(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020135
(43)【公開日】2022-02-01
(54)【発明の名称】入力操作具
(51)【国際特許分類】
G06F 3/03 20060101AFI20220125BHJP
A61L 2/18 20060101ALI20220125BHJP
A61L 101/34 20060101ALN20220125BHJP
【FI】
G06F3/03 400F
A61L2/18
A61L101:34
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020123465
(22)【出願日】2020-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】500420096
【氏名又は名称】株式会社プライムステージ
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】北谷 宏朗
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA02
4C058AA24
4C058AA29
4C058BB07
4C058JJ08
4C058JJ24
(57)【要約】
【課題】この発明は、機械操作に対する入力を衛生的に行うことができる入力操作具を提供すること。
【解決手段】先端に入力部30を有する棒状のタッチペン1であって、入力部30の周りを囲繞する筒状の囲繞部20が、入力部30に対して相対的に移動可能に設けられ、囲繞部20は、入力部30を突出させる位置から入力部30を囲繞する位置まで、タッチペン1の長手方向に沿って入力部30に対して相対的に移動可能できるため、機械操作に対する入力を利用者Uが指で直接触れることなく、突出させた入力部30を用いて、衛生的に行うことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に入力部を有する棒状の入力操作具であって、
前記入力部の周りを囲繞する筒状の囲繞部が、前記入力部に対して相対的に移動可能に設けられ、
前記囲繞部は、前記入力部を突出させる位置から前記入力部を囲繞する位置まで、当該入力操作具の長手方向に沿って前記入力部に対して相対的に移動可能である
入力操作具。
【請求項2】
前記囲繞部が先端側に設けられ、
前記囲繞部を先端側に向けて付勢する付勢手段が備えられた
請求項1に記載の入力操作具。
【請求項3】
利用者に把持される部分から前記入力部までが、導電性材料で構成された
請求項1又は請求項2に記載の入力操作具。
【請求項4】
前記囲繞部の周方向への回転を規制する回転規制部が設けられた
請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の入力操作具。
【請求項5】
前記入力部を突出させた位置で前記囲繞部を保持する保持手段が設けられた
請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載の入力操作具。
【請求項6】
当該入力操作具の前記入力部の反対側に、消毒液を収納する収納部と前記消毒液を噴霧する噴霧ノズルが設けられた
請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載の入力操作具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、機械操作に対する入力を衛生的に行うことができる入力操作具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチパネルに入力操作をするためのタッチペンがあった。
【0003】
特許文献1には、ノック式ペン状の入力タッチペンが公開されている。
【0004】
この入力タッチペンは、タッチパネルに接触する接触先端を備えており、この接触先端がタッチパネル以外の物と意図せずに接触して損傷すること防ぐために、入力タッチペンの不使用時には、接触先端を軸部の内部に収納できるように構成されている。
【0005】
入力タッチペンは、タッチパネルを備えたスマートフォンやタブレットなどにも使用できるため、携行されることがある。このため、例えは、エレベーターの押しボタン等を自分の指で押すことが衛生的な点から躊躇される場合に、入力タッチペンを使用して押しボタンを押すことが考えられる。
【0006】
しかし、硬い材質のボタンを入力タッチペンで押すと、ボタンと接触した接触先端が損傷してしまうおそれがある。
【0007】
このため、従来の入力タッチペンを用いてボタンを押すためには、接触先端を突出させずに、軸部でボタンを押す必要がある。しかし、入力タッチペンはボタンと接触した軸部は露出したままとなり衛生的ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、上述した問題を鑑み、機械操作に対する入力を衛生的に行うことができる入力操作具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、先端に入力部を有する棒状の入力操作具であって、前記入力部の周りを囲繞する筒状の囲繞部が、前記入力部に対して相対的に移動可能に設けられ、前記囲繞部は、前記入力部を突出させる位置から前記入力部を囲繞するまで、当該入力操作具の長手方向に沿って前記入力部に対して相対的に移動可能であることを特徴とする。
【0011】
この発明により、機械操作に対する入力を行う操作部、例えば、不特定多数の人が触れるエレベーターや温水洗浄便座のボタン、及びタッチパネル等を、直接指で触れることが衛生的に躊躇される場合には、前記囲繞部を移動させて突出した前記入力部を介し、前述する操作部を操作できる。これにより、利用者は前述する操作部に指で直接触れることなく機械操作に対する入力を衛生的に行うことができる。
【0012】
加えて、前述する操作部と接触した前記入力部は、前記囲繞部を移動させることで囲繞することができる。
このため、当該入力操作具を携帯する際には、前記囲繞部の内側以外の場所と前記入力部が意図せずに接触することを防止でき、前記入力操作具を衛生的に携帯することができる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記囲繞部が先端側に設けられ、前記囲繞部を先端側に向けて付勢する付勢手段が備えられてもよい。
【0014】
この発明により、前記囲繞部に対して前記入力部の反対側に移動させる力が作用していない場合には、前記付勢手段が前記囲繞部を先端側に向けて付勢することで、前記入力部が前記囲繞部によって囲繞された状態を維持できる。
【0015】
すなわち、前述する操作部を操作する際には、利用者は前記付勢手段の付勢力に抗して前記囲繞部を前記入力部の反対側に移動させて突出させた前記入力部を用いて操作する。そして、前述する操作部の操作を行わない間には、前記付勢手段の付勢力が前記囲繞部に対して作用し、先端側に向けて付勢される前記囲繞部によって、前記入力部が囲繞された状態を維持できる。
【0016】
このため、前記囲繞部が意図せずに前記入力部の反対側に移動してしまい、前述する操作部と接触した前記入力部が意図せずに突出することを防止でき、より衛生的に前記入力操作具を携帯することができる。
【0017】
この発明の態様として、利用者に把持される部分から前記入力部までが、導電性材料で構成されてもよい。
この発明により、静電容量方式のタッチパネルに前記入力部を近接させることで、タッチパネルの静電容量を変化させることができ、手前記入力操作具を、静電容量方式のタッチパネルにも利用することができる。
【0018】
この発明の態様として、前記囲繞部の周方向への回転を規制する回転規制部が設けられてもよい。
【0019】
この発明により、前記囲繞部が移動する方向が、前記入力操作具の長手方向に規制される。これにより、前記囲繞部を移動するために加わる力が、前記囲繞部を前記入力操作具の長手方向に沿って動かすために無駄なく作用し、前記囲繞部容易に移動させて、前記入力部を突出させることができる。
【0020】
この発明の態様として、前記入力部を突出させた位置で前記囲繞部を保持する保持手段が設けられてもよい。
【0021】
この発明により、前述する操作部を操作する前記入力部が突出する位置で、前記囲繞部を保持し、前記入力部が突出した状態を維持できる。
【0022】
これにより、前述する操作部を操作する間、前記入力部を突出させておくことができる。
【0023】
この発明の態様として、当該入力操作具の前記入力部の反対側に、消毒液を収納する収納部と前記消毒液を噴霧する噴霧ノズルが設けられてもよい。
消毒液は、アルコールや洗剤等の人体にも使用されるものを指す。
【0024】
この発明により、前述する操作部を前記消毒液により消毒してから、前記入力部を用いて操作することで、前記入力部が不必要に汚れることを防止できる。
【0025】
さらに、例えば、前記入力部や、意図せずに前述する操作部と接触した前記囲繞部を、前記消毒液を浸したハンカチ等で掃除し、消毒することができる。さらに、利用者の手や持ち物等を消毒することができる。
【発明の効果】
【0026】
この発明によれば、機械操作に対する入力を衛生的に行うことができる入力操作具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図3】入力部が埋没した状態におけるタッチペンの断面図。
【
図4】入力部が突出した状態におけるタッチペンの断面図。
【
図5】エレベーターのボタンをタッチペンで押す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【0029】
図1は不特定多数の人間が利用するエレベーターや温水洗浄便座等の機械のボタンやタッチパネルに対して、先端を押し当てて操作するタッチペン1を示し、
図2は、タッチペン1の分解斜視図を示している。
【0030】
タッチペン1は、ペン型に形成され、導電性を有する棒状のペン本体10と、ペン本体10の先端の周りを囲繞する円筒状の囲繞部20と、囲繞部20を先端側に付勢するコイルばねSで構成されている。そして囲繞部20は、タッチペン1の長手方向に沿ってスライド可能に設けられている。
【0031】
ペン本体10は、先端に向かうに伴って段階的に縮径する円柱状の把持部11と、把持部11の先端に設けられ、ボタンやタッチパネル等を操作する入力部30で構成されている。
【0032】
把持部11は、夫々径の異なる大径部111と中径部112と小径部113が、同一の中心軸線上に、入力部30の反対側である後端から順番に設けられている。そして、大径部111と中径部112の径の差によって構成される長手方向と直交する面が、コイルばねSが当接する把持部側当接部114である。
【0033】
【0034】
大径部111の後端には、
図3(a)に示すように、例えば、引っ掛けて携帯するためのクリップ部115と、チェーンやキーホルダー等を挿通して携帯するための挿通孔116を備えている。
【0035】
クリップ部115は、後端側が大径部111に取り付けられるとともに、先端側に伸びる板状に形成されている。そして、クリップ部115のうち、大径部111に沿う部分の一部が、大径部111の外周に接するように膨らんでいる。
【0036】
これにより、例えば、胸ポケットの縁にクリップ部115を引っ掛けて、タッチペン1を携帯することができる。
【0037】
挿通孔116は、大径部111の後端側において、タッチペン1の長手方向に対して直交する方向に貫通する側面視円形状の貫通孔によって形成されている。また、挿通孔116の貫通方向は、クリップ部115の幅方向に沿っている。
【0038】
なお、本実施形態において、クリップ部115のうち大径部111に沿う部分と大径部111の隙間と挿通孔116は独立しているが、連通していてもよい。
【0039】
中径部112は、コイルばねSを挿通する部分であり、中径部112のタッチペン1の長手方向に沿う長さは、コイルばねSの自然長の三分の二程度の長さで形成されている。
【0040】
小径部113は、
図3(a)のα部の拡大図である
図3(b)に示すように、入力部30を取り付ける入力部取付部117と、後述する囲繞部20を係止する囲繞部係止部118を備えている。
【0041】
入力部取付部117は、小径部113の先端側の部分であって、小径部113の基端側よりも小径な略円柱状に形成されている。そして、入力部取付部117は、先端に、長手方向と直交する平坦な先端面119を備えるとともに、入力部取付部117の後端側に、周方向の全周に亘って径内側にくびれた形状のくびれ部120を備えている。
【0042】
囲繞部係止部118は、入力部取付部117より後端側において、小径部113の外周面から外側に突出する一対の突出部121と、突出部121よりも僅かに先端側から長手方向の中間までにおいて、側面視長円形状に小径部113を貫通する貫通孔122によって構成されている。
【0043】
一対の突出部121は、夫々が、小径部113の外周の四分の一程度に亘って設けられるとともに、小径部113を挟んで対向するように設けられている。そして、突出部121の夫々は、小径部113の表面から、後端側に向かうに伴って中径部112の外径まで拡径するように構成され、突出部121の後端が長手方向に直交する面状に形成されている。
【0044】
このように構成された突出部121の突出する方向は、貫通孔122が小径部113を貫通する方向と、略直交するように形成されている。
【0045】
突出部121の後端側の面から、把持部側当接部114までの長さは、コイルばねSの自然長よりも短くなるように設定されている。
【0046】
入力部取付部117に取り付けられる入力部30は、導電性と弾力性を有するシリコンゴムによって入力部取付部117を覆うキャップ状に形成されている。
【0047】
入力部30は、内部に空洞を備えるとともに、基端側に空洞と連通する開口が設けられ、先端は略半球状に形成されている。そして、入力部30は、外径が小径部113の基端側と同径で形成されるとともに、内径は、入力部取付部117と同径に形成されている。
【0048】
入力部30の基端側の開口の縁には、全周に亘って径内側に突出する入力部係止部31が設けられている。そして、入力部係止部31は、入力部取付部117のくびれ部120に篏合するように構成されている。
【0049】
入力部30の内部の先端側は、長手方向と直交する平面状の平面部32を備え、入力部取付部117の先端面119と当接するように構成されている。
【0050】
すなわち、入力部30は、内部に入力部取付部117が隙間なく篏合するように構成されるとともに、外側が小径部113の後端側と面一になるように構成されている。
【0051】
このように構成された入力部30の入力部係止部31を、把持部11のくびれ部120に対して係止することで、ペン本体10は構成されている。
【0052】
そして、エレベーターや温水洗浄便座のボタン等に押し当てられた入力部30は、平面部32が当接する先端面119に支持され、エレベーターや温水洗浄便座のボタン等をしっかりと押すことができる。
【0053】
さらに、把持部11と入力部30の夫々が導電性を有するとともに、把持部11と入力部30が接しているため、把持部11を把持する利用者Uが入力部30を、図示省略する静電容量方式のタッチパネルに近接させることで、タッチパネルの静電容量を変化させることができる。すなわち、利用者Uは入力部30を用いて静電容量方式のタッチパネルを操作することができる。
【0054】
ペン本体10の入力部30の周りを囲繞する囲繞部20は、後端側から大径部111を挿通可能な略円筒状の囲繞部本体21と、囲繞部20の径方向内側に向かって突出し、コイルばねSが当接する囲繞部側当接部22と、貫通孔122に係合する係合部23で構成されている。
【0055】
囲繞部本体21は、中径部112と小径部113を合わせた長さよりも長く形成されている。そして、囲繞部本体21は、円筒状の円筒状部211と、円筒状部211の先端側に設けられ、外径が先端側に向かうに伴って滑らかに縮径する円錐台形の筒状の円錐台形部212で構成されている。
【0056】
円筒状部211は、長さが囲繞部本体21の三分の二程度に形成されるとともに、内径が大径部111の外径よりも僅かに大径に形成されている。
【0057】
円錐台形部212は、内径が中径部112の外径よりも僅かに大径に形成されており、換言すると、入力部30と円錐台形部212の間に空隙が設けられるように構成されている。これにより、入力部30を囲繞する囲繞部20の内側が、入力部30と触れることを防止できる。
【0058】
円錐台形部212の後端側の内面には、囲繞部側当接部22と係合部23とが設けられている。
【0059】
囲繞部側当接部22は、円錐台形部212の後端側のうち、ペン本体10の突出部121に対応する部分から、囲繞部本体21の径内側に向かって対向して突出するように形成されている。
【0060】
囲繞部側当接部22は、囲繞部側当接部22から囲繞部20の先端までの長さが、ペン本体10における突出部121から先端までの長さよりも長くなるように配置されている。そして、囲繞部側当接部22の径内側へ突出する長さは、中径部112と小径部113の外径の差分よりも僅かに短く形成されている。
【0061】
係合部23は、囲繞部20の内面のうち、ペン本体10の貫通孔122に対応する部分、すなわち、囲繞部側当接部22よりも先端側から囲繞部本体21の径内側に向かって突出する一対の略半球状の突起により形成されている。
【0062】
一対の係合部23は、直径が小径部113の幅より僅かに小さい略半球状に形成されるとともに、囲繞部20の内面に対向するように配置されている。そして、係合部23の突出する方向と囲繞部側当接部22の突出する方向が直交するように配置されている。
【0063】
コイルばねSは、コイル内径が中径部112より僅かに大径であり、コイル外径が円筒状部211の内径よりも僅かに小径な圧縮コイルばねにより構成されている。
【0064】
このように形成されたペン本体10、囲繞部20、及びコイルばねSを組み合わせてタッチペン1が構成されている。
【0065】
詳述すると、コイルばねSを中径部112まで挿通したペン本体10において、大径部111に囲繞部20の後端側を挿通し、囲繞部側当接部22を突出部121よりも後端側に配置するとともに、係合部23を貫通孔122に嵌め込んでいる。
【0066】
このように組み合わせられたタッチペン1のコイルばねSは、後端側が把持部側当接部114と当接するとともに、先端側が囲繞部側当接部22と当接している。
【0067】
把持部側当接部114から突出部121までの長さがコイルばねSの自然長よりも短いため、突出部121よりも後端側に配置される囲繞部側当接部22は、コイルばねSによって先端側に向けて付勢される。
【0068】
そして、コイルばねSによって付勢された囲繞部側当接部22が、突出部121に当接するまで、囲繞部20は先端側に移動する。このとき、囲繞部20における囲繞部側当接部22から先端までの長さが、ペン本体10における突出部121から先端までの長さよりも長く形成されているため、先端側に移動した囲繞部20によって、入力部30の周りが囲繞された状態となる。
【0069】
このとき、ペン本体10を挿通するとともに、タッチペン1の長手方向に沿って移動する囲繞部20は、タッチペン1の長手方向に沿う方向の移動範囲、及び周方向への動きが規制されている。
【0070】
つまり、囲繞部20がタッチペン1の長手方向に沿う方向の移動範囲は、先端側に向けて移動する場合には、囲繞部側当接部22が突出部121に当接するまでに規制される。そして、囲繞部20が後端側に向けて移動する場合、囲繞部側当接部22が、中径部112と小径部113の接合部分に当接するまでに規制される。
【0071】
また、ペン本体10を挿通した囲繞部20の周方向への動きは、係合部23が貫通孔122に篏合しているため規制される。
【0072】
次に、このように構成されたタッチペン1を用いて、エレベーターのボタンBを操作する方法を、入力部30を突出させた状態のタッチペン1の断面図を示した
図4、及びエレベーターのボタンBをタッチペン1で押す概略図を示した
図5に基づいて説明する。
【0073】
ペンを持つようにペン本体10を把持する利用者Uが、指をかけて囲繞部20を引くことで、囲繞部20が後端側に移動する。そして、囲繞部20が後端側に移動することで、囲繞されていた入力部30が突出する。
【0074】
このとき、囲繞部20の係合部23が、ペン本体10の貫通孔122に係合しているため、囲繞部20は周方向に回転することなく後端側に動かされる。
【0075】
そして、囲繞部20を後端側に動かすことで、近接する囲繞部側当接部22と把持部側当接部114により、コイルばねSは圧縮される。このため、利用者Uが、囲繞部20から指を離し、囲繞部20に加えていた力を抜くことで、圧縮されていたコイルばねSの付勢力が囲繞部側当接部22に作用し、囲繞部20は先端側に押し出され、入力部30が囲繞部20によって再度囲繞される。
【0076】
すなわち、
図5に示すように、エレベーターのボタンBに指で直接触れることを衛生的に躊躇した利用者Uは、上述するように囲繞部20から入力部30を突出させる。そして、囲繞部20から突出した入力部30を用いてエレベーターのボタンBを操作することができる。また、エレベーターのボタンBを操作した後は、入力部30は、コイルばねSの付勢力の作用した囲繞部20により再度囲繞される。
【0077】
このように、利用者Uは入力部30を用いて、不特定多数の人間が利用するエレベーターや温水洗浄便座のボタン、タッチパネル等に指で直接触れることなく衛生的に操作することができる。
【0078】
また、利用者Uがタッチペン1を使用しない間は、コイルばねSの付勢力によって、入力部30が囲繞部20に囲繞された状態を維持できる。このため、囲繞部20が意図せずに移動してしまい、操作に用いられた入力部30が突出することを防止でき、衛生的にタッチペン1を携帯することができる。
【0079】
以下その他の例を説明する。
【0080】
図6は他の実施形態におけるタッチペン1xの正面図を示し、
図7はタッチペン1xの分解正面図を示す。
【0081】
タッチペン1に対応するタッチペン1xは、
図6に示すように、ペン本体10に対応するペン本体10xの後端に消毒用スプレー40が設けられている。
【0082】
ペン本体10xの後端には、クリップ部115に対応する図示省略する雌ねじが設けられており、この雌ねじにより消毒用スプレー40を螺合可能に形成されている。
【0083】
消毒用スプレー40は、
図7に示すように、内部にエチルアルコールEAを封入したスプレー容器41と、スプレー容器41に封入されたエチルアルコールEAを噴霧する噴霧ノズル42を有している。
【0084】
スプレー容器41は、内部にエチルアルコールEAを入れるボトル状に形成された容器本体411と、容器本体411の下端に設けられ、ペン本体10xの雌ねじと螺合する雄ねじ部412により構成されている。そして、容器本体411は、後端側が縮径することで、エチルアルコールEAを注ぐ口部413が形成され、口部413の外周は、噴霧ノズル42を取り付けるための雄ねじ状に形成されている。
【0085】
噴霧ノズル42は、口部413と螺合するキャップ部421と、エチルアルコールEAを吸い上げるホース状のホース部422と、押し込むことで、ホース部422を介して吸い上げたエチルアルコールEAを噴霧するノズル部423で構成されている。
【0086】
キャップ部421は、容器本体411と略同一の外径を有し、その後端側に、ノズル部423が取り付けられるとともに、先端側に、ホース部422が取り付けられている。
【0087】
このように形成されたスプレー容器41の口部413と噴霧ノズル42のキャップ部421を螺合することで、消毒用スプレー40が構成されている。
【0088】
これにより、ノズル部423を押し込むことで、スプレー容器41に封入されたエチルアルコールEAがホース部422から吸い上げられる。そして、ホース部422に吸い上げられたエチルアルコールEAは、ノズル部423から噴霧される。
【0089】
このように構成された消毒用スプレー40のスプレー容器41に設けられた雄ねじ部412と、ペン本体10の基端を螺合することで、タッチペン1xは構成されている。
【0090】
このため、不特定多数の人間が利用するエレベーターや温水洗浄便座のボタンをエチルアルコールEAで消毒してから、入力部30を用いて操作することができる。さらに、エチルアルコールEAによって、すなわちタッチペン1、利用者Uの手指、及び利用者Uの持ち物等を消毒することができる。
【0091】
図8は、他の実施形態におけるタッチペン1のペン本体10yの斜視図を示す。ペン本体10に対応するペン本体10yは、
図8に示すように、貫通孔122の後端に、ペン本体10yの周方向に沿って切り欠いた切欠部123が設けられている。
【0092】
切欠部123は、小径部113をタッチペン1の長手方向と直交する方向に沿って、長円形状に貫通するとともに、貫通孔122の後端と連通するように形成されている。
【0093】
切欠部123は、係合部23より僅かに幅広く形成され、後端側まで引っ張った囲繞部20を、周方向に回転させることで、係合部23が切欠部123に挿通するように形成されている。
【0094】
このため、係合部23を切欠部123に挿通した状態の囲繞部20は、コイルばねSの付勢力によって先端側に向かって付勢されたとしても係合部23と切欠部123が当接し、先端側への動きが規制される。
【0095】
したがって、入力部30が囲繞部20から突出した状態を維持でき、例えば、タブレットのタッチパネルのように、ある程度の時間に亘って操作する際に、利用者Uが囲繞部20を後端側まで引っ張り続けなくても、タッチパネルを操作し続けることができる。
【0096】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の入力操作具は、実施形態のタッチペン1に対応し、
以下同様に、
入力部は、入力部30に対応し、
囲繞部は、囲繞部20に対応し、
付勢手段は、コイルばねSに対応し、
回転規制部は、係合部23、及び貫通孔122に対応し、
保持手段は、係合部23、及び切欠部123に対応し、
収納部は、スプレー容器41に対応し、
噴霧ノズルは、噴霧ノズル42に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0097】
例えば、本実施形態において、囲繞部20は、ペン本体10の先端側のみを囲繞するように構成されているが、囲繞部20を、内部にペン本体10を収納できる円筒状に形成してもよい。さらには、ペン本体10を先端に向かって押し出すノックボタンが設けられていてもよい。具体的には、いわゆるノック式ペンにおいて、芯部分をペン本体10によって構成してもよい。
【符号の説明】
【0098】
1,1x・・・タッチペン
10,10x,10y・・・ペン本体
11・・・把持部
20・・・囲繞部
21・・・囲繞部本体
22・・・囲繞部側当接部
23・・・係合部
30・・・入力部
31・・・入力部係止部
32・・・平面部
40・・・消毒用スプレー
41・・・スプレー容器
42・・・噴霧ノズル
111・・・大径部
112・・・中径部
113・・・小径部
114・・・把持部側当接部
115・・・クリップ部
116・・・挿通孔
117・・・入力部取付部
118・・・囲繞部係止部
119・・・先端面
120・・・くびれ部
121・・・突出部
122・・・貫通孔
123・・・切欠部
211・・・円筒状部
212・・・円錐台形部
411・・・容器本体
412・・・雄ねじ部
413・・・口部
421・・・キャップ部
422・・・ホース部
423・・・ノズル部
B・・・ボタン
EA・・・エチルアルコール
S・・・コイルばね
U・・・利用者