(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020198
(43)【公開日】2022-02-01
(54)【発明の名称】フッ素樹脂用分散剤、組成物、分散液、物品及び共重合体
(51)【国際特許分類】
C08F 20/28 20060101AFI20220125BHJP
C08L 27/12 20060101ALI20220125BHJP
C08L 33/16 20060101ALI20220125BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20220125BHJP
C09K 23/52 20220101ALI20220125BHJP
C09D 7/45 20180101ALI20220125BHJP
C09D 201/04 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
C08F20/28
C08L27/12
C08L33/16
C08F290/06
B01F17/52
C09D7/45
C09D201/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020123565
(22)【出願日】2020-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003506
【氏名又は名称】第一工業製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179578
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和弘
(72)【発明者】
【氏名】岩木 徹
(72)【発明者】
【氏名】池田 元城
(72)【発明者】
【氏名】田中 真奈
【テーマコード(参考)】
4D077
4J002
4J038
4J100
4J127
【Fターム(参考)】
4D077AA01
4D077AA05
4D077AC05
4D077BA01
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4J002BD121
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4J038CD121
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4J038MA06
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4J100AL08P
4J100AL08Q
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4J127BC021
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4J127CC141
4J127FA51
4J127FA57
(57)【要約】
【課題】様々な溶剤にフッ素樹脂を分散させる技術を提供する。
【解決手段】フッ素樹脂用分散剤は、共重合体を含むフッ素樹脂用分散剤であって、共重合体は、Rf-A-R-O-Xで表される(メタ)アクリレート化合物(a1)を含む構成モノマー(a)を重合して得られた共重合体を含むことを特徴とする。ここで、Rfはオキシフルオロアルキル基であり、Aはエステル結合、アミド結合、及びウレタン結合からなる群より選ばれるいずれか1つの二価の連結基を含み、Rはアルキレン基であり、Xはアクリロイル基又はメタクリロイル基である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共重合体を含むフッ素樹脂用分散剤であって、
前記共重合体は、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(a1)を含む構成モノマー(a)を重合して得られた共重合体を含むことを特徴とする、フッ素樹脂用分散剤。
Rf-A-R-O-X (1)
(式中、Rfはオキシフルオロアルキル基であり、Aはエステル結合、アミド結合、及びウレタン結合からなる群より選ばれるいずれか1つの二価の連結基を含み、Rはアルキレン基であり、Xはアクリロイル基又はメタクリロイル基である。)
【請求項2】
前記構成モノマー(a)は、さらに、ポリオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレート化合物(a2)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のフッ素樹脂用分散剤。
【請求項3】
前記ポリオキシアルキレン基が、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、又はポリオキシブチレン基を含むことを特徴とする、請求項2に記載のフッ素樹脂用分散剤。
【請求項4】
前記ポリオキシアルキレン基が、ポリオキシエチレン基又はポリオキシプロピレン基を含むことを特徴とする、請求項2に記載のフッ素樹脂用分散剤。
【請求項5】
前記ポリオキシアルキレン基が、ポリオキシエチレン基を含むことを特徴とする、請求項2に記載のフッ素樹脂用分散剤。
【請求項6】
前記Aは、エステル結合を含むことを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のフッ素樹脂用分散剤。
【請求項7】
前記Rfは、CF3CF2CF2O(CF(CF3)CF2O)nCF(CF3)であり、nは0以上の数であることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のフッ素樹脂用分散剤。
【請求項8】
前記Rfは、CF3CF2CF2OCF(CF3)であることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のフッ素樹脂用分散剤。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のフッ素樹脂用分散剤と、界面活性剤とを含む組成物。
【請求項10】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のフッ素樹脂用分散剤と、フッ素樹脂とを含む分散液。
【請求項11】
請求項10に記載の分散液を塗布された物品。
【請求項12】
下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(a1)と、ポリオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレート化合物(a2)と、を含む構成モノマー(a)を重合して得られた共重合体。
Rf-A-R-O-X (1)
(式中、Rfはオキシフルオロアルキル基であり、Aはエステル結合、アミド結合、及びウレタン結合からなる群より選ばれるいずれか1つの二価の連結基を含み、Rはアルキレン基であり、Xはアクリロイル基又はメタクリロイル基である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素樹脂用分散剤、組成物、分散液、物品及び共重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂は、撥水性や撥油性に優れる一方で溶剤への分散性が小さいことが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、溶剤へのフッ素樹脂の分散性を向上させるためのフッ素樹脂用分散剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のフッ素樹脂用分散剤は、親油性の大きい有機溶剤にフッ素樹脂を分散させることができるが、親水性の大きい有機溶剤にフッ素樹脂を分散させることが困難であることを、本願発明者らは発見した。このため、様々な溶剤にフッ素樹脂を分散させることができる技術の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することができる。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、フッ素樹脂用分散剤が提供される。このフッ素樹脂用分散剤は、共重合体を含むフッ素樹脂用分散剤であって、前記共重合体は、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(a1)を含む構成モノマー(a)を重合して得られた共重合体を含むことを特徴とする。
Rf-A-R-O-X (1)
(式中、Rfはオキシフルオロアルキル基であり、Aはエステル結合、アミド結合、及びウレタン結合からなる群より選ばれるいずれか1つの二価の連結基を含み、Rはアルキレン基であり、Xはアクリロイル基又はメタクリロイル基である)
【0007】
(2)上記形態のフッ素樹脂用分散剤において、前記構成モノマー(a)は、さらに、ポリオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレート化合物(a2)を含んでもよい。
【0008】
(3)上記形態のフッ素樹脂用分散剤において、前記ポリオキシアルキレン基が、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、又はポリオキシブチレン基を含んでもよい。
【0009】
(4)上記形態のフッ素樹脂用分散剤において、前記ポリオキシアルキレン基が、ポリオキシエチレン基又はポリオキシプロピレン基を含んでもよい。
【0010】
(5)上記形態のフッ素樹脂用分散剤において、前記ポリオキシアルキレン基が、ポリオキシエチレン基を含んでもよい。
【0011】
(6)上記形態のフッ素樹脂用分散剤において、前記Aは、エステル結合を含んでもよい。
(7)上記形態のフッ素樹脂用分散剤において、前記Rfは、CF3CF2CF2O(CF(CF3)CF2O)nCF(CF3)であり、nは0以上の数であってもよい。
【0012】
(8)上記形態のフッ素樹脂用分散剤において、前記Rfは、CF3CF2CF2OCF(CF3)であってもよい。
【0013】
(9)上記形態のフッ素樹脂用分散剤と、界面活性剤とを含む組成物であってもよい。
【0014】
(10)上記形態のフッ素樹脂用分散剤と、フッ素樹脂とを含む分散液であってもよい。
【0015】
(11)上記形態の分散液を塗布された物品であってもよい。
【0016】
(12)本発明の他の形態によれば、共重合体が提供される。この共重合体は、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(a1)と、ポリオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレート化合物(a2)と、を含む構成モノマー(a)を重合して得られた。
Rf-A-R-O-X (1)
(式中、Rfはオキシフルオロアルキル基であり、Aはエステル結合、アミド結合、及びウレタン結合からなる群より選ばれるいずれか1つの二価の連結基を含み、Rはアルキレン基であり、Xはアクリロイル基又はメタクリロイル基である)
【0017】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、上記以外の態様についても実現することができる。
【発明の効果】
【0018】
本実施形態によれば、様々な溶剤にフッ素樹脂を分散させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
A.フッ素樹脂用分散剤
本発明の一実施形態であるフッ素樹脂用分散剤(以下、単に「分散剤」とも呼ぶ)は、共重合体(A)を含む。共重合体(A)は、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(a1)を含む構成モノマー(a)を重合して得られた共重合体を含む。
Rf-A-R-O-X (1)
(式中、Rfはオキシフルオロアルキル基であり、Aはエステル結合、アミド結合、及びウレタン結合からなる群より選ばれるいずれか1つの二価の連結基を含み、Rはアルキレン基であり、Xはアクリロイル基又はメタクリロイル基である。)
【0020】
本実施形態のフッ素樹脂用分散剤は、様々な溶剤にフッ素樹脂を分散させることができる。このような効果を奏するメカニズムは定かではない。しかし、推定メカニズムとしては、(メタ)アクリレート化合物(a1)を含むことにより、(メタ)アクリレート化合物(a1)由来の側鎖がフッ素樹脂に吸着することが考えられる。
【0021】
また、構成モノマー(a)は、さらに、ポリオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレート化合物(a2)を含むことが好ましい。このようにすることにより、フッ素樹脂の分散性をさらに高めることができる。このような効果を奏するメカニズムは定かではない。しかし、推定メカニズムとしては、ポリオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレート化合物(a2)を含むことにより、(メタ)アクリレート化合物(a2)由来の側鎖が溶剤との親和性を高めていることが考えられる。
【0022】
本明細書において、「フッ素樹脂」とは、フッ素を含有する樹脂を意味する。フッ素樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンパーフルオロビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン‐ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン‐エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、クロロトリフルオロエチレン‐エチレン共重合体(FCTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)等が挙げられる。分散剤が分散性を効果的に付与する観点から、フッ素樹脂としてはPTFEとPFAとが好ましく、PTFEがより好ましい。
【0023】
<(メタ)アクリレート化合物(a1)>
(メタ)アクリレート化合物(a1)は、下記一般式(1)で表される。
Rf-A-R-O-X (1)
式中、Rfはオキシフルオロアルキル基であり、Aはエステル結合、アミド結合、及びウレタン結合からなる群より選ばれるいずれか1つの二価の連結基を含み、Rはアルキレン基であり、Xはアクリロイル基又はメタクリロイル基である。本明細書において、オキシフルオロアルキル基は、フルオロアルキル基とエーテル結合とを備える。また、本明細書において、「フルオロ」は、パーフルオロを含む。
【0024】
式中、Aは、分散性に優れる観点から、エステル結合を含むことが好ましい。また、Rfは、分散性に優れる観点から、CF3CF2CF2O(CF(CF3)CF2O)nCF(CF3)であってnは0以上の数であることが好ましく、CF3CF2CF2OCF(CF3)であることがより好ましい。また、Rは、分散性に優れる観点から、炭素原子数1~6のアルキレン基であることが好ましく、炭素原子数1~3のアルキレン基であることがより好ましく、C2H4であることがさらに好ましい。また、Xは、分散性に優れる観点から、メタクリロイル基であることが好ましい。
【0025】
(メタ)アクリレート化合物(a1)としては、例えば、側鎖型パーフルオロポリエーテル(PFPE)(メタ)アクリレート化合物と、直鎖型PFPE(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。(メタ)アクリレート化合物(a1)としては、分散性に優れる観点から、側鎖型PFPE(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。
【0026】
側鎖型PFPE(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、下記一般式(2)~(5)で表される化合物が挙げられる。以下の式中の平均繰り返し単位数nは、0以上の数であり、30以下が好ましく、25以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、特に、15以下が好ましく、10以下がより好ましく、8以下がさらに好ましい。以下の式中の平均繰り返し単位数mは、0以上の数であり、20以下が好ましく、10以下がより好ましく、8以下がさらに好ましく、特に、5以下が好ましく、3以下がより好ましく、1以下がさらに好ましい。なお、下記一般式(2)~(5)では、いずれもメタクリロイル基を有する化合物を列挙しているが、メタクリロイル基の代わりにアクリロイル基を有する化合物についても側鎖型PFPE(メタ)アクリレート化合物に含まれる。
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
直鎖型PFPE(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、下記一般式(6)~(9)で表される化合物が挙げられる。以下の式中の平均繰り返し単位数nは、0以上の数であり、30以下が好ましく、25以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、特に、15以下が好ましく、10以下がより好ましく、8以下がさらに好ましい。以下の式中の平均繰り返し単位数mは、0以上の数であり、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましく、特に、8以下が好ましく、5以下がより好ましく、3以下がさらに好ましい。なお、下記一般式(6)~(9)では、いずれもメタクリロイル基を有する化合物を列挙しているが、メタクリロイル基の代わりにアクリロイル基を有する化合物についても直鎖型PFPE(メタ)アクリレート化合物に含まれる。
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
<(メタ)アクリレート化合物(a2)>
本実施形態におけるポリオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレート化合物(a2)としては、例えば、下記一般式(10)で表されるものが挙げられる。
R1-O-(YO)n-X (10)
ただし、R1は水素原子、又は炭素原子数1~6のアルキル基であり、Yはアルキレン基であり、nは2以上の数であり、Xはアクリロイル基又はメタクリロイル基である。
【0037】
上記一般式(10)中のR1は、分散性に優れるため、炭素数1~6のアルキル基であることが好ましい。一般式(10)の化合物としては、分散性に優れるため、ポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0038】
上記一般式(10)中のアルキレン基としては、分散性がより優れることから、炭素数1~20の直鎖または分岐のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1~10であることがより好ましく、炭素数1~5であることがさらに好ましく、炭素数2~4が特に好ましい。具体的には、上記一般式(10)中のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられ、これらのアルキレン基は、ハロゲン以外の置換基を有するものであってもよい。これらのうち、分散性がより優れることから、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。つまり、分散性がより優れることから、ポリオキシアルキレン基が、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、又はポリオキシブチレン基を含むことが好ましく、ポリオキシエチレン基又はポリオキシプロピレン基を含むことがより好ましく、ポリオキシエチレン基を含むことがさらに好ましい。また、ポリオキシアルキレン基としては、これらのアルキレン基のうちの1種が重合したものであってもよく、2種以上が重合したものであってもよい。2種以上のアルキレン基が重合する場合、ランダム重合であってもよく、ブロック重合であってもよい。
【0039】
上記一般式(10)中のオキシアルキレン基の平均繰り返し単位数nは、特に限定されないが、分散性がより優れることから、3以上150以下であることが好ましい。平均繰り返し単位数nの下限値は、5以上であることがより好ましく、10以上であることがさらに好ましく、特に、15以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましい。平均繰り返し単位数nの上限値は、120以下であることがより好ましく、100以下であることがさらに好ましく、70以下であることがより一層好ましく、40以下であることが特に好ましい。
【0040】
本実施形態の共重合体(A)を構成する構成モノマー(a)は、発明の目的に反しない範囲で、上記成分(a1)~(a2)以外のモノマーを含んでもよい。また、本実施形態のフッ素樹脂用分散剤は、発明の目的に反しない範囲で、共重合体(A)以外の共重合体を含んでもよい。
【0041】
構成モノマー(a)中の成分(a1)の含有割合は、特に限定されないが、分散性に優れるため、5~95質量%であることが好ましい。構成モノマー(a)中の成分(a1)の含有割合の下限値は、10質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましく、50質量%以上であることがより一層好ましい。構成モノマー(a)中の成分(a1)の含有割合の上限値は、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることがさらに好ましい。
【0042】
構成モノマー(a)中の成分(a2)の含有割合は、特に限定されないが、分散性に優れるため、5~95質量%であることが好ましい。構成モノマー(a)中の成分(a2)の含有割合の下限値は、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましく、30質量%以上であることがより一層好ましく、35質量%以上であることが特に好ましい。構成モノマー(a)中の成分(a2)の含有割合の上限値は、70質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることがさらに好ましく、特に、45質量%以下であることが好ましい。
【0043】
成分(a1)に対する成分(a2)の質量割合(a2/a1)は、分散性に優れる観点から、20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、50%以上であることがより一層好ましい。また、成分(a1)に対する成分(a2)の質量割合(a2/a1)は、分散性に優れる観点から、150%以下であることが好ましく、100%以下であることがより好ましく、80%以下であることがより一層好ましい。
【0044】
本実施形態で用いる共重合体(A)は、特に限定されないが、重量平均分子量が2,000~200,000であることが好ましく、5,000~100,000であることがより好ましく、10,000~50,000であることがさらに好ましい。重量平均分子量が上記範囲内であると、分散性に優れたフッ素樹脂用分散剤が得られやすい。本明細書において、重量平均分子量は、GPCカラムクロマトグラフィ法を用いて、下記の条件で測定することができ、標準サンプルとして分子量300、2000、8000、及び20000のポリエチレングリコールで校正したものを用いた。
【0045】
・装置:LC-10AD((株)島津製作所製)
・検出器:RID-10A((株)島津製作所製)
・カラム:Shodex GPC KF-G、KF-803、KF802.5、KF-802、KF-801を連結したもの(いずれも昭和電工(株)製)
・溶離液:テトラヒドロフラン
・サンプル注入:0.5重量%溶液、100μL
・流速:0.8mL/min
・温度:25℃
【0046】
次に、本実施形態のフッ素樹脂用分散剤の製造方法を説明する。フッ素樹脂用分散剤の製造方法は、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリレート化合物(a1)と、(メタ)アクリレート化合物(a2)と、溶剤と、を混合後加熱する方法が挙げられる。
【0047】
フッ素樹脂用分散剤の製造に用いる溶剤は、水であってもよく、有機溶剤であってもよい。有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、シクロヘキサン、イソホロン等の脂環族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールジアセテート等のエステル系溶剤、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルアセテート、3‐メトキシ‐3‐メチルブチルアセテート等のグリコールエーテルエステル系溶剤、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジメチルトリグリコール、メチルエチルジグリコール、ジメチルプロピレンジグリコール等のグリコールエーテル系溶剤、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N‐メチル‐2‐ピロリドン等が挙げられ、この中でも、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、メチルエチルジグリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3‐メトキシ‐3‐メチルブチルアセテート、ジメチルプロピレンジグリコールであることが好ましい。上述の溶剤は、2種以上を併用してもよい。
【0048】
重合方法は、特に限定されないが、溶液重合であることが好ましい。重合温度は、特に限定されないが、通常は40~120℃の範囲が好ましい。重合時間は、特に限定されないが、通常は4~15時間程度であることが好ましい。
【0049】
重合を行う際に重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、過酸化ベンゾイル、t‐ブチルパーオキシピバレート、t‐ブチルパーオキシ‐2‐エチルヘキサノエート、t‐ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、1,1,3,3‐テトラメチルブチルパーオキシー2‐エチルヘキサノエート等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’‐アゾビス‐2‐メチルブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。重合開始剤の使用量は特に限定されないが、一般に、構成モノマー100質量部に対して、0.1~5質量部が好ましい。
【0050】
本実施形態のフッ素樹脂用分散剤は、発明の目的に反しない範囲で、例えば、他の親水剤、その他の撥油剤、撥水剤、防虫剤、難燃剤、防シワ剤、帯電防止剤、柔軟仕上げ剤、防腐剤、芳香剤、酸化防止剤、界面活性剤、乳化剤、分散剤、樹脂添加剤等をさらに含有していてもよい。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
【0051】
本実施形態のフッ素樹脂用分散剤に用いる分散媒は、特に限定されない。分散媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n‐ブタノール、iso‐ブタノール、sec‐ブチルアルコール、tert‐ブタノール、ターピネオール等のアルコール類が挙げられる。また、分散媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、2‐ヘプタノン、シクロヘプタノン、γ‐ブチロラクトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、エチルシクロヘキサノン、メチル‐n‐ペンチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソペンチルケトン等のケトン類が挙げられる。また、分散媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、シクロヘキシルアセテート等のエステル類が挙げられる。また、分散媒としては、例えば、2‐オキシプロピオン酸メチル、2‐オキシプロピオン酸エチル、2‐オキシプロピオン酸プロピル、2‐オキシプロピオン酸ブチル、2‐メトキシプロピオン酸メチル、2‐メトキシプロピオン酸エチル、2‐メトキシプロピオン酸プロピル、2‐メトキシプロピオン酸ブチル、3‐エトキシプロピオン酸エチル等のモノカルボン酸エステル類が挙げられる。また、分散媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N‐メチルピロリドン等の極性溶剤が挙げられる。また、分散媒としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のエチレングリコール類及びそのエステル類が挙げられる。また、分散媒としては、例えば、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のプロピレングリコール類及びそのエステル類が挙げられる。また、分散媒としては、例えば、3‐メトキシ‐3‐メチル‐1‐ブタノール、3‐メトキシ‐3‐メチル‐1‐ブチルアセテート等の溶剤が挙げられる。また、分散媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,1,1‐トリクロルエタン等のハロゲン系溶剤や、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類が挙げられる。また、分散媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン等の芳香族類が挙げられる。また、分散媒としては、例えば、水が挙げられる。上述の分散媒は、2種以上を併用してもよい。上述の分散媒の中でも、N‐メチルピロリドン、シクロヘキサノン、トルエン、ジメチルホルムアミド、エタノール、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、水が分散性の観点から好ましい。
【0052】
本実施形態のフッ素樹脂用分散剤は、フッ素樹脂に対して優れた分散性を付与することができる。このため、本実施形態のフッ素樹脂用分散剤は、例えば、ガラス、プラスチック、金属、電子基板、繊維製品、皮革、石材、木材、紙等を含む種々の物品のコーティング剤であって、フッ素樹脂を含むコーティング剤に用いることができる。このコーティング剤は、例えば、フライパン等の調理器具や、自動車のボディに塗布してもよい。
【0053】
B.他の実施形態
他の実施形態として、例えば、上述のフッ素樹脂用分散剤とフッ素樹脂とを含む分散液や、上述の分散液を塗布された物品が挙げられる。本実施形態の分散液は、フッ素用樹脂以外の樹脂が溶解していてもよい。また、本実施形態の分散液は、例えば、様々な物品に塗布して用いることができる。例えば、本実施形態の分散液を布に含浸することにより、テントの布に用いてもよい。また、本実施形態の分散液をビーカー等の塗布することにより、ビーカー等への印字に用いてもよい。その他の分散液の用途としては、例えば、電子機器や、OA機器、家電製品、自動車内装部品等の機構摺動部や、ギア、嵌合部等に用いることにより、潤滑性を付与してもよく、軋みによって生じる音の抑制効果を付与してもよい。
【実施例0054】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0055】
(使用原料)
(メタ)アクリレート化合物(a1)
(a1-1)
CF3CF2CF2OCF(CF3)COOCH2CH2OCOC(CH3)=CH2
(a1-2)
CF3CF2CF2O-(CF(CF3)CF2O)n-CF(CF3)COOCH2CH2OCOC(CH3)=CH2(平均繰り返し数n:4)
(a1-3)
CF3CF2CF2O-CF(CF3)COOCH2CH2OCOCH=CH2
(a1-4)(比較例)
パーフルオロヘキシルエチルメタクリレート
【0056】
ポリオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレート化合物(a2)
(a2-1)メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(オキシエチレン基の平均繰り返し単位数:4、日油(株)製、商品名:ブレンマー(登録商標)PME-200)
(a2-2)メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(オキシエチレン基の平均繰り返し単位数:23、日油(株)製、商品名:ブレンマー(登録商標)PME-1000)
(a2-3)メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(オキシエチレン基の平均繰り返し単位数:90、日油(株)製、商品名:ブレンマー(登録商標)PME-4000)
(a2-4)ポリエチレングリコールモノアクリレート(オキシエチレン基の平均繰り返し単位数:4.5、日油(株)製、商品名:ブレンマー(登録商標)AE-200)
(a2-5)ポリエチレングリコールモノアクリレート(オキシエチレン基の平均繰り返し単位数:10、日油(株)製、商品名:ブレンマー(登録商標)AE-400)
【0057】
その他の(メタ)アクリレート化合物(a3)
(a3-1)ステアリルメタクリレート(共栄社化学(株)製、商品名:ライトエステルS)
(a3-2)イソボルニルアクリレート(共栄社化学(株)製、商品名:ライトアクリレートIB-XA)
(a3-3)ベンジルメタクリレート(共栄社化学(株)製、商品名:ライトエステルBZ)
【0058】
溶剤
(c-1)メチルエチルケトン(MEK)
(c-2)エチレングリコールジメチルエーテル(DMG)
(c-3)3‐メトキシ‐3‐メチルブチルアセテート((株)クラレ製ソルフィットAC)
(c-4)プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)
(c-5)ジエチルジグリコール(DEDG)
(c-6)メチルエチルジグリコール(MEDG)
(c-7)酢酸エチル
(c-8)エタノール
【0059】
(実施例1~16,比較例1~5)
撹拌機、温度計、窒素導入管及び還流管を備えた反応容器に、後述する表1に記載の配合割合で、(a1)~(a3)の化合物、及び、溶剤を加え、窒素置換を行った。続いて、t‐ブチルパーオキシピバレート(日油(株)製、商品名:パーブチル(登録商標)PV)を、上記(a1)~(a3)の化合物の合計量100質量部に対して3質量部となるように加え、65℃で8時間反応させることにより共重合体溶液(分散剤)を得た。
【0060】
(実施例17)
撹拌機、温度計、窒素導入管及び還流管を備えた反応容器に、後述する表1に記載の配合割合で、(a1)、(a2)の化合物、及び、溶剤としてMEK230部を加え、窒素置換を行った。続いて、t‐ブチルパーオキシピバレート(日油(株)製、商品名:パーブチル(登録商標)PV)を、上記(a1)、(a2)の化合物の合計量100質量部に対して3質量部となるように加え、65℃で8時間反応させることにより共重合体溶液を得た。この共重合体溶液の中のMEKを減圧留去した後、酢酸エチル230部を添加し、60℃で1時間混合することにより、共重合体溶液(分散剤)を得た。
【0061】
(実施例18)
撹拌機、温度計、窒素導入管及び還流管を備えた反応容器に、後述する表1に記載の配合割合で、(a1)、(a2)の化合物、及び、溶剤としてMEK230部を加え、窒素置換を行った。続いて、t‐ブチルパーオキシピバレート(日油(株)製、商品名:パーブチル(登録商標)PV)を、上記(a1)、(a2)の化合物の合計量100質量部に対して3質量部となるように加え、65℃で8時間反応させることにより共重合体溶液を得た。この共重合体溶液の中のMEKを減圧留去した後、エタノール230部を添加し、60℃で1時間混合することにより、共重合体溶液(分散剤)を得た。
【0062】
作製した分散剤を用いて、以下の評価を行った。具体的には、様々な溶媒を用いた場合における下記の各性能についての評価を行った。
【0063】
(外観)
作製した分散剤について、以下の4段階で外観を評価した。
A:透明である
B:わずかに濁っている
C:白濁している
D:ゲル状である
【0064】
(NMP分散性評価)
スクリュー管瓶((株)マルエム製No.7)に、分散剤1.67g(仕込み量)とN‐メチルピロリドン(NMP)(分散媒)8.33g(仕込み量)とを混合した後、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)((株)セイシン企業製TFW-2000(平均粒子径6μm))10g(仕込み量)を添加した。その後、スクリュー管瓶を上下に30回振とうすることにより、PTFEを分散させた。なお、この振とうのみでPTFEが分散しない場合、PTFEをスパチュラで溶液までかき落とした後、振とうすることにより分散させた。そして、一晩静置後、不要な泡をたてないようにスパチュラで攪拌してPTFEを再分散させた後、速やかに分散液をステンレス鋼の平織金網(関西金網(株)製)(200メッシュ、線径0.05mm)でろ過した後、20分間静置させることにより不要な液体部分を平織金網から取り除いた。その後、150℃で20分間、アルミホイル上で平織金網を乾燥させた。そして、事前に測定しておいたアルミホイルと平織金網との合計質量を全質量から差引ことにより、PTFE残渣の質量を算出した。
【0065】
NMP分散性の評価には、PTFE残渣の質量をPTFEの仕込み量で除した値(%)を用いた。この値が小さいほど、分散性に優れるため好ましい。具体的には、NMP分散性を、以下の5段階で評価した。
A:4%未満
B:4%以上9%未満
C:9%以上40%未満
D:40%以上70%未満
E:70%以上
【0066】
(水分散性評価)
スクリュー管瓶((株)マルエム製No.7)に、分散剤0.67g(仕込み量)と水(分散媒)8.33g(仕込み量)と非イオン界面活性剤1.00g(仕込み量)とを混合した後、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)((株)セイシン企業製TFW-2000(平均粒子径6μm))10g(仕込み量)を添加した。ここで、非イオン界面活性剤として、ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル(第一工業製薬(株)製「ノイゲンXL-70」)を用いた。その後、スクリュー管瓶を上下に30回振とうすることにより、PTFEを分散させた。なお、この振とうのみでPTFEが分散しない場合、PTFEをスパチュラで溶液までかき落とした後、振とうすることにより分散させた。そして、一晩静置後、不要な泡をたてないようにスパチュラで攪拌してPTFEを再分散させた後、速やかに分散液をステンレス鋼の平織金網(関西金網(株)製)(200メッシュ、線径0.05mm)でろ過した後、20分間静置させることにより不要な液体部分を平織金網から取り除いた。その後、150℃で20分間、アルミホイル上で平織金網を乾燥させた。そして、事前に測定しておいたアルミホイルと平織金網との合計質量を全質量から差引ことにより、PTFE残渣の質量を算出した。
【0067】
水分散性の評価には、PTFE残渣の質量をPTFEの仕込み量で除した値(%)を用いた。この値が小さいほど、分散性に優れるため好ましい。具体的には、水分散性を、以下の5段階で評価した。
A:4%未満
B:4%以上9%未満
C:9%以上40%未満
D:40%以上70%未満
E:70%以上
【0068】
【0069】
上述の表1の結果から以下のことが分かった。つまり、上述の一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(a1)を含む構成モノマー(a)を重合して得られた共重合体を含む分散剤は、構成モノマー(a)に一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(a1)を含まない場合と比較して、NMP分散性及び水分散性が顕著に優れることが分かった。
【0070】
〈不可能・非実際的事情〉
本実施形態のフッ素樹脂用分散剤は、上述の一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(a1)を含む構成モノマーを重合して得られた共重合体(A)を含む。この共重合体の構造は複雑であるため、一般式で表すことは困難である。さらに、構造が特定されなければ、それに応じて定まるその物質の特性も容易にはできない。すなわち、本実施形態のフッ素樹脂用分散剤が含有する共重合体を、その構造又は特性により直接特定することは不可能である。
【0071】
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。