(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020250
(43)【公開日】2022-02-01
(54)【発明の名称】鉄道車両の窓構造
(51)【国際特許分類】
B61D 25/00 20060101AFI20220125BHJP
【FI】
B61D25/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020123642
(22)【出願日】2020-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000163372
【氏名又は名称】近畿車輌株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118924
【弁理士】
【氏名又は名称】廣幸 正樹
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 祝夫
(57)【要約】
【課題】鉄道車両の客車において、窓を開けて換気をすると、降雨時に雨粒が客車内に降り込む場合があった。
【解決手段】側構体の窓用開口上端よりユニット窓開口上端を高くすることを特徴とする鉄道車両の窓構造は、側構体がユニット窓開口の一部を塞ぐので、車両走行時に雨粒が車内に降り込むのを防止することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側構体の窓用開口上端よりユニット窓開口上端を高くすることを特徴とする鉄道車両の窓構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鉄道車両の窓構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インフルエンザ等に伴うウイルス感染の危険性は、閉鎖、密閉空間内に人が集まることで飛躍的に高くなることが知られている。鉄道車両においては、朝夕の通勤時に閉鎖、密閉状態内に人が集まる状況ができる場合が多い。そこで、鉄道車両内を密閉状態でない状態にするために、客車内の換気が検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、車外空気を給気する給気装置と、車内空気を排出する排気装置とを有し、車外空気を冷却し車内へ送風する鉄道車両用空調装置において、給気装置の吐出口の下流から排気装置の給気口の上流側へ至る間に熱交換器を設け、車外空気と排出される車内空気とを熱交換させる車両用空調換気装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、新幹線等の窓が固定されて開かない場合に使用されるものであり、在来線を走行する鉄道車両においては、高価すぎる設備となる。通常在来線の客車では窓を開けて客車内の換気が行われる。
【0006】
通常客車内は空調機から新鮮外気が取り込まれるので、走行中は構体外部より客車内の方が陽圧となり、車内から車外に空気が抜ける。しかし、降雨時には、物理的に雨粒が車両の側構体に当たり、開けた窓から車内に降り込む場合もある。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みて想到されたものであり、降雨時に窓を開け換気しても客車内に雨が降り込まない鉄道車両の窓構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
具体的に本発明に係る鉄道車両の窓構造は、
側構体の窓用開口上端よりユニット窓開口上端を高くすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る鉄道車両の窓構造は、側構体の窓用開口上端よりユニット窓開口上端が高いので、窓を開けても側構体が窓の開口を塞ぎ、側構体に当たる雨粒は開いた窓の開口から客車内に入り込まない。一方、客車内と客車外は、開いた窓で連通するので、車両が走行すると車内の空気が吸い出され、客車内の換気が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図1において窓が開いた時の状態を示す図である。
【
図3】
図1のA-A断面(窓構造の平面図)である。
【
図5】
図4のB-B断面(窓構造の平面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明に係る鉄道車両の窓構造について図面を示し説明を行う。なお、以下の説明は、本発明の一実施形態および一実施例を例示するものであり、本発明が以下の説明に限定されるものではない。以下の説明は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変することができる。
【0012】
図1に本発明に係る鉄道車両の窓構造1(以後単に「窓構造1」という。)について、車両を垂直方向に切った際の断面図を示す。窓構造1は、側構体10の側窓に適用される構造である。
【0013】
側構体10には側窓のための開口(側構体開口10o)が設けられている。車両内側には、ユニット窓部20を嵌合設置するためのユニット窓受け10Aが配置される。
図1では、側構体開口10oの上端を側構体開口上端12として示している。
【0014】
ユニット窓部20は、フレーム24に手掛22aが上端に設けられた窓ガラス22、ロールスクリーン26、バランサー27(
図3参照)等を組み込んだもので、側構体10の内側のユニット窓受け10Aに車両内部側から水密シール21を介して嵌合設置される。
【0015】
ユニット窓部20において、その開口上端をユニット窓開口上端24uとして示している。本発明の窓構造1では、側構体開口上端12が、ユニット窓開口上端24uよりも低い位置に設定される。この時ユニット窓開口上端24uと側構体開口上端12の重なり部分を重なり部30とする。
【0016】
図4および
図5は、従来の窓構造を示す図である。従来構造では、側構体開口上端12は、ユニット窓開口上端24uより高い位置に配置されていた。
【0017】
図2を参照する。
図2は、ユニット窓部20の窓ガラス22を下げ、窓を開いた状態を示す。窓の開いた部分は窓開口22oとする。また窓ガラス22とユニット窓開口上端24uとの間を開口高さ22ohとする。
【0018】
窓ガラス22を下げ、窓を開けた時に、開口高さ22ohが重なり部30(
図1参照)より短くすることで、空調機が運転されておらず、窓開口22oから新規外気が吸気される場合でも、車両外部からの雨粒が窓開口22oから車内に入りこむことを防止することができる。
【0019】
また、車内は空調装置によって新鮮外気を取り込む場合では、走行中は側構体10表面部よりも圧力が高く、ベンチュリ効果によって、車内の空気が車外に吸い出されている。したがって、窓ガラス22と重なり部30の隙間40から車内に雨粒を吸い込むことはない。
【0020】
このようにして、降雨時であっても、新鮮外気を取り込み客車内空気を排出することができるので、車内を好適に換気することができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、鉄道車両の窓構造に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 鉄道車両の窓構造
10 側構体
12 側構体開口上端
24u ユニット窓開口上端
30 重なり部