(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020116
(43)【公開日】2022-02-01
(54)【発明の名称】エレベーター警報システムおよびエレベーター警報方法
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20220125BHJP
B66B 3/02 20060101ALI20220125BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
B66B5/00 D
B66B3/02 Z
B66B3/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020123412
(22)【出願日】2020-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】森下 真年
(72)【発明者】
【氏名】永石 英幸
(72)【発明者】
【氏名】馬場 理香
(72)【発明者】
【氏名】溝口 崇子
(72)【発明者】
【氏名】小平 法美
(72)【発明者】
【氏名】大西 友治
【テーマコード(参考)】
3F303
3F304
【Fターム(参考)】
3F303BA01
3F303CB01
3F303CB11
3F303DC25
3F303EA03
3F304BA22
3F304EA01
3F304EA05
3F304ED07
(57)【要約】
【課題】釣合い錘の距離を精度よく検出し、保守員に対して適切な発報を行うことのできるエレベーター警報システムおよびエレベーター警報方法を提供する。
【解決手段】昇降路内の移動体を検出するレーダー装置と、前記レーダー装置の検出結果に基づいて前記移動体の接近に対する警報を発する制御装置と、を備えたエレベーター警報システムにおいて、前記制御装置は、前記レーダー装置の受信信号に基づいて乗りかごの速度を特定するかご速度特定部と、前記かご速度特定部で特定した前記乗りかごの速度に基づいて釣合い錘の速度領域を抽出する釣合い錘速度領域抽出部と、前記釣合い錘速度領域抽出部で抽出した速度領域における前記レーダー装置の受信信号に基づいて、前記釣合い錘までの距離を推定する釣合い錘距離推定部と、前記釣合い錘距離推定部で推定した釣合い錘までの距離に基づいて警報を発するか否かを判定する判定部と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内の移動体を検出するレーダー装置と、前記レーダー装置の検出結果に基づいて前記移動体の接近に対する警報を発する制御装置と、を備えたエレベーター警報システムにおいて、
前記制御装置は、前記レーダー装置の受信信号に基づいて乗りかごの速度を特定するかご速度特定部と、前記かご速度特定部で特定した前記乗りかごの速度に基づいて釣合い錘の速度領域を抽出する釣合い錘速度領域抽出部と、前記釣合い錘速度領域抽出部で抽出した速度領域における前記レーダー装置の受信信号に基づいて、前記釣合い錘までの距離を推定する釣合い錘距離推定部と、前記釣合い錘距離推定部で推定した釣合い錘までの距離に基づいて警報を発するか否かを判定する判定部と、を有するエレベーター警報システム。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベーター警報システムにおいて、
バックグラウンド信号を抽出するバックグラウンド信号抽出部を、さらに有し、
前記釣合い錘距離推定部は、前記バックグラウンド信号抽出部で抽出した前記バックグラウンド信号を用いて、前記釣合い錘速度領域における受信信号のフィルタリングを行うことを特徴とするエレベーター警報システム。
【請求項3】
請求項2に記載のエレベーター警報システムにおいて、
前記バックグラウンド信号抽出部は、前記バックグラウンド信号として、前記釣合い錘の速度領域と同じ方向、かつ、前記釣合い錘の速度領域より速い領域における、前記レーダー装置の受信信号を抽出することを特徴とするエレベーター警報システム。
【請求項4】
請求項1に記載のエレベーター警報システムにおいて、
前記レーダー装置は、前記移動体の距離および速度を検出するミリ波レーダーで構成されることを特徴とするエレベーター警報システム。
【請求項5】
昇降路内の釣合い錘の接近に対して警報を発するエレベーター警報方法において、
レーダー装置の受信信号に基づいて、乗りかごの速度を特定するステップと、
特定した前記乗りかごの速度に基づいて、前記釣合い錘の速度領域を抽出するステップと、
抽出した速度領域における前記レーダー装置の受信信号に基づいて、前記釣合い錘までの距離を推定するステップと、
推定した前記釣合い錘までの距離に基づいて、警報を発するステップと、を有するエレベーター警報方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーター警報システムおよびエレベーター警報方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昇降路内でエレベーターの点検等を行う保守員の安全を確保するため、従来から様々な対策がなされてきた。良く知られている対策としては、昇降路内を移動する乗りかごや釣合い錘との距離を所定のセンサーで検出し、乗りかご等が所定の距離以下まで近づくと、保守員に警報を行ったり、乗りかご等を停止させたりするものである。
【0003】
例えば、特許文献1には、「エレベータの昇降路内を昇降する昇降体が所定の位置に至ったときに警報を発するエレベーターの警報装置において、外殻を形成する筐体と、前記筐体内に設けられ、前記昇降路内に配置された構造体に向ってレーザを照射するレーザ発信部と、前記構造体と前記レーザ発信部との距離を計測し、その計測した距離を表示する距離表示部とを有するレーザ距離計と、前記筐体内に設けられ、前記レーザ距離計で計測された距離が所定距離以下かどうか判別する判別部と、前記筐体に設けられ、前記判別部で前記所定距離以下と判別されたときに警報を発する警報部と、前記筐体を前記昇降路内の所定箇所に固定する固定手段とを備え、前記筐体及び前記固定手段を携帯可能な形状寸法に設定した」(特許文献の請求項1)ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、特許文献1に記載された従来技術は、レーザ距離計によって釣合い錘との距離を計測し、所定距離以下になったら警報を発するものである。しかし、レーザ発信部から照射されるレーザは、一箇所の設置で乗りかご、釣合い錘など複数の移動体を同時に検出することが難しく、複数個所の設置を実施する場合は、コストの増大を招く。人検知に使用されているレーダーを利用した場合、広範囲を監視し、複数の移動体を同時に検出できるため低コストで実現可能だが、乗りかごによって反射される強度が大きいため、釣合い錘によって反射される信号は埋もれてしまい、釣合い錘の距離を精度よく検出できない場合がある。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的は、釣合い錘の距離を精度よく検出し、保守員に対して適切な発報を行うことの可能なエレベーター警報システムおよびエレベーター警報方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、昇降路内の移動体を検出するレーダー装置と、前記レーダー装置の検出結果に基づいて前記移動体の接近に対する警報を発する制御装置と、を備えたエレベーター警報システムにおいて、前記制御装置は、前記レーダー装置の受信信号に基づいて乗りかごの速度を特定するかご速度特定部と、前記かご速度特定部で特定した前記乗りかごの速度に基づいて釣合い錘の速度領域を抽出する釣合い錘速度領域抽出部と、前記釣合い錘速度領域抽出部で抽出した速度領域における前記レーダー装置の受信信号に基づいて、前記釣合い錘までの距離を推定する釣合い錘距離推定部と、前記釣合い錘距離推定部で推定した釣合い錘までの距離に基づいて警報を発するか否かを判定する判定部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、釣合い錘の距離を精度よく検出し、保守員に対して適切な発報を行うことの可能なエレベーター警報システムおよびエレベーター警報方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態のエレベーター警報システムを構成する警報装置が設置される、エレベーターの概略構成を示す側面図である。
【
図2】実施例1に係るエレベーター警報装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】記憶部に記憶されたプログラムの機能を概念的に示すブロック図である。
【
図4】ミリ波レーダーで受信した昇降路内の移動体の速度と距離を示す図である。
【
図5】距離ごとの信号強度の分布について、釣合い錘の速度領域内における平均値でグラフ化したものであり、(a)はバックグラウンド信号によるフィルタリング前、(b)はバックグラウンド信号によるフィルタリング後、をそれぞれ示す。
【
図6】エレベーター警報システムのフローチャートである。
【
図7】実施例2に係るエレベーター警報システムの構成を示すブロック図である。
【
図8】実施例3に係るエレベーター警報システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るエレベーター警報システムの実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態のエレベーター警報システムを構成する警報装置が設置される、エレベーターの概略構成を示す側面図である。
図1に示すように、エレベーターは、昇降路7内に、移動体である乗りかご1及び釣合い錘2が配置されて構成される。乗りかご1と釣合い錘2とは主ロープ6で連結され、この主ロープ6は巻上機3に巻き掛けられ、この巻上機3によって駆動される。具体的には、主ロープ6は、一端が釣合い錘側ロープソケット8に固定され、下方に伸びた後に釣合い錘2で転向され上方に伸びて頂部プーリー5に至り、再び下方に伸びて巻上機3のシーブに巻き掛けられた後に上方に伸びて別の頂部プーリー5に至り、再び下方に伸びた後に乗りかご1のかご下プーリー4で転向され上方に伸びて他端が乗りかご側ロープソケット9に至る。したがって、乗りかご1が下降するとき釣合い錘2は上昇し、乗りかご1が上昇するとき釣合い錘2は下降する。
【0011】
なお、昇降路7の下方位置にはピット10が形成されており、このピット10において保守員が昇降路7内の機器の点検等を行う場合がある。また、乗りかご1の上に乗った状態で、保守員が昇降路7内の機器の点検を行う場合もある。以下では、保守員がピット10内で点検を行う場合を例に挙げて説明する。
【0012】
保守員がピット10内で点検を行う場合、エレベーター警報装置は、ピット10内の床面上に設置される。ただし、設置性を考慮すると、バッファ11上にエレベーター警報装置を設置するのが望ましい。ここで、バッファ11は、巻上機3のブレーキや非常止め装置の制動力で停止できない万一の場合でも、乗りかご1を受け止めて衝撃を吸収するための緩衝装置である。
【実施例0013】
図2は、実施例1に係るエレベーター警報装置12の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施例のエレベーター警報装置12は、昇降路7内の移動体を検出するレーダー装置13と、このレーダー装置13の検出結果に基づいて移動体の接近に対する警報を発する制御装置14と、で構成され、これらの装置がケーブルで接続されている。レーダー装置13は、ミリ波レーダー15と、アンプフィルタ部16と、ミリ波用プロセッサ部17と、を備えている。ミリ波レーダー15は、波長が1~10mmの電波を昇降路7の上方へ向けて発信するとともに、昇降路7内で反射された電波を受信するものである。このように、ミリ波レーダーを15用いることで、昇降路7内の移動体の距離および速度を同時に検知でき、10m以上の遠方まで電波が到達する。アンプフィルタ部16は、ミリ波レーダー15からの出力信号を増幅してフィルタにかけるものである。ミリ波用プロセッサ部17は、アンプフィルタ部16で処理された信号をデジタルに変換するものである。
【0014】
なお、本実施例では、レーダーとしてミリ波レーダーを用いたが、他のレーダーとして、マイクロ波レーダー、音波レーダー、超音波レーダー、光レーダーなどを用いても良い。レーダーは、カメラや赤外線などの他のセンサと比べて、耐環境性に優れており、昇降路7内の温度、湿度および明るさの変化、埃や塵の存在などに影響を受け難い利点があるため、センサのメンテナンスの手間やコストを低減することが可能である。しかし、昇降路7内では、乗りかご1の底面のH鋼などの凹凸に起因した脈動により、レーダーの反射が多重に発生する場合がある。こうした場合には、乗りかご1で反射された信号の強度と比べて、釣合い錘2で反射された信号は弱く、そのピークが検出し難い。
【0015】
そこで、本実施例に係るエレベーター警報システムでは、信号強度の最も大きな移動体を乗りかご1と特定した上で、その乗りかご1の速度に基づいて釣合い錘2の速度領域を抽出した後、当該速度領域におけるレーダー装置13の受信信号をフィルタリングし、釣合い錘の距離や速度を推定する。これにより、レーダー装置13の受信信号が乗りかご1と比べて弱い釣合い錘2についても、レーダー装置13からの距離や速度を精度良く推定でき、適切なタイミングで保守員に対して警報を発することが可能となる。
【0016】
以下、エレベーター警報システムの制御装置14について、具体的に説明する。本実施例の制御装置14は、
図2に示すように、プロセッサ部18と、記憶部19(メモリ)と、電源部20と、警報部21と、を備えている。
【0017】
プロセッサ部18は、レーダー装置13のミリ波用プロセッサ部17から出力された、送信信号と受信信号とによる変調信号(以下、ミリ波データと称する)の演算処理を行うものである。このプロセッサ部18は、2次元FFT(Fast Fourier Transform)を実行することで、測定対象物(乗りかご1や釣合い錘2)までの距離や速度を算出する。なお、2次元FFTによる距離および速度の算出方法については、周知の技術であるため、ここでは説明を省略する。
【0018】
記憶部19は、プロセッサ部18で信号処理されたデータ(判定結果)や、所定のプログラムを記憶するものである。制御装置14の機能は、記憶部19に記憶されたプログラムをプロセッサ部18が読み出して実行すること(ソフトウェア)により実行されても良いし、専用の回路等のハードウェアにより実行されても良いし、ソフトウェアとハードウェアが組み合わされて実現されても良い。
【0019】
また、警報部21は、例えばスピーカーなど、ピット10内の保守員に対して注意喚起を行うものである。さらに、電源部20は、プロセッサ部18および記憶部19に電源を供給するものである。
【0020】
図3は、記憶部19に記憶されたプログラムの機能を概念的に示すブロック図である。
図3に示すように、本実施例の制御装置14の記憶部19は、かご速度特定部22と、釣合い錘速度領域抽出部23と、バックグラウンド信号抽出部24と、釣合い錘距離推定部25と、判定部26と、を有している。
【0021】
かご速度特定部22は、レーダー装置13の受信信号に基づいて、乗りかご1の速度を特定するものである。
図4は、ミリ波レーダー15で受信した昇降路7内の移動体の速度と距離を示す図である。本実施例のかご速度特定部22は、
図4に示すように、受信信号のうち、乗りかご1からの反射波に相当するピークを検出することにより、乗りかご1までの距離、乗りかご1の速度および移動方向を特定する。
【0022】
釣合い錘速度領域抽出部23は、かご速度特定部22で特定した乗りかご1の速度に基づいて釣合い錘2の速度領域を抽出するものである。ここで、抽出される釣合い錘2の速度領域は、
図4示すように、乗りかご1の移動方向と逆方向かつ乗りかご1の速度と同一の値を中央値として、前後に一定の幅(例えば0.3m/s)を持った領域とすることにより、速度のばらつきに対応している。
【0023】
バックグラウンド信号抽出部24は、受信信号に含まれるノイズ(バックグラウンド信号)として、釣合い錘2の速度領域と同じ方向、かつ、釣合い錘2の速度領域より速い領域における、レーダー装置13の受信信号を抽出するものである。抽出するバックグラウンド信号領域は、乗りかご1に対応した信号強度の強い速度領域から離れた場所が望ましく、例えば
図4に示すように、釣合い錘2の速度領域の中央に対して2倍以上の速度の領域とする。
【0024】
釣合い錘距離推定部25は、バックグラウンド信号抽出部24で抽出したバックグラウンド信号を用いて、釣合い錘速度領域抽出部23で抽出した速度領域におけるレーダー装置13の受信信号をフィルタリングする。
図5は、距離ごとの信号強度の分布について、
図4に示す釣合い錘2の速度領域内における平均値でグラフ化したものであり、
図5(a)はバックグラウンド信号によるフィルタリング(補正)前、
図5(b)はバックグラウンド信号によるフィルタリング(補正)後、をそれぞれ示す。ここで、本実施例では、バックグラウンド信号領域における信号強度の平均値を距離ごとに算出し、このバックグラウンド信号の平均値を釣合い錘の速度領域から減算するフィルタリング方法を採用しているが、カルマンフィルタなど他のフィルタリング方法を採用しても良い。
図5(a)のようにフィルタリング前は、ピークが不明確であり釣合い錘2の距離を推定するのが困難であるのに対して、
図5(b)のようにフィルタリング後は、ピークが明確であり釣合い錘2の距離が推定可能となることが分かる。この釣合い錘距離推定部25は、釣合い錘2の距離とともに速度も推定できる。
【0025】
判定部26は、釣合い錘速度領域抽出部23で抽出された釣合い錘2の移動方向と、釣合い錘距離推定部25で推定された釣合い錘2までの距離と、に基づいて釣合い錘2の接近に対する警報を発するか否かを判定するものである。具体的には、釣合い錘2が接近方向に移動かつ所定距離以内のとき、判定部26が警報フラグをONにする。ここで、本実施例では、所定距離として、例えばピット10内のバッファ11上に設置されたレーダー装置13から釣合い錘2までの距離5mを採用している。また、判定部26は、かご速度特定部22で特定された乗りかご1までの距離および移動方向に基づいて、乗りかご1の接近に対する警報の要否も判定を行う。具体的には、乗りかご1が接近方向に移動かつ所定距離(例えば5m)以内のとき、判定部26が警報フラグをONする。
【0026】
図6は、本実施例に係るエレベーター警報システムのフローチャートである。
図6に示すように、ミリ波レーダー15の受信した信号が、レーダー装置13から制御装置14に入力される(ステップS101)。制御装置14のかご速度特定部22は、受信信号のピークを検出し(ステップS102)、このピークに基づいて、乗りかご1までの距離、乗りかご1の速度および移動方向を特定する(ステップS103)。
【0027】
次に、釣合い錘速度領域抽出部23は、乗りかご1の移動方向と反対方向を、釣合い錘2の移動方向として特定する(ステップS104)。その後、釣合い錘速度領域抽出部23は、乗りかご1と同じ速度を含む釣合い錘速度領域を抽出する(ステップS105)。一方、バックグラウンド信号抽出部24は、釣合い錘速度領域より速いバックグラウンド信号領域を抽出する(ステップS106)。そして、釣合い錘距離推定部25が、バックグラウンド信号を用いて釣合い錘速度領域をフィルタリングすることにより、釣合い錘2の距離および速度を推定する(ステップS107)。釣合い錘2がレーダー装置13へ接近する方向に移動し、かつ、釣合い錘2から所定距離以内のとき、判定部26は、警報フラグをONにする(ステップS108)。警報フラグがONになった場合、警報部21が保守員に対して、釣合い錘2の接近を知らせる警報を発する(ステップS110)。
【0028】
なお、判定部26は、ステップS103で特定された乗りかご1までの距離に基づいて、乗りかご1が保守員に接近する場合にも発報を行う。すなわち、乗りかご1がレーダー装置13へ接近する方向に移動し、かつ、乗りかご1から所定距離以内のときも、判定部26は警報フラグをONにし(ステップS109)、警報部21が警報を発する(ステップS110)。