(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020309
(43)【公開日】2022-02-01
(54)【発明の名称】収納容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20220125BHJP
A47K 10/20 20060101ALI20220125BHJP
A47K 10/42 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
B65D83/08 C
A47K10/20 A
A47K10/42 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020123723
(22)【出願日】2020-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】315002254
【氏名又は名称】ライセンスインターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 啓子
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014LC02
(57)【要約】
【課題】容器本体内のシート材の残量に応じて底板部の高さを調整する。
【解決手段】本体部2内の対向する短辺側の内壁面2c、2dには、複数の略台形状の被係止段部2hが上下方向に等間隔で形成されている。底板部3においては、両側の短辺に、可撓性を有する係止片3cが形成されている。この係止片3cの先端の上面は傾斜面3eとされ、先端の両側において被係止段部2hと当接するようにされている。本体部2内にシート材を収納し、底板部3を本体部2に押し込んでゆくと、底板部3の係止片3cが被係止段部2hに当接し、傾斜面3eにより滑りながら係止片3cが撓んで被係止段部2hを順次に押し上げて係止してゆく。係止片3cは被係止段部2hに当接する度に上方に撓むが、被係止段部2hに対して係止片3cは逆方向には撓むことがなく、底板部3は所定の高さ位置で停止する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方を開放し上面に取出孔を有する箱状の本体部と、該本体部内の任意の高さ位置に係止可能な底板部とから成り、内部に多数の被収納物を収納する収納容器であって、
前記本体部の対向する内壁面のそれぞれには、前記本体部の上下方向に沿って、前記上面と平行する複数段の被係止段部が設けられ、前記底板部には、前記本体部の前記被係止段部と係止する係止片が設けられ、前記底板部を前記本体部内に押し込む過程でのみ前記係止片は可動であり、前記底板部を前記本体部内に押し込むことで、前記本体部内で前記底板部を任意の高さ位置に固定可能であることを特徴とする収納容器。
【請求項2】
前記係止片は肉薄部により可撓性を有することを特徴とする請求項1に記載された収納容器。
【請求項3】
前記肉薄部を中間にして対向して配置された摘み片及びリブを引き寄せることで、前記係止片及び前記被係止段部の係止状態を解除することを特徴とする請求項2に記載された収納容器。
【請求項4】
前記本体部の対向する前記内壁面には、上下方向に2列の条片状の支持板が設けられており、前記被係止段部は、平行する前記支持板の内側面及び前記内壁面間を連結して形成していることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載された収納容器。
【請求項5】
前記底板部の1対の両側の辺には、それぞれ一対のスリットが間隙をおいて設けられており、該スリット間に前記係止片が形成されており、前記スリットの各外側面により前記支持板の外側面を挟持することを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載された収納容器。
【請求項6】
前記被係止段部は、前記本体部の対向する前記内壁面である第1の内壁面と、該第1の内側面と直交して対向する第2の内壁面との間を連結して形成していることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載された収納容器。
【請求項7】
前記本体部の対向する前記内壁面には、所定の板厚を有し、条片状の支持板のみが上下方向に2列以上設けられており、前記被係止段部は、前記支持板に形成されていることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載された収納容器。
【請求項8】
側方から見た前記支持板には、水平個所を1辺とする略三角形から成る前記被係止段部が上下方向に複数形成されていることを特徴とする請求項7に記載された収納容器。
【請求項9】
前記係止片の先端の上面には、傾斜面を有し、前記底板部を前記本体部内に押し込むと、前記傾斜面に前記被係止段部が滑りながら当接した状態で前記係止片が撓み、前記被係止段部を通過することを特徴とする請求項1~8の何れか1項に記載された収納容器。
【請求項10】
前記係止片と前記被係止段部とはラチェット機構を形成することを特徴とする請求項1~9の何れか1項に記載の収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティッシュペーパー等の多数の被収納体を収納し、引出孔から被収納体を取り出し可能とする収納容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シート材を収納する収納容器として、廃棄可能な紙製ボックスに代えて、硬質の合成樹脂製等の箱型の収納容器にシート材を収納して使用されることがある。
【0003】
特許文献1には、この箱型の収納容器であって、容器本体の外面に設けられた複数段の第1の凸条と、蓋体の内面に設けた複数段の第2の凸条とを変段させて係止させるラチェット機構により、蓋体と容器本体の相対的な距離、つまりシート材の収容深さを調整可能にした収納容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1の収納容器において、係止状態を変段するためには、蓋体を下方に押圧すると、蓋体が変形して第2凸条が押し拡がるので、係止状態を変段させることができ、収納容器の高さが変化する。このように、収納容器の高さが変化すると、外面全体にイラストや模様を付してインテリア性を高めた収納容器を採用することが難しいという問題がある。
【0006】
また、蓋体を最も下の位置に押圧したとしても収納容器の高さを所定以下にすることができないので、シート材の残量が極端に少なくなった場合に、シート材が取り出し難くなるという問題もある。
【0007】
本発明の目的は、上述の課題を解消し、外形を変形することなく、かつシート材の残量が少なくなっても取り出しの困難性を伴うことがなく、更に外面全体にイラストや模様を付してインテリア性を高めることが容易な収納容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る収納容器は、下方を開放し上面に取出孔を有する箱状の本体部と、該本体部内の任意の高さ位置に係止可能な底板部とから成り、内部に多数の被収納物を収納する収納容器であって、前記本体部の対向する内壁面のそれぞれには、前記本体部の上下方向に沿って、前記上面と平行する複数段の被係止段部が設けられ、前記底板部には、前記本体部の前記被係止段部と係止する係止片が設けられ、前記底板部を前記本体部内に押し込む過程でのみ前記係止片は可動であり、前記底板部を前記本体部内に押し込むことで、前記本体部内で前記底板部を任意の高さ位置に固定可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る収納容器は、外形を変化させることなく、本体部内のシート材の残量に応じて底板部を適切な高さに調整することが可能であり、本体部の上面の直近まで、底板部を移動させることができるので、シート材の残量が極端に少なくなった場合でも、シート材が取り出し難くなることはない。また、外形が変化することがないので、容器全体を使ったイラストや模様を外面に付してインテリア性を高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は上方から見た収納容器の分解斜視図、
図2は下方から見た分解斜視図である。
【0012】
合成樹脂等から成る収納容器1は、略直方体形状とされ、内部に多数の被収納体を収納可能とされている。これらの被収納体として、シート材Pとして積層させたティッシュペーパーやキッチンペーパー、積層させた使い捨てマスク、又は輪ゴムや使い捨て手袋等を適宜に採用することができる。
【0013】
収納容器1は底面が開放された本体部2と、この本体部2内に押し込み、深さ位置を調整可能な底板部3とから構成されている。本体部2の上面2aには、本体部2内に収納されたシート材Pを1枚ずつ引き出すための長孔から成る引出孔2bが開口されている。
【0014】
また、本体部2内の対向する短辺側の内壁面2c、2dには、係止部2e、2fがそれぞれ設けられている。なお、短辺側の内壁面2c、2dに代えて、長辺側の内壁面に係止部2e、2fを設けるようにしてもよい。
【0015】
各係止部2e、2fは、間隙をおいて、上下方向に設けられた2列の条片状の支持板2gと、これらの平行する支持板2gの内側面及び内壁面2c、2d間を連結し、上下方向に等間隔で形成された被係止段部2hとから構成されている。
【0016】
各被係止段部2hは、上面2aと平行する略台形状の板状をしており、支持板2gの隅部の計4個所に配置されている。被係止段部2hの大きさは、後述する係止片3cによる押圧力に耐え、かつ係止片3cが容易に撓むように、適宜の大きさ、強度を持つものが採用される。
【0017】
底板部3においては、1対の両側の辺である短辺に、それぞれ一対のスリット3a、3bが間隙をおいて、短辺と直交方向に切欠されており、これらのスリット3a、3b内に本体部2の支持板2gが挿入可能とされている。
【0018】
スリット3a、3b間には、本体部2の被係止段部2hと係止する面状の係止片3cが形成されている。なお、この係止片3cの底板部3の先端の一対の外側面3dは、スリット3a、3bの内側面を形成している。
【0019】
係止片3cの本体と連結する根元部は、肉薄部として可撓性を有し、係止片3cの先端の上面は傾斜面3eとされている。また、係止片3cの先端の両外側において、被係止段部2hと当接するようにされている。
【0020】
底板部3の裏面であって、スリット3a、3bの終端近傍には、短辺と平行にリブ3fが立設され、係止片3cの下面にリブ3fと間隔をおき、かつこのリブ3fと平行に摘み片3gが係止片3cから立設している。なお、摘み片3gの両端には、一対の外側面3dが連結し、更に一対の外側面3dの先端には、傾斜面3eの両端が連結している。また底板部3には、軽量化のために複数の切抜孔3hが適宜に設けられている。
【0021】
このような収納容器1において、ティッシュペーパー等を積層したシート材Pを収納する際には、本体部2を裏返して、本体部2内にシート材Pを収納した後に、
図3に示すように、底板部3を本体部2の開放部から、傾斜面3eを本体部2の上面側に向け、スリット3a、3bを支持板2gの片部に嵌入する。
【0022】
底板部3を押し込んでゆくと、係止片3cの傾斜面3eに被係止段部2hが滑りながら当接した状態で、係止片3cが撓んで被係止段部2hを順次に押し上げながら潜り抜け、係止してゆく。
【0023】
係止片3cと被係止段部2hとは、ラチェット機構として機能し、底板部3を上から下の押込方向Kに押し込んでゆくと、係止片3cは被係止段部2hに傾斜面3eが当接する度に、押圧力により上方に撓む。そして、係止片3cが上方に撓んだ、つまり押込方向Kと反対側の戻り方向に撓んだ後に、係止している被係止段部2hを通過し、1段下の被係止段部2hに係止される。
【0024】
通過した被係止段部2hに対して、係止片3cは逆方向には撓むことがなく、戻り方向への移動が規制される。そして、底板部3の押し込みを停止すれば、底板部3はこの当接した被係止段部2hの位置で戻り方向に対して固定され、本体部2に対する底板部3の高さ位置が固定される。
【0025】
図4は収納容器1の断面図を示し、収納容器1にはシート材Pが収容されており、引出孔2bからシート材Pを1枚ずつ引き出して使用する。シート材Pを或る程度使用すると、底板部3を本体部2内に押し込んでゆき、残りのシート材Pを引き出し易い高さ位置に調整する。
【0026】
収納したシート材Pを全て使い終わり、再びシート材Pを収納するためには、本体部2から底板部3を取り外す。本体部2から底板部3を取り外す際は、先ず収納容器1を
図3に示すように裏返して、底板部3の片側又は両側の摘み片3gと、リブ3fとを指で引っ掛けて、摘み片3gをリブ3f側に引き寄せる。
【0027】
肉薄部を中間にして対向して配置された摘み片3g及びリブ3fを引き寄せることで、係止片3cは上方に撓み、つまり押込方向Kと反対側の戻り方向に撓み、高さ位置が固定された被係止段部2hとの係止状態が解除される。続いて、被係止段部2hとの係止状態を解除した底板部3を、上方に引き出すことで、本体部2から底板部3を取り外すことができる。
【0028】
実施例においては、スリット3a、3bの各外側面により支持板2gの外側面を挟持することで、底板部3が本体部2内で横ずれすることなく、底板部3を移動させることが可能である。このため、底板部3にスリット3a、3bを設ければ、本体部2の底面と、底板部3の外形とを略一致させる必要はない。
【0029】
また、底板部3に必ずしもスリット3a、3bを形成する必要はなく、係止片3cの両側に位置する底板部3の角部を切り欠いた状態であってもよい。このような場合は、底板部3の横ずれを防止するために、本体部2の底面と、底板部3の外形とを略一致させる必要がある。
【0030】
また、支持板2gを設けずに、本体部2の内側隅部である、短辺側の内壁面2c、2dと、内壁面2c、2dと直交して対向する長辺側の内壁面との間を連結して被係止段部2hを設けることもできる。この場合には、底板部3の短辺全体を係止片3cとすることになる。更に、係止片3cは底板部3の四隅にそれぞれ部分的に設けることも可能である。
【0031】
なお、本体部2は略直方体形状としたが、底面が楕円形等の箱状体を適宜に採用することもでき、底板部3は本体部2の形状に対応させればよい。
【0032】
図5は、別の実施形態の収納容器1’の断面図であり、図示するように側方から見た支持板2gには、1辺を水平とする三角形が上下方向に等間隔に形成されており、これらの上面2aと平行する水平個所を1辺とする三角形が被係止段部2h’としている。
【0033】
図5に示す収納容器1’の内壁面2c、2dには、水平面状である
図2に示す被係止段部2hは不要となり、水平個所を有する被係止段部2h’を設けた支持板2gのみが配置されることになる。
【0034】
また、これらの被係止段部2h’に係止するために底板部3の短辺側中央には、1対の支持板2g間の長さよりも長い横幅を有する係止片3cが配置されている。この係止片3cを配置した底板部3には、スリット3a、3bを設ける必要はない。
【0035】
被係止段部2h’には底板部3の係止片3cが当接し、押圧力が掛かるため、破損を回避する強度を得るように、被係止段部2h’の側方形状を直角三角形としている。また、直角三角形の斜辺と、この斜辺と当接する係止片3cの傾斜面3eとを平行にすることで、底板部3を押込方向Kに押し込みし易くしている。
【0036】
支持板2gの強度を得るように、支持板2gは適宜の板厚のものを採用する。更には、1段当たりの被係止段部2h’に当接する係止片3cの押圧力を分散させるために、支持板2gを内壁面2c、2dに平行して3列以上、配置するようにしてもよい。また、被係止段部2h’の水平個所に所定の強度を有するのであれば、直角三角形にする必要はなく、適宜の形状を採用することもできる。
【0037】
このように、本発明に係る収納容器1、1’は、底板部3を本体部2内に押し込む過程でのみ係止片3cは可動であるラチェット機構を採用し、外形を変化させることなく、本体部2内のシート材の残量に応じて底板部3を適切な高さに調整することが可能である。従って、収納容器1、1’の全体を使ったイラストや模様を外面に付してインテリア性を高めた収納容器1、1’を製造することが可能である。
【0038】
また、本体部2の上面2aの直近まで、底板部3を移動させることができるので、シート材Pの残量が極端に少なくなった場合でも、シート材Pが取り出し難くなることはない。
【0039】
また、実施例において、上下方向は図面に対しての説明であり、実際の製品がこれらの用語によって限定されるものではない。
【符号の説明】
【0040】
1、1’ 収納容器
2 本体部
2a 引出孔
2c、2d 内壁面
2e、2f 係止部
2g 支持板
2h、2h’ 被係止段部
3 底板部
3a、3b スリット
3c 係止片
3e 傾斜面
P シート材