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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020390
(43)【公開日】2022-02-01
(54)【発明の名称】アンコイラ
(51)【国際特許分類】
   B21D 43/02 20060101AFI20220125BHJP
   B21D 43/09 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
B21D43/02 H
B21D43/09 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020123857
(22)【出願日】2020-07-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 展示会名:MF-TOKYO 2019 第6回プレス・板金・フォーミング展, 展示日:2019年(令和元年)7月31日~8月3日, 主催者:一般社団法人日本鍛圧機械工業会(東京都港区芝公園3丁目5番8号 機械振興会館308号)及び株式会社日刊工業新聞社(東京都中央区日本橋小網町14-1), 開催場所:東京ビッグサイト西1・2&南1・2ホール(東京都江東区有明3-11-1), 公開者:伊達機械株式会社, 展示品:レベラーフィーダー NCSAXL-400(特)
(71)【出願人】
【識別番号】592103327
【氏名又は名称】伊達 興代
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】伊達 興代
(57)【要約】
【課題】コイルの外径の大小に関わらず、コイルから繰り出されるウェブの先端を所定の位置に誘導できるようにする。
【解決手段】アンコイラ1が、ウェブ98が巻回されたコイル99が装着される主軸3と、主軸3を回転駆動するブレーキ付きモータ4と、コイル99の外周面から離れた位置に設けられたフィードロール21と、フィードロール21に対して接離するピンチロール22と、フィードロール21及びピンチロール22から正回転方向へ離れた支点から、フィードロール21及びピンチロール22とコイル99の外周面との間へ延びるとともに、コイル99の外周面に接離するように揺動可能に設けられた揺動杆61と、揺動杆61から逆回転方向に進出可能且つ揺動杆61へ正回転方向に後退可能に設けられた進退ロッド62と、揺動杆61を揺動させる揺動アクチュエータ64と、進退ロッド62を進出及び後退させる進退アクチュエータ65と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブが巻回されたコイルが装着される主軸と、
前記主軸を回転駆動する回転駆動部と、
前記コイルの外周面から離れた支点から、前記ウェブが前記コイルから繰り出される正回転方向の逆方向へ延びるとともに、前記コイルの外周面に接離するように揺動可能に設けられた揺動杆と、
前記揺動杆から前記正回転方向の逆方向に進出可能且つ前記揺動杆へ前記正回転方向に後退可能に設けられた進退ロッドと、
前記揺動杆を揺動させる揺動駆動部と、
前記進退ロッドを進出及び後退させる進退駆動部と、
を備えるアンコイラ。
【請求項2】
前記揺動杆及び前記進退ロッドが前記コイルの外周面に沿うよう弓形状に湾曲している
請求項1に記載のアンコイラ。
【請求項3】
前記進退ロッドの先端に設けられた摺接部材を更に備える
請求項1又は2に記載のアンコイラ。
【請求項4】
前記揺動駆動部が前記揺動杆を前記コイルの外周面の方へ揺動させ、その後、前記回転駆動部が前記主軸及び前記コイルを前記正回転方向に回転駆動し、その後、前記進退駆動部が前記進退ロッドを進出させ、その後、前記揺動駆動部が前記揺動杆を前記コイルの外周面から離すよう揺動させ、その後、前記回転駆動部が前記主軸及び前記コイルを前記正回転方向に回転駆動する
請求項1から3の何れか一項に記載のアンコイラ。
【請求項5】
前記コイルの外周面から径方向外側に離れた位置に設けられたフィードロールと、
前記フィードロールに対して接離するピンチロールと、を更に備え、
前記支点が、前記フィードロール及び前記ピンチロールから前記正回転方向に離れた位置に設けられ、
前記揺動杆が、前記支点から前記フィードロール及び前記ピンチロールと前記コイルの外周面との間へ延びる
請求項1から4の何れか一項に記載のアンコイラ。
【請求項6】
前記フィードロールを回転駆動するフィードモータを更に備える
請求項5に記載のアンコイラ。
【請求項7】
前記フィードロールに前記ピンチロールを接離させる接離駆動部を更に備える
請求項6に記載のアンコイラ。
【請求項8】
前記揺動駆動部が前記揺動杆を前記コイルの外周面の方へ揺動させ、その後、前記回転駆動部が前記主軸及び前記コイルを前記正回転方向に回転駆動し、その後、前記進退駆動部が前記進退ロッドを進出させ、その後、前記揺動駆動部が前記揺動杆を前記コイルの外周面から前記フィードロールの方へ揺動させ、その後、前記回転駆動部が前記主軸及び前記コイルを前記正回転方向に回転駆動し、その後、前記接離駆動部が前記ピンチロールを前記フィードロールに近接させ、その後、前記フィードモータが前記フィードロールを回転駆動する
請求項7に記載のアンコイラ。
【請求項9】
前記フィードモータが前記フィードロールを回転駆動することによって前記コイルから引き出される前記ウェブの先端をレベラーの上流側まで誘導させる誘導部と、
前記レベラーの上流側から前記レベラーの導入部まで移動可能に設けられたプッシャーと、
前記プッシャーを駆動する押し込み駆動部と、
を備える請求項8に記載のアンコイラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルからウェブを繰り出すアンコイラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプレス加工ラインには、アンコイラ、レベラー及びプレス機が設置されている。アンコイラは、鋼製のウェブが巻回されてなるコイルを解いてウェブを繰り出すものである。レベラーは、アンコイラから供給されたウェブを矯正するものである。プレス機は、レベラーから供給されたウェブをプレス加工するものである。
【0003】
特許文献1には、コイルから繰り出されるウェブを挟み込む一対のピンチロールを備えるアンコイラが開示されている。このピンチロールはコイルの外周面の近くに設けられており、このピンチロールが回転駆動されることによって、ウェブがコイルから引き出される。
【0004】
このアンコイラは自動通板機能を有する。自動通板機能とは、アンコイラの主軸に装着されたコイルから繰り出されるウェブの先端をレベラーまで自動的に送って、そのウェブを決まった経路に沿わせる機能のことをいう。このアンコイラは一対のピンチロールによってウェブを引き出すものであるため、自動通板の際にウェブの先端が一対のピンチロールの間に誘導される必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-103243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、様々な外径のコイルがアンコイラに使用される。特許文献1に記載の技術では、コイルの外径が小さい場合、コイルの外周面から一対のピンチロールまでの距離が長くなるので、ウェブの先端を一対のピンチローラの間にまで誘導できない虞がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、コイルの外径の大小に関わらず、コイルから繰り出されるウェブの先端を所定の位置に誘導できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するための主たる発明は、ウェブが巻回されたコイルが装着される主軸と、前記主軸を回転駆動する回転駆動部と、前記コイルの外周面から離れた支点から、前記ウェブが前記コイルから繰り出される正回転方向の逆方向へ延びるとともに、前記コイルの外周面に接離するように揺動可能に設けられた揺動杆と、前記揺動杆から前記正回転方向の逆方向に進出可能且つ前記揺動杆へ前記正回転方向に後退可能に設けられた進退ロッドと、前記揺動杆を揺動させる揺動駆動部と、前記進退ロッドを進出及び後退させる進退駆動部と、を備えるアンコイラである。
【0009】
好ましくは、前記揺動駆動部が前記揺動杆を前記コイルの外周面の方へ揺動させ、その後、前記回転駆動部が前記主軸及び前記コイルを前記正回転方向に回転駆動し、その後、前記進退駆動部が前記進退ロッドを進出させ、その後、前記揺動駆動部が前記揺動杆を前記コイルの外周面から離すよう揺動させ、その後、前記回転駆動部が前記主軸及び前記コイルを前記正回転方向に回転駆動する。
【0010】
以上のように、進退駆動部が進退ロッドを進出させることによって、進退ロッドの先端がコイルの外周面とウェブとの間に位置する。そして、揺動駆動部が揺動杆をコイルの外周面から離れるよう揺動させることによって、ウェブの先端がコイルから引き剥がされる。そして、回転駆動部が主軸及びコイルを正回転方向に回転駆動すると、ウェブが進退ロッドによって誘導され、ウェブの先端が所定の位置にまで誘導される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、コイルの外径の大小に関わらず、コイルから繰り出されるウェブをコイルから引き剥がすことができ、そのウェブの先端を所定の位置にまで誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】アンコイラの側面図である。
図2】初期状態となったアンコイラの側面図である。
図3図2に示す状態の後の状態となったアンコイラの側面図である。
図4図3に示す状態の後の状態となったアンコイラの側面図である。
図5図4に示す状態の後の状態となったアンコイラの側面図である。
図6図5に示す状態の後の状態となったアンコイラの側面図である。
図7図6に示す状態の後の状態となったアンコイラの側面図である。
図8図7に示す状態の後の状態となったアンコイラの側面図である。
図9図8に示す状態の後の状態となったアンコイラの側面図である。
図10図9に示す状態の後の状態となったアンコイラの側面図である。
図11図10に示す状態の後の状態となったアンコイラの側面図である。
図12図11に示す状態の後の状態となったアンコイラの側面図である。
図13図12に示す状態の後の状態となったアンコイラの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0014】
図1はアンコイラ1の側面図である。図1の紙面に向かって左がアンコイル1における後ろであり、図1の紙面に向かって右がアンコイル1における前である。本実施形態においては、重力の向きが図1の紙面に向かって下向きであるものの、アンコイラ1及びレベラー80の設置の向き・姿勢を設計変更して、重力の向きが図1の紙面に向かって下向きにならなくてもよい。
アンコイラ1がレベラー80の後方に設けられており、レベラー80がアンコイラ1の機枠2の前部の上に搭載されている。
【0015】
主軸3は、その中心軸が左右方向(図1の紙面に垂直な方向)に水平に延びるようにして、ベアリング等を介して機枠2に回転可能に取り付けられている。ここで、左右方向とは、図1の紙面に対して直交する方向をいう。
【0016】
主軸3は、伝動機構を介して、回転駆動部としてのブレーキ付きモータ4に連結されている。主軸3は、ブレーキ付きモータ4から回転動力を付与されて、ブレーキ付きモータ4によって回転駆動される。ブレーキ付きモータ4から主軸3に回転動力が付与されていない場合、主軸3がブレーキ付きモータ4から抵抗力を付与されて、ブレーキ付きモータ4によって制動される。ブレーキ付きモータ4は、マイコン又はプログラマブルロジックコントローラ等からなる制御部90によって制御される。
【0017】
主軸3には、鋼材等からなるウェブ98が巻回されてなるコイル99が装着されている。主軸3は、その径が拡大及び縮小可能なマンドレルである。主軸3がコイル99の内側に挿入された状態で主軸3が拡径することによって、コイル99が主軸3に装着される。主軸3が縮径することによって、コイル99を主軸3から取り外すことができる。
【0018】
ここで、主軸3及びコイル99の回転の向きについては、次のように定義する。すなわち、ウェブ98がコイル99から繰り出される回転の向きを正回転方向といい、ウェブ98がコイル99に巻かれる回転の向きを逆回転方向という。つまり、図1において、逆時計回りの向きを正回転方向といい、時計回りの向きを逆回転方向という。
【0019】
主軸3の後ろ側には、コイル99の外周面を押さえるコイル押さえ10が設けられている。コイル押さえ10は揺動アーム11、押さえロール12及びアクチュエータ13を有する。揺動アーム11の基端が主軸3の後方において機枠2に回転可能に取り付けられている。揺動アーム11がその基端から前方斜め上に延びており、基端を支点にして振り上げ・振り下げ可能に設けられている。揺動アームの先端には、押さえロール12が自転可能に取り付けられている。揺動アーム11の基端がアクチュエータ13に連結され、そのアクチュエータ13が機枠2に連結されている。アクチュエータ13は例えばエアシリンダであって、制御部90によって制御される。アクチュエータ13によって揺動アーム11が前方へ振り下げられると、押さえロール12がコイル99の外周面に押し付けられる。アクチュエータ13はコイル99の径の大小によらず押さえロール12をコイル99の外周面に押し付ける荷重を付与する。アクチュエータ13によって揺動アーム11が後方へ振り上げられると、押さえロール12がコイル99の外周面から離間する。
【0020】
フィードロール21及びピンチロール22は、コイル99の外周面から径方向外側に離れた位置に設けられている。具体的には、フィードロール21及びピンチロール22は、主軸3の下方斜め後ろに設けられている。フィードロール21はベアリング等を介して機枠2に回転可能に取り付けられている。フィードロール21にはフィードモータ20が連結されている。ピンチロール22はフィードロール21の前側において前後方向にフィードロール21に対して接離可能に設けられている。具体的には、ピンチロール22がリンク23に連結され、リンク23が揺動可能に機枠2に取り付けられ、リンク23の揺動によりピンチロール22がフィードロール21に対して接離する。リンク23が接離アクチュエータ24に連結され、その接離アクチュエータ24が機枠2に連結されている。接離アクチュエータ24がリンク23を揺動させることによって、ピンチロール22がフィードロール21に対して接離する。接離アクチュエータ24は例えばエアシリンダであって、制御部90によって制御される。
【0021】
コイル99から引き出されたウェブ98は下方へフィードロール21まで導かれて、フィードロール21とピンチロール22との間に挟まれている。フィードロール21がフィードモータ20によって回転駆動されると、ウェブ98がコイル99から引き出される。フィードモータ20は制御部90によって制御される。
【0022】
主軸3の下方斜め前には、前後一対のポスト31が後傾するよう立設されている。これら一対のポスト31はリンク機構32によって左右方向に互いに接離可能となっている。リンク機構32がアクチュエータ33に連結されており、アクチュエータ33の動力により一対のポスト31が互いに接離する。アクチュエータ33は例えばエアシリンダであって、制御部90によって制御される。
ウェブ98は、撓んだ状態でフィードロール21及びピンチロール22から一対のポスト31の間に導かれて、ポスト31の間に挟まれている。これによって、左右方向つまり幅方向におけるウェブ98の位置が決まる。
【0023】
ポスト31の前方斜め上には、ガイドロール47,48が設けられている。ガイドロール47,48はベアリング等を介して機枠2に回転可能に取り付けられている。ガイドロール47の前方には、ウェブ98を矯正するレベラー80が設けられている。ウェブ98は、一対のポスト31からガイドロール47,48を経由してレベラー80に導かれている。
【0024】
レベラー80は上流側フィーダ81と、複数の下ワークロール82と、複数の上ワークロール83と、下流側フィーダ84と、モータ85とを有する。
上流側フィーダ81は、ガイドロール48の右側に設けられた上下一対のピンチロール81a,81bからなる。この上流側フィーダ81は、レベラー80にウェブ98が導入される導入部である。
下ワークロール82は、上流側フィーダ81の右方において前後方向に等ピッチで配列されている。上ワークロール83は、下ワークロール82の上方において左右方向に等間隔で配列されている。そのため、下ワークロール82と上ワークロール83が千鳥状配列となっている。
【0025】
下流側フィーダ84は、ワークロール82,83の前側に設けられた上下一対のピンチロール84a,84bからなる。これらロール81a,81b,82,83,84a,84bが伝動機構等を介してモータ85に接続されて、モータ85によって回転駆動される。
【0026】
レベラー80まで導かれたウェブ98は、順に、ピンチロール81aとピンチロール81bの間、下ワークロール82と上ワークロール83との間、ピンチロール84aとピンチロール84bの間に通されている。レベラー80の前方には、レベラー80によって矯正されたウェブ98をプレス加工するプレス装置が設けられている。
【0027】
レベラー80及びプレス装置の動作中は、フィードモータ20が常に動作し、ウェブ98がコイル99から連続的に引き出される。フィードモータ20の動作中、ブレーキ付きモータ4が回転動力を主軸3に付与せず、フィードモータ20による引張力に抗する抵抗力が主軸3に付与されため、ウェブ98に適切な張力が作用する。
【0028】
フィードモータ20が制御部90によって定速制御されるため、単位時間当たりのウェブ98の引出長さが一定である。レベラー80においては、レベラー80のモータ85が制御部90によって制御されることによって、そのモータ85がプレス装置の動作に合わせて間欠的に動作し、ウェブ98が間欠的に送られる。従って、レベラー80のモータ85が一時的に停止する時には、フィードロール21から上流側フィーダ81までのウェブ98のたわみ量が増大し、レベラー80のモータ85が動作する時には、フィードロール21から上流側フィーダ81までのウェブ98のたわみ量が減少する。
【0029】
ウェブ98が上流側フィーダ81から下流側フィーダ84まで下ワークロール82と上ワークロール83との間を通過する際に、これらワークロール82,83によって交番的なウェブ98の曲げが繰り返されるため、ウェブ98が矯正される。
【0030】
このアンコイラ1は通板機能を有している。図2に示すように作業者がコイル99を主軸3に装着した後に、ウェブ98の先端98aがアンコイラ1の通板機能によって自動的にレベラー80まで誘導される。以下、通板機能を実現するための構成について具体的に説明する。
【0031】
主軸3の後方から後方斜め下にかけて、ウェブ98の先端98aを誘導するガイドプレート41が機枠2に固定されている。このガイドプレート41は主軸3の中心軸を中心にした円弧状に湾曲している。ガイドプレート41は主軸3の後方の位置からフィードロール21の後方斜め上の位置まで円弧状に延びている。
【0032】
ガイドプレート41の下且つフィードロール21の上において、ウェブ98の先端98aを誘導するガイドプレート42が機枠2に固定されている。このガイドプレート42は、ガイドプレート41の下端から、フィードロール21とピンチロール22との間の上方の位置まで右下りに傾斜している。ガイドプレート42の前方且つピンチロール22の上方において、ウェブ98の先端98aを受ける受けプレート43が機枠2に固定されている。この受けプレート43は、ピンチロール22の上方から、フィードロール21とピンチロール22との間の上方の位置まで左下りに傾斜している。受けプレート43の下端がガイドプレート42の下端から前に離間しており、受けプレート43の下端とガイドプレート42の下端との間の隙間がウェブ98を通すための導入口となっている。
【0033】
ガイドプレート42の近傍には、ウェブ98の先端98aを検出するセンサ51が設けられている。このセンサ51は、主軸3に向けて投光する反射型光センサである。ウェブ98の先端98aがセンサ51と主軸3とを結ぶ線を前方に通過すると、ウェブ98の先端98aがセンサ51によって検出される。センサ51の出力信号が制御部90に入力される。
【0034】
フィードロール21及びピンチロール22の下方において、ウェブ98の先端98aを誘導する誘導プレート44が機枠2に固定されている。誘導プレート44は前下りに傾斜している。
【0035】
誘導プレート44の下端からポスト31の後方にかけて、誘導プレート45が機枠2に固定されている。誘導プレート45は誘導プレート44の下端から前方に延びて、それに続いて、ポスト31の前側からポスト31の後方へ前上がりに傾斜している。ポスト31は、誘導プレート45の前上がり傾斜部を貫通して設けられている。
【0036】
ポスト31の下端の前方すぐ近くには、ウェブ98の先端98aを検出するセンサ52が設けられている。このセンサ52は、ポスト31の上端に向けて投光する反射型光センサである。ウェブ98の先端98aが一対のポスト31の間を前方に通過すると、ウェブ98の先端98aがセンサ52によって検出される。センサ52の出力信号が制御部90に入力される。
【0037】
誘導プレート45の前端の前方斜め上において、誘導プレート46が機枠2に固定されている。この誘導プレート46は、誘導プレート45の前上がり傾斜部よりも高勾配で、前上がりに傾斜している。ガイドロール47がこの誘導プレート46の上端の前方斜め上すぐ近くに配置されており、ガイドロール48がガイドロール47の前方斜め上に配置されている。
【0038】
誘導プレート46及びガイドロール47,48の上方において、規制プレート49が機枠2に固定されている。規制プレート49は後方に向かって下へ湾曲しており、規制プレート49の前端はレベラー80の上流側フィーダ81の上流側、すなわち後方のすぐ近くに配置されている。
【0039】
規制プレート49の後端の後方すぐ近くには、ウェブ98の先端98aを検出するセンサ53が設けられている。このセンサ53は、規制プレート49の前端に向けて投光する反射型光センサである。ウェブ98の先端98aが規制プレート49の下方から規制プレート49に近づくと、ウェブ98の先端98aがセンサ53によって検出される。センサ53の出力信号が制御部90に入力される。
【0040】
主軸3の下方には、ウェブ98の先端98aを振り払うことによってコイル99の外周面からウェブ98を分離させるとともに、ウェブ98の先端98aをフィードロール21に案内する案内装置60が設けられている。この案内装置60は、揺動杆61、進退ロッド62、摺接部材63、揺動アクチュエータ64及び進退アクチュエータ65を有する。
【0041】
揺動杆61の基端が主軸3の前方斜め下において回転可能に機枠2に連結されている。揺動杆61は、基端からフィードロール21及びピンチロール22とコイル99の外周面との間に後方へ延びている。別の言い方をすると、揺動杆61の基端がフィードロール21及びピンチロール22から正回転方向に離れた位置において機枠2に連結されており、揺動杆61が基端から逆回転方向へ延びている。そのため、揺動杆61はその基端を支点として振り上げ及び振り下げ可能に設けられている。揺動杆61が振り上げられると、揺動杆61がコイル99の外周面に近づき、揺動杆61が振り下げられると、揺動杆61がフィードロール21及びピンチロール22に近づく。揺動杆61はコイル99の外周面に沿うように弓形状に湾曲している。
【0042】
揺動杆61の基端が軸及びリンク等を介して揺動アクチュエータ64に連結され、その揺動アクチュエータ64が機枠2に連結されている。揺動アクチュエータ64は例えばエアシリンダであって、制御部90によって制御される。揺動アクチュエータ64は、揺動杆61を振り上げ及び振り下げるように揺動杆61を駆動する。
【0043】
揺動杆61が管状に設けられており、その揺動杆61に進退ロッド62が挿入されている。進退ロッド62も揺動杆61と同様にコイル99の外周面に沿うように弓形状に湾曲している。進退ロッド62は、揺動杆61によって揺動杆61の弓形形状に沿って揺動杆61の長手方向に案内されている。そのため、進退ロッド62は、揺動杆61の先端から先方へ逆回転方向に進出したり、揺動杆61の先端から揺動杆61内へ正回転方向に後退したりする。進退ロッド62が進退アクチュエータ65に連結され、進退アクチュエータ65が揺動杆61に連結されている。進退アクチュエータ65は例えばエアシリンダであって、制御部90によって制御される。進退アクチュエータ65は、進退ロッド62を進出及び後退させるように進退ロッド62を駆動する。進退ロッド62が揺動杆61内に後退しても、進退ロッド62が揺動杆61の先端から突出している。
【0044】
揺動杆61の先端には、楔状の摺接部材63が取り付けられている。この摺接部材63は、ウェブ98に対して滑りやすい材料からなり、より具体的には樹脂製である。ここで、揺動杆61が振り下げられて且つ進退ロッド62が後退した際の摺接部材63の位置は、受けプレート43の下端とガイドプレート42の下端との間の隙間よりも前側である。一方、揺動杆61が振り下げられて且つ進退ロッド62が進出した際の摺接部材63の位置は、受けプレート43の下端とガイドプレート42の下端との間の隙間よりも後ろ側である。
【0045】
主軸3とレベラー80との間には、ウェブ98の先端98aをその後ろからレベラー80の上流側フィーダ81に押し込む押し込み装置70が設けられている。
【0046】
押し込み装置70は、スイングアーム71、プッシャー72及び押し込みアクチュエータ73を有する。スイングアーム71の基端が規制プレート49の下方において回転可能に機枠2に連結されており、そのスイングアーム71が基端から後方へ延びてから、上方斜め前に延びている。そのためスイングアーム71はその基端を支点として、前方へ振り上げ及び後方へ振り下げ可能に設けられている。スイングアーム71の基端が伝動機構等を介して押し込みアクチュエータ73に連結されている。押し込みアクチュエータ73は例えばエアシリンダであって、制御部90によって制御される。押し込みアクチュエータ73は、スイングアーム71を振り上げ及び振り下げるようにスイングアーム71を駆動する。スイングアーム71の先端には、プッシャー72が取り付けられている。プッシャー72は自転可能に設けられたローラである。
【0047】
以下、アンコイラ1の通板動作について詳細に説明する。以下に説明するアンコイラ1の通板動作は、制御部90がセンサ51~53の出力信号に基づいて、予め定められた順序に従ってブレーキ付きモータ4、アクチュエータ13、フィードモータ20、接離アクチュエータ24、揺動アクチュエータ64、進退アクチュエータ65、アクチュエータ33、押し込みアクチュエータ73及びモータ85を制御することによって実現される。
【0048】
図2に示すように、アンコイラ1は通板動作前の初期状態となっている。この状態では、ピンチロール22がフィードロール21から離間し、揺動杆61が振り下げられており、スイングアーム71が後ろに振り下げられており、一対のポスト31が互いに離間している。そして、作業者がコイル99を主軸3に装着する。コイル99から僅かに繰り出されたウェブ98の先端98aがガイドプレート41に接触し、コイル99がそれ以上解かれないようになっている。コイル押さえ10の揺動アーム11が振り下げられて、押さえロール12がコイル99の外周面に接しているため、コイル99がそれ以上解かれないようになっている。
【0049】
続いて、作業者がスタートスイッチを押下すると、案内装置60の揺動アクチュエータ64が作動する。そうすると、図3に示すように、揺動杆61が揺動アクチュエータ64によって振り上げられて、摺接部材63がコイル99の外周面に接触する。ここで、揺動杆61及び進退ロッド62が弓形状に湾曲しているため、コイル99の径の大小に関わらず、摺接部材63がコイル99の外周面に必ず接触する。
【0050】
次に、ブレーキ付きモータ4が作動する。そうすると、主軸3及びコイル99が正回転方向に回転駆動されて、ウェブ98がコイル99の回転に追従して旋回するため、ウェブ98とコイル99の外周面との間の領域が摺接部材63に近づく。この際、ウェブ98の先端98aがガイドプレート41によって下に誘導される。そして、図4に示すように、ウェブ98の先端98aがセンサ51と主軸3とを結ぶ線を前方に通過すると、ウェブ98の先端98aがセンサ51によって検出される。そうすると、ブレーキ付きモータ4が停止する。この際、ウェブ98の先端98aの位置は、受けプレート43又はガイドプレート42の上である。
【0051】
次に、進退アクチュエータ65が作動する。そうすると、図5に示すように、進退ロッド62が揺動杆61の先端から先方へ進出して、進退ロッド62の先端がウェブ98とコイル99の外周面との間の領域に進入する。そして、摺接部材63がウェブ98に当接して、ウェブ98が摺接部材63によって後ろに押されて、コイル99から僅かに解かれることもある。
【0052】
次に、図6に示すように、揺動杆61が揺動アクチュエータ64によって振り下げられて、摺接部材63がコイル99の外周面から離間する。この際、ウェブ98が摺接部材63によって下に押されて、コイル99の外周面から振り払われる。そのため、ウェブ98がコイル99から僅かに解かれ、ウェブ98の先端98aがガイドプレート42の上に位置する。
【0053】
次に、ブレーキ付きモータ4が作動する。そうすると、主軸3及びコイル99が正回転方向に回転駆動される。摺接部材63がウェブ98に当接しているため、ウェブ98がコイル99の回転に連れ回ることがない。そのため、ウェブ98が摺接部材63によって下方に誘導され、ウェブ98がコイル99から繰り出される。そうすると、ウェブ98の先端98aがガイドプレート42によって受けプレート43の下端とガイドプレート42の下端との間の隙間に誘導されて、図7に示すようにウェブ98がピンチロール22とフィードロール21の間の間隙を下方へ通過する。その後、ブレーキ付きモータ4が停止する。
【0054】
次に、接離アクチュエータ24が作動する。そうすると、図8に示すようにピンチロール22がフィードロール21に近づいて、ウェブ98がピンチロール22とフィードロール21との間に挟まれる。
【0055】
次に、フィードモータ20が作動する。そうすると、図9に示すように、ウェブ98がフィードロール21及びピンチロール22によってコイル99から引き出されて、ウェブ98の先端98aが誘導プレート45によって前に誘導される。また、進退アクチュエータ65が作動して、進退ロッド62が揺動杆61内へ後退する。
【0056】
ウェブ98が引き出されている際に、アクチュエータ13が作動する。そうすると、図10に示すように、揺動アーム11が振り上げられるので、押さえロール12がコイル99の外周面から離間する。
【0057】
そして、図11に示すようにウェブ98の先端98aが一対のポスト31の間を前へ通過すると、ウェブ98の先端98aがセンサ52によって検出される。そうすると、アクチュエータ33が作動し、一対のポスト31が互いに近づく。これにより、ウェブ98が一対のポスト31の間に挟まれる。一対のポスト31がウェブ98に軽く接触しているため、引き出されているウェブ98がポスト31に対して滑る。
【0058】
引き続き、ウェブ98がフィードロール21及びピンチロール22によってコイル99から引き出されて、ウェブ98の先端98aが誘導プレート46によって上に誘導される。そして、ウェブ98が誘導プレート46の上端から上方に延び出て、ウェブ98の先端98aが規制プレート49に接触する直前に、ウェブ98の先端98aがセンサ53によって検出される。そうすると、図12に示すように、ウェブ98の先端98aが規制プレート49に当たった時に、フィードモータ20が停止して、ウェブ98の引き出しが停止する。
【0059】
その後、図13に示すように、押し込みアクチュエータ73が作動して、スイングアーム71が前方へ振り上げられる。そうすると、ウェブ98が後ろからプッシャー72によって押されるので、ウェブ98が前に湾曲されて、ウェブ98の先端98aが上流側フィーダ81のピンチロール81a,81bの間に押し込まれる。この際、フィードモータ20が一時作動して、ウェブ98がコイル99から引き出されてもよい。
【0060】
その後、レベラー80のモータ85が作動する。そうすると、レベラー80において、ウェブ98が送られるので、フィードロール21から上流側フィーダ81までのウェブ98の撓みが小さくなる。
【0061】
また、押し込みアクチュエータ73が作動して、スイングアーム71が後方へ振り下げられる。
以上により、アンコイラ1の一連の通板動作が終了する。
【0062】
以上に説明したように、図4図6に示すように、揺動杆61が振り上げられた状態で、進退ロッド62が進出し、その後に揺動杆61が振り下げられるため、コイル99の外径の大小に関わらず、ウェブ98の先端98aがコイル99の外周面から引き剥がされる。そのため、ウェブ98の先端98aがフィードロール21とピンチロール22との間にまで誘導される。よって、その後のコイル99の回転によってウェブ98の先端98aがフィードロール21とピンチロール22との間に必ず誘導される。
【0063】
また、揺動杆61及び進退ロッド62が湾曲しているため、揺動杆61の振り上げの時に摺接部材63が必ずコイル99の外周面に接する。特に、コイル99の外径が小さい場合でも、摺接部材63が必ずコイル99の外周面に接する。そのため、図3のようにコイル99の回転時に、摺接部材63がウェブ98とコイル99の外周面との間の領域に必ず位置して、その後に、ウェブ98の先端98aがフィードロール21とピンチロール22との間に必ず誘導される。
【0064】
また、揺動杆61及び進退ロッド62がコイル99の中心軸側を湾曲の中心とするよう湾曲しているため、揺動杆61及び進退ロッド62に関してコイル99の反対側、つまり揺動杆61及び進退ロッド62の下側のスペースを大きく確保することができる。揺動杆61及び進退ロッド62の下側のスペースは、ウェブ98のたわみ量の変化に対応できる溜の空間となる。つまり、アンコイラ1の通板動作後のウェブ98の間欠的送りの際には、フィードロール21から上流側フィーダ81までのウェブ98のたわみ量が変化するが、そのようなたわみ量の変化が発生しても、ウェブ98が揺動杆61及び進退ロッド62に当たらない。
【符号の説明】
【0065】
1…アンコイラ
3…主軸
4…ブレーキ付きモータ(回転駆動部)
20…フィードモータ
21…フィードロール
22…ピンチロール
24…接離アクチュエータ(接離駆動部)
44,45,46…誘導プレート(誘導部)
61…揺動杆
62…進退ロッド
63…摺接部材
64…揺動アクチュエータ(揺動駆動部)
65…進退アクチュエータ(進退駆動部)
72…プッシャー
73…押し込みアクチュエータ(押し込み駆動部)
98a…ウェブの先端
98…ウェブ
99…コイル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13