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  • 特開-皮膚外用剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020422
(43)【公開日】2022-02-01
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9794 20170101AFI20220125BHJP
   A61K 36/899 20060101ALI20220125BHJP
   A61K 8/66 20060101ALI20220125BHJP
   A61K 38/48 20060101ALI20220125BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220125BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
A61K8/9794
A61K36/899
A61K8/66
A61K38/48
A61Q19/00
A61P17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020123905
(22)【出願日】2020-07-20
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】399088289
【氏名又は名称】株式会社再春館製薬所
(71)【出願人】
【識別番号】595134504
【氏名又は名称】株式会社テクノーブル
(72)【発明者】
【氏名】間地 大輔
(72)【発明者】
【氏名】鴛海 央
(72)【発明者】
【氏名】澤木 茂豊
(72)【発明者】
【氏名】岩野 英生
【テーマコード(参考)】
4C083
4C084
4C088
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB032
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC422
4C083AC482
4C083AC622
4C083AC852
4C083AD272
4C083AD332
4C083AD352
4C083AD392
4C083AD432
4C083AD471
4C083AD472
4C083AD532
4C083AD572
4C083CC02
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC23
4C083DD27
4C083DD31
4C083EE11
4C084AA03
4C084DC02
4C084MA63
4C084NA14
4C084ZA89
4C088AB74
4C088AC04
4C088CA25
4C088MA02
4C088MA63
4C088NA14
4C088ZA89
(57)【要約】      (修正有)
【課題】天然物由来で生体安全性に優れ、かつ、生体内における酸化反応により損傷した蛋白質を除去する作用に基づき細胞環境を健全化する有効成分を含む皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】精米歩合90%以上の米糠の蛋白質分解酵素処理物を有効成分とする皮膚外用剤である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
精米歩合90%以上の米糠の蛋白質分解酵素処理物を有効成分とする皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内における酸化反応により損傷した蛋白質を除去する米糠由来の機能性素材、及びこれを配合した皮膚外用剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光(紫外線)や活性酸素、大気中の化学物質等の要因により、細胞中の蛋白質が酸化又は糖化されると、細胞の機能が低下することが知られている。この現象が皮膚細胞で生じると皮膚の乾燥又はくすみ等の原因となる可能性が示唆されている。このことから、皮膚細胞内での蛋白質糖化を防ぐ化粧料用の配合成分が提案されている。
【0003】
しかし、それら従来の成分には、皮膚等の生体に対する安全性、また、実際に生体に適用した際の有効性の観点で問題が存在する。例えば、特許文献1~2には、米又は米糠由来の抗糖化成分が開示されているが、さらに、有効性の高い成分が求められている。
【0004】
【特許文献1】特開2010-209003号
【特許文献2】特開2018-095618号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、かかる従来技術の問題点に鑑みて、米糠の蛋白質分解酵素処理物が蛋白質の糖化の発生を抑制し、かつ、酸化された蛋白質を分解する酵素活性を亢進する作用を有することを新たに見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、精米歩合90%以上の米糠の蛋白質分解酵素処理物を有効成分とする皮膚外用剤である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、精米歩合90%以上の米糠の蛋白質分解酵素処理物を有効成分とする皮膚外用剤であって、その有効成分が有する蛋白質の糖化の発生を抑制作用及び酸化蛋白質分解酵素の活性化作用に基づき、細胞環境を健全化する皮膚外用剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明に係る米糠の蛋白質分解酵素処理物の最終糖化産物(AGE)発生抑制効果を示す図である。
図2図2は、本発明に係る米糠の蛋白質分解酵素処理物の酸化蛋白質分解酵素活性亢進効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明において用いる米糠は、有効性の観点から、精米歩合が90%以上であり、さらに好ましくは95.0%以上のものをいう。ここで、精米歩合とは、白米(玄米から糠、胚芽等の表層部を取り去った状態の米をいい、米こうじの製造に使用する白米を含む)のその玄米に対する重量の割合をいう(平成元年11月22日 国税庁告示第8号 「清酒の製法品質表示基準」を参照のこと。)。
【0010】
本発明においては、上述した米糠を用いて抽出物を調製する。抽出物の調製は、各植物の抽出対象部位を、必要に応じて予め水洗い、乾燥し、又細切もしくは粉砕した上で、浸漬法、向流抽出法、水蒸気蒸留法、超臨界抽出法などの常法によって抽出溶媒に接触させることで行うことができる。また、当該抽出物は後述するように、蛋白質分解酵素処理を行う。
【0011】
抽出溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;エチルエーテル、イソプロピルエーテルなどのエーテル類;n-ヘキサン、トルエン、クロロホルムなどの炭化水素系溶媒などが挙げられ、それらは単独で又は二種以上混合して用いられる。
【0012】
それら抽出溶媒のうちでも、皮膚外用剤(化粧料又は医薬部外品)又は飲食品への幅広い適用が可能であるという点からも、本発明においては水或いは水と低級アルコール類又は多価アルコール類との混合溶媒の使用が好ましい。混合溶媒を用いる場合は水に対する低級アルコールや多価アルコールの混合割合は、一般には70重量%以下、好ましくは50%重量以下である。
【0013】
抽出物の調製に際して、そのpH、温度及時間に特に限定はないが、使用する植物の抽出対象部位により適宜選択することが好ましい。
【0014】
例えば、本発明において、米糠抽出物溶液を調製する際は、適宜、アルカリ調整剤又は酸性調整剤を用いてpHを調製することが好ましい。アルカリ調製剤としては、たとえば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等のナトリウム塩、水酸化カリウム等のカリウム塩等が挙げられる。それらの中でも、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムが好ましい。また、酸性調整剤としては、塩酸、硫酸、燐酸等の無機酸、又は酢酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸等の有機酸等が挙げられる。
【0015】
上述の処理により得られる抽出物に対して、抽出前又は抽出後、或いは抽出と並行して、蛋白質分解酵素処理を行う。蛋白質分解酵素としては、例えばアクチナーゼなどのアクチナーゼ類、ペプシンなどのペプシン類、トリプシン、キモトリプシンなどのトリプシン類、パパイン、キモパパインなどのパパイン類、グリシルグリシンペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼ、アミノペプチダーゼなどのペプチダーゼ類、ブロメライン、微生物由来の複合蛋白質分解酵素[例えば、ニューラーゼ(天野エンザイム株式会社製)]などが挙げられる。蛋白質分解酵素を使用する場合、上述した酵素のいずれかを単独で用いても、複数を組み合わせても良い。さらに、蛋白質分解酵素による処理前又は処理後、或いは並行して、澱粉分解酵素(例えば、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、又はβ-ガラクトシダーゼ)、繊維素分解酵素(例えば、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ)、及び脂肪分解酵素(リパーゼ等)の酵素を組み合わせて、処理してもよい。
【0016】
酵素を用いた処理は、上述した植物の抽出物溶液に上記の酵素の1種又は2種以上を添加し、用いた酵素の至適pH及び至適温度付近の条件下で酵素反応させることによって実施される。2種以上の酵素を組み合わせ用いる場合は、用いる酵素の特性に応じて、2種以上の酵素を同時に作用させてもよく、又反応条件を変えもしくは変えずして順次作用させるようにしてもよい。酵素の使用量は、植物抽出物溶液の固形分100重量部に対して、1種の酵素につき0.001~50重量部の範囲とするのがよく、より好ましくは0.1~10重量部の範囲である。又、酵素処理の時間は、用いる酵素の種類等によっても異なるが、一般には0.5~24時間の範囲であり、好ましくは1~6時間の範囲である。
【0017】
以上の酵素を用いて酵素処理終了後、酵素処理液を例えば80℃以上に加熱する方法など適宜の方法を用いて酵素を失活させ、酵素処理分解物溶液を得る。
【0018】
上述のように調製した蛋白質分解酵素処理物は、一般にはpHを3~8に調製した上で、これをそのままの状態で化粧料配合剤として使用しても良く、又減圧濃縮等により所望の濃度として使用しても良い。また、抽出物はスプレードライ法等の常法により乾燥物としても良い。
【0019】
本発明に係る酵素処理物を皮膚外用剤に配合する場合、必須成分の上記酵素処理物のほかに、通常化粧料に用いられる成分、例えば油性成分、界面活性剤(合成系、天然物系)、保湿剤、消炎剤、増粘剤、防腐・殺菌剤、抗アクネ剤、細胞賦活剤、粉体成分、紫外線吸収剤、抗酸化剤、美白剤、抗シワ剤、色素、香料等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0020】
油性成分としては、例えば、オリーブ油、ホホバ油、ヒマシ油、大豆油、米油、米胚芽油、ヤシ油、パーム油、カカオ油、メドウフォーム油、シアーバター、ティーツリー油、アボガド油、マカデミアナッツ油、ベルガモット油、ラベンダー油、バラ油、ベルガモット油、カミツレ油等の植物由来スクワラン等の植物由来の油脂類;ビタミンA油;ミンク油、タートル油等の動物由来の油脂類;ミツロウ、カルナウバロウ、ライスワックス、ラノリン等のロウ類;流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワラン等の炭化水素類;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、cis-11-エイコセン酸等の脂肪酸類;ラウリルアルコール、セタノール、パントテニルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、2-エチルヘキシルグリセライド、高級脂肪酸オクチルドデシル(ステアリン酸オクチルドデシル等)等の合成エステル類及び合成トリグリセライド類等が挙げられる。
【0021】
界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤;脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、α-スルホン化脂肪酸アルキルエステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩等のアニオン界面活性剤;第四級アンモニウム塩、第一級~第三級脂肪アミン塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2-アルキル-1-アルキル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N、N-ジアルキルモルフォルニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩等のカチオン界面活性剤;N、N-ジメチル-N-アルキル-N-カルボキシメチルアンモニオベタイン、N、N、N-トリアルキル-N-アルキレンアンモニオカルボキシベタイン、N-アシルアミドプロピル-N′、N′-ジメチル-N′-β-ヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタイン等の両性界面活性剤等を使用することができる。
【0022】
乳化剤及び/又は乳化助剤としては、酵素処理ステビア等のステビア誘導体、サポニン又はその誘導体、カゼイン又はその塩(ナトリウム等)、糖と蛋白質の複合体、ショ糖又はそのエステル、ラクトース、大豆由来の水溶性多糖、大豆由来蛋白質と多糖の複合体、ラノリン又はその誘導体、コレステロール、ステビア誘導体(ステビア酵素処理物等)、ケイ酸塩(アルミニウム、マグネシウム等)、炭酸塩(カルシウム、ナトリウム等)サポニン及びその誘導体、レシチン及びその誘導体(水素添加レシチン等)、乳酸菌醗酵米、乳酸菌醗酵発芽米、乳酸菌醗酵穀類(麦類、豆類、雑穀等)等を配合することもできる。
【0023】
保湿剤としては、保湿剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1、3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等があり、さらにトレハロース、ラフィノース等の糖類、ムコ多糖類(例えば、ヒアルロン酸及びその誘導体、ヒアルロン酸発酵液、コンドロイチン及びその誘導体、ヘパリン及びその誘導体等)、エラスチン及びその誘導体、コラーゲン及びその誘導体、コラーゲンペプチド、NMF関連物質、乳酸、尿素、高級脂肪酸オクチルドデシル、海藻抽出物、エストラジオール、各種アミノ酸及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0024】
増粘剤としては、例えばアルギン酸、寒天、カラギーナン、フコイダン等の褐藻、緑藻又は紅藻由来成分;ペクチン、アロエ多糖体等の多糖類;トラガントガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、グアーガム等のガム類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体;カルボシキビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリル酸・メタクリル酸共重合体等の合成高分子類;ヒアルロン酸及びその誘導体;ポリグルタミン酸及びその誘導体、ポリアクリル酸等が挙げられる。
【0025】
消炎剤としては、アラントイン、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、β-グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、ε-アミノカプロン酸、d-カンフル、dl-カンフル、酸化亜鉛、パンテノール、ピリドキシン塩酸塩、及びリボフラビン又はその誘導体等がある。
【0026】
防腐・殺菌剤としては、例えば尿素;安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等のパラオキシ安息香酸エステル類;フェノキシエタノール、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、ピリチオン亜鉛、塩化ベンザルコニウム、エタノール、ウンデシレン酸、フェノール類、臭化アルキルイソキノリニウム、レゾルシン、ジャマール(イミダゾデイニールウレア)、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、トリクロロカルバニド、トリクロロヒドロキシジフェノールエーテル、ヒノキチオール、1、2-ペンタンジオール、プロパンジオール、濃ベンザルコニウム塩化物液50、ハッカ油、ユーカリ油等の精油類、樹皮乾留物、大根発酵液、サトウキビ、トウモロコシ等の植物由来のエタノール又は1、3-ブチレングリコール等がある。
【0027】
細胞賦活剤としては、パントテニルアルコール、メントール、dl-メントール、及びγ-オリザノール等がある。
【0028】
抗アクネ剤としては、イオウ、サリチル酸又はその塩、感光素201号、ジカプリル酸ピリドキシン等がある。
【0029】
粉体成分しては、例えばセリサイト、酸化チタン、タルク、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、無水ケイ酸、雲母、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シルクパウダー、セルロース系パウダー、穀類(米、麦、トウモロコシ、キビ等)のパウダー、豆類(大豆、アズキ等)のパウダー等がある。
【0030】
紫外線吸収剤としては、例えばパラアミノ安息香酸エチル、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、サリチル酸アミル及びその誘導体、パラメトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル、桂皮酸オクチル、オキシベンゾン、2、4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-ターシャリーブチル-4-メトキシベンゾイルメタン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、アロエ抽出物等がある。
【0031】
抗酸化剤としては、例えばブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、アスタキサンチン等のカロテノイド、ビタミンE及びその誘導体(例えば、トコフェロール酢酸エステル、トコフェロールニコチン酸エステル)、ビタミンA又はその誘導体(パルミチン酸レチノール等)等がある。
【0032】
美白剤としては、t-シクロアミノ酸誘導体、コウジ酸及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、ハイドロキノン又はその誘導体、エラグ酸及びその誘導体、ニコチン酸及びその誘導体、レゾルシノール誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、4-メトキシサリチル酸カリウム塩、マグノリグナン(5、5'-ジプロピル-ビフェニル-2、2’-ジオール)、ヒドロキシ安息香酸及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、α-ヒドロキシ酸、AMP(アデノシンモノホスフェイト、アデノシン1リン酸)等が挙げられ、これらを単独で配合しても、複数を組み合わせて配合しても良い。
【0033】
上記のコウジ酸誘導体としては、例えばコウジ酸モノブチレート、コウジ酸モノカプレート、コウジ酸モノパルミテート、コウジ酸ジブチレート等のコウジ酸エステル類、コウジ酸エーテル類、コウジ酸グルコシド等のコウジ酸糖誘導体等が、アスコルビン酸誘導体としては、例えばL-アスコルビン酸-2-リン酸エステルナトリウム、L-アスコルビン酸-2-リン酸エステルマグネシウム、L-アスコルビン酸-2-硫酸エステルナトリウム、L-アスコルビン酸-2-硫酸エステルマグネシウム等のアスコルビン酸エステル塩類、L-アスコルビン酸-2-グルコシド、L-アスコルビン酸-5-グルコシド、アスコルビルトコフェリルマレイン酸、アスコルビルトコフェリルリン酸K、ミリスチル3-グリセリルアスコルビン酸、カプリリル2-グリセリルアスコルビン酸等のアスコルビン酸糖誘導体、それらアスコルビン酸糖誘導体の6位アシル化物(アシル基は、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基等)、L-アスコルビン酸テトライソパルミチン酸エステル、L-アスコルビン酸テトララウリン酸エステル等のL-アスコルビン酸テトラ脂肪酸エステル類、3-O-エチルアスコルビン酸、L-アスコルビン酸-2-リン酸-6-O-パルミテートナトリウム、グリセリルアスコルビン酸又はそのアシル化誘導体、ビスグリセリルアスコルビン酸等のアスコルビン酸グルセリン誘導体、L-アスコルビン酸リン酸アミノプロピル、L-アスコルビン酸のヒアルロン酸誘導体、3-O-Dラクトース-L-アスコルビン酸、イソステアリルアスコルビルリン酸塩等が、ハイドロキノン誘導体としては、アルブチン(ハイドロキノン-β-D-グルコピラノシド)、α-アルブチン(ハイドロキノン-α-D-グルコピラノシド)等が、トラネキサム酸誘導体としては、トラネキサム酸エステル(例えば、トラネキサム酸ラウリルエステル、トラネキサム酸ヘキサデシルエステル、トラネキサム酸セチルエステル又はその塩)、トラネキサム酸のアミド体(例えば、トラネキサム酸メチルアミド)等が挙げられ、レゾルシノール誘導体としては、例えば、4-n-ブチルレゾルシノール、4-イソアミルレゾルシノール等が、2、5-ジヒドロキシ安息香酸誘導体としては、例えば2、5-ジアセトキシ安息香酸、2-アセトキシ-5-ヒドロキシ安息香酸、2-ヒドロキシ-5-プロピオニルオキシ安息香酸等が、ニコチン酸誘導体としては、例えばニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等が、α-ヒドロキシ酸としては、例えば乳酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、α-ヒドロキシオクタン酸等がある。
【0034】
また、生理活性成分としては、例えば、胎盤抽出液、ソウハクヒ抽出物、ユキノシタ抽出物、シソ抽出物、米糠抽出物又はその加水分解物、白芥子抽出物又はその加水分解物、白芥子の発酵物、シャクヤク抽出物又はその加水分解物、乳酸菌抽出物、ビフィズス菌抽出物、ムラサキシキブ抽出物、ハス種子抽出物又はその加水分解物、ハス種子発酵物、ハトムギ加水分解物、ハトムギ種子発酵物、ローヤルゼリー発酵物、ダイズ芽抽出物、酒粕抽出物又はそれに含まれるセラミド、酒粕発酵物、パンダヌス・アマリリフォリウス抽出物、アルカンジェリシア・フラバ抽出物、トウキンセンカ抽出物、カミツレ抽出物、サンゴ草抽出物、イネの葉の抽出物又はその加水分解物、ナス(ハス、長ナス、賀茂ナス、米ナス等)抽出物又はその加水分解物、アンズ果実の抽出物、カタメンキリンサイ等の海藻の抽出物、アマモ等の海産顕花植物の抽出物、豆乳発酵物、クラゲ水、米抽出物又はその加水分解物、米醗酵抽出物、発芽米抽出物又はその加水分解物、発芽米発酵物、黒豆抽出物又はその加水分解物、黒糖抽出物又はその発酵物、ダマスクバラの花の抽出物、イランイラン花抽出物、タケノコの皮の抽出物、リノール酸及びその誘導体もしくは加工物(例えばリポソーム化リノール酸等)、柑橘系植物由来のフラボノイド又はその配糖体、動物又は魚由来のコラーゲン及びその誘導体、エラスチン及びその誘導体、動物又は魚由来のプロテオグリカン、グリチルリチン酸及びその誘導体(ジカリウム塩等)、t-シクロアミノ酸誘導体、ビタミンA及びその誘導体、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、γ-アミノ-β-ヒドロキシ酪酸、ゲンチアナ抽出物、甘草抽出物、セイヨウニンジン抽出物、オタネニンジン(白参)抽出物、オタネニンジン発酵物、ツバキ抽出物、ミツイシコンブ抽出物、ヘチマ抽出物、アナアオサ抽出物、モモ抽出物、ウメ抽出物、桃仁抽出物、キウイ抽出物、ヒマワリ抽出物、ジュアゼイロ抽出物、パウダルコ樹皮抽出物、萱草(デイリリー)抽出物または発酵物、ハイビスカスの花抽出物または発酵物、ハゴロモグサ抽出物、チェリモヤ抽出物、マンゴー抽出物、マンゴスチン抽出物、フノリ抽出物、烏龍茶抽出物、紅富貴抽出物、シラン抽出物、サツマイモ抽出物、山椒果皮又は種皮の抽出物或いはその加水分解物、ベニバナ花抽出物、カサブランカ抽出物、甘藷抽出物又はその発酵物、グアバ葉抽出物、カワラヨモギ抽出物、チョウジ抽出物、オリーブ葉抽出物、セイヨウトチノキ抽出物、ショウガ抽出物、バニラ抽出物、ドクダミ抽出物、晩白柚抽出物、アロエ抽出物、アロエベラ抽出物、チューリップ抽出物、ツボクサ抽出物、イチジク花抽出物、リンゴ抽出物、ホワイトアスパラガス抽出物、カッコン抽出物、党参抽出物又はその加水分解物等がある。
【0035】
本発明に係る酵素処理物を含む皮膚外用剤(化粧料、医薬部外品を含む)適用部位としては、頭皮を含む皮膚全般が挙げられ、特に制限はない。従って、乳液、クリーム、ローション、エッセンス、軟膏、パック、ハップ剤、皮膚洗浄剤(石鹸類など)、洗顔料、シャンプー、リンス、トリートメント、ボディクリーム、口唇用化粧料、各種メークアップ化粧料、浴剤等に使用することができる。
【0036】
次に、製造例、試験例及び処方例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、以下において、部はすべて重量部を、また%はすべて重量%を意味する。
【0037】
製造例1.本発明に係る米糠酵素処理物(1)の調製
米糠(精米歩合90%)500gに0.1M乳酸水溶液1500gを加え、撹拌して米糠と乳酸水溶液を十分混合した後、室温に1日静置した。次に不溶物を濾過で除き、濾液をパパインで処理した。酵素処理は酵素を1.2mg使用し、酵素の至適pHに於いて、80℃1時間保持することによって行った。処理により生じた不溶物を濾別し、濾液をフィチン酸でpH6.5として淡黄色透明の米糠酵素処理物溶液730g(固形分濃度3.60%)を得た。
【0038】
製造例2.本発明に係る米糠酵素処理物(2)の調製
製造例1の米糠(精米歩合90%)に代えて、精米歩合95%の米糠を使用する以外は、製造例1と同様の工程により得られた米糠酵素処理物溶液735g(固形分濃度3.64%)を得た。
【0039】
比較製造例1~4.比較対象とする米糠酵素処理物の調製
製造例1の米糠(精米歩合90%)に代えて、以下の精米歩合の米糠を使用する以外は、製造例1と同様の工程により得られた米糠酵素処理物溶液を得た。すなわち、精米歩合10%の米糠を使用して得られた米糠酵素処理物溶液(固形分濃度:3.40%)を比較製造例1とし、精米歩合30%の米糠を使用して得られた米糠酵素処理物溶液(固形分濃度:3.46%)を比較製造例2とし、精米歩合50%の米糠を使用して得られた米糠酵素処理物溶液(固形分濃度:3.50%)を比較製造例3とし、精米歩合70%の米糠を使用して得られた米糠酵素処理物溶液(固形分濃度:3.53%)を比較製造例4として、酵素処理物溶液を調製した。
【0040】
試験例1.最終糖化産物(AGE)発生抑制効果の評価試験
本試験では、グルコースを介したBSA(牛血清アルブミン)の蛍光の発生により、AGEの発生抑制効果、すなわち、タンパク質糖化抑制効果を評価した。まず、本発明に係る製造例1、2の米糠酵素処理物と、比較製造例1~4の米糠酵素処理物のそれぞれ40μLと、50mg/mLのBSA水溶液40μLと、2.5Mのグルコース水溶液40μLと、PBS(-)溶液80μLを混合、攪拌して試料溶液を調製した。ここで、各米糠酵素処理物は試料溶液中の溶液としての最終濃度がそれぞれ2.0%となるよう調製した。次に、試料溶液を50℃で7日間静置し、7日後、各試料溶液について、蛍光発生(励起:355nm、放射:460nm:蛍光マイクロプレートリーダー(フルオロスキャンアセント、Thermo Fisher Scientific社製))を測定した。また、試料溶液に代えて精製水を用いた試料無添加(コントロール)の場合について同様の操作を行い、ここで得られた蛍光測定値に対する各試料溶液の蛍光測定値の相対値(%)を求め、蛋白質糖化率(%)とした。
【0041】
試験例1の結果を図1に示す。図1に示すように、本発明に係る製造例1、2の米糠酵素処理物は、比較製造例1~4の米糠酵素処理物と比較して、格段にすぐれた最終糖化産物(AGE)発生抑制作用を有することが確認された。これにより、本発明に係る製造例1、2の米糠酵素処理物は、細胞環境健全化効果を発揮できることが示唆される。
【0042】
試験例2.酸化蛋白質分解酵素活性亢進評価
本試験例においては、酸化蛋白質を分解する酸化蛋白質分解酵素(Oxidized Protein Hydrolase:OPH)「アシルアミノ酸遊離酵素」の活性促進効果を評価した。
まず、ヒト真皮由来線維芽細胞NB1RGBを、0.5%NCS含有イーグル最少必須培地を入れた96穴マイクロプレートに1×104個/ウェル播種し、37℃,5.0%CO2の条件下に1日間プレ培養した後、製造例1の酵素処理物溶液、及び比較製造例1~5の酵素処理物溶液をそれぞれ試料溶液として培地に添加し、同条件でさらに3日間培養した。ここで、各試料溶液は培地量に対して溶液としてその終濃度が2.0%となるように添加した。次に、培地を除去し、0.5% Triton X-100溶液を100μL/ウェル添加し、5分間静置して細胞を破砕した。その後 3mM となるようにPBS(-)で希釈した Ac-Ala-pNA(BACHEM L-1640)を基質として50μL/ウェル添加し、37℃で3時間インキュベートした。その後マイクロプレートリーダー(Model 680、バイオラッド社製)を用いて405nmにおける吸光度(ABS405nm)を測定した。また、細胞を播種していないウェルに対しても上記と同様の操作を行い、各試験区のABS405nmの値から細胞を播種していないウェルのABS405nmの値を差し引いた値(ΔABS405nm)を、各試験区のOPH活性とした。
また、上記と同じ操作を行った別プレートの細胞に対して、培養終了後、PBS(-)で1回洗浄してからPBS(-)で100倍希釈したhoechst33342試薬を100μL/ウェル添加し、37℃で1時間インキュベートし、DNAを蛍光染色した。その後、蛍光強度(励起:355nm、放射:460nm:蛍光マイクロプレートリーダー(フルオロスキャンアセント、Thermo Fisher Scientific社製))を測定し、DNA量を求めた。ここで得られた各試料添加区のOPH活性の値(ΔABS405nm)をDNA量(励起:355nm、放射:460nm)で割ることで、細胞当たりのOPH活性を算出した。各試料添加区の細胞当たりのOPH活性は、試料溶液の代わりにPBS(-)を添加したコントロール区の細胞当たりのOPH活性の値を100とした相対値で表した。
【0043】
図2に示すように、本発明に係る製造例1、2の米糠酵素処理物は、比較製造例1~4の米糠酵素処理物と比較して、格段にすぐれたOPH活性亢進作用を有することが確認された。これにより、細胞環境健全化効果を奏することが確認された。
【0044】
処方例1.化粧水
[成分] 部
ラベンダー油 1.0
カプリル酸グリセリル 3.0
ラウリル酸ポリグリセリル-10 3.0
メチルパラベン 0.1
製造例1の米糠酵素処理物 2.0
白参エキス 2.0
オタネニンジン発酵エキス 2.0
サツマイモ発酵エキス 1.0
グアバ葉エキス 1.0
水溶性コラーゲン 1.0
加水分解コラーゲン 1.0
水ナスエキス 1.0
イチゴ花エキス 1.0
グリセリン 2.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
クエン酸ナトリウム 0.2
精製水 全量が100部となる量
【0045】
処方例2.化粧水
上記処方例1に配合される製造例1の米糠酵素処理物に代えて、製造例2の製造例1の米糠酵素処理物を配合して調製する以外は、処方例1と同様の組成で化粧水を得た。
【0046】
処方例3.乳液
[成分] 部
スクワラン 5.0
ヘキサラン 3.0
ノバラ油 1.0
ツバキ油 1.5
ラウリン酸ポリグリセリル 1.0
親油型ステアリン酸グリセリル 1.0
ビサボロール 1.0
ベヘニルアルコール 3.0
水添大豆レシチン 1.5
製造例1の米糠酵素処理物 2.0
白参エキス 2.0
オタネニンジン発酵エキス 2.0
L-アスコルビン酸-2-グルコシド 2.0
サツマイモ発酵エキス 1.0
月桃葉エキス 1.0
グアバ葉エキス 1.0
甘草抽出物 1.0
党参加水分解エキス 1.0
水溶性コラーゲン 1.0
加水分解コラーゲン 1.0
水酸化カリウム 0.5
グリセリン 3.0
1,3-ブチレングリコール 2.0
カルボキシメチルセルロース 0.3
キサンタンガム 0.2
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
精製水 全量が100部となる量
【0047】
処方例4.乳液
上記処方例3に配合される製造例1の米糠酵素処理物に代えて、製造例2の製造例1の米糠酵素処理物を配合して調製する以外は、処方例1と同様の組成で乳液を得た。
【0048】
処方例5.乳液
上記処方例3に配合されるL-アスコルビン酸-2-グルコシド及び水酸化カリウムに代えて、トラネキサム酸(1.0部)を配合して調製する以外は、処方例4と同様の組成で乳液を得た。
【0049】
処方例6.乳液
上記処方例3に配合されるL-アスコルビン酸-2-グルコシド及び水酸化カリウムに代えて、アルブチン(3.0部)を配合して調製する以外は、処方例4と同様の組成で乳液を得た。
【0050】
処方例7.乳液
上記処方例3に配合されるL-アスコルビン酸-2-グルコシド及び水酸化カリウムに代えて、ニコチン酸アミド(3.0部)を配合して調製する以外は、処方例4と同様の組成で乳液を得た。
【0051】
処方例8.クリーム
[成分] 部
オリーブ油 5.0
ホホバ油 5.0
メドウフォーム油 5.0
スクワラン 5.0
ベヘニルアルコール 2.0
パルミチン酸 2.5
乳酸菌発酵米 2.0
水素添加レシチン 0.5
ステアリル酸グリセリル 3.0
製造例1の米糠酵素処理物 2.0
白参エキス 2.0
オタネニンジン発酵エキス 2.0
サツマイモ発酵エキス 1.0
月桃葉エキス 1.0
グアバ葉エキス 1.0
加水分解米エキス 2.0
水溶性コラーゲン 1.0
加水分解コラーゲン 1.0
キサンタンガム 1.0
精製水 全量が100部となる量
【0052】
処方例9.クリーム
上記処方例8に配合される製造例1の米糠酵素処理物に代えて、製造例2の製造例1の米糠酵素処理物を配合して調製する以外は、処方例8と同様の組成でクリームを得た。
【0053】
処方例10.洗顔料
[成分] 部
ヤシ油 2.0
ステアリル酸ステアリル 2.0
カプリル酸グリセリル 2.0
製造例1の酵素処理物 2.0
白参エキス 2.0
オタネニンジン発酵エキス 2.0
水溶性コラーゲン 1.0
グリセリン 2.0
イチジク樹皮エキス 1.0
ハトムギ種子エキス 1.0
チョウジエキス 1.0
図1
図2