(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020410
(43)【公開日】2022-02-01
(54)【発明の名称】空気清浄機
(51)【国際特許分類】
A61L 9/20 20060101AFI20220125BHJP
A61L 9/015 20060101ALI20220125BHJP
F24F 7/003 20210101ALI20220125BHJP
【FI】
A61L9/20
A61L9/015
F24F7/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020123887
(22)【出願日】2020-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】520269123
【氏名又は名称】株式会社トム・エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 和彦
(72)【発明者】
【氏名】浜田 稔
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180CA01
4C180DD03
4C180EA17X
4C180HH05
4C180HH11
4C180HH17
4C180LL04
(57)【要約】
【課題】真空紫外線を利用し空気中のオゾン濃度を高めて除菌するとともに、浄化した空気からオゾンを除去して室内に還流することが可能な構成の空気清浄機を提供する。
【解決手段】空気清浄機1は、吸入口2a、流路2bおよび吐出口2cが配されるとともに当該流路2bに空気を進行させるファン3を有する筐体2と、流路2bに配されて吸入口2aから吸入された空気を移動させつつ紫外線を照射する照射部4と、流路2bに配されて照射部4から移動した空気を濾過しつつオゾンを除去する除去部5とを備え、オゾンが除去された空気を吐出口2cから機外に排出する構成であって、照射部4は紫外線の光源として波長190[nm]以下で発光するエキシマランプ7とエキシマランプの発光面7aに配されて紫外線を放射可能な突起部とを有する構成である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入口、流路および吐出口が配されるとともに当該流路に空気を進行させるファンを有する筐体と、前記流路に配されて前記吸入口から吸入された前記空気を移動させつつ紫外線を照射する照射部と、前記流路に配されて前記照射部から移動した前記空気を濾過しつつオゾンを除去する除去部とを備え、前記オゾンが除去された前記空気を前記吐出口から機外に排出する構成であって、
前記照射部は前記紫外線の光源として波長190nm以下で発光するエキシマランプと前記エキシマランプの発光面に配されて前記紫外線を放射可能な突起部とを有する構成であること
を特徴とする空気清浄機。
【請求項2】
前記突起部は前記紫外線を前記エキシマランプから導いて放射する放射面を有する構成であること
を特徴とする請求項1記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記突起部は突出高さを異ならせて複数配されていること
を特徴とする請求項1または2記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記突起部は突出方向を異ならせて複数配されていること
を特徴とする請求項1~3のいずれか一項記載の空気清浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線を用いた空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
人の居住空間や活動空間を清浄に保つことは健康を維持するために非常に重要である。
【0003】
従来、紫外線ランプとフィルタ部とをハウジングに収容した空気清浄機が提案されている(特許文献1:特開2002-272824号公報)。また、紫外線光源にエキシマランプを用いたオゾン発生器が提案されている(特許文献2:特開2017-043513号公報)。そして、オゾンによる新型コロナウイルス不活性化を確認したとの実験報告がなされている(非特許文献1:「公立大学法人奈良県立医科大学プレスリリース」インターネット<URL:http://www.naramed-u.ac.jp/university/kenkyu-sangakukan/oshirase/r2nendo/documents/houdousiryou.pdf>。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-272824号公報
【特許文献2】特開2017-043513号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「公立大学法人奈良県立医科大学プレスリリース」インターネット<URL:http:// http://www.naramed-u.ac.jp/university/kenkyu-sangakukan/oshirase/r2nendo/documents/houdousiryou.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
波長200[nm]以下の真空紫外線は酸素分子をオゾンに変えることができる反面、急速にエネルギーを失い、数[mm]以下の短距離で大きく減衰するため、極めて狭い空間しか除菌・脱臭できないという問題がある。しかし、特許文献1~2、および非特許文献1は、この点について言及していない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、真空紫外線を利用し空気中のオゾン濃度を高めて除菌するとともに、浄化した空気からオゾンを除去して室内に還流することが可能な構成の空気清浄機を提供することを目的とする。
【0008】
一実施形態として、以下に開示するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0009】
本発明に係る空気清浄機は、吸入口、流路および吐出口が配されるとともに当該流路に空気を進行させるファンを有する筐体と、前記流路に配されて前記吸入口から吸入された前記空気を移動させつつ紫外線を照射する照射部と、前記流路に配されて前記照射部から移動した前記空気を濾過しつつオゾンを除去する除去部とを備え、前記オゾンが除去された前記空気を前記吐出口から機外に排出する構成であって、前記照射部は前記紫外線の光源として波長190[nm]以下で発光するエキシマランプと前記エキシマランプの発光面に配されて前記紫外線を放射可能な突起部とを有する構成であることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、真空紫外線によって照射部近傍におけるオゾンの発生効率を飛躍的に高めることができるとともに、突起部によってエキシマランプ単体の場合に比べて除菌能力や除臭能力の有効範囲を大幅に増大させることが可能となり、除去部によってオゾンが除去された状態の清浄な空気を機外に排出することができる。
【0011】
前記突起部は前記紫外線を前記エキシマランプから導いて放射する放射面を有する構成であることが好ましい。この構成によれば、エキシマランプの発光面からの紫外線と突起部の放射面からの紫外線とによって空気との接触面積を増大させることが容易にできる。エキシマランプは、一例として、外周側面が発光面である構成、外側面が発光面である構成、特定の面が発光面である構成、その他既知のエキシマランプが適用できる。エキシマランプは、一例として、インバータ制御回路によって発光する。突起部の材質は、一例として、石英ガラス、水晶、ガラス、アクリル、ポリカーボネート、シクロオレフィン系樹脂、その他既知の紫外線透過性材料が適用できる。突起部の材質は、単一材料の場合があり、また、複合材料の場合がある。突起部の形状は、円錐状、円錐台状、角錐状、楔状、角錐台状、円柱状、角柱状、プリズム形状、その他既知の紫外線を導光可能な形状が適用できる。
【0012】
前記突起部は突出方向を異ならせて複数配されていることが好ましい。この構成によれば、広範囲にムラなく紫外線を照射することが容易にできる。前記突起部は突出高さを異ならせて複数配されていることが好ましい。この構成によれば、照射部を移動する空気が撹拌されてより広範囲にムラなく紫外線を照射することが容易にできる。前記紫外線の波長は、一例として、185[nm]、172[nm]、146[nm]、126[nm]、その他既知の波長190[nm]以下で発光する筒状のエキシマランプが適用できる。前記除去部は、一例として、活性炭、多孔質セラミックス、触媒担持フィルタ、その他既知のオゾン分解物質またはオゾン吸着物質を有し、オゾンを含まない清浄な空気を濾過可能な構成である。前記筐体は、一例として、ステンレス、ニッケル合金、チタン、その他既知の耐候性金属からなり、かつ堅牢な構成である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、真空紫外線によって照射部近傍におけるオゾンの発生効率を飛躍的に高めることができるとともに、突起部によってエキシマランプ単体の場合に比べて除菌能力や除臭能力の有効範囲を大幅に増大させることが可能となり、除去部によってオゾンが除去された状態の清浄な空気を機外に排出する安全かつ高性能の空気清浄機が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は本発明の実施形態の空気清浄機の第1例を模式的に示す構成図である。
【
図2】
図2は本実施形態の空気清浄機の第2例を模式的に示す構成図である。
【
図3】
図3Aは本実施形態の空気清浄機の第3例における照射部を側面側から視た部分断面図であり、
図3Bは、本実施形態の空気清浄機の第3例における照射部を吐出口側から視た部分断面図であり、
図3Cは、本実施形態の空気清浄機の第3例におけるエキシマランプおよび突起部を模式的に示す斜視図である。
【
図4】
図4Aは本実施形態の空気清浄機の第4例における照射部を側面側から視た部分断面図であり、
図4Bは、本実施形態の空気清浄機の第4例における照射部を吐出口側から視た部分断面図であり、
図4Cは、本実施形態の空気清浄機の第4例におけるエキシマランプおよび突起部を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。本実施形態の空気清浄機1は筐体2と、筐体2内に配されて空気を進行させるファン3と、筐体2内に配されて紫外線を照射する照射部4と、筐体2内に配されてオゾンを除去する除去部5と、筐体2内の各部の動作を制御する制御部6とを備える。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0016】
(第1例)
図1は、本実施形態の空気清浄機1の第1例を模式的に示している。筐体2は上流側から下流側に向かって順に、吸入口2a、流路2b、吐出口2cが配されており、流路2bの上流側に空気を進行させるファン3が配されている。そして、流路2bにおけるファン3の下流側に、吸入口2aから吸入された処理前の空気40aを移動させつつ紫外線を照射する照射部4が配されており、流路2bにおける照射部4の下流側に、照射部4から移動した紫外線処理後の空気40bを濾過しつつオゾンを除去する除去部5が配されており、オゾン除去後の空気40cを吐出口2cから機外に排出する構成になっている。照射部4は破線で囲んだエリアである。なお、流路2bの上流側に空気中の微粒子を除去するフィルタを配する場合がある。制御部6は、操作用のディスプレイパネルや起動用スイッチを有する。
【0017】
照射部4は、空気40aの移動方向に沿って配されるとともに紫外線の光源として波長190[nm]以下で発光するエキシマランプ7と、エキシマランプ7の発光面7aに配されて紫外線を放射可能な突起部8a,8bとを有する。突起部8a,8bは、突出高さを異ならせて複数配されている。また、突起部8a,8bは、突出方向を異ならせて複数配されている。紫外線の波長は185[nm]、172[nm]、146[nm]、126[nm]のいずれか一種またはいずれか二種以上の組み合わせである。
【0018】
(第2例)
図2は、本実施形態の空気清浄機1の第2例を模式的に示している。筐体2は上流側から下流側に向かって順に、吸入口2a、流路2b、吐出口2cが配されており、流路2bの下流側に空気を進行させるファン3が配されている。そして、流路2bの上流側に、吸入口2aから吸入された処理前の空気40aを移動させつつ紫外線を照射する照射部4が配されており、流路2bにおける照射部4の下流側に、照射部4から移動した紫外線処理後の空気40bを濾過しつつオゾンを除去する除去部5が配されており、オゾン除去後の空気40cを吐出口2cから機外に排出する構成になっている。なお、流路2bの上流側に空気を進行させるファンを配する場合がある。
【0019】
(第3例)
図3Aは本実施形態の空気清浄機1の第3例における照射部4を側面側から視た部分断面図であり、
図3Bは、第3例における照射部4を吐出口側から視た部分断面図であり、
図3Cは、第3例におけるエキシマランプ7および突起部8c,8d,8eを模式的に示す斜視図である。上流側から下流側に向かって順に、エキシマランプ7の発光面7aに円柱形状で突出高さを異ならせた突起部8c,8d,8eが配されている。突起部8cは放射面8c1から紫外線を放射し、突起部8dは放射面8d1から紫外線を放射し、突起部8eは放射面8e1から紫外線を放射する構成である。この構成によれば、照射部4を移動する空気が撹拌されてより広範囲にムラなく紫外線を照射できる。
【0020】
(第4例)
図4Aは本実施形態の空気清浄機1の第4例における照射部4を側面側から視た部分断面図であり、
図4Bは、第4例における照射部4を吐出口側から視た部分断面図であり、
図4Cは、第4例におけるエキシマランプ7および突起部8c,8d,8eを模式的に示す斜視図である。エキシマランプ7の発光面7aの長手方向に三角錐形状の突起部8fと突起部8gとが放射面8f1と放射面8g1とを向かい合わせにして配されている。突起部8fにおける放射面8f1の反対側の面は紫外線を反射する角度に傾斜させており、突起部8gにおける放射面8g1の反対側の面は紫外線を反射する角度に傾斜させている。上記構成以外に、放射面8f1の反対側の面に反射シートを貼り付けて、放射面8g1の反対側の面に反射シートを貼り付ける場合がある。この構成によれば、照射部4を移動する空気は三方向から広範囲にムラなく紫外線を照射できる。
【0021】
上述した第1例~第4例に例示される本実施形態によれば、照射部4の近傍におけるオゾンの発生効率を飛躍的に高めることができるとともに、エキシマランプ7からの紫外線と突起部からの紫外線との相乗作用によって空気の除菌能力および除臭能力を増大させることができて、オゾンが除去された清浄な空気を機外に排出する安全かつ高性能の空気清浄機1にできる。
【0022】
上述の突起部は放射面における紫外線の強度分布を変更可能である。また、突起部は多数配置してもよい。なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0023】
1 空気清浄機
2 筐体、2a 吸入口、2b 流路、2c 吐出口
3 ファン
4 照射部
5 除去部、5a 濾材
6 制御部
7 エキシマランプ、7a 発光面
8a、8b、8c、8d、8e、8f、8g 突起部
8a1、8b1、8c1、8d1、8e1、8f1、8g1 放射面
40a 空気(処理前の空気)
40b 空気(紫外線処理後の空気)
40c 空気(オゾン除去後の空気)