとえば、エレベーター101が備える各部から出力される信号に基づいて、エレベーター101が起動できる状態であるか否かを判断する起動不能回路に設けられたリレーによって実現することができる。起動不能回路に設けられたリレーは、エレベーター101が起動できる状態と、起動できない状態と、で出力が変化する。
【0102】
また、このようなリレーは、たとえば、エレベーター101が備える各部のうち、たとえば、各階床の乗り場105の操作盤105bに対して入出力された信号に応じて出力状態が変化するリレーや、カゴ102の操作盤102aに対して入出力された信号に応じて出力状態が変化するリレーによって実現することができる。具体的には、このようなリレーは、たとえば、扉102c、105aの開閉を検出する扉開閉センサのリレーによって実現することができ、扉102c、105aの開閉状態に応じて出力状態が変化する。
【0103】
また、具体的には、取得部305は、たとえば、エレベーター101が備える各部に対して所定の電圧の電源が供給されているか否かに応じて動作状態が切り替わるリレーとの接続位置を接点として、当該接点または当該接点に接続された配線から信号を取得してもよい。より具体的には、このようなリレーは、たとえば、エレベーター101が備える各部のうち、100Vの電圧の電源が供給されている状態において動作する構成部に対して、100Vの電圧の電源を供給する100V電源回路に設けられたリレーによって実現することができる。
【0104】
100V電源回路に設けられたリレーは、該当する各部に100Vの電圧の電源が供給されている場合にON状態となり、該当する各部に100Vの電圧の電源が供給されていない場合にOFF状態となる。この場合、取得部305は、100V電源回路に設けられたリレーとの接続位置を接点として、当該接点から信号を取得する。
【0105】
また、具体的には、取得部305は、100V電源回路に接続された配線との接続位置から信号を取得してもよい。この場合、取得部305が取得する信号(電圧)は、該当する各部に100Vの電圧の電源が供給されている場合と供給されていない場合とで変化する。
【0106】
所定の電圧は、100Vに限るものではなく、たとえば、200Vであってもよい。この場合、取得部305は、200Vの電圧を印加する200V電源回路に設けられたリレーとの接続位置を接点として、当該接点または当該接点に接続された配線から信号を取得する。取得部305は、1つの接点から信号を取得するものに限らず、たとえば、100V電源回路に設けられたリレーとの接続位置と200V電源回路に設けられたリレーとの接続位置とのように、あるいは、各階床の乗り場105の操作盤105bに対応するリレーとカゴ102の操作盤102aに対応するリレーとのように、複数のリレーとの接続位置を接点として、当該接点から信号を取得してもよい。
【0107】
また、取得部305は、たとえば、出力部304が出力した、診断動作を実行させる運行指令信号に応じて制御基板110からエレベーター101が備える各部に対して出力された制御用の信号を取得する。また、取得部305は、たとえば、各階床の乗り場105の操作盤105bおよびエレベーター101のカゴ102の操作盤102aにおいて所定の入力操作を受け付けた場合に制御基板110から出力された制御用の信号を取得する。また、取得部305は、たとえば、制御基板110から各階床の乗り場105の操作盤105bおよびエレベーター101のカゴ102の操作盤102aに対して出力された階床信号を取得する。
【0108】
また、取得部305は、たとえば、所定震度以上の地震が発生したことを検知したことによってエレベーター101の運転モードが通常時の運転モードから地震発生時用の運転モードに切り替わった場合などに、制御基板110から出力された発報用の信号を取得する。また、取得部305は、たとえば、エレベーター101のカゴ102を昇降させるモーターに対して制御用の信号を出力したにもかかわらず、カゴ102の位置を示す階床信号が切り替わらない場合など、エレベーター101において障害が発生した場合に、当該障害の発生を外部に通知するため発報用の信号を出力する。
【0109】
取得部305は、エレベーター101が備える各部の状態に応じて出力が変化するリレーを介して制御用の信号を取得する他に、たとえば、エレベーター101が備える各部の動作に連動して点灯したり消灯したりするLEDを介して、制御用の信号を取得するものであってもよい。さらに、取得部305は、たとえば、リレーやLEDを制御基板110に固定する足(接続用の配線)を介して、制御用の信号を取得するものであってもよい。
【0110】
なお、取得部305は、たとえば、保守診断用端末を接続可能な端子を介して、制御用の信号を取得してもよい。また、取得部305は、たとえば、制御用の信号の出力先となる各部に接続する配線(あるいは分岐コネクタ)と制御基板110との接続位置において、制御用の信号を取得するものであってもよい。
【0111】
判断部306は、取得部305が取得した信号の出力状態に基づいて、エレベーター101の動作状態が通常動作状態であるか否かを判断する。判断部306は、エレベーター101が安全に動作できる状態であって、たとえば、カゴ102の操作ボタンや乗り場呼びボタンの操作に応じてエレベーター101が備える各部が動作可能な状態を、通常動作状態と判断する。また、判断部306は、カゴ102の操作ボタンや乗り場呼びボタンの操作に応じてエレベーター101が備える各部のうち、動作できない部分がある場合は安全に動作できない状態、すなわち、通常動作状態ではない状態と判断する。
【0112】
たとえば、制御基板110から当該制御基板110の外部に出力される制御用の信号に応じて出力が変化するリレーとの接続位置を接点とする場合、判断部306は、エレベーター101の動作状態が通常動作状態ではない状態で当該リレーが出力する信号を取得した場合に、エレベーター101の動作状態が通常動作状態ではないと判断する。より具体的には、判断部306は、たとえば、カゴ102の操作盤102aから制御基板110に対して非常通話ボタンが操作されたことを示す信号が入力された場合、あるいは、非常通話ボタンの操作に応じて制御基板110からエレベーター101が備える各部に対して信号が出力された場合に、エレベーター101の動作状態が通常動作状態ではないと判断する。
【0113】
また、たとえば、取得部305は、所定震度以上の地震が発生したことを検知したことによってエレベーター101の運転モードが通常時の運転モードから地震発生時用の運転モードに切り替わった場合などに、制御基板110から出力された発報用の信号を取得する場合、判断部306は、当該発報用の信号を取得した場合に、エレベーター101の動作状態が通常動作状態ではないと判断してもよい。
【0114】
また、たとえば、100V電源回路や200V電源回路などに設けられたリレーとの接点から信号を取得する場合、停電などに起因して、当該100V電源回路や200V電源回路に電源が供給されていない、あるいは、当該100V電源回路や200V電源回路から該当する各部へ所定の電圧の電源が供給されていないために、当該リレーが作動した場合に、判断部306は、エレベーター101の動作状態が通常動作状態ではないと判断してもよい。また、たとえば、100Vや200Vなどの所定の電圧の電源を供給する100V電源回路や200V電源回路との接続位置あるいはこれらの回路に接続された配線から信号を取得する場合、判断部306は、取得部305が取得する信号(電圧)の有無に応じてエレベーター101の動作状態を判断してもよい。この場合、判断部306は、取得部305が取得する信号(電圧)がない、すなわち取得する信号(電圧)のレベルがゼロである場合に、エレベーター101の動作状態が通常動作状態ではないと判断することができる。
【0115】
上記の生成部303は、判断部306がエレベーター101の動作状態が通常動作状態ではないと判断した場合に、エレベーター101の状態に関する情報を含む通知情報を生成する。生成部303は、判断部306がエレベーター101の動作状態が通常動作状態ではないと判断するごとに、エレベーター101の状態に関する情報を含む通知情報を生成する。
【0116】
また、上記の生成部303は、取得部305が取得した信号に基づいて、エレベーター101の状態に関する情報を含む通知情報を生成してもよい。この場合、具体的には、生成部303は、たとえば、制御基板110から出力された制御用の信号に基づいて、エレベーター101が正常に動作している状態であることを示す通知情報を生成してもよい。また、生成部303は、たとえば、制御基板110から出力された階床信号に基づいて、エレベーター101のカゴ102が現在位置する階床を示す通知情報を生成してもよい。また、生成部303は、たとえば、制御基板110から出力された発報用の信号に基づいて、エレベーター101の現在の運転モードが切り替わったことやエレベーター101における障害の発生を示す通知情報を生成してもよい。
【0117】
生成部303は、取得部305が信号を取得するごとに通知情報を生成してもよい。あるいは、生成部303は、たとえば、取得部305が特定の信号を取得した場合に、通知情報を生成してもよい。具体的には、生成部303は、たとえば、エレベーター101の現在の運転モードが切り替わったことを示す発報用の信号を取得部305が取得した場合に、通知情報を生成するようにしてもよい。
【0118】
送信部307は、生成部303が生成した通知情報を、管理サーバコンピュータ130へ送信する。送信部307は、生成部303が通知情報を生成するごとに、当該通知情報を管理サーバコンピュータ130へ送信する。あるいは、送信部307は、たとえば、生成部303が特定の通知情報を生成した場合に、当該通知情報を管理サーバコンピュータ130へ送信してもよい。具体的には、たとえば、エレベーター101の現在の運転モードが切り替わったことを示す発報用の信号に基づく通知情報を生成部303が生成した場合に、送信部307によって当該通知情報を管理サーバコンピュータ130へ送信してもよい。
【0119】
(遠隔監視支援装置120の処理手順)
図4は、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視支援装置120の処理手順を示すフローチャートである。
図4のフローチャートにおいて、まず、制御基板110から当該制御基板110の外部に対して出力される信号を取得するまで待機する(ステップS401:No)。
【0120】
ステップS401において、制御基板110から出力された信号を取得した場合(ステップS401:Yes)、取得した信号に基づいて、エレベーター101の動作状態が通常動作状態であるか否かを判断する(ステップS402)。ステップS402において、エレベーター101の動作状態が通常動作状態である場合(ステップS402:Yes)、取得した信号に基づいて、エレベーター101の動作履歴を記憶して(ステップS403)、一連の処理を終了する。
【0121】
ステップS403においては、たとえば、カゴ102の昇降方向やカゴ102の移動先となる階床、移動先となる階床においてカゴ102が停止したか否か、扉105a、102cを開閉させるモーターの動作の有無、カゴ102が現在位置する階床、各種の安全装置の作動の有無などに関する情報を記憶する。ステップS403においては、取得した信号を記憶してもよく、取得した信号と当該信号を取得した日時に関する情報とを関連付けて記憶してもよい。
【0122】
ステップS403において記憶した動作履歴は、たとえば、エレベーター101の遠隔診断時などに、当該記憶した動作履歴に基づく通知情報の生成に用いる。エレベーター101の遠隔診断は、たとえば、管理サーバコンピュータ130から通知情報の送信指示を受信した場合、前回遠隔診断をおこなってから所定時間が経過した場合などに適宜開始される。
【0123】
一方、ステップS402において、エレベーター101の動作状態が通常動作状態ではない場合(ステップS402:No)、ステップS401:Yesにおいて取得した信号に基づいて、通知情報を生成する(ステップS404)。ステップS404においては、ステップS401:Yesにおいて取得した信号に基づいて、エレベーター101の動作状態が通常動作状態ではないことを通知する通知情報を生成する。具体的には、ステップS404においては、たとえば、通常動作状態ではないと判断した信号や当該信号を取得した日時に関する情報などを含む通知情報を生成する。
【0124】
その後、管理サーバコンピュータ130に対して、ステップS404において生成した通知情報を送信して(ステップS405)、一連の処理を終了する。ステップS405においては、ステップS404において生成した通知情報を、通信I/F204から、インターネットなどのネットワーク160を介して、管理サーバコンピュータ130に送信する。
【0125】
以上説明したように、この実施の形態1の遠隔監視支援装置120は、制御基板110に設けられて当該制御基板110と当該制御基板110との間で信号を入出力する接点であってエレベーター101の動作状態が通常動作状態であるか否かに応じて信号の出力状態が変化する接点または当該接点に接続された配線から当該信号を取得し、取得した信号の出力状態に基づいて、動作状態が通常動作状態であるか否かを判断する。そして、エレベーター101の動作状態が通常動作状態ではないと判断した場合に、エレベーター101の状態に関する情報を含む通知情報を生成し、生成した通知情報を、管理サーバコンピュータ130へ送信することを特徴としている。
【0126】
この実施の形態1の遠隔監視支援装置120によれば、制御基板110から当該制御基板110の外部に対して出力される信号に基づいて、当該信号が制御基板110から出力されるごとに、エレベーター101の動作状態が通常動作状態であるか否かを判断し、エレベーター101の動作状態が通常動作状態ではない場合は、管理サーバコンピュータ130を介して、エレベーター101の動作状態が通常動作状態ではないことを、オペレーターに案内することができる。
【0127】
これによって、オペレーターは、エレベーター101の動作状態が通常動作状態ではないことを迅速に把握することができ、必要に応じて点検作業員を手配するなど、エレベーター101を良好な状態に維持する対応を迅速におこなうことができる。これにより、エレベーター101に対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーター101を利用させることができる。
【0128】
エレベーター101の動作を制御する制御基板110は、一般的には、エレベーター101の製造元(メーカー)が独自に開発した回路構成からなり、当該製造元の独自の制御プログラムによって制御される。一般的に、制御基板110にかかる回路構成、制御プログラムは非公開であり、製造元の会社あるいはその系列の会社以外の会社がその内容を知ることはできないが、この実施の形態1の遠隔監視支援装置120によれば、制御基板110に直接接続し、かつ制御基板の回路構成や制御プログラムを分析することなく、エレベーター101の動作状態が通常動作状態であるか否かを判断し、エレベーター101の動作状態が通常動作状態ではない場合は、管理サーバコンピュータ130を介して、エレベーター101の動作状態が通常動作状態ではないことを、オペレーターに案内することができる。
【0129】
これによって、オペレーターは、エレベーター101の動作状態が通常動作状態ではないことを迅速に把握することができ、必要に応じて点検作業員を手配するなど、エレベーター101を良好な状態に維持する対応を迅速におこなうことができる。これにより、メーカー自身またはメーカーと関連がある系列のメンテナンスサービス会社とは異なるいわゆる「独立系のエレベーターのメンテナンスサービス会社」が、エレベーター101の動作状態を当該エレベーター101の遠隔地から監視し、エレベーター101に対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーター101を利用させることができる。
【0130】
また、この実施の形態1の遠隔監視支援装置120によれば、エレベーター101自体の通信機能の有無にかかわらずエレベーター101の遠隔監視をおこなうことができるので、エレベーター101に対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーター101を利用させることができる。
【0131】
また、この実施の形態1の遠隔監視支援装置120は、エレベーター101が備える各部に対して出力される当該各部を制御する制御用の信号に応じて動作状態が切り替わるリレーとの接続位置を接点として、当該接点または当該接点に接続された配線から取得した信号に基づいて、エレベーター101の動作状態が通常動作状態であるか否かを判断することを特徴としている。
【0132】
この実施の形態1の遠隔監視支援装置120によれば、エレベーター101の状態に関する情報を出力するための専用の端子を制御基板に別途設けたり、エレベーター101の状態に関する情報を生成するプログラムなどを制御基板に別途組み込んだりすることなく、エレベーター101の動作状態が通常動作状態であるか否かを判断することができる。これによって、エレベーター101の機種にかかわらずエレベーター101の遠隔監視をおこなうことができるので、エレベーター101に対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーター101を利用させることができる。
【0133】
また、この実施の形態1の遠隔監視支援装置120は、エレベーター101が備える各部に対して所定の電圧の電源が供給されているか否かに応じて動作状態が切り替わるリレーとの接続位置を接点として、当該接点または当該接点に接続された配線から取得した信号に基づいて、エレベーター101の動作状態が通常動作状態であるか否かを判断することを特徴としている。
【0134】
これによっても、エレベーター101の状態に関する情報を出力するための専用の端子を制御基板に別途設けたり、エレベーター101の状態に関する情報を生成するプログラムなどを制御基板に別途組み込んだりすることなく、エレベーター101の動作状態が通常動作状態であるか否かを判断することができる。これによって、エレベーター101の機種にかかわらずエレベーター101の遠隔監視をおこなうことができるので、エレベーター101に対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーター101を利用させることができる。
【0135】
また、この実施の形態1の遠隔監視支援装置120は、エレベーター101が備える各部に対して所定の電圧の電源を供給する電源供給回路との接続位置を接点として、当該接点または当該接点に接続された配線における電圧の有無に応じて、エレベーター101の動作状態が通常動作状態であるか否かを判断することを特徴としている。
【0136】
これによっても、エレベーター101の状態に関する情報を出力するための専用の端子を制御基板に別途設けたり、エレベーター101の状態に関する情報を生成するプログラムなどを制御基板に別途組み込んだりすることなく、エレベーター101の動作状態が通常動作状態であるか否かを判断することができる。これによって、エレベーター101の機種にかかわらずエレベーター101の遠隔監視をおこなうことができるので、エレベーター101に対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーター101を利用させることができる。
【0137】
<実施の形態2>
つぎに、この発明にかかる実施の形態2のエレベーターの遠隔監視システムについて説明する。実施の形態2においては、上述した実施の形態1と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。
【0138】
(遠隔監視支援装置120の機能的構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態2のエレベーター101の遠隔監視支援装置120の機能的構成について説明する。この発明にかかる実施の形態2のエレベーター101の遠隔監視支援装置120の各機能は、受信部301と、記憶部302と、生成部303と、出力部304と、取得部305と、判断部306と、送信部307と、によって実現される。
【0139】
取得部305は、制御基板110から当該制御基板110の外部へ出力された信号を取得する。取得部305は、たとえば、出力部304が出力した、診断動作を実行させる運行指令信号に応じて制御基板110からエレベーター101が備える各部に対して出力された制御用の信号を取得する。
【0140】
また、取得部305は、たとえば、各階床の乗り場105の操作盤105bおよびエレベーター101のカゴ102の操作盤102aにおいて所定の入力操作を受け付けた場合に制御基板110から出力された制御用の信号を取得する。また、取得部305は、たとえば、制御基板110から各階床の乗り場105の操作盤105bおよびエレベーター101のカゴ102の操作盤102aに対して出力された階床信号を取得する。
【0141】
また、取得部305は、たとえば、所定震度以上の地震が発生したことを検知したことによってエレベーター101の運転モードが通常時の運転モードから地震発生時用の運転モードに切り替わった場合などに、制御基板110から出力された発報用の信号を取得する。また、取得部305は、たとえば、エレベーター101のカゴ102を昇降させるモーターに対して制御用の信号を出力したにもかかわらず、カゴ102の位置を示す階床信号が切り替わらない場合など、エレベーター101において障害が発生した場合に、当該障害の発生を外部に通知するため発報用の信号を出力する。
【0142】
取得部305は、たとえば、保守診断用端末を接続可能な端子を介して、制御用の信号を取得することができる。また、取得部305は、たとえば、制御用の信号の出力先となる各部に接続する配線(あるいは分岐コネクタ)と制御基板110との接続位置において、制御用の信号を取得するものであってもよい。
【0143】
また、取得部305は、たとえば、制御基板110に設けられて、エレベーター101が備える各部の状態に応じて出力が変化するリレーを介して、制御用の信号を取得するものであってもよい。また、取得部305は、たとえば、エレベーター101が備える各部の動作に連動して点灯したり消灯したりするLEDを介して、制御用の信号を取得するものであってもよい。さらに、取得部305は、たとえば、リレーやLEDを制御基板110に固定する足(接続用の配線)を介して、制御用の信号を取得するものであってもよい。
【0144】
上記の生成部303は、取得部305が取得した信号に基づいて、エレベーター101の状態に関する情報を含む通知情報を生成する。生成部303は、たとえば、制御基板110から出力された制御用の信号に基づいて、エレベーター101が正常に動作している状態であることを示す通知情報を生成する。また、生成部303は、たとえば、制御基板110から出力された階床信号に基づいて、エレベーター101のカゴ102が現在位置する階床を示す通知情報を生成する。また、生成部303は、たとえば、制御基板110から出力された発報用の信号に基づいて、エレベーター101の現在の運転モードが切り替わったことやエレベーター101における障害の発生を示す通知情報を生成する。
【0145】
生成部303は、取得部305が信号を取得するごとに通知情報を生成する。あるいは、生成部303は、たとえば、取得部305が特定の信号を取得した場合に、通知情報を生成してもよい。具体的には、生成部303は、たとえば、エレベーター101の現在の運転モードが切り替わったことを示す発報用の信号を取得部305が取得した場合に、通知情報を生成するようにしてもよい。
【0146】
送信部307は、生成部303が生成した通知情報を、管理サーバコンピュータ130へ送信する。送信部307は、生成部303が通知情報を生成するごとに、当該通知情報を管理サーバコンピュータ130へ送信する。あるいは、送信部307は、たとえば、生成部303が特定の通知情報を生成した場合に、当該通知情報を管理サーバコンピュータ130へ送信してもよい。具体的には、たとえば、エレベーター101の現在の運転モードが切り替わったことを示す発報用の信号に基づく通知情報を生成部303が生成した場合に、送信部307によって当該通知情報を管理サーバコンピュータ130へ送信してもよい。
【0147】
この発明にかかる実施の形態2の遠隔監視支援装置120は、さらに、取得部305が取得する信号に基づいて、エレベーター101の動作状態が通常動作状態であるか否かを、判断部306によって判断し、通常動作状態ではない場合に、エレベーター101の状態に関する情報を含む通知情報を生成し、管理サーバコンピュータ130へ送信してもよい。これによって、オペレーターは、エレベーター101の動作状態が通常動作状態ではないことを迅速に把握することができ、必要に応じて点検作業員を手配するなど、エレベーター101を良好な状態に維持する対応を迅速におこなうことができる。これにより、エレベーター101に対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーター101を利用させることができる。
【0148】
(遠隔監視支援装置120の処理手順)
図5および
図6は、この発明にかかる実施の形態2の遠隔監視支援装置120の処理手順を示すフローチャートである。
図5のフローチャートにおいて、まず、制御基板110から出力された制御用の信号を取得するまで待機する(ステップS501:No)。
【0149】
ステップS501において、制御基板110から出力された制御用の信号を取得した場合(ステップS501:Yes)、取得した制御用の信号に基づいて通知情報を生成する(ステップS502)。ステップS502においては、たとえば、カゴ102の昇降方向やカゴ102の移動先となる階床、移動先となる階床においてカゴ102が停止したか否か、扉105a、102cを開閉させるモーターの動作の有無、カゴ102が現在位置する階床、各種の安全装置の作動の有無などに関する情報を含む通知情報を生成する。
【0150】
その後、管理サーバコンピュータ130に対して、ステップS502において生成した通知情報を送信して(ステップS503)、一連の処理を終了する。ステップS503においては、ステップS502において生成した通知情報を、通信I/F204から、インターネットなどのネットワーク160を介して、管理サーバコンピュータ130に送信する。
【0151】
図6のフローチャートにおいて、まず、管理サーバコンピュータ130から送信された通知情報の送信指示を受信したか否かを判断する(ステップS601)。ステップS601において、管理サーバコンピュータ130から送信された通知情報の送信指示を受信した場合(ステップS601:Yes)、受信した送信指示に基づいて、エレベーター101において診断動作を実行させる運行指令信号を生成する(ステップS602)。
【0152】
そして、制御基板110に対して、ステップS602において生成した運行指令信号を出力して(ステップS603)、一連の処理を終了する。ステップS603においては、たとえば、保守診断用端末を接続するために制御基板110に設けられている接続端子を介して、ステップS602において生成した運行指令信号を出力する。
【0153】
一方、ステップS601において、管理サーバコンピュータ130から送信された通知情報の送信指示を受信していない場合(ステップS601:No)、制御基板110に対して、前回、エレベーター101において診断動作を実行させる運行指令信号を送信してから所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS604)。ステップS604において、前回、エレベーター101において診断動作を実行させる運行指令信号を送信してから所定時間が経過していない場合(ステップS604:No)、ステップS601に戻り、管理サーバコンピュータ130から送信された通知情報の送信指示を受信したか否かを判断する。
【0154】
ステップS604において、前回、エレベーター101において診断動作を実行させる運行指令信号を送信してから所定時間が経過した場合(ステップS604:Yes)、ステップS602へ移行し、エレベーター101において診断動作を実行させる運行指令信号を生成する。この場合、ステップS602においては、たとえば、遠隔監視支援装置120においてあらかじめ記憶されている情報に基づいて、エレベーター101において診断動作を実行させる運行指令信号を生成する。
【0155】
以上説明したように、この実施の形態2の遠隔監視支援装置120は、制御基板110から当該制御基板110の外部へ出力された信号を取得し、取得した信号に基づいてエレベーター101の状態に関する情報を含む通知情報を生成し、生成した通知情報を管理サーバコンピュータ130へ送信するようにしたことを特徴としている。
【0156】
この実施の形態2の遠隔監視支援装置120によれば、制御基板110から当該制御基板110の外部へ出力された信号に基づく通知情報を取得して管理サーバコンピュータ130に送信することにより、制御基板110が遠隔地に設置された外部装置との通信機能を備えたエレベーター101に限らず、当該通信機能を備えていないエレベーター101であっても、それぞれのエレベーター101の遠隔監視をおこなうことができる。
【0157】
これによって、エレベーター101自体の通信機能の有無にかかわらずエレベーター101の遠隔監視をおこなうことができるので、エレベーター101に対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーター101を利用させることができる。
【0158】
また、この実施の形態2の遠隔監視支援装置120は、制御基板110からエレベーター101が備える各部に対して出力された、当該各部を制御する制御用の信号を取得するようにしたことを特徴としている。
【0159】
この実施の形態2の遠隔監視支援装置120によれば、制御基板110からエレベーター101が備える各部に対して出力された制御用の信号に基づく通知情報を管理サーバコンピュータ130に送信することにより、エレベーター101の状態に関する情報を出力するための専用の端子を制御基板に別途設けたり、エレベーター101の状態に関する情報を生成するプログラムなどを制御基板に別途組み込んだりすることなく、エレベーター101の遠隔監視をおこなうことができる。
【0160】
これによって、エレベーター101の機種にかかわらずエレベーター101の遠隔監視をおこなうことができるので、エレベーター101に対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーター101を利用させることができる。
【0161】
また、この実施の形態2の遠隔監視支援装置120は、エレベーター101に生じた障害を外部に通知するために制御基板110から当該制御基板110の外部へ出力された発報用の信号を取得するようにしたことを特徴としている。
【0162】
この実施の形態2の遠隔監視支援装置120によれば、制御基板110から制御基板110の外部へ出力された発報用の信号に基づく通知情報を管理サーバコンピュータ130に送信することにより、エレベーター101に既存の機能を利用してエレベーター101の遠隔監視をおこなうことができる。これによって、エレベーター101の機種にかかわらずエレベーター101の遠隔監視をおこなうことができるので、エレベーター101に対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーター101を利用させることができる。
【0163】
また、この実施の形態2の遠隔監視支援装置120は、エレベーター101に生じた異常の他、エレベーター101の設置場所において所定震度以上の地震が発生したことを検出することによって、エレベーター101の運転モードが、通常の運転モードから通常の運転モード以外の運転モードに切り替わった場合に、当該運転モードの切り替わりがあったことを外部に通知するために制御基板110から当該制御基板110の外部へ出力された運転モードを通知する信号を取得するようにしてもよい。
【0164】
これによって、所定震度以上の震度の地震が発生するなどの非常事態であっても、エレベーター101が正常に動作している状態であれば、エレベーター101に既存の機能を利用してエレベーター101の遠隔監視をおこなうことができる。これによって、エレベーター101の機種にかかわらずエレベーター101の遠隔監視をおこなうことができるので、エレベーター101に対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーター101を利用させることができる。
【0165】
また、この実施の形態2の遠隔監視支援装置120は、管理サーバコンピュータ130から送信された、通知情報の送信指示を受信した場合に、制御基板110に対して診断動作の実行指示を出力し、出力した診断動作の実行指示に応じて制御基板110からエレベーター101が備える各部に対して出力された制御用の信号を取得するようにしたことを特徴としている。
【0166】
この実施の形態2の遠隔監視支援装置120によれば、管理サーバコンピュータ130からの指示に応じて制御基板110に実行させた診断動作に際して、制御基板110からエレベーター101が備える各部に対して出力された制御用の信号に基づく通知情報を管理サーバコンピュータ130に送信することにより、エレベーター101の遠隔監視をおこなうことができる。これによって、管理サーバコンピュータ130側で設定した任意のタイミングでエレベーター101の遠隔監視をおこなうことができるので、エレベーター101に対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーター101を利用させることができる。
【0167】
また、この実施の形態2の遠隔監視支援装置120は、メンテナンス用の端末装置(保守点検用端末)を接続可能な端子(メンテナンスポート)を介して、制御基板110に対して、診断動作の実行指示を出力することを特徴としている。
【0168】
この実施の形態2の遠隔監視支援装置120によれば、エレベーター101が設置されている現場において従来用いられている、当該エレベーター101の診断に用いる診断用の端末装置(保守点検用端末)を接続可能な端子を介して、診断動作の実行指示を出力することによって、制御基板110に診断動作の実行指示を入力するための機構をあらたに設けることなく、容易に制御基板110に診断動作を実行させることができる。これによって、エレベーター101に対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーター101を利用させることができる。
【0169】
また、この実施の形態2の遠隔監視支援装置120は、管理サーバコンピュータ130による診断指示の送信の有無にかかわらず、所定時間ごとにエレベーター101の状態を把握することができる。これにより、エレベーター101の遠隔監視にかかる管理サーバコンピュータ130における処理負担の軽減を図りつつ、エレベーター101に対する信頼性の向上を図ることができる。
【0170】
<実施の形態3>
つぎに、この発明にかかる実施の形態3のエレベーターの遠隔監視システムについて説明する。実施の形態3においては、上述した実施の形態1、2と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。
【0171】
図7は、この発明にかかる実施の形態3の遠隔監視システムのシステム構成を示す説明図である。
図8は、この発明にかかる実施の形態3の遠隔監視システムを構成する遠隔監視支援装置のハードウエア構成を示す説明図である。
図7および
図8において、この発明にかかる実施の形態3の遠隔監視支援装置120が備える中継基板201には、制御基板110に接続される接続端子121aが接続されている。接続端子121aは、中継基板201(の入力端子)に電気的に接続されており、中継基板201とは別体で設けられて当該中継基板201と配線121bによって接続されたコネクタなどによって実現することができる。接続端子121aは、中継基板201(の入力端子)に電気的に接続されていればよく、中継基板201に一体に設けられていても、中継基板201とは別体で設けられていてもよい。
【0172】
遠隔監視支援装置120は、制御基板110に設けられて、当該制御基板110に診断用の端末装置を接続可能な端子(以下「保守点検用の端子」という)110aに、接続端子121aを接続することによって制御基板110に接続されている。接続端子121aと保守点検用の端子110aとは、切り離し可能に接続される。
【0173】
具体的には、たとえば、接続端子121aを実現するコネクタ(オス型またはメス型)を、保守点検用の端子110aを実現するコネクタ(メス型またはオス型)に挿抜することによって、遠隔監視支援装置120と制御基板110とを接続したり、切り離したりすることができる。接続端子121aおよび保守点検用の端子110aをコネクタとすることによって、遠隔監視支援装置120と制御基板110とを容易に接続し、かつ、遠隔監視支援装置120を撤去する場合などは容易に取り外すことができる。
【0174】
制御基板110は、たとえば、診断用の端末装置から出力された信号に基づいてエレベーター101における各部に制御信号を出力した結果、エレベーター101が当該制御信号にしたがった動作をおこなわなかった場合、エレベーター101において異常が発生したと判断し、エレベーター101における異常の発生を報知する信号(発報用の信号)を出力する。
【0175】
制御基板110は、異常の発生を報知する発報用の信号を、たとえば、保守点検用の端子110aを介して遠隔監視支援装置120に出力する。発報用の信号など、制御基板110から保守点検用の端子110aを介して出力された信号は、中継基板201から遠隔監視支援装置120に入力される。
【0176】
(遠隔監視システム100の機能的構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態3の遠隔監視システム100の機能的構成について説明する。
図9は、この発明にかかる実施の形態3の遠隔監視システム100を構成する遠隔監視支援装置120の機能的構成を示すブロック図である。
【0177】
図9において、この発明にかかる実施の形態のエレベーター101の遠隔監視支援装置120の各機能は、受信部301と、記憶部302と、生成部303と、出力部304と、取得部305と、判断部306と、送信部307と、によって実現される。この発明にかかる実施の形態のエレベーター101の遠隔監視支援装置120が備える受信部301、記憶部302、生成部303、出力部304、取得部305、判断部306、送信部307の各機能は、遠隔監視支援装置120が備える各部によって実現することができる。
【0178】
受信部301は、管理サーバコンピュータ130から送信された各種の指示信号を受信する。受信部301は、たとえば、管理サーバコンピュータ130から送信された通知情報の送信指示を受信する。記憶部302は、受信部301が診断指示を受信した場合、当該診断指示を受信した日時に関する情報を記憶する。これにより、管理サーバコンピュータ130との間で通信をおこなうことなく、定期的にエレベーター101の動作を監視することができる。
【0179】
生成部303は、受信部301が送信指示を受信した場合に、エレベーター101に上記の診断動作を実行させる運行指令信号を生成する。生成部303は、中継基板201により制御基板110が解析可能な形式に変換した運行指令信号を生成する。生成部303は、受信部301が送信指示を受信した場合に、エレベーター101が備える各部を、所定の順序で動作させる信号を出力させる指示を含む運行指令信号を生成する。
【0180】
具体的には、生成部303は、たとえば、エレベーター101のカゴ102を昇降させるモーター、昇降中のカゴ102を停止させるブレーキ、乗り場105およびカゴ102の扉105a、102cを開閉するモーターなどを制御基板110によって駆動制御させる運行指令信号を生成する。
【0181】
出力部304は、制御基板110に対して、受信部301が送信指示を受信した場合に生成部303が生成した運行指令情報(エレベーター101に上記の診断動作を実行させる運行指令信号)を出力する。出力部304は、接続端子を介して、運行指令信号を出力する。出力部304が出力する運行指令信号は、中継基板201により制御基板110が解析可能な形式に変換されているため、保守診断用端末から診断動作をおこなわせる信号を直接入力した場合と同様に、制御基板110に診断動作をおこなわせることができる。
【0182】
出力部304は、受信部301が送信指示を受信した場合に限らず、制御基板110に対する運行指令信号を出力してから所定時間が経過した場合に、つぎの診断動作を実行させる運行指令信号を出力してもよい。具体的には、出力部304は、たとえば、記憶部302が記憶する日時に関する情報に基づいて、診断動作の実行指示を出力してから1ヶ月が経過した場合に、つぎの診断動作を実行させる運行指令信号を出力してもよい。
【0183】
これにより、管理サーバコンピュータ130との間で通信をおこなうことなく、制御基板110に対して、診断動作を実行させる運行指令信号を定期的に出力することができる。そして、これによって通信にかかる負担を軽減しつつ、定期的にエレベーター101に対して診断動作をおこなわせることができる。
【0184】
取得部305は、制御基板110から、保守点検用の端子110aを介して当該制御基板110の外部へ出力された信号を取得する。取得部305は、たとえば、出力部304が出力した運行指令信号に応じてエレベーター101においておこなわれた診断動作の結果に関する情報を、保守点検用の端子110aを介して取得する。
【0185】
また、取得部305は、たとえば、所定震度以上の地震が発生したことを検知したことによってエレベーター101の運転モードが通常時の運転モードから地震発生時用の運転モードに切り替わった場合などに、制御基板110から出力された発報用の信号を、保守点検用の端子110aを介して取得する。
【0186】
また、取得部305は、たとえば、エレベーター101のカゴ102を昇降させるモーターに対して制御用の信号を出力したにもかかわらず、カゴ102の位置を示す階床信号が切り替わらない場合など、エレベーター101において障害が発生した場合に、当該障害の発生を外部に通知するため発報用の信号を、保守点検用の端子110aを介して取得する。
【0187】
また、取得部305は、保守点検用の端子110aを介して、たとえば、制御基板110からエレベーター101が備える各部に対して出力された制御用の信号を取得してもよい。具体的には、取得部305は、たとえば、各階床の乗り場105の操作盤105bおよびエレベーター101のカゴ102の操作盤102aにおいて所定の入力操作を受け付けた場合に制御基板110から出力された制御用の信号を、保守点検用の端子110aを介して取得してもよい。具体的には、取得部305は、たとえば、制御基板110から各階床の乗り場105の操作盤105bおよびエレベーター101のカゴ102の操作盤102aに対して出力された階床信号を、保守点検用の端子110aを介して取得してもよ
い。
【0188】
また、取得部305は、保守点検用の端子110aを介して、たとえば、エレベーター101が備える各部から制御基板110に対して出力された信号を取得してもよい。具体的には、取得部305は、たとえば、各階床の乗り場105の操作盤105bおよびエレベーター101のカゴ102の操作盤102aにおいて所定の入力操作を受け付けた場合に、当該操作盤105b、102aから出力された信号を、保守点検用の端子110aを介して取得してもよい。
【0189】
また、取得部305は、各階床の乗り場105の操作盤105bやカゴ102の操作盤102aを含むエレベーター101が備える各部から、制御基板110に対して出力された信号を取得してもよい。具体的には、たとえば、制御基板110から出力された制御用の信号に応じてエレベーター101が備える各部が動作した場合、当該各部は、当該制御用の信号に基づいて動作したことを制御基板110に通知する信号(動作通知信号)を出力する。取得部305は、エレベーター101が備える各部から制御基板110に出力された信号(動作通知信号)を取得する。
【0190】
このように、取得部305は、制御基板110からエレベーター101が備える各部に対して出力された信号(下り信号)と、当該各部から制御基板110に対して出力された信号(上り信号)と、の双方向の信号を取得する。取得部305が上り信号を取得する位置と、取得部305が下り信号を取得する位置と、は同一位置であってもよく、異なる位置であってもよい。
【0191】
上記の生成部303は、取得部305が取得した信号に基づいて、エレベーター101の状態に関する情報を含む通知情報を生成する。生成部303は、たとえば、制御基板110から出力された制御用の信号に基づいて、エレベーター101が正常に動作している状態であることを示す通知情報を生成する。また、生成部303は、たとえば、制御基板110から出力された階床信号に基づいて、エレベーター101のカゴ102が現在位置する階床を示す通知情報を生成する。また、生成部303は、たとえば、制御基板110から出力された発報用の信号に基づいて、エレベーター101の現在の運転モードが切り替わったことやエレベーター101における障害の発生を示す通知情報を生成する。
【0192】
生成部303は、取得部305が信号を取得するごとに通知情報を生成する。あるいは、生成部303は、たとえば、取得部305が特定の信号を取得した場合に、通知情報を生成してもよい。具体的には、生成部303は、たとえば、エレベーター101の現在の運転モードが切り替わったことを示す発報用の信号を取得部305が取得した場合に、通知情報を生成するようにしてもよい。
【0193】
送信部307は、生成部303が生成した通知情報を、管理サーバコンピュータ130へ送信する。送信部307は、生成部303が通知情報を生成するごとに、当該通知情報を管理サーバコンピュータ130へ送信する。あるいは、送信部307は、たとえば、生成部303が特定の通知情報を生成した場合に、当該通知情報を管理サーバコンピュータ130へ送信してもよい。具体的には、たとえば、エレベーター101の現在の運転モードが切り替わったことを示す発報用の信号に基づく通知情報を生成部303が生成した場合に、送信部307によって当該通知情報を管理サーバコンピュータ130へ送信してもよい。
【0194】
この発明にかかる実施の形態3の遠隔監視支援装置120は、さらに、取得部305が取得する信号に基づいて、エレベーター101の動作状態が通常動作状態であるか否かを、判断部306によって判断し、通常動作状態ではない場合に、エレベーター101の状態に関する情報を含む通知情報を生成し、管理サーバコンピュータ130へ送信してもよい。これによって、オペレーターは、エレベーター101の動作状態が通常動作状態ではないことを迅速に把握することができ、必要に応じて点検作業員を手配するなど、エレベーター101を良好な状態に維持する対応を迅速におこなうことができる。これにより、エレベーター101に対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーター101を利用させることができる。
【0195】
(遠隔監視支援装置120の処理手順)
つぎに、この発明にかかる実施の形態3の遠隔監視支援装置120の処理手順について説明する。
図10および
図11は、この発明にかかる実施の形態3の遠隔監視支援装置120の処理手順を示すフローチャートである。
図10のフローチャートにおいて、まず、管理サーバコンピュータ130から送信された通知情報の送信指示を受信したか否かを判断する(ステップS1001)。ステップS1001において、管理サーバコンピュータ130から送信された通知情報の送信指示を受信した場合(ステップS1001:Yes)、受信した送信指示に基づいて、エレベーター101において診断動作を実行させる運行指令信号を生成する(ステップS1002)。
【0196】
そして、制御基板110に対して、ステップS1002において生成した運行指令信号を出力する(ステップS1003)。ステップS1003においては、たとえば、保守診断用端末を接続するために制御基板110に設けられている接続端子を介して、ステップS1002において生成した運行指令信号を出力する。そして、ステップS1003において出力した運行指令信号に応じて制御基板110から出力された制御用の信号を受信するまで待機する(ステップS1004:No)。
【0197】
ステップS1004において、ステップS1003において出力した運行指令信号に応じて制御基板110から出力された制御用の信号を受信した場合(ステップS1004:Yes)、受信した制御用の信号に基づいて通知情報を生成する(ステップS1005)。ステップS1005においては、たとえば、ステップS1003において出力した運行指令信号に応じて、制御基板110から、エレベーター101が備える各部に出力された制御用の信号に基づいて、制御基板110がエレベーター101が備える各部を運行指令信号が指示する通りに制御したか否かを通知する通知情報を生成する。
【0198】
そして、管理サーバコンピュータ130に対して、ステップS1005において生成した通知情報を送信して(ステップS1006)、一連の処理を終了する。ステップS1006においては、ステップS1005において生成した通知情報を、通信I/F204から、インターネットなどのネットワーク160を介して、管理サーバコンピュータ130に送信する。
【0199】
一方、ステップS1001において、管理サーバコンピュータ130から送信された通知情報の送信指示を受信していない場合(ステップS1001:No)、制御基板110に対して、前回、エレベーター101において診断動作を実行させる運行指令信号を送信してから所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS1007)。ステップS1007において、前回、エレベーター101において診断動作を実行させる運行指令信号を送信してから所定時間が経過していない場合(ステップS1007:No)、ステップS1001に戻り、管理サーバコンピュータ130から送信された通知情報の送信指示を受信したか否かを判断する。
【0200】
ステップS1007において、前回、エレベーター101において診断動作を実行させる運行指令信号を送信してから所定時間が経過した場合(ステップS1007:Yes)、ステップS1002へ移行し、エレベーター101において診断動作を実行させる運行指令信号を生成する。この場合、ステップS1002においては、たとえば、遠隔監視支援装置120においてあらかじめ記憶されている情報に基づいて、エレベーター101において診断動作を実行させる運行指令信号を生成する。
【0201】
図11のフローチャートにおいて、まず、制御基板110から保守点検用の端子を介して出力された発報用の信号を取得するまで待機する(ステップS1101:No)。ステップS1101において、制御基板110から保守点検用の端子を介して出力された発報用の信号を取得した場合(ステップS1101:Yes)、取得した発報用の信号に基づいて通知情報を生成する(ステップS1102)。ステップS1102においては、たとえば、エレベーター101の運転モードが、通常の運転モードから通常の運転モード以外の運転モードに切り替わったことを通知する通知情報を生成する。また、ステップS1102においては、たとえば、エレベーター101の運転モードが、通常の運転モード以外の運転モードから通常の運転モードに切り替わったことを通知する通知情報を生成する。
【0202】
そして、管理サーバコンピュータ130に対して、ステップS1102において生成した通知情報を送信して(ステップS1103)、一連の処理を終了する。ステップS1103においては、ステップS1102において生成した通知情報を、通信I/F204から、インターネットなどのネットワーク160を介して、管理サーバコンピュータ130に送信する。
【0203】
以上説明したように、この実施の形態3の遠隔監視支援装置120は、エレベーター101の動作を制御する制御基板110および管理サーバコンピュータ130との間でそれぞれ通信をおこなう遠隔監視支援装置120であって、制御基板110に設けられた、診断用の端末装置を接続可能な保守点検用の端子110aを介して制御基板110と接続し、保守点検用の端子110aを介して、エレベーター101に生じた異常を外部に通知するために制御基板110から当該制御基板110の外部へ出力された発報用の信号を取得し、取得した発報用の信号に基づいて、エレベーター101の状態に関する情報を含む通知情報を生成し、生成した通知情報を、管理サーバコンピュータ130へ送信するようにしたことを特徴としている。
【0204】
この発明にかかる実施の形態3の遠隔監視支援装置120によれば、エレベーター101が設置されている現場において従来用いられている、当該エレベーター101の診断に用いる診断用の端末装置を接続可能な保守点検用の端子110aを介して発報用の信号を取得し、当該発報用の信号に基づく通知情報を管理サーバコンピュータ130に送信することにより、制御基板110が外部装置と通信するための機構をあらたに設けることなく、現場の遠隔地においてエレベーター101の状態を把握することができる。
【0205】
これにより、制御基板110が遠隔地に設置された外部装置との通信機能を備えたエレベーター101に限らず、当該通信機能を備えていないエレベーター101であっても、それぞれのエレベーター101の遠隔監視をおこなうことができる。そして、これによって、エレベーター101自体の通信機能の有無にかかわらずエレベーター101の遠隔監視をおこなうことができるので、エレベーター101に対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーター101を利用させることができる。
【0206】
また、この発明にかかる実施の形態3の遠隔監視支援装置120は、管理サーバコンピュータ130から送信された通知情報の送信指示を受信した場合に、制御基板110に対して、エレベーター101の動作状態を診断する診断動作の実行指示にかかる運行指示情報を出力し、当該運行指示情報に応じて制御基板110からエレベーター101が備える各部に対して出力された制御用の信号を取得するようにしたことを特徴としている。
【0207】
この発明にかかる実施の形態3の遠隔監視支援装置120によれば、管理サーバコンピュータ130からの指示に応じて制御基板110に実行させた診断動作に際して、制御基板110からエレベーター101が備える各部に対して出力された制御用の信号に基づく通知情報を管理サーバコンピュータ130に送信することにより、エレベーター101の遠隔監視をおこなうことができる。これによって、管理サーバコンピュータ130側で設定した任意のタイミングでエレベーター101の遠隔監視をおこなうことができるので、エレベーター101に対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーター101を利用させることができる。
【0208】
また、この発明にかかる実施の形態3の遠隔監視支援装置120は、診断動作の実行指示を出力してから所定時間が経過した場合に、つぎの診断動作の実行指示を出力するようにしたことを特徴としている。
【0209】
この発明にかかる実施の形態3の遠隔監視支援装置120によれば、管理サーバコンピュータ130による診断指示の送信の有無にかかわらず、所定時間ごとにエレベーター101の状態を把握することができる。これにより、エレベーター101の遠隔監視にかかる管理サーバコンピュータ130における処理負担の軽減を図りつつ、エレベーター101に対する信頼性の向上を図ることができる。
【0210】
<実施の形態4>
つぎに、この発明にかかる実施の形態4のエレベーターの遠隔監視システムについて説明する。実施の形態4においては、上述した実施の形態1~3と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。
【0211】
(遠隔監視システムのシステム構成)
まず、この発明にかかる実施の形態4の遠隔監視支援装置を備える、エレベーターの遠隔監視システムのシステム構成について説明する。
図12は、この発明にかかる実施の形態4の遠隔監視システムのシステム構成を示す説明図である。
【0212】
図12において、この発明にかかる実施の形態4の遠隔監視システム100においては、各乗り場105に、乗り場呼びボタン(図示を省略する)やカゴ102が位置する階床などを表示する表示器などを備えた操作盤105b(以下「乗り場105の操作盤105b」)が、それぞれ設置されている。乗り場呼びボタンは、当該乗り場呼びボタンにおいて受け付けた入力操作に応じた信号を出力する。表示器は、たとえば、カゴ102が位置する階床などを表示する公知の各種の表示装置によって実現することができる。
【0213】
各乗り場105の操作盤105bは、それぞれ制御基板を備え、当該乗り場105の操作盤105b用の制御基板を介して制御基板110に接続されている。乗り場105の操作盤105b用の制御基板は、具体的には、たとえば、表示器を制御する表示用の基板と、乗り場呼びボタンにおいて受け付けた入力操作に応じた信号を制御基板110に出力する操作用の基板と、によって構成することができる。
【0214】
この場合、表示用の基板や操作用の基板は、各乗り場105にそれぞれ設けられる。制御基板110は、操作用の基板から出力された信号を受け付ける。また、制御基板110は、表示用の基板に対して、カゴ102が位置する階床を示す信号を出力する。
【0215】
あるいは、乗り場105の操作盤105b用の制御基板は、表示用の基板と操作用の基板とによって構成されるものに限らず、表示用の基板のみによって実現されるものであってもよい。また、あるいは、乗り場105の操作盤105b用の制御基板は、表示用の基板と操作用の基板とによって構成されるものに限らず、操作用の基板のみによって実現されるものであってもよい。
【0216】
あるいは、乗り場105の操作盤105bは、乗り場呼びボタンや表示器を含まず、表示用の基板や操作用の基板のみによって実現されるものであってもよい。また、あるいは、乗り場105の操作盤105bは、乗り場呼びボタンおよび操作用の基板や表示器を含まず、表示用の基板のみによって実現されるものであってもよい。また、乗り場105の操作盤105bは、乗り場呼びボタンや表示器および表示用の基板を含まず、操作用の基板のみによって実現されるものであってもよい。
【0217】
遠隔監視支援装置120は、たとえば、エレベーター101の制御基板110を収容する筐体や、昇降路の壁などに取り付けることができる。遠隔監視支援装置120は、主制御基板121と音声通信基板122とを備えている。主制御基板121は、配線200などを介して、乗り場105の操作盤105bと直接接続されている。
【0218】
具体的には、遠隔監視支援装置120の主制御基板121は、たとえば、乗り場105の操作盤105bと制御基板110とを接続する信号線111に取り付けられて、当該信号線111によって伝達される各種の信号を取得する基板123を備え、当該基板123と主制御基板121とを配線200を介して接続することによって、乗り場105の操作盤105bと接続することができる。
【0219】
主制御基板121は、乗り場105の操作盤105bから出力された各種の信号を取得する。主制御基板121は、たとえば、エレベーター101の利用者などが乗り場105の操作盤105bにおける操作ボタンに対して入力操作をおこなった場合に、当該入力操作に応じて乗り場105の操作盤105bから出力された呼び信号を取得する。
【0220】
また、主制御基板121は、制御基板110から乗り場105の操作盤105b(乗り場105の操作盤105b用の制御基板)に出力された各種の信号を取得する。主制御基板121は、たとえば、乗り場105の操作盤105bから出力された呼び信号に応じて、制御基板110が、エレベーター101が備える各部に対して出力した信号のうち、乗り場105の操作盤105bに対して出力した階床信号などを取得する。
【0221】
また、主制御基板121は、制御基板110に接続されている。主制御基板121には、制御基板110に接続される接続端子121aが接続されている。接続端子121aは、たとえば、配線121bなどを介して主制御基板121に接続されたコネクタなどによって実現することができる。遠隔監視支援装置120は、制御基板110に設けられて、当該制御基板110に診断用の端末装置を接続可能な端子(以下「保守点検用の端子」という)110aに、接続端子121aを接続することによって制御基板110に接続されている。接続端子121aと保守点検用の端子110aとは、切り離し可能に接続される。
【0222】
保守点検用の端子110aは、たとえば、作業員がエレベーター101が設置されている現地においておこなう保守点検作業に際して、当該保守点検作業に用いる診断用の端末装置(保守診断用端末)を接続するために設けられている。保守点検用の端子110aは、遠隔監視を目的として設置されたエレベーター101に限らず、また、既設新設あるいは新旧にかかわらず、幅広い種類のエレベーター101が一般的に備えている。
【0223】
診断用の端末装置は、作業員が携行可能な可搬性を備え、たとえば、作業員がエレベーター101が設置されている現地においておこなう保守点検作業に際して用いられる。診断用の端末装置は、保守点検用の端子110aに切り離し可能に接続される端子を備えている。保守点検作業に際して、作業員は、診断用の端末装置が備える端子を制御基板110に設けられた保守点検用の端子に接続し、診断用の端末装置に対して所定の入力操作をおこなう。診断用の端末装置は、作業員による入力操作に応じた信号を制御基板110に出力する。
【0224】
制御基板110は、たとえば、保守点検作業に際して、診断用の端末装置から出力された信号が入力されると、入力された信号に応じてエレベーター101における各部を動作させ、当該動作結果に関する信号を診断用の端末装置に対して出力する。診断用の端末装置は、制御基板110から出力されたエレベーター101の動作結果に関する信号に基づいて、作業員による入力操作に応じてエレベーター101が正常に動作したかどうかを案内する情報を報知する。
【0225】
(遠隔監視システム100のハードウエア構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態4の遠隔監視システム100を構成する遠隔監視支援装置120のハードウエア構成について説明する。
図13は、この発明にかかる実施の形態4の遠隔監視システム100を構成する遠隔監視支援装置120のハードウエア構成を示す説明図である。
【0226】
図13において、制御基板110は、エレベーター101を構成する各部を駆動制御することにより、エレベーター101の運行動作を制御する。制御基板110は、エレベーター101が備える各部に対して制御用の信号を出力するとともに、当該各部から出力された信号に基づいて、エレベーター101の運行動作を制御する。
【0227】
上述したカゴ102の操作盤102a用の制御基板や乗り場105の操作盤105b用の制御基板は、エレベーター101の利用者などによる操作ボタンに対する入力操作を受け付けるごとに、当該入力操作に応じた呼び信号を生成し、生成した呼び信号を制御基板110に出力する。制御基板110は、たとえば、カゴ102の操作盤102a用の制御基板や乗り場105の操作盤105b用の制御基板から出力された呼び信号に基づいて、駆動機構104を駆動制御する制御用の信号を出力することによってエレベーター101の運行動作を制御する。
【0228】
具体的には、制御基板110は、たとえば、カゴ102の操作盤102a用の制御基板や乗り場105の操作盤105b用の制御基板から出力された呼び信号に基づいて、カゴ102を昇降させるモーターに対する制御用の信号を生成し、生成した制御用の信号をカゴ102を昇降させるモーターに対して出力する。これにより、カゴ102を昇降させるモーターは、カゴ102を上昇あるいは下降させる方向に回転駆動する。カゴ102を昇降させるモーターは、たとえば、インバーターを用いて制御されており、カゴ102を停止させる階床において回転を停止するように制御基板110によって駆動制御される。
【0229】
制御基板110は、カゴ102を昇降させるモーターに制御用の信号を出力するごとに、当該制御用の信号にしたがって動作した各モーターの回転数を取得する。各モーターの回転数は、たとえば、エンコーダなどを用いて取得することができる。これにより、制御基板110は、カゴ102を昇降させるモーターに対して出力した制御用の信号にしたがって、当該モーターが正常に動作したか否かを判断することができる。
【0230】
また、具体的には、制御基板110は、たとえば、カゴ102の操作盤102a用の制御基板や乗り場105の操作盤105b用の制御基板から出力された呼び信号に基づいて、カゴ102を所定の階床において停止させるようにブレーキを動作させる制御用の信号を生成し、生成した制御用の信号をブレーキに対して出力する。ブレーキは、制御基板110から出力された制御用の信号にしたがって、カゴ102の昇降動作を停止させ、当該カゴ102を所定の階床において停止させるように動作する。これにより、カゴ102を所定の階床において停止させることができる。
【0231】
制御基板110は、ブレーキに対して制御用の信号を出力するごとに、ブレーキの動作に応じて出力が変化するブレーキセンサからの出力信号を取得する。ブレーキセンサは、たとえば、マイクロスイッチや光電センサなどによって実現することができる。これにより、制御基板110は、ブレーキに対して出力した制御用の信号にしたがって、当該ブレーキが正常に動作したか否かを判断することができる。
【0232】
また、具体的には、制御基板110は、たとえば、カゴ102の操作盤102a用の制御基板や乗り場105の操作盤105b用の制御基板から出力された呼び信号に基づいて、ブレーキによってカゴ102を停止させた階床において扉102c、105aを開閉させる制御用の信号を生成し、生成した制御用の信号をカゴ102の扉102cや乗り場105の扉105aを開閉させるモーターに対して出力する。これにより、カゴ102が停止した階床において、扉102c、105aを開閉させることができる。上記のように、扉105aを開閉させるモーターは、インターロックなどと称される装置で施錠されているため、扉105aが完全に閉まっていない場合は動作しない。
【0233】
制御基板110は、扉102c、105aを開閉させるモーターに制御用の信号を出力するごとに、扉開閉センサからの出力信号を取得する。これにより、制御基板110は、該当する扉102c、105aを開閉させるモーターに対して出力した制御用の信号にしたがって、当該扉102c、105aが正常に動作したか否かを判断することができる。
【0234】
また、制御基板110は、たとえば、カゴ102の操作盤102a用の制御基板や乗り場105の操作盤105b用の制御基板に対して、カゴ102が位置する階床を示す階床信号を含む制御用の信号を出力する。カゴ102が位置する階床は、たとえば、昇降路中において階床ごとに設けられたセンサ(図示を省略する)からの出力信号に基づいて特定することができる。カゴ102の操作盤102a用の制御基板や乗り場105の操作盤105b用の制御基板は、階床信号を含む制御用の信号を受け付けると、受け付けた制御用の信号に基づいて表示器を制御して、カゴ102が位置する階床や移動方向(上昇中か下降中か)などを表示する。
【0235】
制御基板110は、カゴ102の操作盤102a用の制御基板や乗り場105の操作盤105b用の制御基板に対して、たとえば、カゴ102の位置が切り替わるごとに階床信号を含む制御用の信号を出力する。あるいは、制御基板110は、カゴ102の操作盤102a用の制御基板や乗り場105の操作盤105b用の制御基板に対して、たとえば、カゴ102の位置にかかわらず、定期的に階床信号を含む制御用の信号を出力するものであってもよい。
【0236】
制御基板110は、操作盤102aや乗り場105の操作盤105bと接続されており、操作盤102aや乗り場105の操作盤105bから出力された信号に応じてカゴ102を昇降動作させるごとに、当該カゴ102を昇降動作させるために各部を起動したことを示す起動信号を出力する。制御基板110は、たとえば、1階から2階に移動した場合、起動信号を1回出力する。また、制御基板110は、たとえば、1階から途中で停止することなく5階に移動した場合、起動信号を1回出力する。また、制御基板110は、たとえば、1階から、途中の3階で停止した(扉の開閉をおこなった)後に、5階に移動する場合、起動信号を2回出力する。
【0237】
制御基板110は、カゴ102を昇降動作させるごとに、カゴ102の走行距離や走行時間を算出してもよい。カゴ102の走行距離は、たとえば、起動回数に基づいて算出することができる。また、カゴ102の走行時間は、たとえば、上記の階床信号に基づいて算出することができる。具体的には、たとえば、カゴ102が1階にいる状態で4階の乗り場105の操作盤105bから呼びの操作を受け付けた場合、カゴ102は1階から4階までの3階床分を移動する。
【0238】
制御基板110は、図示を省略するメモリを備え、起動信号が出力されるごとに、当該起動信号が出力された回数すなわち起動回数をメモリに記憶する。制御基板110は、起動回数に代えて、あるいは起動回数に加えて、カゴ102の昇降動作や扉105a、102cの開閉動作に際して駆動した各部の運行動作の履歴をメモリに記憶してもよい。具体的には、制御基板110は、たとえば、起動回数、カゴ102の走行距離、カゴ102の走行時間、カゴ102の昇降動作や扉105a、102cの開閉動作に際して動作した各種リレーの動作回数などに関する情報を運行動作の履歴としてメモリに記憶してもよい。
【0239】
また、制御基板110は、扉開閉センサの出力値に基づいて、扉102c、105aが開状態にあるか閉状態にあるかを判断する。制御基板110は、自身が出力した扉102c、105aを開閉させる制御用の信号と扉開閉センサの出力値とに基づいて、扉102c、105aを開閉させる制御用の信号を出力したことに応じて、当該扉102c、105aが実際に開閉したかどうかを判断することができる。
【0240】
また、制御基板110は、エレベーター101の運転モードが変化した場合に、当該運転モードが切り替わったことを示す信号を出力する。制御基板110は、具体的には、たとえば、エレベーター101の運転モードが、通常の運転モードから通常の運転モード以外の運転モードに切り替わった場合に、当該運転モードの切り替わりがあったことを外部に通知する信号、あるいは、切り替わった後の運転モード(通常の運転モード以外の運転モードであること)を通知する信号を出力する。また、制御基板110は、具体的には、たとえば、エレベーター101の運転モードが、通常の運転モード以外の運転モードから通常の運転モードに切り替わった場合に、当該運転モードの切り替わりがあったことを外部に通知する信号、あるいは、切り替わった後の運転モード(通常の運転モードであること)を通知する信号(発報用の信号)を出力する。
【0241】
また、制御基板110は、エレベーター101において障害を検知した場合に、当該障害の発生を通知する信号(発報用の信号)を出力(発報)する。具体的には、制御基板110は、たとえば、扉105a、102cを開閉動作させる制御用の信号を出力したにもかかわらず、扉開閉センサの出力値に基づいて該当する扉105a、102cが動作しないことを検出した場合に、エレベーター101における該当する扉105a、102cにかかる障害が発生したことを通知する信号(発報用の信号)を出力(発報)する。
【0242】
インターフォンの端末装置102bは、呼出ボタンが操作された場合に、当該操作があったことを示す呼出信号を、遠隔監視支援装置120に出力する。遠隔監視支援装置120は、インターフォンの端末装置102bから出力された呼出信号が音声通信基板122に入力された場合、公衆音声網170やPBX205を介して電話機140に呼出信号を送出する。これにより、インターフォンの端末装置102bと電話機140との間において音声通信(通話)をおこなうことができる。
【0243】
インターフォンの端末装置102bは、遠隔監視支援装置120(音声通信基板122)と保守管理会社150に設置された電話機140との接続が確立された状態で、マイクに入力された音声信号を、遠隔監視支援装置120に出力する。また、インターフォンの端末装置102bは、遠隔監視支援装置120(音声通信基板122)と電話機140との接続が確立された状態で、遠隔監視支援装置120から出力された音声信号を、スピーカーを介して出力する。
【0244】
遠隔監視支援装置120は、制御基板110から乗り場105の操作盤105bに対して出力された制御用の信号に応じて各部が動作した結果、乗り場105の操作盤105bから出力された階床信号を取得する。そして、遠隔監視支援装置120は、取得した階床信号などに基づいて通知情報を生成し、生成した通知情報を管理サーバコンピュータ130へ送信する。通知情報は、たとえば、カゴ102の昇降方向、カゴ102の移動先となる階床、移動先となる階床においてカゴ102が停止したか否か、扉105a、102cを開閉させるモーターの動作の有無、カゴ102が現在位置する階床、各種の安全装置の作動の有無、当該通知情報の送信元となるエレベーター101の識別情報などを含む。
【0245】
エレベーター101の識別情報は、たとえば、当該エレベーター101の製造番号であってもよいし、当該エレベーター101の設置場所(住所など)に基づいて設定される番号であってもよいし、当該エレベーター101の保守点検をおこなう作業者などが任意に設定した番号であってもよい。エレベーター101の識別情報は、所定桁数の数字やアルファベットなどの文字を組み合わせて構成することができる。
【0246】
遠隔監視支援装置120が備える主制御基板121は、たとえば、中継基板201と、監視制御基板202と、メモリ203と、通信I/F(インターフェイス)204と、によって構成することができる。遠隔監視支援装置120における中継基板201は、配線200を介して、乗り場105の操作盤105bと直接接続されている。
【0247】
具体的には、中継基板201は、たとえば、乗り場105の操作盤105bに設けられたICチップの足(乗り場105の操作盤105bとICチップとを接続する配線)に、制御基板110と中継基板201との接点を設け、当該接点を介して制御基板110に接続することができる。この場合、接点は、制御基板110からICチップに入力する信号用の足(制御基板110とICチップとを接続する配線)に設けてもよく、ICチップから制御基板110に出力される信号用の足(制御基板110とICチップとを接続する配線)に設けてもよい。
【0248】
乗り場105の操作盤105bとして、カゴ102が現在位置する階床表示するLEDを含む場合、遠隔監視支援装置120における中継基板201は、たとえば、LEDの点灯/消灯に応じて出力が変化する光電センサ(図示を省略する)を備え、当該光電センサと中継基板201とを接続し、中継基板201を介して当該光電センサの出力値を主制御基板121において取得することにより階床信号を取得するようにしてもよい。
【0249】
あるいは、乗り場105の操作盤105bとして、カゴ102が現在位置する階床表示するLEDを含まない場合、遠隔監視支援装置120における中継基板201は、たとえば、表示用の基板に対してLEDの点灯/消灯を制御する信号を出力する基板と接続し、LEDの点灯/消灯を制御する信号を出力する基板から表示用の基板に出力された出力値を主制御基板121において取得することによって、階床信号を取得するようにしてもよい。
【0250】
また、遠隔監視支援装置120における中継基板201には、制御基板110に接続される接続端子121aが接続されている。接続端子121aは、中継基板201に一体に設けられているものに限らない。接続端子121aは、中継基板201(の入力端子)に電気的に接続されていればよく、たとえば、中継基板201とは別体で設けられて当該中継基板201と配線121bによって接続されたコネクタなどによって実現することができる。
【0251】
遠隔監視支援装置120は、制御基板110に設けられて、当該制御基板110に診断用の端末装置を接続可能な端子(以下「保守点検用の端子」という)110aに、接続端子121aを接続することによって制御基板110に接続されている。接続端子121aと保守点検用の端子110aとは、切り離し可能に接続される。
【0252】
具体的には、たとえば、接続端子121aを実現するコネクタ(オス型またはメス型)を、保守点検用の端子110aを実現するコネクタ(メス型またはオス型)に挿抜することによって、遠隔監視支援装置120と制御基板110とを接続したり、切り離したりすることができる。接続端子121aおよび保守点検用の端子110aをコネクタとすることによって、遠隔監視支援装置120と制御基板110とを容易に接続し、かつ、遠隔監視支援装置120を撤去する場合などは容易に取り外すことができる。
【0253】
制御基板110は、たとえば、診断用の端末装置から出力された信号に基づいてエレベーター101における各部に制御用の信号を出力した結果、エレベーター101が当該制御用の信号にしたがった動作をおこなわなかった場合、エレベーター101において異常が発生したと判断し、エレベーター101における異常の発生を報知する信号(発報用の信号)を出力する。
【0254】
制御基板110は、異常の発生を報知する発報用の信号を、たとえば、保守点検用の端子110aを介して遠隔監視支援装置120に出力する。発報用の信号など、制御基板110から保守点検用の端子110aを介して出力された信号は、中継基板201から遠隔監視支援装置120に入力される。
【0255】
中継基板201は、入力を受け付けた信号を解析し、解析結果を監視制御基板202に出力する。監視制御基板202は、中継基板201から出力された解析結果に基づいて通知情報を生成し、生成した通知情報を、通信I/F204を介して管理サーバコンピュータ130へ送信する。また、監視制御基板202は、中継基板201から出力された解析結果を、メモリ203に記憶する。監視制御基板202は、中継基板201が入力を受け付けた信号を、直接メモリ203に記憶してもよい。
【0256】
メモリ203は、電源の供給が絶たれた場合にも記憶した情報を保持する不揮発性の記憶媒体によって実現することができる。具体的には、メモリ203は、たとえば、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)などによって実現することができる。
【0257】
制御基板110から出力される各種の信号は、エレベーター101の機種などに応じて異なる。中継基板201は、解析に際して、制御基板110から出力される各種の信号を、監視制御基板202が処理可能なフォーマットに変換する。遠隔監視支援装置120は、中継基板201において入力を受け付けた信号を解析して監視制御基板202が処理可能なフォーマットに変換することにより、エレベーター101の機種の違いにかかわらず、当該エレベーター101の遠隔監視をおこなうことができる。
【0258】
また、遠隔監視支援装置120は、主制御基板121において監視制御基板202によって制御される中継基板201を介して、制御基板110に対して各種の運行指令信号を出力する。遠隔監視支援装置120は、制御基板110を介してエレベーター101が備える各部を駆動制御する際に運行指令信号を出力する。運行指令信号は、たとえば、操作盤102aや乗り場105の操作盤105bにおいて、所定の階床への移動を指示する入力操作を受け付けた場合に当該操作盤102aや乗り場105の操作盤105bから出力される信号と同様の信号(呼び信号など)によって実現することができる。具体的には、運行指令信号は、たとえば、エレベーター101のカゴ102を所定の階床に移動させたり、移動させたカゴ102を該当する階床において停止させたり、停止させた階床においてカゴ102の扉102cおよび乗り場105の扉105aを開閉させたりする信号を含む。
【0259】
制御基板110は、主制御基板121から出力された運行指令信号を受信すると、受信した運行指令信号に基づいて上述した各種の制御用の信号を生成し、生成した各種の制御用の信号をエレベーター101が備える各部に対して出力する。主制御基板121は、中継基板201を介して監視制御基板202から出力した各種の運行指令信号を、たとえば、エレベーター101が備える保守点検用の端子110aを介して当該制御基板110に入力する。
【0260】
保守点検用の端子110aは、制御基板110に設けられている。あるいは、保守点検用の端子110aは、制御基板110の入力端子に電気的に接続され、制御基板110とは別体であってもよい。保守点検用の端子は、たとえば、作業員がエレベーター101が設置されている現地においておこなう保守点検作業に際して、当該保守点検作業に用いる端末装置(保守診断用端末)を接続するために設けられている。保守点検用の端子110aは、遠隔監視を目的として設置されたエレベーター101に限らず、また、既設新設あるいは新旧にかかわらず、幅広い種類のエレベーター101が一般的に備えている。
【0261】
また、遠隔監視支援装置120は、通信I/F204を介して、管理サーバコンピュータ130から送信された各種の指示信号を受信する。管理サーバコンピュータ130は、たとえば、保守管理会社150においてオペレーターによる管理サーバコンピュータ130への入力操作を受け付けた場合に、遠隔監視支援装置120に対して指示信号を出力する。
【0262】
具体的には、管理サーバコンピュータ130は、管理サーバコンピュータ130において受け付けた入力操作に応じて、たとえば、エレベーター101において実行した診断動作の結果に関する通知情報の送信を指示する指示信号(通知情報の送信指示)を送信する。この場合、管理サーバコンピュータ130は、通知情報の送信指示に加えて、エレベーター101に対して診断動作の実行指示を送信する。
【0263】
診断動作は、制御基板110からエレベーター101が備える各部に対して、当該各部を所定の順序で動作させる信号を出力させ、出力させた信号にしたがって当該各部が正常に動作したか否かを示す信号を制御基板110から出力させることによって実現される。管理サーバコンピュータ130は、定期的、すなわち、診断指示を出力してから所定時間が経過した場合(1ヶ月ごとなどの所定期間ごと)に、つぎの診断指示を出力してもよい。
【0264】
また、具体的には、管理サーバコンピュータ130は、たとえば、管理サーバコンピュータ130において受け付けた入力操作に応じて、あるいは定期的に、制御基板110において記憶した運行動作の履歴に関する通知情報の送信を指示する指示信号(通知情報の送信指示)を送信してもよい。運行動作の履歴に関する通知情報は、たとえば、起動回数、カゴ102の走行距離、カゴ102の走行時間、カゴ102の昇降動作や扉105a、102cの開閉動作に際して動作した各種リレーの動作回数などに関する情報によって実現することができる。
【0265】
遠隔監視支援装置120は、管理サーバコンピュータ130から送信された各種の指示信号を受信した場合に、受信した指示信号に基づいて上記の運行指令信号を生成し、生成した運行指令信号を制御基板110に対して出力する。また、遠隔監視支援装置120は、管理サーバコンピュータ130から送信された各種の指示信号に基づく運行指令信号を制御基板110に対して出力した結果、当該制御基板110から出力された信号(制御用の信号など)を取得した場合に、当該信号に基づいて応答情報を生成し、生成した応答情報を管理サーバコンピュータ130に出力する。
【0266】
管理サーバコンピュータ130は、遠隔監視支援装置120に対して送信した各種の指示信号に応じて当該遠隔監視支援装置120から送信された応答情報に基づいて、報告書情報を生成する。管理サーバコンピュータ130は、たとえば、診断指示および通知情報の送信指示を送信した結果、遠隔監視支援装置120から受信した通知情報に基づいて、報告書情報を生成する。この場合、管理サーバコンピュータ130は、たとえば、エレベーター101の走行距離や起動回数に関する情報を含む報告書情報を生成する。
【0267】
また、管理サーバコンピュータ130は、生成した報告書情報に基づいて、報告書(図示を省略する)を発行する機能を備えている。報告書は、たとえば、エレベーター101に診断動作をおこなわせるごと、すなわち、遠隔監視支援装置120に対して送信した診断動作の実行を指示する指示信号(診断指示)に応じた応答情報を受信するごとに発行することができる。
【0268】
具体的には、管理サーバコンピュータ130は、たとえば、生成した報告書情報に基づいて、当該報告書情報を紙などの記録媒体に印刷するための印刷情報を生成し、生成した印刷情報を、管理サーバコンピュータ130に接続された操作用の端末装置131に出力する。操作用の端末装置131は、印刷情報を受け付けた場合、当該操作用の端末装置131に接続されたプリンタを駆動制御することによって報告書を発行させることができる。
【0269】
(遠隔監視システム100の機能的構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態4の遠隔監視システム100の機能的構成について説明する。
図14は、この発明にかかる実施の形態4の遠隔監視システム100を構成する遠隔監視支援装置120の機能的構成を示すブロック図である。
【0270】
(遠隔監視支援装置120の機能的構成)
図14において、この発明にかかる実施の形態4のエレベーター101の遠隔監視支援装置120の各機能は、受信部301と、記憶部302と、生成部303と、出力部304と、取得部305と、判断部306と、送信部307と、によって実現される。この発明にかかる実施の形態のエレベーター101の遠隔監視支援装置120が備える受信部301、記憶部302、生成部303、出力部304、取得部305、判断部306、送信部307の各機能は、遠隔監視支援装置120が備える各部によって実現することができる。
【0271】
受信部301は、管理サーバコンピュータ130から送信された各種の指示信号を受信する。受信部301は、たとえば、管理サーバコンピュータ130から送信された通知情報の送信指示を受信する。記憶部302は、受信部301が診断指示を受信した場合、当該診断指示を受信した日時に関する情報を記憶する。これにより、管理サーバコンピュータ130との間で通信をおこなうことなく、定期的にエレベーター101の動作を監視することができる。
【0272】
生成部303は、受信部301が送信指示を受信した場合に、エレベーター101に上記の診断動作を実行させる運行指令信号を生成する。生成部303は、中継基板201により制御基板110が解析可能な形式に変換した運行指令信号を生成する。生成部303は、受信部301が送信指示を受信した場合に、エレベーター101が備える各部を、所定の順序で動作させる信号を出力させる指示を含む運行指令信号を生成する。
【0273】
具体的には、生成部303は、たとえば、エレベーター101のカゴ102を昇降させるモーター、昇降中のカゴ102を停止させるブレーキ、乗り場105およびカゴ102の扉105a、102cを開閉するモーターなどを制御基板110によって駆動制御させる運行指令信号を生成する。
【0274】
出力部304は、受信部301が送信指示を受信した場合に、制御基板110に対して、エレベーター101に上記の診断動作を実行させる運行指令信号を出力する。この実施の形態において、出力部304は、制御基板110に対して、生成部303が生成した運行指令信号を出力する。
【0275】
出力部304は、たとえば、作業員が現地においておこなう点検作業に際して用いる保守診断用端末を接続する保守点検用の端子110aを介して、運行指令信号を出力する。出力部304が出力する運行指令信号は、中継基板201により制御基板110が解析可能な形式に変換されているため、保守診断用端末から診断動作をおこなわせる信号を直接入力した場合と同様に、制御基板110に診断動作をおこなわせることができる。
【0276】
出力部304は、受信部301が送信指示を受信した場合に限らず、制御基板110に対する運行指令信号を出力してから所定時間が経過した場合に、つぎの診断動作を実行させる運行指令信号を、保守点検用の端子110aを介して出力してもよい。具体的には、出力部304は、たとえば、記憶部302が記憶する日時に関する情報に基づいて、診断動作の実行指示を出力してから1ヶ月が経過した場合に、つぎの診断動作を実行させる運行指令信号を保守点検用の端子110aを介して出力する。
【0277】
これにより、管理サーバコンピュータ130との間で通信をおこなうことなく、制御基板110に対して、診断動作を実行させる運行指令信号を定期的に出力することができる。そして、これによって通信にかかる負担を軽減しつつ、定期的にエレベーター101に対して診断動作をおこなわせることができる。
【0278】
取得部305は、制御基板110から当該制御基板110の外部へ出力された信号を取得する。取得部305は、たとえば、出力部304が出力した、診断動作を実行させる運行指令信号に応じて制御基板110からエレベーター101が備える各部に対して出力された制御用の信号を取得する。
【0279】
また、取得部305は、たとえば、各階床の乗り場105の操作盤105bに対して入出力された信号を取得する。具体的には、取得部305は、たとえば、基板123をおよび配線200を介して、制御基板110から各階床の乗り場105の操作盤105bに対して入力された信号や、各階床の乗り場105の操作盤105bから制御基板110に対して出力された信号を取得する。
【0280】
より具体的には、取得部305は、たとえば、各階床の乗り場105の操作盤105bにおいて所定の入力操作を受け付けた場合に、乗り場105の操作盤105bから制御基板110に対して出力される階床信号を取得する。また、取得部305は、たとえば、乗り場105の操作盤105bから出力された階床信号に応じて、制御基板110から乗り場105の操作盤105bに対して出力された制御用の信号を取得してもよい。
【0281】
このように、取得部305は、制御基板110から各階床の乗り場105の操作盤105bに対して出力された信号(下り信号)と、当該各階床の乗り場105の操作盤105bから制御基板110に対して出力された信号(上り信号)と、の双方向の信号を取得する。取得部305が上り信号を取得する位置と、取得部305が下り信号を取得する位置と、は同一位置であってもよく、異なる位置であってもよい。
【0282】
また、取得部305は、たとえば、所定震度以上の地震が発生したことを検知したことによってエレベーター101の運転モードが通常時の運転モードから地震発生時用の運転モードに切り替わった場合などに、制御基板110から乗り場105の操作盤105bに対して出力された発報用の信号を取得してもよい。また、取得部305は、たとえば、エレベーター101のカゴ102を昇降させるモーターに対して制御用の信号を出力したにもかかわらず、カゴ102の位置を示す階床信号が切り替わらない場合など、エレベーター101において障害が発生した場合に、当該障害の発生を外部に通知するため制御基板110から乗り場105の操作盤105bに対して出力された発報用の信号を取得してもよい。これらの発報用の信号は、たとえば、保守点検用の端子110aを介して取得することができる。
【0283】
上記の生成部303は、取得部305が取得した信号に基づいて、エレベーター101の状態に関する情報を含む通知情報を生成する。生成部303は、たとえば、制御基板110から出力された制御用の信号に基づいて、エレベーター101が正常に動作している状態であることを示す通知情報を生成する。また、生成部303は、たとえば、制御基板110から出力された階床信号に基づいて、エレベーター101のカゴ102が現在位置する階床を示す通知情報を生成する。また、生成部303は、たとえば、制御基板110から出力された発報用の信号に基づいて、エレベーター101の現在の運転モードが切り替わったことやエレベーター101における障害の発生を示す通知情報を生成する。
【0284】
生成部303は、取得部305が信号を取得するごとに通知情報を生成する。あるいは、生成部303は、たとえば、取得部305が特定の信号を取得した場合に、通知情報を生成してもよい。具体的には、生成部303は、たとえば、エレベーター101の現在の運転モードが切り替わったことを示す発報用の信号を取得部305が取得した場合に、通知情報を生成するようにしてもよい。
【0285】
送信部307は、生成部303が生成した通知情報を、管理サーバコンピュータ130へ送信する。送信部307は、生成部303が通知情報を生成するごとに、当該通知情報を管理サーバコンピュータ130へ送信する。あるいは、送信部307は、たとえば、生成部303が特定の通知情報を生成した場合に、当該通知情報を管理サーバコンピュータ130へ送信してもよい。具体的には、たとえば、エレベーター101の現在の運転モードが切り替わったことを示す発報用の信号に基づく通知情報を生成部303が生成した場合に、送信部307によって当該通知情報を管理サーバコンピュータ130へ送信してもよい。
【0286】
この発明にかかる実施の形態4の遠隔監視支援装置120は、さらに、取得部305が取得する信号に基づいて、エレベーター101の動作状態が通常動作状態であるか否かを、判断部306によって判断し、通常動作状態ではない場合に、エレベーター101の状態に関する情報を含む通知情報を生成し、管理サーバコンピュータ130へ送信してもよい。これによって、オペレーターは、エレベーター101の動作状態が通常動作状態ではないことを迅速に把握することができ、必要に応じて点検作業員を手配するなど、エレベーター101を良好な状態に維持する対応を迅速におこなうことができる。これにより、エレベーター101に対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーター101を利用させることができる。
【0287】
(遠隔監視支援装置120の処理手順)
つぎに、この発明にかかる実施の形態4の遠隔監視支援装置120の処理手順について説明する。
図15および
図16は、この発明にかかる実施の形態4の遠隔監視支援装置120の処理手順を示すフローチャートである。
図15のフローチャートにおいて、まず、乗り場105の操作盤105bに対して入出力された信号を取得するまで待機する。ステップS1501においては、制御基板110から乗り場105の操作盤105bに対して入力された信号を取得する、あるいは、乗り場105の操作盤105bから制御基板110に対して出力された信号を取得するまで待機する。
【0288】
ステップS1501において、乗り場105の操作盤105bに対して入出力された信号を取得した場合(ステップS1501:Yes)、乗り場105の操作盤105bから出力された信号を最後に取得してから所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS1502)。ステップS1502においては、たとえば、カゴ102が停止していると判断できる程度の時間を所定時間とし、乗り場105の操作盤105bから出力された信号を最後に取得してから当該所定時間が経過したか否かを判断する。具体的には、たとえば、扉105a、102cの開閉に要する時間を所定時間とすることができる。
【0289】
ステップS1502において、乗り場105の操作盤105bから出力された信号を最後に取得してから所定時間が経過していない場合(ステップS1502:No)、ステップS1501へ戻り、乗り場105の操作盤105bから出力された信号を取得したか否かを判断する。一方、ステップS1502において、乗り場105の操作盤105bから出力された信号を最後に取得してから所定時間が経過した場合(ステップS1502:Yes)、ステップS1502:Yesにおいて所定時間が経過するまでに取得した、乗り場105の操作盤105bから出力された信号に基づいて通知情報を生成する(ステップS1503)。これにより、階床が連続して変化している場合、すなわち、複数階床を移動している場合はカゴ102が停止するまでの間は通知情報が生成されず、カゴ102が停止した場合に通知情報を生成することができる。
【0290】
その後、管理サーバコンピュータ130に対して、ステップS1503において生成した通知情報を送信して(ステップS1504)、一連の処理を終了する。ステップS1504においては、ステップS1503において生成した通知情報を、通信I/F204から、インターネットなどのネットワーク160を介して、管理サーバコンピュータ130に送信する。
【0291】
一方、ステップS1501において、乗り場105の操作盤105bから出力された信号を取得していない場合(ステップS1501:No)、保守点検用の端子110aを介して出力された発報用の信号を取得したか否かを判断する(ステップS1505)。ステップS1505において、保守点検用の端子110aを介して出力された発報用の信号を取得していない場合(ステップS1505:No)、ステップS1501へ戻る。ステップS1505において、保守点検用の端子110aを介して出力された発報用の信号を取得した場合(ステップS1505:Yes)、ステップS1503へ移行する。
【0292】
図16のフローチャートにおいて、まず、管理サーバコンピュータ130から送信された通知情報の送信指示を受信したか否かを判断する(ステップS1601)。ステップS1601において、管理サーバコンピュータ130から送信された通知情報の送信指示を受信した場合(ステップS1601:Yes)、受信した送信指示に基づいて、エレベーター101において診断動作を実行させる運行指令信号を生成する(ステップS1602)。
【0293】
そして、制御基板110に対して、ステップS1602において生成した運行指令信号を出力して(ステップS1603)、ステップS1604へ移行する。ステップS1603においては、たとえば、保守診断用端末を接続するために制御基板110に設けられている接続端子121aを介して、ステップS1602において生成した運行指令信号を出力する。
【0294】
その後、ステップS1604においては、乗り場105の操作盤105bに対して入出力された信号を取得するまで待機する(ステップS1604:No)。ステップS1604においては、たとえば、ステップS1603において出力した運行指令信号に応じて制御基板110から乗り場105の操作盤105bに対して出力された制御用の信号(乗り場105の操作盤105bに対して入力された信号)、あるいは、当該制御用の信号にしたがってエレベーター101が備える各部が動作した結果、乗り場105の操作盤105bから出力された信号を取得するまで待機する。
【0295】
ステップS1604において、乗り場105の操作盤105bに対して入出力された信号を取得した場合(ステップS1604:Yes)、取得した制御用の信号に基づいて通知情報を生成する(ステップS1605)。ステップS1605においては、たとえば、ステップS1603において出力した運行指令信号に応じて、制御基板110から、エレベーター101が備える各部に出力された制御用の信号に基づいて、制御基板110がエレベーター101が備える各部を運行指令信号が指示する通りに制御したか否かを通知する通知情報を生成する。
【0296】
そして、管理サーバコンピュータ130に対して、ステップS1605において生成した通知情報を送信して(ステップS1606)、一連の処理を終了する。ステップS1606においては、ステップS1605において生成した通知情報を、通信I/F204から、インターネットなどのネットワーク160を介して、管理サーバコンピュータ130に送信する。
【0297】
一方、ステップS1601において、管理サーバコンピュータ130から送信された通知情報の送信指示を受信していない場合(ステップS1601:No)、制御基板110に対して、前回、エレベーター101において診断動作を実行させる運行指令信号を送信してから所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS1607)。ステップS1607において、前回、エレベーター101において診断動作を実行させる運行指令信号を送信してから所定時間が経過していない場合(ステップS1607:No)、ステップS1601に戻り、管理サーバコンピュータ130から送信された通知情報の送信指示を受
信したか否かを判断する。
【0298】
ステップS1607において、前回、エレベーター101において診断動作を実行させる運行指令信号を送信してから所定時間が経過した場合(ステップS1607:Yes)、ステップS1602へ移行し、エレベーター101において診断動作を実行させる運行指令信号を生成する。この場合、ステップS1602においては、たとえば、遠隔監視支援装置120においてあらかじめ記憶されている情報に基づいて、エレベーター101において診断動作を実行させる運行指令信号を生成する。
【0299】
以上説明したように、この実施の形態4の遠隔監視支援装置120は、エレベーター101の動作を制御する制御基板110および管理サーバコンピュータ130との間でそれぞれ通信をおこなう遠隔監視支援装置120であって、制御基板110からエレベーター101の各乗り場105に設けられた操作盤105b(乗り場105の操作盤105b)へ出力された信号、および、当該信号に応じたエレベーター101の動作にともなって乗り場105の操作盤105bから制御基板110へ出力された信号を取得し、取得した信号に基づいて、エレベーター101の状態に関する通知情報を生成し、生成した通知情報を、管理サーバコンピュータ130へ送信するようにしたことを特徴としている。
【0300】
この実施の形態4の遠隔監視支援装置120によれば、制御基板110から乗り場105の操作盤105bへ出力された信号、および、当該制御用の信号に応じたエレベーター101の動作にともなって乗り場105の操作盤105bから制御基板110へ出力された信号に基づく通知情報を管理サーバコンピュータ130に送信することにより、遠隔地に設置された外部装置との通信機能を備えた制御基板110に限らず、当該通信機能を備えていない制御基板110を備えたエレベーター101であっても遠隔監視をおこなうことができる。
【0301】
これによって、エレベーター101自体の通信機能の有無にかかわらずエレベーター101の遠隔監視をおこなうことができるので、エレベーター101に対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーター101を利用させることができる。
【0302】
また、この実施の形態4の遠隔監視支援装置120によれば、乗り場105の操作盤105bから出力される信号を、制御基板110を介することなく直接、遠隔監視支援装置120に伝達することができる。これによって、制御基板110やその他の中継装置などを設ける場合と比較して、管理サーバコンピュータ130に送信する通知情報の信頼性の向上を図ることができる。また、これにより、エレベーター101に対する信頼性の一層の向上を図り、利用者の一層の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーター101を利用させることができる。
【0303】
また、乗り場105の操作盤105b(信号線111)から制御基板110を介することなく直接、遠隔監視支援装置120に伝達することにより、制御基板110を介してエレベーター101の状態に関する情報を取得する場合と比較して、制御基板110にかかる処理負担の軽減を図ることができる。
【0304】
また、この実施の形態4の遠隔監視支援装置120は、管理サーバコンピュータ130から送信された、通知情報の送信を指示する診断指示を受信した場合に、制御基板110に対して、エレベーター101の動作状態を診断する診断動作の実行指示を出力し、出力した診断動作の実行指示に応じて制御基板110からエレベーター101が備える各部に対して出力された制御用の信号のうち乗り場105の操作盤105bへ出力された信号、および、当該制御用の信号に応じて乗り場105の操作盤105bから制御基板110へ出力された信号を取得することを特徴としている。
【0305】
この実施の形態4の遠隔監視支援装置120によれば、管理サーバコンピュータ130からの指示に応じて制御基板110に実行させた診断動作に際して、制御基板110からエレベーター101が備える各部に対して出力された制御用の信号のうち乗り場105の操作盤105bへ出力された信号、および、当該制御用の信号に応じて乗り場105の操作盤105bから制御基板110へ出力された信号に基づく通知情報を管理サーバコンピュータ130に送信することにより、エレベーター101の遠隔監視をおこなうことができる。
【0306】
これによって、管理サーバコンピュータ130側で設定した任意のタイミングでエレベーター101の遠隔監視をおこなうことができるので、エレベーター101に対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーター101を利用させることができる。
【0307】
また、この実施の形態4の遠隔監視支援装置120は、制御基板110に対する診断動作の実行指示を出力する可搬性の端末装置を接続可能な保守点検用の端子110aを介して、制御基板110に対して、診断動作の実行指示を出力することを特徴としている。
【0308】
この実施の形態4の遠隔監視支援装置120によれば、エレベーター101が設置されている現場において従来用いられている保守点検用の端子110aを介して、診断動作の実行指示を出力することによって、制御基板110に診断動作の実行指示を入力するための機構をあらたに設けることなく、容易に制御基板110に診断動作を実行させることができる。これによって、エレベーター101に対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーター101を利用させることができる。
【0309】
また、この実施の形態4の遠隔監視支援装置120は、診断動作の実行指示を出力してから所定時間が経過した場合に、つぎの診断動作の実行指示を出力することを特徴としている。
【0310】
この実施の形態4の遠隔監視支援装置120によれば、管理サーバコンピュータ130による診断指示の送信の有無にかかわらず、所定時間ごとにエレベーター101の状態を把握することができる。これにより、エレベーター101の遠隔監視にかかる管理サーバコンピュータ130における処理負担の軽減を図りつつ、エレベーター101に対する信頼性の向上を図ることができる。
【0311】
<実施の形態5>
つぎに、この発明にかかる実施の形態5のエレベーターの遠隔監視システムについて説明する。実施の形態5においては、上述した実施の形態1~4と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。
【0312】
(遠隔監視システムのシステム構成)
まず、この発明にかかる実施の形態5の遠隔監視支援装置を備える、エレベーターの遠隔監視システムのシステム構成について説明する。
図17は、この発明にかかる実施の形態5の遠隔監視システムのシステム構成を示す説明図である。
【0313】
図17において、この発明にかかる実施の形態5の遠隔監視システム100は、たとえば、制御基板(制御装置)110と、遠隔監視支援装置120と、管理サーバコンピュータ130と、電話機140と、によって構成することができる。遠隔監視システム100は、エレベーター101の動作を、当該エレベーター101の遠隔地に設置された管理サーバコンピュータ130を用いて監視する。管理サーバコンピュータ130は、遠隔監視支援装置120を介して、エレベーター101の動作を監視する。
【0314】
管理サーバコンピュータ130は、監視対象となるエレベーター101が設置されている場所とは異なる、当該エレベーター101が設置されている場所から離れた遠隔地に設置されている。具体的には、管理サーバコンピュータ130は、たとえば、エレベーター101の保守管理を担う保守管理会社150などに設置することができる。
【0315】
電話機140は、たとえば、管理サーバコンピュータ130が設置された保守管理会社150に設置される。管理サーバコンピュータ130および電話機140を保守管理会社150に設置することにより、エレベーター101のカゴ102の中にいる者と保守管理会社150のオペレーターとが直接通話することができる。
【0316】
エレベーター101は、複数階建てのビル内などに設置され、人や物品を搭載するカゴ(乗りかご)102を備えている。カゴ102は、1台のエレベーター101に1つずつ設けられている。カゴ102は、建物における各階床を、鉛直方向に沿って貫通する昇降路(図示を省略する)内に設けられている。エレベーター101は、たとえば、ロープ式(トラクション式)のエレベーターによって実現することができる。
【0317】
この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システム100により監視可能なエレベーター101は、ロープ式のエレベーターに限るものではない。この発明にかかる実施の形態の遠隔監視システムにおいては、ロープ式のエレベーター101に代えて、あるいは、ロープ式のエレベーターに加えて、たとえば、油圧式のエレベーター101が監視対象であってもよい。
【0318】
カゴ102には、行先階ボタンや扉開閉ボタンなどを含む操作ボタン、カゴ102が位置する階床などを表示する表示器などを備えた操作盤102a(以下、適宜「カゴ102の操作盤102a」という)が設けられている。行先階ボタンや扉開閉ボタンなどを含む操作ボタンは、当該操作ボタンにおいて受け付けた入力操作に応じた信号を出力する。表示器は、たとえば、カゴ102が位置する階床などを表示する公知の各種の表示装置によって実現することができる。
【0319】
カゴ102の操作盤102aは、操作盤102a用の制御基板を備えており、当該操作盤102a用の制御基板を介して制御基板110に接続されている。カゴ102の操作盤102a用の制御基板は、具体的には、たとえば、操作ボタンにおいて受け付けた入力操作に応じた信号を制御基板110に出力する操作用の基板と、表示器を制御する表示用の基板と、によって構成することができる。この場合、制御基板110は、操作用の基板から出力された信号を受け付ける。また、この場合、制御基板110は、表示用の基板に対して、カゴ102が位置する階床を示す信号を出力する。
【0320】
あるいは、カゴ102の操作盤102a用の制御基板は、操作用の基板と表示用の基板とによって構成されるものに限らず、操作用の基板のみによって実現されるものであってもよい。また、あるいは、カゴ102の操作盤102a用の制御基板は、操作用の基板と表示用の基板とによって構成されるものに限らず、表示用の基板のみによって実現されるものであってもよい。
【0321】
あるいは、カゴ102の操作盤102aは、操作ボタンや表示器を含まず、操作用の基板や表示用の基板のみによって実現されるものであってもよい。また、あるいは、カゴ102の操作盤102aは、操作ボタンおよび操作用の基板や表示器を含まず、表示用の基板のみによって実現されるものであってもよい。また、カゴ102の操作盤102aは、操作ボタンや表示器および表示用の基板を含まず、操作用の基板のみによって実現されるものであってもよい。
【0322】
また、カゴ102には、インターフォンの端末装置102bが設けられている。インターフォンの端末装置102bは、呼出ボタンとマイクとスピーカーとを備えている(いずれも図示を省略する)。インターフォンの端末装置102bは、遠隔監視支援装置120に接続されている。
【0323】
昇降路には、カゴ102の昇降動作にかかわる駆動機構104が設けられている。駆動機構104は、たとえば、昇降路における上部に設けることができる。駆動機構104は、巻上機、滑車、ロープ104a、カウンタウエイト104bなどによって構成されている。駆動機構104は、さらに、電磁ブレーキや調速機などを備えている(いずれも図示を省略する)。駆動機構104は、公知の技術を用いて容易に実現可能であるため説明を省略する。駆動機構104は、昇降路における上部に設けられるものに限らない。駆動機構104は、たとえば、油圧式のエレベーター101の場合は、昇降路における底部(ピット)に設けられていてもよい。
【0324】
カゴ102はロープ104aの一端に連結され、カウンタウエイト104bはロープ104aの他端に連結されている。ロープ式のエレベーター101においては、両端にカゴ102およびカウンタウエイト104bが連結されたロープ104aをつるべ式に滑車および巻上機にかけた状態で当該巻上機を駆動し、ロープ104aと滑車との間の摩擦力(トラクション)を利用してカゴ102を昇降させる。昇降路には、カゴ102の昇降位置をガイドするガイドレール(図示を省略する)が設けられている。
【0325】
昇降路における各階床に対応した位置(乗り場)105およびカゴ102には、それぞれ扉105a、102cが設けられている。カゴ102には、当該カゴ102に設けられた扉102cおよび乗り場105に設けられた扉105aを開閉させるモーター(図示を省略する)が設けられている。扉105a、102cを開閉させるモーターは、制御基板110に接続されている。
【0326】
乗り場105に設けられた扉105aは、インターロックなどと称される装置で施錠されている。エレベーター101が停止階に到着した状態でモーターを駆動すると、カゴ102に設けられた扉102cの駆動機構部分とインターロックとがかみ合ってインターロックによる施錠が解放され、カゴ102に設けられた扉102cおよび乗り場105に設けられた扉105aが連動して開閉する。
【0327】
エレベーター101は、扉102c、105aの開閉を検出する扉開閉センサ(図示を省略する)を備えている。扉開閉センサは、扉102c、105aが開状態にあるか閉状態にあるかに応じて出力が変化する。扉開閉センサは、たとえば、マイクロスイッチや光電センサなどによって実現することができる。扉開閉センサは配線を介して制御基板110に接続されており、扉開閉センサから出力された信号は当該配線を介して制御基板110に入力される。
【0328】
各乗り場105には、乗り場呼びボタン(図示を省略する)やカゴ102が位置する階床などを表示する表示器などを備えた操作盤105b(以下「乗り場105の操作盤105b」という)が、それぞれ設置されている。各乗り場105の操作盤105bは、それぞれ制御基板を備え、当該乗り場105の操作盤105b用の制御基板を介して制御基板110に接続されている。
【0329】
乗り場105の操作盤105bは、各乗り場105にそれぞれ設けられて、カゴ102が位置する階床をLEDを点灯するなどして表示する表示用の基板を含んでもよい。あるいは、乗り場105の操作盤105bは、カゴ102が位置する階床を表示する表示用の基板は含まず、当該表示用の基板に対してLEDの点灯/消灯を制御する信号を出力する基板のみによって実現されるものであってもよい。
【0330】
遠隔監視支援装置120は、たとえば、エレベーター101の制御基板110を収容する筐体や、昇降路の壁などに取り付けることができる。遠隔監視支援装置120は、主制御基板121と音声通信基板122とを備えている。主制御基板121は、配線200などを介して、カゴ102の操作盤102aと直接接続されている。
【0331】
具体的には、遠隔監視支援装置120の主制御基板121は、たとえば、カゴ102の操作盤102aと制御基板110とを接続する信号線111に取り付けられて、当該信号線111によって伝達される各種の信号を取得する基板1701を備え、当該基板1701と主制御基板121とを配線200を介して接続することによって、カゴ102の操作盤102aと接続することができる。
【0332】
主制御基板121は、カゴ102の操作盤102aから出力された各種の信号を取得する。主制御基板121は、たとえば、エレベーター101の利用者などがカゴ102の操作盤102aにおける操作ボタンに対して入力操作をおこなった場合に、当該入力操作に応じてカゴ102の操作盤102aから出力された呼び信号を取得する。
【0333】
また、主制御基板121は、制御基板110からカゴ102の操作盤102a(カゴ102の操作盤102a用の制御基板)に出力された各種の信号を取得する。主制御基板121は、たとえば、カゴ102の操作盤102aから出力された呼び信号に応じて、制御基板110が、エレベーター101が備える各部に対して出力した信号のうち、カゴ102の操作盤102aに対して出力した階床信号などを取得する。
【0334】
また、主制御基板121は、制御基板110に接続されている。主制御基板121には、制御基板110に接続される接続端子121aが接続されている。接続端子121aは、たとえば、配線121bなどを介して主制御基板121に接続されたコネクタなどによって実現することができる。遠隔監視支援装置120は、制御基板110に設けられて、当該制御基板110に診断用の端末装置を接続可能な端子(以下「保守点検用の端子」という)110aに、接続端子121aを接続することによって制御基板110に接続されている。接続端子121aと保守点検用の端子110aとは、切り離し可能に接続される。
【0335】
保守点検用の端子110aは、たとえば、作業員がエレベーター101が設置されている現地においておこなう保守点検作業に際して、当該保守点検作業に用いる診断用の端末装置(保守診断用端末)を接続するために設けられている。保守点検用の端子110aは、遠隔監視を目的として設置されたエレベーター101に限らず、また、既設新設あるいは新旧にかかわらず、幅広い種類のエレベーター101が一般的に備えている。
【0336】
診断用の端末装置は、作業員が携行可能な可搬性を備え、たとえば、作業員がエレベーター101が設置されている現地においておこなう保守点検作業に際して用いられる。診断用の端末装置は、保守点検用の端子110aに切り離し可能に接続される端子を備えている。保守点検作業に際して、作業員は、診断用の端末装置が備える端子を制御基板110に設けられた保守点検用の端子に接続し、診断用の端末装置に対して所定の入力操作をおこなう。診断用の端末装置は、作業員による入力操作に応じた信号を制御基板110に出力する。
【0337】
制御基板110は、たとえば、保守点検作業に際して、診断用の端末装置から出力された信号が入力されると、入力された信号に応じてエレベーター101における各部を動作させ、当該動作結果に関する信号を診断用の端末装置に対して出力する。診断用の端末装置は、制御基板110から出力されたエレベーター101の動作結果に関する信号に基づいて、作業員による入力操作に応じてエレベーター101が正常に動作したかどうかを案内する情報を報知する。
【0338】
また、主制御基板121は、インターネットなどのネットワーク160を介して、管理サーバコンピュータ130に接続されている。主制御基板121と管理サーバコンピュータ130とを電話回線などの公衆音声網170ではなくインターネットを介して接続することにより、緊急時に電話回線がパンクすることによってエレベーター101の状況把握が遅延することを防止し、迅速な対応をとることができる。
【0339】
音声通信基板122は、インターフォンの端末装置102bおよび公衆音声網170に接続されている。音声通信基板122は、具体的には、たとえば、PHS(Personal Handy-phone System)基板によって実現することができる。公衆音声網170は、固定電話網(公衆交換電話網)および携帯電話網を含む。公衆音声網170は、電話線を収容する加入者線交換機、加入者線交換機を束ねる中継交換機、ほかの事業者の電話網と接続する関門交換機など、図示を省略する複数の交換機によって構成されている。公衆音声網170については、公知の技術であるため説明を省略する。
【0340】
上記の主制御基板121は、音声通信基板122が備えるPHS基板を用いて通信をおこなってもよい。この場合、遠隔監視支援装置120は、PHS基板を、音声通信に用いるとともにデータ通信にも用いる。エレベーター101の設置場所は固定であるため、PHSを利用した通信をおこなうことにより、通信の品質を確保するとともに通信にかかるコストを抑えることができる。
【0341】
管理サーバコンピュータ130は、たとえば、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置によって実現することができる。管理サーバコンピュータ130には、操作用の端末装置131が接続されていてもよい。管理サーバコンピュータ130と操作用の端末装置131とは、同じ場所に設置されていてもよく、異なる場所に設置されていてもよい。操作用の端末装置131は、1台であってもよく、複数台であってもよい。操作用の端末装置131は、たとえば、キーボードやマウスなどの入力デバイスや、ディスプレイなどを備えたパーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置によって実現することができる。また、操作用の端末装置131には、エレベーター101の状態を記載した報告書などを出力するためのプリンタ(図示を省略する)が接続されていてもよい。
【0342】
保守管理会社150には、管理サーバコンピュータ130および電話機140に加えて、PBX(Private Branch eXchange、
図2における符号205を参照)を設置することができる。電話機140は、PBXを介して公衆音声網170に接続されている。遠隔監視システム100においてはPBXを設けず、電話機140を公衆音声網170に直接接続してもよい。
【0343】
(遠隔監視システム100のハードウエア構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態5の遠隔監視システム100を構成する遠隔監視支援装置120のハードウエア構成について説明する。
図18は、この発明にかかる実施の形態5の遠隔監視システム100を構成する遠隔監視支援装置120のハードウエア構成を示す説明図である。
【0344】
図18において、制御基板110は、エレベーター101を構成する各部を駆動制御することにより、エレベーター101の運行動作を制御する。制御基板110は、エレベーター101が備える各部に対して制御用の信号を出力するとともに、当該各部から出力された信号に基づいて、エレベーター101の運行動作を制御する。
【0345】
上述したカゴ102の操作盤102a用の制御基板は、エレベーター101の利用者などによる操作ボタンに対する入力操作を受け付けるごとに、当該入力操作に応じた呼び信号を生成し、生成した呼び信号を制御基板110に出力する。制御基板110は、たとえば、カゴ102の操作盤102a用の制御基板から出力された呼び信号に基づいて、駆動機構104を駆動制御する制御用の信号を出力することによってエレベーター101の運行動作を制御する。
【0346】
具体的には、制御基板110は、たとえば、カゴ102の操作盤102a用の制御基板から出力された呼び信号に基づいて、カゴ102を昇降させるモーターに対する制御用の信号を生成し、生成した制御用の信号をカゴ102を昇降させるモーターに対して出力する。これにより、カゴ102を昇降させるモーターは、カゴ102を上昇あるいは下降させる方向に回転駆動する。カゴ102を昇降させるモーターは、たとえば、インバーターを用いて制御されており、カゴ102を停止させる階床において回転を停止するように制御基板110によって駆動制御される。
【0347】
制御基板110は、カゴ102を昇降させるモーターに制御用の信号を出力するごとに、当該制御用の信号にしたがって動作した各モーターの回転数を取得する。各モーターの回転数は、たとえば、エンコーダなどを用いて取得することができる。これにより、制御基板110は、カゴ102を昇降させるモーターに対して出力した制御用の信号にしたがって、当該モーターが正常に動作したか否かを判断することができる。
【0348】
また、具体的には、制御基板110は、たとえば、カゴ102の操作盤102a用の制御基板から出力された呼び信号に基づいて、カゴ102を所定の階床において停止させるようにブレーキを動作させる制御用の信号を生成し、生成した制御用の信号をブレーキに対して出力する。ブレーキは、制御基板110から出力された制御用の信号にしたがって、カゴ102の昇降動作を停止させ、当該カゴ102を所定の階床において停止させるように動作する。これにより、カゴ102を所定の階床において停止させることができる。
【0349】
制御基板110は、ブレーキに対して制御用の信号を出力するごとに、ブレーキの動作に応じて出力が変化するブレーキセンサからの出力信号を取得する。ブレーキセンサは、たとえば、マイクロスイッチや光電センサなどによって実現することができる。これにより、制御基板110は、ブレーキに対して出力した制御用の信号にしたがって、当該ブレーキが正常に動作したか否かを判断することができる。
【0350】
また、具体的には、制御基板110は、たとえば、カゴ102の操作盤102a用の制御基板から出力された呼び信号に基づいて、ブレーキによってカゴ102を停止させた階床において扉102c、105aを開閉させる制御用の信号を生成し、生成した制御用の信号をカゴ102の扉102cや乗り場105の扉105aを開閉させるモーターに対して出力する。これにより、カゴ102が停止した階床において、扉102c、105aを開閉させることができる。上記のように、扉105aを開閉させるモーターは、インターロックなどと称される装置で施錠されているため、扉105aが完全に閉まっていない場合は動作しない。
【0351】
制御基板110は、扉102c、105aを開閉させるモーターに制御用の信号を出力するごとに、扉開閉センサからの出力信号を取得する。これにより、制御基板110は、該当する扉102c、105aを開閉させるモーターに対して出力した制御用の信号にしたがって、当該扉102c、105aが正常に動作したか否かを判断することができる。
【0352】
また、制御基板110は、たとえば、カゴ102の操作盤102a用の制御基板に対して、カゴ102が位置する階床を示す階床信号を含む制御用の信号を出力する。カゴ102が位置する階床は、たとえば、昇降路中において階床ごとに設けられたセンサ(図示を省略する)からの出力信号に基づいて特定することができる。カゴ102の操作盤102a用の制御基板は、階床信号を含む制御用の信号を受け付けると、受け付けた制御用の信号に基づいて表示器を制御して、カゴ102が位置する階床や移動方向(上昇中か下降中か)などを表示する。
【0353】
制御基板110は、カゴ102の操作盤102a用の制御基板や乗り場105の操作盤105b用の制御基板に対して、たとえば、カゴ102の位置が切り替わるごとに階床信号を含む制御用の信号を出力する。あるいは、制御基板110は、カゴ102の操作盤102a用の制御基板や乗り場105の操作盤105b用の制御基板に対して、たとえば、カゴ102の位置にかかわらず、定期的に階床信号を含む制御用の信号を出力するものであってもよい。
【0354】
乗り場105の操作盤105b用の制御基板は、カゴ102の操作盤102a用の制御基板と同様に、エレベーター101の利用者などによる乗り場呼びボタンに対する入力操作を受け付けるごとに、当該入力操作に応じた呼び信号を生成し、生成した呼び信号を制御基板110に出力する。乗り場105の操作盤105b用の制御基板から呼び信号が出力された場合、制御基板110は、カゴ102の操作盤102a用の制御基板から信号が出力された場合と同様に、乗り場105の操作盤105b用の制御基板から出力された信号に基づいて各種の制御用の信号を生成し、生成した制御用の信号を該当する各部に出力することによってエレベーター101の運行動作を制御する。
【0355】
制御基板110は、カゴ102の操作盤102aや乗り場105の操作盤105bと接続されており、カゴ102の操作盤102aや乗り場105の操作盤105bから出力された信号に応じてカゴ102を昇降動作させるごとに、当該カゴ102を昇降動作させるために各部を起動したことを示す起動信号を出力する。制御基板110は、たとえば、1階から2階に移動した場合、起動信号を1回出力する。また、制御基板110は、たとえば、1階から途中で停止することなく5階に移動した場合、起動信号を1回出力する。また、制御基板110は、たとえば、1階から、途中の3階で停止した(扉の開閉をおこなった)後に、5階に移動する場合、起動信号を2回出力する。
【0356】
制御基板110は、カゴ102を昇降動作させるごとに、カゴ102の走行距離や走行時間を算出してもよい。カゴ102の走行距離は、たとえば、起動回数に基づいて算出することができる。また、カゴ102の走行時間は、たとえば、上記の階床信号に基づいて算出することができる。具体的には、たとえば、カゴ102が1階にいる状態で4階の乗り場105の操作盤105bから呼びの操作を受け付けた場合、カゴ102は1階から4階までの3階床分を移動する。
【0357】
制御基板110は、図示を省略するメモリを備え、起動信号が出力されるごとに、当該起動信号が出力された回数すなわち起動回数をメモリに記憶する。制御基板110は、起動回数に代えて、あるいは起動回数に加えて、カゴ102の昇降動作や扉105a、102cの開閉動作に際して駆動した各部の運行動作の履歴をメモリに記憶してもよい。具体的には、制御基板110は、たとえば、起動回数、カゴ102の走行距離、カゴ102の走行時間、カゴ102の昇降動作や扉105a、102cの開閉動作に際して動作した各種リレーの動作回数などに関する情報を運行動作の履歴としてメモリに記憶してもよい。
【0358】
また、制御基板110は、扉開閉センサの出力値に基づいて、扉102c、105aが開状態にあるか閉状態にあるかを判断する。制御基板110は、自身が出力した扉102c、105aを開閉させる制御用の信号と扉開閉センサの出力値とに基づいて、扉102c、105aを開閉させる制御用の信号を出力したことに応じて、当該扉102c、105aが実際に開閉したかどうかを判断することができる。
【0359】
また、制御基板110は、エレベーター101の運転モードが変化した場合に、当該運転モードが切り替わったことを示す信号を出力する。制御基板110は、具体的には、たとえば、エレベーター101の運転モードが、通常の運転モードから通常の運転モード以外の運転モードに切り替わった場合に、当該運転モードの切り替わりがあったことを外部に通知する信号、あるいは、切り替わった後の運転モード(通常の運転モード以外の運転モードであること)を通知する信号を出力する。また、制御基板110は、具体的には、たとえば、エレベーター101の運転モードが、通常の運転モード以外の運転モードから通常の運転モードに切り替わった場合に、当該運転モードの切り替わりがあったことを外部に通知する信号、あるいは、切り替わった後の運転モード(通常の運転モードであること)を通知する信号(発報用の信号)を出力する。
【0360】
また、制御基板110は、エレベーター101において障害を検知した場合に、当該障害の発生を通知する信号(発報用の信号)を出力(発報)する。具体的には、制御基板110は、たとえば、扉105a、102cを開閉動作させる制御用の信号を出力したにもかかわらず、扉開閉センサの出力値に基づいて該当する扉105a、102cが動作しないことを検出した場合に、エレベーター101における該当する扉105a、102cにかかる障害が発生したことを通知する信号(発報用の信号)を出力(発報)する。
【0361】
インターフォンの端末装置102bは、呼出ボタンが操作された場合に、当該操作があったことを示す呼出信号を、遠隔監視支援装置120に出力する。遠隔監視支援装置120は、インターフォンの端末装置102bから出力された呼出信号が音声通信基板122に入力された場合、公衆音声網170やPBX205を介して電話機140に呼出信号を送出する。これにより、インターフォンの端末装置102bと電話機140との間において音声通信(通話)をおこなうことができる。
【0362】
インターフォンの端末装置102bは、遠隔監視支援装置120(音声通信基板122)と保守管理会社150に設置された電話機140との接続が確立された状態で、マイクに入力された音声信号を、遠隔監視支援装置120に出力する。また、インターフォンの端末装置102bは、遠隔監視支援装置120(音声通信基板122)と電話機140との接続が確立された状態で、遠隔監視支援装置120から出力された音声信号を、スピーカーを介して出力する。
【0363】
遠隔監視支援装置120は、制御基板110から乗り場105の操作盤105bに対して出力された制御用の信号に応じて各部が動作した結果、乗り場105の操作盤105bから出力された階床信号を取得する。そして、遠隔監視支援装置120は、取得した階床信号などに基づいて通知情報を生成し、生成した通知情報を管理サーバコンピュータ130へ送信する。通知情報は、たとえば、カゴ102の昇降方向、カゴ102の移動先となる階床、移動先となる階床においてカゴ102が停止したか否か、扉105a、102cを開閉させるモーターの動作の有無、カゴ102が現在位置する階床、各種の安全装置の作動の有無、当該通知情報の送信元となるエレベーター101の識別情報などを含む。
【0364】
エレベーター101の識別情報は、たとえば、当該エレベーター101の製造番号であってもよいし、当該エレベーター101の設置場所(住所など)に基づいて設定される番号であってもよいし、当該エレベーター101の保守点検をおこなう作業者などが任意に設定した番号であってもよい。エレベーター101の識別情報は、所定桁数の数字やアルファベットなどの文字を組み合わせて構成することができる。
【0365】
遠隔監視支援装置120が備える主制御基板121は、たとえば、中継基板201と、監視制御基板202と、メモリ203と、通信I/F(インターフェイス)204と、によって構成することができる。遠隔監視支援装置120における中継基板201は、配線200を介して、カゴ102の操作盤102aと直接接続されている。
【0366】
具体的には、中継基板201は、たとえば、カゴ102の操作盤102a用の制御基板に設けられたICチップの足(カゴ102の操作盤102a用の制御基板とICチップとを接続する配線)に、制御基板110と中継基板201との接点を設け、当該接点を介して制御基板110に接続することができる。この場合、接点は、制御基板110からICチップに入力する信号用の足(制御基板110とICチップとを接続する配線)に設けてもよく、ICチップから制御基板110に出力される信号用の足(制御基板110とICチップとを接続する配線)に設けてもよい。そして、この場合、中継基板201は、カゴ102の操作盤102aに対する入力操作に応じて生成され、カゴ102の操作盤102a用の制御基板から制御基板110へ出力される呼び信号を取得することができる。
【0367】
あるいは、たとえば、カゴ102の操作盤102a用の制御基板と、カゴ102が位置する階床などを表示する表示器と、を接続する配線に、中継基板201を接続してもよい。この場合、中継基板201は、たとえば、制御基板110からカゴ102の操作盤102a用の制御基板を介して表示器に出力された、カゴ102が位置する階床を示す階床信号を取得することができる。
【0368】
また、遠隔監視支援装置120における中継基板201には、制御基板110に接続される接続端子121aが接続されている。接続端子121aは、中継基板201に一体に設けられているものに限らない。接続端子121aは、中継基板201(の入力端子)に電気的に接続されていればよく、たとえば、中継基板201とは別体で設けられて当該中継基板201と配線121bによって接続されたコネクタなどによって実現することができる。
【0369】
遠隔監視支援装置120は、制御基板110に設けられて、当該制御基板110に診断用の端末装置を接続可能な端子(以下「保守点検用の端子」という)110aに、接続端子121aを接続することによって制御基板110に接続されている。接続端子121aと保守点検用の端子110aとは、切り離し可能に接続される。
【0370】
具体的には、たとえば、接続端子121aを実現するコネクタ(オス型またはメス型)を、保守点検用の端子110aを実現するコネクタ(メス型またはオス型)に挿抜することによって、遠隔監視支援装置120と制御基板110とを接続したり、切り離したりすることができる。接続端子121aおよび保守点検用の端子110aをコネクタとすることによって、遠隔監視支援装置120と制御基板110とを容易に接続し、かつ、遠隔監視支援装置120を撤去する場合などは容易に取り外すことができる。
【0371】
これにより、この実施の形態5の遠隔監視支援装置120は、接続端子121aおよび保守点検用の端子110aを介して制御基板110に接続されるとともに、配線200を介してカゴ102の操作盤102aに接続されている。
【0372】
制御基板110は、たとえば、診断用の端末装置から出力された信号に基づいてエレベーター101における各部に制御用の信号を出力した結果、エレベーター101が当該制御用の信号にしたがった動作をおこなわなかった場合、エレベーター101において異常が発生したと判断し、エレベーター101における異常の発生を報知する信号(発報用の信号)を出力する。
【0373】
制御基板110は、異常の発生を報知する発報用の信号を、たとえば、保守点検用の端子110aを介して遠隔監視支援装置120に出力する。発報用の信号など、制御基板110から保守点検用の端子110aを介して出力された信号は、中継基板201から遠隔監視支援装置120に入力される。
【0374】
中継基板201は、入力を受け付けた信号を解析し、解析結果を監視制御基板202に出力する。監視制御基板202は、中継基板201から出力された解析結果に基づいて通知情報を生成し、生成した通知情報を、通信I/F204を介して管理サーバコンピュータ130へ送信する。また、監視制御基板202は、中継基板201から出力された解析結果を、メモリ203に記憶する。監視制御基板202は、中継基板201が入力を受け付けた信号を、直接メモリ203に記憶してもよい。
【0375】
メモリ203は、電源の供給が絶たれた場合にも記憶した情報を保持する不揮発性の記憶媒体によって実現することができる。具体的には、メモリ203は、たとえば、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)などによって実現することができる。
【0376】
制御基板110から出力される各種の信号は、エレベーター101の機種などに応じて異なる。中継基板201は、解析に際して、制御基板110から出力される各種の信号を、監視制御基板202が処理可能なフォーマットに変換する。遠隔監視支援装置120は、中継基板201において入力を受け付けた信号を解析して監視制御基板202が処理可能なフォーマットに変換することにより、エレベーター101の機種の違いにかかわらず、当該エレベーター101の遠隔監視をおこなうことができる。
【0377】
また、遠隔監視支援装置120は、主制御基板121において監視制御基板202によって制御される中継基板201を介して、制御基板110に対して各種の運行指令信号を出力する。遠隔監視支援装置120は、制御基板110を介してエレベーター101が備える各部を駆動制御する際に運行指令信号を出力する。運行指令信号は、たとえば、カゴ102の操作盤102aや乗り場105の操作盤105bにおいて、所定の階床への移動を指示する入力操作を受け付けた場合に当該カゴ102の操作盤102aや乗り場105の操作盤105bから出力される信号と同様の信号(呼び信号など)によって実現することができる。具体的には、運行指令信号は、たとえば、エレベーター101のカゴ102を所定の階床に移動させたり、移動させたカゴ102を該当する階床において停止させたり、停止させた階床においてカゴ102の扉102cおよび乗り場105の扉105aを開閉させたりする信号を含む。
【0378】
制御基板110は、主制御基板121から出力された運行指令信号を受信すると、受信した運行指令信号に基づいて上述した各種の制御用の信号を生成し、生成した各種の制御用の信号をエレベーター101が備える各部に対して出力する。主制御基板121は、中継基板201を介して監視制御基板202から出力した各種の運行指令信号を、たとえば、エレベーター101が備える保守点検用の端子110aを介して当該制御基板110に入力する。
【0379】
保守点検用の端子110aは、制御基板110に設けられている。あるいは、保守点検用の端子110aは、制御基板110の入力端子に電気的に接続され、制御基板110とは別体であってもよい。保守点検用の端子110aは、たとえば、作業員がエレベーター101が設置されている現地においておこなう保守点検作業に際して、当該保守点検作業に用いる端末装置(保守診断用端末)を接続するために設けられている。保守点検用の端子110aは、遠隔監視を目的として設置されたエレベーター101に限らず、また、既設新設あるいは新旧にかかわらず、幅広い種類のエレベーター101が一般的に備えている。
【0380】
また、遠隔監視支援装置120は、通信I/F204を介して、管理サーバコンピュータ130から送信された各種の指示信号を受信する。管理サーバコンピュータ130は、たとえば、保守管理会社150においてオペレーターによる管理サーバコンピュータ130への入力操作を受け付けた場合に、遠隔監視支援装置120に対して指示信号を出力する。
【0381】
具体的には、管理サーバコンピュータ130は、管理サーバコンピュータ130において受け付けた入力操作に応じて、たとえば、エレベーター101において実行した診断動作の結果に関する通知情報の送信を指示する指示信号(通知情報の送信指示)を送信する。この場合、管理サーバコンピュータ130は、通知情報の送信指示に加えて、エレベーター101に対して診断動作の実行指示を送信する。
【0382】
診断動作は、制御基板110からエレベーター101が備える各部に対して、当該各部を所定の順序で動作させる信号を出力させ、出力させた信号にしたがって当該各部が正常に動作したか否かを示す信号を制御基板110から出力させることによって実現される。管理サーバコンピュータ130は、定期的、すなわち、診断指示を出力してから所定時間が経過した場合(1ヶ月ごとなどの所定期間ごと)に、つぎの診断指示を出力してもよい。
【0383】
また、具体的には、管理サーバコンピュータ130は、たとえば、管理サーバコンピュータ130において受け付けた入力操作に応じて、あるいは定期的に、制御基板110において記憶した運行動作の履歴に関する通知情報の送信を指示する指示信号(通知情報の送信指示)を送信してもよい。運行動作の履歴に関する通知情報は、たとえば、起動回数、カゴ102の走行距離、カゴ102の走行時間、カゴ102の昇降動作や扉105a、102cの開閉動作に際して動作した各種リレーの動作回数などに関する情報によって実現することができる。
【0384】
遠隔監視支援装置120は、管理サーバコンピュータ130から送信された各種の指示信号を受信した場合に、受信した指示信号に基づいて上記の運行指令信号を生成し、生成した運行指令信号を制御基板110に対して出力する。また、遠隔監視支援装置120は、管理サーバコンピュータ130から送信された各種の指示信号に基づく運行指令信号を制御基板110に対して出力した結果、当該制御基板110から出力された信号(制御用の信号など)を取得した場合に、当該信号に基づいて応答情報を生成し、生成した応答情報を管理サーバコンピュータ130に出力する。
【0385】
管理サーバコンピュータ130は、遠隔監視支援装置120に対して送信した各種の指示信号に応じて当該遠隔監視支援装置120から送信された応答情報に基づいて、報告書情報を生成する。管理サーバコンピュータ130は、たとえば、診断指示および通知情報の送信指示を送信した結果、遠隔監視支援装置120から受信した通知情報に基づいて、報告書情報を生成する。この場合、管理サーバコンピュータ130は、たとえば、エレベーター101の走行距離や起動回数に関する情報を含む報告書情報を生成する。
【0386】
また、管理サーバコンピュータ130は、生成した報告書情報に基づいて、報告書(図示を省略する)を発行する機能を備えている。報告書は、たとえば、エレベーター101に診断動作をおこなわせるごと、すなわち、遠隔監視支援装置120に対して送信した診断動作の実行を指示する指示信号(診断指示)に応じた応答情報を受信するごとに発行することができる。
【0387】
具体的には、管理サーバコンピュータ130は、たとえば、生成した報告書情報に基づいて、当該報告書情報を紙などの記録媒体に印刷するための印刷情報を生成し、生成した印刷情報を、管理サーバコンピュータ130に接続された操作用の端末装置131に出力する。操作用の端末装置131は、印刷情報を受け付けた場合、当該操作用の端末装置131に接続されたプリンタを駆動制御することによって報告書を発行させることができる。
【0388】
(遠隔監視システム100の機能的構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態5の遠隔監視システム100の機能的構成について説明する。
図19は、この発明にかかる実施の形態5の遠隔監視システム100を構成する遠隔監視支援装置120の機能的構成を示すブロック図である。
【0389】
(遠隔監視支援装置120の機能的構成)
図19において、この発明にかかる実施の形態のエレベーター101の遠隔監視支援装置120の各機能は、受信部301と、記憶部302と、生成部303と、出力部304と、取得部305と、判断部306と、送信部307と、によって実現される。この発明にかかる実施の形態のエレベーター101の遠隔監視支援装置120が備える受信部301、記憶部302、生成部303、出力部304、取得部305、判断部306、送信部307の各機能は、遠隔監視支援装置120が備える各部によって実現することができる。
【0390】
受信部301は、管理サーバコンピュータ130から送信された各種の指示信号を受信する。受信部301は、たとえば、管理サーバコンピュータ130から送信された通知情報の送信指示を受信する。記憶部302は、受信部301が診断指示を受信した場合、当該診断指示を受信した日時に関する情報を記憶する。これにより、管理サーバコンピュータ130との間で通信をおこなうことなく、定期的にエレベーター101の動作を監視することができる。
【0391】
生成部303は、受信部301が送信指示を受信した場合に、エレベーター101に上記の診断動作を実行させる運行指令信号を生成する。生成部303は、中継基板201により制御基板110が解析可能な形式に変換した運行指令信号を生成する。生成部303は、受信部301が送信指示を受信した場合に、エレベーター101が備える各部を、所定の順序で動作させる信号を出力させる指示を含む運行指令信号を生成する。
【0392】
具体的には、生成部303は、たとえば、エレベーター101のカゴ102を昇降させるモーター、昇降中のカゴ102を停止させるブレーキ、乗り場105およびカゴ102の扉105a、102cを開閉するモーターなどを制御基板110によって駆動制御させる運行指令信号を生成する。
【0393】
出力部304は、受信部301が送信指示を受信した場合に、制御基板110に対して、エレベーター101に上記の診断動作を実行させる運行指令信号を出力する。この実施の形態において、出力部304は、制御基板110に対して、生成部303が生成した運行指令信号を出力する。
【0394】
出力部304は、たとえば、作業員が現地においておこなう点検作業に際して用いる保守診断用端末を接続する保守点検用の端子110aを介して、運行指令信号を出力する。出力部304が出力する運行指令信号は、中継基板201により制御基板110が解析可能な形式に変換されているため、保守診断用端末から診断動作をおこなわせる信号を直接入力した場合と同様に、制御基板110に診断動作をおこなわせることができる。
【0395】
出力部304は、受信部301が送信指示を受信した場合に限らず、制御基板110に対する運行指令信号を出力してから所定時間が経過した場合に、つぎの診断動作を実行させる運行指令信号を、保守点検用の端子110aを介して出力してもよい。具体的には、出力部304は、たとえば、記憶部302が記憶する日時に関する情報に基づいて、診断動作の実行指示を出力してから1ヶ月が経過した場合に、つぎの診断動作を実行させる運行指令信号を保守点検用の端子110aを介して出力する。
【0396】
これにより、管理サーバコンピュータ130との間で通信をおこなうことなく、制御基板110に対して、診断動作を実行させる運行指令信号を定期的に出力することができる。そして、これによって通信にかかる負担を軽減しつつ、定期的にエレベーター101に対して診断動作をおこなわせることができる。
【0397】
取得部305は、制御基板110から当該制御基板110の外部へ出力された信号を取得する。取得部305は、たとえば、出力部304が出力した、診断動作を実行させる運行指令信号に応じて制御基板110からエレベーター101が備える各部に対して出力された制御用の信号を取得する。
【0398】
また、取得部305は、たとえば、カゴ102の操作盤102aに対して入出力された信号を取得する。具体的には、取得部305は、たとえば、基板1701をおよび配線200を介して、制御基板110からカゴ102の操作盤102aに対して入力された信号や、カゴ102の操作盤102aから制御基板110に対して出力された信号を取得する。
【0399】
より具体的には、取得部305は、たとえば、カゴ102の操作盤102aにおいて所定の入力操作を受け付けた場合に、カゴ102の操作盤102aから制御基板110に対して出力された信号を取得する。また、取得部305は、たとえば、カゴ102の操作盤102aから出力された信号に応じて、制御基板110からカゴ102の操作盤102aに対して出力された制御用の信号を取得してもよい。
【0400】
このように、取得部305は、制御基板110からカゴ102の操作盤102aに対して出力された信号(下り信号)と、当該カゴ102の操作盤102aから制御基板110に対して出力された信号(上り信号)と、の双方向の信号を取得する。取得部305が上り信号を取得する位置と、取得部305が下り信号を取得する位置と、は同一位置であってもよく、異なる位置であってもよい。
【0401】
また、取得部305は、たとえば、所定震度以上の地震が発生したことを検知したことによってエレベーター101の運転モードが通常時の運転モードから地震発生時用の運転モードに切り替わった場合などに、制御基板110からカゴ102の操作盤102aに対して出力された発報用の信号を取得してもよい。また、取得部305は、たとえば、エレベーター101のカゴ102を昇降させるモーターに対して制御用の信号を出力したにもかかわらず、カゴ102の位置を示す階床信号が切り替わらない場合など、エレベーター101において障害が発生した場合に、当該障害の発生を外部に通知するため制御基板110からカゴ102の操作盤102aに対して出力された発報用の信号を取得してもよい。これらの発報用の信号は、たとえば、保守点検用の端子110aを介して取得することができる。
【0402】
上記の生成部303は、取得部305が取得した信号に基づいて、エレベーター101の状態に関する情報を含む通知情報を生成する。生成部303は、たとえば、カゴ102の操作盤102aから出力された信号に基づいて、エレベーター101のカゴ102が現在位置する階床を示す通知情報を生成する。また、生成部303は、たとえば、制御基板110から出力された制御用の信号に基づいて、エレベーター101が正常に動作している状態であることを示す通知情報を生成してもよい。また、生成部303は、たとえば、制御基板110から出力された発報用の信号に基づいて、エレベーター101の現在の運転モードが切り替わったことやエレベーター101における障害の発生を示す通知情報を生成してもよい。
【0403】
生成部303は、取得部305が信号を取得するごとに通知情報を生成する。あるいは、生成部303は、たとえば、取得部305が特定の信号を取得した場合に、通知情報を生成してもよい。具体的には、生成部303は、たとえば、エレベーター101の現在の運転モードが切り替わったことを示す発報用の信号を取得部305が取得した場合に、通知情報を生成するようにしてもよい。
【0404】
送信部307は、生成部303が生成した通知情報を、管理サーバコンピュータ130へ送信する。送信部307は、生成部303が通知情報を生成するごとに、当該通知情報を管理サーバコンピュータ130へ送信する。あるいは、送信部307は、たとえば、生成部303が特定の通知情報を生成した場合に、当該通知情報を管理サーバコンピュータ130へ送信してもよい。具体的には、たとえば、エレベーター101の現在の運転モードが切り替わったことを示す発報用の信号に基づく通知情報を生成部303が生成した場合に、送信部307によって当該通知情報を管理サーバコンピュータ130へ送信してもよい。
【0405】
この発明にかかる実施の形態5の遠隔監視支援装置120は、さらに、取得部305が取得する信号に基づいて、エレベーター101の動作状態が通常動作状態であるか否かを、判断部306によって判断し、通常動作状態ではない場合に、エレベーター101の状態に関する情報を含む通知情報を生成し、管理サーバコンピュータ130へ送信してもよい。これによって、オペレーターは、エレベーター101の動作状態が通常動作状態ではないことを迅速に把握することができ、必要に応じて点検作業員を手配するなど、エレベーター101を良好な状態に維持する対応を迅速におこなうことができる。これにより、エレベーター101に対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーター101を利用させることができる。
【0406】
(遠隔監視支援装置120の処理手順)
つぎに、この発明にかかる実施の形態5の遠隔監視支援装置120の処理手順について説明する。
図20および
図21は、この発明にかかる実施の形態5の遠隔監視支援装置120の処理手順を示すフローチャートである。
図20のフローチャートにおいて、まず、カゴ102の操作盤102aに対して入出力された信号を取得するまで待機する。ステップS2001においては、たとえば、エレベーター101の利用者などによる操作ボタンに対する入力操作を受け付けることによる呼び信号を取得するまで待機する。ステップS2001においては、制御基板110からカゴ102の操作盤102aに対して入力された信号を取得する、あるいは、カゴ102の操作盤102aから制御基板110に対して出力された信号を取得するまで待機する。
【0407】
ステップS2001において、カゴ102の操作盤102aに対して入出力された信号を取得した場合(ステップS2001:Yes)、カゴ102の操作盤102aから出力された信号を最後に取得してから所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS2002)。ステップS2002においては、たとえば、呼びの入力操作を受け付けていないために、所定時間以上カゴ102が停止していると判断できる程度の時間が経過したか否かを判断する。具体的には、たとえば、扉105a、102cの開閉に要する時間を所定時間とすることができる。
【0408】
ステップS2002において、カゴ102の操作盤102aから出力された信号を最後に取得してから所定時間が経過していない場合(ステップS2002:No)、ステップS2001へ戻り、カゴ102の操作盤102aから出力された信号を取得したか否かを判断する。一方、ステップS2002において、カゴ102の操作盤102aから出力された信号を最後に取得してから所定時間が経過した場合(ステップS2002:Yes)、ステップS2002:Yesにおいて所定時間が経過するまでに取得した、カゴ102の操作盤102aから出力された信号に基づいて通知情報を生成する(ステップS2003)。これにより、たとえば、所定時間以上呼びの入力操作がなく、所定時間以上カゴ102が停止している場合に通知情報を生成することができる。
【0409】
その後、管理サーバコンピュータ130に対して、ステップS2003において生成した通知情報を送信して(ステップS2004)、一連の処理を終了する。ステップS2004においては、ステップS2003において生成した通知情報を、通信I/F204から、インターネットなどのネットワーク160を介して、管理サーバコンピュータ130に送信する。
【0410】
一方、ステップS2001において、カゴ102の操作盤102aから出力された信号を取得していない場合(ステップS2001:No)、保守点検用の端子110aを介して出力された発報用の信号を取得したか否かを判断する(ステップS2005)。ステップS2005において、保守点検用の端子110aを介して出力された発報用の信号を取得していない場合(ステップS2005:No)、ステップS2001へ戻る。ステップS2005において、保守点検用の端子110aを介して出力された発報用の信号を取得した場合(ステップS2005:Yes)、ステップS2003へ移行する。
【0411】
図21のフローチャートにおいて、まず、管理サーバコンピュータ130から送信された通知情報の送信指示を受信したか否かを判断する(ステップS2101)。ステップS2101において、管理サーバコンピュータ130から送信された通知情報の送信指示を受信した場合(ステップS2101:Yes)、受信した送信指示に基づいて、エレベーター101において診断動作を実行させる運行指令信号を生成する(ステップS2102)。
【0412】
そして、制御基板110に対して、ステップS2102において生成した運行指令信号を出力して(ステップS2103)、ステップS2104へ移行する。ステップS2103においては、たとえば、保守診断用端末を接続するために制御基板110に設けられている接続端子を介して、ステップS2102において生成した運行指令信号を出力する。
【0413】
そして、ステップS2103において出力した運行指令信号に応じて制御基板110から出力された制御用の信号にしたがって動作した、カゴ102の操作盤102aから出力された信号を取得するまで待機する(ステップS2104:No)。ステップS2104においては、ステップS2103において出力した運行指令信号に応じて制御基板110から出力された制御用の信号(カゴ102の操作盤102aに対して入出力された信号)を取得するまで待機してもよい。
【0414】
ステップS2104において、ステップS2103において出力した運行指令信号に応じてカゴ102の操作盤102aから出力された信号(あるいは、ステップS2103において出力した運行指令信号に応じて制御基板110から出力された制御用の信号、すなわち、カゴ102の操作盤102aに対して入出力された信号)を取得した場合(ステップS2104:Yes)、取得した制御用の信号に基づいて通知情報を生成する(ステップS2105)。ステップS2105においては、たとえば、ステップS2103において出力した運行指令信号に応じて、制御基板110から、エレベーター101が備える各部に出力された制御用の信号に基づいて、制御基板110がエレベーター101が備える各部を運行指令信号が指示する通りに制御したか否かを通知する通知情報を生成する。
【0415】
そして、管理サーバコンピュータ130に対して、ステップS2105において生成した通知情報を送信して(ステップS2106)、一連の処理を終了する。ステップS2106においては、ステップS2105において生成した通知情報を、通信I/F204から、インターネットなどのネットワーク160を介して、管理サーバコンピュータ130に送信する。
【0416】
一方、ステップS2101において、管理サーバコンピュータ130から送信された通知情報の送信指示を受信していない場合(ステップS2101:No)、制御基板110に対して、前回、エレベーター101において診断動作を実行させる運行指令信号を出力してから所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS2107)。ステップS2107において、前回、エレベーター101において診断動作を実行させる運行指令信号を出力してから所定時間が経過していない場合(ステップS2107:No)、ステップS2101に戻り、管理サーバコンピュータ130から送信された通知情報の送信指示を受信したか否かを判断する。
【0417】
ステップS2107において、前回、エレベーター101において診断動作を実行させる運行指令信号を出力してから所定時間が経過した場合(ステップS2107:Yes)、ステップS2102へ移行し、エレベーター101において診断動作を実行させる運行指令信号を生成する。この場合、ステップS2102においては、たとえば、遠隔監視支援装置120においてあらかじめ記憶されている情報に基づいて、エレベーター101において診断動作を実行させる運行指令信号を生成する。
【0418】
以上説明したように、この実施の形態5の遠隔監視支援装置120は、エレベーター101の動作を制御する制御基板110および管理サーバコンピュータ130との間でそれぞれ通信をおこなう遠隔監視支援装置120であって、制御基板110からエレベーター101のカゴ102に設けられた操作盤102a(カゴ102の操作盤102a)へ出力された信号、および、当該信号に応じたエレベーター101の動作にともなってカゴ102の操作盤102aから制御基板110へ出力された信号を取得し、取得した信号に基づいて、エレベーター101の状態に関する通知情報を生成し、生成した通知情報を、管理
サーバコンピュータ130へ送信するようにしたことを特徴としている。
【0419】
この実施の形態5の遠隔監視支援装置120によれば、制御基板110からカゴ102の操作盤102aへ出力された信号、および、当該制御用の信号に応じたエレベーター101の動作にともなってカゴ102の操作盤102aから制御基板110へ出力された信号に基づく通知情報を管理サーバコンピュータ130に送信することにより、遠隔地に設置された外部装置との通信機能を備えた制御基板110に限らず、当該通信機能を備えていない制御基板110を備えたエレベーター101であっても遠隔監視をおこなうことができる。これによって、エレベーター101自体の通信機能の有無にかかわらずエレベーター101の遠隔監視をおこなうことができるので、エレベーター101に対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーター101を利用させることができる。
【0420】
また、この実施の形態5の遠隔監視支援装置120によれば、カゴ102の操作盤102aから出力される信号を、制御基板110を介することなく、実際に動作したカゴ102の操作盤102aから出力された信号を直接、遠隔監視支援装置120に伝達することができる。これによって、制御基板やその他の中継装置などを設ける場合と比較して、管理サーバコンピュータに送信する通知情報の信頼性の向上を図ることができる。また、これにより、エレベーター101に対する信頼性の一層の向上を図り、利用者の一層の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーター101を利用させることができる。
【0421】
また、カゴ102の操作盤102a(信号線111)から制御基板110を介することなく直接、遠隔監視支援装置120に伝達することにより、制御基板110を介してエレベーター101の状態に関する情報を取得する場合と比較して、制御基板110にかかる処理負担の軽減を図ることができる。
【0422】
また、この実施の形態5の遠隔監視支援装置120は、管理サーバコンピュータ130から送信された、通知情報の送信を指示する診断指示を受信した場合に、制御基板110に対して、エレベーター101の動作状態を診断する診断動作の実行指示を出力し、出力した診断動作の実行指示に応じて制御基板110からエレベーター101が備える各部に対して出力された制御用の信号のうちカゴ102の操作盤102aへ出力された信号、および、当該制御用の信号に応じてカゴ102の操作盤102aから制御基板110へ出力された信号を取得することを特徴としている。
【0423】
この実施の形態5の遠隔監視支援装置120によれば、管理サーバコンピュータ130からの指示に応じて制御基板110に実行させた診断動作に際して、制御基板110からエレベーター101が備える各部に対して出力された制御用の信号のうちカゴ102の操作盤102aへ出力された信号、および、当該制御用の信号に応じてカゴ102の操作盤102aから制御基板110へ出力された信号に基づく通知情報を管理サーバコンピュータ130に送信することにより、エレベーター101の遠隔監視をおこなうことができる。
【0424】
これによって、管理サーバコンピュータ130側で設定した任意のタイミングでエレベーター101の遠隔監視をおこなうことができるので、エレベーター101に対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーター101を利用させることができる。
【0425】
また、この実施の形態5の遠隔監視支援装置120は、管理サーバコンピュータ130からの指示に応じて制御基板110に実行させた診断動作に際して、制御基板110からエレベーター101が備える各部に対して出力された制御用の信号に基づく通知情報を管理サーバコンピュータ130に送信することにより、エレベーター101の遠隔監視をおこなうことができる。これによって、管理サーバコンピュータ130側で設定した任意のタイミングでエレベーター101の遠隔監視をおこなうことができるので、エレベーター101に対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーター101を利用させることができる。
【0426】
また、この実施の形態5の遠隔監視支援装置120は、制御基板110に対する診断動作の実行指示を出力する可搬性の端末装置を接続可能な保守点検用の端子110aを介して、制御基板110に対して、診断動作の実行指示を出力することを特徴としている。
【0427】
この実施の形態5の遠隔監視支援装置120によれば、エレベーター101が設置されている現場において従来用いられている、当該エレベーター101の診断に用いる診断用の端末装置を接続可能な保守点検用の端子110aを介して、診断動作の実行指示を出力することによって、制御基板110に診断動作の実行指示を入力するための機構をあらたに設けることなく、容易に制御基板110に診断動作を実行させることができる。これによって、エレベーター101に対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーター101を利用させることができる。
【0428】
また、この実施の形態5の遠隔監視支援装置120は、診断動作の実行指示を出力してから所定時間が経過した場合に、つぎの診断動作の実行指示を出力することを特徴としている。
【0429】
この実施の形態5の遠隔監視支援装置120によれば、管理サーバコンピュータ130による診断指示の送信の有無にかかわらず、所定時間ごとにエレベーター101の状態を把握することができる。これにより、エレベーター101の遠隔監視にかかる管理サーバコンピュータ130における処理負担の軽減を図りつつ、エレベーター101に対する信頼性の向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0430】
以上のように、この発明にかかる遠隔監視支援装置は、エレベーターの遠隔監視をおこなう遠隔監視支援装置に有用であり、特に、設置後のエレベーターの遠隔監視をおこなう遠隔監視支援装置に適している。
【符号の説明】
【0431】
110 制御基板(制御装置)
120 遠隔監視支援装置
130 管理サーバコンピュータ
140 電話機
301 受信部
302 記憶部
303 生成部
304 出力部
305 取得部
306 判断部
307 送信部
【手続補正書】
【提出日】2022-01-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターが設置されている場所から離れた遠隔地に設置された管理サーバコンピュ ータにネットワークを介して接続され、
前記エレベーターの動作状態に応じて出力される信号を取得し、
取得した信号のうち、カゴの移動先となる階床において当該カゴが停止したか否かに関する情報にかかる信号に基づいて、前記エレベーターの動作状態が通常動作状態であるか否かを判断し、
前記動作状態が通常動作状態であると判断した場合に、取得した信号に基づいて、エレベーターの動作履歴を記憶する、
ことを特徴とする遠隔監視支援装置
【請求項2】
前記動作状態が通常動作状態ではないと判断した場合に、通知情報を生成し、生成された通知情報を前記管理サーバコンピュータへ送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔監視支援装置。
【請求項3】
記憶された前記動作履歴は、前記エレベーターの遠隔診断時に前記管理サーバコンピュータへ送信する通知情報の生成に用いる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の遠隔監視支援装置。
【請求項4】
前記動作履歴は、前記カゴの昇降方向に関する情報、前記カゴの移動先となる階床に関する情報、前記カゴの移動先となる階床において当該カゴが停止したか否かに関する情報、各階床における扉を開閉させるモーターの動作の有無に関する情報、前記カゴが現在位置する階床に関する情報、および、各種の安全装置の作動の有無に関する情報の少なくとも一つを含む、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の遠隔監視支援装置。