(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020182
(43)【公開日】2022-02-01
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 30/02 20060101AFI20220125BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
B65D30/02
B32B27/00 D
B32B27/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020123540
(22)【出願日】2020-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】710006932
【氏名又は名称】株式会社パックプラス
(74)【代理人】
【識別番号】100114764
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100178124
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 英樹
(72)【発明者】
【氏名】新畑 有麻
(72)【発明者】
【氏名】北下 友理
【テーマコード(参考)】
3E064
4F100
【Fターム(参考)】
3E064AB25
3E064BA24
3E064BA26
3E064BA27
3E064BA30
3E064BA35
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3E064GA01
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3E064HN01
4F100AK04A
4F100AK07A
4F100AK41A
4F100AT00B
4F100BA03
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4F100GB15
4F100GB23
4F100GB66
4F100JK06
4F100JL12A
4F100JL16A
(57)【要約】
【課題】本発明は、複数の素材層からなる積層シートを製袋してなる包装袋であって、再生利用を行うことができる包装袋を提供することを目的とする。
【解決手段】複数の素材層からなる積層シートを製袋してなる包装袋1であって、積層シート2は、再生利用が可能な単一素材からなる第1の素材層21と、第1の素材層21の外側に配置され、第1の素材層21とは別の素材からなる所定の機能性を有する第2の素材層22と、第1の素材層21と第2の素材層22を剥離可能な接着強度で接着する接着剤層23とを備える。これによれば、包装袋1の使用後において、第1の素材層21から第2の素材層22を剥離することによって、第1の素材層21と第2の素材層22を分離することができ、第1の素材層21の再生利用を行うことが可能となる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の素材層が積層された積層シートを製袋してなる包装袋であって、
前記積層シートは、再生利用が可能な単一素材からなる第1の素材層と、該第1の素材層の外側に配置され、該第1の素材層とは別の素材からなる所定の機能性を有する第2の素材層と、前記第1の素材層と前記第2の素材層を剥離可能な接着強度で接着する接着剤層とを備えることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記接着剤層は、前記第1の素材層と前記第2の素材層を0.5~8N/15mmの接着強度で接着している請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記接着剤層は、接着剤が包装袋の平面方向に沿って所定間隔を空けて並ぶ態様で塗布されている請求項1又は請求項2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記第1の素材層は、積層シートを熱溶着するためのポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエステルのいずれかの単一素材からなるシーラント層である請求項1から請求項3のいずれかに記載の包装袋。
【請求項5】
前記シーラント層は、包装袋の内側に設けられ、製袋時に熱溶着される内側シーラント層と、該内側シーラント層の外側に設けられ、製袋時に熱溶着されない外側シーラント層とを備え、内側シーラント層と外側シーラント層はポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエステルのいずれかの単一素材からなる請求項4に記載の包装袋。
【請求項6】
前記第2の素材層は、所定の機能性を有するラベル層であって、前記第1の素材層の全面または一部の面に前記接着剤層を介して剥離可能な接着強度で接着される請求項1から請求項5のいずれかに記載の包装袋。
【請求項7】
前記第1の素材層は、包装袋の内側に設けられ、製袋時に熱溶着されるシーラント層と、該シーラント層の外側に設けられる基材層とを備え、シーラント層と基材層はポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエステルのいずれかの単一素材からなる請求項6に記載の包装袋。
【請求項8】
前記第2の素材層は、前記第1の素材層から剥離するための摘み部が設けられている請求項1から請求項7のいずれかに記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の素材層が積層された積層シートを製袋してなる包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、食品、化学品、化粧品、医薬品、洗剤、工業製品などを収容するパウチ等の包装袋が知られている。一般に、包装袋は、複数の素材層からなる積層シートを熱溶着により製袋されるものであり、内側に熱溶着するためのシーラント層が配置されるとともに、シーラント層の外側に所定の機能性を有する素材からなる基材層が設けられ、シーラント層と基材層が接着剤層により剥離不可能な状態で接着されている。
【0003】
例えば、このような包装袋として、特許文献1には、基材、接着剤層及びシーラント層からなる積層シートを製袋してなる包装袋において、前記基材が延伸ポリアミドフィルム又は延伸ポリエステルフィルムであり、前記シーラント層が第一表面層、発泡層及び第二表面層とからなり、前記第一表面層及び/又は前記第二表面層がエチレン・α-オレフィン共重合体であり、前記発泡層がポリオレフィン樹脂で、かつ発泡倍率がで1.1~3.0倍であり、前記積層シートの曇度が90%以上、全光線透過度が70%以下であるものが開示されている。これによれば、少ない材料により容易に製造できるため低コスト化が図れるとともに、適度なコシ、易開封性、バリア性や対衝撃性を備えることができる。
【0004】
ところで、近年、様々な製品分野において再生利用(リサイクル)が注目される中、上述の包装袋においても再生利用が無視できない状況になってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の包装袋では、内側のシーラント層はポリエチレンやポリプロピレンといった再生利用が可能な素材からなる一方、外側の基材層は機能性を高めるために金属箔やフィルムなどの再生利用が不可能な素材からなる場合が多いところ、上述のようにシーラント層と基材層が接着剤層により剥離不可能な状態で接着されているため、使用後において全体として再生利用を行うことが困難であるという問題があった。
【0007】
もとより、包装袋を再生利用が可能な単一素材(モノマテリアル)の積層シートで構成することも提案されているが、包装袋を単一素材の積層シートで構成すると、バリア性、水蒸気透過性、酸素透過性といった所定の機能性を調整することは難しく、このような単一素材の包装袋は広く適用されるに至っていないのが現状である。
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、複数の素材層からなる積層シートを製袋してなる包装袋であって、再生利用を行うことができる包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、複数の素材層が積層された積層シートを製袋してなる包装袋であって、前記積層シートは、再生利用が可能な単一素材からなる第1の素材層と、該第1の素材層の外側に配置され、該第1の素材層とは別の素材からなる所定の機能性を有する第2の素材層と、前記第1の素材層と前記第2の素材層を剥離可能な接着強度で接着する接着剤層とを備えることを特徴とする。
【0010】
これによれば、包装袋の使用後において、第1の素材層から第2の素材層を剥離することによって、第1の素材層と第2の素材層を分離することができ、第1の素材層の再生利用を行うことが可能となる。また、第2の素材層が再利用可能な素材の場合、第1の素材層とは別に第2の素材層の再生利用も行うことが可能となる。
【0011】
また、前記接着剤層は、前記第1の素材層と前記第2の素材層を0.5~8N/15mmの接着強度で接着していてもよい。これによれば、包装袋の使用時において第1の素材層と第2の素材層の接着状態を確実に維持することができるとともに、包装袋の使用後において第1の素材層と第2の素材層を所定の力で剥離することができる。
【0012】
また、前記接着剤層は、前記接着剤が包装袋の平面方向に沿って所定間隔を空けて並ぶ態様で塗布されていてもよい。これによれば、包装袋の使用時において第1の素材層と第2の素材層の接着状態を確実に維持することができるとともに、包装袋の使用後において第1の素材層と第2の素材層を所定の力で剥離することができる。
【0013】
また、前記第1の素材層は、積層シートを熱溶着するためのポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエステルのいずれかの単一素材からなるシーラント層であってもよい。これによれば、包装袋の製造時において、シーラント層同士が熱溶着されることにより、所定の機能性を有する包装袋が製袋化される。このため、包装袋の使用後において、第1の素材層としてのシーラント層から第2の素材層を剥離することにより、製袋化されたシーラント層と第2の素材層を分離することができ、包装袋の大部分を占める製袋化されたシーラント層の再生利用を行うことが可能となる。
【0014】
また、前記シーラント層は、包装袋の内側に設けられ、製袋時に熱溶着される内側シーラント層と、該内側シーラント層の外側に設けられ、製袋時に熱溶着されない外側シーラント層とを備え、内側シーラント層と外側シーラント層はポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエステルのいずれかの単一素材からなるものであってもよい。これによれば、包装袋の使用時には第1の素材層としてのシーラント層の厚みやコシを補強することができる。また、包装袋の使用後においてシーラント層から第2の素材層を剥離することによってシーラント層と第2の素材層を分離することができ、シーラント層の再生利用を行うことが可能となる。
【0015】
また、前記第2の素材層は、所定の機能性を有するラベル層であって、第1の素材層の全面または一部の面に接着剤層を介して剥離可能な接着強度で接着されてもよい。これによれば、ラベル層により包装袋に対してバリア性、酸素透過性、水蒸気透過性などの所定の機能性を付与することができる。また、第1の素材層に対するラベル層を接着する部分や大きさを調整することにより、包装袋の機能性を局所的に調整することができる。さらに、包装袋の使用後には第1の素材層からラベル層を剥離することによって、第1の素材層とラベル層を分離することができ、第1の素材層の再生利用を行うことが可能となる。
【0016】
また、前記第1の素材層は、包装袋の内側に設けられ、製袋時に熱溶着されるシーラント層と、該シーラント層の外側に設けられる基材層とを備え、シーラント層と基材層はポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエステルのいずれかの単一素材からなってもよい。これによれば、包装袋の使用時には第1の素材層の厚みやコシを補強することができる。
【0017】
また、前記第2の素材層は、第1の素材層から剥離するための摘み部が設けられているのが好ましい。これによれば、包装袋の使用後において、第2の素材層の摘み部を指で摘むことにより、第1の素材層から第2の素材層を簡単かつ確実に剥離することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、包装袋の使用後において、第1の素材層から第2の素材層を剥離することによって、第1の素材層と第2の素材層を分離することができ、第1の素材層の再生利用を行うことが可能となる。また、第2の素材層が再利用可能な素材の場合、第1の素材層とは別に第2の素材層の再生利用も行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1の実施形態に係る包装袋の斜視図である。
【
図2】
図1の包装袋の積層シートの拡大断面図である。
【
図3】第1の素材層から第2の素材層が剥離されるときの積層シートの断面図である。
【
図4】第1の素材層と第2の素材層を分離した包装袋の斜視図である。
【
図5】
図1の包装袋の積層シートの変形例を示す拡大断面図である。
【
図6】第1の素材層と第2の素材層の接着強度の官能評価を表す表である。
【
図7】包装袋に摘み部が設けられた部分の拡大斜視図である。
【
図8】第2の実施形態に係る包装袋の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1の実施形態>
本発明に係る包装袋(以下、本包装袋1という)の第1の実施形態について
図1~
図7を参照しつつ説明する。
【0021】
本包装袋1は、
図1に示すように、一般にスタンディングパウチと呼ばれるシャンプー、リンス、化粧液等の流体が充填される袋であって、複数の素材層からなる積層シート2を製袋してなる可撓性の袋本体11と、合成樹脂素材からなる剛性の口栓12とから構成される。
【0022】
前記袋本体11は、対向する表裏一対の平面部材111、111と、該平面部材111、111の下部に設けられた一枚の底面部材112とからなり、平面部材111、111と底面部材112で囲まれた空間に流体が充填される。
【0023】
前記平面部材111は、左右方向の幅が上下方向の長さよりも短い正面視矩形状の積層シート2から構成されており、上側縁部同士、左側縁部同士および右側縁部同士が互いに熱溶着されている。
【0024】
前記底面部材112は、平面部材111の下部に対応する形状のシート部材から構成されており、周縁部が平面部材111の左側縁部、右側縁部および下側縁部と熱溶着されている。
【0025】
前記口栓12は、軸線方向に貫通する貫通孔を有する口栓本体121と、本体部121の上側に設けられ貫通孔を閉蓋するキャップ122とを備え、口栓本体121の下部側面が平面部材111、111の間でヒートシールにより挟着されることにより、袋本体11の上側縁部の中央部に設けられている。なお、この口栓12は、例えば、後述の積層シート2の第1の素材層21と同じ素材など、再生利用が可能な素材からなるのが好ましい。
【0026】
前記積層シート2は、
図2に示すように、再生利用が可能な単一素材からなる第1の素材層21と、該第1の素材層21とは別の素材からなる所定の機能性を有する第2の素材層22と、前記第1の素材層21と前記第2の素材層22を接着する接着剤層23とを備える。
【0027】
前記第1の素材層21は、包装袋1の内側に配置され、積層シート2を熱溶着するためのポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエステルのいずれかの単一素材からなるシーラント層である。本実施形態では直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)からなる。その他、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、未延伸ポリプロピレン(CPP)等からなってもよい。また、必要に応じて、植物由来材料、リサイクル材料により構成されてもよい。これにより、包装袋1の製造時において、第1の素材層21同士が熱溶着されることにより包装袋1が製袋化される。なお、本実施形態では、第1の素材層21は、60~80μmの厚さに形成されている。
【0028】
前記第2の素材層22は、前記第1の素材層21の外側に配置され、ポリエチレンテレフタレートからなる基材層である。この第2の素材層22は、その他のポリエステル(ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリアミド(ナイロン-6、ナイロン-66等)、ポリ塩化ビニル、ポリイミド等、またはこれらの共重合体、あるいは紙、金属からなってもよいし、これらを2以上積層させて構成されてもよい。必要に応じて、バリアコーティングや金属蒸着がされていてもよい。これにより、包装袋1は、バリア性、酸素透過性、水蒸気透過性などの所定の機能性を有することができる。なお、本実施形態では、第2の素材層22は、10~100μmの厚さに形成されている。
【0029】
前記接着剤層23は、面接着可能な接着剤からなる。接着剤は、液硬化型、非硬化型のいずれであってもよい。また、接着剤は、無溶剤型、溶剤型のいずれであってもよいが、環境負荷の観点から無溶剤型が好ましい。無溶剤型としては、例えば、ポリエーテル系接着剤、ポリエステル系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤およびウレタン系接着剤などが挙げられる。溶剤型としては、例えば、ゴム系接着剤、ビニル系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤、フェノール系接着剤、オレフィン系接着剤などが挙げられる。さらに、接着剤は、その他のアクリル系接着剤、澱粉、ガゼインなどであってもよい。また、感熱接着剤、感圧接着剤、コールドグルーのいずれであってもよい。
【0030】
前記接着剤層23は、前記第1の素材層21と前記第2の素材層22を全面に亘って剥離可能な接着強度、具体的には0.5~8N/15mmの接着強度で接着している。ここで、「N/15mm」の単位は、15mm幅に切り出した素材層を剥離するのに必要な力を示している。このように接着剤層23が、前記第1の素材層21と前記第2の素材層22を0.5N/15mm以上の接着強度で接着しているため、
図2に示すように、包装袋1の使用時において第1の素材層21と第2の素材層22の接着状態を確実に維持することができる。一方、接着剤層23が、前記第1の素材層21と前記第2の素材層22を8N/15mm以下の接着強度で接着しているため、
図3および
図4に示すように、包装袋1の使用後において第1の素材層21と第2の素材層22を所定の力で剥離することができる。
【0031】
次に、包装袋1の再生利用の方法について
図1~
図4を参照しつつ説明する。
【0032】
まず、
図1および2に示すように、包装袋1の製造時において、第1の素材層21と第2の素材層22が接着剤層23を介して剥離可能な接着強度で接着された積層シート2を熱溶着することにより製袋化する。なお、包装袋1の使用時において、積層シート2の第1の素材層21と第2素材層22が上述の所定の接着強度で接着しているため、特に大きな剥離力が作用しない限り、第1の素材層21から第2の素材層22が剥離することはない。
【0033】
次に、
図3に示すように、包装袋1の使用後において、第2の素材層22の周縁部を外側方向(
図3の矢符の方向)に引っ張ると、第1の素材層21と接着層22が周縁部において離間し、その離間する部分が積層シート2全体に拡がることにより、第1の素材層21から第2の素材層22を剥離する。
【0034】
最後に、
図4に示すように、製袋状態の第1の素材層21からなる袋本体11を回収して、再生利用を行う。また、第2の素材層22が再利用可能な素材の場合、第1の素材層21とは別に第2の素材層22の再生利用も行う。
【0035】
なお、第1の素材層21の回収に際しては、
図4に示すように、袋本体11から口栓12を外して回収してもよいし、袋本体11に口栓12を付けたまま回収してもよい。また、袋本体11を平面部材111、111と底面部材112の各部材に分離した上で回収してもよい。
【0036】
このように、包装袋1の使用後において、第1の素材層21から第2の素材層22を剥離することによって、第1の素材層21と第2の素材層22を分離することができ、第1の素材層21の再生利用を行うことが可能となる。また、第2の素材層22が再利用可能な素材の場合、第1の素材層21とは別に第2の素材層22の再生利用も行うことが可能となる。
【0037】
また、前記第1の素材層21が、積層シート2を熱溶着するためのポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエステルのいずれかの単一素材からなるシーラント層である場合は、包装袋1の使用後において、第1の素材層21としてのシーラント層から第2の素材層22を剥離することにより、製袋化されたシーラント層と第2の素材層22を分離することができ、包装袋1の大部分を占める製袋化されたシーラント層の再生利用を行うことが可能となる。
【0038】
次に、第1の実施形態の変形例について
図5を参照しつつ説明する。
【0039】
(変形例1)
図5(a)に示すように、第2の素材層22が、ポリエチレンテレフタレートからなる基材層221と、基材層221の内側に設けられたナイロン(登録商標)からなる中間層222とから構成されている。
【0040】
(変形例2)
図5(b)に示すように、第1の素材層21が、包装袋の内側に設けられ、製袋時に熱溶着される内側シーラント層211と、該内側シーラント層211の外側に設けられ、製袋時に熱溶着されない補強層としての外側シーラント層212とから構成される。これら内側シーラント層211と外側シーラント層212は、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエステルのいずれかの単一素材からなる。例えば、内側シーラント層211が直鎖状低密度ポリエチレンからなり、外側シーラント層212が延伸ポリエチレンからなり、内側シーラント層211と外側シーラント層212が剥離不可能な状態で接着または溶着されている。
【0041】
これによれば、包装袋1の使用時には第1の素材層21としてのシーラント層の厚みやコシを補強することができる。また、包装袋1の使用後においてシーラント層から第2の素材層22を剥離することによってシーラント層と第2の素材層22を分離することができ、シーラント層の再生利用を行うことが可能となる。
【0042】
一方、第2の素材層22は、変形例1と同様に、ポリエチレンテレフタレートからなる基材層221と、基材層221の内側に設けられたナイロン(登録商標)からなる中間層222とから構成されている。
【0043】
(変形例3)
図5(c)に示すように、第2の素材層22が、紙からなる基材層223と、基材層223の外側に設けられた耐水性樹脂からなるコーティング層224とから構成されている。
【0044】
一方、第1の素材層21は、変形例2と同様に、包装袋の内側に設けられ、製袋時に熱溶着される内側シーラント層211と、該内側シーラント層211の外側に設けられ、製袋時に熱溶着されない補強層としての外側シーラント層212とから構成される。これら内側シーラント層211と外側シーラント層212は、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエステルのいずれかの単一素材からなる。例えば、内側シーラント層211が直鎖状低密度ポリエチレンからなり、外側シーラント層212が延伸ポリエチレンからなり、内側シーラント層211と外側シーラント層212が剥離不可能な状態で接着または溶着されている。
【0045】
なお、変形例2,3では、第1の素材層21は、内側シーラント層211と外側シーラント層212の2層のシーラント層からなるものとしたが、3層以上のシーラント層からなるものであってもよい。
【0046】
次に、第1の素材層と第2の素材層の接着強度の官能評価について説明する。
【0047】
積層フィルム[PET(ポリエチレンテレフタレート)/AL(アルミニウム)/NY(ナイロン(登録商標))/LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)]を100mm×100mmの平パウチにし、NY/LLDPE間を手で剥離し、剥離しやすさの官能評価を行った。接着強度による剥離しやすさの官能評価の結果を
図6に示す。
【0048】
この官能評価の結果によれば、接着強度が1.6N/15mm、2.7N/15mmのときは、抵抗が小さく、簡単に剥離可能である(記号◎で表している)。また、接着強度が3.1N/15mmのときは、抵抗はあるが、比較的簡単に剥離可能である(記号〇で表している)。また、接着強度が5.5N/15mmのときは、抵抗はかなりあるが、剥離可能である(記号△で表している)。また、接着強度が8.3N/15mm、10N/15mmのときは、抵抗が大きく、剥離不可である。強引に剥離しようとすると基材層(第2の素材層22)が裂けてしまう(記号×で表している)。このため、接着剤層23の接着強度は、0.5~8N/15mmが好ましく、0.5~5N/15mmがより好ましく、0.5~3N/15mmがさらに好ましいことがわかる。
【0049】
なお、前記積層シート2は、
図7に示すように、第2の素材層22の周縁部において第1の素材層21から第2の素材層22を剥離するための摘み部24が設けられてもよい。例えば、この摘み部24は、
図7(a)に示すように、周縁部の角部に設けられてもよいし、
図7(b)に示すように、周縁部から平面方向に突出して設けられてもよい。これによれば、包装袋1の使用後において、積層シート2の周縁部の摘み部24を指で摘むことにより、第1の素材層21から第2の素材層22を簡単かつ確実に剥離することができる。
【0050】
また、前記接着剤層23は、接着剤が第1の素材層21と第2の素材層22の全面に設けられるものとしたが、一部の面に設けられてもよい。例えば、前記接着剤層23は、前記接着剤が包装袋1の平面方向に沿って所定間隔を空けて並ぶ態様で塗布されることが挙げられる。これによれば、包装袋1の使用時において第1の素材層21と第2の素材層22の接着状態を確実に維持することができるとともに、包装袋1の使用後において第1の素材層21と第2の素材層22を所定の力で剥離することができる。
【0051】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る包装袋の第2の実施形態について
図8および
図9を参照しつつ説明する。なお、以下では上記の実施形態と異なる構成についてのみ説明することとし、同一の構成については説明を省略して同一の符号を付すこととする。
【0052】
前記第2の素材層22は、所定の機能性を有するラベル層22’であって、
図8に示すように、第1の素材層21の上端から下端付近に亘る部分の面に接着剤層23を介して剥離可能な接着強度で接着されている。ラベル層22’は、例えば金属蒸着フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、紙などの素材が挙げられる。なお、本実施形態では、ラベル層22’は、15~20μmの厚さに形成されている。
【0053】
これによれば、ラベル層22’により包装袋に対してバリア性、酸素透過性、水蒸気透過性などの所定の機能性を付与することができる。
【0054】
なお、第1の素材層21は、1層の素材層からなるものであってもよいし、2層以上の素材層からなるものであってもよい。例えば、前記第1の素材層は、包装袋の内側に設けられ、製袋時に熱溶着されるシーラント層と、該シーラント層の外側に設けられる基材層とを備え、シーラント層と基材層はポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエステルのいずれかの単一素材からなることが挙げられる。
【0055】
次に、第2の実施形態の変形例について
図9を参照しつつ説明する。
【0056】
(変形例1)
図9(a)に示すように、前記第2の素材層22としてのラベル層22’が、第1の素材層21の上下方向の中央部の面に接着剤層23を介して剥離可能な接着強度で接着されている。これによれば、包装袋1の上下方向の中央部における機能性を向上させることができる。
【0057】
(変形例2)
図9(b)に示すように、前記第2の素材層22としてのラベル層22’が、第1の素材層21の上部から上下方向の中央部に亘る部分の面に接着剤層23を介して剥離可能な接着強度で接着されている。これによれば、包装袋1の上部から中央部に亘る部分における機能性を向上させることができる。
【0058】
以上のように、第1の素材層21に対するラベル層22’を接着する部分や大きさを調整することにより、包装袋1の機能性を局所的に調整することができる。さらに、包装袋1の使用後には第1の素材層21からラベル層22’を剥離することによって、第1の素材層21とラベル層22’を分離することができ、第1の素材層21の再生利用を行うことが可能となる。
【0059】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1…包装袋
11…袋本体
111…平面部材
112…底面部材
12…口栓
121…口栓本体
122…キャップ
2…積層シート
21…第1の素材層
22…第2の素材層
23…接着剤層
24…摘み部