(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020210
(43)【公開日】2022-02-01
(54)【発明の名称】電動スノーモビル
(51)【国際特許分類】
B62M 27/02 20060101AFI20220125BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20220125BHJP
【FI】
B62M27/02 B
B62M27/02 H
B60K1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020123580
(22)【出願日】2020-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 豪仁
(72)【発明者】
【氏名】大澤 賢祐
【テーマコード(参考)】
3D235
【Fターム(参考)】
3D235AA24
3D235BB41
3D235BB45
3D235CC15
3D235DD23
3D235HH34
(57)【要約】
【課題】充電効率の低下を抑制する電動スノーモビル100を提供する。
【解決手段】電動スノーモビル100は、車体フレーム10と、車体フレーム10に支持されている運転者シートSと、車体フレーム10に支持されている電動モータ50と、車体フレーム10に支持されている右スキー20R及び左スキー20Lと、トラックベルト31を含み、運転者シートSの下方において車体フレーム10に支持されているトラック機構30と、外部電源から供給される電力により充電されると共に、電動モータ50へ電力を供給可能なバッテリBTと、外部電源から供給される電力により駆動可能であって、バッテリBTを加温するバッテリヒータHと、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、
前記車体フレームに支持されている運転者シートと、
前記車体フレームに支持されている電動モータと、
前記車体フレームに支持されているスキーと、
トラックベルトを含み、前記運転者シートの下方において前記車体フレームに支持されているトラック機構と、
前記運転者シートの下方であって、前記トラック機構の上方に少なくとも一部が配置されており、外部電源から供給される電力により充電されると共に、前記電動モータへ電力を供給可能なバッテリと、
前記外部電源から供給される電力により駆動可能であって、前記バッテリを加温するバッテリヒータと、
を有する電動スノーモビル。
【請求項2】
前記バッテリの充電制御及び前記バッテリヒータの駆動制御を行うコントローラを有し、
前記コントローラは、前記バッテリの温度が第1閾値未満である場合、前記バッテリヒータを駆動させる、
請求項1に記載の電動スノーモビル。
【請求項3】
前記コントローラは、前記外部電源から前記バッテリへ電力を供給中に、前記バッテリヒータを駆動させる、
請求項2に記載の電動スノーモビル。
【請求項4】
前記コントローラは、前記バッテリの電圧が第2閾値以上となった場合、前記外部電源から前記バッテリへの電力の供給を停止し、前記バッテリヒータの駆動を継続する、
請求項2又は3に記載の電動スノーモビル。
【請求項5】
運転者に把持されるグリップと、
前記外部電源から供給される電力により駆動可能であって、前記グリップを加温するグリップヒータと、
を有し、
前記コントローラは、前記バッテリの電圧が第3閾値以上である場合、前記グリップヒータを駆動させる、
請求項4に記載の電動スノーモビル。
【請求項6】
前記外部電源から供給される電力により駆動可能であって、前記運転者シートを加温するシートヒータを有し、
前記コントローラは、
前記バッテリの電圧が前記第3閾値以上である場合、前記シートヒータを駆動させる、
請求項5に記載の電動スノーモビル。
【請求項7】
前記グリップヒータ及び前記シートヒータは、前記バッテリから供給される電力により駆動可能である、
請求項6に記載の電動スノーモビル。
【請求項8】
前記コントローラは、前記バッテリの電圧が前記第2閾値以上となった場合、前記外部電源から前記バッテリへの電力の供給を停止し、前記グリップヒータ及びシートヒータの駆動を継続する、
請求項6又は7に記載の電動スノーモビル。
【請求項9】
前記バッテリヒータは、少なくとも、前記運転者シートと前記バッテリとの間に設けられている、
請求項1~8のいずれか1項に記載の電動スノーモビル。
【請求項10】
前記バッテリヒータは、少なくとも前記バッテリの側面のうち最も面積の大きい側面に沿うように設けられている、
請求項1~9のいずれか1項に記載の電動スノーモビル。
【請求項11】
前記バッテリは、前面、後面、上面、下面、右面、及び左面を含む略直方形状であり、
前記バッテリは、車両前後方向における前記上面、前記下面、前記右面、及び前記左面の幅が、車幅方向における前記前面及び前記後面の幅よりも長くなるように、前記車体フレームに支持されており、
前記バッテリヒータは、少なくとも前記上面、前記右面、及び前記左面に沿うように設けられている、
請求項1~10のいずれか1項に記載の電動スノーモビル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動スノーモビルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動車両において、空調機能を用いてバッテリの温度を調整することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、スノーモビルにおいては、静寂性等の観点から電動モータにより走行するものが望まれている。電動モータは、車体に搭載されるバッテリから供給される電力により駆動する。
【0005】
スノーモビルは、低温環境下で使用されるものであり、そのような環境下においては、バッテリの充電効率が低下してしまう。低温環境下を避けるため、屋内で充電を行うことが考えられるが、作業効率が低下してしまう。また、スノーモビルにおいては、乗用車と異なり、特許文献1に開示されるような空調機能が備えられておらず、空調機能を用いてバッテリの温度調整をすることもできない。
【0006】
本開示の目的の一つは、充電効率の低下を抑制する電動スノーモビルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示で提案する電動スノーモビルは、車体フレームと、前記車体フレームに支持されている運転者シートと、前記車体フレームに支持されている電動モータと、前記車体フレームに支持されているスキーと、トラックベルトを含み、前記運転者シートの下方において前記車体フレームに支持されているトラック機構と、前記運転者シートの下方であって、前記トラック機構の上方に少なくとも一部が配置されており、外部電源から供給される電力により充電されると共に、前記電動モータへ電力を供給可能なバッテリと、前記外部電源から供給される電力により駆動可能であって、前記バッテリを加温するバッテリヒータと、を有する。この電動スノーモビルによると、充電効率の低下を抑制することができる。
【0008】
(2)(1)に記載の電動スノーモビルにおいて、前記バッテリの充電制御及び前記バッテリヒータの駆動制御を行うコントローラを有し、前記コントローラは、前記バッテリの温度が第1閾値未満である場合、前記バッテリヒータを駆動させるとよい。これによると、充電効率が低い状態で充電が行われることを回避できる。
【0009】
(3)(2)に記載の電動スノーモビルにおいて、前記コントローラは、前記外部電源から前記バッテリへ電力を供給中に、前記バッテリヒータを駆動させるとよい。これによると、バッテリの温度を維持又は上昇させながら、バッテリの充電を行うことができる。
【0010】
(4)(2)又は(3)に記載の電動スノーモビルにおいて、前記コントローラは、前記バッテリの電圧が第2閾値以上となった場合、前記外部電源から前記バッテリへの電力の供給を停止し、前記バッテリヒータの駆動を継続するとよい。これによると、走行開始時にバッテリにかかる負荷を抑制することができる。
【0011】
(5)(4)に記載の電動スノーモビルにおいて、運転者に把持されるグリップと、前記外部電源から供給される電力により駆動可能であって、前記グリップを加温するグリップヒータと、を有し、前記コントローラは、前記バッテリの電圧が第3閾値以上である場合、前記グリップヒータを駆動させるとよい。これによると、グリップヒータの加温を優先させることができる。
【0012】
(6)(5)に記載の電動スノーモビルにおいて、前記外部電源から供給される電力により駆動可能であって、前記運転者シートを加温するシートヒータを有し、前記コントローラは、前記バッテリの電圧が前記第3閾値以上である場合、前記シートヒータを駆動させるとよい。これによると、シートヒータの加温を優先させることができる。
【0013】
(7)(6)に記載の電動スノーモビルにおいて、前記グリップヒータ及び前記シートヒータは、前記バッテリから供給される電力により駆動可能であるとよい。これによると、外部電源から非接続状態において、グリップヒータ及びシートヒータを加温することができる。
【0014】
(8)(6)又は(7)に記載の電動スノーモビルにおいて、前記コントローラは、前記バッテリの電圧が前記第2閾値以上となった場合、前記外部電源から前記バッテリへの電力の供給を停止し、前記グリップヒータ及びシートヒータの駆動を継続するとよい。これによると、グリップヒータ及びシートヒータの加温を優先させることができる。
【0015】
(9)(1)~(8)のいずれかに記載の電動スノーモビルにおいて、前記バッテリヒータは、少なくとも、前記運転者シートと前記バッテリとの間に設けられているとよい。これによると、バッテリヒータがシートヒータを兼ね、シートを加温する部材を別途設ける必要がなく、部品点数を削減できる。
【0016】
(10)(1)~(9)のいずれかに記載の電動スノーモビルにおいて、前記バッテリヒータは、少なくとも前記バッテリの側面のうち最も面積の大きい側面に沿うように設けられているとよい。これによると、効率的にバッテリを加温することができる。
【0017】
(11)(1)~(10)のいずれかに記載の電動スノーモビルにおいて、前記バッテリは、前面、後面、上面、下面、右面、及び左面を含む略直方形状であり、前記バッテリは、車両前後方向における前記上面、前記下面、前記右面、及び前記左面の幅が、車幅方向における前記前面及び前記後面の幅よりも長くなるように、前記車体フレームに支持されており、前記バッテリヒータは、少なくとも前記上面、前記右面、及び前記左面に沿うように設けられているとよい。これによると、より効率的にバッテリを加温することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態に係る電動スノーモビルを前方斜め上から見た斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る電動スノーモビルを後方斜め上から見た斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る電動スノーモビルを左方から見た側面図である。
【
図4】本実施形態に係る電動スノーモビルを上方から見た上面図である。
【
図5】本実施形態に係る電動スノーモビルが有する回路構成の一例を示す回路図である。
【
図6】本実施形態におけるバッテリの充電制御及び各ヒータの駆動制御の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態(以下、本実施形態という)について図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る電動スノーモビルを前方斜め上から見た斜視図である。
図2は、本実施形態に係る電動スノーモビルを後方斜め上から見た斜視図である。
図3は、本実施形態に係る電動スノーモビルを左方から見た側面図である。
図4は、本実施形態に係る電動スノーモビルを上方から見た上面図である。
【0021】
以下の説明では、各図においてY1、Y2で示す方向をそれぞれ前方、後方と称する。X1、X2で示す方向をそれぞれ右方、左方と称する。Z1、Z2で示す方向を上方、下方と称する。
【0022】
また、本明細書においては、「支持される」(支持する)との用語を、第1の部材が第2の部材に直接取り付けられて支持される(支持する)ものに限らず、第1の部材が、第3の部材に取り付けられており、第3の部材を介して第2の部材に支持されている場合も含めた意味として用いる。
【0023】
[電動スノーモビル100の概要]
電動スノーモビル100は、主に雪上を走行する、鞍乗型の車両である。電動スノーモビル100は、バッテリBT1、BT2、BT3からの電力により電動モータ50を駆動することにより走行する。
【0024】
バッテリBT1、BT2、BT3は、例えば、リチウムイオン電池等、充電可能な蓄電池であるとよい。なお、以下の説明において、特に区別して説明する必要がない場合、各バッテリを単に「バッテリBT」と称することとする。なお、バッテリBTはそれぞれ、複数のバッテリセルの集合体からなるものであってもよい。
【0025】
なお、各図においては、車体の骨格を形成する車体フレーム10やバッテリBT1、BT2、BT3が視認できるように、外装カバーや運転者シートを省略して図示している。また、電動モータ50を制御するインバータについても図示を省略している。なお、
図3においては、運転者シートSを破線で示している。
【0026】
スノーモビル100は、車体フレーム10と、右スキー20R及び左スキー20Lと、トラック機構30と、ステアリングシャフト40と、電動モータ50と、バッテリBT1、BT2、BT3と、を有している。
【0027】
[車体フレーム10]
車体フレーム10は、車体の骨格を形成すると共に、電動スノーモビル100を構成する各部材を支持するものである。具体的には、車体フレーム10は、右スキー20R及び左スキー20L、トラック機構30、ステアリングシャフト40、電動モータ50、バッテリBT1、BT2、BT3を支持している。
【0028】
車体フレーム10は、主にパイプ状の部材で構成される上部フレームを含む。上部フレームは、シャフト支持フレーム11と、右前フレーム13Rと、左前フレーム13Lと、を含む。
【0029】
車体フレーム10は、上記パイプ状の上部フレームの末端を支持する下部フレーム18を含む。下部フレーム18は、前後方向に延びて設けられており、その前部において上部フレームの末端を支持しており、その後部にバンパー181が設けられている。下部フレーム18のうち、上部フレームの末端を支持する前部より後方であって、バンパー181より前方において、運転者シートSが支持される。
【0030】
ステアリングシャフト40は、上方かつ後方に延びており、その末端が下部フレーム18に回動可能に支持されており、その先端にステアリングハンドル41が設けられている。ステアリングハンドル41は、運転者に把持されるグリップ41aを含む。また、ステアリングシャフト40は、その末端と先端との間において、シャフト支持フレーム11により回動可能に支持されている。
【0031】
シャフト支持フレーム11は、支持部111と、支持部111が取り付けられる補助フレーム112とで構成される。
【0032】
支持部111は、
図3に示すように、側面視において、後方かつ下方に延びると共に、その前端においてステアリングシャフト40を回動可能に支持する。
【0033】
補助フレーム112は、支持部111が取り付けられると共に左右方向に延びる上部112Uと、上部112Uから右方かつ下方に延びる右部112Rと、上部112Uから左方かつ下方に延びる左部112Lと、で構成される逆U字型である。右部112R及び左部112Lの末端は下部フレーム18に支持されている。
【0034】
右前フレーム13Rは、シャフト支持フレーム11から前方に延びる前延伸部13Raと、前延伸部13Raから前方かつ下方に延びる傾斜部13Rbと、を含む。
【0035】
左前フレーム13Lは、シャフト支持フレーム11から前方に延びる前延伸部13Laと、前延伸部13Laから前方かつ下方に延びる傾斜部13Lbと、を含む。
【0036】
右前フレーム13R及び左前フレーム13Lは、車幅方向に互いに離間して設けられている。
【0037】
図4に示すように、右前フレーム13Rは、前方に向かうに従い右方に傾斜している。左前フレーム13Lは、前方に向かうに従い左方に傾斜している。すなわち、右前フレーム13Rと左前フレーム13Lとは、前方に向かうに従い互いに離間するように設けられている。
【0038】
さらに、車体フレーム10は、右スキー支持フレーム15Rと、左スキー支持フレーム15Lと、を含む。右スキー支持フレーム15Rは、下部フレーム18の前部において右方に延びており、その先端において右スキー20Rを支持している。左スキー支持フレーム15Lは、下部フレーム18の前部において左方に延びており、その先端において左スキー20Lを支持している。
【0039】
なお、車体フレーム10を構成する各フレーム及び部位は、互いに一体的に形成されるものであってもよいし、それぞれ別体であって、ボルトや溶接などの結合手段によって互いに固定されるものであってもよい。また、車体フレーム10を構成する各フレーム及び部位は、樹脂からなり、互いに一体的に形成されていてもよい。
【0040】
[右スキー20R、左スキー20L]
右スキー20Rは、右スキー支持フレーム15Rに支持されると共に下方に延びる被支持部21Rと、被支持部21Rの下端に取り付けられる板部22Rとで構成される。同様に、左スキー20Lは、左スキー支持フレーム15Lに支持されると共に下方に延びる被支持部21Lと、被支持部21Rの下端に取り付けられる板部22Lとで構成される。
【0041】
また、本実施形態においては、バネ構造及びダンパーを有するサスペンション70R、70Lが、右スキー20R、左スキー20Lと、下部フレーム18とを掛け渡すようにそれぞれ設けられている。
【0042】
[トラック機構30]
トラック機構30は、右スキー20R及び左スキー20Lよりも後方で下部フレーム18に支持されている。トラック機構30は、電動モータ50の駆動力により回動するトラックベルト31を含む。トラックベルト31の回動により、車体が推進する。
【0043】
[電動モータ50]
電動モータ50は、下部フレーム18に支持されており、バッテリBT1の下方に設けられている。
【0044】
本実施形態において、下部フレーム18は、電動モータ50を収容するモータ収容領域MR(
図1等参照)を有する。モータ収容領域MRは、下部フレーム18の上面より窪んだ領域であり、その左右両端には切り欠き18aが形成されている。電動モータ50は、その左右両端部が切り欠き18aに嵌められ、下部フレーム18に支持されている。
【0045】
モータ収容領域MRは、バッテリBT1より下方に形成されている。すなわち、電動モータ50は、バッテリBT1の下方に設けられている。すなわち、電動モータ50とバッテリBT1とは、上面視において、前後方向に少なくとも一部が重なるように配置されている。このように、比較的重量のある電動モータ50を、車体の下部に設けることにより、車体の重心を低くすることができる。車体の重心が低くなることにより、快適な走行が可能となる。また、電動モータ50とバッテリBT1とを前後方向に重なるように配置することで、電動スノーモビル100の前後方向の幅をコンパクトにすることできる。
【0046】
本実施形態において、電動モータ50は、右スキー支持フレーム15R、左スキー支持フレーム15Lに対する右スキー20R、左スキー20Lの取り付け位置よりも後方に位置している。このように、比較的重量のある電動モータ50を後方に配置することで、車体の重心を後方にすることができる。これにより、ステアリングハンドル41のハンドリングが軽くなり、快適な走行が可能となる。また、電動モータ50は、トラックベルト31の前端よりも前方に位置している。ただし、これに限られず、電動モータ50は、少なくとも一部がトラックベルト31よりも前方に位置しているとよい。
【0047】
[バッテリBT1の配置、及びハウジング65(バッテリBT1)の支持構造]
本実施形態において、バッテリBT1は、車幅方向(左右方向)の幅が、前後方向の幅よりも大きい略立方形状である。すなわち、バッテリBT1は、その長手方向が車幅方向となるように配置されている。
【0048】
図4に示すように、バッテリBT1は、その左右両端が、右前フレーム13R、左前フレーム13Lの末端よりも車幅方向の外側に位置するように設けられている。
【0049】
また、バッテリBT1は、ステアリングシャフト40の末端よりも後方に位置している。また、バッテリBT1は、ステアリングハンドル41よりも前方に位置している。また、バッテリBT1は、右スキー支持フレーム15R、左スキー支持フレーム15Lに対する右スキー20R、左スキー20Lの取り付け位置よりも後方に位置している。このように、比較的重量のあるバッテリBT1を後方に配置することで、車体の重心を後方にすることができる。これにより、ステアリングハンドル41のハンドリングが軽くなり、快適な走行が可能となる。また、バッテリBT1の少なくとも一部は、トラックベルト31よりも前方に位置しているとよい。
【0050】
バッテリBT1は、バッテリBT1を保護するためのバッテリハウジング65(以下、単にハウジング65という)に収容されている。ハウジング65は、バッテリBT1の外形に沿う形状である。具体的には、ハウジング65は、バッテリBT1の前側面に沿うように起立する前側壁651Fと、バッテリBT1の後側面に沿うように起立する後側壁651Bとを有する。
【0051】
本実施形態において、バッテリBT1は、右前フレーム13R、左前フレーム13L、及び補助フレーム112と、に囲まれる領域(以下、バッテリ収容領域BRと称する)内に配置されている。バッテリ収容領域BRは、
図3に示すように、側面視において、左前フレーム13L、補助フレーム112、及び左前フレーム13Lの末端と補助フレーム112の末端とを繋ぐ線により形成される領域である。バッテリBT1は、少なくとも一部がバッテリ収容領域BRに配置されているとよい。
【0052】
本実施形態において、ハウジング65は、右前フレーム13R、左前フレーム13L、及びシャフト支持フレーム11の支持部111によって支持されている。
【0053】
バッテリBT1は、ハウジング65を介して、上部フレームに支持されている。具体的には、バッテリBT1は、ハウジング65を介して、右前フレーム13R、左前フレーム13L、及びシャフト支持フレーム11の支持部111に支持されている。ハウジング65は、バッテリBT1の上面及び底面が略水平状態を維持するように、上部フレームに支持されている。
【0054】
さらに、ハウジング65の支持構造の詳細について説明する。
【0055】
右前フレーム13Rには、下方に延びる取り付け部131Rが固定されており、左前フレーム13Lには、下方に延びる取り付け部131Lが固定されている。
【0056】
ハウジング65の前側壁651Fの右部は、右前フレーム13Rに固定される取り付け部131Rに取り付けられている。すなわち、ハウジング65は、取り付け部131Rを介して右前フレーム13Rに支持されている。
【0057】
ハウジング65の前側壁651Fの左部は、左前フレーム13Lに固定される取り付け部131Lに取り付けられている。すなわち、ハウジング65は、取り付け部131Lを介して左前フレーム13Lに支持されている。
【0058】
ハウジング65の後側壁651Bは、シャフト支持フレーム111の支持部11に取り付けられている。
【0059】
なお、ハウジング65は、上部フレームの各取り付け部に対してボルト等を用いて固定されているとよい。
【0060】
本実施形態においては、バッテリBT1は、電動モータ50及び下部フレーム18よりも上方に配置されている。すなわち、バッテリBT1は、その底面が、電動モータ50及び下部フレーム18から離間するように、車体フレーム10の上部フレームに吊り下げられている。
【0061】
このように、バッテリBT1を、下部フレーム18から浮かして上部フレームにより支持することで、下部フレーム18に付着した水分にバッテリBT1が触れることを回避できる。
【0062】
以上説明したように、本実施形態において、ハウジング65は、3箇所で車体フレーム10の上部フレームに支持されている。そのため、バッテリBT1及びハウジング65の荷重が、車体フレーム10の3箇所で分散される。これにより、車体フレーム10に局所的に負荷がかかることが抑制される。また、車体フレーム10の上部フレームにより形成される領域にバッテリBT1を配置することにより、スペースの有効利用をすることができる。
【0063】
なお、本実施形態においては、上部フレームに固定される取り付け部を介してハウジング65が支持される例について示したが、これに限られず、ハウジング65が直接上部フレームに取り付けられ、支持されていてもよい。
【0064】
また、本実施形態においては、バッテリBT1がハウジング65を介して間接的に車体フレーム10に支持される例について説明したが、これに限られず、バッテリBT1は車体フレーム10に直接支持されていてもよい。
【0065】
また、バッテリBT1の向きは図示の例に限られるものではない。すなわち、バッテリBT1は、その長手方向が前後方向となるように配置されていてもよい。
【0066】
[バッテリBT2、BT3]
さらに、電動スノーモビル100は、バッテリBT1の後方に配置されるバッテリBT2と、バッテリBT2の後方に配置されるバッテリBT3とを有する。バッテリBT2及びバッテリBT3は、下部フレーム18の上面に載置されている。
【0067】
図3に示すように、バッテリBT3は、運転者シートSの下方に配置されている。また、バッテリBT2は、その後部が運転者シートSの下方に配置されている。また、運転者シートSは前方に向かうに従い下方に傾斜する形状を有している。その形状に合わせるように、バッテリBT2を、バッテリBT3よりも小型とした。具体的には、バッテリBT2の高さ方向の幅を、バッテリBT3の高さ方向の幅よりも小さくし、バッテリBT2の車幅方向の幅を、バッテリBT3の車幅方向の幅よりも小さくした。
【0068】
本実施形態においては、バッテリBT2、BT3の長手方向が、前後方向となるように、バッテリBT2、BT3を配置した。すなわち、前後方向に延びる形状である下部フレーム18に沿うように、バッテリBT2、BT3を配置した。これにより、より容量の大きいバッテリBT2、BT3を搭載することが可能となる。ただし、これに限られるものではなく、バッテリBT2、BT3の長手方向が車幅方向又は上下方向となるように配置しても構わない。
【0069】
[バッテリヒータH]
電動スノーモビル100は、バッテリBTの各側面に沿うように設けられるバッテリヒータHを有する。具体的には、バッテリBT1の上面、前面、後面、右面、左面に、バッテリヒータHU1、HF1、HB1、HR1、HL1がそれぞれ設けられている。また、バッテリBT2の上面、前面、後面、右面、及び左面に、バッテリヒータHU2、HF2、HB2、HR2、HL2がそれぞれ設けられている。また、バッテリBT3の上面、前面、後面、右面、及び左面に、バッテリヒータHU3、HF3、HB3、HR3、HL3がそれぞれ設けられている。なお、以下の説明において、特に区別して説明する必要のない場合は、各バッテリヒータを単に「バッテリヒータH」と称する。
【0070】
バッテリヒータHは、バッテリBTを加温するために設けられる。電動スノーモビル100は、雪上を走行する車両であり、主に低温環境下で使用される。例えば、摂氏0℃以下の低温環境下においては、バッテリBTの温度が低下し、その充電効率が低下してしまう場合がある。
【0071】
そこで、本実施形態においては、バッテリヒータHにより、バッテリBTの温度を上昇させた後、又は上昇させながら充電を行うことにより、充電効率の低下を抑制する構成を採用した。
【0072】
なお、
図1等においては、バッテリヒータHがバッテリBTの側面に直接貼り付けられる例について示すが、これに限られるものではなく、バッテリヒータHは、少なくとも、バッテリBTの側面に沿うように配置されているとよい。例えば、バッテリヒータHは、他の部材を介してバッテリBTに対して間接的に設けられるものであってもよい。また、例えば、バッテリBTがバッテリケースに収容されており、バッテリヒータHは、バッテリBTの側面に沿うように、バッテリケースの内面に貼り付けられていてもよい。この場合、バッテリヒータHは、バッテリBTに接触していてもよいし、非接触であってもよい。
【0073】
また、本実施形態においては、各バッテリヒータHが、各バッテリBTの各側面の面積と略同じ大きさである例について示す。ただし、これに限られず、各バッテリヒータHは、各バッテリBTを加温できるのに十分な大きさであればよい。また、本実施形態においては、シート状のバッテリヒータHを例に挙げて示したが、これに限られるものではなく、少なくとも、バッテリヒータHは、バッテリBTの近傍に配置可能な形状、大きさを有するものであればよい。
【0074】
また、本実施形態においては、バッテリBT1、バッテリBT2及びバッテリBT3の各面にそれぞれバッテリヒータHが設けられている例について示すが、これに限られず、少なくとも、1以上のバッテリヒータHが設けられているとよい。すなわち、例えば、バッテリBT2、BT3のみにバッテリヒータH2、H3が設けられており、バッテリBT1にはバッテリヒータH1が設けられていなくてもよい。また、例えば、各バッテリBTの左側面及び右側面のみにバッテリヒータHが設けられていてもよい。
【0075】
なお、バッテリヒータHは、少なくとも、バッテリBTの側面のうち最も面積の大きい側面に沿うように設けられていることが好ましい。それにより、効率よくバッテリBTの温度を上昇させることができる。
【0076】
[グリップヒータ]
さらに、電動スノーモビル100は、周辺ヒータとして、グリップ41aを加温するグリップヒータH4(
図5参照)を有しているとよい。なお、グリップ41aとは、ステアリングハンドル41のうち運転者に把持される部分である。電動スノーモビル100の走行前又は走行中に、グリップヒータH4によりグリップ41aを加温するとよい。
【0077】
[その他のヒータ]
本実施形態においては、周辺ヒータとして、グリップヒータH4を例に挙げるが、これに限られない。運転者が直接接触する部分を加温する周辺ヒータを他にも有しているとよい。例えば、電動スノーモビル100は、運転者シートSを加温するシートヒータを有していてもよい。シートヒータは、運転者シートSの下方において、運転者シートSの座面に沿うように設けられているとよい。なお、バッテリBT3の上面に設けられるバッテリヒータHU3が、シートヒータとしての機能を兼ねていてもよい。このように運転者シートSを加温するヒータを用いることにより、運転者シートS付近における積雪を抑制することができる。
【0078】
[回路構成]
図5を参照して、バッテリの充電制御及び各ヒータの駆動制御を行うための回路構成について説明する。
図5は、本実施形態に係る電動スノーモビルが有する回路構成の一例を示す回路図である。
【0079】
バッテリBTは、商用電源等の外部電源から供給される電力により充電される。例えば、電動スノーモビル100は充電器150のコンセントが挿入される充電口を有しており、バッテリBTが充電器150を介して外部電源と電気的に接続されるとよい。
【0080】
また、各ヒータも、バッテリBTと同様に外部電源から供給される電力により駆動する。各ヒータも同様に充電器150を介して外部電源と電気的に接続されるとよい。
【0081】
図5に示すように、電動スノーモビル100は、MCU(Motor Control Unit)80と、BMU(Battery Management Unit)90とを有する。
【0082】
また、図示は省略するが、電動スノーモビル100は、バッテリBTの電圧Vbを検出する電圧検出回路、バッテリBTの温度Tbを検出する温度センサ、外気温Toを検出する温度センサ、グリップヒータH4の温度Tgを検出する温度センサ等を有しているとよい。
【0083】
MCU80は、電動モータ50の駆動を制御する。なお、
図5においては、電動モータ50としていわゆる三相モータを例に挙げて示している。
【0084】
BMU90は、スイッチSW1、SW2、SW3、SW4の接続/非接続を切り替えることにより、バッテリBT1、BT2、BT3の充電制御、及びバッテリヒータH1、H2、H3の駆動制御、及びグリップヒータH4の駆動制御を行う。
【0085】
充電器150が外部電源と電気的に接続された状態において、BMU90がスイッチSW1及びスイッチSW2を接続状態とすることにより、バッテリBT1、BT2、BT3が通電される。すなわち、バッテリBT1、BT2、BT3に、外部電源からの電力が供給され、充電が行われる。なお、
図5においては、バッテリBT1とバッテリBT2とが直列接続されており、それらとバッテリBT3が並列接続される例について示すが、この接続構成は一例であり、これに限られるものではない。
【0086】
また、充電器150が外部電源と電気的に接続された状態において、BMU90がスイッチSW3を接続状態とすることにより、バッテリヒータH1、H2、H3が通電される。すなわち、バッテリヒータH1、H2、H3が駆動し、バッテリBT1、BT2、BT3をそれぞれ加温する。なお、
図5に示す回路図においては、バッテリヒータH1、H2、H3の通電が同時に行われる例について示すが、バッテリヒータH1、H2、H3の通電が独立して行われる構成としてもよい。
【0087】
また、充電器150が外部電源と電気的に接続された状態において、BMU90がスイッチSW4を接続状態とすることにより、グリップヒータH4が通電される。すなわち、グリップヒータH4が駆動し、グリップ41aを加温する。なお、グリップヒータH4の駆動は、走行中において、運転者シートSに座る運転者によるボタン等の操作により制御可能であってもよい。
【0088】
例えば、BMU90は、バッテリBTの温度Tbが所定の閾値Tth1未満である場合、バッテリヒータHを駆動させるとよい。これにより、バッテリBTが低温状態で充電されることを抑制できる。すなわち、バッテリBTの充電効率の低下を抑制できる。なお、閾値Tth1(第1閾値)は、例えば、-5℃~0℃であるとよい。
【0089】
また、BMU90は、外部電源からバッテリBTへの電力を供給中に、バッテリヒータHを駆動させてもよい。これにより、バッテリBTの温度Tbを維持又は上昇させながら、バッテリBTの充電を行うことができる。この場合、BMU90は、
図5で示すスイッチSW1、SW2、SW3をそれぞれ接続状態に切り替えるとよい。
【0090】
また、BMU90は、バッテリBTの電圧Vbが所定の閾値Vth1以上である場合、外部電源からバッテリBTへの電力の供給を停止し、バッテリヒータHの駆動を継続するとよい。なお、閾値Vth1(第2閾値)は、例えば、バッテリBTの充電量が98%である電圧値であるとよい。すなわち、バッテリBTがほぼフル充電された状態において、バッテリBTの充電よりもバッテリヒータHの駆動を優先させるとよい。
【0091】
また、BMU90は、バッテリBTの電圧Vbが所定の閾値Vth2以上である場合、グリップヒータH4を駆動させてもよい。なお、閾値Vth2(第3閾値)は、例えば、バッテリBTの充電量が60%である電圧値であるとよい。すなわち、バッテリBTがある程度充電された状態において、バッテリBTの充電よりもグリップヒータH4の駆動を優先させてもよい。
【0092】
また、BMU90は、バッテリBTの電圧Vbが所定の閾値Vth2以上である場合、外部電源からバッテリBTへの電力の供給を停止し、グリップヒータH4の駆動を継続してもよい。
【0093】
なお、グリップヒータH4は、外部電源から供給される電力のみでなく、バッテリBTから供給される電力により駆動可能であってもよい。これにより、充電器150が外部電源に電気的に接続されていない状態、例えば、電動スノーモビル100の走行中において、グリップ41aを加温することができる。
【0094】
[バッテリの充電制御及び各ヒータの駆動制御]
図6を参照して、本実施形態におけるバッテリBTの充電制御及び各ヒータの駆動制御について説明する。
図6は、本実施形態におけるバッテリの充電制御及び各ヒータの駆動制御の一例を説明するフローチャートである。
【0095】
充電器150が外部電源に接続されると、BMU90がその制御を開始する。
【0096】
BMU90は、バッテリBTの電圧Vbが閾値Vth1(充電量が98%である電圧値)未満の場合(ステップS1のNo)であって、バッテリBTの温度Tbが閾値Tth1未満の場合(ステップS2のNo)、バッテリヒータHを駆動する(ステップS3)。すなわち、バッテリBTの温度Tbが閾値Tth1未満の場合、バッテリBTの充電を開始する前に、まずバッテリヒータHによりバッテリBTを加温する。具体的には、BMU90は、
図5で示すスイッチSW3を接続状態に切り替える。
【0097】
バッテリヒータHにより加温されたバッテリBTの温度Tbが閾値Tth1以上となった場合(ステップS2のYes)であって、バッテリBTの電圧Vbが閾値Vth2(充電量が60%である電圧値)以上の場合(ステップS4のYes)、グリップヒータH4の駆動制御を開始する。すなわち、バッテリBTがある程度充電されている状態においては、グリップ41aを加温することを優先する。
【0098】
BMU90は、外気温Toが閾値Tth2以下の場合(ステップS5のYes)、グリップヒータH4を駆動させる(ステップS6)。具体的には、BMU90は、
図5で示すスイッチSW4を接続状態に切り替える。
【0099】
グリップヒータH4の温度が閾値Tth3以上となった場合(ステップS7のYes)、
図6に示すステップS8へ進む。なお、閾値Tth3(第3閾値)は、例えば、30℃であるとよい。ただし、これに限られるものではなく、閾値Tth3(第3閾値)は、25℃~60℃程度であってもよい。
【0100】
また、外気温Toが閾値Tth2よりも大きい場合(ステップS5のNo)、グリップヒータH4を駆動することなく、
図6に示すステップS8へ進む。
【0101】
なお、
図6においては、外気温To、グリップヒータH4の温度Tgを検出し、その検出結果に基づいてグリップヒータH4の駆動制御を行う例について示すが、これに限られるものではない。例えば、外気温Toのみを検出してもよいし、グリップ41a自体の温度を検出してもよい。
【0102】
また、ステップS3において、バッテリヒータHにより加温されたバッテリBTの温度Tbが閾値Tth1以上となった場合(ステップS2のYes)であって、バッテリBTの電圧Vbが閾値Vth2未満の場合(ステップS4のNo)、グリップヒータH4の駆動を開始することなく、ステップS8へ進む。すなわち、バッテリBTの充電量が小さい場合、グリップ41aの加温よりも、バッテリBTの充電を優先する。
【0103】
BMU90は、バッテリBTの電圧Vbが閾値Vth1未満の場合(ステップS8のNo)、バッテリBTの充電を開始する(ステップS9)。具体的には、BMU90は、
図5で示すスイッチSW1、SW2を接続状態に切り替える。
【0104】
そして、BMU90は、バッテリBTの電圧Vbが閾値Vth1以上となった場合(ステップS10のYes)、バッテリBTの充電を停止する。そして、ステップS14へ進む。
【0105】
一方、BMU90は、ステップS8において、バッテリBTの電圧Vbが閾値Vth1以上の場合(ステップS8のYes)であって、バッテリBTの温度Tbが閾値Tth1未満である場合(ステップS12のNo)、バッテリヒータHを駆動する(ステップS13)。具体的には、BMU90は、
図5で示すスイッチSW3を接続状態とする。バッテリBTの温度Tbが閾値Tth1以上である場合(ステップS12のYes)、ステップS14へ進む。
【0106】
充電器150が非接続でない場合(ステップS14のNo)、すなわち充電器150が外部電源と電気的に接続されている場合、ステップS1に戻り、バッテリBTの充電制御及び各ヒータの駆動制御を繰り返す。一方、充電器150が非接続である場合(ステップS14のYes)、すなわち充電器150が外部電源と電気的に接続されていない場合、バッテリBTの充電制御及び各ヒータの駆動制御を終了する。
【0107】
なお、
図6においては、周辺ヒータとしてグリップヒータH4を例に挙げて説明したが、上述のシートヒータ等の他の周辺ヒータにおいても同様の駆動制御を行うとよい。
【0108】
以上説明した本実施形態に係る電動スノーモビル100においては、低温環境下において、バッテリBTの充電効率が下がることを抑制できる。また、電動スノーモビル100の走行前にバッテリBTの温度を上昇させておくことにより、走行開始時にバッテリBTにかかる負荷を抑制することができる。すなわち、走行開始時にバッテリBTの電力消費が大きくなってしまうことを抑制できる。
【0109】
なお、本実施形態においては、バッテリBTが3つ設けられる例について示したが、バッテリBTの数はこれに限られるものではない。バッテリBTとして、運転者シートSの下方であって、トラック機構30の上方に少なくとも一部が配置されるものが少なくとも1以上設けられているとよい。
【0110】
[実施形態の概要]
(1)電動スノーモビル100は、車体フレーム10と、車体フレーム10に支持されている運転者シートSと、車体フレーム10に支持されている電動モータ50と、車体フレーム10に支持されているスキー20R、20Lと、トラックベルト31を含み、運転者シートSの下方において車体フレーム10に支持されているトラック機構30と、運転者シートSの下方であって、トラック機構30の上方に少なくとも一部が配置されており、外部電源から供給される電力により充電されると共に、電動モータ50へ電力を供給可能なバッテリBTと、外部電源から供給される電力により駆動可能であって、バッテリBTを加温するバッテリヒータHと、を有する。
【0111】
(2)バッテリBTの充電制御及びバッテリヒータHの駆動制御を行うBMU90を有し、BMU90は、バッテリBTの温度が閾値Tth1(第1閾値)未満である場合、バッテリヒータHを駆動させる。
【0112】
(3)BMU90は、外部電源からバッテリBTへ電力を供給中に、バッテリヒータHを駆動させる。
【0113】
(4)BMU90は、バッテリBTの電圧Vbが閾値Vth1(第2閾値)以上となった場合、外部電源からバッテリBTへの電力の供給を停止し、バッテリヒータHの駆動を継続する。
【0114】
(5)運転者に把持されるグリップ41aと、外部電源から供給される電力により駆動可能であって、グリップ41aを加温するグリップヒータH4と、を有し、BMU90は、バッテリBTの電圧Vbが閾値Tth3(第3閾値)以上である場合、グリップヒータH4を駆動させる。
【0115】
(6)外部電源から供給される電力により駆動可能であって、運転者シートSを加温するシートヒータを有し、BMU90は、バッテリBTの電圧Vbが閾値Tth3(第3閾値)以上である場合、シートヒータを駆動させる。
【0116】
(7)グリップヒータH4及びシートヒータは、バッテリBTから供給される電力により駆動可能である。
【0117】
(8)BMU90は、バッテリBTの電圧が閾値Vth1(第2閾値)以上となった場合、外部電源からバッテリBTへの電力の供給を停止し、グリップヒータH4及びシートヒータの駆動を継続する。
【0118】
(9)バッテリヒータHは、少なくとも、運転者シートSとバッテリBTとの間に設けられている。
【0119】
(10)バッテリヒータHは、少なくともバッテリBTの側面のうち最も面積の大きい側面に沿うように設けられている。
【0120】
(11)バッテリBTは、前面、後面、上面、下面、右面、及び左面を含む略直方形状であり、バッテリBTは、車両前後方向における上面、下面、右面、及び左面の幅が、車幅方向における前面及び後面の幅よりも長くなるように、車体フレーム10に支持されており、バッテリヒータHは、少なくとも上面、右面、及び左面に沿うように設けられている。
【0121】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0122】
10 車体フレーム、11 シャフト支持フレーム、111 支持部、112 補助フレーム、112U 前部、112R 右部、112L 左部、13R 右前フレーム、13Ra 前延伸部、13Rb 傾斜部、13L 左前フレーム、13La 前延伸部、13Lb 傾斜部、131R,131L 取り付け部、14R 右後フレーム、14L 左後フレーム、141R,141L 取り付け部、15R 右スキー支持フレーム、15L 左スキーフレーム、18 下部フレーム、181 バンパー、18a 切り欠き、20R 右スキー、21R 被支持部、22R 板部、20L 左スキー、21L 被支持部、22L 板部、30 トラック機構、31 トラックベルト、40 ステアリングシャフト、41 ステアリングハンドル、41a グリップ、50 電動モータ、65 ハウジング、651F 前側壁、651B 後側壁、70R,70L サスペンション、80 MCU、90 BMU、100 電動スノーモビル、150 充電器、BT,BT1,BT2,BT3 バッテリ、H,H1、H2,H3 バッテリヒータ、H4 グリップヒータ、SW1~4 スイッチ。