(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020145
(43)【公開日】2022-02-01
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220125BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
A41D13/11 H
A41D13/11 Z
A41D13/11 B
A62B18/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020123478
(22)【出願日】2020-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】520179224
【氏名又は名称】大塚 元博
(74)【代理人】
【識別番号】100102738
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】大塚 元博
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA04
2E185BA18
2E185CC36
(57)【要約】 (修正有)
【課題】長時間の装着中に、ずれを抑制しつつ、脱着が容易なマスクを提供する。
【解決手段】鼻口部を覆うマスク本体部110と、該マスク本体部110の各上下方向縁部に耳掛け紐とを備えたマスク100において、各耳掛け紐114A,Bは、マスク100着用者の耳に掛けられるように、対応する上下方向縁部に両端が間隔を隔てて固定され、該両端のうち下端は、前記マスク本体部110の対応する上下方向縁部の中央部より上に位置決めされ、前記マスク本体部110の上縁部には、上方に突出する摘まみ片が、前記マスク本体部110と一体で設けられ、前記耳掛け紐114A,Bのそれぞれには、マスク100着用の際、マスク100着用者の耳により隠される部位に、マスク識別用保護部材200が付設されている、ことを特徴とするマスク100。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼻口部を覆うマスク本体と、該マスク本体の各上下方向縁部に耳掛け紐とを備えたマスクにおいて、
各耳掛け紐は、マスク着用者の耳に掛けられるように、対応する上下方向縁部に両端が間隔を隔てて固定され、
該両端のうち下端は、前記マスク本体の対応する上下方向縁部の中央部より上に位置決めされ、
前記マスク本体の上縁部には、上方に突出する摘まみ片が、前記マスク本体と一体で設けられ、
前記耳掛け紐のそれぞれには、マスク着用の際、マスク着用者の耳により隠される部位に、マスク識別用保護部材が付設されている、ことを特徴とするマスク。
【請求項2】
前記マスク識別用保護部材は、マスク着用の際、耳の付け根部に生じ得る痛みを軽減するとともに、耳掛け紐とは異なる色が付されている、請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記マスク識別用保護部材は、シリコン、綿、ビロードのいずれかの材質からなる、請求項2に記載のマスク。
【請求項4】
前記マスク識別用保護部材は、対応する耳掛け紐に巻回固定されている、請求項3に記載のマスク。
【請求項5】
前記マスク識別用保護部材は、対応する耳掛け紐に接着固定されている、請求項3に記載のマスク。
【請求項6】
前記マスク識別用保護部材は、対応する耳掛け紐を挟み込んで、両端部が固着されている、請求項3に記載のマスク。
【請求項7】
前記耳掛け紐の各々は、前記マスクに固定される端部と反対の端が前記マスク識別用保護部材に固定される耳掛け紐部を2つ有し、一方の耳掛け紐部が前記マスク識別用保護部材の一方の端に、他方の耳掛け紐部が前記マスク識別用保護部材の他方の端に、それぞれ固定される、請求項3に記載のマスク。
【請求項8】
前記耳掛け紐各々の全体が、シリコン、綿、ビロードのいずれかの材質からなり、マスク着用の際、マスク着用者の耳により隠される部位が着色されている、請求項3に記載のマスク。
【請求項9】
前記マスク識別用保護部材は、全長が、1センチないし2センチである、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項10】
前記マスクは、平型マスクであって、
前記マスクの内面の両上下縁部それぞれに沿って、第2マスク用固定シールが付設され、
第2マスク用固定シールは、両面テープと、医療用皮膚テープと、該両面テープおよび該医療用皮膚テープの間に介在する化粧用スポンジパフのスポンジ層を有し、
該両面テープは、一方の面の第1粘着部により、前記マスクの内面に粘着固定され、
該両面テープは、他方の面の第2粘着部が、所定厚みを有するスポンジ層の一方の面に粘着固定され、
該スポンジ層の他方の面は、医療用皮膚テープに粘着固定され、
医療用皮膚テープがマスク使用者の顔の頬部に粘着固定される、請求項12に記載のマスク。
【請求項11】
化粧用スポンジパフのスポンジ層は、含水性を有する第1 パフ部と、含水性を有しない第2 パフ部と、を有し、
前記第1 パフ部および前記第2 パフ部の少なくとも一部分は相互に接し一体化している、請求項12に記載のマスク。
【請求項12】
前記第1 パフ部は、スポンジ状の材質から成るスポンジパフ部であり、前記第2 パフ部は、シリコン樹脂状の材質から成るシリコンパフ部である、請求項12に記載のマスク。
【請求項13】
前記両面テープのいずれか、又は両方の端部に、識別タグが付設される、請求項13に記載のマスク。
【請求項14】
前記第1粘着部の粘着固定力が、前記医療用皮膚テープの頬部への粘着固定力より大きくなるように設定される、請求項13に記載のマスク。
【請求項15】
前記第2マスク用固定シールには、対応する前記上下縁部から外方に突出する突出部が付設されている、請求項13に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクに関し、より詳細には、長時間の装着中に、ずれを抑制しつつ、脱着が容易なマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、風邪、花粉症対策として、健康マスクが多用されている。
このような健康マスクにおいて、マスク装着中における息苦しさを緩和する健康マスクが、たとえば、特許文献1において、鼻孔拡張マスクとして開示されている。
この鼻孔拡張マスクは、着用者の顔面と対向する対向面を有するマスク本体と、対向面の上縁近傍に固定され、横方向に延びる弾性変形可能な鼻孔拡張テープと、対向面の中央部を横断して配置され、弾性変形可能なワイヤーと、を備え、鼻孔拡張テープは、着用者の鼻柱の両側に粘着する粘着面を有し、両端部がその余の部位よりも幅広形状を呈している。
【0003】
本構成によると、着用時には、対向面の上縁近傍に設けられた鼻孔拡張テープが着用者の鼻柱を横方向に跨ぐように位置する。その状態で、鼻孔拡張テープは、着用者の鼻の形状に沿って折り曲げられて、粘着面が着用者の鼻柱に粘着される。鼻孔拡張テープが元の形状に弾性的に復帰しようとすることで、着用者の鼻孔が拡張される。
また、横方向における鼻孔拡張テープの両端部が幅広形状を有しているため、両端部において鼻と鼻孔拡張テープとの粘着面積が広く確保される。鼻孔拡張テープの両端部ほど、鼻孔を拡張する力が大きく作用するが、上記の力が作用する面積が広いことから、鼻孔拡張テープの粘着面が鼻から剥がれにくくなると共に、効率的に鼻孔を拡張することができる。
さらに、ワイヤーは対向面の中央部を横断して配置されているため、両端が両頬にそれぞれ位置する。ワイヤーによってマスク本体の形状が維持されるため、着用者の鼻や口の周辺に空間が形成される。これにより、マスク本体が着用者の鼻孔を塞いでしまうことがなく、着用者の息苦しさをさらに緩和することができる。
【0004】
しかしながら、以上の鼻孔拡張テープおよび鼻孔拡張テープを備えた鼻孔拡張マスクには、以下のような技術的問題点が存する。
第1に、マスク装着中のずれ防止がなされていない。
より詳細には、一般的に、マスクの装着中、会話等で口を動かすことにより、マスクは徐々にずれ、場合により鼻が露出した状態となり、マスクの顔のカバー機能という本来の機能が損なわれることが頻繁に生じるが、このずれは、特に顔の上下方向のずれである。
これに対して、鼻孔拡張テープは、鼻柱を跨ぐように頬部まで延び、顔に対して横長に装着されることから、顔全体において、口を動かしても略不動な鼻柱だけでなく、口の動きに伴って動きの生じる頬部に貼り付けられている。しかも、鼻孔拡張テープは、そもそも、鼻孔を拡張しようとする目的のために、元の形状に弾性的に復帰させようとするものであり、マスクの装着中のずれに対しては、脆弱である。
【0005】
第2に、抗菌マスクとして感染防止対策が不十分である。
より詳細には、第1の点に関連して、マスク中の装着中のずれを修正するのに、菌等付着の恐れのあるマスク外面を手で触り、菌等が付着した手で、鼻、口等に直接触れることで、感染の機会が増大する。
さらに、鼻孔拡張テープは、そもそも、鼻孔を拡張しようとする目的のために、元の形状に弾性的に復帰させようとするものであり、マスクと顔の面との間に隙間が形成されやすく、隙間からの菌等の侵入の恐れがある。
第3に、鼻孔拡張テープの繰り返し使用が困難であり、鼻孔拡張テープ付きマスクを繰り返し使用する場合に誤用の可能性が高い。
より詳細には、鼻孔拡張テープは、そもそも、マスクの内面に接着固定されており、繰り返し使用が困難であり、このようなマスクは、複数のセット販売が通常であるところ、鼻孔拡張マスクを繰り返し使用する場合に、他の使用者の鼻孔拡張マスクとの区別が困難となり、誤用することにより、たとえば、家族内で菌の感染が生じ得る。
昨今、新型コロナウイルスが世界中に蔓延し、既存の社会秩序、経済システム、生活行動様式を一変させるほどに影響を与えており、このコロナウイルス菌の感染を防ぐ基本的な策は言うまでもなく、消毒、手洗いとマスク着用であり、このような意味において、マスクの装着、脱着が簡便で、装着中には、マスクのずれを防止可能であり、紙製、不織布製、布製等多種のマスクに対して、繰り返し使用可能でありながら、誤用を確実に防止可能なマスクが要望されている。
【0006】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、長時間の装着中に、ずれを抑制しつつ、脱着が容易なマスクを提供する。
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、長時間の装着中に、ずれを抑制しつつ、脱着が容易であるとともに、マスクと顔との間に隙間が生じにくくする平型マスクを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、本発明のマスクは、
鼻口部を覆うマスク本体と、該マスク本体の各上下方向縁部に耳掛け紐とを備えたマスクにおいて、
各耳掛け紐は、マスク着用者の耳に掛けられるように、対応する上下方向縁部に両端が間隔を隔てて固定され、
該両端のうち下端は、前記マスク本体の対応する上下方向縁部の中央部より上に位置決めされ、
前記マスク本体の上縁部には、上方に突出する摘まみ片が、前記マスク本体と一体で設けられ、
前記耳掛け紐のそれぞれには、マスク着用の際、マスク着用者の耳により隠される部位に、マスク識別用保護部材が付設されている、構成としている。
【0009】
以上の構成を有するマスクによれば、マスク着用の際、マスク着用者は、マスク本体により鼻口部を覆いつつ、マスクの上下方向縁部に両端が間隔を隔てて固定された耳掛け紐を耳の付け根部に掛けるところ、マスク着用者の耳により隠される部位に、マスク識別用保護部材が付設されているとともに、両端のうち下端は、マスク本体の対応する上下方向縁部の中央部より上に位置決めされているので、マスク識別用保護部材を手掛かりに、たとえば、家庭内で、同じマスクが複数ある中で、自分用のマスクを誤認することなく選択可能であるとともに、マスク着用中は、マスク着用者の耳により隠されるので、外出中でも目立つことなく、マスク着用が長時間に及んでも、マスク識別用保護部材により、耳掛け紐を直接耳の付け根部に掛ける場合に比して、耳の付け根部に生じ得る痛みを軽減することが可能であり、その分、耳掛け紐によるマスク本体の鼻口への密着強さを大きくすることが可能であり、耳掛け部紐による締付は、マスク本体の上部側(鼻部まわり)に集中することから、マスクと顔との間に形成される隙間およびずれの発生を低減することが可能であり、菌、ウィルスの侵入を防止したり、咳の際、菌、ウィルスの拡散を防止したりすることに寄与する。
さらに、マスクの脱着の際、マスク本体の上縁部には、上方に突出する摘まみ片が、マスク本体と一体で設けられるので、この摘まみ片を指で摘まみながら、いずれか一方の耳掛け紐を耳から外すことにより、マスクに触れる部分を限定したうえで、マスク本体を容易に脱着することが可能であり、総じて、長時間の装着中に、ずれを抑制しつつ、脱着が容易なマスクが提供される。
【0010】
さらに、前記マスク識別用保護部材は、マスク着用の際、耳の付け根部に生じ得る痛みを軽減するとともに、耳掛け紐とは異なる色が付されているのがよい。
また、前記マスク識別用保護部材は、シリコン、綿、ビロードのいずれかの材質からなるのがよい。
さらにまた、前記マスク識別用保護部材は、対応する耳掛け紐に巻回固定されているのがよい。
加えて、前記マスク識別用保護部材は、対応する耳掛け紐に接着固定されているのでもよい。
【0011】
また、前記マスク識別用保護部材は、対応する耳掛け紐を挟み込んで、両端部が固着されているのでもよい。
さらに、前記耳掛け紐の各々は、前記マスクに固定される端部と反対の端が前記マスク識別用保護部材に固定される耳掛け紐部を2つ有し、一方の耳掛け紐部が前記マスク識別用保護部材の一方の端に、他方の耳掛け紐部が前記マスク識別用保護部材の他方の端に、それぞれ固定される、のでもよい。
【0012】
さらにまた、前記耳掛け紐各々の全体が、シリコン、綿、ビロードのいずれかの材質からなり、マスク着用の際、マスク着用者の耳により隠される部位が着色されているのがよい。
加えて、前記マスク識別用保護部材は、全長が、1センチないし2センチであるのがよい。
【0013】
また、前記マスクは、平型マスクであって、
前記マスクの内面の両上下縁部それぞれに沿って、第2マスク用固定シールが付設され、
第2マスク用固定シールは、両面テープと、医療用皮膚テープと、該両面テープおよび該医療用皮膚テープの間に介在する化粧用スポンジパフのスポンジ層を有し、
該両面テープは、一方の面の第1粘着部により、前記マスクの内面に粘着固定され、
該両面テープは、他方の面の第2粘着部が、所定厚みを有するスポンジ層の一方の面に粘着固定され、
該スポンジ層の他方の面は、医療用皮膚テープに粘着固定され、
医療用皮膚テープがマスク使用者の顔の頬部に粘着固定されるのがよい。
【0014】
さらに、化粧用スポンジパフのスポンジ層は、含水性を有する第1パフ部と、含水性を有しない第2パフ部と、を有し、
前記第1 パフ部および前記第2 パフ部の少なくとも一部分は相互に接し一体化しているのがよい。
また、前記第1パフ部は、スポンジ状の材質から成るスポンジパフ部であり、前記第2パフ部は、シリコン樹脂状の材質から成るシリコンパフ部であるのがよい。
さらにまた、前記両面テープのいずれか、又は両方の端部に、識別タグが付設されるのがよい。
【0015】
加えて、前記第1粘着部の粘着固定力が、前記医療用皮膚テープの頬部への粘着固定力より大きくなるように設定されるのがよい。
また、前記第2マスク用固定シールには、対応する前記上下縁部から外方に突出する突出部が付設されているのがよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係るマスク用固定シールの第1実施形態を図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
図1に示すように、マスク100は、例えば、使い捨てのプリーツ型のマスク100であり、具体的には、着用者の顔面の鼻や口や顎( 対象部位) 等を覆うマスク本体部110 と、このマスク本体部110 を着用者の耳に係止するための左右一対の耳掛け紐114 とを備えている。
マスク本体部110には、一般的な健康マスクとして用いられる公知な材料が使用される。一例として、綿素材のガーゼに任意の方法で抗菌・消臭等の加工が施されたものが使用される。抗菌・消臭加工の一例として、ナノ化された銀イオンをガーゼに吸着させる方法が挙げられる。
【0017】
マスク本体部110は、例えば、正面視にて略矩形状に形成され、上下方向に広がることが可能なプリーツ116が上下方向に複数形成されている。そして、マスク100の着用時にはプリーツ116が上下方向に広がることによりマスク本体部110が外側に膨出するように山型の立体的形状となって、着用者の顔面の鼻や口や顎等が覆われるようになっている。なお、マスク本体部110の上部縁近傍には、マスク本体部110の縦中央線に関して対称に、横方向に、通常の補強ワイヤが設けられている。
【0018】
また、マスク本体部110 はシート材から形成されており、シート材は、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンレース不織布、ガーゼ、タオル地等による一枚生地又は複数重ね合わせの生地から形成されている。
なお、マスク本体部110 の製造方法は、公知のものであれば如何なるものであっても良く、詳細な説明は省略する。
マスク本体部110の上縁部には、上方に突出する摘まみ片150が、マスク本体部110と一体で設けられている。より詳細には、上縁部の各端、および中央部それぞれに、摘まみ片150A,150B,および150Cが付設されている。
【0019】
マスク100の脱着の際、マスク100の上縁に設けた摘まみ片150A,150B,および150Cのいずれかを指で押さえて、耳掛け紐114を耳から外して、脱着することにより、マスク100の外面に指で触れることなく、脱着可能である。摘まみ片150の大きさ、形状は、摘まみ片150を指で押さえやすい観点から定まればよい。
【0020】
マスク本体部110 の左右方向の両縁部12には、左右一対の耳掛け紐114が設けられている。
左右一対の耳掛け紐114の各々は、例えば、平紐であり、ゴム紐が縫い込まれて全体が伸縮性を有するものであっても良い。
左側の耳掛け紐114の一端部はマスク本体部110 の左縁部の上端に、他端部はマスク本体部110 の左縁部の下端に縫い付け、接着又は溶着より固定されている。
また、右側の耳掛け紐114の一端部はマスク本体部110の右縁部の上端に、他端部はマスク本体部110 の右縁部の下端に縫い付け、接着又は溶着より固定されている。たとえば、耳掛け紐114は、マスク本体部110 の対応する縁部に対して、たとえば、熱溶着等により接合されている。
【0021】
耳掛け紐114の両端のうち下端は、マスク本体部110の対応する上下方向縁部52の中央部より上に位置決めされている。
これにより、従来のように、耳掛け紐114の両端の各端が、マスク本体部110の上下方向縁部52の中央部に関して、略対称に配置されている場合に比べて、耳掛け紐114の両端が、マスク本体部110の上下方向縁部52の中央部に関して、上部側、すなわち、鼻部相当部位に配置されているので、マスク100の装着中、耳掛け紐114によるマスク100の顔に対する締付力が、鼻部に集中することから、会話等口を動かすことにより、マスク100の上下方向のずれを低減することが可能である。
特に、耳掛け紐114の材質として、伸縮力に優れる材質を採用することにより、マスク100の脱着の際、耳掛け紐114を伸ばして、耳から外しやすくなるとしても、マスク100の装着中のマスク100の上下方向のずれを低減することも可能である。
【0022】
耳掛け紐114のそれぞれには、マスク着用の際、マスク着用者の耳により隠される部位に、マスク識別用保護部材200が付設されている。マスク識別用保護部材200は、マスク着用者の耳により隠される観点から、全長Lが、1センチないし2センチである。
マスク識別用保護部材200は、マスク着用の際、耳の付け根部に生じ得る痛みを軽減するとともに、耳掛け紐114とは異なる色が付されている。
マスク識別用保護部材200は、シリコン、綿、ビロードのいずれかの材質からなり、これにより、耳掛け紐114の張力が強い場合でも、マスク100を長時間装着中に、耳掛け紐114が当たる耳部に痛みが発生したり、軽減することが可能である。
マスク識別用保護部材200は、対応する耳掛け紐114に巻回固定され、周回部204が耳掛け紐114を巻回し、突出部202A、Bの対向面同士が接合されている。
【0023】
変形例として、マスク識別用保護部材200は、対応する耳掛け紐114に接着固定されているのでもよい。
さらなる変形例として、マスク識別用保護部材200は、対応する耳掛け紐114を挟み込んで、両端部が固着されているのでもよい。
さらなる変形例として、耳掛け紐114の各々は、マスク100に固定される端部と反対の端がマスク識別用保護部材200に固定される耳掛け紐114部を2つ有し、一方の耳掛け紐114部がマスク識別用保護部材200の一方の端に、他方の耳掛け紐114部がマスク識別用保護部材200の他方の端に、それぞれ固定され、耳掛け紐114各々の全体が、シリコン、綿、ビロードのいずれかの材質からなり、マスク着用の際、マスク着用者の耳により隠される部位が着色されているのでもよい。
【0024】
以上の構成を有するマスク100について、装着の際、脱着の際に関し、その作用を以下に説明する。
(1) マスク100の装着
マスク100の両耳かけ部を使用者の対応する耳に掛けて、通常のやり方で、マスク100を装着する。
マスク100の装着中、会話等口を動かしても、マスク100が上下方向、特に下方向にずれて、鼻部が露出して、マスク100によるカバー機能を損なうのを防止することが可能である。これにより、手でマスク100の外面111に触れて、マスク100のずれを修正することにより、マスク100の外面111に付着するウィルス等菌が手に付着し、菌が付着した手で鼻、口等に直接触れて、菌に感染する機会が生じるのを抑制することが可能である。
【0025】
(2)マスク100の脱着
通常のように、マスク100の耳掛け紐114を耳から外して、マスク100を顔から脱着する。
マスク用固定シール10のマスク100からの脱着の際、マスク本体部110の上縁部には、上方に突出する摘まみ片150が、マスク本体部110と一体で設けられるので、この摘まみ片150を指で摘まみながら、いずれか一方の耳掛け紐114を耳から外すことにより、マスクに触れる部分を限定したうえで、マスク本体部110を容易に脱着することが可能であり、手で粘着面に触れる必要がなく、抗菌性を損なう機会を低減することが可能である。
【0026】
以上の構成を有するマスクによれば、マスク着用の際、マスク着用者は、マスク本体部110により鼻口部を覆いつつ、マスクの上下方向縁部に両端が間隔を隔てて固定された耳掛け紐114を耳の付け根部に掛けるところ、マスク着用者の耳により隠される部位に、マスク識別用保護部材200が付設されているとともに、両端のうち下端は、マスク本体部110の対応する上下方向縁部の中央部より上に位置決めされているので、マスク識別用保護部材200を手掛かりに、たとえば、家庭内で、同じマスクが複数ある中で、自分用のマスクを誤認することなく選択可能であるとともに、マスク着用中は、マスク着用者の耳により隠されるので、外出中でも目立つことなく、マスク着用が長時間に及んでも、マスク識別用保護部材200により、耳掛け紐114を直接耳の付け根部に掛ける場合に比して、耳の付け根部に生じ得る痛みを軽減することが可能であり、その分、耳掛け紐114によるマスク本体部110の鼻口への密着強さを大きくすることが可能であり、耳掛け紐114による締付は、マスク本体部110の上部側(鼻部まわり)に集中することから、マスクと顔との間に形成される隙間およびずれの発生を低減することが可能であり、菌、ウィルスの侵入を防止したり、咳の際、菌、ウィルスの拡散を防止したりすることに寄与する。
【0027】
さらに、マスクの脱着の際、マスク本体部110の上縁部には、上方に突出する摘まみ片150が、マスク本体部110と一体で設けられるので、この摘まみ片150を指で摘まみながら、いずれか一方の耳掛け紐114を耳から外すことにより、マスクに触れる部分を限定したうえで、マスク本体部110を容易に脱着することが可能であり、総じて、長時間の装着中に、ずれを抑制しつつ、脱着が容易なマスクが提供される。
【0028】
以下に、本発明の第2実施形態について、
図3および
図4を参照しながら説明する。以下の説明において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について詳細に説明する。
本発明の第2実施形態の特徴は、マスク100が平型であり、それに伴い、マスク100の上下縁部52に沿って、マスク用固定シール45を設ける点である。
平型マスク100は、立体型マスク100またはプリーツマスク100に比べて、マスク内面が平面状であることから、マスク100装着中に、たとえば、会話、あくび、くしゃみ等口を動かすことにより、顔の頬部には、少なからず凹部が形成され、それにより、マスク内面と頬部との間に隙間が形成され、この隙間を介して、ウィルス、菌が侵入して感染のリスクを増大したり、この隙間を介して、マスク100使用者が外部へウィルス、菌を放出するリスクを増大するという問題点が存するところ、このような課題を解決するものである。
【0029】
図4に示すように、マスク100は、平型マスク100であって、マスク用固定シール45は、両面テープ50と、医療用皮膚テープ61と、両面テープ50および医療用皮膚テープ61の間に介在するスポンジ層55を有する。
より詳細には、マスク100の内面の両上下縁部52それぞれに沿って、マスク用固定シール45が付設される。なお、マスク用固定シール45の側縁が両上下縁部52に一致する必要はなく、マスク100の内面と頬部との密着性を確保する観点から、両上下縁部52の近傍に設ければよく、必ずしも、両上下縁部52に平行にマスク用固定シール45を設ける必要もない。後述するように、脱着したマスク100をポケット、鞄等内に保管する際、マスク100を長手方向の中央部を折り目として、二つ折りにして、マスク用固定シール45の医療用皮膚テープ61の粘着部が重なって、互いに密着することにより、マスク100の内面が露出しないように、両マスク用固定シール45のマスク100の内面100に対する位置を定めればよい。
【0030】
両面テープ50には、対応する上下縁部52から横方向に延びて外方に突出する突出部25が設けられている。突出部25の長さは、以下で説明するように、マスク100を、たとえば、ポケット、鞄に保管する場合、マスク100を長手方向の中央部を折り目として、2つに折り畳む際、第1実施形態と同様に、折り畳まれるマスク100用固定シール10の一方の部分の顔粘着部と、他方の部分の顔粘着部とを粘着固定するとともに、マスク用固定シール45同士を密着させ、再び、折り畳んでいたマスク100を広げて再使用する際に、マスク100の外方へ突出する部分を指で摘まんで広げるのに利用可能な観点から定めればよい。
【0031】
両面テープ50は、一方の面54の第1粘着部により、マスク100の内面に粘着固定され、他方の面56の第2粘着部が、所定厚みを有するスポンジ層55の一方の面57に粘着固定され、スポンジ層55の他方の面59は、医療用皮膚テープ61に粘着固定され、医療用皮膚テープ61がマスク100使用者の顔の頬部に粘着固定される。スポンジ層55の材質は、マスク100装着の際、口を動かすことにより頬部に形成される凹部に追従可能な弾性を有するものである限り、通常のものでよい。
スポンジ層55の厚みは、マスク100の内面と頬部との密着性を確保することにより、隙間形成を防止する観点から定めればよく、
図4に示すように、口を動かすことにより凹む頬部の部位、すなわち、スポンジ層55の中央部が頂点となるような山型に形成されており、特に、材質を弾力性に富むウレタン製とすることにより、頬部の表面形状に係わらず、口のマスク100の内面と頬部との密着性を維持することが可能である。
【0032】
スポンジ層55は、化粧用スポンジパフ 製であり、その材質としては特に制限はなく、NBRゴム(アクリロニトリル・ブタジエンゴム) やウレタンゴム等を挙げることができるが、特にNBRゴムが好ましい。また、化粧料をある程度含む素材がよいため、スポンジの少なくとも一部が連続気泡発泡体であることが好ましい。さらに、スポンジ層の弾性強度(硬度)は、F型ゴム硬度計(デュロメーター) で30ないし210程度、とりわけ40ないし180程度、特に60ないし150程度であることが好ましい。なお、本発明のスポンジパフ1 の弾性強度は、他の方法として下記測定方法により得られた弾性応力の値をもって示すこともでき、測定荷重値(g)として、50~350gを示すものが好ましく、より好ましくは70~300g、特に好ましいのは100~250gの範囲内の値を示すものである。
化粧用スポンジパフのスポンジ層は、含水性を有する第1パフ部と、含水性を有しない第2パフ部と、を有し、第1パフ部および第2パフ部の少なくとも一部分は相互に接し一体化しているのがよい。第1パフ部は、スポンジ状の材質から成るスポンジパフ部であり、第2パフ部は、シリコン樹脂状の材質から成るシリコンパフ部であるのがよい。
【0033】
以上の構成のマスク100によれば、第1実施形態と同様に、マスク100装着中に、マスク100用固定シール10により、ずれを防止しつつ、特に平型マスク100の欠点である両側部における隙間形成を有効に防止可能である。
より詳細には、マスク100の装着中、会話等口を動かしても、マスク100が上下方向、特に下方向にずれて、鼻部が露出して、マスク100によるカバー機能を損なうのを防止することが可能であるとともに、マスク100の両側部に隙間が形成され、そこからウィルス、菌の出入りするリスクを有効に抑制することが可能である。これにより、手でマスク100の外面111に触れて、マスク100のずれを修正することにより、マスク100の外面111に付着するウィルス等菌が手に付着し、菌が付着した手で鼻、口等に直接触れて、菌に感染する機会が生じるのを抑制することが可能であるとともに、マスク用固定シール45における両面テープ50と医療用皮膚テープ61それぞれの粘着固定力およびそれらの間に介在するスポンジ層55により、マスク100の内面と頬部との間の密着性を保持して、隙間が形成されるのを有効に防止可能である。
【0034】
マスク100の装着は、第1実施形態と同様であるが、両面テープ50の両方またはいずれかの端部に、識別タグ22を付設してもよい。これにより、繰り返し使用する場合、家族内でのマスク100の誤用防止が可能であり、たとえば、家族間の感染の機会を低減することが可能である。特に、両面テープ50の上端部に、識別タグ22を設けることにより、それを目印にして、マスク100の上下向きを見誤ることなく装着することが可能である。突出部150の先端部の裏面に識別タグ22と同じ色の識別マークを付してもよい。これにより、マスク100の表裏を誤認するのを防止可能である。
なお、医療用皮膚テープ61には、マスク100用固定シール10と同様に、剥離フィルム(図示せず)が貼られ、マスク100を使用する際、剥離フィルムを剥がして、頬部に粘着固定すればよい。
【0035】
第1粘着部の粘着固定力が、医療用皮膚テープ61の粘着固定力より大きくなるように設定されるのが好ましい。これにより、外でマスク100を脱着する際、マスク用固定シール45が頬部に残存した状況でマスク100を脱着する事態を防止することが可能である。
マスク100の脱着も、第1実施形態と同様であるが、特に、マスク100の上縁の中央部に設けた摘まみ片150を指で押さえて、耳掛け紐114を耳から外して、脱着することにより、マスク100の外面に指で触れることなく、脱着可能である。摘まみ片150の大きさ、形状は、摘まみ片150を指で押さえやすい観点から定まればよい。
脱着後、たとえば、マスク100を折り畳んで、ポケット、鞄内に保管する際、マスク用固定シール45を利用するとよい。より詳細には、マスク100を長手方向の中央部を折り目として、2つに折り畳む際、マスク用固定シール45同士の医療用皮膚テープ61の粘着部同士を密着させることにより、マスク100の内面を露出させることなく、ポケット、鞄内へ手を挿入して、ウィルス、菌等が付着した指で不意にマスク100の内面を触れて、内面にウィルス、菌等が付着するのを有効に予防することが可能である。
【0036】
次いで、ポケット、鞄内からマスク100を再び取り出して、再使用する際、マスク100から突出する突出部25を指で摘まんで、2つ折りのマスク100を拡げることにより、マスク用固定シール45同士で強固に粘着している部分を容易に引きはがすことが可能である。
また、マスク100を繰り返し使用する際、マスク内面に両面テープ50が粘着固定した状態で、マスク100ごと洗濯するのでよく、数回の洗濯後も、第1粘着部によりマスク内面に両面テープ50が粘着固定した状態を維持することが可能であるとともに、第2粘着部の粘着力も繰り返し使用可能な程度に維持することが可能である。特に、製品名『OTOKU魔法両面テープ』によれば、水洗いにより、水に触れることにより、粘着性を回復可能であり、製品名『Braza』によれば、布地系、不織布等への接着性に優れる。
さらに、数回の洗濯後、医療用皮膚テープ61の粘着力が低下した場合には、医療用皮膚テープ61に、新たな医療用皮膚テープ61を粘着させて、医療用皮膚テープ61を重ねて設けてもよい。
【0037】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば、種々の修正あるいは変更が可能である。
たとえば、本実施形態において、マスク100用固定シール10が装着されるマスク100としては、健康マスク100のものとして説明したが、それに限定されることなく、マスク100装着中のずれ抑制に寄与する限り、風邪予防用ガーゼマスク100、花粉症用の不織布マスク100、捕集効率の高い医療用サージカルマスク100や、感染者の隔離病棟で利用される感染予防用のマスク100、さらには、生物化学兵器を想定した防毒(防護)マスク100にも、適用可能であり、プリーツ型、立体型だけでなく、平型にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るマスク100の全体図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るマスク100を顔に装着した状態を示す図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係るマスク100の、
図1と同様な図である。
【符号の説明】
【0039】
100 マスク
110 マスク本体部
111 外面
114 耳掛け紐
116 プリーツ
118 折りひだ
45 マスク用固定シール
50 両面テープ
52 上下縁部
54 一方の面
55 スポンジ層
56 他方の面
57 一方の面
59 他方の面
61 医療用皮膚テープ
200 マスク識別用保護部材
202 突出部
204 周回部