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特開2022-20455太陽光発電システム及びこれに含まれるマルチ接続ユニット
<図1>
  • 特開-太陽光発電システム及びこれに含まれるマルチ接続ユニット 図1
  • 特開-太陽光発電システム及びこれに含まれるマルチ接続ユニット 図2
  • 特開-太陽光発電システム及びこれに含まれるマルチ接続ユニット 図3
  • 特開-太陽光発電システム及びこれに含まれるマルチ接続ユニット 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020455
(43)【公開日】2022-02-01
(54)【発明の名称】太陽光発電システム及びこれに含まれるマルチ接続ユニット
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/67 20060101AFI20220125BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
G05F1/67 A
H02M3/00 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020123961
(22)【出願日】2020-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】591097632
【氏名又は名称】長州産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094581
【弁理士】
【氏名又は名称】鯨田 雅信
(72)【発明者】
【氏名】山田 瑞起
(72)【発明者】
【氏名】三上 展弘
【テーマコード(参考)】
5H420
5H730
【Fターム(参考)】
5H420CC03
5H420DD02
5H420EB26
5H420EB37
5H420FF03
5H420FF04
5H420FF24
5H730AA16
5H730AS04
5H730BB82
5H730BB88
(57)【要約】      (修正有)
【課題】シングル入力型パワーコンディショナーをマルチ入力型パワーコンディショナーに交換する際に、屋根に設置された各太陽電池モジュール間の配線を繋ぎ変える等の建物屋根上での煩雑な電気工事を不要にして、交換作業を大幅に効率化及び低コスト化する太陽光発電システムを提供する。
【解決手段】太陽光発電システム及びこれに含まれるマルチ接続ユニットであって、複数のストリングからの直流電力を集約して出力する接続箱側から出力された直流電力を、複数の回路に分岐させて、各回路において直流電力をその電流値がマルチ入力型パワーコンディショナーの複数の各入力部の許容電流容量以下となるように昇圧するマルチ接続ボックスを、接続箱とマルチ入力型パワーコンディショナーの各入力部との間に接続して成る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物屋根に設置された複数の各太陽電池ストリングと、
前記複数の各ストリングから出力された各直流電力を1回路に纏めて出力する接続箱と、
前記各ストリング又は接続箱から出力された直流電力が入力される複数の入力部を備えたマルチ入力型パワーコンディショナーと、
前記接続箱から出力された直流電力を、複数の回路に分岐させて、前記各回路において直流電力の電圧を直流電力の電流値が前記マルチ入力型パワーコンディショナーの各入力部の許容電流容量以下となるように昇圧して前記各回路から直流電力を前記マルチ入力型パワーコンディショナーの各入力部に出力するマルチ接続ユニットと、
を備えたことを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項2】
建物屋根に設置された複数の各太陽電池ストリングから出力された各直流電力を1回路に纏めて出力する接続箱と、所定の許容電流容量をそれぞれ有する複数の入力部を備えたマルチ入力型パワーコンディショナーとの間に接続されるマルチ接続ユニットであって、前記接続箱から出力された直流電力を複数の回路に分岐させて、前記各回路において直流電力の電圧を直流電力の電流値が前記マルチ入力型パワーコンディショナーの各入力部の許容電流容量以下となるように昇圧して前記各回路から直流電力を前記マルチ入力型パワーコンディショナーの各入力部に出力する、ことを特徴とするマルチ接続ユニット。
【請求項3】
前記接続箱側から入力された直流電力を複数に分岐する分岐用端子部と、
前記分岐用端子部により分岐された直流電力の電圧を直流電力の電流値が前記マルチ入力型パワーコンディショナーの各入力部の許容電流容量以下となるようにそれぞれ昇圧する各昇圧回路部と、
前記各昇圧回路部により昇圧された直流電力を前記マルチ入力型パワーコンディショナーの各入力部にそれぞれ出力する各出力用端子部と、
前記接続箱側から入力された直流電力の電流値又は電圧値に基づいて前記各昇圧回路部の昇圧比を制御する昇圧制御部と、を備えた請求項2に記載のマルチ接続ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電システム、特に近年のマルチ入力型パワーコンディショナーを備えた太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムで使用されるパワーコンディショナー(PCS)は、旧来はシングル入力型(集中型。特許文献1参照)が多かったが、近年は効率向上のためマルチ入力型がほとんどとなっている。そして、パワーコンディショナーは、設置から10年程度が交換時期であることなどから、近年、交換時期が来たシングル入力型のパワーコンディショナーをマルチ入力型のパワーコンディショナーに交換する作業依頼が増加している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-77065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、多くのマルチ入力型パワーコンディショナーでは、その入力部の入力電流容量がシングル入力型パワーコンディショナーに比べて小さく設定されているため、交換が必要なシングル入力型パワーコンディショナーを新しいマルチ入力型のパワーコンディショナーに交換する際には、各ストリングを構成する太陽電池モジュールの直並列接続数の変更等をしなければならず、屋根上での煩雑な電気工事が必要になるという問題が従来より存在していた。すなわち、従来は、交換が必要なシングル入力型パワーコンディショナーを新しいマルチ入力型パワーコンディショナーに交換するに際しては、各ストリングからマルチ入力型パワーコンディショナーに出力する直流電力の電流値がマルチ入力型パワーコンディショナーの各入力部の入力電流容量以下となるように、各ストリングを構成する太陽電池モジュールの直並列接続数を変更する電気工事を建物屋根上で行う必要があるため、施工現場での作業効率が悪いという問題があった。
【0005】
このことについて、図3及び図4を参照して、より具体的に説明する。図3は、旧来の、すなわち交換前のシングル入力型パワーコンディショナーを使用した配線例で、建物屋根上の1枚300Wの太陽電池モジュールを21枚積載した太陽光発電システムの配線例を示す図である。
【0006】
図3において、(1)群の3枚の太陽電池モジュール21、及び(2)群の2枚の太陽電池モジュール21は、前記(1)群及び(2)群以外の他の太陽電池モジュール21からは離れた場所(例えば建物屋根中の傾斜又は方角が異なる場所)に設置されている。この図3において、前記(1)群及び(2)群以外の他の太陽電池モジュール21については、4枚ずつの太陽電池モジュール21が直列接続されてそれぞれが各ストリング22として昇圧機能付き接続箱25に接続されている。他方、図3において、(1)群及び(2)群の太陽電池モジュール21については、各群毎に太陽電池モジュール21が直列接続されて各ストリング23,24として昇圧機能付き接続箱25に接続されている。
【0007】
そして、前記各ストリング22,23,24からそれぞれ出力される直流電力は、前記接続箱25において同じ電圧、例えば200Vに揃えられ(後述)集約されてから、シングル入力型パワーコンディショナー26に出力される。図3に示す例では、シングル入力型パワーコンディショナー26の入力電流容量は例えば40A以下なので、前記接続箱25からは、図3に示す例えば200Vで31.5Aの直流電力がそのまま前記シングル入力型パワーコンディショナー26に出力される。
【0008】
なお、図3において、符号25a,25bは、前記接続箱25に備えられ、前記(1)群及び(2)群で示す太陽電池モジュールの枚数が少ない各ストリング23,24から出力された直流電力の電圧を昇圧させて、前記(1)群及び(2)群以外の太陽電池モジュールの枚数が多い各ストリング22からの直流電力と同じ電圧、例えば200Vに揃えるための昇圧回路である。
【0009】
次に、図4は、図3に示す建物屋根上の各太陽電池モジュール21の配置状態はそのままにして、図3の交換が必要なシングル入力型パワーコンディショナー26を新しいマルチ入力型パワーコンディショナー28に交換した後の太陽光発電システムの配線例を示す図である。この図4の場合は、シングル入力型パワーコンディショナー26をマルチ入力型パワーコンディショナー28に交換するに際し、マルチ入力型パワーコンディショナー28の各入力部に入力される直流電力が入力電流容量(図4の例では11A)以下となるように、次のような電気工事を建物屋根上で行う必要があった。
【0010】
すなわち、まず、図4において、前記(1)群及び(2)群以外の太陽電池モジュール21については、図3で説明した4枚ずつの太陽電池モジュール21を直列接続した各ストリング22(図3に示す、200Vで6Aの直流電力を出力する各ストリング)を、8枚ずつの太陽電池モジュール21を直列接続した各ストリング22a(図4に示す、400Vで6Aの直流電力を出力する各ストリング)とするように配線を繋ぎ変える電気工事を、建物屋根上で行う必要があった。より具体的には、図3に示す各4枚ずつが直列接続された計4つの各ストリング22(200Vで6Aの直流電力を出力する各ストリング22)を構成する各太陽電池モジュール21が、例えば図4に示すように各8枚ずつを直列接続した計2つの各ストリング22a(400Vで6Aの直流電力を出力する各ストリング22a)を構成するように、前記各太陽電池モジュール21の配線を繋ぎ変える電気工事を、建物屋根上で行う必要があった。そして、このような電気工事の終了後に、前記各ストリング22aの出力側(計2回路)を、マルチ入力型パワーコンディショナー28の各入力部に(接続箱25を介さないで直接に)それぞれ接続していた。
【0011】
他方、図4において、前記(1)群及び(2)群の太陽電池モジュール21については、図3と同様に各群毎の太陽電池モジュール21が直列接続されてそれぞれ各ストリング23,24とされて、前記接続箱25に接続されている。前記(2)群に対応するストリング24から出力される直流電力は、前記接続箱25において昇圧され、(1)群に対応するストリング23と並列に1回路に集約され、例えば図4に示す150Vで10Aの直流電力として、前記マルチ入力型パワーコンディショナー28の他の入力部に出力される。
【0012】
このように、従来の太陽光発電システムにおいては、交換が必要なシングル入力型パワーコンディショナー26を新しいマルチ入力型パワーコンディショナー28に交換するに際して、前記マルチ入力型パワーコンディショナー28に入力される直流電力がその入力電流容量(図4の例では11A)以下となるように、前記各太陽電池モジュール21の一部の配線を繋ぎ変えるという建物屋根上での煩雑な電気工事を行う必要があり、前述のようなシングル入力型パワーコンディショナーのマルチ入力型パワーコンディショナーへの交換作業を効率的に行うことができないという問題があった。
【0013】
本発明はこのような従来技術の問題点に着目して為されたものであって、交換が必要なシングル入力型パワーコンディショナーを新しいマルチ入力型パワーコンディショナーに交換する際に、屋根に設置された各太陽電池モジュール間の配線を繋ぎ変える等の建物屋根上での煩雑な電気工事を不要にして、前記交換のための作業を大幅に効率化及び低コスト化することができる太陽光発電システム及びこれに含まれるマルチ接続ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以上のような課題を解決するための本発明による太陽光発電システムは、建物屋根に設置された複数の各太陽電池ストリングと、前記複数の各ストリングから出力された各直流電力を1回路に纏めて出力する接続箱と、前記各ストリング又は接続箱から出力された直流電力が入力される複数の入力部を備えたマルチ入力型パワーコンディショナーと、前記接続箱から出力された直流電力を、複数の回路に分岐させて、前記各回路において直流電力の電圧を直流電力の電流値が前記マルチ入力型パワーコンディショナーの各入力部の許容電流容量以下となるように昇圧して前記各回路から直流電力を前記マルチ入力型パワーコンディショナーの各入力部に出力するマルチ接続ユニットとを備えたことを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明による太陽光発電システムに備えられるマルチ接続ユニットは、建物屋根に設置された複数の各太陽電池ストリングから出力された各直流電力を1回路に纏めて出力する接続箱と、所定の許容電流容量をそれぞれ有する複数の入力部を備えたマルチ入力型パワーコンディショナーとの間に接続されるマルチ接続ユニットであって、前記接続箱から出力された直流電力を複数の回路に分岐させて、前記各回路において直流電力の電圧を直流電力の電流値が前記マルチ入力型パワーコンディショナーの各入力部の許容電流容量以下となるように昇圧して前記各回路から直流電力を前記マルチ入力型パワーコンディショナーの各入力部に出力することを特徴とするものである。
【0016】
さらに、本発明による太陽光発電システムに備えられるマルチ接続ユニットは、前記接続箱から入力された直流電力を複数に分岐する分岐用端子部と、前記分岐用端子部により分岐された各直流電力の電圧をそれぞれ各直流電力の電流値が前記マルチ入力型パワーコンディショナーの各入力部の許容電流容量以下となるように昇圧する各昇圧回路部と、前記各昇圧回路部により昇圧された各直流電力を前記マルチ入力型パワーコンディショナーの各入力部にそれぞれ出力する各出力用端子部と、前記接続箱から入力された直流電力の電流値又は電圧値に基づいて前記各昇圧回路部の昇圧比を制御する昇圧制御部とを備えたものであってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、建物屋根に設置された複数の各太陽電池ストリングから出力された各直流電力を1回路に纏めて出力する接続箱と、所定の許容電流容量をそれぞれ有する複数の入力部を備えたマルチ入力型パワーコンディショナーとの間に、前記接続箱から出力された直流電力を、複数の回路に分岐させて前記各回路において直流電力の電圧を直流電力の電流値が前記マルチ入力型パワーコンディショナーの各入力部の許容電流容量以下となるように昇圧して前記各回路から直流電力を前記マルチ入力型パワーコンディショナーの各入力部に出力するマルチ接続ユニットを備えるようにしたので、従来技術において必要であった、シングル入力型パワーコンディショナーをマルチ入力型パワーコンディショナーに交換する際に、屋根に設置された各太陽電池モジュール間の配線を繋ぎ変える等の建物屋根上での煩雑な電気工事を不要にすることができる結果、前記交換の作業を大幅に効率化及び低コスト化できるようになる。
【0018】
また、特に本発明において、前記マルチ接続ユニットを、前記接続箱から入力された直流電力を複数に分岐する分岐用端子部と、前記分岐用端子部により分岐された各直流電力の電圧を各直流電力の電流値が前記マルチ入力型パワーコンディショナーの各入力部の許容電流容量以下となるようにそれぞれ昇圧する各昇圧回路部と、前記各昇圧回路部により昇圧された各直流電力を前記マルチ入力型パワーコンディショナーの各入力部にそれぞれ出力する各出力用端子部と、前記接続箱から入力された直流電力の電流値又は電圧値等に基づいて前記昇圧回路部の昇圧比等を制御する昇圧制御部とを備えるように構成したときは、前記マルチ接続ユニットを極めて簡単な構成で製造できるようになる結果、シングル入力型パワーコンディショナーをマルチ入力型パワーコンディショナーに交換する作業の全体を、より一層効率化・低コスト化できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態において、交換が必要なシングル入力型パワーコンディショナーを新しいマルチ入力型パワーコンディショナーに交換した後の太陽光発電システムの構成の一例を示す概略ブロック図である。
図2】本実施形態に使用されるマルチ接続ボックスの構成の一例を示す概略ブロック図である。
図3】従来の、シングル入力型パワーコンディショナーを使用した太陽光発電システムの構成の一例を示す概略ブロック図である。
図4】従来の太陽光発電システムにおいて、交換が必要なシングル入力型パワーコンディショナーを新しいマルチ入力型パワーコンディショナーに交換した後の太陽光発電システムの構成の一例を示す概略ブロック図(特に、シングル入力型パワーコンディショナーをマルチ入力型パワーコンディショナーに交換する作業において必要となる建物屋根上での電気工事等を説明するための図)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1は、本発明の実施形態において、交換が必要なシングル入力型パワーコンディショナーを新しいマルチ入力型パワーコンディショナーに交換した後の太陽光発電システムの構成の一例を示す概略ブロック図である。図1において、1は建物屋根に設置された各太陽電池モジュール、2は建物の例えば面積の広い南側の屋根などに設置された複数(図1の例では16個)の太陽電池モジュール1が所定個数(図1の例では4個)毎にそれぞれ直列接続されて構成される複数(図1の例では4個)の各太陽電池ストリング、3は建物の例えば西側の屋根に設置された複数(図1の(1)群。図1の例では3個)の太陽電池モジュール1が直列接続されて構成される太陽電池ストリング、4は建物の例えば東側の屋根に設置された複数(図1の(2)群。図1の例では2個)の太陽電池モジュール1が直列接続されて構成される太陽電池ストリングである。
【0021】
図1において、5は、入力側が前記各ストリング2,3,4の出力側と接続され、出力側が(後記のマルチ接続ボックスを介して)マルチ入力型パワーコンディショナー6側に接続される昇圧機能付き接続箱である。また図1において、5a,5bは、前記接続箱5内に配置された昇圧回路であって、前記(1)群及び(2)群の各ストリング3,4、すなわち太陽電池モジュールの枚数が少ない各ストリング3,4から出力された直流電力の電圧(図1の例では150V、100V)を、太陽電池モジュールの枚数が多い前記(1)群及び(2)群以外の他の各ストリング1から出力された直流電力の電圧(図1の例では200V)に揃えるための昇圧回路である。
【0022】
また図1において、6は、前記接続箱5から出力された直流電力が後記のマルチ接続ボックスを介して複数(図1の例では3個)の入力部で入力されるマルチ入力型パワーコンディショナーである。前記マルチ入力型パワーコンディショナー6は、直流電力の入力部を複数個、備えているが、その各入力部の許容電流容量は、図3に示す従来の入力部が1個であるシングル入力型パワーコンディショナーの許容電流容量(図3の例では40A)よりも少ない電流値(図1の例では11A)に設定されている。
【0023】
また図1において、10は、前記接続箱5と前記マルチ入力型パワーコンディショナー6との間に接続されるマルチ接続ボックスである。このマルチ接続ボックス10は、前記接続箱5で1回路に集約された直流電力を分岐、分配し、それぞれの電圧を昇圧し、それらの各直流電力の電流を前記マルチ入力型パワーコンディショナー6の許容電流容量(図1の例では11A)以下にするための昇圧機能を備えている。また、前記マルチ接続ボックス10は、前記接続箱5から出力される直流電力の電流値(図1の例では31.3A)を許容できる入力電流容量(図1の例では50A)を有するように構成されている。
【0024】
次に図2は、このようなマルチ接続ボックス10の内部構成を示す概略ブロック図である。図2において、11は、入力用端子台(図示省略)から入力された直流電力を3つの回路に分岐、分配する分岐用端子台、12は前記分岐用端子台11により分岐、分配された各直流電力の電力を各直流電力の電流値が前記マルチ入力型パワーコンディショナー6の各入力部の許容電流容量以下となるように前記各直流電力をそれぞれ昇圧する昇圧部、13a,13b,13cは前記昇圧部12により昇圧された各直流電力をそれぞれ前記マルチ入力型パワーコンディショナー6の入力部に出力する出力用端子台である。また図2において、14a,14b,14cは前記分岐用端子台11により3回路に分岐された直流電力をそれぞれ昇圧する昇圧回路、15は前記各分岐された直流電力の電流値及び電圧値などに基づいて前記各昇圧回路14a,14b,14cの昇圧比等を制御する昇圧制御部(マイクロコンピュータ)である。
【0025】
次に本実施形態の動作を説明する。本実施形態において、交換が必要なシングル入力型パワーコンディショナーを新たなマルチ入力型パワーコンディショナーに交換する作業を行うときは、前記接続箱5の出力側を前記マルチ接続ボックス10に繋ぐと共に、前記マルチ接続ボックス10の各出力用端子台13a,13b,13c(図2参照)を、新たに交換するマルチ入力型パワーコンディショナー6の各入力部にそれぞれ繋ぐだけでよい。よって、本実施形態によれば、作業現場での電気工事の工数を大幅に削減できるようになる(なお、本実施形態を適用した場合でも、図1に示すとおり、前記接続箱5の出力側を前記マルチ接続ボックス10に接続する工事、及び前記マルチ接続ボックス10の各出力用端子部を前記マルチ入力型パワーコンディショナー6の各入力部に接続する工事などは、建物屋根上での工事ではないが、必要である)。
【0026】
前述のように、本実施形態においては、前記マルチ接続ボックス10は、前記接続箱5から出力される直流電力に耐えられる許容電流容量を有するように構成されており、前記接続箱5から出力される直流電力を3回路に分岐させ、これらを個別に昇圧回路14a,14b,14cに取り込んでその電圧を上げて電流を下げ、直流電力の電流値が前記マルチ入力型パワーコンディショナー6の各入力部の許容電流容量以下となるようにしてから、前記マルチ入力型パワーコンディショナー6に出力する。また、前記マルチ接続ボックス10中の昇圧部12(昇圧基板)には3つの昇圧回路14a,14b,14cが備えられ、前記昇圧制御部15(マイコン)がそれらを制御する。前記昇圧制御部15は、電流制限、電力制限、昇圧比制御、定電圧制御、及びこれらを組み合わせた制御を行う(なお制御方法等については特許文献1なども参照)。
【0027】
以上のように、本実施形態によれば、建物屋根に設置された複数の各太陽電池ストリング2,3,4から出力された各直流電力を1回路に纏めて直流電力を出力する昇圧機能付き接続箱5と、所定の許容電流容量をそれぞれ有する複数の入力部を備えたマルチ入力型パワーコンディショナー6との間に、前記接続箱5から出力された直流電力を、複数の回路に分岐させて前記各回路において直流電力の電圧を直流電力の電流値が前記マルチ入力型パワーコンディショナー6の前記各入力部の入力電流容量以下となるように昇圧して前記各回路から直流電力を前記マルチ入力型パワーコンディショナー6の各入力部に出力するマルチ接続ボックス10を備えるようにしている。よって、本実施形態によれば、従来技術において必要であった、シングル入力型パワーコンディショナーをマルチ入力型パワーコンディショナーに交換する際に各太陽電池モジュール間の配線を繋ぎ変える等の建物屋根上での煩雑な電気工事を不要にすることができるので、前記交換作業を大幅に効率化及び低コスト化できるようになる。
【0028】
また、特に本実施形態において、前記マルチ接続ボックス10を、前記接続箱5側から入力された直流電力を複数に分岐する分岐用端子台11と、前記分岐用端子台11により分岐、分配された各直流電力の電圧を各直流電力の電流値が前記マルチ入力型パワーコンディショナー6の各入力部の許容電流容量以下となるようにそれぞれ昇圧する各昇圧部12と、前記各昇圧部12により昇圧された各直流電力を前記マルチ入力型パワーコンディショナー6の各入力部にそれぞれ出力する各出力用端子台13a,13b,13cと、前記接続箱5側から入力された直流電力の電流値又は電圧値等に基づいて前記昇圧部12の昇圧比等を制御する昇圧制御部15とを備えるようにした。よって本実施形態によれば、前記マルチ接続ボックス10を極めて簡単な構成で製造できるので、交換が必要なシングル入力型パワーコンディショナーを新たなマルチ入力型パワーコンディショナーに交換する作業の全体を、より一層効率化・低コスト化できるようになる。
【0029】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態として述べたものに限定されるものではなく、様々な修正及び変更が可能である。例えば、前記実施形態においては、前記マルチ接続ボックス10の分岐用端子台11は前記接続箱5から出力された直流電力を3つの回路に分岐、分配するものを採用しているが、本発明では、マルチ入力型パワーコンディショナーの入力部の数などに対応できるように様々な数の回路に分岐、分配するものを採用することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 太陽電池モジュール
2,3,4 太陽電池ストリング
5 昇圧機能付き接続箱
6 マルチ入力型パワーコンディショナー
10 マルチ接続ボックス
11 分岐用端子台
12 昇圧部
13a,13b,13c 出力用端子台
14a,14b,14c 昇圧回路
15 昇圧制御部(マイクロコンピュータ)

図1
図2
図3
図4