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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020181
(43)【公開日】2022-02-01
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 45/00 20180101AFI20220125BHJP
【FI】
A01D45/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020123539
(22)【出願日】2020-07-20
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター、革新的技術開発・緊急展開事業(うち経営体強化プロジェクト)「栽培・作業・情報技術の融合と高収益作物の導入による寒地大規模水田営農基盤の強化(タマネギ等高収益作物の多収・安定化技術と情報技術の活用による高収益水田営農の確立)」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504352788
【氏名又は名称】オサダ農機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】310010575
【氏名又は名称】地方独立行政法人北海道立総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 和晃
(72)【発明者】
【氏名】東山 学
(72)【発明者】
【氏名】木村 義彰
【テーマコード(参考)】
2B075
【Fターム(参考)】
2B075AA10
2B075GA01
2B075GA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】茎葉部から果実を分離するに当たり、茎葉部に果実が残りにくい収穫機を提供する。
【解決手段】分離装置200は、作物の茎葉部からトマトを分離する。分離装置200には果実受け取り台210及び分離促進部250が設けられている。果実受け取り台210の前方には、果実受け取り台210を振動させるクランク機構230が設けられている。分離促進部250は、果実受け取り台210上の作物と接触する突起部256をG2方向に移動させる。突起部256は、果実受け取り台210の上面と接触し、跳ね上げられることで上下方向に振動する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
果実及び茎葉部を含む作物を搬送する作物搬送機構と、
前記作物搬送部から前記作物を受け取り、当該作物の茎葉部から果実を分離すると共に、果実が分離された前記作物を一方向に放出する果実分離機構とを備えており、
前記果実分離機構が、
果実が落下する落下口が上面に形成されており、前記作物搬送機構から受け取った作物が前記上面に載置される果実受け取り台と、
前記果実受け取り台を振動させると共に、前記果実受け取り台上の作物の茎葉機構から分離した前記果実を、前記落下口を通じて落下させる振動機構と、
前記果実受け取り台の上方から前記果実受け取り台に向かって突出して前記果実受け取り台上の前記作物と接触する複数の突起部を有し、前記突起部を上下方向に関して振動させつつ前記一方向に移動させることで前記果実を前記作物から分離しやすくする分離促進機構と、を備えていることを特徴とする収穫機。
【請求項2】
前記複数の突起部と前記果実受け取り台の上面とが接触して前記果実受け取り台の振動が前記複数の突起部に伝わることで、前記複数の突起部が上下方向に関して振動することを特徴とする請求項1に記載の収穫機。
【請求項3】
前記分離促進機構が、前記複数の突起部が固定された板部材と、前記板部材を前記一方向に移動させる移動機構とを有していることを特徴とする請求項2に記載の収穫機。
【請求項4】
前記移動機構が、前記板部材が固定された無端のチェーンと、前記チェーンが巻き掛けられた複数のスプロケットとを含んでいることを特徴とする請求項3に記載の収穫機。
【請求項5】
前記複数の突起部のそれぞれが、前記果実受け取り台に向かって突出するように湾曲しつつ両端が前記板部材に固定された棒状の部材からなることを特徴とする請求項3又は4に記載の収穫機。
【請求項6】
前記分離促進機構が、その後端部を中心に回転可能であり、
前記分離促進機構が所定の位置より上方に移動するのが可能となるように且つ前記所定の位置より下方に移動しないように、前記分離促進機構の移動が規制されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫機、特に、果実を含む作物を収穫する収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
トマトなどの果実を茎葉部ごと収穫し、果実を茎葉部から分離させる装置がある。特許文献1はその一例であり、互いに離間した複数本のロッドを有する分離棚上に果実を載置した状態でロッドを振動させ、茎葉部から果実を振るい落とす装置に係る。果実は、ロッド間に形成された落下口を通じて落下する。一方、果実が分離した後の茎葉部は、装置の後端まで送られ、後方へと放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-202080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、特許文献1の装置のように作物から果実を振るい落とす装置では、茎葉部から果実が十分に分離されにくい場合があることを見出した。茎葉部から果実が分離されないと、茎葉部が装置から放出される際、茎葉部に果実が残ったまま放出される。
【0005】
本発明の目的は、茎葉部から果実を分離するに当たり、茎葉部に果実が残りにくい収穫機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、特許文献1の装置に係る以下の問題点に気づいた。特許文献1の装置において、果実が茎葉部から分離されにくい場合があるのは、果実の成長段階にばらつきがあること等により、茎葉部からの分離されやすさに果実同士で差があるためである。茎葉部から分離されにくい果実の場合、特許文献1の装置によると、分離棚上の作物が、茎葉部から果実が分離される時間もなく分離棚の後方に速やかに移動し、果実が茎葉部に付いたまま作物が放出されてしまう。そこで、本発明者らは、上記の問題を解決するべく、以下のような発明に到達した。
【0007】
本発明の収穫機は、果実及び茎葉部を含む作物を搬送する作物搬送機構と、前記作物搬送部から前記作物を受け取り、当該作物の茎葉部から果実を分離すると共に、果実が分離された前記作物を一方に放出する果実分離機構とを備えており、前記果実分離機構が、果実が落下する落下口が上面に形成されており、前記作物搬送機構から受け取った作物が前記上面に載置される果実受け取り台と、前記果実受け取り台を振動させると共に、前記果実受け取り台上の作物の茎葉機構から分離した前記果実を、前記落下口を通じて落下させる振動機構と、前記果実受け取り台の上方から前記果実受け取り台に向かって突出して前記果実受け取り台上の前記作物と接触する複数の突起部を有し、前記突起部を上下方向に関して振動させつつ前記一方向に移動させることで前記果実を前記作物から分離しやすくする分離促進機構と、を備えている。
【0008】
本発明の収穫機によると、果実受け取り台の上方に設けられた分離促進機構が、以下の通り、果実受け取り台上の果実を茎葉部から分離しやすくする。すなわち、分離促進機構に設けられた突起部が果実受け取り台上の作物に接触して作物を下方に向けて押さえつける。これにより、作物が果実受け取り台上に滞留する時間が確保される。したがって、果実受け取り台の振動により茎葉部から果実が分離される時間が確保される。また、突起部が上下方向に振動することで、作物が突起部によって上方から叩かれる。これにより、作物全体が、果実受け取り台の上面に沿って広がりつつ、果実受け取り台の振動によって揺さぶられる。このため、各果実が果実受け取り台の振動の影響を受けやすくなり、茎葉部から分離されやすくなる。以上により、分離促進機構が果実を茎葉部から分離しやすくする。よって、果実分離機構から放出される茎葉部に果実が残りにくい。
【0009】
また、本発明においては、前記複数の突起部と前記果実受け取り台の上面とが接触して前記果実受け取り台の振動が前記複数の突起部に伝わることで、前記複数の突起部が上下方向に関して振動することが好ましい。これによると、突起部を振動させる手段を果実受け取り台の振動機構とは別に設ける必要がない。よって、装置構成を簡易化できる。
【0010】
また、本発明においては、前記分離促進機構が、前記複数の突起部が固定された板部材と、前記板部材を前記一方向に移動させる移動機構とを有していることが好ましい。これによると、突起部の移動機構が簡易な構成で実現する。
【0011】
また、本発明においては、前記移動機構が、前記板部材が固定された無端のチェーンと、前記チェーンが巻き掛けられた複数のスプロケットとを含んでいることが好ましい。これによると、突起部がチェーンに支持されることになる。よって、突起部が果実受け取り台の上面と接触して跳ね上げられた際に、チェーンが突起部からの突き上げにより上下方向に揺さぶられる。かかる構成により、突起部が振動しやすくなる。
【0012】
また、本発明においては、前記複数の突起部のそれぞれが、前記果実受け取り台に向かって突出するように湾曲しつつ両端が前記板部材に固定された棒状の部材からなることが好ましい。これによると、棒状の部材の一端を板部材に固定し、他端を果実受け取り台に向かって突出させた場合と比べ、突起部が作物の茎葉部に引っ掛かりにくくなる。
【0013】
また、本発明においては、前記分離促進機構が、その後端部を中心に回転可能であり、前記分離促進機構が所定の位置より上方に移動するのが可能となるように且つ前記所定の位置より下方に移動しないように、前記分離促進機構の移動が規制されていることが好ましい。これによると、突起部の振動がある程度大きくなると、分離促進機構全体が揺動する。よって、突起部の振動が大きくなり過ぎて突起部自体や突起部を支持する部材等に過大な負荷が掛かるのが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るトマト収穫機の左側面図である。
図2図1の搬送装置の概略構成図である。
図3図1の分離装置の概略構成図である。
図4図3の分離装置の下部を構成する果実受け取り台の斜視図である。
図5図3の物分離装置の上部を構成する分離促進部における突起部及びプレート並びにこれらの移動機構の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係るトマト収穫機1について図1図5を参照しつつ説明する。以下における明細書の前後左右の各方向は、トマト収穫機1の前進方向を向いた人から見た方向とする。トマト収穫機1は、圃場を走行しつつトマトを収穫する機械である。トマト収穫機1は、図1に示すように、主フレーム2、運転席3、圃場のトマトを茎葉部ごと取り込みつつ後方に搬送する取り込み搬送部100(本発明における作物搬送機構)、トマトを茎葉部から分離する分離装置200(本発明における果実分離機構)、分離されたトマトを収容部(不図示)へと搬送する後部搬送部300及びクローラ方式の走行部400を備えている。トマト収穫機1の各構成のうち、取り込み搬送部100、分離装置200は概ね機体の左側に配置され、運転席3及び収容部は概ね機体の右側に配置されている。
【0016】
主フレーム2は、複数本の棒状部材等から構成された枠体であり、トマト収穫機1の後半部の筐体を構成している。主フレーム2は走行部400に支持されている。主フレーム2は、取り込み搬送部100、分離装置200及び後部搬送部300を支持している。
【0017】
取り込み搬送部100は、トマト収穫機1の前半部に設けられており、図2に示すように、取り込み部110と、その下方に配置された前部搬送部120を有している。取り込み部110及び前部搬送部120のいずれも、トマト収穫機1の前部且つ下端部の位置から後方に向かって斜め上方に延びている。取り込み部110は、無端のベルト111と、ベルト111が巻き掛けられた駆動スプロケット112、従動スプロケット113並びにガイドスプロケット114及び115とを含んでいる。ベルト111は、コンベアチェーン111a及びコンベアチェーン111aに固定されたプレート111bを有している。プレート111bには、複数の突起部116及び仕切り板117が固定されている。突起部116及び仕切り板117は、ベルト111の外周面から外方に向かって突出している。突起部116は、左右方向に並んでいると共に、ベルト111の走行方向に並んだ棒状の部材である。仕切り板117は、ベルト111の左端から右端まで延びている。駆動スプロケット112は、取り込み部110の後端部に配置されており、図示しないモーターによって駆動される。従動スプロケット113は、取り込み部110の前端部に配置されており、ベルト111の走行に従動する。ガイドスプロケット114及び115は、前部搬送部120の近くの搬送経路に沿って走行するようにベルト111を案内している。前部搬送部120は、無端のベルト121と、ベルト121が巻き掛けられた駆動スプロケット122及び従動スプロケット123とを有している。駆動スプロケット122は、図示しないモータによって駆動される。
【0018】
駆動スプロケット112及び122が駆動されると、図2において、ベルト111が反時計回りに、ベルト121が時計回りにそれぞれ走行する。ベルト111は、ガイドスプロケット114からガイドスプロケット115までの間を、突起部116及び仕切り板117の先端(下端)がベルト121の近傍をベルト121に沿ってA方向に移動するように走行する。ベルト121はB方向に沿って移動する。かかるベルト111及び121の走行に伴い、圃場G上のトマトが以下のように取り込まれ、後方に向かって搬送される。まず、取り込み部110の前端部において、突起部111aが圃場G上のトマトを茎葉部ごと後方に向かって取り込む。取り込まれたトマト及び茎葉部は、前部搬送部120の前端部のベルト121上に載置される。ベルト121上のトマト及び茎葉部は、ガイドスプロケット114及び115の間を走行するベルト111の突起部116及び仕切り板117によってかき上げられつつ、ベルト121の走行に伴って前部搬送部120の後端部へと搬送される。このとき、ベルト121上を前方に向かって転がり落ちようとするトマトが発生することがあるが、かかるトマトの転落は仕切り板117によって食い止められる。前部搬送部120の後端部まで搬送されたトマト及び茎葉部は分離装置200に受け渡される。
【0019】
分離装置200は、図3に示すように、果実受け取り台210と分離促進部250(本発明における分離促進機構)とを有している。果実受け取り台210は、図3及び図4に示すように、枠体211と、枠体211の上部に固定された複数本の棒状部材212と、枠体211の側面に設けられた揺動部材220と、枠体211の前部に設けられたクランク機構230(本発明における振動機構)とを有している。枠体211は、平面視において前後方向に長尺な矩形の形状を呈しており、当該矩形の四辺に対応する前側板211a、後側板211b、右側板211c及び左側板211dによって構成されている。棒状部材212は、前後方向に沿って直線状に延びており、前部が前側板211aの側面に、後部が後側板211bの上面に固定されている。棒状部材212同士の間には開口215(本発明における落下口)が形成されている。
【0020】
揺動部材220は、図3及び図4に示すように、上部回転体221、下部回転体222並びに上部回転体221及び下部回転体222を繋ぐアーム部223を有している。上部回転体221は、直方体の概略形状を有する部材であり、左側板211dに固定された固定板226によって、左側板211dと直交する中心軸C1(図4参照)に関して回転可能に支持されている。アーム部223は、上部回転体221から下方に向かって斜め後方に下部回転体222まで延びている。下部回転体222は、直方体の概略形状を有する部材であり、主フレーム2に固定された固定板227によって、左側板211dと直交する中心軸C2(図4参照)に関して回転可能に支持されている。これにより、揺動部材220は、中心軸C2を中心にD方向に揺動可能である。D方向は、アーム部223の延びる方向と直交する方向である。揺動部材220は、左側板211dの前部及び後部のそれぞれに設けられている。また、右側板211cの前部及び後部のそれぞれにも設けられている。つまり、枠体211の側面には合計4つの揺動部材220が設けられている。このように、枠体211は、4つの揺動部材220によって、その揺動方向であるD方向にスライド(平行移動)可能に支持されている。
【0021】
枠体211の前側板211aには、クランク機構230との接続部213が設けられている。クランク機構230は、モーター231と、モーターによってE方向に回転する回転板232と、回転板232の端部付近に接続されたクランクアーム233とを有している。クランクアーム233の前端は、中心軸C3に関して回転可能に回転板232に支持されている。クランクアーム233の後端は、中心軸C4に関して回転可能に接続部213に支持されている。モーター231が回転板232を回転させると、回転板232の回転運動がクランクアーム233を通じて枠体211に伝達される。枠体211は、上記の通り、4つの揺動部材220によってD方向にスライド可能に支持されている。したがって、回転板232の回転運動は、クランクアーム233によってD方向に沿ってスライドする往復運動に変換される。つまり、枠体211は、D方向に沿ってスライドするように振動する。
【0022】
分離促進部250は、図3及び図5に示すように、無端のチェーン251と、チェーン251が巻き掛けられた駆動スプロケット252及び従動スプロケット253と、左右一対に設けられた副フレーム254と、チェーン251に固定されたプレート255(本発明における板部材)と、プレート255に固定された突起部256とを有している。チェーン251、駆動スプロケット252及び従動スプロケット253は、それぞれ4つ設けられ、左右方向に関して互いに等間隔に配列されている。チェーン251は前後方向に沿って延びている。駆動スプロケット252は、左右方向に沿って延びた回転軸257に固定されており、分離促進部250の後部に配置されている。回転軸257は、副フレーム254の後端部に回転可能に支持されており、図示しないモーターによって駆動される。回転軸257が駆動されると、駆動スプロケット252は回転軸257を中心に、図3において反時計回りに回転する。これにより、チェーン251が図3のG1方向及びG2方向に沿って移動する。従動スプロケット253は、左右方向に沿って延びた回転軸258に固定されており、分離促進部250の前部に配置されている。回転軸258は、副フレーム254の後端部に回転可能に支持されている。従動スプロケット253は、チェーン251に従動して図3において反時計回りに回転する。なお、チェーン251、駆動スプロケット252及び従動スプロケット253は本発明における移動機構に対応する。
【0023】
回転軸257は、左右一対に設けられた支持フレーム21によって、副フレーム254の左右方向に外側から回転可能に支持されている。支持フレーム21は、上下方向にL字を反転させた概略形状を有している。支持フレーム21の下端は主フレーム2に固定されている。これにより、分離促進部250の全体が、回転軸257を中心に、図3のF方向に揺動(回転)可能となっている。
【0024】
プレート255は、左右方向に沿って延びた平板部材であり、チェーン251に沿って等間隔に配列されている。突起部256は、U字状に湾曲した棒状の部材である。突起部256の一端は、互いに隣り合う2つのプレート255の一方に固定されている。突起部256の他端は、上記2つのプレート255の他方に固定されている。各プレート255には、図5に示すように、3つの突起部256が左右方向に等間隔に固定されている。かかる3つの突起部256は、左右方向に沿った突起列256X及び256Yを構成している。図5の平面視において、突起列256X中の各突起部256は、前端から後端に向かって斜め右後方に延びている。一方、突起列256Y中の各突起部256は、前端から後端に向かって斜め左後方に延びている。突起列246X中の各突起部256は、突起列246Y中の各突起部256よりも少し右方にずれた位置に配置されている。かかる突起列246X及び256Yが、前後方向に関して交互に配置されている。これにより、突起部256全体が平面視において千鳥状に配置されている。駆動スプロケット252がモーターによって駆動され、チェーン251が図3のG1方向及びG2方向に沿って移動すると、プレート255に固定された突起部256もチェーン251と連動してG1方向及びG2方向に沿って移動する。
【0025】
前後方向に関して副フレーム254における中央より少し前方の部分にはL字ステイ259が固定されている。L字ステイ259は、左右一対の副フレーム254のそれぞれから外側方へと突出している。L字ステイ259にはボルト261が固定されている。ボルト261は上下方向にL字ステイ259を貫通している。ボルト261の下端は、支持フレーム22の上端に載置されている。支持フレーム22は、上下方向に沿って延びた角柱状の部材であり、その下端が主フレーム2に固定されている。ボルト261の下端は支持フレーム22に固定されていない。これによって、分離促進部250が図3に示す位置(本発明における所定の位置)よりも上方に移動することが可能である。一方、支持フレーム22の上面にボルト261が接触することで、図3に示す位置よりも下方に落ちないように分離促進部250の移動が規制されている。分離促進部250における図3に示す位置は、果実受け取り台210の枠体211が上記の通り振動した際に突起部256の下端が果実受け取り台210の上面(棒状部材212の表面)と接触できるような位置である。
【0026】
以上の構成を有する分離装置200は、取り込み搬送部100から受け取ったトマト付きの茎葉部からトマトを以下の通りに分離する。まず、果実受け取り台210の枠体211がクランク機構230によって振動しつつ、突起部256が図3のG1方向及びG2方向に沿って移動する。一方、果実受け取り台210の枠体211は、上記の通りクランク機構230によってD方向に沿ってスライドするように振動している。この振動により、G2方向に移動中の突起部256が果実受け取り台210の上面(棒状部材212の表面)と接触し、もって、突起部256が上方に跳ね上げられる。突起部256は、プレート255を介してチェーン251に固定されている。このため、突起部256が跳ね上げられると、チェーン251は突起部256からの突き上げを受けて上下方向に揺さぶられる。これにより、突起部256が上下方向に振動しつつ、G2方向に移動する。なお、突起部256の振動がある程度大きくなると、分離促進部250の全体が回転軸257を中心に図3のF方向に揺動する。よって、突起部256の振動が大きくなり過ぎて突起部256やチェーン251に過大な負荷が掛かるのが抑制される。
【0027】
果実受け取り台210上のトマト及び茎葉部は、G2方向に沿った突起部256の移動及び枠体211の振動の作用により後方へと移動する。これと同時に、突起部256によって上方から叩かれることにより、トマト及び茎葉部全体が果実受け取り台210の上面に沿って広がりつつ、枠体211の振動によって前後及び上下に揺さぶられる。これによって、図3に示すように茎葉部からトマトが分離して、開口215を通じて果実受け取り台210の下方へと落下する。茎葉部からトマトが分離した後の作物は、図3に示すように果実受け取り台210の後方(本発明における一方向)へと放出される。
【0028】
果実受け取り台210の下方には、図1に示すように、トマトを収容部(不図示)まで搬送する後部搬送部300が設けられている。後部搬送部300は、前部搬送部120と同様にベルト搬送方式が採用された搬送機構310及び320を有している。また、後部搬送部300は、搬送機構310及び320とは別に、トマト収穫機1の機体の右側に配置された搬送機構(不図示)を有している。搬送機構310は、果実受け取り台210から落下してきたトマトを前方へと搬送する。搬送機構320は、果実受け取り台210から落下してきたトマト及び搬送機構310が前方へと搬送したトマトを受け取り、機体の右側の搬送機構へと搬送する。この搬送機構は、搬送機構320からトマトを受け取り、後方の収容部へと搬送する。
【0029】
以上説明した本実施形態によると、果実受け取り台210の上方に設けられた分離促進部250が、以下の通り、果実受け取り台210上のトマトを茎葉部から分離しやすくする。すなわち、分離促進部250に設けられた突起部256が果実受け取り台210上の作物に接触して作物を下方に向けて押さえつける。これにより、作物が果実受け取り台210上に滞留する時間が確保される。したがって、果実受け取り台210の振動により茎葉部から果実が分離される時間が確保される。また、突起部256が上下方向に振動することで、作物が突起部256によって上方から叩かれる。これにより、作物全体が、果実受け取り台210の上面に沿って広がりつつ、果実受け取り台210の振動によって揺さぶられる。このため、各トマトが果実受け取り台の振動の影響を受けやすくなり、茎葉部から分離されやすくなる。果実受け取り台210から放出された茎葉部にトマトが残りにくい。
【0030】
また、本実施形態においては、突起部256が果実受け取り台210の上面と接触し、跳ね上げられることで振動する。したがって、突起部256を振動させる手段を別途設ける必要がない。よって、トマト収穫機1の構成を簡易化できる。
【0031】
また、本実施形態においては、突起部256がプレート255を介してチェーン251に支持されている。そして、突起部256が果実受け取り台210の上面と接触して跳ね上げられた際に、チェーン251が突起部256からの突き上げにより上下方向に揺さぶられる。かかる構成により、突起部256が振動しやすくなる。
【0032】
また、本実施形態に係る突起部256は、棒状の部材をU字状に湾曲させつつその湾曲部を果実受け取り台210に向けて突出させた構成とされている。したがって、仮に棒状の部材の一端をプレート255に固定し、他端を果実受け取り台210に向けて突出させた場合と比べ、突起部256が果実受け取り台210上の作物の茎葉部に引っ掛かりにくくなる。
【0033】
以下、上述の実施形態の変形例について説明する。
【0034】
上述の実施形態においては、枠体211の前方に設けられたクランク機構230が枠体211を振動させている。しかし、枠体211を振動させる構成はどのようなものであってもよい。例えば、クランク機構が枠体211の側面や下方に設けられていてもよい。
【0035】
また、上述の実施形態においては、突起部256が果実受け取り台210の上面と接触し、跳ね上げられることで振動する。したがって、突起部256を振動させる手段が別途設けられていない。しかし、突起部256を振動させる手段が別途設けられてもよい。例えば、分離促進部250の全体又は突起部256を含む一部分を上下に振動させる手段が設けられてもよい。
【0036】
また、上述の実施形態においては、分離促進部250には突起部256をG2方向に沿って移動させる移動機構が一つ設けられている。しかし、突起部256をG2方向に沿って移動させる複数の移動機構が前後方向に並んでいてもよい。
【0037】
また、上述の実施形態においては、分離促進部250がトマト収穫機1の一部分として構成されている。しかし、分離促進部250がトマト収穫機1とは独立の装置として実施されてもよい。また、据え置き式のトマト処理装置等、収穫機以外の機器に分離促進部250が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 トマト収穫機
100 取り込み搬送部
200 分離装置
210 果実受け取り台
215 開口
230 クランク機構
250 分離促進部
251 チェーン
252 駆動スプロケット
253 従動スプロケット
255 プレート
256 突起部
図1
図2
図3
図4
図5