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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020150
(43)【公開日】2022-02-01
(54)【発明の名称】光ケーブル及び光ファイバ敷設方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/46 20060101AFI20220125BHJP
   G02B 6/44 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
G02B6/46 321
G02B6/44 361
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020123487
(22)【出願日】2020-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】清水 正砂
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 亮
(72)【発明者】
【氏名】鯰江 彰
(72)【発明者】
【氏名】大里 健
【テーマコード(参考)】
2H001
2H038
【Fターム(参考)】
2H001BB01
2H001BB07
2H001BB15
2H001BB16
2H001BB27
2H001MM01
2H038CA62
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光ケーブルの分岐作業を簡易にすること。
【解決手段】光ケーブル100は、第1ケーブル10と、第1ケーブルに沿って配置され、第1ケーブルとは別の第2ケーブル20と、少なくとも2つの接続部30とを備え、第1ケーブルに含まれる一部の光ファイバが、2つの接続部の間の区間における第2ケーブルの光ファイバに接続されていることを特徴とする。また、光ファイバ敷設方法では、区間において第2ケーブルを切断し、切断した第2ケーブルの光ファイバをドロップポイントに引き落とす。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ケーブルと、
前記第1ケーブルに沿って配置され、前記第1ケーブルとは別の第2ケーブルと、
少なくとも2つの接続部と
を備え、
前記第1ケーブルに含まれる一部の光ファイバが、2つの前記接続部の間の区間における前記第2ケーブルの光ファイバに接続されている
ことを特徴とする光ケーブル。
【請求項2】
請求項1に記載の光ケーブルであって、
前記接続部において、前記第1ケーブルの光ファイバと、前記第2ケーブルの光ファイバとがコネクタによって接続されていることを特徴とする光ケーブル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光ケーブルであって、
前記第2ケーブルは、前記第1ケーブルの外周に螺旋状に配置されていることを特徴とする光ケーブル。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の光ケーブルであって、
前記第1ケーブルの局舎側とは反対側の端部において、前記第2ケーブルに接続されている前記第1ケーブルの前記光ファイバと、前記第1ケーブルの別の前記光ファイバとが接続されていることを特徴とする光ケーブル。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の光ケーブルであって、
少なくとも3つの前記接続部によって、少なくとも2つの前記区間が形成されており、
或る区間における前記第2ケーブルの光ファイバに接続されている前記第1ケーブルの光ファイバと、別の区間における前記第2ケーブルの光ファイバに接続されている前記第1ケーブルの光ファイバとが異なっていることを特徴とする光ケーブル。
【請求項6】
請求項5に記載の光ケーブルであって、
前記第1ケーブルは、いずれの前記区間の前記第2ケーブルとも接続されていない光ファイバである未接続ファイバを有しており、
前記第1ケーブルの局舎側とは反対側の端部には、光信号を分岐する分岐部が設けられており、
前記分岐部の入力側には、前記未接続ファイバが接続され、
前記分岐部の出力側には、或る区間における前記第2ケーブルの光ファイバに接続されている前記第1ケーブルの光ファイバと、別の区間における前記第2ケーブルの光ファイバに接続されている前記第1ケーブルの光ファイバとが接続されている
ことを特徴とする光ケーブル。
【請求項7】
第1ケーブルと、前記第1ケーブルに沿って配置され、前記第1ケーブルとは別の第2ケーブルと、少なくとも2つの接続部とを備え、前記第1ケーブルに含まれる一部の光ファイバが、2つの前記接続部の間の区間における前記第2ケーブルの光ファイバに接続されている光ケーブルを架設すること、
前記区間において前記第2ケーブルを切断し、切断した前記第2ケーブルの前記光ファイバをドロップポイントに引き落とすこと
を行う光ファイバ敷設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ケーブル及び光ファイバ敷設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
き線点(始点)からドロップポイントまでの間に光ケーブルを敷設する際に、光ケーブルを配線経路上の電柱間に架設することがある。支持線の無い非自己支持型の光ケーブルを架設する場合、バゲット車を使用して、電柱間に架設された吊線にケーブルハンガーを介して光ケーブルを架設することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-304549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配線経路の分岐点において、光ケーブルから分岐させた分岐ケーブルを敷設することがある。この場合、分岐点において、光ケーブルにクロージャを取り付け、光ケーブルに分岐ケーブルを取り付ける等の分岐作業が必要となる。但し、架空での分岐作業は多大なコストがかかるため、架空での分岐作業を軽減することが望まれている。
【0005】
なお、特許文献1には、工場において、分岐点となる位置に予め分岐ケーブルを分岐させることが記載されている。但し、この場合、き線点から分岐点までの距離を予め把握する必要があり、また、光ケーブルの使用場所が限定されてしまう。
【0006】
本発明は、光ケーブルの分岐作業を簡易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための主たる第1の発明は、第1ケーブルと、前記第1ケーブルに沿って配置され、前記第1ケーブルとは別の第2ケーブルと、少なくとも2つの接続部と
を備え、前記第1ケーブルに含まれる一部の光ファイバが、2つの前記接続部の間の区間における前記第2ケーブルの光ファイバに接続されていることを特徴とする光ケーブルである。
また、上記目的を達成するための主たる第2の発明は、第1ケーブルと、前記第1ケーブルに沿って配置され、前記第1ケーブルとは別の第2ケーブルと、少なくとも2つの接続部とを備え、前記第1ケーブルに含まれる一部の光ファイバが、2つの前記接続部の間の区間における前記第2ケーブルの光ファイバに接続されている光ケーブルを架設すること、前記区間において前記第2ケーブルを切断し、切断した前記第2ケーブルの前記光ファイバをドロップポイントに引き落とすこと、を行う光ファイバ敷設方法である。
【0008】
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光ケーブルの分岐作業を簡易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1Aは、第1実施形態の光ケーブル100の説明図である。図1Bは、第1実施形態の光ケーブル100の断面の説明図である。
図2図2は、接続部30の説明図である。
図3図3A及び図3Bは、第1実施形態の光ケーブル100を用いた分岐作業の説明図である。
図4図4A及び図4Bは、第1変形例の光ケーブル100の説明図である。
図5図5は、第2変形例の光ケーブル100の説明図である。
図6図6A図6Cは、第1実施形態の光ケーブル100の製造方法の説明図である。
図7図7Aは、第2実施形態の光ケーブル100の説明図である。図7Bは、第2実施形態の光ケーブル100を用いた分岐作業の説明図である。
図8図8は、第2実施形態の光ケーブル100を利用した光ファイバの敷設方法の説明図である。
図9図9Aは、第3実施形態の光ケーブル100の説明図である。図9Bは、第3実施形態の光ケーブル100を利用した光ファイバの敷設方法の説明図である。
図10図10A及び図10Bは、第3実施形態の光ケーブル100の製造方法の説明図である。
図11図11Aは、第4実施形態の光ケーブル100の説明図である。図11Bは、第4実施形態の光ケーブル100を利用した光ファイバの敷設方法の説明図である。
図12図12A及び図12Bは、第4実施形態の光ケーブル100を利用した更に別の敷設方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0012】
第1ケーブルと、前記第1ケーブルに沿って配置され、前記第1ケーブルとは別の第2ケーブルと、少なくとも2つの接続部とを備え、前記第1ケーブルに含まれる一部の光ファイバが、2つの前記接続部の間の区間における前記第2ケーブルの光ファイバに接続されていることを特徴とする光ケーブルが明らかとなる。このような光ケーブルによれば、光ケーブルを簡易に分岐できる。
【0013】
前記接続部において、前記第1ケーブルの光ファイバと、前記第2ケーブルの光ファイバとがコネクタによって接続されていることが望ましい。これにより、接続部の形成作業が容易になる。
【0014】
前記第2ケーブルは、前記第1ケーブルの外周に螺旋状に配置されていることが望ましい。これにより、第2ケーブルの配線作業が容易になる。
【0015】
前記第1ケーブルの局舎側とは反対側の端部において、前記第2ケーブルに接続されている前記第1ケーブルの前記光ファイバと、前記第1ケーブルの別の前記光ファイバとが接続されていることが望ましい。これにより、第2ケーブルが切断された後においても、切断部よりも終端側の光ファイバが利用可能になる。
【0016】
少なくとも3つの前記接続部によって、少なくとも2つの前記区間が形成されており、或る区間における前記第2ケーブルの光ファイバに接続されている前記第1ケーブルの光ファイバと、別の区間における前記第2ケーブルの光ファイバに接続されている前記第1ケーブルの光ファイバとが異なっていることが望ましい。これにより、複数のドロップポイントにおいて第2ケーブルを切断するだけで分岐作業を行うことができる。
【0017】
前記第1ケーブルは、いずれの前記区間の前記第2ケーブルにも接続されていない光ファイバである未接続ファイバを有しており、前記第1ケーブルの局舎側とは反対側の端部には、光信号を分岐する分岐部が設けられており、前記分岐部の入力側には、前記未接続ファイバが接続され、前記分岐部の出力側には、或る区間における前記第2ケーブルの光ファイバに接続されている前記第1ケーブルの光ファイバと、別の区間における前記第2ケーブルの光ファイバに接続されている前記第1ケーブルの光ファイバとが接続されていることが望ましい。これにより、引き落とし先を増やすことができる。
【0018】
第1ケーブルと、前記第1ケーブルに沿って配置され、前記第1ケーブルとは別の第2ケーブルと、少なくとも2つの接続部とを備え、前記第1ケーブルに含まれる一部の光ファイバが、2つの前記接続部の間の区間における前記第2ケーブルの光ファイバに接続されている光ケーブルを架設すること、前記区間において前記第2ケーブルを切断し、切断した前記第2ケーブルの前記光ファイバを前記ドロップポイントに引き落とすことを行う光ファイバ敷設方法が明らかとなる。このような光ファイバ敷設方法によれば、光ケーブルを簡易に分岐できるため、光ファイバの敷設が容易になる。
【0019】
===第1実施形態===
<構成>
図1Aは、第1実施形態の光ケーブル100の説明図である。図1Bは、第1実施形態の光ケーブル100の断面の説明図である。
【0020】
図1Aには、電柱が示されている。電柱は、電線や光ケーブル100を架け渡すための柱である。電柱は、例えばコンクリート柱や鋼管柱である。配線経路上には、複数の電柱が配置されている。本実施形態の光ケーブル100は、電柱間に架設する光ケーブル(架空光ケーブル)である。光ケーブル100は、第1ケーブル10と、第2ケーブル20と、少なくとも2つの接続部30とを有する。
【0021】
第1ケーブル10は、複数の光ファイバ13を収容する光ケーブルである。第1ケーブル10は、メインケーブルや太ケーブルと呼ばれることもある。第1ケーブル10は、例えば電柱間に架設された吊線(不図示)にケーブルハンガー(不図示;例えばスパイラルハンガーなど)を介して架設されることになる。第1ケーブル10は、例えばき線点(始点)から少なくともドロップポイントまでの間に敷設される光ケーブルであり、数100m~数kmの長さである。なお、図1Aには、ドロップポイント近傍の光ケーブル100や電柱が示されており、第1ケーブル10の一部区間が示されている。図1Bに示すように、第1ケーブル10は、複数の光ファイバ13と、外被15とを有する。複数の光ファイバ13が押え巻きテープ14に巻き回された状態で外被15に収容されている。
【0022】
なお、第1ケーブル10の構造は、これに限られるものではない。例えば、第1ケーブル10は、支持線を含む自己支持型の架空光ケーブルで構成されても良い。また、第1ケーブル10は、スロットケーブルやルースチューブケーブルでも良い。本実施形態の第1ケーブル10は、144本の光ファイバ13を有する。具体的には、本実施形態の第1ケーブル10は、12本の光ファイバ13で構成された12心光ファイバテープ11(リボン)を12枚備えている。但し、第1ケーブル10の光ファイバ13の本数や光ファイバテープ11の枚数は、これに限られるものではない。以下の説明では、第1ケーブル10の光ファイバテープ11の枚数を4枚に減らして説明することがある。また、第1ケーブル10の複数の光ファイバ13は、光ファイバテープ11を構成するものに限られず、複数の単心の光ファイバ13でも良い。
【0023】
第2ケーブル20は、第1ケーブル10とは別のケーブルである。第2ケーブル20は、サブケーブルや細ケーブルと呼ばれることもある。図1Bに示すように、第2ケーブル20は、複数の光ファイバ23と、外被25とを有する。
【0024】
第2ケーブル20の光ファイバ23の本数は、第1ケーブル10の光ファイバ13よりも少ない。ここでは、第2ケーブル20は、12本の光ファイバ23を有する。具体的には、本実施形態の第2ケーブル20は、12本の光ファイバ23で構成された12心光ファイバテープ21を1枚備えている。但し、第2ケーブル20の光ファイバ23の本数や光ファイバテープ21の枚数は、これに限られるものではない。また、第2ケーブル20の複数の光ファイバ23は、光ファイバテープ21を構成するものに限られず、複数の単心の光ファイバ23でも良い。
【0025】
第2ケーブル20は、第1ケーブル10の長手方向に沿って配置されている。ここでは、第2ケーブル20は、第1ケーブル10の長手方向に沿って第1ケーブル10の外周上に螺旋状に配置されている。これにより、第2ケーブル20の余長を確保することができ、第2ケーブル20の配線作業(後述)が容易になる。また、第2ケーブル20は、接続部30以外の箇所では第1ケーブル10に連結されておらず、第1ケーブル10から分離している。これにより、第2ケーブル20が第1ケーブル10から拘束されにくいため、第2ケーブル20の配線作業(後述)が容易になる。
【0026】
第2ケーブル20は、ドロップポイント近傍の所定の区間に設けられている。第2ケーブル20は、ドロップポイント近傍の10m~100m程度の範囲にわたって、第1ケーブル10の長手方向に沿って配置されている。このため、第1実施形態の第2ケーブル20は、第1ケーブル10と比べて短い。なお、図中の第2ケーブル20は、或る電柱の前後にわたって配置されているが、電柱の前後にわたって配置されないこともあるし(電柱間の架空だけに配置されることもあるし)、複数の電柱間にわたって配置されることもある。
【0027】
図2は、接続部30の説明図である。ここでは図面の簡略化のため、第1ケーブル10の光ファイバテープ11の枚数を4枚に減らして図示している。
【0028】
接続部30は、第1ケーブル10に含まれる一部の光ファイバ13と、第2ケーブル20の光ファイバ23とを接続する部位である。本実施形態では、第2ケーブル20(2つの接続部30の間の区間に設けられた第2ケーブル20)の光ファイバ23は、接続部30を介して、第1ケーブル10の一部の光ファイバ13と接続されている。
【0029】
接続部30において、第1ケーブル10の一部の光ファイバ13が第1ケーブル10の外部に分岐されている。また、第1ケーブル10の内部から外部へ分岐された光ファイバ13は、接続部30において、第2ケーブル20の光ファイバ23に接続されている。本実施形態では、2つの接続部30の間の区間にわたって、第2ケーブル20が設けられている。
【0030】
本実施形態では、接続部30において、第1ケーブル10の光ファイバ13と、第2ケーブル20の光ファイバ23とがコネクタ16,26によって接続されている。コネクタ16,26は、例えばMTコネクタ(JIS C 5981にて規定されているF12形多心光ファイバコネクタ)である。但し、コネクタ16,26の種類は、これに限られるものではない。第1ケーブル10の光ファイバ13と、第2ケーブル20の光ファイバ23とがコネクタ16,26によって接続されることによって、後述するように、光ケーブル100の製造時における接続部30の形成作業が容易になる。但し、接続部30において、第1ケーブル10の光ファイバ13と第2ケーブル20の光ファイバ23とが融着接続されていても良い。
【0031】
なお、第2ケーブル20の接続されていない接続部30のコネクタ16(図2の上側のコネクタ16)には、保護キャップを取り付けることが望ましい。また、接続部30においてコネクタ16の外被15が除去された部位には、防水処理が施されていることが望ましい。
【0032】
図3A及び図3Bは、第1実施形態の光ケーブル100を用いた分岐作業の説明図である。なお、図3A及び図3Bは、第1実施形態の光ケーブル100を用いた光ファイバの敷設方法の説明図でもある。
【0033】
図3Aに示すように、本実施形態の光ケーブル100(第1ケーブル10、第2ケーブル20、接続部30を備えた光ケーブル)が架設される。このとき、第2ケーブル20がドロップポイント近傍に配置されるように、光ケーブル100が架設される。第2ケーブル20は、10m~100m程度の範囲にわたって配置されているため、第2ケーブル20をドロップポイント近傍に配置することは容易である。
【0034】
次に、作業者は、図3Aに示すように、ドロップポイントにおいて、第2ケーブル20を切断する。つまり、作業者は、接続部30と接続部30との間の区間において第2ケーブル20を切断する。次に、図3Bに示すように、作業者は、第2ケーブル20の光ファイバ23をドロップケーブル50に接続する。例えば、電柱に接続ボックス51(例えばクロージャ)が設けられており、接続ボックス51内において、局舎側の第2ケーブル20の光ファイバ23の端部と、ドロップケーブル50の光ファイバの端部とが接続されることになる。
【0035】
なお、第2ケーブル20をユーザー宅ONUへ直接引き込むことも可能である。つまり、第2ケーブル20をドロップケーブル50として利用することも可能である。特に、本実施形態では、第2ケーブル20が第1ケーブル10の外周上に螺旋状に配置されているため、第2ケーブル20をユーザー宅ONUへ直接引き込むための長さを確保しやすい。
【0036】
ところで、仮に光ケーブル100が第1ケーブル10単体で構成されている場合、ドロップポイントにおいて光ファイバ13を分岐させるためには、作業者は、架空において、第1ケーブル10の外被15を切除し、第1ケーブル10の内部から一部の光ファイバ13を切断し、切断した光ファイバ13とドロップケーブル50とを接続する必要がある。但し、第1ケーブル10に対する架空での分岐作業には、バケット車を使用する等により多大なコストがかかる。これに対し、本実施形態では、図3A及び図3Bに示すように、第2ケーブル20を切断するだけで良く、架空における第1ケーブル10に対する分岐作業は不要になるので(架空での第1ケーブル10の外被15を切除する作業や、架空での第1ケーブル10の内部から光ファイバ13を取り出す作業などが不要になるので)、光ケーブル100の分岐作業が簡易になり、ユーザー宅ONUへの光ファイバの敷設が容易になる。
【0037】
なお、架空での分岐作業を軽減するための手段として、光ケーブルの製造工場において、予め分岐点となる位置で光ファイバを分岐させた光ケーブルを製造することが考えられる。但し、この場合、き線点から分岐点までの距離を予め把握する必要がある。また、この場合、光ケーブルを敷設したときに、予め分岐させた光ファイバの位置が、分岐点からズレるおそれがある。また、予め所定の位置で光ファイバを分岐させた光ケーブルを製造した場合、その光ケーブルの使用場所が限定されてしまい、汎用性を損ねてしまう。
これに対し、本実施形態の光ケーブル100では、第2ケーブル20が所定の区間にわたって設けられている。これにより、き線点からドロップポイント(分岐点)までの距離に多少の誤差(第2ケーブル20の長さ程度の誤差)があっても、接続部30と接続部30との間の任意のドロップポイントにおいて光ファイバを敷設することが可能である(また、この結果、光ケーブル100の汎用性を高めることができる)。
【0038】
また、本実施形態では、第2ケーブル20は、第1ケーブル10の長手方向に沿って、第1ケーブル10の外周に螺旋状に配置されている。これにより、第2ケーブル20の余長が増えるため、第2ケーブル20をユーザー宅ONUに引き落とす作業(例えば第2ケーブル20とドロップケーブル50との接続作業、若しくは、第2ケーブル20をユーザー宅ONUに直接引き込む作業)が容易になる。
【0039】
また、本実施形態では、第2ケーブル20は、接続部30と接続部30との間の区間において、第1ケーブル10に連結されておらず、分離している。これにより、第2ケーブル20が第1ケーブル10から拘束されないため、第2ケーブル20の配線作業(図3B参照)が容易になる。
【0040】
図4A及び図4Bは、第1変形例の光ケーブル100の説明図である。第1変形例においても、光ケーブル100は、第1ケーブル10と、第2ケーブル20と、少なくとも2つの接続部30とを有する。第1変形例では、第2ケーブル20は、首部27によって第1ケーブル10に連結されている。また、第1変形例では、第2ケーブル20は、第1ケーブル10の長手方向に平行に配置されている。
【0041】
図5は、第2変形例の光ケーブル100の説明図である。第2変形例においても、光ケーブル100は、第1ケーブル10と、第2ケーブル20と、少なくとも2つの接続部30とを有する。第2変形例では、第2ケーブル20は、間欠的に設けられた首部27によって第1ケーブル10に間欠的に連結されている。言い換えると、第2変形例では、第1ケーブル10と第2ケーブル20とを連結する首部27に窓が形成されている。
【0042】
上記の第1変形例及び第2変形例のように、第2ケーブル20を第1ケーブル10の長手方向に平行(ほぼ平行)に配置しても良い。また、第1変形例及び第2変形例のように、第1ケーブル10と第2ケーブル20とを連結しても良い。なお、第1ケーブル10と第2ケーブル20とを連結した光ケーブル100を製造する場合には、第1ケーブル10の外被15、第2ケーブル20の外被25と、首部27とを同じ樹脂材料で押し出し成型しても良い。一方、第1変形例や第2変形例では、第1ケーブル10と第2ケーブル20とが連結されているため、第2ケーブル20の配線時に、第2ケーブル20を第1ケーブル10から分離する作業(首部27を切断する作業)が必要になる。
【0043】
<製造方法>
図6A図6Cは、第1実施形態の光ケーブル100の製造方法の説明図である。
【0044】
まず、複数の光ファイバ13を外被15の内部に収容した第1ケーブル10を製造する。このとき、図6Aに示すように、第1ケーブル10の複数の光ファイバテープ11のうちの一部の光ファイバテープ11では、所定の区間において、両端にコネクタ16を設けた所定長さの光ファイバテープ11をコネクタ接続させた状態で介在させる。言い換えると、第1ケーブル10の複数の光ファイバテープ11のうちの一部の光ファイバテープ11では、コネクタ16同士を接続したコネクタ対が2箇所あり、その2箇所のコネクタ対は所定の間隔をあけて配置されている。
【0045】
次に、第1ケーブル10の光ファイバ13を分岐する。このとき、図6Bに示すように、第1ケーブル10の外被15を除去し、コネクタ接続させた光ファイバテープ11のコネクタ接続を外し、コネクタ16を外部に露出させる。なお、この作業は、光ケーブル100の工場内で行われるため、架空での分岐作業と比べると作業効率が高く、低コストな作業である。
【0046】
次に、第1ケーブル10の光ファイバ13と第2ケーブル20の光ファイバ23とを接続して、接続部30を形成する。このとき、両端にコネクタ26を設けた所定長さの第2ケーブル20を用意し、図6Cに示すように、第1ケーブル10から露出したコネクタ16と、第2ケーブル20の端部に設けられたコネクタ26とを接続する。また、必要に応じて、第2ケーブル20を第1ケーブル10の外周に螺旋状に配置させた上で、第1ケーブル10の光ファイバ13と第2ケーブル20の光ファイバ23とを接続する。なお、第2ケーブル20のコネクタ26と接続する第1ケーブル10のコネクタ16は、第2ケーブル20が配置される位置よりも長手方向外側に配置されている第1ケーブル10の光ファイバ13に接続されたコネクタ16である。つまり、図6Aにおいてコネクタ16同士を接続した2箇所のコネクタ対(合計4個のコネクタ16)のうち、それぞれのコネクタ対の長手方向外側に配置されているコネクタ16である。すなわち、2箇所のコネクタ対(合計4個のコネクタ16)のうちの局舎側(例えば図中の左側)のコネクタ対では、2個のコネクタ16のうちの局舎側(図中の左側)のコネクタ16が第2ケーブル20のコネクタ26と接続され、局舎側とは反対側となる終端側(図中の右側)のコネクタ対では、2個のコネクタ16のうちの終端側(図中の右側)のコネクタ16が第2ケーブル20のコネクタ26と接続されることになる。
【0047】
本実施形態では、第1ケーブル10の光ファイバ13と、第2ケーブル20の光ファイバ23とをコネクタ16,26で接続することによって接続部30が形成される。これにより、光ケーブル100の製造時における接続部30の形成作業が容易になる。
【0048】
但し、第1ケーブル10の光ファイバ13と第2ケーブル20の光ファイバ23とを融着接続しても良い。この場合、第1ケーブル10を製造するときに、コネクタ16を内蔵させずに済むため、第1ケーブル10の製造が容易になる。一方、この場合、接続部30を形成する際に、第1ケーブル10の光ファイバ13を切断する作業や、切断した第1ケーブル10の光ファイバ13と第2ケーブル20の光ファイバ23とを融着接続する作業などが必要になるため、本実施形態と比べると、接続部30の形成作業は複雑になる。
【0049】
===第2実施形態===
第1実施形態では、図3Aに示すように、第2ケーブル20を切断すると、切断部よりも下流側(終端側:局舎側とは反対側)の第2ケーブル20の光ファイバ23(及び、切断部よりも下流側の第2ケーブル20の光ファイバ23に接続されている第1ケーブル10の光ファイバ13)を利用できなくなる。つまり、切断部よりも下流側の第2ケーブル20の光ファイバ23が、いわゆるダークファイバとなる。これに対し、第2実施形態では、切断部よりも下流側の光ファイバを利用可能にする。
【0050】
図7Aは、第2実施形態の光ケーブル100の説明図である。
【0051】
第2実施形態においても、光ケーブル100は、第1ケーブル10と、第2ケーブル20と、少なくとも2つの接続部30とを有する。また、第2実施形態の光ケーブル100は、第1ケーブル10の局舎側とは反対側の端部(終端)に、ループバック部40を有している。なお、図中の第2ケーブル20は、第1ケーブル10の長手方向に平行に配置されているが、第1実施形態と同様に、第1ケーブル10の長手方向に沿って第1ケーブル10の外周上に螺旋状に配置しても良い(後述する実施形態も同様である)。
【0052】
ループバック部40は、切断された第2ケーブル20に光信号を伝送する部位である。ループバック部40は、第1ケーブル10の終端(局舎側とは反対側の端部)に設けられている。ループバック部40は、第2ケーブル20に接続されている第1ケーブル10の光ファイバ13(図7Aの第1ケーブル10の一番下の光ファイバ13)と、別の光ファイバ13(図7Aの第1ケーブル10の一番上の光ファイバ13;第2ケーブル20に接続されていない第1ケーブル10の光ファイバ13)とを接続する部位である。つまり、ループバック部40の入力側には、第2ケーブル20に接続されていない第1ケーブル10の光ファイバ13(未接続ファイバ)が接続されており、ループバック部40の出力側には、第2ケーブル20に接続されている第1ケーブル10の光ファイバ13が接続されている。例えば、第1ケーブル10の1番テープが第2ケーブル20に接続されており、第1ケーブル10の4番テープがループバック部40において1番テープの端部と接続されている。本実施形態では、ループバック部40が設けられることによって、第2ケーブル20が切断された後においても、切断部よりも下流側(終端側:局舎側とは反対側)の第2ケーブル20の光ファイバ23に光信号を伝送可能になる。なお、第2ケーブル20が切断された場合、切断部よりも下流側(終端側:局舎側とは反対側)の第2ケーブル20の光ファイバ23を伝送する光信号は、ループバック部40の側(終端側)から局舎側に向かって伝送することになる。
【0053】
本実施形態のループバック部40は、分岐部41を有する。分岐部41は、光信号をN分岐する部位である。分岐部41は、例えばスプリッタやカプラなどにより構成されている。ここでは、第2ケーブル20に接続されている第1ケーブル10の光ファイバ13(図7Aの第1ケーブル10の一番下の光ファイバ13)は、分岐部41の出力側に接続されており、第1ケーブル10の図中の1番上の光ファイバ13は、分岐部41の入力側に接続されている。なお、分岐部41の出力側に、更に別の光ファイバ13(例えば、第1ケーブル10の図中の上から2番目や3番目の光ファイバ13)が接続されても良い。本実施形態の分岐部41は、スイッチのように光信号を遮断する機能も備えている。分岐部41において光信号が遮断されることにより、第2ケーブル20の切断前に、局舎側に向かって光信号が伝送されることを防止する。
【0054】
図7Bは、第2実施形態の光ケーブル100を用いた分岐作業の説明図である。図8は、第2実施形態の光ケーブル100を利用した光ファイバの敷設方法の説明図である。
【0055】
第2実施形態においても、作業者は、図7Bに示すように、ドロップポイント近傍の区間において第2ケーブル20を切断し、局舎側の第2ケーブル20を第1ユーザー宅ONU-1へ引き込むことになる。第2実施形態では、局舎側とは反対側の終端側の第2ケーブル20(図7Bの図中右側の第2ケーブル20)を、第2ユーザー宅ONU-2へ引き込むことが可能である。なお、第2ユーザー宅ONU-2へ伝送される光信号は、局舎から第1ケーブル10の光ファイバ13を通じて第1ケーブル10の終端まで伝搬された後、ループバック部40を通じて終端側の第2ケーブル20の光ファイバ23を伝搬し、第2ユーザー宅ONU-2へ伝送されることになる。
【0056】
上記の通り、本実施形態では、第1ケーブル10の終端(局舎側とは反対側の端部)において、第2ケーブル20の光ファイバ23に接続されている第1ケーブル10の光ファイバ13が、別の第1ケーブル10の光ファイバ13に接続されている。これにより、第2ケーブル20が切断された後においても、切断部よりも下流側(終端側:局舎側とは反対側)の第2ケーブル20の光ファイバ23に光信号を伝送可能になる(つまり、切断部よりも下流側の光ファイバが利用可能になる)。このため、第2実施形態では、第1実施形態と比べて、引き落とし先を増やすことができ、例えば図7B及び図8に示すように、第2ユーザー宅ONU-2にも光ファイバを引き落とすことができる。
【0057】
===第3実施形態===
<構成>
上記の第1、第2実施形態では、接続部30が2箇所であった。つまり、上記の第1、第2実施形態では、第2ケーブル20が設けられた区間(接続部30と接続部30の間)が1箇所であった。但し、接続部30の箇所を3以上にして、第2ケーブル20を2以上の区間に設けても良い。
【0058】
図9Aは、第3実施形態の光ケーブル100の説明図である。ここでは説明のため、光ケーブル100の長手方向の寸法を短縮化させて図示している。なお、各区間は、第1実施形態で説明したように、例えば10m~100m程度の長さである。
【0059】
第3実施形態の光ケーブル100は、第1ケーブル10と、第2ケーブル20と、少なくとも2つの接続部30とを有する。第3実施形態においても、接続部30と接続部30との間の区間には第2ケーブル20が設けられている。また、第3実施形態においても、各区間における第2ケーブル20の光ファイバ23(光ファイバテープ21)は、第1ケーブル10に含まれる一部の光ファイバ13(光ファイバテープ11)と接続されている。第3実施形態では、少なくとも3つの接続部30によって、少なくとも2つの区間が形成され、それぞれの区間に第2ケーブル20が配置されている。
【0060】
図9Aに示すように、本実施形態では、或る区間における第2ケーブル20の光ファイバ23に接続されている第1ケーブル10の光ファイバ13と、別の区間における第2ケーブル20の光ファイバ23に接続されている第1ケーブル10の光ファイバ13とが異なっている。例えば、区間Aにおける第2ケーブル20の光ファイバテープ21は、第1ケーブル10の1番の光ファイバテープ11に接続されているのに対し、区間Bにおける第2ケーブル20の光ファイバテープ21は、第1ケーブル10の2番の光ファイバテープ11(1番の光ファイバテープ11とは異なる光ファイバテープ11)に接続されている。
【0061】
図9Bは、第3実施形態の光ケーブル100を利用した光ファイバの敷設方法の説明図である。
【0062】
第3実施形態では、第1実施形態と同様に、作業者は、ドロップポイント近傍の区間において第2ケーブル20を切断し、局舎側の第2ケーブル20をユーザー宅ONUへ引き込むことになる。ここでは、区間Aにおいて第2ケーブル20が切断され、局舎側の第2ケーブル20が第1ユーザー宅ONU-1に引き込まれている。また、区間Bにおいて第2ケーブル20が切断され、局舎側の第2ケーブル20が第2ユーザー宅ONU-2に引き込まれている。
【0063】
第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、ドロップポイント近傍の区間において第2ケーブル20を切断するだけで分岐作業を行うことができ、架空における第1ケーブル10に対する分岐作業は不要になるので(架空での第1ケーブル10の外被15を切除する作業や、架空での第1ケーブル10の内部から光ファイバ13を取り出す作業などが不要になるので)、光ケーブル100の分岐作業が簡易になる。
【0064】
また、第3実施形態では、或る区間における第2ケーブル20の光ファイバ23に接続されている第1ケーブル10の光ファイバ13と、別の区間における第2ケーブル20の光ファイバ23に接続されている第1ケーブル10の光ファイバ13とが異なっているので、複数のドロップポイントにおいて第2ケーブル20を切断するだけで分岐作業を行うことができる。第3実施形態では、図9Bに示すように、或るドロップポイント近傍の区間(ここでは区間A)において第2ケーブル20を切断し、局舎側の第2ケーブル20を第1ユーザー宅ONU-1へ引き込むとともに、別の区間(ここでは区間B)において第2ケーブル20を切断し、局舎側の第2ケーブル20を第2ユーザー宅ONU-2へ引き込むことができる。これにより、第3実施形態では、第1実施形態と比べて、引き落とし先を増やすことができる(例えば、図9Bに示すように、第2ユーザー宅ONU-2にも光ファイバを引き落とすことができる)。
【0065】
<製造方法>
図10A及び図10Bは、第3実施形態の光ケーブル100の製造方法の説明図である。
【0066】
まず、複数の光ファイバ13を外被15の内部に収容した第1ケーブル10を製造する。このとき、図10Aに示すように、第1ケーブル10の複数の光ファイバテープ11のうちの一部の光ファイバテープ11では、所定の区間において、両端にコネクタ16を設けた所定長さの光ファイバテープ11をコネクタ接続させた状態で介在させる。第3実施形態では、光ファイバテープ11ごとに、両端にコネクタ16を設けた所定長さの光ファイバテープ11を介在させる区間が異なっている。なお、或る光ファイバテープ11におけるコネクタ対(接続している2つのコネクタ16)の長手方向の位置と、別の光ファイバテープ11におけるコネクタ対の長手方向の位置は、ほぼ共通している。
【0067】
また、第3実施形態では、図10Aに示すように、両端にコネクタ26を設けた所定長さの光ファイバテープ21を直列に連結させて外被25の内部に収容した第2ケーブル20を製造する。言い換えると、コネクタ26同士を接続したコネクタ対が所定の間隔をあけて配置されるように、両端にコネクタ26を設けた光ファイバテープ21を直列に連結させて収容した第2ケーブル20を製造する。
【0068】
次に、第1ケーブル10の光ファイバ13を分岐する。第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、コネクタ接続させた光ファイバテープ11のコネクタ接続を外し、コネクタ16を外部に露出させる。また、第3実施形態では、第2ケーブル20においても、コネクタ接続させた光ファイバテープ21のコネクタ接続を外し、コネクタ26を外部に露出させる。なお、この作業は、光ケーブル100の工場内で行われるため、架空での分岐作業と比べると作業効率が高く、低コストな作業である。
【0069】
次に、第1ケーブル10の光ファイバ13と第2ケーブル20の光ファイバ23とを接続して、接続部30を形成する。第3実施形態では、図10Bに示すように、第1ケーブル10から露出したコネクタ16と、第2ケーブル20から露出したコネクタ26とを接続する。第3実施形態では、第2ケーブル20の各区間の光ファイバテープ21は、その光ファイバテープ21の両端に設けられた2つのコネクタ26が、第1ケーブル10の同じ番号の光ファイバテープ11に連結されるように、接続される。例えば、第2ケーブル20の区間Aの光ファイバテープ21の両端の2つのコネクタ26は、それぞれ第1ケーブル10の1番の光ファイバテープ11に接続され、第2ケーブル20の区間Bの光ファイバテープ21の両端の2つのコネクタ26は、それぞれ第1ケーブル10の2番の光ファイバテープ11に接続される。
【0070】
第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、第1ケーブル10の光ファイバ13と、第2ケーブル20の光ファイバ23とをコネクタ16,26で接続することによって、接続部30が形成される。これにより、光ケーブル100の製造時における接続部30の形成作業が容易になる。但し、第1ケーブル10の光ファイバ13と第2ケーブル20の光ファイバ23とを融着接続しても良い。
【0071】
第3実施形態では、或る区間における第2ケーブル20の光ファイバ23と第1ケーブル10の光ファイバ13とを接続したコネクタ対と、別の区間における第2ケーブル20の光ファイバ23と第1ケーブル10の光ファイバ13とを接続したコネクタ対とが、共通の接続部30に設けられている。例えば、区間Aと区間Bとの間の接続部30では、区間Aにおける第2ケーブル20の光ファイバテープ21と第1ケーブル10の1番の光ファイバテープ11とを接続したコネクタ対と、区間Bにおける第2ケーブル20の光ファイバテープ21と第1ケーブル10の2番の光ファイバテープ11とを接続したコネクタ対とを有している。これにより、2つのコネクタ対を同じ接続部30に集約できるため、光ケーブル100の構造を簡素化できる。第3実施形態では、複数の区間が長手方向に連続的に配置されているので、2つのコネクタ対を同じ接続部30に集約することが可能である。但し、複数の区間が長手方向に連続せずに、間欠的に形成されても良い(この場合、或る区間と別の区間との間に第2ケーブル20が設けられていない領域があるため、2つのコネクタ対を同じ接続部30に集約できないこともある)。
【0072】
なお、上記の第3実施形態では、コネクタ26を内蔵した第2ケーブル20(図10A参照)からコネクタ26を露出させ、図10Bに示すように、第1ケーブル10から露出したコネクタ16と、第2ケーブル20から露出したコネクタ26とを接続することによって、光ケーブル100を製造しているが、光ケーブル100の製造方法は、これに限られるものではない。例えば、第1実施形態の図6Cに示すように、両端にコネクタ26を有する第2ケーブル20を複数本用意し、それぞれの第2ケーブル20の両端のコネクタ26を第1ケーブル10から露出したコネクタ16と接続しても良い。これにより、第2ケーブル20の製造工程が簡易になり、光ケーブル100の製造工程が簡易になる。
【0073】
===第4実施形態===
第3実施形態では、第1実施形態と同様に、第2ケーブル20を切断すると、切断部よりも下流側(終端側:局舎側とは反対側)の第2ケーブル20の光ファイバ23に接続されている第1ケーブル10の光ファイバ13を利用できなくなる。例えば、図9Bに示す状態では、区間Aよりも下流側では第1ケーブル10の1番の光ファイバテープ11を利用できなくなり、区間Bよりも下流側では第1ケーブル10の2番の光ファイバテープ11を利用できなくなる。これに対し、第4実施形態では、第2実施形態と同様に、ループバック部40を設けることにより、切断部よりも下流側の光ファイバを利用可能にしている。
【0074】
図11Aは、第4実施形態の光ケーブル100の説明図である。
【0075】
第4実施形態においても、光ケーブル100は、第1ケーブル10と、第2ケーブル20と、少なくとも2つの接続部30とを有する。また、第4実施形態の光ケーブル100は、第1ケーブル10の局舎側とは反対側の端部(終端)に、ループバック部40を有している。第4実施形態のループバック部40は、分岐部41を有している。分岐部41の入力側には、第1ケーブル10の4番の光ファイバテープ11を構成する光ファイバ13が接続されている。この4番の光ファイバテープ11は、いずれの区間の第2ケーブル20にも接続されていない光ファイバ(未接続ファイバ)で構成されている。分岐部41の出力側には、第1ケーブル10の1番~3番の光ファイバテープ11を構成する光ファイバ13が接続されている。1番~3番の光ファイバテープ11は、いずれかの区間の第2ケーブル20の光ファイバテープ21(光ファイバ23)と接続されている。なお、既に説明したように、分岐部41は、スイッチのように光信号を遮断する機能も備えている。
【0076】
図11Bは、第4実施形態の光ケーブル100を利用した光ファイバの敷設方法の説明図である。
【0077】
第4実施形態においても、作業者は、図11Bに示すように、或るドロップポイント近傍の区間(ここでは区間A)において第2ケーブル20を切断し、局舎側の第2ケーブル20を第1ユーザー宅ONU-1へ引き込むとともに、局舎側とは反対側の終端側の第2ケーブル20を第2ユーザー宅ONU-2へ引き込むことが可能である。なお、第4実施形態においても、第2実施形態と同様に、第2ユーザー宅ONU-2へ伝送される光信号は、局舎から第1ケーブル10の光ファイバ13を通じて第1ケーブル10の終端まで伝搬された後、ループバック部40を通じて終端側の第2ケーブル20の光ファイバ23を伝搬し、第2ユーザー宅ONU-2へ伝送されることになる。
【0078】
図12Aは、第4実施形態の光ケーブル100を利用した別の敷設方法の説明図である。
【0079】
第4実施形態の光ケーブル100では、第1ケーブル10の光ファイバ13(光ファイバテープ11)は、第2ケーブル20の複数の区間における光ファイバ23(光ファイバテープ21)と連結されている。例えば、第1ケーブル10の1番の光ファイバテープ11は、第2ケーブル20の区間A、区間D及び区間Gの光ファイバテープ21と連結されている。これにより、図12Aに示すように、第4実施形態では、或るドロップポイント近傍の区間(ここでは区間A)において第2ケーブル20を切断し、局舎側の第2ケーブル20を第1ユーザー宅ONU-1へ引き込むとともに、その区間よりも終端側の区間(ここでは区間D)において切断した第2ケーブル20の終端側の第2ケーブル20を第2ユーザー宅ONU-2へ引き込むことが可能である。このように、第4実施形態では、第1ケーブル10の共通する光ファイバ13(光ファイバテープ11)を、それぞれ別の区間のドロップポイントで引き落とすことが可能になる。
【0080】
図12Bは、第4実施形態の光ケーブル100を利用した更に別の敷設方法の説明図である。
【0081】
第4実施形態では、第3実施形態と同様に、或る区間における第2ケーブル20の光ファイバ23に接続されている第1ケーブル10の光ファイバ13と、別の区間における第2ケーブル20の光ファイバ23に接続されている第1ケーブル10の光ファイバ13とが異なっているので、複数のドロップポイントにおいて第2ケーブル20を切断するだけで分岐作業を行うことができる。そして、第4実施形態では、第3実施形態の光ケーブル100の第1ケーブル10の終端に更にループバック部40が設けられているため、図12Bに示すように、第3実施形態と比べて、更に引き落とし先を増やすことができる。
【0082】
上記の通り、第4実施形態では、分岐部41の入力側には、いずれの区間の第2ケーブル20にも接続されていない光ファイバ(未接続ファイバ;4番の光ファイバテープ11の光ファイバ)が接続されており、分岐部41の出力側には、或る区間(例えば区間A)における第2ケーブル20の光ファイバ23に接続されている第1ケーブルの光ファイバ13(例えば1番の光ファイバテープ11の光ファイバ)と、別の区間(例えば区間B)における第2ケーブル20の光ファイバ23に接続されている第1ケーブルの光ファイバ13(例えば2番の光ファイバテープ11の光ファイバ)とが接続されている。これにより、図12Bに示すように、第3実施形態と比べて、更に引き落とし先を増やすことができる。
【0083】
===その他===
上述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0084】
10 第1ケーブル、11 光ファイバテープ、13 光ファイバ、
14 押え巻きテープ、15 外被、16 コネクタ、
20 第2ケーブル、21 光ファイバテープ、23 光ファイバ、
25 外被、26 コネクタ、27 首部、
30 接続部、40 ループバック部、41 分岐部、
50 ドロップケーブル、51 接続ボックス、
100 光ケーブル、ONU ユーザー宅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12