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特開2022-20176コントラスト補正データ取得システム、映像表示システム及びコントラスト補正データ取得方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020176
(43)【公開日】2022-02-01
(54)【発明の名称】コントラスト補正データ取得システム、映像表示システム及びコントラスト補正データ取得方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/10 20060101AFI20220125BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20220125BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20220125BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20220125BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20220125BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20220125BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
G09G5/10 B
G09G5/00 550B
G09G3/20 680C
G09G3/34 J
G09G3/20 642E
G03B21/00 D
G03B21/14 Z
H04N5/74 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020123534
(22)【出願日】2020-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】300016765
【氏名又は名称】シャープNECディスプレイソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 優
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
5C080
5C182
【Fターム(参考)】
2K203FA03
2K203FA34
2K203FA62
2K203GA44
2K203GA53
2K203GA60
5C058BA08
5C058BA29
5C058BB14
5C058EA02
5C058EA26
5C080AA10
5C080AA17
5C080CC03
5C080DD01
5C080EE17
5C080EE29
5C080EE30
5C080JJ02
5C080JJ05
5C080JJ07
5C080KK43
5C182AA03
5C182AA04
5C182AC03
5C182CA02
5C182DA53
5C182DA65
(57)【要約】
【課題】フレーム間の輝度差が大きい表示画像に対し、鑑賞者にコントラストの強調を過度に視認させない動的コントラストの処理を行えるコントラスト補正データ取得システムを提供する。
【解決手段】本発明は、表示するコンテンツの各フレームの画像データの輝度値により画像表示における光量を調光する動的コントラスト比の調整機能を有する画像表示装置で用いる、輝度値差が所定の第1閾値を超えるフレームを連続して表示する際の光量の変化量を低減させる補正データを予め取得するシステムであり、フレームの各々の画像データから、各フレームの輝度値を検出する輝度値検出部と、連続するフレーム間の輝度値の差である輝度値差が第1閾値を超えるか否かを判定する輝度値差判定部と、輝度値差が第1閾値を超えた場合、フレームの各々に対する補正データを、所定の補正ルールに対応して設定する補正データ生成部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示するコンテンツにおけるフレームの各々の画像データの輝度値により画像表示に用いられる光源の光量を調光する動的コントラスト比の調整機能を有する画像表示装置において用いる、輝度値差が所定の第1閾値を超える前記フレームを連続して表示する際の光量の変化量を低減させる補正データを、前記コンテンツの表示を行う前に予め取得するコントラスト補正データ取得システムであり、
前記フレームの各々の前記画像データから、当該フレームそれぞれの輝度値を順次検出する輝度値検出部と、
連続する前記フレームの各々の間における輝度値の差である輝度値差が所定の第1閾値を超えるか否かを判定する輝度値差判定部と、
前記輝度値差が前記第1閾値を超えた場合、前記フレームの各々に対する前記補正データを、所定の補正ルールに対応して設定する補正データ生成部と
を備えることを特徴とするコントラスト補正データ取得システム。
【請求項2】
前記輝度値が所定の範囲内の連続した前記フレームの集合体をシーンとし、当該シーンが継続する時間である継続時間が所定の第2閾値を超えるか否かを判定するシーン継続時間判定部をさらに備え、
前記補正データ生成部が、
前記継続時間が前記第2閾値以下の場合、前記補正データを生成しない
ことを特徴とする請求項1に記載のコントラスト補正データ取得システム。
【請求項3】
前記補正データ生成部が、
前記シーンの各々において、前記輝度値差が前記第1閾値を超えた前記フレームに対して前記補正データとして第1補正データを付与した場合、前記シーンの当該第1補正データを付与した後段の前記フレームそれぞれに対して第2補正データとして、当該第2補正データを用いた補正後の光量が前記調光の処理で求められる調光結果の光量に収束するように前記第1補正データを所定の割合で変更させた前記補正データとして生成する
ことを特徴とする請求項2に記載のコントラスト補正データ取得システム。
【請求項4】
前記フレームの各々と、当該フレームに付与した前記補正データとが対応付けて記憶する記憶部をさらに備え、
前記補正データ生成部が、前記コンテンツにおける前記フレームの各々の前記画像データのハッシュ値を生成し、当該ハッシュ値に対応して各々のフレームに対応させて前記補正データを書き込んで記憶させる
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコントラスト補正データ取得システム。
【請求項5】
前記輝度値検出部が、
前記フレームの前記画像データにおけるピクセルの各々の画素値から求めた輝度値のヒストグラムを求め、当該ヒストグラムにおける最頻値の輝度値を当該画像データの輝度値とする
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコントラスト補正データ取得システム。
【請求項6】
映像コンテンツのフレームの画像データの各々を表示画像として表示する映像表示システムであり、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載したコントラスト補正データ取得システムと、
前記表示画像を表示する際に用いる光源と、
前記映像コンテンツの前記フレームの各々に対応して、前記コントラスト補正データ取得システムが予め作成した前記補正データが書き込まれて記憶されている記憶部と、
前記フレームの前記輝度値に対応して前記光源の光量を調光する調光制御部と、
前記フレームの前記輝度値に対応して画素値を補正する表示制御部と
を備え、
前記調光制御部が、前記フレームの画像データに対応して調光された光量である目標値を求め、当該フレームに対応する前記補正データを前記記憶部から読み出し、読み出した前記補正データにより前記目標値を補正する
ことを特徴とする映像表示システム。
【請求項7】
表示するコンテンツにおけるフレームの各々の画像データの輝度値により画像表示に用いられる光源の光量を調光する動的コントラスト比の調整機能を有する画像表示装置において用いる、輝度値差が所定の第1閾値を超える前記フレームを連続して表示する際の光量の変化量を低減させる補正データを、前記コンテンツの表示を行う前に予め取得するコントラスト補正データ取得方法であり、
輝度値検出部が、前記フレームの各々の前記画像データから、当該フレームそれぞれの輝度値を順次検出する輝度値検出過程と、
輝度値差判定部が、連続する前記フレームの各々の間における輝度値の差である輝度値差が所定の第1閾値を超えるか否かを判定する輝度値差判定過程と、
補正データ生成部が、前記輝度値差が前記第1閾値を超えた場合、前記フレームの各々に対する前記補正データを、所定の補正ルールに対応して設定する補正データ生成過程と
を含むことを特徴とするコントラスト補正データ取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コントラスト補正データ取得システム、映像表示システム及びコントラスト補正データ取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置においては、コンテンツにおける各フレームの画像データの輝度値に対応して光源からの光量を制御し、表示される表示画像のコントラスト比を調整して、鑑賞者に対してより鮮明に画像を鑑賞させる技術がある(例えば、特許文献1参照)。投影装置であれば投射するための光源の絞りによる調光であり、液晶ディスプレイであればバックライトの輝度調整である。
ここで、この技術は、表示画像が全体的に暗い時には表示のための光源の輝度を暗くし、明るい時には光源の輝度を明るくして、表示画像内のコントラスト比を調整する。
上述した光量による動的なコントラスト比の調整技術について、機器を製造する会社によって機能の仕様及び名称が異なるが、以下、ダイナミック(動的)コントラスト比として示す。
【0003】
上記ダイナミックコントラスト比は、画像表示装置が表示する画像データの入力時における画像データを解析して輝度分布を求め、この輝度分布により光源の光量を調整する。
また、画像データの各々の画素の画素値を調整して、表示画像自体のコントラスト比を調整して、鑑賞者に対して最適なコントラストを有する表示画像を提供する。
例えば、画像データが星空のように全体が暗く、星などの一部が明るいような画像を表示する際、暗い部分をできる限り暗く視認させ、明るい部分を明確に視認させる。
【0004】
この場合、表示画像における暗い画素の領域をより暗くするため、光源の光量を少なくするように調整し、一方、明るい画素の領域を明確とするため、この画素の画素値を大きくする補正を行い、表示画像のコントラスト比の調整を行っている。
ここで、光量の調整量及び画素値の補正量の各々の判断基準は、コンテンツにおけるフレームの画像データの輝度値(輝度レベル)が低ければ暗い色(輝度レベル(諧調度)0)、高ければ明るい色(輝度レベル255)であるため、画像データの全ピクセルの輝度レベルのヒストグラムを生成し、このヒストグラムから求めたフレーム輝度値を上記調整量及び補正量の判断基準としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-171111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、ダイナミックコントラストにおいては、表示する画像データの輝度レベルに対応してコントラストを強調した表示画像とする調整を行う。
しかしながら、現在鑑賞しているシーンの表示画像と、次のシーンの表示画像との輝度値差が所定の値(複数の鑑賞者の視認結果)より大きい場合、鑑賞者がコントラストの強調を余計に視認することになり、見えずらい印象を感じる場合がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、連続するシーンにおけるフレーム間の輝度差が所定の値より大きい表示画像に対しても、鑑賞者にコントラストの強調を過度に視認させることがないダイナミックコントラストの処理を行うことが可能なコントラスト補正データ取得システム、映像表示システム及びコントラスト補正データ取得方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明のコントラスト補正データ取得システムは、表示するコンテンツにおけるフレームの各々の画像データの輝度値により画像表示に用いられる光源の光量を調光する動的コントラスト比の調整機能を有する画像表示装置において用いる、輝度値差が所定の第1閾値を超える前記フレームを連続して表示する際の光量の変化量を低減させる補正データを、前記コンテンツの表示を行う前に予め取得するコントラスト補正データ取得システムであり、前記フレームの各々の前記画像データから、当該フレームそれぞれの輝度値を順次検出する輝度値検出部と、連続する前記フレームの各々の間における輝度値の差である輝度値差が所定の第1閾値を超えるか否かを判定する輝度値差判定部と、前記輝度値差が前記第1閾値を超えた場合、前記フレームの各々に対する前記補正データを、所定の補正ルールに対応して設定する補正データ生成部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の映像表示システムは、映像コンテンツのフレームの画像データの各々を表示画像として表示する映像表示システムであり、上記コントラスト補正データ取得システムと、前記表示画像を表示する際に用いる光源と、前記映像コンテンツの前記フレームの各々に対応して、前記コントラスト補正データ取得システムが予め作成した前記補正データが書き込まれて記憶されている記憶部と、前記フレームの前記輝度値に対応して前記光源の光量を調光する調光制御部と、前記フレームの前記輝度値に対応して画素値を補正する表示制御部とを備え、前記調光制御部が、前記フレームの画像データに対応して調光された光量である目標値を求め、当該フレームに対応する前記補正データを前記記憶部から読み出し、読み出した前記補正データにより前記目標値を補正する。
【0010】
本発明のコントラスト補正データ取得方法は、表示するコンテンツにおけるフレームの各々の画像データの輝度値により画像表示に用いられる光源の光量を調光する動的コントラスト比の調整機能を有する画像表示装置において用いる、輝度値差が所定の第1閾値を超える前記フレームを連続して表示する際の光量の変化量を低減させる補正データを、前記コンテンツの表示を行う前に予め取得するコントラスト補正データ取得方法であり、輝度値検出部が、前記フレームの各々の前記画像データから、当該フレームそれぞれの輝度値を順次検出する輝度値検出過程と、輝度値差判定部が、連続する前記フレームの各々の間における輝度値の差である輝度値差が所定の第1閾値を超えるか否かを判定する輝度値差判定過程と、補正データ生成部が、前記輝度値差が前記第1閾値を超えた場合、前記フレームの各々に対する前記補正データを、所定の補正ルールに対応して設定する補正データ生成過程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、連続するシーンにおけるフレーム間の輝度差が所定の値より大きい表示画像に対しても、鑑賞者にコントラストの強調を過度に視認させることがないダイナミックコントラストの処理を行うことが可能なコントラスト補正データ取得システム、映像表示システム及びコントラスト補正データ取得方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態によるコントラスト補正データ取得システムを用いた映像表示システムの構成例を示すブロック図である。
図2】輝度値検出部101が生成する輝度値ヒストグラムの一例を示すグラフである。
図3】画像データ記憶部105におけるフレームの各々を識別するハッシュ値とそれぞれのフレームのフレーム輝度値との対応関係を示す概念図である。
図4】コンテンツにおける同様のフレーム輝度値を有するフレームの集合体であるシーンの遷移を説明する概念図である。
図5】本発明の一実施形態によるコントラスト補正データ取得システムにおける、映像表示システムにおける光源の光量を調整する調光制御値の補正に用いる補正データの生成処理の動作例を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態によるコントラスト補正データ取得システムの概念を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるコントラスト補正データ取得システムを用いた映像表示システムの構成例を示すブロック図である。図1において、本実施形態による映像表示システム1は、コントラスト補正データ取得システム100、画像データ入力部200、制御部300、光源400、調光装置500及び投射光学系600の各々を備えている。本実施形態において、映像表示システム1は、例えば3板式投射型液晶表示装置である。
【0014】
コンテンツ提供装置2は、例えばUSB(universal serial bus)メモリなどであり、データ送受信部21と記憶部22とを備えている。データ送受信部21は、映像表示システム1からのアクセスにより、所定のコンテンツのデータ送信の要求に対応して、上記所定のコンテンツにおけるフレーム各々の画像データを記憶部22から読み出し、映像表示システム1に対して送信する。
スクリーン3は、例えば、ホームシアターなどで用いる反射式のフロントタイプスクリーンである。
【0015】
映像表示システム1は、コンテンツ提供装置2から供給される、コンテンツの映像信号におけるフレームの各々の画像データの画素値により、投射光学系600を制御する。そして、 映像表示システム1は、光源400から調光装置500を介した放射光を投射光学系600により画像データに対応して変調し、スクリーン3に対して各フレームの画像データに対応した投射光を投射して、スクリーン3にコンテンツの表示画像を表示する。
この投射光学系600は、例えば、液晶パネル(色成分R(red)、色成分G(green)、色成分B(blue)の各々の液晶ライトバルブ)や、DMD(digital mirror device)などの画像形成素子や、画像形成素子が形成した画像を投射する光学系などを含む機構である。
【0016】
画像データ入力部200は、映像表示システム1のコントラスト補正データ取得システム100が補正データ(後述する光源の400光量を調整する調光装置500に対する調光制御値を補正する補正比率)を生成する際、コントラスト補正データ取得システム100に対して、入力するコンテンツの映像信号におけるフレームの各々の画像データを供給する。
一方、画像データ入力部200は、映像表示システム1の制御部300がスクリーン3に表示画像を投射する際、制御部300に対して、入力するコンテンツにおけるフレームの各々の画像データを順次供給する。
【0017】
スクリーン3に表示画像を投射する際、表示制御部301は、映像信号における画像データの輝度値に対応して、所定のルールに基づいて当該画像データにおけるピクセルの各々の画素値を、後述する輝度値の調整に対応して調整し、上記投射光学系600(例えば液晶バルブ)に対して供給する。ここで、画素値は、例えば色成分R、色成分G及び色成分Bの各々の諧調度である。
また、調光制御部302は、フレームの各々の画像データのそれぞれの輝度値に対応して、上記所定のルールに基づいて、光源400が放射す放射光の光量を制御(調光)する調光制御値を生成し、調光装置500に対して供給する。
【0018】
調光装置500は、調光制御値により光源400から放射される光の光量をアイリス(絞り機構)により制御(調光)し、投射光学系600(例えば液晶バルブ)に対して出射する。
上記所定のルールは、例えば、予め制御部300内の記憶部(不図示)に書き込まれて記憶されている関係テーブルであり、フレーム輝度値に対応して液晶バルブに与える画素値、及び光量の調整を行なう調光装置500に与える量の関係が予め対応付けられて示されている。
【0019】
<コントラスト補正データ取得システム100の説明>
コントラスト補正データ取得システム100は、輝度値検出部101、シーン継続時間判定部102、輝度値差判定部103、補正データ生成部104、画像データ記憶部105及び補正データテーブル106の各々を備えている。
輝度値検出部101は、画像データ入力部200から供給される各フレームの画像データの各々におけるピクセルのそれぞれに対して、各ピクセルの画素値から、ピクセル毎の輝度値をそれぞれ算出する。
【0020】
ここで、ピクセルの画素値(色成分R、色成分G及び色成分Bの階調度)から輝度値を算出する方法については既知のいずれの方法を用いても良いが、本実施形態において、輝度値検出部101は、例えば、SDTV(standard definition television)における規格BT.601の「輝度値V=0.299×(色成分Rの階調度)+0.587×(色成分Gの階調度)+0.114×(色成分Bの階調度)」、あるいは、簡易的に輝度値を求めるための「輝度値L=[(色成分R、G、Bの階調度の最大値)+(色成分R、G、Bの階調度の最小値)]/2」の式などを用いて算出する。
【0021】
そして、輝度値検出部101は、フレーム毎の画像データにおけるピクセルの各々の輝度値を求め、各フレームの輝度値ヒストグラムを生成し、この輝度値ヒストグラムを解析することにより、フレームの画像データにおける輝度値の最頻値を抽出する。
図2は、輝度値検出部101が生成する輝度値ヒストグラムの一例を示すグラフである。図2において、横軸は、輝度値(輝度レベル0から輝度レベル255まで)を示し、縦軸は画像データにおけるピクセル数を示している。
図2の場合には、各輝度値のピクセル数を比較した場合、輝度レベル0が最頻値(最大のピクセル数)なので、この輝度値ヒストグラムの画像データに対応したフレームの輝度値(以下、フレーム輝度値と示す)は輝度レベル0となる。
【0022】
図1に戻り、輝度値検出部101は、各フレームの画像データにおける各ピクセルの輝度値パターンを用いて既知のハッシュ化アルゴリズム(Average Hash (aHash)やPerseptual Hash (pHash)など)により、コンテンツにおけるフレームのそれぞれを識別するハッシュ値を求める。
そして、輝度値検出部101は、フレームの各々のフレーム輝度値を、フレームの画像データにおけるピクセルの輝度値パターンによるハッシュ値に対応付けて、画像データ記憶部105に対して順次書き込む。このとき、輝度値検出部101は、コンテンツのすべてのフレームに対して、それぞれの画像データから対フレーム輝度値を算出する。
【0023】
図3は、画像データ記憶部105におけるフレームの各々を識別するハッシュ値とそれぞれのフレームのフレーム輝度値との対応関係を示す概念図である。
すなわち、本実施形態において、画像データ記憶部105には、コンテンツにおけるフレームの各々の画像データにおけるピクセルの輝度値パターンにより求めた、各フレームの画像データを識別するためのハッシュ値と、それぞれのフレームの画像データから求めたフレーム輝度値(輝度レベル)とが一対一の組合せの関係で対応付けられて記憶されている。
【0024】
シーン継続時間判定部102は、画像データ記憶部105を参照して、コンテンツにおけるフレームの各々のフレーム輝度値を順次読み込み、フレーム輝度値によりシーンの検出を行ない、検出したシーンの継続時間(以下、シーン継続時間と示す)の検出を行う。
本実施形態において、シーンは、同様のフレーム輝度値のフレームが連続した集合体、すなわち、フレーム輝度値の差が中央値に対して所定の範囲(輝度レベルが±5の範囲)にある連続したフレームの集合体である。例えば、コンテンツが1秒間に30フレームとして構成されている場合、フレームが表示される周期は約0.03秒である。このため、本実施形態の場合、シーン継続時間判定部102は、例えば、シーン継続時間が時間閾値として設定されている0.5秒を超えるか否か、すなわちシーンにおけるフレーム数が17(0.51秒に相当)を超えるか否かの判定を行う。
【0025】
図4は、コンテンツにおける同様のフレーム輝度値を有するフレームの集合体であるシーンの遷移を説明する概念図である。
図4において、横軸は各フレームが表示される時間(あるいはコンテンツにおける連続したフレームの各々の順番を示す番号)、縦軸がフレーム輝度値を示している。
例えば、シーン201における各フレームのフレーム輝度値が輝度レベル245から輝度レベル255までの範囲にある明るい(後述するシーン202に比較して明るい)シーンを示し、シーン202における各フレームのフレーム輝度値が輝度レベル0から輝度レベル10までの範囲にある暗いシーン(シーン201に比較して暗い)を示し、シーン203における各フレームのフレーム輝度値が輝度レベル245から輝度レベル255までの範囲にある明るい(シーン202に比較して明るい)シーンを示している。
【0026】
図1に戻り、シーン継続時間判定部102は、シーン201からシーン202に遷移してから、シーン202からシーン203に遷移するまで、すなわちシーン202のシーン継続時間を検出する。ここで、シーン継続時間判定部102は、例えば、シーン202に含まれるフレーム数に対してフレームの周期の時間を乗算して、シーン継続時間を求める。
そして、シーン継続時間判定部102は、求めたシーン継続時間が時間閾値を超えるか否かの判定を行う。
このとき、シーン継続時間判定部102は、シーン継続時間が時間閾値を超えた場合、このシーンにおけるフレームの各々に対する補正データの生成処理を行う必要があると判定する。また、シーン継続時間判定部102は、シーン継続時間が時間閾値を超えたことを示す制御信号を輝度値差判定部103に対して出力する。
【0027】
一方、シーン継続時間判定部102は、シーン継続時間が時間閾値以下の場合、このシーンにおけるフレームの各々に対する補正データの生成処理を行う必要がないと判定し、輝度値差判定部103に対して上記制御信号の出力を行わない。
また、シーン継続時間判定部102は、次のシーンのシーン継続時間が時間閾値を超えるか否かの判定処理を開始する。
【0028】
輝度値差判定部103は、シーンの遷移のタイミングにおいて、遷移前のシーンの最後のフレームのフレーム輝度値から、遷移後のシーンの最初のフレームのフレーム輝度値を減算し、シーンの切り替わりにおける境界のフレーム間の輝度値差を求める。
例えば、図3におけるシーン201の最後のフレームのフレーム輝度値から、シーン202の最初のフレームのフレーム輝度値を減算することで、シーン201及びシーン202の境界におけるフレーム間の輝度値差が求められる。
また、輝度値差判定部103は、遷移前のシーンの最後のフレームと、遷移後のシーンの最初のフレームとの間の輝度値差を求めた後、遷移後のシーン内におけるフレームの各々においても、前後のフレーム間のフレーム輝度値の差分の輝度値差を順次求める。
【0029】
そして、輝度値差判定部103は、遷移前のシーンの最後のフレームと、遷移後のシーンの最初のフレームとの間の輝度値差が予め設定した輝度値差閾値を超えるか否かの判定を行う。この輝度値差閾値は、例えば、輝度値差を有する画像データの試験画像を鑑賞した複数の鑑賞者の視認テストから、過度にコントラストを感じるか否か視認結果を求める実験を行なって設定する。
このとき、輝度値差判定部103は、輝度値差が輝度値差閾値を超えた場合、このシーンにおけるフレームの各々に対する補正データの生成処理を行う必要があると判定し、補正データ生成部104に対して、フレーム間における輝度値差が輝度値差閾値を超えたことを示す制御信号を出力する。
【0030】
一方、シーン継続時間判定部102は、輝度値差が輝度値差閾値以下の場合、このシーンにおけるフレームの各々に対する補正データの生成処理を行う必要がないと判定し、補正データ生成部104に対して上記制御信号の出力を行わない。
上述したように、輝度値差判定部103は、直前に評価した遷移前のシーンと、遷移後の評価対象となったシーンとの境界のフレーム間、あるいは評価対象となったシーンにおける各々のフレーム間とにおいて上述した輝度値差の判定処理を順次行なう。
【0031】
補正データ生成部104は、補正データの生成処理を行う制御信号が入力された場合、調光装置500における調光量を制御する調光制御値を補正して補正調光制御値を求める補正データ(例えば補正比率)を、遷移したシーンにおけるフレームの各々のフレーム輝度値に対応して、予め設定された補正ルールに対応して設定する。
この補正ルール(後述)は、補正データ生成部104内の記憶部(不図示)に予め書き込まれて記憶されている。
【0032】
そして、補正データ生成部104は、各フレームの画像データにおける輝度値パターンより求めたハッシュ値と、生成した補正比率とを対応した組として、補正データテーブル106に書き込んで記憶させる。
これにより、補正データテーブル106には、コンテンツにおけるフレームの配列の順番に、各フレームの画像データのハッシュ値とこのフレームに対する補正比率が組として書き込まれて記憶される。
一方、補正データ生成部104は、補正データの生成処理を行う制御信号が入力されない場合、フレームの画像データのハッシュ値に対応して補正比率の書き込みを行わない。
【0033】
また、補正データ生成部104は、補正データの生成処理を行う制御信号が入力されない場合に、補正調光制御値がフレームの画像データの輝度値に対応する調光制御値(フレーム輝度値に対応した目標の光量となる調光制御値)となる補正比率(後述する補正比率「1.0」)を、そのシーンのすべてのフレームに対して付与し、フレームの各々のハッシュ値と対応して設定する構成としてもよい。
【0034】
本実施形態においては、シーン継続時間と、直前に処理されたフレームと、処理対象となったフレームとのフレーム輝度値の輝度値差とに対応して、フレームの各々に対する調光制御値を補正する補正データ(後述する補正比率)の生成を行なう。そして、フレームの画像データにより求められた調光制御値を補正データにより補正して補正調光制御値を求めて、コンテンツのフレームを表示する際の光源からの放射光の調光を行なう。
すなわち、遷移前後のシーン間におけるフレームのフレーム輝度値が大きく異なる場合、光源400の放射光の光量がフレーム輝度値に対応して急激に調光装置500におけるアイリスの絞り(開口率)の制御により変化され(調光され)て過度なコントラストを鑑賞者に視認させる場合がある。この過度なコントラストを鑑賞者に視認させることを抑制するため、調光装置500におけるアイリスの絞りの制御の調光制御値の変化量を低減する補正データの生成を行なう。
【0035】
上述した補正ルールには、例えば、シーンが遷移した場合、遷移前のシーンの最後のフレームの輝度値と、遷移後のシーンの最初のフレーム(第1フレーム)とのより輝度値との差分である輝度値差が、所定の輝度値差閾値を超える場合、この遷移後のシーンにおける第1フレームに対する補正比率を「0.5」とし、次の第2フレームに対する補正比率を「0.6」、その次の第3フレームに対する補正比率を「0.7」というように、所定の割合の「0.1」を加算して順次増加させ、最終的に補正比率が「1.0」となり、補正調光制御値が徐々に画像データの輝度値から求められる調光制御値(目標の光量となる調光制御値)に収束する補正比率の設定のアルゴリズムが示されている。
【0036】
ここで、第1フレームに対する補正比率(補正の起点とする補正比率)及び上記所定の割合の各々は、ユーザが任意の数値に設定することが可能であり、例えばコンテンツ毎などに対応して任意に設定することができる。
また、上述した説明においては、シーンの第1フレームに対して起点とする補正比率を与えて、第2フレーム以降の補正データを、第1フレームに与えた起点となる補正値から変更を行なう構成として説明したが、言い換えると、起点とする補正比率が与えられたフレームの次段のフレームから、順次、補正比率に対して所定の割合を加算して(積算して)、補正比率の変更を行なう。
図5は、本発明の一実施形態によるコントラスト補正データ取得システムにおける、映像表示システムにおける光源の光量を調整する調光制御値の補正に用いる補正データ(補正比率)の生成処理の動作例を示すフローチャートである。
ステップS101:輝度値検出部101は、画像データ入力部200から供給される各フレームの画像データの各々におけるピクセルのそれぞれの画素値から輝度値のそれぞれを算出する。
【0037】
そして、輝度値検出部101は、フレーム毎に、画像データにおけるピクセルの各々の輝度値から輝度値ヒストグラムを生成する。
輝度値検出部101は、各フレームの輝度値ヒストグラムから、フレームの各々における輝度値の最頻値を抽出し、この最頻値をフレームそれぞれの輝度値とし、フレームごとの画素データにおける画素値のパターンからハッシュ値を求め、フレームの各々のハッシュ値と輝度値のそれぞれの組み合わせを画像データ記憶部105に対して書き込んで記憶させる。
【0038】
ステップS102:シーン継続時間判定部102は、画像データ記憶部105を参照して、コンテンツにおけるフレームの各々のフレーム輝度値を順次読み込む。
そして、シーン継続時間判定部102は、所定の輝度値が所定の範囲内で連続するフレームを検出することでシーンの検出を行なう。
シーン継続時間判定部102は、シーンにおいて起点となる補正比率を設定した以降のフレーム数をカウントするカウント数iをリセットして「0」とする。
【0039】
ステップS103:シーン継続時間判定部102は、シーンの有無を(フレームの有無も含む)判定する。
このとき、シーン継続時間判定部102は、シーンが存在しない場合、コンテンツの各フレームに対する補正データの処理を終了し、一方、シーンが存在する場合、処理をステップS104へ進める。
【0040】
ステップS104:シーン継続時間判定部102は、シーンのフレーム数を計数(カウント)することにより、フレーム周期の時間からシーンの継続時間を求める。
そして、シーン継続時間判定部102は、求めた継続時間が予め設定された時間閾値を超えているか否かの判定を行う。
このとき、シーン継続時間判定部102は、継続時間が予め設定された時間閾値以下の場合、処理をステップS102へ進める。
一方、シーン継続時間判定部102は、継続時間が予め設定された時間閾値を超えている場合、処理をステップS105へ進める。
【0041】
ステップS105:輝度値差判定部103は、フレームの直前に処理したフレームの輝度値を、現在処理を行っているフレームの輝度値から除算して輝度差を求める。
ここで、輝度値差判定部103は、新たなシーンに遷移して本処理を行う場合、シーンの遷移のタイミングにおいて、直前に処理した(遷移前の)シーンの最後のフレームのフレーム輝度値から、現在処理を行っている(遷移後の)シーンの最初のフレームのフレーム輝度値を減算し、シーンの切り替わりにおけるフレーム間の輝度値差を求める。
【0042】
ステップS106:輝度値差判定部103は、求めた輝度差が予め設定された輝度値差閾値を超えているか否かの判定を行う。
このとき、輝度値差判定部103は、輝度差が予輝度値差閾値を超えている場合、フレームの画像データに対する補正データの起点を設定するため、処理をステップS107へ進める。
一方、輝度値差判定部103は、輝度差が輝度値差閾値以下の場合、処理をステップS108へ進める。
【0043】
ステップS107:補正データ生成部104は、フレームの画像データのハッシュ値を生成する。
そして、補正データ生成部104は、シーンにおける補正比率の変更を開始する起点の補正比率を、処理中のフレームに対して設定し、生成したハッシュ値と補正比率と組み合わせて、補正データテーブル106に対して書き込んで記憶させる。
【0044】
ステップS108:補正データ生成部104は、現在処理中のシーンにおけるフレームに対して、すでに補正比率の変更を開始する起点の補正比率を設定したか否かの判定を行う。
このとき、補正データ生成部104は、処理中のシーンにおけるフレームに対して起点の補正比率が設定されていない場合、処理をステップS109へ進める。
一方、補正データ生成部104は、処理中のシーンにおけるフレームに対して、すでに起点の補正比率が設定されている場合、処理をステップS110へ進める。
【0045】
ステップS109:補正データ生成部104は、補正ルールに対応した処理として、処理中のフレームに対して画像データのフレーム輝度値から求めた目標値の調光制御値となる補正比率(本実施形態においては「1」)を付与する。
そして、補正データ生成部104は、処理中のフレームの画像データからハッシュ値を生成し、生成したハッシュ値と、付与した目標値の調光制御値となる補正比率とを組み合わせて、補正データテーブル106に対して書き込んで記憶させる。
【0046】
ステップS110:補正データ生成部104は、所定の割合にカウント数iを乗算して、乗算結果と補正比率とを加算し、加算結果を現在のフレームの補正比率として設定する。
そして、補正データ生成部104は、処理中のフレームの画像データからハッシュ値を生成し、生成したハッシュ値と設定した補正比率とを組み合わせて、補正データテーブル106に対して書き込んで記憶させる。
【0047】
ステップS111:シーン継続時間判定部102は、画像データ記憶部105を参照して、処理中のシーンに残りのフレームがあるか否か、すなわちシーンが継続しているか否かの判定を行う。
このとき、シーン継続時間判定部102は、シーンが継続している場合、処理をステップS112へ進め、一方、シーンが終了した(残っているフレームがない)場合、処理をステップS102へ進める。
【0048】
ステップS112:輝度値差判定部103は、画像データ記憶部105を参照して、次のフレームの輝度値を読み出すとともに、カウント数iをインクリメントして(「1」を加算して)、処理をステップS105へ進める。
【0049】
本実施形態において、補正比率は、例えば、画像データにより求まる輝度値(フレーム輝度値)を補正し、補正後の補正輝度値に対応して所定のルールから、調光装置500を制御するための調光制御値(すなわち、補正調光制御値)を求めるために用いられる。
また、補正比率は、画像データにより求まる輝度値(フレーム輝度値)から、所定のルールにより調光制御値を求めた後、この調光制御値を補正して補正調光制御値を求める構成としてもよい。
画像データによる輝度値(フレーム輝度値)を補正比率により補正して補正調光制御値として調光制御値を求める場合、画像データによる輝度値(フレーム輝度値)から調光制御値を求め、調光制御値を補正比率により補正して補正調光制御値を求める場合について、以下に制御部300における補正データを用いた調光の処理の動作説明を行なう。
【0050】
<制御部300の動作>
制御部300において、調光制御部302は、調光装置500の絞りの制御を行なう調光制御値を、所定のルールからフレーム輝度値に対応して求められる。ここで、遷移前のシーンの最後のフレームのフレーム輝度値と、遷移後のシーンにおけるフレームのフレーム輝度値との差分である輝度値差が大きいほど、コントラストの変化がより過度に強調される。
このため、本実施形態においては、所定の輝度値差がある場合、急激な調光量の変化を低減するため、フレーム輝度値から求められる調光制御値を、すでに説明した補正データ(補正比率)により補正し、補正した補正調光制御値により調光装置500におけるアイリスの絞りの調整量を低減させて、コントラストの変化が過度に視認されることを抑制する。
【0051】
例えば、調光制御部302は、コンテンツにおける各フレームの補正データのハッシュ値を求め、補正データテーブル106を参照してこのハッシュ値に対応する補正データの有無を検出する。
そして、調光制御部302は、ハッシュ値に対応して補正データが書き込まれていた場合、以下の画像データによる輝度値の補正を行い、調光制御値を補正する処理を行う。
一方、調光制御部302は、ハッシュ値に対応して補正データが書き込まれていない場合、以下の画像データにより求めたフレーム輝度値の補正を行わず、すなわち調光制御値を補正して補正調光制御値を生成することなく、フレーム輝度値に対応した目標の光量とする調光の処理を行う。
【0052】
以下の説明においては、シーンにおける各フレームに対して、起点の補正比率から順次所定の割合として「0.1」ずつ増加する補正比率が設定されている場合を用いる。
調光制御値を補正する場合、調光制御部302は、輝度レベルが「250」の明るい遷移前シーン(遷移前シーンの最後のフレームの輝度値)から、輝度レベル「10」の暗い遷移後シーン(遷移度シーンの第1フレームの輝度値)に遷移した場合、遷移後シーンの第1フレームの輝度値から遷移前シーンの最後の輝度値を減算して、輝度値差として「10-250=-240」を求める。
そして、調光制御部302は、遷移後シーンの第1フレームのハッシュ値を求め、補正データテーブル106を参照して、求めたハッシュ値に対応する補正比率「0.5」を読み出す。
【0053】
調光制御部302は、輝度値差「-240」に対して補正比率「0.5」を乗算して、補正輝度値差「-120」を求め、直前のフレーム(遷移前シーンの最後のフレーム)の輝度値「240」に対して補正輝度値差「-120」を加算し、補正輝度値「120」を求める。
調光制御部302は、求めた補正輝度値「120」に対応した調光制御値を求め、目標光量に対応した輝度値(以下、目標輝度値)である輝度値「10」の調光制御値に対する補正調光制御値とし、この補正調光制御値により、第1フレームの表示タイミングに同期させて、調光装置500によるアイリスの絞りを調整して調光を行う。
【0054】
次に、第2フレームに対する補正調光制御値を求める際、第1フレームの補正輝度値「120」から第2フレームの輝度値「12」を減算して、輝度値差として「12-120=-108」を求める。
そして、調光制御部302は、第2フレームのハッシュ値を求め、補正データテーブル106を参照して、求めたハッシュ値に対応する補正比率「0.6」を読み出す。
調光制御部302は、輝度値差「-108」に対して補正比率「0.6」を乗算して、補正輝度値差「-64(小数点以下切り下げ)」を求め、直前の第1フレームの補正輝度値「120」に対して補正輝度値差「-64」を加算し、補正輝度値「56」を求める。
調光制御部302は、求めた補正輝度値「56」に対応した調光制御値を求め、目標輝度値である輝度値「12」に対応する調光制御値に対する補正調光制御値とし、この補正調光制御値により、第2フレームの表示タイミングに同期させて、調光装置500によるアイリスの絞りを調整して調光を行う。
【0055】
次に、第3フレームに対する補正調光制御値を求める際、第2フレームの補正輝度値「56」から第3フレームの輝度値「11」を減算して、輝度値差として「11-56=-45」を求める。
そして、調光制御部302は、第2フレームのハッシュ値を求め、補正データテーブル106を参照して、求めたハッシュ値に対応する補正比率「0.7」を読み出す。
調光制御部302は、輝度値差「-45」に対して補正比率「0.7」を乗算して、補正輝度値差「-31(小数点以下切り下げ)」を求め、直前の第2フレームの補正輝度値「56」に対して補正輝度値差「-31」を加算し、補正輝度値「25」を求める。
調光制御部302は、求めた補正輝度値「25」に対応した調光制御値を求め、目標輝度値である輝度値「11」に対応する調光制御値に対する補正調光制御値とし、この補正調光制御値により、第3フレームの表示タイミングに同期させて、調光装置500によるアイリスの絞りを調整して調光を行う。
【0056】
上述したように、第4フレームの補正比率「0.8」、第5フレームの補正比率「0.9」、第6フレーム以降の各フレームの補正比率「1.0」を用いて、それぞれの補正調整輝度値を算出し、この補正輝度値により補正調光制御値を求めて、調光装置500によるアイリスの絞りを調整して調光を行う。
これにより、第1フレームから第5フレームまで徐々に目標輝度値の調光制御値に補正調光制御値が近づき、第6フレームにおいて、補正調光制御値が目標輝度値の調光制御値に収束する。
【0057】
また、調光制御部302は、輝度レベルが「10」の暗い遷移前シーン(遷移前シーンの最後のフレームの輝度値)から、輝度レベル「240」の明るい遷移後シーン(遷移度シーンの第1フレームの輝度値)に遷移した場合、遷移後シーンの第1フレームの輝度値から遷移前シーンの最後の輝度値を減算して、輝度値差として「250-10=240」を求める。
そして、調光制御部302は、遷移後シーンの第1フレームのハッシュ値を求め、補正データテーブル106を参照して、求めたハッシュ値に対応する補正比率「0.5」を読み出す。
【0058】
調光制御部302は、輝度値差「240」に対して補正比率「0.5」を乗算して、補正輝度値差「120」を求め、直前のフレーム(遷移前シーンの最後のフレーム)の輝度値「10」に対して補正輝度値差「120」を加算し、補正輝度値「130」を求める。
調光制御部302は、求めた補正輝度値「130」に対応した調光制御値を求め、目標輝度値である輝度値「250」に対応する調光制御値に対する補正調光制御値とし、この補正調光制御値により、第1フレームの表示タイミングに同期させて、調光装置500によるアイリスの絞りを調整して調光を行う。
【0059】
次に、第2フレームに対する補正調光制御値を求める際、第1フレームの補正輝度値「130」から第2フレームの輝度値「252」を減算して、輝度値差として「252-130=122」を求める。
そして、調光制御部302は、第2フレームのハッシュ値を求め、補正データテーブル106を参照して、求めたハッシュ値に対応する補正比率「0.6」を読み出す。
調光制御部302は、輝度値差「122」に対して補正比率「0.6」を乗算して、補正輝度値差「73(小数点以下切り下げ)」を求め、直前の第1フレームの補正輝度値「130」に対して補正輝度値差「73」を加算し、補正輝度値「203」を求める。
調光制御部302は、求めた補正輝度値「203」に対応した調光制御値を求め、目標輝度値である輝度値「252」に対応する調光制御値に対する補正調光制御値とし、この補正調光制御値により、第2フレームの表示タイミングに同期させて、調光装置500によるアイリスの絞りを調整して調光を行う。
【0060】
上述した明るいシーンからより暗いシーンに遷移した場合の補正輝度値を同様に、第3フレームの補正比率「0.7」、第4フレームの補正比率「0.8」、第5フレームの補正比率「0.9」、第6フレーム以降の各フレームの補正比率「1.0」を用いて、それぞれの補正輝度値を算出し、この算出した補正輝度値により補正調光制御値を求めて、調光装置500によるアイリスの絞りを調整して調光を行う。
これにより、第1フレームから第5フレームまで徐々に目標輝度値の調光制御値に補正調光制御値が近づき、第6フレームにおいて、補正調光制御値が目標輝度値の調光制御値に収束する。
【0061】
上述したフレームにおいて、補正比率が増加する割合は、任意に設定することができ、例えば、シーンにおけるフレーム数により、適宜設定するようにしてもよい。
例えば、シーンのフレーム数が200の場合、最初のフレームに対して所定の比率として、「0.5」が設定されている場合、「0.5」から「1.0」に変化させる際、変化させる差分「0.5(=1.0-0.5)」をフレーム数である200で除算し、「0.0025」を所定の割合として、0.5から順次フレームが進むごとに増加させる構成としても良い。
【0062】
また、シーンのフレーム数が予め設定したフレーム閾値より多い場合、フレーム数を複数に、例えば2個の分割シーンに分割し、前半の分割シーンの各々のフレームを補正比率が「1.0」で収束するように、すなわち光源の光量が画像データの輝度値から求めた目標の光量となる調光制御値(以下、目標値)となるように、順次増加して変化させ、後半の分割シーンは「1.0」と一定の補正比率とするルールを加えてもよい。
例えば、フレーム数が200でフレーム閾値が100である場合、前半分割シーンのフレーム各々に対する補正比率を、「0.5」から所定の割合「0.005」により順次変化させて補正比率を「1.0」とし、後半分割シーンのフレームの各々に対する補正比率をすべて「1.0」とする構成としてもよい。
【0063】
また、上述した本実施形態の構成において、補正比率によって、各フレームの輝度値を補正した補正輝度値により、所定のルールから調光制御値を補正調光制御値として求めていた。
しかし、本実施形態の他の構成として、補正輝度値を生成するのではなく、直前のフレームの補正調光制御値(調光制御値)を、各フレームの輝度値から求めた調光制御値から減算して制御値差分を算出し、この制御値差分にフレームの補正比率を乗算し、乗算結果を直前の調光制御値に加算し、対象とするフレームの補正調光制御値を算出する構成としてもよい。
【0064】
上述したように、本実施形態によれば、画像表示を行なう前にコンテンツを解析し、シーン間におけるフレーム輝度値の輝度値差が所定の輝度値差閾値を超える否かを判定し、輝度値差が輝度値閾値を超える場合、直前に表示されたフレームに対する光量から、次に表示されるフレームに対する光量の調光量を低減させる補正データを事前に生成しておくため、上記コンテンツの画像表示を行なう際に、フレーム間の輝度値差に対応して、リアルタイムに調光制御値を補正データにより補正して補正調光制御値を生成し、この補正調光制御値により調光装置500を制御して調光を行なうため、画像表示において投射光学系600に対する投射光の急激な光量の変化を低減することが可能となり、鑑賞者に対して表示される画像のコントラストの急激な変化を過度に視認させることを抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態によれば、上述したようにシーンにおいて調光制御値を起点となる補正調光制御値としたフレーム以降のフレームに対する補正データを順次所定の割合で変更させ、所定数以降のフレームからフレーム輝度値から求まる調光制御値(目標の調光量となる調光制御値)となる補正比率(本実施形態における「1.0」)に収束させるため、鑑賞者がコンテンツの描写としてのコントラストの変化を損なうことなく視認することができる。
また、本実施形態によれば、シーンが継続する時間であるシーン継続時間が所定の時間閾値を超えない場合、補正比率により調光制御値の補正を行なわないとしているため、この時間閾値を人間の光の変化に対応する時間により適宜設定することにより、短いシーンにおけるコントラストの強調を過度に視認することなく残すことが可能となり、鑑賞者がコンテンツの描写としてのコントラストの変化を損なうことなく視認することができる。
【0066】
本実施形態においては、コントラスト補正データ取得システム100を3板式投射型液晶表示装置である映像表示システム1に適用した例を説明したが、液晶ディスプレイを用いた直視型の画像表示装置(例えば、液晶モニタなど)対しても、液晶パネルに放射光を放射するバックライトの光量の調整においても同様に用いることができる。
【0067】
図6は、本発明の実施形態によるコントラスト補正データ取得システムの概念を説明する図である。コントラスト補正データ取得システム100Aは、表示するコンテンツにおけるフレームの各々の画像データの輝度値により画像表示に用いられる光源の光量を調光する調光処理の機能を有する映像表示システムにおいて用いられる、フレームの画像データの輝度値差に対応してフレーム間における光量の変化量を低減させる補正データを、コンテンツの表示が行われる前に予め取得する。
図6において、輝度値検出部101は、フレームの各々の画像データから、当該フレームそれぞれの輝度値を順次検出する。
輝度値差判定部103は、シーンにおいて連続したフレームの各々の間における輝度値の差である輝度値差が時間閾値(第1閾値)を超えるか否かを判定する。
補正データ生成部104は、輝度値差が時間閾値(第1閾値)を超えた場合、フレームの各々に対する補正データを、所定の補正ルールに対応して設定する。
【0068】
なお、本発明の図1のコントラスト補正データ取得システム100における、シーン継続時間とフレーム間におけるフレーム輝度値の輝度値差とに対応して、各フレームに対するコントラストの調整を行なう調光制御値のシーン間での急激な変化を抑制する補正データ(補正比率)を取得する機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、反射領域において反射される青色光の光量の調整処理の制御を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0069】
また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0070】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0071】
1…映像表示システム
2…コンテンツ提供装置
3…スクリーン
21…データ送受信部
22…記憶部
100…コントラスト補正データ取得システム
101…輝度値検出部
102…シーン継続時間判定部
103…輝度値差判定部
104…補正データ生成部
105…画像データ記憶部
106…補正データテーブル
300…制御部
301…表示制御部
302…調光制御部
400…光源
500…調光装置
600…投射光学系
図1
図2
図3
図4
図5
図6