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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020076
(43)【公開日】2022-02-01
(54)【発明の名称】リザーバタンク
(51)【国際特許分類】
   B60T 11/26 20060101AFI20220125BHJP
   F15B 1/26 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
B60T11/26 Z
F15B1/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020109926
(22)【出願日】2020-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】315019735
【氏名又は名称】日立Astemo上田株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】502135945
【氏名又は名称】上田プラスチック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】下園 責平
(72)【発明者】
【氏名】横島 良明
(72)【発明者】
【氏名】真島 一弘
【テーマコード(参考)】
3D047
3H086
【Fターム(参考)】
3D047BB38
3D047CC23
3D047CC36
3H086AA27
3H086AB03
3H086AE24
3H086AE25
3H086AE50
(57)【要約】
【課題】接続コネクタのレイアウトの自由度を高めることできるリザーバタンクを提供する。
【解決手段】リザーバタンク1であって、液体の貯留室が形成された本体部10と、本体部10の外面に突設された接続コネクタ20と、接続コネクタ20の先端面から貯留室の内面に貫通している流通路30と、を備えている。接続コネクタ20の基端部の外面には、第一面25と、第一面25の先端側に配置された第二面26と、が形成されている。第二面26は第一面25の先端縁部25aよりも接続コネクタ20の軸心側に配置され、第一面25の先端縁部25aと第二面26の基端縁部26bとの間の段差面27には、接続コネクタ20の先端側に突出したマーク28が形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液体の貯留室が形成された本体部と、
前記本体部の外面に突設され、連結ホースが接続される接続コネクタと、
前記接続コネクタの先端面から前記貯留室の内面に貫通している流通路と、を備え、
前記接続コネクタの基端部の外面には、
第一面と、
前記第一面の先端側に配置された第二面と、が形成されており、
前記第二面は前記第一面の先端縁部よりも前記接続コネクタの軸心側に配置され、
前記第一面の先端縁部と前記第二面の基端縁部との間の段差面には、前記接続コネクタの先端側に突出したマークが形成されていることを特徴とするリザーバタンク。
【請求項2】
請求項1に記載されたリザーバタンクであって、
前記マークは、段差面から前記接続コネクタの先端側に向かうに連れて横幅が狭くなるように形成されていることを特徴とするリザーバタンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リザーバタンクに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の液圧装置に用いられる合成樹脂製のリザーバタンクは、ブレーキ液の貯留室が形成された本体部と、本体部の外面に突設された接続コネクタと、接続コネクタの先端面から貯留室の内面に貫通している流通路と、を備えている。このようなリザーバタンクでは、接続コネクタに連結ホースの端部を嵌めることで、貯留室内のブレーキ液を連結ホースを介して液圧装置に供給できる。
【0003】
従来のリザーバタンク100としては、図5に示すように、接続コネクタ20の基端部21の外面に、連結ホースの端部との位置決め用の三角形のマークMを凹凸形状によって形成しているものがある(例えば、特許文献1参照)。この構成では、連結ホースのマークと、接続コネクタ20の基端部21のマークMとが一致するように、連結ホースの端部の向きを調整することで、リザーバタンク1と液圧装置との間に連結ホースを予め設定した通りにレイアウトすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-280232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記した従来のリザーバタンク100を射出成形したときには、マークMを形成するための金型50を、接続コネクタ20の軸方向に直交する方向に分割して移動させなければならない。しかしながら、金型50を接続コネクタ20の軸方向に直交する方向に移動させるためには、本体部10のフランジ部12aや他の接続コネクタに金型50が干渉しないように構成する必要がある。したがって、従来のリザーバタンク100では、接続コネクタ20のレイアウトが制限される。
【0006】
本発明は、前記した問題を解決し、接続コネクタのレイアウトの自由度を高めることできるリザーバタンクを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、リザーバタンクであって、内部に液体の貯留室が形成された本体部と、前記本体部の外面に突設され、連結ホースが接続される接続コネクタと、前記接続コネクタの先端面から前記貯留室の内面に貫通している流通路と、を備えている。前記接続コネクタの基端部の外面には、第一面と、前記第一面の先端側に配置された第二面と、が形成されている。前記第二面は前記第一面の先端縁部よりも前記接続コネクタの軸心側に配置され、前記第一面の先端縁部と前記第二面の基端縁部との間の段差面には、前記接続コネクタの先端側に突出したマークが形成されている。
【0008】
本発明のリザーバタンクでは、マークを段差面から接続コネクタの軸方向に突出させることで、接続コネクタの基端部にマークを設けている。これにより、基端部の第一面を成形した金型を接続コネクタの先端側に移動させることができる。このように、金型を接続コネクタの軸方向に移動させた場合には、金型が接続コネクタの周辺部位に干渉しないため、接続コネクタのレイアウトの自由度を高めることできる。
【0009】
前記したリザーバタンクの前記マークは、段差面から前記接続コネクタの先端側に向かうに連れて横幅が狭くなるように形成してもよい。この場合には、マークを明瞭に認識することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のリザーバタンクでは、接続コネクタの基端部の第一面を射出成形した金型を、接続コネクタの軸方向に移動させて外すことができるため、接続コネクタのレイアウトの自由度を高めることできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るリザーバタンクを示した側面図である。
図2】本発明の実施形態に係るリザーバタンクを示した正面図である。
図3】本発明の実施形態に係るリザーバタンクの製造工程において、接続コネクタを射出成形する段階を示した側面図である。
図4】本発明の実施形態に係るリザーバタンクの製造工程において、接続コネクタから金型を外す段階を示した側面図である。
図5】従来のリザーバタンクの製造工程において、接続コネクタから金型を外す段階を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態では、本発明のリザーバタンクを車両用ブレーキシステムの液圧装置のリザーバタンクに適用した場合を例として説明する。
【0013】
本実施形態のリザーバタンク1は、図1に示すように、内部にブレーキ液の貯留室11が形成された本体部10と、本体部10の側面に突設された接続コネクタ20と、接続コネクタ20から貯留室11に貫通している流通路30と、を備えている。
リザーバタンク1は、合成樹脂製の容器であり、複数の金型を用いた射出成形によって形成されている。
【0014】
本体部10は、内部空間が形成された貯留部12と、貯留部12の上側開口部を閉塞している蓋部13と、を備えている。
貯留部12は、筒状の周壁部12bと、周壁部12bの下側開口部を閉塞している底板12cと、を備えている。
貯留部12の内部空間は、貯留室11となる空間であり、貯留室11は貯留部12の上面に開口している。貯留部12の上縁部には、外側に突出したフランジ部12aが全周に亘って形成されている。
【0015】
蓋部13は、貯留部12の上面に重ねられる板状の部材であり、外側に突出したフランジ部13aが全周に亘って形成されている。蓋部13は、貯留部12の上面に固着されている。蓋部13のフランジ部13aは、貯留部12のフランジ部12aの上面に重ねられている。
【0016】
接続コネクタ20は、貯留部12の周壁部12bの外面の下部から斜め下向きに突出している。接続コネクタ20は、貯留部12の周壁部12bの外面から突出した基端部21と、基端部21の先端面24から突出した差込部22と、を備えている。
【0017】
基端部21には、図2に示すように、平坦な上面23と、接続コネクタ20の軸方向L1を法線方向とする先端面24と、が形成されている。
基端部21の上面23には、第一面25と、第一面25の先端側に配置された第二面26と、第一面25と第二面26との間の段差面27と、段差面27から先端側に突出したマーク28と、が形成されている。
【0018】
第一面25は、貯留部12の周壁部12bの外面に連続している平面である。第一面25は、図1に示すように、接続コネクタ20の軸方向L1に直交する方向を法線方向としており、接続コネクタ20の軸方向L1に沿って形成されている。
【0019】
第二面26は、第一面25の先端側に配置された平面である(図2参照)。第二面26は、第一面25は、接続コネクタ20の軸方向L1に直交する方向を法線方向としており、接続コネクタ20の軸方向L1に沿って形成されている。
【0020】
第二面26は、第一面25の先端縁部25aよりも接続コネクタ20の軸心側に配置されている。つまり、第二面26の基端縁部26bは、接続コネクタ20の軸方向L1に直交する方向において、第一面25の先端縁部25aよりも内側に配置されている。本実施形態では、第二面26が第一面25よりも低く形成されている。
【0021】
第一面25の先端縁部25aと第二面26の基端縁部26bとの間には、接続コネクタ20の軸方向L1を法線方向とする段差面27が形成されている。段差面27は、図2に示すように、横方向に延びている帯状の平面である。
【0022】
段差面27の幅方向の中央部には、接続コネクタ20の先端側に突出したマーク28が形成されている。マーク28は、段差面27から接続コネクタ20の先端側に向かうに連れて横幅が狭くなる三角形状に形成されている。言い換えると、段差面27から接続コネクタ20の先端部に向かうに連れて幅が狭くなるように尖った形状(略V字形状)のマーク28が段差面27に一体的に形成されている。
マーク28は、図1に示すように、接続コネクタ20の軸方向に直交する方向において、第一面25の先端縁部25aよりも外側に突出していない。つまり、マーク28は、第一面25と同一平面上に形成されている。
【0023】
なお、マーク28は、第一面25全体よりも外側に突出しないように設計されているが(図3参照)、射出成形した後に樹脂材料の収縮により、第一面25の一部がマーク28の外面よりも窪んでいる場合がある。
【0024】
差込部22は、基端部21の先端面24の中心部から先端側に向けて突出した円筒状の部位である。差込部22の先端部には、拡径された抜け止め部22aが形成されている。
【0025】
差込部22は、図2に示すように、連結ホース40の端部が嵌められる部位である。つまり、連結ホース40の端部の穴部に差込部22が差し込まれる。連結ホース40は、先端面が基端部21の先端面24に当接するまで、差込部22に対して押し込まれる。
【0026】
そして、連結ホース40の端部の外周面に設けたマーク41と、接続コネクタ20の基端部21に設けたマーク28とが接続コネクタ20の軸方向L1に並ぶように、連結ホース40の端部の向きを調整する。このように、連結ホース40のマーク41を、接続コネクタ20の基端部21のマーク28に一致させることで、リザーバタンク1と液圧装置との間に、連結ホース40を予め設定した通りにレイアウトすることができる。
【0027】
流通路30は、図1に示すように、接続コネクタ20の軸方向L1に沿って、接続コネクタ20の先端面から貯留室11の内面に貫通している流路である。差込部22に連結ホース40の端部を嵌めることで、貯留室11内のブレーキ液が連結ホース40を介して液圧装置に供給される。
【0028】
リザーバタンク1を射出成形するときには、図3に示すように、接続コネクタ20の先端側を成形する第一金型51と、接続コネクタ20の基端側を成形する第二金型52と、を用いて接続コネクタ20を成形している。
【0029】
第一金型51によって、差込部22と、基端部21の第二面26およびマーク28と、が成形される。第一金型51は、接続コネクタ20の軸方向L1に直交する方向に分割可能であるとともに、接続コネクタ20の軸方向L1に移動可能である。
【0030】
第二金型52によって、基端部21の第一面25と、本体部10の側面およびフランジ部12aと、が成形される。第二金型52は、接続コネクタ20の軸方向L1に移動可能である。
【0031】
リザーバタンク1を射出成形した後は、第一金型51を接続コネクタ20の軸方向に直交する方向に僅かに移動させて、差込部22から離間させる。これにより、第一金型51が差込部22の抜け止め部22aよりも外側に配置される。そして、第一金型51を接続コネクタ20の軸方向L1の先端側に移動させることで、接続コネクタ20から第一金型51を外す。
その後、図4に示すように、第二金型52を接続コネクタ20の軸方向L1の先端側に移動させることで、接続コネクタ20から第二金型52を外す。
【0032】
以上のようなリザーバタンク1では、図2に示すように、接続コネクタ20のマーク28を基端部21の段差面27から接続コネクタ20の軸方向L1の先端側に突出させている。これにより、接続コネクタ20の基端部21の上面23よりもマーク28を上方に突出させることなく、接続コネクタ20にマーク28を設けている。
なお、本実施形態では、マーク28が段差面27から接続コネクタ20の先端側に向かうに連れて横幅が狭くなる三角形状に形成されているため、マーク28を明瞭に認識することができる。
【0033】
本実施形態のリザーバタンク1では、図4に示すように、接続コネクタ20の基端部21の第一面25を射出成形した第二金型52を、接続コネクタ20の軸方向L1の先端側に移動させて外すことができる。
このように、第二金型52を接続コネクタ20の軸方向L1に移動させた場合には、第二金型52が接続コネクタ20の周辺部位に干渉しないため、接続コネクタ20のレイアウトの自由度を高めることできる。例えば、接続コネクタ20の近くに他の接続コネクタを設けたり、スイッチなどの突起部を設けたりすることができる。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
本実施形態のリザーバタンク1では、図2に示すように、マーク28が段差面27から接続コネクタ20の先端側に向かうに連れて横幅が狭くなる三角形状に形成されているが、マーク28の形状は限定されるものではない。例えば、半円形状のマークや直線状のマークを形成してもよい。
【0035】
本実施形態では、本発明のリザーバタンクを車両用ブレーキシステムの液圧装置のリザーバタンクに適用した場合を例として説明しているが、本発明のリザーバタンクを適用可能な装置は限定されるものではない。
【符号の説明】
【0036】
1 リザーバタンク
10 本体部
11 貯留室
12 貯留部
12a フランジ部
12b 周壁部
12c 底板
13 蓋部
13a フランジ部
20 接続コネクタ
21 基端部
22 差込部
22a 抜け止め部
23 上面
24 先端面
25 第一面
25a 先端縁部
26 第二面
26b 基端縁部
27 段差面
28 マーク
30 流通路
40 連結ホース
41 マーク
51 第一金型
52 第二金型
図1
図2
図3
図4
図5