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特開2022-20262試薬反応評価装置、試薬反応評価システム、試薬反応評価方法、及び試薬反応評価プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020262
(43)【公開日】2022-02-01
(54)【発明の名称】試薬反応評価装置、試薬反応評価システム、試薬反応評価方法、及び試薬反応評価プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/77 20060101AFI20220125BHJP
   G01N 33/52 20060101ALI20220125BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
G01N21/77 B
G01N33/52 A
G01N33/483 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020123658
(22)【出願日】2020-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】591280197
【氏名又は名称】株式会社構造計画研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100149892
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 弥生
(74)【代理人】
【識別番号】100185672
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】高幣 玲児
【テーマコード(参考)】
2G045
2G054
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045FA19
2G054AA06
2G054AB05
2G054CD03
2G054CE01
2G054EA06
2G054EB03
2G054FB03
2G054GE09
2G054JA01
2G054JA02
2G054JA04
(57)【要約】
【課題】試薬反応結果を、より正確に評価する。
【解決手段】試薬反応評価装置10は、検査対象物に対して試薬を適用させたあと、カメラを制御して検査キット20を所定の時間間隔をあけて2回撮像し、1回目の撮像データ、2回目の撮像データにおける試薬反応結果に応じた濃度値を算出し、各濃度に基づいて試薬反応結果による濃度変化量を算出し、算出した濃度変化量に応じて評価値を決定し、決定した評価値を表示装置に表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査キット上に配置される検査対象物に対する試薬反応結果を評価する試薬反応評価装置であって、
前記検査対象物に対して試薬を適用したあとで、前記検査キットを撮像手段に撮像させる撮像制御部と、
前記撮像手段が撮像した撮像データにおける、試薬反応結果に応じた濃度値を算出する濃度算出処理部と、
前記濃度算出処理部が算出した濃度と、基準となる濃度値と、に基づく濃度変化量に基づいて試薬反応結果の評価値を決定する評価値決定処理部と、
を備えることを特徴とする試薬反応評価装置。
【請求項2】
請求項1に記載の試薬反応評価装置において、
前記検査キットは、検査対象物を設ける複数の検査領域を備え、
前記撮像制御部は、各検査領域に配置される検査対象物に対して異なる試薬を適用したとき、各検査領域について前記撮像データを撮像可能であることを特徴とする試薬反応評価装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の試薬反応評価装置において、
前記撮像制御部は、前記撮像手段に前記検査キットを所定の時間間隔で2回撮像させ、
前記濃度算出処理部は、前記撮像手段が1回目に撮像した第1撮像データと2回目に撮像した第2撮像データとにおける、試薬反応結果に応じた濃度値を算出し、
前記評価値決定処理部は、前記第1撮像データにおける試薬反応結果に応じた濃度を前記基準となる濃度として前記評価値を決定する、
ことを特徴とする試薬反応評価装置。
【請求項4】
請求項3に記載の試薬反応評価装置において、前記時間間隔を利用者に設定させる設定手段を備えることを特徴とする試薬反応評価装置。
【請求項5】
端末装置と、該端末装置と通信可能であって検査キットの検査領域に配置される検査対象物に対する試薬反応結果を評価するサーバ装置と、を備える試薬反応評価システムであって、
前記端末装置は、前記検査対象物に対して試薬を適用したあとで、撮像手段に前記検査キットを撮像させ、
前記サーバ装置は、
前記撮像手段が撮像した撮像データにおける、試薬反応結果に応じた濃度値を算出し、前記濃度算出処理部が算出した濃度と、基準となる濃度値と、に基づく濃度変化量に基づいて試薬反応結果の評価値を決定する、
ことを特徴とする試薬反応評価システム。
【請求項6】
検査キットの検査領域に配置される検査対象物に対する試薬反応結果を評価する試薬反応評価装置が備えるプロセッサによって実行される試薬反応評価方法であって、
前記検査対象物に対して試薬を適用したあとで、前記検査キットを撮像手段に撮像させ、
前記撮像手段が撮像した撮像データにおける、試薬反応結果に応じた濃度値を算出し、
算出した濃度と、基準となる濃度値と、に基づく濃度変化量に基づいて試薬反応結果の評価値を決定する、
ことを特徴とする試薬反応評価方法。
【請求項7】
検査キットの検査領域に配置される検査対象物に対する試薬反応結果を評価する試薬反応評価装置が備えるプロセッサによって実行される試薬反応評価プログラムであって、
前記検査対象物に対して試薬を適用したあとで、前記検査キットを撮像手段に撮像させ、
前記撮像手段が撮像した撮像データにおける、試薬反応結果に応じた濃度値を算出し、
算出した濃度と、基準となる濃度値と、に基づく濃度変化量に基づいて試薬反応結果の評価値を決定する、
ことを特徴とする試薬反応評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物に試薬を反応させたときの反応結果を評価する試薬反応評価装置、試薬反応評価システム、試薬反応評価方法、及び試薬反応評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野の検査等において、体液や血液等の検査対象物に検査用の試薬(診断薬)を反応させたときの反応によって疾患の有無等、検査対象物についての情報を得る助けとするための検査ツールが知られている。
試薬反応結果の評価については、検査担当者が反応の様子を目視にて行うことが多い。しかし、このような方法評価は、検査担当者個人が一定の経験や技量を有することが求められるため、万人が行うことは容易ではない。不正確な評価となるリスクも看過できず、一方で担当者育成のコストも無視しがたい負担である。
それに対し、特許文献1には、試薬を設けた複数の試薬部が二次元的配置されている試験体を備える成分分析装置が開示されている。試験体は、水質、土質、金属、体液等の被測定物質に含まれる物質を試薬部に含浸、反応させて色情報を生じさせるためのものである。反応後の複数の試薬部を、デジタルカメラ、イメージセンサ等で撮像することにより、二次元面上に配置された試薬部の発色領域を二次元画像として検出し、この二次元画像から個々の試薬部を特定する。それぞれの試薬部の発色状態又は発色情報を輝度情報に分離し、輝度情報に基づいて濃度を算出し、濃度から分析対象物質の成分量を得ることが出来る。
また特許文献2には、基材上の少なくとも1つの別個の分析領域に配置された試薬と、基材上の色凡例と、を備える診断試験ユニットが開示されている。
分析領域上に分析対象物(血液、水、唾液)が配置されると、分析対象物は試薬と反応して変色する。スマートフォンやタブレットなどの撮像装置は、反応後の少なくとも1つの分析領域の画像を取り込み、取り込まれた画像における色凡例と、分析領域の色と、を比較して、分析対象物の値(濃度など)や特性(pHなど)を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-144672公報
【特許文献2】特開2017-053849公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の成分分析装置は、分析対象物に対する試薬の反応を撮像した画像を解析し、輝度によって対象物の成分量を自動的に解析するものである。
特許文献2には、分析対象物に対する試薬の反応を撮像して分析対象物に関する情報を自動的に得ることが記載されている。
これらの特許文献に開示される手法によっては、分析対象物に対する試薬の反応を撮像して装置が自動的に解析を行うため、分析対象物に関する情報を担当者の技量や経験によらず一定の精度で判定を行うことができる。
しかしながら、これらの特許文献によっても、試薬反応結果を撮像した画像を単に画像解析すするのみであり、画像によって試薬の反応結果をより正確に判定するためには、従来とは異なる新たな手法が求められる。
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、試薬反応結果を撮像した画像に基づいてより正確な試薬反応評価を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、検査キット上に配置される検査対象物に対する試薬反応結果を評価する試薬反応評価装置であって、前記検査対象物に対して試薬を適用したあとで、前記検査キットを撮像手段に撮像させる撮像制御部と、前記撮像手段が撮像した撮像データにおける、試薬反応結果に応じた濃度値を算出する濃度算出処理部と、前記濃度算出処理部が算出した濃度と、基準となる濃度値と、に基づく濃度変化量に基づいて試薬反応結果の評価値を決定する評価値決定処理部と、を備える試薬反応評価装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
上記のように構成したので、本発明によれば、試薬反応結果を撮像した画像に基づいてより正確な試薬反応評価を実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態において試薬反応結果を評価する手順を概説する図である。
図2】試薬反応評価装置が備える表示画面に表示されるメニュー画面を示す図である。
図3】試薬反応評価装置のキャリブレーション動作を説明する図(その1)である。
図4】試薬反応評価装置のキャリブレーション動作を説明する図(その2)である。
図5】試薬反応評価装置のキャリブレーション動作を説明する図(その3)である。
図6】試薬反応評価装置の撮像・計算動作を説明する図である。
図7】本実施形態の試薬反応評価装置の構成を示す図である。
図8】本実施形態のキャリブレーション処理を説明するフローチャートである。
図9】本実施形態の試薬反応評価処理を説明するフローチャートである。
図10】本実施形態における他の実施例を説明するシステム構成図である。
図11】他の実施例におけるサーバ装置のハードウェア構成を説明するブロック図である。
図12】他の実施例におけるサーバ装置と試薬反応評価装置の機能構成を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本実施形態の試薬反応評価装置は、例えばスマートフォン等であり、血液や体液等、検査対象物に対する試薬(診断薬)の反応結果を、試薬反応評価装置が備えるカメラで撮像することにより判定するものである。
試薬反応評価装置は、試薬反応を撮像し、明るさ(グレースケールの濃度)の変化量として表れる試薬反応の結果を評価するための情報を出力する。なお、出力された試薬反応の評価結果に基づいて疾患有無の可能性を判断するのは、例えば医師等の医療従事者であり、試薬反応評価装置は、判断材料としての評価結果を医療従事者等に提示する装置である。
【0009】
検査対象物に対する試薬反応(グレースケールの濃度変化量)は、検査担当者が目視にて確認を行う。従って、時間的変異によって検査対象物に対して試薬がどの程度反応したかの評価は、検査対象者自身の経験や能力に依るところが大きい。試薬反応の評価は、人為的な評価による曖昧性を排除しきれていない。
それに対して、本実施形態の試薬反応評価装置は、時間的変異による試薬反応の評価をデジタル化、数値化することにより行い、評価の曖昧性を排除する。
試薬反応評価装置は、検査キット上に配置した検査対象物に対して異なる試薬を反応させたときの反応結果に対して複数回、例えば2度の撮像を行い、基準となる1度目の撮像と2度目の撮像との間の濃度変化(初期濃度と反応後濃度との間の濃度変化)を計算し、例えば5段階の数値として反応結果の評価を出力する。
検査対象物に対する反応時間が試薬によって異なるので、全ての試薬が十分に反応したあとで反応を評価できるように、1回目の撮像と2回目の撮像との時間間隔を設定する。
なお本実施形態では、検査キットに配置して試薬反応結果を評価する検査対象物は1つでもよいし2つ以上であってもよい。
反応結果を複数回撮像するのではなく、基準となる濃度値を予め用意し、基準となる濃度値と、少なくとも1度撮像した撮像画像における反応結果の濃度値と、の間の濃度変化量を計算して、反応結果の評価を出力してもよい。
【0010】
以下では、検査キット上に配置した検査対象物に対して異なる試薬を反応させたときの反応結果に対して複数回、例えば2度の撮像を行い、基準となる1度目の撮像による濃度値と2度目の撮像による濃度値との間の差分に基づく濃度変化量を計算し、反応結果の評価を出力する場合を詳しく説明する。
図1は、本実施形態において試薬反応結果を評価する手順を概説する図である。
図1(a)に示すように、血液や体液等の検査対象物を配置可能な複数(例えば4つ)の凹部などの検査領域(第1検査領域21、第2検査領域22、第3検査領域23、第4検査領域24)を備えた検査キット20を用意し、第1検査領域21~第4検査領域24に検査対象物を配置する。そして、検査領域上の検査対象物に対し、異なる試薬を適用(滴下)する。
そして図1(b)に示すように、試薬反応評価装置10としてのスマートフォンを用いて検査キット20を撮像し、撮像データにおいて、第1検査領域21~第4検査領域24に対応する領域の濃度(明るさ)を算出する。
その後、設定された時間が経過すると、図1(c)に示すように、試薬反応評価装置10は検査キット20に対して2回目の撮像を行い、撮像データにおいて、第1検査領域21~第4検査領域24に対応する領域の濃度(明るさ)を算出する。
試薬反応評価装置10は、2回の撮像が済むと、第1検査領域21~第4検査領域24について、1回目の撮像と2回目の撮像との濃度差を算出し、算出した濃度差に基づく例えば5段階の評価値を決定する。
図1(d)に示すように、試薬反応評価装置10は判定結果として評価値を、例えば同数の星の数で表示する。
【0011】
図2は、試薬反応評価装置が備える表示画面に表示されるメニュー画面を示す図である。
試薬反応評価装置10の動作は、「キャリブレーション」、「撮像・計算」の2段階に大別される。
図2に示す試薬反応評価装置10のメニュー画面は、キャリブレーションを実行するための「キャリブレーション」ボタン60、試薬反応の撮像・計算を開始するための「開始」ボタン70を備えている。
試薬反応評価装置10は、「キャリブレーション」動作では、カメラのフォーカスや露出、撮像間隔、撮像位置の調整、明るさの校正(白黒の校正)を行う。
試薬反応評価装置10は、「撮像・計算」動作では、上記のように2度の撮像を行い、1度目の撮像データと2度目の撮像データにおける、第1検査領域21~第4検査領域24に対応する領域の試薬反応のよる濃度変化量を計算して、評価値を決定する。
【0012】
図3乃至図5は、試薬反応評価装置のキャリブレーション動作を説明する図である。
「キャリブレーション」ボタン60が選択されてキャリブレーション動作の開始を指示されると、試薬反応評価装置10は、図3(a)に示すように、試薬反応評価装置10が備えるカメラのフォーカス設定を開始する。焦点距離は事前に測定された距離で決められており、試薬反応評価装置10は、事前に決定された焦点距離に基づいてフォーカス設定を行う。
試薬反応評価装置10と検査キットとの距離を固定して撮像可能な撮像キットを使用することも出来る。
【0013】
利用者が「次へ」ボタン65を操作すると、試薬反応評価装置10は、事前に決められた焦点距離と、図3(b)に示すように、カメラの露出(明るさ)の設定を開始する。利用者は、アプリケーションが備える露出機能にて露出(明るさ)を調整する。
利用者が「次へ」ボタン65を操作すると、試薬反応評価装置10は、露出の設定値を格納し、図3(c)に示すように、試薬反応評価装置10はカメラの撮像間隔を利用者に設定させる。
初期設定は例えば180秒とし、タッチパネルのスワイプ操作などに応じて表示する数字(秒数)を増減させることが出来、「次へ」ボタン65が操作されると、表示中の秒数を撮像間隔として設定する。
【0014】
さらに図4に示すように、試薬反応評価装置10は画角内における撮像位置を利用者に設定させる。試薬反応評価装置10は、画角内のすべての画像を撮像するのではなく、画角内における第1検査領域21~第4検査領域24に対応する領域箇所だけを撮像することで、試薬反応を正確に評価できるとともに処理負荷を低減することが出来る。
図4(a)において、試薬反応評価装置10は、検査キット20の第1検査領域21に対応する画角内の領域を設定させる。まず、「+」ボタン61a、「-」ボタン61bを利用者に操作させ、領域の大きさを設定させる。
ついで試薬反応評価装置10は、「上」ボタン62a、「下」ボタン62b、「左」ボタン62c、「右」ボタン62dを利用者に操作させて領域を移動させ、第1検査領域21に対応する領域の場所を設定させる。
【0015】
利用者が「次へ」ボタン65を操作すると、試薬反応評価装置10は、設定値(第1検査領域21に対応する領域の座標値)を記憶し、図4(b)において、検査キット20の第2検査領域22に対応する画角内の領域を設定させる。設定方法は、第1検査領域21と同じである。
利用者が「次へ」ボタン65を操作すると、試薬反応評価装置10は、設定値(第2検査領域22に対応する領域の座標値)を記憶し、図4(c)において、検査キット20の第3検査領域23に対応する画角内の領域を設定させる。設定方法は、第1検査領域21、第2検査領域22と同じである。
利用者が「次へ」ボタン65を操作すると、試薬反応評価装置10は、設定値(第3検査領域23に対応する領域の座標値)を記憶し、図4(d)において、検査キット20の第4検査領域24に対応する画角内の領域を設定させる。設定方法は、第1検査領域21、第2検査領域22、第3検査領域23と同じである。
利用者が「次へ」ボタン65を操作すると、試薬反応評価装置10は、設定値(第4検査領域24に対応する領域の座標値)を記憶し、撮像位置の設定が完了する。
本実施形態では、検査キット20が4つの検査領域(第1検査領域21~第4検査領域24)を有する場合を説明しているが、それに限らず試薬を反応させる検査領域は1つ~3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。
【0016】
次に、試薬反応評価装置10は、図5に示すようにカメラの白黒校正処理を行う。
図5(a)において、試薬反応評価装置10は白のサンプルをカメラによって撮像し、撮像したデータの濃度(明るさ)情報に基づく白の校正情報を格納する。白のサンプルは、例えば検査キットの外装における白色の部分とすることが出来る。
図5(b)において、試薬反応評価装置10は黒のサンプルをカメラによって撮像し、撮像したデータの濃度(明るさ)情報に基づく黒の校正情報を格納する。黒のサンプルは、例えば検査キットの外装における黒色の部分とすることが出来る。
白の校正情報、黒の校正情報は、試薬反応結果の明るさ(グレースケール濃度値)を算出するうえでの基準となる白の濃度情報と黒の濃度情報である。
より詳しくは、試薬反応評価装置10は黒のサンプルをカメラによって撮像した撮像データにおけるR、G、Bの濃度情報に基づいて、黒のGray値Yを数式Y=0.299×R+0.587×G+0.114×Bによって求める。
試薬反応評価装置10は、この値Yを「0」(基準となる黒の濃度情報)に設定するとともに、グレースケールにおける本来の黒の濃度値「0」との差分を計算する。
例えば、撮像データに対する演算値が「4」だったとすると、差分値「4」を演算する。
【0017】
また試薬反応評価装置10は、白のサンプルをカメラによって撮像した撮像データにおけるR、G、Bの濃度情報に基づいて、白のGray値(濃度値)Yを数式Y=0.299×R+0.587×G+0.114×Bによって求める。試薬反応評価装置10は、この値Yを「99」(基準となる白の濃度情報)に設定するとともに、グレースケールにおける本来の白の濃度値「255」との差分を計算する。
例えば、撮像データに対する演算値が「250」だったとすると、差分値「5」を演算する。
本来、グレースケールの濃度値は、0(黒)から白(255)まで256階調(8bit)であるが、サンプルを撮像したときの黒のGray値、白のGray値を、それぞれ「0」、「99」とすることにより、実際に検査領域を撮像したときのGray値が「0」から「99」の範囲に収まるようにした。
なお、黒のサンプルを撮像したとき濃度値との本来の黒の濃度値「0」との差分値(上記の「4」)、白のサンプルを撮像したときの濃度値と本来の白の濃度値「255」との差分値(上記の「5」)を、校正用のデータ(夫々、黒の校正値、白の校正値と記載する)として設定記憶部55に格納する。
図5(c)において、「キャリブレーション完了」の文言が表示画面に表示され、キャリブレーション動作が終了する。
【0018】
図6は、試薬反応評価装置の撮像・計算動作を説明する図である。
図6において、試薬反応評価装置10の表示装置37には、カメラが撮像している検査キット20第1検査領域21~第4検査領域24や評価結果画面が表示されている。
図6(a)に示すように、試薬反応評価装置10は、第1回目として、第1検査領域21~第4検査領域24を備える検査キット20をカメラで撮像し、その結果得られた撮像データにおいて、第1検査領域21~第4検査領域24に対応する領域の濃度(明るさ)を算出する。
このとき試薬反応評価装置10は、撮像データに含まれる第1検査領域21~第4検査領域24に対応する領域におけるRGB成分の濃度値に対して上記した数式Y=0.299×R+0.587×G+0.114×Bを演算し、グレースケール換算する(グレースケール濃度値を算出する)。
図6(b)に示すように、設定時間が経過後に、試薬反応評価装置10は、第2回目として、第1検査領域~第4検査領域を備える検査キット20をカメラで撮像し、その結果得られた撮像データにおいて、第1検査領域21~第4検査領域24に対応する領域の濃度値を算出する。
このとき試薬反応評価装置10は、撮像データに含まれる第1検査領域21~第4検査領域24に対応する領域におけるRGB成分の濃度値に対して上記した数式Y=0.299×R+0.587×G+0.114×Bを演算し、グレースケール換算する(グレースケール濃度値を算出する)。
【0019】
図6(c)に示すように、試薬反応評価装置10は、第1検査領域21~第4検査領域24について1回目に撮像した、図6(a)で算出したグレースケール値(256階調)を、キャリブレーション時に設定した「0」から「99」の範囲に納める(シフトする)。
また試薬反応評価装置10は、第1検査領域21~第4検査領域24について2回目に撮像した、図6(b)で算出したグレースケール値(256階調)を、キャリブレーション時に設定した「0」から「99」の範囲に納める(シフトする)。
例えば、「0」から「99」の範囲に納める納めたグレースケール濃度値(シフト後)は、
グレースケール濃度値(シフト後)=256階調のグレースケール値×100/256
の演算で得られる。
なお、この際には、試薬反応評価装置10は、設定記憶部55に格納してある、黒の校正値、白の校正値(上記の説明では、夫々「4」と「5」)を考慮することがより望ましい。
校正値を考慮する場合には、例えば、
シフト後のグレースケール濃度値(シフト後)=256階調のグレースケール値×100/256-黒の校正値-白の校正値
の演算で、シフト後のグレースケール濃度値が得られる。
256階調のグレースケールを「0」から「99」の100段階に納めることで、試薬反応のよる濃度変化量を顕著に表して評価をしやすくすることが出来る。
【0020】
試薬反応評価装置10は、1回目、2回目の撮影について得たシフト後の濃度値に基づいて、濃度変化量を算出する。濃度変化量は、例えば、1回目の撮影で得たグレースケール濃度値(基準となる濃度値)と、2回目の撮影で得たグレースケール濃度値の差分である。
上記に触れたように、基準となる濃度値として所定の初期値を用いる場合、濃度変化量は、例えば、1回目の撮影で得たグレースケール濃度値(基準となる濃度値)又は2回目の撮影で得たグレースケール濃度値と、所定の初期値との差分である。
そして、濃度変化量に基づいて、検査領域毎に濃度変化量の評価値を決定する。
一例として、一の検査領域において、濃度変化量が「0」から「19」の範囲にあれば、評価値を「1」とし、濃度変化量が「20」から「39」の範囲にあれば評価値を「2」とし、濃度変化量が「40」から「59」の範囲にあれば評価値を「3」とし、濃度変化量が「60」から「79」の間にあれば評価値を「4」とし、濃度変化量が「80」から「99」の範囲にあれば評価値を「5」とする。
【0021】
なお、試薬には、検査対象物に付加したあと即座に反応して1回目の撮影までに濃度変化が完了してしまうものがある。
そのような試薬に対応するためにも、基準となる濃度値としてグレースケール濃度値の初期値を「0」から「99」までの範囲内で設定しておいてもよい。
その場合、1回目の撮影について得たグレースケール濃度値と、上記の初期値と、の差分から濃度変化量を算出してもよい。
また、試薬の反応速度によっては、2回目の撮影について得た濃度値(「0」から「99」)と、上記の初期値と、の差分から濃度変化量を算出してもよい。
基準となる濃度値として初期値を用いる場合には、試薬反応評価装置10の撮影は1回のみであってもよい。
【0022】
図6(d)に示すように、試薬反応評価装置10は、決定した評価値を検査領域毎(試薬毎)に表示画面に表示する。
試薬反応評価装置10によれば、検査対象物に対して試薬がどのように反応したかを、試薬反応結果を撮像した撮像データにおける明るさの変化に基づいて容易且つ客観的に評価することが出来る。
【0023】
図7は、本実施形態の試薬反応評価装置10の構成を示す図であり、(a)は、ハードウェアによる機能構成を示す図、(b)は、ソフトウェアによる機能構成を示す図である。
図7(a)に示すように、試薬反応評価装置10は、装置全体の制御を行う汎用のオペレーティングシステムを実行するとともに、試薬反応評価装置10の機能を実現するプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)31と、CPU31による処理のために各種のプログラムや一時データ、変数が展開されるRAM(Random Access Memory)32と、プログラムやデータが格納されるフラッシュメモリあるいはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置33や不図示のROM(Read Only Memory)と、を備えている。
また、試薬反応評価装置10は、I/Oインターフェイス34を備え、I/Oインターフェイス34を介してカメラ100(撮像手段)と接続されて撮像データを入力される。
試薬反応評価装置10は、ネットワークI/F36を備え、インターネットに接続可能である。試薬反応評価装置10は、表示装置37を備え、メニュー画面や、設定画面、評価値を含む各種の情報を表示する。
【0024】
CPU31は、試薬反応評価装置10が備えて制御部を実現する制御回路の一例であり、制御回路としては、その他にマルチコアCPU、FPGA(Field Programmable Gate Array)、PLD(Programmable Logic Device)などのプロセッサを適用することが出来る。
記憶装置33としてのHDDは、内蔵するハードディスク(Hard Disk)を駆動するドライブ装置であり、HDDは記憶媒体としてのハードディスクに格納されたプログラムやデータを読み出し、またハードディスクにデータを書き込む。
記憶装置33としてのフラッシュメモリは、FETでホットエレクトロンを浮遊ゲートに注入してデータ記録を行う不揮発性メモリである。フラッシュメモリは、スマートフォン等でHDDを代替する記録メディアとして利用される。
【0025】
また、試薬反応評価装置10は、FD(Floppy Disk)、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標) Disk)などの光学ディスク、フラッシュメモリなどの着脱可能な記憶媒体200に対してプログラムやデータを読み書きする読書装置35を備えてもよい。
読書装置35は、FDD(Floppy Disk Drive)、CDD(Compact Disc Drive)、DVDD(Digital Versatile Disc Drive)、BDD(Blu-ray(登録商標) Disk Drive)、USB(Universal Serial Bus)などである。
CPU31、RAM32、記憶装置33、I/Oインターフェイス34、読書装置35、ネットワークI/F36は例えば内部バスを介して接続されている。
【0026】
また図4(b)に示すように、CPU31は、制御部30Aとして、撮像制御部41、濃度算出処理部42、濃度変化量算出処理部43、スコア(評価値)算出処理部44、表示制御部45、設定受付処理部46、校正処理部47、通信制御部48を実行する。
これらの処理部は、試薬反応評価装置10の制御部30Aの機能を実現するプログラムであり、当該プログラムは、記憶装置33としてのHDDに含まれるハードディスクや記憶媒体200に格納され得る。プログラムは、HDDや読書装置35によってハードディスクや記憶媒体200からRAM32に読み出されてCPU31によって実行される。
試薬反応評価装置10の制御部30Aの機能を実現するプログラムは、記憶装置33としてのフラッシュメモリに格納され得、プログラムは、フラッシュメモリからRAM32に読み出されてCPU31によって実行される。
記憶装置33やRAM32は、試薬反応評価装置10の記憶部30Bを構成する。
記憶部30Bは、撮像データ記憶部51、算出濃度記憶部52、算出変化量記憶部53、決定スコア記憶部54、設定記憶部55を備える。
【0027】
撮像制御部41は、設定記憶部55に記憶される設定値に応じてカメラ100を制御して検査キット20を2回撮像し、1回目の撮像データ(第1撮像データ)、2回目の撮像データ(第2撮像データ)を撮像データ記憶部51に格納する処理を行う。
濃度算出処理部42は、上記に説明した方法によって、撮像データ記憶部51に格納した1回目の撮像データ、2回目の撮像データにおける第1検査領域21~第4検査領域24に対応する領域のグレースケール濃度値(「0」~「99」)を算出し、算出濃度記憶部52に格納する処理を行う。
濃度変化量算出処理部43は、算出濃度記憶部52に格納した1回目のグレースケール濃度値、2回目のグレースケール濃度値に基づいてグレースケール濃度値の差分を、検査領域毎に、濃度変化量として算出し、算出変化量記憶部53に格納する処理を行う。
濃度変化量算出部43は、1回目又は2回目のグレースケール濃度値と所定の初期値との差分に基づいて濃度変化量を算出してもよい。
スコア決定処理部44は、算出変化量記憶部53に格納した検査領域毎の濃度変化量に応じて検査領域毎(試薬毎)にスコアを決定し、決定スコア記憶部54に格納する処理を行う。
表示制御部45は、決定スコア記憶部54に格納したスコアを表示装置37に表示する制御を行う。
【0028】
設定受付処理部46は、カメラ100のピントの設定、カメラ100の明るさ(露出)の設定、カメラ100の撮像時間間隔の設定、カメラ100の画角内の検査領域に対応する座標の設定を受け付け、設定情報を設定記憶部55に格納する処理を行う。
校正処理部47は、カメラ100を制御して撮像を行い、黒の校正、白の校正を行い、校正情報を設定記憶部55に格納する処理を行う。
通信制御部48は、ネットワークI/F36を制御して試薬反応評価装置10をネットワークに接続する制御を行い、外部装置との通信を可能とする。
【0029】
図8は、本実施形態のキャリブレーション処理を説明するフローチャートである。
CPU31(設定受付処理部46)は、ステップS101において、キャリブレーションの開始操作が行われたか否かを判定する。
キャリブレーションの開始操作が行われたと判定した場合(ステップS101でYes)、CPU31(設定受付処理部46)は、ステップS102において、利用者の操作に応じてカメラ100のピントを設定し、設定情報を設定記憶部55に格納する。
【0030】
次に、ステップS103において、CPU31(設定受付処理部46)は、利用者の操作に応じてカメラ100の明るさ(露出)を設定し、設定情報を設定記憶部55に格納する。
次に、ステップS104において、CPU31(設定受付処理部46)は、利用者の操作に応じて撮像時間間隔を設定し、設定情報を設定記憶部55に格納する。
次に、ステップS105において、CPU31(設定受付処理部46)は、利用者の操作に応じてカメラ100の画角内における検査領域に対応する領域の設定を受け付け、設定情報(領域の座標)を設定記憶部55に格納する。
次に、ステップS106において、CPU31(校正処理部47)は、カメラ100の白色の校正と黒色の校正を行い、校正情報を設定記憶部55に格納し、今回のキャリブレーション処理を終了する。
【0031】
図9は、本実施形態の試薬反応評価処理を説明するフローチャートである。
ステップS201において、CPU31(撮像制御部41)は、評価開始操作が行われたか否かを判定する。
評価開始操作が行われたと判定した場合(ステップS201でYes)、CPU31(撮像制御部41)は、ステップS202においてキャリブレーション済みであるか否かを判定する。
キャリブレーション済みではない(設定記憶部55に設定情報、校正情報が格納されていない)と判定した場合(ステップS202でNo)、CPU31(撮像制御部41)は何もせず、今回の試薬反応評価処理を終了する。
キャリブレーション済みである(設定記憶部55に設定情報、校正情報が格納されている)と判定した場合(ステップS202でYes)、CPU31(撮像制御部41)は、ステップS203において、1回目の撮像を実行する。
CPU31(撮像制御部41)は、ステップS204において、撮像データを撮像データ記憶部51に格納し、ステップS205において、設定された撮像時間間隔の計時を開始して今回の処理を終了する。
【0032】
ステップS201において、評価開始操作が行われていないと判定した場合(ステップS201でNo)、CPU31(撮像制御部41)は、ステップS211において、計時開始から撮像時間間隔が経過したか否かを判定する。
設定時間が経過していないと判定した場合(ステップS211でNo)、CPU31(撮像制御部41)は何もせず、今回の試薬反応評価処理を終了する。
設定時間が経過したと判定した場合(ステップS211でYes)、CPU31(撮像制御部41)は、ステップS212において2回目の撮像を実行し、ステップS213において撮像データを撮像データ記憶部51に格納する。
【0033】
2回の撮像が終了すると、CPU31(濃度算出処理部42)は、ステップS214において、上記に説明した方法によって、1回目の撮像データにおける第1検査領域21~第4検査領域24に対応する領域のグレースケール濃度値(「0」~「99」)を算出し、記憶部30Bに格納する。ついで、CPU31(濃度算出処理部42)は、ステップS215において、2回目の撮像データにおける第1検査領域21~第4検査領域24に対応する領域のグレースケール濃度値(「0」~「99」)を算出し、算出濃度記憶部52に格納する。
CPU31(濃度変化量算出部43)は、ステップS216において、1回目と2回目のグレースケール濃度値の差分に基づく濃度変化量を、検査領域毎に算出し、記憶部30B(算出変化量記憶部53)に格納する。
CPU31(濃度変化量算出部43)は、ステップS216において、1回目又は2回目のグレースケール濃度値と所定の初期値との差分に基づいて、検査領域毎の濃度変化量を算出してもよい。
CPU31(スコア決定処理部44)は、ステップS217において、濃度変化量に基づく評価値を検査領域毎(試薬毎)に決定し、決定スコア記憶部54に格納する。
CPU31(表示制御部45)は、ステップS218において、決定した評価値を検査領域毎(試薬毎)に表示装置37に表示させて、今回の試薬反応評価処理を終了する。
試薬反応評価装置10は、ステップS201の判定開始操作後、検査対象物の提供に係る検査対象者を特定する情報(ID情報)を入力させて、評価値と関連づけて保持するようにしてもよい。
【0034】
図10は、本実施形態における他の実施例を説明するシステム構成図である。
本実施例では、端末装置(スマートフォン)としての試薬反応評価装置10は、撮像した撮像データ等を、ネットワークNWを介して、クラウド上のサービスを提供するサーバ装置300に送信する。
送信された撮像データ等に基づいてサーバ装置300が演算、評価を行い、評価結果を試薬反応評価装置10が表示する。
【0035】
図11は、サーバ装置のハードウェア構成を説明するブロック図である。
図11(a)に示すように、サーバ装置300は、装置全体の制御を行う汎用のオペレーティングシステムを実行するとともに、サーバ装置300の機能を実現するプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)301と、CPU301による処理のために各種のプログラムや一時データ、変数が展開されるRAM(Random Access Memory)302と、プログラムやデータが格納されるHDD(Hard Disk Drive)303や不図示のROM(Read Only Memory)と、を備えている。HDD303に替えて、SSD(Solid State Drive)を用いてもよい。
サーバ装置300は、ネットワークI/F305を備え、インターネットに接続可能である。
【0036】
CPU301は、サーバ装置300が備えて制御部を実現する制御回路の一例であり、制御回路としては、その他にマルチコアCPU、FPGA(Field Programmable Gate Array)、PLD(Programmable Logic Device)などのプロセッサを適用することが出来る。
HDD303は、内蔵するハードディスク(Hard Disk)を駆動するドライブ装置であり、HDD303は記憶媒体としてのハードディスクに格納されたプログラムやデータを読み出し、またハードディスクにデータを書き込む。
【0037】
また、サーバ装置300、FD(Floppy Disk)、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標) Disk)などの光学ディスク、フラッシュメモリなどの着脱可能な記憶媒体310に対してプログラムやデータを読み書きする読書装置304を備えてもよい。
読書装置304は、FDD(Floppy Disk Drive)、CDD(Compact Disc Drive)、DVDD(Digital Versatile Disc Drive)、BDD(Blu-ray(登録商標) Disk Drive)、USB(Universal Serial Bus)などである。
CPU301、RAM302、HDD303、読書装置304、ネットワークI/F305は例えば内部バスを介して接続されている。
【0038】
図12は、サーバ装置で演算、評価を行う実施例における、サーバ装置の機能構成を説明するブロック図である。
図12の場合、端末装置としての試薬反応評価装置10は、制御部30Aとして、撮像制御部41、設定受付処理部46、校正処理部47、通信制御部48を実行する。
記憶部30Bは、撮像データ記憶部51、決定スコア記憶部54、設定記憶部55を備える。
撮像制御部41は、設定記憶部55に記憶される設定値に応じてカメラ100を制御して検査キット20を2回撮像し、1回目の撮像データ、2回目の撮像データを撮像データ記憶部51に格納する処理を行う。
表示制御部45は、通信制御部48がサーバ装置300から受信して決定スコア記憶部54に格納したスコアを表示装置37に表示する制御を行う。
【0039】
設定受付処理部46は、カメラ100のピントの設定、カメラ100の明るさ(露出)の設定、カメラ100の撮像時間間隔の設定、カメラ100の画角内の検査領域に対応する座標の設定を受け付け、設定情報を設定記憶部55に格納する処理を行う。
試薬反応評価装置10は、検査対象物の提供に係る検査対象者を特定する情報(ID情報)を入力させて、評価値と関連づけて保持してもよい。
校正処理部47は、カメラ100を制御して撮像を行い、黒の校正、白の校正を行い、校正情報を設定記憶部55に格納する処理を行う。
通信制御部48は、ネットワークI/F36を制御して試薬反応評価装置10をネットワークに接続する制御を行い、サーバ装置300との通信を可能とする。通信制御部48は、サーバ装置300に撮像データ、設定情報(上記したID情報を含んでもよい)を送信し、サーバ装置300から算出スコアを受信する。
【0040】
サーバ装置300のCPU301は、制御部300Aとして、濃度算出処理部311、濃度変化量算出処理部312、スコア決定処理部313、通信制御部314を実行する。
これらの処理部は、サーバ装置300の制御部300Aの機能を実現するプログラムであり、当該プログラムは、HDD303に含まれるハードディスクや記憶媒体200に格納され得る。プログラムは、HDD303や読書装置304によってハードディスクや記憶媒体310からRAM302に読み出されてCPU301によって実行される。
HDD303やRAM302は、サーバ装置300の記憶部300Bを構成する。
記憶部300Bは、撮像データ記憶部321、算出濃度記憶部322、算出変化量記憶部323、決定スコア記憶部324、設定記憶部325を備える。
【0041】
濃度算出処理部311は、上記に説明した方法によって、端末装置10から通信制御部314が受信して撮像データ記憶部321に格納した1回目の撮像データ、2回目の撮像データにおける、第1検査領域21~第4検査領域24に対応する領域のグレースケール濃度値(「0」~「99」)を算出し、算出濃度記憶部322に格納する処理を行う。
濃度変化量算出処理部312は、算出濃度記憶部322に格納した1回目のグレースケール濃度値、2回目のグレースケール濃度値の差分を、検査領域毎に濃度変化量として算出し、算出変化量記憶部323に格納する処理を行う。
濃度変化量算出部312は、1回目又は2回目のグレースケール濃度値と所定の初期値との差分に基づいて、検査領域毎に、濃度変化量を算出してもよい。
スコア決定処理部313は、算出変化量記憶部323に格納した濃度変化量に応じて検査領域毎(試薬毎)にスコアを決定し、決定スコア記憶部324に格納する処理を行う。
通信制御部314は、ネットワークI/F305を制御してサーバ装置300をネットワークに接続する制御を行い、試薬反応評価装置10との通信を可能とする。通信制御部314は、試薬反応評価装置10に算出スコアを送信し、試薬反応評価装置10から撮像データ、設定情報を受信する。
【0042】
サーバ装置300が備えるデータベース上で個人を特定可能に試薬別の評価値のデータを蓄積し、新たな撮像データが送信されて評価値を決定した場合には、過去の評価値データと結合処理がされるように管理することが出来る。
サーバ装置300上で蓄積される評価のデータは、試薬(製品)ごとにグラフ化されてスマートフォン上で表示することが出来るようにしてもよい。試薬反応評価装置10やその他のスマートフォン上のアプリでは評価結果を例えばAIによって判定し、判定結果に応じてユーザに受診を勧めるなどすることが出来る。評価結果などを病院医師の端末等に送信し、診断に活用してもらうことも考えられる。
上記のように構成したので、本実施形態によれば、試薬反応結果をスマートフォン等で撮像することによって、容易に且つ正確な試薬反応を評価することが出来る。
【0043】
[第1の態様]
本実施形態の第1の態様は、検査キット20上に配置される検査対象物に対する試薬反応結果を評価する試薬反応評価装置10であって、検査対象物に対して試薬を適用したあとで、検査キット20を撮像手段100に撮像させる撮像制御部41と、撮像手段100が撮像した撮像データにおける、試薬反応結果に応じた濃度値を算出する濃度算出処理部42と、濃度算出処理部42が算出した濃度と、基準となる濃度値と、に基づく濃度変化量に基づいて試薬反応結果の評価値を決定する評価値決定処理部43と、を備える。本形態によれば、試薬反応結果をスマートフォン等で撮像することによって、容易に且つ正確な試薬反応を評価することが出来る。
【0044】
[第2の態様]
上記第1の態様の試薬反応評価装置10において、検査キット20は、検査対象物を設ける複数の検査領域を備え、撮像制御部41は、各検査領域に配置される検査対象物に対して異なる試薬を適用したとき、各検査領域について撮像データを撮像可能である。本形態によれば、複数の試薬について容易に且つ正確な試薬反応を評価することが出来る。
【0045】
[第3の態様]
上記第1又は第2の態様の試薬反応評価装置10において、撮像制御部41は、撮像手段100に検査キット20を所定の時間間隔で2回撮像させ、濃度算出処理部42は、撮像手段100が1回目に撮像した第1撮像データと2回目に撮像した第2撮像データとにおける、試薬反応結果に応じた濃度値を算出し、評価値決定処理部43は、第1撮像データにおける試薬反応結果に応じた濃度を基準となる濃度として評価値を決定する。本形態によれば、複数の試薬について容易に且つ正確な試薬反応を評価することが出来る。
【0046】
[第4の態様]
上記第3の態様の試薬反応評価装置10において、時間間隔を利用者に設定させる設定手段46を備える。本形態によれば、試薬の反応時間に合わせて、試薬反応結果を撮像し、容易に且つ正確な試薬反応を評価することが出来る。
【符号の説明】
【0047】
10 試薬反応評価装置(端末装置)、20 検査キット、21 第1検査領域、22 第2検査領域、23 第3検査領域、24 第4検査領域、30A 制御部、30B 記憶部、31 CPU、32 RAM、33 HDD、34 I/Oインターフェイス、35 読書装置、36 ネットワークI/F、37 表示装置、41 撮像制御部、42 濃度算出処理部、43 濃度変化量算出処理部、44 スコア決定処理部、45 表示制御部、46 設定受付処理部、47 校正処理部、48 通信制御部、51 撮像データ記憶部、52 算出濃度記憶部、53 算出変化量記憶部、54 決定スコア記憶部、55 設定記憶部、100 カメラ、200 記憶媒体、300 サーバ装置、300A 制御部、300B 記憶部、301 CPU、302 RAM、303 HDD、304 読書装置、305 ネットワークI/F、310 記憶媒体、311 濃度算出処理部、312 濃度変化量算出処理部、313 スコア決定処理部、314 通信制御部、321 撮像データ記憶部、322 算出濃度記憶部、323 算出変化量記憶部、324 決定スコア記憶部、325 設定記憶部
図1
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12