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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020122
(43)【公開日】2022-02-01
(54)【発明の名称】除菌装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20220125BHJP
   F24F 9/00 20060101ALI20220125BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
A61L2/10
F24F9/00 A
F24F9/00 G
F24F7/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020123426
(22)【出願日】2020-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】520268609
【氏名又は名称】株式会社nexott
(74)【代理人】
【識別番号】100131406
【弁理士】
【氏名又は名称】福山 正寿
(72)【発明者】
【氏名】渕上 真生
【テーマコード(参考)】
3L058
4C058
【Fターム(参考)】
3L058BF04
4C058AA28
4C058BB06
4C058DD05
4C058EE01
4C058KK02
4C058KK12
4C058KK22
4C058KK23
(57)【要約】
【課題】人体および環境に優しく、かつ、確実に除菌可能な除菌装置を提供すること。
【解決手段】天井面22a、床面24a、および、側面26a,28aに、略205~230ナノメートルの波長の遠紫外線C波灯からなる除菌灯60,62,64を配置すると共に、開閉扉30,32に配置した掌除菌部34,36に、略205~230ナノメートルの波長の遠紫外線C波灯からなる除菌灯66を配置する。これにより、人Mが当該除菌装置1内を通過する際に、最も細菌やウィルスが付着し易い掌Lh,Rhを含め人Mの全身をほぼ隈なく除菌することができる。なお、除菌灯60,62,64,66が、略205~230ナノメートルの波長の遠紫外線C波灯であるため、細菌やウィルスを効果的に除去することができる一方、人体に害をもたらすことがなく、かつ、環境にも優しい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定雰囲気を維持するべき制限領域の出入り箇所に配置される除菌装置であって、
天井面を有する天井壁と、該天井面に対向する床面を有する床と、互いに対向する第1および第2側面を有し、前記天井壁および前記床を接続するよう互いに対向配置された第1および第2側壁と、前記天井壁、前記床、および、前記第1および第2側壁によって構成され前記出入り箇所側に配置される第1開口と、前記天井壁、前記床、および、前記第1および第2側壁によって構成され前記第1開口に対向配置される第2開口と、を有する箱体と、
略205~230ナノメートルの波長を有し、前記天井面、前記床面、および、前記第1および第2側面のそれぞれに少なくとも1つ配置された遠紫外線C波灯と、
を備える除菌装置。
【請求項2】
人の両掌を載置可能または翳すことが可能に、前記天井面と、前記床面と、前記第1および第2側面と、によって囲まれた領域内に配置された少なくとも1つの載置台をさらに備え、
前記遠紫外線C波灯は、前記載置台に配置されている
請求項1に記載の除菌装置。
【請求項3】
前記第1開口側に配置された開閉扉をさらに備え、
前記載置台は、前記開閉扉に配置されている
請求項2に記載の除菌装置。
【請求項4】
前記開閉扉を開閉制御する制御部と、
前記両掌を検知可能に前記載置台に配置された少なくとも1つのセンサと、
をさらに備え、
前記制御部は、前記センサによって前記両掌を検知してからの時間を計測し、該時間が所定時間となるまでは前記開閉扉を閉状態に制御し、前記時間が前記所定時間に達したときには前記開閉扉を開状態に制御する
請求項3に記載の除菌装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記両掌が前記載置台に適正に載置されているか否か、または、適正に翳されているか否かを判定し、適正に載置されている、または、適正に翳されていると判定されるまで前記時間の計測を行わない
請求項4に記載の除菌装置。
【請求項6】
前記両掌が前記載置台に適正に載置されていない、または、適正に翳されていないこと、および/または、前記両掌が前記載置台に適正に載置されている、または、適正に翳されていること、を報知する報知部をさらに備えている
請求項5に記載の除菌装置。
【請求項7】
前記領域内に配置された表示器をさらに備え、
前記表示器は、前記所定時間の経過状況を表示する
請求項4ないし6のいずれか1項に記載の除菌装置。
【請求項8】
前記表示器は、前記開閉扉に配置されている
請求項7に記載の除菌装置。
【請求項9】
前記床は、前記天井面に向けて隆起する隆起部を有しており、
該隆起部は、前記第1および第2側面間の略中央に配置されている
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の除菌装置。
【請求項10】
前記隆起部は、前記第2開口側から前記第1開口側に向かう方向において、少なくとも前記載置台の直前に配置されている
請求項9に記載の除菌装置。
【請求項11】
前記隆起部は、前記第1および第2開口間に亘って延在している
請求項9または10に記載の除菌装置。
【請求項12】
前記第1および/または第2側壁は、少なくとも1つの透光窓を有している
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の除菌装置。
【請求項13】
前記第2開口側には、エアーカーテン装置が配置されている
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の除菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定雰囲気を維持するべき制限領域の出入り箇所に配置される除菌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2014-66467号公報(特許文献1)には、除菌ガスが送出される除菌ガス送出領域と、当該除菌ガス送出領域に接続された空気送出領域と、を有し、クリーンルームなどの制限領域の出入り箇所に配置される除菌装置が記載されている。
【0003】
当該除菌装置は、制限領域に人が立ち入る際に通過する通路であり、人が除菌ガス送出領域を通過する際に、送出された除菌ガスによって人の髪や衣服などに付着したウィルスなどを除去し、空気送出領域を通過する際に、送出された空気によって人の髪や衣服などに付着した除菌ガスの成分や臭いを除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-66467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した公報に記載の除菌装置では、付着した除菌ガス成分を完全には落とすことができない。当該除菌ガスの成分としては、二酸化塩素や、アルコール、塩化セチルピリジニウム、塩化ジメチルジチルアンモニウムなどの他、添加剤や保存料などが含まれており、人体への影響という点において、改良の余地がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、人体および環境に優しく、かつ、確実に除菌可能な除菌装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る除菌装置の好ましい形態によれば、所定雰囲気を維持するべき制限領域の出入り箇所に配置される除菌装置が構成される。当該除菌装置は、箱体と、複数の遠紫外線C波灯と、を備えている。箱体は、天井壁と、床と、第1および第2側壁と、第1および第2開口と、を有している。天井壁は、天井面を有している。床は、天井面に対向する床面を有している。第1および第2側壁は、互いに対向する第1および第2側面を有している。また、第1および第2側壁は、天井壁および床を接続するように互いに対向配置されている。第1開口は、天井壁、床、および、第1および第2側壁によって構成されている。また、第1開口は、出入り箇所側に配置される。第2開口は、天井壁、記床、および、第1および第2側壁によって構成されている。また、第2開口は、第1開口に対向配置されている。そして、遠紫外線C波灯は、略205~230ナノメートルの波長を有しており、天井面、床面、および、第1および第2側面のそれぞれに少なくとも1つ配置されている。ここで、本発明における「制限領域」は、典型的には、コンサートや展示会などを開催する催事場や、クリーン室などが、これに該当する。
【0008】
本発明によれば、天井面、床面、および、第1および第2側面に、略205~230ナノメートルの波長の遠紫外線C波灯が配置された除菌装置を、所定雰囲気を維持するべき制限領域の出入り箇所に配置するため、当該除菌装置を人が通過する際に、細菌やウィルスを効果的に除去することができる。しかも、人体に害をもたらすことがなく、かつ、環境にも優しい。
【0009】
本発明に係る除菌装置の更なる形態によれば、人の両掌を載置可能または翳すことが可能に、天井面と、床面と、第1および第2側面と、によって囲まれた領域内に配置された少なくとも1つの載置台をさらに備えている。そして、遠紫外線C波灯は、載置台に配置されている。
【0010】
本形態によれば、最も細菌やウィルスが付着し易い両掌を確実に除菌することができる。
【0011】
本発明に係る除菌装置の更なる形態によれば、第1開口側に配置された開閉扉をさらに備えている。そして、載置台は、開閉扉に配置されている。
【0012】
本形態によれば、載置台を配置するスペースを別途確保する必要がないため、省スペース化を図ることができる。
【0013】
本発明に係る除菌装置の更なる形態によれば、開閉扉を開閉制御する制御部と、
両掌を検知可能に載置台に配置された少なくとも1つのセンサと、をさらに備えている。そして、制御部は、センサによって両掌を検知してからの時間を計測し、該時間が所定時間となるまでは前記開閉扉を閉状態に制御し、前記時間が所定時間に達したときには開閉扉を開状態に制御する。
【0014】
本形態によれば、両掌の除菌が確実に完了するまでは、制限領域内に人を進入させることがないため、制限領域内に細菌やウィルスが持ち込まれることを確実に防止できる。
【0015】
本発明に係る除菌装置の更なる形態によれば、制御部は、両掌が載置台に適正に載置されているか否か、または、適正に翳されているか否かを判定し、適正に載置されている、または、適正に翳されていると判定されるまで時間の計測を行わない。
【0016】
本形態によれば、両掌の除菌作業をより確実に実施することができる。
【0017】
本発明に係る除菌装置の更なる形態によれば、両掌が載置台に適正に載置されていない、または、適正に翳されていないこと、および/または、両掌が載置台に適正に載置されている、または、適正に翳されていること、を報知する報知部をさらに備えている。
【0018】
本形態によれば、両掌が載置台に適正に載置されているか否か、または、両掌が載置台に適正に翳されているか否かについて、当該除菌装置内を通過する人に知らせることができる。
【0019】
本発明に係る除菌装置の更なる形態によれば、箱体内に配置された表示器をさらに備えている。そして、表示器は、所定時間の経過状況を表示する。
【0020】
本形態によれば、どの程度除菌作業が進んでいるかについて、当該除菌装置内を通過する人に視覚的に知らせることができる。
【0021】
本発明に係る除菌装置の更なる形態によれば、表示器は、開閉扉に配置されている。
【0022】
本形態によれば、表示器を配置するスペースを別途確保する必要がないため、省スペース化を図ることができる。
【0023】
本発明に係る除菌装置の更なる形態によれば、床は、天井面に向けて隆起する隆起部を有している。そして、当該隆起部は、第1および第2側面間の略中央に配置されている。
【0024】
本形態によれば、除菌装置内を人が通過する際に、両足の間に隆起部が配置された状態となるため、股の間まで確実に除菌することができる。
【0025】
本発明に係る除菌装置の更なる形態によれば、隆起部は、第2開口側から第1開口側に向かう方向において、少なくとも載置台の直前に配置されている。
【0026】
本形態によれば、除菌装置内を通過する人が、載置台に両掌を置いて当該両掌を除菌する際に、立ち止まった状態となるため、股の間の除菌をより効果的に行うことができる。
【0027】
本発明に係る除菌装置の更なる形態によれば、隆起部は、第1および第2開口間に亘って延在している。
【0028】
本形態によれば、第1開口から第2開口に亘って股の間の除菌を行うことができる。これにより、股の間の除菌をより一層効果的に行うことができる。
【0029】
本発明に係る除菌装置の更なる形態によれば、第1および/または第2側壁は、少なくとも1つの透光窓を有している。
【0030】
本形態によれば、除菌装置内を通過する際に感じる圧迫感を低減できる。
【0031】
本発明に係る除菌装置の更なる形態によれば、第2開口側には、エアーカーテン装置が配置されている。
【0032】
本形態によれば、除菌装置への入場のし易さを確保しながら、当該入口から細菌やウィルス、塵埃などが侵入することを抑制できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、人体および環境に優しく、かつ、確実に除菌可能な除菌装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の実施の形態に係る除菌装置1の構成の概略を示す構成図である。
図2】本発明の実施の形態に係る除菌装置1を入口21a側から見た説明図である。
図3図2のA-A断面を示す断面図である。
図4図3のB-B断面を示す断面図である。
図5】掌除菌部34,36を上方から見た平面図である。
図6図5のD-D断面を示す断面図である。
図7】ディスプレイ37を拡大して示す説明図である。
図8】除菌制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例0036】
本実施の形態に係る除菌装置1は、図1に示すように、所定雰囲気を維持するべき制限領域90の出入り箇所90aに配置され、当該制限領域90に入場する人Mの除菌を行う。除菌装置1は、図2および図3に示すように、人Mが通る通路を構成する本体2と、当該本体2の内側に取り付けられる複数の除菌灯60,62,64,66と、装置全体を制御する制御装置70と、を備えている。本体2は、本発明における「箱体」に対応する実施構成の一例である。
【0037】
本体2は、図2および図3に示すように、天井壁22と、当該天井壁22に対向配置された床24と、天井壁22および床24を接続する一対の側壁26,28と、当該一対の側壁26,28に支持された一対の開閉扉30,32と、を有している。本体2は、人Mが通過する方向の一方側から見た場合、略O字状を有している。即ち、本体2は、人Mが通過する方向に直交する一対の面が開口されて、入口21aおよび出口21bとされている。換言すれば、入口21aおよび出口21bは、天井壁22、床24および一対の側壁26,28によって構成されているということができる。入口21aは、本発明における「第2開口」対応し、出口21bは、本発明における「第1開口」に対応する実施構成の一例である。
【0038】
天井壁22は、図2および図3に示すように、床24側を向く天井面22aを有している。天井面22aは、上方(図2および図3の上側)に向かって凸となる曲面形状(球面形状)を有している。天井面22aには、エアーカーテン装置50、起動センサS1、停止センサS2、および、複数の除菌灯60が配置されている。エアーカーテン装置50は、天井面22aのうち入口21a側に配置されている。エアーカーテン装置50からのエアーAir(図1および図3参照)によって、入口21aから人Mと共に塵埃が侵入することが抑制される。なお、エアーカーテン装置50は、本実施の形態では、常時作動させておく構成とした。起動センサS1および停止センサS2は、例えば、赤外線やマイクロ波(電波)の反射により人Mの入場を検知するセンサを用いることができる。
【0039】
床24は、図2ないし図4に示すように、天井面22a側を向く床面24aを有している。また、床24は、図2および図3に示すように、中空に構成されており、内側に複数の除菌灯62が配置されている。床面24aは、一本の凸条24bを有している。凸条24bは、図3および図4に示すように、入口21a側から出口21b側に向かって、細長状に延在している。凸条24b内も中空となっている。床面24aの材質は、例えば、透光性を有するアクリル樹脂やポリカーボネートを用いることができる。なお、凸条24bの高さ(床面24aからの突出高さ)は、略20cm(人間の大人の踝の高さ)程度であることが好ましい。凸条24bは、本発明における「隆起部」に対応する実施構成の一例である。
【0040】
側壁26,28は、図2および図4に示すように、互いに向き合う側面26a,28aを有している。側面26a,28aは、外側、即ち、互いに離れる方向に向かって凸となる曲面形状(球面形状)を有している。換言すれば、本体2は、天井面22aおよび側面26a,28aによって構成されたドーム状の内面を有しているということができる。側面26a,28aには、複数の除菌灯64が配置されている。側壁26,28は、それぞれ本発明における「第1側壁」および「第2側壁」に対応し、側面26a,28aは、それぞれ本発明における「第1側面」および「第2側面」に対応する実施構成の一例である。
【0041】
また、側壁26,28は、図2ないし図4に示すように、それぞれ支柱26b,28bと、透光窓26c,28cと、を有している。支柱26b,28bは、側面26a,28aから互いに近づく方向に突出している。支柱26b,28bは、図3および図4に示すように、出口21b側に配置されている。
【0042】
開閉扉30,32は、図4に示すように、支柱26b,28bに回動可能に支持されている。開閉扉30,32は、図示しない駆動装置(例えば、モータなど)によって、先端(支柱26b,28b側とは反対側の端部)が互いに向かい合って略一直線上に配置される閉状態と、先端が制限領域90の出入り箇所90a側(入口21a側と反対側)を向いて互いに略平行に配置される開状態と、に状態を変更可能である。
【0043】
また、開閉扉30,32は、図2ないし図4に示すように、それぞれ掌除菌部34,36を有している。さらに、開閉扉32は、掌除菌部36の上方にディスプレイ37を有している。掌除菌部34,36は、開閉扉30,32のうち当該開閉扉30,32が閉状態となったときに入口21a側を向く面に配置されている。掌除菌部34,36は、本発明における「載置台」に対応する実施構成の一例である。
【0044】
掌除菌部34,36は、図5に示すように、掌Lh,Rhを載置可能または翳すための透光面34a,36aを有している。当該透光面34a,36aは、4つの隔壁34b1,34b2,34b3,34b4,36b1,36b2,36b3,36b4と、平面視略U字状を有する膨出部38,39と、を有している。
【0045】
隔壁34b1,34b2,34b3,34b4,36b1,36b2,36b3,36b4は、図5に示すように、人が掌Lh,Rhを透光面34a,36aに載置あるいは翳したときに、指間に配置される。膨出部38,39は、Lh,Rh掌の付け根(嘗底)側の縁部に沿う形状の凹み38a,39aを有している。
【0046】
また、掌除菌部34,36は、図6に示すように、透光面34a,36aの裏側、即ち、透光面34a,36aのうち隔壁34b1,34b2,34b3,34b4,36b1,36b2,36b3,36b4や膨出部38,39が設けられた側とは反対側が中空となっており、掌センサ40a,40b,40c,40d,40e,40fと、複数の除菌灯66と、が配置されている。掌センサ40a,40b,40c,40d,40e,40fには、図6に示すように(図6には、掌センサ40c,40fのみが記載されている)、例えば、近接センサを用いることができる。掌センサ40a,40b,40c,40d,40e,40fは、本発明における「センサ」に対応する実施構成の一例である。
【0047】
掌センサ40a,40b,40c,40d,40e,40fは、本実施の形態では、透光面34a,36aの裏側に取り付ける構成とした。掌センサ40a,40b,40c,40d,40eは、隔壁34b1,36b1と隔壁34b2,36b2との間、隔壁34b2,36b2隔壁34b3,36b3の間、隔壁34b3,36b3と隔壁34b4,36b4との間、膨出部38,39と隔壁34b1,36b1との間、および、隔壁34b4,36b4と膨出部38,39との間にそれぞれ配置されている。また、掌センサ40fは、隔壁34b1,34b2,34b3,34b4,36b1,36b2,36b3,36b4と膨出部38,39とによって囲まれた領域のほぼ中央、即ち、掌Lh,Rhのほぼ中央に配置されている。
【0048】
ディスプレイ37は、図7に示すように、掌除菌部34,36による掌Lh,Rhの除菌が適切に実施されているか否かを示すパフォーマンスインジケータ37aと、掌除菌部34,36による掌Lh,Rhの除菌時間の経過を示すタイムインジケータ37bと、を有している。パフォーマンスインジケータ37aは、本実施の形態では、人Mが掌除菌部34,36によって掌Lh,Rhの除菌を実施しているイラストを表示し、除菌が正常に実施されている場合には、掌除菌部34,36のイラスト部分を緑色に点灯させ、除菌が正常に実施されていない場合には、除菌実施状態が適切でない掌除菌部34,36のイラスト部分を赤色に点滅させる構成とした。また、タイムインジケータ37bは、本実施の形態では、6つのLEDライトを配置し、掌Lh,Rhの除菌が開始されてから1秒ごとに1つのLEDライトが点灯する構成とした。即ち、掌Lh,Rhの除菌に要する時間として6秒を設定し、掌Lh,Rhの除菌が完了したときに、6つのLEDライド全てが点灯する。ディスプレイ37は、本発明における「表示器」に対応する実施構成の一例である。
【0049】
除菌灯60,62,64,66は、略205~230ナノメートルの波長を有する遠紫外線C波灯である。略205~230ナノメートルの波長を有する遠紫外線C波灯は、人の皮膚の細胞を透過せず、人体には無害であり、かつ、細菌やウィルスを死滅させることができる。除菌灯60は、図2および図3に示すように、長手方向が人Mの進行方向(図2の紙面に垂直な方向、図3の左右方向)および鉛直方向(図2および図3の上下方向)に直交するように配置されている。除菌灯62は、図3および図4に示すように、長手方向が人Mの進行方向(図3の左右方向、図4の上下方向)に平行となるように配置されている。除菌灯64は、図2および図3に示すように、長手方向が鉛直方向(図2および図3の上下方向)に平行となるように配置されている。なお、除菌灯62は、図3に示すように、上下2段に配置する構成とした。除菌灯66は、図5に示すように、長手方向が指の延在方向と交差する(中指に直交する)ように配置されている。
【0050】
制御装置70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。制御装置70には、起動センサS1からの起動信号や、停止センサS2から停止信号、掌センサ40a,40b,40c,40d,40e,40fからの信号などが入力ポートを介して入力されている。また、制御装置70からは、開閉扉30,32の図示しない駆動装置(例えば、モータなど)への駆動信号や、ディスプレイ37への表示信号などが出力ポートを介して出力されている。
【0051】
次に、実施例の除菌装置1の動作、特に人Mを除菌する際の動作について説明する。図8は、実施例の除菌装置1の制御装置70によって実行される除菌制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、除菌装置1に人Mが入場したときに実行される。なお、除菌装置1に人Mが入場したか否かは、起動センサS1がONしたか否かにより判定することができる。
【0052】
除菌制御ルーチンが実行されると、制御装置70のCPU72は、まず、掌Lh,Rhの除菌が開始されたか否かの判定を行う処理を実行する(ステップS100)。ここで、掌Lh,Rhの除菌が開始されたか否かの判定は、本実施の形態では、掌センサ40a,40b,40c,40d,40e,40fのいずれか1つがONしたか否かを検知することにより行う構成とした。
【0053】
掌Lh,Rhの除菌が開始されたと判定した場合、CPU72は、掌Lh,Rhの除菌が適切であるか否かの判定を行う処理を実行する(ステップS102)。ここで、掌Lh,Rhの除菌が適切であるか否かの判定は、本実施の形態では、掌センサ40a,40b,40c,40d,40e,40fの全てがONしているか否かを判定することにより行う構成とした。即ち、全ての掌センサ40a,40b,40c,40d,40e,40fがONしていれば、掌Lh,Rhの除菌が適切であると判定し、掌センサ40a,40b,40c,40d,40e,40fの1つでもOFFしていれば、掌Lh,Rhの除菌が適切でないと判定する。
【0054】
掌Lh,Rhの除菌が適切であると判定したときには、ディスプレイ37に「適切」である旨の信号を出力して(ステップS104)、カウンタCnが値0であるか否かの判定を行う処理を実行する(ステップS106)。ここで、「適切」である旨の信号を受信したディスプレイ37は、パフォーマンスインジケータ37aの掌除菌部34,36のイラスト部分を緑色に点灯させる(図7参照)。なお、カウンタCnは、掌除菌部34,36の除菌灯66による掌Lh,Rhの除菌が開始されてからの時間を示すものであり、値0であれば除菌灯66による掌Lh,Rhの除菌が開始されていないことを示し、値0以外であれば除菌灯66による掌Lh,Rhの除菌が開始されていることを示す。除菌装置1に新しく人Mが入場したときには、値0となっている。
【0055】
ステップS106において、カウンタCnが値0であると判定された場合、掌Lh,Rhの除菌時間の計測を開始する処理実行すると共に(ステップS108)、除菌時間の計測を開始してから1秒が経過したか否かの判定を行う処理を実行する(ステップS110)。除菌時間の計測を開始してから1秒がしたと判定した場合、カウンタCnを値1だけインクリメントすると共に(ステップS112)、ディスプレイ37のタイムインジケータ37b(LEDライト)を1つ点灯して(ステップS114)、カウンタCnが値6であるか否かの判定、即ち、除菌時間の計測を開始してから6秒が経過したか否かの判定を行う処理を実行する(ステップS116)。
【0056】
ステップS116において、カウンタCnが値6である、即ち、除菌時間の計測を開始してから6秒が経過したと判定した場合、除菌時間の計測を終了する(ステップS118)。そして、カウンタCnを値0に設定すると共に(ステップS120)、ディスプレイ37のタイムインジケータ37b(LEDライト)を全て消灯して(ステップS122)、開閉扉30,32を開状態となるよう図示しない駆動装置(例えば、モータなど)を駆動制御する(ステップS124)。続いて、人Mが除菌装置1から退場したか否かの判定を行い(ステップ126)、人Mが除菌装置1から退場したと判定した場合には、開閉扉30,32を閉状態となるよう図示しない駆動装置(例えば、モータなど)を駆動制御して(ステップS128)、本ルーチンを終了する。ここで、人Mが除菌装置1から退場したか否かの判定は、停止センサS2がONしたか否かにより判定することができる。なお、ステップS122において、人Mが除菌装置1から退場していないと判定した場合には、人Mが除菌装置1から退場したと判定されるまで、開閉扉30,32を開状態に維持する。
【0057】
一方、ステップS102において、掌Lh,Rhの除菌が適切でないと判定したときは、ディスプレイ37に「不適切」である旨の信号を出力すると共に(ステップS126)、掌Lh,Rhの除菌が適切であると判定されるまで、ステップS102の処理を繰り返し実行する。なお、「不適切」である旨の信号を受信したディスプレイ37は、パフォーマンスインジケータ37aの掌除菌部34,36のイラスト部分のうちOFFしている掌センサ40a,40b,40c,40d,40e,40fを有する方を赤色に点滅させる(図7参照)。
【0058】
また、ステップS106において、カウンタCnが値0でないと判定されたとき、即ち、除菌時間の計測が既に開始されている場合は、ステップS110以降の処理、即ち、除菌時間の計測を開始してから1秒が経過したか否かの判定を行う処理移行の処理を実行する。
【0059】
さらに、ステップS110において、除菌時間の計測を開始してから1秒が経過していないと判定された場合、あるいは、ステップS116において、カウンタCnが値6でない、即ち、除菌時間の計測を開始してから6秒が経過していないと判定された場合は、ステップS102の処理に戻ってステップS102以降の処理を実行する。
【0060】
以上説明した本実施の形態に係る除菌装置1によれば、天井面22a、床面24a、および、側面26a,28aに、略205~230ナノメートルの波長の遠紫外線C波灯からなる除菌灯60,62,64を配置すると共に、開閉扉30,32に配置した掌除菌部34,36に、略205~230ナノメートルの波長の遠紫外線C波灯からなる除菌灯66を配置するため、人Mが当該除菌装置1内を通過する際に、最も細菌やウィルスが付着し易い掌Lh,Rhを含め人Mの全身をほぼ隈なく除菌することができる。なお、除菌灯60,62,64,66が、略205~230ナノメートルの波長の遠紫外線C波灯であるため、細菌やウィルスを効果的に除去することができる一方、人体に害をもたらすことがなく、かつ、環境にも優しい。
【0061】
また、本実施の形態に係る除菌装置1によれば、掌除菌部34,36を開閉扉30,32に配置するため、掌除菌部34,36を配置するスペースを別途確保する必要がないため、省スペース化を図ることができる。
【0062】
さらに、本実施の形態に係る除菌装置1によれば、掌除菌部34,36による掌Lh,Rhの適正な除菌が6秒間維持されるまで開閉扉30,32を開状態しないため、制限領域90内に細菌やウィルスが持ち込まれることを確実に防止できる。しかも、掌除菌部34,36に配置した複数の掌センサ40a,40b,40c,40d,40e,40fが、1つでもOFFであれば除菌時間を計測しないため、掌Lh,Rhの除菌作業をより一層確実に実施することができる。
【0063】
また、本実施の形態に係る除菌装置1によれば、掌除菌部34,36による掌Lh,Rhの除菌が適正に行われているか否かについて、および、除菌時間の経過状態について、ディスプレイ37に表示するため、人Mは、掌Lh,Rhの除菌状態および除菌時間の経過状態を視覚的に知ることができる。
【0064】
また、本実施の形態に係る除菌装置1によれば、床面24aが凸条24bを有するため、除菌装置1内を人Mが通過する際に、両足を広げた状態、即ち、股の間に凸条24bが配置された状態となる。これにより、股の間まで確実に除菌することができる。
【0065】
さらに、本実施の形態に係る除菌装置1によれば、側壁26,28が透光窓26c,28cを有するため、人Mが除菌装置1内を通過する際に感じる圧迫感を低減できる。
【0066】
また、本実施の形態に係る除菌装置1によれば、天井面22aの入口21a側にエアーカーテン装置50を配置したから、除菌装置1への入場のし易さを確保しながら、当該入口21aから細菌やウィルス、塵埃などが侵入することを抑制することができる。
【0067】
本実施の形態では、除菌装置1内への人Mの入場および除菌装置1からの人Mの退場の検知を起動センサS1および停止センサS2により行う構成としたが、これに限らない。例えば、床24に圧力センサを配置し、人Mの体重を検知することによって、除菌装置1内への人Mの入場および除菌装置1からの人Mの退場を検知しても良い。
【0068】
本実施の形態では、除菌灯60は、長手方向が人Mの進行方向および鉛直方向に直交するように配置し、除菌灯62は、長手方向が人Mの進行方向に平行となるように配置し、除菌灯64は、長手方向が鉛直方向に平行となるように配置し、除菌灯66は、長手方向が指の延在方向と交差するように配置したが、掌Lh,Rhを含む人Mの除菌を行うことができれば、除菌灯60,62,64,66の配置は如何なる配置であっても良い。
【0069】
本実施の形態では、除菌灯62は、上下2段に配置したが、これに限らない。除菌灯62は、例えば、上下1段の配置や、上下3段以上など、人Mの除菌を行うことができれば、如何なる配置であっても良い。
【0070】
本実施の形態では、除菌灯60,62,64,66は、除菌装置1内への人Mの入退場に関わらず、常に点灯する構成としたが、所定時間、除菌装置1内への人Mの入場が検知されない場合には、消灯する構成としても良い。
【0071】
本実施の形態では、掌除菌部34,36による除菌時間を6秒としたが、これに限らない。掌除菌部34,36による除菌時間は、6秒未満で良いし、6秒より長くても良い。
【0072】
本実施の形態では、除菌時間の経過状態をディスプレイ37のタイムインジケータ37bにより表示したが、これに限らない。例えば、ディスプレイ37に経過時間を表示する構成としても良い。あるいは、音により人Mに除菌時間の経過状況を知らせる構成としても良い。
【0073】
本実施の形態では、除菌状態が適正であるか否かを、パフォーマンスインジケータ37aにより表示したが、これに限らない。例えば、ディスプレイ37に文字により除菌状態が適正であるか否かを表示する構成としても良い。あるいは、音により人Mに除菌状態が適正か否かを知らせる構成としても良い。
【0074】
本実施の形態では、掌除菌部34,36を開閉扉30,32に配置したが、これに限らない。例えば、除菌装置1内に専用のスペースを確保して、当該スペースに掌除菌部34,36を配置しても良い。
【0075】
本実施の形態では、掌除菌部34,36は、複数の掌センサ40a,40b,40c,40d,40e,40fを有する構成としたが、これに限らない。掌除菌部34,36は、掌センサ40a,40b,40c,40d,40e,40fは1つでも良い。
【0076】
本実施の形態では、ディスプレイ37を開閉扉30,32に配置したが、これに限らない。例えば、除菌装置1内に専用のスペースを確保して、当該スペースにディスプレイ37を配置しても良い。
【0077】
本実施の形態では、凸条24bが入口21a側から出口21b側に向かって延在する構成としたが、これに限らない。凸条24bは、例えば、入口21a側から出口21b側に向かう方向において、少なくとも掌除菌部34,36の直前に配置する構成としても良い。
【0078】
本実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものである。したがって、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0079】
1 除菌装置(除菌装置)
2 本体(箱体)
21a 入口(第2開口)
21b 出口(第1開口)
22 天井壁(天井壁)
22a 天井面(天井面)
24 床(床)
24a 床面(床面)
24b 凸条(隆起部)
26 側壁(第1側壁)
26a 側面(第1側面)
26b 支柱
28 側壁(第2側壁)
28a 側面(第2側面)
28b 支柱
30 開閉扉(開閉扉)
32 開閉扉(開閉扉)
34 掌除菌部(載置台)
34a 透光面
34b1 隔壁
34b2 隔壁
34b3 隔壁
34b4 隔壁
36 掌除菌部(載置台)
36a 透光面
36b1 隔壁
36b2 隔壁
36b3 隔壁
36b4 隔壁
37 ディスプレイ(表示器)
37a パフォーマンスインジケータ
37b タイムインジケータ
38 膨出部
38a 凹み
40a 掌センサ(センサ)
40b 掌センサ(センサ)
40c 掌センサ(センサ)
40d 掌センサ(センサ)
40e 掌センサ(センサ)
40f 掌センサ(センサ)
50 エアーカーテン装置(エアーカーテン装置)
60 除菌灯(遠紫外線C波灯)
62 除菌灯(遠紫外線C波灯)
64 除菌灯(遠紫外線C波灯)
66 除菌灯(遠紫外線C波灯)
72 CPU
74 ROM
76 RAM
90 制限領域(制限領域)
90a 出入り箇所(出入り箇所)
M 人(人)
Lh 掌(両掌)
Rh 掌(両掌)
S1 起動センサ
S2 停止センサ
Air エアー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8