(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020044
(43)【公開日】2022-01-31
(54)【発明の名称】自律駐車のための方法と装置、電子デバイス、コンピュータ可読記憶媒体及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20220124BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20220124BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
B60W30/06
B60W60/00
G08G1/16 C
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2021061451
(22)【出願日】2021-03-31
(31)【優先権主張番号】202010623723.2
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SMALLTALK
(71)【出願人】
【識別番号】516262169
【氏名又は名称】北京百度網訊科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】張騰
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA21
3D241BB27
3D241BB31
3D241BB32
3D241BB33
3D241BB34
3D241CE04
3D241CE05
3D241CE08
3D241DB01Z
3D241DB20Z
3D241DC39Z
3D241DC44Z
3D241DC58Z
5H181AA01
5H181BB13
5H181BB20
5H181CC04
5H181FF04
5H181FF07
5H181FF22
5H181FF27
5H181KK01
5H181KK03
5H181KK04
5H181LL09
5H181LL17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】自律駐車のための方法、装置、電子デバイス及びコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【解決手段】自律駐車の方法は、自律駐車の推奨運転路線を決定することと、推奨運転路線での車両の位置を特定することと、車両の位置が第1道路環境にあるかどうかを特定することと、車両が第1道路環境にあることが特定されたことに応じて、取得された第1道路環境の画像情報に基づいて、予め訓練された運転モデルに従って、車両の前記第1道路環境での運転トラックポイントを決定することと、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律駐車の推奨運転路線を決定することと、
前記推奨運転路線での車両の位置を特定することと、
前記車両の前記位置が第1道路環境にあるかどうかを特定することと、
前記車両が前記第1道路環境にあることが特定されたことに応じて、取得された前記第1道路環境の画像情報に基づいて、予め訓練された運転モデルに従って、前記車両の前記第1道路環境での運転トラックポイントを決定することと、を含む自律駐車のための方法。
【請求項2】
前記運転モデルは、前記第1道路環境に関連する履歴画像及び前記第1道路環境に関連する人間による運転路線に基づいて訓練されたものである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記車両の前記第1道路環境での前記運転トラックポイントは、左折運転トラックポイント、右折運転トラックポイント、または直線運転トラックポイントを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記推奨運転路線は、左折、右折および/または直進からなるシーケンスを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記車両の前記位置が第1道路環境にあるかどうかを特定することは、
前記車両の周囲環境の画像情報を取得することと、
前記画像情報に基づいて、前記車両の前記位置が前記第1道路環境にあるかどうかを特定することと、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記車両のナビゲーション情報或いは同期ロケーションマップ構築情報に基づいて、前記車両の前記推奨運転路線での前記位置を特定する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1道路環境は、交差点、T字型交差点、カーブ、および/または道路の終わりを含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記車両が第2道路環境にあることが特定されたことに応じて、前記運転トラックポイントを直線運転トラックポイントに決定することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第2道路環境は、直進道路を含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
自律駐車の推奨運転路線を決定するように配置される推奨運転路線決定モジュールと、
前記推奨運転路線での車両の位置を特定するように配置される位置特定モジュールと、
前記車両の前記位置が第1道路環境にあるかどうかを特定するように配置される第1道路環境特定モジュールと、
前記車両が前記第1道路環境にあることが特定されたことに応じて、取得された前記第1道路環境の画像情報に基づいて、予め訓練された運転モデルに従って、前記車両の前記第1道路環境での運転トラックポイントを決定するように配置される運転トラックポイント決定モジュールと、を備える自律駐車のための装置。
【請求項11】
前記運転モデルは、前記第1道路環境に関連する履歴画像及び前記第1道路環境に関連する人間による運転路線に基づいて訓練されたものである請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記車両の前記第1道路環境での前記運転トラックポイントは、左折運転トラックポイント、右折運転トラックポイント、または直線運転トラックポイントを含む請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記推奨運転路線は、左折、右折および/または直進からなるシーケンスを含む請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記第1道路環境特定モジュールは、前記車両の周囲環境の画像情報を取得するように配置される画像情報取得モジュールを含み、
前記第1道路環境特定モジュールは、前記画像情報に基づいて、前記車両の前記位置が前記第1道路環境にあるかどうかを特定するように配置される請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記位置特定モジュールは、前記車両のナビゲーション情報或いは同期ロケーションマップ構築情報に基づいて、前記車両の前記推奨運転路線での前記位置を特定するように配置される請求項10に記載の装置。
【請求項16】
前記第1道路環境は、交差点、T字型交差点、カーブ、および/または道路の終わりを含む請求項10に記載の装置。
【請求項17】
前記運転トラックポイント決定モジュールは、前記車両が第2道路環境にあることが特定されたことに応じて、前記運転トラックポイントを直線運転トラックポイントに決定する請求項10に記載の装置。
【請求項18】
前記第2道路環境は、直進道路を含む請求項17に記載の装置。
【請求項19】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに通信接続されるメモリと、を備え、
前記メモリに前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶され、前記命令が前記少なくとも1つのプロセッサによって実行される際、前記少なくとも1つのプロセッサに請求項1~9のいずれか一項に記載の方法を実現させることを特徴とする電子デバイス。
【請求項20】
コンピュータ命令が記憶される非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ命令が、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法をコンピュータに実行させるために使用されるコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項21】
コンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行される際、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法を実現させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は、総体的には、スマートドライビング技術に関し、より具体的に、自律駐車のための方法と装置、電子デバイス、コンピュータ可読記憶媒体及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自律型駐車の分野では、具体的な道路状況が大きく異なるため、対応する駐車操作もそれに応じて変化する。単一の道路状況に依存するのではなく、いかに自律駐車の路線をより多くの使用シーンに適用できるようにするかは、設計者が達成したい目標である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は自律駐車のための方法、装置、電子デバイス及びコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の第1態様によれば、自律駐車の方法を提供する。該方法は、自律駐車の推奨運転路線を決定することと、前記推奨運転路線での車両の位置を特定することと、前記車両の前記位置が第1道路環境にあるかどうかを特定することと、前記車両が前記第1道路環境にあることが特定されたことに応じて、取得された前記第1道路環境の画像情報に基づいて、予め訓練された運転モデルに従って、前記車両の前記第1道路環境での運転トラックポイントを決定することと、を含む。
【0005】
本開示の第2態様によれば、自律駐車の装置を提供する。該装置は、自律駐車の推奨運転路線を決定するように配置される推奨運転路線決定モジュールと、前記推奨運転路線での車両の位置を特定するように配置される位置特定モジュールと、前記車両の前記位置が第1道路環境にあるかどうかを特定するように配置される第1道路環境特定モジュールと、前記車両が前記第1道路環境にあることが特定されたことに応じて、取得された前記第1道路環境の画像情報に基づいて、予め訓練された運転モデルに従って、前記車両が前記第1道路環境での運転トラックポイントを決定するように配置される運転トラックポイント決定モジュールと、を備える。
【0006】
本開示の第3態様によれば、電子デバイスを提供する。該電子デバイスは、少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサに通信接続されるメモリと、を備え、前記メモリに前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶され、前記命令が前記少なくとも1つのプロセッサによって実行される際、前記少なくとも1つのプロセッサに本開示の第1態様による方法を実現させる。
【0007】
本開示の第4態様によれば、コンピュータ命令が記憶される非一時的コンピュータ可読記憶媒体を提供する。前記コンピュータ命令は、本開示の第1態様による方法をコンピュータに実行させるために使用される。
【0008】
本開示の第5態様によれば、コンピュータプログラムを提供する。前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行される際、本開示の第1態様による方法を実現させる。
【発明の効果】
【0009】
本願は、自律型駐車の分野では、駐車路線が具体的な駐車場との関連性が高いという問題を解決し、駐車路線と駐車場の紐付けを解除することで、駐車路線の一般化度を向上させる。
【0010】
理解すべきものとして、この部分で説明する内容は、本開示の実施例の肝心なまたは重要な特徴を特定することを意図するものではなく、本開示の範囲を限定することを意図するものでもない。本開示の他の特徴は以下の明細書を通じて容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面は本手段をより良く理解するためのものであり、本願を限定するものではない。
【
図1】本開示の複数の実施例を実現できる例示的な環境を示す模式図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による自律駐車のための方法を示すフローチャートである。
【
図3】本願の一例示的な実施例を使用するのに適する駐車路線を示す模式図である。
【
図4】
図3の駐車路線における道路環境Tでの運転環境を示す模式図である。
【
図5】本開示の内容の例示的な実施形態による自律駐車のための装置を例示的に示すブロック図である。
【
図6】本開示の内容における複数の実施形態を実施できる計算デバイスを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本願の例示的な実施例を説明する。理解に役に立つように、本願の実施例の様々な細部を含むが、単に例示的なものと見なされるべきである。従って、当業者は、本願の範囲と精神から逸脱せずに、ここで説明する実施例に様々な変更と修正を加えることができることを認識すべきである。同様に、明確かつ簡潔にするために、以下の説明では、既知の機能と構造の説明を省略する。
【0013】
従来の自律駐車手段では、駐車路線はすべて具体的な駐車場に関連付けられる。ある駐車場で訓練された自律駐車路線は別の駐車場で使用することがほとんどできなかった。ある駐車場での車両の駐車路線を決定する必要がある場合、該駐車場に特定の駐車路線を決定するために、該駐車場で予め学習及び訓練しなければならない。このように、使用前に大量の駐車場のパラメータを取得する必要がある。
【0014】
しかしながら、このような手段は時間とリソースを無駄にするだけでなく、効率的でもない。駐車場情報を予め取得して訓練/学習しないと、該駐車場に自動的に駐車することができない。他方で、駐車場の情報を取得しても、該駐車場の使用率が非常に低いと、このような駐車場の情報の価値が非常に低くなり、時間の経過とともに多くの冗長な情報が発生することになる。
【0015】
上記問題に対して、本開示の実施形態は自律駐車のための手段を提供する。以下、
図1~
図6を参照して本開示の実施形態を具体的に説明する。
【0016】
図1は本開示の複数の実施例を実現できる例示的な環境100を示す模式図である。
図1に示されるように、環境100で、車両110は、屋外駐車場または屋内駐車場であり得る駐車場などの標的サイト120上を走行している。いくつかの実施例において、車両110は、一定の自律駐車能力を備えた車両110であり得る。自律運転能力は、補助運転能力、半自律運転能力、高度自律運転能力或いは完全自律運転能力を含むが、これらに限定されない。
【0017】
本願の文脈では、「自律駐車」という用語は、車両を適切な駐車位置に駐車するプロセスを指すだけでなく、該駐車前の巡航プロセスも指すことができる。車両110は、それに固定または取り付けられた画像収集装置112を介して周囲環境の複数のリアルタイム画像を捕捉することができる。少なくとも、画像収集装置112は1つのセンサーを含む。いくつかの実施例において、画像収集装置112は1つまたは複数の広角或いは超広角カメラであり得、これらのカメラは周囲環境360度以内のシーンを捕捉することができる。
【0018】
計算デバイス150は、リモートサーバーまたはクラウドであり得、ターゲット路線データ130と履歴路線データセット140を含む様々なデータ、及び機械学習モデルに従って訓練することができる。例えば、計算デバイス150は人間の運転者が走行したトラックポイントデータを収集された各画像に投影し、画像を機械学習モデルに入力し、次に、この画像に投影されたトラックポイントを出力することができる。言い換えると、計算デバイス150が学習するのは、環境の画像から具体的な運転トラックポイントへのマッピングである。理解できることとして、履歴路線データセット140は、既知の複数のシーンで収集された複数の路線データを含む。
【0019】
機械学習モデルの例として、畳み込みニューラルネットワークモデル(CNN)、反復ニューラルネットワーク(RNN)などのニューラルネットワークモデルであり得る。計算デバイス150は、本明細書において
図2~
図6を参照して記載されたプロセスを実行し、該マッピングをより正確にし、最終的な目標路線計画モデル160を取得することができる。
【0020】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による自律駐車のための方法200を示すフローチャートである。方法200は様々なタイプの計算デバイスにより実行できる。
【0021】
ブロック202で、自律駐車の推奨運転路線を決定する。この推奨運転路線は最終的な運転トラックポイントに比べて比較的ラフな路線であり、自律駐車のおおよその運転路線のシーケンスを計画する。いくつかの実施例において、推奨運転路線は車両の始点と終点及び駐車場での状況に応じて決定されることができる。ある実施例において、ナビゲーションモジュールを使用して車両のために路線を計画することができる。これらの路線はユーザの好みに応じて指定でき、例えば距離がより短い路線を選択できる。代替的な実施例において、渋滞を避ける傾向に基づいて該推奨運転路線を計画することもできる。このようにして、車両は各ユーザの様々なニーズに適合させることができ、本願の手段の適用範囲を効果的に拡大することができる。
【0022】
いくつかの実施例において、推奨運転路線には、左折、右折および/または直進からなるシーケンスが含まれることができる。例えば、
図3に示されるように、始点Aと終点Bとの間に図に示されるような運転路線Pを計画する。図に示されるシーンで、この運転路線Pは、[直進1、左折1、直進2、右折1及び直進3]というシーケンスを含む。図に示されるように、直進1は、点S
1から点S
2までの1回目の直進路線を示す。同様に、直進2は、点S
3から点S
4までの2回目の直進路線を示し、直進3は、点S
5から点S
6までの3回目の直進路線を示す。同様に、図から見られるように、左折1は、点L
1から点L
2までの1回目の左折路線を示し、右折1は、点R
1から点R
2までの1回目の右折路線を示す。このようなシーケンスを経て、車両は始点Aから終点Bまで走行することができる。
【0023】
図2に戻って参照すると、ブロック204で、車両の推奨運転路線での位置を特定する。推奨運転路線は左折、右折および/または直進からなるシーケンスであり得るため、車両の推奨運転路線での位置を特定するのは車両が該シーケンスのどのセグメントにあるかを判断することである。いくつかの実施例において、車両のナビゲーション情報或いは同期ロケーションマップ構築情報に基づいて、車両の推奨運転路線での位置を特定することができる。ナビゲーション情報は、グローバルポジショニングシステム(GPS)、北斗システム(BDS)、グロナスシステム(GLONASS)またはガリレオシステム(Galileo)を介して取得できる。同期ロケーションマップ構築(SLAM、Simultaneous localization and mapping)により、移動中の位置推定とマップに従って、車両にセルフポジショニングを行わせることができると同時に、セルフポジショニングに基づいてインクリメンタルマップを作成することによって、車両の自律的なポジショニングとナビゲーションを実現する。
図3を参照し、例えば、車両のナビゲーション情報或いはSLAM情報を介して車両が現在推奨運転路線でのC点にあると判断すると、車両が終点Bに到達するには、さらに3つのステップ、つまり[直進2、右折1及び直進3]が必要であると判断できる。
【0024】
図2を続けて参照し、ブロック206で、車両の位置が第1道路環境にあるかどうかを特定する。いくつかの実施例において、第1道路環境は、交差点、T字型の交差点、カーブ及び道路の終わりの中の1つまたは複数の道路環境を含むことができる。このように、本開示の実施例によるこのような自律駐車方法は様々な道路環境に適用される。それにより、該方法は様々な使用シーンに拡張されることができる。
【0025】
当業者は、任意の適切な方法によって車両の位置が第1道路環境にあるかどうかを特定することができることを理解すべきである。いくつかの実施例において、車両に取り付けられた画像収集装置を使用して画像処理モジュールを介して車両が該第1道路環境にあるかどうかを特定する。該画像収集装置は車両の各所望の位置に固定され、車両の周囲環境の画像情報を取得することができる。いくつかの実現化例では、これらの画像情報を受信した後、車両に関連する画像処理モジュールを使用してこれらの画像情報を認識することにより、車両が位置する環境は第1道路環境であるかどうかを判断する。例えば、画像処理モデルと予め記憶された履歴画像情報を比較することによって、車両環境を判断することができる。いくつかの実現化例では、道路の両側に標識がある場合に対しては、車両に取り付けられた画像収集装置によってこれらの標識を捕捉することで、車両が第1道路環境にあると直接特定することができる。これらの標識は、現在の道路が交差点であるのを示す道路標識、或いは前方が道路の終わりであるのを示す道路標識であり得る。他のいくつかの実現化例では、他の方法によって車両が位置する環境を判断してもよい。例えば、車両が位置する場所の路側機器から送信された指示情報を使用して、車両が第1道路環境にあるかどうかを判断することができる。
【0026】
図2に戻って参照すると、ブロック208で、車両が第1道路環境にあることが特定されたことに応じて、取得された第1道路環境の画像情報に基づいて、予め訓練された運転モデルに従って、車両の第1道路環境での運転トラックポイントを決定する。これは、深層学習畳み込みネットワークによって実現できる。
【0027】
いくつかの実施例において、運転モデルは、第1道路環境に関連する履歴画像及び第1道路環境に関連する人工運転路線に基づいて訓練されたものであり得る。畳み込みニューラルネットワークモデルでは、同じタイプの道路環境をセットとして使用するため、このセット内の運転トラックポイントはモデルの継続的な学習によって取得できる。例えば、左折に適する様々な道路環境を同じセットとして、事前の訓練プロセスでは、畳み込みニューラルネットワークモデルに様々な具体的な道路環境の画像及び該道路環境での人間による左折の具体的な運転トラックポイントを入力し、両方を関連付け、継続的な監視学習を通じて、畳み込みニューラルネットワークモデルが、同様な左折道路環境でどの運転トラックポイントを使用すべきかをわかることができる。訓練サンプルの増加に伴って、ニューラルネットワークモデルの出力結果がより正確になるため、ユーザの使用回数が増えるほど、モデルを訓練できるデータが増え、畳み込みニューラルネットワークモデルが更新され、それにより、以降の運転トラックポイントがより正確になる。
【0028】
本開示の実施例は様々な路線を直進、左折及び右折という3種の運転状態に区分し、モデルに異なる道路状況での3種の運転状態の路線計画能力を学習させ、次に、交差点の画像情報に基づいて判断し、適切な左折、右折或いは直進路線を選択する。このように、畳み込みネットワークは、1つの具体的な運転路線を学習するものではない。このようにして、運転路線と具体的な運転環境との紐付けの解除を実現できる。このため、車両が訪れたことのない駐車場に到着した場合、該駐車場で訓練を予め行うことを必要とせずに、本願の方法により、駐車前の自律運転を実現できる。
【0029】
本願の実施例の技術案によれば、運転路線を運転経路判断が必要な小さな走行環境と運転経路判断の必要がない直進環境に区分することで、ネットワークを訓練するためのデータを再収集する必要がなく、時間と材料のコストを削減するだけでなく、具体的な駐車場との紐付けを解除することができ、それにより、一般化度を向上させることができる。
【0030】
図4を参照すると、車両の
図3の位置Tでの例示的な判断プロセスを示す。車両が
図3の推奨運転路線での位置Tまで走行したとき、車両におけるカメラによって捕捉された画像情報に従って、車両が現在交差点の第1道路環境にあると判断する。ここで、畳み込みニューラルネットワークモデルは4つの分岐X
1、X
2、X
3及びX
4を出力し、3つの分岐X
2、X
3及びX
4はそれぞれ左折、直進及び右折の経路計画構造を出力し、他の分岐X
1は長さが1のベクトルを出力し、車両が現在交差点である第1道路環境にあるかどうかを示す。
図3における推奨運転路線のシーケンスを組み合わせて分かるように、車両が位置Tで行うべきなのは左折或いは直進操作ではなく、右折の操作である。畳み込みニューラルネットワークモデルは予め訓練された運転モデルに従って、最終的に前記車両の該位置Tでの右折の具体的な運転トラックポイントを決定することができる。
【0031】
いくつかの実施例において、車両の始点は、車両が自律駐車モードに入った時の位置である得る。これにより、車両が自動駐車モードに入ったと特定されれば、この時点で車両の位置を推奨運転路線の始点として設定する。このように、人間が別途入力或いは判断しなくても、駐車動作の自律性を向上させることができる。該推奨運転路線の終点は、車両の駐車に適した位置終点であり得る。代替的な実施例において、様々な手段によって決定できる車両を駐車できる場所であってもよく、具体的な手段は本願の実施例によって制限されない。
【0032】
いくつかの実施例において、車両の第1道路環境での運転トラックポイントは、左折運転トラックポイント、右折運転トラックポイント、または直線運転トラックポイントを含み得る。理解すべきこととして、ここでの左折或いは右折は様々な曲率半径の操舵行動を含む。例えば、道路環境が曲がる必要のある交差点である場合、該左折或いは右折は曲率半径が小さい行動であり得る。道路環境が交通ラウンドアバウトやトラックカーブなどのカーブである場合、該左折或いは右折は曲率半径が大きい行動であり得る。
【0033】
いくつかの実施例において、
図3に示されるように、隣接する2つの路線の間に一定の重なり部分が存在できる。例えば、直進1と左折1との間、つまり点L
1と点S
2の間の路線には一定の重なりが存在する。左折1と直進2との間、つまり点S
3と点L
2の間の路線には一定の重なりが存在する。直進2と右折1との間、つまり点R
1と点S
4の間の路線には一定の重なりが存在する。右折1と直進3との間、つまり点S
5と点R
2の間の路線には一定の重なりが存在する。各区間の間に重なり部分を設定することによって、分岐を切り替えて出力する際切り替えによる経路計画能力の低下を防ぐことができる。このようにして、自律駐車の路線計画能力を向上させることができる。
【0034】
いくつかの実施例において、車両が第2道路環境にあると特定されたことに応じて、運転トラックポイントが直線の運転トラックポイントであると決定することができる。いくつかの実施例において、第2道路環境は直進道路を含み得る。つまり、第1道路環境に属しない第2道路環境では、車両が直進操作を使用する。これにより、本願の手段によって、具体的な道路環境を運転路線判断が必要な第1道路環境及び運転路線判断の必要がない第2道路環境に分ける。第1道路環境では、道路環境の画像情報に基づいて、予め訓練された運転モデルに従って具体的な運転トラックを決定する。第2道路環境では、車両は現在の路線に従って直進し続けるだけでよい。
【0035】
図5は、本開示の内容による例示的な実施形態の自律駐車のための装置500を例示的に示すブロック図である。具体的に、該装置500は、自律駐車の推奨運転路線を決定するように配置される推奨運転路線決定モジュール502と、車両の推奨運転路線での位置を特定するように配置される位置特定モジュール504と、車両の位置が第1道路環境にあるかどうかを特定するように配置される第1道路環境特定モジュール506と、車両が第1道路環境にあることが特定されたことに応じて、取得された第1道路環境の画像情報に基づいて、予め訓練された運転モデルに従って、車両の第1道路環境での運転トラックポイントを決定するように配置される運転トラックポイント決定モジュール508と、を備える。
【0036】
いくつかの実施例において、第1道路環境特定モジュール506は、車両の周囲環境の画像情報を取得するように配置される画像情報取得モジュールを含み、前記第1道路環境特定モジュール506は、画像情報に基づいて、車両の位置が第1道路環境にあるかどうかを特定するように配置される。
【0037】
いくつかの実施例において、位置特定モジュール504は、車両のナビゲーション情報或いは同期ロケーションマップ構築情報に基づいて、車両の推奨運転路線での位置を特定するように配置される。
【0038】
いくつかの実施例において、推奨運転路線決定モジュール502は、車両の始点と終点に基づいて、自律駐車の推奨運転路線を決定するように配置される。
【0039】
いくつかの実施例において、車両の始点は車両が自律駐車モードに入った時の位置であり、終点は車両の駐車に適する位置である。
【0040】
いくつかの実施例において、運転モデルは第1道路環境に関連する履歴画像及び第1道路環境に関連する人工運転路線に基づいて訓練されたものである。
【0041】
いくつかの実施例において、車両の第1道路環境での運転トラックポイントは左折運転トラックポイント、右折運転トラックポイント、または直線運転トラックポイントを含む。
【0042】
いくつかの実施例において、推奨運転路線は左折、右折および/または直進からなるシーケンスを含む。
【0043】
いくつかの実施例において、第1道路環境は、交差点、T字型交差点、カーブ、および/または道路の終わりを含む。
【0044】
いくつかの実施例において、運転トラックポイント決定モジュール508は、車両が第2道路環境にあることが特定されたことに応じて、運転トラックポイントを直線の運転トラックポイントに決定するように配置される。
【0045】
いくつかの実施例において、第2道路環境は直進道路を含む。
【0046】
本願の実施例によれば、本願は、電子デバイスと可読記憶媒体をさらに提供する。
図6は、本開示の複数の実施例を実施できる電子デバイス600の模式的なブロック図である。
【0047】
図に示されるように、電子デバイス600は、読み取り専用メモリ(ROM)602に記憶されるコンピュータプログラム命令或いは記憶ユニット608からランダムアクセスメモリ(RAM)603にロードされるコンピュータプログラム命令に従って、様々な適切な動作と処理を実行することができる中央処理ユニット(CPU)601を含む。RAM603には、電子デバイス600の操作に必要な様々なプログラムとデータが記憶されることもできる。CPU601、ROM602及びRAM603はバス604によって互いに接続される。入力/出力(I/O)インターフェース605もバス604に接続される。
【0048】
電子デバイス600における複数の部材、例えば、キーボード、マウスなどの入力ユニット606、様々なタイプのモニター、スピーカーなどの出力ユニット607、ディスク、CDなどの記憶ユニット608、ネットワークカード、モデム、無線通信トランシーバーなどの通信ユニット609はI/Oインターフェース605に接続される。通信ユニット609は、電子デバイス600がインターネットなどのコンピュータネットワークおよび/または様々な電気通信ネットワークを介して他のデバイスと情報/データを交換することを可能にする。
【0049】
以上で説明される各プロセスと処理、例えば方法200は、処理ユニット601により実行することができる。例えば、いくつかの実施例において、方法200はコンピュータソフトウェアプログラムとして実現されることができ、有形化されて機械可読媒体、例えば記憶ユニット608に含まれる。いくつかの実施例において、コンピュータプログラムの一部或いは全部はROM602および/または通信ユニット609を介して電子デバイス600にロードおよび/またはインストールされる。コンピュータプログラムはRAM603にロードされてCPU601により実行される場合、上記で説明された方法200の1つまたは複数の動作を実行することができる。
【0050】
本開示は、方法、装置、システムおよび/またはコンピュータプログラム製品であってもよい。コンピュータプログラム製品は、本開示の各態様を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令が記憶されるコンピュータ可読記憶媒体を含み得る。
【0051】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスにより使用される命令を保持記憶することができる有形デバイスであってもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば電気記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光記憶デバイス、電磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス或いは上記の任意の適切な組み合わせであってもよいが、これらに制限されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例(網羅的ではないリスト)は、ポータブルコンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピーディスク、機械的エンコードデバイス、例えば命令が記憶されたパンチカードまたは溝内の突起構造、及び上記の任意の適切な組み合わせを含む。ここで使用されるコンピュータ可読記憶媒体は、無線電波または他の自由に伝播される電磁波、導波路または他の伝達媒体を通って伝播される電磁波(例えば、光ファイバーケーブルを介した光パルス)、またはワイヤを通して伝達される電気信号などの一時的な信号自体であると解釈されるものではない。
【0052】
ここで説明されるコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体から各計算/処理デバイスにダウンロードされ、或いはネットワーク、例えばインターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワークおよび/またはワイヤレスネットワークを介して外部コンピュータまたは外部記憶デバイスにダウンロードされることができる。ネットワークは、銅製伝送ケーブル、光ファイバー伝送、ワイヤレス伝送、ルーター、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、および/またはエッジサーバーを含み得る。各計算/処理デバイスにおけるネットワークアダプターカード或いはネットワークインターフェースはネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、且つ該コンピュータ可読プログラム命令を転送し、各計算/処理デバイスにおけるコンピュータ可読記憶媒体に記憶される。
【0053】
本開示の操作を実行するためのコンピュータプログラム命令は、アセンブリ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械関連命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、または1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード、またはオブジェクトコードであってよく、前記プログラミング言語は、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向のプログラミング言語と、C言語または類似のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む。コンピュータ可読プログラム命令は、完全にユーザコンピュータで、或いは部分的にユーザコンピュータで、或いはスタンドアロンのソフトウェアパッケージとして、或いは一部をユーザコンピュータで一部をリモートコンピュータで、或いは完全にリモートコンピュータまたはサーバーで、実行できる。リモートコンピュータに関する場合、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)などの任意の種類のネットワークを介してユーザコンピュータに接続でき、或いは、外部コンピュータ(例えばインターネットサービスプロバイダーを使用してインターネットを介して接続する)に接続できる。いくつかの実施例において、コンピュータ可読プログラム命令のステータス情報を使用して、プログラマブルロジック回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)またはプログラマブルロジック配列(PLA)などの電子回路をパーソナライズすることで、該電子回路はコンピュータ可読プログラム命令を実行することができ、それにより、本開示の各態様を実現する。
【0054】
ここで、本開示の実施例による方法、装置(システム)及びコンピュータプログラム製品のフローチャートおよび/またはブロック図を参照して本開示の各態様を説明した。理解すべきものとして、フローチャートおよび/またはブロック図の各ブロック及びフローチャートおよび/またはブロック図の各ブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令により実現されることができる。
【0055】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置の処理ユニットに提供されることができ、それにより、これらの命令がコンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置の処理ユニットによって実行される時、フローチャートおよび/またはブロック図の1つまたは複数のブロックに規定している機能/動作を実現する装置を生成するようにする機器を製造する。これらのコンピュータ可読プログラム命令はコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよく、これらの命令によってコンピュータ、プログラマブルデータ処理装置および/または他のデバイスを特定の方法で作動させる。したがって、命令を記憶したコンピュータ可読媒体には、フローチャートおよび/またはブロック図の1つまたは複数のブロックに規定している機能/動作の各態様を実現する命令を含む製造品が含まれる。
【0056】
コンピュータ可読プログラム命令をコンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、または他のデバイスにロードすることもでき、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置または他のデバイスで一連の操作ステップを実行させ、コンピュータによって実現されるプロセスを生成し、それにより、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、または他のデバイスで実行される命令にフローチャートおよび/またはブロック図の1つまたは複数のブロックに規定している機能/動作を実現させる。
【0057】
図面のフローチャートとブロック図は、本開示の複数の実施例によるシステム、方法及びコンピュータプログラム製品の実現可能なシステムアーキテクチャ、機能及び操作を示す。この点で、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは1つのモジュール、プログラムセグメントまたは命令の一部を示し、前記モジュール、プログラムセグメントまたは命令の一部は規定しているロジック機能を実現するための1つまたは複数の実行可能な命令を含む。代替としていくかの実現化例において、ブロック内に記載される機能は図面に記載される順序と異なる順序で発生する場合がある。例えば、2つの連続するブロックは、実際には基本的に並行して実行することができ、関連する機能に応じて、逆の順序で実行することもできる。さらに注意すべきなのは、ブロック図および/またはフローチャートの各ブロック、及びブロック図および/またはフローチャートのブロックの組み合わせは、規定している機能または動作を実行するハードウェアに基づく専用のシステムを使用して実現することも、ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせを使用して実現することもできる。
【0058】
本願の実施例の技術案によれば、運転路線を運転経路判断が必要な小さな運転環境と運転経路判断の必要がない直進環境に分けて、車両が新しい駐車場に到着した場合、該駐車場の駐車路線を再学習することなく記憶された運転シーケンスを置き換えるだけで済み、このような手段は簡単且つ便利であり、大量生産も容易である。
【0059】
理解すべきなのは、上記に示される様々な形態のプロセスを使用して、ステップを並べ替え、追加または削除できる。例えば、本願に記載された各ステップは、本願に開示される技術案の所望結果が達成できる限り、並行に、順番に、または異なる順序で実行されてもよく、本文はここでは限定しない。
【0060】
上記の具体的な実施形態は、本願の特許範囲を限定するものではない。当業者は、設計要件及び他の要因に応じて、様々な修正、組み合わせ、サブ組み合わせ、及び置換を行うことができると理解すべきである。本願の精神及び原則を逸脱しない範囲で行われる補正、均等な置換、改良などはすべて本願の特許範囲に含まれるべきである。
【外国語明細書】