(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020095
(43)【公開日】2022-02-01
(54)【発明の名称】窓囲い装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/00 20060101AFI20220125BHJP
E06B 5/00 20060101ALI20220125BHJP
E04H 9/14 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
E06B9/00 Z
E06B5/00 Z
E04H9/14 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020123363
(22)【出願日】2020-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】515211935
【氏名又は名称】有限会社神明工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100180208
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 洋
(72)【発明者】
【氏名】北島 健晴
【テーマコード(参考)】
2E139
2E239
【Fターム(参考)】
2E139AA05
2E239AC04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】窓建具を外さないで簡単に、室内から容易かつ安全に、囲い板を取付作業できる窓囲い装置を提供する。
【解決手段】引き違い窓の両側の外壁6001に垂直に取付けた一組の溝形レール1002,1003に、複数の長方形の囲い板1001の両短辺を順次嵌め込み、前記溝形レールに沿って長辺を水平に囲い板を積み上げることにより前記引き違い窓の表面を囲う窓囲い装置であって、溝部の開口面が引き違い窓を挟んで対向している一組の溝形レールと、引き違い窓の開放状態における開放範囲に対面する表面に少なくとも2つの把手孔が設けられている囲い板を構成要素に含む装置を提供する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
引き違い窓の両側の外壁に垂直に取付けた一組の溝形レールに、複数の長方形の囲い板の両短辺を順次嵌め込み、前記溝形レールに沿って長辺を水平に囲い板を積み上げることにより前記引き違い窓の表面を囲う窓囲い装置において、
a)前記一組の溝形レールの溝部の開口面は、前記引き違い窓を挟んで対向していることと、
b)前記引き違い窓の開放状態において、その開放範囲に対面する前記囲い板の表面に少なくとも2つの把手孔が設けられていることと、
を特徴とする装置。
【請求項2】
前記引き違い窓は2枚建て窓であって、前記把手孔は前記囲い板のいずれかの短辺側に寄せて設けられていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記引き違い窓は4枚建て窓であって、前記把手孔は前記囲い板の中央に寄せて設けられていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記囲い板の長辺の端面となる天井面と底面とは、対となる実加工がされており、前記溝形レールに沿って、長辺を水平に、前記囲い板を積み上げときに上下の囲い板が接合して一体化されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記囲い板の短辺の端面となる側面は、反り止め加工されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記囲い板は、杉板であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
引き違い窓の両側の外壁に垂直に取付けた一組の溝形レールに、複数の長方形の囲い板の両短辺を順次嵌め込み、前記溝形レールに沿って、長辺を水平に、前記囲い板を積み上げることにより前記引き違い窓の表面を囲う窓囲い方法であって、
a)前記一組の溝形レールの溝部の開口面を、前記引き違い窓を挟んで対向させ、
b)前記引き違い窓の開放状態において、その開放範囲に対面する前記囲い板の表面に少なくとも2つの把手孔が設け、
c)前記一組の溝形レールの溝部間で前記囲い板の両短辺を回動させて、該両短辺を溝部に符合させ、さらに嵌合させ、この嵌合状態にある該囲い板を該溝部に沿って落とし込むことを繰り返し、取付を完了させることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓囲い装置に関し、特に室内から建具を外すことなく囲い板を設置できる窓囲い装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、窓囲いは、窓の周囲に設けたレール、溝等から構成される板ガイドに対して、利用者等が部屋の外から囲い板を操作して取付するのが通常であった。
このような外から囲い板を操作する作業方式では、高層階の部屋の窓の場合、取付作業の効率性と安全性の確保のため梯子等で足場を用意するなど工数が多大になる問題があった。
【0003】
また、囲い板自体の設計において、室内からの取付における操作性を考慮がなされていないという問題もあった。仮に低層階の部屋の窓であっても、室内から囲い板を操作して、囲い板を取付作業することは容易ではなかった。
【0004】
特許文献1には、囲い板を簡単に作業能率良く取り付けできる実用性に秀れた窓囲い板用取付金具が提案されている。
ここでは、金具固定手段により窓の左右側部に固定され、長さ方向にガイド溝を有する断面略コ字状に形成した構成の金具本体が記載されている。
この金具本体のガイド溝の対向する対向片部に囲い板を架設状態に挿通する板挿通孔を対向状態に対設し、この金具本体を窓の左右側部に一対互いのガイド溝の開口側を対向状態にして固定し、対向するガイド溝間に上方から囲い板を落とし込むことでこの囲い板を窓の外側に取り付けでき、且つこの金具本体を窓の左右側部に一対互いのガイド溝の対向片部側を対向状態にして固定し、対向するガイド溝の各対向片部に対設された板挿通孔に左右側方から囲い板を架設状態に挿通配設することで窓に対する囲いを完成させる構成が記載されている。
【0005】
しかしながら、囲い板の取付作業を室外から行うことを想定した構成であり、室内から容易かつ安全に取付作業を行えるものではなかった。
また、複数の囲い板同士は、単に上から順に積み重ねられるか、別個に挿通配設されているだけであり、完成した囲いの強度を上げるには、各囲い板の板厚を厚くする必要があった。そのため、強度を上げると各囲い板が重くなり、取付作業を難しくするという問題もあった。
さらには、水気に晒されるため、囲い板が反ってしまう問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明の課題は、窓建具を外さないで簡単に、室内から容易かつ安全に、囲い板を取付作業できる窓囲い装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点の発明では、引き違い窓の両側の外壁に垂直に取付けた一組の溝形レールに、複数の長方形の囲い板の両短辺を順次嵌め込み、前記溝形レールに沿って長辺を水平にして囲い板を積み上げることにより前記引き違い窓の表面を囲う窓囲い装置において、
a)前記一組の溝形レールの溝部の開口面は、前記引き違い窓を挟んで対向していることと、
b)前記引き違い窓を開放し、前記両短辺を前記溝形レールに符合させた状態で、前記引き違い窓の開放範囲に対面する前記囲い板の表面範囲に少なくとも2つの把手孔が設けられていることと、
を特徴とする装置が提供される。
ここで、把手孔を設ける位置を前記引き違い窓の開放範囲に対面する前記囲い板の表面範囲とすると、囲いの対象となる引き違い窓の開放範囲で、把手孔を把持する室内作業者の手が窓枠等の建具と干渉することなく、容易かつ安全に取付作業することができる。
【0009】
前記引き違い窓は2枚建て窓である場合、前記把手孔は前記囲い板のいずれかの短辺側に寄せて設けられている、としてもよい。
前記引き違い窓は4枚建て窓である場合、前記把手孔は前記囲い板の中央に寄せて設けられている、としてもよい。
囲い板取付の作業範囲となる開放範囲は、引き違い窓の種類によって異なるので、囲いの対象となる引き違い窓の種類に応じて把手孔の位置を上記のように開放範囲に対面するように設定して、囲い板を把持した状態で室内から開放範囲を通して屋外の溝形レールに符合させることができ、囲い板取付のための囲い板操作が容易かつ安全なものとなる。
【0010】
前記囲い板の長辺の端面となる天井面と底面とは、対となる実加工がされており、前記溝形レールに沿って、長辺を水平に、囲い板を積み上げたときに上下の囲い板が接合し一体化される、としてもよい。
囲い板を重ねて積み上げて囲いを完了した時に板の重みで上下の囲い板の重なり部分が実構造を形成し、重ねられた囲い板同士が一体化するので、実加工を採用した窓囲いは、単純に積み上げた窓囲いよりも強度を上げる効果がある。
そのため所望の強度を実現するために必要な板厚を薄くした囲い板を採用することが可能になり、囲い板の重量を軽くすることができる。
囲い板の重量を軽くすることは、囲い板の取付作業を容易かつ安全にする。
【0011】
前記囲い板の短辺の端面となる側面は、反り止め加工されている、としてもよい。
囲い板は、短辺を溝形レールで支えて、風雨に耐える目的のために木目が長辺方向に走るように切り出されているため、長辺と交差する短辺方向に反る傾向があるので、反り止め加工を囲い板の長軸の両端にあたる側面に行うことにより、雨が当たっても反り難い囲い板とすることができる。
【0012】
前記囲い板は、杉板である、としてもよい。
杉板は、引き違い窓を覆うに必要な長方形板を、台風等で想定される強度を確保しながら、操作しやすい重量とできるだけでなく、使用しない時に室内に置いた場合、香り効果を期待することができる。
よって、居住性を向上させると同時に、囲い板を室内に置くことによる取付容易性の向上を期待できる。
【0013】
本発明の第2の観点の発明では、引き違い窓の両側の外壁に垂直に取付けた一組の溝形レールに、複数の長方形の囲い板の両短辺を順次嵌め込み、前記溝形レールに沿って、長辺を水平に、前記囲い板を積み上げることにより前記引き違い窓の表面を囲う窓囲い方法であって、
a)前記一組の溝形レールの溝部の開口面を、前記引き違い窓を挟んで対向させ、
b)前記引き違い窓の開放状態において、その開放範囲に対面する前記囲い板の表面に少なくとも2つの把手孔が設け、
c)前記一組の溝形レールの溝部間で前記囲い板の両短辺を回動させて、該両短辺を溝部に符合させ、さらに嵌合させて、この嵌合状態にある該囲い板を該溝部に沿って落とし込むことを繰り返し、取付を完了させることを特徴とする方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、施工前の囲い窓装置の主要構成部材の概略を示した概略構成部材図である
【
図2】
図2は、囲い板の詳細を示した六面図である。
【
図3】
図3は、反り止め加工の構造を示した図である。
【
図4】
図4は、外壁への取付状態における位置関係の第1及び第2の溝形レールのみを抜き出して示した斜視図である。
【
図6】
図6は、溝形レールを外壁に固定した状態の外観を示した模式図である。
【
図8】
図8は、囲い板取付完了時における囲い窓装置の屋外からの外観を示した模式図である。
【
図9】
図9は、囲い窓装置を設置した部屋の窓周辺の囲い板取付前における室内からの外観を示した模式図である。
【
図10】
図10は、囲い板を取付する作業手順を示したフローチャートである。
【
図11】
図11は、囲い板を把持する態様を示した模式図である。
【
図12】
図12は、引き違い窓の開放範囲から溝形レールに挟まれた領域への移動の経過を室内からの視点で示した図である。
【
図13】
図13は、囲い板の短辺を溝部に符合・嵌合させるために両短辺を斜めに回転させる操作を屋外からの視点で示した模式図である。
【
図14】
図14は、囲い板を落とし込む操作の態様を屋外からの視点で示した模式図である。
【
図15】
図15は、上下に重なる囲い板の接合部に形成された実の断面図である。
【
図16】
図16は、施工前の囲い窓装置の主要構成部材の概略を示した概略構成部材図である。
【
図18】
図18は、囲い板取付完了時における囲い窓装置の屋外からの外観を示した模式図である。
【
図19】
図19は、囲い窓装置を設置した部屋の窓周辺の囲い板取付前における室内からの外観を示した模式図である。
【
図20】
図20は、囲い板の把持する態様を示した模式図である。
【
図21】
図21は、囲い板の短辺を溝部に符合・嵌合させるために両短辺を斜めに回転させる操作を屋外からの視点で示した模式図である。
【
図22】
図22は、囲い板を落とし込む操作の態様を屋外からの視点で示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に示す実施例は、本願発明の好適な実施の例を示したものであり、これに限定して本願発明が解釈されるものではない。
【実施例0016】
実施例1は、囲い窓装置を施工する対象を2枚建て引き違い窓とした場合の好適な実施の例である。
図1は、施工前の囲い窓装置の主要構成部材の概略を示した概略構成部材図である。囲い窓装置の主要構成部材は、7枚の囲い板1001、第1の溝形レール1002、第2の溝形レール1003そして6個の固定部材1004である。
固定部材としては金属板を略直角に折り曲げて成形したL型板を採用する。外壁に当てる面と溝形レールに当てる面のそれぞれにビス穴を設け、ビス付けにより外壁と第1及び第2の溝形レールとを所定の位置に固定する。
また、固定部材1004の個数は、6個とされているが、第1の溝形レールと第2の溝形レールとを窓両側の外壁に固定するための必要に応じて適宜変更されうる。
ここでの囲い板1001の枚数は、7枚とされているが、囲う対象の引き違い窓の高さと囲い板の短辺の長さとの比率に応じて適宜変更されうる。
【0017】
図2は、囲い板1001の詳細を示した六面図である。
正面
図2001は、引き違い窓への取付時において、室内から正対したときの正面を示した図である。長辺方向に木目が走る杉板から形成された長方形本体板2002に対して、その表面に2つの把手孔2003を設け、左右短辺に反り止め部付きスライダー2004、2005が取付けられている。
2つの把手孔の配置は、引き違い窓を構成する建具を上記正面左側に寄せて開放したときの開放範囲に、窓の両側外壁に固定された溝形レールに囲い板の両短辺を符合させたときの把手孔が収まる位置への配置である。
すなわち、取付作業や取外し作業において、把持する作業者の手が2枚建て窓の開放範囲に収まるように短辺に寄せて把手孔が設けられている。窓のいずれか片方に開放するタイプの引き違い窓への取付において、その開放範囲で囲い板を持つのにバランスの良い位置に手が入り・掴める場所に孔が設けられているのである。
【0018】
ここでは、室内から正対したときの右短辺に寄せて把手孔が設けられているが、本願発明の把手孔の位置はこれに限定されるものではなく、左短辺に寄せて設けられていてもよい。この場合、引き違い窓を構成する建具を上記正面右側に寄せて開放したときの開放範囲に、窓の両側外壁に固定された溝形レールに囲い板の両短辺を符合させたときの把手孔が収まる位置への配置となる。
【0019】
平面
図2006は、室内から正対したときの上部を俯瞰した状態を示した図である。上部に形成された雄実2007、長方形板本体2002の左右短辺の端部に設けた反り止め溝に左右の反り止め部付きスライダー2004、2005の反り止め部が差し込まれた反り止め加工2008、2009が示されている。
囲い板が雨に当たって短辺方向が反ることによる取付困難を防ぎ、簡単に取付できる状態を保つ効果がある。
【0020】
背面
図2010は、室外に対する背面を示した図である。長方形板本体2002に対して設けられた2つの把手孔2003は、貫通しており、屋外から正対したときには左右反転した外観となる。正面左の反り止め部材2004と正面右の反り止め部材2005も同様に外観上は左右反転して示される。
【0021】
底面
図2011は、室内から正対したときの下部を見上げたときの状態を示した図である。下部に形成された雌実2012、長方形板本体2002の左右短辺の端部に設けた反り止め溝に左右の反り止め部付きスライダー2004、2005の反り止め部が差し込まれた反り止め加工2008、2009が示されている。
【0022】
左側面
図2013は、室内から正対したときの左側面の状態を示した図である。長方形本体板2002の上部に設けられた雄実2007と、長方形本体板の下部に設けられた雌実2012と、が示されている。
右側面
図2014は、室内から正対したときの右側面の状態を示した図である。長方形本体板2002の上部に設けられた雄実2007と、長方形本体板の下部に設けられた雌実2012と、が示されている。
【0023】
図3は、反り止め加工2008の構造を示した図である。
分解
図3001に示すように、反り止め部付きスライダー2004は、スライダー部3002と反り止め部3003とから構成され、長方形本体2002の左短辺の端部には、反り止め溝3004が設けられている。
完成
図3005に示すように、反り止め部3003が反り止め溝3004に差し込み、ネジ3006を、スライダー部3002を貫通させて、長方形本体板にねじ込み、差し込みの抜け・ずれ止めして、反り止め加工2008が出来上がる。
長方形本体の右短辺の反り止め加工2009も、左右反転するだけで、同様の構造である。
ここで雄実2007及び雌実2012は、長方形本体板の短辺方向の縮みによる上下の反り止め部同士の干渉を防止するため両端から内側にオフセットさせてある。
【0024】
図4は、外壁への取付状態における位置関係の第1及び第2の溝形レールのみを抜き出して示した斜視図である。
第1の溝形レール1002には、第1の溝部4001が設けられ、第2の溝形レール1003には、第2の溝部4002が設けられている。ここで、点線の領域で示した第1の溝部の開口面4003と第2の溝部の開口面4004とは、対向している。 又、第1及び第2の溝部の下部には、最下部の囲い板を止め支えるストッパー4005及び本斜視図では見えないため破線で示したストッパー4006が設けられている。
ここで第1及び第2の溝部の開口幅は、反り止め部付きスライダーのスライダー部が嵌まり込み、スライドさせることができる一方で、組み込まれた囲い板のガタつきを抑えるように溝部の幅とスライダーの幅を調整する。
【0025】
図5、固定部材1004の斜視図である。
金属プレートを折り曲げ加工することにより、外壁接合面5001と溝形レール接合面5002とがほぼ直交する構造である。外壁接合面5001には、ビスで外壁に固定するためのビス穴5003を有している。溝形レール接合面5002には、溝形レールを接合するためのビス穴5004が設けられている。
溝形レール接合面5002の長さは、囲い対象の引き違い窓を構成する建具と干渉しないためのクリアランスに応じて適宜調整される。
【0026】
図6は、溝形レールを外壁に固定した状態の外観を示した模式図である。
外壁6001に対して、固定部材1004によって、第1の溝形レール1002と第2の溝形レール1003とが固定されている。固定部材と外壁との接合部及び第1、第2の溝形レールと固定部材の接合部は、ビス付けによって固定されている。
引き違い戸を構成する建具は、第1の窓サッシ6002及び第2の窓サッシ6003と雨戸6004とから構成されている。
また、最下部の囲い板を止め支えるストッパー4005がこの外観でも示される。一方で第2の溝形レールの溝部の下部に設けられているストッパー4006については、ブライドとなって見えていないので点線で示している。
【0027】
図7は、
図6におけるA-A‘断面の模式図である。
第1の窓サッシ6002と第2の窓サッシ6003と雨戸6004は、第1及び第2の溝形レール1002、1003の溝部を含む平面よりも部屋側に引っ込んでいるので、溝部の間に囲い板を嵌め込んでも干渉しない。
【0028】
図8は、囲い板取付完了時における囲い窓装置の屋外からの外観を示した模式図である。
外壁6001に固定部材1004によって固定された第1の溝形レール1002と第2の溝形レール1003とに囲い板1001を嵌め込み、上下に積み重ねて引き違い窓が囲われている。
ここでは、第1の溝形レール1002を外壁6001に固定する部分が隠れているが、手前に示された第2の溝形レール1003を固定する部分と左右対称に逆向きにして同様に固定されている。
【0029】
図9は、囲い窓装置を設置した部屋の窓周辺の囲い板取付前における室内からの外観を示した模式図である。
窓枠9001の内側に引き違い窓を構成する第1の窓サッシ6002と第2の窓サッシ6003が示されている。
取付前の囲い板1001が、窓枠9001の下部に設けられた板受け9002の上に重ねて置かれている。
囲い板の主要素材である杉板は、杉香り効果として知られる効果を有しているので、不使用時において室内に置くことにより、囲いのための取付を容易にするだけでなく、快適性を向上させることも期待できる。
【0030】
図10は、囲い板を取付する作業手順を示したフローチャートである。
作業を開始すると、まず把持ステップ10001において、作業者は、室内に置かれていた囲い板のいずれかの把手孔を把持する。
図11は、囲い板を把持する態様を示した模式図である。作業者11001が、右手11002と左手11003とで把手孔2003を把持する態様が示されている。ここで違い窓の窓サッシ6002、6003と雨戸6004は正対する作業者から見て左側に寄せて開放されており、この開放範囲11004に対面する前記囲い板1001の表面範囲に2つの把持孔2003が設けられている。
【0031】
移動ステップ10002において、作業者は、把持した囲い板を引き違い窓の開放範囲を通過させて溝形レールに挟まれた領域へ移動させる。
図12は、引き違い窓の開放範囲から溝形レールに挟まれた領域への移動の経過を室内からの視点で示した図である。12001は、把持した囲い板1001を開放範囲11004から屋外へ通過させる過程の態様の模式図であり、12002は、通過後の囲い板1001と開放範囲11004との位置関係を示した模式図である。
作業者は、把手孔を保時するときに安定する正対する位置に保持したまま囲い板1001を開放範囲11004から屋外へ通過させることができる。
【0032】
符合・嵌合ステップ10003において、作業者は、両短辺を斜めに回転させて、両短辺を溝形レールの溝部に符合させて、さらに反転させて溝部に嵌合させる。
図13は、囲い板の短辺を溝部に符合・嵌合させるために両短辺を斜めに回転させる操作を屋外からの視点で示した模式図である。
13001は、左右の溝部に挟まれた平面内に囲い板を入れるため、スライダー部2004及び2005から構成された短辺を斜めに回転させて、左右溝形レール1002、1003の溝部に囲い板1001の短辺を構成するスライダー部を符合させたときの囲い板と溝形レールとの関係を示した模式図である。
13002は、左右の溝部に挟まれた平面内において、囲い板を反転させ水平に戻し、左右の溝部に囲い板1001の短辺を構成するスライダー部を嵌合させた態様を示した模式図である。
ここで把手孔を把持する作業者の手は、図の明瞭性を確保するために省略しているが、回転操作において引き違い窓の開放範囲11004の範囲に把手孔2003が収まっており、作業者の手が建具や窓枠と干渉することなく、安全かつ容易に両短辺を溝形レールに符合・嵌合させる操作ができる。
【0033】
落とし込みステップ10004において、作業者は、両短辺を嵌合させた囲い板を落とし込む。
図14は、囲い板を落とし込む操作の態様を屋外からの視点で示した模式図である。
14001は、符合・嵌合ステップにおいて嵌合させた囲い板1001を溝形レールのストッパーの位置14003まで落とし込んだ状態を示した模式図である。
14002は、後で説明する囲い板取付の繰り返しにおいて、2枚目の囲い板を落とし込んだ状態を示した図である。2枚目は、その下部の雌実が1枚目の囲い板の上部に設けられた雄実に接合して重なるまで落とし込まれる。3枚目以降の囲い板も、これと同様に、前の囲い板の上部に設けられた雄実に接合して重なるまで落とし込まれる。
ここで、いずれの落とし込み操作においても、把手孔は、引き違い窓の開放範囲11004の範囲に把手孔2003が収まっており、作業者の手が建具や窓枠と干渉することなく、安全かつ容易に両短辺を溝形レールに符合させる操作ができる。
【0034】
完了判断ステップ10005において、作業者は、引き違い窓の囲いが十分であるか、否かの判断をする。
ここで、囲いが十分でなければ、把持ステップ10001からの作業を繰り返す。
囲いが十分であれば、ここで囲いが完了となる。
先に説明した
図8は、このような作業の繰り返しにより所定の枚数の囲い板が落とし込まれて重なり、窓囲いが完了した状態の態様を示したものである。
【0035】
図15は、上下に重なる囲い板の接合部に形成された実の断面図である。
直前に落とし込まれた囲い板15001に重ねて次の囲い板15002が落とし込まれている。下の囲い板の雄実15003と上の囲い板の雌実15004とが密着し、実が形成されている。
ここで、囲い板を積み上げた時の重みで上下の板が実によって一体化する。また、木材は、雨が当たるとより強く密着する性質がある。その結果として、積み重なって形成された囲い全体の強度が上がる。一定の強度を保ったまま、各囲い板の厚さを薄くできるので、強度と軽量化による容易操作性とが両立可能である。
以上のように、どのようなタイプの引き違い窓を囲いの対象とするにしても、その開放範囲に収まるように把手孔が設けることによって、窓建具を外さないで簡単に、室内から容易かつ安全に、囲い板を取付作業できる窓囲い装置とすることができる。