(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020467
(43)【公開日】2022-02-01
(54)【発明の名称】検出システム、被吊下装置及び検出方法
(51)【国際特許分類】
G01C 7/04 20060101AFI20220125BHJP
G01C 15/00 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
G01C7/04
G01C15/00 102C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020123977
(22)【出願日】2020-07-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】513005280
【氏名又は名称】株式会社amuse oneself
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨井 隆春
(57)【要約】
【課題】様々な環境下で水面下の状況を検出することが可能な検出システム、被吊下装置及び検出方法を提供する。
【解決手段】ドローン等の無人飛行体を用いた飛行体1と、飛行体1から紐状体3にて吊り下げられる被吊下装置2とを用いて、水面下の状況の検出、例えば、海底地形の測量を行う。被吊下装置2は、例えば、棒状体20に、水上ユニット21、浮子23及び水中ユニット22を取り付けて形成される。水上ユニット21はGPS衛星からの電波等の位置情報の取得に要する通信用のアンテナ211を備え、水中ユニット22は水面下の状況を検出する検出部(測量部222)を備えている。検出部の検出結果は、位置情報に対応付けて記録される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水面下の状況を検出する検出システムであって、
飛行体と、
前記飛行体から吊り下げられる被吊下装置と
を備え、
前記被吊下装置は、
水面下で検出を行う検出部と、
位置情報を取得する位置情報取得部と
を備える
ことを特徴とする検出システム。
【請求項2】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記被吊下装置は、
水面に浮遊する浮子を備え、
検出を行う場合、前記検出部は、前記浮子より下方に位置するように取り付けられている
ことを特徴とする検出システム。
【請求項3】
請求項2に記載の検出システムであって、
前記被吊下装置は、
前記位置情報取得部として、GNSS衛星からの電波を受信するアンテナを備え、
検出を行う場合、前記アンテナは、前記浮子より上方に位置するように取り付けられている
ことを特徴とする検出システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の検出システムであって、
前記被吊下装置は、姿勢情報を取得する姿勢取得部を備える
ことを特徴とする検出システム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の検出システムであって、
前記飛行体及び前記被吊下装置を繋ぐ紐状体と、
前記紐状体を巻き取り可能な巻取機構と
を備えることを特徴とする検出システム。
【請求項6】
飛行体から吊り下げ可能な被吊下装置であって、
紐状体を取付可能な取付部と、
水面下で検出を行う検出部と、
位置情報を取得する位置情報取得部と
を備えることを特徴とする被吊下装置。
【請求項7】
飛行体を用いた検出方法であって、
請求項6に記載の被吊下装置を、取付部に取り付けられた紐状体にて、前記飛行体から吊り下げ、
前記飛行体は、前記被吊下装置の検出部が水面下に位置するように飛行し、
前記検出部にて水面下の状況を検出する
ことを特徴とする検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水面下の状況を検出する検出システム、そのような検出システムにて用いられる被吊下装置、及びそのような被吊下装置を用いた検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な目的により、水面下の状況を検出する技術が必要とされている。例えば、特許文献1では、音波信号を送出する送信装置と海底輪郭から反射された音波を受信する受信装置とを船舶に取り付け、海底輪郭を測定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているような船舶を用いて海底輪郭を測定する方法では、例えば、水深が浅い場合等、船舶の使用が困難な環境下では、実施が困難であるという問題がある。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、様々な環境下で実施することが可能な検出システムの提供を主たる目的とする。
【0006】
また、本発明は、本発明に係る検出システムにて用いられる被吊下装置の提供を他の目的とする。
【0007】
また、本発明は、本発明に係る被吊下装置を用いた検出方法の提供を更に他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本願記載の検出システムは、水面下の状況を検出する検出システムであって、飛行体と、前記飛行体から吊り下げられる被吊下装置とを備え、前記被吊下装置は、水面下で検出を行う検出部と、位置情報を取得する位置情報取得部とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本願記載の検出システムにおいて、前記被吊下装置は、水面に浮遊する浮子を備え、検出を行う場合、前記検出部は、前記浮子より下方に位置するように取り付けられていることを特徴とする。
【0010】
また、本願記載の検出システムにおいて、前記被吊下装置は、前記位置情報取得部として、GNSS衛星からの電波を受信するアンテナを備え、検出を行う場合、前記アンテナは、前記浮子より上方に位置するように取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
また、本願記載の検出システムにおいて、前記被吊下装置は、姿勢情報を取得する姿勢取得部を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本願記載の検出システムにおいて、前記飛行体及び前記被吊下装置を繋ぐ紐状体と、前記紐状体を巻き取り可能な巻取機構とを備えることを特徴とする。
【0013】
更に、本願記載の被吊下装置は、飛行体から吊り下げ可能な被吊下装置であって、紐状体を取付可能な取付部と、水面下で検出を行う検出部と、位置情報を取得する位置情報取得部とを備えることを特徴とする。
【0014】
更に、本願記載の検出方法は、飛行体を用いた検出方法であって、前記被吊下装置を、取付部に取り付けられた紐状体にて、前記飛行体から吊り下げ、前記飛行体は、前記被吊下装置の検出部が水面下に位置するように飛行し、前記検出部にて水面下の状況を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る検出システム及び検出方法は、飛行体を用いて水面下の状況を検出する。また、本発明に係る被吊下装置は、飛行体から吊り下げられて水面下の状況を検出する。よって、例えば、水深が浅くて船舶を使用し難い海域等の様々な環境下で水面下の状況を検出することが可能である等、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本願記載の検出システムの概要の一例を模式的に示す概略説明図である。
【
図2】本願記載の検出システムの概要の一例を模式的に示す概略説明図である。
【
図3】本願記載の検出システムが備える飛行体の一例を示す概略外観図である。
【
図4】本願記載の検出システムが備える飛行体の一例を示す概略外観図である。
【
図5】本願記載の検出システムが備える飛行体の一例を示す概略外観図である。
【
図6】本願記載の検出システムが備える飛行体の構成例を示す機能ブロック図である。
【
図7】本願記載の検出システムが備える被吊下装置の一例を示す概略外観図である。
【
図8】本願記載の検出システムが備える被吊下装置に係る水上ユニットの構成例を示す機能ブロック図である。
【
図9】本願記載の検出システムが備える被吊下装置に係る水中ユニットの構成例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本願記載の検出システムは、例えば、海底地形の測量等の水面下の状況の検出に適用される。検出には、例えば、ドローン等の称呼で呼ばれる無人飛行体(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)が用いられる。以下では、図面を参照しながら、図面に例示された飛行体1を用いて海底地形の測量を実施する検出システムの形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具現化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0018】
<検出システムの概要>
図1及び
図2は、本願記載の検出システムの概要の一例を模式的に示す概略説明図である。
図1は、飛行体1が空中を水平飛行しながら海底地形の測量等の水面下の状況を検出している状態を示しており、
図2は、飛行体1が空中に停止(ホバリング)して測量している状態を示している。本願記載の検出システムは、例えば、広範囲の海底地形を測量する場合、
図1に例示するように飛行体1が飛行しながらの測定となるが、
図2に例示するように、停止した状態で水面下の状況を検出することも可能である。本願記載の検出システムは、無人飛行体等の飛行体1と、飛行体1から吊り下げられる被吊下装置2とを備えている。被吊下装置2は、ワイヤー、チェーン、ロープ等の紐状体3に繋がれて飛行体1から吊り下げられている。被吊下装置2は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等の軽量の剛体で形成された棒状体20を備えている。棒状体20には、一端側に水上ユニット21が取り付けられ、他端側に水中ユニット22が取り付けられ、一端及び他端の間となる中央近傍には浮子23が取り付けられている。浮子23は、後述する支軸24(
図5等参照)により、棒状体20に軸支されており、支軸24を回動させることにより、棒状体20と浮子23との角度を制御することが可能である。
【0019】
測量を行う場合、被吊下装置2は、飛行体1から下方へ投下され、水面に浮遊した状態で水面下の状況を測量する。水面で浮遊している状態の被吊下装置2は、浮子23が水面付近で浮遊し、一端側となる水上ユニット21が水面上に位置し、他端側となる水中ユニット22が水面下に位置している。水面下に位置する水中ユニット22は、海底地形等の水面下の状況を測量する。水面下の状況の測量は、飛行体1の飛行状況に伴い、
図1に例示するように移動しながらの状態でも可能であり、
図2に例示するように停止した状態でも可能である。
【0020】
<検出システムが備える各種装置の構成>
次に、検出システムが備える各種装置について説明する。
【0021】
<飛行体1>
図3は、本願記載の検出システムが備える飛行体1の一例を示す概略外観図である。
図3は、紐状体3を伸ばして被吊下装置2を吊り下げている状態の飛行体1を例示している。飛行体1は、例えば、飛行機構10を備えたドローンと呼ばれる小型無人ヘリコプター等の無人飛行体が用いられる。小型無人ヘリコプターを飛行体1として用いる場合、飛行体1は、例えば、ローターを飛行機構10として備える。飛行体1は、ローターの数が1つのものであってもよく、
図3に例示するように複数のローターが機体の周りに均等に配設されたマルチコプターであってもよい。マルチコプターとしては、4つのローターを有するクアッドコプター、6つのローターを有するヘキサコプター、8つのローターを有するオプトコプター等の飛行体1を例示することができる。
【0022】
図4及び
図5は、本願記載の検出システムが備える飛行体1の一例を示す概略外観図である。
図4及び
図5は、飛行体1が、紐状体3を巻き取って、被吊下装置2を引き上げ、引き上げられた被吊下装置2を保持している状態を示している。
図4は、斜め上方からの視点で示しており、
図5は、斜め下方からの視点で示している。
図5は、一部の部材を透過して示している。飛行体1の下部には、紐状体3を巻取可能な電動ウィンチ等の巻取機構11等の各種機構が設けられており、巻取機構11により、紐状体3の巻き取りが行われる。巻取機構11は、紐状体3を巻回するドラム及びドラムを回転させるモータ等の付属機器を備えている。
【0023】
被吊下装置2が上端まで巻き上げられると、支軸24が回動し、被吊下装置2の棒状体20が略水平となった状態で保持される。なお、棒状体20が略水平になった被吊下装置2の保持状態を安定させるため、適宜、フック、電磁石等の付属機器を用いて被吊下装置2を係止するように設計してもよい。被吊下装置2を引き上げ、かつ棒状体20が略水平になった状態で保持することにより、測量位置までの移動又は測量後の撤収の際の飛行を安定させることが可能である。また、巻取機構11は、必要に応じて紐状体3を切り離しできるように構成されている。測量、巻取等の様々な状況下において、例えば、紐状体3が絡まるというような異常が発生した場合、紐状体3を切り離すことにより、飛行体1の回収が可能となる。被吊下装置2は、浮子23を備えているため、紐状体3を切り離しても、被吊下装置2が水面に浮遊するので、容易に回収することが可能である。また、被吊下装置2は、位置情報を取得し、取得した位置情報を発信するよう構成した場合、被吊下装置2の浮遊位置の特定が容易となる。
【0024】
図6は、本願記載の検出システムが備える飛行体1の構成例を示す機能ブロック図である。飛行体1は、前述の飛行機構10及び巻取機構11の他、装置全体を制御する制御部12等の構成を備えている。
【0025】
制御部13は、プログラムを実行するMPU(Micro-Processing Unit )、プログラム及びデータを記録するメモリ等のチップを備え、飛行機構10及び巻取機構11の動作を制御する回路である。制御部13は、予めメモリに設定されている飛行経路又は操作者が操作する操作装置からの無線通信にて送信される命令に基づいて、飛行機構10を制御することにより、飛行体1を飛行させる。また、制御部13は、予め設定される動作又は操作装置からの命令に基づいて、巻取機構11を制御し、被吊下装置2の降下、測量、巻取、保持等の動作をさせる。
【0026】
<被吊下装置2>
図7は、本願記載の検出システムが備える被吊下装置2の一例を示す概略外観図である。
図7は、一部の構成を透過して示している。被吊下装置2は、棒状体20、水上ユニット21、水中ユニット22、浮子23、支軸24等の構成を備えている。被吊下装置2は、水面まで降下した場合、棒状体20の長手方向が略上下方向となり、浮子23が水面を浮遊して、水上ユニット21が水上に位置し、水中ユニット22が水中に位置するように形成されている。浮子23には、紐状体3の端部を取り付ける取付部230が形成されており、紐状体3に繋がれて飛行体1に吊り下げられる。被吊下装置2は、水面に浮遊した状態で水面下の状況を測量する。棒状体20は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等の軽量の剛体で形成することが望ましいが、外力による撓み等の変形が生じた場合でも、元の形状に復帰するのであれば、可撓性を有する樹脂等の材料を用いて形成してもよい。
【0027】
浮子23は、硬質発泡スチロール等の材料で形成され、水より密度が小さく十分な浮力を有する機構である。浮子23は、平面視で左右に分割された略舟形をなしており、中央で棒状体20を保持している。また、左右に分割された船体は、略U字状をなす取付部230にて連結されている。浮子23は、略舟形に形成することにより、飛行体1が水平飛行しながら測定する場合に、飛行体1に引っ張られて移動する被吊下装置2の方向を安定させることができる。また、移動する被吊下装置2の方向を安定させるため、フィン、スタビライザー等の安定部を形成するようにしてもよい。
【0028】
図8は、本願記載の検出システムが備える被吊下装置2に係る水上ユニット21の構成例を示す機能ブロック図である。水上ユニット21は、アンテナ211(位置情報取得部)、制御部212、姿勢維持機構213、姿勢取得部214、通信部215等の各種機構を備えている。水上ユニット21が備える各種機構は、主として位置情報を取得し、処理するための機構である。位置情報の取得は、GNSS(Global Navigation Satellite System:全地球測位システム)を使用して実施される。GNSSとしては、GPS:Global Positioning System(米国)、GLONASS:GLObal'naya NAvigatsionnaya Sputnikovaya Sistema(ロシア)、ガリレオ:Galileo(欧州)、コンパス:Compass(中国)、QZSS:Quasi-Zenith Satellite System(日本)等のシステムを例示することができる。なお、以降の説明では、GNSSとして、GPSを用いた例について説明する。
【0029】
アンテナ211は、GPS衛星(GNSS衛星)から位置情報が重畳された電波を受信する機能を有し、受信した電波に重畳された日付、時刻、緯度、経度、楕円体高等の位置情報を含む情報を取得することができる。GPS衛星から取得する楕円体高とは、地球の重力の等ポテンシャル面を示すジオイド面に近似される楕円体の表面に対する垂直な高さであり、楕円体高とジオイド面とから、海底(水底)の標高(水深)を算出することができる。
【0030】
制御部212は、MPU、メモリ等のチップを備え、水上ユニット21に関する各種処理を実行し、水上ユニット21全体を制御する回路である。姿勢維持機構213は、例えば、ジンバル機構等の機構を用いて、アンテナ211、位置情報取得に要する機構、又は水上ユニット21全体の姿勢を維持する機構である。姿勢取得部214は、IMU(Inertial Measurement Unit )、INS(Inertial Navigation System)、ジャイロセンサ、加速度センサ等の装置又はセンサを用いて、棒状体20、水上ユニット21又は水中ユニット22の姿勢を検出する機構である。通信部215は、位置情報等の各種情報を水中ユニット22へ送信する機構であり、棒状体20の内部を挿通される通信線を用いた有線通信、又は無線通信により、水中ユニット22と通信可能に接続されている。
【0031】
図9は、本願記載の検出システムが備える被吊下装置2に係る水中ユニット22の構成例を示す機能ブロック図である。水中ユニット22は、制御部220、通信部221、測量部222(検出部)、記録部223、軸駆動部224等の構成を備えている。水中ユニット22は、主として海底地形等の水面下の状況を測量する機構を備えている。
【0032】
制御部220は、MPU、メモリ等のチップを備え、水中ユニット22に関する各種処理を実行し、水中ユニット22全体を制御する回路である。通信部221は、水上ユニット21から送信される位置情報等の各種情報を受信する機構であり、有線通信又は無線通信により、水上ユニット21と通信可能に接続されている。測量部222は、海底地形等の水面下の状況を、例えば、マルチビームとして音波を扇状に発信し、発信した音波が海底等の反射対象で反射した反射波を受信して解析する音響測深により、海底地形を広範囲に測量する機構である。記録部223は、水上ユニット21から通信部221が取得した位置情報等の情報に、測量結果を対応付けて記録するデータロガーとして用いられる記録媒体である。軸駆動部224は、制御部220の制御により、支軸24を回動させ、浮子23と棒状体20との角度を制御する機構である。
【0033】
<検出方法>
以上のように構成された検出システムを用いた検出方法について説明する。飛行体1は、被吊下装置2を水平に保持した状態で、測量位置の上空まで、自律飛行又は操作装置を用いた遠隔操作により飛行する。測量位置の上空に到達した飛行体1は、被吊下装置2の保持を解除し、巻取機構11を動作させて紐状体3を送り出し、被吊下装置2の浮子23が水面に浮遊する程度まで降下させる。
【0034】
水面まで降下した被吊下装置2は、棒状体20の長手方向が略上下方向となり、浮子23が水面を浮遊して、水上ユニット21が水上に位置し、水中ユニット22が水中に位置する状態で測量を開始する。測量では、水上ユニット21のアンテナ211がGPS衛星から電波を受信し、位置情報等の情報、具体的には、日付、時刻、緯度、経度、楕円体高等の情報を取得し、また、姿勢取得部214が検出した棒状体20、水上ユニット21又は水中ユニット22の姿勢を示す姿勢情報を取得する。そして、水上ユニット21は、取得した位置情報、姿勢情報等の情報を通信部215から水中ユニット22へ送信する。
【0035】
水中ユニット22の通信部221は、水上ユニット21から位置情報、姿勢情報等の各種情報を受信する。水中ユニット22の制御部220は、受信した各種情報に基づいて、測量部222の位置及び姿勢を導出する。測量部222の位置は、例えば、アンテナ211が受信した情報に基づく緯度、経度、楕円体高等のアンテナ211の位置を示す情報と、姿勢情報として受信した棒状体20、水上ユニット21又は水中ユニット22の姿勢と、予め記録されている棒状体20の長さに基づく演算により導出することができる。また、水中ユニット22の制御部220は、測量部222により、海底地形等の水面下の状況を測量し、測量した結果を、取得した測量部222の位置を示す情報に対応付けて記録部223に記録する。なお、測量結果に対応付ける位置情報は、海底地形の導出に用いることが可能であれば、アンテナ211が受信した位置情報等の他の位置情報であってもよい。
【0036】
測量終了後、飛行体1は、被吊下装置2を取り付けている紐状体3を巻き取り、被吊下装置2の棒状体20が略水平となるように保持し、自律飛行又は操作装置を用いた遠隔操作により、所定の帰還位置まで飛行する。
【0037】
以上のように本願記載の検出システムは、飛行体1から被吊下装置2を吊り下げ、水面下の状況の検出、例えば、海底地形の測量を行う。飛行体1を用いることにより、例えば、水深が浅くて船舶を使用し難い海域、その他、内陸の河川、湖沼等の様々な環境下での検出作業が可能である等、優れた効果を奏する。また、本願記載の検出システムの検出部を、音波にて水面下の地形を測量する測量部222として構成した場合、太陽光等の光が届きにくい深い場所の海底地形、透明度の低い海域の海底地形等の検出対象を検出することも可能である。
【0038】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、他の様々な形態で実施することが可能である。そのため、上述した実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。更に、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0039】
例えば、前記実施形態では、検出対象を海底地形とし、水面下の状況の検出を、海底地形の測量とする形態を示したが、本発明はこれに限らず、水面下の様々な状況を検出対象とすることが可能である。例えば、水中の魚群、水中の温度、水中の濁り、水中の浮遊物、水中に含まれる特定の成分等、様々な事象を検出対象とすることが可能である。また、海底地形の測量であっても、測量部222がマルチビームで測量する形態に限らず、シングルビームで測量する形態等、様々な形態に展開することが可能である。更に、測量部222にも、姿勢維持のための機構を取り付け、例えば、飛行体1が水平飛行しながらの測量であっても、測量部222が常に真下に向けてビームを発信する形態等、様々な形態に展開することが可能である。
【0040】
また、例えば、GPS衛星から受信する電波に重畳された情報を取得するアンテナ211を、位置情報取得部として説明したが、アンテナ211が受信した情報を水中ユニット22で受信する通信部221、アンテナ211が受信した情報から測量部222の位置情報を導出する制御部212、220等の構成も、位置情報取得部とみなすことができる。即ち、位置情報取得部とは、測量結果に対応付けて記録する位置に関する情報の受信、導出等の処理を行う機構、回路等の構成が位置情報取得部であり、また、必ずしも水上ユニット21が備える必要はなく、水中ユニット22、その他の構成が位置情報取得部を備えていてもよい。更には、水上ユニット21は、アンテナ211のみとし、受信した情報から測量部222の位置情報を導出する制御部212、220、姿勢取得部214等の各種機構を水中ユニット22が備えるように構成する等、適宜設計することが可能である。
【0041】
更に、例えば、前記実施形態では、浮子23により、被吊下装置2の水上ユニット21が水上に位置し、水中ユニット22が水中に位置するようにして水面下の状況を検出する形態を例示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、浮子23をなくし、被吊下装置2全体が水中に位置するように吊り下げて、水面下の状況を検出するようにする等、適宜設計することが可能である。更に、浮子23をなくした形態では、紐状体3を取り付ける取付部230を、被吊下装置2のいずれの箇所、例えば、水上ユニット21に形成することが可能である。なお、取付部230は、浮子23がある形態において、浮子23以外の箇所に形成することも可能である。
【0042】
更に、例えば、前記実施形態では、飛行体1が巻取機構11を備える形態を示したが、本発明はこれに限らず、被吊下装置2が巻取機構11を備える形態等、様々な形態に展開することが可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 飛行体
10 飛行機構
11 巻取機構
12 制御部
120 アーム部
121 把持部
13 制御部
2 被吊下装置
20 棒状体
21 水上ユニット
211 アンテナ(位置情報取得部)
212 制御部
213 姿勢維持機構
214 姿勢取得部
215 通信部
22 水中ユニット
220 制御部
221 通信部
222 測量部(検出部)
223 記録部
224 軸駆動部
23 浮子
230 取付部
24 支軸
3 紐状体
【手続補正書】
【提出日】2021-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水面下の状況を検出する検出システムであって、
飛行体と、
前記飛行体から吊り下げられる被吊下装置と
を備え、
前記被吊下装置は、
水面下で検出を行う検出部と、
位置情報を取得する位置情報取得部と、
水面に浮遊する浮子と
を備え、
検出を行う場合、前記検出部は、前記浮子より下方に位置するように取り付けられている
ことを特徴とする検出システム。
【請求項2】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記被吊下装置は、
前記位置情報取得部として、GNSS衛星からの電波を受信するアンテナを備え、
検出を行う場合、前記アンテナは、前記浮子より上方に位置するように取り付けられている
ことを特徴とする検出システム。
【請求項3】
水面下の状況を検出する検出システムであって、
飛行体と、
前記飛行体から吊り下げられる被吊下装置と
を備え、
前記被吊下装置は、
水面下で検出を行う検出部と、
位置情報を取得する位置情報取得部と、
姿勢情報を取得する姿勢取得部と
を備える
ことを特徴とする検出システム。
【請求項4】
水面下の状況を検出する検出システムであって、
飛行体と、
前記飛行体から吊り下げられる被吊下装置と、
前記飛行体及び前記被吊下装置を繋ぐ紐状体と、
前記紐状体を巻き取り可能な巻取機構と
を備え、
前記被吊下装置は、
水面下で検出を行う検出部と、
位置情報を取得する位置情報取得部と
を備える
ことを特徴とする検出システム。
【請求項5】
飛行体から吊り下げ可能な被吊下装置であって、
紐状体を取付可能な取付部と、
水面下で検出を行う検出部と、
位置情報を取得する位置情報取得部と、
水面に浮遊する浮子と
を備え、
検出を行う場合、前記検出部は、前記浮子より下方に位置するように取り付けられている
ことを特徴とする被吊下装置。
【請求項6】
飛行体から吊り下げ可能な被吊下装置であって、
紐状体を取付可能な取付部と、
水面下で検出を行う検出部と、
位置情報を取得する位置情報取得部と、
姿勢情報を取得する姿勢取得部と
を備えることを特徴とする被吊下装置。
【請求項7】
飛行体を用いた検出方法であって、
請求項5又は請求項6に記載の被吊下装置を、取付部に取り付けられた紐状体にて、前記飛行体から吊り下げ、
前記飛行体は、前記被吊下装置の検出部が水面下に位置するように飛行し、
前記検出部にて水面下の状況を検出する
ことを特徴とする検出方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】